JP2009052092A - チタン−ゲルマニウム合金およびその製造方法、ならびに装身具、金属製日用品および金属製医療用部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、十分な強度を具備するとともに、装身具、金属製日用品、機械部品および人工歯根に加工するのに十分な圧延性を具備するチタン−ゲルマニウム合金およびその製造方法、並びにそのチタン−ゲルマニウム合金からなる装身具、金属製日用品および金属製医療用部材を提供することを目的とする。
【解決手段】1〜10質量%のゲルマニウムを含有し、残部がチタンであるチタン−ゲルマニウム合金であって、さらに、第三金属元素として、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Reの少なくともいずれか1種以上を0.01質量%以上1質量%未満含有することを特徴とするチタン−ゲルマニウム合金により、上記課題を解決できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、チタン−ゲルマニウム合金およびその製造方法、ならびに装身具、金属製日用品および金属製医療用部材に関する。
チタン(Ti)は、従来、軽量高強度材料として知られ、宇宙開発用機器、航空機部品などの部品に用いられている。また、ナイフ、はさみ、包丁などの金属製日用品、人工歯根、医療用メスなどの金属製医療用部材などにも用いられている。
さらに、Tiは、上記した軽量高強度という特性に加え、金属アレルギーを生じ難い金属なので、肌に触れる装身具用部材、たとえば、時計バンド、ネックレス、ペンダント、ブレスレッドなどに用いられている。さらに、マイナスイオンを放出する、光触媒機能を有する、防臭効果を奏するなどという特性も知られている。
さらに、Tiは、上記した軽量高強度という特性に加え、金属アレルギーを生じ難い金属なので、肌に触れる装身具用部材、たとえば、時計バンド、ネックレス、ペンダント、ブレスレッドなどに用いられている。さらに、マイナスイオンを放出する、光触媒機能を有する、防臭効果を奏するなどという特性も知られている。
一方、ゲルマニウム(Ge)は、遠赤外線に基づく健康増進あるいは治療・治癒などの効果があることが知られ、ネックレス、ペンダントあるいはブレスレッドなどにGeが埋め込まれたものが開発されている。
なお、Geは合金化しても、上記に示した遠赤外線に基づく効果は維持できる一方、部品点数を軽減することができるために製造コストを低減することができる、あるいは、接着などの不安定要因をなくすなどのメリットがあり、Geの合金化の研究開発が活発に行われている。たとえば、特許文献1には、銀(Ag)にGeを含有させた装身具用銀合金について開示され、特許文献2には、金(Au)にGeを含有させた装身具用金合金について開示されている。
なお、Geは合金化しても、上記に示した遠赤外線に基づく効果は維持できる一方、部品点数を軽減することができるために製造コストを低減することができる、あるいは、接着などの不安定要因をなくすなどのメリットがあり、Geの合金化の研究開発が活発に行われている。たとえば、特許文献1には、銀(Ag)にGeを含有させた装身具用銀合金について開示され、特許文献2には、金(Au)にGeを含有させた装身具用金合金について開示されている。
TiとGeの組み合わせは、先に述べた理由により人間の肌に触れる装身具用材料として好ましい組み合わせであるが、従来はTiからなる部品とGeからなる部品とを別々に製造し、後工程で組み合わせてネックレス、ペンダントあるいはブレスレッドなどを製造していた。しかしながら、このような製造方法では製造コストが高くなるとともに、生産効率が悪くなるなどという問題があった。また、Geは単体では非常の脆く、ガラスのように割れてしまうという問題があった。
そのため、チタンとゲルマニウムからなる合金(チタン−ゲルマニウム合金、Ti−Ge合金)の開発研究がなされ、Ti−Ge合金は、その強度がTi単体あるいはGe単体の強度よりも高いという特性や、その外観が白色の色調を呈し装飾機能に優れるなどという特性を有することが分かった。
これらの事情を踏まえ、特許文献3では、装飾性と健康志向性を兼ね備えた装身具用Ti−Ge合金が開示され、特許文献4では、装飾機能と健康増進あるいは治療・治癒機能を兼ね備えたTi−Ge合金が開示されている。
そのため、チタンとゲルマニウムからなる合金(チタン−ゲルマニウム合金、Ti−Ge合金)の開発研究がなされ、Ti−Ge合金は、その強度がTi単体あるいはGe単体の強度よりも高いという特性や、その外観が白色の色調を呈し装飾機能に優れるなどという特性を有することが分かった。
これらの事情を踏まえ、特許文献3では、装飾性と健康志向性を兼ね備えた装身具用Ti−Ge合金が開示され、特許文献4では、装飾機能と健康増進あるいは治療・治癒機能を兼ね備えたTi−Ge合金が開示されている。
しかしながら、特許文献3または特許文献4において開示されたTi−Ge合金は、圧延性(展延性)が十分でなく、装身具等に加工する際に、所望の形状に加工することが困難であった。無理に加工を行う場合には、クラックが入るなどの問題が生じた。
また、従来、Ti−Ge合金の製造においては、溶融法が用いられてきたが、その溶融法は、大量の試料を大きな製造装置で処理しなければならず、少量多品種の装身具を製造する場合には、製造コストおよび製造効率の面で問題があった。
特開2000−144285号公報
特開2002−105558号公報
特開2005−200760号公報
特開2005−240169号公報
また、従来、Ti−Ge合金の製造においては、溶融法が用いられてきたが、その溶融法は、大量の試料を大きな製造装置で処理しなければならず、少量多品種の装身具を製造する場合には、製造コストおよび製造効率の面で問題があった。
上記事情を鑑みて、本発明は、十分な強度を具備するとともに、装身具、金属製日用品、機械部品および金属製医療用部材に加工するのに十分な圧延性を具備するチタン−ゲルマニウム合金およびその製造方法、並びにそのチタン−ゲルマニウム合金からなる装身具、金属製日用品および金属製医療用部材を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、
本発明のチタン−ゲルマニウム合金は、1〜10質量%のゲルマニウムを含有し、残部がチタンであるチタン−ゲルマニウム合金であって、さらに、第三金属元素として、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Reの少なくともいずれか1種以上を0.01質量%以上1質量%未満含有することを特徴とする。
本発明のチタン−ゲルマニウム合金は、1〜10質量%のゲルマニウムを含有し、残部がチタンであるチタン−ゲルマニウム合金であって、さらに、第三金属元素として、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Reの少なくともいずれか1種以上を0.01質量%以上1質量%未満含有することを特徴とする。
本発明のチタン−ゲルマニウム合金の製造方法は、先に記載のチタン−ゲルマニウム合金の製造方法であって、金属原料粉末と樹脂バインダーとを混練して混練混合物を形成する混練工程と、前記混練混合物を造粒して粒形混合物を形成する造粒工程と、前記粒形混合物を型に射出成形して射出成形物を形成する射出成形工程と、前記射出成形物を脱脂して脱脂成形物を形成する脱脂工程と、前記脱脂成形物を予備焼結して予備焼結物を形成する予備焼結工程と、前記予備焼結物を焼結して焼結成形物を形成する焼結工程と、を備えるメタルインジェクションモールド(MIM)法を用いることを特徴とする。
本発明のチタン−ゲルマニウム合金の製造方法は、前記混練工程が、チタンからなる主金属原料粉末と、ゲルマニウムからなる副金属原料粉末と、第三金属元素からなる第三金属原料粉末と、樹脂バインダーとを混練する工程であり、前記主金属原料粉末の粒径が45μm以下であり、前記副金属原料粉末の粒径が45μm以下であり、前記第三金属原料粉末の粒径が10μm以下であり、前記樹脂バインダーの量が30〜60vol%であることが好ましい。
本発明の装身具は、先に記載のチタン−ゲルマニウム合金を用いることを特徴とする。
本発明の金属製日用品は、先に記載のチタン−ゲルマニウム合金を用いることを特徴とする。
本発明の金属製医療用部材は、先に記載のチタン−ゲルマニウム合金を用いることを特徴とする。
本発明によれば、十分な強度を具備するとともに、装身具、金属製日用品および金属製医療用部材に加工するのに十分な圧延性を具備するチタン−ゲルマニウム合金およびその製造方法、並びにそのチタン−ゲルマニウム合金からなる装身具、金属製日用品および金属製医療用部材を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の実施形態であるチタン−ゲルマニウム合金(Ti−Ge合金)は、ゲルマニウム(Ge)を1〜10質量%含有し、さらに少なくとも1種以上の第三金属元素を含有し、その第三金属元素はそれぞれ0.01質量%以上1質量%未満であり、残部がチタン(Ti)および不可避不純物とからなる組成を有して構成されている。
本発明の実施形態であるチタン−ゲルマニウム合金(Ti−Ge合金)は、ゲルマニウム(Ge)を1〜10質量%含有し、さらに少なくとも1種以上の第三金属元素を含有し、その第三金属元素はそれぞれ0.01質量%以上1質量%未満であり、残部がチタン(Ti)および不可避不純物とからなる組成を有して構成されている。
前記Ti−Ge合金は、Geを1〜10質量%含有することが好ましい。
Geが1質量%未満の場合には、Ti−Ge合金の強度がそれほど向上せず、Geの効果も十分でないために、装身具、金属製日用品および金属製医療用部材としての材料としては好ましくない。また、Geが10質量%を超える場合には、Geを十分拡散させることができないので、Ti−Ge合金の内部に不均一なGe濃度分布が生じ、割れやすいものとなる。そのため、装身具、金属製日用品および金属製医療用部材としての材料としては好ましくない。
Geが1質量%未満の場合には、Ti−Ge合金の強度がそれほど向上せず、Geの効果も十分でないために、装身具、金属製日用品および金属製医療用部材としての材料としては好ましくない。また、Geが10質量%を超える場合には、Geを十分拡散させることができないので、Ti−Ge合金の内部に不均一なGe濃度分布が生じ、割れやすいものとなる。そのため、装身具、金属製日用品および金属製医療用部材としての材料としては好ましくない。
第三金属元素とは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの周期律表3a族の元素、もしくは、Ti、Zr、Hfの周期律表4a族の元素、もしくはV、Nb、Taの周期律表5a族の元素、もしくは、Cr、Mo、Wの周期律表6a族の元素、もしくは、Mn、Tc、Reの周期律表7a族の元素である。
第三金属元素は、前記いずれかの元素が少なくとも1種以上含有されて構成されることが好ましい。前記いずれかの元素が少なくとも1種含有されていれば、Ti−Ge合金の組織が安定化され、Ti−Ge合金の圧延性を向上させることができるためである。
また、前記いずれかの元素が少なくともいずれか1種以上含有されていることが好ましく、たとえば、2種以上含有されていても良い。
また、前記いずれかの元素が少なくともいずれか1種以上含有されていることが好ましく、たとえば、2種以上含有されていても良い。
第三金属元素は、0.01質量%以上1質量%未満の範囲で含有されていることが好ましい。この範囲の第三金属元素が含有されることによって、Ti−Ge合金の組織が安定化され、Ti−Ge合金の圧延性が向上される。
第三金属元素の含有量が0.01質量%未満の場合には、Ti−Ge合金の組織が安定化され難く、Ti−Ge合金の圧延性が十分に向上されないので好ましくない。たとえば、第三金属元素としてMoを0.001質量%含有する場合は、上記したようにTi−Ge合金の圧延性が十分に向上されないので好ましくない。
逆に、第三金属元素の含有量が1質量%以上の場合には、Ti−Ge合金の組織は不安定になり、金属間化合物の析出を招いて脆化し、圧延が困難となるので好ましくない。さらに、Ti−Ge合金の引張強度が劣化する場合が生じるので好ましくない。たとえば、第三金属元素としてMoを1.5質量%含有する場合は、上記したように引張強度が劣化する場合が生じるので好ましくない。
第三金属元素が2種以上である場合には、合計量が0.01質量%以上1質量%未満の範囲で含有されていることが好ましい。たとえば、第三金属元素として、Moを0.2質量%、Mnを0.2質量%、Yを0.2質量%、Hfを0.2質量%、Vを0.15質量%含有する場合には、その合計量が0.95質量%となるので好ましい。また、Moを0.5質量%、Wを0.45質量%含有する場合も、その合計量が0.95質量%となるので好ましい。
第三金属元素の含有量が0.01質量%未満の場合には、Ti−Ge合金の組織が安定化され難く、Ti−Ge合金の圧延性が十分に向上されないので好ましくない。たとえば、第三金属元素としてMoを0.001質量%含有する場合は、上記したようにTi−Ge合金の圧延性が十分に向上されないので好ましくない。
逆に、第三金属元素の含有量が1質量%以上の場合には、Ti−Ge合金の組織は不安定になり、金属間化合物の析出を招いて脆化し、圧延が困難となるので好ましくない。さらに、Ti−Ge合金の引張強度が劣化する場合が生じるので好ましくない。たとえば、第三金属元素としてMoを1.5質量%含有する場合は、上記したように引張強度が劣化する場合が生じるので好ましくない。
第三金属元素が2種以上である場合には、合計量が0.01質量%以上1質量%未満の範囲で含有されていることが好ましい。たとえば、第三金属元素として、Moを0.2質量%、Mnを0.2質量%、Yを0.2質量%、Hfを0.2質量%、Vを0.15質量%含有する場合には、その合計量が0.95質量%となるので好ましい。また、Moを0.5質量%、Wを0.45質量%含有する場合も、その合計量が0.95質量%となるので好ましい。
不可避不純物とは、TiあるいはGeと物性等が類似しているために除去することが困難な元素、あるいはTi−Ge合金の製造工程上含有されてしまうのが不可避な元素である。また、前記不可避不純物は、それぞれ0.5質量%以下であることが好ましい。不可避不純物が0.5質量%を超える場合には、Ti−Ge合金の特性を劣化させるおそれが発生する。前記不可避不純物は、0.05質量%以下とすることがより好ましい。
なお、表1は、TiおよびGeに含まれる不可避不純物の種類及びその割合(質量%)の一例を示したものである。
なお、表1は、TiおよびGeに含まれる不可避不純物の種類及びその割合(質量%)の一例を示したものである。
本発明の実施形態であるチタン−ゲルマニウム合金は、1〜10質量%のゲルマニウムを含有し、残部がチタンであるチタン−ゲルマニウム合金であって、さらに、第三金属元素として、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Reの少なくともいずれか1種以上を0.01質量%以上1質量%未満含有する構成なので、Ti−Ge合金の組織を安定化して化合物の生成を抑えるため、Ti−Ge合金の圧延性を向上させることができる。
そのため、精密で、曲線部を有する成形物を作製したとしても、製造工程および使用時においてクラックの入らない成形物とすることができる。
そのため、精密で、曲線部を有する成形物を作製したとしても、製造工程および使用時においてクラックの入らない成形物とすることができる。
次に、本発明の実施形態であるチタン−ゲルマニウム合金(Ti−Ge合金)の製造方法について説明する。
本発明の実施形態であるTi−Ge合金の製造方法においては、MIM(Metal Injection Mold)法を用いる。
本発明の実施形態であるTi−Ge合金の製造方法においては、MIM(Metal Injection Mold)法を用いる。
MIM(Metal Injection Mold)法とは、粉末金属射出成形法のことである。粉末金属射出成形法は、金属材料を用いる粉末射出成形法のことである。なお、粉末射出成形法には、セラミックス材料を用いる方法もある。粉末射出成形法は、粉末冶金法(PM法)における圧粉成形工程の代わりにプラスチック射出成形工程を代替させた方法であり、複雑形状の焼結部品を、ほぼ最終製品の形状に近い(ニアネットシェイプ)状態で量産可能にする新しい部品製造技術である。
MIM法の製造工程は、材料準備工程、混練工程と、造粒工程と、射出成形工程と、脱脂工程と、予備焼結工程と、焼結工程と、後処理工程とから構成される。
以下、各工程について説明する。
以下、各工程について説明する。
「材料準備工程」
まず、主金属原料粉末として、粒径が45μm以下のTiからなる金属原料粉末を用意する。
次に、副金属原料粉末として、粒径が45μm以下のGeからなる金属原料粉末を用意する。これらの金属原料粉末の粒径が45μmを超える場合には、乳鉢や粉砕機でよくすりつぶすことにより、45μm以下とする。
さらに、第三金属原料粉末として、粒径が10μm以下の第三金属元素からなる原料粉末を用意する。第三金属原料粉末の大きさが10μmを超える場合には、乳鉢や粉砕機でよくすりつぶすことにより、10μm以下とする。
まず、主金属原料粉末として、粒径が45μm以下のTiからなる金属原料粉末を用意する。
次に、副金属原料粉末として、粒径が45μm以下のGeからなる金属原料粉末を用意する。これらの金属原料粉末の粒径が45μmを超える場合には、乳鉢や粉砕機でよくすりつぶすことにより、45μm以下とする。
さらに、第三金属原料粉末として、粒径が10μm以下の第三金属元素からなる原料粉末を用意する。第三金属原料粉末の大きさが10μmを超える場合には、乳鉢や粉砕機でよくすりつぶすことにより、10μm以下とする。
Tiからなる金属原料粉末およびGeからなる金属原料粉末の粒径は45μm以下とすることが好ましい。これらの金属原料粉末の粒径が45μmを超える場合には、粒径の大きな粒子が固まることにより、最終的に形成されるTi−Ge合金にGeの不均一な濃度分布が生じるおそれが発生する。
また、第三金属原料粉末の粒径は10μm以下とすることが好ましい。第三金属原料粉末の粒径が10μmを超える場合には、粒径の大きな粒子が固まることにより、最終的に形成されるTi−Ge合金に第三金属の不均一な濃度分布が生じるおそれが発生する。
また、第三金属原料粉末の粒径は10μm以下とすることが好ましい。第三金属原料粉末の粒径が10μmを超える場合には、粒径の大きな粒子が固まることにより、最終的に形成されるTi−Ge合金に第三金属の不均一な濃度分布が生じるおそれが発生する。
各金属原料粉末の純度は、Tiは99%以上、Geは99.9%以上、第三金属元素は98%〜99.98%とすることが好ましい。各金属原料粉末の純度が、上記条件を満たさない場合には、不純物濃度が多くなり、最終的に形成されるTi−Ge合金の特性を劣化させるおそれが発生する。
「混練工程」
すべての金属原料粉末を混合機に入れ、それらが均一に分散するように良く混合して混合金属原料粉末を作製する。
次に、前記混合金属原料粉末を混練機に入れた後、樹脂バインダーを30〜60vol%となるように加えて、混練して、混練混合物を作製する。
前記混合機は、金属原料粉末を混合するための機械であり、一般的に使用されているものを用いることができる。また、前記混練機は、前記混合金属原料粉末および熱可塑性樹脂を混ぜて練る(混練する)機械であり、一般的に使用されているものを用いることができる。また、樹脂バインダーは、混合金属原料粉末を固めるという役割を有し、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
すべての金属原料粉末を混合機に入れ、それらが均一に分散するように良く混合して混合金属原料粉末を作製する。
次に、前記混合金属原料粉末を混練機に入れた後、樹脂バインダーを30〜60vol%となるように加えて、混練して、混練混合物を作製する。
前記混合機は、金属原料粉末を混合するための機械であり、一般的に使用されているものを用いることができる。また、前記混練機は、前記混合金属原料粉末および熱可塑性樹脂を混ぜて練る(混練する)機械であり、一般的に使用されているものを用いることができる。また、樹脂バインダーは、混合金属原料粉末を固めるという役割を有し、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
前記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン (PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、アクリル樹脂(PMMA)などの汎用プラスチック、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)、などのエンジニアリング・プラスチック、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF、ポリエーテルスルホン(PES)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)などのスーパーエンジニアリングプラスチックなどを挙げることができる。
前記樹脂バインダーの量は、30〜60vol%とすることが好ましい。この範囲の樹脂バインダーを金属原料粉末と混練して混練混合物を作製することにより、後述する射出成形工程で使用しやすい粒形混合物を作製することができる。
樹脂バインダーの量が30vol%未満の場合には、樹脂バインダーの量が少なすぎるために、製造工程の途中で混練混合物が崩れるおそれが発生して好ましくない。逆に、樹脂バインダーの量が60vol%を超える場合には、樹脂バインダーの量が多すぎるために、後述する脱脂工程および焼結工程において、焼結でも十分な収縮が進行せず、穴だらけの製品となる。また、うまく焼結されても、部品の寸法を大きく狂わせるおそれが発生して好ましくない。
樹脂バインダーの量が30vol%未満の場合には、樹脂バインダーの量が少なすぎるために、製造工程の途中で混練混合物が崩れるおそれが発生して好ましくない。逆に、樹脂バインダーの量が60vol%を超える場合には、樹脂バインダーの量が多すぎるために、後述する脱脂工程および焼結工程において、焼結でも十分な収縮が進行せず、穴だらけの製品となる。また、うまく焼結されても、部品の寸法を大きく狂わせるおそれが発生して好ましくない。
「造粒工程」
次に、前記混練混合物を造粒機に入れて、造粒することにより、顆粒状の粒形混合物を作製する。
前記造粒機は、金属原料粉末と樹脂バインダーを混練して作製された混練混合物から粒形の物質を作製する機械であり、一般的に使用されているものを用いることができる。前記粒形混合物は、後述する射出成形工程で使用しやすい形に形成することが好ましく、たとえば、ペレット形状で作製しても良い。
次に、前記混練混合物を造粒機に入れて、造粒することにより、顆粒状の粒形混合物を作製する。
前記造粒機は、金属原料粉末と樹脂バインダーを混練して作製された混練混合物から粒形の物質を作製する機械であり、一般的に使用されているものを用いることができる。前記粒形混合物は、後述する射出成形工程で使用しやすい形に形成することが好ましく、たとえば、ペレット形状で作製しても良い。
「射出成形工程」
次に、前記粒形混合物を射出成形機に入れ、金型に射出成形して、射出成形物を作製する。
前記射出成形機は、金型に前記混合物を入れた後、一定の圧力を付加して押し固めて、金型に対応した形状の射出成形物を形成する機械であり、一般的に使用されているもの、たとえば、プラスチックの射出成形に用いられているものを用いることができる。
前記金型は、焼結時の縮み代を計算して、製品寸法より少し大きいものとする。
次に、前記粒形混合物を射出成形機に入れ、金型に射出成形して、射出成形物を作製する。
前記射出成形機は、金型に前記混合物を入れた後、一定の圧力を付加して押し固めて、金型に対応した形状の射出成形物を形成する機械であり、一般的に使用されているもの、たとえば、プラスチックの射出成形に用いられているものを用いることができる。
前記金型は、焼結時の縮み代を計算して、製品寸法より少し大きいものとする。
「脱脂工程」
次に、まず、前記射出成形物を脱脂して、脱脂成形物を作製する。
ここで、脱脂とは、樹脂バインダーを取り除くことである。脱脂方法には、光脱脂分解、加熱脱脂、溶媒脱脂などの方法がある。加熱脱脂は、減圧下で射出成形物を加熱して、その内部に含有された樹脂バインダーを分解して不純物ガスなどとして排出する方法であり、処理時間は長いが、大量に処理することができるので、一般に良く用いられている。
次に、まず、前記射出成形物を脱脂して、脱脂成形物を作製する。
ここで、脱脂とは、樹脂バインダーを取り除くことである。脱脂方法には、光脱脂分解、加熱脱脂、溶媒脱脂などの方法がある。加熱脱脂は、減圧下で射出成形物を加熱して、その内部に含有された樹脂バインダーを分解して不純物ガスなどとして排出する方法であり、処理時間は長いが、大量に処理することができるので、一般に良く用いられている。
「予備焼結工程」
必要により、予備焼結を行う。予備焼結工程は、焼結より少し低温で行われ、本発明のような酸化性の強い材料であるチタンなどの場合に実施される。本工程では、バインダー成分を除去し、材料側にリターンしないように実施される。
必要により、予備焼結を行う。予備焼結工程は、焼結より少し低温で行われ、本発明のような酸化性の強い材料であるチタンなどの場合に実施される。本工程では、バインダー成分を除去し、材料側にリターンしないように実施される。
まず、真空加熱炉の中に前記射出成形物を搬入する。次に、前記真空加熱炉のチャンバー内を減圧状態とする。この減圧工程により、射出成形物の内部に含有されるある程度の気体性不純物が排出される。
さらに、真空加熱炉の温度を昇温させ、ある脱脂温度において一定時間保持することにより、射出成形物の内部に含有されていた樹脂バインダーが気体化され、不純物ガスとして排出される。このようにして、射出成形物の内部に含有されていた樹脂バインダーを不純物ガスなどとして脱脂することができる。
さらに、真空加熱炉の温度を昇温させ、ある脱脂温度において一定時間保持することにより、射出成形物の内部に含有されていた樹脂バインダーが気体化され、不純物ガスとして排出される。このようにして、射出成形物の内部に含有されていた樹脂バインダーを不純物ガスなどとして脱脂することができる。
脱脂温度は、400℃前後とすることが好ましい。脱脂温度を400℃前後とすれば、樹脂バインダーを気化させることができるためである。
予備焼結温度は、後述する焼結温度より10〜30K低い温度に設定することが好ましい。この予備焼結工程の後、直ちに焼結工程に入るのが製造プロセスの上で好ましく、予備焼結温度と焼結温度が近ければ、短時間で焼結工程に移動させることができ、製造効率を向上させることができるためである。たとえば、焼結温度を1200Kとする場合には、予備焼結温度を1170〜1190Kとすることが好ましい。
また、脱脂および予備焼結のための保持時間は、材料組成によって適宜設定する。
予備焼結温度は、後述する焼結温度より10〜30K低い温度に設定することが好ましい。この予備焼結工程の後、直ちに焼結工程に入るのが製造プロセスの上で好ましく、予備焼結温度と焼結温度が近ければ、短時間で焼結工程に移動させることができ、製造効率を向上させることができるためである。たとえば、焼結温度を1200Kとする場合には、予備焼結温度を1170〜1190Kとすることが好ましい。
また、脱脂および予備焼結のための保持時間は、材料組成によって適宜設定する。
「焼結工程」
焼結工程は、焼結炉において前記脱脂成形物を焼き固めて焼結成形物を作製する工程である。この焼結工程により、前記脱脂成形物は合金化され、相対密度95%以上の密度の高い合金とされる。
前記焼結炉は、前記脱脂工程において用いた真空加熱炉を用いても良い。また、前記真空加熱炉に連続して設置された別の焼結炉を用いても良い。
焼結工程は、焼結炉において前記脱脂成形物を焼き固めて焼結成形物を作製する工程である。この焼結工程により、前記脱脂成形物は合金化され、相対密度95%以上の密度の高い合金とされる。
前記焼結炉は、前記脱脂工程において用いた真空加熱炉を用いても良い。また、前記真空加熱炉に連続して設置された別の焼結炉を用いても良い。
Ti−Ge合金の場合には、焼結温度の範囲は1150〜1400Kとすることが好ましく、1198K〜1373Kとすることがより好ましい。Ti−Ge合金の引張強度、圧延性(伸び)および硬度などの材料特性は、この温度範囲で温度を上げるに従い向上するためである。
焼結温度が1400Kを超える場合には、結晶粒が大きくなるので、Ti−Ge合金においてGeの不均一な濃度分布が発生して好ましくない。また、不用意に温度を上げた場合には、金属間化合物の発生を招くおそれも発生して好ましくない。
逆に、焼結温度が1150K未満の場合には、焼結温度が低すぎるので、Ti−Ge合金において合金化されない部分が発生して好ましくない。さらに、気孔が縮小せずに、機械的特性にも影響するおそれが発生して好ましくない。
焼結温度が1400Kを超える場合には、結晶粒が大きくなるので、Ti−Ge合金においてGeの不均一な濃度分布が発生して好ましくない。また、不用意に温度を上げた場合には、金属間化合物の発生を招くおそれも発生して好ましくない。
逆に、焼結温度が1150K未満の場合には、焼結温度が低すぎるので、Ti−Ge合金において合金化されない部分が発生して好ましくない。さらに、気孔が縮小せずに、機械的特性にも影響するおそれが発生して好ましくない。
また、焼結時間は10〜30ksとすることが好ましく、14〜15ksがより好ましい。
焼結時間が1ks未満の場合は、焼結時間が短すぎるので、焼結できない部分が発生して好ましくない。また、逆に、焼結時間が30ksを超える場合には、焼結時間が長すぎるので、製造効率を悪化させたり、結晶粒の粗大化を招くため好ましくない。
焼結時間が1ks未満の場合は、焼結時間が短すぎるので、焼結できない部分が発生して好ましくない。また、逆に、焼結時間が30ksを超える場合には、焼結時間が長すぎるので、製造効率を悪化させたり、結晶粒の粗大化を招くため好ましくない。
「後処理工程」
以上のようにして、第三金属元素を添加したTi−Ge合金からなる最終成形物を得ることが出来る。
しかし、この最終成形物に、さらに精度や強度が必要な場合には、目的に合わせて「再圧縮」、「焼入れ」、「表面処理」または「加圧成型」などの後処理を行なう。
「再圧縮」とは、射出成形工程で用いた射出成形機を用いて、より高精度の型に最終成形物を押し込んで、加圧する工程である。この工程により、精度を高めることができる。「焼入れ」とは、焼結工程で用いた焼結炉を用いて、再加熱を行うことである。この工程により、Ti、Geおよび第三金属元素の間の微妙な元素配置を修正して、強度を向上させることができる。「表面処理」とは、最終成形物の表面に機械的処理あるいは化学的処理を行うことにより、表面の耐食性を高めることができる。さらに、表面の装飾性も高めることができる。機械的処理とは、たとえば、研磨などである。「加圧成型」とは、得られた最終成形物にプレス加工のような2次加工を加えて、成型加工することである。この工程により、より製品に近い形状に成型加工することができる。
以上のようにして、第三金属元素を添加したTi−Ge合金からなる最終成形物を得ることが出来る。
しかし、この最終成形物に、さらに精度や強度が必要な場合には、目的に合わせて「再圧縮」、「焼入れ」、「表面処理」または「加圧成型」などの後処理を行なう。
「再圧縮」とは、射出成形工程で用いた射出成形機を用いて、より高精度の型に最終成形物を押し込んで、加圧する工程である。この工程により、精度を高めることができる。「焼入れ」とは、焼結工程で用いた焼結炉を用いて、再加熱を行うことである。この工程により、Ti、Geおよび第三金属元素の間の微妙な元素配置を修正して、強度を向上させることができる。「表面処理」とは、最終成形物の表面に機械的処理あるいは化学的処理を行うことにより、表面の耐食性を高めることができる。さらに、表面の装飾性も高めることができる。機械的処理とは、たとえば、研磨などである。「加圧成型」とは、得られた最終成形物にプレス加工のような2次加工を加えて、成型加工することである。この工程により、より製品に近い形状に成型加工することができる。
本発明の実施形態であるチタン−ゲルマニウム合金の製造方法は、先に記載のチタン−ゲルマニウム合金の製造方法であって、金属原料粉末と樹脂バインダーとを混練して混練混合物を形成する混練工程と、前記混練混合物を造粒して粒形混合物を形成する造粒工程と、前記粒形混合物を型に射出成形して射出成形物を形成する射出成形工程と、前記射出成形物を脱脂して脱脂成形物を形成する脱脂工程と、前記脱脂成形物を焼結して焼結成形物を形成する焼結工程と、を備えるメタルインジェクションモールド(MIM)法を用いる構成なので、金属原料粉末を均一に分散してTi−Ge合金を作製することができ、引張強度、圧延性および硬度に優れたTi−Ge合金からなる成形物を得ることができる。
また、前記MIM法は、溶融法とはことなり、大量の試料および大掛かりな装置を必要とせず、製造コストを低減化することができるとともに、製造効率を上げることができる。また、近年の多品種、少量生産にも適している。
また、前記MIM法は、溶融法とはことなり、大量の試料および大掛かりな装置を必要とせず、製造コストを低減化することができるとともに、製造効率を上げることができる。また、近年の多品種、少量生産にも適している。
本発明のチタン−ゲルマニウム合金の製造方法は、前記混練工程が、チタンからなる主金属原料粉末と、ゲルマニウムからなる副金属原料粉末と、第三金属元素からなる第三金属原料粉末と、樹脂バインダーとを混練する工程であり、前記主金属原料粉末の粒径が45μm以下であり、前記副金属原料粉末の粒径が45μm以下であり、前記第三金属原料粉末の粒径が10μm以下であり、前記樹脂バインダーの量が30〜60vol%である構成なので、金属原料粉末を適度に、かつ均一に分散した混練混合物を作製することができ、この混練混合物から射出成形に適した粒形混合物を作製することができ、さらに、この粒形混合物から焼結成形物に適した射出成形物を作製することができる。そのため、Ti−Ge合金の組織を安定化して、圧延性を向上させたTi−Ge合金からなる射出成形物を作製することができる。
次に、本発明の実施形態である装身具について説明する。本発明の実施形態である装身具は、先に記載のチタン−ゲルマニウム合金を用いる。
装身具とは、肌に触れる部分に用いられる部材のことであり、時計バンド、ネックレス、ペンダント、ブレスレッドなどのことである。この部材自身を先に記載のチタン−ゲルマニウム合金で作成しても良いし、この部材の一部を先に記載のチタン−ゲルマニウム合金で作成しても良い。
Tiは、軽量高強度という特性に加え、金属アレルギーを生じさせない金属なので、肌に触れる装身具用部材に用いることができる。さらに、マイナスイオンを放出する、光触媒機能を有する、防臭効果を奏するなどという特性もあるので、肌に触れる装身具用部材に用いることが効果的である。さらにまた、ゲルマニウムは、遠赤外線に基づく健康増進あるいは治療・治癒などの効果があるので、肌に触れる装身具用部材に用いることがより効果的である。
装身具とは、肌に触れる部分に用いられる部材のことであり、時計バンド、ネックレス、ペンダント、ブレスレッドなどのことである。この部材自身を先に記載のチタン−ゲルマニウム合金で作成しても良いし、この部材の一部を先に記載のチタン−ゲルマニウム合金で作成しても良い。
Tiは、軽量高強度という特性に加え、金属アレルギーを生じさせない金属なので、肌に触れる装身具用部材に用いることができる。さらに、マイナスイオンを放出する、光触媒機能を有する、防臭効果を奏するなどという特性もあるので、肌に触れる装身具用部材に用いることが効果的である。さらにまた、ゲルマニウムは、遠赤外線に基づく健康増進あるいは治療・治癒などの効果があるので、肌に触れる装身具用部材に用いることがより効果的である。
本発明の実施形態である装身具は、先に記載のチタン−ゲルマニウム合金からなる構成なので、Ti−Ge合金の組織を安定化して、圧延性を向上させたTi−Ge合金からなる装身具とすることができる。そのため、精密で、曲線部を有する装身具を作製したとしても、製造工程および使用時においてクラックの入らない装身具とすることができる。
次に、本発明の実施形態である金属製日用品について説明する。本発明の実施形態である金属製日用品は、先に記載のチタン−ゲルマニウム合金を用いる。
金属製日用品とは、金属製の部材を有する日用品のことであり、ナイフ、はさみ、包丁などの刃物部材または携帯電話、デジタルカメラの金属製筐体などの携帯用電子機器筐体のことである。この部材自身を先に記載のチタン−ゲルマニウム合金で作成しても良いし、この部材の一部を先に記載のチタン−ゲルマニウム合金で作成しても良い。
Tiは、軽量高強度という特性に加え、金属アレルギーを生じさせない金属なので、肌に触れる金属製日用品用部材に用いることができる。さらに、マイナスイオンを放出する、光触媒機能を有する、防臭効果を奏するなどという特性もあるので、肌に触れる金属製日用品用部材に用いることが効果的である。さらにまた、ゲルマニウムは、遠赤外線に基づく健康増進あるいは治療・治癒などの効果があるので、肌に触れる金属製日用品部材に用いることがより効果的である。
特に、理容バサミは長期間使用されるため、通常のチタン材料以上に使用者の健康増進効果を付与する。
金属製日用品とは、金属製の部材を有する日用品のことであり、ナイフ、はさみ、包丁などの刃物部材または携帯電話、デジタルカメラの金属製筐体などの携帯用電子機器筐体のことである。この部材自身を先に記載のチタン−ゲルマニウム合金で作成しても良いし、この部材の一部を先に記載のチタン−ゲルマニウム合金で作成しても良い。
Tiは、軽量高強度という特性に加え、金属アレルギーを生じさせない金属なので、肌に触れる金属製日用品用部材に用いることができる。さらに、マイナスイオンを放出する、光触媒機能を有する、防臭効果を奏するなどという特性もあるので、肌に触れる金属製日用品用部材に用いることが効果的である。さらにまた、ゲルマニウムは、遠赤外線に基づく健康増進あるいは治療・治癒などの効果があるので、肌に触れる金属製日用品部材に用いることがより効果的である。
特に、理容バサミは長期間使用されるため、通常のチタン材料以上に使用者の健康増進効果を付与する。
本発明の実施形態である金属製日用品は、先に記載のチタン−ゲルマニウム合金からなる構成なので、Ti−Ge合金の組織を安定化して、圧延性を向上させたTi−Ge合金からなる金属製日用品とすることができる。そのため、精密で、曲線部を有する金属製日用品を作製したとしても、製造工程および使用時においてクラックの入らない金属製日用品とすることができる。
次に、本発明の実施形態である金属製医療用部材について説明する。本発明の実施形態である金属製医療用部材は、先に記載のチタン−ゲルマニウム合金を用いる。
金属製医療用部材とは、金属製の部材を有する金属製医療用部材のことであり、手術用のメスや手術用のはさみ、または人工歯根などの医療機器に使用する金属材料のことである。この部材自身を先に記載のチタン−ゲルマニウム合金で作成しても良いし、この部材の一部を先に記載のチタン−ゲルマニウム合金で作成しても良い。
金属製医療用部材とは、金属製の部材を有する金属製医療用部材のことであり、手術用のメスや手術用のはさみ、または人工歯根などの医療機器に使用する金属材料のことである。この部材自身を先に記載のチタン−ゲルマニウム合金で作成しても良いし、この部材の一部を先に記載のチタン−ゲルマニウム合金で作成しても良い。
たとえば、本発明の実施形態である金属製医療用部材の一例として人工歯根について説明する。本発明の実施形態である人工歯根は、先に記載のチタン−ゲルマニウム合金からなる。
人工歯根とは、歯の欠損したあと、歯の機能を代用させる目的で顎骨に埋め込む人工的な物質のことであり、デジタルインプラントあるいは単にインプラントとも呼称される。
Tiは、軽量高強度という特性に加え、金属アレルギーを生じさせない金属なので、肌に触れる人工歯根用部材に用いることができる。さらに、マイナスイオンを放出する、光触媒機能を有する、防臭効果を奏するなどという特性もあるので、肌に触れる人工歯根用部材に用いることが効果的である。さらにまた、ゲルマニウムは、イオン化すると抗癌作用があることが知られている。そのため、肌に埋め込む人工歯根用部材に用いることがより効果的である。
人工歯根とは、歯の欠損したあと、歯の機能を代用させる目的で顎骨に埋め込む人工的な物質のことであり、デジタルインプラントあるいは単にインプラントとも呼称される。
Tiは、軽量高強度という特性に加え、金属アレルギーを生じさせない金属なので、肌に触れる人工歯根用部材に用いることができる。さらに、マイナスイオンを放出する、光触媒機能を有する、防臭効果を奏するなどという特性もあるので、肌に触れる人工歯根用部材に用いることが効果的である。さらにまた、ゲルマニウムは、イオン化すると抗癌作用があることが知られている。そのため、肌に埋め込む人工歯根用部材に用いることがより効果的である。
本発明の実施形態である金属製医療用部材は、先に記載のチタン−ゲルマニウム合金からなる構成なので、Ti−Ge合金の組織を安定化して、圧延性を向上させたTi−Ge合金からなる金属製医療用部材とすることができる。そのため、精密で、曲線部を有する金属製医療用部材を作製したとしても、製造工程および使用時においてクラックの入らない金属製医療用部材とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(基礎実験)
本発明の前に、基礎実験を行った。基礎実験では、第三成分金属を添加しないチタン−ゲルマニウム合金についての特性を調べた。後述するように、チタン−ゲルマニウム合金としては、Ti−5Ge(Geを5質量%添加したTi合金)を用いた。
「材料準備工程」
まず、Ti原料粉末として純度99.6%の純チタン粉末であるTILOP−45(住友チタニウム社製,粉末粒子径45μm以下)を用意した。
次に、Ge粉末として純度5Nup(純度99.99%)の粒径不明の粉末(ジュエリーメイク提供、中国製)を用意した。これを乳鉢にいれて粉砕し、粉末粒子径45μm以下のGe原料粉末とした。
本発明の前に、基礎実験を行った。基礎実験では、第三成分金属を添加しないチタン−ゲルマニウム合金についての特性を調べた。後述するように、チタン−ゲルマニウム合金としては、Ti−5Ge(Geを5質量%添加したTi合金)を用いた。
「材料準備工程」
まず、Ti原料粉末として純度99.6%の純チタン粉末であるTILOP−45(住友チタニウム社製,粉末粒子径45μm以下)を用意した。
次に、Ge粉末として純度5Nup(純度99.99%)の粒径不明の粉末(ジュエリーメイク提供、中国製)を用意した。これを乳鉢にいれて粉砕し、粉末粒子径45μm以下のGe原料粉末とした。
「混練工程」
まず、Ti原料粉末と、Ge原料粉末:5質量%とを計り取り、混合機に入れた。すべての材料を混合機に入れたら、それらが均一に分散するように良く混合し、混合金属原料粉末を調整した。
次に、混合金属原料粉末を混練機に入れた後、熱可塑性樹脂であるPET材料を樹脂バインダーとして上記混練機に加え、混合金属原料粉末と熱可塑性樹脂とを混練して、混練混合物を得た。
なお、樹脂バインダー率は、37vol%すなわち11.53wt%とした。
まず、Ti原料粉末と、Ge原料粉末:5質量%とを計り取り、混合機に入れた。すべての材料を混合機に入れたら、それらが均一に分散するように良く混合し、混合金属原料粉末を調整した。
次に、混合金属原料粉末を混練機に入れた後、熱可塑性樹脂であるPET材料を樹脂バインダーとして上記混練機に加え、混合金属原料粉末と熱可塑性樹脂とを混練して、混練混合物を得た。
なお、樹脂バインダー率は、37vol%すなわち11.53wt%とした。
「造粒工程」
混練混合物を造粒機にいれて顆粒状の粒形混合物を得た。なお、最終的に、この粒形混合物が500gになるように全ての材料を調整配合した。
混練混合物を造粒機にいれて顆粒状の粒形混合物を得た。なお、最終的に、この粒形混合物が500gになるように全ての材料を調整配合した。
「射出成形工程」
粒形混合物を射出成形機に入れ、金型に射出し加圧することにより、射出成形物を作製した。
粒形混合物を射出成形機に入れ、金型に射出し加圧することにより、射出成形物を作製した。
「脱脂工程」
次に、射出成形物を真空焼結炉に搬入して脱脂して脱脂成形物を得た。脱脂条件は400℃(673K)で1時間加熱とした。
次に、射出成形物を真空焼結炉に搬入して脱脂して脱脂成形物を得た。脱脂条件は400℃(673K)で1時間加熱とした。
「予備焼結工程」
次に、脱脂成形物を予備焼結して予備焼結物を得た。予備焼結条件は1020℃(1293K)で1時間加熱とした。
次に、脱脂成形物を予備焼結して予備焼結物を得た。予備焼結条件は1020℃(1293K)で1時間加熱とした。
「焼結工程」
更にその後、真空焼結炉の温度を昇温して1050℃(1323K)とした後、その温度で4時間(14.4ks)焼結を行い、予備焼結物を焼結成形物とした。降温した後、真空焼結炉から取り出した焼結成形物は、おおよそ94%の密度であった。
更にその後、真空焼結炉の温度を昇温して1050℃(1323K)とした後、その温度で4時間(14.4ks)焼結を行い、予備焼結物を焼結成形物とした。降温した後、真空焼結炉から取り出した焼結成形物は、おおよそ94%の密度であった。
「後処理工程」
最後に、#400のエメリー紙で表面研磨を行い、図1に示すような基礎実験のサンプルを作製した。
図1は、焼結成形物として作製したサンプルの外形を示す概略図であり、図1(a)は正面図であり、図1(b)は側面図である。幅10mm、長さ50mm、厚さ1mmの矩形形状の外形において、中心部側面が30mmの長さにわたり、曲線状に削り取られた形状をしている。もっとも削り取られた部分がA−A’線で規定されている。
最後に、#400のエメリー紙で表面研磨を行い、図1に示すような基礎実験のサンプルを作製した。
図1は、焼結成形物として作製したサンプルの外形を示す概略図であり、図1(a)は正面図であり、図1(b)は側面図である。幅10mm、長さ50mm、厚さ1mmの矩形形状の外形において、中心部側面が30mmの長さにわたり、曲線状に削り取られた形状をしている。もっとも削り取られた部分がA−A’線で規定されている。
(特性評価結果)
また、基礎実験のサンプルについて、焼結重量測定、XRD−EDX半定量分析、相対密度測定、収縮率測定、引張強度測定、0.2%Proof stress測定、Elongation at fracture測定、Young modulus測定、伸び測定、硬度測定を行った。得られた結果について、図2〜図14に示す。
図2は、焼結重量測定の実験結果である。焼結重量測定は、成形体重量、バインダー率から成形体に含まれる金属重量を算出して、焼結体重量と比較した。1373Kまで重量減はほとんど認められなかった。Geが著しく蒸発していれば重量減が生ずるはずなので、Geが著しく蒸発していない。
図3は、XRD−EDX半定量分析の実験結果である。定量条件は、バルクFP法(スタンダードレス)を用い、X線条件50KV−4μmA、測定時間100sec、コリメータ径2.5mmφとした。焼結温度の上昇とともに、Geは減少傾向にあるが、減少量はわずかであり、Geはほとんど焼結体に残存した。
また、基礎実験のサンプルについて、焼結重量測定、XRD−EDX半定量分析、相対密度測定、収縮率測定、引張強度測定、0.2%Proof stress測定、Elongation at fracture測定、Young modulus測定、伸び測定、硬度測定を行った。得られた結果について、図2〜図14に示す。
図2は、焼結重量測定の実験結果である。焼結重量測定は、成形体重量、バインダー率から成形体に含まれる金属重量を算出して、焼結体重量と比較した。1373Kまで重量減はほとんど認められなかった。Geが著しく蒸発していれば重量減が生ずるはずなので、Geが著しく蒸発していない。
図3は、XRD−EDX半定量分析の実験結果である。定量条件は、バルクFP法(スタンダードレス)を用い、X線条件50KV−4μmA、測定時間100sec、コリメータ径2.5mmφとした。焼結温度の上昇とともに、Geは減少傾向にあるが、減少量はわずかであり、Geはほとんど焼結体に残存した。
図4は、相対密度の実験結果である。1348Kで94.9%を示し、開気孔は消滅した。1323Kでは93.9%であり、わずかに開気孔があった。通常は92%程度であり、流出孔による大穴が存在すると考えられる。1373K、14.4ksの条件で相対密度が95.6%となることは、合金化反応が伴っているためと考えられる。
図5は、収縮率の実験結果である。急激な変化はなく、通常の状態を示している。
図6は、引張強度の実験結果である。焼結温度を上げるに従い、硬度特性は向上した。
図7は、0.2%proof stressの実験結果である。
図8は、Elongation at fractureの実験結果である。
図9は、Young modulusの実験結果である。
図10は、圧延性(伸び)の実験結果である。焼結温度を上げるに従い、圧延性(伸び)特性は向上した。なお、図10には示していないが、1000℃などのように温度が低すぎる場合には、圧延性(伸び)の値は小さく、たやすくクラックが入るサンプルとなり、1400℃のように温度が高すぎる場合にも、圧延性(伸び)の値は小さくなった。
図11は、硬度の実験結果である。焼結温度を上げるに従い、硬度特性は向上した。
図5は、収縮率の実験結果である。急激な変化はなく、通常の状態を示している。
図6は、引張強度の実験結果である。焼結温度を上げるに従い、硬度特性は向上した。
図7は、0.2%proof stressの実験結果である。
図8は、Elongation at fractureの実験結果である。
図9は、Young modulusの実験結果である。
図10は、圧延性(伸び)の実験結果である。焼結温度を上げるに従い、圧延性(伸び)特性は向上した。なお、図10には示していないが、1000℃などのように温度が低すぎる場合には、圧延性(伸び)の値は小さく、たやすくクラックが入るサンプルとなり、1400℃のように温度が高すぎる場合にも、圧延性(伸び)の値は小さくなった。
図11は、硬度の実験結果である。焼結温度を上げるに従い、硬度特性は向上した。
図12は、基礎実験のサンプルの表面の拡大写真の焼結温度依存性を示す図であって、焼結温度が1198Kから1373Kの場合について示している。焼結温度が1198Kの場合には、無数の気孔が細かく形成されたが、焼結温度を上げるに従い、気孔の数は減るとともに、気孔の大きさは大きくなった。
図13は、基礎実験のサンプルの表面の元素分布の焼結温度依存性を示す図であって、焼結温度が1198Kから1373Kの場合について示している。焼結温度が1198Kの場合には、Geを示す複数の小さな領域が観測され、焼結温度が1298KまではGeを示す複数の小さな領域が観測された。しかし、焼結温度が1323K以上の場合には、Geを示す複数の小さな領域が観測されなかった。Geが完全に固溶体としてTiに含有されていることを示した。
図14はX線回折の実験結果である。α−Tiの回折パターンのみが観測され、α−Ti相にGeが完全に固溶していることを示した。
(実施例1)
「材料準備工程」
まず、Ti原料粉末として純度99.6%の純チタン粉末であるTILOP−45(住友チタニウム社製,粒径45μm以下)を用意した。
次に、Ge粉末として純度5Nup(純度99.99%)の粒径不明の粉末(ジュエリーメイク提供、中国製)を用意した。これを乳鉢にいれて粉砕し、粒径45μm以下のGe原料粉末とした。
「材料準備工程」
まず、Ti原料粉末として純度99.6%の純チタン粉末であるTILOP−45(住友チタニウム社製,粒径45μm以下)を用意した。
次に、Ge粉末として純度5Nup(純度99.99%)の粒径不明の粉末(ジュエリーメイク提供、中国製)を用意した。これを乳鉢にいれて粉砕し、粒径45μm以下のGe原料粉末とした。
第三金属元素として、Mo、Mn、Y、Hf、Vを用意した。Mo原料粉末と、Mn原料粉末と、Y原料粉末と、Hf原料粉末と、V原料粉末とを、いずれも純度が98〜99.98%のものであって、粒径1〜10ミクロンの微細粉末を用いた。
「混練工程」
まず、Ti原料粉末と、Ge原料粉末:5質量%と、第三金属元素であるMo原料粉末:0.2質量%、Mn原料粉末:0.2質量%、Y原料粉末:0.2質量%、Hf原料粉末:0.2質量%、V原料粉末:0.15質量%を計り取り、混合機に入れた。すべての材料を混合機に入れたら、それらが均一に分散するように良く混合し、混合金属原料粉末を調整した。
次に、混合金属原料粉末を混練機に入れた後、熱可塑性樹脂であるPET材料を樹脂バインダーとして上記混練機に加え、混合金属原料粉末と熱可塑性樹脂とを混練して、混練混合物を得た。
なお、樹脂バインダー率は、37vol%すなわち11.53wt%とした。
まず、Ti原料粉末と、Ge原料粉末:5質量%と、第三金属元素であるMo原料粉末:0.2質量%、Mn原料粉末:0.2質量%、Y原料粉末:0.2質量%、Hf原料粉末:0.2質量%、V原料粉末:0.15質量%を計り取り、混合機に入れた。すべての材料を混合機に入れたら、それらが均一に分散するように良く混合し、混合金属原料粉末を調整した。
次に、混合金属原料粉末を混練機に入れた後、熱可塑性樹脂であるPET材料を樹脂バインダーとして上記混練機に加え、混合金属原料粉末と熱可塑性樹脂とを混練して、混練混合物を得た。
なお、樹脂バインダー率は、37vol%すなわち11.53wt%とした。
「造粒工程」
混練混合物を造粒機にいれて顆粒状の粒形混合物を得た。なお、最終的に、この粒形混合物が500gになるように全ての材料を調整配合した。
混練混合物を造粒機にいれて顆粒状の粒形混合物を得た。なお、最終的に、この粒形混合物が500gになるように全ての材料を調整配合した。
「射出成形工程」
粒形混合物を射出成形機に入れ、金型に射出し加圧することにより、射出成形物を作製した。
粒形混合物を射出成形機に入れ、金型に射出し加圧することにより、射出成形物を作製した。
「脱脂工程」
次に、射出成形物を真空焼結炉に搬入して脱脂して脱脂成形物を得た。脱脂条件は400℃(673K)で1時間加熱とした。
次に、射出成形物を真空焼結炉に搬入して脱脂して脱脂成形物を得た。脱脂条件は400℃(673K)で1時間加熱とした。
「予備焼結工程」
次に、脱脂成形物を予備焼結して予備焼結物を得た。予備焼結条件は1020℃(1293K)で1時間加熱とした。
次に、脱脂成形物を予備焼結して予備焼結物を得た。予備焼結条件は1020℃(1293K)で1時間加熱とした。
「焼結工程」
更にその後、真空焼結炉の温度を昇温して1050℃(1323K)とした後、その温度で4時間(14.4ks)焼結を行い、予備焼結物を焼結成形物とした。降温した後、真空焼結炉から取り出した焼結成形物は、おおよそ94%の密度であった。
更にその後、真空焼結炉の温度を昇温して1050℃(1323K)とした後、その温度で4時間(14.4ks)焼結を行い、予備焼結物を焼結成形物とした。降温した後、真空焼結炉から取り出した焼結成形物は、おおよそ94%の密度であった。
「後処理工程」
最後に、#400のエメリー紙で表面研磨を行い、図1に示すような実施例1のサンプルを作製した。
図1は、焼結成形物として作製したサンプルの外形を示す概略図であり、図1(a)は正面図であり、図1(b)は側面図である。幅10mm、長さ50mm、厚さ1mmの矩形形状の外形において、中心部側面が30mmの長さにわたり、曲線状に削り取られた形状をしている。もっとも削り取られた部分がA−A’線で規定されている。
最後に、#400のエメリー紙で表面研磨を行い、図1に示すような実施例1のサンプルを作製した。
図1は、焼結成形物として作製したサンプルの外形を示す概略図であり、図1(a)は正面図であり、図1(b)は側面図である。幅10mm、長さ50mm、厚さ1mmの矩形形状の外形において、中心部側面が30mmの長さにわたり、曲線状に削り取られた形状をしている。もっとも削り取られた部分がA−A’線で規定されている。
「サンプル評価」
実施例1のサンプルをオートグラフにかけ90°V曲げ試験およびフル曲げ試験を行い、V曲げ部およびフル曲げ部にクラックが入るかどうか観測した。目視で観測した結果、どちらでもクラックは観測されなかった。
なお、90°V曲げ試験とは、図1に示すサンプルをA−A’線で90°に折り曲げ、型枠に保持する試験のことである。また、フルV曲げ試験とは、図1に示すサンプルをA−A’線で180°に完全に折り曲げ、型枠に保持する試験のことである。どちらの試験においても、保持時間は3分とした。
実施例1のサンプルをオートグラフにかけ90°V曲げ試験およびフル曲げ試験を行い、V曲げ部およびフル曲げ部にクラックが入るかどうか観測した。目視で観測した結果、どちらでもクラックは観測されなかった。
なお、90°V曲げ試験とは、図1に示すサンプルをA−A’線で90°に折り曲げ、型枠に保持する試験のことである。また、フルV曲げ試験とは、図1に示すサンプルをA−A’線で180°に完全に折り曲げ、型枠に保持する試験のことである。どちらの試験においても、保持時間は3分とした。
(実施例2〜12)
表2に示すように、Geの添加量および第三金属元素の種類と量を変えたほかは、実施例1と同様にして、Ti−Ge合金からなる実施例2〜12のサンプルを作製した。
実施例2〜12のサンプルについても、実施例1と同様に90°V曲げ試験およびフル曲げ試験を行い、クラックの観測を行った。どれも、目視観測ではクラックは観測されなかった。
表2に示すように、Geの添加量および第三金属元素の種類と量を変えたほかは、実施例1と同様にして、Ti−Ge合金からなる実施例2〜12のサンプルを作製した。
実施例2〜12のサンプルについても、実施例1と同様に90°V曲げ試験およびフル曲げ試験を行い、クラックの観測を行った。どれも、目視観測ではクラックは観測されなかった。
(比較例1〜3)
表2に示すように、Geの添加量を変えて、第三金属元素を加えなかった他は実施例1と同様にして、比較例1〜3のサンプルを作製した。
まず、比較例1〜3のサンプルをオートグラフにかけ90度V曲げ試験を行い、V曲げ部にクラックが入るかどうか観測した。目視で観測した結果、比較例1のサンプルにはクラックは観測されなかったが、比較例2および比較例3のサンプルにはクラックが観測された。
さらに、フル曲げ試験を行い、フル曲げ部にクラックが入るかどうか観測した。目視で観測した結果、比較例1〜3のサンプルにはクラックが観測された。
表2に示すように、Geの添加量を変えて、第三金属元素を加えなかった他は実施例1と同様にして、比較例1〜3のサンプルを作製した。
まず、比較例1〜3のサンプルをオートグラフにかけ90度V曲げ試験を行い、V曲げ部にクラックが入るかどうか観測した。目視で観測した結果、比較例1のサンプルにはクラックは観測されなかったが、比較例2および比較例3のサンプルにはクラックが観測された。
さらに、フル曲げ試験を行い、フル曲げ部にクラックが入るかどうか観測した。目視で観測した結果、比較例1〜3のサンプルにはクラックが観測された。
(比較例4〜19)
表3に示すように、第三金属元素としてMo,W,Mn,Zr,Nb,Cr,Taのいずれか1種を加え、その添加量と、Geの添加量を変えたほかは実施例1と同様にして、比較例4〜19のサンプルを作製した。
比較例4〜19のサンプルをオートグラフにかけ90°V曲げ試験およびフル曲げ試験を行い、V曲げ部およびフル曲げ部にクラックが入るかどうか観測した。目視で観測した結果、比較例4〜19のサンプルにはクラックが観測された。
表3に示すように、第三金属元素としてMo,W,Mn,Zr,Nb,Cr,Taのいずれか1種を加え、その添加量と、Geの添加量を変えたほかは実施例1と同様にして、比較例4〜19のサンプルを作製した。
比較例4〜19のサンプルをオートグラフにかけ90°V曲げ試験およびフル曲げ試験を行い、V曲げ部およびフル曲げ部にクラックが入るかどうか観測した。目視で観測した結果、比較例4〜19のサンプルにはクラックが観測された。
(実施例13〜18)
表4に示すように、Geの添加量を5質量%として、第三金属元素の種類と量を変えたほかは、実施例1と同様にして、Ti−Ge合金からなる実施例13〜18のサンプルを作製した。
実施例13〜18のサンプルについても、実施例1と同様に90°V曲げ試験およびフル曲げ試験を行い、クラックの観測を行った。どれも、目視観測ではクラックは観測されなかった。
以上の実験条件および実験結果については表2、表3および表4にまとめた。
表4に示すように、Geの添加量を5質量%として、第三金属元素の種類と量を変えたほかは、実施例1と同様にして、Ti−Ge合金からなる実施例13〜18のサンプルを作製した。
実施例13〜18のサンプルについても、実施例1と同様に90°V曲げ試験およびフル曲げ試験を行い、クラックの観測を行った。どれも、目視観測ではクラックは観測されなかった。
以上の実験条件および実験結果については表2、表3および表4にまとめた。
本発明は、肌に優しく、軽量、高強度で圧延性が高く、加工性の高いチタン−ゲルマニウム合金およびその製造方法に関するものであり、ブレスレッド、時計バンド、ネックレス、めがねのつるなどの装身具、はさみ、包丁、ナイフなどの製品などに利用することができる。
1…サンプル
Claims (6)
- 1〜10質量%のゲルマニウムを含有し、残部がチタンであるチタン−ゲルマニウム合金であって、
さらに、第三金属元素として、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Reの少なくともいずれか1種以上を0.01質量%以上1質量%未満含有することを特徴とするチタン−ゲルマニウム合金。 - 請求項1に記載のチタン−ゲルマニウム合金の製造方法であって、
金属原料粉末と樹脂バインダーとを混練して混練混合物を形成する混練工程と、
前記混練混合物を造粒して粒形混合物を形成する造粒工程と、
前記粒形混合物を型に射出成形して射出成形物を形成する射出成形工程と、
前記射出成形物を脱脂して脱脂成形物を形成する脱脂工程と、
前記脱脂成形物を予備焼結して予備焼結物を形成する予備焼結工程と、
前記予備焼結物を焼結して焼結成形物を形成する焼結工程と、を備えるメタルインジェクションモールド(MIM)法を用いることを特徴とするチタン−ゲルマニウム合金の製造方法。 - 前記混練工程が、チタンからなる主金属原料粉末と、ゲルマニウムからなる副金属原料粉末と、第三金属元素からなる第三金属原料粉末と、樹脂バインダーとを混練する工程であり、
前記主金属原料粉末の粒径が45μm以下であり、
前記副金属原料粉末の粒径が45μm以下であり、
前記第三金属原料粉末の粒径が10μm以下であり、
前記樹脂バインダーの量が30〜60vol%であることを特徴とする請求項2に記載のチタン−ゲルマニウム合金の製造方法。 - 請求項1に記載のチタン−ゲルマニウム合金を用いることを特徴とする装身具。
- 請求項1に記載のチタン−ゲルマニウム合金を用いることを特徴とする金属製日用品。
- 請求項1に記載のチタン−ゲルマニウム合金を用いることを特徴とする金属製医療用部材。
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JP2007220264A JP2009052092A (ja) | 2007-08-27 | 2007-08-27 | チタン−ゲルマニウム合金およびその製造方法、ならびに装身具、金属製日用品および金属製医療用部材 |
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Cited By (2)
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-
2007
- 2007-08-27 JP JP2007220264A patent/JP2009052092A/ja active Pending
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