JP2009052099A - 成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラズマCVDによって、高い成膜レートで、かつ、膜厚ムラの無い、高品質な膜を成膜できる成膜装置を提供する。
【解決手段】長尺な基板を逆方向に折り返して搬送する搬送経路を有すると共に、折り返し前後の基板を挟むように電極を配置して、かつ、折り返した基板の間に反応ガスを導入し、基板の間でプラズマを生成して、プラズマCVDによって基板に成膜を行なう成膜装置において、折り返し前後の基板それぞれに基板の搬送方向と同じ方向に反応ガスを導入することによって上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマCVDによって基板に成膜する成膜装置に関し、詳しくは、長尺な基板に、高い成膜レートで連続的に成膜を行なうことができる成膜装置に関する。
光学膜の製造や磁気記録媒体の製造等、各種の薄膜形成の用途にプラズマCVDによる成膜が利用されている。
高い生産性でプラズマCVDによる成膜を行なう方法として、長尺(ウェブ状)な基板に連続的に成膜を行なうことが知られている。長尺な基板へのプラズマCVDによる成膜装置は、一般的に、基板を所定位置に位置(保持)しつつ長手方向に搬送するドラムと、このドラムに対面する高周波電極を用い、所定領域に基板を巻き掛けたドラムを回転して、ドラムと高周波電極との間に高周波電圧を印加すると共に、反応ガスを導入することにより、基板を長手方向に搬送しつつ、プラズマCVDによって連続的に成膜を行なう。
また、このようなドラムを用いる成膜装置よりも、より良好な効率で、高い成膜レートでプラズマCVDによる成膜を行なうことができる方法として、特許文献1等に示されるような、基板を折り返して逆方向に搬送し、折り返して搬送する基板の間で成膜を行なう方法が知られている。
図4に、その一例を示す。
この成膜装置100は、長尺な基板Zを巻回した基板ロール110が装填される供給室102、基板ZにプラズマCVDによる成膜を行なう成膜室104、および、成膜済の基板Zを巻き取る巻取りロール112が装填される巻取り室106からなるものである。
成膜装置100においては、基板ロール110から成膜室104を経て巻取りロール112に至る所定の経路で基板Zを通した状態で、基板ロール110からの基板Zの送り出し、基板Zの搬送、巻取りロール112での基板Zの巻取りを同期して行うことにより、成膜室104において、基板Zを長手方向に搬送しつつ連続的にプラズマCVDによる成膜を行なう。
成膜室104において、供給室102から搬送された基板Zは、ローラ114によって上方の折り返しローラに向けて搬送され、折り返しローラ116によって搬送経路を逆方向に折り返されて下方のローラ118に向けて搬送され、ローラ118に案内されて巻取り室106に送られる。なお、折り返しローラ116の下側(ローラの後述するプラズマと対峙する側)、ならびに、ローラ114および118の上には、ローラへの膜の付着を防止するための防着板128が配置される。
成膜室104には、折り返しローラ116によって折り返される前後の基板Zを挟んで対面するように、高周波電源120およびマッチングボックス122に接続される電極124が配置されている。また、折り返し搬送される基板Zの間には、図示しないプラズマ流発生手段によって放電プラズマ流(シートプラズマ)Pが形成される。さらに、放電プラズマ流Pが形成される領域の下部にガス排出口130が配置され、折り返し搬送される基板Zの間に、放電プラズマ流Pの下方から反応ガスを供給する。
従って、折り返しローラ116によって折り返して搬送される基板Zの間では、反応ガスが励起/解離して、基板Zの折り返し搬送の内面側に、プラズマCVDによって成膜される。
図4より明らかなように、成膜室104では、折り返しローラ116に向かって上方に搬送されている途中で、プラズマに接触して基板ZにプラズマCVDによる成膜が行なわれ、折り返しローラ116によって折り返されて下方に搬送される途中でも、同じプラズマに接触して、再度、基板ZにプラズマCVDによる成膜が行なわれる。
すなわち、この成膜装置100では、長尺な基板Zを折り返し搬送して、基板Zの間でプラズマを生成することにより、基板Zに対して同じプラズマで2回の成膜を行なうことができ、すなわち、高い成膜レートでプラズマCVDによる成膜が可能である。
また、プラズマCVDではなく、マイクロ波蒸着であるが、特許文献2にも、同様に、基板を折り返し搬送して、折り返し前後の基板の間にプロセスガスを導入して、折り返した基板の間で成膜を行なうことにより、基板に対して2回の成膜を行なって、高レートでの成膜を可能にした装置が開示されている。
特開平8−63746号公報 特表平8−509264号公報
このように、折り返しローラ等によって基板を逆方向に折り返す搬送経路を有し、かつ、折り返す前後の基板の間でプラズマを生成するプラズマCVD装置によれば、基板を2回、同じプラズマに対面させて、2回の成膜を行なうことができるので、ドラムを用いる成膜装置に比して、効率よく、高レートの成膜を行なうことが可能である。
ところで、このような基板の折り返し搬送を行なって、折り返し前後の基板間で成膜を行なう装置では、特許文献1や特許文献2に示されるように、反応ガスは、1カ所から1方向に向けて導入(噴射)される。
ところが、前述のように、基板は搬送されており、しかも、折り返し前後で搬送方向は逆方向となる。そのため、基板の搬送によって、基板面の近傍でガス流が乱れ、甚だしい場合には渦を巻いたような状態となってしまう。
このガス流の乱れによって、局所的に成膜が不安定となり、その結果、膜厚ムラが発生してしまう場合が有る。
特に、基板を折り返し搬送する成膜装置では、基板に対して同じプラズマで2回の成膜を行なうことができるので高レートの成膜が可能であるために、反応ガスの導入量も多く、ガス流の乱れに起因する膜厚ムラが生じ易く、また、高レート化を目的としてガス導入量を増加するにしたがって、この傾向が高くなる。
さらに、生産効率を向上するためには、基板の搬送速度を向上することが有効であるが、基板の搬送速度を向上するほど、生産効率は向上する反面、ガス流の乱れが生じ易く、膜厚ムラの問題が大きくなる。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、長尺な基板(ウェブ状の基板)を逆方向に折り返して搬送する搬送経路を有すると共に、折り返し前後の基板を挟むように電極を配置して、かつ、折り返した基板の間に反応ガスを導入し、基板の間でプラズマを生成して、プラズマCVDによって基板に成膜を行なう成膜装置において、膜厚ムラのない膜を効率よく、かつ、高レートで成膜することができる成膜装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、搬送方向を逆方向に折り返す所定の搬送経路で基板を搬送する搬送手段と、基板の搬送経路を逆方向に折り返す折返し手段と、前記折り返し手段による折り返し前後の基板を、外側から挟むように前記基板に対峙して配置される一対の電極と、前記折り返し手段による折り返し前後の基板の間に、前記折り返し手段に向かう基板の搬送方向に向けて反応ガスを導入する第1のガス導入部と、前記折り返し手段による折り返し前後の基板の間に、前記折り返し手段によって折り返された後の基板の搬送方向に向けて反応ガスを導入する第2のガス導入部とを有し、かつ、前記第1のガス導入部によるガス流が、前記第2のガス導入部によるガス流よりも前記折り返し手段に向かう基板に近接し、さらに、前記第2のガス導入部によるガス流が、前記第1のガス導入部によるガス流よりも前記折り返し手段によって折り返された後の基板に近接するように、前記第1のガス導入部および前記第2のガス導入部が反応ガスを導入する成膜装置を提供する。
また、前記折り返し手段による折り返し前後の基板の間に、折り返し前後の基板を分けるように前記基板に対面して配置される仕切板を有し、前記第1のガス導入部は、前記折り返し手段に向かう基板と前記仕切板との間に反応ガスを導入し、前記第2のガス導入部は、前記折り返し手段によって折り返された後の基板と前記仕切板との間に反応ガスを導入することが好ましい。
前記第1のガス導入部は、前記折り返し手段に向かう基板の搬送方向に対して、この基板が対峙する電極よりも上流から前記反応ガスを導入し、前記第2のガス導入部は、前記折り返し手段によって折り返された後の基板の搬送方向に対して、この基板が対峙する電極よりも上流から前記反応ガスを導入することが好ましい。
また、前記第1のガス導入部から導入される反応ガスの流量と、前記第2のガス導入部から導入される反応ガスの流量とが同一であることが好ましい。
さらに、前記仕切板が電極として作用することが好ましい。
また、前記仕切板が接地され、前記1対の電極に高周波電源が接続される
ことが好ましい。
また、前記1対の電極が接地され、前記仕切板が高周波電源に接続されることも好ましい。
さらに、前記1対の電極および前記仕切板が、高周波電源に接続されることもまた好ましい。
本発明の成膜装置は、長尺な基板(ウェブ状の基板)を逆方向に折り返して搬送する搬送経路を有すると共に、折り返し前後の基板を挟むように電極を配置して、かつ、折り返した基板の間に反応ガスを導入し、基板の間でプラズマを生成して、プラズマCVDによって基板に成膜を行なう装置である。
本発明は、このような成膜装置において、折り返しローラに向かう基板に対して、その基板の搬送方向に向かって反応ガスを導入するガス導入部と、折り返しローラで折り返された後の基板に対して、その基板の搬送方向に向かって反応ガスを導入するガス導入部とを有する。
従来の基板を折り返し搬送して、折り返した基板の間でプラズマを生成して基板にプラズマCVDによる成膜を行なう成膜装置では、特許文献1等に開示されるように、プラズマ生成領域の下端部近傍(あるいは上端部近傍)の1箇所から1方向に向け、基板の間に反応ガスを導入している。下端部近傍から導入された反応ガスは上端部に向かって拡散し、成膜に利用される。
ところが、前述のように、基板は搬送されており、しかも、折り返し前後で搬送方向は逆方向となる。そのため、基板の搬送によって、基板面の近傍でガス流が乱れ、甚だしい場合には、渦を巻いたような状態となってしまう。
このガス流の乱れによって、局所的に成膜が不安定となり、その結果、膜厚ムラが発生してしまう場合が有る。
これに対して、前記構成を有する本発明の成膜装置によれば、折り返しローラに向かって上方に搬送されている基板と、折り返しローラによって折り返された後の基板のそれぞれに対して反応ガスを基板の搬送方向に向けて導入するので、基板表面で反応ガスの流れが乱れることを防止し、成膜した膜に膜厚ムラが生じることを防止できる。
従って、本発明の成膜装置によれば、基板を折り返し搬送することによる成膜レートの向上効果に加え、反応ガス流の乱れに起因する膜厚ムラも防止して、プラズマCVDによって、膜厚ムラの無い高品質な膜を、効率よく高レートで成膜することが可能になる。
以下、本発明の成膜装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明の成膜装置の一例の概念図を示す。
図1に示す成膜装置10は、磁気記録媒体の製造、光学膜の製造、ガスバリアフィルムの製造等に利用される、長尺な基板Z(ウェブ状の基板Z)に連続で成膜を行なう装置であって、基本的に、基板Zを供給する供給室12と、成膜部14と、巻取り室16とを有して構成される。
成膜装置10は、供給室12から成膜部14を経て巻取り室16に至る所定の経路で基板Zを通して、供給室12からの基板Zの供給、および、巻取り室16における成膜済の基板Zの巻取りを連続的に行いながら、成膜部14において、基板Zを搬送(長手方向に搬送)しつつ、基板Zに連続的に成膜を行なう。
供給室12は、長尺な基板Zを供給する部位であり、基板ロール20と、ガイドローラ22および24を有する。
基板ロール20は、長尺な基板Zを巻回してなるものであり、図示しない駆動源によって基板を巻き戻す方向(図示例においては、時計回り)に回転されて、基板Zを連続的に送り出す。
ガイドローラ22および24は基板Zを所定の搬送経路で成膜部14に案内する、公知のガイドローラである。成膜装置10において、ガイドローラ22および24は、駆動ローラでも従動ローラでもよい。また、ガイドローラ22および24は、少なくとも一方が、基板Zの張力を調整するテンションローラとして作用するローラであってもよい。
本発明の成膜装置において、成膜をする基板Zには、特に限定は無く、PETフィルム等の各種の樹脂フィルム、アルミニウムシートなどの各種金属シート等、装置構成や装置のサイズ等に応じて、逆方向への折り返し搬送が可能な可撓性を有するものであれば、プラズマCVDによる成膜が可能な各種の基板が、全て利用可能である。
他方、巻取り室16は、成膜部14(成膜室36)において表面に成膜(薄膜を形成)された基板Zを巻き取る部位であり、巻取りロール26と、ガイドローラ28および30を有する。
巻取りロール26は、成膜された基板Zをロール状に巻き取るものであって、図示しない駆動源によって基板Zを巻き取る方向(図示例においては、時計回り)に回転されて、成膜済の基板Zを巻き取る。
ガイドローラ28および30は、先のガイドローラ22および24と同様、成膜部14から搬送された基板Zを、所定の搬送経路で巻取りロール26に案内する、公知のガイドローラである。なお、先のガイドローラ22および24と同様、ガイドローラ28および30も、駆動ローラでも従動ローラでもよく、また、少なくとも一方がテンションローラとして作用してもよい。
前述のように、成膜装置10は、供給室12からの基板Zの供給(すなわち基板ロール20からの基板Zの送り出し)、および、巻取り室16における成膜済の基板Zの巻取り(すなわち巻取りロール26での基板Zの巻取り)を連続的に行いながら、成膜部14において、基板Zを長手方向に搬送しつつ、基板ZにプラズマCVDによって連続的に成膜を行なう。
従って、基板ロール20および巻取りロール26は、線速が等しくなるように駆動源によって回転される。あるいは、基板ロール20には駆動源を設けずに従動として、基板ロール20から基板Zを引き出すような構成としてもよい。
なお、本発明において、供給室12に装填する基板Zの長さ(基板ロール20に巻回される基板Zの長さ)には、特に限定はなく、生産する製品に応じた長さの基板Zを用いればよいのはもちろんである。
図示例の成膜装置10においては、供給室12および巻取り室16には、真空ポンプ等の真空排気手段が設けられていない(真空排気手段に接続されていない)。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、必要に応じて、供給室12および巻取り室16にも、真空排気手段を設け、両室内を所定の真空度に保つようにしてもよい。
図示例の成膜装置10は、基板Zの搬送経路としては、基板Zに成膜を行なう成膜室36には後述する搬送室34が隣接し、供給室12および巻取り室16は、この搬送室34に隣接している。成膜室36と搬送室34は、基板Zを挿通するためのスリット状の開口を有するものの、互いに独立した空間であり、かつ、成膜中は、互いに独立して所定の真空度に保たれている。そのため、図示例の成膜装置10においては、供給室12および巻取り室16には、真空排気手段は不要である。
しかしながら、搬送室34のような部屋を有さず、成膜室36と供給室12および巻取り室16(あるいは、その一方)と、成膜室36とが、基板Zの搬送方向に隣接する場合には、供給室12および巻取り室16に、真空排気手段を設けるのが好ましい。
成膜部14は、基板Zを搬送しつつ、基板Zの表面にプラズマCVDによって連続的に成膜を行なう部位で、搬送室34と、成膜室36と、折り返し室38とを有する。成膜部14は、例えばステンレスなど、各種の真空チャンバで利用されている材料を用いて構成すればよい。
成膜部14において、成膜室36には、基板Zの搬送方向に搬送室34と折り返し室38とが隣接しており、また、成膜室36は、搬送室34と折り返し室38との間に挟まれている。ただし、本発明の成膜装置は、これに限定はされず、成膜室36と、搬送室34および/または折り返し室38との間に、何らかの部屋が有ってもよい。
搬送室34は、供給室12から搬送された基板Zを成膜室36に送り、かつ、成膜室36から搬送された成膜済の基板Zを巻取り室16に送る部位であり、基板Zを所定の搬送経路で搬送するための2本のローラ40および42を有する。
折り返し室38は、成膜室36から搬送された基板Zを、逆方向に折り返して、再度、成膜室36に搬送する部位であり、基板Zの搬送経路を逆方向に折り返すための折り返しローラ46を有する。
搬送室34と成膜室36との間(その隔壁)、および、成膜室36と折り返し室38との間(その隔壁)には、基板Zが通過するためのスリット状の開口が形成される。
すなわち、2本のローラ40および42、ならびに、折り返しローラ46は、成膜室36の1対の電極50および52の間を通る所定の搬送経路で、基板Zを逆方向に折り返して搬送する(基板Zを180°折り返して搬送する)、搬送手段を構成する。
また、図示例においては、折り返しローラ46による折り返し前後の基板Zの搬送経路が平行になるように、ローラ40および42、ならびに、折り返しローラ46が配置される。
成膜装置10において、搬送室34のローラ40は、供給室12(ガイドローラ24)から搬送された基板Zを上方の折り返しローラ46に向けて搬送して、成膜室36の電極50および52の間を通る所定の搬送経路で折り返し室38に搬送する。
折り返し室38では、折り返しローラ46が、成膜室36から搬送された基板Zの搬送経路を逆方向に折り返して、下方のローラ42に向けて、再度、成膜室36に搬送して成膜室36の電極50および52の間を通る所定の搬送経路で搬送室34に搬送する。
搬送室34においては、成膜室36から搬送された基板Zを、ローラ42によって横方向に搬送して、巻取り室16(ガイドローラ30)に搬送する。
本発明の成膜装置10において、折り返しローラ46によって折り返される前後の基板Zの搬送経路は、互いに平行であるのが好ましいが、本発明はこれに限定はされない。例えば、基板Zの搬送経路は、折り返し前後の基板Zの間隔が折り返しローラ46に向かって次第に狭くなる搬送経路や、逆に、折り返し前後の基板Zの間隔が折り返しローラ46に向かって次第に広くなる搬送経路でもよい。
また、基板Zの折り返しは、図示例のように1本の折り返しローラ46で行なうのに限定はされず、基板Zの搬送経路を逆方向に折り返すことができれば、各種のシート状物の搬送経路の折り返し手段が利用可能であり、例えば、複数本のローラで基板の搬送経路を逆方向に折り返すようにしてもよい。
さらに、搬送手段は、ローラのみで構成するのに限定はされず、公知の長尺なシート状物の搬送部材が、各種利用可能であり、例えば、基板Zの搬送経路を規制するガイド部材や、基板Zを挟持搬送する搬送ローラ対等を有してもよい。
また、基板Zの搬送速度についても、特に限定はなく、目的とする生産性等に応じて、適宜設定すればよい。
搬送室34および折り返し室38は、共に、バルブ60を有する排気ライン62によって、真空排気手段64に接続されている。真空排気手段64は、主に搬送室34および折り返し室38を排気して、両部屋を成膜室36よりも低い所定の真空度に保つ。
なお、本発明において、真空排気手段64には、特に限定はなく、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプなどの真空ポンプや、クライオコイル等の補助手段、さらには、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、プラズマCVD装置に用いられている各種のものが利用可能である。
また、図示例の成膜装置10では、搬送室34および折り返し室38を1つの真空ポンプで排気しているが、本発明は、これに限定はされず、搬送室34と折り返し室38とに独立して排気手段を設け、個々に所定の真空度に保つようにしてもよい。
なお、図示例の成膜装置10においては、折り返しを有する所定の搬送経路で基板Zを搬送するための搬送手段を構成する、折り返しローラ46、ならびに、ローラ40および42への膜の付着/堆積を好適に防止できる好ましい構成として、折り返し室38および搬送室34を設け、折り返しローラ46と、ローラ40およびローラ42を、成膜室36とは別の空間(部屋)に配置し、かつ、より好ましい態様として、搬送室34および折り返し室38の真空度を、成膜室36よりも低い真空度としている。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、折り返しローラ46と、ローラ40およびローラ42を成膜室(プラズマCVDによる成膜空間)に配置してもよく、さらに、この構成において、特許文献1に開示されるように、折り返しローラ46や、ローラ40およびローラ42への膜の付着/堆積を防止するために、プラズマや反応ガスと各ローラとを隔てる(直接的な対面を防止する)ための防着板を設けてもよい。
成膜室36は、プラズマCVDによって、基板Zの表面に成膜を行なうものであって、1対の電極50および52と、ガス導入部54aおよび54bと、仕切り板56とを有して構成される。
電極50は、成膜室36から折り返し室38に向かう基板Zに平行に対面するように配置された平板状の電極であり、高周波電源58aに接続されている。他方、前記電極50と対を成す電極52は、成膜室36から搬送室34に向かう基板Zに平行に対面するように配置された同じく平板状の電極であり、接地されている。
前述のように、基板Zは、折り返しローラ46による折り返し前後で、電極50および52の間を通る所定の搬送経路で互いに平行に搬送される。従って、電極50および52は、折り返し搬送される前後の基板Zを外側から挟むように、離間して、互いに平行に対面して配置される。
電極50および52と、基板Zとの距離は、形成する膜や成膜レート等に応じて、適宜、設定すればよい。また、電極50および52は、固定して配置されるものでも、互いの間隔(すなわち、基板Zとの距離)を調整可能であってもよい。
さらに、電極50および52は、図示例のように1枚の板状の電極にも限定はされず、例えば、前記特許文献1のように、基板Zの搬送方向(以下、搬送方向とする)に分割した複数の電極を配列した構成、搬送方向もしくは搬送方向と直交する方向(図1紙面に垂直方向 以下、幅方向とする)に長尺な棒状(板状)の電極、搬送方向(幅方向)に延在する棒状の電極を幅方向(搬送方向)に複数、配列してなる構成等、プラズマCVDによる成膜が可能なものであれば、各種の電極が利用可能である。
高周波電源58aも、プラズマCVDによる成膜に利用される公知の高周波電源である。本発明において、電源も、プラズマCVDに利用される各種のものが利用可能である。また、高周波電源58aの最大出力等にも、特に限定はなく、形成する膜や成膜レート等に応じて、適宜、選択/設定すればよい。
また、高周波電源58aと電極50とは、必要に応じて、インピーダンス整合をとるためのマッチングボックスを介して接続されてもよい。
成膜室36において、折り返し前後の基板Zの間には、好ましい態様として、電極50および52を分けるように、基板Z(すなわち電極50および52)に平行な仕切板56が配置される。また、成膜室36には、2つのガス導入部、すなわち、第1ガス導入部54aおよび第2ガス導入部54b(以下、両者をまとめてガス導入部54ともいう)が配置される。
図示例において、第1ガス導入部54aは、折り返しローラ46に向かう基板Z(後述する1回目の成膜に供される基板Z)と仕切板56との間に、折り返しローラ46に向かう基板Zの搬送方向に向かって反応ガスを導入(排出)する。他方、第2ガス導入部54bは、折り返しローラ46で折り返された後のローラ42に向かう基板Zの搬送方向に向かって反応ガスを導入(排出)する。
成膜部14においては、高周波電界は、電極50および52の間に印加されており、この領域でプラズマが生成され、プラズマによって励起された反応ガスによって成膜が行なわれる。また、前述のように、反応ガスは、折り返し前後の基板と仕切板56との間に導入される。従って、図示例では、電極50と仕切り板56の間および電極52と仕切り板56の間において、図中点線で示すようにプラズマが生成され、このプラズマに基板Zが接することで成膜が行なわれる。つまり、基板Zは、搬送室34から折り返し室38に向かって成膜室36を通過する際に、電極50および仕切り板56の間で1回目の成膜が行なわれ、折り返しローラ46によって折り返され、折り返し室38から搬送室34に向かって成膜室36を通過する際に、電極52および仕切り板56の間で2回目の成膜が行なわれる。
すなわち、成膜部14において、1つの成膜室36(成膜空間)で、基板に対して2回の成膜を行なうことができ、高効率かつ高レートの成膜を行なうことができる。
従来の、基板Zを折り返し搬送して、折り返した基板Zの間でプラズマCVDによって成膜を行なう成膜装置では、特許文献1等に示されるように、反応ガスは、1カ所から1方向に向けて導入される。しかしながら、基板Zは搬送されており、しかも、折り返し前後で搬送方向は逆方向となる。そのため、基板の搬送によって、基板面の近傍でガス流が乱れ、甚だしい場合には、渦を巻いたような状態となってしまう。
このような、ガス流の乱れによって、局所的に成膜は不安定となり、その結果、膜厚ムラが発生してしまう場合がある。
これに対し、図示例の成膜部36は、第1および第2の2つのガス導入部54、ならびに折り返し前後の基板Zを隔てる仕切板56を有し、第1ガス導入部54aは、1回目の成膜に供される基板Zに対応して、この基板Zと仕切板56との間に、この基板Zの搬送方向に向かって反応ガスを導入する。他方、第2ガス導入部54bは、2回目の成膜に供される基板Zに対応して、この基板Zと仕切板56との間に、この基板Zの搬送方向に向かって反応ガスを導入する。
そのため、本発明の成膜装置によれば、基板Zを折り返し搬送して、折り返し前後の基板Zの間でプラズマCVDによる成膜を行なう成膜装置において、折り返し前後共に、基板Zの搬送方向と反応ガスの流れ方向とを同方向にできるので、反応ガスのガス流の乱れや、ガス流が渦を巻いたような状況の発生を大幅に低減することができ、ガス流の乱れに起因する膜厚ムラを大幅に低減することができる。
従って、本発明によれば、プラズマCVDにおいて、膜厚ムラの無い高品質な薄膜を、高効率かつ高い成膜レートで成膜することができる。
本発明において、ガス導入部54によるガス導入位置には、特に限定はなく、成膜室36において想定しているプラズマ生成領域、より具体的には、電極50および52による電圧印加領域(電極50および52の端部周辺を互いに結んだ空間)内に反応ガスを導入できればよい。
ここで、効率よく成膜を行なうためには、個々のガス導入部54が対応する基板Zの搬送方向において、プラズマ生成領域よりも上流(特に直上流)から、反応ガスを導入するのが好ましい。すなわち、図示例においては、第1ガス導入部54aは、1回目の成膜に供される基板Zの搬送方向において電極50(電極50と52との間隙が成す空間)の上流から、第2ガス導入部54bは、2回目の成膜に供される基板Zの搬送方向において電極52(同前)の上流から、反応ガスを導入するのが好ましい。これにより、プラズマ生成領域を最大限に利用して、効率のよい成膜を行なうことができる。
また、ガス導入部54による反応ガスの導入方向は、対応する基板Zの搬送方向に向かう方向であればよく、例えば、基板Zの搬送方向と平行でもよく、あるいは、基板Zの搬送方向で、かつ、基板Zに向かう方向や、基板Zの搬送方向で、かつ、仕切板56に向かう方向(対応する基板Zと離間する方向)でもよい。
なお、反応ガスを効率よく成膜に供することができるという点で、ガス導入部54によるガスの導入方向は、基板Zの搬送方向で、かつ、基板Zに向かう方向が有利である。
ガス導入部54aおよび54bは、ガスの供給手段(図示しない)に接続されている。なお、ガス導入部54aおよび54bは、同じガスの供給手段と接続されても、異なるガスの供給手段と接続されてもよいが、同量のガスを供給するのが好ましい。このようにすることで、1回目の成膜と、2回目の成膜とで、成膜レートを同一のものとすることができる。
なお、反応ガスの供給手段は、ボンベ等のガスの供給源やガス流量の調整手段等を有する、公知のガス供給手段を利用すればよい。
また、図示例においては、ガス導入部54aおよび54bは、反応ガスのみならず、アルゴンガスや窒素ガスなど、プラズマCVDで用いられる各種のガスを反応ガスと共に成膜室36に導入してもよい。
なお、本発明において、複数種のガスを成膜室36に導入する場合には、ガス導入部54aおよび54bの内部を仕切って、各ガスを、別のガス排出口から排出するようにしてもよい。あるいは、それぞれのガスに対応する導入部を設けて、複数の導入部で、本発明のガス導入部54の1つを構成してもよい。
ガス導入部54のガス流量にも特に限定はなく、目的とする成膜レートや膜厚、基板Zの搬送速度等に応じて、目的とする膜を形成できる量を、適宜、設定すればよい。
なお、ガス流の乱れに起因する膜厚ムラを好適に抑制するためには、基板Zの搬送速度、反応ガス(あるいはさらにその他のガス)の粘性等に応じて、基板表面におけるガス流が層流状態(例えばレイノルズ数で2000以下)となるように、ガス導入部54からのガス導入速度(および/または基板Zの搬送速度)を設定するのが好ましい。
仕切板56は、折り返し前後の基板を分けるように、折り返し前後の基板に対面して配置される。
仕切板56の形状やサイズには、特に限定はなく、ガス導入部54aおよびガス導入部54bから供給される反応ガスが、互いのガス流に与える影響を低減できる形状を、適宜、決定すればよい。
特に、仕切板56は、基板Zに対する1回目の成膜領域と2回目の成膜領域とを分離して、ガス導入部54aおよびガス導入部54bから供給される反応ガスが、互いのガス流に影響を与えないように、基板Z除いた状態での両電極の対面を完全に遮蔽する形状およびサイズであるのが好ましい。すなわち、仕切板56は、電極50と電極52の端部周辺を結んで形成される空間を、電極の対面方向で完全に2つに分けるようなサイズおよび形状を有するのが好ましい。
ここで、本発明の成膜装置10において、仕切り板56は、プラズマCVDでの成膜に対して、十分な耐性を有する各種の材料で形成すればよく、ブラスト処理等の粗面化処理が施された表面など、表面が粗面(微細な凹凸を有する面)であるのが特に好ましい。
仕切り板56は、表面にプラズマCVDによって膜が付着してしまうことを、避けることができない。そのため、表面を粗面とすることにより、付着した膜の剥離を防止して、パーティクルの発生等に起因する製品品質の劣化等を防止できる。
また、仕切り板56は、表面が着脱自在(剥離自在)な保護材であるのが好ましい。
このような構成を有することにより、仕切り板56の表面に膜が付着しても、保護材を剥離するだけで仕切り板56の清掃を行なうことができるので、メンテナンス性を向上することができる。
なお、このような保護材は、プラズマCVD、スパッタリング、真空蒸着などの各種の気相成膜法による成膜装置で利用されている、不要な位置への成膜を防止する防着のための各種の保護材(防着材)を利用すれば良い。
なお、図示例の成膜室36は、好ましい態様として仕切板56を有しているが、本発明は、これに限定はされない。すなわち、本発明においては、第1ガス導入部54aによるガス流が、第2ガス導入部54bによるガス流よりも1回目の成膜に供される基板に近接し、かつ、第2ガス導入部54aによるガス流が、第1ガス導入部54aによるガス流よりも2回目の成膜に供される基板に近接するように、ガス導入部54から反応ガスを導入すればよい。
このような構成でも、ガス流の乱れを抑制することができ、ガス流の乱れに起因する膜厚ムラを防止できる。特に、折り返し前後の基板の間隔が十分に広い場合には、仕切板56を有さなくても、非常に好適な効果を得られる。
成膜室36は、バルブ68を有する排気ライン69によって、真空排気手段72に接続される。真空排気手段72は、主に成膜室36を排気して所定の真空度に保つものであり、先の真空排気手段64と同様に、プラズマCVD装置に用いられる各種のものが利用可能である。
なお、真空排気手段72による成膜室36の到達真空度には、特に限定はなく、実施する成膜方法等に応じて、十分な真空度を保てればよい。
前述のように、成膜装置10においては、供給室12から成膜部14を経て巻取り室16に至る所定の経路で、供給室12から巻取り室16まで基板Zを通して、搬送する。
具体的には、基板Zは、基板ロール20から供給され、ガイドローラ22および24によって案内されて成膜部14に搬送され(以上、供給室12)、搬送室34のローラ40によって上方に搬送され、成膜室36を経て折り返し室38の折り返しローラ46で逆方向すなわち下方に折り返され、再度、成膜室36を経て、搬送室34のローラ42によって巻取り室16に搬送され(以上、成膜部14)、ガイドローラ30および28に案内されて巻取りロール26によって巻き取られる(以上、巻取り室16)。
この搬送経路で基板Zを通した後に、成膜部14において、真空排気手段72によって主に成膜室36内を排気して、さらに、真空排気手段64によって主に搬送室34および折り返し室38を排気して、所定のタイミングで基板Zの搬送を開始し、かつ、ガス導入部54aおよび54bから反応ガスを導入して、成膜室36内を所定の真空度に保つと共に、高周波電源58aによって電極50および52に高周波電圧を印加することにより、図1で点線で概念的に示すようにプラズマガスを励起させてプラズマを生成し、かつ、反応ガスを励起/解離して、基板Zを搬送しつつ、基板Zの表面にプラズマCVDによって成膜を行なうことができる。
ここで、図1に示されるように、成膜室36においては、基板Zは、電極50および仕切板56の間を通過し、かつ、反応ガスは、ガス導入部54aによって、電極50および仕切板56の間に導入される。また、反応ガスは、折り返しローラ46に向かって搬送される基板の搬送方向に向かうように導入される。電極50および52の間には、高周波電源58aによって、高周波電界が生じており、この高周波電界が生じている領域でプラズマが生成される。ガス導入部54aから導入された反応ガスは、電極50および仕切板56の間に生成されたプラズマによって励起される。そのため、基板Zが電極50および仕切板56の間を通過することで、基板Zのプラズマと対面する面に成膜が行なわれる。
さらに、基板Zは折り返しローラ46によって折り返された後に、電極52および仕切り板56の間を通過し、かつ、反応ガスは、ガス導入部54bによって、電極52および仕切板56の間に導入される。また、反応ガスは、折り返しローラ46で折り返されて、ローラ42に向かって搬送される基板の搬送方向に向かうように導入される。前述のように、電極50および52の間には高周波電界が生じているため、基板Zが電極50および仕切板56の間を通過するときと同様にして、基板Zが電極52および仕切板56の間を通過することで、基板Zのプラズマと対面する面に成膜が行なわれる。
すなわち、本発明の成膜装置10では、基板Zの表面を、2回、プラズマに対面させて、2回のプラズマCVDによる成膜に供することができる。
しかも、プラズマを基板Zで包囲した空間に生成し、かつ、この包囲空間に反応ガスを導入するので、プラズマや反応ガス等が不要に発散しない。そのため、本発明の成膜装置10によれば、プラズマCVDによって、高い成膜レートで、高効率の成膜を行なうことができる。
本発明においては、第1および第2の2つのガス導入部54を有し、第1ガス導入部54aは、1回目の成膜に供される基板Zに対応して、この基板Zの搬送の搬送方向に向かって反応ガスを導入する。他方、第2ガス導入部54bは、2回目の成膜に供される基板Zに対応して、この基板Zの搬送方向に向かって反応ガスを導入する。このようにすることで、基板Zを折り返し搬送して、折り返し前後の基板の間でプラズマCVDによる成膜を行なう成膜装置において、折り返し前後共に、基板Zの搬送方向と反応ガスの流れ方向とを同方向にできるので、反応ガスのガス流の乱れや、ガス流が渦を巻いたような状況の発生を大幅に低減することができる。これにより、ガス流の乱れに起因する膜厚ムラを大幅に低減することができる。
ここで、好ましくは、折り返し前後の基板の間に仕切板56を有することで、第1ガス導入部54aから導入する反応ガスを1回目の成膜に供される基板Zと仕切板56の間に、第2ガス導入部54bから導入する反応ガスを2回目の成膜に供される基板Zと仕切板56の間に導入することができるため、より反応ガスのガス流の乱れや、ガス流が渦を巻いたような状況の発生を大幅に低減することができる。
前述のように、本発明の成膜装置は、折り返し搬送される基板Zの間に、仕切板56を配置する。本発明の成膜装置においては、これを利用して、仕切板56を電極として作用させるのも好ましい。
従来の成膜装置のように、1対の電極の一方の電極50に高周波電源が接続され、対を成す電極52が接地されている構成では、折り返しローラ46に至る前の成膜(折り返し前の成膜)と、折り返しローラ46を通過した後の成膜(折り返し後の成膜)とで、プラズマの電位が異なり、基板Zに入射するイオンのエネルギーに差が生じてしまう。その結果、折り返し前の成膜と折り返し後の成膜とで、膜の密度やイオンによるダメージが異なってしまう等、膜質に悪影響を与えてしまう場合が有る。
これに対して、仕切板56を電極として作用させることにより、折り返し前の成膜と、折り返し後の成膜とで、プラズマの電位を一致させて、基板Zに入射するイオンのエネルギーを一致できるので、より安定して高品質な薄膜を成膜することが可能となる。
図2に、その一例を示す。
図2に示す成膜装置70は、仕切板71を接地して(グラウンドに落として)、電極50および52をそれぞれ高周波電源58aおよび58bに接続した構成を有するものである。なお、図示例の成膜装置70において、仕切板71は、導電性を有し、かつ、接地されている以外は、前記仕切板56と全く同じ構成を有する。また、成膜装置70は、仕切板71が接地されている以外には、前記成膜装置10と全く同様の構成を有する。
なお、高周波電源58bは、高周波電源58aと同様、プラズマCVDによる成膜に利用される公知の高周波電源である。
このように、電極50および52を、共に高周波電源58aおよび58bに接続し、仕切板71を接地した構成とすることにより、基板Zに向けて、反応ガスのイオンを引き込む力を強くすることができる。
そのため、この構成によれば、プラズマCVDによって形成する膜に、イオンを打ち込むような効果を得ることができる。例えば、イオンボンバードメントによる膜の緻密化を図ることができるので、これらを要求される用途に有効である。
なお、図示例のように、電極50および52に、高周波電源58を接続する構成では、図2に示す成膜装置70のように、各電極の個々に高周波電源58aおよび58bを接続する構成に限定はされず、1つの高周波電源を2つの電極50および52に接続してもよい。
図3に、仕切板を電極として作用させる別の一例を示す。
図3に示す成膜装置80は、仕切板82に高周波電源を接続して、電極50および52を接地した構成を有するものである。なお、成膜装置80においても、先の例と同様、仕切板82が導電性を有して高周波電源84に接続され、また、電極50および52が接地されている以外は、前記成膜装置10と全く同様の構成を有する。
このように、電極50および52を共に接地し、仕切板82を高周波電源84に接続した構成とすることにより、先の成膜装置とは逆に、基板Zに向けて、反応ガスのイオンを引き込む力を弱くすることができる。
そのため、この構成によれば、イオンの突入による基板Zの損傷を抑制することができ、例えば、基板Zの強度が低い場合、形成する膜のダメージを最小限にしたい場合等の用途に有効である。
なお、高周波電源84は、前記高周波電源58aおよび58bと同じ物でも異なる物でもよい。
さらに、本発明においては、電極50および52に、前記図2に示す成膜装置70と同様に高周波電源58aおよび58bを接続し、かつ、仕切板82にも、前記図2に示す成膜装置70と同様に、電極に接続される電源とは独立した高周波電源84を接続して、電極および仕切板82とで、独立して、供給電力や周波数を制御できるようにしてもよい。
このように、電極50、52および仕切板82の両者に高周波電源を接続する構成によれば、一方の高周波電源のみをプラズマ生成に対応すればよいので、電極50および52、もしくは、仕切板82に供給する電力および周波数を調整することで、仕切板82と電極50および52との間の電位差を、任意に調整することが可能となる。すなわち、基板Zの引き込む(打ち込む)イオンのエネルギーを、任意に制御することが可能となる。
従って、このような構成を有することにより、形成する膜や製品の用途/種類等に応じて、前述のイオンの打ち込み効果や、基板や膜の損傷防止効果、さらには両効果のバランスを、任意にコントロールすることが可能となり、非常に自由度の高い成膜装置を実現することができる。
また、本実施形態においては、折り返しローラ46に向かって上方に搬送される基板Zにプラズマガスおよび反応ガスを導入するガス導入部54aと、折り返しローラ46によって折り返されて下方に搬送される基板Zにプラズマガスおよび反応ガスを導入するガス導入部54bとをそれぞれ1つずつ設けたが、折り返しローラ46に向かって上方に搬送される基板Zおよび折り返しローラ46によって折り返されて下方に搬送される基板Zのそれぞれに、基板Zの搬送方向と同方向に反応ガスを導入できれば、ガス導入部の数や構成はこれに限定されるわけではない。
本発明の成膜装置において、プラズマCVDによる成膜は、図示例のように、反応ガスを導入した領域に高周波電圧を印加することによって、プラズマを生成して、反応ガスを励起してプラズマCVDによって成膜を行なう方法に限定はされず、各種のプラズマCVDによる成膜方法が、全て、利用可能である。
例えば、前記特許文献1に開示されるような、折り返し搬送される基板の間に、プラズマガンを用いて基板に対峙するシート状の放電プラズマ流を形成し、かつ、基板の間に反応ガスを供給して、基板を挟んで配置される電極の両者に高周波電力を供給することで、放電プラズマ流および基板と交差する電界を形成してプラズマを生成することにより、基板の表面にプラズマCVDによる成膜を行なう方法が好適に利用可能である。
また、別の例として、本発明の成膜装置は、各種の反応性のプラズマCVDによる成膜装置などにも好適に利用可能である。
以上、本発明の成膜装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
本発明の成膜装置の一例の概念図である。 本発明の成膜装置の別の例の概念図である。 本発明の成膜装置の別の例の概念図である。 従来の成膜装置の一例の概念図である。
符号の説明
10、70、80、100 成膜装置
12、102 供給室
14 成膜部
16、106 巻取り室
20、110 基板ロール
22、24、28、30 ガイドローラ
26、112 巻取りロール
34 搬送室
36、104 成膜室
38 折り返し室
40、42、114、118 ローラ
46、116 折り返しローラ
50、52、124 電極
54a、54b ガス導入部
56、71、82 仕切板
58a、58b、84 高周波電源
60、68 バルブ
62、69 排気ライン
64、72 真空排気手段
122 マッチングボックス

Claims (8)

  1. 搬送方向を逆方向に折り返す所定の搬送経路で基板を搬送する搬送手段と、
    基板の搬送経路を逆方向に折り返す折り返し手段と、
    前記折り返し手段による折り返し前後の基板を、外側から挟むように前記基板に対峙して配置される一対の電極と、
    前記折り返し手段による折り返し前後の基板の間に、前記折り返し手段に向かう基板の搬送方向に向けて反応ガスを導入する第1のガス導入部と、
    前記折り返し手段による折り返し前後の基板の間に、前記折り返し手段によって折り返された後の基板の搬送方向に向けて反応ガスを導入する第2のガス導入部とを有し、
    かつ、前記第1のガス導入部によるガス流が、前記第2のガス導入部によるガス流よりも前記折り返し手段に向かう基板に近接し、さらに、前記第2のガス導入部によるガス流が、前記第1のガス導入部によるガス流よりも前記折り返し手段によって折り返された後の基板に近接するように、前記第1のガス導入部および前記第2のガス導入部が反応ガスを導入することを特徴とする成膜装置。
  2. 前記折り返し手段による折り返し前後の基板の間に、折り返し前後の基板を分けるように前記基板に対面して配置される仕切板を有し、
    前記第1のガス導入部は、前記折り返し手段に向かう基板と前記仕切板との間に反応ガスを導入し、前記第2のガス導入部は、前記折り返し手段によって折り返された後の基板と前記仕切板との間に反応ガスを導入する請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記第1のガス導入部は、前記折り返し手段に向かう基板の搬送方向に対して、この基板が対峙する電極よりも上流から前記反応ガスを導入し、
    前記第2のガス導入部は、前記折り返し手段によって折り返された後の基板の搬送方向に対して、この基板が対峙する電極よりも上流から前記反応ガスを導入する請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. 前記第1のガス導入部から導入される反応ガスの流量と、
    前記第2のガス導入部から導入される反応ガスの流量とが同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成膜装置。
  5. 前記仕切板が電極として作用する請求項2に記載の成膜装置。
  6. 前記仕切板が接地され、前記1対の電極に高周波電源が接続される請求項5に記載の成膜装置。
  7. 前記1対の電極が接地され、前記仕切板が高周波電源に接続される請求項5に記載の成膜装置。
  8. 前記1対の電極および前記仕切板が、高周波電源に接続される請求項5に記載の成膜装置。
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