JP2009052642A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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洋斗 須間
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Abstract

【課題】ナックルと軸受との間に異物が滞留するのを抑えてシールの損傷を防止すると共に、シールの密封性を確保して軸受の耐久性の向上を図った車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】シール17が、外方部材12の端部に内嵌された芯金20、およびこれに接合されたシール部材21とからなるシール板18と、これに対向配置され、内輪13の外径に圧入された円筒部19a、およびこれから径方向外方に延びる立板部19bとからなり、シール部材21が摺接されたスリンガ19とを備え、立板部19bの外縁がシール板18に径方向すきまを介して対峙し、ラビリンスシールが構成されると共に、ナックル2の内径に鍔部2aが形成され、この内径Dnが外方部材12の端部内径Doよりも大径に形成されているので、鍔部2aがスリンガ19に対峙することはなく、泥水やダスト等の異物が溜まるのを防止することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車等の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置、特に、シールの密封性を確保して軸受の耐久性の向上を図った車輪用軸受装置に関するものである。
従来から自動車等の車輪を支持する車輪用軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ輪を転がり軸受を介して回転自在に支承するもので、駆動輪用と従動輪用とがある。構造上の理由から、駆動輪用では内輪回転方式が、従動輪用では内輪回転と外輪回転の両方式が一般的に採用されている。この車輪用軸受装置には、所望の軸受剛性を有し、ミスアライメントに対しても耐久性を発揮すると共に、燃費向上の観点から回転トルクが小さい複列アンギュラ玉軸受が多用されている。一方、オフロードカーやトラック等、車体重量が嵩む車両には複列円錐ころ軸受が使用されている。
また、車輪用軸受装置には、懸架装置を構成するナックルとハブ輪との間に複列アンギュラ玉軸受等からなる車輪用軸受を嵌合させた第1世代と称される構造から、外方部材の外周に直接車体取付フランジまたは車輪取付フランジが形成された第2世代構造、また、ハブ輪の外周に一方の内側転走面が直接形成された第3世代構造、あるいは、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材の外周にそれぞれ内側転走面が直接形成された第4世代構造とに大別されている。
従来から自動車等の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置、例えば、第1世代と称される車輪用軸受装置は、図7に示すように、ブレーキロータBと共に車輪Wを固定するハブ輪51と、そのハブ輪51を回転自在に支持し、外輪52および一対の内輪53を有する車輪用軸受54と、この車輪用軸受54を車体(懸架装置)に支持するナックル55と、ハブ輪51と連結してドライブシャフト(図示せず)の動力をこのハブ輪51に伝達する等速自在継手56を主要部として構成されている。
こうした車輪用軸受装置は、通常、自動車メーカにおける組立ラインで、車輪用軸受54はハブ輪51の小径段部51aおよびナックル55に圧入されると共に、止め輪57によって位置決め固定される。そして、等速自在継手56がハブ輪51に内嵌され、外側継手部材58の肩部59とハブ輪51の肩部51bとで挟持された状態で、固定ナット60を所定の締付トルクにて締結することにより所定の軸受予圧が付与されて軸方向に固定されている。
車輪用軸受54は、図8に拡大して示すように、内周に複列の外側転走面52a、52aが形成された外輪52と、外周にこれら複列の外側転走面52a、52aに対向する内側転走面53aが形成された一対の内輪53と、両転走面間に保持器61を介して転動自在に収容された複列のボール62、62とからなる。そして、外輪52と内輪53との間に形成された環状空間の開口部にシール63、63が装着されている。シール63は、密封性を向上させるために、外輪52の端部内周に圧入された環状のシール板64と、内輪53の外径に圧入され、断面L字状に形成されたスリンガ65とからなる、所謂パックシールが一般的に用いられ、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。なお、係る先行技術は文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
こうした従来の車輪用軸受装置では、図9に示すように、シール63は、ナックル55との干渉を避けるため、外輪52の端面から僅かに軸方向のすきまeを設けて圧入されている。そのため、外輪52の端面に当接して位置決めするナックル55の鍔55aの内径Dnが外輪52の端部内径Doよりも小径の場合、ナックル55とシール63との間に環状の空間S(図中クロスハッチングにて示す)が生じることになる。この場合、この環状の空間Sに泥水やダスト等の異物が溜まり、ナックル55や外輪52が発錆する恐れがある。特に、鍔55aの内径Dnがスリンガ65の外径Dsよりも小径になると、この錆によって発生した隆起物がスリンガ65に接触することによってシール63が損傷し、密封性の低下によって軸受の耐久性が損なわれることがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ナックルと軸受との間に異物が滞留するのを抑えてシールの損傷を防止すると共に、シールの密封性を確保して軸受の耐久性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、懸架装置を構成するナックルに内嵌され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールが、前記外方部材の端部に内嵌された芯金、およびこの芯金に一体に接合されたシール部材とからなる環状のシール板と、このシール板に対向配置され、前記内方部材の外径に圧入された円筒部、およびこの円筒部から径方向外方に延びる立板部とからなり、前記シール部材が摺接されたスリンガとを備え、前記立板部の外縁が前記シール板に僅かな径方向すきまを介して対峙し、ラビリンスシールが構成されると共に、前記ナックルの内径に鍔部が形成され、この鍔部のうち前記シールと対峙する部位の内径が、少なくとも前記スリンガの立板部の外径よりも大径に形成されている。
このように、懸架装置を構成するナックルに内嵌された外方部材と、この外方部材に複列の転動体を介して内挿された内方部材と、外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた第1乃至第4世代構造の車輪用軸受装置において、シールが、外方部材の端部に内嵌された芯金、およびこの芯金に一体に接合されたシール部材とからなる環状のシール板と、このシール板に対向配置され、内方部材の外径に圧入された円筒部、およびこの円筒部から径方向外方に延びる立板部とからなり、シール部材が摺接されたスリンガとを備え、立板部の外縁がシール板に僅かな径方向すきまを介して対峙し、ラビリンスシールが構成されると共に、ナックルの内径に鍔部が形成され、この鍔部のうちシールと対峙する部位の内径が、少なくともスリンガの立板部の外径よりも大径に形成されているので、鍔部がスリンガに対峙することはなく、泥水やダスト等の異物が溜まるのを防止することができる。したがって、ナックルや外方部材が発錆するのを防止すると共に、この錆によって発生した隆起物がスリンガに接触することによってシールが損傷するのを防止し、密封性を確保して軸受の耐久性を向上させることができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記鍔部の内径が前記外方部材の端部内径よりも大径に設定されていれば、ナックルとシールとの間に泥水やダスト等の異物が溜まるのを防止することができ、ナックルや外方部材が発錆するのを確実に防止することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記鍔部の内径にドレーンが形成されていれば、ナックルの鍔部とシールとの間に形成される環状の空間に泥水等が浸入しても容易にこのドレーンから排出することができる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記ドレーンが前記鍔部の鉛直方向最下部の位置に形成され、断面矩形状をなし、その溝底が前記外方部材の端部内径と略同径となる軸溝で構成されていれば、ナックルの鍔部とシールとの間に形成される環状の空間に泥水等が浸入してもこのドレーンから効果的に排出することができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記鍔部の内径が等速自在継手の外側継手部材に僅かな径方向すきまを介して対峙し、ラビリンスシールが構成されると共に、前記鍔部のうち前記シールと対峙する部位に環状凹所が形成され、この環状凹所が断面矩形状をなし、その溝底が前記外方部材の端部内径と略同径となるように構成されていれば、泥水やダスト等の異物が直接シールに浸入するのを抑制して密封性を向上させることができると共に、鍔部がスリンガに対峙することはなく、泥水やダスト等の異物が浸入してもナックルの鍔部とシールとの間に溜まるのを防止することができる。
また、請求項6に記載の発明のように、前記外方部材の外周に前記ナックルに取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、この車体取付フランジのインナー側の側面に当接した状態で、固定ボルトを介して前記外方部材が位置決め固定されている構造においては、ナックルに鍔部を設ければナックルの剛性を高めることができる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、懸架装置を構成するナックルに内嵌され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールが、前記外方部材の端部に内嵌された芯金、およびこの芯金に一体に接合されたシール部材とからなる環状のシール板と、このシール板に対向配置され、前記内方部材の外径に圧入された円筒部、およびこの円筒部から径方向外方に延びる立板部とからなり、前記シール部材が摺接されたスリンガとを備え、前記立板部の外縁が前記シール板に僅かな径方向すきまを介して対峙し、ラビリンスシールが構成されると共に、前記ナックルの内径に鍔部が形成され、この鍔部のうち前記シールと対峙する部位の内径が、少なくとも前記スリンガの立板部の外径よりも大径に形成されているので、鍔部がスリンガに対峙することはなく、泥水やダスト等の異物が溜まるのを防止することができる。したがって、ナックルや外方部材が発錆するのを防止すると共に、この錆によって発生した隆起物がスリンガに接触することによってシールが損傷するのを防止し、密封性を確保して軸受の耐久性を向上させることができる。
懸架装置を構成するナックルに内嵌され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入され、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪からなる内方部材と、前記両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内輪との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールが、前記外方部材の端部に内嵌された芯金、およびこの芯金に一体に接合されたシール部材とからなる環状のシール板と、このシール板に対向配置され、前記内輪の外径に圧入された円筒部、およびこの円筒部から径方向外方に延びる立板部とからなり、前記シール部材が摺接されたスリンガとを備え、前記立板部の外縁が前記シール板に僅かな径方向すきまを介して対峙し、ラビリンスシールが構成されると共に、前記ナックルの内径に鍔部が形成され、この鍔部の内径が前記外方部材の端部内径よりも大径に形成されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の車輪用軸受を示す拡大図、図3は、図2の要部拡大図、図4(a)は、図3の他の実施形態を示す要部拡大図、(b)は、(a)の側面図、図5は、図3のさらに他の実施形態を示す要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
この車輪用軸受装置は第1世代と呼称される駆動輪用であって、ハブ輪1と、このハブ輪1に圧入され、懸架装置を構成するナックル2に対してハブ輪1を回転自在に支承する車輪用軸受3とを主たる構成としている。ハブ輪1は、一端部に車輪取付フランジ4と、外周にこの車輪取付フランジ4から軸方向に延びる円筒状の小径段部5が形成されている。車輪取付フランジ4には車輪WおよびブレーキロータBを締結するハブボルト4aが周方向等配に植設されている。また、ハブ輪1の内周にはトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)6が形成されると共に、小径段部5の外周面には後述する車輪用軸受3が圧入されている。
ハブ輪1はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、車輪取付フランジ4のインナー側の基部から小径段部5に亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、車輪取付フランジ4に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有すると共に、車輪用軸受3の嵌合部となる小径段部5の耐フレッティング性が向上し、ハブ輪1の耐久性が一層向上する。
車輪用軸受3は、等速自在継手7を構成する外側継手部材8の肩部9とハブ輪1とで挟持された状態で固定されている。外側継手部材8は、肩部9から軸方向に延びるステム部10が一体に形成され、このステム部10の外周には、ハブ輪1のセレーション6に係合するセレーション(またはスプライン)10aとねじ部10bが形成されている。そして、エンジンからのトルクが図示しないドライブシャフトおよび等速自在継手7、およびこのステム部10のセレーション10aを介してハブ輪1に伝達される。また、ステム部10のねじ部10bに固定ナット11を所定の締付トルクで締結することにより、車輪用軸受3に所望の軸受予圧が付与されている。
車輪用軸受3は、図2に拡大して示すように、内周に複列の外側転走面12a、12aが一体に形成された外方部材(外輪)12と、この外方部材12に内挿され、外周に複列の外側転走面12a、12aに対向する内側転走面13aが形成された一対の内輪13、13と、両転走面間に保持器14を介して転動自在に収容された複列の転動体(ボール)15、15とを備えている。そして、一対の内輪13、13の正面側端面が突き合された状態でセットされ、背面合せタイプの複列アンギュラ玉軸受を構成している。この車輪用軸受3は、ナックル2に所定のシメシロを介して圧入されると共に、ナックル2の鍔部2aと、止め輪16によって軸方向に位置決めされている。
外方部材12、内輪13および転動体15はSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。また、車輪用軸受3の端部にはシール17、17が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
シール17は、図3に拡大して示すように、断面略L字状に形成された環状のシール板18とスリンガ19とを備え、互いに対向して配置されたパックシールからなる。シール板18は、外方部材12の端部に内嵌された芯金20と、この芯金20に加硫接着等で一体に接合されたシール部材21とからなり、ナックル2との干渉を避けるため、外方部材12のインナー側の端面より僅かに軸方向のすきまeを設けて圧入されている。
芯金20は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、フェライト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて形成されている。また、シール部材21は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなり、サイドリップ21aと一対のラジアルリップ21b、21cを一体に有している。なお、シール部材21の材質は、NBRに限らず、例えば、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、ACM(アクリルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、FKM(フッ素ゴム)等を例示することができる。
スリンガ19は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、フェライト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて形成され、内輪13の外径に圧入される円筒部19aと、この円筒部19aから径方向外方に延びる立板部19bとを有している。そして、立板部19bの外縁がシール板18に僅かな径方向すきまを介して対峙してラビリンスシールを構成している。
なお、ここでは、転動体15をボールとした複列アンギュラ玉軸受で構成された車輪用軸受3を例示したが、これに限らず転動体に円すいころを使用した複列円すいころ軸受であっても良い。また、第1世代構造の車輪用軸受装置を例示したが、これに限らず、ハブ輪1の小径段部1bに一対の内輪2が圧入された第2世代構造、あるいは、図示はしないが、ハブ輪の外周に直接内側転走面が形成された第3世代構造や、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材に直接内側転走面がそれぞれ形成された第4世代構造であっても良い。
ここで、ナックル2の鍔部2aの内径Dnは外方部材12の端部内径Doよりも大径に形成されている(Dn≧Do)。これにより、ナックル2の鍔部2aがスリンガ19に対峙することはなく、泥水やダスト等の異物が溜まるのを防止することができる。したがって、ナックル2や外方部材12が発錆するのを防止すると共に、この錆によって発生した隆起物がスリンガ19に接触することによってシール17が損傷するのを防止し、密封性を確保して軸受の耐久性を向上させることができる。
一方、図4に示すように、他型番との兼用等で、ナックル2の鍔部2bの内径Dnが外方部材12の端部内径Doよりも小径になる場合(Dn<Do)、スリンガ19の立板部19bの外径Dsよりも大径に設定するのが好ましい(Dn≧Ds)。この場合、ナックル2とシール17との間に環状の空間ができ、泥水等が滞留して外方部材12やナックル2が発生する恐れがあるため、ナックル2の鍔部2bの内径にドレーン22が形成されている。ここでは、ドレーン22は鍔部2bの鉛直方向最下部の位置に形成され、断面矩形状をなし、その溝底が外方部材12の端部内径Doと略同径となる軸溝で構成されている。なお、このドレーン22は、鍔部2bの鉛直方向下方に形成されていれば良く、複数個であっても、また、断面が円弧状であっても良い。これにより、ナックル2とシール17との間に形成される環状の空間に泥水等が浸入しても容易にこのドレーン22から効果的に排出することができる。
さらに、図5に示すように、ナックル2の鍔部2cと外側継手部材8の肩部9との間にラビリンスシール23を形成して密封性を向上させる場合、ナックル2の鍔部2cの内径Dnがスリンガ19の立板部19bの外径Dsよりも小径になる(Dn<Ds)、この場合、ナックル2の鍔部2cのスリンガ19と対峙する部位に環状凹所24が形成されるのが好ましい。この環状凹所24は、断面矩形状をなし、幅δが1〜10mmの範囲で、その溝底が外方部材12の端部内径Doと略同径となるように構成されている。これにより、シール17に泥水やダスト等の異物が浸入するのを抑制して密封性を向上させると共に、ナックル2の鍔部2cがスリンガ19に対峙することはなく、泥水やダスト等の異物が浸入してもそれが溜まるのを防止することができる。したがって、ナックル2や外方部材12が発錆するのを防止し、かつ、この錆によって発生した隆起物がスリンガ19に接触することによってシール17が損傷するのを防止して密封性を確保することができる。
図6は、本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。なお、この実施形態は、前述した実施形態と車輪用軸受の構成が異なり、その他同一部位、同一部品、あるいは同一の機能を有する部位には同じ符号を付けてその詳細な説明を省略する。
この実施形態は、第3世代と呼称される駆動輪用の車輪用軸受装置であって、内方部材25と外方部材26、および両部材25、26間に転動自在に収容された複列の転動体15、15とを備えている。内方部材25は、ハブ輪27と、このハブ輪27に所定のシメシロを介して圧入された内輪13とからなる。
ハブ輪27は、アウター側の端部に車輪取付フランジ4を一体に有し、外周に内側転走面27aと、この内側転走面27aから軸方向に延びる円筒状の小径段部27bが形成され、内周にトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)6が形成されている。
外方部材26は、外周にナックル28に取り付けるための車体取付フランジ26aを一体に有し、内周に複列の外側転走面12a、12aが一体に形成されている。そして、外方部材26と内方部材25との間に形成される環状空間の開口部にはシール29、17が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部からの雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
ハブ輪27はS53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中高炭素鋼で形成され、内側転走面27aをはじめ、アウター側のシール29が摺接してシールランド部となる車輪取付フランジ4のインナー側の基部4bから小径段部27bに亙り高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。また、外方部材26はS53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中高炭素鋼で形成され、複列の外側転走面12a、12aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
ここで、ナックル28は、外方部材26のインナー側の外径部に嵌合され、インナー側の内径部に鍔部28aが一体に形成されている。そして、車体取付フランジ26aのインナー側の側面26bに当接した状態で、固定ボルト30を介して外方部材26が位置決め固定されている。ナックル28の鍔部28aは外方部材26の端面に僅かな軸方向すきまを介して対峙され、ナックル28の剛性を高めている。この鍔部28aの内径Dnは外方部材26の端部内径Doよりも大径に形成されている(Dn≧Do)。これにより、ナックル28の鍔部28aがインナー側のシール17を構成するスリンガ19に対峙することはなく、泥水やダスト等の異物が溜まるのを防止することができる。したがって、ナックル28や外方部材26が発錆するのを防止すると共に、この錆によって発生した隆起物がスリンガ19に接触することによってシール17が損傷するのを防止し、密封性を確保して軸受の耐久性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、駆動輪用、従動輪用に拘わらず、第1乃至第4世代構造の車輪用軸受装置に適用することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。 図1の車輪用軸受を示す拡大図である。 図2の要部拡大図である。 (a)は、図3の他の実施形態を示す要部拡大図である。 (b)は、(a)の側面図である。 図3のさらに他の実施形態を示す要部拡大図である。 本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。 従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。 図7の車輪用軸受を示す拡大図である。 図8の要部拡大図である。
符号の説明
1、27・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
2、28・・・・・・・・・・・・・ナックル
2a、2b、2c、28a・・・・・鍔部
3・・・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
4・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
4a・・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
4b・・・・・・・・・・・・・・・基部
5、27b・・・・・・・・・・・・小径段部
6、10a・・・・・・・・・・・・セレーション
7・・・・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
8・・・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
9・・・・・・・・・・・・・・・・肩部
10・・・・・・・・・・・・・・・ステム部
10b・・・・・・・・・・・・・・ねじ部
11・・・・・・・・・・・・・・・固定ナット
12、26・・・・・・・・・・・・外方部材
12a・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
13・・・・・・・・・・・・・・・内輪
13a、27a・・・・・・・・・・内側転走面
14・・・・・・・・・・・・・・・保持器
15・・・・・・・・・・・・・・・ボール
16・・・・・・・・・・・・・・・止め輪
17、29・・・・・・・・・・・・シール
18・・・・・・・・・・・・・・・シール板
19・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
19a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
19b・・・・・・・・・・・・・・立板部
20・・・・・・・・・・・・・・・芯金
21・・・・・・・・・・・・・・・シール部材
21a・・・・・・・・・・・・・・サイドリップ
21b、21c・・・・・・・・・・ラジアルリップ
22・・・・・・・・・・・・・・・ドレーン
23・・・・・・・・・・・・・・・ラビリンスシール
24・・・・・・・・・・・・・・・環状凹所
25・・・・・・・・・・・・・・・内方部材
26a・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
26b・・・・・・・・・・・・・・インナー側の側面
30・・・・・・・・・・・・・・・固定ボルト
51・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
51a・・・・・・・・・・・・・・小径段部
51b、59・・・・・・・・・・・肩部
52・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
53・・・・・・・・・・・・・・・内輪
54・・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
55・・・・・・・・・・・・・・・ナックル
55a・・・・・・・・・・・・・・鍔部
56・・・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
57・・・・・・・・・・・・・・・止め輪
58・・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
60・・・・・・・・・・・・・・・固定ナット
61・・・・・・・・・・・・・・・保持器
62・・・・・・・・・・・・・・・ボール
63・・・・・・・・・・・・・・・シール
64・・・・・・・・・・・・・・・シール板
65・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
B・・・・・・・・・・・・・・・・ブレーキロータ
Dn・・・・・・・・・・・・・・・ナックルの鍔部の内径
Do・・・・・・・・・・・・・・・外方部材の端部内径
Ds・・・・・・・・・・・・・・・スリンガの外径
e・・・・・・・・・・・・・・・・軸方向のすきま
S・・・・・・・・・・・・・・・・環状の空間
W・・・・・・・・・・・・・・・・車輪
δ・・・・・・・・・・・・・・・・環状凹所の幅

Claims (6)

  1. 懸架装置を構成するナックルに内嵌され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、
    前記シールが、前記外方部材の端部に内嵌された芯金、およびこの芯金に一体に接合されたシール部材とからなる環状のシール板と、このシール板に対向配置され、前記内方部材の外径に圧入された円筒部、およびこの円筒部から径方向外方に延びる立板部とからなり、前記シール部材が摺接されたスリンガとを備え、前記立板部の外縁が前記シール板に僅かな径方向すきまを介して対峙し、ラビリンスシールが構成されると共に、前記ナックルの内径に鍔部が形成され、この鍔部のうち前記シールと対峙する部位の内径が、少なくとも前記スリンガの立板部の外径よりも大径に形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記鍔部の内径が前記外方部材の端部内径よりも大径に設定されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記鍔部の内径にドレーンが形成されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記ドレーンが前記鍔部の鉛直方向最下部の位置に形成され、断面矩形状をなし、その溝底が前記外方部材の端部内径と略同径となる軸溝で構成されている請求項3に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記鍔部の内径が等速自在継手の外側継手部材に僅かな径方向すきまを介して対峙し、ラビリンスシールが構成されると共に、前記鍔部のうち前記シールと対峙する部位に環状凹所が形成され、この環状凹所が断面矩形状をなし、その溝底が前記外方部材の端部内径と略同径となるように構成されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  6. 前記外方部材の外周に前記ナックルに取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、この車体取付フランジのインナー側の側面に当接した状態で、固定ボルトを介して前記外方部材が位置決め固定されている請求項1乃至5いずれかに記載の車輪用軸受装置。
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