JP2009048073A - 感光性転写材料、隔壁及びその形成方法、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仮支持体上に、該仮支持体側から順に、少なくとも熱可塑性樹脂層と感光性樹脂層とを有しており、前記感光性樹脂層は、少なくとも色材、バインダーポリマー、モノマー、及び重合開始剤を含み、Tg(b)×(Mw(b)/10000)≧215(数式(1))〔Tg(b):バインダーポリマーのガラス転移温度[℃]、Mw(b):バインダーポリマーの重量平均分子量〕を満たすと共に、前記モノマーの該感光性樹脂層中における含有量が該感光性樹脂層の全固形分の35質量%以下である感光性転写材料である。
【選択図】なし
Description
例えば染色法では、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、及びBの着色画素(カラーフィルタ)を形成することができる。
殊に、いわゆるブラックマトリックスなどの壁を形成しようとする場合は、この欠け欠陥は例えばインクジェット法でインクを吹き付けて画素形成しようとする際に混色を招くことがあり、混色の発生はカラーフィルタの色特性や表示性能を悪化させる要因となる。
<1> 仮支持体上に、該仮支持体側から順に、少なくとも熱可塑性樹脂層と感光性樹脂層とを有しており、前記感光性樹脂層は、少なくとも色材、バインダーポリマー、モノマー、及び重合開始剤を含み、下記数式(1)を満たすと共に、前記モノマーの該感光性樹脂層中における含有量が該感光性樹脂層の全固形分の35質量%以下である感光性転写材料である。
Tg(b)×(Mw(b)/10000)≧215 ・・・(1)
〔Tg(b):バインダーポリマーのガラス転移温度[℃]、Mw(b):バインダーポリマーの重量平均分子量〕
<3> 前記色材が、顔料であることを特徴とする前記<1>又は前記<2>に記載の感光性転写材料である。
<4> 前記バインダーポリマーは、ベンジルメタクリレートが共重合した共重合体であって、前記ベンジルメタクリレートの共重合比率が20モル%以下であることを特徴とする前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の感光性転写材料である。
<6> 圧着後の少なくとも前記感光性樹脂層を露光し、現像する工程を有することを特徴とする前記<5>に記載の隔壁の形成方法である。
<7> 前記<5>又は前記<6>に記載の隔壁の形成方法により形成された隔壁である。
<9> 前記着色領域の形成は、着色液体組成物をインクジェット法により前記隔壁間に付与する方法により行なうことを特徴とする前記<8>に記載のカラーフィルタの製造方法である。
<10> 前記<8>又は前記<9>に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタである。
<11> 前記<10>に記載のカラーフィルタを備えた表示装置である。
本発明によれば、欠け欠陥の発生が防止された隔壁及びその形成方法、並びに、混色が防止され、色特性が良好で表示特性に優れたカラーフィルタ及びその製造方法、表示装置を提供することができる。
本発明の感光性転写材料は、仮支持体上に、該仮支持体側から順に少なくとも、熱可塑性樹脂層と、少なくとも色材、バインダーポリマー、モノマー、及び重合開始剤を含む感光性樹脂層と、を少なくとも有してなり、この感光性樹脂層が、下記数式(1)を満たし、かつ該感光性樹脂層中におけるモノマーの含有量を35質量%以下になるように構成したものである。また、本発明の感光性転写材料は、必要に応じて、熱可塑性樹脂層と感光性樹脂層との間に中間層などの他の層を有していてもよい。
Tg(b)×(Mw(b)/10000)≧215 ・・・(1)
〔Tg(b):バインダーポリマーのガラス転移温度[℃]、Mw(b):バインダーポリマーの重量平均分子量〕
前記数式(1)を満たすことにより、特に、例えばブラックマトリクス等の遮光機能を有する隔壁を形成するときには、隔壁間の凹状領域にインクをインクジェット付与して着色領域を形成する際に欠け欠陥の影響で混色するのを抑止でき、色特性が良好で表示特性に優れたカラーフィルタを得るのに有効である。
数式(1)の左辺〔Tg(b)×(Mw(b)/10000)〕は、215以上とし、好ましくは230以上である。
重量平均分子量〔Mw(b)〕は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定されるものである。具体的には、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムとして、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.5質量%、流速を0.6ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行なう。検量線は、東ソー社製「polystyrene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製されたものである。
本発明の感光性転写材料は、少なくとも一層の熱可塑性樹脂層を有する。
熱可塑性樹脂層は、アルカリ現像を可能とし、転写時にはみ出した熱可塑性樹脂層自身による被転写体の汚染防止を可能とする点から、アルカリ可溶性であることが好ましい。
また、後述する感光性樹脂層を被転写体上に転写する際に、被転写体上に存在する凹凸に起因して発生する転写不良を効果的に防止するクッション材としての機能を有し、感光性転写材料を被転写体上に加熱密着させた際の被転写体上の凹凸に対応して変形可能な層である。
熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂としては、熱可塑性樹脂層の実質的な軟化点が80℃以下になるものが好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸を総称し、その誘導体の場合も同様である。
特に好ましいのは、特開昭63−147159号公報に記載の、メタクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体である。
好ましい形態は、充分なクッション性と転写後の除去のしやすさの点で、重量平均分子量が5000以上10000未満のPLと重量平均分子量が50000以上120000未満のPHとを混合して用いる場合であり、好ましい例として、メタクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体(PH)とスチレン/(メタ)アクリル酸共重合体(PL)とを混合して用いる場合が挙げられる。
好ましい界面活性剤としては、特開2003−337424号公報の段落[0015]〜[0024]、特開2003−177522号公報の段落[0012]〜[0017]、特開2003−177523号公報の段落[0012]〜[0015]、特開2003−177521号公報の段落[0010]〜[0013]、特開2003−177519号公報の段落[0010]〜[0013]、特開2003−177520号公報の段落[0012]〜[0015]、特開平11−133600号公報の段落[0034]〜[0035]、特開平6−16684号公報に記載の界面活性剤が好適に挙げられる。
ηCuが前記範囲内であると、ラミネートにより形成される隔壁の欠け欠陥の発生防止に有効であると共に、転写時の熱可塑性樹脂層のはみ出し及びこれによるラミネートのヒートロールの汚染を防止して良好に転写が行なえ、基板上の凹凸に対する追従性を確保して永久支持体への密着を良好にすることができる。
る、(2)低分子量ポリマーの含有率を高めて高分子量成分の割合を低くする、等の方法
により調整できる。
本発明の感光性転写材料は、仮支持体上に設けられた前記熱可塑性樹脂層の仮支持体と対向しない側に少なくとも一層の感光性樹脂層を有してなる。感光性樹脂層は、隔壁等の樹脂構造物を形成する場合に該樹脂構造物を構成する層であり、カラーフィルタを構成する着色領域(例えば着色画素)のほか、後述するようなブラックマトリックス等の遮蔽機能を有する隔壁を形成するための組成物を用いて形成することができる。
感光性樹脂層は、色材、バインダーポリマー、モノマー、及び重合開始剤を含んでなり、必要に応じて更に、重合禁止剤、界面活性剤などを用いて構成することができる。
前記色材としては、赤色、青色、緑色、黒色など目的に応じた色相の公知の着色剤(染料、顔料など)を適宜選択して用いることができる。具体的には、特開2005−17716号公報[0038]〜[0054]に記載の顔料及び染料や、特開2004−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。
色材として好ましくは、遮光機能、膜強度の点で、顔料の含有量が、10〜50質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることが更に好ましい。
「感光性を有し、アルカリ水溶液で現像可能な感光性樹脂層」を構成する光重合性組成物としては、主成分として、カルボン酸基などの酸基を有するアルカリ可溶性のバインダーポリマーと、多官能アクリルモノマーなどの重合性もしくは架橋性化合物と、光重合開始剤とを含むものが好適に挙げられ、露光されると光重合開始剤からラジカルなどの開始種が発生し、重合性もしくは架橋性化合物の重合、架橋反応を生起、進行させ、露光領域が硬化する特性を有する。
本発明における感光性樹脂層を構成するモノマーとしては、後述の重合開始剤からの活性種の作用を受けて重合もしくは架橋硬化する化合物の中から選択することができ、前記重合性もしくは架橋性化合物が好ましい。
重合性もしくは架橋性化合物としては、多官能アクリルモノマーが好適である。多官能アクリルモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類が好ましく挙げられる。
モノマーの含有量としては、上記同様の理由から少ない方が望ましいが、硬化性を考慮して、20〜40質量%の範囲が好ましく、25〜35質量%の範囲がより好ましい。
本発明における感光性樹脂層を構成するバインダーポリマーとしては、露光、現像してパターン形成する観点から水可溶ないしアルカリ可溶性のポリマーが好ましく、前記酸基(カルボン酸基等)を有するアルカリ可溶性のバインダーポリマーは好適である。
酸基を有するバインダーポリマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和有機酸化合物と、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等の不飽和有機酸エステル化合物との共重合体が好適である。
中でも、加熱圧着時の気泡の混入を回避する点で、メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/メチル(メタ)アクリレート/エチル(メタ)アクリレート共重合体、が好ましい。
また、バインダーポリマーの重量平均分子量Mw(b)としては、10000〜50000の範囲が好ましく、より好ましくは15000〜40000の範囲である。Mw(b)は、10000以上であると加熱圧着(ラミネート)時のエア(気泡)の巻き込みを抑止でき、50000以下であると加熱圧着(ラミネート)時のエア(気泡)の巻き込みが充分となり、現像も良好に行なえる。
バインダーポリマーの含有量としては、10〜40質量%がより好ましく、20〜35質量%が更に好ましい。
本発明における感光性樹脂層を構成する重合開始剤としては、公知の重合開始剤の中から適宜選択することができる。中でも、光重合開始剤が好ましく、例えば、ハロメチルオキサジアゾール系化合物、又はハロメチル−s−トリアジン系化合物などを好適に挙げることができる。
重合開始剤の含有量は、1〜5質量%がより好ましい。
中でも、ηKは、2000Pa・s〜1000000Pa・sが好ましく、より好ましくは4000Pa・s〜50000Pa・sであり、最も好ましくは10000Pa・s〜50000Pa・sである。ηKが前記範囲内であると、ラミネートにより形成される隔壁の欠け欠陥の発生が効果的に抑えられると共に、永久支持体への密着を確保できる。
特に感光性樹脂層を硬くする方法としては、(1')モノマー(M)/バインダーポリマー(B)の比率(M/B)を小さく(好ましくは0.7≦M/B≦1.0)する、(2')感光性樹脂層に顔料を添加して固形分中の顔料割合を高める、(3)Tg(b)の高い(好ましくはTg≧80)バインダーポリマーを選択する、等が挙げられる。
本発明の感光性転写材料は、上記の熱可塑性樹脂層や感光性樹脂層以外に、必要に応じて中間層や保護フィルムを有してもよい。
感光性樹脂転写材料を構成する仮支持体、中間層、及び保護フィルム、並びに転写材料の作製方法の詳細については、特開2005−3861号公報の段落番号[0023]〜[0066]に記載のものを好適なものとして適用することができる。
本発明の隔壁は、前記本発明の感光性転写材料を用い、この感光性転写材料を、感光性樹脂層が永久支持体に接するように、該永久支持体に圧着する工程(以下、「転写工程」ということがある。)を設けて形成される。
本発明の隔壁は、好ましくは、本発明の感光性転写材料をその感光性樹脂層が永久支持体に接するように該永久支持体に圧着する工程(転写工程)と、圧着後の少なくとも前記感光性樹脂層を露光し、現像する工程(以下、「パターニング工程」ということがある。)とを設けて形成される。
露光は、例えば、超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(例えば、日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)等を用いて行なえ、露光量は適宜(例えば300mJ/cm2)選択すればよい。露光に用いる光源としては、中圧〜超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
露光する工程では、仮支持体除去後の除去面(例えば仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層の層構造であるときには熱可塑性樹脂層の表面)と、所望のフォトマスク(例えば石英露光マスク)とを向き合うように配置し、永久支持体とフォトマスクとを垂直に立てた状態で、フォトマスク面と感光性樹脂層との間の距離を適宜(例えば200μm)設定し、露光することができる。
現像処理に用いる現像液としては、アルカリ性物質の希薄水溶液が用いられるが、水と混和性の有機溶剤を少量添加したものでもよい。
現像液は、浴液としても、あるいは噴霧液としても用いることができる。
前記「水と混和性の有機溶剤」としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が好適に挙げられる。水と混和性の有機溶剤の濃度は0.1〜30質量%が好ましい。
更に、公知の界面活性剤を添加することもでき、該界面活性剤の濃度としては0.01〜10質量%が好ましい。
ポスト露光に用いる光源としては、感光性樹脂層を硬化し得る波長領域の光(例えば、365nm、405nm)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、前記露光を補う露光量であればよく、通常は50〜5000mJ/cm2であり、好ましくは200〜4000mJ/cm2、更に好ましくは500〜2000mJ/cm2である。
ポストベーク時の温度は、通常、150〜280℃であり、好ましくは180〜250℃である。加熱時間は、前記ベーク温度により適宜選択できるが、例えばベーク温度を240℃とした場合は10〜120分が好ましく、30〜90分がより好ましい。
隔壁の光学濃度は、分光光度計UV−2100〔(株)島津製作所製〕を用いて、隔壁(例えばブラックマトリクス)が形成された隔壁付き基板の透過光学濃度(OD1)を波長555nmで測定すると共に、各隔壁付き基板に用いた基材(例えばガラス基材)の透過光学濃度(OD0)を同様の方法で測定し、OD1からOD0を差し引いた透過濃度OD(=OD1−OD0)を光学濃度として測定できる。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、本発明の隔壁を形成する工程と、形成された隔壁間に着色領域を形成する工程(以下、「着色領域形成工程」ということがある。)とを設けて構成される。「本発明の隔壁を形成する工程」は、既述の本発明の隔壁の形成方法により隔壁を形成するものであり、転写工程を有し、好ましくは転写工程とパターニング工程とを有して構成されるものである。
着色領域形成工程では、形成された隔壁間に着色領域を形成する。この着色領域の形成は、上記のように、着色液体組成物(インク)をインクジェット法により隔壁間に付与する方法により行なうことが好ましい。この場合、基板上に形成された隔壁で取り囲まれた凹状の部分に、着色画素(例えばRGB3色の画素パターン)を形成するためのインクジェットインクを吐出して侵入させることで、2色以上の複数の着色画素で構成されるようにカラーフィルタを作製することができる。
ドットオンデマンドタイプのうち、サーマル型ヘッドでは、吐出のため、特開平9−323420号に記載されているような稼動弁を持つタイプが好ましい。ピエゾ型ヘッドでは、例えば、欧州特許A277,703号、欧州特許A278,590号などに記載されているヘッドを用いることができる。これらの中で、インクジェットインクに対する熱の影響を少なくすることができ、使用可能な溶剤の選択が広いことから、ピエゾヘッドがより好ましい。
インクの物性値は、25℃の粘度としては10〜100mPa・sが好ましく、25℃の表面張力としては10〜50mN/mが好ましい。
加熱によって硬化する成分としては、各種の熱硬化性樹脂が広く用いられ、また、エネルギー線によって硬化する成分としては、例えばアクリレート誘導体又はメタクリレート誘導体に光反応開始剤を添加したものが挙げられる。特に耐熱性を考慮すると、アクリロイル基、メタクリロイル基を分子内に複数有するものがより好ましい。これらのアクリレート誘導体、メタクリレート誘導体は水溶性のものが好ましく使用でき、水に難溶性のものでもエマルション化するなどして使用できる。
1段階での加熱とは、溶剤除去してインク残部とした後、初めから完全にインクを硬化させる所定の温度にて加熱することであり、多段階での加熱とは、初めは比較的低温で加熱を開始し、その後順次加熱温度を上げて最終的に完全にインクを硬化させる所定の温度で加熱することである。
この加熱前に、インク残部を活性エネルギー線で硬化させる工程を設けてもよい。
本発明の表示装置は、既述の本発明のカラーフィルタを備えるものであれば、特に限定するものではない。本発明の表示装置には、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置が含まれる。
本発明の表示装置は、特にカラーTFT方式の液晶表示装置に構成されるのが有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。さらに、本発明の表示装置は、IPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置にも適用できる。これらの方式については、例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページに記載されている。
(島 健太郎、(株)シーエムシー、1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉、(株)富士キメラ総研、2003年発行)」に記載されている。
[バインダー1の合成]
窒素気流下、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート〔MMPG-Ac、ダイセル化学工業(株)製〕250gを、冷却管を設置した1000mlの三つ口フラスコに入れ、パラフィン入りのウォーターバスで内温が80℃まで加熱した。これに、MMPG−Ac80gにメタクリル酸〔MAA、三菱レーヨン(株)製〕19.35gとベンジルメタクリレート〔BzMA、共栄社化学(株)製〕6.72gとメタクリル酸メチル〔MMA、共栄社化学(株)製〕242.68gとを溶解させた溶液及び、MMPG−Ac20gに2,2'−アゾビス(イソ酪酸メチル)〔V601、和光純薬工業(株)製〕3.14gを溶解させた溶液をそれぞれプランジャーポンプで3時間かけて滴下した。滴下終了後、5時間攪拌し、1H−NMRにより残存モノマーの消失を確認した。これを更に27%となるようにMMPG-Acで希釈した。
以上のようにして、MAA/BzMA/MMA=7.2/2.5/90.3(質量比)のバインダー1を合成した。バインダー1は、ガラス転移温度が110℃であり、重量平均分子量は3.0万であった。
モノマーが消失しており、かつ高分子量成分の生成から、樹脂の合成を確認した。
また、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムとして、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.5質量%、流速を0.6ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー社製「polystyrene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
下記組成の成分を混合してK顔料分散物1を調製した。
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) ・・・13.1%
・分散剤(下記化合物1) ・・・0.65%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])のランダム共重合物、Tg=76℃、重量平均分子量=3.0万) ・・・6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・79.53%
下記組成に示す量のK顔料分散物1、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150r.p.m.で10分間攪拌し、攪拌しながら更に、下記組成に示す量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、バインダー1、フェノチアジン、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、及び界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、150r.p.m.で30分間攪拌することによって、感光性樹脂組成物K1を調製した。
・K顔料分散物1 ・・・30.33%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・ 8.60%
・メチルエチルケトン ・・・34.16%
・シクロヘキサノン ・・・ 8.55%
・2,4-ビス(トリクロロメチル)−6-〔4´−(N、Nジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3´−ブロモフェニル〕−s−トリアジン ・・・ 0.24%
・前記バインダー1 ・・・11.59%
・下記DPHA液 ・・・ 6.46%
・フェノチアジン ・・・ 0.01%
・下記界面活性剤1 ・・・ 0.06%
〜DPHA液〜
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) ・・・ 76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・ 24%
・下記構造物1 ・・・ 30%
・メチルエチルケトン ・・・ 70%
すなわち、実施例1では、K顔料分散物1からベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])のランダム共重合物(Tg=76℃、重量平均分子量=3.0万)が2.04%、バインダー1からMAA/BzMA/MMA=7.2/2.5/90.3(質量比;Tg=110℃、重量平均分子量=3.0万)が3.13%存在する。よって、本発明にいう「バインダーポリマーのガラス転移温度」は、(76×(2.04/(2.04+3.13))+(110×(3.13/(2.04+3.13))=96.6℃と算出される。
また、本発明にいう「バインダーポリマーの重量平均分子量」の計算も同様である。
(感光性転写材料K1の作製)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させて熱可塑性樹脂層を形成した。次に、下記処方P1からなる中間層用塗布液を、熱可塑性樹脂層の上にさらに塗布、乾燥させて中間層(酸素遮断膜)を形成した。この中間層上にさらに、前記感光性樹脂組成物K1を塗布、乾燥させて、感光性樹脂層K1を形成した。
このようにして、PET仮支持体の上に、乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2.3μmの感光性樹脂層K1を積層し、この感光性樹脂層K1の表面に保護フィルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
以上のようにして、仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層と感光性樹脂層K1とが一体となった感光性転写材料K1を作製した。
・メチルエチルケトン ・・・171.6部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃、21%,メチルエチルケトン26%、プロピレングリコールモノメチルエーテル13%、メタノール40%溶液) ・・・444.7部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、平均分子量=1万、Tg≒100℃、42%、メチルエチルケトン49.5%、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.5%) ・・・271.8部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製) ・・・106.0部
・前記界面活性剤1 ・・・5.94部
・PVA205 ・・・32.2部
(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、鹸化度=88%、重合度550)
・ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン社製、K−30)・・・14.9部
・蒸留水 ・・・524部
・メタノール ・・・429部
の詳細については、以下の通りである。
感光性転写材料K1がラミネートされたシランカップリング処理ガラス基板を、高輝度シャーカステン上で感光性転写材料K1側が上(観察側)になるように置き、PET仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、10μm以上のピンホールの数をカウントした。その結果を下記表2に示す。
行なった後、220℃で20分間熱処理し、光学濃度4.0、膜厚2.0μm、100μm幅の開口部を有するストライプ状の隔壁を得た。
隔壁が形成されたガラス基板に、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、以下の条件にて撥インク化プラズマ処理を施した。
(条件)
・使用ガス :CF4
・ガス流量 :80sccm
・圧力 :40Pa
・RFパワー:50W
・処理時間 :30sec
下記の成分のうち、まず顔料、高分子分散剤及び溶剤を混合し、3本ロールとビーズミルを用いて顔料分散液を得た。その顔料分散液をディソルバー等で十分攪拌しながら、その他の材料を少量ずつ添加し、赤色(R)画素用の着色液体組成物(インクR)を調製した。
・顔料(C.I.ピグメントレッド254) ・・・5部
・高分子分散剤(AVECIA社製のソルスパース24000) ・・・1部
・バインダー ・・・ 3部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万)
・第一エポキシ樹脂 ・・・2部
(ノボラック型エポキシ樹脂、油化シェル社製エピコート154)
・第二エポキシ樹脂(ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル) ・・・5部
・硬化剤(トリメリット酸) ・・・ 4部
・溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル ・・・80部
また更に、前記組成中のC.I.ピグメントレッド254をこれと同量のC.I.ピグメントブルー15:6に代えた以外は、赤色画素用の着色液体組成物と同様にして、青色(B)画素用の着色液体組成物(インクB)を調製した。
インクジェットヘッドとしてDimatix社製のSE−128を、吐出制御装置としてDimatix社製のApolloIIを用い、以下の形態でインクを打滴した。
インクジェットヘッドを自動2次元移動ステージ(駿河精機製KS211−200)上に搭載し、隔壁が形成されたガラス基板の隔壁で囲まれた凹部に所定インク量が吐出されるように、ステージを移動させながら吐出制御装置によるヘッドからの吐出を同期させた。ここで、インクR、インクG、及びインクBの3色のインクは、各々別のヘッドに充填されており、各ヘッドはXYステージ上に固定され、各々のインクが所定の位置に着弾するように、吐出制御装置により3つのヘッドを独立に制御した。
打滴は、所望の濃度になるまで各色のインクを吐出し、吐出完了後、ホットプレートで100℃で2分間加熱乾燥させた後、さらに230℃のオーブン中で30分間ベーク処理することにより、隔壁及び着色画素(R画素、G画素、及びB画素)ともに良好に硬化されたカラーフィルタ(以下、これを「カラーフィルタ基板」という。)を作製した。
得られたカラーフィルタ基板における混色の程度を以下の方法により評価した。
カラーフィルタを光学顕微鏡を用いて観察し、カラーフィルタから任意に選択した3000画素について、インク混色の発生の有無を観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。結果は下記表2に示す。なお、実用上許容可能なランクは、Aランク、Bランク、及びCランクである。
〈評価基準〉
Aランク:全く混色がなかった。
Bランク:混色が1〜2箇所認められた。
Cランク:混色が3〜4箇所認められた。
Dランク:混色が5〜10箇所認められた。
Eランク:混色が11箇所以上認められた。
上記より得たカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素並びに隔壁の上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)透明電極をスパッタリングにより形成した。別途、対向基板としてガラス基板を用意し、同様にITO透明電極をスパッタリングにより形成した。そして、前記ITO透明電極上の隔壁の上方に相当する部分にフォトスペーサを設け、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
下記処方Aよりなる突起用感光性樹脂層用塗布液を、上記と同様のスリットコーターによりカラーフィルタ上のITO透明電極の上に塗布し、乾燥させて突起用感光性樹脂層を形成した。
次に、突起用感光性樹脂層上に前記処方P1よりなる中間層用塗布液を用いて、乾燥膜厚が1.6μmの保護層を設けた。
・ポジ型レジスト液 ・・・53.3部
(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製、FH−2413F)
・メチルエチルケトン ・・・46.7部
・前記界面活性剤1 ・・・ 0.04部
表示装置に通電して表示画像を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。結果は下記表2に示す。
〈評価基準〉
正常 :色ムラ等の表示ムラはなかった。
ムラ有り:色ムラが認められた。
実施例1において、下記表2に示すように、バインダーポリマーの種類を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを作製し、評価を行なうと共に、液晶表示装置を作製した。評価結果は下記表2に示す。
実施例1において、感光性樹脂組成物K1を下記組成よりなる感光性樹脂組成物K2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを作製し、評価を行なうと共に、液晶表示装置を作製した。評価結果は下記表2に示す。
<感光性樹脂組成物K2の組成>
・前記K顔料分散物1 ・・・30.33%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・10.97%
・メチルエチルケトン ・・・34.16%
・シクロヘキサノン ・・・ 8.55%
・2,4-ビス(トリクロロメチル)−6-〔4´−(N、Nジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3´−ブロモフェニル〕−s−トリアジン ・・・ 0.29%
・前記バインダー1 ・・・ 3.57%
・前記DPHA液 ・・・ 4.36%
・フェノチアジン ・・・ 0.01%
・前記界面活性剤1 ・・・ 0.06%
実施例1において、熱可塑性樹脂層を付与しなかった以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを作製し、評価を行なうと共に、液晶表示装置を作製した。評価結果は下記表2に示す。
これに対し、比較例では、ラミネート時の気泡の混入が顕著であり、カラーフィルタの作製に際しては混色が発生し、表示された画像には色ムラが発生した。
Claims (11)
- 仮支持体上に、該仮支持体側から順に、少なくとも熱可塑性樹脂層と感光性樹脂層とを有しており、前記感光性樹脂層は、少なくとも色材、バインダーポリマー、モノマー、及び重合開始剤を含み、下記数式(1)を満たすと共に、前記モノマーの該感光性樹脂層中における含有量が該感光性樹脂層の全固形分の35質量%以下である感光性転写材料。
Tg(b)×(Mw(b)/10000)≧215 ・・・(1)
〔Tg(b):バインダーポリマーのガラス転移温度[℃]、Mw(b):バインダーポリマーの重量平均分子量〕 - 前記バインダーポリマーの含有量が、前記感光性樹脂層の全固形分の30質量%以上であること特徴とする請求項1に記載の感光性転写材料。
- 前記色材が、顔料であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の感光性転写材料。
- 前記バインダーポリマーは、ベンジルメタクリレートが共重合した共重合体であって、前記ベンジルメタクリレートの共重合比率が20モル%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の感光性転写材料を、感光性樹脂層が永久支持体に接するように、該永久支持体に圧着する工程を有する隔壁の形成方法。
- 圧着後の少なくとも前記感光性樹脂層を露光し、現像する工程を有することを特徴とする請求項5に記載の隔壁の形成方法。
- 請求項5又は請求項6に記載の隔壁の形成方法により形成された隔壁。
- 請求項5又は請求項6に記載の隔壁の形成方法により隔壁を形成する工程と、形成された隔壁間に着色領域を形成する工程とを有するカラーフィルタの製造方法。
- 前記着色領域の形成は、着色液体組成物をインクジェット法により前記隔壁間に付与する方法により行なうことを特徴とする請求項8に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 請求項8又は請求項9に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタ。
- 請求項10に記載のカラーフィルタを備えた表示装置。
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