JP2009051262A - 動力出力装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】多様な走行モードを設定でき、かつ小型化の容易な動力出力装置を提供する。
【解決手段】第1電動機2との間でトルクを伝達する第1要素、第2電動機3との間でトルクを伝達する第2要素、内燃機関1との間でトルクを伝達する第3要素を備え、これら第1ないし第3の要素が互いに差動回転する動力分割機構4と、入力要素と出力要素と固定要素とを備え、かつ入力要素および出力要素ならびに固定要素が互いに差動回転可能な変速用差動機構15と、前記第1要素に対する連結相手部材を変更する動力分割切替機構9と、前記入力要素に対する連結相手部材を変更する入力切替機構17と、前記駆動軸16に対する連結相手部材を変更する出力切替機構18とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】第1電動機2との間でトルクを伝達する第1要素、第2電動機3との間でトルクを伝達する第2要素、内燃機関1との間でトルクを伝達する第3要素を備え、これら第1ないし第3の要素が互いに差動回転する動力分割機構4と、入力要素と出力要素と固定要素とを備え、かつ入力要素および出力要素ならびに固定要素が互いに差動回転可能な変速用差動機構15と、前記第1要素に対する連結相手部材を変更する動力分割切替機構9と、前記入力要素に対する連結相手部材を変更する入力切替機構17と、前記駆動軸16に対する連結相手部材を変更する出力切替機構18とを備えている。
【選択図】 図1
Description
この発明は、内燃機関や電動機などの動力装置から出力した動力を駆動軸に出力する動力出力装置に関し、特に内燃機関とモータ・ジェネレータなどの少なくとも二つの電動機とを備え、ハイブリッド車に適する動力出力装置に関するものである。
この種の装置では、内燃機関と電動機とから動力を出力し、もしくは内燃機関に替えて電動機を使用するだけではなく、内燃機関を最適燃費で運転するように電動機によって内燃機関の回転数を制御することも行われている。例えば、内燃機関の出力した動力を差動機構によって電動機と出力軸側とに分割し、電動機が発電機として機能することによる反力によって、出力軸側のトルクを増大し、その発電した電力を走行のために利用している。このような構成では、内燃機関の出力した動力を電力に変換することになるので、その変換量が増大すると、動力変化に伴う損失が増大することがあるので、運転状態に応じて駆動装置による動力の伝達状態すなわち運転モード(もしくは走行モード)を変更することが、従来、行われている。
その一例が特許文献1に記載されている。その構成を簡単に説明すると、特許文献1に記載された装置は、エンジンが連結された入力要素、および第1のモータ・ジェネレータが連結された反力要素、ならびに第2のモータ・ジェネレータが連結された出力要素を備えた差動作用のある動力分配機構と、出力部材を前記出力要素と反力要素とに選択的に連結する二つのクラッチとを有している。したがって、特許文献1に記載されている装置は、動力分配機構によってエンジントルクを増幅して出力部材に出力し、また変速比を連続的に変化させるモードと、いずれかのモータ・ジェネレータを動力源として走行するモードとが可能である。
上述した特許文献1に記載された装置によれば、二つのクラッチの係合・解放の状態に応じて走行モード(あるいは運転モード)が変化するので、アクセル開度や車速などの車両の走行状態に応じて二つのクラッチを適宜に係合・解放させることにより、エンジンやモータ・ジェネレータの回転数あるいは動力伝達効率を良好なものにすることができる。しかしながら、車両の走行状態は多様であり、いずれかのモードを設定したとしても動力循環が生じたり、電力変換を伴う動力伝達の割合が増大するなど、燃費の向上のためには、未だ改善すべき余地がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、動力分割のバランスあるいは動力の分割の仕方であるモードを多様化でき、しかも全体としての構成を小型化することの容易な動力出力装置を提供することを目的とするものである。
この発明は、駆動軸に動力を出力する動力出力装置において、第1電動機との間でトルクを伝達する第1要素、および第2電動機との間でトルクを伝達する第2要素、ならびに内燃機関との間でトルクを伝達する第3要素を備えるとともに、これら第1ないし第3の要素が互いに差動回転する動力分割機構と、入力要素と出力要素と固定要素とを備えるとともにこれら入力要素および出力要素ならびに固定要素が互いに差動回転可能な変速用差動機構と、前記第1電動機と前記第1要素とを連結した状態と、その連結を解除した状態と、前記第1電動機および前記第1要素との回転を止める状態とに切り替えられる動力分割切替機構と、少なくとも、前記第2要素と前記入力要素とを連結した状態と、前記第2要素および前記入力要素ならびに前記第1電動機の三者を連結した状態と、前記第1電動機と前記入力要素とを連結した状態とに切り替えられる入力切替機構と、前記出力要素と前記駆動軸とを連結した状態と、前記第2要素および前記出力要素ならびに前記駆動軸の三者を連結した状態とに切り替えられる出力切替機構とを備えているものである。
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構は、前記第1電動機と前記第1要素とを連結した状態を設定する位置と、その連結を解除した状態を設定する位置と、前記第1電動機および前記第1要素との回転を止める状態を設定する位置とに選択的に移動させられる係合用可動部材を備えている。
この発明は、好ましくは、前記入力切替機構は、前記第2要素と前記入力要素とを連結した状態を設定する位置と、前記第2要素および前記入力要素ならびに前記第1電動機の三者を連結した状態を設定する位置と、前記第1電動機と前記入力要素とを連結した状態を設定する位置と、これらの連結を解除した状態を設定する位置とに選択的に移動させられる入力切替用可動部材を備えている。
この発明は、好ましくは、前記出力切替機構は、前記出力要素と前記駆動軸とを連結した状態を設定する位置と、前記第2要素および前記出力要素ならびに前記駆動軸の三者を連結した状態を設定する位置とに選択的に移動させられる出力切替用可動部材を備えている。
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構と前記入力切替機構と前記出力切替機構とは、噛み合い式の係合装置によって構成されている。
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構と入力切替機構と出力切替機構との動作状態に応じて、前記各電動機の動力の入出力状態が異なる複数の走行モードを設定可能であって、前記動力分割切替機構および入力切替機構ならびに出力切替機構のうちのいずれか一つの動作状態が変化することにより前記走行モードが切り替わるように構成されている。
この発明は、好ましくは、前記動力分割機構は、前記第1要素としての外歯歯車であるサンギヤと、該サンギヤに対して同心円上に配置された内歯歯車である前記第3要素としてのリングギヤと、前記サンギヤに噛み合っているピニオンギヤおよび該ピニオンギヤと前記リングギヤとに噛み合っている他のピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持する前記第2要素としてのキャリヤとを有するダブルピニオン型遊星歯車機構によって構成され、前記変速用差動機構は、前記入力要素としての外歯歯車であるサンギヤと、該サンギヤに対して同心円上に配置された内歯歯車であって所定の固定部に固定された前記固定要素としてのリングギヤと、前記入力用である前記サンギヤに噛み合っているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持する前記出力要素としてのキャリヤとを有するシングルピニオン型遊星歯車機構によって構成されている。
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構により前記第2要素と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結して第1走行モードを設定する第1モード設定手段を更に備えている。
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機との連結を解除して前記第1要素を自由回転可能な状態とし、前記入力切替機構により前記第2要素と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結することにより前記第2電動機の出力する動力を減速して前記駆動軸に伝達するEV走行モードを設定する第1EV走行モード設定手段を更に備えている。
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機との連結を解除して前記第1要素を自由回転可能な状態とし、前記入力切替機構により前記第2要素と前記第1電動機と前記入力要素との三者を連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結することにより前記第1電動機と第2電動機との少なくともいずれか一方が出力する動力を前記駆動軸に伝達するEV走行モードを設定する第2EV走行モード設定手段を更に備えている。
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構により前記第2要素と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結して前記内燃機関の動力で後進走行する第1後進モード設定手段を更に備えている。
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機との回転を止め、前記入力切替機構により前記第2要素と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結して前記内燃機関を前記駆動軸に機械的に連結する第1内燃機関直結モード設定手段を更に備えている。
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構により前記第2要素と前記第1電動機と前記入力要素との三者を連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結する第2内燃機関直結モード設定手段を更に備えている
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構により前記第1電動機と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結して第2走行モードを設定する第2モード設定手段を更に備えている。
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構により前記第1電動機と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結し、かつ第1電動機を動力源とする他のEV走行モードを設定する第3EV走行モード設定手段を更に備えている。
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構により前記第2要素と第1電動機と前記入力要素との三者を連結し、前記出力切替機構により前記第2要素と前記出力要素と前記駆動軸との三者を連結して前記内燃機関を前記駆動軸に機械的に連結する第2内燃機関直結モード設定手段を更に備えている。
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構による前記連結を解除して前記第2要素を自由回転可能な状態とし、前記第1電動機と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記第2要素と前記出力要素と前記駆動軸との三者を連結して前記内燃機関を前記駆動軸に機械的に連結する第3内燃機関直結モード設定手段を更に備えている。
この発明は、好ましくは、前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機との回転を止め、前記入力切替機構による前記連結を解除して前記第2要素を自由回転可能な状態とし、前記第1電動機と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記第2要素と前記出力要素と前記駆動軸との三者を連結して前記内燃機関を前記駆動軸に機械的に連結する第4内燃機関直結モード設定手段を更に備えている。
この発明は、好ましくは、前記入力切替機構は、軸線方向に前後動可能な第1環状部材を含み、その第1環状部材の外周部に前記入力要素と一体の第1係合部材が常時係合し、前記第1電動機と一体の第2係合部材および前記第2要素に一体の第3係合部材が前記環状部材の内周側に軸線方向に並んで配置され、前記第1環状部材が軸線方向に移動することにより前記第2係合部材と第3係合部材とに選択的に係合するように構成されている。
この発明は、好ましくは、前記出力切替用可動部材は、軸線方向に前後動可能な第2環状部材を含み、その第2環状部材の外周部に前記駆動軸と一体の第4係合部材が常時係合し、前記出力要素と一体の第5係合部材および前記第2要素に一体の第6係合部材が前記第2環状部材の内周側に軸線方向に並んで配置され、前記第2環状部材が軸線方向に移動することにより前記第5係合部材と第6係合部材とに選択的に係合するように構成されている。
この発明によれば、内燃機関が連結されている動力分割機構に対して第1電動機と第2電動機とを、動力分割切替機構によって、選択的に反力発生手段として連結することができ、また内燃機関を駆動軸に機械的に直結した状態を設定することができるので、内燃機関が出力した動力分割のバランスあるいは動力の分割の仕方を多様に変化させることができる。そのため、いずれかの電動機の回転数が過大になったり、それに伴って動力変換を伴う動力の伝達量が増大して動力伝達効率が低下することを防止もしくは抑制することができる。また、変速用差動機構に対する入出力を切り替える入力切替機構および出力切替機構を設けたことにより、変速のための機構の構成をコンパクトなものとし、それに伴って全体として構成を小型化することができる。
つぎにこの発明をより具体的に説明する。この発明に係る動力出力装置は駆動軸に動力を出力するように構成された装置であって、内燃機関の動力を第1電動機または第2電動機と駆動軸側とに分割する動力分割機構と、駆動軸に出力する動力を変速する変速用差動機構とを備えている。この発明の動力出力装置は、車両に搭載して用いることができるが、これに限られないのであって、他の一般的な動力機械における動力源として用いることもできる。また、その内燃機関は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンが典型的な例であるが、ガスを燃料としたエンジンやエタノールなどのアルコール類を燃料としたエンジンであってもよい。さらに、各電動機は、電力を機械的な動力に変化して出力するモータに限らず、発電機能を備えたモータ・ジェネレータであってもよい。
この発明における動力分割機構は、相互に差動回転する第1ないし第3の要素を備えており、第1要素は第1電動機との間でトルクを伝達し、第2要素は第2電動機との間でトルクを伝達し、第3要素は内燃機関との間でトルクを伝達するようになっている。したがって、動力分割機構は、シングルピニオン型やダブルピニオン型の遊星歯車機構によって構成することができ、あるいは遊星ローラ機構によって構成することができ、さらに他の適宜の差動機構によって構成することができる。その第1要素と第1電動機との動作状態を切り替える動力分割切替機構が設けられており、これは、第1電動機と第1要素とを連結した状態と、その連結を解除した状態と、第1電動機および第1要素の回転を止める状態とに切り替えるように構成されている。
また、変速用差動機構は、互いに差動回転する入力要素と出力要素と固定要素とを備えている。したがって、変速用差動機構は、シングルピニオン型やダブルピニオン型の遊星歯車機構によって構成することができ、あるいは遊星ローラ機構によって構成することができ、さらに他の適宜の差動機構によって構成することができる。この変速用差動機構には前記動力分割機構や第1電動機から動力が入力されるようになっており、その入力切替を行うための入力切替機構が設けられている。これは、動力分割切替機構における第2要素と入力要素とを連結した状態と、第2要素および入力要素ならびに第1電動機の三者を連結した状態と、第1電動機と入力要素とを連結した状態との少なくとも三つの状態に切り替えるように構成されている。
さらに、出力切替機構を備えている。これは、前記駆動軸に対する連結の状態を切り替えるように構成された機構であり、変速用差動機構における出力要素と駆動軸とを連結した状態と、動力分割切替機構における第2要素および前記出力要素ならびに駆動軸の三者を連結した状態とに切り替えるように構成されている。
上記の動力分割機構は、好ましくは、係合用可動部材を三位置に選択的に移動させて上記の三つの状態に切り替えるように構成される。その三位置は、前記第1電動機と前記第1要素とを連結した状態を設定する位置と、その連結を解除した状態を設定する位置と、前記第1電動機および前記第1要素との回転を止める状態を設定する位置である。このような構成であれば、係合用可動部材を三つの位置のいずれかに選択的に移動させることにより、動力分割機構の動作状態すなわち動力分割のバランスもしくは動力の分割の仕方を変更することができ、したがって動力分割切替機構の構成を簡素化でき、ひいては装置の全体としての構成を小型化することができる。
また、上記の入力切替機構は、好ましくは、入力切替用可動部材を四位置に選択的に移動させることにより、上記の四つの状態に切り替えるように構成される。その四つの位置は、前記第2要素と前記入力要素とを連結した状態を設定する位置と、前記第2要素および前記入力要素ならびに前記第1電動機の三者を連結した状態を設定する位置と、前記第1電動機と前記入力要素とを連結した状態を設定する位置と、これらの連結を解除した状態を設定する位置である。このように構成であれば、入力切替用可動部材を四つの位置のいずれかに選択的に移動させることにより、変速用差動機構の動作状態すなわち変速状態を変更することができ、したがって入力切替機構の構成を簡素化でき、ひいては装置の全体としての構成を小型化することができる。
さらに、上記の出力切替機構は、好ましくは、出力切替用可動部材を二つの位置に選択的に移動させることにより、上記の二つの状態に切り替えるように構成される。その二つの位置は、前記出力要素と前記駆動軸とを連結した状態を設定する位置と、前記第2要素および前記出力要素ならびに前記駆動軸の三者を連結した状態を設定する位置である。このような構成であれば、出力切替用可動部材を上記の二つの位置に選択的に移動させることにより、駆動軸に対する連結状態を切り替えることができるので、出力切替機構の構成を簡素化でき、ひいては装置の全体としての構成を小型化することができる。
上記の動力分割切替機構および入力切替機構ならびに出力切替機構は、ドグクラッチなどの噛み合い式の係合装置によって構成されていることが好ましい。このような構成では、係合状態を維持するための動力を必要としないので、動力損失を低減することができ、また湿式多板式の係合装置と比較した場合、高圧オイルポンプなどの圧力源を不要にすることができる。
この発明は、上述した構成に加えて、前記動力分割切替機構と入力切替機構と出力切替機構との動作状態に応じて、前記各電動機の動力の入出力状態が異なる複数の走行モードを設定可能であって、前記動力分割切替機構および入力切替機構ならびに出力切替機構のうちのいずれか一つの動作状態が変化することにより前記走行モードが切り替わるように構成されていることが好ましい。このような構成であれば、一つの切替機構の切替動作によって走行モードを変更できるので、走行モードの変更をスムースに行うことができ、また走行モードの変更応答性を向上させることができる。
上述した動力分割機構は、好ましくは、ダブルピニオン型遊星歯車機構によって構成し、その場合、サンギヤに第1電動機が連結され、キャリヤに第2電動機が連結され、リングギヤに内燃機関が連結される。また、変速用差動機構は、好ましくは、シングルピニオン型遊星歯車機構によって構成され、その場合、サンギヤが入力要素とされ、リングギヤが固定され、キャリヤが出力要素とされる。したがって、リングギヤを選択的に固定する必要がないので、その固定のためのクラッチなどの係合機構を不要にすることができ、またその係合機構のためのスペースをリングギヤの外周側に確保する必要がないので装置の全体としての構成(特に外径)を小さくすることができる。
この発明の好ましい実施の形態では、前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構により前記第2要素と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結して第1走行モードを設定するように構成される。したがって、動力分割機構による実質的な変速比をいわゆるロー側に設定して電動機の出力を低減でき、併せて変速用差動機構が減速機として機能するので、車両に搭載して使用した場合には、動力性能や登坂性能を向上させることができる。
また、この発明の好ましい他の実施の形態では、第2電動機を動力源とする第1EV走行モードが設定される。これは、第2電動機が出力するトルクを、減速機として機能する変速用差動機構を介して駆動軸に出力する走行モードであり、したがって車両に搭載して使用した場合には、大きい駆動トルクを得ることができ、車両としての動力性能あるいは登坂性能を向上させることができる。
この発明の好ましい更に他の実施の形態では、第1および第2の電動機を変速用差動機構に連結し、かつその変速用差動機構における出力要素を駆動軸に連結するので、これらの電動機によるエネルギ回生やいずれかの電動機の動力で走行する第2EV走行モードが可能になる。また、各電動機を効率のよい動作点で動作させることが可能であるから、回生効率やモータ走行でのエネルギ効率を向上させることができる。
この発明のまた更に他の好ましい実施の形態では、内燃機関の動力で後進走行する第1後進モードが設定される。これは、動力分割機構を反転減速機として機能させて、内燃機関の出力した動力を反転かつ減速して出力し、かつその動力を変速用差動機構で更に減速するので、後進走行のためのトルクとして遜色のないトルクを得ることができる。
この発明の他の好ましい実施の形態では、動力分割切替機構および入力切替機構ならびに出力切替機構を適宜に動作させることにより、第1内燃機関直結モードが設定される。この第1内燃機関直結モードでは、内燃機関と駆動軸とが機械的に連結され、しかも変速比を大きくすることができる。したがって、高負荷が予想される大きい変速比の領域で電力変換を伴わずに駆動軸に動力を伝達でき、その結果、電動機やその制御回路などの電気機器の熱性能上有利になり、また車両がスタックした場合の脱出性能や急坂道登坂性能あるいはトーイング性能を向上させることができる。
さらに、この発明の好ましい実施の形態では、第2内燃機関直結モードを設定するように構成することができる。この第2内燃機関直結モードは、動力分割機構の全体が一体となって回転するように動力分割切替機構を動作させ、その動力分割機構から出力されたトルクを変速用差動機構によって減速して駆動軸に出力するモードである。したがって、内燃機関と駆動軸とが機械的に連結され、しかも変速比を大きくすることができるので、高負荷が予想される大きい変速比の領域で電力変換を伴わずに駆動軸に動力を伝達でき、その結果、電動機やその制御回路などの電気機器の熱性能上有利になり、また車両がスタックした場合の脱出性能や急坂道登坂性能あるいはトーイング性能を向上させることができる。
また更にこの発明の好ましい実施の形態では、第2走行モードを設定するように構成することができる。この第2走行モードでは、動力分割機構における第1要素の回転数を第1電動機で制御することにより内燃機関の回転数を制御でき、併せて第2電動機によって動力分割機構から出力するトルクを補助(アシスト)することができ、こうして動力分割機構から出力されるトルクを変速用差動機構によって減速して駆動軸に出力することができる。したがって第2電動機の出力トルクを相対的に小さくしても必要十分な駆動力を得ることが可能であり、またモード切替に伴うトルクの段差が小さくなるので、切替ショックの防止もしくは抑制に有利になる。
この発明に好ましい他の実施の形態では、第3のEV走行モードを設定するように構成することができる。この走行モードでは、第1電動機が動力分割機構の第1要素と変速用差動機構における入力要素とに連結され、その変速用差動機構の出力要素から駆動軸に出力される。したがって、動力出力装置の全体としての変速比を増大させるように走行モードを変更する過程で、第1電動機および/または第2電動機によって駆動トルクを補完できるので、切替ショックを防止もしくは抑制することが容易になる。
この発明の好ましい実施の形態では第3内燃機関直結モードを設定するように構成することができる。この第3内燃機関直結モードは、動力分割機構の全体が一体となって回転するように設定され、またその動力分割機構の第2要素が駆動軸に実質的に直結される。したがって、車両に搭載した場合、高車速・高負荷時に電力変換を伴わずに動力を伝達できるので、動力の伝達効率を向上させることができる。その結果、電動機やその制御回路などの電気機器の熱性能上有利になり、また車両がスタックした場合の脱出性能や急坂道登坂性能あるいはトーイング性能を向上させることができる。
また、この発明の好ましい実施の形態では、第3走行モードを設定するように構成することができる。この第3走行モードでは、内燃機関が出力した動力が第1電動機と駆動軸とに分割され、第1電動機が反力トルクを与えることにより、駆動軸に伝達されるトルクが内燃機関の出力したトルクに対して増幅され、また第2電動機がトルクを補助するので、動力の伝達効率が向上する。特に、第2電動機が出力した動力を適宜の減速機を介して動力分割機構の第2要素に伝達するように構成することにより、高車速が想定される小さい変速比領域での動力伝達効率を向上させることができる。
この発明の好ましい更に他の実施の形態では、第4内燃機関直結モードを設定するように構成することができる。この第4内燃機関直結モードでは、動力分割機構を増速機構として機能させることが可能であり、そのために高車速定常走行時に電力変換を伴わない動力伝達を行って動力損失を低減でき、ひいては燃費を向上させることができる。
なお、前述した入力切替機構は、この発明の好ましい実施の形態では、変速用差動機構の入力要素と回転方向で一体に形成され、軸線方向に移動することにより、第1電動機あるいは前記第2要素に選択的に連結される入力切替用可動部材を備えた構成とすることができる。このように構成すれば、入力切替用可動部材の必要ストローク量を短くすることができる。
また、前述した出力切替用可動部材は、この発明の好ましい実施の形態では、前記駆動軸と回転方向で一体化され、軸線方向に移動することにより前記出力要素あるいは前記第2要素に選択的に連結される構成とすることができる。このように構成すれば、出力切替用可動部材の必要ストローク量を短くすることができる。
上述した各好ましい実施の形態を含む具体例を以下に示す。図1はこの発明の一具体例を示す図であって、内燃機関(以下、エンジンと記す)1とこの発明の電動機に相当する二つのモータ・ジェネレータ(MG1、MG2)2,3とが動力装置として設けられている。そのエンジン1は、動力分割機構4に連結され、また二つのモータ・ジェネレータ2,3は、その動力分割機構4に対して反力を与え、あるいは出力するトルクをアシストするように、動力分割機構4との間でトルクを伝達するようになっている。なお、エンジン1と動力分割機構4との間に、ダンパーやトルクコンバータ(それぞれ図示せず)を介在させてもよい。
動力分割機構4は、図1に示す例では、ダブルピニオン型の遊星歯車機構によって構成されている。すなわち、動力分割機構4は、外歯歯車であるサンギヤSmと、このサンギヤSmに対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤRmと、サンギヤSmに噛み合っているピニオンギヤおよび該ピニオンギヤとリングギヤRmとに噛み合っている他のピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持するキャリヤCmとを回転要素とし、これら三つの回転要素が相互に差動回転するよう構成された差動歯車機構である。そのリングギヤRmにエンジン1から動力が伝達されるようになっており、したがってリングギヤRmがこの発明の第3要素に相当している。また、サンギヤSmが一方のモータ・ジェネレータ(以下、第1モータ・ジェネレータと記す)2に連結されるように構成されており、したがってサンギヤSmがこの発明の第1要素に相当している。さらに、キャリヤCmが他方のモータ・ジェネレータ(以下、第2モータ・ジェネレータと記す)3との間でトルクを伝達するように構成されており、したがってキャリヤCmがこの発明の第2要素に相当している。
各モータ・ジェネレータ2,3および動力分割機構4は、エンジン1の動力を入力するべく前記リングギヤRmに連結された入力軸5と同一の軸線上に配列されており、第2モータ・ジェネレータ(MG2)3は動力分割機構4よりもエンジン1側に配置されている。そして、第2モータ・ジェネレータ3と動力分割機構4との間に、減速機構6が設けられている。この減速機構6は、第2モータ・ジェネレータ3が出力したトルクを増幅して動力分割機構4に伝達するためのものであり、したがって変速比もしくは減速比が“1”より大きい歯車機構もしくはローラ機構などによって構成されている。図1に示す例では、減速機構6は入力軸5の外周側に入力軸5と同一軸線上に配置されたシングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成されている。このシングルピニオン型の遊星歯車機構は、外歯歯車であるサンギヤSfと、そのサンギヤSfに対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤRfと、これらサンギヤSfおよびリングギヤRfに噛み合っているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリヤCfとを回転要素とし、これら三つの回転要素が相互に差動回転する歯車機構である。なお、これらのギヤをローラに置き換えた機構が遊星ローラ機構である。
第2モータ・ジェネレータ3(より詳しくは、そのロータ)がサンギヤSfに連結されている。したがってサンギヤSfが入力要素となっている。また、キャリヤCfは、ケーシング(図示せず)などの固定部7に連結されて固定されている。したがってキャリヤCfが固定要素となっている。さらにリングギヤRfが、動力分割機構4におけるキャリヤCmに連結され、出力要素となっている。したがって、サンギヤSfの歯数とリングギヤRfの歯数との比であるギヤ比を“ρ”(<1)とすると、リングギヤRfはそのギヤ比に応じて減速されて回転し、そのトルクはサンギヤSfに入力されたトルクをギヤ比ρに応じて増大させたものとなる。
前述した動力分割機構4の中心部を貫通しかつ前記入力軸5と同一軸線上に配置された中間軸8が設けられている。この中間軸8は動力分割機構4から動力を出力するためのものであって、入力軸5の延長軸線上に配置されており、その外周側に第1モータ・ジェネレータ(MG1)2が同軸上に配置されている。その第1モータ・ジェネレータ2(より詳しくは、そのロータ)と動力分割機構4における第1要素であるサンギヤSmとを選択的に連結し、またこれらを選択的に固定する動力分割切替機構9が設けられている。この動力分割切替機構9は、要は、相手部材を切り替えて連結するクラッチ機構であり、摩擦クラッチや噛み合い式のクラッチなど適宜の構成のものを使用することができる。
図1および図2には、噛み合い式のクラッチ(ドグクラッチ)の例を示してある。その構造を説明すると、サンギヤSmと一体のサンギヤハブ10と第1モータ・ジェネレータ2のロータと一体のモータハブ11とが、軸線方向に並んでかつ隣接して配置されており、それぞれのハブ10,11の外周部にスプラインが形成されている。また、これらのハブ10,11の外周側に、この発明における係合用可動部材に相当するスリーブ12が、軸線方向に前後動できるように配置されている。そのスリーブ12の内周面には、各ハブ10,11のスプラインに係合するスプラインが形成されており、その軸線方向での長さは、各ハブ10,11のスプラインに同時に係合する長さに設定されている。さらに、スリーブ12の外周側には、ケーシングなどの固定部7に一体化されている固定スプライン13が設けられており、この固定スプライン13に係合するスプラインがスリーブ12の外周面に形成されている。なお、固定スプライン13の位置は、スリーブ12が各ハブ10,11の両方に係合している状態で、スリーブ12の外周側のスプラインに係合する位置に設定されている。
上記のスリーブ12を軸線方向の三つの位置に移動させるアクチュエータ14が設けられている。このアクチュエータ14は、電動シリンダや流体圧シリンダなどの直線的な動作を行うアクチュエータや回転運動を軸線方向の直線的な動作に変化するリンク機構を有するアクチュエータなど適宜の構成のものであって、スリーブ12を軸線方向の三位置に選択的に移動させて保持するようになっている。それらの三つの位置を図2の(a)、(b)、(c)に示してある。
第1の位置(以下、L位置と記すことがある。)はいわゆるニュートラル位置であって、図2の(a)に示すように各ハブ10,11および固定スプライン13のいずれも連結されていない位置であり、スリーブ12はサンギヤハブ10のみに係合している。したがってサンギヤSmはいわゆるフリーな状態になる。
第2の位置(以下、N位置と記すことがある。)は、スリーブ12をモータハブ11側に移動させた位置であって、図2の(b)に示すように、サンギヤハブ10とモータハブ11との両方に係合させた位置である。したがって、サンギヤSmと第1モータ・ジェネレータ2とがトルク伝達可能に連結される。
第3の位置(以下、R位置と記すことがある。)はスリーブ12を更に軸線方向に移動させた位置であって、図2の(c)に示すように、各ハブ10,11および固定スプライン13の三者にスリーブ12が係合する位置である。したがって、サンギヤSmおよび第1モータ・ジェネレータ2が固定部に連結されてその回転が止められる。図3には、これら三つの位置におけるサンギヤSmの状態あるいは連結相手部材をまとめて示してある。
上記の第1モータ・ジェネレータ2を挟んで動力分割機構4とは軸線方向で反対側には、変速用差動機構15が同一軸線上に配置されている。この変速用差動機構15は、駆動軸16に出力する動力を変速するためのものであって、入力回転数と出力回転数との比を複数に変化させることができるように構成されている。したがって変速用差動機構15は遊星歯車機構や遊星ローラ機構などの差動作用のある機構によって構成することができ、図1にはシングルピニオン型は遊星歯車機構によって構成した例を示してある。シングルピニオン型遊星歯車機構の従来知られている構成のものであって、前述した減速機構6を構成しているものと同様に、サンギヤSrと、リングギヤRrと、キャリヤCrとを回転要素とし、これらの回転要素が相互に差動回転するように構成されている。そして、リングギヤRrがケーシングなどの固定部7に取り付けられていて固定要素となっている。また、キャリヤCrは駆動軸16に選択的に連結されるように構成され、出力要素となっている。そして、サンギヤSrが入力要素となっている。なお、駆動軸16は、前述した中間軸8の延長線上に配置されている。
一組の遊星歯車機構からなる変速用差動機構15によって多様な変速状態(変速段もしくは走行モード)を設定するために、入力切替機構17と出力切替機構18とが設けられている。入力切替機構17は、変速用差動機構15における入力要素であるサンギヤSrの連結相手部材を切り替えるための機構であり、摩擦クラッチや噛み合い式のクラッチなど適宜の構成のものを使用することができる。図1および図4には、噛み合い式のクラッチ(ドグクラッチ)によって入力切替機構17を構成した例を示してある。その構造を説明すると、前記中間軸8に一体化されている入力ハブ19を中央にして、その図での左側(第1モータ・ジェネレータ2側)に第1モータ・ジェネレータ2のロータに一体化されているモータハブ20が隣接して配置され、またこれとは反対の図での右側(変速用差動機構15側)に変速用差動機構15における入力要素であるサンギヤSrに一体化されているサンギヤハブ21が隣接して配置されている。これらのハブ19,20,21は同一の外径であって、それぞれの外周部にスプラインが形成されている。これらのハブ19,20,21を外周側に覆うように筒状のスリーブ22が配置されている。このスリーブ22は、この発明における入力切替用可動部材に相当するものであって、アクチュエータ23によって軸線方向に前後動できるように構成され、また内周面の軸線方向に離隔した二箇所に、前記各ハブ19,20,21のスプラインに係合するスプラインが形成されている。そのスプラインの間隔およびそれぞれの長さは、スリーブ22の位置に応じて、連結状態を以下のように切り替える間隔および長さに設定されている。なお、そのアクチュエータ23としては前述した動力分割切替機構9におけるアクチュエータ14と同様の構成とすることができる。
スリーブ22はアクチュエータ23によって軸線方向における四位置に移動させられるようになっており、図4にはそれらの各位置を示してある。図4の(a)はスリーブ22を最も第1モータ・ジェネレータ2側に寄った位置すなわち図での左側の位置(以下、LL位置と記すことがある)に移動させた状態を示しており、この状態では、スリーブ22の内周面に形成された一方のスプラインが、入力ハブ19とサンギヤハブ21とに係合し、中間軸8を介して第2モータ・ジェネレータ3が変速用差動機構15におけるサンギヤSrに連結される。図4の(b)は、スリーブ22をLL位置より変速用差動機構15側の位置(以下、L位置と記すことがある)に移動させた状態を示しており、この状態では、スリーブ22の内周面に形成された一方のスプラインが入力ハブ19とサンギヤハブ21とに係合することに加えて、他方のスプラインがモータハブ20に係合する。したがって変速用差動機構15における入力要素であるサンギヤSrが、第1モータ・ジェネレータ2と中間軸8を介して第2モータ・ジェネレータ3とに連結される。
図4の(c)は、スリーブ22を更に変速用差動機構15側の位置(以下、N位置と記すことがある)に移動させた状態を示しており、この状態では、スリーブ22の内周面に形成された一方のスプラインがサンギヤハブ21のみに係合し、かつ他方のスプラインがモータハブ20に係合する。したがって変速用差動機構15における入力要素であるサンギヤSrが第1モータ・ジェネレータ2に連結される。さらに、図4の(d)は、スリーブ22を最も変速用差動機構15側の位置(以下、R位置と記すことがある)に移動させた状態を示しており、この状態では、スリーブ22の内周面に形成された一方のスプラインがサンギヤハブ21のみに係合し、かつ他方のスプラインがモータハブ20から外れる。したがって変速用差動機構15における入力要素であるサンギヤSrは、第2モータ・ジェネレータ3および第1モータ・ジェネレータ2のいずれにも連結されず、いわゆるフリーな状態になる。図5には、これら四つの位置におけるサンギヤSrの状態あるいは連結相手部材をまとめて示してある。
一方、出力切替機構18は、駆動軸16の連結相手部材を切り替えるための機構であり、摩擦クラッチや噛み合い式のクラッチなど適宜の構成のものを使用することができる。図1および図6には、噛み合い式のクラッチ(ドグクラッチ)によって出力切替機構18を構成した例を示してある。その構造を説明すると、駆動軸16に駆動軸ハブ24が一体に設けられており、その駆動軸ハブ24と同一軸線上に、中間軸8に一体の出力ハブ25と、変速用差動機構15における出力要素であるキャリヤCrに一体のキャリヤハブ26とが並んで配置されている。これらのハブ24,25,26は同一の外径であって、それぞれの外周部にスプラインが形成されている。これらのハブ24,25,26の外周側を覆うように筒状のスリーブ27が配置されている。このスリーブ27は、この発明における出力切替用可動部材に相当するものであって、アクチュエータ28によって軸線方向に前後動できるように構成され、また内周面の軸線方向に離隔した二箇所に、前記各ハブ24,25,26のスプラインに係合するスプラインが形成されている。そのスプラインの間隔およびそれぞれの長さは、スリーブ27の位置に応じて、連結状態を以下のように切り替える間隔および長さに設定されている。なお、そのアクチュエータ28としては前述した動力分割切替機構9におけるアクチュエータ14や入力切替機構17におけるアクチュエータ23と同様の構成とすることができる。
スリーブ27はアクチュエータ28によって軸線方向における二つの位置に移動させられるようになっており、図6にはそれらの各位置を示してある。図6の(a)はスリーブ27を変速用差動機構15側に寄った位置すなわち図での左側の位置(以下、N位置と記すことがある)に移動させた状態を示しており、この状態では、スリーブ27の内周面に形成された一方のスプラインが、駆動軸ハブ24に係合し、また他方のスプラインがキャリヤハブ26に係合し、したがってキャリヤCrが駆動軸16に連結される。図6の(b)は、スリーブ27を図の右側すなわち駆動軸16側の位置(以下、R位置と記すことがある)に移動させた状態を示しており、この状態では、スリーブ27の内周面に形成された一方のスプラインが駆動軸ハブ24に係合したまま、他方のスプラインがキャリヤハブ26と出力ハブ25とに係合する。したがって駆動軸16が中間軸8を介して第2モータ・ジェネレータ3に連結されるとともに変速用差動機構15における出力要素であるキャリヤCrに連結される。図7には、これら二つの位置における駆動軸16の連結相手部材をまとめて示してある。
前述した各モータ・ジェネレータ2,3はインバータなどのコントローラ29を介してバッテリーなどの蓄電装置30に接続されており、そのコントローラ29によって制御されて電動機あるいは発電機として動作するように構成されている。さらに、これらのモータ・ジェネレータ2,3の出力トルクや発電量(すなわち反力トルク)の制御、各切替機構9,17,18を動作させることによる走行モードの制御などを行うための電子制御装置(ECU)31が設けられている。この電子制御装置31はマイクロコンピュータを主体にして構成されたものであって、車速や要求駆動力、蓄電装置30の充電量(SOC)などの入力データおよび予め記憶しているデータを利用して演算を行い、その演算の結果を各モータ・ジェネレータ2,3を制御するための指令信号として前記コントローラ29に出力し、またいずれかの切替機構9,17,18を動作させて所定の走行モードあるいは変速段を設定する指令信号を出力するように構成されている。
上記の動力出力装置は、車両に搭載することにより、各種の走行モードあるいは変速段を設定することができる。図8は前述した各切替機構9,17,18の動作状態すなわち各スリーブ12,22,27の動作位置と、それに応じて設定される走行モードあるいは変速段をまとめて示しており、図8には各スリーブ12,22,27の動作位置を「○」印で示してある。以下、各変速段(走行モード)について説明する。
先ず、エンジン1を駆動してこれを動力源とし、かつエンジン回転数と駆動軸16の回転数との比が大きくなる第1速(1st)でのエンジン走行(ENG走行)モードについて説明する。この走行モードでは、動力分割切替機構9におけるスリーブ12をN位置に移動させて動力分割機構4におけるサンギヤSmに第1モータ・ジェネレータ2を連結し、また入力切替機構17におけるスリーブ22をLL位置に移動させて変速用差動機構15におけるサンギヤSrに中間軸8を介して第2モータ・ジェネレータ3を連結し、さらに出力切替機構18のスリーブ27をN位置に移動させて駆動軸16にキャリヤCrを連結する。この走行モードを設定した場合の各切替機構9,17,18による連結状態を図9にスケルトン図で示し、また動力分割機構4および変速用差動機構15についての共線図を図10に示してある。
図10に示すように、動力分割機構4では、リングギヤRmにエンジン1から動力が入力され、これがキャリヤCmとサンギヤSmとに分配される。これに対して第1モータ・ジェネレータ2は発電機として機能するように制御され、サンギヤSmに反力を与える。さらに、第1モータ・ジェネレータ2で発生した電力は第2モータ・ジェネレータ3に供給され、第2モータ・ジェネレータ3が電動機として機能して動力を出力する。したがってキャリヤCmにはエンジン1から入力されたトルクと第1モータ・ジェネレータ2による反力トルクと第2モータ・ジェネレータ3が出力しかつ減速機構6で増幅されたトルクとを合成したトルクが現れる。そのキャリヤCmのトルクは中間軸8および入力切替機構17を介して変速用差動機構15のサンギヤSrに伝達される。この変速用差動機構15は、リングギヤRrが固定されかつキャリヤCrが駆動軸16に連結されてこれが出力要素となっているので、減速機として機能し、サンギヤSrに入力されたトルクが増大させられて駆動軸16から出力される。なおこの場合、図10に示すように、第1モータ・ジェネレータ2の回転数に応じてエンジン1の回転数が変化するので、エンジン1の運転点が最適燃費点となるように第1モータ・ジェネレータ2によってエンジン回転数を制御できる。
このように第1速のエンジン走行状態では、動力分割機構4から出力したトルクを変速用差動機構15で減速して駆動軸16に出力するから、所定の駆動トルクを得るための第1モータ・ジェネレータ2の出力を、変速用差動機構15で減速しない場合に比較して小さくすることができる。そのため、動力出力装置の全体としての最大駆動力を従来になく向上させることができる。言い換えれば、駆動トルクを増大させることができるので、車両としての動力性能や登坂性能を向上させることができる。
つぎに、第2モータ・ジェネレータ3を動力源とし、かつその回転数と駆動軸16の回転数との比が大きくなる第1速(1st)でのモータ走行(EV走行)モードについて説明する。この走行モードは、動力分割切替機構9におけるスリーブ12をL位置に移動させて動力分割機構4におけるサンギヤSmと第1モータ・ジェネレータ2との連結を解いてサンギヤSmをいわゆるフリーな状態とし、また入力切替機構17におけるスリーブ22をLL位置に移動させて変速用差動機構15におけるサンギヤSrに中間軸8を介して第2モータ・ジェネレータ3を連結し、さらに出力切替機構18のスリーブ27をN位置に移動させて駆動軸16にキャリヤCrを連結する。この走行モードを設定した場合の各切替機構9,17,18による連結状態を図11にスケルトン図で示し、また動力分割機構4および変速用差動機構15についての共線図を図12に示してある。
この走行モードでは、動力分割機構4における一つの回転要素であるサンギヤSmが自由に回転してしまうので、動力分割機構4は差動作用あるいは変速作用を行うことがなく、したがって減速機構6で増幅された第2モータ・ジェネレータ3のトルクがそのまま中間軸8および入力切替機構17を介して変速用差動機構15のサンギヤSrに伝達される。そして、変速用差動機構15は、上述した第1速でのエンジン走行の場合と同様に減速機として機能するので、駆動軸16にはサンギヤSrに伝達されたトルクを増幅したトルクが出力される。
このように第1速のEV走行状態では、第2モータ・ジェネレータ3が出力したトルクが減速機構6および変速用差動機構15の両方によって増大させられて駆動軸16に伝達されるので、大きい駆動トルクを得ることができる。言い換えれば、所定の駆動トルクを得るための第2モータ・ジェネレータ3の出力を、変速用差動機構15で減速しない場合に比較して小さくすることができる。そのため、動力出力装置の全体としての最大駆動力を従来になく向上させることができ、また車両としての動力性能や登坂性能を向上させることができる。
なお、第1速のEV走行状態を設定している状態で、車両の走行慣性トルクを駆動軸16側から第2モータ・ジェネレータ3に伝達すれば、第2モータ・ジェネレータ3を発電機として機能させることができる。すなわち、エネルギ回生を第2モータ・ジェネレータ3によって行うことができる。この状態を図8に「回生1」として示してある。
また、第1速のEV走行状態を設定している状態で、第2モータ・ジェネレータ3を前進走行の場合とは反対方向に回転させれば、駆動軸16のトルクの方向が前進走行の場合とは反対になり、後進状態を設定することができる。この状態を図8に「Rev EV」として示してある。
第1速でエネルギ回生を行う場合、第2モータ・ジェネレータ3だけでなく、第1モータ・ジェネレータ2をも発電機として機能させることができる。その状態を図8には「回生2」として示してあり、この場合は、入力切替機構17のスリーブ22を前述したLL位置ではなく、L位置に移動させて、三つのハブ19,20,21を互いに連結する。すなわち、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3を変速用差動機構15の入力要素であるサンギヤSrに連結する。この走行モードを設定した場合の各切替機構9,17,18による連結状態を図13にスケルトン図で示し、また動力分割機構4および変速用差動機構15についての共線図を図14に示してある。このように制御することにより、車両の走行慣性トルクを各モータ・ジェネレータ2,3に伝達してこれらのモータ・ジェネレータ2,3によって発電させることができる。なお、この「回生2」の状態で各モータ・ジェネレータ2,3を正転力行させれば、二つのモータ・ジェネレータ2,3を動力源として前進走行することができる。図8にはこの状態を「EV走行2」として示してある。また、逆転力行させれば、二つのモータ・ジェネレータ2,3を動力源として後進走行することができる。このように二つのモータ・ジェネレータ2,3を使用して走行あるいは回生する場合、各モータ・ジェネレータ2,3の力行もしくは回生状態を適宜に設定して動作点を選択できるので、力行あるいは回生の効率を向上させることができる。
なお、第1速でエンジン走行する場合、エンジン回転数に対して第1モータ・ジェネレータ2の回転数を高回転数にすれば、第2要素であるキャリヤCmがエンジン1とは反対方向に回転する。その状態を図8に「Rev ENG」として示し、また図15に共線図で示してある。すなわち、動力分割機構4におけるキャリヤCmがエンジン1とは反対方向に回転すると、これに連結されている変速用差動機構15におけるサンギヤSrが逆回転するので、キャリヤCrおよびこれに連結されている駆動軸16が逆回転し、後進(Rev)状態を設定することができる。なお、第1モータ・ジェネレータ2は発電機として機能し、その電力が第2モータ・ジェネレータ3に供給されてこれが電動機として機能し、その第2モータ・ジェネレータ3が出力したトルクが減速機構6で増幅された後、キャリヤCmに付加される。この走行モードでは、動力分割機構4および変速用差動機構15の両方が減速機として機能するので、所定の後進駆動トルクを得るためのモータ・ジェネレータ2,3の出力を相対的に小さくすることができる。言い換えれば、後進駆動トルクを増大させることができるので、車両としての後進走行性能を確保することができる。
つぎに第1速でのエンジン直結モード(ENG直結)について説明する。この発明でエンジン直結モードとは、エンジン1が出力した動力を、電力への変換を伴わずに駆動軸16に伝達する駆動状態であり、動力分割機構4におけるサンギヤCmを固定し、かつそのキャリヤCmを中間軸8を介して変速用差動機構15におけるサンギヤSrに連結することにより設定される。すなわち、図8に「ENG直結 MG1ロック」として示してあるように、動力分割切替機構9におけるスリーブ12がR位置に移動させられて、サンギヤSmおよび第1モータ・ジェネレータ2が共に固定され、また入力切替機構17におけるスリーブ22がLL位置に移動させられて中間軸8と変速用差動機構15におけるサンギヤSrとが連結され、さらに出力切替機構18におけるスリーブ27がN位置に移動させられて変速用差動機構15におけるキャリヤCrが駆動軸16に連結される。この状態を図16にスケルトン図で示し、また動力分割機構4および変速用差動機構15についての共線図を図17に示してある。
図17に示すように、動力分割機構4では第1モータ・ジェネレータ2と共にサンギヤSmが固定されているので、エンジン1から入力されたトルクによってリングギヤRmが回転させられることにより、キャリヤCmがリングギヤRmよりも高速で回転する。したがって、動力分割機構4は増速機として機能する。そのキャリヤCmは中間軸8および入力切替機構17を介して変速用差動機構15におけるサンギヤSrに連結されているので、動力分割機構4から出力されたトルクは変速用差動機構15によって増幅されて駆動軸16に出力される。この場合、前記第1モータ・ジェネレータ2は固定されており、したがって第1モータ・ジェネレータ2から第2モータ・ジェネレータ3への電力の供給は行われない。すなわち、エンジン1が出力した動力が電力に変換されずに、歯車などの機械的な手段で駆動軸16に伝達される。そのため、摩擦などの不可避的な損失を無視すれば、動力伝達効率は100%になり、車両としての燃費を向上させることができる。また、エンジン1が出力した動力を電力に変換しないので、前述したコントローラ29などの電気機器に対する負荷が低減され、熱性能上有利になるので、車両がスタックした場合の脱出性能や急坂路の登坂性能、あるいはトーイング性能を向上させることができる。
前述した第1速のエンジン走行状態で発進する場合、エンジン回転数に対して第1モータ・ジェネレータ2の回転数を相対的に高回転数に設定することにより、キャリヤCmの回転を止めておくことができ、その状態から第1モータ・ジェネレータ2による反力トルクを次第に増大させてその回転数を低下させると、キャリヤCmの回転数が次第に増大して車両が発進する。車速の増大に伴ってキャリヤCmの回転数が次第に増大すると、第1モータ・ジェネレータ2の回転数が次第に低下し、その過程でサンギヤSmの回転数とキャリヤCmの回転数とリングギヤRmの回転数とが一致する。すなわち、動力分割機構4が回転同期する。
この状態では、入力切替機構17におけるサンギヤハブ20と入力ハブ19との回転数が一致するので、そのスリーブ22がLL位置からL位置に移動させられ、変速用差動機構15における入力要素であるサンギヤSrが、切替ショックを生じることなく、第1および第2のモータ・ジェネレータ2,3の両方に連結される。この状態が図8に「1st−2nd ENG直結」として示してある状態である。この走行モードを設定した場合の各切替機構9,17,18による連結状態を図18にスケルトン図で示し、また動力分割機構4および変速用差動機構15についての共線図を図19に示してある。この状態では、動力分割機構4におけるサンギヤSmとキャリヤCmとが互いに連結されるので、動力分割機構4の全体が一体となって回転し、したがって、エンジン1が出力した動力は、そのまま変速用差動機構15のサンギヤSrに伝達され、そのキャリヤCrから駆動軸16に出力される。すなわち、この状態でもいわゆるエンジン直結状態になって電力への変換を伴うことなく、駆動軸16にエンジン1からの動力が伝達される。
つぎに第2速でエンジン1によって走行する場合について説明する。この状態は図8に「2nd ENG走行」として示してあり、この走行モードは、動力分割切替機構9におけるスリーブ12をN位置に移動させて動力分割機構4におけるサンギヤSmに第1モータ・ジェネレータ2を連結し、また入力切替機構17におけるスリーブ22をN位置に移動させて変速用差動機構15におけるサンギヤSrに第1モータ・ジェネレータ2を連結し、さらに出力切替機構18のスリーブ27をN位置に移動させて駆動軸16にキャリヤCrを連結することにより設定される。この走行モードを設定した場合の各切替機構9,17,18による連結状態を図20にスケルトン図で示し、また動力分割機構4および変速用差動機構15についての共線図を図21に示してある。
図21に示すように、動力分割機構4では、リングギヤRmにエンジン1から動力が入力され、これがキャリヤCmとサンギヤSmとに分配される。これに対して第2モータ・ジェネレータ3は発電機として機能するように制御され、キャリヤCmに反力を与える。さらに、第2モータ・ジェネレータ3で発生した電力は第1モータ・ジェネレータ2に供給され、第1モータ・ジェネレータ2が電動機として機能して動力を出力する。したがってサンギヤSmにはエンジン1から入力されたトルクと第2モータ・ジェネレータ3による反力トルクと第1モータ・ジェネレータ2が出力したトルクとを合成したトルクが現れる。そのサンギヤSmのトルクは第1モータ・ジェネレータ2のロータおよび入力切替機構17を介して変速用差動機構15のサンギヤSrに伝達される。この変速用差動機構15は、リングギヤRrが固定されかつキャリヤCrが駆動軸16に連結されてこれが出力要素となっているので、減速機として機能し、サンギヤSrに入力されたトルクが増大させられて駆動軸16から出力される。なおこの場合、図21に示すように、第2モータ・ジェネレータ3の回転数に応じてエンジン1の回転数が変化するので、エンジン1の運転点が最適燃費点となるように第2モータ・ジェネレータ3によってエンジン回転数を制御できる。
これを第1速でのエンジン走行の場合と対比すると、第1速モードでは、第1モータ・ジェネレータ2がいわゆる反力手段となり、かつ第2モータ・ジェネレータ3がトルクアシスト手段となっていたのに対して、第2速モードでは、それぞれのモータ・ジェネレータ2,3の機能が入れ替わり、第1モータ・ジェネレータ2がトルクアシスト手段となり、第2モータ・ジェネレータ3が反力手段となる。そのため、エンジン1が出力した動力の分割の割合あるいはバランスが変化する。この発明におけるモードの変更は、このようなエンジン1が出力した動力の分割の割合あるいはバランスの変更を伴う動力伝達状態の変更を含んでいる。
このように第2速のエンジン走行状態では、エンジン1が出力した動力を動力分割機構4で増速してそのサンギヤSmから出力するように設定でき、またその場合、前記減速機構6での減速比と動力分割機構4を構成している遊星歯車機構のギヤ比(サンギヤSmの歯数とリングギヤRmの歯数との比)のバランスをとることにより、第2モータ・ジェネレータ3の出力を小さくしても、通常必要とする駆動力を得ることができる。すなわち、電力変換を伴う動力の伝達割合を小さくできるので、動力損失を低減し、車両の全体としての燃費を向上させることができる。また、第1速モードと第2速モードとのトルクの段差が小さく、特に上述した「ENG直結」の状態を経由してモードを切り替えることによりトルク段差が殆どなくなり、したがってショックのない連続的なモード切替を行うことができる。
なお、上記の第2速を設定している状態で、エンジン1を停止するとともに、第1モータ・ジェネレータ2の動力で走行することができ、また車両の有する運動エネルギを第1モータ・ジェネレータ2によって回生することができる。この状態を図8に「2nd 回生」として示してあり、また動力分割機構4および変速用差動機構15についての共線図を図22に示してある。この走行モードでは、変速用差動機構15におけるサンギヤSrに第1モータ・ジェネレータ2が入力切替機構17を介して連結されているので、第1モータ・ジェネレータ2が出力した動力は、変速用差動機構15によって減速されてキャリヤCrから駆動軸16に出力される。したがって、第1モータ・ジェネレータ2を小型化することができる。なお、第1モータ・ジェネレータ2は動力分割機構4におけるサンギヤSmにも連結されているが、動力分割機構4のキャリヤCmが第2モータ・ジェネレータ3と共にフリーな状態になっているので、動力分割機構4が特に作用を行うことはない。また、回生時には、車両の有する慣性エネルギによって第1モータ・ジェネレータ2が回転させられて発電を行う。なお、その場合、第2モータ・ジェネレータ3も発電機として機能させてエネルギ回生を行ってもよい。
第2速でEV走行を行い、あるいは回生を行っている状態で、要求駆動力の増大あるいは車速の低下などによって第1速にモードを切り替える場合がある。その切替は以下のようにして実行される。先ず、動力分割切替機構8におけるスリーブ12が前述したN位置からL位置に移動させれる。したがって、第1モータ・ジェネレータ2と動力分割機構4のサンギヤSmとの連結が解除される。この状態でも、第1モータ・ジェネレータ2は変速用差動機構15のサンギヤSrに連結されているので、EV走行やエネルギ回生を行うことができる。つぎに入力切替機構17のスリーブ22がN位置からL位置に移動させられ、第1モータ・ジェネレータ2と第2モータ・ジェネレータ3との両方が変速用差動機構15のサンギヤSrに連結される。その場合、第2モータ・ジェネレータ3の回転数を制御して、入力ハブ19の回転数を第1モータ・ジェネレータ2の回転数に一致させておくことが好ましい。さらに、入力切替機構17のスリーブ22をL位置からLL位置に移動させて第2モータ・ジェネレータ3のみを変速用差動機構15におけるサンギヤSrに連結する。こうして図8に「回生1」として示してある連結状態すなわち走行モードに切り替える。このように切替制御することにより、ショックを生じることなく低速側の走行モードに切り替えることができる。
第2速と、これより高車速側のモードである第3速との間で切替を行う場合、これら第2速と第3速とに共通のエンジン直結(ENG直結)モードを設定する。これは、図8に「2nd−3rd ENG直結」として示してある状態であり、その各切替機構9,17,18の動作状態を図23にスケルトン図で示し、さらにこのモードでの動力分割機構4および変速用差動機構15の動作状態を図24に共線図で示してある。
この走行モードでは、動力分割切替機構8におけるスリーブ12が前述したN位置に移動させられて第1モータ・ジェネレータ2が動力分割機構4のサンギヤSmに連結され、また入力切替機構17におけるスリーブ22が前述したN位置に移動させられて第1モータ・ジェネレータ2が変速用差動機構15におけるサンギヤSrに連結される。これら動力分割切替機構8および入力切替機構17の動作状態は、第2速のモードでの動作状態と同じである。これに対して、出力切替機構18におけるスリーブ27が前述したR位置に移動させられて、駆動軸16が中間軸8を介して第2モータ・ジェネレータ3に連結されるとともに変速用差動機構15におけるキャリヤCrに連結される。したがって、動力分割機構4と変速用差動機構15とは、それぞれのサンギヤSm,Sr同士、およびキャリヤCm,Cr同士が連結されるので、いわゆる四要素の複合遊星歯車機構を構成する。しかも変速用差動機構15のリングギヤRrが固定された状態で動力分割機構4のリングギヤRmにエンジン1の動力が入力されるので、エンジン1が出力した動力は、上記の複合遊星歯車機構のギヤ比で決まる減速比に応じて減速されて駆動軸16に出力される。したがって、エンジン1から駆動軸16への動力の伝達は、全て機械的な手段によって行われ、電力への変換を伴わない。そのため、全体としての変速比が相対的に小さい高車速域での高負荷時に効率のよい動力伝達を行って燃費を向上させることができ、また動力出力装置の全体としての変速比が相対的に小さいので、エンジン回転数の増大を抑制して燃費の良い走行を行うことができる。また、エンジン1が出力した動力を電力に変換しないので、前述したコントローラ29などの電気機器に対する負荷が低減され、熱性能上有利になるので、車両がスタックした場合の脱出性能や急坂路の登坂性能、あるいは高車速時のトーイング性能を向上させることができる。
さらに第3速でエンジン1によって走行する場合について説明する。この状態は図8に「3rd ENG走行」として示してあり、この走行モードでは、動力分割切替機構9におけるスリーブ12をN位置に移動させて動力分割機構4におけるサンギヤSmに第1モータ・ジェネレータ2を連結し、また出力切替機構18のスリーブ27をN位置に移動させて駆動軸16にキャリヤCrを連結する。これは、第2速と第3速とに共通の「ENG直結」モードと同様である。これに対して、入力切替機構17におけるスリーブ22をN位置からR位置に移動させて変速用差動機構15におけるサンギヤSrに対する連結を解いてサンギヤSrをフリー状態にする。この走行モードを設定した場合の各切替機構9,17,18による連結状態を図25にスケルトン図で示し、また動力分割機構4および変速用差動機構15についての共線図を図26に示してある。
図26に示すように、動力分割機構4では、リングギヤRmにエンジン1から動力が入力され、これがキャリヤCmとサンギヤSmとに分配される。これに対して第1モータ・ジェネレータ2は発電機として機能するように制御され、サンギヤSmに反力を与える。さらに、第1モータ・ジェネレータ2で発生した電力は第2モータ・ジェネレータ3に供給され、第2モータ・ジェネレータ3が電動機として機能して動力を出力する。したがってキャリヤCmのトルクは、エンジン1から入力されたトルクと第1モータ・ジェネレータ2による反力トルクと第2モータ・ジェネレータ3が出力しかつ減速機構6で増幅されたトルクとを合成したトルクになる。そのキャリヤCmのトルクは中間軸8および出力切替機構18を介して駆動軸16に伝達される。その場合、変速用差動機構15はそのサンギヤSrがいわゆるフリー状態であるから特に変速作用は行わない。言い換えれば、動力分割機構4から駆動軸16に直接動力が出力される。なおこの場合、前述した第1速でのエンジン走行の場合と同様に、第1モータ・ジェネレータ2の回転数に応じてエンジン1の回転数が変化するので、エンジン1の運転点が最適燃費点となるように第1モータ・ジェネレータ2によってエンジン回転数を制御できる。
この第3速でエンジン走行する場合、図26から判るように、第1モータ・ジェネレータ2が動力分割機構4に対する反力手段となり、第2速では第2モータ・ジェネレータ3が反力手段となっていたのと比較して、反力手段およびトルクアシスト手段が入れ替わっている。そのために、第3速で反力を発生する第1モータ・ジェネレータ2の回転数が相対的に低回転数になり、電力変換を伴って伝達される動力の割合が抑制される。その結果、高車速が想定される小さい変速比(動力出力装置の全体としての変速比)の領域における動力循環が防止もしくは抑制されて動力の伝達効率が向上し、ひいては車両の燃費を向上させることができる。
なお、第3速でエンジン走行が可能な状態では、動力源としてのエンジン1および反力手段としての第1モータ・ジェネレータ2が連結されている動力分割機構4が、実質的に直接、駆動軸16に連結され、さらにその動力分割機構4から出力されるトルクを第2モータ・ジェネレータ3でアシストするようになっている。したがって、エンジン1を停止させ、もしくはアイドリング状態に制御して減速する場合、駆動軸16から入力される車両の慣性力によって少なくとも一方のモータ・ジェネレータ2,3を回転させて発電させることができる。すなわち、エネルギ回生を行うことができる。この状態を図8には「3rd 回生」として示してある。
さらに、上記の動力出力装置では第3速モードでのエンジン直結状態を構成することができる。この走行モードは、図8に「3rd ENG直結」として示してあるように、動力分割切替機構8におけるスリーブ12を前述したR位置に移動して第1モータ・ジェネレータ2と動力分割機構4におけるサンギヤSmとを固定部7に連結して固定し、また入力切替機構17におけるスリーブ22を前述したR位置に移動させて変速用差動機構15におけるサンギヤSrをいわゆるフリー状態とし、さらに出力切替機構18におけるスリーブ27を前述したR位置に移動させて駆動軸16を変速用差動機構15のキャリヤCrに連結するとともに中間軸8を介して第2モータ・ジェネレータ3に連結することにより設定される。この状態を図27にスケルトン図で示し、また動力分割機構4および変速用差動機構15についての共線図を図28に示してある。
図28に示すように、動力分割機構4では第1モータ・ジェネレータ2と共にサンギヤSmが固定されているので、エンジン1から入力されたトルクによってリングギヤRmが回転させられることにより、キャリヤCmがリングギヤRmよりも高速で回転する。したがって、動力分割機構4は増速機として機能する。そのキャリヤCmは中間軸8および入力切替機構17を介して変速用差動機構15におけるサンギヤSrに連結されているので、動力分割機構4から出力されたトルクは変速用差動機構15によって増幅されて駆動軸16に出力される。この場合、前記第1モータ・ジェネレータ2は固定されており、したがって第1モータ・ジェネレータ2から第2モータ・ジェネレータ3への電力の供給は行われない。すなわち、エンジン1が出力した動力が電力に変換されずに、歯車などの機械的な手段で駆動軸16に伝達される。そのため、摩擦などの不可避的な損失を無視すれば、動力伝達効率は100%になり、車両としての燃費を向上させることができる。特に、この第3速エンジン直結状態での変速比(動力出力装置の全体としての変速比)は、他の走行モードよりも小さくなるので、高速定常走行時にこの走行モードを設定することにより、高速定常走行時の燃費を向上させることができる。また、エンジン1が出力した動力を電力に変換しないので、前述したコントローラ29などの電気機器に対する負荷が低減され、熱性能上有利になる。
上記のようにこの発明に係る動力出力装置によれば、第1速ないし第3速の走行モードおよびそれぞれの走行モードでのエンジン走行状態やEV走行状態さらには回生状態を設定することができるから、車両に搭載した場合には、アクセル開度で代表される要求駆動力や車速あるいは入力軸5の回転数などの走行状態に応じた走行モードを設定して動力伝達効率の良好な運転を行うことができる。そのため、車両としての燃費を向上させ、また動力性能あるいは走行性能を良好なものにすることができる。さらに、前述した第1速ないし第3速の走行モードを設定する変速用差動機構15として一組の遊星歯車機構もしくは遊星ローラ機構を使用すればよく、その結果、必要部品数を少なくして全体としての構成を小型化することができる。
なお、上述した第1速ないし第3速の各モードおよびそれぞれのモードでのエンジン走行状態やEV走行状態あるいは回生状態などは、電子制御装置が、入力されるデータや予め記憶しているデータを利用して、予め定められたプログラムに従って演算を行い、その演算結果を指令信号としてエンジン1やコントローラ29、各切替機構9,17,18に出力することにより実行される。その走行モードを設定するための機能的手段がこの発明における各モード設定手段に相当する。より具体的には、前述した第1速でエンジン走行するモードを設定する機能的手段あるいは第1速でエンジン後進(Rev)走行するモードを設定する機能的手段が、この発明の第1走行モード設定手段に相当する。また、前述した第1速でのEV走行1のモードあるいは第1速での回生1あるいは回生2のモードを設定する機能的手段が、この発明の第1EV走行モード設定手段に相当する。さらに、前述した第1速でのEV走行2のモードを設定する機能的手段が、この発明の第2EV走行モード設定手段に相当する。またさらに、前述した第1速でのエンジン直結(EV直結)のモードを設定する機能的手段が、この発明の第1内燃機関直結モード設定手段に相当する。また、第1速と第2速とに共通のエンジン直結(ENG直結)モードを設定する機能的手段が、この発明の第2内燃機関直結モード設定手段に相当する。そしてまた、前述した第2速でエンジン走行するモードを設定する機能的手段が、この発明の第2走行モード設定手段に相当する。さらにまた、前述した第2速でエネルギ回生するモードを設定する機能的手段が、この発明の第3EV走行モード設定手段に相当する。また、第2速と第3速とに共通のエンジン直結(ENG直結)モードを設定する機能的手段が、この発明の第3内燃機関直結モード設定手段に相当する。さらに、前述した第3速でエンジン走行する走行モードを設定する機能的手段が、この発明の第3走行モード設定手段に相当する。そして、前述した第3速でエンジン直結(ENG直結)モードを設定する機能的手段が、この発明の第4内燃機関直結モード設定手段に相当する。
ここで上述した第1速ないし第3速のモードでエンジン走行する場合の変速比(動力出力装置の全体としての変速比)iと動力伝達効率との関係を示せば図29のとおりである。なお、図29において、「1st」、「2nd」、「3rd」のそれぞれは、第1速、第2速、第3速を示し、また「◆」印は電力への変換を伴わない動力伝達状態であるエンジン直結状態を示す。
ところで、前述した第3速モードでは、中間軸8を駆動軸16に連結して動力を出力するので、変速用差動機構15は動力の伝達には実質的に関与しない。したがって図1に示す例では、第3速で変速用差動機構15におけるサンギヤSrをいわゆるフリー状態として、変速用差動機構15が供回りしないように構成してあるが、変速用差動機構15の供回りが特には支障にならない場合には、第3速において変速用差動機構15の入力要素を第1モータ・ジェネレータ2に連結するように構成してもよい。このような構成であれば、入力切替機構17のスリーブ22を移動させる位置を相対的に少なくすることができる。その例を図30に示してある。
図30において、中間軸8を介して動力分割機構4のキャリヤCmに連結されている入力ハブ19と、第1モータ・ジェネレータ2に連結されているモータハブ20とが、同一軸線上にかつ互いに隣接して配置されている。これら入力ハブ19とモータハブ20との外周側に、変速用差動機構15におけるサンギヤSrに連結れているサンギヤハブ21が配置されている。このサンギヤハブ21は内周面にスプラインが形成された円筒状の部材である。そして、入力ハブ19およびモータハブ20の外周面とサンギヤハブ21の内周面との間に、軸線方向に前後動可能な円筒状の部材であるスリーブ32が配置されている。このスリーブ32は前述したアクチュエータ23によって軸線方向に前後動させられるものであって、その内周面には入力ハブ19およびモータハブ20のそれぞれに形成されているスプラインに係合するスプラインが形成されるとともに、外周面にはサンギヤハブ21に係合するスプラインが形成されている。そして、そのスリーブ32の長さおよびそのスプラインの長さは、スリーブ32の位置に応じて、連結状態を以下のように切り替える間隔および長さに設定されている。なお、図30に示すスリーブ32がこの発明第1環状部材に相当し、サンギヤハブ21が第1係合部材に相当し、モータハブ20が第2係合部材に相当し、入力ハブ19が第3係合部材に相当している。
図30の(a)はスリーブ32を最も第1モータ・ジェネレータ2側に寄った位置すなわち図での左側の位置(以下、L位置と記すことがある)に移動させた状態を示しており、この状態では、スリーブ32の内周面に形成されたスプラインが、モータハブ20に係合するとともに外周面に形成されたスプラインがサンギヤハブ21に係合し、変速用差動機構15におけるサンギヤSrが第1モータ・ジェネレータ2に連結される。図30の(b)は、スリーブ32をL位置より変速用差動機構15側の位置(以下、N位置と記すことがある)に移動させた状態を示しており、この状態では、スリーブ32の内周面に形成されたスプラインが入力ハブ19とモータハブ20との両方に係合し、また外周面に形成されたスプラインがサンギヤハブ21に係合する。したがって変速用差動機構15における入力要素であるサンギヤSrが、第1モータ・ジェネレータ2と中間軸8を介して第2モータ・ジェネレータ3とに連結される。
図30の(c)は、スリーブ32を更に変速用差動機構15側の位置(以下、R位置と記すことがある)に移動させた状態を示しており、この状態では、スリーブ32の内周面に形成されたスプラインが入力ハブ19のみに係合し、かつ外周面に形成されたスプラインがサンギヤハブ21に係合する。したがって変速用差動機構15における入力要素であるサンギヤSrが中間軸8を介して第2モータ・ジェネレータ3に連結される。図31には、これら三つの位置におけるサンギヤSrの連結相手部材をまとめて示してある。
したがって、入力切替機構17を図30に示すように構成すれば、この発明の入力切替用可動部材に相当するスリーブ32を軸線方向の三つの位置に移動させればよいので、そのストロークを相対的に短くすることができる。その結果、アクチュエータ23の構成を簡素化できるうえに、動力出力装置の全体としての軸長を短縮することができる。
なお、出力切替機構18を図30に示す入力切替機構17と同様な構成とすることができる。図32にはその例を示してあり、中間軸8を介して動力分割機構4のキャリヤCmに連結されている出力ハブ25と、変速用差動機構15のキャリヤCrに連結されているキャリヤハブ26とが、同一軸線上にかつ互いに隣接して配置されている。これら出力ハブ25とキャリヤハブ26との外周側に、駆動軸16に一体化されている駆動軸ハブ24が配置されている。この駆動軸ハブ24は内周面にスプラインが形成された円筒状の部材である。そして、出力ハブ25およびキャリヤハブ26の外周面と駆動軸ハブ24の内周面との間に、軸線方向に前後動可能な円筒状の部材であるスリーブ33が配置されている。このスリーブ33は前述したアクチュエータ28によって軸線方向に前後動させられるものであって、その内周面には出力ハブ25およびキャリヤハブ26のそれぞれに形成されているスプラインに係合するスプラインが形成されるとともに、外周面には駆動軸ハブ24に係合するスプラインが形成されている。そして、そのスリーブ33の長さおよびそのスプラインの長さは、スリーブ33の位置に応じて、連結状態を以下のように切り替える間隔および長さに設定されている。なお、図32に示すスリーブ33がこの発明の第2環状部材に相当し、駆動軸ハブ24がこの発明の第4係合部材に相当し、キャリヤハブ26がこの発明の第5係合部材に相当し、出力ハブ25がこの発明の第6係合部材に相当している。
図32の(a)はスリーブ33を最も変速用差動機構15側に寄った位置すなわち図での左側の位置(以下、L位置と記すことがある)に移動させた状態を示しており、この状態では、スリーブ33の内周面に形成されたスプラインが、キャリヤハブ26に係合するとともに外周面に形成されたスプラインが駆動軸ハブ24に係合し、駆動軸16が変速用差動機構15のキャリヤCrに連結される。図32の(b)は、スリーブ33をL位置より駆動軸16側の位置(以下、N位置と記すことがある)に移動させた状態を示しており、この状態では、スリーブ33の内周面に形成されたスプラインが中間軸8に一体の出力ハブ25とキャリヤハブ26との両方に係合し、また外周面に形成されたスプラインが駆動軸ハブ24に係合する。したがって駆動軸16が、変速用差動機構15のキャリヤCrと中間軸8を介して第2モータ・ジェネレータ3とに連結される。
図32の(c)は、スリーブ33を更に変速用差動機構15側の位置(以下、R位置と記すことがある)に移動させた状態を示しており、この状態では、スリーブ33の内周面に形成されたスプラインが出力ハブ25のみに係合し、かつ外周面に形成されたスプラインが駆動軸ハブ24に係合する。したがって駆動軸16が中間軸8を介して第2モータ・ジェネレータ3に連結される。図33には、これら三つの位置における駆動軸16の連結相手部材をまとめて示してある。
したがって、入力切替機構17を図30に示すように構成すれば、この発明の入力切替用可動部材に相当するスリーブ32を軸線方向の三つの位置に移動させればよいので、そのストロークを相対的に短くすることができる。その結果、アクチュエータ23の構成を簡素化できるうえに、動力出力装置の全体としての軸長を短縮することができる。
入力切替機構17を上述した図30に示すように構成し、かつ出力切替機構18を図32に示すように構成し、他の構成は図1に示す構成と同様とした場合の各走行モードを設定するための各切替機構9,17,18の動作状態を図34にまとめて示してある。この図34において、前述した図8に示す動作状態と異なるのは「3rd」のモードである。すなわち、前述した図1に示すように構成した場合には、第3速で、変速用差動機構15におけるサンギヤSrをいわゆるフリー状態するのに対して、入力切替機構17を図30に示す構成とし、かつ出力切替機構18を図32に示す構成とした場合には、第3速で、変速用差動機構15におけるサンギヤSrは第1モータ・ジェネレータ2に連結される。したがって、変速用差動機構15は第3速でいわゆる連れ回りするが、動力の伝達には関与しない。
以上説明したように、この発明の動力出力装置によれば、変速用差動機構15を一組の遊星歯車機構や遊星ローラ機構などの差動機構によって構成して、より多様な走行モードを設定することができるから、走行状態に合わせて適宜の走行モードを設定して動力伝達効率を向上させ、ひいては車両の燃費を向上させることができ、しかも必要とする機構の数を少なくして全体としての構成をコンパクトなものとし、それに伴って車載性を向上させることができる。
1…エンジン、 2,3…モータ・ジェネレータ、 4…動力分割機構、 5…入力軸、 6…減速機構、 7…固定部、 8…中間軸、 9…動力分割切替機構、 10…サンギヤハブ、 11…モータハブ、 12…スリーブ、 13…固定スプライン、 14…アクチュエータ、 15…変速用差動機構、 16…駆動軸、 17…入力切替機構、 18…出力切替機構、 19…入力ハブ、 20…モータハブ、 21…サンギヤハブ、 22…スリーブ、 23…アクチュエータ、 24…駆動軸ハブ、 25…出力ハブ、 26…キャリヤハブ、 27…スリーブ、 28…アクチュエータ、 29…コントローラ、 30…蓄電装置、 31…電子制御装置(ECU)、 32,33…スリーブ。
Claims (20)
- 駆動軸に動力を出力する動力出力装置において、
第1電動機との間でトルクを伝達する第1要素、および第2電動機との間でトルクを伝達する第2要素、ならびに内燃機関との間でトルクを伝達する第3要素を備えるとともに、これら第1ないし第3の要素が互いに差動回転する動力分割機構と、
入力要素と出力要素と固定要素とを備えるとともにこれら入力要素および出力要素ならびに固定要素が互いに差動回転可能な変速用差動機構と、
前記第1電動機と前記第1要素とを連結した状態と、その連結を解除した状態と、前記第1電動機および前記第1要素との回転を止める状態とに切り替えられる動力分割切替機構と、
少なくとも、前記第2要素と前記入力要素とを連結した状態と、前記第2要素および前記入力要素ならびに前記第1電動機の三者を連結した状態と、前記第1電動機と前記入力要素とを連結した状態とに切り替えられる入力切替機構と、
前記出力要素と前記駆動軸とを連結した状態と、前記第2要素および前記出力要素ならびに前記駆動軸の三者を連結した状態とに切り替えられる出力切替機構と
を備えていることを特徴とする動力出力装置。 - 前記動力分割切替機構は、前記第1電動機と前記第1要素とを連結した状態を設定する位置と、その連結を解除した状態を設定する位置と、前記第1電動機および前記第1要素との回転を止める状態を設定する位置とに選択的に移動させられる係合用可動部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の動力出力装置。
- 前記入力切替機構は、前記第2要素と前記入力要素とを連結した状態を設定する位置と、前記第2要素および前記入力要素ならびに前記第1電動機の三者を連結した状態を設定する位置と、前記第1電動機と前記入力要素とを連結した状態を設定する位置と、これらの連結を解除した状態を設定する位置とに選択的に移動させられる入力切替用可動部材を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の動力出力装置。
- 前記出力切替機構は、前記出力要素と前記駆動軸とを連結した状態を設定する位置と、前記第2要素および前記出力要素ならびに前記駆動軸の三者を連結した状態を設定する位置との少なくとも二位置に選択的に移動させられる出力切替用可動部材を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記動力分割切替機構と前記入力切替機構と前記出力切替機構とは、噛み合い式の係合装置によって構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記動力分割切替機構と入力切替機構と出力切替機構との動作状態に応じて、前記各電動機の動力の入出力状態が異なる複数の走行モードを設定可能であって、前記動力分割切替機構および入力切替機構ならびに出力切替機構のうちのいずれか一つの動作状態が変化することにより前記走行モードが切り替わるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記動力分割機構は、前記第1要素としての外歯歯車であるサンギヤと、該サンギヤに対して同心円上に配置された内歯歯車である前記第3要素としてのリングギヤと、前記サンギヤに噛み合っているピニオンギヤおよび該ピニオンギヤと前記リングギヤとに噛み合っている他のピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持する前記第2要素としてのキャリヤとを有するダブルピニオン型遊星歯車機構によって構成され、
前記変速用差動機構は、前記入力要素としての外歯歯車であるサンギヤと、該サンギヤに対して同心円上に配置された内歯歯車であって所定の固定部に固定された前記固定要素としてのリングギヤと、前記入力用である前記サンギヤに噛み合っているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持する前記出力要素としてのキャリヤとを有するシングルピニオン型遊星歯車機構によって構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の動力出力装置。 - 前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構により前記第2要素と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結して第1走行モードを設定する第1モード設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機との連結を解除して前記第1要素を自由回転可能な状態とし、前記入力切替機構により前記第2要素と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結することにより前記第2電動機の出力する動力を減速して前記駆動軸に伝達するEV走行モードを設定する第1EV走行モード設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機との連結を解除して前記第1要素を自由回転可能な状態とし、前記入力切替機構により前記第2要素と前記第1電動機と前記入力要素との三者を連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結することにより前記第1電動機と第2電動機との少なくともいずれか一方が出力する動力を前記駆動軸に伝達するEV走行モードを設定する第2EV走行モード設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構により前記第2要素と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結して前記内燃機関の動力で後進走行する第1後進モード設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機との回転を止め、前記入力切替機構により前記第2要素と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結して前記内燃機関を前記駆動軸に機械的に連結する第1内燃機関直結モード設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構により前記第2要素と前記第1電動機と前記入力要素との三者を連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結する第2内燃機関直結モード設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構により前記第1電動機と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結して第2走行モードを設定する第2モード設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構により前記第1電動機と前記入力要素とを連結し、前記出力切替機構により前記出力要素と前記駆動軸とを連結し、かつ前記第1電動機を動力源とする他のEV走行モードを設定する第3EV走行モード設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構により前記第2要素と第1電動機と前記入力要素との三者を連結し、前記出力切替機構により前記第2要素と前記出力要素と前記駆動軸との三者を連結して前記内燃機関を前記駆動軸に機械的に連結する第3内燃機関直結モード設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機とを連結し、前記入力切替機構による前記連結のいずれをも解除し、前記出力切替機構により前記第2要素と前記駆動軸とを連結して前記内燃機関を前記駆動軸に機械的に連結する第3走行モード設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記動力分割切替機構により前記第1要素と前記第1電動機との回転を止め、前記入力切替機構による前記連結のいずれをも解除し、前記出力切替機構により前記第2要素と前記出力要素と前記駆動軸との三者を連結して前記内燃機関を前記駆動軸に機械的に連結する第4内燃機関直結モード設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし17のいずれかに記載の動力出力装置。
- 前記入力切替機構は、軸線方向に前後動可能な第1環状部材を含み、その第1環状部材の外周部に前記入力要素と一体の第1係合部材が常時係合し、前記第1電動機と一体の第2係合部材および前記第2要素に一体の第3係合部材が前記環状部材の内周側に軸線方向に並んで配置され、前記第1環状部材が軸線方向に移動することにより前記第2係合部材と第3係合部材とに選択的に係合するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の動力出力装置。
- 前記出力切替用可動部材は、軸線方向に前後動可能な第2環状部材を含み、その第2環状部材の外周部に前記駆動軸と一体の第4係合部材が常時係合し、前記出力要素に一体の第5係合部材および前記第2要素に一体の第6係合部材が前記第2環状部材の内周側に軸線方向に並んで配置され、前記第2環状部材が軸線方向に移動することにより前記第5係合部材と第6係合部材とに選択的に係合するように構成されていることを特徴とする請求項4ないし19のいずれかに記載の動力出力装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007217583A JP2009051262A (ja) | 2007-08-23 | 2007-08-23 | 動力出力装置 |
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JP2007217583A JP2009051262A (ja) | 2007-08-23 | 2007-08-23 | 動力出力装置 |
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ID=40502759
Family Applications (1)
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2009051262A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010241175A (ja) * | 2009-04-01 | 2010-10-28 | Toyota Motor Corp | 車両の駆動制御装置 |
JP2013184550A (ja) * | 2012-03-07 | 2013-09-19 | Toyota Motor Corp | ハイブリッド車両用駆動装置 |
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2007
- 2007-08-23 JP JP2007217583A patent/JP2009051262A/ja active Pending
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