JP2009052103A - 成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラズマCVDによって、高い成膜レートで高品質な膜を安定して成膜することができる成膜装置を提供する。
【解決手段】基板の搬送経路を反対方向に折り返し、この折り返し前後の基板を挟むように電極を配置し、かつ、折り返した基板の間に反応ガスを供給して、基板にプラズマCVDによる成膜を行なうと共に、折り返された基板の間にも電極を設けることにより、前記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマCVDによって基板に成膜する成膜装置に関し、詳しくは、長尺な基板に、高い成膜レートで高品位な薄膜を連続的に成膜できる成膜装置に関する。
光学膜の製造や磁気記録媒体の製造等、各種の薄膜形成の用途にプラズマCVDによる成膜が利用さている。
高い生産性でプラズマCVDによる成膜を行なう方法として、長尺(ウェブ状)な基板に連続的に成膜を行なうことが知られている。長尺な基板へのプラズマCVDによる成膜装置は、一般的に、基板を所定位置に位置(保持)しつつ長手方向に搬送するドラムと、このドラムに対面する高周波電極を用い、所定領域に基板を巻き掛けたドラムを回転して、ドラムと高周波電極との間に高周波電圧を印加すると共に、反応ガスあるいはさらにアルゴンガスなどを供給することにより、基板を長手方向に搬送しつつ、プラズマCVDによって連続的に成膜を行なう。
また、このようなドラムを用いる成膜装置よりも、より良好な効率で、高い成膜レートでプラズマCVDによる成膜を行なうことができる方法として、特許文献1等に示されるような、基板を折り返して逆方向に搬送し、折り返して搬送する基板の間で成膜を行なう方法が知られている。
図6に、その一例を示す。
この成膜装置100は、長尺な基板Zを巻回した基板ロール110が装填される供給室102、基板ZにプラズマCVDによる成膜を行なう成膜室104、および、成膜済の基板Zを巻き取る巻取りロール112が装填される巻取り室106からなるものである。
成膜装置100においては、基板ロール110から成膜室104を経て巻取りロール112に至る所定の経路で基板Zを通した状態で、基板ロール110からの基板Zの送り出し、基板Zの搬送、巻取りロール112での基板Zの巻取りを同期して行うことにより、成膜室104において、基板Zを長手方向に搬送しつつ連続的にプラズマCVDによる成膜を行なう。
成膜室104において、供給室102から搬送された基板Zは、ローラ114によって上方の折り返しローラ116に向けて搬送され、折り返しローラ116によって搬送経路を逆方向に折り返されて下方のローラ118に向けて搬送され、ローラ118に案内されて巻取り室106に送られる。なお、折り返しローラ116の下側(ローラの後述するプラズマと対峙する側)、ならびに、ローラ114および118の上には、ローラへの膜の付着を防止するための防着板128が配置される。
成膜室104には、折り返しローラ116によって折り返される前後の基板Zを挟んで対面するように、高周波電源120およびマッチングボックス122に接続される電極124が配置されている。また、折り返し搬送される基板Zの間には、図示しないプラズマ流発生手段によって放電プラズマ流(シートプラズマ)Pが形成される。さらに、放電プラズマ流Pが形成される領域の下部にガス供給口130が設けられ、折り返し搬送される基板Zの間に、放電プラズマ流Pの下方から反応ガスを供給する。
従って、折り返しローラ116によって折り返して搬送される基板Zの間では、ガスが励起してプラズマが生成されて、反応ガスが励起/解離して、基板Zの折り返し搬送の内面側に、プラズマCVDによって成膜される。
図6より明らかなように、成膜室104では、折り返しロール116に向かって上方に搬送されている途中で、プラズマに接触して基板ZにプラズマCVDによる成膜が行なわれ、折り返しローラ116によって折り返されて下方に搬送される途中でも、同じプラズマに接触して、再度、基板ZにプラズマCVDによる成膜が行なわれる。
すなわち、この成膜装置10では、長尺な基板Zを折り返し搬送して、基板Zの間でプラズマを生成することにより、基板Zに対して同じプラズマで2回の成膜を行なうことができ、すなわち、高い成膜レートでプラズマCVDによる成膜が可能である。
このように、基板の搬送経路を逆方向に折り返して、折り返した基板の間(折り返し前後の基板の間)でプラズマCVDによる成膜を行なう成膜装置においては、一般的に、前記図6に示されるように、折り返した基板を外側から挟むようにして電極を配置して、両電極の間で電圧を印加して、基板の間にプラズマを生成することにより、折り返された基板の内面にプラズマCVDによる成膜を行なう。
あるいは、特許文献2に開示されるように、同様に、基板の搬送経路を逆方向に折り返して、折り返した基板の間でプラズマCVDによる成膜を行なう成膜装置としては、折り返した基板の間に陰極(cathode)を配置して、陰極で放電して基板の間にプラズマを生成することにより、折り返された基板の内面にプラズマCVDによる成膜を行なう成膜装置も知られている。
特開平8−63746号公報 米国特許第4601260号明細書
このように、折り返しローラ等によって基板を逆方向に折り返す搬送経路を有し、かつ、折り返す前後の基板の間でプラズマを生成するプラズマCVDの成膜装置によれば、基板を2回、同じプラズマに対面させて、2回の成膜を行なうことができるので、ドラムを用いる成膜装置に比して、効率よく、高レートの成膜を行なうことが可能である。
しかしながら、特許文献1に開示されるように、折り返した基板を挟んで電極を配置して、プラズマを生成する構成では、一方を高周波電極として作用させ、他方を接地(グランド)状態として作用させる必要があるために、折り返す前の基板と、折り返した後の基板とで掛かる電位が異なってしまう。
その結果、折り返す前と折り返した後とで、基板に対するプラズマやイオンのエネルギーが異なってしまい、折り返し前後で成膜の状態が異なり、その結果、所望の膜質が得られない場合も有る。
他方、特許文献2に開示される、折り返した基板間に配置した陰極を放電させる構成では、基板あるいは電極に対してバイアスを印加することができず、例えば、イオンボンバードメントによる膜の緻密化などの効果を得ることができない。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、長尺な基板を逆方向に折り返し搬送して、折り返した基板の間に反応ガスを供給してプラズマを生成して、折り返し搬送した基板の両内面に成膜を行なうことにより、効率よく高レートでプラズマCVDによる成膜を行なうことができ、しかも、基板の折り返し前と折り返し後とで、それぞれの成膜に対して印加する電圧を等しくして同条件で成膜を行なうことができ、あるいはさらに、基板や電極に、成膜に対応した好適なバイアスも印加することができる成膜装置を提供する。
前記目的を達成するために、本発明の成膜装置は、搬送経路を逆方向に折り返す所定の搬送経路で基板を搬送する搬送手段と、前記折り返し前後の基板を外側から挟むように、前記基板に対峙して配置される2つの第1電極と、前記折り返し前後の基板の間に配置され、前記第1電極と電極対を成す第2電極と、前記折り返し前後の基板の間に反応ガスを供給するガス供給部とを有することを特徴とする成膜装置を提供する。
このような本発明の成膜装置において、前記第2電極が接地され、前記第1電極に高周波電源が接続されるのが好ましく、もしくは、前記第1電極が接地され、前記第2電極が高周波電源に接続されるのが好ましく、もしくは、前記第1電極が高周波電源に接続され、また、前記第2電極が前記第1電極とは別の高周波電源に接続されるのが好ましい。
また、本発明の成膜装置において、前記第2電極が、前記ガス供給部としても作用するのが好ましく、この際において、前記第2電極が、電極対を成す前記第1電極との電圧印加によるプラズマ生成領域内に、前記搬送手段による基板の搬送方向に配列して少なくとも2つのガスの供給口を有するのが好ましく、さらに、前記第1電極は、平行に対面して配置される1対の板状電極であり、前記第2電極は、前記第1電極に対面する面を有する中空体であり、この対面する面に、二次元的に前記ガスの供給口が形成されるのが好ましい。
本発明の成膜装置は、長尺な基板(ウェブ状の基板)を逆方向に折り返して搬送する搬送経路を有すると共に、折り返した基板(折り返し前後の基板)を挟むように電極を配置して、かつ、折り返した基板の間に反応ガスとを供給し、基板の間でプラズマを生成して、プラズマCVDによって基板に成膜を行なう装置である。本発明は、このような成膜装置において、折り返した基板を挟んで2つ配置される第1の電極に加え、折り返した基板の間にも第2電極を設け、前記第1電極の個々と電極対を形成する。
前記図6の成膜装置でも例示したように、基板を折り返し搬送して基板の間にプラズマを生成してプラズマCVDによる成膜を行なう成膜装置では、基板に対して、搬送経路を折り返す前および折り返し後の2回、同じプラズマによって成膜を行なって、1層の薄膜を形成する。ここで、上記構成を有する本発明の成膜装置によれば、折り返し前の基板、および、折り返し後の基板のそれぞれに対応して、同様の電極対を有する構成となるので、折り返し前後の基板に同電位で成膜を行なうことができ、1層の薄膜を形成する2回の成膜を同条件として、安定して適正な薄膜を形成することができる。
また、第1電極および第2電極の何れに高周波電源を接続し、何れを接地するか(グランドに落すか)によって、バイアスを基板あるいは電極の何れの方向に印加するかを選択でき、さらに、第1電極および第2電極の両者に高周波電源を接続することにより、バイアスの方向のみならず強度も任意に調整することが可能になるので、本発明によれば、使用する基板や形成する膜に応じて、プラズマCVDによって、自由度の高い成膜を行なうことができる。
以下、本発明の成膜装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1(A)に、本発明の成膜装置の一例の概念図を示す。
図1(A)に示す成膜装置10は、磁気記録媒体の製造、光学膜の製造、ガスバリアフィルムの製造等に利用される、長尺な基板Z(ウェブ状の基板Z)に連続で成膜を行なう装置であって、基本的に、基板Zを供給する供給室12と、成膜部14と、巻取り室16とを有して構成される。
成膜装置10は、供給室12から成膜部14を経て巻取り室16に至る所定の経路で基板Zを通して、供給室12からの基板Zの供給、および、巻取り室16における成膜済の基板Zの巻取りを連続的に行いながら、成膜部14において、基板Zを搬送(長手方向に搬送)しつつ、基板Zに連続的に成膜を行なう。
供給室12は、長尺な基板Zを供給する部位であり、基板ロール20と、ガイドローラ22および24を有する。
基板ロール20は、長尺な基板Zを巻回してなるものであり、図示しない駆動源によって基板を巻き戻す方向(図示例においては、時計回り)に回転されて、基板Zを連続的に送り出す。
ガイドローラ22および24は基板Zを所定の搬送経路で成膜部14に案内する、公知のガイドローラである。成膜装置10において、ガイドローラ22および24は、駆動ローラでも従動ローラでもよい。また、ガイドローラ22および24は、少なくとも一方が、基板Zの張力を調整するテンションローラとして作用するローラであってもよい。
本発明の成膜装置において、成膜をする基板Zには、特に限定は無く、PETフィルム等の各種の樹脂フィルム、アルミニウムシートなどの金属シート等、装置構成や装置のサイズ等に応じて、逆方向への折り返し搬送が可能な可撓性を有するものであれば、プラズマCVDによる成膜が可能な各種の基板が、全て利用可能である。
他方、巻取り室16は、成膜部14(成膜室36)において表面に成膜(薄膜を形成)された基板Zを巻き取る部位であり、巻取りロール26と、ガイドローラ28および30を有する。
巻取りロール26は、成膜された基板Zをロール状に巻き取るものであって、図示しない駆動源によって基板Zを巻き取る方向(図示例においては、時計回り)に回転されて、成膜済の基板Zを巻き取る。
ガイドローラ28および30は、先のガイドローラ22および24と同様、成膜部14から搬送された基板Zを、所定の搬送経路で巻取りロール26に案内する、公知のガイドローラである。なお、先のガイドローラ22および24と同様、ガイドローラ28よび30も、駆動ローラでも従動ローラでもよく、また、少なくとも一方がテンションローラとして作用してもよい。
前述のように、成膜装置10は、供給室12からの基板Zの供給(すなわち基板ロール20からの基板Zの送り出し)、および、巻取り室16における成膜済の基板Zの巻取りすなわち巻取りロール26での基板Zの巻取り)を連続的に行いながら、成膜部14において、基板Zを長手方向に搬送しつつ、基板ZにプラズマCVDによって連続的に成膜を行なう。
従って、基板ロール20および巻取りロール26は、線速が等しくなるように駆動源によって回転される。あるいは、基板ロール20には駆動源を設けずに従動として、基板ロール20から基板Zを引き出すような構成としてもよい。
なお、本発明において、供給室12に装填する基板Zの長さ(基板ロール20に巻回される基板Zの長さ)には、特に限定はなく、生産する製品に応じた長さの基板Zを用いればよいのは、もちろんである。
図示例の成膜装置10においては、供給室12および巻取り室16には、真空ポンプ等の真空排気手段が設けられていない(真空排気手段に接続されていない)。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、必要に応じて、供給室12および巻取り室16にも、真空排気手段を設け、両室内を所定の真空度を保つようにしてもよい。
図示例の成膜装置10は、基板Zの搬送経路としては、基板Zに成膜を行なう成膜室36には後述する搬送室34が隣接し、供給室12および巻取り室16は、この搬送室34に隣接している。成膜室36と搬送室34は、基板Zを挿通するためのスリット状の開口を有するものの、互いに独立した空間であり、かつ、成膜中は、互いに独立して所定の真空度に保たれている。そのため、図示例の成膜装置10においては、供給室12および巻取り室16には、真空排気手段は不要である。
しかしながら、搬送室34のような部屋を有さず、成膜室36と供給室12および巻取り室16(あるいは、その一方)と、成膜室36とが、基板Zの搬送方向に隣接する場合には、供給室12および巻取り室16に、真空排気手段を設けるのが好ましい。
成膜部14は、基板Zを搬送しつつ、基板Zの表面にプラズマCVDによって連続的に成膜を行なう部位で、搬送室34と、成膜室36と、折り返し室38とを有する。成膜部14は、例えばステンレスなど、各種の真空チャンバで利用されている材料を用いて構成すればよい。
成膜部14において、成膜室36には、基板Zの搬送方向に搬送室34と折り返し室38とが隣接しており、また、成膜室36は、搬送室34と折り返し室38との間に挟まれている。ただし、本発明の成膜装置は、これに限定はされず、成膜室36と、搬送室34および/または折り返し室38との間に、何らかの部屋が有ってもよい。
搬送室34は、供給室12から搬送された基板Zを成膜室36に送り、かつ、成膜室36から搬送された成膜済の基板Zを巻取り室16に送る部位であり、基板Zを所定の搬送経路で搬送するための2本のローラ40および42を有する。
折り返し室38は、成膜室36から搬送された基板Zを、逆方向に折り返して、再度、成膜室36に搬送する部位であり、基板Zの搬送駅路を逆方向に折り返すための折り返しローラ46を有する。
搬送室34と成膜室36との間(その隔壁)、および、成膜室36と折り返し室38との間(その隔壁)には、基板Zが通過するためのスリット状の開口が形成される。
すなわち、2本のローラ40および42、ならびに、折り返しローラ46は、成膜室36に配置された2本の電極50および電極52(第1電極)の間を通る所定の搬送経路で、基板Zを逆方向に折り返して搬送する、搬送手段を構成する。
また、図示例においては、折り返しローラ46による折り返し前後の基板Zの搬送経路が平行になるように、ローラ40および42、ならびに、折り返しローラ46が配置される。
成膜装置10において、搬送室34のローラ40は、供給室12(ガイドローラ24)から搬送された基板Zを上方の折り返しローラ46に向けて搬送して、成膜室36の電極50および電極52の間を通る所定の搬送経路で折り返し室38に搬送する。
折り返し室38では、折り返しローラ46が、成膜室36から搬送された基板Zの搬送経路を逆方向に折り返して(基板Zの搬送経路を180°折り返して)、下方のローラ42に向けて、再度、成膜室36に搬送して成膜室36の電極50および52の間を通る所定の搬送経路で搬送室34に搬送する。
搬送室34においては、成膜室36から搬送された基板Zを、ローラ42によって横方向に搬送して、巻取り室16(ガイドローラ30)に搬送する。
本発明の成膜装置10において、折り返しローラ46によって折り返される前後の基板Zの搬送経路は、互いに平行であるのが基板Zに対するプラズマ等の均一性等の点で好ましいが、これに限定はされない。例えば、基板Zの搬送経路は、折り返し前後の基板Zの間隔が折り返しローラ46に向かって次第に狭くなる搬送経路や、逆に、折り返し前後の基板Zの間隔が折り返しローラ46に向かって次第に広くなる搬送経路でもよい。
また、基板Zの折り返しは、図示例のように1本の折り返しローラ46で行なうのに限定はされず、基板Zの搬送経路を逆方向に折り返すことができれば、各種のシート状物の搬送経路の折り手段が利用可能であり、例えば、複数本のローラで基板の搬送経路を逆方向に折り返すようにしてもよい。
さらに、搬送手段は、ローラのみで構成するのに限定はされず、公知の長尺なシート状物の搬送部材が、各種利用可能であり、例えば、基板Zの搬送経路を規制するガイド部材や、基板Zを挟持搬送する搬送ローラ対等を有してもよい。
搬送室34および折り返し室38は、共に、バルブ60を有する排気ライン62によって、真空排気手段64に接続されている。真空排気手段64は、主に搬送室34および折り返し室38を排気して、両部屋を成膜室36よりも低い所定の真空度に保つ。
なお、本発明において、真空排気手段64には、特に限定はなく、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプなどの真空ポンプや、クライオコイル等の補助手段、さらには、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、プラズマCVD装置に用いられている各種のものが利用可能である。
また、図示例の成膜装置10では、搬送室34および折り返し室38を1つの真空ポンプで排気しているが、本発明は、これに限定はされず、搬送室34と折り返し室38とに独立して排気手段を設け、個々に所定の真空度に保つようにしてもよい。
前述のように、折り返しローラ46、ならびに、ローラ40および42は、基板Zを逆方向に折り返す所定の搬送経路で基板Zを搬送する、搬送手段を構成する。ここで、図示例の成膜装置10においては、折り返しローラ46、ならびに、ローラ40および42への膜の付着/堆積を好適に防止できる好ましい構成として、折り返し室38および搬送室34を設け、折り返しローラ46と、ローラ40およびローラ42を、成膜室36とは別の空間(部屋)に配置し、かつ、より好ましい態様として、搬送室34および折り返し室38の真空度を、成膜室36よりも低い真空度としている(搬送室34および折り返し室38の圧力を、成膜室36よりも高い所定の圧力に保つ)。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、折り返しローラ46と、ローラ40およびローラ42を成膜室(プラズマCVDによる成膜空間)に配置してもよく、さらに、この構成において、特許文献1に開示されるように、折り返しローラ46や、ローラ40およびローラ42への膜の付着/堆積を防止するために、プラズマや反応ガスと各ローラとを隔てる(直接的な対面を防止する)ための防着板を設けてもよい。
成膜室36は、プラズマCVDによって、基板Zの表面に成膜を行なうものであって、本発明の第1電極である電極50および52と、第2電極54と、ガス供給部56とを有して構成される。
電極50および52は、折り返し搬送される基板Z(折り返し前後の基板Z)を挟んで配置される、本発明の第1電極である。
電極50は、成膜室36から折り返し室46に向かう基板Zに平行に対面するように配置された平板状(図5参照)の電極であり、高周波電源58に接続されている。他方、前記電極50と共に基板Zを挟んで配置される電極52は、成膜室36から搬送室34に向かう基板Zに平行に対面するように配置された同じく平板状(同前)の電極であり、同じく、高周波電源58に接続されている。
前述のように、基板Zは、折り返しローラ46による折り返し前後で、電極50および52の間を通る所定の搬送経路で互いに平行に搬送される。従って、電極50および52は、折り返し搬送される前後の基板Zを外側から挟むように、離間して、互いに平行に対面して配置される。
電極50および52と、基板Zとの距離は、形成する膜や成膜レート等に応じて、適宜、設定すればよい。また、電極50および52は、固定して配置されるものでも、互いの間隔(すなわち、基板Zとの距離)を調整可能であってもよい。
さらに、電極50および52(さらに、後述する第2電極54)は、図示例のように1枚の板状の電極にも限定はされず、例えば、前記特許文献1のように、基板Zの搬送方向(以下、搬送方向とする)に分割した複数の電極を配列した構成、搬送方向もしくは搬送方向と直交する方向(図1紙面に垂直方向 以下、幅方向とする)に長尺な棒状(板状)の電極、搬送方向(幅方向)に延在する棒状の電極を幅方向(搬送方向)に複数、配列してなる構成等、プラズマCVDによる成膜が可能なものであれば、各種の電極が利用可能である。なお、基板Zに対する電界やプラズマなどの均一性等の点で、電極は、図示例のような平板状が好ましい。
高周波電源58も、プラズマCVDによる成膜に利用される公知の高周波電源である。本発明において、電源も、プラズマCVDに利用される各種のものが利用可能である。また、高周波電源58の最大出力等にも、特に限定はなく、形成する膜や成膜レート等に応じて、適宜、選択/設定すればよい。
高周波電源58と、電極50および/または電極52とは、必要に応じて、インピーダンス整合をとるためのマッチングボックスを介して接続されてもよい。
なお、図示例の成膜装置10ように、電極50および52(折り返し搬送される基板を挟んで配置される第1電極)に高周波電源58を接続する構成では、基本的に、2つの高周波電源58は、同じ周波数で同じ出力の電力を、自身が接続された電極に供給する。また、第1電極に高周波電源を接続する構成では、図示例のように、各電極の個々に高周波電源58を接続する構成に限定はされず、1つの高周波電源58を2つの電極50および52に接続してもよい。
第2電極54は、折り返し搬送される基板Zの間に配置される電極であり、接地されている(グランドに落されている)。
第2電極54も、前述の電極50等と同様の平板状の電極であり、電極50および52と平行に配置、すなわち折り返し搬送される基板Zと平行に配置される。以上の構成より明らかなように、第2電極54は、対面する面において、電極50と1つの電極対を成し、また、電極52とも別の電極対を形成する。具体的には、電極50と第2電極54とが成す電極対は、搬送室34から折り返し室46に向かう基板Z(折り返し前の基板Z)へのプラズマCVDによる成膜に作用し、電極52と第2電極54とが成す電極対は、折り返し室46から搬送室34に向かう基板Z(折り返し後の基板Z)へのプラズマCVDによる成膜に作用する。
なお、本発明においては、第2電極と両第1電極との間隔、すなわち、図示例においては、電極50と第2電極54の間隔と、電極52と第2電極54との間隔は、等しいのが好ましい。
ガス供給部56は、プラズマCVDによる成膜を行なうための反応ガスを成膜室36内に供給するものである。基板Zを逆方向に折り返す所定の経路で搬送し、この折り返した基板Zの間でプラズマCVDによる成膜を行なう本発明の成膜装置10においては、ガス供給部56は、折り返した基板Zの間に、反応ガスを供給する。
なお、本発明においては、ガス供給部56は、反応ガスのみならず、アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス等、プラズマCVDで用いられている各種のガスを、反応ガスと共に供給してもよい。複数種のガスを供給する場合には、折り返し搬送される基板Zの間であれば、各ガスは同じ供給部(供給口)から供給しても、異なる供給部から供給してもよく、また、各ガス毎にガスの導入手段を設けて、ガス供給部56を構成してもよい。
ガス供給部56には、反応ガスあるいはさらにその他のガスの供給手段(図示省略)が接続される。なお、反応ガス等の供給手段は、ボンベ等のガスの供給源やガス流量の調整手段等を有する、公知のガス供給手段を利用すればよい。さらに、反応ガスあるいはさらにその他に用いるガスの種類や導入量も、形成する膜の種類や、目的とする成膜レート等に応じて、適宜、選択/設定すればよい。
前述のように、図示例の成膜装置10では、電極50と第2電極54とで、折り返し前の基板Zへの成膜に対応する電極対を形成し、電極52と第2電極54とで、折り返し後の基板Zへの成膜に対応する電極対を形成する。
従って、必要に応じて、第2電極54の面積を電極50および52の面積以上とし、電極50および52の周辺を結ぶ空間を完全に切断するように配置することにより、第2電極54を、折り返し前の成膜領域と、折り返し後の成膜領域とを分ける仕切板として作用させることも可能である。
また、第2電極54を仕切板として作用させる場合には、2つのガス供給部54を設けて、電極50と第2電極54との間と、電極52と第2電極54との間に、それぞれ、独立して同量のガスを導入するようにするのが好ましい。
特に、図1(B)に概念的に示すように、電極50と第2電極54との間と、電極52と第2電極54との間の、それぞれに対応してガス供給部56aおよび56bを設け、基板Zの搬送方向に向けてガスを導入するようにするのが好ましい。
すなわち、折り返し前(搬送室34から折り返し室38に向かう経路)での成膜に対応する電極50と第2電極54との間にガスを導入するガス供給部56aは、折り返し室38方向に、折り返し後(折り返し室38から搬送室34に向かう経路)での成膜に対応する電極52と第2電極54との間にガスを導入するガス供給部56bは、搬送室34方向に、それぞれガスを導入(噴射)するのが好ましい。この際においては、対応する基板Zの搬送に対して、電極50および52よりも上流側からガスを導入するのが好ましい。
このような構成とすることにより、基板Zの搬送によってガス流が乱れることを防止して、ガス流の乱れに起因する膜厚分布の発生等を、好適に防止できる。
なお、第2電極54を仕切板として機能させる点、および、その際における個々の電極対間に対応するガス供給部に関しては、後述する成膜装置70(図2)や成膜装置74(図3)も同様である。
成膜室36は、バルブ68を有する排気ライン71によって、真空排気手段72に接続される。真空排気手段72は、主に成膜室36を排気して所定の真空度に保つものであり、先の真空排気手段64と同様に、プラズマCVD装置に用いられる各種のものが利用可能である。
なお、真空排気手段72による成膜室36の到達真空度には、特に限定はなく、実施する成膜方法等に応じて、十分な真空度を保てればよい。
前述のように、成膜装置10においては、供給室12から成膜部14を経て巻取り室16に至る所定の経路で、供給室12から巻取り室16まで基板Zを通して、搬送する。
具体的には、基板Zは、基板ロール20から供給され、ガイドローラ22および24によって案内されて成膜部14に搬送され(以上、供給室12)、搬送部34のローラ40によって上方に搬送され、成膜室36を経て折り返し室38の折り返しロール46で逆方向すなわち下方に折り返され、再度、成膜室36を経て、搬送部34のローラ42によって巻取り室16に搬送され(以上、成膜部14)、ガイドローラ30および28に案内されて巻取りロール26によって巻き取られる(以上、巻取り室16)。
この搬送経路で基板Zを通した後に、成膜部14において、真空排気手段72によって主に成膜室36内を排気して、さらに、真空排気手段64によって主に搬送室34および折り返し室38を排気して、所定のタイミングで基板Zの搬送を開始し、かつ、ガス導入部56から反応ガスあるいはさらにアルゴンガスなどを供給して、成膜室36内を所定の真空度に保つと共に、それぞれに接続される高周波電源58から、電極50および52に同じ高周波電力を供給することにより、電極50と第2電極54との間、および、電極52と第2電極54との間に、高周波電圧を印加する。
これにより、電極50と第2電極54との間、および、電極52と第2電極54との間でガスを励起してプラズマを生成し、かつ、反応ガスを励起/解離して、基板Zを搬送しつつ、基板Zの表面にプラズマCVDによって成膜を行なうことができる。
ここで、図1に示されるように、成膜室36においては、基板Zは電極50および52の間を通過し、かつ、反応ガスは、折り返し搬送される基板Zの間に供給される。
従って、プラズマは、折り返し搬送される基板Zの間に生成され、基板Zのプラズマと対面する面に、膜が形成される。すなわち、本発明の成膜装置10においては、基板Zは、成膜室36から折り返し室38に至る搬送経路で、プラズマに対面してプラズマCVDによる成膜に供され、折り返しローラ46で搬送経路を逆方向に折り返されて、成膜室36から搬送室34に至る搬送経路で、再度、先に成膜された面が同じプラズマに対面して、プラズマCVDによる成膜に供される。
すなわち、本発明の成膜装置10では、基板Z表面を、2回、同じプラズマに対面させて、2回のプラズマCVDによる成膜に供すことができる。
しかも、プラズマを基板Zで包囲した空間に生成し、かつ、この包囲空間に反応ガスを供給するので、プラズマや反応ガス等が不要に発散しない。そのため、本発明の成膜装置10によれば、プラズマCVDによって、高い成膜レートで、高効率の成膜を行なうことができる。なお、本発明の成膜装置10において、成膜レートには特に限定はなく、要求される生産性等に応じて、適宜、決定すればよい。
ここで、成膜装置10においては、折り返し搬送される基板Zを挟むように配置した電極50および52(第1電極)に加え、折り返し搬送される基板Zの間に第2電極54を有する。
この第2電極54を有することにより、折り返し前の基板Z(搬送室34から折り返し室38に向かう搬送経路での成膜(1回目の成膜))に対応する、電極50と第2電極54とからなる電極対、および、折り返し後の基板Z(折り返し室38から搬送室34に向かう搬送経路での成膜(2回目の成膜))に対応する、電極52と第2電極54とからなる電極対の、2つの対を有する。
本発明は、このような基板間に配置される第2電極を有することにより、基板の搬送経路を折り返して、折り返した基板の間でプラズマを生成してプラズマCVDによる成膜を行なうことにより、実質的に基板に対して同じプラズマで2回の成膜を行なって高レートな成膜を可能とした成膜装置において、折り返し前後の成膜(1回目の成膜と2回目の成膜)における印加電圧の差を無くし、適正な薄膜を安定して形成することを可能にしたものである。
前述のように、このような基板の搬送経路を折り返して、基板間で成膜を行なう成膜装置では、図6に示すように、折り返し搬送される基板を挟んで配置される1対の電極を用い、一方を高周波電極、他方を接地電極として作用させて、電極間で高周波電圧を印加して、ガスを励起してプラズマを生成し、プラズマCVDによる成膜を行なう。あるいは、電極対の両方に高周波電源を接続するのではなく、高周波電源を一方の電極のみに接続し、他方の電極は接地電極となっている。
ところが、このような構成では、高周波電極側と接地電極側とで、電位が異なってしまう。そのため、高周波電極側と接地電極側とで、基板Zに対するプラズマや、基板Zに引き込まれるイオン(反応ガスのイオン、あるいはさらに、アルゴンなとの反応ガスと共に導入されるガスのイオン)のエネルギーが異なってしまい、折り返し前(1回目)の成膜と、折り返し後(2回目)の成膜とで、成膜条件が違ってしまう。例えば、プラズマCVDでは、この電位の違いによって、イオンが電位の低い高周波電極側により強く引き込まれる。その結果、高周波電極側の基板Zと、接地電極側の基板Zとで、形成される膜の密度や成膜速度が異なってしまい、これが、膜の品質低下の一因となる場合が有る。
また、特許文献2に示されるように、折り返し搬送する基板の間のみに電極を配置して、放電してプラズマを形成する構成では、基板あるいは電極に対してバイアスを印加することができないので、例えば、イオンボンバードメントによる膜の緻密化等の効果を得ることができない。
これに対し、本発明の成膜装置10においては、前述のように、折り返し搬送する基板Zを挟んで配置される電極のみならず、折り返し搬送する基板の間にも第2電極を設け、第2電極と2つの第1電極との間で2つの電極対を形成することにより、折り返し前後の基板(1回目の成膜および2回目の成膜)に対して、1つずつの電極対を有する。
そのため、折り返し前の基板Zに対するプラズマCVDによる成膜(1回目の成膜)と、折り返し後の基板Zに対するプラズマCVDによる成膜(2回目の成膜)とで、電位を同様にすることができ、折り返し前の成膜と折り返し後の成膜とで、同条件で成膜を行なうことができる。
そのため、本発明によれば、折り返し前の成膜と折り返し後の成膜とで、均質な薄膜を形成することができ、適正な薄膜を高いレートで安定して成膜できる。
また、図1に示す成膜装置10のように、第1電極である電極50および52を高周波電源に接続し、第2電極54を接地する構成では、高周波電源に接続した第1電極すなわち基板Zに向けて、イオンを引き込む力を強くすることができる。
そのため、この場合には、プラズマCVDによって形成する膜に、イオンを打ち込むような効果を得ることができ、イオンボンバードメントによる膜の緻密化等を図ることができ、このような特性を要求される膜の形成等の用途に有効である。
図1に示す成膜装置10は、第1電極である電極50および52に高周波電源58を接続し、基板Zの間に配置される第2電極54を接地した構成を有するが、本発明は、これに限定はされず、各種の構成が利用可能である。
一例として、成膜装置10とは逆に、図2に示す成膜装置70のように、折り返し搬送される基板Zを挟んで配置される第1電極である電極50および52を接地し、基板Zの間に配置される第2電極54に高周波電源82を接続した構成を有するものである。
図2に示す成膜装置70は、前記成膜装置10に対して、第1電極および第2電極の高周波電源と接地とを入れ換えたのみであるので、同じ部材には、同じ符号を付し、以下の説明は、異なる点について、主に行なう。
高周波電源82は、前記高周波電源58と同様に、プラズマCVDによる成膜装置に電源として用いられる、通常の高周波電源である。
また、高周波電源82は、前記高周波電源58と同じ物でも異なる物でもよい。
前述のように、第1電極を高周波電源に接続し、第2電極54を接地する成膜装置10の構成では、基板Zに向けて、イオンを引き込む力を強くすることができる。
これに対して、図2に示す、第1電極である電極50および52を接地し、第2電極54を高周波電源82に接続する成膜装置70では、基板Zに向けてイオンを引き込む力を、逆に、弱くすることができる。
そのため、この構成によれば、イオンの突入による基板Zの損傷を抑制することができ、例えば、基板Zの強度が低い場合、形成する膜のダメージを最小限にしたい場合等の用途に有効である。
図3に、本発明の成膜装置の別の例を示す。
図3に示す成膜装置74は、第1電源である電極50および52には、それぞれ同じ高周波電源58を接続し、さらに、第2電極54も、高周波電源82に接続する。すなわち、この構成では、電極対を成す電極50と第2電極54の両者、および、電極対を成す電極52と第2電極54の両者で、独立して供給電力や周波数を制御できる(電極対を成す第1電極と第2電極とで、独立して供給電力や周波数を制御できる)。
なお、この構成でも、第1電極に接続される2つの高周波電源58は、基本的に、同じ周波数で同じ出力の電力を、自身が接続された電極に供給する。図示例のように、各電極の個々に高周波電源58を接続する構成に限定はされず、1つの高周波電源58を2つの電極50および52に接続してもよい。
このように、電極対を成す電極の両者に高周波電源を接続する構成によれば、一方の高周波電源のみをプラズマ生成に対応すればよいので、電極50および52、もしくは、第2電極54に供給する電力および周波数を調整することで、第2電極54と電極50および52との間の電位差を、任意に調整することが可能となる。すなわち、基板Zに引き込む(打ち込む)イオンのエネルギーを、任意に制御することが可能となる。
従って、このような構成を有することにより、形成する膜や製品の用途/種類等に応じて、前述のイオンの打ち込み効果や、基板や膜の損傷防止効果、さらには両効果のバランスを、任意にコントロールすることが可能となり、非常に自由度の高い成膜装置を実現することができる。
以上説明したように、本発明の成膜装置は、基板Zの搬送経路を折り返して、基板の間でプラズマCVDによる成膜を行なう成膜装置において、基板Zを挟んで配置した第1電極(電極50および52)に加え、折り返した基板間にも第2電極54を配置して、第1電極と第2電極とで、基板の折り返し前および折り返し後の成膜のに対応する、2つの電極対を形成したものである。
ここで、第2電極54は、折り返し搬送される基板Zの間、いわば、プラズマの生成領域に直接的に対面して配置される。そのため、本発明においては、第2電極を、反応ガスあるいはさらにその他のガスの供給部として用いるのも好ましい。
図4に、その一例の概念図を示す。
図4に示す成膜装置80は、図1に示す成膜装置10において、第2電極54にガス供給部としての作用も持たせたものである。図4に示す成膜装置80は、第2電極84がガス供給部として作用する以外は、前記成膜装置10と全く同様の構成を有するので、同じ部材には同じ符号を付し、以下の説明は、異なる部分を主に行なう。
また、図4の例は、第2電極にガス供給部としての作用を持たせる構成を、図1に示す成膜装置10に利用した例であるが、図2に示す成膜装置70、図3に示す成膜装置74にも、全く同様に利用できるのは、当然のことである。
図示例の成膜装置80において、第2電極84は、図4および図5に模式的に示すように、中空の平板状(薄い直方体状)のもので、先の第2電極54と同様に、電極50および52すなわち基板Zと平行に配置される。
第2電極84の電極50および52に対面する面には、図5に示すように、多数のガス供給口86が、搬送方向(矢印y方向)および幅方向(矢印x方向)に等間隔で配列して、多数、形成(穿孔)されている。なお、当然の事であるが、第2電極84は、成膜室36の構成や第2電極84の構成等に応じて、ガス供給口86が、最大限、プラズマ生成領域内に位置するように、配置されるのが好ましい。ここで、矢印yで示す搬送方向とは、基板Zの搬送方向であり、矢印xで示す幅方向とは、基板Zの幅方向であり搬送方向と直交する方向である。
第2電極84には、反応ガス(あるいはさらにその他のガス)の供給手段(図示省略)が接続され、第2電極84の内部空間に反応ガスが供給される。従って、第2電極84は、ガス供給手段からの反応ガスの供給によって、多数のガス供給口86から、基板Zに向けてガスを排出する。なお、反応ガスの供給手段は、先の例と同様に、公知のガス供給手段を利用すればよい。
また、図示例においては、反応ガスとアルゴンガスなど、複数のガスを第2電極84から供給する場合には、全てのガスを、共に、同じガス供給口86から排出するが、本発明は、これに限定はされず、第2電極84の内部を仕切って、各ガスを、互いに別のガス供給口56から排出するようにしてもよい。ここで、本発明の成膜装置において、反応ガスとは別の供給口からアルゴン等の他のガスを供給する場合には、反応ガス以外のガス供給口も、反応ガスと同様に形成されるのが好ましく、すなわち、少なくとも搬送方向に2以上で、折り返された基板の両内面にガスを供給するように、ガス供給口が形成されるのが好ましい。
なお、第2電極にガス供給部としての作用を持たせる場合には、このように第2電極の第1電極と対面する面の全面に均一にガス供給口86を設けるのに限定はされず、各種の構成が利用可能である。しかしながら、好ましくは、プラズマの生成領域内に、搬送方向に配列して2以上のガス供給口を有し、かつ、このガス供給口を、ガスを折り返し前後の基板Zの両者(折り返された基板Zの両内面)に吹き付ける方向にガスを排出するように設ける。
なお、プラズマ生成領域とは、具体的には、1対の電極による電圧の印加領域(図示例であれば電極50および電極52と、第2電極84とによる電圧の印加領域)であり、通常、電極対を成す電極の互いの端部周辺を最短距離で結んだ空間内である。なお、前述の棒状の電極を配列した構成のように、電極対を成す少なくとも一方の電極が複数の電極からなる構成では、全ての電極の基板面方向の最外周を一方の電極の端部周辺として、前述のように対を成す両電極の端部周辺を最短距離で結んだ空間内とすればよい。
このように、折り返し搬送した基板Zの間に配置される第2電極、すなわち、プラズマの生成領域に直接対面する第2電極にガス供給部としての作用を持たせることにより反応ガスをプラズマ生成領域内に迅速にガスを拡散して利用効率を上げることができ、しかも、折り返される前後の基板の両側に向けて、ガスを排出することにより、折り返し前後で、成膜に寄与するガス濃度をほぼ等しくできる。
そのため、第2電極をガス供給部とする本発明の成膜装置によれば、基板を折り返し搬送することによる効率および成膜レートの向上効果に加え、反応ガスの利用効率向上、および、折り返し前後におけるガス濃度の均一化に伴う成膜レートの均一化によって、プラズマCVDによって、より効率よく高レートの成膜を行なうことができる。中でも、特許文献1に示される放電プラズマ流を形成するプラズマCVDによる成膜のように、10Pa以上などの真空度の低い(高圧)のプラズマCVDでは、ガスが拡散し難いくいので、その効果は大きい。
特に、好ましくは図示例のように第2電極84のガス供給口86を搬送方向に等間隔で(均等に)配列し、より好ましくは幅方向にも等間隔で複数のガス供給口86を配列し、さらに、プラズマ生成領域内に出来るだけ多くのガス供給口86が存在するように第2電極84をに配置することにより、プラズマ生成領域の全域に渡って、迅速に反応ガスを供給できるので、より高効率のプラズマCVDによる成膜を行なうことが可能である。
本発明に用いられる第2電極84において、ガス供給口86は、図示例のように搬送方向に等間隔で配列されるのに限定はされないが、プラズマ生成領域において、搬送方向に2個以上、配列されていればよく、プラズマ生成領域の搬送方向の長さに応じて、2個以上の適宜設定した数を配列すればよい。
さらに、プラズマ生成領域において、搬送方向にガス濃度を均一にして、搬送方向にレートの変動等の無い適正な成膜をが行なえる等の点で、やはり、図示例のように、プラズマ生成領域内に搬送方向に等間隔でガス供給口86を有するのが、より好ましい。
なお、搬送方向に等間隔でガス供給口86を有する際における、ガス供給口86のピッチ(間隔)には、特に限定はなく、ガスの供給量や基板Zの搬送速度等に応じて、適宜、設定すればよいが、より効率のよい成膜が行なえる等の点で、中心間距離で15mm以下、特に、同10mm以下の間隔で、ガス供給口56を配置するのが好ましい。
また、ガス供給口86は、図示例のように幅方向にも配列されるのに限定はされず、幅方向には、1つのみのガス供給口86を有する構成であってもよい。
しかしながら、ガス供給口86が幅方向に1個では、基板Zに形成した膜が幅方向に膜厚ムラを有してしまう可能性も有るので、やはり、図示例のように、プラズマ生成領域内に搬送方向に複数配列、特に、等間隔でガス供給口86を有するのが好ましい。
なお、幅方向に等間隔でガス供給口86を有する際における、ガス供給口86のピッチ(間隔)にも、特に限定はなく、ガスの供給量や基板Zの搬送速度、さらには対応する基板Zの幅等に応じて、適宜、設定すればよいが、より幅方向の膜圧分布を無くし、かつ、効率のよい成膜が行なえる等の点で、中心間距離で15mm以下、特に、同10mm以下の間隔で、ガス供給口56を配置するのが好ましい。
さらに、本発明の第2電極84において、ガス供給口86のサイズにも特に限定は無い。しかしながら、ガス供給口86が大きすぎると、ガス供給口86内で放電してしまい、成膜に悪影響を及ぼす場合も有る。そのため、本発明においては、ガス供給口86のサイズ(直径や対角線などの最大長さ)は、1mm以下であるのが好ましい。
なお、ガス供給口86の卦形状にも、特に限定はなく、円形でも矩形でもよい。
本発明の成膜装置に用いられる第2電極84において、ガス供給口86は、必ずしも搬送方向に完全に一致して配列される必要はなく、例えば、搬送方向に対して30°や45°の角度で配列されていてもよい。
また、ガス供給口86は、必ずしも、基板Zに最短距離で向かう(ガスが基板Zに直角に入射)ように、ガスを吹き付ける(噴射)するのにも限定はされず、例えば、基板Zに対して斜めにガスを噴射する等、ガス(ガス流)が基板Zに向かう方向であれば、各種の方向にガスを吹き付けてよい。
さらに、第2電極84のガス排出面(ガス供給口86の形成面)と、基板Zとは、必ずしも平行である必要は無いが、ガス排出面と基板Z面とが平行でないと、基板面において、搬送方向および/または幅方向でガス濃度の違いが生じてしまう可能性が有るので、やはり、ガス排出面と基板Z面とは平行であるのが好ましい。
本発明の成膜装置において、プラズマCVDによる成膜は、図示例のように、反応ガスを供給した領域に高周波電圧を印加することによって、プラズマを生成して、反応ガスを励起してプラズマCVDによって成膜を行なう方法に限定はされず、各種のプラズマCVDによる成膜方法が、全て、利用可能である。
例えば、前記特許文献1に開示されるような、折り返し搬送される基板の間に、プラズマガンを用いて基板に対峙するシート状の放電プラズマ流を形成し、かつ、基板の間に反応ガスを供給して、基板を挟んで配置される電極の両者に高周波電力を供給することで、放電プラズマ流および基板と交差する電界を形成してプラズマを生成することにより、基板の表面にプラズマCVDによる成膜を行なう方法が好適に利用可能である。なお、本発明の成膜装置に、この成膜方法を利用する場合には、電極50と第2電極54との間、および、電極52と第2電極54との間に、シート状の放電プラズマ流を形成する。
また、別の例として、本発明の成膜装置は、各種の反応性のプラズマCVDによる成膜装置などにも、好適に利用可能である。
以上、本発明の成膜装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
(A)は、本発明の成膜装置の一例の概念図であり、(B)は、本発明の成膜装置のガス供給部の別の例である。 本発明の成膜装置の別の例の概念図である。 本発明の成膜装置の別の例の概念図である。 本発明の成膜装置の別の例の概念図である。 図4に示す成膜装置の第2高電極を概念的に示す斜視図である。 従来の成膜装置の一例の概念図である。
符号の説明
10,70,74,80,100 成膜装置
12,102 供給室
14 成膜部
16,106 巻取り室
20,110 基板ロール
22,24,28,30 ガイドローラ
26,112 巻取りロール
34 搬送室
36,104 成膜室
38 折り返し室
40,42,114,118 ローラ
46,116 折り返しローラ
50,52,124 電極
54,84 第2電極
56 ガス供給部
58,82,120 高周波電源
60,68 バルブ
62,71 排気ライン
64,74 真空排気手段
86 ガス供給口
122 マッチングボックス

Claims (7)

  1. 搬送経路を逆方向に折り返す所定の搬送経路で基板を搬送する搬送手段と、
    前記折り返し前後の基板を外側から挟むように、前記基板に対峙して配置される2つの第1電極と、
    前記折り返し前後の基板の間に配置され、前記第1電極と電極対を成す第2電極と、
    前記折り返し前後の基板の間に反応ガスを供給するガス供給部とを有することを特徴とする成膜装置。
  2. 前記第2電極が接地され、前記第1電極に高周波電源が接続される請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記第1電極が接地され、前記第2電極が高周波電源に接続される請求項1に記載の成膜装置。
  4. 前記第1電極が高周波電源に接続され、また、前記第2電極が前記第1電極とは別の高周波電源に接続される請求項1に記載の成膜装置。
  5. 前記第2電極が、前記ガス供給部としても作用する請求項1〜4のいずれかに記載の成膜装置。
  6. 前記第2電極が、電極対を成す前記第1電極との電圧印加によるプラズマ生成領域内に、前記搬送手段による基板の搬送方向に配列して少なくとも2つのガスの供給口を有する請求項5に記載の成膜装置。
  7. 前記第1電極は、平行に対面して配置される1対の板状電極であり、
    前記第2電極は、前記第1電極に対面する面を有する中空体であり、この対面する面に、二次元的に前記ガスの供給口が形成される請求項5または6に記載の成膜装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014133915A (ja) * 2013-01-09 2014-07-24 Dainippon Printing Co Ltd プラズマcvd装置およびシート材料の製造方法

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