JP2009052086A - 成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】長尺な基板に高い成膜レートで界面の無い、高品質な膜を形成できる成膜装置を提供する。
【解決手段】搬送経路を逆方向に折り返す折り返し手段を有する所定の搬送経路で基板を搬送する搬送手段と、折り返し手段による折り返し前後の基板を、外側から挟むように基板に対峙して配置される1対の電極50,52、および、折り返し手段によって折り返された基板の間に反応ガスを導入するガス導入手段54を有する、プラズマCVDによって基板に成膜する成膜手段と、基板の温度測定手段および基板の温度調整手段を有し、温度測定手段による温度測定結果に応じて、温度調整手段57によって基板の温度を調整する温度制御手段とを有し、温度制御手段は、折り返し手段に向かう経路での成膜を終了した際の基板の温度と、折り返し手段によって折り返されて再度成膜を行なわれる際の基板の温度との差が、所定の値以下となるように、基板の温度を調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマCVDによって基板に成膜する成膜装置に関し、詳しくは、長尺な基板に、高い成膜レートで連続的に成膜を行なうことができる成膜装置に関する。
光学膜の製造や磁気記録媒体の製造等、各種の薄膜形成の用途にプラズマCVDによる成膜が利用されている。
高い生産性でプラズマCVDによる成膜を行なう方法として、長尺(ウェブ状)な基板に連続的に成膜を行なうことが知られている。長尺な基板へのプラズマCVDによる成膜装置は、一般的に、基板を所定位置に位置(保持)しつつ長手方向に搬送するドラムと、このドラムに対面する高周波電極を用い、所定領域に基板を巻き掛けたドラムを回転して、ドラムと高周波電極との間に高周波電圧を印加すると共に、反応ガスさらにはアルゴンガスなどを導入することにより、基板を長手方向に搬送しつつ、プラズマCVDによって連続的に成膜を行なう。
また、このようなドラムを用いる成膜装置よりも、より良好な効率で、高い成膜レートでプラズマCVDによる成膜を行なうことができる方法として、特許文献1等に示されるような、基板を折り返して逆方向に搬送し、折り返して搬送する基板の間で成膜を行なう方法が知られている。
図4にその一例を示す。
この成膜装置100は、長尺な基板Zを巻回した基板ロール110が装填される供給室102、基板ZにプラズマCVDによる成膜を行なう成膜室104、および、成膜済の基板Zを巻き取る巻取りロール112が装填される巻取り室106からなるものである。
成膜装置100においては、基板ロール110から成膜室104を経て、巻取りロール112に至る所定の経路で基板Zを通した状態で、基板ロール110からの基板Zの送り出し、基板Zの搬送、巻取りロール112での基板Zの巻取りを行うことにより、成膜室104で基板Zを搬送しつつ連続的にプラズマCVDによる成膜を行なう。
成膜室104において、供給室102から搬送された基板Zは、ローラ114に案内されて、上方に搬送され、折り返しローラ116によって搬送経路を折り返されて下方に搬送され、ローラ118に案内されて巻取り室106に送られる。なお、折り返しローラ116の下側(ローラの後述するプラズマと対峙する側)、ならびに、ローラ114および118の上には、ローラへの膜の付着を防止するための防着板128が配置される。
成膜室104は、折り返しローラ116によって折り返されて搬送される基板Zに対面して挟むように、高周波電源120およびマッチングボックス122に接続される電極124が配置されている。また、折り返して搬送される基板Zの間には、図示しないプラズマ流発生手段によって放電プラズマ流(シートプラズマ)Pが形成され、かつ、反応ガスが供給される。
従って、折り返しローラ116によって折り返して搬送される基板Zの間では、ガスが励起してプラズマが生成されて、反応ガスが励起/解離して、基板Zの折り返し搬送の内面側に、プラズマCVDによって成膜される。
図4より明らかなように、この成膜装置100(成膜室104)では、基板Zは、折り返しローラ116に向かって上方に搬送されている途中で、プラズマに接触してプラズマCVDによる成膜が行なわれ、折り返しローラ116によって折り返されて下方に搬送される途中でも、同じプラズマに接触して、再度、プラズマCVDによる成膜が行なわれる。すなわち、この成膜装置100では、長尺な基板Zを折り返し搬送して、基板Zの間でプラズマを生成することにより、基板Zに対して同じプラズマで2回の成膜を行なうことができ、すなわち、高い成膜レートでプラズマCVDによる成膜が可能である。
このようなプラズマCVDによる成膜装置に限らず、気相成膜法においては、成膜時に発生する熱によって基板が加熱され、基板が損傷するという問題がある。このような問題を解決するために、冷却ロール等の冷却手段を用いて、基板を冷却することが一般的に行なわれている。
例えば、前述のドラムを用いたプラズマCVDによる成膜装置においては、ドラムを冷却することによって基板を冷却することが一般的に行なわれている。
また、プラズマCVDではないが、特許文献2に図4に示される成膜装置と同様に、長尺な基板を折り返して搬送し、折り返した基板の間で成膜を行なうマイクロ波蒸着装置が開示されており、折り返しローラを冷却することで、基板を冷却することが開示されている。
特開平8−063746号公報 特表平8−509264号公報
特許文献1および2に開示されるような基板を折り返して搬送し、折り返した基板の間で2回の成膜を行なうことができる成膜装置において、折り返しローラを冷却することで基板を冷却し、成膜時に発生する熱によって基板が損傷することを防止することはできる。しかしながら、折り返しローラに向かう際の1回目の成膜が終了した後に、折り返しローラによって基板が冷却されてしまうため、折り返しローラで折り返された後の2回目の成膜時において、基板の温度が1回目の成膜が終了した後の基板の温度とは異なってしまう。その結果、1回目の成膜時に成膜された膜と、2回目の成膜時に成膜された膜との間に界面が生じてしまうという問題がある。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、長尺な基板を折り返し搬送して、折り返した基板の間に反応ガスを導入し、かつ、プラズマを生成することによって、基板にプラズマCVDによる成膜を行なう成膜装置において、成膜した膜に界面が生じることを防止することができ、高い成膜レートで高品質な膜を形成出来る成膜装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、搬送経路を逆方向に折り返す折り返し手段を有する所定の搬送経路で基板を搬送する搬送手段と、前記折り返し手段による折り返し前後の基板を、外側から挟むように前記基板に対峙して配置される1対の電極、および、前記折り返し手段によって折り返された基板の間に反応ガスを導入するガス導入手段を有する、プラズマCVDによって前記基板に成膜する成膜手段と、前記基板の温度測定手段および前記基板の温度調整手段を有し、前記温度測定手段による温度測定結果に応じて、前記温度調整手段によって前記基板の温度を調整する温度制御手段とを有し、前記温度制御手段は、前記折り返し手段に向かう経路での成膜を終了した際の前記基板の温度と、前記折り返し手段によって折り返されて再度成膜を行なわれる際の前記基板の温度との差が、所定の値以下となるように、前記基板の温度を調整するものである成膜装置を提供する。
前記温度調整手段が、前記折り返し手段に設けられることが好ましい。
また、前記温度測定手段は、前記折り返し手段に向かう経路での成膜を終了した後、最初に前記基板が部材に接触するまでの間に設けられるが好ましい。
さらに、前記温度測定手段は、前記折り返し手段に向かう経路での成膜を終了した際の前記基板の温度を測定するものであり、前記温度調整手段は、前記折り返し手段の温度と、前記温度測定手段による基板の温度測定結果との差が、所定の値以下となるように、前記折り返し手段の温度を調整することも好ましい。
前記折り返し手段に向かう経路での成膜を終了した後、前記折り返し手段で折り返されて再度成膜を行なわれるまでの間、前記基板が前記折り返し手段以外の部材に接触しないこともまた好ましい。
また、前記温度測定手段は、前記折り返し手段に向かう経路での成膜を終了した際の前記基板の第1の温度と、前記折り返し手段によって折り返されて、再度成膜を行なわれる際の前記基板の第2の温度とを測定するものであり、前記温度調整手段は、この第1の温度と第2の温度との温度差が所定の値以下となるように、前記基板の温度を調整することが好ましい。
本発明の成膜装置は、長尺な基板(ウェブ状の基板)を折り返して搬送する搬送経路を有すると共に、折り返し前後の基板を挟むように電極を配置して、かつ、折り返した基板の間に反応ガスを導入し、基板の間でプラズマを生成して、基板Zに対して同じプラズマでプラズマCVDによる2回の成膜を行なう成膜装置において、1回目の成膜終了時と、2回目の成膜開始時における基板の温度差を無くすように、基板の温度を制御する温度制御手段を有する。
このような発明によれば、基板を折り返して搬送することにより、基板を同じプラズマに、2回接触させることができるので、結果的に同じプラズマで2回の成膜を行なうこととなり、高い成膜レートで成膜を行なうことができる。
また、温度制御手段によって、1回目の成膜が終了した直後の基板の温度と、折り返されて2回目の成膜に供される基板の温度の差を所定の値以下となるように基板の温度を制御するので、1回目の成膜で成膜した膜と、2回目の成膜で成膜した膜との間に界面が生じることを防止することができる。
以下、本発明の成膜装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明の成膜装置の一例の概念図を示す。
図1に示す成膜ライン10は、磁気記録媒体の製造、光学膜の製造、ガスバリアフィルムの製造等に利用される、長尺な基板Z(ウェブ状の基板Z)に連続で成膜を行なう装置であって、基本的に、基板Zを供給する供給装置12と、成膜装置14と、巻取り装置16とを有して構成される。
成膜ライン10は、供給装置12から成膜装置14(後述する成膜室36)を経て、巻取り装置16に至る所定の経路で基板Zを通して、供給装置12からの基板Zの供給、および、巻取り装置16における成膜済の基板Zの巻取りを連続的に行いながら、成膜装置14において、基板Zを搬送(長手方向に搬送)しつつ、基盤Zに連続的に成膜を行なう。
供給装置12は、長尺な基板Zを供給する部位であり、基板ロール20と、ガイドローラ22および24を有する。
基板ロール20は、長尺な基板Zを巻回してなるものであり、図示しない駆動源によって基板を巻き戻す方向(図示例においては、時計回り)に回転されて、基板Zを連続的に送り出す。
ガイドローラ22および24は、基板Zを所定の搬送経路に案内する、公知のガイドローラで、基板Zを所定の搬送経路で成膜装置14に案内する。なお、成膜ライン10において、ガイドローラ22および24は、駆動ローラでも従動ローラでもよい。また、ガイドローラ22および24は、少なくとも一方が、基板Zの張力を調整するテンションローラとして作用するローラであってもよい。
なお、本発明のCVD装置において、成膜をする基板Zには、特に限定は無く、PETフィルム等の各種の樹脂フィルム、アルミニウムシートなどの各種の金属シート等、装置構成や装置のサイズ等に応じて、逆方向への折り返し搬送が可能な可撓性を有するものであれば、プラズマCVDによる成膜が可能な各種の基板が、全て利用可能である。
他方、巻取り装置16は、成膜装置14(成膜室36)において表面に成膜(薄膜を形成)された基板Zを巻き取る部位であり、巻取りロール26と、ガイドローラ28および30を有する。
巻取りロール26は、成膜された基板Zをロール状に巻き取るものであって、図示しない駆動源によって基板Zを巻き取る方向(図示例においては、時計回り)に回転されて、成膜済の基板Zを連続的に巻き取る。
ガイドローラ28および30は、先のガイドローラ22および24と同様、成膜装置14から搬送された基板Zを、所定の搬送経路で巻取りロール26に案内する、公知のガイドローラで、成膜装置14から搬送された基板Zを、所定の搬送経路で巻取りロール26に案内する。なお、先のガイドローラ22および24と同様、ガイドローラ28および30も、駆動ローラでも従動ローラでもよく、また、少なくとも一方がテンションローラとして作用してもよい。
前述のように、成膜ライン10は、供給装置12からの基板Zの供給(すなわち基板ロール20からの基板Zの送り出し)、および、巻取り装置16における成膜済の基板Zの巻取り(すなわち巻取りロール26での基板Zの巻取り)を連続的に行いながら、成膜装置14において、基板Zを長手方向に搬送しつつ、基板ZにプラズマCVDによって連続的に成膜を行なう。
従って、基板ロール20および巻取りロール26は、線速が等しくなるように、駆動源によって回転される。あるいは、基板ロール20には駆動源を設けずに従動として、基板ロール20から基板Zを引き出すような構成としてもよい。
なお、本発明において、供給装置12に装填する基板Zの長さ(基板ロール20に巻回される基盤Zの長さ)には、特に限定はなく、生産する製品に応じた長さの基板Zを用いればよいのは、もちろんである。
ここで、本発明のプラズマCVD装置によれば、高い成膜レートでの成膜を連続で行なうことができる。
図示例の成膜ライン10においては、供給装置12および巻取り装置16には、真空ポンプ等の真空排気手段が設けられていない(真空排気手段に接続されていない)。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、必要に応じて、供給装置12および巻取り装置16にも、真空排気手段を設け、成膜中は所定の真空度を保つようにしてもよい。
図示例の成膜ライン10は、基板Zの搬送経路としては、成膜室36には後述する搬送室34が隣接し、供給装置12および巻取り装置16は、この搬送室34に隣接している。成膜室36と搬送室34は、基板Zを挿通するためのスリット状の開口を有するものの、互いに独立した空間であり、かつ、成膜中は、互いに独立して所定の真空度に保たれている。
そのため、図示例の成膜ライン10においては、供給装置12および巻取り装置16には、真空排気手段は不要である。
しかしながら、搬送室34のような部屋を有さず、成膜室36と供給装置12および巻取り装置16(あるいは、その一方)とが、基板Zの搬送方向に隣接する場合には、成膜室36に隣接する部屋には、真空排気手段を設けるのが好ましい。すなわち、本発明の成膜装置においては、成膜室36に隣接する部屋には、真空排気手段を設けるのが好ましく、さらに、真空排気手段は、成膜室36に隣接する部屋は、成膜室36よりも低真空度となるように、各部屋の排気を制御するのが、より好ましい。
成膜装置14は、基板Zを搬送しつつ、基板Zの表面にプラズマCVDによって連続的に成膜を行なう部位で、搬送室34と、成膜室36と、折り返し室38と、温度制御手段57と、高周波電源58とを有する。なお、成膜装置14は、例えばステンレスなど、各種の真空チャンバで利用されている材料を用いて構成すればよい。
成膜装置14において、成膜室36には、基板Zの搬送方向に搬送室34と折り返し室38とが隣接しており、また、成膜室36は、搬送室34と折り返し室38との間に挟まれている。ただし、本発明の成膜装置は、これに限定はされず、成膜室36と、搬送室34および/または折り返し室38との間に、何らかの部屋が有っても良い。
搬送室34は、供給装置12から搬送された基板Zを成膜室36に送り、かつ、成膜室36から搬送された成膜済の基板Zを巻取り装置16に送る部位であり、基板Zを所定の搬送経路で搬送するための2本のローラ40および42を有する。
折り返し室38は、成膜室36から搬送された基板Zを、折り返して、再度、成膜室38に搬送する部位であり、折り返し手段としての折り返しローラ46を有する。
また、搬送室34と成膜室36との間(その隔壁)、および、成膜室36と折り返し室38との間(その隔壁)には、基板Zが通過するためのスリット状の開口が形成される。
すなわち、2本のローラ40および42、ならびに、折り返しローラ46は、折り返し前後の基板Zを、成膜室38の電極50および52の間を通る所定の搬送経路で搬送する、搬送手段を構成する。
また、図示例においては、折り返しローラ46による折り返し前後の基板Zの搬送経路が平行になるように、ローラ40および42、ならびに、折り返しローラ46が配置される。
後述するが、図示例の成膜装置14においては、基板Zは、搬送室34から折り返し室38に向かって成膜室36を通過する際に、プラズマCVDによって1回目の成膜を行なわれ、折り返し室38で折り返されて、折り返し室38から搬送室34に向かって成膜室36を通過する際に、同じプラズマによるプラズマCVDで2回目の成膜が行なわれる。
折り返しローラ46は、1回目の成膜が終わった基板の温度との温度差が所定の値以下となるように、後述する温度制御手段57によって、温度を制御される。この点に関しては、後に詳述する。
成膜ライン10において、搬送室34のローラ40は、供給装置12(ガイドローラ24)から搬送された基板Zを上方の折り返しローラ46に向けて搬送して、成膜室36の電極50および52の間を通る所定の搬送経路で折り返し室38に搬送する。
折り返し室38では、折り返しローラ46が、成膜室36から搬送された基板Zの搬送経路を逆方向に折り返して(180°折り返して)、下方のローラ42に向けて搬送して、再度、成膜室36に搬送して成膜室36の電極50および52の間を通る所定の搬送経路で搬送室34に搬送する。
搬送室34においては、成膜室36から搬送された基板Zを、ローラ42によって横方向に搬送して、巻取り装置16(ガイドローラ30)に搬送する。
搬送室34および折り返し室38は、共に、バルブ60を有する排気ライン62によって、真空排気手段64に接続されている。真空排気手段64は、主に搬送室34および折り返し室38を排気して、両部屋を成膜室36よりも低い所定の真空度に保つ。
なお、本発明において、真空排気手段64には、特に限定はなく、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプなどの真空ポンプや、クライオコイル等の補助手段、さらには、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、プラズマCVD装置に用いられている各種のものが利用可能である。
また、図示例の成膜ライン10では、搬送室34および折り返し室38を1つの真空ポンプで排気しているが、本発明は、これに限定はされず、搬送室34と折り返し室38とに独立して排気手段が設けられ、成膜中、個々に所定の真空度に保つようにしてもよい。
前述のように、折り返しローラ46、ならびに、ローラ40および42は、基板Zを逆方向に折り返す所定の搬送経路で基板Zを搬送する、搬送手段を構成する。ここで、図示例の成膜ライン10においては、折り返しローラ46、ならびに、ローラ40および42への膜の付着/堆積を好適に防止できる好ましい構成として、折り返し室38および搬送室34を設け、折り返しローラ46と、ローラ40およびローラ42を、成膜室36とは別の空間(部屋)に配置し、かつ、より好ましい態様として、搬送室34および折り返し室38の真空度を、成膜室36よりも低い真空度としている。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、折り返しローラ46と、ローラ40およびローラ42を成膜室(プラズマCVDによる成膜空間)に配置してもよく、さらに、この構成において、特許文献1に開示されるように、折り返しローラ46や、ローラ40およびローラ42への膜の付着/堆積を防止するために、プラズマや反応ガスと各ローラとを隔てる(直接的な対面を防止する)ための防着板を設けてもよい。
成膜室36は、プラズマCVDによって、基板Zの表面に成膜を行なうものであって、電極50および52と、ガス導入手段54、温度測定手段55とを有して構成される。
電極50は、成膜室36から折り返し室38に向かう基板Zに平行に対面するように配置された平板状の電極であり、高周波電源58に接続されている。他方、電極52は、成膜室36から搬送室34に向かう基板Zに平行に対面するように配置された平板状の電極であり、接地されている(グラウンドに落とされている)。
前述のように、基板Zは、折り返しローラ46による折り返し前後で、電極50および52の間を通る所定の搬送経路で互いに平行に搬送される。従って、電極50および52は、折り返し搬送される前後の基板Zを外側から挟むように、離間して、互いに平行に対面して配置される。
電極50および52と、基板Zとの距離は、形成する膜や成膜レート等に応じて、適宜、設定すればよい。また、電極50および52は、固定して配置されるものでも、互いの間隔(すなわち、基板Zとの距離)を調整可能であってもよい。
さらに、電極50および52は、図示例のように1枚の平板状の電極にも限定はされず、例えば、前記特許文献1のように、基板Zの搬送方向に分割した複数の電極を配列した構成等、プラズマCVDによる成膜が可能なものであれば、各種の電極が利用可能である。なお、基板Zに対する電界やプラズマなどの均一性等の点で、電極は、図示例のような平板状が好ましい。
高周波電源58も、プラズマCVDによる成膜に利用される公知の高周波電源である。本発明において、電源も、プラズマCVDに利用される各種のものが利用可能である。また、高周波電源58の最大出力等にも、特に限定はなく、形成する膜や成膜レート等に応じて、適宜、選択/設定すればよい。
また、高周波電源58と電極50とは、必要に応じて、インピーダンス整合をとるためのマッチングボックスを介して接続されてもよい。
ガス導入手段54は、プラズマCVDによる成膜を行なうための反応ガスを、成膜室36内に導入するものである。本発明においては、ガス導入手段54は、折り返しローラ46によって折り返し搬送される基板Z(折り返される前後の基板Z)の間に、反応ガスを導入する。
ガス導入手段54も、プラズマCVD装置で用いられている各種のガス導入手段が利用可能である。また、本発明においては、ガス導入手段54は、反応ガスのみならず、アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス等、プラズマCVDで用いられている各種のガスを、反応ガスと共に折り返し搬送される基板Zの間に供給してもよい。複数種のガスを導入する場合には、折り返し搬送される基板Zの間であれば、各ガスは同じ供給部(口)から供給しても、異なる供給部から供給してもよく、また、各ガス毎に、ガスの導入手段を設けて、ガス導入手段54を構成してもよい。
さらに、反応ガスあるいはさらにその他に用いるガスの種類や導入量も、形成する膜の種類や、目的とする成膜レート等に応じて、適宜、選択/設定すればよい。
温度測定手段55は、搬送室34から折り返し室38に向かって成膜室36を通過する際に行なわれる、1回目のプラズマCVDによる成膜を終了した際の基板Zの温度を測定し、測定結果を温度制御手段57に送るものである。
図示例の装置においては、折り返しローラ46に向かう基板搬送方向の電極50の直下流において、基板Zの温度を測定することにより、1回目のプラズマCVDによる成膜を終了した際の基板Zの温度を測定する。
プラズマCVDでは、反応ガスが拡散するため、1回目の成膜が完全に終了した位置(時点)を正確に把握することは極めて困難である。
しかしながら、プラズマCVDによる成膜は、電極間に印加した電圧によって電界を形成してガスを励起してプラズマを生成し、このプラズマによって反応ガスを励起して成膜を行なう。すなわち、プラズマの生成および反応ガスの励起は、殆ど、電極間で行なわれ、殆どの成膜は電極間で行なわれる。従って、プラズマ生成のための電界すなわち電極間を通過した時点で、成膜は終了したと見なすことができ、図示例の成膜室36においては、電極50および52の間を通過した時点で、成膜が終了したと見なすことができる。
また、プラズマCVDによる成膜は、当然のことながら、真空中で行なわれる。周知のように、真空中には伝熱媒体が存在しないため物体の温度は変化し難く、連続的に搬送される基板Zの温度は、別の物体に接触しない限り、殆ど変化しない。従って、成膜を終了した基板の温度は、基板が真空中に存在する以上、他の物体に接触するまでは、成膜終了時の温度となっている。
従って、真空中において、電界を形成する電極間を通過した後、他の部材に接触するまでの間に基板の温度を測定することによって、1回目の成膜を終了した際(1回目の成膜を終了した時点)の基板の温度を測定できる。
すなわち、図示例の成膜装置14であれば、折り返しローラ46に向かう搬送経路において、電極50および52の間を通過した後、折り返しローラ46に接触するまでの間に温度測定手段55を配置して基板Zの温度を測定すれば、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度を測定できる。
なお、温度測定手段55には特に限定はなく、放射温度計等、搬送される(走行する)シート状物の温度を(好ましくは非接触で)測定できる手段が、全て利用可能である。
また、成膜室36は、バルブ68を有する排気ライン70によって、真空排気手段72に接続される。真空排気手段72は、主に成膜室36を排気して所定の真空度に保つものであり、先の真空排気手段64と同様に、プラズマCVD装置に用いられる各種のものが利用可能である。
なお、真空排気手段72による成膜室36の到達真空度には、特に限定はなく、実施する成膜方法等に応じて、十分な真空度を保てればよい。
温度制御手段57は、温度測定手段55による、1回目の成膜終了時の基板Zの温度測定結果を受けて、折り返しローラ46の温度と、この基板温度との差が、所定の値以下となるように、折り返しローラ46の温度を調整するものである。
基板Zの搬送経路を逆方向に折り返す折り返しローラ46の温度が、基板Zの温度よりも高ければ、折り返しローラ46で折り返される基板Zの温度は高くなり、逆に、折り返しローラ46の温度が低ければ、基板Zの温度は低くなる。
ここで、前述のように、真空中であれば、基板Zの温度は、他の部材に接触しない限り変化しない。すなわち、折り返しローラ46に接触する基板Zの温度は、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度であり、温度測定手段55によって測定された基板Zの温度である。
従って、温度測定手段55による温度測定結果をフィードバックして、折り返しローラ46の温度を、温度測定手段55による基板Zの温度測定結果との差が所定の値以下となるように制御することにより、折り返す基板Zの温度と、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度との差を、所定の値以下にすることができる。あるいは、何らかの部材によって、折り返しローラ46に搬送された基板Zの温度が変化しても、折り返しローラ46によって1回目の成膜を終了した際の温度に戻す(近づける)ことができる。
すなわち、このように折り返しローラ46の温度を制御することによって、折り返しローラ46によって折り返されて2回目の成膜に供される際の基板Zの温度と、1回目の成膜を終了した際における基板Zとの温度差を、所定の値以下にすることができる。
後に詳述するが、本発明の成膜装置は、1回目の成膜終了時と、2回目の成膜開始時における基板Zの温度差を所定の値以下とすることにより、基板Zを折り返し搬送した間で成膜を行なうプラズマCVDにおいて、界面を有さない、適正な膜を形成することを可能にしたものである。
なお、以上の説明より明らかなように、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度に応じて、この温度との温度差が所定の値以下となるように折り返しローラ46の温度を制御する構成では、より適正に1回目の成膜を終了した基板Zの温度と2回目の成膜を行なわれる際の基板Zの温度との温度差を所定の値以下にするために、折り返しローラ46から電極50および52の間に進入するまでの間は、基板Zには他の部材は触れないようにするのが好ましい。
同様に、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度に応じて、この温度との温度差が所定の値以下となるように折り返しローラ46の温度を制御する構成では、1回目の成膜を終了した基板は、他の部材に触れることなく、折り返しローラ46に至るのが好ましい。
温度制御手段57による、折り返しローラ46の温度調整手段には、特に限定は無く、公知のローラの温度調整手段が、各種、利用可能である。
一例として、目的温度に応じて温度調整した液体(液体の温度調整媒体)を循環する方法、折り返しローラ46の内部に設置した加熱手段および/または冷却手段を用いる方法が例示される。
前述のように、成膜ライン10においては、供給装置12から成膜装置14を経て巻取り装置16に至る所定の経路で、供給装置12から巻取り装置16まで基板Zを通して、搬送する。
具体的には、基板Zは、基板ロール20から供給され、ガイドローラ22および24によって案内されて成膜装置14に搬送され(以上、供給装置12)、搬送室34のローラ40によって上方に搬送され、成膜室36を経て折り返し室38の折り返しローラ46で逆方向すなわち下方に折り返され、再度、成膜室36を経て、搬送室34のローラ42によって巻取り装置16に搬送され(以上、成膜装置14)、ガイドローラ30および28に案内されて巻取りロール26によって巻き取られる(以上、巻取り装置16)。
この搬送経路で基板Zを通した後に、成膜装置14において、真空排気手段72によって成膜室36内を排気して、さらに、真空排気手段64によって主に搬送室34および折り返し室38を排気して、所定のタイミングで基板Zの搬送を開始し、かつ、ガス供給手段54によって反応ガスあるいはさらにアルゴンガスなどを導入して、成膜室36内を所定の真空度に保つと共に、高周波電源58によって電極50および52に高周波電圧を印加することにより、図1に点線で模式的に示すようにガスを励起させてプラズマを生成し、かつ、反応ガスを励起/解離して、基板Zを搬送しつつ、基板Zの表面にプラズマCVDによって成膜を行なうことができる。
ここで、図1に示されるように、成膜室36においては、基板Zは電極50および52の間を通過し、かつ、反応ガスは、折り返し搬送される基板Zの間に導入される。
従って、プラズマは、折り返し搬送される基板Zの間に生成され、基板Zのプラズマと対面する面に、成膜される。すなわち、本発明の成膜ライン10においては、基板Zは、成膜室36から折り返し室38に至る搬送経路で、プラズマに対面してプラズマCVDによる成膜(1回目の成膜)に供され、折り返しローラ46で搬送経路を逆方向に折り返される(180°折り返される)ことによって、成膜室36から搬送室34に至る搬送経路で、再度、先に成膜された面がプラズマに対面して、プラズマCVDによる成膜(2回目の成膜)に供される。
すなわち、本発明の成膜ライン10では、基板Zの一方の面(折り返し搬送の内側の面)を、2回、同じプラズマに対面させて、2回のプラズマCVDによる成膜に供することができる。
しかも、プラズマを基板Zで包囲した空間に生成し、かつ、この包囲空間に反応ガスを導入するので、プラズマや反応ガス等が不要に発散しない。そのため、本発明の成膜ライン10によれば、プラズマCVDによって、高い成膜レートで、高効率の成膜を行なうことができる。
なお、本発明の成膜ライン10において、成膜レートには特に限定はなく、要求される生産性等に応じて、適宜、決定すればよい。また、基板Zの搬送速度にも、特に限定はなく、成膜レート等に応じて、適宜、設定すればよい。
成膜装置14においては、このような基板ZへのプラズマCVDへの成膜中に、前述のように、1回目の成膜(搬送室34から折り返し室38(ローラ40から折り返しローラ46)に向かう経路での成膜室36での成膜)を終了した際の基板Zの温度を、温度測定手段55によって測定し、温度制御手段57が、この基板Zの温度と、折り返しローラ46の温度との温度差が所定の値以下となるように、折り返しローラ46の温度を制御する。
成膜装置14においては、これにより、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度と、2回目の成膜(折り返し室38から搬送室34(折り返しローラ46からローラ42)に向かう経路での成膜室36での成膜)を行なわれる際の基板Zの温度との温度差を所定の値以下とするのも、前述のとおりである。
本発明の成膜装置は、1回目の成膜終了時と、2回目の成膜開始時における基板Zの温度差を所定の値以下とすることにより、基板Zの搬送経路を逆方向に折り返して、折り返した基板の間でプラズマCVDによる成膜を行なうことにより、高レートでの成膜を実現した成膜装置において、膜内に界面の無い高品位な薄膜を成膜することを可能にしたものである。
前述のように、基板Zの搬送経路を逆方向に折り返すプラズマCVDによる成膜では、折り返し前の1回目の成膜と、折り返し後の2回目の成膜の、計2回の成膜を行なうが、2層の膜を形成するのではなく、同じプラズマによって1層の膜を形成するものである。
ところが、本発明者の検討によれば、1回目の成膜終了時と、2回目の成膜開始時において、基板Zの温度が変化すると、1回目とは異なる条件で2回目の成膜を行なったような状態となってしまい、1回目の成膜による薄膜と、2回目の成膜による薄膜との間に、界面が生じてしまい、本来は1層の膜であるプラズマCVDによる膜が、あたかも2層の膜のようになってしまい、膜の品質が低下してしまう。
前述のように、気相成膜法による成膜では、熱による基板の損傷を防止するために、基板を冷却することが知られており、前述のように、特許文献2には、本発明と同様に基板の折り返し搬送を行って、折り返された基板の内側で成膜を行なうマイクロ波蒸着装置において、折り返しローラを冷却することが開示されている。
ところが、このような折り返しローラの冷却を行なうと、折り返された基板Zが冷却されてしまい、1回目の成膜を終了した際の基板の温度に比して、2回目の成膜に供される際の基板の温度が低くなってしまい、この温度差によって1回目と2回目の成膜との間で膜に界面が生じてしまう。
他方、図4に示した特許文献1に開示される装置のように、折り返しローラ116の温度制御を全く行なわない場合には、成膜開始当初は、折り返しローラ116は冷えた状態であるので、折り返された基板Zが冷却されるが、成膜を続けるにしたがって、プラズマの輻射熱等によって折り返しローラ116は加熱され、最終的には、基板Zの温度よりも高温になって、折り返す基板Zを加熱してしまう。
従って、折り返しローラ116の温度制御を全く行なわないと、当初は折り返しローラ116によって基板Zが冷却されて、1回目の成膜終了時に比して、2回目の成膜に供される際の基板の温度が低くなって界面が生じてしまい、成膜を続けるにしたがって折り返しローラ116が加熱され、次第に温度差が無くなって界面の無い膜が形成され、さらに成膜を続けると、次第に加熱されて折り返しローラ116が基板Zより高温になって、逆に、1回目の成膜終了時に比して、2回目の成膜に供される際の基板の温度が高くなって界面が生じてしまう。
すなわち、折り返しローラ116の温度制御を全く行なわないと、成膜開始からある長さまでは界面が生じ、途中で界面の無い適正な膜を形成でき、さらに成膜を続けると、ある長さから先は、再度、界面が生じてしまう。
これに対し、成膜装置14においては、前述のように、温度測定手段55によって1回目の成膜が終了した際の基板Zの温度を測定し、この温度測定結果に応じて、温度制御手段57が、折り返しローラ46の温度と、温度測定手段55による基板Zの温度との差が所定の値以下となるように、折り返しローラ46の温度を調整する。
成膜装置14は、これにより、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度と、2回目の成膜に供される際の基板Zの温度との差を所定の値以下として、界面の無い膜を形成することができる。すなわち、本発明によれば、基板の搬送経路を折り返して、折り返した基板の間でプラズマCVDによる成膜を行なうことにより、同じプラズマで2回の成膜を行なって高レートな成膜を可能にしたプラズマCVDによる成膜装置において、長時間に渡って連続的な成膜を行なっても、界面の無い高品位な膜を安定して形成することができる。
本発明において、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度と2回目の成膜に供される際の基板Zの温度との差の大きさ、すなわち、図示例においては、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度と折り返しローラ46の温度との差の大きさには、特に限定は無く、形成する膜の種類、成膜レート、基板の搬送速度等に応じて、1回目と2回目とで界面が生じない基板Zの温度差を、適宜、設定すればよい。
本発明者の検討によれば、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度と2回目の成膜に供される際の基板Zの温度との差を20℃以下、好ましくは10℃以下とすることにより、非常に多様な成膜に対応して、好適に界面が形成されることを抑制することができる。
以上の例は、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度を温度測定手段55で測定し、その測定結果に応じて、折り返しローラ46の温度と前記測定結果との差を所定の値以下とすることにより、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度と、2回目の成膜を行なわれる基板Zの温度との差を所定の値以下とするものである。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、1回目の成膜終了と2回目の成膜に供される際の基板Zの温度差を所定の値以下にできる、各種の方法が、利用可能である。
図2に、本発明の別の例を示す。
なお、図2に示す態様は、成膜装置14における基板の温度測定、および、温度制御手段57による温度制御が異なる以外は、前記成膜ライン10と全く同様であるので、同じ部材には同じ符号を付すと共に、成膜装置14の異なる部位のみを図示し、異なる部位の説明を主に行なう。
前述のように、図1に示す装置は、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度を測定して、折り返しローラ46の温度と、測定した基板温度との差が所定の値以下となるように、折り返しローラ46の温度を制御するものである。
これに対し、図2に示す装置は、第1温度測定手段55aによって図1に示す成膜装置14と同じく1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度を測定し、さらに、第2温度測定手段55bによって、2回目の成膜(折り返し室38から搬送室34に向かう経路での成膜室36での成膜)に供される基板Zの温度を測定して、両温度測定手段による温度測定結果、すなわち、1回目の成膜を終了した基板と、2回目の成膜を行なわれる基板の温度差が所定の値以下となるように、温度制御手段57によって、折り返しローラ46の温度を調整するものである。
なお、第1温度測定手段55aおよび第2温度測定手段55bは、前記温度測定手段55と、全く同様でよい。
このような構成でも、1回目の成膜を終了した基板と、2回目の成膜を行なわれる基板の温度差が所定の値以下として、基板Zを折り返し搬送して、基板間でプラズマCVDによる成膜を行なう装置において、界面の無い、適正な薄膜を形成することができる。
この例においては、第1温度測定手段55aの位置は、前記成膜装置14の温度測定手段55と全く同様でよい。
また、前述のように、基板Zは、真空中に存在している状態では、他の部材と接触しない限り、殆ど温度が変化することは無い。従って、第2温度測定手段55bは、2回目の成膜に供される基板Zが、最後に接触する部材の下流で、かつ、2回目の成膜がされる前(すなわち、図示例であれば、電極50および52の間に再度進入する前)に、基板Zの温度を測定するのが好ましい。このような構成とすることにより、より好適に、1回目の成膜を終了した基板と、2回目の成膜が行なわれる基板の温度差を所定の値以下にできる。
また、このように、第1温度測定手段55aと第2温度測定手段55bとを用いる構成においては、基板Zの温度調整は、折り返しローラ46の温度調整で行なうのに限定はされず、例えば、別途設けた温度調整用のローラ(ローラ対)、基板Zの搬送経路に外部から基板Zを加熱するヒータや冷却する冷却手段を設ける方法等、搬送されるシート状物の温度調整を行なう各種の手段が、全て、利用可能である。
このように、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度を測定する第1温度測定手段55a、および、2回目の成膜を行なわれる基板Zの温度を測定する第2温度測定手段を設け、両者の温度差が所定の値以下となるように折り返しローラ46等の温度を調整して、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度と、2回目の成膜に供される基板Zの温度との温度差を所定の値以下にする態様においては、例えば、図3に示すように、折り返しローラ46の他にガイドローラ46a、46bを有していてもよい。このようにすることで、折り返しローラ46の幅よりも成膜室36における基板Zで囲まれた空間の幅を狭めることができ、プラズマをより狭い空間に閉じ込めることができる。
このような構成とした場合、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度と、2回目の成膜が行なわれる際の基板Zの温度との差を所定の値以下にすることができれば、折り返しローラ46で基板Zの温度を調整する構成に限定はされない。例えば、ガイドローラ46a、46bによって、基板Zの温度を調整可能としてもよい。ガイドローラ46a、46bは、基板Zの成膜される面と反対側に接触しているため、基板Zの温度を調整する際に、基板Zに成膜された膜が劣化することを防止できる。
また、折り返しローラ46、ガイドローラ46a、46bの3つとも全て、基板Zの温度を調整可能としてもよい。
つまり、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度と、2回目の成膜が行なわれる際の基板Zの温度との差を所定の値以下にすることができれば、折り返し室38内の任意のローラによって、基板Zの温度を調節可能な構成とすることができる。
また、折り返しローラ46や、ガイドローラ46aおよび46bの温度調整で基板Zの温度を調整する以外にも、前述のように、温度調整用のローラや、外部から基板Zの温度を調整するヒータや冷却手段を用いて、基板Zの温度を測定してもよい。
さらに、このような搬送経路を絞り込むガイドローラ46aおよび46bを有する構成において、第1および第2の2つの温度検出手段を設けるのではなく、成膜装置14のように、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度を測定する温度測定手段55のみを設け、この温度測定手段55による基板Zの温度測定結果に応じて、この温度と折り返しローラ46の温度との温度差が所定の値以下となるように、折り返しローラ46の温度を制御してもよい。この際においては、折り返しローラ46のみならず、ガイドローラ46aおよび46bの少なくとも一方、好ましくは両者も、温度測定手段55による基板Zの温度測定結果に応じて、この温度とローラの温度との温度差が所定の値以下となるように、温度を制御するのが好ましい。
あるいは、ガイドローラ46aおよび/またはガイドローラ46bを同様に、温度調整してもよいが、やはり、折り返しローラ46、ガイドローラ46aおよび46bの全てのローラの温度が、1回目の成膜を終了した際の基板Zの温度との温度差が所定の値以下となるようにするのが好ましい。
本発明において、折り返し手段は、図1に示すように1本の折り返しローラ46で構成するのには限定はされず、基板Zの搬送経路を逆方向に折り返すことができれば、各種のシート状物の搬送経路の折り返し手段が利用可能であり、例えば、複数本のローラで基板の搬送経路を逆方向に折り返すようにしてもよい。
さらに、搬送手段は、ローラのみで構成するのに限定はされず、公知の長尺なシート状物の搬送部材が、各種利用可能であり、例えば、基板Zの搬送経路を規制するガイド部材や、基板Zを挟持搬送する搬送ローラ対等を有してもよい。
本発明においては、ローラのみならず、このようなガイド部材等も含めて、基板の搬送手段の全てが(搬送手段を構成する全ての部材が)、成膜室36の外部に配置されるのが好ましいのは、もちろんである。
本発明の成膜ライン10において、成膜装置14における、折り返しローラ46(折り返し手段)によって折り返される前後の基板Zの搬送経路は、互いに平行であるのが基板Zに対するプラズマ等の均一性等の点で好ましいが、本発明は、これに限定はされない。例えば、基板Zの搬送経路は、折り返し前後の基板Zの間隔が折り返しローラ46に向かって次第に狭くなる搬送経路や、逆に、折り返し前後の基板Zの間隔が折り返しローラ46に向かって次第に広くなる搬送経路でもよい。
本発明の成膜ライン10において、プラズマCVDによる成膜は、図示例のように、反応ガスを導入した領域に高周波電圧を印加することによって、プラズマを生成して、反応ガスを励起してプラズマCVDによって成膜を行なう方法に限定はされず、各種のプラズマCVDによる成膜方法が、全て、利用可能である。
例えば、前記特許文献1に開示されるような、折り返し搬送される基板の間に、プラズマガンを用いて基板に対峙するシート状の放電プラズマ流を形成し、かつ、基板の間に反応ガスを供給して、基板を挟んで配置される電極の両者に高周波電力を供給することで、放電プラズマ流および基板と交差する電界を形成してプラズマを生成することにより、基板の表面にプラズマCVDによる成膜を行なう方法が好適に利用可能である。
また、別の例として、本発明の成膜装置は、各種の反応性のプラズマCVDによる成膜装置などにも、好適に利用可能である。
以上、本発明の成膜装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
本発明の成膜装置の一例の概念図である。 温度制御手段の他の構成の概念図である。 折り返し室内のローラの他の一例の概念図である。 従来の成膜装置の一例の概念図である。
符号の説明
10 成膜ライン
12 供給装置
14 成膜装置
16 巻取り装置
20、110 基板ロール
22、24、28、30、46a、46b ガイドローラ
26、112 巻取りロール
34 搬送室
36、104 成膜室
38 折り返し室
40、42、114、118 ローラ
46、116 折り返しローラ
50、52、124 電極
54 ガス導入手段
55a、55b 温度測定部
56 成膜部
57 温度制御手段
58、120 高周波電源
60、68 バルブ
62、70 排気ライン
64、74 真空排気手段
100 成膜装置
102 供給室
106 巻取り室
122 マッチングボックス

Claims (6)

  1. 搬送経路を逆方向に折り返す折り返し手段を有する所定の搬送経路で基板を搬送する搬送手段と、
    前記折り返し手段による折り返し前後の基板を、外側から挟むように前記基板に対峙して配置される1対の電極、および、前記折り返し手段によって折り返された基板の間に反応ガスを導入するガス導入手段を有する、プラズマCVDによって前記基板に成膜する成膜手段と、
    前記基板の温度測定手段および前記基板の温度調整手段を有し、前記温度測定手段による温度測定結果に応じて、前記温度調整手段によって前記基板の温度を調整する温度制御手段とを有し、
    前記温度制御手段は、前記折り返し手段に向かう経路での成膜を終了した際の前記基板の温度と、前記折り返し手段によって折り返されて再度成膜を行なわれる際の前記基板の温度との差が、所定の値以下となるように、前記基板の温度を調整するものである成膜装置。
  2. 前記温度調整手段が、前記折り返し手段に設けられる請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記温度測定手段は、前記折り返し手段に向かう経路での成膜を終了した後、最初に前記基板が部材に接触するまでの間に設けられる請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. 前記温度測定手段は、前記折り返し手段に向かう経路での成膜を終了した際の前記基板の温度を測定するものであり、
    前記温度調整手段は、前記折り返し手段の温度と、前記温度測定手段による基板の温度測定結果との差が、所定の値以下となるように、前記折り返し手段の温度を調整する請求項2または3に記載の成膜装置。
  5. 前記折り返し手段に向かう経路での成膜を終了した後、前記折り返し手段で折り返されて再度成膜を行なわれるまでの間、前記基板が前記折り返し手段以外の部材に接触しない請求項4に記載の成膜装置。
  6. 前記温度測定手段は、前記折り返し手段に向かう経路での成膜を終了した際の前記基板の第1の温度と、前記折り返し手段によって折り返されて、再度成膜を行なわれる際の前記基板の第2の温度とを測定するものであり、
    前記温度調整手段は、この第1の温度と第2の温度との温度差が所定の値以下となるように、前記基板の温度を調整する請求項1〜4のいずれかに記載の成膜装置。
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