JP2009051461A - 燃料タンクおよび燃料タンク製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接時に溶接機に対する制約のより少ない燃料タンクと、この燃料タンクを製造するための燃料タンク製造方法を得る。
【解決手段】燃料タンク12は、筒状部材14と、その軸方向の端部に固定された端板部材16とを有するドラム型燃料タンク12とされる。筒状部材14の軸方向の端部と、端板部材16の外周縁とでそれぞれ構成される溶接用フランジ14F、16Fは、外周面14Sからの延出角θが90度となるように延出されている。溶接時に電極輪がインレットロア18等と接触しないので、溶接機に対する制約が少なくなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料タンクおよび燃料タンク製造方法に関する。
自動車等の車両に搭載される燃料タンクとして、特許文献1には、筒状部の開口端縁と、この開口端縁に配置されるエンドプレートのフランジとをシーム溶接機の電極輪で挟持して溶接し、筒状部の開口を閉塞した燃料タンク(いわゆる「ドラム型燃料タンク」)が示されている。この燃料タンクでは、フランジは、筒状部の軸線と同方向に延出されている。
ところで、特許文献1にも記載されているように、エンドプレート(端板部材)には、燃料タンク外側に膨出する膨出部が設けられたり、同じく燃料タンク外側に突出する突出部材が取り付けられたりすることがある。このような膨出部や突出部材があると、シーム溶接機の電極輪のうち、特に内側の電極輪の移動領域が制限されてしまうので、たとえば、内側の電極輪を小型にする等、各種の制約が生じる。また、膨出部や突出部材がない構成であっても、筒状部材とシーム溶接機の相対的な大きさによっては、同様の制約が生じることがある。
特開2006−62491号公報
本発明は上記事実を考慮し、溶接時に溶接機に対する制約のより少ない燃料タンクと、この燃料タンクを製造するための燃料タンク製造方法を得ることを課題とする。
請求項1に記載の発明では、筒状に形成され燃料タンクの一部をなす筒状部材と、前記筒状部材の軸方向の端部に配置される端板部材と、前記筒状部材と前記端板部材のそれぞれを部分的に面接触させることで構成され、筒状部材と端板部材とを溶接するための溶接用フランジと、を有し、前記溶接用フランジが、前記筒状部材の外面よりも筒状部材の軸線から見て外側に延出されていることを特徴とする。
この燃料タンクでは、筒状部材の軸方向の端部に端板部材が配設されて、燃料タンクの全体的な外形が構成される。筒状部材と端板部材のそれぞれは、部分的に面接触されて溶接用フランジが構成される。すなわち、この溶接用フランジにおいて溶接することで、筒状部材と端板部材とが溶接されて接合される。
接合用フランジは、筒状部材の外面よりも筒状部材の軸線から見て外側に延出されている。換言すれば、接合用のフランジが筒状部材の軸線と同方向に延出された構造のものと比較して、筒状部材の端部は、大きく広がっていることになる。したがって、溶接機を用いて接合用フランジを溶接する場合に、溶接機を配置しやすくなる。従来のように、電極輪として小型のものを用いる等の制約がより少なくなる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記溶接用フランジが、前記筒状部材の外面から測った延出角が略90度となるように延出されていることを特徴とする。
すなわち、請求項1に記載の発明において、溶接用フランジの延出角は特に制限されないが、請求項2に記載のように略90度とすると、溶接用フランジは筒状部材の外面に対して直角に立ち上がることになるので、溶接機を特に配置しやすくなる。また、端板部材としては、溶接用フランジとなる部分も含めて略平面状(延出角が90度の場合は平面状)となるので、生産性を向上させることも可能となる。
なお、上記において「略90度」とは、90度を中心として、実質的に溶接用フランジが筒状部材の外面にから直角に立ち上がっているとみなせる範囲を含み、具体的には、80度から100度程度であればよい。このような延出角の範囲であれば、端板部材としても生産性を向上させることが可能な程度の平面性を有しているとみなせる。
請求項3に記載の発明では、前記請求項1又は請求項2に記載の燃料タンクを製造するための燃料タンク製造方法であって、前記筒状部材の軸方向の端部に前記端板部材を配置し、前記筒状部材に形成された溶接用フランジと、前記端板部材に形成された溶接用フランジとを面接触させる配置工程と、互いに面接触された前記溶接用フランジを溶接して前記筒状部材と前記端板部材とを接合する溶接工程と、を有することを特徴とする。
この燃料タンク製造方法では、配置工程において、まず、筒状部材の軸方向の端部に端板部材を配置する。そして、筒状部材に形成された溶接用フランジと、端板部材に形成された溶接用フランジとを面接触させる。ただし、この段階で、これら溶接用フランジが完全に面接触している必要はなく、たとえば僅かな隙間が生じていても良い。
次に、溶接工程では、互いに面接触された溶接用フランジを溶接して、筒状部材と端板部材とを接合する。このとき、接合用フランジは、筒状部材の外面よりも筒状部材の軸線から見て外側に延出されており、接合用のフランジが筒状部材の軸線と同方向に延出された構造のものと比較して、筒状部材の端部が大きく広がっていることになる。このため、溶接工程において溶接機を配置しやすくなり、従来のように、電極輪として小型のものを用いる等の制約がより少なくなる。
本発明は上記構成としたので、溶接時に溶接機に対する制約がより少なくなる。
図1には、本発明の第一実施形態の燃料タンク12の概略形状が示されている。この燃料タンク12は、図示しない車両に搭載されて、この車両で使用される燃料が収容される。以下、図面において、車両前方を矢印FR、車幅方向を矢印W、上方を矢印UPでそれぞれ示す。
燃料タンク12は、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の金属を素材とし、略四角筒状に形成された筒状部材14を有している。筒状部材14の軸方向(長手方向)の端部は開口されており、この開口部分のそれぞれに、同じく鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の金属を素材とする端板部材16が固定されている。そして、筒状部材14と2枚の端板部材16とで、いわゆるドラム型の燃料タンク12が構成されている。なお、図面では筒状部材14の長手方向に沿った中心線を軸線J1として示している。したがって、筒状部材14の外周面14Sは、軸線J1と平行になっている。
図2(A)及び(B)には、筒状部材14の軸方向の端部の近傍が、軸線J1を通る平面で燃料タンク12を破断した断面図として示されている。この図2(A)及び(B)に詳細に示すように、筒状部材14の軸方向の端部は、外周面14Sから外側へと折り曲げられて延出されており、延出部分が溶接用フランジ14Fを構成している。
これに対し、端板部材16は、本実施形態では平板状に形成されており、その外周縁が筒状部材14の溶接用フランジ14Fの外周縁と一致する形状及び大きさとされている。したがって、端板部材16を筒状部材14の端部に当てがうと、端板部材16の外周近傍部分が、溶接用フランジ14Fと面接触する。このように溶接用フランジ14Fと面接触する部分が、端板部材16の溶接用フランジ16Fを構成している。
ここで、特に本実施形態では、筒状部材14の外周面14Sを軸方向から測った溶接用フランジ14Fの角度を延出角θと定義すると、この延出角θが90度とされている。このような延出角θで形成された溶接用フランジ14Fと溶接用フランジ16Fとを、後述するようにシーム溶接機22(図4(B)参照)で溶接することで、端板部材16が筒状部材14に接合されている。
なお、筒状部材14や端板部材16には、たとえば燃料を外部に供給するための各種の配管等(図示省略)が接続されている。特に端板部材16には、必要に応じて、インレットロア18等の他の溶接部品が溶接されることがある。さらに、図3に示すように、端板部材16の中央部分が軸方向の外側に膨出されて、端板部材16の剛性が高められることもある。加えて、燃料タンク12内には、燃料の不用意な流動を防止するためのセパレータ等が設けられることもある。
図2(A)及び(B)に示すように、図示しない車体には、端板部材16の軸方向外側において溶接用フランジ14F、16Fと対向するように、タンクストッパー20が配置されている。軸方向に所定値以上の加速度が作用して燃料タンク12が軸方向に移動すると、タンクストッパー20に当たってこの移動が止められるようになっている。
次に、本実施形態の燃料タンク12の製造方法及び、燃料タンク12の作用を説明する。
まず、図4(A)に示すように、筒状部材14と端板部材16とを用意する。このとき、筒状部材14には、延出角θが90度の溶接用フランジ14Fが既に形成されている。また、端板部材16は平板状とされている。そして、図4(B)に示すように、端板部材16を筒状部材14の端部に当てがい、溶接用フランジ14Fと、溶接用フランジ16F(端板部材16の外周近傍部分)とを面接触させる(配置工程)。この段階で、図示しないスポット溶接機により、溶接用フランジ14F、16Fの所定箇所をスポット溶接し、仮固定することで作業性を高めてもよい。
次に、図4(B)に示すように、シーム溶接機22を用いて溶接用フランジ14F、16Fを溶接する(溶接工程)。シーム溶接機22は、一対の電極輪24、26を有しており、それぞれの回転軸が平行になるように配置されている。この電極輪24、26により溶接用フランジ14F、16Fを挟持しつつ、シーム溶接機22を燃料タンク12の周方向に移動させて、溶接用フランジ14F、16Fを溶接する。このとき、電極輪24、26の周囲の所定領域が、電極輪24、26の移動に必要な領域となっている。
ここで、図5には比較例として、溶接用フランジ14F、16Fが軸方向に沿って延出された燃料タンク52が示されている。この比較例の構成では、特にインレットロア18等の溶接部品が、内側の電極輪26の移動領域に位置している。このため、図5に二点鎖線で示すように、移動途中の電極輪26が溶接部品に当たってしまうことがある。したがって、端板部材16に対して溶接部品を設置可能な範囲SAとしては極めて狭いものとなる。
比較例の構成において、かかる不都合を解消するためには、たとえば、電極輪26を溶接部品と干渉しない程度に小型(小径)のものにしたり、溶接用フランジ14F、16Fの溶接後に溶接部品を端板部材16に溶接したりする、等の方法が考えられる。しかし、電極輪26を小径にすると、溶接長に対する電極輪26の回転数も多くなり、電極輪26の消耗がより進むため、製造に高いコストを要することになる。また、溶接部品を後から溶接すると、溶接時の作業スペースが狭くなる等の理由から生産性が低下することがある。
これに対し、本実施形態の燃料タンク12では、溶接用フランジ14F、16Fが、延出角θを90度として筒状部材14の外周面14Sから延出されており、インレットロア18は内側の電極輪26の移動領域とは重なっていない。したがって、溶接部品を設置可能な範囲SAが、比較例の燃料タンク52と比べて広くなる。このため、回転途中の電極輪26が溶接部品に当たることはなく、溶接用フランジ14F、16Fを全周にわたって溶接することができる。また、電極輪26を小型にする必要がなく、大型(大径)のものを用いることで、その消耗を抑制し、結果的に低コストで製造することも可能になる。あらかじめ溶接部品が溶接された端板部材16を筒状部材14に取り付けできるので、溶接時の作業スペースが狭くなるといった事態も発生せず、生産性が高くなる。
なお、換言すれば、本実施形態の燃料タンク12では、溶接時に電極輪26が端板部材16の軸方向外側の領域から逃げていることになる。したがって、端板部材16に配置する溶接部品に対する大きさの制約が少なくなる、溶接部品の設置可能範囲SA(図4(B)参照)が広くなる。すなわち、燃料タンク12全体としても設計自由度が高くなっている。
また、図5に示す比較例の燃料タンク52では、溶接用フランジ14F、16Fが軸方向に沿って延出されているため、端板部材16を筒状部材14の端部に配置するときに、筒状部材14の内部に圧入する必要がある。また、端板部材16や筒状部材14を成形するときに、溶接用フランジ14F、16Fの位置精度(いわゆる隙管理等)に対する要求も高くなる。
これに対し、本実施形態の燃料タンク12では、溶接用フランジ14F、16Fが延出角90度で筒状部材14の外周面14Sから外側に延出されているため、端板部材16を筒状部材14の端部に配置するときに、端板部材16内に圧入する必要がない。また、溶接用フランジ14F、16Fの位置に関しても、高い精度が要求されない。
しかも、本実施形態では、延出角θを90度としたことで、端板部材16としては平面状の板を利用できるようになる。この点においても、端板部材16として、平板状の部材をさらに加工して溶接用フランジ16Fを形成する工程が不要であり(実質的に「抜き工程」のみで済む)、生産性が高くなる。
また、本実施形態の燃料タンク12では、図2(B)に示すように、所定値以上の加速度により長手方向に移動しタンクストッパー20に当たったときに、タンクストッパー20に対し溶接用フランジ14F、16Fが面状に接触する(いわゆる「面当たり」をする)。一方、図5に示す比較例の燃料タンク52が長手方向に移動した場合には、溶接用フランジ14F、16Fが軸方向(すなわち燃料タンク52の移動方向)に延出されているため、タンクストッパー20に当たったときの溶接用フランジ14F、16Fの変形状態(いわゆる「変形モード」)が安定しないことがある。本実施形態では、上記したように、溶接用フランジ14F、16Fが面当たりするので、溶接用フランジ14F、16Fに発生する応力を緩和することができる。
なお、上記では、本発明の溶接用フランジとして、延出角θが90度とされたものを例に挙げているが、延出角θは90度に限定されない。要するに、延出角θに関し、
0<θ<180(度)
となるように軸線J1から見て外側に延出されていれば、図5に示す比較例の燃料タンク52と比較して、溶接時における制限が少なくなり、電極輪26として大型のものを適用可能となる。
たとえば、図6(A)には、本発明の第二実施形態として、略135度の延出角θで延出された溶接用フランジ14F、16Fを有する燃料タンク32が示されている。このように、延出角θが90度よりも大きくても、溶接部品設置可能範囲SAは、図5に示す比較例の燃料タンク52より大きくなる。
また、端板部材16としては、外周近傍部分を屈曲させて溶接用フランジ16Fを形成する必要が生じるが、端板部材16を筒状部材14の端部に配置するときに圧入する必要がない。
さらに、図6(B)に示すように、燃料タンク32がタンクストッパー20に当たったときでも、溶接用フランジ14F、16Fは、外側に押し広げられるように変形するので、変形状態(変形モード)は安定することとなる。
もちろん、かかる観点からは、延出角θが少なくとも45度から135度の範囲であることが好ましく、80度から100度程度の範囲(略直角)であることがより好ましい。すなわち、延出角θが80度から100度程度の範囲であれば、端板部材16として、実質的に、生産性を向上させることができる程度に平面性を有していることになる。そして、第一実施形態のように、延出角θを90度とすることが最も好ましい。
なお、インレットロア18等の溶接部品がない構成であっても、上記した延出角θの範囲をみたすように溶接用フランジ14F、16Fを設定することで、電極輪を大型にしても溶接が可能となり、生産性を高めることができる。
本発明の第一実施形態の燃料タンクの概略構成を示す斜視図である。 本発明の第一実施形態の燃料タンクを軸方向の端部近傍において軸線を通る平面で破断して示す断面図であり、(A)は通常の状態、(B)は軸方向に移動してタンクストッパーに当たった状態である。 本発明の第一実施形態の燃料タンクにおいて端板部材の変形例を示す断面図である。 本発明の第一実施形態の燃料タンクを製造する工程を(A)〜(B)へと順に示す断面図である。 比較例の燃料タンクを示す断面図である。 本発明の第二実施形態の燃料タンクを軸方向の端部近傍において軸線を通る平面で破断して示す断面図であり、(A)は通常の状態、(B)は軸方向に移動してタンクストッパーに当たった状態である。
符号の説明
12 燃料タンク
14 筒状部材
14S 外周面
14F 溶接用フランジ
16 端板部材
16F 溶接用フランジ
18 インレットロア
20 タンクストッパー
22 シーム溶接機
24 電極輪
26 電極輪
32 燃料タンク
52 燃料タンク
SA 溶接部品設置可能範囲
θ 延出角

Claims (3)

  1. 筒状に形成され燃料タンクの一部をなす筒状部材と、
    前記筒状部材の軸方向の端部に配置される端板部材と、
    前記筒状部材と前記端板部材のそれぞれを部分的に面接触させることで構成され、筒状部材と端板部材とを溶接するための溶接用フランジと、
    を有し、
    前記溶接用フランジが、前記筒状部材の外面よりも筒状部材の軸線から見て外側に延出されていることを特徴とする燃料タンク。
  2. 前記溶接用フランジが、前記筒状部材の外面から測った延出角が略90度となるように延出されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク。
  3. 前記請求項1又は請求項2に記載の燃料タンクを製造するための燃料タンク製造方法であって、
    前記筒状部材の軸方向の端部に前記端板部材を配置し、前記筒状部材に形成された溶接用フランジと、前記端板部材に形成された溶接用フランジとを面接触させる配置工程と、
    互いに面接触された前記溶接用フランジを溶接して前記筒状部材と前記端板部材とを接合する溶接工程と、
    を有することを特徴とする燃料タンク製造方法。
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