JP2009052430A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Tatsuya Nakamoto
達也 中本
Atsushi Sakuta
作田  淳
Yoshiyuki Futagami
義幸 二上
Hirofumi Yoshida
裕文 吉田
Masao Nakano
雅夫 中野
Noboru Iida
飯田  登
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Abstract

【課題】固定スクロールと旋回スクロールの焼き付きを防止し、高い信頼性を確保したスクロール圧縮機を提供すること。
【解決手段】固定スクロール2と旋回スクロール3の軸方向隙間が狭くなった場合においても、ラップ厚さ方向に関して、ラップの中心線からラップ側面に向かうにつれてラップ高さを低くすることで固定スクロールと旋回スクロールの間へオイルの噛み込みを促進させ、かつ渦巻きラップのラップ高さがラップ厚さ方向に関して一定となる区間を設けることで、冷媒の漏れを減少させて、運転条件に関わらず高い潤滑性能を保ち、かつ高性能なスクロール圧縮機を得ることができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、冷暖房空調装置や冷蔵庫等の冷却装置、あるいはヒートポンプ式の給湯装置等に用いられるスクロール圧縮機に関するものである。
従来のこの種のスクロール圧縮機は、多数の構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。図6は、特許文献1に記載された従来のスクロール圧縮機を示すものである。図6において、スクロール圧縮機は、鏡板2bの一側面に立設された渦巻き状の壁体を有し、定位置に固定された固定スクロール2と、他の鏡板3aの一側面に立設された渦巻き状の他の壁体を有し、各上記壁体同士をかみ合わせて自転を阻止されつつ公転旋回運動可能に支持された旋回スクロール3から構成されている。渦巻き状の壁体の鏡板2bに対向するラップ上面は、全て平面で構成されている。
特開2006−266170号公報
しかしながら、前記従来の構成では、高速・高差圧運転時において、冷媒の吐出温度は非常に高くなり、高温の冷媒から固定スクロールや旋回スクロールへの熱伝導が発生し、これらの温度上昇に伴い、固定スクロールラップや旋回スクロールラップが熱膨張により変形し、旋回スクロールと固定スクロールの間の隙間が減少し、この間にオイルが入りにくくなり、油膜切れによる入力の増大や焼付きが発生する場合があった。
また、固定スクロールラップや旋回スクロールラップの熱膨張を考慮し、固定スクロールと旋回スクロールの軸方向隙間広く設定した場合、低速・低差圧運転時にこの隙間からの漏れが多くなり、圧縮機の性能が低下する場合があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、固定スクロールと旋回スクロールの軸方向隙間が狭くなった場合においても、ラップ厚さ方向に関して、ラップの中心線からラップ側面に向かうにつれてラップ高さを低くすることで固定スクロールと旋回スクロールの間へオイルの噛み込みを促進させ、かつ渦巻きラップのラップ高さがラップ厚さ方向に関して一定となる区間を設けることで冷媒の漏れを減少させて、運転条件に関わらず高い潤滑性能を保ち、かつ高性能なスクロール圧縮機の提供を目的とすることである。
前記従来の課題を解決するために、本発明のスクロール圧縮機は、ラップの中心線からラップ側面に向かうにつれてラップ高さが低くなる渦巻きラップの形状を有し、かつ、ラップ厚さ方向に関してラップ高さが、ラップ厚さ方向に関して一定となる区間を設けたものである。
これによって、吐出温度が高温になる高速・高差圧運転時において、旋回スクロールと固定スクロールの間の隙間が減少した場合でも、この隙間にオイルを入り易くし、油膜切れによる入力の増大や焼付きを防止し、かつ冷媒の漏れを減少させて、性能の低下を抑制できる。
本発明のスクロール圧縮機は、固定スクロールと旋回スクロールのラップ先端の油膜切れを抑制し、スクロール圧縮機の信頼性と性能を向上させることができる。
第1の発明は、ラップ厚さ方向に関して、ラップの中心線からラップ側面に向かうにつれてラップ高さが低くなる渦巻きラップを設け、かつ渦巻きラップのラップ高さがラップ厚さ方向に関して一定となる区間を設けることで、吐出温度が高温になる高速・高差圧運転時において、旋回スクロールと固定スクロールの軸方向間の隙間が減少した場合においても、この隙間にオイルを入り易くし、油膜切れによる入力の増大や焼付きを防止し、かつ冷媒の漏れを減少させて、性能の低下を抑制できる。
第2の発明は、渦巻きラップのラップ高さが一定となる区間を、ラップ厚さ方向に関してこの中心線から、鏡板の外周側へオフセットさせることで、鏡板外周側の圧縮室より高圧・高温となる鏡板中心側のスクロールラップ部が熱膨張した場合においてもこの部分によりオイルを入り易くし、油膜切れによる入力の増大や焼付きを防止し、かつ冷媒の漏れを減少させて、性能の低下を抑制できる。
第3の発明は、渦巻きラップのラップ厚さ方向に関して、ラップ高さが一定となる区間から、ラップ側面へ向けて曲率が小さくなる曲線で結んだラップ上面形状とすることで、吐出温度が高温になる高速・高差圧運転時において、旋回スクロールと固定スクロールの軸方向間の隙間が減少した場合においても、この隙間に効果的にオイルを入り易くし、油膜切れによる入力の増大や焼付きを防止し、かつ冷媒の漏れを減少させて、性能の低下を抑制できる。
第4の発明は、渦巻きラップのラップ厚さ方向に関して、ラップ厚さの10%の範囲をラップ側面から除いた区間において、ラップ高さの差がラップ厚さの0.05%〜1.00%とすることで、旋回スクロールと固定スクロールの軸方向間の隙間が減少した場合においても、この隙間にオイルを入り易くし、油膜切れによる入力の増大や焼付きの防止と、冷媒の漏れの減少を両立でき、効果的に信頼性の向上と性能の低下を抑制できる。
第5の発明は、圧縮機の冷媒を二酸化炭素とした場合でも、吐出温度が高温になる高速・高差圧運転時に熱膨張により旋回スクロールと固定スクロールの軸方向間の隙間が減少した場合においても、この隙間にオイルを入り易くし、油膜切れによる入力の増大や焼付きを防止し、かつ冷媒の漏れを減少させて、性能の低下を抑制できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わるスクロール圧縮機の縦断面図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係わるスクロール圧縮機のラップ部の縦断面図である。図のように構成されたスクロール圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
図1に示すように、本発明のスクロール圧縮機は、密閉容器1内に溶接や焼き嵌めなどして固定したクランク軸4の主軸受部材11と、この主軸受部材11上にボルト止めした固定スクロール2との間に、固定スクロール2と噛み合う旋回スクロール3を挟み込んでスクロール式の圧縮機構2fを構成し、旋回スクロール3と主軸受部材11との間に旋回スクロール3の自転を防止して円軌道運動するように案内するオルダムリングなどによる自転規制機構14を設けて、クランク軸4の上端にある偏心軸部4aにて旋回スクロール3を偏心駆動することにより旋回スクロール3を円軌道運動させ、これにより固定スクロール2と旋回スクロール3との間に形成している圧縮室15が外周側から中央部に移動しながら小さくなるのを利用して、密閉容器1外に通じた吸入パイプ16および固定スクロ
ール2の外周部の吸入口17から冷媒ガスを吸入して圧縮していき、所定圧以上になった冷媒ガスは固定スクロール2の中央部の吐出ポート2dから吐出バルブ19を押し開いてマフラー21内に吐出させることを繰り返す。
旋回スクロール3の背面部分には、主軸受部材11に配置されている摺動仕切り環78があり、旋回運動を行いながら摺動仕切り環78により、摺動仕切り環78の内側領域である高圧部と、外側領域である高圧と低圧の中間圧に設定された背圧空間に仕切られている。この背面の圧力付加により旋回スクロール3は固定スクロール2に安定的に押しつけられ、漏れを低減するとともに安定して円軌道運動を行うことができる。
さらに、固定スクロール2には、旋回スクロール3の背面の背圧空間29の圧力を制御する背圧調整弁9を備えている。
マフラー21内に吐出された冷媒は、吐出流路A22を通り、ロータ貫通孔23を通過した後反転し、ステータ貫通孔24から吐出流路B27を通過し、メカ上部空間25に入り、吐出管2eから圧縮機の外へ吐出される。
図2に示すように、ラップの形状は、ラップ厚さ方向に関して、ラップ中心線34からラップ側面に向かうにつれてラップ高さが低くなる斜面部33を設け、かつ渦巻きラップのラップ高さがラップ厚さ方向に関して一定となる平坦部32を設けている。
吐出温度が高温になる高速・高差圧運転時に、固定スクロール2や旋回スクロール3の熱膨張により、旋回スクロール3と固定スクロール2の軸方向間の隙間が減少した場合においても、斜面部33からラップ先端にオイルを入り易くし、潤滑不良による入力の増大や焼付きを防止することができる。
また、平坦部32で半径方向の漏れ通路のシール長を確保することで、冷媒の漏れを減少させて、性能の低下を抑制できる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態におけるスクロール圧縮機のラップ部の縦断面図である。
本実施の形態においては、渦巻きラップのラップ高さが一定となる平坦部33を、ラップ厚さ方向に関してラップ厚さ方向の中心線34から、鏡板の外周側である中心線35へオフセットさせている。
実施の形態2におけるスクロール圧縮機の動作は、実施の形態1と同様である。
固定スクロール2と旋回スクロール3との間に形成している圧縮室15が外周側から中央部に移動しながら小さくなるため、鏡板外周側の低圧圧縮室42より鏡板中心部の高圧圧縮室41が高圧・高温となり、鏡板中心側のスクロールラップ部が熱膨張しやすくなるため、高圧圧縮室41側の斜面部33を大きくしている。
これにより、熱膨張が発生した場合においても、大きくした斜面部33よりオイルを入り易くし、油膜切れによる入力の増大や焼付きを防止し、かつ冷媒の漏れを減少させて、性能の低下を抑制できる。
(実施の形態3)
図4は、本発明の第3の実施の形態におけるスクロール圧縮機のラップ部の縦断面図で
ある。
本実施の形態においては、渦巻きラップのラップ厚さ方向に関して、ラップ高さが一定となる平坦部33から、曲率大部36、曲率小部37を経てラップ側面へ繋がるラップ上面形状としている。
実施の形態3におけるスクロール圧縮機の動作は、実施の形態1と同様である。
これにより、ラップ上面にエッジは無くなるため、エッジによって油膜が掻き取られず、油膜を形成しやすくなり、固定スクロール2と旋回スクロール3の間の焼き付きが防止できる。
さらに、固定スクロール2と旋回スクロール3との間に形成している圧縮室15が外周側から中央部に移動しながら小さくなるため、鏡板外周側の低圧圧縮室42より鏡板中心部の高圧圧縮室41が高圧・高温となり、鏡板中心側のスクロールラップ部が熱膨張しやすくなるため、高圧圧縮室41側の曲率大部36および曲率小部37を大きくしている。
これにより、熱膨張が発生した場合においても、曲率小部37より効果的にオイルを入り易くし、油膜切れによる入力の増大や焼付きを防止し、かつ冷媒の漏れを減少させて、性能の低下を抑制できる。
また、低圧圧縮室42側のラップ上面においても、渦巻きラップのラップ厚さ方向に関して、ラップ高さが一定となる平坦部から、曲率大部、曲率小部を経てラップ側面へ繋げる形状としても良い。
(実施の形態4)
図5は、本発明の第4の実施の形態におけるスクロール圧縮機のラップ部の縦断面図である。
本実施の形態においては、渦巻きラップのラップ厚さ方向に関して、ラップ幅38の10%の範囲のラップ幅39をラップ側面から除いた区間において、ラップ高さ40の差がラップ幅38の0.05%〜1.00%としている。
実施の形態4におけるスクロール圧縮機の動作は、実施の形態1と同様である。
これにより、旋回スクロール3と固定スクロール2の軸方向間の隙間が減少した場合においても、この隙間にオイルを入り易くし、油膜切れによる入力の増大や焼付きの防止と、スクロールラップの半径方向の漏れ通路断面積を確保することで冷媒の漏れの減少を両立でき、効果的に信頼性の向上と性能の低下を抑制できる。
例えば、ラップ幅38を3.0mmとした場合、ラップ高さの差40は1.5μm〜30μmとなる。
(実施の形態5)
本実施の形態においては、冷媒を二酸化炭素としている。
実施の形態5におけるスクロール圧縮機の動作は、実施の形態1と同様である。
二酸化炭素を冷凍サイクルに使用した場合、高い動作圧になる。よって、実施の形態1から実施の形態4までの構成を採ることで、圧力歪みによる旋回スクロール3と固定スク
ロール2の軸方向間の隙間が減少した場合においても、この隙間にオイルを入り易くし、油膜切れによる入力の増大や焼付きの防止と、スクロールラップの半径方向の漏れ通路断面積を確保することで冷媒の漏れの減少を両立でき、効果的に信頼性の向上と性能の低下を抑制できる。
以上のように、本発明にかかるスクロール圧縮機は、固定スクロールと旋回スクロールの焼き付きを防止することができ、真空ポンプ、スクロール型膨張機等のスクロール流体機械の用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の縦断面図 本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機のラップ部の縦断面図 本発明の実施の形態2におけるスクロール圧縮機のラップ部の縦断面図 本発明の実施の形態3におけるスクロール圧縮機のラップ部の縦断面図 本発明の実施の形態4におけるスクロール圧縮機のラップ部の縦断面図 従来のスクロール圧縮機の断面図
符号の説明
1 密閉容器
2 固定スクロール
2b 固定スクロール鏡板
2d 吐出ポート
2e 吐出管
2f スクロール圧縮機構部
3 旋回スクロール
3a 旋回スクロール鏡板
4 クランク軸
4a 偏心部
9 背圧調整弁
11 主軸受部材
14 自転規制機構
15 圧縮室
16 吸入パイプ
17 吸入口
19 吐出バルブ
21 マフラー
22 吸入流路A
23 ロータ貫通孔
24 ステータ貫通孔
25 メカ上部空間
27 吐出流路B
29 背圧空間
30 高圧部
31 ラップ部
32 平坦部
33 斜面部
34 ラップ中心線
35 オフセットさせた中心線
36 曲率大部
37 曲率小部
38 ラップ幅
39 側面側のラップ幅
40 ラップ高さの差
41 高圧圧縮室
42 低圧圧縮室
78 摺動仕切り環

Claims (5)

  1. ラップ厚さ方向に関して、ラップの中心線からラップ側面に向かうにつれてラップ高さが低くなる渦巻きラップが鏡板から立ち上がる固定スクロールと旋回スクロールを噛み合せて、前記旋回スクロールを自転の規制のもとに円軌道に沿って旋回させたときに容積を変えながら移動することで、圧縮室を形成し、吸入された冷媒が前記圧縮室で圧縮されるスクロール圧縮機において、前記渦巻きラップのラップ高さが、ラップ厚さ方向に関して一定となる区間を設けたスクロール圧縮機。
  2. 渦巻きラップのラップ高さが一定となる区間を、ラップ厚さ方向に関して、ラップの中心線から鏡板の外周側へオフセットさせた請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 渦巻きラップのラップ厚さ方向に関して、ラップ高さが一定となる区間から、ラップ側面へ向けて曲率が大きくなる曲線で結んだ請求項1または請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 渦巻きラップのラップ厚さ方向に関して、ラップ厚さの10%の範囲をラップ側面から除いた区間において、ラップ高さの差がラップ厚さの0.05%〜1.00%である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  5. 冷媒を二酸化炭素としてなる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
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