JP2009051687A - 薄片状酸化タングステン、酸化タングステン膜及びそれらの製造方法並びにそれらの用途 - Google Patents

薄片状酸化タングステン、酸化タングステン膜及びそれらの製造方法並びにそれらの用途 Download PDF

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Abstract

【課題】光の透過性が高い薄片状酸化タングステン粒子を提供する。
【解決手段】層状タングステン酸ビスマス等と酸性化合物とを混合してビスマス等を溶出して得られた層状タングステン酸と、この層状タングステン酸に含まれる水素(H)に対して0.05〜3中和当量の範囲の塩基性化合物とを媒液中で混合して、層状タングステン酸に含まれる水素を脱離させるとともに塩基性化合物を層間に挿入させ、次いで、層を剥離させて、製造する。
このようにして製造した薄片状酸化タングステン粒子は、紫外可視光吸収スペクトルにおいて、波長250〜280nmの範囲に吸光ピークを有し、波長300〜800nmの範囲では吸光ピークを有さない。また、好ましい薄片状酸化タングステン粒子は、最長幅及び最短幅がそれぞれ10〜10000nmの範囲にあり、厚みが0.5〜10nmの範囲にある。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄片状酸化タングステン粒子及びその製造方法に関する。また、前記の薄片状酸化タングステン粒子を用いた酸化タングステン膜及びその製造方法に関する。更に、前記の薄片状酸化タングステン粒子、酸化タングステン膜の用途、特に光触媒性材料としての使用に関する。
酸化タングステンは、脱硝用、有機合成用等の触媒、セラミックス、ガラス、金属等の添加剤、研磨材等に有用であり、このような用途には、球状、略球状、粒塊状等の等方性形状粒子の酸化タングステン粉末が用いられている。一方、近年は、半導体としての性質を利用し、光触媒性材料、フォトクロミック材料、エレクトロクロミック材料、ガスバリヤー性材料等の酸化タングステンを用いた機能性材料が注目されている。一般的に、このような機能性材料には、金属タングステン又は酸化タングステンをターゲットに用いてスパッタリングする方法(特許文献1参照)、塩化タングステンアルコキシドを基材に塗布後、加水分解する方法(特許文献2参照)、酸化タングステン粒子とバインダーとを含む組成物を基材に塗布する方法(特許文献3参照)等により、基材表面に酸化タングステン膜を形成したものが用いられている。
また、層状タングステン酸に水酸化4級アンモニウム化合物を反応させて得られる薄片状酸化タングステンゾルを基材に塗布して酸化タングステン膜を得る方法(非特許文献1参照)、層状酸化タングステンを極性媒質中において、炭素数の合計が6以下のアルキルアミン又はアルキルアンモニウム化合物と接触させ、これをインターカレーションすることにより層間間隔を拡大させたのち、剪断力を印加して劈開させ、厚さ1nm以下の金属酸化物ナノシートを形成させてなる金属酸化物薄膜形成用塗布液(特許文献4参照)も知られている。
特開平10−183334号公報 特開昭61−21919号公報 特開2001−70800号公報 Raymond E.Schaak、Thomas E.Mallouk、「Exfoliation of layered rutile and perovskite tungstates」、Chem.Comm,2002.706−707 特開2005−220001号公報
前記の特許文献1記載の方法では、大掛かりな装置を要し、大量生産にも不向きである。特許文献2及び3記載の方法は、簡単な塗布操作で酸化タングステン膜が得られるが、特許文献2の方法は原料の塩化タングステンアルコキシドが高価であり、特許文献3の方法は緻密な膜が得られ難い。
一方、非特許文献1記載の方法は簡単な操作によって酸化タングステン膜が得られ、しかも、酸化タングステンとして薄片状粒子を用いているので、緻密な膜が得られ易いが、この方法では、層状酸化タングステンに含まれる水素(H)に対して25当量の水酸化4級アンモニウム化合物を用いるため、未剥離の層状タングステン酸が多量に残留し、薄片状酸化タングステンの収率が低いこと、残留した層状タングステン酸を酸化タングステンに変性させるには300℃の温度で加熱処理が必要となるなどの問題がある。また、特許文献4の実施例3ではWO0.1gに対してヘキシルアミン1ミリリットルを添加しているが、ヘキシルアミン/タングステンのモル比は18程度と過剰であるため、非特許文献1と同様に薄片状酸化タングステン粒子の収率が低く、その吸光スペクトルでは波長300〜400nmでピークを示すような層状酸化タングステンであること、また、層状酸化タングステンの層間を剥離するには、液体窒素で冷却を行い、真空減圧後に封緘するなど工業的に実施は難しく、スターラーを用いて撹拌しただけでは剥離ができず、少なくとも6時間以上、場合によっては1週間以上の長時間の超音波処理を必要とするなどの問題がある。
そこで、本発明は、工業的に有利に実施でき、収率の高い薄片状酸化タングステン粒子の製造方法を提供する。また、本発明は、工業的に有利に実施でき、しかも広範囲の基材に適用できる酸化タングステン膜の製造方法を提供する。更に、前記の薄片状酸化タングステン粒子、酸化タングステン膜を用いた用途を提供する。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、層状タングステン酸と塩基性化合物とを特定量反応させると、層状タングステン酸を薄片状酸化タングステンに変性させることができるとともに、紫外光の吸収が短波長側にシフトし、それよりも高波長側では光の吸収ピークがないため、光の透過性が高い薄片状酸化タングステン粒子を高収率で得られること、また、この方法で得られた薄片状酸化タングステン粒子を含むゾルを用いると、酸化タングステン膜が簡単に得られること、更に、前記の薄片状酸化タングステン粒子、酸化タングステン膜が光触媒能を有し、超親水性作用を有することなどを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
(1)紫外可視光吸収スペクトルにおいて、波長250〜280nmの範囲に吸光ピークを有し、波長300〜800nmの範囲では吸光ピークを有さないことを特徴とする薄片状酸化タングステン粒子、
(2)層状タングステン酸と、この層状タングステン酸に含まれる水素(H)に対して0.05〜3中和当量の範囲の塩基性化合物とを媒液中で混合して、層状タングステン酸に含まれる水素を脱離させるとともに塩基性化合物を層間に挿入させ、次いで、層を剥離させることを特徴とする薄片状酸化タングステン粒子の製造方法、
(3)前記の薄片状酸化タングステン粒子を媒液に分散したゾル、
(4)層状タングステン酸と、この層状タングステン酸に含まれる水素(H)に対して0.05〜3中和当量の範囲の塩基性化合物とを媒液中で混合して、層状タングステン酸に含まれる水素を脱離させるとともに塩基性化合物を層間に挿入させ、次いで、層を剥離させることを特徴とする薄片状酸化タングステン粒子を分散したゾルの製造方法、
(5)前記の薄片状酸化タングステン粒子を用いて成膜したことを特徴とする酸化タングステン膜、
(6)前記の薄片状酸化タングステン粒子を媒液に分散したゾルを基材にコートし、次いで、室温〜500℃の範囲の温度下で成膜するなどの酸化タングステン膜の製造方法、
(7)前記の薄片状酸化タングステン粒子を媒液に分散したゾルを用いて成膜した酸化タングステン膜と、ポリマー膜などとの交互積層膜、
(8)前記の薄片状酸化タングステン粒子を媒液に分散したゾルとポリマー溶液などとを交互に少なくとも1回基材にコートすることを特徴とする酸化タングステン膜とポリマー膜などとの交互積層膜の製造方法、
(9)前記の薄片状酸化タングステン粒子又は酸化タングステン膜を含む機能性材料、特に光触媒性材料、超親水性材料など、である。
本発明の薄片状酸化タングステン粒子は、紫外光の吸収が250〜280nmの短波長側にシフトし、波長300〜800nmでは光の吸収ピークがないため、光の透過性が高く、可視光の透明性も高いことから、透明性材料として用いられる。また、波長250〜280nmの紫外光の吸収が高いために、光触媒性材料、紫外線遮蔽剤等に用いることができ、反射防止材料、ガスバリヤー性材料等の種々の用途にも用いることができる。
また、本発明の薄片状酸化タングステン粒子は、最長幅及び最短幅がそれぞれ10〜10000nmの範囲であり、厚みが0.5〜10nmの範囲にあり、しかも、薄片の二次元上面の凹凸差が1nm以内の平滑性を有することから、流動性、展着性、滑り性などの粉体特性にも優れている。このような薄片状酸化タングステン粒子は触媒、光触媒、紫外線遮蔽剤、セラミックス・金属の添加剤、研磨材等の使用に好適であり、金属タングステン、炭化タングステン等の製造用原材料などにも用いられる。
本発明の薄片状酸化タングステン粒子の製造方法は、大掛かりな装置を要せず、比較的安価な原材料を用いているので、工業的に有利に、しかも、薄片状酸化タングステン粒子が高収率で得られ、未反応の層状タングステン酸がほとんど残留しないので、高温度で加熱処理して層状タングステン酸を酸化タングステンに変成させる必要が無い。特に、最長幅及び最短幅がそれぞれ10〜10000nmの範囲であり、厚みが0.5〜10nmの範囲にある薄片状酸化タングステン粒子を比較的簡単に製造することができる有利な方法である。
また、前記の薄片状酸化タングステン粒子は分散性に優れているため、媒液に均一に分散した酸化タングステンゾルとすることができる。
更に、本発明の酸化タングステン膜は、薄片状酸化タングステン粒子を用いて成膜するため、被覆率の高い膜が得られ易い。また、紫外光の吸収が250〜280nmの短波長側にシフトし、波長300〜800nmでは光の吸収ピークがないため、光の透過性が高く、可視光の透明性も高いことから、透明性材料として用いられる。また、波長250〜280nmの紫外光の吸収が高いために、光触媒性材料、紫外線遮蔽材料等に用いることができ、フォトクロミック性材料、エレクトロクロミック性材料、反射防止材料、ガスバリヤー性材料等の種々の用途にも用いることができる。特に、光触媒性材料として、防汚性、防曇性、超親水性、疎水性等の効果が利用できる。
酸化タングステン膜は、前記の酸化タングステンゾルを基材上にコートし成膜して製造することができ、酸化タングステンゾルに含まれる媒液を除去できる温度下でも行うことができるので、耐熱性が劣る基材に対しても適用できる有用な方法である。
本発明の薄片状酸化タングステン粒子は、一般に板状、シート状、ナノシート状、フレーク状と呼ばれるものを包含する。また、本発明の薄片状酸化タングステン粒子は、薄片状酸化タングステンの濃度をWO換算で約0.04g/リットルの水性ゾルに調整した後、分光光度計(株式会社日立製作所製、U−3300型)を用いて波長200〜800nmの範囲で吸光度を測定した紫外可視光吸収スペクトルにおいて、波長250〜280nmの範囲に吸光ピークを有し、波長300〜800nmの範囲では吸光ピークを有さない点に特徴がある。波長250〜280nmの範囲にある吸光ピークは、後述する塩基性化合物の存在の影響で明確な吸光ピークを示さず、ショルダーピークを示す場合もある。
薄片状酸化タングステンの粒子径は、薄片面の最長幅、最短幅と薄片面に対する垂直方向の厚みで規定すると、粉体特性の観点から最長幅及び最短幅がそれぞれ10〜50000nmの範囲にあり、厚みが0.5〜50nmの範囲にあるのが好ましく、最長幅及び最短幅がそれぞれ10〜10000nmの範囲にあり、厚みが0.5〜10nmの範囲にあるのがより好ましく、最短幅/厚みが10以上であれば更に好ましい。また、薄片状酸化タングステン粒子の薄片面の二次元上面は平滑であるのが好ましく、具体的に二次元上面の凹凸差が1nm以内にあるのがより好ましい。薄片の形状や大きさは、走査型プローブ顕微鏡によって求めることができる。
薄片状酸化タングステン粒子には、後述する塩基性化合物が含まれていても良く、水酸化4級アンモニウム化合物などが含有していると、媒液中での分散性が良くなり、分散安定性の良いゾルの状態とし易い。また、薄片状酸化タングステンの粒子表面には、媒液への分散性、樹脂の親和性等の観点から、従来の界面活性剤、カップリング剤等の有機化合物やシリカ、アルミナ等の無機化合物を被覆しても良い。
本発明の薄片状酸化タングステン粒子は、層状タングステン酸と、この層状タングステン酸に含まれる水素(H)に対して0.05〜3中和当量の範囲の塩基性化合物とを媒液中で混合して、層状タングステン酸に含まれる水素を脱離させるとともに塩基性化合物を層間に挿入させ、次いで、層を剥離させて製造する。層状タングステン酸は層間に、水素イオン(H)が挿入された化合物であり、例えばHで表されるタングステン酸の場合[W2−の組成からなる化合物の層間に、水素イオン(H)が挿入されたものである。このような層状タングステン酸は公知の方法で製造することができ、後述のタングステン酸金属塩を用いる方法がより好ましい。層状タングステン酸と塩基性化合物とを混合すると、層状タングステン酸に含まれる水素を脱離させるとともに塩基性化合物を層間に挿入させることができる。塩基性化合物の量が前記範囲より少ないと水素イオンが十分脱離せず、多いと層間に塩基性化合物が侵入して膨潤するので却って層間の剥離が困難になると推測され、より好ましい量は0.1〜3中和当量、更に好ましくは0.9〜1.5中和当量である。塩基性化合物の量は層状タングステン酸に含まれるタングステン(W)に対して0.05〜3当量の範囲が好ましく、0.1〜3当量の範囲がより好ましく、0.9〜1.5当量が更に好ましい。塩基性化合物としては、(1)水酸化4級アンモニウム化合物(水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等)、(2)アルキルアミン化合物(プロピルアミン、ジエチルアミン等)、(3)アルカノールアミン化合物(エタノールアミン、アミノメチルプロパノール等)が挙げられ、中でも水酸化4級アンモニウム化合物が反応性に優れ好ましい。媒液には、水又はアルコール等の有機溶媒、あるいはそれらの混合物を用いることができ、工業的には水を主体とする水性媒液を用いるのが好ましい。媒液に層状タングステン酸と塩基性化合物を加え、撹拌して混合させることができる。また層状タングステン酸を水に分散させたスラリーに塩基性化合物を加えたり、塩基性化合物水溶液に層状タングステン酸を加えても良い。次いで、撹拌を続けると層状タングステン酸の層が剥離して、薄片状酸化タングステン粒子が得られる。その際の反応温度に特に制限は無いが、層状タングステン酸が分解し難いように、1〜20日かけて室温下で行うのが好ましい。また、層間剥離の程度をより高めるため、溶液を入れた容器を振とうしても良い。この振とうにより、最長幅及び最短幅がそれぞれ10〜10000nmの範囲であり、厚みが0.5〜10nmの範囲の酸化タングステンナノシートを製造することができる。振とうには、振とう器、ペイントコンディショナー、シェーカー等を用いることができる。
得られた薄片状酸化タングステン粒子は、媒液より固液分離し、あるいは乾燥する。固液分離には、フィルタープレス、ロールプレス等の濾過器を用いることができ、また、乾燥にはバンド式ヒーター、バッチ式ヒーター、噴霧乾燥機等が用いられる。固液分離に際し、必要に応じて洗浄しても良い。乾燥後には、薄片状酸化タングステンの凝集程度に応じ、前記の粉砕機を用いて乾式粉砕を行っても良い。また、必要に応じて乾燥した薄片状酸化タングステン粉末を焼成しても良く、酸化タングステンの結晶性を高めるために200〜800℃程度の温度で焼成しても良い。
層状構造を有するタングステン酸は公知の方法で製造することができるが、例えば、層状タングステン酸金属塩を予め調製した後、層状タングステン酸金属塩と酸性化合物を混合し、金属塩を溶出する方法が所望の大きさ、層の厚みのものが得られるため好ましく、タングステン酸金属塩としてはタングステン酸ビスマスがより好ましい。製造する薄片状酸化タングステンの粒子の大きさは、用いる層状タングステン酸金属塩の大きさに依存し、そのため、層状タングステン酸金属塩を製造する際の焼成温度を適宜選択したり、融剤を添加する所謂フラックス法を採用することによって、薄片状酸化タングステンの粒子径を適宜調整することができる。層状タングステン酸ビスマスはタングステンとビスマスの層状化合物であって、例えばBiで表され、[W2−の組成からなる化合物の層間に、[Bi2+が挿入されたものである。このような化合物は公知の方法を用いて製造することができ、例えばタングステン化合物とビスマス化合物とを乾式又は湿式で混合した後、焼成する。タングステン化合物、ビスマス化合物には、タングステンやビスマスの酸化物、塩化物、硫酸塩、炭酸塩等が用いられ、中でも酸化物(WO、Bi)が好ましい。焼成温度は700〜1000℃の範囲が好ましく、この範囲より低いと不純物相が形成し易く、また反応も進み難くなり、この範囲より高いと生成物同士や生成物との焼結、焼成機器への融着等が生じ易い。更に好ましい範囲は、800〜900℃である。焼成には、流動炉、静置炉、ロータリーキルン、トンネルキルン等の公知の加熱焼成炉を用いることができる。焼成雰囲気は、大気中でも不活性ガス中でも良く、焼成機器、焼成温度等に応じて適宜選択する。焼成の際には融剤を添加しても良い。焼成後、焼結の程度に応じ、ハンマーミル、ピンミル等の衝撃粉砕機、ローラーミル、パルペライザー、解砕機等の摩砕粉砕機、ロールクラッシャー、ジョークラッシャー等の圧縮粉砕機、ジェットミル等の気流粉砕機等を用いて乾式粉砕を行っても良い。
前記の層状タングステン酸金属塩を酸性化合物と混合して、層間に存在する金属塩を溶出すると層状タングステン酸が得られる。前記の酸性化合物としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸等の無機酸を用いると反応が進み易く、塩酸、硫酸であれば工業的に有利に実施できるので好ましい。酸性化合物の量には特に制限は無いが、層状タングステン酸金属塩に含まれる金属イオンの酸化物換算に対し、例えばタングステン酸ビスマスに含まれるBi換算のビスマス酸化物に対して、1当量以上とするのが好ましい。酸性化合物の濃度は3〜8規定の範囲が好ましく、その範囲より低いと反応性が低下して効率が悪く、高いと工業的に不利である。酸性化合物溶液に層状タングステン酸金属塩を加え、撹拌して混合させることができ、その際の反応温度には特に制限は無いが、層状タングステン酸金属塩が分解し難いように、室温下で行うのが好ましい。得られた層状タングステン酸は、溶液より固液分離し、必要に応じて洗浄する。固液分離には、フィルタープレス、ロールプレス等の濾過器を用いることができる。また、その後、必要に応じて乾燥しても良い。
前記の薄片状酸化タングステン粒子を媒液に分散させて、ゾルとすることができる。媒液には、水又はアルコール等の有機溶媒、あるいはそれらの混合物を用いることができ、工業的には水を主体とする水性媒液を用いるのが好ましい。ゾル中の薄片状酸化タングステン粒子の含有量は適宜調整することができる。例えばWO換算で0.05〜10重量%程度が好ましく、含有量が前記範囲より少ないと膜厚の厚い塗膜が得られ難く、多いと分散性が低下して酸化タングステン粒子が凝集し易くなるため好ましくない。より好ましくは0.05〜1.0重量%である。ゾルには、薄片状酸化タングステン粒子、媒液以外にも、本発明の効果を阻害しない範囲で、樹脂バインダー、分散剤、pH調整剤、消泡剤、乳化剤、着色剤、増量剤、防カビ剤、硬化助剤、増粘剤等の各種添加剤、充填剤等が第三成分として含まれていても良い。具体的には、樹脂バインダーとしては、(1)無機系バインダー((a)重合性ケイ素化合物(加水分解性シラン又はその加水分解生成物又はその部分縮合物、水ガラス、コロイダルシリカ、オルガノポリシロキサン等)、(b)金属アルコキシド類等)、(2)有機系バインダー(アルキド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、変性シリコーン系樹脂)等が挙げられる。分散剤としては、(1)界面活性剤((a)アニオン系(カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等)、(b)カチオン系(アルキルアミン塩、アルキルアミンの4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム塩等)、(c)両性(ベタイン型、アミノ酸型、アルキルアミンオキシド、含窒素複素環型等)、(d)ノニオン系(エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型等)等、(2)シリコーン系分散剤(アルキル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン等)、(3)リン酸塩系分散剤(リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、オルトリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等)、(4)アルカノールアミン類(アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール等)等が挙げられる。
前記の層状タングステン酸と塩基性化合物とを媒液中で混合して薄片状酸化タングステンを製造した状態でも薄片状酸化タングステン粒子が分散した状態であるため、そのまま薄片状酸化タングステン粒子を含むゾルとして用いても良く、あるいは、その後に固液分離又は遠心分離した薄片状酸化タングステン粒子を媒液に再分散させて製造することができる。また、凍結乾燥したもの、加熱乾燥した薄片状酸化タングステン粉末、それを焼成した粉末を媒液に再分散させても良い。再分散は、通常の撹拌機、コロイドミル、ボールミル、ビーズミル等の分散機を用いることができ、その際、上記の第三成分を添加することができる。
次に、本発明の酸化タングステン膜は、前記の薄片状酸化タングステン粒子を用いて成膜し、具体的には、薄片状酸化タングステン粒子を含むゾルを基材上にコートして成膜するのが好ましい。本発明の酸化タングステン膜を分光光度計(株式会社日立製作所製、U−3300型)を用いて波長200〜800nmの範囲で測定した紫外可視光吸収スペクトルにおいて、波長250〜280nmの範囲に吸光ピークを有し、波長300〜800nmの範囲では吸光ピークを有さないものが好ましい。また、酸化タングステン膜の厚みは、コート方法を適宜選択して任意の厚みとすることができるが、薄片状酸化タングステン粒子を単層で被覆することもでき、例えば0.5〜10nmの範囲の厚みとすると種々の用途に利用できることからより好ましい。基材の材質には、プラスチックス、ガラス、セラミックス、金属、木材、繊維等特に制限を受けない。基材の表面には、酸化タングステン膜と基材との密着性を向上させたり、基材を保護する等の目的で、予めプライマー層を形成しておいても、酸化タングステン膜を保護する等の目的で、膜の表面にトップコート層を形成しても良い。プライマーやトップコートには、前述の無機系バインダー、有機系バインダー等を用いることができる。
基材にコートする方法としては、スピンコート、スプレー塗装、ローラーコート、ディップコート、フローコート、ナイフコート、静電塗装、バーコート、ダイコート、ハケ塗り、液滴を滴下する方法等、一般的な方法を制限無く用いることができる。膜厚をより厚くするのであれば、重ね塗りを行っても良い。コートしたものから媒液を除去すれば酸化タングステン膜が成膜するが、成膜は室温〜500℃の範囲の温度下で行うのが好ましい。より好ましい温度は、媒液の沸点によるが、例えば、水性媒液であれば室温〜150℃の範囲が好ましく、更に好ましくは100〜150℃の範囲である。また、別の方法として酸化タングステンの光触媒能を利用し、コートしたものに、酸化タングステンのバンドギャップ以上のエネルギーを有する波長の光を照射して成膜しても良い。光照射による成膜では、媒液を分解除去することもでき、特に、成膜後にバインダー等の第三成分が不要であれば、第三成分に有機系のものを用いると、加熱処理せずに除去できる。また、成膜した酸化タングステン膜を基材の耐熱性に応じて必要であれば焼成しても良く、密着性を高めるために200〜800℃程度の温度で焼成しても良い。
本発明では、薄片状酸化タングステン粒子を媒液に分散したゾルとポリマー溶液とを交互に少なくとも1回基材にコートすることより、酸化タングステン膜とポリマー膜とが交互に積層した膜を製造することができる。これは、例えば、ポリエチレンイミン、ポリメチルジアリルアンモニウム塩化物、塩酸ポリアリルアミン等のカチオン系ポリマーなどのポリマー溶液を基材にコート、好ましくはディップコートしてポリマー層を形成した後、酸化タングステンゾルをコート、好ましくはディップコートして酸化タングステン膜を形成する操作を繰り返すもので、所謂交互吸着積層法といわれる方法である。コートしたものから媒液を除去すれば交互積層膜が成膜するが、室温〜200℃の範囲の温度で乾燥するのが好ましい。この方法では、ポリマー層に薄片状酸化タングステン粒子が吸着されるので、膜厚の厚い酸化タングステン膜が得られ易くなる。酸化タングステン膜、ポリマー膜のそれぞれの膜厚は適宜設定することができ、例えば、0.5〜10nmの範囲が好ましい。
前記の交互吸着積層法を利用し、ポリマー溶液に代えて酸化タングステン以外の薄片状無機化合物ゾルを用い、それと薄片状酸化タングステンゾルとを交互に少なくとも1回基材にコートすると酸化タングステン膜と無機化合物膜との交互積層膜を製造することができる。コートしたものから媒液を除去すれば交互積層膜が成膜するが、この場合は、両者が無機化合物であることから成膜には加熱しても良く、室温〜500℃の範囲の温度で乾燥するのが好ましい。無機化合物としては酸化チタン、酸化マンガン等を用いることができ、その無機化合物膜を形成するために薄片状酸化チタンゾル、薄片状酸化マンガンゾル等を用いることができる。酸化タングステン膜、無機化合物膜のそれぞれの膜厚は適宜設定することができ、例えば、0.5〜10nmの範囲が好ましい。また、別の交互積層膜としては、薄片状酸化タングステンゾルとポリマー溶液と酸化タングステン以外の薄片状無機化合物ゾルとの三種を用いて、交互に少なくとも1回基材にコートすると酸化タングステン膜とポリマー膜と無機化合物膜の交互積層膜を製造することができる。この交互積層膜を加熱してポリマー膜を分解除去すると、酸化タングステン膜と無機化合物膜との交互積層膜を製造することもできる。
前記の薄片状酸化タングステン粒子、酸化タングステン膜、交互積層膜は種々の用途に用いることができる。例えば、紫外線遮蔽剤、透明性材料、反射防止材料、光触媒性材料、フォトクロミック性材料、エレクトロクロミック性材料、ガスバリヤー性材料等の機能性材料に用いることができる。これらの用途への使用は従来から用いられている形態、担持状態、配合割合に応じて薄片状酸化タングステン粒子等を適用すれば良く、例えば光触媒として、酸化タングステンのバンドギャップ以上のエネルギーを有する波長の光を照射して、有害物質、悪臭物質、汚れ等を除去したり、超親水性効果による防汚、防曇作用等を活用することができる。また、薄片状酸化タングステン粒子は樹脂と混合して、塗料、インキ等の液状樹脂組成物とすることもでき、あるいは、薄片状酸化タングステン粒子を樹脂中に混合してプラスチック成形体、シート、フィルム等の固体樹脂組成物とすることもできる。このような樹脂としては前記の樹脂バインダーや生分解性樹脂、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を適宜用いることができ、薄片状酸化タングステン粒子の配合量、その他の添加剤の配合量等は適宜設定することができる。
更に、薄片状酸化タングステン粒子は金属タングステンや炭化タングステンの製造用原材料として用いることができる。金属タングステンは酸化タングステンを還元する公知の方法で製造することができ、例えば、前記の薄片状酸化タングステン粒子又は酸化タングステン膜を水素中で例えば700℃以上の温度に加熱し還元する方法、薄片状酸化タングステン粒子を鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等と混合し加熱する方法などを用いることができる。このようにして得られた金属タングステンの好ましい粒子径は、最長幅及び最短幅がそれぞれ10〜10000nmの範囲にある薄片状金属タングステン粒子である。このような薄片状金属タングステン粒子を用いて薄肉化した電極等を作製することができる。例えば液晶画面バックライトの電極としてタングステン合金によるCCFL(冷陰極蛍光ランプ)用電極が使用されているが、その代替として用いることができる。更に、炭化タングステンは酸化タングステンを還元し、次いで、炭化する公知の方法を用いることができ、例えば、前記の金属タングステンと炭素又は炭素含有物とを水素気流中で加熱し炭化して製造することができる。このようにして得られた炭化タングステンの好ましい粒子径は、最長幅及び最短幅がそれぞれ10〜10000nmの範囲にある薄片状炭化タングステン粒子である。このような薄片状炭化タングステン粒子は、従来の炭化タングステンの用途である超硬質材料として用いることができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
実施例1
11.94gの三酸化タングステンと12.0gの三酸化二ビスマスを、メノウ乳鉢を用いて、十分に粉砕混合した後、870℃で16時間焼成を行い、層状タングステン酸ビスマス(Bi)を得た。得られた層状タングステン酸ビスマス10.0gを6規定の塩酸1リットルと撹拌しながら、24時間かけて反応させた後、ろ過、洗浄を行って層状タングステン酸(H)を得た。得られた層状タングステン酸0.5gに含まれる水素(H)に対して1中和当量の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を調製して、この水溶液中に層状タングステン酸を添加後、10日間の振とうし、薄片状酸化タングステン粒子(試料A)を含む本発明の酸化タングステンゾル(試料a)を得た。
実施例2、3
実施例1において、水酸化テトラメチルアンモニウムの添加量を層状タングステン酸に含まれる水素(H)に対してそれぞれ2中和当量及び0.1中和当量とした以外は実施例1と同様にして、本発明の薄片状酸化タングステン粒子(それぞれ試料B、Cとする)及び酸化タングステンゾル(それぞれ試料b、cとする)を得た。
比較例1
実施例1において、水酸化テトラメチルアンモニウムの添加量を層状タングステン酸に含まれる水素(H)に対して25中和当量とした以外は実施例1と同様にして酸化タングステン粒子(試料D)及び酸化タングステンゾル(試料d)を得た。
実施例4
実施例1で得た酸化タングステンゾル(試料a)の濃度を、WO換算で0.08g/リットルに調整した。石英板を2.5g/リットルのポリエチレンイミン水溶液に浸漬後、室温下で乾燥した後、濃度調整した酸化タングステンゾルに浸漬し、室温下で乾燥して成膜した。更に続いてポリエチレンイミン水溶液、酸化タングステンゾルの各溶液に、室温下での乾燥工程を入れつつ、交互に石英基板浸漬を行い、この操作を合計5回繰り返して酸化タングステン膜とポリマー膜との交互積層膜(積層5回=試料E)を得た。
実施例5、6
実施例4において、試料aに替えて試料b、cを用いたこと以外は実施例4と同様にして酸化タングステン膜とポリマー膜との交互積層膜を得た。それぞれを試料F(実施例5)、試料G(実施例6)とした。
比較例2
実施例4において基材として用いた石英板を比較対象(試料H)とした。
評価1(酸化タングステン粒子形状の観察)
シリコンウェハー板を2.5g/リットルのポリエチレンイミン水溶液に浸漬後、室温下で乾燥した後、実施例1、比較例1で得られた酸化タングステンゾル(試料a、d)に浸漬し、室温下で乾燥して成膜した。この酸化タングステン膜に含まれる粒子を、走査形プローブ顕微鏡(日本電子株式会社製、JSPM−4210型)を用いて観察した試料Aの写真を図1に示す。本発明で得られた酸化タングステンは、最短幅約100nm、最長幅約300nmの薄片状粒子であることが判る。
また、図1にて観察された薄片状粒子の厚さを解析するためにラインプロット解析を行った試料Aの結果を図2に示す。この結果から、薄片状酸化タングステン粒子の最大高低差(P−V)が3.8nmであることから、基板シリコンウェハーから本発明で得られた粒子にかけての高さ(厚みに相当する)が最大で3.8nmであることが判った。また、図2の平坦な部分が薄片状粒子の二次元上面の表面状態を表し、その平均粗さ(Ra)が0.7nmであることから、本発明の薄片状酸化タングステン粒子の二次元上面の凹凸差が1nm以内の非常に平滑なものであることも判った。試料B、Cについても、同様にして薄片状粒子であることを確認した。一方、比較例1で得られた試料Dは、未剥離の粗大粒子が多く、試料表面の凹凸が大きいため、粒子形状を観察できなかった。
評価2(酸化タングステンゾルの吸光特性の評価)
実施例1〜3及び比較例1で得た酸化タングステンゾル(試料a〜d)を純水で10倍に希釈し、濃度をWO換算で約0.04g/リットルに調整した後、分光光度計(株式会社日立製作所製、U−3300型)を用いて吸光度を測定した。結果を図3に示す。本発明の酸化タングステンゾルは、255nm付近にショルダーピークを示し、300nmから800nmまでの波長領域ではピークを示さないことが判った。波長が400nm以上の可視光領域では、ほとんど吸光を示していないので、透明度が高いことが判る。WO換算で同じ濃度条件にて作製したゾルの吸光スペクトルにおいて、255nm付近の吸光度は本発明の薄片状酸化タングステン粒子の合成収量に比例するものである。つまり試料a>試料b>試料cの順で本発明の薄片状酸化タングステン粒子が収率良く合成されたことを示している。一方、比較試料dは、未剥離のものが多く、薄片状酸化タングステン粒子の収率が非常に低いため255nmの吸光度は観測されなかった。
評価3(酸化タングステン膜の吸光特性の評価)
実施例4で得られた酸化タングステン膜(試料E)の吸光度を、分光光度計(株式会社日立製作所製、U−3300)を用いて測定した。処理中の酸化タングステンゾルに浸漬、乾燥毎に吸光度測定を行った合計5回の吸光度測定結果を図4に示す。本発明で得られた酸化タングステン膜は、255nm付近にショルダーピークを示し、300nmから800nmまでの波長領域ではピークを示さないことが判った。波長が400nm以上の可視光領域では、ほとんど吸光を示していないので、透明度が高いことが判る。また、各積層回数別試料におけるショルダーピークの255nm付近の吸光度について、積層回数に応じてほぼ定量的に吸光度が上昇していることから、石英基板上に1回の積層処理にて、ほぼ定量的に酸化タングステン膜を形成させることが可能であることを確認した。試料F、Gについても、同様にして優れた透明性を有していること、及び積層処理1回での定量的な酸化タングステン膜が形成可能なことを確認した。
評価4(酸化タングステン膜の光触媒性の評価)
実施例4で得られた酸化タングステン膜(試料E)及び比較例2の石英板(試料H)に、ブラックライト(波長360nm)を照度が1mW/cmになるように大気中で168時間照射し、その間に適当な間隔で水の接触角を接触角計(協和界面科学株式会社製、FACE接触角計CA−D型)を用いて測定した。その後、ブラックライトの照射を止め、試料を大気中で暗所保管して、その間の接触角も同様に測定した。結果を図5に示す。試料Eの接触角が、紫外線照射直後に大きくなるのは、酸化タングステンの光触媒能により、膜表面のポリエチレンイミンが分解され、分解生成物によって膜表面に汚れが生じたためであると推測される。その後は、分解生成物の分解除去が進むことで接触角が減少し、接触角が5°以下となり超親水性が発現した。更に、暗所保管を行っている間でも超親水性が維持され、大気中の有機物による付着が生じ難いと考えられる。一方、試料Hは経時的に接触角が上昇しており、表面の汚れが進行していると推測される。試料F、Gについても、同様にして超親水性が発現していることを確認した。
薄片状酸化タングステン、酸化タングステン膜、交互積層膜は例えば、紫外線遮蔽剤、透明性材料、反射防止材料、光触媒性材料、フォトクロミック性材料、エレクトロクロミック性材料、ガスバリヤー性材料等の機能性材料に有用である。
実施例1で得られた薄片状酸化タングステン粒子(試料A)の走査形プローブ顕微鏡写真である。 実施例1で得られた薄片状酸化タングステン粒子(試料A)の厚み、二次元上面の表面状態を表す図1中の矢印における凹凸解析ラインプロットである。 実施例1〜3及び比較例1の酸化タングステンゾル(試料a〜d)の吸光度の測定結果である。 実施例4で得られた酸化タングステン膜(試料E)の吸光度の測定結果である。 実施例4で得られた酸化タングステン膜(試料E)及び比較例2(試料H)の水の接触角の経時測定結果である。

Claims (25)

  1. 紫外可視光吸収スペクトルにおいて、波長250〜280nmの範囲に吸光ピークを有し、波長300〜800nmの範囲では吸光ピークを有さないことを特徴とする薄片状酸化タングステン粒子。
  2. 最長幅及び最短幅がそれぞれ10〜10000nmの範囲にあり、厚みが0.5〜10nmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載の薄片状酸化タングステン粒子。
  3. 薄片の二次元上面の凹凸差が1nm以内である請求項1記載の薄片状酸化タングステン粒子。
  4. 層状タングステン酸と、この層状タングステン酸に含まれる水素(H)に対して0.05〜3中和当量の範囲の塩基性化合物とを媒液中で混合して、層状タングステン酸に含まれる水素を脱離させるとともに塩基性化合物を層間に挿入させ、次いで、層を剥離させることを特徴とする薄片状酸化タングステン粒子の製造方法。
  5. 塩基性化合物が水酸化4級アンモニウム化合物であることを特徴とする請求項4記載の薄片状酸化タングステン粒子の製造方法。
  6. 層状タングステン酸が、層状タングステン酸ビスマスと酸性化合物とを混合してビスマスを溶出して得られたものであることを特徴とする請求項4記載の薄片状酸化タングステン粒子の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄片状酸化タングステン粒子を媒液に分散したゾル。
  8. 層状タングステン酸と、この層状タングステン酸に含まれる水素(H)に対して0.05〜3中和当量の範囲の塩基性化合物とを媒液中で混合して、層状タングステン酸に含まれる水素を脱離させるとともに塩基性化合物を層間に挿入させ、次いで、層を剥離させることを特徴とする薄片状酸化タングステン粒子を分散したゾルの製造方法。
  9. 請求項1記載の薄片状酸化タングステン粒子を用いて成膜したことを特徴とする酸化タングステン膜。
  10. 紫外可視光吸収スペクトルにおいて、波長250〜280nmの範囲に吸光ピークを有し、波長300〜800nmの範囲では吸光ピークを有さないことを特徴とする酸化タングステン膜。
  11. 厚みが0.5〜10nmの範囲にあることを特徴とする請求項9又は10記載の酸化タングステン膜。
  12. 請求項7記載の薄片状酸化タングステン粒子を媒液に分散したゾルを基材にコートし、次いで、室温〜500℃の範囲の温度下で成膜することを特徴とする酸化タングステン膜の製造方法。
  13. 請求項7記載の薄片状酸化タングステン粒子を媒液に分散したゾルを基材にコートし、次いで、酸化タングステンのバンドギャップ以上のエネルギーを有する波長の光を照射して成膜することを特徴とする酸化タングステン膜の製造方法。
  14. 請求項7記載の薄片状酸化タングステン粒子を媒液に分散したゾルを用いて成膜した酸化タングステン膜と、ポリマー膜との交互積層膜。
  15. 請求項7記載の薄片状酸化タングステン粒子を媒液に分散したゾルとポリマー溶液とを交互に少なくとも1回基材にコートすることを特徴とする酸化タングステン膜とポリマー膜との交互積層膜の製造方法。
  16. 請求項7記載の薄片状酸化タングステン粒子を媒液に分散したゾルを用いて成膜した酸化タングステン膜と、酸化タングステン以外の無機化合物の膜との交互積層膜。
  17. 請求項7記載の薄片状酸化タングステン粒子を媒液に分散したゾルと、酸化タングステン以外の薄片状無機化合物ゾルとを交互に少なくとも1回基材にコートし、次いで、室温〜500℃の範囲の温度下で成膜することを特徴とする酸化タングステン膜と無機化合物膜との交互積層膜の製造方法。
  18. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄片状酸化タングステン粒子又は請求項9〜11、14、16のいずれか一項に記載の酸化タングステン膜を含む機能性材料。
  19. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄片状酸化タングステン粒子又は請求項9〜11、14、16のいずれか一項に記載の酸化タングステン膜を含む光触媒性材料。
  20. 請求項19に記載の光触媒性材料を用いた超親水性材料。
  21. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄片状酸化タングステン粒子を配合した樹脂組成物。
  22. 最長幅及び最短幅がそれぞれ10〜10000nmの範囲にあることを特徴とする薄片状金属タングステン粒子。
  23. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄片状酸化タングステン粒子又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の酸化タングステン膜を還元することを特徴とする金属タングステンの製造方法。
  24. 最長幅及び最短幅がそれぞれ10〜10000nmの範囲にあることを特徴とする薄片状炭化タングステン粒子。
  25. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄片状酸化タングステン粒子又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の酸化タングステン膜を還元し、次いで、炭化することを特徴とする炭化タングステンの製造方法。
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