JP2009048722A - 記録条件決定方法、記録装置、及び制御プログラム - Google Patents

記録条件決定方法、記録装置、及び制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、未知の媒体でも記録ストラテジ調整の際に局所最適に陥ることを防止する記録装置を提供する。
【解決手段】相変化記録媒体に記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射してパターン列を記録する記録装置である。他の調整に先立ち記録ストラテジ調整のベースとなるベース記録ストラテジのパルス幅を調整するベース記録ストラテジ調整手段(42)を有する。ベース記録ストラテジ調整手段は、各消去パワー条件毎に記録された各テストパターンを各々再生させ各再生信号変調度の差分に関するパルス幅依存性を測定するパルス幅依存性測定制御手段(42a)、消去パワー条件に依存せず概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅を決定するベースパルス幅選択制御手段(42b)を含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、記録条件決定方法、記録装置、及び制御プログラムに関する。
記録装置や情報記録再生装置などは、記録情報に応じて変化するパルス列(記録ステラテジ)に基づいてレーザ光を強度変調し、相変化記録媒体上に集光し加熱することで非晶質・結晶質と変化させて記録マーク・スペースを形成し記録する。記録情報を再生する場合には、情報記録再生装置は、再生用のパワーにてレーザ光を照射し、前記記録マーク・スペースにて反射される反射光を検出することで記録情報を再生する。相変化記録媒体に情報を再生可能に確実に記録するには、記録ストラテジによるレーザ光制御を精度良く行う必要がある。
さて、相変化記録媒体は、その種類に応じて物性等の違いが生じ、異なる種類の相変化記録媒体に対して同一の記録ストラテジで記録を行うと、記録される記録マーク、スペースの大きさが変化し、再生情報の誤り率の悪化を招く。このため、情報記録再生装置は、相変化記録媒体への試し書き(テストライト)を行い、その再生信号から得た記録状態を判定し、必要に応じ記録条件を調整する。つまり、相変化記録媒体の物性等の違いや情報記録再生装置との相性により、最適な記録ストラテジに調整する必要がある。
相変化記録媒体に試し書きを行い、記録ストラテジなどの記録条件を調整する技術として、例えば、以下に示す特許文献1、特許文献2が公知である。
特許文献1では、2種類の異なる記録ストラテジ(第1の発光波形規則、第2の発光波形規則)で記録を行い、記録した情報から補正相関(位相誤差量を測定して比較)し、基準ライトストラテジを最適な記録ストラテジとするために、位相誤差を最低にする記録ストラテジ(発光波形規則)を設定して調整を行う(段落番号0055)。
特許文献2では、先ず、トップパルス、ミドルパルスを変化させて記録を行い、記録データを性能評価結果が最も良い状態となるトップパルスのパルス幅、ミドルパルスのパルス幅を決定する(段落番号0090)。次に、最適化されたトップパルスのパルス幅、ミドルパルスのパルス幅を用いて、テストライトにより記録パワーを決定する(段落番号0092)。すなわち、OPC(Optimum Power Contorol)実施時に、最適な状態での再生信号の変調度に近づけるように記録パワーを求める。
特開2003−30837号公報 特開2004−146043号公報
ところで、相変化記録媒体がHD―DVDほどの高密度であると、記録ストラテジの調整は非常に微妙な調整を必要とし、また、記録パワーと記録ストラテジにはある程度相関があるので、記録パワー、記録ストラテジを構成するトップパルス、ミドルパルス、ラストパルス、クーリングパルスを、各々独立に調整する事が出来ない。
このため、記録パワー、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルス、クーリングパルスのいずれかを固定して調整しようとすると、容易に(ローカルミニマム)局所最適に陥ってしまう。例えば、記録条件の調整パラメータのうち、最初の一のパラメータの設定固定条件がそもそも違っていると、他のパラメータも違ってくることになり、全パラメータが最適条件を満たさないという状況に陥り、「局所最適」に陥る可能性があった。
特に、調整初期段階で決定される記録パワーと記録ストラテジの調整を間違えると、その後どのように調整しても全く性能が出ないという事態が生じ、調整が困難となるという改善すべき点があった。
また、調整初期段階では、信号品質指標が測定できないほど性能が悪い場合があり、調整が一向に進まなくなり、未知の相変化記録媒体によっては、記録条件の調整すら行えず、再生不能状態に陥るという改善すべき点があった。
さらに、特許文献1及び特許文献2では、未知の相変化記録媒体の性能が悪かった場合、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスを変化させて記録を行っても全く性能評価結果に違いがでず、調整困難となる。
本発明は、上記した技術の改善すべき点を解決することを課題としてなされたものであって、その目的とするところは、未知の相変化記録媒体であっても、局所最適に陥り調整不能となることを防止して、記録条件の調整が可能な記録条件決定方法、記録装置、及び制御プログラムを提供することにある。
上記目的は、主たる独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、発明の更なる有利な具体例を規定する。この発明の概要は、必要な特徴すべてを列挙しているものではなく、よってここには記載されない下位請求項並びにこれらの特徴群の下位結合(サブコンビネーション)も発明になり得る。
本発明の記録条件決定方法の一態様は、相変化記録媒体上にパルス列よりなる記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射してパターン列を記録する記録条件を決定する記録条件決定方法であって、他の調整に先立って、前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整するベース記録ストラテジ調整ステップと、前記ベース記録ストラテジ調整ステップにて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、パワーを調整するパワー調整ステップと、前記ベース記録ストラテジ調整ステップにて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記パワー調整ステップによる調整後に、前記記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整する記録ストラテジ調整ステップと、を含み、前記ベース記録ストラテジ調整ステップは、消去パワー条件に依存せず一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅を算出するための調整を行い、前記最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジを決定すること、を特徴としている。
本発明の記録条件決定方法の他の態様は、相変化記録媒体上にパルストレイン型の記録ストラテジにて記録パワー、消去パワー、バイアスパワーの少なくとも3値の間で強度変調したレーザ光を照射することで記録マークとスペースによるパターン列を記録する記録条件を決定する記録条件決定方法であって、前記消去パワーを与えない状態と、前記記録マークが消去される消去パワーを付与した状態との少なくとも2種類の消去パワー条件下で、他の調整に先立って前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成するパルスのパルス幅を一律に変化させつつ記録を行うベースパルス幅変更記録ステップと、前記2種類の各消去パワー条件下にて各々記録された各パターン列を各々再生し、前記各消去パワー条件下での各再生信号変調度の差に関するパルス幅依存性を測定するパルス幅依存性測定ステップと、前記パルス幅依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスの最適ベースパルス幅を決定するベースパルス幅選択制御ステップと、含むことを特徴としている。
本発明の記録装置の一の態様は、相変化記録媒体にパルス列よりなる記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射してパターン列を記録する記録装置であって、他の調整に先立って、前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整するベース記録ストラテジ調整手段と、前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記レーザ光のパワーを調整するパワー調整手段と、前記パワー調整手段による調整後に、前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整する記録ストラテジ調整手段と、を含み、前記ベース記録ストラテジ調整手段は、前記パターン列を消去する消去パワー条件に依存せず一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅を算出するための調整を行い、前記最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジを決定することを特徴としている。
本発明の記録装置の他の態様は、相変化記録媒体上にパルストレイン型の記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射することで記録マークとスペースによるパターン列を光照射によって記録を行う記録装置であって、前記記録マークを消去する消去パワーを与えない状態と、前記記録マークが消去される消去パワーを付与した状態との少なくとも2種類の各消去パワー条件を切替制御する消去パワー条件切替制御手段と、他の調整に先立って前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する最初のパルスをトップパルス、それに連なるパルス群をミドルパルス、最後のパルスをラストパルスと逆極性のパルスをクーリングパルスとした時、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅を変化させるベースパルス幅変更制御手段と、前記2種類の各消去パワー条件下にて記録された各パターン列を各々再生し、再生された各記録マークの各々の再生信号変調度の差におけるパルス幅依存性を測定するパルス幅依存性測定制御手段と、前記パルス幅依存性測定制御手段にて測定されたパルス幅依存性に基づいて、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの好ましいパルス幅を選択するベースパルス幅選択制御手段と、を含むことを特徴としている。
本発明の制御プログラムは、相変化記録媒体上にパルス列よりなる記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射してパターン列を記録する記録条件を決定制御する記録条件決定用の制御プログラムであって、コンピュータに、他の調整に先立って、前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整するベース記録ストラテジ調整手段と、前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、パワーを調整するパワー調整手段と、前記パワー調整手段による調整後に、前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整する記録ストラテジ調整手段として、機能させ、前記ベース記録ストラテジ調整手段は、前記パターン列を消去する消去パワー条件に依存せず一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅を算出するための調整を行い、前記最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジを決定することを特徴としている。
本発明の作用及び他の利得は、以下に説明する「発明を実施するための最良の形態」から明らかにされる。
本発明によれば、ベース記録ストラテジの調整にて、消去パワー条件に依存せず一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジが決定され、これをもとに他の調整を行うことで、未知の相変化記録媒体であっても局所最適に陥り調整不能となる事態を回避でき、以降の記録ストラテジ調整を良好に行うことができる。
以下に説明する内容は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
以下に本発明の記録装置の基本的構成を説明するが、本発明の構成要件と、実施の形態における具体例との対応関係を例示すると、次のようになる。また、「基本的構成」の項目における括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、その記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
〔記録装置の基本的構成〕
記録装置(例えば図1に示す符号1など)の第1の基本的構成は、相変化記録媒体にパルス列よりなる記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射してパターン列を記録する記録装置であって、他の調整に先立って、前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整するベース記録ストラテジ調整手段(例えば図3に示す符号42など)と、前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記レーザ光のパワーを調整するパワー調整手段(例えば図3に示す符号43など)と、前記パワー調整手段による調整後に、前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整する記録ストラテジ調整手段(例えば図3に示す符号44など)と、を含む構成としている。前記ベース記録ストラテジ調整手段は、前記パターン列を消去する消去パワー条件に依存せず概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅(例えば図12の破線に示すパルス幅の範囲や図13に示す矢印のパルス幅など)を算出するための調整を行い、前記最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジを決定する。
記録装置の第2の基本的構成は、相変化記録媒体上にパルストレイン型の記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射することで記録マークとスペースによるパターン列を光照射によって記録を行う記録装置であって、前記記録マークを消去する消去パワーを与えない状態と、前記記録マークが消去される消去パワーを付与した状態との少なくとも2種類の各消去パワー条件を切替制御する消去パワー条件切替制御手段(例えば図4に示す符号42cなど)と、他の調整に先立って前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する最初のパルスをトップパルス、それに連なるパルス群をミドルパルス、最後のパルスをラストパルスと逆極性のパルスをクーリングパルスとした時、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅を変化させるベースパルス幅変更制御手段(例えば図4に示す符号42dなど)と、前記2種類の各消去パワー条件下にて記録された各パターン列を各々再生し、再生された各記録マークの各々の再生信号変調度の差におけるパルス幅依存性を測定するパルス幅依存性測定制御手段(例えば図4に示す符号42aなど)と、前記パルス幅依存性測定制御手段にて測定されたパルス幅依存性に基づいて、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの好ましいパルス幅を選択するベースパルス幅選択制御手段(例えば図4に示す符号42bなど)と、を含む構成としている。
第1の基本的構成の記録装置では、ベース記録ストラテジ調整手段は、(通常の記録ストラテジ調整の前処理として)、消去パワー条件に依存せず概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジを決定する。この決定されたベース記録ストラテジをもとに、他の調整(パワー調整手段によるパワー調整、記録ストラテジ調整手段による記録ストラテジ調整)を行う。
ここに、「消去パワー条件に依存せず概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅」を算出するには、各消去パワー条件下(例えば少なくとも2つの各消去パワー条件下)での再生信号変調度差分に関するパルス幅依存性を測定する手法(第2の基本的構成など)や、各消去パワー条件下での各再生信号変調度に関するパルス幅依存性を測定する手法などが想定される。
ここで、本発明者等は、記録パワーを特定の値とし一の消去パワー条件で記録した時、一の記録マークを再生することで得られる一の再生信号変調度と、パルス幅の変化と、の相関関係を示す一の消去パワー条件下の再生信号変調度―パルス幅依存性特性(例えば図12に示す消去パワ=0mWにおける特性);さらには、記録パワーを特定の値とし他の消去パワー条件で記録した時、他の記録マークを再生することで得られる他の再生信号変調度と、パルス幅の変化と、の相関関係を示す他の消去パワー条件下での再生信号変調度―パルス幅依存性特性(例えば図12に示す消去パワー=6mWにおける特性);などはそれぞれ、特定のパルス幅範囲で特定の再生信号変調度にて概ね一定となることを見い出した(例えば図12に示す記録ストラテジのパルス幅がおよそ0.3〜およそ0.5に相当する範囲等)。
すなわち、各消去パワー条件に依存せず、概ね一定となる再生信号変調度が得られる特定のパルス幅範囲が存在することとなる。
具体的には、特定の一消去パワー条件下(例えば0mw)で、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を一律に増加させていくと、一特定範囲内のパルス幅にて再生信号変調度が(例えば0.5にて)ほぼ一定となることが分かる。同様に、他の消去パワー条件下(例えば3mw)で、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を一律に増加させていくと、他の特定範囲内のパルス幅にて再生信号変調度が(例えば0.5にて)ほぼ一定となることが分かる。同じく、さらに他の消去パワー条件下(例えば6mw)で、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を一律に増加させていくと、さらに他の特定範囲内のパルス幅にて再生信号変調度が(例えば0.5にて)ほぼ一定となることが分かる。
さらに、本発明者等は、各消去パワー条件での各再生信号変調度の差分と、パルス幅の変化と、の相関関係を示す各消去パワー条件下での再生信号変調度差分―パルス幅依存性特性;にて、再生信号変調度差分が概ね零となる特定のパルス幅範囲が存在することを確認した(例えば図13等)。
また、本発明者等は、記録ストラテジの記録調整の初期値のパルス幅(ベース記録ストラテジのパルス幅)を変化させ、記録パワー、消去パワー調整後のPRSNR値と前記パルス幅との関係を確認した。これによると、消去パワーに依存せず、概ね一定の再生信号変調度が得られるパルス幅をベース記録ストラテジとして調整を行うと、最終的に高いPRSNR値が得られることが判明した(例えば図14等)。
この際、最適ベースパルス幅として図13に示す特性において、再生信号変調度の差分が概ね一定(ほぼ0)になる範囲のうち、パルス幅が最小となる(再生信号変調度に関するパルス幅依存性が<依存しない非依存部分に>変わる特徴点となる)例えば0.3Tを「最適ベースパルス幅」とすると、図14に示すように、PRSNR値が最大となることが判明した。
図13及び図14をみると、再生信号変調度が概ね一定となる範囲(ほぼ0になる範囲)の中でも、パルス幅が0.6Tや0.5TではPRSNR値が低く、局所最適に陥る可能性があり、パルス幅が0.4TでもPRSNR値が20程度となっているが、パルス幅が0.25T、0、3T、0、35Tでは、PRSNR値はきわめて高く、特にパルス幅が0、3TではPRSNR値が最大となっている。このPRSNR値が最大となっているパルス幅は、図13の特性では、再生信号変調度の差分が概ね一定(ほぼ0)になる範囲のうちパルス幅が最小となる(再生信号変調度に関するパルス幅依存性が<依存しない非依存部分に>変わる特徴点となる)箇所である。
この結果、テストパターンの記録マークの大きさに比例する変調度の値が一定で変化しないということは、特定のパルス幅範囲では、如何なる消去パワーを用いても、記録マークの大きさが一定(記録マークの大きさに影響を与えない)ことを意味する。
すなわち、記録マークの大きさに比例する変調度が、消去パワーに依存しないということは、前記最適べースパルス幅の範囲で記録マーク形成条件と消去条件とを独立に調整可能であり、局所最適に落ち込みにくいことを意味する。そのため、消去パワーに依存しない概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅範囲内にて、最適ベースパルス幅を初期設定すると、局所最適を防止できる最適条件が得られる。
このように、未知の記録媒体であっても局所最適に陥り再生不能となる事態(通常の記録ストラテジ調整すら困難となる事態)を回避でき、以降の記録ストラテジ調整を良好に行うことを可能とするものである。
第2の基本的構成の記録装置では、前記消去パワー条件切替制御手段及び前記ベースパルス幅変更制御手段は、特定ベースパルス幅にて各前記消去パワー条件毎にテストパターンを各々記録し、前記パルス幅依存性測定制御手段は、該各々のテストパターンからの再生信号変調度を各々測定し、各前記再生信号変調度の差分を算出し、及び前記パルス幅依存性測定制御手段は、前記ベースパルス幅変更制御手段により前記各パルスのパルス幅を変化させつつ、記録、測定を繰り返し、前記再生信号変調度の差分に関するパルス幅依存性を算出し、前記ベースパルス幅選択制御手段は、前記パルス幅依存性に基づいてベース記録ストラテジを構成する各パルスの最適ベースパルス幅を選択する。
また、このような記録装置は、単独で存在する場合もあるし、電子機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。
これら基本的構成の記録装置において、このような最適ベースパルス幅を決定するためのより具体的構成と、最適ベースパルス幅でのベース記録ストラテジに基づく、記録パワーや消去パワーの調整、記録ストラテジの調整に関する具体的構成、このような作用、及び他の利得については、次に説明する各実施の形態からさらに明らかにされる。
以下、本発明の好適なさらに詳細な実施の形態の一例について、図面を参照して具体的に説明する。以下には、本発明の記録装置を「情報記録再生装置」に適用した例について説明する。
〔第1の実施の形態〕
先ず、情報記録再生装置の具体的構成について、全体構成から説明し、続いてRF回路部の内部構成、システムコントローラの内部構成、システムコントローラ内部のパルス幅依存性測定器の詳細構成について説明することとする。
すなわち、第1の実施の形態においては、以下に示す項目
[1.1](情報記録再生装置の全体構成)
[1.2](RF回路部の構成)
[1.3](システムコントローラの内部構成)
[1.3.1](本第1の実施の形態の特徴的構成I:ベース記録ストラテジ調整部)
[1.3.2](ベース記録ストラテジ調整部内のパルス幅依存性測定器)
[1.3.3](本第1の実施の形態の特徴的構成II:ベースパワー調整部)
[1.3.4](パワー調整部)
[1.3.5](記録ストラテジ調整部)
[1.3.6](システムコントローラ内の各部の動作)
[2.1](全体処理)
[2.2.1](ベースパワー調整ステップ)
[2.2.2](ベース記録ストラテジ調整ステップ)
[2.2.3](パワー調整ステップ)
[2.2.4](記録ストラテジ調整ステップ)
の順に説明することとする。
[1.1](情報記録再生装置の全体構成)
本実施の形態の情報記録再生装置を動作させる前提となる、装置の全体構成について、図1を参照しつつ説明する。図1は、本発明における第1実施の形態の情報記録再生装置の全体の概略構成の一例を示すブロック図である。
本実施の形態の情報記録再生装置1は、相変化記録媒体上に図11に示すパルストレイン型記録ストラテジにて強度変調したレーザー光を照射することによって、マークとスペースとによるパターン列を光照射によって相変化記録媒体に書き込む(記録する)情報記録再生装置を対象とするものである。
本例の情報記録再生装置1は、図1に示すように、相変化記録媒体の一例である光ディスク78を駆動するスピンドル駆動系2と、データを記録又は再生するために光ディスク78にレーザ光ビームを照射しそれを検出する光ヘッド部10と、入力信号にフィルタリング等の処理を行うRF回路部20と、入力信号を復調する復調器30と、装置全体を統括する全体制御部(全体制御手段)としてのシステムコントローラ40と、記録すべき信号を変調する変調部としての変調器72と、レーザダイオード(LD)12を駆動するLD駆動系74と、光ディスク78の表面の垂直軸と後述する対物レンズ14の光軸との傾きを調整する傾き調整手段として機能し、かつ、サーボ信号をコントロールするサーボコントローラ76と、を含んで構成されている。
スピンドル駆動系2は、システムコントローラ40からの指令を受けて、光ディスク78を回転駆動する。
光ヘッド部10は、スピンドル駆動系2で回転駆動される光ディスク78の盤面にレーザー光を照射し、光ディスク78への情報の書込、光ディスク78からの情報の再生を行う。
光ヘッド部10は、レーザ光を出射する発光部としてのレーザダイオード12と、レーザダイオード12からのレーザ光ビームを集光して光ディスク78に照射する対物レンズ14と、この照射されたレーザ光ビームが光ディスク78に反射されて生じる反射光を少なくとも2つ以上に分割して受光しこの各光から信号を検出する受光部16と、レーザダイオード12からの光ビームを対物レンズ14に反射させるとともに、光ディスク78からの反射光を受光部16に通過させる光分離手段(偏光変換素子)としてのビームスプリッタ18と、を含んで構成される。
このような構成の光ヘッド部10の光学系において、レーザダイオード12から出射されたレーザ光は、ビームスプリッタ18により光軸変換され、対物レンズ14により集光され、光ディスク78上にスポット照射される。一方、光ディスク78上にて反射された戻り光は、対物レンズ14、ビームスプリッタ18を介して直進し、受光部16にて受光される。
受光部16は、光ディスク78の径方向に分割された2分割フォトディテクタにて構成することが好ましい。この場合、受光部16は、戻り光のうち、光ディスク78の半径方向に対して内側の第1受光素子部(不図示)で検出された戻り第1成分光からI1信号、外側の第2受光素子部(不図示)で検出された戻り第2成分光からI2信号を検出する。受光部16の出力は、電流である。I1信号およびI2信号は、電流を電圧に変えるIVアンプ(電流電圧変換部)を通して使用する。I1+I2により再生信号が生成される。
ここで、受光部16は、光ディスク78の径方向に分割された2種類の信号をI1、I2とすることで、光ディスク78と対物レンズ14との間の径方向の傾きずれが変化したときに、それによる劣化を防ぐ第1方向傾きずれ検出部として機能する。さらに、受光部16は、光ディスク78の走査方向に分割したフォトディテクタを使用することで、光ディスク78と対物レンズ14との間の走査方向の傾きずれが変化したときに、それによる劣化を防ぐ第2方向傾きずれ検出部として機能する。
受光部16としては、2分割フォトディテクタに限らず、第1受光素子部、第2受光素子部、第3受光素子部、第4受光素子部から構成される4分割ディテクタを使用する構成としてもよい。この場合、受光部16からの出力は、各受光素子部からの各出力信号を適宜を束ねてI1信号、I2信号を作り出すことが好ましい。
2分割フォトディテクタでは、光ディスク78に記録された信号は、ディテクタの分割された2つの部分から、それぞれ分割して検出された信号として出力され、それぞれ単独で2種類の信号I1、I2を生成する。4分割フォトディテクタでは、光ディスク78に記録された信号は、ディテクタの分割された4つの部分から、それぞれ4つに分割された信号の1つとして出力され、2つの信号を組み合わせることによって、2種類の信号I1、I2を生成する。
このように、様々なディテクタの形式が考えられるが、ディテクタの形式は適宜選定されてもよく、分割方法も実施形態に示す形に限定されるものではない。
RF回路部20は、受光部16から出力される信号に対してフィルタリング等の処理を行う。上述した信号I1、I2は、RF回路部20に入力され、I1+I2(再生信号)なる演算を行った後、フィルタリング、イコライジング、PLL(フェーズロックドループ)等の処理を施される。PRML(Partial Response Maximum Likelihood)を使用する場合は、ここで、ビタビ復号等の処理も行われる。
復調器30は、RF回路部20で処理された再生信号を復調する。変調器72は、システムコントローラ40から出力される記録信号を変調する。
LD駆動系74は、システムコントローラ40からの指令を受けて、変調器72で変調された記録信号に基づいてレーザーダイオード(LD)12を駆動する。
サーボコントローラ76は、システムコントローラ40からのサーボ信号を受けて、受光部16、特に光ディスク78に対する対物レンズ14の焦点位置を制御する。
システムコントローラ40は、装置内の各部の制御を司るとともに装置全体を統括するものであって、その内部に、パルス幅依存性測定器42aと、ベースパルス幅選択器42bと、消去パワー切り替え器42cと、ベースパルス幅変更器42dと、ベースパルス幅調整制御部42eと、を含んで構成され、これらの各部が、本実施の形態における特徴的な要素をなすものである。これらの特徴的構成の詳細については、後述する。
以上のような構成からなる本実施の形態の図1のブロック図における動作は、以下のように行われる。この動作は、図1のブロック図の各構成要素が如何に作用するかを説明するためのものである。
本実施の形態では、システムコントローラ40は、システムコントローラ40内部で計算された再生信号変調度の差分に基づいて、変調度の差分を考慮して、ベース記録ストラテジのパルス幅の決定を行う際の制御機能を含む。
すなわち、システムコントローラ40は、特定のパルス列からなる記録ストラテジである記録信号を出力する。記録信号は変調器72にて変調される。システムコントローラ40からの指令を受けて、LD駆動系74は、変調器72にて変調された記録信号に基づいて、レーザダイオード(LD)12を駆動する。「記録モード」では、記録パワーの設定された記録ストラテジにて強度調整されたレーザダイオード12から出射されたレーザ光は、種々の光学系を介して光ディスク78の特定スポット上に照射され、記録ステラテジのパルス列に応じた記録マークを形成する。「再生モード」では、再生パワーに設定されたレーザダイオード12から出射されたレーザ光は、種々の光学系を介して光ディスク78の特定スポット上に照射され、前記記録マークを含む光ディスク78上で反射される。光ディスク78からの反射光(戻り光)は、光ヘッド部10内の種々の光学系を介して受光部16に受光され、再生信号としてRF回路部20に入力される。RF回路部20は、再生信号に対して種々の処理を施し、復調器30は、種々の処理の施された再生信号を復調してシステムコントローラ40に入力する。一方、受光部16からの再生信号は、後述するシステムコントローラ40内のパルス幅依存性測定器42aにて再生信号変調度差分を測定演算するために、種々の配線部を介してシステムコントローラ内40に直接入力される。
詳細は、後述の「システムコントローラの内部構成」の項目で詳述するが、このようにして、システムコントローラ40は、特定のパルス列よりなる記録ストラテジの記録信号を出力して、光ディスク78にテストパターンの記録マークを記録せしめ、記録マークからの再生信号に基づき、システムコントローラ40内のパルス幅依存性測定器42aにて再生信号変調度の測定を行うこととなる。
ただし、本実施の形態では、2つの異なる条件の消去パワー(第1の消去パワー、第2の消去パワー)の各々の条件の下、すなわち、第1の消去パワーでの記録信号で第1テストパターンの記録マークを形成し、その記録マークの第1再生信号の第1再生信号変調度と、第2の消去パワーでの記録信号で第2テストパターンの記録マークを形成し、その記録マークの第2再生信号の第2再生信号変調度と、を各々測定する必要がある。そして、システムコントローラ40内のパルス幅依存性測定器42aは、これらの第1、第2の各再生信号変調度に基づいて、再生信号変調度差分を算出する。このため、一つの再生信号変調度差分を測定・算出するためには、都合2回のテストパターンの記録マークの形成が不可欠となる。
このようにして、パルス幅依存性測定器42aが、再生信号変調度差分を算出することで、最適パルス幅の選択を行うことができる。
[1.2](RF回路部の構成)
ここで、本例で使用されるRF回路部20のブロック図の一例を図2に示す。図2には、前記情報記録再生装置1内のRF回路部20の具体的構成が示されている。
RF回路部20は、図2に示すように、プリフィルタ21と、オートゲインコントローラ(AGC)22と、A/Dコンバータ(ADC)23と、フェーズ・ロックド・ループ(PLL)24と、適応等化器25と、ビタビ復号器26と、PRSNR計算器27と、を含んで構成される。RF回路部20は、最尤検出器として構成されている。
プリフィルタ21は、受光部16から入力する信号に対してフィルタリングの処理を行う。
オートゲインコントローラ22は、プリフィルタ21で処理された信号に対してイコライジングの処理を行い、信号のゲインを制御する。
A/Dコンバータ23は、オートゲインコントローラ22で処理されたアナログの信号をデジタル信号にA/D変換する。
フェーズ・ロックド・ループ(PLL)24は、A/D変換された信号に対してPLL処理を行う。
ここで、HD DVDでは、更なる高密度化に対応した2値化方式としてPRML(Partial Response and Maximum Likelihood)を用いている。PRML(Partial Response Maximum Likelihood)を使用する場合には、ビタビ復号等の処理が行われる。ここで、PRMLとは、DVDなどの高密度の光ディスク78に記録された情報を再生する場合に用いられる再生信号処理方式であって、光ディスク78から読み出したデータ波形を1もしくは0と判断するときに、隣接するデータから干渉を受けることを考慮して信号の処理を行う方式を意味する。
PRML技術は、符号間の干渉を取り除くために高域の周波数を極端に強調するなどの無理な波形等化をすることなく、隣接のチャンネルクロック位置に信号エネルギーが拡散することを許容しつつ、この拡散した信号エネルギーすべてを有効に使って再生を行う。この技術は、符号間干渉が一定量存在することを前提とした再生技術であるパーシャルレスポンスと、再生信号中から最も確からしい信号系列を選択復号する最尤復号部と、の組み合わせによりなる。
「パーシャルレスポンス」とは、無歪条件を実現するための完全な周波数レスポンスに対して、符号間干渉が残る不完全な(部分的な)周波数レスポンスである。
本例では、適応等化器25、ビタビ復号器26、PRSNR計算器27により、前記PRMLを行うことができる。
適応等化器25は、フェーズ・ロックド・ループ24でPLL処理された信号を受けて、適応等化の処理を行う。適応等化器25では、クロック周期毎の等化再生波形データが得られる。等化は、ノイズ成分をできるだけ抑制しつつ、再生波形がPR波形に基づく目標波形にできるだけ近づくように等化される。
ビタビ復号器26は、適応等化器25からの信号を受けて、ビタビ復号の処理を行い、データ列信号をPRSNR計算器27に出力する。ビタビ復号器26は、等化後の再生信号から2値の識別信号へと復号する。各サンプル点における、実際の再生信号と想定されるすべてのパスとの誤差を累積加算し、累積加算値が最も小さいパスを選択する。PR特性の持つ既知の相関を利用し、複数点のサンプルから値を決定する。HD―DVDでは、記録再生系をPR(1、2、2、2、1)特性と仮定している。
PRSNR計算器27は、ビタビ復号器26でビタビ復号の処理がなされたデータ列信号を受けて、信号品質評価値であるPRSNR値を計算する。
ここで、PRSNR(Partial Response Signal to Noise Ratio)は、再生信号のS/N(信号対雑音比)、及び、実際の再生波形と理論的なPR波形線形性とを指し示す指標であって、光ディスク78のビット誤り率の推定を行うために用いられる。
PRSNR値は、信号品質と非常に強い相関があり、HD―DVDの信号品質評価指標として用いられる。信号品質評価手段としてのPRSNR計算器27は、データ列及びパーシャルレスポンス特性から求められる目標信号と、クロック周期毎の信号との差異である等化誤差をクロック周期毎に算出し、この等化誤差の自己相関に基づいて信号品質を評価する。
信号品質評価手段としてのPRSNR計算器27は、入力した等化再生波形を用いて信号品質評価値(PRSNR値)を算出して、再生波形の品質評価を行う。また、PRSNR値は、あるパス間の実効的なSNRであるためにエラー関数を介して、推定エラーレートを見積もることができる。ここで、PRSNR、エラーレートは、どの程度誤りがあるかを示すもので(間違ったビット数)/(数えたビットの総数)で算出することができる。
パルス幅などの記録再生条件を変化させながら、或いはパワー調整部により記録パワーなどの記録再生条件を変化させながら、各条件毎に信号品質評価値Sを算出し、信号品質評価値Sが最大となる条件、もしくは、信号品質評価値が一定の値となる記録再生条件を見つけることで、情報の記録再生を安定した条件で行う。
適応等化後の信号と、ビタビ復号後のデータ列信号は、PRSNR計算器27に入力され、(信号品質評価手段としての)PRSNR計算器27によってPRSNR値が計算される。PRSNR計算器27は、記録マークのパターン列(NRZI:Non Return to Zero Inversion)を再生した再生信号に基づいて算出される。
[1.3](システムコントローラの内部構成)
次に、情報記録再生装置1のシステムコントローラ40の内部構成について、図3を参照しつつ説明する。図3は、情報記録再生装置のシステムコントローラの内部構成の一例を示すブロック図である。
情報記録再生装置1のシステムコントローラ40は、図3に示すように、他の調整に先立って、記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整するベース記録ストラテジ調整手段の一例であるベース記録ストラテジ調整部42と、前記ベース記録ストラテジ調整部42による前記ベース記録ストラテジのパルス幅調整前に、前記レーザ光のパワーを調整するベースパワー調整手段の一例であるベースパワー調整部41と、前記ベース記録ストラテジ調整部42にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、パワーを調整するパワー調整手段の一例であるパワー調整部43と、前記ベース記録ストラテジ調整部42にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記パワー調整手段による調整後に、前記記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整する記録ストラテジ調整手段の一例である記録ストラテジ調整部44と、PRSNRなどの信号品質評価情報を取得して該信号品質評価情報に基づいて記録ストラテジの信号品質の評価判定などの制御を行う信号品質判定制御部45と、これらの各部の制御を司り、実行手順を制御するモジュール制御部としての主制御部48と、その他各種の必要な処理を行う機能や特定の情報を記憶するための記憶部やワークエリアとしての機能を含むその他の各部47と、を含んで構成される。
ベースパワー調整部41は、変調度に関するパワー依存性に基づいて、記録ストラテジを構成するパワー(例えば、記録パワー、消去パワー、バイアスパワー等)を調整する。
ベース記録ストラテジ調整部42は、消去パワー条件に依存せず概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅を算出するための調整を行い、前記最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジを決定する。
パワー調整部43は、ベース記録ストラテジ調整部42にて決定された最適ベースパルス幅よりなるベース記録ストラテジをもとに、信号品質判定制御部45からのPRSNR値などの信号品質評価値を指標としてパワー調整(例えば記録パワー微調整、消去パワー微調整など)を行い、最適パワー(例えば最適記録パワー、最適消去パワーなど)を決定する。パワー調整は、パワーを段階的に変化させてPRSNR値が大となるパワー(好ましくは所定のPRSNR値の閾値より大となるPRSNR値に対応するパワー、さらに好ましくは、PRSNR値が最大となるPRSNR値に対応するパワー)を算出することでパワーを決定し、そのパワーに変更する制御を行う。
記録ストラテジ調整部44は、ベース記録ストラテジ調整部42にて決定された最適ベースパルス幅よりなるベース記録ストラテジをもとに、信号品質判定制御部45からのPRSNR値などの信号品質評価値を指標として各パルスのパルス幅調整を行い、最適パルス幅を決定する。例えば、トップパルス及びクーリングパルスを同時に調整したり、各パルスを各々独立に調整したり、長さの異なる記録マーク毎に各パルスを各々独立に調整する機能などを有する(詳細は後述)。
上述のような構成よりなるシステムコントローラ40の概略構成において、概略以下のように動作する。すなわち、主制御部38は、ベースパワー調整部41を動作させ、ベース記録ストラテジに必要な記録パワーを、再生信号変調度に関する記録パワー依存性に基づいて決定させる。次に、主制御部38は、本発明の特徴的構成であるベース記録ストラテジ調整部42を動作させ、各消去パワー条件での各再生信号変調度の差分である再生信号変調度差分に関するパルス幅依存性に基づいて最適ベースパルス幅を決定させる(具体的な説明は後述する)。
以上によりベース記録ステラテジが決定される。ところで未知の記録媒体を利用する際に、局所最適に陥ると調整すら困難となり、再生信号の信号品質評価値すら利用することができない。このような点に鑑み、決定前の各処理においては、信号品質評価値を用いずに、記録パワー依存性やパルス幅依存性などの測定をもとに調整を行う。そして、如何なる未知の記録媒体であてっも、基準となるベース記録ステラテジが決定、生成されるので、調整初期段階にて局所最適に陥り調整困難となる事態を確実に防止できる。
続いて、上述のようなベース記録ステラテジを基準に、パワー調整、記録ステラテジ調整を行っていく。この段階では、信号品質評価値を利用することができるので、この信号品質評価値をもとに調整を行っていく。
具体的には、主制御部38は、パワー調整部43及び信号品質判定制御部45を動作させ、パワー調整部43に、記録パワーを段階的に変化させ、信号品質評価値の一例であるPRSNR値が大となる記録パワーを決定させる。また、主制御部38は、パワー調整部43及び信号品質判定制御部45を動作させ、パワー調整部43に、消去パワーを段階的に変化させ、信号品質評価値の一例であるPRSNR値が大となる消去パワーを決定させる。
次に、主制御部38は、記録ステラテジ調整部43及び信号品質判定制御部45を動作させ、記録ステラテジ調整部43に、各パルスのパルス幅を段階的に変化させ、信号品質評価値の一例であるPRSNR値が大となるパルス幅を決定させる(詳細や手法は後述)。
[1.3.1](本実施の形態の特徴的構成I:ベース記録ストラテジ調整部)
次に、本実施の形態の特徴的構成のベース記録ストラテジ調整部の詳細構成について、図4を参照しつつ説明する。図4は、情報記録再生装置のシステムコントローラの内部のベース記録ストラテジ調整部の詳細構成の一例を示すブロック図であり、システムコントローラ内部の消去パワー切り替え器、ベースパルス幅変更器、パルス幅依存性測定器、パルス幅選択器の関係性を表している。
る。
本発明の特徴的な要素は、システムコントローラ40内部のベース記録ストラテジ調整の機能を実現する消去パワー切り替え器、ベースパルス幅変更器、パルス幅依存性測定器、パルス幅選択器にある。
ベース記録ストラテジ調整部42の内部構成は、図4に示すように、パルス幅依存性測定器42aと、パルス幅選択器42bと、消去パワー切り替え器42cと、ベースパルス幅変更器42dと、これらの各部を制御するベースパルス幅調整制御部42eと、を含んで構成される。
消去パワー切り替え器42cは、第1の消去パワー(例えば殆ど消去パワーを与えない状態の消去パワー)と、第2の消去パワー(例えば概ね記録済みマークが消去される消去パワー)とを付与した2種類の条件を切り替える。
ベースパルス幅変更器42dは、記録ストラテジを構成する最初のパルスをトップパルス、それに連なるパルス群をミドルパルス、最後のパルスをラストパルスと逆極性のパルスをクーリングパルスとした時、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅を所定の範囲内で変化させる。
パルス幅依存性測定器42aは、2種類の条件下で記録されたパターン列を再生し、再生された記録マークの再生信号変調度の差におけるパルス幅依存性(例えば図13等)を測定する。
ベースパルス幅選択器42bは、パルス幅依存性測定器42aにて測定されたパルス幅依存性に基づいて、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの好ましいパルス幅を選択する。具体的には、ベースパルス幅選択器42bは、図13に示すように、再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲内のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択する。さらには、ベースパルス幅選択器42bは、前記再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲のうち、最小のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択する。
ベースパルス幅調整制御部42eは、これらの各処理の実行順序を制御するモジュール制御部としての機能と、ベース記録ストラテジ調整部42に必要な種々の処理を行うその他の処理部としての機能などを含んで構成される。特に、ベースパルス幅調整制御部42eは、ベースパルス幅選択器42bに基づいて、消去パワー切り替え器42cとベースパルス幅変更器42dを制御する。
ベースパルス幅調整制御部42eは、パルス幅依存性測定器42aよりパルス幅依存性を取得し、ベースパルス幅選択器42bに対して取得情報を供給してパルス幅を選択させ、選択されたパルス幅にてベースパルス幅変更器42dにて変更するよう制御する。
また、ベースパルス幅調整制御部42eは、ベースパルス幅変更器42dに対して、例えば、全てのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を同一値に設定し、記録ストラテジを構成するトップパルス及びミドルパルス並びにラストパルスの後縁を一律に変化させることで、複数のパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を変化させるよう制御する。
上述のような構成からなるシステムコントローラ40のベース記録ストラテジ調整部42の内部構成において、概略以下のように動作する。すなわち、消去パワー切り替え器42cは、LD駆動系74(LD Driver System)を制御し、設定された第1の消去パワーと、設定された第2の消去パワーとの消去パワーの切り替えを行う。また、ベースパルス幅変更器48は、LD駆動系74(LD Driver System)を制御し、記録ストラテジのパルス幅変更を行う。
記録された記録マークからの反射光(戻り光)は、受光部16にて検出され、受光部16にて光信号より電気信号に変換された再生信号は、パルス幅依存性測定器42aに入力される。パルス幅依存性測定器42aは、2つの条件下(例えば第1の消去パワーでの第1の再生信号変調度(例えば図12の消去パワー0mWの特性)と第2の消去パワーでの第2の再生信号変調度(例えば図12の消去パワー6mWの特性)との差である)再生信号の変調度差分におけるパルス幅依存性(例えば図13)を測定する。
測定された再生信号の変調度差分におけるパルス幅依存性に基づいて、ベースパルス幅選択器は、記録ストラテジの最適ベースパルス幅を選択判定し、その記録ストラテジの最適ベースパルス幅の情報をベースパルス幅調整制御部42eに送るようになっている。
ベースパルス幅調整制御部42eは、この最適ベースパルス幅に基づいて、ベース記録ストラテジに関する情報を蓄積し、後述の「パワ−調整部」、「記録ストラテジ調整部」に利用できるようにする。
これにより、最適ベースパルス幅の選択を精度良く行うことができる。
ここで、RF回路部20からのデータには、記録マークのパターン列(NRZI:Non Return to Zero Inversion)を再生した再生信号に基づいて算出されるPRSNRなどの信頼性評価情報を含む。
[1.3.2](ベース記録ストラテジ調整部内のパルス幅依存性測定器)
次に、パルス幅依存性測定器42aの詳細構成について、図5を参照しつつ説明する。図5は、再生信号変調度の差におけるパルス幅依存性測定器の詳細構成の一例を示すブロック図である。
パルス幅依存性測定器42aは、図5に示すように、ピークホールド回路51と、ボトムホールド回路52と、変調度演算回路53と、差分演算回路54と、パルス幅依存性測定回路55と、を含んで構成される。
ピークホールド回路51は、受光部16からの信号I(=I1+I2)の信号波形のピークレベル(最大値)を検出する。ボトムホールド回路52は、受光部16からの信号I(=I1+I2)の信号波形のボトムレベル(最小値)を検出する。
変調度演算回路53は、ピークレベルとボトムレベルとに基づいて、例えば図16に示すItop(第1の基準値)、Ibottom(第2の基準値)を算出する。さらに、変調度演算回路53は、Itopと、Ibottomとに基づいて、以下の(演算式A)により変調度(Modulation)を演算する。

Modulation=(Itop―Ibottom)/(Itop) (演算式A)
差分演算回路54は、2種類の条件下(第1の消去パワー、第2の消去パワー)のうち、一方の消去パワー(第1の消去パワー)にて(試し書きにより光ディスク78上に)記録されたパターン列からの再生モードにおける戻り光に基づく信号により前記(演算式A)にて得られた第1の再生信号変調度と、他方の消去パワー(第2の消去パワー)にて(試し書きにより光ディスク78上に)記録されたパターン列からの再生モードにおける戻り光に基づく信号により前記(演算式A)にて得られた第2の再生信号変調度と、の差分(再生信号変調度差分)を演算する。
パルス幅依存性測定回路55は、前記2種類の条件下で記録ストラテジのパルス幅を一律に変化させたときに、各パルス幅と、各パルス幅における各々の(前記差分演算回路44にて算出された)再生信号変調度差分との対応関係(変調度差分のパルス幅依存性)を測定する。
パルス幅依存性測定回路55は、前記対応関係を(不図示の)記憶部(システムコントローラ内のメモリなど)の特定の記憶領域に書き込んでテーブル形式(パルス幅―変調度差分相関テーブル)で記憶しておくことが好ましい。そして、この(パルス幅―変調度差分相関テーブル)は、後段のベースパルス幅選択器42bにて最適なパルス幅を種々演算ないしは判定処理に基づき選択される際に、参照され利用される。
以上のような構成からなる「パルス幅依存性測定器42a」は、概略以下のように動作する。すなわち、2種類の条件下(第1の消去パワー、第2の消去パワー)にて(試し書きにより光ディスク78上に)記録されたパターン列は、再生モードにおいて照射されるレーザー光により反射され、その戻り光は受光部16で検出される。
そして、図5に示すように、ピークホールド回路51にて受光部16からの信号のピークレベルが検出され、ボトムホールド回路52にて受光部16からの信号のボトムレベルが検出される。
前記ピークホールド回路51、ポトムホールド回路52にて各々検出されたピークレベルとボトムレベルは、変調度演算回路53にて、図16に示すItop、Ibottomが算出され、さらに、前記(演算式A)に基づいて、変調度(Modulation)が算出される。
続いて、差分演算回路54にて第1の消去パワーでの条件による再生信号の第1の再生信号変調度と、第2の消去パワーでの条件による再生信号の第2の再生信号変調度との差分(再生信号変調度差分)を計算する。
そして、ベースパルス幅変更器42dにて記録ストラテジを構成するトップパルス、ミドルパルス、ラストパルス、クーリングパルスのパルス幅を変更し記録を行う。パルス幅依存性測定回路55は、パルス幅を変更し記録を行う度に、再生信号変調度差分を計算し、該再生信号変調度差分におけるパルス幅依存性に関する測定を行い、該パルス幅依存性に関する情報を蓄積処理する。
このパルス幅依存性測定回路55にて測定されたパルス幅依存性に関する情報は、後段のベースパルス幅選択器42bにてパルス幅を選択する際に利用される。これにより、最適パルス幅の選択を行うことができる。
ここで、本発明者等は、記録パワーを特定の値とし一の消去パワー条件で記録した時、一の記録マークを再生することで得られる一の再生信号変調度と、パルス幅の変化と、の相関関係を示す一の消去パワー条件下の再生信号変調度―パルス幅依存性特性;さらには、記録パワーを特定の値とし他の消去パワー条件で記録した時、他の記録マークを再生することで得られる他の再生信号変調度と、パルス幅の変化と、の相関関係を示す他の消去パワー条件下での再生信号変調度―パルス幅依存性特性;などはそれぞれ、特定のパルス幅範囲で特定の再生信号変調度にて概ね一定となることを見い出した(例えば図12等)。
すなわち、各消去パワー条件に依存せず、概ね一定となる再生信号変調度が得られる特定のパルス幅範囲が存在することとなる。
具体的には、特定の一消去パワー条件下(例えば0mw)で、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を一律に増加させていくと、一特定範囲内のパルス幅にて再生信号変調度が(例えば0.5にて)ほぼ一定となることが分かる。同様に、他の消去パワー条件下(例えば3mw)で、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を一律に増加させていくと、他の特定範囲内のパルス幅にて再生信号変調度が(例えば0.5にて)ほぼ一定となることが分かる。同じく、さらに他の消去パワー条件下(例えば6mw)で、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を一律に増加させていくと、さらに他の特定範囲内のパルス幅にて再生信号変調度が(例えば0.5にて)ほぼ一定となることが分かる。
さらに、本発明者等は、各消去パワー条件での各再生信号変調度の差分と、パルス幅の変化と、の相関関係を示す各消去パワー条件下での再生信号変調度差分―パルス幅依存性特性;にて、再生信号変調度差分が概ね零となる特定のパルス幅範囲が存在することを確認した(例えば図13等)。
また、本発明者等は、記録ストラテジの記録調整の初期値のパルス幅(ベース記録ストラテジのパルス幅)を変化させ、記録パワー、消去パワー調整後のPRSNR値と前記パルス幅との関係を確認した。これによると、消去パワーに依存せず、概ね一定の再生信号変調度が得られるパルス幅をベース記録ストラテジとして調整を行うと、最終的に高いPRSNR値が得られることが判明した(例えば図14等)。
この際、最適ベースパルス幅として図13に示す特性において、再生信号変調度の差分が概ね一定(ほぼ0)になる範囲のうち、パルス幅が最小となる(再生信号変調度に関するパルス幅依存性が<依存しない非依存部分に>変わる特徴点となる)例えば0.3Tを「最適ベースパルス幅」とすると、図14に示すように、PRSNR値が最大となることが判明した。
図13及び図14をみると、再生信号変調度が概ね一定となる範囲(ほぼ0になる範囲)の中でも、パルス幅が0.6Tや0.5TではPRSNR値が低く、局所最適に陥る可能性があり、パルス幅が0.4TでもPRSNR値が20程度となっているが、パルス幅が0.25T、0、3T、0、35Tでは、PRSNR値はきわめて高く、特にパルス幅が0、3TではPRSNR値が最大となっている。このPRSNR値が最大となっているパルス幅は、図13の特性では、再生信号変調度の差分が概ね一定(ほぼ0)になる範囲のうちパルス幅が最小となる(再生信号変調度に関するパルス幅依存性が<依存しない非依存部分に>変わる特徴点となる)箇所である。
この結果、テストパターンの記録マークの大きさに比例する変調度の値が一定で変化しないということは、特定のパルス幅範囲では、如何なる消去パワーを用いても、記録マークの大きさが一定(記録マークの大きさに影響を与えない)ことを意味する。
すなわち、記録マークの大きさに比例する変調度が、消去パワーに依存しないということは、前記最適べースパルス幅の範囲で記録マーク形成条件と消去条件とを独立に調整可能であり、局所最適に落ち込みにくいことを意味する。そのため、消去パワーに依存しない概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅範囲内にて、最適ベースパルス幅を初期設定すると、局所最適を防止できる最適条件が得られる。
このように、未知の記録媒体であっても局所最適に陥り再生不能となる事態(通常の記録ストラテジ調整すら困難となる事態)を回避でき、以降の記録ストラテジ調整を良好に行うことを可能とする。
[1.3.3](本発明の特徴的構成II:ベースパワー調整部)
次に、ベースパワー調整部41の詳細について、図6を参照しつつ説明する。図6は、図3に示すシステムコントローラの内部の各部の詳細構成の一例を示すブロック図である。
ベースパワー調整部41は、図6に示すように、記録パワーを段階的に変化させた場合に、各段階毎に受光部16からの再生信号の変調度を測定取得し、各段階毎の記録パワーと変調度との相関関係(変調度に関する記録パワー依存性)を定義した相関テーブル(記録パワー依存性テーブル)を構築可能なパワー依存性測定器41aと、初期段階における記録パワーを、パワー依存性測定器41aにて測定された記録パワー依存性に基づいて算出される最適ベース記録パワーなどに変更制御するベースパワー調整用のパワー変更器41bと、パワー依存性測定器41aにてパワー依存性を測定するために、ベース記録ストラテジの各パルス幅を等しく変更するパワー依存性測定用パルス幅変更器41dと、これらの制御を司るベースパワー調整制御部41cと、を含んで構成される。
ベースパワー調整制御部41cは、図7に示すように、パワー依存性測定器41aにて測定された記録パワー依存性に基づいて最適ベース記録パワーを算出し、パワー変更器41bに対して、ベース記録ストラテジ調整前であって、初期段階における記録パワーを最適ベース記録パワーに変更するように制御処理を行う記録パワー調整処理部41c―1と、前記パルス幅依存性の測定などとは異なるステップであって記録パワー依存性測定時における消去パワーの設定処理(例えば記録パワー調整の際に消去パワーを固定とする処理など)の調整を行う消去パワー調整処理部41c−2と、記録パワー依存性測定時に、記録ストラテジのトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスを、再結晶化を防ぐ低めの値にて、全て同一パルス幅とするよう調整制御する記録パワー依存性測定用パルス幅調整処理部41c−3と、を含んで構成される。
上述のような構成を有するベースパワー調整部41において、概略次のように動作する。すなわち、べ−スパワー調整制御部41cは、図6に示すように、パワー依存性測定用パルス幅変更器41dに対して制御指示を行い、これに基づき、パワー依存性測定用パルス幅変更器41dは、記録ストラテジのトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスを、再結晶化を防ぐ低めの値にて、全て同一パルス幅とする。さらに、べ−スパワー調整制御部41cは、パワー変更器41bに対して制御指示を行い、これに基づき、パワー変更器41bは、消去パワーを零に設定する。その上で、ベースパワー調整制御部41cは、パワー変更器41bに対しては、記録パワーを変化させながら記録を行う制御をし、パワー依存性測定器41aに対しては、記録された記録マークの再生信号変調度の記録パワー依存性を測定するよう制御を行い、ベース記録ストラテジの最適ベースパルス幅を決定する前処理段階にて、記録パワーを決定するための記録パワー依存性の測定制御を行う。
これにより、ベースパワー調整制御部41cは、記録パワーを調整し、再生信号変調度の記録パワー依存性における飽和値の例えば半分程度の再生信号変調度が得られる記録パワーに設定する。
より詳細には、先ず、図7に示すべースパワー調整制御部41cの消去パワー調整処理部41c−2は、図6に示すパワー変更器41b内の消去パワー設定器に対して設定制御を行い、消去パワーを零に設定する処理を行う。
次に、図7に示すべースパワー調整制御部41cの記録パワー依存性測定用パルス幅調整処理部41c−3は、図6に示すパワー依存性測定用パルス幅変更器41dに対して、パワー依存性測定器41aにてパワー依存性を測定するために、ベース記録ストラテジの各パルス幅を等しく変更する制御処理を行う。具体的には、記録パワー依存性測定用パルス幅調整処理部41c−3は、記録ストラテジのトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスを、再結晶化を防ぐ低めの値にて、全て同一パルス幅とするようパワー依存性測定用パルス幅変更器41dに対して対して制御指示を行う。
その上で、図7に示すべースパワー調整制御部41cの記録パワー調整処理部41c−1は、図6に示すパワー変更器41b内の記録パワー設定器に対しては、記録パワーを段階的に変化させながら記録を行う制御を行いつつ、図6に示すパワー依存性測定器41aに対しては、記録された記録マークの再生信号変調度に関する記憶パワー依存性の測定を行う制御を行う。
これにより、記録パワー調整処理部41c−1は、記録パワーを変化させながら記録を行い、記録された記録マークの再生信号変調度の記録パワー依存性に関する測定を行う際のベース記録パワーの調整制御を行う。
記録パワー調整処理部41c−1によるベース記録ストラテジを決定する前処理としての記録パワーの設定調整処理は、ベース記録ストラテジの調整のために適度な再生信号の変調度が得られていれば良いため、再生信号の変調度の記録パワー依存性における飽和値の例えば半分程度の再生信号変調度が得られる記録パワーに設定することが好ましい。
ここで、再生信号の変調度の記録パワー依存性は、例えば、図15に示すようになる。図15は、記録ストラテジのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)Tと記録パワー(Write Power)[mW]との関係を示す特性図を示す。図15では、前記記録ストラテジの記録パワーを、前記再生信号変調度の記録パワー依存性における飽和値(変調度約1.1程度)の概ね半分程度の再生信号の変調度(約0.7程度)が得られる記録パワー(約9mW)に調整制御している。本例では、記録パワーを約9mWとしているが、これに限らず、記録パワーは、前記再生信号変調度の記録パワー依存性における飽和値の概ね半分程度の再生信号の変調度が得られる記録パワーでよい。
また、図15では、ストラテジ=0.2Tに設定してあるが、これに限るものではない。他のストラテジ、例えばストラテジ=0.1T等に設定してもよい。このストラテジは、再結晶化を防止できる調整基準パルス幅であればよい。
これによって、ベース記録ストラテジ調整に必要な記録パワーの調整処理を行うことができる。
[1.3.4](パワー調整部)
次に、パワー調整部43の機能の詳細について、図8を参照しつつ説明する。図8は、図3に示すシステムコントローラ40の内部のパワー調整部43の詳細構成の一例を示すブロック図である。
パワー調整部43は、図8に示すように、ベース記録ストラテジ調整後であって、PRSNRなどの信号品質評価情報に基づいて記録パワーを最適記録パワーに微調整するようにパワー微調整用の記録パワー変更器(不図示)などに対して制御処理を行う記録パワー微調整処理部43aと、ベース記録ストラテジ調整後であって、PRSNRなどの信号品質評価情報に基づいて消去パワーを最適消去パワーに微調整するようにパワー微調整用の消去パワー変更器(不図示)などに対して制御処理を行う消去パワー微調整処理部43bと、を含んで構成される。
記録パワー微調整処理部43aは、ベース記録ストラテジ調整にてパルス幅依存性に基づく最適ベースパルス幅が確定し設定されたパルス幅、トップパルス,ミドルパルス,ラストパルスのパルス幅において、記録パワー(Write Power)とPRSNR値との関係に基づいて、PRSNR値が最も高くなる記録パワー(最適記録パワー)を決定し、記録パワーを微調整するよう制御する。
消去パワー微調整処理部43bは、ベース記録ストラテジ調整にてパルス幅依存性に基づく最適ベースパルス幅が確定し設定されたパルス幅、トップパルス,ミドルパルス,ラストパルスのパルス幅において、記録パワー微調整処理部43aの微調整処理に引き続いて、消去パワー(Erase Power)とPRSNR値との関係に基づいて、PRSNR値が最も高くなる消去パワー(最適消去パワー)を決定し、消去パワーを微調整するように制御する。
上述のような構成を有するパワー調整部43において、ベース記録ストラテジのパルス幅の調整後には、記録パワー微調整処理部43a、消去パワー微調整処理部43bにより、記録パワー、消去パワーを各々微調整し、最適記録パワー、最適消去パワーの決定を行うこととなる。
[1.3.5](記録ストラテジ調整部)
次に、記録ストラテジ調整部44の機能の詳細について、図9を参照しつつ説明する。本実施の形態においては、記録ストラテジ調整部44は、種々の機能を有するため、以下この点について詳述する。図9は、システムコントローラ40の内部の記録ストラテジ調整部44の詳細構成の一例を示すブロック図である。
記録ストラテジ調整部44は、図9に示すように、トップパルスのパルス幅及びクーリングパルスのパルス幅を相互に一定の対応関係を持たせて所定の範囲内で、段階的に変化させて記録し、記録マークのPRSNRからトップパルスのパルス幅とクーリングパルスのパルス幅を同時に決定する処理の制御を行うトップパルス・クーリングパルス同時調整処理部44aと、トップパルス・クーリングパルス同時調整処理部44aにて調整された後、記録ストラテジに関し性能が確保されているか否かを判定する第1の性能確保判定部44jと、トップパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なトップパルスのパルス幅に決定する処理の制御を行う第1のトップパルス独立調整処理部44bと、ミドルパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なミドルパルスのパルス幅に決定する処理の制御を行う第1のミドルパルス独立幅調整処理部44cと、ラストパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なラストパルスのパルス幅に決定する処理の制御を行う第1のラストパルス独立調整処理部44dと、クーリングパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なラストパルスのパルス幅に決定する処理の制御を行う第1のクーリングパルス独立調整処理部44eと、を含んで構成される。
また、記録ストラテジ調整部44は、図9に示すように、第1のトップパルス独立調整処理部44b・第1のミドルパルス独立幅調整処理部44c・第1のラストパルス独立調整処理部44d・第1のクーリングパルス独立調整処理部44eにて調整にて調整された後、記録ストラテジに関し性能が確保されているか否かをさらに判定する第2の性能確保判定部44kと、第2の性能確保判定部44kにて性能が確保されていないものと判定された場合に、記録パターン毎に、トップパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なトップパルスのパルス幅に決定する処理の制御を行う第2のトップパルス独立調整処理部44fと、記録パターン毎に、ミドルパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なミドルパルスのパルス幅に決定する処理の制御を行う第2のミドルパルス独立調整処理部44gと、記録パターン毎に、ラストパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なラストパルスのパルス幅に決定する処理の制御を行う第2のラストパルス独立調整処理部44hと、記録パターン毎に、クーリングパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なクーリングパルスのパルス幅に決定する処理の制御を行う第2のクーリングパルス独立調整処理部44iと、これら各部の各処理の実行順序を制御するモジュール制御部としての機能を有するとともにその他調整処理に必要な各種処理を行うその他の調整処理部44mと、を含んで構成される。
その他の調整処理部44mは、例えば、第1の性能確保判定部44jにて性能が確保されているものと判定された場合に、処理を終了し、第1の性能確保判定部44jにて性能が確保されていないものと判定された場合には、第1のトップパルス独立調整処理部44b、第1のミドルパルス独立幅調整処理部44c、第1のラストパルス独立調整処理部44d、第1のクーリングパルス独立調整処理部44eに対して独立調整処理を行うように制御する第1のパルス独立調整制御処理機能部と、第2の性能確保判定部44kにて性能が確保されているものと判定された場合には、処理を終了し、性能が確保されていないものと判定された場合には、第2のトップパルス独立調整処理部44f、第2のミドルパルス独立幅調整処理部44g、第2のラストパルス独立調整処理部44h、第2のクーリングパルス独立調整処理部44iに対して独立調整処理を行うように制御する第2のパルス独立調整制御処理機能部と、これらの各処理の実行順序を制御するモジュール制御部としての機能と、含んで構成される。
トップパルス・クーリングパルス同時調整処理部44aは、前記ベース記録ストラテジ調整後に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅を相互に一定の対応関係を持たせて特定範囲内で段階的に変化させるように制御し、前記パターン列を構成する記録マークの信号品質評価値の一例であるPRSNR値に基づいて、前記トップパルスのパルス幅と前記クーリングパルスのパルス幅とを同時に調整する制御を行う。
記録マークの始端部に関連するトップパルスと、記録マークの終端部に関連するクーリングパルスと相互に関連をもたせて調整する。記録マークの長さに関係する記録パルス幅パラメータ(トップパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅)を、他の記録パルス幅パラメータ(ミドルパルスのパルス幅、ラストパルスのパルス幅)より先に調整し、決定することによって、記録マークの長さが変化することを防止できる。
すなわち、トップパルスのパルス幅が長すぎたり、短すぎたりした場合には、記録マークの始端部の開始位置がずれることになり、クーリングパルスのパルス幅が長すぎたり、短すぎたりした場合には、記録マークの終端部の後エッジ位置がずれることになり、始端部における誤差と終端部における誤差との各々の誤差を含む累積誤差によって、記録マークの長さが変化する。
これに対して、トップパルス・クーリングパルス同時調整処理ステップでは、相互に一定の関係を持たせているため、累積誤差による影響を回避でき、精度良く記録マークの形成ができる。
第1の性能確保判定部44jは、前記ベース記録ストラテジ調整後であって、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅とクーリングパルスのパルス幅とを同時に調整した後に、前記記録ストラテジの性能が確保されているか否か判定する処理を行う。
第1のトップパルス独立調整処理部44bは、前記第1の性能確保判定部44jにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅を、他のパルスのパルス幅と独立に、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に調整する制御を行う。
第1のミドルパルス独立調整処理部44cは、前記第1の性能確保判定部44jにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記記録ストラテジを構成するミドルパルスのパルス幅を、他のパルスのパルス幅と独立に、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に調整する制御を行う。
第1のラストパルス独立調整処理部44dは、前記第1の性能確保判定部段44jにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記記録ストラテジを構成するラストパルスのパルス幅を、他のパルスのパルス幅と独立に、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に調整する制御を行う。
第1のクーリングパルス独立調整処理部44eは、前記第1の性能確保判定部44jにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記記録ストラテジを構成するクーリングパルスのパルス幅を、他のパルスのパルス幅と独立に、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に調整する制御を行う。
第2の性能確保判定部44kは、前記ベース記録ストラテジ調整後であって、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅、ミドルパルスのパルス幅、ラストパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅を、各々独立に信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に調整した後に、前記記録ストラテジの性能が確保されているか否か判定する処理を行う。
第2のトップパルス独立調整処理部44fは、前記第2の性能確保判定部44kにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅を、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に独立して調整する制御を行う。
第2のミドルパルス独立調整処理部44gは、前記第2の性能確保判定部44kにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するミドルパルスのパルス幅を、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に独立して調整する制御を行う。
第2のラストパルス独立調整処理部44hは、前記第2の性能確保判定部44kにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するラストパルスのパルス幅を、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に独立して調整する制御を行う。
第2のクーリングパルス独立調整処理部44iは、前記第2の性能確保判定部44kにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するクーリングパルスのパルス幅を、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に独立して調整する制御を行う。
上記の「記録パターン毎」とは、例えばETM変調では、RLL(1、10)<RLL:Run Length Limited encoding、(d、k)拘束、d:最小、k:最大>で記録マークの種類が2T〜11Tの10種類に、シンクコード中にあらわれる14Tを加えた11種類の記録マークのパターンを有し、これらのパターン毎にそれぞれ異なる調整を独立して行うことをいう。
上述のような構成を有する記録ストラテジ調整部44において、概略次のように動作する。すなわち、図9に示すように、記録ストラテジ調整部44のトップパルス・クーリングパルス同時調整処理部44aは、トップパルスのパルス幅及びクーリングパルスのパルス幅を相互に一定の対応関係を持たせて所定の範囲内で、段階的に変化させて記録し、記録マークのPRSNRからトップパルスのパルス幅とクーリングパルスのパルス幅を同時に決定する。
さらに、記録ストラテジ調整部44のその他の調整処理部44mは、第1の性能確保判定部44jがトップパルス・クーリングパルス同時調整処理部44aでの調整後、記録ストラテジに関し性能が確保されていないと判定した場合に、第1のトップパルス独立調整処理部44b、第1のミドルパルス独立幅調整処理部44c、第1のラストパルス独立調整処理部44d、第1のクーリングパルス独立調整処理部44eに対して独立調整処理を行うように制御する。
さらに、記録ストラテジ調整部44のその他の調整処理部44mは、第2の性能確保判定部44kが前記第1の独立調整処理後に記録ストラテジに関し性能が確保されていないものと判定された場合には、記録パターン毎に、第2のトップパルス独立調整処理部44f、第2のミドルパルス独立幅調整処理部44g、第2のラストパルス独立調整処理部44h、第2のクーリングパルス独立調整処理部44iに対して独立調整処理を行うように制御する。
このようにして、前記トップパルス・クーリングパルス同時調整処理部44aによる調整を行った後に、第1の性能確保判定部44jにて性能が確保されていないと判定された場合には、トップパルスのパルス幅を、他のパルスのパルス幅と独立して調整を行うことができる。前記トップパルス・クーリングパルス同時調整処理部44aでは、累積誤差を回避して記録ストラテジの全長と記録マークの全長と長さとしては同じにできるが、開始位置のずれなどによって、記録マークの始端部又は終端部における誤差が依然として残る場合が想定される。そこで、第1のトップパルス独立調整処理部44bにより独立してその開始位置のずれなどを調整することができる。
さらには、トップパルスだけではなく、第1のミドルパルス独立幅調整処理部44c、第1のラストパルス独立調整処理部44d、第1のクーリングパルス独立調整処理部44eにより他のパルスも同様に独立して調整可能である。
また、各パルスを独立に調整した後であっても、例えば(k−1)型のパルス列(例えば図11など)のように、記録マーク毎に各々異なる長さの記録マークが連続する場合などには、隣り合う一方の記録マークでの調整は良好だとしても、スペース間の誤差などによって、隣り合う他方の記録マークではづれが生じる可能性が想定される。さらに、記録マーク、スペースが複数交互に連続して形成される状況にあっては、最初の記録マークは良好だとしても、後続の記録マークでは、後になる記録マークほど各スペース間の誤差(又は各記録マークの誤差)などの累積誤差が大きくなる可能性が想定され得る。
これに対して、第2のトップパルス独立調整処理部44fでは、第2の性能確保判定部44kにて性能が確保できていないと判定された場合に、一の記録マークに対応するトップパルス、他の記録マークに対応するトップパルス、さらに他の記録マークに対応するトップパルス、・・のうち任意の性能が確保されていないと判定された記録マークに対応する記録ストラテジのトップパルスを、他の記録マークの例えばトップパルスなどとは独立して調整することができる。このため、例えば(k−1)型のパルス列(例えば図11など)のように、記録マークが連続するケースでも好適に調整できる。
さらには、トップパルスだけではなく、第2のミドルパルス独立幅調整処理部44g、第2のラストパルス独立調整処理部44h、第2のクーリングパルス独立調整処理部44iにより他のパルスも同様に独立して調整可能である。
すなわち、第2のミドルパルス独立調整処理部44gでは、第2の性能確保判定部44kにて性能が確保できていないと判定された場合に、一の記録マークに対応するミドルパルス、他の記録マークに対応するミドルパルス、さらに他の記録マークに対応するミドルパルス、・・のうち任意の性能が確保されていないと判定された記録マークに対応する記録ストラテジのミドルパルスを、他の記録マークの例えばミドルパルスなどとは独立して調整することができる。
また、第2のラストパルス独立調整処理部44hでは、第2の性能確保判定部44kにて性能が確保できていないと判定された場合に、一の記録マークに対応するラストパルス、他の記録マークに対応するラストパルス、さらに他の記録マークに対応するラストパルス、・・のうち任意の性能が確保されていないと判定された記録マークに対応する記録ストラテジのラストパルスを、他の記録マークの例えばラストパルスなどとは独立して調整することができる。
第2のクーリングパルス独立調整処理部44iでは、第2の性能確保判定部44kにて性能が確保できていないと判定された場合に、一の記録マークに対応するクーリングパルス、他の記録マークに対応するクーリングパルス、さらに他の記録マークに対応するクーリングパルス、・・のうち任意の性能が確保されていないと判定された記録マークに対応する記録ストラテジのクーリングパルスを、他の記録マークの例えばクーリングパルスなどとは独立して調整することができる。
このため、例えば(k−1)型のパルス列(例えば図11など)のように、記録マークが連続するケースでも好適に調整できる。
ここで、図3及び図4に示すブロック図における一部の各ブロック(例えば符号41、42、42a、42b、42c、42d、42e、43、44、45、47、48等)、図6に示すブロック図における一部の各ブロック(例えば符号41a、41b、41c、41d等)、図7に示すブロック(例えば符号41c−1、41c−2、41c−3など)、図8に示すブロック(例えば符号43a、43bなど)、図9に示すブロック(例えば符号44a、44b、44c、44d、44e、44f、44g、44h、44i、44j、44k、44mなど)、図2に示すブロック図における一部のブロック(例えば符号53、54、55など)は、コンピュータが適宜なメモリに格納された各種プログラムを実行することにより、該プログラムにより機能化された状態を示すソフトウエアモジュール構成であってもよい。すなわち、物理的構成を例えば一又は複数のCPU(或いは一又は複数のCPUと一又は複数のメモリ)等とした場合に、各部(回路・手段)によるソフトウエア構成は、プログラムの制御によってCPUが発揮する複数の機能を、それぞれ複数の部(手段)による構成要素として表現したものであるということもできる。CPUがプログラムによって実行されている動的状態(プログラムを構成する各手順を実行している状態)を機能表現した場合、CPU内に各部(手段)が構成されることになる。プログラムが実行されていない静的状態にあっては、各手段の構成を実現するプログラム全体(或いは各手段の構成に含まれるプログラム各部)は、メモリなどの記憶領域に記憶されている。以上に示した各部(手段)の説明は、プログラムにより機能化されたコンピュータをプログラムの機能と共に説明したものと解釈することも出来るし、また、固有のハードウエアにより恒久的に機能化された複数の電子回路ブロックからなる装置を説明したものとも解釈することが出来ることは、当然である。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現でき、いずれかに限定されるものではない。
ここで、本実施の形態に記載の構成要件は、次の述べる各手段の一例ということもできる。前記パルス幅依存性測定器42aは、「パルス幅依存性測定制御手段」ということもできる。また、前記ベースパルス幅選択器42bは、「ベースパルス幅選択制御手段」とこともできる。さらに、前記消去パワー切り替え器42cは、「消去パワー条件切替制御手段」ということもできる。さらにまた、前記ベースパルス幅変更器42dは、「ベースパルス幅変更制御手段」ということもできる。またさらに、前記ベースパルス幅調整制御部42eは、「ベースパルス幅調整制御手段」ということもできる。
また、前記ベース記録ストラテジ調整部41は、「ベース記録ストラテジ調整手段」ということもできる。さらに、前記パワー調整部43は、「パワー調整手段」ということもできる。またさらに、前記記録ストラテジ調整部44は、「記録ストラテジ調整手段」ということもできる。さらにまた、前記ベースパワー調整部41は、「ベースパワー調整手段」ということもできる。
さらに、前記トップパルス・クーリングパルス同時調整処理部44eは、「トップパルス・クーリングパルス同時調整処理手段」ということもできる。また、前記第1の性能確保判定部45aは、「第1の性能確保判定処理手段」ということもできる。またさらに、前記第2の性能確保判定部45aは、「第2の性能確保判定処理手段」ということもできる。
さらにまた、前記第1のトップパルス独立調整処理部44bは、「第1のトップパルス独立調整処理手段」ということもできる。また、前記第1のトップパルス独立調整処理部44bは、「第1のトップパルス独立調整処理手段」ということもできる。さらに、第1のミドルパルス独立調整処理部44cは、「第1のミドルパルス独立調整処理手段」ということもできる。またさらに、前記第1のラストパルス独立調整処理部44dは、「第1のラストパルス独立調整処理手段」ということもできる。また、前記第1のクーリングパルス独立調整処理部44eは、「第1のクーリングパルス独立調整処理手段」ということもできる。
加えて、前記第2のトップパルス独立調整処理部44fは、「第2のトップパルス独立調整処理手段」ということもできる。また、前記第2のミドルパルス独立調整処理部44gは、「第2のミドルパルス独立調整処理手段」ということもできる。さらに、第2のラストパルス独立調整処理部44hは、「第2のラストパルス独立調整処理手段」ということもできる。またさらに、第2のクーリングパルス独立調整処理部44iは、「第2のクーリングパルス独立調整処理手段」ということもできる。
また、前記第1のトップパルス独立調整処理部44bと、前記第1のミドルパルス独立調整処理部44cと、前記第1のラストパルス独立調整処理部44dと、前記第1のクーリングパルス独立調整処理部44eと、前記その他の調整処理部44mの前記第1のパルス独立調整制御処理機能部とにより、「第1の独立調整処理手段」ということもできる。さらに、前記第2のトップパルス独立調整処理部44fと、前記第2のミドルパルス独立調整処理部44gと、前記第2のラストパルス独立調整処理部44hと、前記第2のクーリングパルス独立調整処理部44iと、前記その他の調整処理部44mの前記第2のパルス独立調整制御処理機能部とにより、「第2の独立調整処理手段」ということもできる。
ここで、「ベース記録ストラテジ調整手段」は、他の調整に先立って、記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整する。「パワー調整手段」は、前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、パワーを調整する。「記録ストラテジ調整手段」は、前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記パワー調整手段による調整後に、前記記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整する。そして、「ベース記録ストラテジ調整手段」は、消去パワー条件に依存せず概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅を算出するための調整を行い、前記最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジを決定する。
一方、相変化記録媒体上にパルストレイン型の記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射することで記録マークとスペースによるパターン列を光照射によって記録を行う記録装置では、「消去パワー条件切替制御手段」は、前記記録マークを消去する消去パワーを与えない状態と、前記記録マークが消去される消去パワーを付与した状態との少なくとも2種類の各消去パワー条件を切替制御することができる。また、「ベースパルス幅変更制御手段」は、他の調整に先立って前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する最初のパルスをトップパルス、それに連なるパルス群をミドルパルス、最後のパルスをラストパルスと逆極性のパルスをクーリングパルスとした時、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅を変化させることができる。
さらに、「パルス幅依存性測定制御手段」は、前記2種類の各消去パワー条件下にて記録された各パターン列を各々再生し、再生された各記録マークの各々の再生信号変調度の差におけるパルス幅依存性を測定することができる。またさらに、「ベースパルス幅選択制御手段」は、前記パルス幅依存性測定制御手段にて測定されたパルス幅依存性に基づいて、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの好ましいパルス幅を選択することができる。
他方、「ベース記録ストラテジ調整手段」は、「消去パワー条件切替制御手段」、「ベースパルス幅変更制御手段」、「パルス幅依存性測定制御手段」、「ベースパルス幅選択制御手段」、「ベースパルス幅調整制御手段」を含む(例えば図4)構成とすることもできる。その場合、「消去パワー条件切替制御手段」は、互いに異なる少なくとも2つの各消去パワー条件を切替制御する。「パルス幅変更制御手段」は、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を変更する制御を行う。「パルス幅依存性測定制御手段」は、各前記消去パワー条件毎に記録された各テストパターンを各々再生させて、各再生信号変調度の差分に関するパルス幅依存性を測定する制御を行う。「ベースパルス幅選択制御手段」は、前記パルス幅依存性測定制御手段での前記パルス幅依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスの最適ベースパルス幅を選択制御する。
そして、「ベースパルス幅調整制御手段」は、前記各手段を制御し、前記消去パワー条件切替制御手段及び前記ベースパルス幅変更制御手段に、特定ベースパルス幅にて各前記消去パワー条件毎にテストパターンを各々記録させ、前記パルス幅依存性測定制御手段に、該各々のテストパターンからの再生信号変調度を各々測定させ、各前記再生信号変調度の差分を算出させ、前記ベースパルス幅変更制御手段及び前記パルス幅依存性測定制御手段に、前記各パルスのパルス幅を変化させつつ、記録、測定を繰り返し、前記再生信号変調度の差分に関するパルス幅依存性を算出させ、前記ベースパルス幅選択制御手段に、前記パルス幅依存性に基づいて前記記録ストラテジを構成する各パルスの最適ベースパルス幅を選択させる。
ここで、「パルス幅依存性測定制御手段」において、一方の前記消去パワー条件は、殆ど消去パワーを与えない状態の消去パワーを含むことが好ましい。また、他方の前記消去パワー条件は、概ね記録済みマークが消去される消去パワーを含むことが好ましい。その際に、「パルス幅依存性測定制御手段」は、前記消去パワー条件切替制御手段の切替制御による消去パワー条件と、前記ベースパルス幅変更制御手段のパルス幅条件とに基づいて、殆ど消去パワーを与えない状態の消去パワーにて記録されたテストパターンの再生信号に基づいて測定される一方の再生信号変調度と、概ね記録済みマークが消去される消去パワーにて記録されたテストパターンの再生信号に基づいて測定される他方の再生信号変調度と、の差分である再生信号変調度差分を、各パルス幅の変化に応じて測定することにより前記再生信号変調度差分のパルス幅依存性を測定制御することとなる。
また、「ベースパルス幅選択制御手段」は、前記再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲内のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択することが好ましい。さらに、「ベースパルス幅選択制御手段」は、前記再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲のうち、最小のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択することが好ましい。またさらに、「ベースパルス幅変更制御手段」は、前記ベース記録ストラテジを構成するトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの全てのパルスのパルス幅を等しくし、前記トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの前縁又は後縁のいずれか一方を一律に変化させることが好ましい。
「ベースパワー調整手段」は、前記ベース記録ストラテジ調整手段による前記ベース記録ストラテジのパルス幅調整前に、前記レーザ光のパワーを調整する。また、「ベースパワー調整手段」は、「記録パワー依存性測定制御手段」、「ベースパワー調整制御手段」を含む。「記録パワー依存性測定制御手段」は、前記ベース記録ストラテジの記録パワーを変化させて記録を行い、記録された記録マークの再生信号変調度の記録パワー依存性を測定制御する。「ベースパワー調整制御手段」は、前記記録パワー依存性測定制御手段での記録パワー依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジに関するパワーを調整する。
ここにおいて、「記録パワー依存性測定制御手段」は、調整前の前記ベース記録ストラテジを構成するトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスを全て同一のパルス幅で、かつ、消去パワーを零とする条件下で、記録パワーを変化させて再生信号変調度の記録パワー依存性を測定する。また、「ベースパワー調整制御手段」は、前記消去パワーを零に設定し、前記記録パワー依存性に基づいて前記ベース記録ストラテジの記録パワーを調整制御することが好ましい。さらに、「ベースパワー調整制御手段」は、前記記録ストラテジの記録パワーを、前記再生信号変調度の記録パワー依存性における飽和値の概ね半分程度の再生信号の変調度が得られる記録パワーに調整制御することが好ましい。
また、「パワー調整手段」は、前記ベース記録ストラテジ調整後に、前記記録パワーを信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に微調整処理を行うことが好ましい。「パワー調整手段」は、前記ベース記録ストラテジ調整後に、前記消去パワーを信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に微調整処理を行うことが好ましい。
加えて、「記録ストラテジ調整手段」は、「トップパルス・クーリングパルス同時調整処理手段」を含む構成とすることができる。この「トップパルス・クーリングパルス同時調整処理手段」は、前記ベース記録ストラテジ調整後に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅を相互に一定の対応関係を持たせて特定範囲内で段階的に変化させるように制御し、前記パターン列を構成する記録マークのPRSNR値に基づいて、前記トップパルスのパルス幅と前記クーリングパルスのパルス幅とを同時に調整する制御を行うことができる。
また、「記録ストラテジ調整手段」は、「第1の性能確保判定処理手段」と、「第1の独立調整処理手段」とを含む構成とすることができる。この「第1の性能確保判定処理手段」は、前記ベース記録ストラテジ調整後であって、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅とクーリングパルスのパルス幅とを同時に調整した後に、前記記録ストラテジの性能が確保されているか否か判定する処理を行うことができる。さらに、「第1の独立調整処理手段」は、前記第1の性能確保判定処理手段にて性能が確保されていないと判定された場合に、前記記録ストラテジを構成するパルスのパルス幅を各々独立に、PRSNR値を指標に調整する制御を行うことができる。また、「第1の独立調整処理手段」は、第1の性能確保判定部44jにて性能が確保されているものと判定された場合に、処理を終了し、第1の性能確保判定部44jにて性能が確保されていないものと判定された場合には、第1のトップパルス独立調整処理部44b、第1のミドルパルス独立幅調整処理部44c、第1のラストパルス独立調整処理部44d、第1のクーリングパルス独立調整処理部44eに対して独立調整処理を行うように制御する第1のパルス独立調整制御処理機能部を包含している。
また、「記録ストラテジ調整手段」は、「第2の性能確保判定処理手段」と、「第2の独立調整処理手段」とを含む構成とすることができる。この「第2の性能確保判定処理手段」は、前記ベース記録ストラテジ調整後であって、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅、ミドルパルスのパルス幅、ラストパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅を、各々独立にPRSNR値を指標に調整した後に、前記記録ストラテジの性能が確保されているか否か判定する処理を行うことができる。また、「第2の独立調整処理手段」は、前記第2の性能確保判定処理手段にて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅を、PRSNR値を指標に独立して調整する制御を行うことができる。さらに、「第2の独立調整処理手段」は、第2の性能確保判定部44kにて性能が確保されているものと判定された場合には、処理を終了し、性能が確保されていないものと判定された場合には、第2のトップパルス独立調整処理部44f、第2のミドルパルス独立幅調整処理部44g、第2のラストパルス独立調整処理部44h、第2のクーリングパルス独立調整処理部44iに対して独立調整処理を行うように制御する第2のパルス独立調整制御処理機能部を包含している。
ここで、各パルスを独立に調整した後であっても、例えば(k−1)型のパルス列(例えば図11など)のように、記録マーク毎に各々異なる長さの記録マークが連続する場合などには、隣り合う一方の記録マークでの調整は良好だとしても、スペース間の誤差などによって、隣り合う他方の記録マークではづれが生じる可能性が想定される。さらに、記録マーク、スペースが複数交互に連続して形成される状況にあっては、最初の記録マークは良好だとしても、後続の記録マークでは、後になる記録マークほど各スペース間の誤差(又は各記録マークの誤差)などの累積誤差が大きくなる可能性が想定され得る。
これに対して、第2のトップパルス独立調整処理手段では、第2の性能確保判定処理手段にて性能が確保できていないと判定された場合に、一の記録マークに対応するトップパルス、他の記録マークに対応するトップパルス、さらに他の記録マークに対応するトップパルス、・・のうち任意の性能が確保されていないと判定された記録マークに対応する記録ストラテジのトップパルスを、他の記録マークの例えばトップパルスなどとは独立して調整することができる。このため、例えば(k−1)型のパルス列(例えば図11など)のように、記録マークが連続するケースでも好適に調整できる。さらには、トップパルスだけではなく、他のパルスも同様に独立して調整可能である。
[1.3.6](システムコントローラ内の各部の動作)
上述のような構成を有する情報記録再生装置1において、概略以下のように動作する。すなわち、システムコントローラ40の主制御部48は、図3に示すべースパワー調整部41、ベース記録ステラテジ調整部42、パワー調整部43、記録ステラテジ調整部44の順に実行する制御を行う。
具体的には、ベースパワー調整部41が実行されると、図7に示すべースパワー調整制御部41cの消去パワー調整処理部41c−2は、図6に示すパワー変更器41b内の消去パワー設定器に対して設定制御を行い、消去パワーを零に設定する処理を行う。
次に、図7に示すべースパワー調整制御部41cの記録パワー依存性測定用パルス幅調整処理部41c−3は、図6に示すパワー依存性測定用パルス幅変更器41dに対して、パワー依存性測定器41aにてパワー依存性を測定するために、ベース記録ストラテジの各パルス幅を等しく変更する制御処理を行う。具体的には、記録パワー依存性測定用パルス幅調整処理部41c−3は、記録ストラテジのトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスを、再結晶化を防ぐ低めの値にて、全て同一パルス幅とするようパワー依存性測定用パルス幅変更器41dに対して対して制御指示を行う。
その上で、図7に示すべースパワー調整制御部41cの記録パワー調整処理部41c−1は、図6に示すパワー変更器41b内の記録パワー設定器に対しては、記録パワーを段階的に変化させながら記録を行う制御を行いつつ、図6に示すパワー依存性測定器41aに対しては、記録された記録マークの再生信号変調度に関する記憶パワー依存性の測定を行う制御を行う。
これにより、記録パワー調整処理部41c−1は、記録パワーを変化させながら記録を行い、記録された記録マークの再生信号変調度の記録パワー依存性に関する測定を行う際のベース記録パワーの調整制御を行う。
記録パワー調整処理部41c−1によるベース記録ストラテジを決定する前処理としての記録パワーの設定調整処理は、ベース記録ストラテジの調整のために適度な再生信号の変調度が得られていれば良いため、記録パワー調整処理部41c−1は、再生信号の変調度の記録パワー依存性における飽和値の例えば半分程度の再生信号変調度が得られる記録パワーに設定を行う。
次に、ベース記録ストラテジ調整部42にて、ベース記録ストラテジの調整処理を行う。ベース記録ストラテジ調整部42のベースパルス幅調整制御部42eは、パルス幅依存性に基づいて最適パルス幅を決定する制御を行う(パルス幅依存性測定器よりパルス幅依存性を取得し、ベースパルス幅選択器に対して取得情報を供給してパルス幅を選択させ、選択されたパルス幅にてベースパルス幅変更器42dにて変更するよう制御する)。
すなわち、ベース記録ストラテジ調整部42において、消去パワー切り替え器42cが、LD駆動系74(LD Driver System)を制御して、設定された第1の消去パワーと、設定された第2の消去パワーとの消去パワーの切り替えを行う。ベースパルス幅変更器48は、LD駆動系74(LD Driver System)を制御し、記録ストラテジのパルス幅変更を行う。
記録された記録マークからの反射光(戻り光)は、受光部16にて検出され、受光部16にて光信号より電気信号に変換された再生信号は、パルス幅依存性測定器42aに入力される。パルス幅依存性測定器42aは、2つの条件下(例えば第1の消去パワーでの第1の再生信号変調度(例えば図12の消去パワー0mWの特性)と第2の消去パワーでの第2の再生信号変調度(例えば図12の消去パワー6mWの特性)との差である)再生信号の変調度差分におけるパルス幅依存性(例えば図13)を測定する。
測定された再生信号の変調度差分におけるパルス幅依存性に基づいて、ベースパルス幅選択器は、記録ストラテジの最適ベースパルス幅を選択判定し、その記録ストラテジの最適ベースパルス幅の情報をベースパルス幅調整制御部42eに送るようになっている。
ベースパルス幅調整制御部42eは、この最適ベースパルス幅に基づいて、ベース記録ストラテジに関する情報を蓄積し、「パワ−調整部43」、「記録ストラテジ調整部44」が、この最適ベースパルス幅のベース記録ストラテジをもとに調整可能とするようにしておく。
そして、パワー調整部43及び信号品質判定制御部45が機能し、ベース記録ストラテジの最適ベースパルス幅決定後は、最適ベースパルス幅のベース記録ストラテジをもとに、記録パワー、消去パワーの微調整を行う。
すなわち、図8に示すように、パワー調整部43の記録パワー微調整処理部43aは、パルス幅依存性に基づく(パルス幅依存性)最適ベースパルス幅が確定し設定されたパルス幅において、記録パワーの微調整により、PRSNR値が最も高くなる記録パワーを決定する。
同様に、パワー調整部43の消去パワー微調整処理部43bは、(パルス幅依存性)最適ベースパルス幅において、消去パワーの微調整により、PRSNR値が最も高くなる消去パワーを決定する。
次いで、記録ストラテジ調整部44が機能すると、図9に示すように、この最適ベースパルス幅のベース記録ストラテジをもとに、記録ストラテジ調整部44のトップパルス・クーリングパルス同時調整処理部44aは、トップパルスのパルス幅及びクーリングパルスのパルス幅を相互に一定の対応関係を持たせて所定の範囲内で、段階的に変化させて記録し、記録マークのPRSNRからトップパルスのパルス幅とクーリングパルスのパルス幅を同時に決定する。
さらに、記録ストラテジ調整部44のその他の調整処理部44mは、第1の性能確保判定部44jがトップパルス・クーリングパルス同時調整処理部44aでの調整後、記録ストラテジに関し性能が確保されていないと判定した場合に、第1のトップパルス独立調整処理部44b、第1のミドルパルス独立幅調整処理部44c、第1のラストパルス独立調整処理部44d、第1のクーリングパルス独立調整処理部44eに対して独立調整処理を行うように制御する。
さらに、記録ストラテジ調整部44のその他の調整処理部44mは、第2の性能確保判定部44kが前記第1の独立調整処理後に記録ストラテジに関し性能が確保されていないものと判定された場合には、記録パターン毎に、第2のトップパルス独立調整処理部44f、第2のミドルパルス独立幅調整処理部44g、第2のラストパルス独立調整処理部44h、第2のクーリングパルス独立調整処理部44iに対して独立調整処理を行うように制御する。
(処理手順について)
[2.1](全体処理)
次に、上述のような構成を有する情報記録再生装置における各種の処理手順について、図17乃至図19を参照しつつ説明する。図17は、本発明の第1の実施の形態による情報記録再生装置の処理手順の全体処理の概要の一例を示すフローチャートである。図18は、本発明の第1の実施の形態による情報記録再生装置の処理手順のうち全体処理の詳細手順の一例を示すフローチャートである。図19は、本発明の第1の実施の形態による情報記録再生装置の処理手順のうち最適ベースパルス幅を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
本実施の形態に係る信号記録条件を決定する方法は、相変化記録媒体上にパルストレイン型記録ストラテジにて記録パワー、消去パワー、バイアスパワーの少なくとも3値の間で強度変調したレーザー光を照射することによって、マークとスペースによるパターン列を記録する光学的記録方式における記録条件決定方法を対象とするものである。
本第1の実施の形態に係る信号記録条件を決定する記録条件決定方法は、全体的処理の構成として、ベース記録ストラテジのパルス幅調整前に、レーザ光のパワーを調整するベースパワー調整ステップ(例えば図17に示すステップS10Aのベースパワー調整処理)と、他の調整に先立って、記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整するベース記録ストラテジ調整ステップ(例えば図17に示すステップS10Bのベース記録ストラテジ調整処理)と、前記ベース記録ストラテジ調整ステップにて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、パワーを調整するパワー調整ステップ(例えば図17に示すステップS10Cのパワー調整処理)と、前記ベース記録ストラテジ調整ステップにて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記パワー調整ステップによる調整後に、前記記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整する記録ストラテジ調整ステップ(例えば図17に示すステップS10Dの記録ストラテジ調整処理)と、を含む構成である。
また、相変化記録媒体上にパルストレイン型の記録ストラテジにて記録パワー、消去パワー、バイアスパワーの少なくとも3値の間で強度変調したレーザ光を照射することで記録マークとスペースによるパターン列を記録する記録条件を決定する記録条件決定方法は、他の構成として、前記消去パワーを与えない状態と、前記記録マークが消去される消去パワーを付与した状態との少なくとも2種類の消去パワー条件下で、他の調整に先立って前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成するパルスのパルス幅を一律に変化させつつ記録を行うベースパルス幅変更記録ステップ(例えば図19に示すステップS205、S207、S211による構成など)と、前記2種類の各消去パワー条件下にて各々記録された各パターン列を各々再生し、前記各消去パワー条件下での各再生信号変調度の差に関するパルス幅依存性を測定するパルス幅依存性測定ステップ(例えば図19に示すステップS206、S208、S209、S211による構成など)と、前記パルス幅依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスの最適ベースパルス幅を決定するベースパルス幅選択制御ステップ(例えば図19に示すステップS213など)と、含む構成である。
ベースパワー調整処理(ステップS10A)は、本第1の実施の形態の特徴のベース記録ストラテジのパルス幅の調整に先立って、ベースパワーの一例である記録パワーを調整し、前記記録パワーを変化させ、複数の記録パワー条件に対する再生信号変調度の記録パワー依存性を測定し、得られた前記再生信号変調度の記録パワー依存性をもとに記録パワーを調整する。すなわち、前記ベースパワー調整処理では、記録パワーと消去パワーの2つのパワーのうち、どちらか一方のパワーを固定し(例えば消去パワーを零とする)、もう一方のパワー(例えば記録パワー)を段階的に変化させてテストパターンを記録し、テストパターンの再生信号変調度に関する記録パワー依存性を測定し、その記録パワー依存性に基づいて例えば記録パワーを決定する。ここで、記録パワーを段階的に変化させる際には、その変化させる範囲と、変化させる間隔を適宜設定することで行う。前記複数のパルス幅条件に関しては、全てのパルス幅を同一値に設定(調整前の前記ベース記録ストラテジを構成するトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスを全て同一のパルス幅に設定)した後、消去パワーを零とする条件下で、前記記録パワーを一律に変化させる。そして、記録パワーの決定には、例えば、前記記録ストラテジの記録パワーを、前記再生信号変調度の記録パワー依存性における飽和値の概ね半分程度の再生信号の変調度が得られる記録パワーに決定し、該決定記録パワーにて調整制御する。
ベース記録ストラテジ調整処理(ステップS10B)は、前記ベースパワー調整処理に引き続いて、実行される。ベース記録ストラテジ調整処理(ステップS10B)は、消去パワー条件に依存せず概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅を算出するための調整を行い、前記最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジを決定する。
具体的には、ベース記録ストラテジ調整処理では、特定のパルス幅条件でかつ各消去パワー条件のうち一方の消去パワー条件にてテストパターンを相変化記録媒体に記録し、相変化記録媒体から再生した前記テストパターンの一方の再生信号変調度を測定する。次に、前記特定のパルス幅条件でかつ他方の消去パワー条件にてテストパターンを相変化記録媒体に記録し、相変化記録媒体から再生した前記テストパターンの他方の再生信号変調度を測定する。そして、一方及び他方の双方の再生信号変調度の差分である再生信号変調度差分を算出する。ここで、前記パルス幅条件に関しては、全てのパルス幅を同一値に設定することが好ましい。
次に、ベース記録ストラテジ調整処理では、前記特定のパルス幅条件を変更する。この際、ベース記録ストラテジ調整処理では、記録ストラテジを構成するそれぞれのパルスの前縁又は後縁のいずれか一方を一律に変化させ、複数のパルス幅を変化させる。そして、いま述べた手法と同様に、一方及び他方の再生信号変調度を各々測定し、再生信号変調度差分を算出する。このようにして、パルス幅を変化させながら各パルス幅に応じた再生信号変調度差分を各々算出することで、再生信号変調度に関するパルス幅依存性を求める。
ベース記録ストラテジ調整処理では、パルス幅依存性に基づいて、最適ベースパルス幅を決定する。この最適ベースパルス幅の決定では、前記再生信号変調度差分のパルス幅依存性から、複数のパルス幅の中から最適なパルス幅を選択する。ここで、前記決定においては、前記再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲内のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択することが好ましい。また、決定においては、前記再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲のうち、最小のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択することがさらに好ましい。すなわち、再生信号変調度差分に関するパルス幅依存性が変わる例えば特徴点のうち最小におけるパルス幅をベース記録ストラテジの最適ベースパルス幅として選択するおいうこともできる。
パワー調整処理(ステップS10C)は、ベース記録ストラテジの最適ベースパルス幅の決定後において、そのパルス幅条件の下、記録パワーを変化させながらテストパターンを記録し、該テストパターンの再生信号品質から最適記録パワーを決定し、記録パワーの微調整処理を行う。加えて、ベース記録ストラテジの最適ベースパルス幅の決定後において、そのパルス幅条件の下、消去パワーを変化させながらテストパターンを記録し、該テストパターンの再生信号品質から最適消去パワーを決定し、消去パワーの微調整処理を行う。前記再生信号品質を示すデータとして、前記パターン列を再生した再生信号に基づいて算出される信号品質評価値の一例であるPRSNR値を用いることが好ましい。
記録ストラテジ調整処理(ステップS10B)は、ベース記録ストラテジの最適ベースパルス幅の決定後であって、記録パワー、消去パワーが決定された後において、その記録パワー、消去パワー、パルス幅条件を基準に、各パルスのパルス幅を変化させながらテストパターンを記録し、該テストパターンの再生信号品質から最適パルス幅を決定し、記録ストラテジの調整処理を行う。前記再生信号品質を示すデータとして、前記パターン列を再生した再生信号に基づいて算出される信号品質評価値の一例であるPRSNR値を用いることが好ましい。ここで、具体的調整手法は、種々有するので詳細は後述する。
以上が全体的処理の概要であるが、以下に各ステップのさらに詳細な処理を説明する。
(前提条件)
ここで、本発明の実施の形態に係る情報記録再生装置は、図17、図18、図19に示す処理手順に基づいて、記録パワー、消去パワー、記録ストラテジ(Strategy)をそれぞれ調整する。実施の形態において用いる記録ストラテジは、図10に示すものと同じであるが、パルストレイン(パルス列)として、特に、図11に示すような(k−1)型のパルストレイン(パルス列)を適用することが好ましい。
記録ストラテジでは、図11に示すように、記録データに対応する半導体レーザーへの駆動電流をパルス列で与える。更に、(k−1)型のパルストレインによる記録ストラテジのパルス列は、図11に示すように、記録マークのパターン列(NRZI:Non Return to Zero Inversion)の例えば8Tに対応するパルス列では、最初のパルスをトップパルス、それに連なるパルス群をミドルパルス、最後のパルスをラストパルス、前記ラストパルスに続く逆極性のパルスをクーリングパルス、により構成されている。ここで、トップパルスのパルス幅をTtop、ミドルパルスのパルス幅をTmp、ラストパルスのパルス幅をTlp、クーリングパルスのパルス幅をTclとしている。記録データの各記録マーク長に対応する書込み光を、これらのパルスに従って生じさせる。
また、(k−1)型のパルストレインによる記録ストラテジのパルス列において、記録マークのパターン列が3Tの長さに対応するパルス列では、トップパルス、ラストパルス、クーリングパルス、により構成されている。さらに、記録マークのパターン列が2Tの長さに対応するパルス列では、トップパルス、クーリングパルス、により構成されている。ここで、RLL(1、10)では、図示しないが、この他、4T、5T、6T、7T、9T、10T、11Tなどの長さのパターン列が想定されるが、これらはいずれもトップパルス、ミドルパルス、ラストパルス、クーリングパルス、により構成されている。
さらに、以下に示す具体的な条件にて信号記録条件を調整する。すなわち、本実施の形態は、光ヘッド部10として、レーザダイオード(LD)波長が例えば405nm等、対物レンズのNA(開口数)が例えば0.65等のものを使用することが好ましい。また、RF回路部20には、パーシャルレスポンス特性として、例えばPR(1、2、2、2、1)等に適用可能なビタビ復号器を有することが好ましい。相変化型光学記録媒体の一例である光ディスク78は、例えば何度でも記録が可能な書き換え型のHD DVD−RW等を用いることが好ましい。
前記HD−DVD−RWは、記録を行うと反射率が低くなるタイプの媒体であって、High−to―Lowメディアと呼ばれる種類の相変化記録媒体である。
加えて、光ディスク78の物理構造としては、例えばポリカーボネイトからなる、厚さが例えば0.6mm等、直径が例えば12cm等である円板状の透明な基板に、プリグルーブと呼ばれる案内溝が形成されている。光ディスク78の記録及び再生時には、情報記録再生装置、即ち、相変化型光学記録媒体ドライブの光ビームがこの案内溝に沿って走査できるようになっている。この基板上に記録用の膜を成膜する。また、光ディスク78に記録を行う場合の物理フォーマットとしては、ビットピッチが例えば0.15μm等、トラックピッチが例えば0.40μm等のイングルーブ・フォーマットを使用することが好ましい。
光ディスク78は、反射膜としては例えばAlTiなどを使用することができ、また、光は、前記0.6mm厚の基板を通過する方向から入射する。
HD−DVD−RWを、図1に示す本実施形態に係る情報記録再生装置に装填し、図17に示す信号記録条件の調整を試みる。すなわち、先ず、ベースパワーの一例である記録パワーの調整を行い、ベース記録ストラテジの調整を行い、パワー調整(記録パワー調整、消去パワー調整)を行い、次いで記録ストラテジの調整を行う。ここで、実施形態では、パルス幅の変更は、記録ストラテジを構成するトップパルス(Ttop)及びミドルパルス(Tmp)並びにラストパルス(Tlp)のパルス幅を変更するにあたっては、それらのパルスの後縁を変更することで実施したが、それぞれのパルスの前縁を変更することによって実施しても良いものである。
[2.2.1](ベースパワー調整ステップ)
先ず、本実施の形態の特徴的処理である「ベース記録ストラテジ調整」を行う前のベースパワー調整ステップについて説明する。
図17及び図18に示すように、ステップS10Aのベースパワー調整処理(ベースパワー調整ステップ)では、具体的には、システムコントローラ40は、ベース記録ストラテジの最適ベースパルス幅を決定する前処理として、記録パワーの調整を行う(ステップS101)<記録パワー調整処理ステップないしは記録パワー調整処理機能>。
図11に示すパルストレイン(パルス列)は、相変化記録媒体に書き込む最終的なパルストレインであるから、トップパルス(Ttop)のパルス幅が、他のミドルパルス(Tmp)及びラストパルス(Tlp)のパルス幅より広く設定されているが、記録パワーを調整する過程では、トップパルス(Ttop)のパルス幅と、他のミドルパルス(Tmp)及びラストパルス(Tlp)のパルス幅とを同一値に設定して記録パワーの調整を行う。
本例では、使用するベース記録ストラテジとしては、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスを全て同一パルス幅とし、そのベースパルス幅を例えば0.2T等とする。このパルス幅は、0.2Tに限らないが、再結晶化を防ぐ意味で低めの値が望ましい。
その後、システムコントローラ40は、消去パワーを0mWと設定する。この状態で、記録パワーを変化させながら(例えば図20に示すパルス幅として)テストパターンの記録を行い、記録されたテストパターンの記録マークの再生信号変調度を、各記録パワー毎に測定し、再生信号変調度に関する記録パワー依存性を測定する。
ここで、再生信号の変調度の記録パワー依存性は、例えば、図15に示すようになる。図15は、記録ストラテジのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)Tと記録パワー(Write Power)[mW]との関係を示す特性図を示す。図15では、前記記録ストラテジの記録パワーを、前記再生信号変調度の記録パワー依存性における飽和値(変調度約1.1程度)の概ね半分程度の再生信号の変調度(約0.7程度)が得られる記録パワー(約9mW)に調整制御する。本例では、記録パワーを約9mWとしているが、これに限らず、記録パワーは、前記再生信号変調度の記録パワー依存性における飽和値の概ね半分程度の再生信号の変調度が得られる記録パワーでよい。
この記録パワー調整段階では、記録パワー調整後に行う記録ストラテジ調整のために適度な再生信号の変調度が得られていれば良いので、システムコントローラ40は、再生信号の変調度の記録パワー依存性における飽和値の半分程度の再生信号の変調度が得られる記録パワー(9mW)に設定する。
また、図15では、ストラテジ=0.2Tに設定してあるが、これに限るものではない。他のストラテジ、例えばストラテジ=0.1T等に設定してもよい。このストラテジは、再結晶化を防止できる調整基準パルス幅であればよい。
以上の過程を経て、ベースパワー調整部によるベースパワー調整の処理が終了する。
システムコントローラ40のベース記録ストラテジ調整部は、ベースパワー調整部による記録パワーの調整に引き続いて、ベース記録ストラテジを構成するそれぞれのパルス(Ttop、Tmp、Tlp)の後縁を一律に変化させつつ、各消去パワー条件下にてテストパターンを相変化記録媒体に各々記録し、相変化記録媒体から再生した各々の前記テストパターン(再生信号)からの各々の再生信号変調度の差分に関するパルス幅依存性に基づいて最適ベースパルス幅を決定し、ベース記録ストラテジを調整する。
[2.2.2](ベース記録ストラテジ調整ステップ)
次に、本実施の形態の特徴的処理であるベース記録ストラテジ調整ステップについて、図18及び図19を参照しつつ説明する。図19は、本発明の第1の実施の形態による情報記録再生装置において、ベ−ス記録ストラテジ調整にて行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
図18に示すステップS102のベース記録ステラテジを調整する処理<ベース記録ストラテジ調整処理ステップないしはベース記録ストラテジ調整処理機能>は、より詳細には、図19に示すような処理となる。
ここで、本実施の形態では、記録ストラテジのパルス幅の変更は、どのパルスにおいても例えばパルス後縁を変更して実施する。また、本実施の形態では、ストラテジ調整を行う過程においては、初期パルス幅を例えば0.2T等、パルス幅変更間隔を例えば0.1T等、繰り返し回数を例えば8等とする。さらに、本実施の形態の記録ストラテジ調整前に設定された記録パワーを例えば9mW等とする。さらに、2つの異なる消去パワーは、例えば0mW等と、例えば6mW等に各々設定する。そして、図19に示す調整方法に従って、再生信号の変調度差分における、記録ストラテジのパルス幅依存性(図13参照)を測定する。その記録ストラテジのパルス幅依存性の変わる特徴点のうちより細いパルス幅、例えば(0.3T)等を最適記録ストラテジのパルス幅(パワー調整用ベース記録ストラテジ最適パルス幅)として選択する。
(パルス幅変更範囲決定ステップ)
まず、本実施の形態のベース記録ストラテジ調整に用いるパルス幅変更範囲を決定するため、システムコントローラ40は、初期パルス幅a [T]、パルス幅変更間隔b [T]、繰り返し回数m [回]を設定する(ステップS201)<パルス幅変更範囲設定ステップないしはパルス幅変更範囲設定機能>。これにより、パルス幅変更範囲は、a [T]からa+b×m[T]までとなる。
初期パルス幅a[T]は、ベース記録ストラテジを構成するトップパルス(Ttop)、ミドルパルス(Tmp)、ラストパルス(Tlp)、クーリングパルス(Tcl)のパルス幅を変更する基準となる初期のパルス幅である。パルス幅変更間隔b[T]は、繰り返し回数mの範囲において、記録ストラテジを構成するトップパルス(Ttop)、ミドルパルス(Tmp)、ラストパルス(Tlp)、クーリングパルス(Tcl)のパルス幅を前記初期のパルス幅に対して変更する割合を示すものである。ここで、前記パルス幅変更間隔b及び前記繰り返し回数mは、想定される記録ストラテジのパルス幅の変化範囲を網羅するように設定する。
次に、システムコントローラ40は、例えば、消去パワーを与えない状態での消去パワー等である第1の消去パワーx [mW]と、例えば、概ね記録済みマークが消去される消去パワー等である第2の消去パワーy [mW]とによる2つの異なる消去パワーの2条件を設定する(ステップS202)<消去パワー2条件設定ステップないしは消去パワー2条件設定機能>。
以上のように設定した状態で、ベース記録ストラテジを変化させ、パルス幅依存性測定器41は、前記ベース記録ストラテジの複数のパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp、Tcl)の条件に対する再生信号変調度の差分のパルス幅依存性を測定し、得られた前記再生信号変調度の差分のパルス幅依存性に基づいてベース記録ストラテジを調整する。
(記録・測定ステップ)
システムコントローラ40は、設定が完了した後、実際記録を行い、ベース記録ストラテジ調整を行う。先ず、繰り返し回数を0回目に設定し(ステップS203)<繰り返し回数設定ステップないしは繰り返し回数設定機能>、システムコントローラ40は、記録ストラテジのパルス幅をa+b×i(i=0)=a[T]に設定する(ステップS204)。<初期パルス幅設定ステップないしは初期パルス幅設定機能>
そして、システムコントローラ40は、ベース記録ストラテジのパルス幅をa[T]、消去パワーをx [mW]にてテストパターンを記録する(ステップS205)<第1消去パワーテストパターン記録ステップないしは第1消去パワーテストパターン記録機能>。
すなわち、システムコントローラ40は、「記録モード」とし、前記設定した消去パワーx(第1の消去パワー:一方の消去パワー条件)及びベース記録ストラテジのパルス幅(a)のデータ(例えば消去パワーx=0であれば図22に示すパルス列)を変調器、及びLD駆動系にそれぞれ出力し、光ヘッド部10により光ディスクにテストデータ(テストパターン)の書込を行う。これにより、光ディスクにテストパターンの記録マークが形成される。
その後、システムコントローラ40は、「再生モード」とし、前記ステップS205にて光ディスクに書き込んだテストデータの記録マークを再生する。システムコントローラ40により、再生された再生信号の変調度である再生信号変調度αを測定する(ステップS206)<第1再生信号変調度測定ステップないしは第1再生信号変調度測定機能>。
測定結果である再生信号変調度αに関するデータは、消去パワーx、パルス幅aなどと対応づけられて、メモリなどの特定の記憶領域に書き込まれる。
次に、システムコントローラ40は、ベース記録ストラテジのパルス幅を(a+b×iにてi=0として)a[T]のままとし、消去パワーをy [mW]に変えてテストパターンを記録する(ステップS207)<第2消去パワーテストパターン記録ステップないしは第2消去パワーテストパターン記録機能>。
すなわち、システムコントローラ40は、「記録モード」とし、前記設定した消去パワーy(第2の消去パワー)及びベース記録ストラテジのパルス幅(a)のデータ(例えば消去パワーy=6であれば図21に示すパルス列)を変調器、及びLD駆動系にそれぞれ出力し、光ヘッド部10により光ディスクの前記S205のテストデータとは異なる領域にテストデータ(テストパターン)の書込を行う。これにより、光ディスクにテストパターンの記録マークが形成される。
その後、システムコントローラ40は、「再生モード」とし、前記ステップS207にて光ディスクに書き込んだテストデータの記録マークを再生する。システムコントローラ40により、再生された再生信号の変調度である再生信号変調度βを測定する(ステップS208)<第2再生信号変調度測定ステップないしは第2再生信号変調度測定機能>。
測定結果である再生信号変調度βに関するデータは、消去パワーy、パルス幅aなどと対応づけられて、メモリなどの特定の記憶領域に書き込まれる。
そして、測定された消去パワーをx [mW]にて記録された記録マークの再生信号変調度αと、消去パワーをy[mW]にて記録された記録マークの再生信号変調度βとの差分である再生信号変調度の差分γ=α−βの演算処理を行う(ステップS209)<再生信号変調度差分演算ステップないしは再生信号変調度差分演算機能>。
続いて、繰り返し回数i=mか否かを判定する処理を行う(ステップS211)<繰り返し回数判定処理ステップないしは繰り返し回数判定処理機能>。
そして、このステップS211の判定処理において、繰り返し回数iがmと等しくないと判定された場合には、i=i+1とする処理、すなわち、iを1だけ増加させる処理を行い、ステップS203に戻る(ステップS212)<繰り返しステップないしは繰り返し機能>。
この「繰り返しステップ」では、ステップS203にてi=1として、ステップS204では、記録ストラテジのパルス幅をa+b[T]とする。後は、ステップS204からステップS209を繰り返す。
すなわち、システムコントローラ40は、「記録モード」とし、パルス幅をa+b[T]、消去パワーをx [mW]にて(例えばx=0、a=0.2T、b=0.1Tであれば、図24に示すようにパルスの後縁を増加させたパルス列を与え:図24ではパルス列の一部のみを誇張して示している)テストパターンを記録する。そして、システムコントローラ40は、「再生モード」とし、前記光ディスクに書き込んだテストデータの記録マークを再生する。システムコントローラ40により、再生された再生信号の変調度である再生信号変調度αを測定する。測定結果である再生信号変調度αに関するデータは、消去パワーx、パルス幅a+bなどと対応づけられて、メモリなどの特定の記憶領域に書き込まれる。
加えて、システムコントローラ40は、「記録モード」とし、パルス幅をa+b[T]、消去パワーをy [mW]にて(例えばy=6、a=0.2T、b=0.1Tであれば、図23に示すようにパルスの後縁を増加させたパルス列を与え:図23ではパルス列の一部のみを誇張して示している)テストパターンを記録する。そして、システムコントローラ40は、「再生モード」とし、前記光ディスクに書き込んだテストデータの記録マークを再生する。システムコントローラ40により、再生された再生信号の変調度である再生信号変調度βを測定する。測定結果である再生信号変調度βに関するデータは、消去パワーx、パルス幅a+bなどと対応づけられて、メモリなどの特定の記憶領域に書き込まれる。
そして、パルス幅a+bに対応する再生信号変調度の差分γ=α−βが算出される。算出された再生信号変調度差分γは、パルス幅a+bなどと対応づけられて、メモリなどの特定の記憶領域に書き込まれる。
以降、同様にして、一消去パワー条件での記録・再生・測定、他の消去パワー条件での記録・再生・測定、を繰り返すことによって、パルス幅a+2b、a+3b、・・・、a+mbに各々対応する各再生信号変調度差分γが各々算出され、各々対応づけられて、メモリなどの特定の記憶領域に書き込まれる。
一方、システムコントローラ40は、前記ステップS211の判定処理において、繰り返し回数iがmと等しいと判定された場合には、ステップS213に進む処理を行う。
このようにして、iを1増加させ、記録ストラテジのパルス幅を広げ、同様の測定をm[回]行う。すなわち、前記ステップS211と、前記ステップS212の「繰り返しステップないしは繰り返し機能」とによって、ステップS203〜ステップS209を繰り返し、システムコントローラ40は、
パルス幅aの再生信号変調度差分γ=α−β(第1再生信号変調度差分)、
に加え、
パルス幅a+bの再生信号変調度差分γ=α−β(第2再生信号変調度差分)、
パルス幅a+2bの再生信号変調度差分γ=α−β(第3再生信号変調度差分)、
パルス幅a+3bの再生信号変調度差分γ=α−β(第4再生信号変調度差分)、



パルス幅a+mbの再生信号変調度差分γ=α−β(第m+1再生信号変調度差分)、
を各々算出する処理を行う。
そして、システムコントローラ40は、m[回]測定を行った時点で、再生信号の変調度差分における記録ストラテジのパルス幅依存性が取得できる。
さらに、システムコントローラ40は、取得された記録ストラテジのパルス幅依存性の中で、実質変化しないパルス幅範囲を抽出する。
この抽出処理では、再生信号変調度差分の範囲が、例えば0を中心に±0.05を越えない値となるパルス幅(或いはパルス幅範囲)を特定する、というような演算を行うこともできる。その場合において、再生信号変調度差分の範囲としては、前記±0.05に限らず、精度や種々の事情により、任意の数値範囲例えば±0.03、±0.02、±0.04、±0.06といった範囲であってもよく、これら再生信号変調度差分の範囲を設定可能に構成してもよい(再生信号変調度差分範囲設定機能部)。このような処理を行うこのいによっても、再生信号変調度差分に関し、パルス幅に依存しないパルス幅の範囲を抽出できる。
そして、システムコントローラ40は、抽出された実質変化しないパルス幅範囲の中から最も狭いパルス幅を最適な記録ストラテジのパルス幅とする(ステップS213)<最適ストラテジ設定ステップないしは最適ストラテジ設定機能>。
すなわち、パルス幅依存性測定器は、光ヘッド部で再生されたテストデータに基づいて、記録ストラテジに関する再生信号変調度の差分のパルス幅依存性の特徴点を測定する。
システムコントローラ40は、以上のステップS203〜ステップS211までの処理を、ステップS201でセットされた繰り返し回数mまで繰り返して行う。(すなわち、一の消去パワー条件下での変調度の測定はm+1回行われ、他の消去パワー条件下での変調度の測定はm+1回行われ、再生信号変調度差分は、m+1個算出される。)
このようにして、記録ストラテジに基づいて半導体レーザの駆動電流を制御すると、トップパルスとミドルパルスとラストパルスに従ってレーザ光のパワーが記録パワーとバイアスパワーの間で変化し、その変化に応じて記録膜である相変化材料が溶融と冷却を繰り返すことでアモルファス相が形成される。また、記録データのスペース部に相当する期間に消去パワーレベルのレーザ光が照射されることで、相変化材料が結晶化される。
こうして、トップパルスとミドルパルスとラストパルス及びクーリングパルスに基づいて半導体レーザーの駆動電流を制御することにより、記録・再生特性の向上を図ることが可能な記録マークを形成する。
このような記録ストラテジにおいて、始端部(トップパルス)のパルス幅がずれている場合には、記録マークの先頭部分での形状が変化することになる。これは、パルス幅が変わることにより媒体に照射するレーザーエネルギーが変化するためである。すなわち、始端部のパルス幅が広すぎる場合には、記録マークの先頭部が膨らみ前縁部のマーク幅が太くなる。逆に始端部のパルス幅が狭すぎる場合には、記録マークの前縁部のマーク幅が細くなる。
同様に、中間部(ミドルパルス)のパルス幅が広すぎる場合には、記録マークの後半部分の記録マークが膨らむため、記録マークの幅が太くなる。逆に、中間部のパルス幅が狭すぎる場合には、記録マークの後半部分の記録マークが減少するため、記録マークの幅が細くなる。
このように、上記各記録パルス幅パラメータは、記録マーク形状(記録パワーパラメータ)に大きな影響を与える。
更に、終端部(ラストパルス)のパルス幅がずれている場合には、記録マークの後、エッジ位置が変化することになる。加えて、始端部のパルスの開始位置がずれている場合には、記録マークの前エッジ位置が変化することになる。これにより、記録マークの長さが変化する。すなわち、上記の各記録パルス幅パラメータは、記録マークの長さに大きな影響を与える。
そこで、本実施の形態では、特定のパルス列では、消去パワーが記録マークの大きさに依存しないことに着目して調整を行う。
すなわち、上記の方法で記録ストラテジの調整を簡単にする事ができ、局所最適に陥ることを回避する事が出来る理由は、以下の通りである。
再生信号変調度を測定した結果を図12に示す。図12は、消去パワー(レーザの光出力)を0mW、3mW、6mWとし、記録パワーを9mWに設定し記録した時の記録マークの再生信号の変調度における記録ストラテジのパルス幅依存性を示す図である。図7では、横軸に記録ストラテジの各パルスのパルス幅を、縦軸に再生信号変調度を取ることにより、前記再生信号変調度の変化を示している。さらに、図12では、消去パワーを(0mW、3mW、6mW)と変化させた場合のそれぞれの再生信号変調度とパルス幅との関係が開示されている。
図12から明らかなように、特定の一消去パワー条件下(例えば0mw)で、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を一律に増加させていくと、一特定範囲内のパルス幅にて再生信号変調度が(例えば0.5にて)ほぼ一定となることが分かる。同様に、他の消去パワー条件下(例えば3mw)で、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を一律に増加させていくと、他の特定範囲内のパルス幅にて再生信号変調度が(例えば0.5にて)ほぼ一定となることが分かる。同じく、さらに他の消去パワー条件下(例えば6mw)で、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を一律に増加させていくと、さらに他の特定範囲内のパルス幅にて再生信号変調度が(例えば0.5にて)ほぼ一定となることが分かる。
そして、一消去パワー条件下での一特定範囲、他の消去パワー条件下での他の特定範囲、さらに他の消去パワー条件下でのさらに他の特定範囲、の中で、共通する一定の特定範囲が生じている。図12の矢印で示されたパルス幅(0.3T〜0.5T)ではどの消去パワー(0mW、3mW、6mW)においても再生信号変調度が同程度である事が分かる。
すなわち、消去パワーの大きさに関わらず一定の変調度となるパルス幅の範囲が存在することが確認できる。記録マークの大きさに比例する変調度が、消去パワーに依存しないということは、前記パルス幅の範囲で記録マーク形成条件と消去条件とを独立に調整しても、局所最適に落ち込まないことを意味する。このため、前記パルス幅の範囲で、消去パワーがどのような大きさであっても、記録マークの大きさが変わらないので、前記パルス幅の範囲で、記録マーク形成条件と消去条件とを独立に調整可能となる。そのため、消去パワーに依存しない概ね一定の変調度が得られるパルス幅範囲内にて、パルス幅を初期設定すると、局所最適を防止できる最適条件が得られる。
図14に、トップパルス(Ttop)、ミドルパルス(Tmp)、ラストパルス(Tlp)のパルス幅と、PRSNR値との関係を示す。図14では、記録ストラテジの記録調整の初期値としてパルス幅を0.1Tから0.8Tまでとして、それを基点として記録パワー、消去パワー調整後のPRSNR値を示している。
図12及び図14により、消去パワーに依存せず、ほぼ一定の再生信号変調度が得られるパルス幅から調整を始めたほうが、最終的に高いPRSNR値が得られることがわかる。特に、消去パワーに依存せず、ほぼ一定の変調度が得られるパルス幅のうち、最も小さいパルス幅を中心とした±0.1T(図14では、0.3Tを中心として0.2T〜0.4Tの間)の初期設定において良好な(高い)PRSNR値が得られていることがわかる。
図13は、記録ストラテジのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)Tと再生信号変調度の差分との関係を示す特性図を示している。
システムコントローラ40は、再生信号変調度差分と記録ストラテジのパルス幅Tとの関係に基づいて、再生信号変調度差分に関する記録ストラテジのパルス幅依存性の特徴点を求める。図9の場合、再生信号変調度差分概ね一定となる0.3T〜0.5Tの範囲の中から、特に最小となる0.3Tを選択する。或いは、再生信号変調度差分に関する記録ストラテジのパルス幅依存性が変わる特徴点における記録ストラテジのパルス幅Tは、0.3Tであるので、ベースパルス幅選択器42bは、トップパルス,ミドルパルス,ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)Tを、0.3Tに決定する。
以上の過程を経て、最適ベースパルス幅が決定されるベース記録ストラテジ調整処理が終了する。
ここで、本例では、パルス幅依存性測定時において、ベース記録ストラテジの各パルスの後縁を一律に変化される例で説明したが、前縁を一律に変化される場合(例えば図25に示すパルス幅の変化など)であっても、パルス幅依存性の測定を行うことが可能である。
[2.2.3](パワー調整ステップ)
次に、パワー調整ステップについて、図18を参照しつつ説明する。
図19に示す処理(図18のステップS102に相当)を終了し、図18に示すステップS102の後、パワー調整ステップを行う。より詳細には、図18に示すステップS103を実行する。
すなわち、システムコントローラ40は、ベース記録ストラテジにて、PRSNRを指標に記録パワーの微調整処理を行う(ステップS103)<記録パワー微調整処理ステップないし記録パワー微調整処理機能>。先ず、記録パワーを所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高い記録パワーを最適な記録パワーに決定する。
具体的には、システムコントローラ40内のパワー調整部43の記録パワー微調整処理部43aは、「ベース記録ストラテジ調整ステップ」にてベース記録ストラテジ調整部42のベースパルス幅選択器がパルス幅依存性に基づいて決定したベースとなる最適ベースパルス幅、すなわち、トップパルス,ミドルパルス,ラストパルスのパルス幅において、PRSNR値を指標に、記録パワーの微調整処理を行う。そして、微調整処理により、最適記録パワーが決定され、設定される。この際、システムコントローラ内のパワー調整部は、記録パワー(Write Power)とPRSNR値との関係に基づいて、PRSNR値が最も高くなる記録パワーを決定する(例えば図26等)。
ここで、PRSNR値は、微調整処理の過程において、レーザ駆動系の制御の下に光ディスクに記録され、その後再生された再生信号に基づいてRF回路部のPRSNR計算器で算出されるデータである。
同様にして、システムコントローラ40は、ベース記録ストラテジにて、PRSNRを指標に消去パワーの微調整処理を行う(ステップS104)<消去パワー微調整処理ステップないし消去パワー微調整処理機能>。このステップでは、消去パワーを所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高い消去パワーを最適な消去パワーに決定する。
具体的には、システムコントローラ40内のパワー調整部43の消去パワー微調整処理部43bは、「ベース記録ストラテジ調整ステップ」にてベース記録ストラテジ調整部42のベースパルス幅選択器がパルス幅依存性に基づいて決定したベースとなる最適ベースパルス幅、すなわち、トップパルス,ミドルパルス,ラストパルスのパルス幅において、PRSNR値を指標に、消去パワーの微調整処理を行う。そして、微調整処理により、最適消去パワーが決定され、設定される。この際、システムコントローラ内のパワー調整部は、消去パワー(Erase Power)とPRSNR値との関係に基づいて、PRSNR値が最も高くなる消去パワーを決定する(例えば図27等)。
ここで、前記ステップS103とステップS104をまとめてステップS10Bのベースパワー調整処理(ベースパワー調整ステップ)ということができる。
以上の過程を経て、パワー調整部によるパワー調整の処理が終了する。
記録ストラテジ調整部は、パワー調整部による記録パワーの微調整、消去パワーの微調整に引き続いて、記録ストラテジを構成するそれぞれのパルス(Ttop、Tmp、Tlp、Tcl)の後縁を一律に変化させてテストパターンを相変化記録媒体に記録し、相変化記録媒体から再生した前記テストパターン(再生信号)からの信号品質に基づいて記録ストラテジを調整する。
[2.2.4](記録ストラテジ調整ステップ)
(トップパルスのパルス幅・クーリングパルスのパルス幅の決定処理ステップ)
次に、記録ステラテジ調整ステップについて、図18を参照しつつ説明する。
図18に示すように、システムコントローラ40は、トップパルスのパルス幅及びクーリングパルスのパルス幅を相互に一定の対応関係を持たせて所定の範囲内で、段階的に変化させて記録し、記録マークのPRSNRからトップパルスのパルス幅とクーリングパルスのパルス幅を同時に決定する(ステップS105)<トップパルス独立幅決定処理ステップ・クーリングパルス独立幅決定処理ステップないしはトップパルス独立幅決定処理機能・クーリングパルス独立幅決定処理機能>。
このステップS105では、パワー調整の処理で求めた記録パワー及び消去パワーのデータを使用する。信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に、トップパルス(Ttop)、クーリングパルス(Tcl)のパルス幅を決定する。
すなわち、システムコントローラ40は、トップパルス(Ttop)、クーリングパルス(Tcl)のパルス幅を段階的に変化させながら、特定のPRSNR値以上となるまで、ないしは、PRSNR値が最大となるパルス幅を算出し、トップパルス(Ttop)、クーリングパルス(Tcl)のパルス幅を決定し、そのパルス幅を設定する。
記録マークの始端部に関連するトップパルスと、記録マークの終端部に関連するクーリングパルスと相互に関連をもたせて調整する。記録マークの長さに関係する記録パルス幅パラメータ(トップパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅)を、他の記録パルス幅パラメータ(ミドルパルスのパルス幅、ラストパルスのパルス幅)より先に調整し、決定することによって、記録マークの長さが変化することを防止できる。
すなわち、トップパルスのパルス幅が長すぎたり、短すぎたりした場合には、記録マークの始端部の開始位置がずれることになり、クーリングパルスのパルス幅が長すぎたり、短すぎたりした場合には、記録マークの終端部の後エッジ位置がずれることになり、始端部における誤差と終端部における誤差との各々の誤差を含む累積誤差によって、記録マークの長さが変化する。
これに対して、トップパルス・クーリングパルス同時調整処理ステップでは、相互に一定の関係を持たせているため、累積誤差による影響を回避でき、精度良く記録マークの形成ができる。
続いて、システムコントローラ40は、ステップS105の記録ストラテジの性能が確保されているか否か判定する処理を行う(ステップS106)<第1の性能確保判定処理ステップないしは第1の性能確保判定処理機能>。
ステップS106の判定処理にて、性能が確保されているものと判定された場合には、処理を終了する。一方、ステップS106の判定処理にて、性能が確保されていないものと判定された場合には、ステップS107に進む。
このように、トップパルスのパルス幅とクーリングパルスのパルス幅調整である程度性能が確保されている場合はその段階で調整を終了する。
ここで、この第1の性能確保判定処理ステップは、前記ベース記録ストラテジ調整後であって、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅とクーリングパルスのパルス幅とを同時に調整した後に、前記記録ストラテジの性能が確保されているか否か判定する処理を行うことができる。
以上の過程を経て、トップパルスのパルス幅・クーリングパルスのパルス幅の決定処理による記録ストラテジのパルス幅調整処理が終了する。
(第1のパルス独立調整処理ステップ)
図18に示すように、ステップS106にて、性能が確保されていない場合は、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルス、クーリングパルスのパルス幅を、各々独立にPRSNRを指標に調整を行っていく。
具体的には、システムコントローラ40は、トップパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なトップパルスのパルス幅に決定する(ステップS107)<第1のトップパルス独立幅調整処理ステップないしは第1のトップパルス独立幅調整処理機能>。この第1のトップパルス独立調整処理ステップは、前記第1の性能確保判定処理ステップにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅を、他のパルスのパルス幅と独立に、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に調整する制御を行うことができる。
同様にして、システムコントローラ40は、ミドルパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なミドルパルスのパルス幅に決定する(ステップS108)<第1のミドルパルス独立幅調整処理ステップないしは第1のミドルパルス独立幅調整処理機能>。この第1のミドルパルス独立調整処理ステップは、前記第1の性能確保判定処理ステップにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記記録ストラテジを構成するミドルパルスのパルス幅を、他のパルスのパルス幅と独立に、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に調整する制御を行うことができる。
同様にして、システムコントローラ40は、ラストパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なラストパルスのパルス幅に決定する(ステップS109)<第1のラストパルス独立幅調整処理ステップないしは第1のラストパルス独立幅調整処理機能>。この第1のラストパルス独立調整処理ステップは、前記第1の性能確保判定処理ステップにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記記録ストラテジを構成するラストパルスのパルス幅を、他のパルスのパルス幅と独立に、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に調整する制御を行うことができる。
同様にして、システムコントローラ40は、クーリングパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なラストパルスのパルス幅に決定する(ステップS110)<第1のクーリングパルス独立幅調整処理ステップないしは第1のクーリングパルス独立幅調整処理機能>。この第1のクーリングパルス独立調整処理ステップは、前記第1の性能確保判定処理ステップにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記記録ストラテジを構成するクーリングパルスのパルス幅を、他のパルスのパルス幅と独立に、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に調整する制御を行うことができる。
ここで、以上のステップS107〜ステップS110の各々ステップは、各パルス毎に各々独立して調整する処理であるから、各処理の順序は問わない。これらのステップS107〜ステップS110をまとめて「第1のパルス独立調整処理ステップ」と呼ぶこともできる。この「第1のパルス独立調整処理ステップ」は、前記第1の性能確保判定処理ステップにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅、ミドルパルスのパルス幅、ラストパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅を、各々独立に信号品質評価値(PRSNR値)を指標に調整する制御を行うこともできる。
次いで、システムコントローラ40は、性能が確保されているか否か判定する処理を行う(ステップS111)<第2の性能確保判定処理ステップないしは第2の性能確保判定処理機能>。
ステップS211の判定処理にて、性能が確保されているものと判定された場合には、処理を終了する。一方、ステップS111の判定処理にて、性能が確保されていないものと判定された場合には、ステップS112に進む。
このように、S110までのパルス幅調整である程度性能が確保されている場合はその段階で調整を終了する。ここで、この第2の性能確保判定処理ステップは、前記ベース記録ストラテジ調整後であって、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅、ミドルパルスのパルス幅、ラストパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅を、各々独立に信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に調整した後に、前記記録ストラテジの性能が確保されているか否か判定する処理を行うができる。
(第2のパルス独立調整処理ステップ)
図18に示すように、前記ステップS111にて、それでも、性能が確保されない場合は、記録パターン毎にトップパルス、ミドルパルス、ラストパルス、クーリングパルスのパルス幅を独立に調整していく事で、最適記録ストラテジパラメータに精度良く調整することが出来る。
具体的には、システムコントローラ40は、一の記録パターンについて、トップパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なトップパルスのパルス幅に決定する(ステップS112)<第2のトップパルス独立幅調整処理ステップないしは第2のトップパルス独立幅調整処理機能>。この第2のトップパルス独立調整処理ステップは、前記第2の性能確保判定処理ステップにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅を、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に独立して調整を行うことができる。
同様にして、システムコントローラ40は、一の記録パターンについて、ミドルパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なミドルパルスのパルス幅に決定する(ステップS113)<第2のミドルパルス独立幅調整処理ステップないしは第2のミドルパルス独立幅調整処理機能>。この第2のミドルパルス独立調整処理ステップは、前記第2の性能確保判定処理ステップにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するミドルパルスのパルス幅を、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に独立して調整を行うことができる。
同様にして、システムコントローラ40は、一の記録パターンについて、ラストパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なラストパルスのパルス幅に決定する(ステップS114)<第2のラストパルス独立幅調整処理ステップないしは第2のラストパルス独立幅調整処理機能>。この第2のラストパルス独立調整処理ステップは、前記第2の性能確保判定処理ステップにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するラストパルスのパルス幅を、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に独立して調整を行うことができる。
同様にして、システムコントローラ40は、一の記録パターンについて、クーリングパルスのパルス幅を所定の範囲内にて、所定の間隔で段階的に変化させて記録を行い、記録した記録マークのPRSNRが最も高いパルス幅を最適なラストパルスのパルス幅に決定する(ステップS115)<第2のクーリングパルス独立幅調整処理ステップないしは第2のクーリングパルス独立幅調整処理機能>。この第2のクーリングパルス独立調整処理ステップは、前記第2の性能確保判定処理ステップにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するクーリングパルスのパルス幅を、信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に独立して調整を行うことができる。
次に、システムコントローラ40は、一の記録パターンについて、処理が終了すると、次の他の記録パターンについて、前記ステップ112〜ステップS115同様の調整処理を行っていく。
このようにして、次の他の記録パターンについて、処理が終了すると、さらに他の記録パターンという具合に順次調整を行っていく。
ここで、以上のステップS112〜ステップS115の各々ステップは、記録パターン毎に各パルス毎に各々独立して調整する処理であるから、一の記録パターンにおける各処理の調整順序は問わない。これらのステップS112〜ステップS115をまとめて「第2のパルス独立調整処理ステップ」と呼ぶこともできる。この「第2のパルス独立調整処理ステップ」は、前記第2の性能確保判定処理ステップにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅、ミドルパルスのパルス幅、ラストパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅を、各々独立に信号品質評価値(PRSNR値)を指標に調整を行うこともできる。
このようにして、前記トップパルス・クーリングパルス同時調整処理ステップによる調整でもここで、第1の性能確保判定処理ステプにて性能が確保されていないと判定された場合には、トップパルスのパルス幅を、他のパルスのパルス幅と独立して調整を行うことができる。前記トップパルス・クーリングパルス同時調整処理ステップでは、累積誤差を回避して記録ストラテジの全長と記録マークの全長と長さとしては同じにできるが、開始位置のずれなどによって、記録マークの始端部又は終端部における誤差が依然として残る場合が想定される。そこで、第1のトップパルス独立調整処理ステップにより独立してその開始位置のずれなどを調整することができる。
さらには、トップパルスだけではなく、第1のミドルパルス独立幅調整処理ステップ、第1のラストパルス独立調整処理ステップ、第1のクーリングパルス独立調整処理ステップにより他のパルスも同様に独立して調整可能である。
また、各パルスを独立に調整した後であっても、例えば(k−1)型のパルス列(例えば図11など)のように、記録マーク毎に各々異なる長さの記録マークが連続する場合などには、隣り合う一方の記録マークでの調整は良好だとしても、スペース間の誤差などによって、隣り合う他方の記録マークではづれが生じる可能性が想定される。さらに、記録マーク、スペースが複数交互に連続して形成される状況にあっては、最初の記録マークは良好だとしても、後続の記録マークでは、後になる記録マークほど各スペース間の誤差(又は各記録マークの誤差)などの累積誤差が大きくなる可能性が想定され得る。
これに対して、第2のトップパルス独立調整処理ステップでは、第2の性能確保判定処理ステップにて性能が確保できていないと判定された場合に、一の記録マークに対応するトップパルス、他の記録マークに対応するトップパルス、さらに他の記録マークに対応するトップパルス、・・のうち任意の性能が確保されていないと判定された記録マークに対応する記録ストラテジのトップパルスを、他の記録マークの例えばトップパルスなどとは独立して調整することができる。このため、例えば(k−1)型のパルス列(例えば図11など)のように、記録マークが連続するケースでも好適に調整できる。
さらには、トップパルスだけではなく、第2のミドルパルス独立幅調整処理ステップ、第2のラストパルス独立調整処理ステップ、第2のクーリングパルス独立調整処理ステップにより他のパルスも同様に独立して調整可能である。
すなわち、第2のミドルパルス独立調整処理ステップでは、第2の性能確保判定ステップにて性能が確保できていないと判定された場合に、一の記録マークに対応するミドルパルス、他の記録マークに対応するミドルパルス、さらに他の記録マークに対応するミドルパルス、・・のうち任意の性能が確保されていないと判定された記録マークに対応する記録ストラテジのミドルパルスを、他の記録マークの例えばミドルパルスなどとは独立して調整することができる。
また、第2のラストパルス独立調整処理ステップでは、第2の性能確保判定処理ステップにて性能が確保できていないと判定された場合に、一の記録マークに対応するラストパルス、他の記録マークに対応するラストパルス、さらに他の記録マークに対応するラストパルス、・・のうち任意の性能が確保されていないと判定された記録マークに対応する記録ストラテジのラストパルスを、他の記録マークの例えばラストパルスなどとは独立して調整することができる。
第2のクーリングパルス独立調整処理ステップでは、第2の性能確保判定処理ステップにて性能が確保できていないと判定された場合に、一の記録マークに対応するクーリングパルス、他の記録マークに対応するクーリングパルス、さらに他の記録マークに対応するクーリングパルス、・・のうち任意の性能が確保されていないと判定された記録マークに対応する記録ストラテジのクーリングパルスを、他の記録マークの例えばクーリングパルスなどとは独立して調整することができる。
このため、例えば(k−1)型のパルス列(例えば図11など)のように、記録マークが連続するケースでも好適に調整できる。
このようにして記録ストラテジ調整部による「記録ストラテジ調整ステップ」の処理が終了する。
以上、「ベースパワー調整ステップ(ベースパワー調整処理)」、「ベース記録ストラテジ調整ステップ(ベース記録ストラテジ調整処理)」、「パワー調整ステップ(パワー調整処理)」、「記録ストラテジ調整ステップ(記録ストラテジ調整処理)」、の全工程が終了し、最終的な記録ストラテジ(記録マークの異なる長さに対応する各々について<2T、3T、4T、5T、6T、7T、8T、9T、10T、11Tなど>のトップパルスのパルス幅、ミドルパルスのパルス幅、ラストパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅)、記録パワー、消去パワーなどを含む記録条件が決定される。
このようにして、未知の相変化記録媒体が装填され、記録条件が調整されて記録再生を良好に行うことが可能となる。ここで、この後に、他の種類の未知の相変化記録媒体が新たに装填された場合にも、前記同様の一連の処理が行われることによって記録条件を調整することができる。
ここで、以上のステップS201〜ステップS212により、「パルス幅依存性測定制御ステップ」を構成すこともるできる。この「パルス幅依存性測定制御ステップ」は、互いに異なる少なくとも2つの各消去パワー条件毎に、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を変化させつつテストパターンを各々記録し、該各々のテストパターンからの再生信号変調度を各々測定し、一方の消去パワー条件による一方の再生信号変調度と他方の消去パワー条件による他方の再生信号変調度との差分に関するパルス幅依存性を求める。
また、以上のステップS213により、「ベースパルス幅選択制御ステップ」を構成すすこともできる。この「ベースパルス幅選択制御ステップ」は、前記パルス幅依存性測定制御ステップにて算出された再生信号変調度差分に関する前記パルス幅依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスの最適ベースパルス幅を選択制御する。
ここで、一方の前記消去パワー条件を、殆ど消去パワーを与えない状態の消去パワーとし、他方の前記消去パワー条件は、概ね記録済みマークが消去される消去パワーとした場合には、「パルス幅依存性測定制御ステップ」は、殆ど消去パワーを与えない状態の消去パワーにて記録されたテストパターンの再生信号に基づいて測定される一方の再生信号変調度と、概ね記録済みマークが消去される消去パワーにて記録されたテストパターンの再生信号に基づいて測定される他方の再生信号変調度と、の差分である再生信号変調度差分を、各パルス幅の変化に応じて測定することにより前記再生信号変調度差分のパルス幅依存性を測定制御することができる。
さらに、「ベースパルス幅選択制御ステップ」は、前記再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲内のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択することが好ましい。また、「ベースパルス幅選択制御ステップ」は、前記再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲のうち、最小のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択することが好ましい。
また、「パルス幅依存性測定制御ステップ」は、前記ベース記録ストラテジを構成するトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの全てのパルスのパルス幅を等しくし、前記トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの前縁又は後縁のいずれか一方を一律に変化させることが好ましい。
また、ステップS10Aは、「ベースパワー調整ステップ」に含まれる。「ベースパワー調整ステップ」は、前記ベース記録ストラテジ調整ステップによる前記ベース記録ストラテジのパルス幅調整前に、前記レーザ光のパワーを調整する。また、前記ベース記録ストラテジの記録パワーを変化させて記録を行い、記録された記録マークの再生信号変調度の記録パワー依存性を測定し、該記録パワー依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジに関するパワーを調整する。
さらに、「ベースパワー調整ステップ」は、調整前の前記ベース記録ストラテジを構成するトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスを全て同一のパルス幅で、かつ、消去パワーを零とする条件下で、記録パワーを変化させて再生信号変調度の記録パワー依存性を測定し、前記消去パワーを零に設定して前記記録パワー依存性に基づいて前記ベース記録ストラテジの記録パワーを調整制御することができる。
さらにまた、「ベースパワー調整ステップ」は、前記記録ストラテジの記録パワーを、前記再生信号変調度の記録パワー依存性における飽和値の概ね半分程度の再生信号の変調度が得られる記録パワーに調整制御することができる。
また、記録パワー微調整処理ステップは、前記ベース記録ストラテジ調整後に、前記記録パワーを信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に微調整処理を行う。
同じく、消去パワー微調整処理ステップは、前記ベース記録ストラテジ調整後に、前記消去パワーを信号品質評価値の一例であるPRSNR値を指標に微調整処理を行う。
一方、前記記録ストラテジ調整ステップは、前記ベース記録ストラテジ調整後に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅を相互に一定の対応関係を持たせて特定範囲内で段階的に変化させるように制御し、前記パターン列を構成する記録マークの信号品質評価値の一例であるPRSNR値に基づいて、前記トップパルスのパルス幅と前記クーリングパルスのパルス幅とを同時に調整する制御を行うことができる。
また、以上のステップS202は、「消去パワー条件設定ステップ」に含まれる。この「消去パワー条件設定ステップ」は、少なくとも2つの各前記消去パワー条件を各々設定可能である。
さらに、以上のステップS201は、「パルス幅変更範囲設定ステップ」に含まれる。この「パルス幅変更範囲設定ステップ」は、前記ベース記録ストラテジの前記パルス幅を一律に変化する特定範囲を設定可能である。また、前記パルス幅変更範囲設定ステップは、前記パルス幅を一律に変化させて、前記パルス幅依存性の記録、測定を繰り返す繰り返し回数を設定することができる。
また、ステップS205、ステップS207、ステップS211により、「ベースパルス幅変更記録ステップ」といこともできる。この「ベースパルス幅変更記録ステップ」は、相変化記録媒体上にパルストレイン型の記録ストラテジにて記録パワー、消去パワー、バイアスパワーの少なくとも3値の間で強度変調したレーザ光を照射することで記録マークとスペースによるパターン列を記録する記録条件を決定する場合、前記消去パワーを与えない状態と、前記記録マークが消去される消去パワーを付与した状態との少なくとも2種類の消去パワー条件下で、他の調整に先立って前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成するパルスのパルス幅を一律に変化させつつ記録を行うことができる。
加えて、ステップS206、ステップS208、ステップS209、ステップS211により、「パルス幅依存性測定ステップ」を構成することもできる。この「パルス幅依存性測定ステップ」は、前記2種類の各消去パワー条件下にて各々記録された各パターン列を各々再生し、前記各消去パワー条件下での各再生信号変調度の差に関するパルス幅依存性を測定することができる。この際、ステップS213の「ベースパルス幅選択制御ステップ」で、前記パルス幅依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスの最適ベースパルス幅を決定することができる。
(第1実施の形態の効果)
以上のように本実施の形態によれば、(通常の記録ストラテジ調整の前処理としての)ベース記録ストラテジの調整にて、消去パワー条件に依存せず概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジが決定され、これをもとに他の調整(パワー調整、記録ストラテジ調整)を行うことで、未知の相変化記録媒体であっても局所最適に陥り調整不能となる事態(通常の記録ストラテジ調整すら困難となる事態)を回避でき、以降の記録ストラテジ調整を良好に行うことを可能とする。
また、高密度光ディスクの記録再生装置および記録ストラテジ調整法として、広く適応することができ、記録再生装置の信頼性を著しく高める効果を得ることができる。すなわち、殆ど消去パワーを与えない状態と、概ね記録済みマークが消去される消去パワーの2種類の条件下で、記録ストラテジを構成する全てのパルスのパルス幅を所定の範囲内で一律に変化させつつ記録を行い、再生された記録マークの2条件間での信号変調度の差のパルス幅依存性に基づいてパルス幅として好ましいパルス幅を選択する本願発明を用いることで、記録ストラテジの調整を簡単にすることができ、局所最適に陥る事を回避する事ができる。
上記の方法で記録ストラテジの調整を簡単にする事ができ、局所最適に陥ることを回避する事が出来る理由は、以下の通りである。
図12の矢印で示されたパルス幅(0.3T〜0.5T)ではどの消去パワー(0mW、3mW、6mW)においても再生信号変調度が同程度である事が分かる。また、図12及び図14より、消去パワーに依存せず、ほぼ一定の再生信号変調度が得られるパルス幅から調整を始めたほうが、最終的に高いPRSNR値が得られることがわかる。特に、消去パワーに依存せず、ほぼ一定の変調度が得られるパルス幅のうち、最も小さいパルス幅を中心とした±0.1T(図14では、0.3Tを中心として0.2T〜0.4Tの間)の初期設定において良好な(高い)PRSNR値が得られていることがわかる。
記録マークの大きさに比例する変調度が消去パワーに依存しないということは、記録マーク形成条件と消去条件をほぼ独立に調整することが可能となり、局所最適に落ち込みにくいと考えられる。そのため、消去パワーに依存せず、ほぼ一定の変調度が得られるパルス幅に初期設定すると最適条件が得られると考えられる。
また、変調度が消去パワーに依存しないパルス幅のうち、最も小さいパルス幅を中心にした方が良い理由は、相変化記録媒体の場合、パルス幅を小さくして、昇温後の冷却速度を確保しないと、再結晶化を起こしてしまう可能性が高いためだと考えられる。ここで、再結晶化とは、レーザにより昇温された記録膜がアモルファス(記録マーク)を形成せず、冷却速度の不足から再度結晶(スペース部相当)になってしまう現象で、一般的に記録マークの品質を落とすことが知られている。
消去パワーの2種類の条件下で、記録ストラテジを構成するパルスのパルス幅を一律に変化させつつ記録を行い、再生された記録マークの2条件間での信号変調度の差のパルス幅依存性に基づいて好ましいパルス幅を選択でき、記録ストラテジの調整を簡単かつ正確にすることができ、局所最適に陥る事を回避でき、未知の記録媒体であっても使用できる。
このように、相変化記録媒体上にパルストレイン型記録ストラテジにて強度変調したレーザー光を照射することによってマークとスペースによるパターン列を光照射によって記録及び情報再生を行う情報記録再生装置において、未知の相変化記録媒体が挿入された場合にも、局所最適に陥ることなく、最適に近いパルス幅を求めることができる。
ここで、前記パルスのパルス幅を、変更前の初期段階の初期パルス幅部aと、前記初期パルス幅部aに連なりパルス幅変更される幅変更部bと、を含み、前記幅変更部bがm個(mは0以上の自然数)連なることにより前記パルス幅が変化するように構成した場合、前記再生信号変調度差分をm+1個分測定することになるが、パルス幅a+biを調整する場合において、b(変更幅)を小さく、i(もしくはm:繰り返し回数)を多くすることによって、再生信号変調度差分におけるパルス幅依存性に関するより詳細データが得られるので、b=b1、i=i1にて得られる第1最小パルス幅より、b=b2(<b1)、i=i2(i>i1)にて得られる第2最小パルス幅の方がより最適なパルス幅を精度良く得ることができる。
また、「パルス幅依存性に基づくパルス幅を決定し、記録ストラテジ調整を行う」こと加えて、「記録パワー調整処理ステップ」、「微調整処理ステップ」、「微調整処理ステップ」、「(各パルスの)第1の独立調整ステップ」、「(記録マーク毎に各パルス幅を調整する)第2の独立調整ステップ」などにより、局所最適に陥らないという条件を満たしつつ、精度よく独立して調整を行うことができる。
また、「消去パワー条件に依存せず概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅」を算出する際に、各消去パワー条件下(例えば少なくとも2つの各消去パワー条件下)での再生信号変調度差分に関するパルス幅依存性を測定することにより最適ベースパルス幅を算出する手法を適用する構成によると、前記ベースパルス幅調整制御手段は、前記消去パワー条件切替制御手段及び前記ベースパルス幅変更制御手段に、特定ベースパルス幅にて各前記消去パワー条件毎にテストパターンを各々記録させ、前記パルス幅依存性測定制御手段に、該各々のテストパターンからの再生信号変調度を各々測定させ、各前記再生信号変調度の差分を算出させ、前記ベースパルス幅変更制御手段及び前記パルス幅依存性測定制御手段に、前記各パルスのパルス幅を変化させつつ、記録、測定を繰り返し、前記再生信号変調度の差分に関するパルス幅依存性を算出させ、前記ベースパルス幅選択制御手段に、前記パルス幅依存性に基づいて前記記録ストラテジを構成する各パルスの最適ベースパルス幅を選択させる。
ここで、各消去パワー条件は、2つの異なる消去パワー条件での測定を行う場合に限らず、3以上(例えば3、4、等)の各消去パワー条件での測定を行う場合であってもよい。この際、例えば複数の各再生信号変調度の差分を演算することによってパルス幅依存性が算出可能である。また、2つの異なる消去パワー条件は、例えば図12に示す消去パワー0mWと消去パワー6mWの例に限らず、消去パワー0mWと消去パワー3mWの組み合わせや、消去パワー3mWと消去パワー6mWの組み合わせであってもよいし、さらには、これらの数値に限定されない、他の数値の組み合わせ(2mWと4mW等)であってもよい。
ここで、各消去パワー条件としてより好ましい2条件を定義している。すなわち、一方の前記消去パワー条件は、殆ど消去パワーを与えない状態の消去パワー(例えば図12に示す0mW等)を含み、他方の前記消去パワー条件は、概ね記録済みマークが消去される消去パワー(例えば図12に示す6mW等)を含むことが好ましい。
これにより、消去パワー条件として概ね上限となる値から概ね下限となる値までを考慮した(網羅した)再生信号変調度差分を算出することができる。
すなわち、他の2条件(例えば0mWと3mW等)の再生信号変調度差分では、中間値での消去パワー条件下(例えば0mW〜6mWにおける4mW)での再生信号変調度の情報など網羅されない値が生じ、最適ベースパルス幅の特定範囲の算出の精度が低くなる可能性がある。また、精度を上げようとして、3条件や4条件により測定演算対象を増やそうとすると処理負担が増大して処理速度が低下する可能性がある。
これに対して、殆ど消去パワーを与えない状態の消去パワー(例えば図12に示す0mW等)から概ね記録済みマークが消去される消去パワー(例えば図12に示す6mW等)までを測定演算対象とすることで、2条件という再生信号変調度差分を算出するのに最低限の条件でありながら、消去パワーのとり得る範囲を全て網羅することで、再生信号変調度に関するパルス幅依存性における最適ベースパルス幅を算出する際の演算処理負担を低減して高速化を維持しながらも、演算精度を高めることができる。
ここで、前記パルス幅依存性測定制御手段(例えば図4に示す符号42a)は、前記消去パワー条件切替制御手段の切替制御による消去パワー条件と、前記ベースパルス幅変更制御手段のパルス幅条件とに基づいて、殆ど消去パワーを与えない状態の消去パワーにて記録されたテストパターンの再生信号に基づいて測定される一方の再生信号変調度と、概ね記録済みマークが消去される消去パワーにて記録されたテストパターンの再生信号に基づいて測定される他方の再生信号変調度と、の差分である再生信号変調度差分を、各パルス幅の変化に応じて測定することにより前記再生信号変調度差分のパルス幅依存性を測定制御する。
また、前記ベースパルス幅選択制御手段は、前記再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲内のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択することが好ましい。「最適ベースパルス幅」として、実質変化しないパルス幅範囲内のうちいずれか一つの値を選択することができる。
さらに、前記ベースパルス幅選択制御手段は、前記再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲のうち、最小のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択することが好ましい。ここで、本発明者等は、特に、前記最適ベースパルス幅の特定範囲のうち、最も小さい最適べースパルス幅を中心として良好な(高い)信号品質評価値(例えばPRSNR値など)が得られることが判明した(例えば図14等)。これにより、パルス幅範囲のうち、最小のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択することで、より高い再生信号品質(再生での誤り率の少ない再生信号)とすることが可能である。
また、ベース記録ストラテジ調整手段は、(通常の記録ストラテジ調整の前処理として)、消去パワー条件に依存せず概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジを決定する。この決定されたベース記録ストラテジをもとに、他の調整(パワー調整手段によるパワー調整、記録ストラテジ調整手段による記録ストラテジ調整)を行う。
ここにおいて、「消去パワー条件に依存せず概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅」を算出するには、各消去パワー条件下(例えば少なくとも2つの各消去パワー条件下)での再生信号変調度差分に関するパルス幅依存性を測定する手法(第2の基本的構成など)や、各消去パワー条件下での各再生信号変調度に関するパルス幅依存性を測定する手法などが想定される。
ここで、本発明者等は、記録パワーを特定の値とし一の消去パワー条件で記録した時、一の記録マークを再生することで得られる一の再生信号変調度と、パルス幅の変化と、の相関関係を示す一の消去パワー条件下の再生信号変調度―パルス幅依存性特性(例えば図12に示す消去パワ=0mWにおける特性);さらには、記録パワーを特定の値とし他の消去パワー条件で記録した時、他の記録マークを再生することで得られる他の再生信号変調度と、パルス幅の変化と、の相関関係を示す他の消去パワー条件下での再生信号変調度―パルス幅依存性特性(例えば図12に示す消去パワー=6mWにおける特性);などはそれぞれ、特定のパルス幅範囲で特定の再生信号変調度にて概ね一定となることを見い出した(例えば図12に示す記録ストラテジのパルス幅がおよそ0.3〜およそ0.5に相当する範囲等)。
すなわち、各消去パワー条件に依存せず、概ね一定となる再生信号変調度が得られる特定のパルス幅範囲が存在することとなる。
具体的には、特定の一消去パワー条件下(例えば0mw)で、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を一律に増加させていくと、一特定範囲内のパルス幅にて再生信号変調度が(例えば0.5にて)ほぼ一定となることが分かる。同様に、他の消去パワー条件下(例えば3mw)で、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を一律に増加させていくと、他の特定範囲内のパルス幅にて再生信号変調度が(例えば0.5にて)ほぼ一定となることが分かる。同じく、さらに他の消去パワー条件下(例えば6mw)で、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を一律に増加させていくと、さらに他の特定範囲内のパルス幅にて再生信号変調度が(例えば0.5にて)ほぼ一定となることが分かる。
さらに、本発明者等は、各消去パワー条件での各再生信号変調度の差分と、パルス幅の変化と、の相関関係を示す各消去パワー条件下での再生信号変調度差分―パルス幅依存性特性;にて、再生信号変調度差分が概ね零となる特定のパルス幅範囲が存在することを確認した(例えば図13等)。
また、本発明者等は、記録ストラテジの記録調整の初期値のパルス幅(ベース記録ストラテジのパルス幅)を変化させ、記録パワー、消去パワー調整後のPRSNR値と前記パルス幅との関係を確認した。これによると、消去パワーに依存せず、概ね一定の再生信号変調度が得られるパルス幅をベース記録ストラテジとして調整を行うと、最終的に高いPRSNR値が得られることが判明した(例えば図14等)。
この際、最適ベースパルス幅として図13に示す特性において、再生信号変調度の差分が概ね一定(ほぼ0)になる範囲のうち、パルス幅が最小となる(再生信号変調度に関するパルス幅依存性が<依存しない非依存部分に>変わる特徴点となる)例えば0.3Tを「最適ベースパルス幅」とすると、図14に示すように、PRSNR値が最大となることが判明した。
図13及び図14をみると、再生信号変調度が概ね一定となる範囲(ほぼ0になる範囲)の中でも、パルス幅が0.6Tや0.5TではPRSNR値が低く、局所最適に陥る可能性があり、パルス幅が0.4TでもPRSNR値が20程度となっているが、パルス幅が0.25T、0、3T、0、35Tでは、PRSNR値はきわめて高く、特にパルス幅が0、3TではPRSNR値が最大となっている。このPRSNR値が最大となっているパルス幅は、図13の特性では、再生信号変調度の差分が概ね一定(ほぼ0)になる範囲のうちパルス幅が最小となる(再生信号変調度に関するパルス幅依存性が<依存しない非依存部分に>変わる特徴点となる)箇所である。
この結果、テストパターンの記録マークの大きさに比例する変調度の値が一定で変化しないということは、特定のパルス幅範囲では、如何なる消去パワーを用いても、記録マークの大きさが一定(記録マークの大きさに影響を与えない)ことを意味する。
すなわち、記録マークの大きさに比例する変調度が、消去パワーに依存しないということは、前記最適べースパルス幅の範囲で記録マーク形成条件と消去条件とを独立に調整可能であり、局所最適に落ち込みにくいことを意味する。そのため、消去パワーに依存しない概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅範囲内にて、最適ベースパルス幅を初期設定すると、局所最適を防止できる最適条件が得られる。
このように、未知の記録媒体であっても局所最適に陥り再生不能となる事態(通常の記録ストラテジ調整すら困難となる事態)を回避でき、以降の記録ストラテジ調整を良好に行うことができる。
また、前記ベースパルス幅変更制御手段は、前記ベース記録ストラテジを構成するトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの全てのパルスのパルス幅を等しくし、前記トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの前縁又は後縁のいずれか一方を一律に変化させることが好ましい。これにより、パルス幅依存性を測定する際の測定精度が向上できる。
さらに、ベース記録ストラテジの最適ベースパルス幅を決定するための調整を行う前に、さらなる前処理としてパワー(例えば記録パワー)をある程度調整しておく必要がある。このベースパワー調整手段による調整の際には、再生信号変調度に関する記録パワー依存性に基づいて、記録パワーを決定する。記録パワー依存性は、最適ベースパルス幅決定前の特定のパルス幅よりなるベース記録ストラテジにて、記録パワーを変化させて記録を行い、記録された記録マークの再生信号変調度と、記録パワーとの相関関係を測定により求めることで取得できる。
また、前記記録パワー依存性測定制御手段は、調整前の前記ベース記録ストラテジを構成するトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスを全て同一のパルス幅で、かつ、消去パワーを零とする条件下で、記録パワーを変化させて再生信号変調度の記録パワー依存性を測定することが好ましい。このため、前記ベースパワー調整制御手段は、前記消去パワーを零に設定し、前記記録パワー依存性に基づいて前記ベース記録ストラテジの記録パワーを調整制御する。これにより、記録パワー依存性における測定精度を高めることができる。
この際、前記ベースパワー調整制御手段は、前記記録ストラテジの記録パワーを、前記再生信号変調度の記録パワー依存性における飽和値の概ね半分程度の再生信号の変調度が得られる記録パワーに調整制御することが好ましい。
以上のような局所最適を回避できる最適ベースパルス幅よりなるベース記録ストラテジに基づいて、以下に示す「パワー調整手段」による調整、「記録ストラテジ調整手段」による調整の具体的処理を、未知の記録媒体であっても(調整すら困難な局所最適に陥ることなく<信号品質評価指標すら利用できない事態を回避して>)、好適に実施できる。
すなわち、前記パワー調整手段は、前記ベース記録ストラテジ調整後に、前記記録パワーをPRSNR値を指標に微調整処理を行う記録パワー微調整処理手段(例えば図8に示す符号43a)を含むことができる。
この「微調整処理」では、前記最適ベースパルス幅よりなるベース記録ストラテジを利用して、例えば、記録パワーを特定の範囲内にて特定の間隔で段階的に変化させ等により調整を行う。そして、高いPRSNR値となる記録パワーを決定する。
これにより、局所最適に陥り調整困難な事態を回避しつつ、記録パワーの調整を信号品質評価値であるPRSNR値をもとに好適に行うことができる。また、信号品質評価値としてPRSNR値を用いることで、例えばHD−DVDやBD等の(超)高密度の相変化記録媒体の再生信号の品質を評価することができる。
また、前記パワー調整手段は、前記ベース記録ストラテジ調整後に、前記消去パワーをPRSNR値を指標に微調整処理を行う消去パワー微調整処理手段(例えば図8に示す符号43b)を含むことが好ましい。消去パワーについても、記録パワー同様に微調整を行うことができる。
また、前記記録ストラテジ調整手段は、前記ベース記録ストラテジ調整後に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅を相互に一定の対応関係を持たせて特定範囲内で段階的に変化させるように制御し、前記パターン列を構成する記録マークのPRSNR値に基づいて、前記トップパルスのパルス幅と前記クーリングパルスのパルス幅とを同時に調整する制御を行うトップパルス・クーリングパルス同時調整処理手段(例えば図9に示す符号44a)を含むことが好ましい。
ここにおいて、記録マークの始端部に関連するトップパルスと、記録マークの終端部に関連するクーリングパルスと相互に関連をもたせて調整する。記録マークの長さに関係する記録パルス幅パラメータ(トップパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅)を、他の記録パルス幅パラメータ(ミドルパルスのパルス幅、ラストパルスのパルス幅)より先に調整し、決定することによって、記録マークの長さが変化することを防止できる。
すなわち、トップパルスのパルス幅が長すぎたり、短すぎたりした場合には、記録マークの始端部の開始位置がずれることになり、クーリングパルスのパルス幅が長すぎたり、短すぎたりした場合には、記録マークの終端部の後エッジ位置がずれることになり、始端部における誤差と終端部における誤差との各々の誤差を含む累積誤差によって、記録マークの長さが変化する。
これに対して、トップパルス・クーリングパルス同時調整処理手段では、相互に一定の関係を持たせているため、累積誤差による影響を回避でき、精度良く記録マークの形成ができる。
また、前記記録ストラテジ調整手段(例えば図3、図9に示す符号44など)は、前記ベース記録ストラテジ調整後であって、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅とクーリングパルスのパルス幅とを同時に調整した後に、前記記録ストラテジの性能が確保されているか否か判定する処理を行う第1の性能確保判定処理手段(例えば図9に示す符号44jなど)と、前記第1の性能確保判定処理手段にて性能が確保されていないと判定された場合に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅を、他のパルスのパルス幅と独立に、PRSNR値を指標に調整する制御を行う第1のトップパルス独立調整処理手段(例えば図9に示す符号44k)と、を含むことが好ましい。
これにより、前記トップパルス・クーリングパルス同時調整処理手段による調整を行った後に、第1の性能確保判定処理手段にて性能が確保されていないと判定された場合には、トップパルスのパルス幅を、他のパルスのパルス幅と独立して調整を行うことができる。前記トップパルス・クーリングパルス同時調整処理手段では、累積誤差を回避して記録ストラテジの全長と記録マークの全長と長さとしては同じにできるが、開始位置のずれなどによって、記録マークの始端部又は終端部における誤差が依然として残る場合が想定される。そこで、第1のトップパルス独立調整処理手段により独立してその開始位置のずれなどを調整することができる。
また、前記記録ストラテジ調整手段は、前記ベース記録ストラテジ調整後であって、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅、ミドルパルスのパルス幅、ラストパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅を、各々独立にPRSNR値を指標に調整した後に、前記記録ストラテジの性能が確保されているか否か判定する処理を行う第2の性能確保判定処理手段(例えば図9に示す符号44kなど)と、前記第2の性能確保判定処理手段にて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅を、PRSNR値を指標に独立して調整を行う第2のトップパルス独立調整処理手段(例えば図9に示す符号44f)と、を含むことが好ましい。
ここにおいて、各パルスを独立に調整した後であっても、例えば(k−1)型のパルス列(例えば図11など)のように、記録マーク毎に各々異なる長さの記録マークが連続する場合などには、隣り合う一方の記録マークでの調整は良好だとしても、スペース間の誤差などによって、隣り合う他方の記録マークではづれが生じる可能性が想定される。さらに、記録マーク、スペースが複数交互に連続して形成される状況にあっては、最初の記録マークは良好だとしても、後続の記録マークでは、後になる記録マークほど各スペース間の誤差(又は各記録マークの誤差)などの累積誤差が大きくなる可能性が想定され得る。
これに対して、第2のトップパルス独立調整処理手段では、第2の性能確保判定処理手段にて性能が確保できていないと判定された場合に、一の記録マークに対応するトップパルス、他の記録マークに対応するトップパルス、さらに他の記録マークに対応するトップパルス、・・のうち任意の性能が確保されていないと判定された記録マークに対応する記録ストラテジのトップパルスを、他の記録マークの例えばトップパルスなどとは独立して調整することができる。このため、例えば(k−1)型のパルス列(例えば図11など)のように、記録マークが連続するケースでも好適に調整できる。さらには、トップパルスだけではなく、他のパルスも同様に独立して調整可能である。
さらには、トップパルスだけではなく他のパルスも同様に独立して調整可能である。すなわち、前記記録ストラテジ調整手段は、前記第2の性能確保判定処理手段にて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するミドルパルスのパルス幅を、PRSNR値を指標に独立して調整を行う第2のミドルパルス独立調整処理手段(例えば図9に示す符号44g)を含むことが好ましい。
また、前記記録ストラテジ調整手段は、前記第2の性能確保判定処理手段にて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するラストパルスのパルス幅を、PRSNR値を指標に独立して調整を行う第2のラストパルス独立調整処理手段(例えば図9に示す符号44h)を含むことが好ましい。
また、前記記録ストラテジ調整手段は、前記第2の性能確保判定処理手段にて性能が確保されていないと判定された場合に、前記パターン列を構成する記録マーク毎に、前記記録ストラテジを構成するクーリングパルスのパルス幅を、PRSNR値を指標に独立して調整を行う第2のクーリングパルス独立調整処理手段(例えば図9に示す符号44i)を含むことが好ましい。
さらに、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を可能な限り大きく設定することが望ましい。これは、トップパルス,ミドルパルス,ラストパルスのパルス幅(Ttop、Tmp、Tlp)を大きく設定することにより、記録パワーを低減することが可能となり、記録パワーの低減により、XE及びXTを抑えることが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明にかかる第2の実施の形態について、図28乃至図29に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態と実質的に同様の構成ないしは処理手順に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図28は、本発明の記録装置を情報記録再生装置に適用した第2の実施の形態の一部の構成の一例を示すブロック図である。
本実施の形態では、「消去パワー設定条件」や「パルス幅変更範囲」などを設定可能とする構成を開示している。ここで、図28において、前記第1の実施の形態と同様の構成については、同様の符号が付してある。
具体的には、本実施の形態の情報記録再生装置の構成では、図28に示すように、ベース記録ストラテジ調整部42に対して種々のパラメータを設定可能な設定部80を含んで構成している。
設定部80は、図29に示すように、各消去パワー設定条件のうち一方の消去パワー設定条件である第1の消去パワーを設定可能な第1の消去パワー設定部81と、各消去パワー設定条件のうち他方の消去パワー設定条件である第2の消去パワーを設定可能な第2の消去パワー設定部82と、ベース記録ストラテジの調整における初期パルス幅aを設定可能な初期パルス幅設定部83と、ベース記録ストラテジの調整におけるパルス幅変更間隔bを設定可能なパルス幅変更間隔設定部84と、ベース記録ストラテジの調整における繰り返し回数mを設定可能な繰り返し回数設定部85と、を含んで構成される。
また、システムコントローラ40のベース記録ストラテジ調整部42の内部構成は、図28に示すように、前記第1の実施の形態同様の構成である、パルス幅依存性測定器42aと、ベースパルス幅選択器42bと、消去パワー切り替え器42cと、ベースパルス幅変更器42dの構成に加え、消去パワー設定条件設定制御部42fと、パルス幅変更範囲設定制御部42gと、これらの各部を制御するベースパルス幅調整制御部42eと、を含んで構成される。
消去パワー設定条件設定制御部42fは、要求に基づいて、消去パワー切り替え器47に対して第1の消去パワーを設定制御する処理を行う第1の消去パワー設定制御部42f―1と、要求に基づいて、消去パワー切り替え器42cに対して第1の消去パワーと異なる第2の消去パワーを設定制御する処理を行う第2の消去パワー設定制御部42f―2と、を含んで構成される。
パルス幅変更範囲設定制御部42gは、要求に基づいて、初期パルス幅aを設定制御する処理を行う初期パルス幅設定制御部42g−1と、要求に基づいて、パルス幅変更間隔bを設定制御する処理を行うパルス幅変更間隔設定制御部42g−2と、要求に基づいて、パルス幅依存性を測定するための繰り返し回数m(測定回数はm+1)を設定制御する処理を行う繰り返し回数設定制御部42g−3と、を含んで構成される。
ここで、前記第1の消去パワー設定部81と前記第2の消去パワー設定部82により、「消去パワー条件設定手段」を構成することもできる。この「消去パワー条件設定手段」は、少なくとも2つの各前記消去パワー条件を各々設定可能である。この際、ベース記録ストラテジ調整手段の一例であるベース記録ストラテジ調整部42は、前記消去パワー条件設定手段にて設定された各消去パワー条件に基づいて、前記パルス幅依存性の測定を行うことができる。
また、前記初期パルス幅設定部83と前記パルス幅変更間隔設定部84と前記繰り返し回数設定部85とにより、「パルス幅変更範囲設定手段」を構成することもできる。この「パルス幅変更範囲設定手段」は、前記ベース記録ストラテジの前記パルス幅を一律に変化する特定範囲を設定可能である。この際、前記ベース記録ストラテジ調整手段の一例であるベース記録ストラテジ調整部42は、前記パルス幅変更範囲設定手段にて設定された特定範囲に基づいて、前記パルス幅依存性の測定を行う。
さらに、前記繰り返し回数設定部85は、「繰り返し回数設定手段」の一例とすることもできる。この「繰り返し回数設定手段」は、前記パルス幅を一律に変化させて、記録、測定を繰り返す繰り返し回数を設定可能である。この際、前記ベース記録ストラテジ調整手段の一例であるベース記録ストラテジ調整部42は、前記繰り返し回数設定手段にて設定された繰り返し回数に基づいて、前記パルス幅依存性の測定を行う。
上述のような構成からなるシステムコントローラの内部構成において、概略以下のように動作する。すなわち、消去パワー切り替え器42cは、LD駆動系74(LD Driver System)を制御し、第1の消去パワー設定制御部49b−1にて設定された第1の消去パワーと、第2の消去パワー設定制御部49b−2にて設定された第2の消去パワーとの消去パワーの切り替えを行う。また、ベースパルス幅変更器42dは、LD駆動系74(LD Driver System)を制御し、記録ストラテジのパルス幅変更を行う。
ここで、第1の消去パワー、第2の消去パワーは、それぞれ、第1の消去パワー設定制御部49b−1、第2の消去パワー設定制御部49b−1の機能により設定可能となっている。この設定は、「要求」に基づいて行われるが、図示しない入力部から設定してもよいし、ネットワークを介して他の通信装置から設定データが供給されてもよいし、システムコントローラ内のメモリ等に予め複数のパターンが記憶されたものが、プログラムの実行とともに選択的に設定されるようにしてもよい。
また、初期パルス幅a、パルス幅変更間隔b、繰り返し回数mについてのデ−タも、消去パワーの設定データ同様に、種々の設定手法が想定される。
さらに、初期パルス幅設定制御部42g−1は、設定部80の初期パルス幅設定部83にて設定された設定初期パルス幅に基づいて、特定の記憶領域に書き込む処理を行い、初期パルス幅aを設定制御する処理を行う。
パルス幅変更間隔設定制御部42g−2は、設定部80のパルス幅変更間隔設定部84にて設定された設定パルス幅変更間隔に基づいて、特定の記憶領域に書き込む処理を行い、パルス幅変更間隔bを設定制御する処理を行う。
繰り返し回数設定制御部42g−3は、設定部80の繰り返し回数設定部85にて設定された設定繰り返し回数に基づいて、特定の記憶領域に書き込む処理を行い、パルス幅依存性を測定するための繰り返し回数m(測定回数はm+1)を設定制御する処理を行う。
以上のように本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、繰り返し回数などが設定可能であるので、例えば前記パルスのパルス幅を、変更前の初期段階の初期パルス幅部aと、前記初期パルス幅部aに連なりパルス幅変更される幅変更部bと、を含み、前記幅変更部bがm個(mは0以上の自然数)連なることにより前記パルス幅が変化するように構成した場合、前記再生信号変調度差分をm+1個分測定することになるが、パルス幅a+biを調整する場合において、b(変更幅)を小さく、i(もしくはm:繰り返し回数)を多くすることによって、再生信号変調度差分におけるパルス幅依存性に関するより詳細データが得られるので、b=b1、i=i1にて得られる第1最小パルス幅より、b=b2(<b1)、i=i2(i>i1)にて得られる第2最小パルス幅の方がより最適なパルス幅を精度良く得ることができる。
その他の構成およびその他のステップ並びにその作用効果については、前述した第1の実施の形態の場合と同一となっている。
また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容および各部をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
[第3の実施の形態]
次に、本発明にかかる第3の実施の形態について、図30に基づいて説明する。ここで、以下には、前記第1及び第2の実施の形態と実質的に同様の構成ないしは処理手順に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。ただし、説明を省略するからといって、前記第1及び第2の実施の形態の構成要件や処理手順がないことを意味するものではない。図30は、本発明の情報記録再生装置の第3の実施の形態の一例を示すブロック図である。
上述の第1の実施の形態では、例えばHD DVD用のレーザ、及び受光部(検出部)を1つずつ設ける構成としたが、本実施の形態では、複数のレーザ、及び複数の受光部を各々設ける構成としている。
具体的には、情報記録再生装置100は、図30に示すように、上述の第1の実施の形態と同様の構成である光ディスク178と、RF回路部120と、復調器130と、システムコントローラ140と、変調器172と、LD駆動系174と、を含む構成に加え、本実施の形態の特徴である、第1のレーザ112aと、第2のレーザ112bと、第3のレーザ112cと、第1の受光部116aと、第2の受光部116bと、第3の受光部116cと、種々の光学系110と、を含んで構成される。
本第2の実施の形態の情報記録再生装置100は、波長405nmの青色光と実効的開口数(対物レンズの形状と対物レンズへの入射光のビーム径によって決定する開口数である。以下、NAとする。)が0.85の対物レンズとを用いた記録再生を前提にした規格のBlu−ray Disk(以下、BDとする)と、波長405nmの青色光とNA0.65の対物レンズとを前提にした規格のHD DVDと、波長650nmの赤色光とNA0.60の対物レンズとを前提にした規格のDVDと、波長780nmの赤外光とNA0.50の対物レンズをと前提にした規格のCDとに対応してデータを記録再生する光ディスク装置である。
より詳細には、本第2の実施の形態の情報記録再生装置100は、図30に示すように、波長が異なる複数のレーザ光のいずれかを出力する発光手段として、波長405nmの青色光を発光する第1のレーザ112aと、波長650nmの赤色光を発光する第2のレーザ112bと、波長780nmの赤外光を発光する第3のレーザー112cと、を含んで構成される。
また、情報記録再生装置100は、第1のレーザ112aから出力されるレーザ光が第1の種類の光ディスク178上に記録マークを書き込み、その記録マークからの戻り光を検出する第1の受光部116aと、第2のレーザ112bから出力されるレーザ光が第2の種類の光ディスク178上に記録マークを書き込み、その記録マークからの戻り光を検出する第2の受光部116bと、第3のレーザ112cから出力されるレーザ光が第3の種類の光ディスク178上に記録マークを書き込み、その記録マークからの戻り光を検出する第3の受光部116cと、を含んで構成される。
ここで、第1のレーザ112a、第2のレーザ112b、第3のレーザー112cと光ディスク178との間、第1の受光部116a、第2の受光部116b、第3の受光部116cと光ディスクとの間には、種々の光学系110が構成されている。
この「種々の光学系」としては、第1のレーザ112aから出射(発光)される出射光が光ディスク178に到達し、反射した戻り光が第1の受光部116aに到達し、かつ、第2のレーザ112bから出射(発光)される出射光が光ディスク178に到達し、反射した戻り光が第2の受光部116bに到達し、かつ、第3のレーザ112aから出射(発光)される出射光が光ディスク178に到達し、反射した戻り光が第3の受光部116aに到達するそれぞれの光軸が形成される構成であればよく、例えば、ビ−ムスプリッターや対物レンズ、凹レンズ、凸レンズ、種々のミラー、あるいはこれらの各部を駆動するレンズ駆動部、などを用いて構成することが好ましい。
本第2の実施の形態の情報記録再生装置100においては、第1のレーザ112aからの青色光は、種々の光学系110を介して光ディスク178上に焦点を結ぶ。光ディスク178上で反射された光は、種々の光学系110を介して第1の受光部116aに導かれ、電気信号に変換される。
第2のレーザ112bからの赤色光は、種々の光学系110を介して光ディスク178上に焦点を結ぶ。光ディスク178上で反射された光は、種々の光学系110を介して第2の受光部116bに導かれ、電気信号に変換される。
第3のレーザ112cからの赤外光は、種々の光学系110を介して光ディスク178上に焦点を結ぶ。光ディスク178上で反射された光は、種々の光学系110を介して第3の受光部116cに導かれ、電気信号に変換される。
また、HD DVD・DVD・CD用対物レンズが、波長405nmの青色光に対してはNA0.65、波長650nmの赤色光に対してはNA0.60、波長780nmの赤外光に対してはNA0.50になるように、または、BD用対物レンズがNA0.85となるように、対物レンズへの入射光のビーム径を波長に応じて特定されるように光ヘッド部内の種々の光学系110が構成されている。
LD駆動系174は、第1のレーザー112a、第2のレーザー112b、第3のレーザー112cの発光又は消光を制御する。システムコントローラ140は、光ディスク装置100の全体動作を統括する。
本第2の実施の形態の情報記録再生装置100においても、第1の実施の形態と同様に、システムコントローラ140は、LD駆動系174及びサーボコントローラ(本例では不図示)を制御することで、第1のレーザー112aからのレーザ光をHD DVD・DVD・CD用対物レンズを介して光ディスク178に集光照射させる。
ここで、システムコントローラ140は、RF回路部120で生成されるフォーカスエラー信号を入力してフォーカスS字信号を検出しこのフォーカスS字信号に基づいて光ディスク178を判別する相変化媒体種別判別手段としての機能と、その判別結果に従って対物レンズと光ディスク178との位置を制御する機能と、を含んでよい。
光ディスク178の記録層には、媒体種別情報を記録した領域としてBCA(Burst Cutting Area)が設けられている場合があり、フォーカスS字信号に基づいて光ディスクの情報記録層の層数が特定されると、システムコントローラ140は、LD駆動系174を制御して、光ディスク178における1つ又は複数の情報記録層のうちの特定の情報記録層に存在するBCAに媒体種別情報が記憶されているか否かを判定し、媒体種別情報の有無によって光ディスク178の種類を判別する媒体種別情報手段としての機能と、BCAに媒体種別情報が記憶されている場合に媒体種別情報を読み込み光ディスク178の種類を判別する媒体種別情報読込手段としての機能と、を有している。
本第2の実施の形態の情報記録再生装置100においては、HD DVD,DVD,CD用としてWDを1.5mmとする対物レンズを用い、BD用にWDを0.7mmとする対物レンズを用いることが好ましい。
システムコントローラ140内には、前記第1の実施の形態と同様の構成である、ベースパワー調整部141、ベース記録ストラテジ調整部142、パワー調整部143、記録ストラテジ調整部144、信号品質判定制御部145などからなるHD―DVDなどの高密度相変化記録媒体の記録条件を調整可能なHD―DVD用ストラテジ調整部140A(第1種相変化記録媒体記録条件調整手段)と、CD/DVDなどの相変化記録媒体の記録条件を調整可能なCD/DVD用ストラテジ調整部140B(第2種相変化記録媒体記録条件調整手段)と、光ディスクの判別結果に基づいて、HD―DVD用ストラテジ調整部140AとCD/DVD用ストラテジ調整部140Bとを切替制御する切替制御部140Cと、を含んで構成される。
ここで、HD―DVD用ストラテジ調整部140A内のベース記録ストラテジ調整部142には、前記第1の実施の形態と同様の構成である、パルス幅依存性測定器、ベースパルス幅選択器、消去パワー切り替え器、ベースパルス幅変更器、ベースパルス幅調整制御部などを含んでいる(第1の実施の形態の図4を参照:本実施の形態では省略)。さらに、ベースパワー調整部141には、前記第1の実施の形態と同様の構成である、パワー依存性測定器、パワー変更器、パワー依存性測定用パルス幅変更器、ベースパワー調整制御部などを含んでいる(第1の実施の形態の図6を参照:本実施の形態では省略)。
ここで、システムコントローラ140は、光ディスク178の判別結果に基づいて、光ディスクがHD―DVDであることが判別されると、切替制御部140CによってHD―DVD用ストラテジ調整部140Aを機能させる。また、システムコントローラ140は、HD−DVDに対応する第1のレーザ112a、第1の受光部116a、種々の光学系110内のHD DVD用WD=1.5mmとする対物レンズ(不図示)を機能させる。これによって、光経路が決定すると、HD―DVD用ストラテジ調整部140Aによる調整を開始する。調整の具体的内容は、前記第1の実施の形態同様なので省略する。
また、システムコントローラ140は、光ディスク178の判別結果に基づいて、光ディスクがBDであることが判別されると、切替制御部140CによってHD―DVD用ストラテジ調整部140Aを機能させる。また、システムコントローラ140は、BDに対応する第1のレーザ112a、第1の受光部116a、種々の光学系110内のBD用WD=0.7mmとする対物レンズ(不図示:駆動機構により移動させる)を機能させる。これによって、光経路が決定すると、HD―DVD用ストラテジ調整部140AによるBD用相変化記録媒体の調整を開始する。調整の具体的内容は、前記第1の実施の形態同様なので省略する。
さらに、システムコントローラ140は、光ディスク178の判別結果に基づいて、光ディスクがDVDであることが判別されると、切替制御部140CによってCD/DVD用ストラテジ調整部140Bを機能させる。また、システムコントローラ140は、DVDに対応する第2のレーザ112b、第2の受光部116b、種々の光学系110内のWD=1.5mmとする対物レンズ(不図示:駆動機構により移動させる)を機能させる。これによって、光経路が決定すると、CD/DVD用ストラテジ調整部140Bによる相変化記録媒体の調整を開始する。調整は、平均的な記録ストラテジであってもよいし、本発明の機能を組み込んだものであってもよい。
加えて、システムコントローラ140は、光ディスク178の判別結果に基づいて、光ディスクがCDであることが判別されると、切替制御部140CによってCD/DVD用ストラテジ調整部140Bを機能させる。また、システムコントローラ140は、CDに対応する第3のレーザ112c、第3の受光部116c、種々の光学系110内のWD==1.5mmとする対物レンズ(不図示:駆動機構により移動させる)を機能させる。これによって、光経路が決定すると、CD/DVD用ストラテジ調整部140Bによる相変化記録媒体の調整を行う。
上述のような構成からなる情報記録再生装置において、システムコントローラは、概略以下のように動作する。
すなわち、光ディスク178が第1の種類(例えば、HD DVD、BD等)であると判別されると、第1のレーザー112aを用いて記録ストラテジの記録マークの記録を行う。戻り光は、第1の受光部116aにて受光され、ベース記録ステラテジ調整部142内のパルス幅依存性測定器にて、第1の種類におけるパルス幅依存性が測定され、ベース記録ステラテジ調整部142内のベースパルス幅選択器にて最適ベースパルス幅が選択される。ベース記録ステラテジ調整部142内のベースパルス幅変更器は、最適ベースパルス幅となるベース記録ストラテジの記録信号を生成する。その後は、前記第1の実施の形態同様に種々の処理が行われる。
以上のように本第3の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、記録媒体の種類を判別しつつ、未知の記録媒体に対する記録ストラテジのパルス幅調整を局所最適に陥ることなく、記録条件の調整を行うことができる。
その他の構成およびその他のステップ並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。
また、上記の説明において、上述した各ステップおよび各部の動作内容をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
(第3の実施の形態の一変形例)
ここで、この第3の実施の形態では、システムコントローラ内の構成として、HD−DVD用ストラテジ調整部とCD/DVD用ストラテジ調整部とを各々構成する場合の例を示したがこれに限るものではなく、1つのストラテジ調整部(複数種兼用ストラテジ調整部:図示せず)として構成してもよい(図30においてシステムコントローラ140内に形成すればよく、以下、図30を代用して説明する)。
この場合、「複数種兼用ストラテジ調整部」は、前記第1の実施の形態同様に、ベースパワー調整部、ベース記録ストラテジ調整部、パワー調整部、記録ストラテジ調整部、信号品質判定制御部を含んで構成されればよい。そして、ベース記録ストラテジ調整部には、前記第1の実施の形態同様、パルス幅依存性測定器、ベースパルス幅選択器、消去パワー切り替え器、ベースパルス幅変更器、ベースパルス幅調整制御部などを含んでいる。さらに、ベースパワー調整部には、前記第1の実施の形態と同様の構成である、パワー依存性測定器、パワー変更器、パワー依存性測定用パルス幅変更器、ベースパワー調整制御部などを含んでいる。
このような構成にて、システムコントローラ内のベース記録ストラテジ調整部のパルス幅依存性測定器は、光ディスク178の判別結果に基づいて、3つの受光部のうちのいずれか一つからの再生信号の変調度を測定する。これによって、再生信号変調度差分を算出し、再生信号変調度に関するパルス幅依存性を測定する。
システムコントローラ140内のベース記録ストラテジ調整部のベースパルス幅変更器は、光ディスクの判別結果に基づいて、3つのレーザのうちいずれか一つのレーザを駆動するようレーザ駆動系が制御されると、いずれか一つのレーザに対するベース記録ストラテジのパルス幅を、パルス幅依存性測定器にて測定されたパルス幅依存性に基づいて、最適ベースパルス幅に変更する制御を行う。
これにより、ベース記録ストラテジ調整部は、光ディスクの判別結果に基づいて、3つの受光部のうちいずれか一つ受光部からの再生信号に基づき、再生信号変調度差分を算出し、パルス幅依存性に基づく最適ベースパルス幅にてベース記録ストラテジを生成し、3つのレーザのうちいずれか一つのレーザを駆動して、該記録ストラテジを供給する。
また、別の一局面では、ベース記録ストラテジ調整が行われる前に、システムコントローラ内のベースパワー調整部のパワー依存性測定器は、光ディスクの判別結果に基づいて、3つの受光部のうちのいずれか一つからの再生信号の変調度を測定する。これによって、変調度に関するパワー依存性を測定する。
システムコントローラ内のベースパワー調整部のパワー変更器は、光ディスクの判別結果に基づいて、3つのレーザのうちいずれか一つのレーザを駆動するようレーザ駆動系が制御されると、いずれか一つレーザに対するベース記録ストラテジの記録パワーを、パワー依存性測定器にて測定されたパワー依存性に基づいて、最適ベースパワーに変更する制御を行う。
これにより、パワー調整部は、光ディスクの判別結果に基づいて、3つの受光部のうちいずれか一つの受光部からの再生信号に基づき、変調度を算出し、パワー依存性に基づく最適ベースパワーにてベース記録ストラテジを生成し、3つのレーザのうちいずれか一つのレーザを駆動して、該ベース記録ストラテジを供給する。
このような構成では、光ディスク178が第1の種類(例えばHD―DVD等)の場合には、第3の実施の形態の上述した動作と同様であるが、光ディスク178が第2の種類(例えばDVD等)であると判別されると、第2のレーザー112bを用いてベース記録ストラテジの記録マークの記録を行う。戻り光は、第2の受光部116bにて受光され、ベース記録ステラテジ調整部内のパルス幅依存性測定器にて、第2の種類におけるパルス幅依存性が測定され、ベース記録ステラテジ調整部内のベースパルス幅選択器にて最適ベースパルス幅が選択される。ベースパルス幅変更器は、最適ベースパルス幅となるベース記録ストラテジの記録信号を生成する。
同様に、光ディスク178が第3の種類(例えばCD等)であると判別されると、LD駆動系174は第3のレーザ112cを駆動させ、第3のレーザー112cを用いてテストパターンのベース記録ストラテジの記録マークの記録を行う。戻り光は、第3の受光部116cにて受光され、ベース記録ステラテジ調整部内のパルス幅依存性測定器にて、第3の種類におけるパルス幅依存性が測定され、ベース記録ステラテジ調整部内のベースパルス幅選択器にて最適ベースパルス幅が選択される。ベース記録ステラテジ調整部内のベースパルス幅変更器は、最適ベースパルス幅となるベース記録ストラテジの記録信号を生成する。
このようにして、光ディスクの種類に応じて、レーザ及び受光部の組み合わせを適宜変更し、それに応じてパルス幅依存性測定器、ベースパルス幅選択器、ベースパルス幅変更器、消去パワー切り替え器、パワー依存性測定器、などにて演算されるデータが適宜変更され、光ディスクの種類に応じたベースパルス幅調整、ベースパワー調整を行ってよい。
この際、光ディスク178が第1の種類の場合には、第1の種類に応じた最適ベースパルス幅でのベース記録ストラテジが生成され、光ディスク178が第2の種類の場合には、第2の種類に応じた最適ベースパルス幅でのベース記録ストラテジが生成され、光ディスク178が第3の種類の場合には、第3の種類に応じた最適ベースパルス幅でのベース記録ストラテジが生成される。
ここでは、ベースパワー調整、ベース記録ストラテジ調整の部分のみを説明したが、後工程のパワー調整、記録ストラテジ調整の場合も、同様の切替制御なので説明を省略する。
その他の構成およびその他のステップ並びにその作用効果については、前述した第3の実施の形態の場合と同一となっている。
また、上記の説明において、上述した各ステップおよび各部の動作内容をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
(第3の実施の形態の他の変形例)
さらに、前記第3の実施の形態のCD/DVD用ストラテジ調整部に、前記第1の実施の形態同様に、ベースパワー調整部、ベース記録ストラテジ調整部、パワー調整部、記録ストラテジ調整部、信号品質判定制御部を含んで構成してもよい。
また、前記第3の実施の形態では、3つのレーザをそれぞれ異なる波長のレーザとしたが、3つのレーザを全て同じ波長(青色)のレーザとして構成し、光ディスクに対する照射位置を各々異なるようにしたマルチビームにて構成してもよい。この場合、光ディスクの判別機能は、例えば、BDとHD−DVDのみとしてもよいし、該判別機能がなくてもよい。
その他の構成およびその他のステップ並びにその作用効果については、前述した第3の実施の形態の場合と同一となっている。
また、上記の説明において、上述した各ステップおよび各部の動作内容をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
[第4の実施の形態]
次に、本発明にかかる第4の実施の形態について、図31に基づいて説明する。ここで、以下には、前記第1の実施の形態と実質的に同様の構成ないしは処理手順に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。ただし、説明を省略するからといって、構成要件や処理手順がないことを意味するものではない。図31は、本発明の情報記録再生装置の第4の実施の形態の一例を示すブロック図である。
前記第3の実施の形態では、HD−DVD用ストラテジ調整部、CD/DVD用ストラテジ調整部を1つのシステムコントローラ内に構成した例を示したが、本実施の形態では、各々別々のハードウエア上の機能として構成としている。
具体的には、本実施の形態の情報記録再生装置200は、図31に示すように、前記第3の実施の形態のHD−DVD用ストラテジ調整部と同様の機能を有する回路220Aを搭載した第1のDSP220と、前記第3の実施の形態のCD/DVD用ストラテジ調整部と同様の機能を内在した第2のDSP221と、第1のDSP220の処理に利用される情報一時記憶部(バッファ)として機能する第1のメモリ222と、第2のDSP221の処理に利用される情報一時記憶部(バッファ)として機能する第2のメモリ223と、前記第1の実施の形態又は前記第3の実施の形態の光学系などを含む光ピックアップ部201と、各種半導体レーザなどのレーザ駆動系を構成しレーザの駆動を制御するレーザ駆動回路210、ディスクの回転制御や光ヘッドとディスクとの相対位置関係の制御やその他の駆動系を制御するモータ駆動制御回路211と、光ピックアップ部201からなどのアナログ信号処理を行うアナログ処理LSI212と、これらの制御を司るシステムコントローラ224と、を含んで構成される。
ここで、第1のDSP220、第2のDSP220、第1のメモリ222、第2のメモリ223、システムコントローラ224、レーザ駆動回路210、モータ駆動回路211、アナログ処理LSI212などは、システムLSIとして構成されている。
第1のDSP220(記録条件制御回路)は、前記第3の実施の形態の前記HD−DVD用ストラテジ調整部と同様の機能を有する高精度ライトストラテジ回路220Aの他、PRML検出機能、LDドライバのオートパワーコントロール機能、データエンコード/デコード機能、第2のDSP221との高速データI/F機能などを含んで構成される。
第2のDSP221は、ATAPIホストI/Fを介して他の情報処理装置と通信可能となっている。
上述のような構成からなる情報記録再生装置200、すなわち、システムLSIに含まれる制御回路としても構成でき、前記第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と同様の作用効果を奏することのできる記録条件制御回路を提供できる。
その他の構成およびその他のステップ並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。
また、上記の説明において、上述した各ステップおよび各部の動作内容をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
[第5の実施の形態]
次に、本発明にかかる第5の実施の形態について、図32に基づいて説明する。ここで、以下には、前記第1の実施の形態と実質的に同様の構成ないしは処理手順に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。ただし、説明を省略するからといって、構成要件や処理手順がないことを意味するものではない。図32は、本発明の情報記録再生装置の第4の実施の形態の一例を示すブロック図である。
前記第1の実施の形態では、「ベースパワー調整部」、「ベース記録ストラテジ調整部」、「パワー調整部」、「記録ステラテジ調整部」などの各部内に各々その機能専用のパルス幅変更器やパワー変更器を設ける構成(例えば図6)としたが、本実施の形態では、パワー設定器や記録ストラテジ設定器を各部の機能で共通で利用する構成としている。
具体的には、本実施の形態の情報記録再生装置のシステムコントローラ300は、図32に示すように、再生信号変調度に関する記録パワー依存性を測定する記録パワー依存性測定器300と、各消去パワー条件下での各再生信号変調度の差分に関するパルス幅依存性を測定するパルス幅依存性測定器302と、各機能の要求(各測定時や微調整などを含む)に応じて記録パワーを設定する記録パワー設定器303と、各機能の要求(各測定時や微調整などを含む)に応じて消去パワーを設定する消去パワー設定器304と、各機能の要求(各測定時や独立調整時などを含む)に応じて記録ストラテジ設定器305と、PRSNR値などの信号品質評価値に基づいて信号品質の判定を行う信号品質判定器306と、これらの制御を司る主制御部310と、を含んで構成される。
主制御部310は、ベースパワー調整機能部311と、ベース記録ストラテジ調整機能部312と、パワー調整機能部313と、記録ストラテジ調整機能部314とを含んで構成される。
ベースパワー調整機能部311は、ベースパワーの調整を行う際に、消去パワー設定器304を零として記録ストラテジ設定器305には各パルスのパルス幅を全て同一に設定させ、記録パワー設定器303に対しては段階的に調整させ、その各々の段階の記録パワーでの再生信号変調度を記録パワー依存性測定器301にて測定させることで、再生信号変調度に関する記録パワー依存性に基づくベースパワーを決定する制御機能を有する。
ベース記録ストラテジ調整機能部312は、ベース記録ストラテジ調整の際に、消去パワー設定器304に対して一方の消去パワー条件を設定し、記録ストラテジ設定器305に対して各パルスのパルス幅を全て同一として、パルス幅依存性測定器302に対して一方の再生信号変調度を測定させ、消去パワー設定器304に対して他方の消去パワー条件を設定し、記録ストラテジ設定器305に対して各パルスのパルス幅を全て同一として、パルス幅依存性測定器302に対して他方の再生信号変調度を測定させて一方及び他方の各再生信号変調度の差分を演算させ、続いて、記録ストラテジ設定器305に対してパルスの後縁を一律に変化させるようにし、前記同様の処理を繰り返すことにより、再生信号変調度差分に関するパルス幅依存性を求めた上で、最適ベースパルス幅を演算する制御機能を有する。
パワー調整機能部313は、パワー調整の際に、最適ベースパルス幅でのベース記録ストラテジを記録ストラテジ設定器305に設定させ、記録パワーを一律に変化させるよう記録パワー設定器303に対して制御指示し、各記録パワーでの信号品質評価値に基づく信号品質判定を信号品質判定器306に行わせ、最適記録パワーを求める制御を行うとともに、消去パワーに対しても同様に、最適ベースパルス幅でのベース記録ストラテジを記録ストラテジ設定器305に設定させ、消去パワーを一律に変化させるよう消去パワー設定器304に対して制御指示し、各記録パワーでの信号品質評価値に基づく信号品質判定を信号品質判定器306に行わせ、最適消去パワーを求める制御を行う。
記録ストラテジ調整機能部314は、記録ストラテジ調整の際に、トップパルスとク−リングパルスを同時に調整したり、各パルス或いは各記録マーク毎に各パルスを各々独立して調整するなどの調整を記録ストラテジ設定器305を使用しつつ、信号品質判定器306での判定にて最適なパルス幅を求める制御を行う。
以上のように本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、このような構成とすることで、消去パワー設定器や記録ストラテジ設定器などを各機能毎に個別に設ける必要がないので、前記第1の実施の形態に比して構成の簡素化、簡略化を図ることができ、回路規模等を小型化、処理の高速化を図ることができる。
その他の構成およびその他のステップ並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。
また、上記の説明において、上述した各ステップおよび各部の動作内容をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
[各種変形例]
ここで、本発明にかかる装置及び方法は、そのいくつかの特定の実施の形態に従って説明してきたが、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく本発明の本文に記述した実施の形態に対して種々の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態では、情報記録再生装置を例に説明したが、記録装置であってもよいのは勿論である。
また、上述の実施の形態では、レーザー光の波長を405nm、対物レンズの開口数(NA)を0.65の場合を一例として説明したが、これらに限定されることなく、あらゆる波長、およびNAに適応可能である。例えば、NAは0.85や0.6であってもよい。
また、上記実施の形態では、PR(1、2、2、2、1)というクラスを使用したが、これに代えて、PR(1、2、2、1)など他のクラスでも同様に使用することができる。
さらに、変調符号としては、HD DVDで採用されているETM(Eight to Twelve Modulation)<8ビットのデータを12ビットのコードに変換する方式>の場合を想定して説明した。すなわち、RLL(1、10)<RLL:Run Length Limited encoding、(d、k)拘束、d:最小、k:最大>で記録マークの種類が2T〜11Tの10種類に、シンクコード中にあらわれる14Tを加えた11種類の記録マークのパターンを有する。
変調符号としては、このようなものに限らず、他の種々の変調符号、例えばRLL(1、7)の変調、RLL(2、7)の変調、RLL(2、10)の変調、であっても、本発明の記録条件決定方法にて同様に使用できる。その場合、例えば、RLL(2、7)の変調、RLL(2、10)の変調では、kT(kは、3以上の自然数)というような最短データ長が変わる場合もありうる。
さらに、他の変調方式として、EFM(8to14 Modulation)でもよい。
ここで、ETMの場合に、各パルス(トップ、ミドル、ラスト、クーリング)のパルス幅を変調度差分のパルス幅依存性を考慮して各々独立して調整するパルス幅独立調整部として、11種類の記録マーク分×4=44個設けた構成としても構わない。
また、実施の形態では、相変化記録媒体としてHD DVDを用いたが、ブルーレイディスク(BDディスク)を使用しても良い。
さらに、前記実施の形態では、再生信号変調度差分に関しパルス幅依存性を測定する際に、第1の消去パワーと第2の消去パワーの2条件下にて算出する構成としたが、複数例えば3以上の消去パワー条件(例えば0mW、3mW、6mW等)であってもよい。この場合には、例えば、第1の消去パワー、第2の消去パワー、第3の消去パワーの差の絶対値にて比較するか、或いは、第1の消去パワーと第2の消去パワーでの差を算出した後、当該差と第3の消去パワーとの差を算出するようにしてもよい。
加えて、前記テストパターンの再生信号の品質評価指標として、パターン列を再生した前記再生信号に基づいて算出されるPRSNR値を指標としたが、RF回路部で算出されるエラーレートに基づいて品質判定を行ってもよい。この際、PRSNR値での判定とエラーレートでの判定を適宜切り替えるようにしてもよい。ここで、前記PIエラーレートは、実際に記録を行ったビット列と、再生されデコードされたビット列との差がどの程度あるかを示すもので、(間違ったビット数)/(数えたビットの総数)で算出する。
また、前記パワー調整部43は、相変化記録媒体へ情報を書き込む際の記録パワー、相変化記録媒体から情報を消去する際の消去パワーをそれぞれ独立させて制御してよい。前記パワー調整部43は、本発明の特徴であるベース記録ストラテジ調整部42の消去パワー切り替え器とは別に、記録パワー設定器と、消去パワー設定器とを含んで構成してよい。記録パワー設定器は、相変化記録媒体へ情報を書き込む際の記録パワーを単独で調整する。消去パワー設定器は、相変化記録媒体から情報を消去する際の消去パワーを単独で調整する。さらに、ベースパワー調整部は、前記記録ストラテジの特定パルス幅条件における再生信号変調度に関する記録パワー依存性を測定し、得られた前記再生信号振幅の記録パワー依存性に基づいて記録パワーを調整する専用の記録パワー設定器をさらに別に備えてよい。
さらにまた、べース記録ストラテジ調整部は、記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを決定するものであって、前記ベース記録ストラテジのパルス幅を変化させ、前記ベース記録ストラテジを構成するそれぞれのパルスの前縁又は後縁のいずれか一方を一律に変化させ、複数の前記ベース記録ストラテジのパルス幅を変化させる専用のパルス幅変更器を備えている。そして、このパルス幅変更器とは別に、ベースパワー調整部は、記録パワー依存性を測定する際にベース記録ストラテジを設定するための専用のパルス幅変更器(パルス幅設定器ないしは記録ストラテジ設定器と称呼することもできる)を備えてよい。さらにまた、記録ストラテジ調整部は、さらに別のパルス幅変更器を備えてよい。この際、各パルス毎、各記録マークの大きさ毎に各々独立して調整するために各独立調整用の各パルス幅変更器と、各パルス同士を相互に関連性をもたせるためのパルス関連性設定制御器とを含んで構成してよい。
また、図13に示す再生信号変調度差分に関するパルス幅依存性に関する測定情報は、再生信号変調度差分―パルス幅相関テーブル(パルス幅依存性に関するテーブル)として、システムコントローラ内外の特定の記憶領域など(例えば図31に示すメモリでもよい)に格納することができる。この際のパルス幅依存性に関するテーブルは、データ構造として以下のようになる。すなわち、データ構造は、相変化記録媒体上にパルス列よりなる記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射してパターン列を記録する記録条件調整処理に用いられるデータ構造であって、互いに異なる少なくとも2つの各消去パワー条件毎に、ベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を変化させつつテストパターンを各々記録し、該各々のテストパターンからの再生信号変調度を各々測定し、一方の消去パワー条件による一方の再生信号変調度と他方の消去パワー条件による他方の再生信号変調度との差分を示す再生信号変調度差分情報と、前記再生信号変調度差分と対応づけて格納される各パルス幅情報(例えば図13に示す特性図をテーブル化した構造)と、を含む構造とすることができる。
前記再生信号変調度差分情報、及び前記パルス幅情報は、コンピュータが、パワー調整及び記録ストラテジ調整に先立って、調整の基本となるベース記録ストラテジを構成する各パルスの、消去パワー条件に依存せず概ね一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅を選択するベースパルス幅選択制御処理(例えば図19に示すステップS213など)、を行うのに、利用される。
このデータ構造によれば、未知の相変化記録媒体の初回挿入時においては、記録(テストライト)・測定を繰り返す必要があるが、前記未知の相変化記録媒体と同種の未知の相変化記録媒体が挿入された場合には、既知となっているので、前記初回挿入時の再生信号変調度差分に関するパルス幅依存性の測定データを、(特定の記憶領域に)格納されている情報を参照することで、調整初期段階における最適ベースパルス幅の決定を迅速に行うことができる。
また、図15に示す再生信号変調度に関する記録パワー依存性に関する測定情報は、再生信号変調度―記録パワー相関テーブル(記録パワー依存性に関するテーブル)として、システムコントローラ内外の特定の記憶領域など(例えば図31に示すメモリでもよい)に格納することができる。この際のパルス幅依存性に関するテーブルは、データ構造として以下のようになる。すなわち、データ構造は、調整前の前記ベース記録ストラテジを構成するトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスを全て同一のパルス幅で、かつ、消去パワーを零とする条件下で、記録パワーを変化させて記録を行い、記録された記録マークの再生信号変調度情報と、前記再生信号変調度と対応づけて格納される各記録パワー情報と(例えば図15に示す特性図をテーブル化した構造)、を含む構造とすることができる。
前記再生信号変調度差分情報、及び前記記録パワー情報は、コンピュータが、前記ベース記録ストラテジのパルス幅調整前に、前記ベース記録ストラテジの記録パワーを調整制御するベースパワー調整制御処理(例えば図17に示すステップS10A)、を行うのに、利用される。
このデータ構造によれば、調整初期段階ではベース記録ストラテジの調整と、このベース記録ストラテジの調整を行うための記録パワーの調整(ベースパワー調整)を行う。そして、未知の相変化記録媒体の初回挿入時においては、記録(テストライト)・測定を繰り返す必要があるが、前記未知の相変化記録媒体と同種の未知の相変化記録媒体が挿入された場合には、既知となっているので、前記初回挿入時の再生信号変調度に関する記録パワー依存性の測定データを、(特定の記憶領域に)格納されている情報を参照することで、調整初期段階における記録パワーの決定を迅速に行うことができる。
さらに、図31に示す符号220Aのような制御回路として半導体集積回路に含ませることもできる。この場合、記録条件調整制御回路(第1のストラテジ回路:HD−DVD用ストラテジ回路)は、相変化記録媒体にパルス列よりなる記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射してパターン列を記録する記録条件調整制御回路であって、前記第1の実施の形態同様に、互いに異なる少なくとも2つの各消去パワー条件を切替制御する消去パワー条件切替制御手段と(例えば図4に示す符号42cなど)、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を変更する制御を行うベースパルス幅変更制御手段(例えば図4に示す符号42dなど)と、各前記消去パワー条件毎に記録された各テストパターンを各々再生させて、各再生信号変調度の差分に関するパルス幅依存性を測定する制御を行うパルス幅依存性測定制御手段(例えば図4に示す符号42aなど)と、前記パルス幅依存性測定制御手段での前記パルス幅依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスの最適ベースパルス幅を選択制御するベースパルス幅選択制御手段(例えば図4に示す符号42bなど)と、前記各手段を制御するベースパルス幅調整制御手段(例えば図4に示す符号42eなど)と、を含むことができる。
この記録条件調整制御回路では、記録条件を調整する際の調整初期段階におけるベース記録ストラテジ調整を行う際に、各消去パワー条件での再生信号変調度差分に関するパルス幅依存性に基づき最適ベースパルス幅を決定するための専用の制御回路を提供できる。
また、調整初期段階の記録条件決定方法は、相変化記録媒体にパルス列よりなる記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射してパターン列を記録する記録条件を調整するに先立って調整初期段階にて調整する調整初期段階の記録条件決定方法であって、消去パワーを固定し、調整初期段階での他の記録条件を調整すること(例えば図17に示すステップS10AとステップS10Bによる処理)、を特徴としている。消去パワーは、他の記録条件と独立して調整が行えることが検証されたため、消去パワーを固定した上で、他の記録条件の調整(例えば再生信号変調度に関する記録パワー依存性に基づく記録パワーのベースパワー調整、再生信号変調度差分に関するパルス幅依存性に基づく最適ベースパルス幅の決定を含むベース記録ストラテジ調整など)を行うことで、他の調整に先立って行われる調整初期段階での調整では、局所最適に陥ることなく調整可能となる。
ここで、図2に示すRF回路部も、前記記録条件調整制御回路に加え、前記半導体集積回路内に含ませることができる。その際、PRSNR計算器の構成としては、例えば、図33に示すような構成を採用することが好ましい。
(信号品質評価手段としてのPRSNR計算器の具体例)
ここで、PRSNR計算器の説明の前に、PRSNR値を算出する手法について説明すると、以下のようになる。
PRMLは、高密度化時に精度よくデータを復号する。このPRMLでは、ノイズ成分を高めないように、再生波形を符号間干渉を有する波形にパーシャルレスポンス(Partial Response:PR)等化(PR等化)し、ビタビ復号(ML)という手法でデータ識別を実施する。PR等化はデータ周期(クロック)毎の振幅で規定され、例えばPR(abc)は時刻0での振幅がa、時刻Tでの振幅がb、時刻2Tの時の振幅がc、それ以外の時刻での振幅は0となる。振幅が0でない成分の総数は拘束長と呼ばれる。密度向上には拘束長の長いパーシャルレスポンス波形を用いることが有効である。
例えば、PR(1、2、2、2、1)特性では、符号ビット「1」に対する再生信号が「12221」となる特性のことを表す。符号ビット系列とPR特性を表す系列12221との畳み込み演算が再生信号となる。例えば、符号ビット系列0100000000に対する再生信号は0122210000となる。同様に、符号ビット系列0110000000の再生信号は、0134431000、0111000000の再生信号は、0137653100、符号ビット系列0111100000の再生信号は00135775310、符号ビット系列0111110000の再生信号は、0135787531となる。PR(1、2、2、2、1)特性では、再生信号は9つのレベルになる。このような畳込演算により算出された再生信号は理想的な再生信号(パス)である。
実際の再生信号は、必ずしもPR(1、2、2、2、1)特性になっておらず、雑音等の劣化要因も含まれる。そこで、PRMLでは、等化器を用いて再生信号をPR特性に近づけ(PR特性に近づいた再生信号を等化再生信号と呼ぶ。)、その後、ビタビ復号器を用いて、等化再生信号とのユークリッド距離が最も小さいパスを選択する。このパスと符号ビット系列は、1対1の関係である。ビタビ復号動作を行うビタビ復号器は、選択したパスに対応する符号ビット系列を復号2値データとして出力する。PRMLを用いたシステムでは、再生信号は2値ではなく3値以上、いわゆる多値となる。スライス識別検出では適当なスライスでピットの有無を判定し、2値等化してデータを再生する。
ビタビ復号では、クロック周期毎に、再生信号の値とパーシャルレスポンスで定められる所定のレベルとの差の自乗を算出し、各パスに沿ってその自乗和を算出し、自乗和が最小となるパスを選択することにより、データの復号が行われる。
ここで、パス間の差とは信号レベルの時系列の差を表すものである。例えば、(−4、−3、−1、1、3)という信号レベルの時系列(この場合5時刻分を表記)を持つパスと(−3、−1,1,3,4)という信号レベルの時系列を持つパスの差を求めると、両時系列の差は(1,2,2,2,1)あるいは(−1、−2、−2、−2、−1)となる。この時系列の差の距離をユークリッド距離といい、ベクトル距離である。この場合は1×1+2×2+2×2+2×2+1×1=14となる。
ビタビ復号で検出誤りが起きやすいのは、パス間のユークリッド距離が小さい場合である。異なるパス間のユークリッド距離dは、
一方のパスに沿ったデータ列(パスに対応する符号ビット系列)bkで定められる多項式をB(D)=ΣbkDk、
他方のパスに沿ったデータ列ck(bk、ckは1もしくは−1の2値データ)で定められる多項式をC(D)=ΣckDk、パーシャルレスポンスを規定する多項式H(D)=ΣhkDkとして、
N(D)=(B(D)―C(D))H(D)=2ΣεiDiとして、
=4Σεiで定義される。
ここで、Dは、クロック時間を単位とする時間遅延演算子を表し、hkは、所定のパーシャルレスポンス特性を表す。パーシャルレスポンス特性は、一般に0でないhkの成分を使用してPR(h0、h1、h2、h3、・・)と記述される。
パーシャルレスポンス特性をh=1,h=2,h=1,h以降はすべて0(この場合PR(1、2、1)と表現される)とし、
データ列bをb=1,b=1,b=−1,b以降はすべて−1、
また、データ列cをc=−1,c=1,c=1,c以降はすべて−1とする。
この場合、データ列bに沿ったパスとデータ列cに沿ったパス間のユークリッド距離は、N(D)=2(1−D)(1+2D+D)=2×(1+2D−2D−D)からd=4×(1×1+2×2+2×2+1×1)と求められる。
2値データを表現するのに1/0の組み合わせを用いる場合と、1/―1の組み合わせを用いる場合があるが、例えば、1/―1の組み合わせを用いて説明する。
ここで、1/0の組み合わせを用いた場合の波形の振幅は、1/―1の組み合わせを用いた場合における波形の振幅の1/2となるので、数6から数8で定義されている評価値S〜Sの分子を1/4にすれば良い。すなわち、3.5あるいは3とすれば良い。
PR多項式が規定されると、各々のεの組み合わせについてパス間のユークリッド距離を算出できる。ここで、相変化記録媒体では、例えば、d>=1のラン長制限の記録符号が用いられ、例えば、d=1の記録符号の場合、ディスク上には2T以上の長さのマークが記録される。この制限をユークリッド距離算出において考慮するには、タップ係数εの組み合わせについてεiεi+1≠−1という制約を課せば良い。すなわち、εiεi+1=−1を満たすデータ列は例えば、データ列bとして、(x、1、−1、y)、データ列cとして、(x、−1、1、y)が考えられる。しかしながら、d=1の制限下では、(1、−1、1)もしくは(−1、1、−1)というパタンは禁じられているので、x=−1もしくはy=1の場合にはデータ列bがラン長制限を破るパタン(存在し得ないパタン)となり、また、x=1もしくはy=―1の場合にはデータ列cがラン長制限を破るパタンとなる。そのため、ラン長制限を満たしつつ、εiεi+1=―1を満足するデータ列b、cの組み合わせは存在しないこととなる。また、ディスク上に記録されるマークの長さが3T以上の場合にはεiεi+1≠―1、かつ、εiεi+2≠―1の制約を課せば良い。
ユークリッド距離がdの2つのパス間で検出誤りが起こる確率は、例えば、データ列bを基準に考えると、ノイズの影響によりΣ(y−Σbk−iがΣ(y−Σck−iより大きくなる確率と等価である。データ列bを基準に考えた場合、y−Σbk−iは等化誤差である。また、Σ(y−Σbk−iとΣ(y−Σck−iの大小関係は、B(D)H(D)とC(D)H(D)の差で定義される多項式の係数をベクトルの成分と見なしてエラーベクトルを定義し、そのエラーベクトル上に等化誤差を射影して考えても良い。
この場合、検出誤りが起こる確率は、エラーベクトル上に射影されたノイズの大きさ(ノイズの分散)が、パス間のユークリッド距離の半分より大きくなる確率で定義される。従って、パス間のユークリッド距離とエラーベクトル上に射影されたノイズの分散の比を算出することで、信号品質を推定できる。
ここで、基準となるデータ列は、記録条件の調整時など事前にデータが分かっている場合にはそのデータ列を、また、データが分からない場合には、確からしいデータである、ビタビ復号器により2値化されたデータを用いれば良い。
データ列bをb=―1、b=1、b以降すべて1、また、データ列cをc=1,c以降もすべて1とすると、A(D)=C(D)−B(D)=2Σαにおいて、α=1、α1以降はすべて0となる。
例えば、H(D)として、h=1,h=2,h=2,h=1を用いる場合(PR(1、2、2、1)に相当)、エラーベクトルを規定する多項式N(D)=A(D)H(D)=2Σεの係数εはε,ε,ε,εの順に(1、2、2、1)となる。したがって、PR(1、2、2、1)に対して、上記データ列bを上記データ列cと誤る確率は、2×(1、2、2、1)上に射影された等化誤差の大きさが2つのパス間のユークリッド距離(この場合は、2×(1+2×2+2×2+1)1/2)の半分より大きくなる確率となる。等化誤差のエラーベクトル上への射影は、下記式

で表されるので、エラーベクトル上に射影されたノイズの分散CNは下記式

で表されることとなる。信号振幅に相当する2つのパス間のユークリッド距離の半分
は、下記式

であり、電力に相当するその振幅の自乗Eは下記式

であるので、E/CNが誤り確率と相関を有する指標として求められる。
ここで、A(D)及びN(D)の全体にかかる係数2は、計算結果に影響を与えないので、係数2を省略して、A(D)=Σα、N(D)=Σεとして式を算出してもよい。
以上のように、クロック周期毎の等化再生信号の値y、目標信号生成のための所定のデータ列a
所定のパーシャルレスポンス特性hに対して、等化誤差をv=(y−Σak−i)、クロック時間を単位とする時間遅延演算子をD、
1、0、―1の3種類のいずれかの値を取り、かつ、αj αj+1≠―1を満足する係数をαjとして定義される多項式をA(D)=Σα、パーシャルレスポンスを規定するPR多項式をH(D)=Σhとし、
N(D)=A(D)H(D)=Σεで定義される多項式に基づいて、下記式

で定義される信号品質評価値を算出し、検出誤りを起こす確率、すなわち再生信号の信号品質を評価することが好ましい。
ここで、数式5にて、誤りやすいデータ列の組み合わせの一例として、上記では、bとcを引用して説明を行ったが、エラーベクトル上に射影されたノイズの分散を算出する際、必ずしも、特定のデータ列のみを選択して等化誤差を算出する必要はない。
すなわち、目標信号生成のためのデータ列aの中からデータ列bに相当する時刻を抽出して等化誤差の分散を算出する必要はなく、毎クロック時刻毎に算出された等化誤差を用いて分散を算出することができる。これは、等化誤差がガウス分布に従って確率的に分布しているのであれば、特定部分を抽出して分散を算出しても、全体を用いて分散を算出しても結果は変わらないからである。もちろんある特定のデータ列bにのみ着目してノイズの分散を計算しても良いが、パターンを選別せずに等化誤差の分散を算出する方が回路構成などがより簡略化できる。
ここで、パーシャルレスポンス特性として、h=1,h=2,h=2,h=2,h=1を用い、前記dが12及び14となる前記εの組み合わせそれぞれに対して得られる前記Sの値を算出する場合を例に説明すると、h=1、h=2、h=2、h=2、h=1、h以降はすべて0でとなる。パス間のユークリッド距離は、PRML方式を採用したシステムにおける信号成分に相当する。
PR(1,2,2,2,1)特性と最小ランレングス1の記録2値データとを組み合わせた場合、パス間のユークリッド距離の小さいεiとd2は、表1のようになる。
(1−k)変調は、d>=1制限の符号であり、PR(1,2,2,2,1)に対しては、表1に挙げたタップ係数εに対してユークリッド距離が小さくなる。表1のパタン1で識別したεの組み合わせ(12221)は、ビタビ検出で誤りやすい2組のデータ列、例えば、b:(1111−1−1...)とc:(−1111−1−1...)と、パーシャルレスポンス等化特性(12221)から定められるエラーベクトルである。ここで、表1に示したパタン2以降のタップ係数εの組み合わせに対しては、2Tのマーク/スペースが連続する回数の上限(データ列として+1+1−1−1が連続する回数の上限:−1−1−1+1+1−1−1−1のような場合には1回、−1−1−1+1+1−1−1+1+1+1のような場合には2回と数える)によって、(1,2,1)と(−1,−2,−1)の間の0の数及び(1,2,1)と(1,2,1)の間に入る0の上限が決まる。すなわち、2Tのマーク/スペースが連続する回数の上限が(2n+1)回の場合、(1,2,1)と(−1,−2,−1)の間には最大(4n+1)個の0が入り、連続する回数の上限が(2n+2)回の場合には、(1,2,1)と(1,2,1)の間には最大(4n+3)個の0が入ることになるので、その上限までのパタンを考慮して信号品質評価指標値PRSNRを算出すれば良い。表1には、2Tの連続が最大5までの場合のタップ係数εの例を示してある。
等化誤差がパターン1に与える影響は、

Σ(vk+2vk+1+2vk+2+2vk+3+vk+42
N*(14R0+24R1+16R2+8R3+2R4)、
(Ri=Σvkvk+i/Nと定義)

と表現でき、パターン1に対する雑音成分に相当する。同様に、等化誤差がパターン2、3に与える影響は、

Σ(vk+2vk+1+vk+2−vk+4−2vk+3−vk+42
N*(12R0+16R1+2R2−8R3−12R4−8R―2R6

Σ(vk+2vk+1+vk+2+vk+6+2vk+7+vk+82
N*(12R0+16R1+4R2+2R4+8R5+12R6+8R7+2R8

と表現でき、各々パターン2,3に対する雑音成分に相当する。ここで、Riは、等化誤差の自己相関に相当する。したがって、パターン1のSNRである信号対雑音比を示す第1の信号品質評価値S1は、次式で与えられる。
同様に、パターン2、3の信号対雑音比を示す第2の信号品質評価値S2、第3の信号品質評価値S3は、次式で与えられる。
このように、信号品質評価手段としてのPRSNR計算器は、パーシャルレスポンス特性として、h=1,h=2,h=2,h=2,h=1を用い、等化誤差v及びサンプル数Nに対してR=Σvk+1/Nとし、前記数2式、数3式、数4式で表される第1の信号品質評価値S,第2の信号品質評価値S,第3の信号品質評価値Sの値を調べて信号の品質を評価することが好ましい。
信号対雑音比が低いほど、再生信号の品質が劣悪である。S1、S2、S3の中、最も低い値のものを再生信号品質のSNRとし、PRSNRと呼ぶ。
図2に示した信号品質評価手段としてのPRSNR計算器27の一例を詳細に示したのが図33である。図33は、このようにして表現されたSの値を算出するためのPRSNR計算器27の機能ブロックの構成の1例である。図33に示した機能ブロックにより上記のSの分母を算出することができる。
図2では、再生波形をAD変換器により一定周波数でサンプリングした後、PLL(位相同期ループ)回路、適応等化器によりクロック周期毎の等化再生波形データが得られる。等化は、ノイズ成分をできるだけ抑制しつつ、再生波形がPR波形に基づく目標波形にできるだけ近づくように等化される。信号品質評価手段としてのPRSNR計算器27は、入力した等化再生波形を用いて信号品質評価指標値PRSNR値であるSを算出して、再生波形の品質評価を行う。ここで、再生専用の光ディスクの場合や他の記録装置で記録された記録可能な光ディスクの場合、光ディスクに記録された元データaは常に予め知られているとは限らない。この場合は、識別器であるビタビ復号器により2値化されたデータをaとして代用すれば良い。
そして、図33において、基準のPR波形をh、識別器であるビタビ復号器により識別された2値化データをaとすると、目標信号生成器により目標信号Rが下記式

に基づいて生成され、等化されたクロック周期毎の再生信号(等化信号)yと目標信号Rとの差である等化誤差vが比較演算器により求められる。等化誤差vをエラーベクトル上に射影するため、遅延器(タップ)によりクロック周期毎に等化誤差vを遅延させる構成となっている。タップ係数を介して足し合わされた等化誤差Σε×vk+iを乗算器で自乗する。
図33においてRiは等化誤差の自己相関に相当する。等化誤差の自己相関を計算し、それらを所定の重み付け(乗算器により係数αiを乗算)を行った後、和を取る構成となっている。乗算器61の係数αiは、例えばS1を算出するには、S1の分子を14×14とした場合は、α0=14、α1=24、α2=16、α3=8、α4=2、S1の分子を14とした場合はα0=14/14、α1=24/14、α2=16/14、α3=8/14、α4=2/14とすれば良い。
図33における乗算器の個数は、算出するSjにより変化し、上記のS3を求めるには9個の乗算器が必要となる。この場合もパターンによって乗算器の個数を変化させるのが煩雑な場合は、十分多い(15〜20個程度)乗算器を確保しておき、演算に関係ない乗算器の係数を0にしておけば良い。
加算器により足し合わせることで、エラーベクトル上に射影されたノイズの分散に比例する値が求められる。除算器により値の逆数を取り、乗算器で(NΣε )×Σε との積を取ることで信号品質評価指標値PRSNRの値Sが求められる。
PRSNR値が高いほど、信号品質が良好であるので、PRSNR値が高くなるように、記録条件を調整すればよい。
パターン4、5、6の信号対雑音比も同様に求めることができる。したがって、パターン1乃至6の信号対雑音比を求め、その最小値をPRSNRとすることもできる。しかし、一般にパターン4、5、6の生起確率は、パターン1、2、3に比べ低い。測定の容易さのため、例えば、パターン1、2、3からPRSNRを求めることが好ましい。また、パス間のユークリッド距離がより大きいパターンの信号対雑音比も同様にして求めることが好ましい。より正確に信号品質を評価するため、それらのパターンに対する信号対雑音比も含めて、PRSNRを求めることもできる。PRSNRは、ビットエラーレート(BER)ともよく対比する。
図33におけるLPF(ローパスフィルタ)は、平均演算手段によって実現しても良く、平均演算手段の一例としてLPF、デジタル演算による平均演算などが挙げられる。ここで、図33において平均を取らない(サンプル総数Nで割らない)構成を取ることもでき、その場合は、単に和を取ってSの分子(この例では12あるいは14)にNをかければ良い。
上記では、誤りやすいデータ列を判別せずに毎クロック時刻毎の等化誤差に基づいて信号品質評価を行う実施の形態について記述してきたが、誤りやすい所定のデータ列を判別して、そのデータ列に対する等化誤差を用いて光ディスクの信号品質を評価することも可能である。この場合、予め設定されたパタンについてのみ等化誤差をその後の処理ブロックに出力する判別器を、ローパスフィルタの前段に設けてもよい。
ここで、表1に示した信号品質評価値S1、S2、S3(パターン1、2、3)以外の信号品質評価値Sの値、或いは、任意のタップ係数εiの組み合わせに対しても、同様にして、自己相関の関数として信号品質評価値Sを算出できる。
(種々のパターンについて)
その他、PR(1、2、2、1)とd>=1の記録符号を用いる場合は、表2に挙げたパタンについて信号品質評価値Sの値を評価すれば良い。また、より簡略にパタン1及びパタン2についてのみ信号品質評価値Sの値を評価しても良い。
さらに、その他、上記表1に示したパタンと極性が反対のパタン(例えばパタン1に対しては、(−1−2−2−2−1))も考えられるが、求められる信号品質評価指標値PRSNRの値Sは同一であるので、決まった極性(もしくはどちらの極性でもかまわないが、両方を評価する必要はない)のパターンのみ考慮しておけば良い。
その他、HD―DVDの評価指標では、PRSNR(Partial Response Signal−to−Noise Ratio)の他(或いはそれに加えて)、SbER(Simulated bit Error Rate)<全体の推定ビットエラー率>などを利用する場合であってもよい。さらに、信号評価としては、信号I1によるPRSNR1と、信号I2によるPRSNR2とに基づくPRSNRとして利用する構成であってもよい。
この際、SbERは、以下のようにして算出することができる。PRML識別方式において、ある記録2値パターンTが別の2値パターンFに誤識別される確率を考える。パターンTがパターンFに誤識別される条件は、等化再生信号をS、パターンT,Fのパスを各々PT、PFとしたとき、

となる。ただし、EPF,S は、パスPFと再生信号Sとのユークリッド距離、EPT,S は、パスPTと再生信号Sとのユークリッド距離を表す。信号P1と信号P2とのユークリッド距離は、

で与えられる。
TのFへ誤識別が発生する確率は、累積したD値の分布(図10)を正規分布と仮定し、その平均、標準偏差を各々μ、σとすると、

と表される。誤りの発生し易いパターン対T,Fに対し、F(0)を求めることで、bER(ビットエラー)の推定値SbER、
が求められる。ただし、Cは、パターンTの発生確率、HT,Fは、TとFのハミング距離を示す。このような演算処理を可能とするビットエラー算出手段を信号品質評価手段の一例として構成してもよいし、前記半導体集積回路の制御回路に含ませることも可能となる。
さらに、情報記録再生装置(例えば第3の実施の形態)に装填可能な相変化記録媒体としては、CD―R、CD―RW、HDDVD(HDDVD−R−SL<1層>、 HDDVD−R−DL<2層>、HDDVD−RW−SL、HDDVD−RW−DL、DVD±R−SL、DVD±R−DL、DVD±RW−SL、DVD±RW−DL、Blu−Ray Disk<登録商標>(BD−RーSL、BD−R−DL、BD−RE−SL、BD−RE−DL)などが挙げられる。
また、情報記録再生装置とATAPIホストインターフェース或いはその他の各種通信インターフェースを介して情報処理装置と接続されたシステムを構成してよい。また、情報記録再生装置と情報処理装置との間の通信構造に際し、いずれか一方又は双方に形成されるインタフェースの種類は、例えばパラレルインタフェース、USBインタフェース、IEEE1394、LANやWAN等のネットワークやその他これに類するもの、もしくは今後開発される如何なるインタフェースであっても構わない。
加えて、複数の情報記録再生装置を配列した情報処理装置やデュプリケータなどにおいて、各部に対応するパルス幅依存性測定器を複数配設し、それらを一のコントローラが制御する構成としてもよい。
さらに、「通信」では、無線通信および有線通信は勿論、無線通信と有線通信とが混在した通信、即ち、ある区間では無線通信が行われ、他の区間では有線通信が行われるようなものであってもよい。さらに、ある装置から他の装置への通信が有線通信で行われ、他の装置からある装置への通信が無線通信で行われるようなものであってもよい。
そして、この通信には通信網が含まれる。通信網を構成するネットワークとしては、例えばインターネット(乃ち、TCP・IPプロトコルを用いた通信態様)やイントラネット、LAN、WAN、光ファイバー通信網などなどいずれのハードウエア構成でもよく、これらを含むファイバチャネルネットワークを含んでよい。
さらに、ネットワークは、TCP・IPプロトコルの他、種々の通信プロトコルを用いたネットワークあるいはソフトウエア的に構築された仮想ネットワークやこれに類するあらゆるネットワークを含むネットワークなどいかなる通信プロトコルであってもよい。また、ネットワークは、有線に限らず、IEEE802.11bに準拠した無線LANのようなスペクトラム拡散通信システム、IEEE802.11aやHiperLAN/2のようなマルチキャリア通信システム、などを含むネットワーク)であっても構わず、これらの組み合わせを利用してもよく、他のネットワークと接続されたシステムであってもよい。
(プログラム)
また、前述した実施の形態の機能を実現する本発明の情報記録再生装置の制御に用いられるソフトウエアのプログラム(制御プログラム)は、前述した各実施の形態における図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図28、図29、図30、図31、図32、及び図33等に示す各種ブロック図などに示された各部、各回路(処理部、処理手段)、機能などに対応したプログラムや、図17、図18、及び図19等に示すフローチャートなどに示された処理手順、処理手段、機能などに対応したプログラムや、図12、図13、図14、図15、図26、図27に示すデータ構造を利用するプログラム、(上述の各実施の形態の情報記録再生装置など)において各々処理される各処理プログラム、本明細書で全般的に記述される方法(ステップ)、説明された処理、データ(例えば、パルス幅依存性を示すデータ、パワー依存性を示すデータ等)のデータの全体もしくは各部を含む。
すなわち、以上の説明では、本発明の実施形態を、ハードウェアとしての情報記録再生装置として構築したが、これに限られるものではない。本発明の実施形態は、上述した情報記録再生装置の機能をコンピュータに実行させるプログラムとして構築してもよいものである。
プログラムは、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、ソースプログラム・中間コードプログラム・実行形式プログラムなどのプログラムの形態を問わない。プログラムは、高水準プロシージャ型またはオブジェクト指向プログラミング言語で、あるいは必要に応じてアセンブリまたはマシン言語で実装することができる。いずれの場合も、言語はコンパイラ型またはインタープリタ型言語であってもよい。上述の制御プログラムを、一般のパソコンなどで動作可能なアプリケーションソフトに組み込んだものも含む。
また、本発明の制御プログラムを開発するためのソフトウエア及びその装置もプログラムに含めることができる。
制御プログラムを供給する手法としては、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、コンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページからプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、プログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるサーバも、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明の制御プログラムの一態様では、相変化記録媒体上にパルス列よりなる記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射してパターン列を記録する記録条件を決定制御する記録条件決定用の制御プログラムであって、コンピュータに、他の調整に先立って、前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整するベース記録ストラテジ調整手段(例えば図3に示す符号42など)と、前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、パワーを調整するパワー調整手段(例えば図3に示す符号43など)と、前記パワー調整手段による調整後に、前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整する記録ストラテジ調整手段(例えば図3に示す符号44など)として機能させることができる。前記ベース記録ストラテジ調整手段は、前記パターン列を消去する消去パワー条件に依存せず一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅を算出するための調整を行い、前記最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジを決定することもできる。
また、本発明の制御プログラムの他の態様では、相変化記録媒体上にパルストレイン型の記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射することで記録マークとスペースによるパターン列を光照射によって記録を行う記録条件を決定する制御を行う制御プログラムであって、コンピュータに、前記記録マークを消去する消去パワーを与えない状態と、前記記録マークが消去される消去パワーを付与した状態との少なくとも2種類の各消去パワー条件を切替制御する消去パワー条件切替制御手段(例えば図4に示す符号42cなど)と、他の調整に先立って前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する最初のパルスをトップパルス、それに連なるパルス群をミドルパルス、最後のパルスをラストパルスと逆極性のパルスをクーリングパルスとした時、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅を変化させるベースパルス幅変更制御手段(例えば図4に示す符号42dなど)と、前記2種類の各消去パワー条件下にて記録された各パターン列を各々再生し、再生された各記録マークの各々の再生信号変調度の差におけるパルス幅依存性を測定するパルス幅依存性測定制御手段(例えば図4に示す符号42aなど)と、前記パルス幅依存性測定制御手段にて測定されたパルス幅依存性に基づいて、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの好ましいパルス幅を選択するベースパルス幅選択制御手段(例えば図4に示す符号42bなど)として機能させることができる。
さらに、本発明の制御プログラムの他の態様では、相変化記録媒体上にパルストレイン型の記録ストラテジにて記録パワー、消去パワー、バイアスパワーの少なくとも3値の間で強度変調したレーザ光を照射することで記録マークとスペースによるパターン列を記録する記録条件を決定する制御を行う制御プログラムであって、コンピュータに、前記消去パワーを与えない状態と、前記記録マークが消去される消去パワーを付与した状態との少なくとも2種類の消去パワー条件下で、他の調整に先立って前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成するパルスのパルス幅を一律に変化させつつ記録を行うベースパルス幅変更記録ステップ(例えばステップS205、ステップS207、ステップS211による処理など)と、前記2種類の各消去パワー条件下にて各々記録された各パターン列を各々再生し、前記各消去パワー条件下での各再生信号変調度の差に関するパルス幅依存性を測定するパルス幅依存性測定ステップ(例えばステップS206、ステップS208、ステップS209、ステップS211による処理など)と、前記パルス幅依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスの最適ベースパルス幅を決定するベースパルス幅選択制御ステップ(例えばステップS213など)と、
含む処理を実行させることができる。
本発明の制御プログラムによれば、当該制御プログラムを格納するROM等の記憶媒体から、当該制御プログラムをコンピュータ(CPU)に読み込んで実行させれば、或いは、当該制御プログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明に係る記録装置を比較的簡単に実現できる。発明の思想の具現化例として記録装置のソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウェアを記憶した記憶媒体上においても当然に存在し、利用される。
また、制御プログラムは、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問はず、いずれの状態のプログラムも本発明の範囲に含まれる。プログラムの供給方法として通信回線を利用して行なう場合であれば通信回線が伝送媒体となって本発明が利用されることになる。むろん、プログラムの発明として特定することもできる。さらに、装置における従属請求項を、方法,プログラムにおける従属請求項として装置の従属請求項に対応した構成にすることも可能である。
(情報記録媒体)
また、制御プログラムを、情報記録媒体に記録した構成であってもよい。情報記録媒体には、制御プログラムを含むアプリケーションプログラムが格納されており、コンピュータが当該情報記録媒体からアプリケーションプログラムを読み出し、当該アプリケーションプログラムをハードディスクにインストールすることが可能である。これにより、上述のプログラムは、磁気記録媒体、光記録媒体あるいはROMなどの情報記録媒体に記録してプログラムを提供することができる。そのようなプログラムが記録された情報記録媒体を、コンピュータにおいて使用することは、好都合な情報処理装置を構成する。
プログラムを供給するための情報記録媒体としては、例えばROM、RAM、フラッシュメモリやSRAM等の半導体メモリ並びに集積回路、あるいはそれらを含むUSBメモリやメモリカード、光ディスク、光磁気ディスク、磁気記録媒体等を用いてよく、さらに、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD―R、CD―RW、FD、DVDROM、HDDVD(HDDVD−R−SL<1層>、 HDDVD−R−DL<2層>、HDDVD−RW−SL、HDDVD−RW−DL、HDDVD−RAM−SL)、DVD±R−SL、DVD±R−DL、DVD±RW−SL、DVD±RW−DL、DVD−RAM、Blu−Ray Disk<登録商標>(BD−RーSL、BD−R−DL、BD−RE−SL、BD−RE−DL)、MO、ZIP、磁気カード、磁気テープ、SDカード、メモリスティック、不揮発性メモリカード、ICカード、等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置、等に記録して構成して用いてよい。
さらに「情報記録媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの(伝送媒体ないしは伝送波)、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、コンピュータ上で稼働しているOS、端末(例えば携帯電話など)上のRTOS等が処理の一部又は全部を行う場合にも、上記実施の形態と同等の機能を実現できると共に、同等の効果を得ることができる。
さらに、プログラムを暗号化して記録媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。この場合、本発明の構成は、制御プログラムの各構成要素(各種の手段<回路・各部>、ステップ及びデータ)と、前記制御プログラム(各種の手段<回路・各部>)、ステップ及びデータ)を暗号化する暗号化手段と、を含んでよい。
さらに、上述の制御プログラムなどが搭載される情報処理装置としては、サーバは、例えばパーソナルコンピュータに限らず、各種サーバー、EWS(エンジニアリングワークステーション)、中型コンピュータ、メインフレームなどが挙げられる。情報端末は、以上の例に加えて、携帯型情報端末、各種モバイル端末、PDA、携帯電話機、ウエアラブル情報端末、種々の(携帯型などの)テレビ・DVDレコーダ・各種音響機器及びそのリモコン、各種情報通信機能を搭載した家電機器、ネットワーク機能を有するゲーム機器等からも利用できる構成としても構わない。あるいは、これらの端末に表示されるアプリケーションとして改良されたものも本発明の範囲に含めることができる。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
ここで、本明細書において、フローチャートに示されるステップは、記載された手順に従って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理を含むものである。また、実装では、プログラム手順(ステップ)が実行される順序を変更することができる。さらに、実装の必要に応じて、本明細書で説明した特定の手順(ステップ)を、組み合わされた手順(ステップ)として実装、除去、追加、または再配置することができる。
さらに、情報記録再生装置の各手段(各部・各回路)、各機能、各ステップの手順の機能などのプログラムの機能を、専用のハードウエア(例えば専用の半導体回路等)によりその機能を達成してもよく、プログラムの全機能のうち一部の機能をハードウエアで処理し、全機能のうちさらに他の機能をソフトウエアで処理するようにしてもよい。専用のハードウエアの場合、各部を集積回路例えばLSIにて形成されてもよい。これらは個別に1チップ化されても良いし、一部または全部を含むように1チップ化されても良い。また、LSIには、ストリーミングエンジンなど他の機能ブロックが含まれていても良い。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。
(電子機器)
さらに、上述の各実施の形態の情報記録再生装置を一又は複数備えた電子機器を構成してもよい。電子機器は、例えば前記情報記録再生装置を備えたコンピュータ(情報処理装置)などが挙げられる。また、情報記録再生装置と、この情報記録再生装置と通信可能な情報処理装置とによるシステムを構成してもよい。
この電子機器の例としては、情報記録再生装置を内蔵したテレビ、情報記録再生装置を内蔵したパーソナルコンピュータ、情報記録再生装置を内蔵したサーバ、情報記録再生装置を内蔵したゲーム機器、HD―DVDライター(情報記録装置)、一の情報記録再生装置と他の情報記録再生装置とを備えたデュプリケータ(記録媒体複製装置)など各種の電気製品を含んでよい。それらの電子機器のうち、情報記録再生装置が複数形成されていてもよく、情報記録再生装置に加えて、情報記録装置や情報再生装置が一又は複数形成されている電子機器であってもよい。
さらに、ベース記録ストラテジの最適ベースパルス幅を決定し、記録条件を決定する手法は、必ずしも実体のある装置に限られる必要はなく、その方法としても機能することは容易に理解できる。このため、方法にかかる発明も、必ずしも実体のある装置に限らず、その方法としても有効であることに相違はない。この場合、方法を実現するための一例として情報記録再生装置や情報記録装置も含めることができる。
ところで、このような情報記録再生装置は、単独で存在する場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。従って、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。発明の思想の具現化例として記録装置のソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウェアを記憶した記憶媒体上においても当然に存在し、利用されるといわざるをえない。
さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても、一部を記憶媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態のものとしてあってもよい。本発明をソフトウェアで実現する場合、ハードウェアやオペレーティングシステムを利用する構成とすることも可能であるし、これらと切り離して実現することもできる。
実現方法は、オペレーティングシステムにおける所定の関数を呼び出して処理することも可能であれば、このような関数を呼び出すことなくハードウェアから入力することも可能である。そして、オペレーティングシステムの介在のもとで実現するとしても、プログラムが媒体に記録されて流通される過程においては、このプログラムだけで本発明を実施できるものと理解することができる。
さらに、上記各実施の形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。つまり、上述の各実施の形態同士、あるいはそれらのいずれかと各変形例のいずれかとの組み合わせによる例をも含む。この場合において、本実施の形態において特に記載しなくとも、各実施の形態及びそれらの変形例に開示した各構成から自明な作用効果については、当然のことながら実施の形態の作用効果として含めることができる。逆に、本実施の形態に記載されたすべての作用効果を奏することのできる構成が、本発明の本質的特徴部分の必須構成要件であるとは限らない。また、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除された構成による実施の形態並びにその構成に基づく技術的範囲も発明になりうる。
そして、各実施の形態及びそれらの変形例を含むこれまでの記述は、本発明の理解を容易にするために、本発明の多様な実施の形態のうちの一例の開示、すなわち、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、例証するものであり、制限するものではなく、適宜変形及び/又は変更が可能である。本発明は、その技術思想、またはその主要な特徴に基づいて、様々な形で実施することができ、各実施の形態及びその変形例によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
従って、上記に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物を含む趣旨である。
本発明は、記録装置を製造する製造業、コンピュータ産業などに適用可能である。
本発明の第1の実施の形態による情報記録再生装置の概要の一例を示す概略説明図である。 図1に示す情報記録再生装置のRF回路部の詳細構成の一例を示すブロック図である。 図1に示す情報記録再生装置のシステムコントローラの内部構成の一例を示すブロック図である。 図1に示す情報記録再生装置のシステムコントローラの内部のベース記録ストラテジ調整部の詳細構成の一例を示すブロック図である。 図4に示すシステムコントローラ内のベース記録ストラテジ調整部のパルス幅依存性測定器の詳細構成の一例を示すブロック図である。 図3に示すシステムコントローラの内部の詳細構成の一例を示すブロック図である。 図6に示すシステムコントローラの内部のベースパワー調整制御部の詳細構成の一例を示すブロック図である。 図3に示すシステムコントローラの内部のパワー調整部の詳細構成の一例を示すブロック図である。 図3に示すシステムコントローラの内部の記録ストラテジ調整部の詳細構成の一例を示すブロック図である。 情報記録再生装置に用いられる記録ストラテジのパルス列(パルストレイン)の一例を示す説明図である。 図1に示す情報記録再生装置に用いられる記録ストラテジの(k−1)型パルス列(パルストレイン)の一例を示す説明図である。 図1に示す情報記録再生装置において、消去パワーを0mW、3mW、6mWとした時の記録マークの再生信号変調度と記録ストラテジのパルスのパルス幅との相関関係の一例を示す図であって、再生信号変調度に関するパルス幅依存性を示す説明図である。 図1に示す情報記録再生装置において、再生信号変調度の差分と記録ストラテジのパルスのパルス幅との相関関係の一例を示す図であって、再生信号変調度の差分に関する記録ストラテジのパルスのパルス幅依存性を示す説明図である。 図1に示す情報記録再生装置において、記録ストラテジのパルス幅とPRSNR値との相関関係の一例を示す図であって、該パルス幅が0.1Tから0.8Tまでの場合に対し、各々のパルス幅で記録パワー、消去パワー及びトップパルス、ミドルパルス、ラストパルス、クーリングパルスを調整した後のPRSNR値を示す説明図である。 図1に示す情報記録再生装置において、消去パワーを0mWとし、消去パワーを変化させながら記録を行い、記録された記録マークの再生信号変調度と記録パワーとの相関関係の一例であって、再生信号変調度に関する記録パワー依存性を示す説明図である。 図1の情報記録再生装置において、RF信号(再生信号)のアイパターンを示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態による情報記録再生装置の処理手順の全体処理の概要の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態による情報記録再生装置の処理手順のうち全体処理の詳細手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態による情報記録再生装置の処理手順のうち最適ベースパルス幅を決定する処理の一例を示すフローチャートである。 図1の情報記録再生装置に用いられるベース記録ストラテジにて記録パワー依存性測定時におけるパルス列の一例を示す説明図である。 図1の情報記録再生装置に用いられるベース記録ストラテジにてパルス幅依存性測定時であって、消去パワーが6mWに設定されている場合におけるパルス列の一例を示す説明図である。 図1の情報記録再生装置に用いられるベース記録ストラテジにてパルス幅依存性測定時であって、消去パワーが0mWに設定されている場合におけるパルス列の一例を示す説明図である。 図1の情報記録再生装置に用いられるベース記録ストラテジにて消去パワーが6mWに設定されている場合でのパルス幅依存性測定時であって、後縁を一律に変化させる場合おけるパルスの一例を示す説明図である。 図1の情報記録再生装置に用いられるベース記録ストラテジにて消去パワーが0mWに設定されている場合でのパルス幅依存性測定時であって、後縁を一律に変化させる場合おけるパルスの一例を示す説明図である。 図1の情報記録再生装置に用いられるベース記録ストラテジにて消去パワーが6mWに設定されている場合でのパルス幅依存性測定時であって、前縁を一律に変化させる場合おけるパルスの一例を示す説明図である。 図1の情報記録再生装置の記録パワー微調整処理における記録パワーを段階的に変化させた場合における記録パワーとPRSNR値との相関関係の一例を示す説明図である。 図1の情報記録再生装置の消去パワー微調整処理における消去パワーを段階的に変化させた場合における消去パワーとPRSNR値との相関関係の一例を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態による情報記録再生装置のシステムコントローラ内のベース記録ストラテジ調整部の詳細構成の一例を示すブロック図である。 図28の情報記録再生装置の各部の詳細構成の一例を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態による情報記録再生装置の全体構成の一例を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態による情報記録再生装置の概要の一例を示すブロック図である。 本発明の第5の実施の形態による情報記録再生装置の概要の一例を示すブロック図である。 図1の情報記録再生装置のPRSNR計算器の詳細構成の一例を示すブロック図である。
符号の説明
1 情報記録再生装置
2 スピンドル駆動系
10 光ヘッド部
12 レーザダイオード(LD)
14 対物レンズ
16 受光部
18 ビームスプリッタ
20 RF回路部
21 プリフィルタ
22 オートゲインコントロール(AGC)
23 A/Dコンバータ(ADC)
24 フェーズロックドループ(PLL)
24 適応等化器
25 ビタビ復号器
27 PRSNR計算器
30 復調器
40 システムコントローラ
41 ベースパワー調整部(ベースパワー調整手段)
41a パワー依存性測定器(記録パワー依存性測定制御手段)
41b パワー変更器
41c ベースパワー調整制御部(ベースパワー調整制御手段)
41c−1 記録パワー調整処理部
41c−2 消去パワー調整処理部
41d パワー依存性測定用パルス幅変更器
42 ベース記録ストラテジ調整部(ベース記録ストラテジ調整手段)
42a パルス幅依存性測定器(パルス幅依存性測定制御手段)
51 ピークホールド回路
52 ボトムホールド回路
53 変調度演算回路
54 差分演算回路
55 パルス幅依存性測定回路
42b ベースパルス幅選択器(ベースパルス幅選択制御手段)
42c 消去パワー切り替え器(消去パワー条件切替制御手段)
42d ベースパルス幅変更器(ベースパルス幅変更制御手段)
42e ベースパルス幅調整制御部(ベースパルス幅変更制御手段)
43 パワー調整部(パワー調整手段)
43a 記録パワー微調整処理部(記録パワー微調整処理手段)
43b 消去パワー微調整処理部(消去パワー微調整処理手段)
44 記録ストラテジ調整部(記録ストラテジ調整手段)
44a トップパルス・クーリングパルス同時調整処理部
(トップパルス・クーリングパルス同時調整処理手段)
44b 第1のトップパルス独立調整処理部
44c 第1のミドルパルス独立調整処理部
44d 第1のラストパルス独立調整処理部
44e 第1のクーリングパルス独立調整処理部
44f 第2のトップパルス独立調整処理部
44g 第2のミドルパルス独立調整処理部
44h 第2のラストパルス独立調整処理部
44i 第2のクーリングパルス独立調整処理部
44j 第1の性能確保判定部(第1の性能確保判定処理手段)
44k 第2の性能確保判定部(第2の性能確保判定処理手段)
45 信号品質判定制御部
72 変調器
74 LD駆動系
76 サーボコントローラ
78 光ディスク(相変化記録媒体)

S10A ベースパワー調整処理ステップ(ベースパワー調整ステップ)
S10B ベース記録ストラテジ調整処理ステップ
(ベース記録ストラテジ調整ステップ)
S10C パワー調整処理ステップ(パワー調整ステップ)
S10D 記録ストラテジ調整処理ステップ(記録ストラテジ調整ステップ)

S103 記録パワー微調整処理ステップ
S104 消去パワー微調整処理ステップ
S106 第1の性能確保判定処理ステップ
S107 第1のトップパルス独立調整処理ステップ
S108 第1のミドルパルス独立調整処理ステップ
S109 第1のラストパルス独立調整処理ステップ
S110 第1のクーリングパルス独立調整処理ステップ
S107、S108、S109、S110 第1のパルス独立調整処理ステップ
S111 第2の性能確保判定処理ステップ
S112 第2のトップパルス独立調整処理ステップ
S113 第2のミドルパルス独立調整処理ステップ
S114 第2のラストパルス独立調整処理ステップ
S115 第2のクーリングパルス独立調整処理ステップ
S112、S113、S114、S115 第2のパルス独立調整処理ステップ

S201〜S212 パルス幅依存性測定制御ステップ
S201 パルス幅変更範囲設定ステップ
S202 消去パワー条件設定ステップ
S205、S207、S211 ベースパルス幅変更記録ステップ
S206、S208、S209、S211 パルス幅依存性測定ステップ
S213 ベースパルス幅選択制御ステップ

Claims (20)

  1. 相変化記録媒体上にパルス列よりなる記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射してパターン列を記録する記録条件を決定する記録条件決定方法であって、
    他の調整に先立って、前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整するベース記録ストラテジ調整ステップと、
    前記ベース記録ストラテジ調整ステップにて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、パワーを調整するパワー調整ステップと、
    前記ベース記録ストラテジ調整ステップにて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記パワー調整ステップによる調整後に、前記記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整する記録ストラテジ調整ステップと、
    を含み、
    前記ベース記録ストラテジ調整ステップは、
    消去パワー条件に依存せず一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅を算出するための調整を行い、前記最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジを決定すること、
    を特徴とする記録条件決定方法。
  2. 請求項1に記載の記録条件決定方法において、
    前記ベース記録ストラテジ調整ステップは、
    互いに異なる少なくとも2つの各消去パワー条件毎に、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を変化させつつテストパターンを各々記録し、該各々のテストパターンからの再生信号変調度を各々測定し、一方の消去パワー条件による一方の再生信号変調度と他方の消去パワー条件による他方の再生信号変調度との差分に関するパルス幅依存性を求めるパルス幅依存性測定制御ステップと、
    前記パルス幅依存性測定制御ステップにて算出された再生信号変調度差分に関する前記パルス幅依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスの最適ベースパルス幅を選択制御するベースパルス幅選択制御ステップと、
    を含むことを特徴とする記録条件決定方法。
  3. 請求項2に記載の記録条件決定方法において、
    一方の前記消去パワー条件は、消去パワーを与えない状態の消去パワーを含み、
    他方の前記消去パワー条件は、記録済みマークが消去される消去パワーを含み、
    前記パルス幅依存性測定制御ステップでは、
    消去パワーを与えない状態の消去パワーにて記録されたテストパターンの再生信号に基づいて測定される一方の再生信号変調度と、記録済みマークが消去される消去パワーにて記録されたテストパターンの再生信号に基づいて測定される他方の再生信号変調度と、の差分である再生信号変調度差分を、各パルス幅の変化に応じて測定することにより前記再生信号変調度差分のパルス幅依存性を測定制御するようにしたこと、
    を特徴とする記録条件決定方法。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の記録条件決定方法において、
    前記ベースパルス幅選択制御ステップでは、
    前記再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲内のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択するようにしたことを特徴とする記録条件決定方法。
  5. 請求項2乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の記録条件決定方法において、
    前記ベースパルス幅選択制御ステップでは、
    前記再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲のうち、最小のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択するようにしたことを特徴とする記録条件決定方法。
  6. 請求項2乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の記録条件決定方法において、
    前記パルス幅依存性測定制御ステップでは、
    前記ベース記録ストラテジを構成するトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの全てのパルスのパルス幅を等しくし、前記トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの前縁又は後縁のいずれか一方を一律に変化させるようにしたこと、
    を特徴とする記録条件決定方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載の記録条件決定方法において、
    前記ベース記録ストラテジ調整ステップによる前記ベース記録ストラテジのパルス幅調整前に、前記レーザ光のパワーを調整するベースパワー調整ステップ、
    をさらに有し、
    前記ベースパワー調整ステップは、
    前記ベース記録ストラテジの記録パワーを変化させて記録を行い、記録された記録マークの再生信号変調度の記録パワー依存性を測定し、該記録パワー依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジに関するパワーを調整すること、
    を特徴とする記録条件決定方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載の記録条件決定方法において、
    前記記録ストラテジ調整ステップは、
    前記ベース記録ストラテジ調整後であって、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅とクーリングパルスのパルス幅とを同時に調整した後に、前記記録ストラテジの性能が確保されているか否か判定する処理を行う第1の性能確保判定処理ステップと、
    前記第1の性能確保判定処理ステップにて性能が確保されていないと判定された場合に、前記記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を各々独立に、PRSNR値を指標に調整する制御を行う第1のパルス独立調整処理ステップと、
    を含むことを特徴とする記録条件決定方法。
  9. 相変化記録媒体上にパルストレイン型の記録ストラテジにて記録パワー、消去パワー、バイアスパワーの少なくとも3値の間で強度変調したレーザ光を照射することで記録マークとスペースによるパターン列を記録する記録条件を決定する記録条件決定方法であって、
    前記消去パワーを与えない状態と、前記記録マークが消去される消去パワーを付与した状態との少なくとも2種類の消去パワー条件下で、他の調整に先立って前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成するパルスのパルス幅を一律に変化させつつ記録を行うベースパルス幅変更記録ステップと、
    前記2種類の各消去パワー条件下にて各々記録された各パターン列を各々再生し、前記各消去パワー条件下での各再生信号変調度の差に関するパルス幅依存性を測定するパルス幅依存性測定ステップと、
    前記パルス幅依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスの最適ベースパルス幅を決定するベースパルス幅選択制御ステップと、
    含むことを特徴とする記録条件決定方法。
  10. 相変化記録媒体にパルス列よりなる記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射してパターン列を記録する記録装置であって、
    他の調整に先立って、前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整するベース記録ストラテジ調整手段と、
    前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記レーザ光のパワーを調整するパワー調整手段と、
    前記パワー調整手段による調整後に、前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整する記録ストラテジ調整手段と、
    を含み、
    前記ベース記録ストラテジ調整手段は、
    前記パターン列を消去する消去パワー条件に依存せず一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅を算出するための調整を行い、前記最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジを決定すること、
    を特徴とする記録装置。
  11. 請求項10に記載の記録装置において、
    前記ベース記録ストラテジ調整手段は、
    互いに異なる少なくとも2つの各消去パワー条件を切替制御する消去パワー条件切替制御手段と、
    前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を変更する制御を行うベースパルス幅変更制御手段と、
    各前記消去パワー条件毎に記録された各テストパターンを各々再生させて、各再生信号変調度の差分に関するパルス幅依存性を測定する制御を行うパルス幅依存性測定制御手段と、
    前記パルス幅依存性測定制御手段での前記パルス幅依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジを構成する各パルスの最適ベースパルス幅を選択制御するベースパルス幅選択制御手段と、
    前記各手段を制御するベースパルス幅調整制御手段と、
    を含むことを特徴とする記録装置。
  12. 請求項11に記載の記録装置において、
    一方の前記消去パワー条件は、消去パワーを与えない状態の消去パワーを含み、
    他方の前記消去パワー条件は、記録済みマークが消去される消去パワーを含み、
    前記パルス幅依存性測定制御手段は、
    前記消去パワー条件切替制御手段の切替制御による消去パワー条件と、前記ベースパルス幅変更制御手段のパルス幅条件とに基づいて、消去パワーを与えない状態の消去パワーにて記録されたテストパターンの再生信号に基づいて測定される一方の再生信号変調度と、記録済みマークが消去される消去パワーにて記録されたテストパターンの再生信号に基づいて測定される他方の再生信号変調度と、の差分である再生信号変調度差分を、各パルス幅の変化に応じて測定することにより前記再生信号変調度差分のパルス幅依存性を測定制御すること、
    を特徴とする記録装置。
  13. 請求項11又は請求項12に記載の記録装置において、
    前記ベースパルス幅選択制御手段は、
    前記再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲内のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択することを特徴とする記録装置。
  14. 請求項11乃至請求項13のうちいずれか一項に記載の記録装置において、
    前記ベースパルス幅選択制御手段は、
    前記再生信号変調度差分がパルス幅の変化に対して実質変化しないパルス幅範囲のうち、最小のパルス幅を最適ベースパルス幅として選択することを特徴とする記録装置。
  15. 請求項11乃至請求項14のうちいずれか一項に記載の記録装置において、
    前記ベースパルス幅変更制御手段は、
    前記ベース記録ストラテジを構成するトップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの全てのパルスのパルス幅を等しくし、前記トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの前縁又は後縁のいずれか一方を一律に変化させること、
    を特徴とする記録装置。
  16. 請求項10乃至請求項15のうちいずれか一項に記載の記録装置において、
    前記ベース記録ストラテジ調整手段による前記ベース記録ストラテジのパルス幅調整前に、前記レーザ光のパワーを調整するベースパワー調整手段、
    をさらに有し、
    前記ベースパワー調整手段は、
    前記ベース記録ストラテジの記録パワーを変化させて記録を行い、記録された記録マークの再生信号変調度の記録パワー依存性を測定制御する記録パワー依存性測定制御手段と、
    前記記録パワー依存性測定制御手段での記録パワー依存性に基づいて、前記ベース記録ストラテジに関するパワーを調整するベースパワー調整制御手段と、
    を含むことを特徴とする記録装置。
  17. 請求項10乃至請求項16のうちいずれか一項に記載の記録装置において、
    前記記録ストラテジ調整手段は、
    前記ベース記録ストラテジ調整後に、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅、クーリングパルスのパルス幅を相互に一定の対応関係を持たせて特定範囲内で段階的に変化させるように制御し、前記パターン列を構成する記録マークのPRSNR値に基づいて、前記トップパルスのパルス幅と前記クーリングパルスのパルス幅とを同時に調整する制御を行うトップパルス・クーリングパルス同時調整処理手段、
    を含むことを特徴とする記録装置。
  18. 請求項10乃至請求項17のうちいずれか一項に記載の記録装置において、
    前記記録ストラテジ調整手段は、
    前記ベース記録ストラテジ調整後であって、前記記録ストラテジを構成するトップパルスのパルス幅とクーリングパルスのパルス幅とを同時に調整した後に、前記記録ストラテジの性能が確保されているか否か判定する処理を行う第1の性能確保判定処理手段と、
    前記第1の性能確保判定処理手段にて性能が確保されていないと判定された場合に、前記記録ストラテジを構成するパルスのパルス幅を各々独立に、PRSNR値を指標に調整する制御を行う第1の独立調整処理手段と、
    を含むことを特徴とする記録装置。
  19. 相変化記録媒体上にパルストレイン型の記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射することで記録マークとスペースによるパターン列を光照射によって記録を行う記録装置であって、
    前記記録マークを消去する消去パワーを与えない状態と、前記記録マークが消去される消去パワーを付与した状態との少なくとも2種類の各消去パワー条件を切替制御する消去パワー条件切替制御手段と、
    他の調整に先立って前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する最初のパルスをトップパルス、それに連なるパルス群をミドルパルス、最後のパルスをラストパルスと逆極性のパルスをクーリングパルスとした時、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスのパルス幅を変化させるベースパルス幅変更制御手段と、
    前記2種類の各消去パワー条件下にて記録された各パターン列を各々再生し、再生された各記録マークの各々の再生信号変調度の差におけるパルス幅依存性を測定するパルス幅依存性測定制御手段と、
    前記パルス幅依存性測定制御手段にて測定されたパルス幅依存性に基づいて、トップパルス、ミドルパルス、ラストパルスの好ましいパルス幅を選択するベースパルス幅選択制御手段と、
    を含むことを特徴とする記録装置。
  20. 相変化記録媒体上にパルス列よりなる記録ストラテジにて強度変調したレーザ光を照射してパターン列を記録する記録条件を決定制御する記録条件決定用の制御プログラムであって、
    コンピュータに、
    他の調整に先立って、前記記録ストラテジの調整のベースとなるベース記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整するベース記録ストラテジ調整手段と、
    前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、パワーを調整するパワー調整手段と、
    前記パワー調整手段による調整後に、前記ベース記録ストラテジ調整手段にて調整されたベース記録ストラテジに基づいて、前記記録ストラテジを構成する各パルスのパルス幅を調整する記録ストラテジ調整手段として、
    機能させ、
    前記ベース記録ストラテジ調整手段は、
    前記パターン列を消去する消去パワー条件に依存せず一定の再生信号変調度が得られる最適ベースパルス幅を算出するための調整を行い、前記最適ベースパルス幅によるベース記録ストラテジを決定すること、
    を特徴とする制御プログラム。
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