以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置について、体液などの液体試料の通過光量をもとに試料を分析する分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる分析装置1は、分析対象である試料および試薬を反応管21にそれぞれ分注し、分注した反応管21内で生じる反応を光学的に測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構2における測定結果の分析を行う制御機構3とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の試料の生化学分析を自動的に行う。
測定機構2は、大別して、試料移送機構11と、試料分注機構12と、反応テーブル13と、試薬庫14と、試薬分注機構17と、攪拌部18と、測光部19と、洗浄部20とを備える。
試料移送機構11は、血液や尿等、液体である試料を収容した複数の試料容器11aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の試料ラック11bを備える。試料移送機構11上の所定位置に移送された試料容器11a内の試料は、試料分注機構12によって、反応テーブル13上に配列して搬送される反応管21に分注される。
試料分注機構12は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアーム12aを備える。このアーム12aの先端部には、試料の吸引および吐出を行うプローブが取り付けられている。試料分注機構12は、図示しない吸排シリンジを用いた吸排機構を備える。試料分注機構12は、上述した試料移送機構11上の所定位置に移送された試料容器11aの中からプローブによって試料を吸引し、アーム12aを図中時計回りに旋回させ、反応管21に試料を吐出して分注を行う。
反応テーブル13は、反応管21への試料や試薬の分注、反応管21の攪拌、洗浄または測光を行うために反応管21を所定の位置まで移送する。この反応テーブル13は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル13の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応テーブル13の上方と下方には、図示しない開閉自在な蓋と恒温槽がそれぞれ設けられている。
試薬庫14は、反応管21内に分注される試薬が収容された試薬容器15を複数収納できる。試薬庫14には、複数の収納室が等間隔で配置されており、各収納室には試薬容器15が着脱自在に収納される。試薬庫14は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、試薬庫14の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器15を試薬分注機構17による所定位置まで移送する。試薬庫14の上方には、試薬の蒸発や変性を抑制するため、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられており、試薬庫14の下方には、恒温槽が設けられている。
試薬分注機構17は、試料分注機構12と同様に、試料の吸引および吐出を行うプローブが先端部に取り付けられたアーム17aを備える。アーム17aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。試薬分注機構17は、試薬庫14上の所定位置に移動された試薬容器15内の試薬をプローブによって吸引し、アーム17aを図中時計回りに旋回させ、反応テーブル13上の所定位置に搬送された反応管21に分注する。攪拌部18は、反応管21に分注された試料と試薬との攪拌を行い、反応を促進させる。
測光部19は、所定の測光位置に搬送された反応管21に光を照射し、反応管21内の液体を透過した光を分光し、反応液に特有の波長の通過光量を測定する。この測光部19による測定結果は、制御部31に出力され、分析部33において分析される。
測光部19は、たとえば図2に示すように、光源であるハロゲンランプ191と、ハロゲンランプ191から照射された光を反応管21に対して集光するレンズ192と、反応管21を透過した通過光量を受光する受光系198とを備える。受光系198は、たとえば、グレーティング195に対して集光するレンズ193,194と、レンズ193,194によって集光された光を分光するグレーティング195と、グレーティング195によって分光された光を波長ごとに絞るスリット部材196と、所定波長光の受光量をそれぞれ検出するフォトダイオード(以下、「PD」とする。)を1次元または2次元に配列しグレーティング195によって分光された各波長の光を受光するフォトダイオードアレイ(以下、「PDA」とする。)197とを備える。PDA197によって検出された各受光量は、各受光量に対応する電圧値に変換された後、増幅処理、デジタルデータ変換処理を経て、制御部31に出力される。
そして、測光部19においては、分析対象である試料のほか、ブランク試料に対しても測定処理を行なう。すなわち、ハロゲンランプ191は、このブランク試料に光を発し、PDA197は、ハロゲンランプ191から発せられた光のうちブランク試料を透過した通過光量を測光する。なお、ブランク試料は、空の状態、水を収容した状態または光の透過率が固定された液体を収容した状態である。
洗浄部20は、図示しないノズルによって、測光部19による測定が終了した反応管21内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行なう。この洗浄した反応管21は再利用されるが、検査内容によっては1回の測定終了後に反応管21を廃棄してもよい。
つぎに、制御機構3について説明する。制御機構3は、制御部31と、入力部32と、分析部33と、光源劣化検出部34と、記憶部35と、出力部37とを備える。測定機構2および制御機構3が備えるこれらの各部は、制御部31に電気的に接続されている。
制御部31は、CPU等を用いて構成され、分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部31は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。
入力部32は、キーボード、マウス等を用いて構成され、試料の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部33は、測光部19から取得した通過光量測定結果に基づいて試料の成分分析等を行う。
光源劣化検出部34は、各色温度における光強度の波長分布依存性にもとづいて、測光部19におけるPDA197によって測定されたブランク試料の通過光量における長波長側の相対値変化および測光部19におけるPDA197によって測定されたブランク試料の通過光量における短波長側の相対値変化からハロゲンランプ191が劣化しているか否かを判断する。なお、色温度とは、発熱して発光する物体からの光の色合いを表す数値である。
記憶部35は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、試料の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部35は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
記憶部35は、ハロゲンランプ191の使用開始時におけるブランク試料の通過光量相対値の波長依存性を示す初期ラインと、ハロゲンランプ191の劣化時におけるブランク試料の通過光量相対値の波長依存性を示す閾値ラインとを記憶する。そして、記憶部35は、ハロゲンランプ191の使用開始時に対応する色温度の波長分布依存性およびハロゲンランプ191の劣化時に対応する色温度の波長分布依存性をもとに予め設定された長波長側の波長範囲および短波長側の波長範囲を記憶する。初期ラインは、ハロゲンランプ191の使用開始時において測定されたブランク試料の通過光量をもとに計算された各波長における通過光量相対値をもとに設定されたものである。閾値ラインは、劣化したハロゲンランプ191を用いて予め測定されたブランク試料の通過光量をもとに計算された各波長における通過光量相対値をもとに設定されたものである。
光源劣化検出部34は、測光部19によって測定されたブランク試料の通過光量相対値の波長依存性を示す測定ラインを求め、この求めた測定ラインと、記憶部35に記憶された初期ラインおよび/または閾値ラインとを長波長側の波長範囲および/または短波長側の波長範囲で比較してハロゲンランプ191が劣化しているか否かを判断する。
出力部37は、プリンタ、スピーカー、警告灯を用いて構成され、試料の分析結果を含む諸情報を出力する。出力部37は、ディスプレイ等を用いて構成された表示部38を有する。出力部37は、光源劣化検出部34がハロゲンランプ191は劣化していると判断した場合、ハロゲンランプ191が劣化している旨を報知する警報を出力する。また、出力部37は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがって情報を外部に出力してもよい。
以上のように構成された分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応管21に対して、試料分注機構12が試料容器11a中の試料を分注し、試薬分注機構17が試薬容器15中の試薬を分注した後、測光部19が試料と試薬とを反応させた状態の試料の分光強度測定を行い、この測定結果を分析部33が分析することで、試料の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄部20が測光部19による測定が終了した後に搬送される反応管21を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
この分析装置1においては、ハロゲンランプ191は経時劣化によって色温度が低下すること、および、各色温度によって光強度の波長分布依存性が異なることを利用して、ハロゲンランプ191が劣化しているか否かを判断する。
具体的に、図3を参照して、光強度の波長分布依存性の色温度による違いを説明する。図3は、色温度が3000Kである場合および色温度が2200Kである場合における光強度の波長分布依存性を示す図である。図3の曲線C3000は、色温度が3000Kである場合の光強度の波長分布依存性を示し、曲線C2200は、色温度が2200Kである場合における光強度の波長分布依存性を示す。なお、図3においては、色温度3000Kである場合において最も強度が強い波長の光強度を100とした相対強度で各光強度を示している。
図3の曲線C3000および曲線C2200に示すように、各色温度の光強度は、色温度の低下にともなって、最も強度が強い波長が長波長側にシフトするとともに、曲線によって占められる面積が小さくなっていく。これをハロゲンランプ191に当てはめた場合、ハロゲンランプ191の経時劣化にともなって光量の出力値が次第に低下し、これにともない色温度が低下していくことになる。
そして、各波長の相対強度を色温度3000Kである場合と色温度2200Kである場合とで比較した場合について説明する。図3に示すように、色温度3000Kである場合において最も強度が強い波長および色温度2200Kである場合において最も強度が強い波長の双方を含む波長範囲においては、1.4μmよりも短波長側では、矢印Y1に示すように色温度が3000Kから2200Kに低下することにともない光強度の相対強度も低下する。これに対し、1.4μmよりも長波長側では、矢印Y2に示すように色温度が3000Kから2200Kに低下することにともない光強度の相対強度は増加している。すなわち、図3に示すように、1.4μmを境に設定した範囲As1に示す短波長側では色温度の低下にともなって光強度の相対強度が低下し、範囲As2に示す長波長側では色温度の低下にともなって光強度の相対強度が増加する。言い換えると、1.4μmを境に、範囲As1と範囲As2とにおいては、色温度の低下にともなう光強度の相対強度の変化方向が異なるものとなる。
この色温度3000Kは、たとえばハロゲンランプ191の使用開始時における色温度に該当し、色温度2200Kは、たとえばハロゲンランプ191の劣化時における色温度に該当する。したがって、ハロゲンランプ191の使用開始時における光強度の相対強度とハロゲンランプの劣化時における光強度の相対強度とを比較した場合、1.4μmを境とし、図3に示す波長λ1〜λ6が含まれる範囲As1に示す短波長側では、ハロゲンランプ191の劣化にともなって相対強度が低下する方向に変化する。一方、図3に示す波長λ7〜λ11が含まれる範囲As2に示す長波長側では、ハロゲンランプ191の劣化にともなって相対強度が増加する方向に変化する。
実際に分析装置1において、ハロゲンランプ191の使用開始時および劣化時においてブランク試料に対して波長λ1〜λ1の範囲で通過光量を測定した測定結果を図4に示す。
図4においては、実際に図3に示す範囲As1に含まれる波長λ1〜λ6および範囲As2に含まれる各波長λ7〜λ11について、曲線L01に色温度3000Kである使用開始時のハロゲンランプ191を用いた場合のブランク試料の通過光量相対強度の波長依存性を示し、曲線Lt1に色温度2200Kである劣化時のハロゲンランプ191を用いた場合のブランク試料の通過光量相対強度の波長依存性を示す。この図4においては、図3と同様に、色温度3000Kであるハロゲンランプ191使用開始時におけるブランク試料の通過光量のうち最も高い通過光量を100とした通過光量相対値を演算し、この演算した通過光量相対値を縦軸の相対ブランク値としている。
図4に示すように、ハロゲンランプ191の劣化時に対応する曲線Lt1は、図3を用いて説明した原理に沿うように、波長λ1〜λ6が含まれる範囲As1に示す短波長側では、矢印Y3に示すように、ハロゲンランプ191の使用開始時に対応する曲線L01を下回る。そして、曲線Lt1は、波長λ7〜λ11が含まれる範囲As2に示す長波長側では、矢印Y4aに示すように曲線L01を上回る。ハロゲンランプ191が劣化した場合には、短波長側では曲線L01を下回るように相対ブランク値が変化し、長波長側では、曲線L01を上回るように相対ブランク値が変化する。言い換えると、ハロゲンランプ191が劣化する方向は、短波長側では初期ラインL01を下回る方向となり、長波長側では初期ラインL01を上回る方向となる。
ここで、この曲線Lt1は、ハロゲンランプ191劣化時に対応するものであることからハロゲンランプ191劣化を切り分け可能である閾値ラインとして機能する。そして、曲線L01は、ハロゲンランプ191使用開始時に対応するものであることから、初期値ラインとして機能する。
したがって、図5に示すように、短波長側における曲線L01と曲線Lt1とに囲まれる領域Ds1および長波長側における曲線L01と曲線Lt1とに囲まれる領域Dl1の双方を満たすように、測光部19によって測定された各波長の相対ブランク値が分布していた場合には、ハロゲンランプ191は劣化しておらず正常であるものと考えられる。言い換えると、測光部19によって測定されたブランク試料の通過光量相対値の波長依存性を示す測定ラインが領域Ds1および領域Dl1の双方にある場合には、ハロゲンランプ191は劣化しておらず正常であるものと考えられる。
そして、ブランク試料に対する測定ラインが、短波長側および長波長側の双方で、ハロゲンランプ191が劣化する方向に閾値ラインである曲線Lt1を超える場合には、ハロゲンランプ191が劣化していると判断できる。測定ラインがたとえば図6の曲線Ld1のように、短波長側である範囲As1において曲線Lt1を下回っていた場合、かつ、長波長側である範囲As2において曲線Lt1を上回っていた場合には、ハロゲンランプ191が劣化していると判断できる。
そして、ブランク試料に対する測定ラインが、領域Ds1および領域Dl1の双方に含まれる場合、および、曲線Ld1のように短波長側で曲線Lt1を下回りかつ長波長側で曲線Lt1を上回る場合以外であるときの、ハロゲンランプ191の劣化検出について説明する。
ここで、従来においてはハロゲンランプ191劣化状態との区別が困難であった反応管21が不適性であった場合、たとえば反応管21に汚れがあった場合について説明する。反応管に汚れがあった場合には、ほぼ全波長における光が吸収されるため、ほぼ全波長における通過光量自体が低下する。このため、反応管21に汚れがあった場合に測光部19によって測定されたブランク試料の測定ラインは、図4の曲線Ls1に示すように、波長λ1〜λ11全体において低下する。すなわち、反応管21に汚れがあった場合には、関係曲線Ls1のように、波長λ1〜λ6が含まれる範囲As1に示す短波長側では矢印Y3に示すように曲線L01を下回り、さらに、波長λ7〜λ11が含まれる範囲As2に示す長波長側においても矢印Y4bに示すように曲線L01を下回る傾向を示す。なお、曲線Ls1は、反応管21の汚れによる光の吸収が長波長側よりも短波長側のほうが大きい場合について示す。
したがって、図4に示すように、範囲As2に示す長波長側においては、ハロゲンランプ191が劣化した場合と、反応管21の汚れがあった場合とで、初期ラインである曲線L01に対して相対ブランク値が変化する方向が異なる。すなわち、ハロゲンランプ191の劣化方向は、長波長側では、矢印Y4aに示すように相対ブランク値が初期ラインである曲線L01から上昇する方向である。これに対して、反応管21に汚れがある場合には、長波長側では、矢印Y4bに示すように相対ブランク値が初期ラインである曲線L01から下がっていくため、ハロゲンランプ191の劣化方向とは逆の方向に相対ブランク値が変化することとなる。
このため、長波長側においてブランク試料に対する測定ラインが曲線Lt1を上回る場合には、基準となる閾値ラインを超えてハロゲンランプ191の劣化方向に変化しているため、ハロゲンランプ191は劣化しているものと考えられる。
実際にハロゲンランプ191が長波長側で劣化した場合における測定ラインを、図7の曲線Ld11に示す。この曲線Ld11は、短波長側が領域Ds1にあるものの長波長側が図5に示す領域Dl1uにある。すなわち、曲線Ld11は、長波長側において、閾値ラインを上回る領域にあり、ハロゲンランプ191の劣化方向に相対ブランク値が変化している。このことから、曲線Ld11のように測定ラインが長波長側において閾値ラインを上回る場合には、ハロゲンランプ191が劣化している場合であるといえる。
そして、反応管21が汚れている場合の測定ラインである曲線Ls1においては、長波長側において初期ラインである曲線L01を下回る。言い換えると、曲線Ls1においては、長波長側において、ハロゲンランプ191の劣化方向とは逆の方向に相対ブランク値が変化している。このことから、曲線Ls1のように測定ラインが長波長側において初期ラインを下回る場合には、反応管21に汚れがある場合であるといえる。
また、図8に、ハロゲンランプ191が短波長側で劣化した場合における測定ラインである曲線Ld12および反応管21が汚れている場合の測定ラインである曲線Ls11を示す。
図8に示すように、曲線Ls11は、長波長側において初期ラインを下回る。言い換えると、この曲線Ls11においては、長波長側において、ハロゲンランプ191の劣化方向とは逆の方向に相対ブランク値が変化している。上述したように、ハロゲンランプ191が劣化する場合には、長波長側である範囲As2においては、初期ラインを上回る方向に相対ブランク値が変化する。したがって、長波長側において、曲線Ls11のように測定ラインがハロゲンランプ191の劣化方向と逆方向に変化する場合、すなわち、長波長側において、測定ラインが初期ラインを下回る場合には、反応管21に汚れがある場合であるといえる。
そして、図8に示すように、曲線Ld12においては、長波長側において初期ラインを上回る。言い換えると、この曲線Ld12においては、長波長側において、ハロゲンランプ191の劣化方向に相対ブランク値が変化している。上述したように、ハロゲンランプ191が劣化する場合には、長波長側である範囲As2で初期ラインを上回る方向に相対ブランク値が変化する。さらに、曲線Ld12は、短波長側で相対ブランク値が低下して閾値ラインを下回ることが分かる。このため、曲線Ld12のように、短波長側において測定ラインが閾値ラインを下回り、さらに長波長側において測定ラインが初期ラインを上回る場合には、ハロゲンランプ191が劣化した場合であるといえる。
上述した内容より、図6の曲線Ld1および図7の曲線Ld11のように、長波長側において測定ラインが閾値ラインを上回る場合、すなわち図5の領域Dl1uにある場合には、短波長側が領域Ds1に含まれるか否かに関わらず、ハロゲンランプ191が劣化しているものと判断してよい。
また、図7の曲線Ls1および図8の曲線Ls11のように、長波長側において測定ラインが初期ラインを下回る場合、すなわち図5の領域Dl1dにある場合には、短波長側が領域Ds1に含まれるか否かに関わらず、反応管21の汚れがあるものと判断してよい。
そして、図8に示す曲線Ld12のように、測定ラインが、長波長側において領域Dl1にあるものの短波長側において領域Ds1外の領域Ds1dにある場合には、長波長側においてハロゲンランプ劣化方向に相対ブランク値が変化しているため、ハロゲンランプ191が劣化しているものと判断してよい。この場合には、長波長側よりも短波長側においてハロゲンランプ191の劣化が進行したものと考えられる。なお、短波長側においては、ハロゲンランプ191が劣化した場合および反応管21に汚れがある場合のいずれにおいても相対ブランク値が初期ラインL01を下回るように変化するため、短波長側において初期ラインL01を上回る領域Ds1uについては判断する必要がない。
分析装置1は、上述した内容にもとづいて、PDA197における通過光量測定値の低下は、ハロゲンランプ191の劣化または反応管21の汚れのいずれに起因するものであるかを判断している。この分析装置1のハロゲンランプの劣化検出処理について、図9および図10を参照して説明する。
ここで、ハロゲンランプ191には個体差があるため、ハロゲンランプ191を交換するたびに、初期ラインを取得する必要がある。まず、図9を参照して、上述した初期ラインを取得するための処理について説明する。
図9に示すように、ハロゲンランプ191が交換された場合には、交換されたハロゲンランプ191の劣化検出および初期ライン取得のために、測光部19は、制御部31の制御のもと、ハロゲンランプ191からブランク試料に対して光を照射し、このブランク試料における通過光量を測定するブランク測定処理を行なう(ステップS1)。
次いで、光源劣化検出部34は、測光部19によるブランク試料に対する各波長の測定結果を取得し、この測定結果をもとに相対ブランク値を初期相対ブランク値として演算する(ステップS2)。光源劣化検出部34は、この初期相対ブランク値として、各ブランク試料における通過光量のうち最も高い通過光量に対する相対値を演算する。そして、光源劣化検出部34は、初期相対ブランク値の波長依存性を示す初期ラインを求める。
つぎに、光源劣化検出部34は、記憶部35から閾値ラインを取得する(ステップS3)。そして、光源劣化検出部34は、演算した初期相対ブランク値をもとに求めた初期ラインと、取得した閾値ラインとを比較して、初期ラインが閾値ラインを超えたか否かを判断する(ステップS4)。具体的には、光源劣化検出部34は、初期ラインが、長波長側で閾値ラインを上回るか否かを判断する。あるいは、光源劣化検出部34は、初期ラインが、短波長側で閾値ラインを下回るか否かを判断する。初期ラインが、長波長側で閾値ラインを上回る場合には、交換した新たなハロゲンランプ191に初期異常が発生しているものと考えられるからである。
このため、光源劣化検出部34が初期ラインが閾値ラインを超えたと判断した場合には(ステップS4:Yes)、交換したハロゲンランプ191は初期異常が発生しているものと考えられるため、制御部31は、出力部37に再度新たなハロゲンランプ191に交換する指示を出力させる(ステップS5)。
これに対し、光源劣化検出部34が初期ラインが閾値ラインを超えていないと判断した場合には(ステップS4:No)、この交換したハロゲンランプ191は初期異常がない正常なものであると考えられるため、制御部31は、このハロゲンランプ191を使用可能であると判断し、ステップS2において演算した初期ラインを、光源劣化検出処理において参照する初期ラインとして記憶部35に記憶させる(ステップS6)。
そして、図9に示す各処理手順を行なって取得した初期ラインを用いて、現に分析装置1において使用されているハロゲンランプ191の劣化を検出する処理について、図10を参照して説明する。
図10に示すように、まず、制御部31は、ハロゲンランプ191の劣化検出処理の処理タイミングであるかを判断する(ステップS11)。制御部31は、たとえば、このハロゲンランプ191の劣化検出処理が入力部32を介して指示された場合、または、予め設定された一定期間経過時に、ハロゲンランプ191の劣化検出処理の処理タイミングであると判断する。たとえば、分析装置1の使用者の入力操作によってハロゲンランプ191の劣化検出処理が指示された場合のほか、前回劣化検出時から一定期間ハロゲンランプ191の劣化検出処理が行なわれていないときの場合など分析装置1が自動的にハロゲンランプ191の劣化検出処理を行なう場合などである。
制御部31は、ハロゲンランプ191の劣化検出処理の処理タイミングであると判断するまでステップS11の判断処理を繰り返し、制御部31がハロゲンランプ191の劣化検出処理の処理タイミングであると判断した場合(ステップS11:Yes)、測光部19は、制御部31の制御のもと、ハロゲンランプ191からブランク試料に対して光を照射し、このブランク試料における通過光量を測定するブランク測定処理を行なう(ステップS12)。
次いで、光源劣化検出部34は、測光部19によるブランク試料に対する各波長の測定結果を取得し、この測定結果をもとに相対ブランク値を演算する(ステップS13)。光源劣化検出部34は、この相対ブランク値として、ハロゲンランプ191の使用開始時におけるブランク試料の通過光量のうち最も高い通過光量に対する各波長において測定されたブランク試料の通過光量の相対値を演算する。なお、ハロゲンランプ191の使用開始時におけるブランク試料の通過光量のうち最も高い通過光量は、予め図9に示された処理手順で求められ記憶部35内に記憶されている。そして、光源劣化検出部34は、相対ブランク値の波長依存性を示す測定ラインを求める。
つぎに、光源劣化検出部34は、記憶部35に記憶される情報のうち、初期ラインを取得し(ステップS14)、閾値ラインを取得する(ステップS15)。そして、光源劣化検出部34は、演算した相対ブランク値をもとに求めた測定ラインと、取得した初期ラインおよび閾値ラインとを比較してハロゲンランプ191が劣化しているか否かを判断するランプ劣化検出処理を行なう(ステップS16)。
つぎに、制御部31は、光源劣化検出部34によってハロゲンランプ191の劣化が検出されたか否かを判断する(ステップS17)。制御部31は、ハロゲンランプ191の劣化が検出されたと判断した場合には(ステップS17:Yes)、出力部37に対して、ハロゲンランプ191が劣化している旨を報知する警報を出力させて(ステップS18)、ハロゲンランプ191の交換を促す。たとえば出力部37は、ハロゲンランプ191が劣化している旨を報知する警告メッセージを音声出力するほか、ハロゲンランプ191が劣化している旨を報知する警告音を出力する。また、たとえば出力部37は、ハロゲンランプ191が劣化している旨に点灯する回転赤色灯などの警告灯を点灯させる。また、たとえば表示部38は、ハロゲンランプ191が劣化している旨を表示出力する。
一方、制御部31がハロゲンランプ191の劣化が検出されていないと判断した場合(ステップS17:No)、出力部37は、制御部31の制御のもと、ハロゲンランプ191は正常であることを出力する(ステップS19)。なお、制御部31は、光源劣化検出部34が反応管21の汚れを検出した場合には、ハロゲンランプ191は正常である旨とともに反応管21の汚れがある旨を出力部37に出力させて、分析装置1の使用者に反応管21の汚れを報知してもよい。
つぎに、図11を参照し、図10におけるランプ劣化検出処理について説明する。図11に示すように、ランプ劣化検出処理においては、光源劣化検出部34は、図10に示す相対ブランク値演算処理(ステップS13)において求めた測定ラインと、閾値ラインとを比較して、測定ラインが長波長側で閾値ラインを上回るか否かを判断する(ステップS22)。なお、長波長側の波長範囲は、前述した範囲As2のように、ハロゲンランプ191の使用開始時に対応する色温度の波長分布依存性およびハロゲンランプ191の劣化時に対応する色温度の波長分布依存性が交差する点を境界として、実際に分析装置1において測定される波長範囲に対応させて設定される。
光源劣化検出部34によって測定ラインが長波長側で閾値ラインを上回ると判断された場合(ステップS22:Yes)について説明する。たとえば、図6の曲線Ld1および図7の曲線Ld11に対応する場合である。この場合には、短波長側の測定ラインの状態によらず、ハロゲンランプ191の劣化に起因してPDA197が受光する通過光量が低下しているものと判断できるため、ハロゲンランプ191の劣化を検出する(ステップS24)。
これに対し、光源劣化検出部34は、測定ラインが長波長側で閾値ラインを上回っていないと判断した場合(ステップS22:No)、次に反応管21の汚れについて検討するため、測定ラインが長波長側で初期ラインを下回るか否かを判断する(ステップS26)。ここで、光源劣化検出部34は、測定ラインが長波長側で初期ラインを下回ると判断した場合(ステップS26:Yes)、たとえば、図7の曲線Ls1および図8の曲線Ls11に対応する場合には、短波長側における測定ラインの状態によらず、反応管21の汚れに起因してPDA197が受光する通過光量が低下しているものと判断できるため、反応管21の汚れを検出する(ステップS28)。なお、測定ラインが長波長側で初期ラインを下回る場合には、反応管に汚れがある場合のほか、反応管21が不適正であるため測定ラインが変化している場合も考えられるため、光源劣化検出部34は、反応管21の不適正に起因してPDA197が受光する通過光量が低下しているものと判断してもよい。
これに対し、光源劣化検出部34が測定ラインが長波長側で初期ラインを下回っていないと判断した場合(ステップS26:No)、測定ラインが短波長側で閾値ラインを下回るか否かを判断する(ステップS30)。このステップS30において、光源劣化検出部34は、測定ラインの長波長側が領域Dl1にある場合について、測定ラインの短波長側が領域Ds1にあるか否かを判断する。なお、短波長側の波長範囲は、前述した範囲As1のように、ハロゲンランプ191の使用開始時に対応する色温度の波長分布依存性およびハロゲンランプ191の劣化時に対応する色温度の波長分布依存性が交差する点を境界として、実際に分析装置1において測定される波長範囲に対応させて設定される。
光源劣化検出部34は、測定ラインが短波長側で閾値ラインを下回ると判断した場合(ステップS30:Yes)、たとえば、図8の曲線Ld12のように短波長側の測定ラインが領域Ds1にない場合に対応することから、ハロゲンランプ191の劣化に起因してPDA197が受光する通過光量が低下しているものと判断できるため、ハロゲンランプ191の劣化を検出する(ステップS32)。
これに対し、光源劣化検出部34は、短波長側において測定ラインが閾値ラインを下回っていないと判断した場合(ステップS30:No)、図5に示す領域Ds1および領域Dl1の双方に含まれる場合となるため、ハロゲンランプ191は劣化しておらず正常であると判断する(ステップS34)。そして、光源劣化検出部34は、検出結果を制御部31に出力して(ステップS36)、ランプ劣化検出処理を終了する。
このように、本実施の形態1にかかる分析装置1においては、ブランク試料の通過光量の絶対値ではなく、ブランク試料の通過光量における長波長側の相対値変化およびブランク試料の通過光量における短波長側の相対値変化を用い、さらに各色温度における光強度の波長分布依存性にもとづいて光源劣化の有無を判断するため、PDA197によって受光された通過光量の低下が光源の劣化に起因するものであるかまたは反応管の汚れに起因するものであるかを正確に区別することができる。
さらに、分析装置1においては、ブランク試料の通過光量の低下がハロゲンランプの劣化または反応管の汚れに起因するものであるかを区別するために分析装置の使用者自らが反応管を目視するという煩雑な処理を行なう必要がないため、作業負担の軽減を図ることができる。そして、分析装置1においては、ブランク試料に対する通過光量に対する演算処理を行なってハロゲンランプ劣化検出を行なうため、ハロゲンランプ劣化検出のために特に新たなセンサなどを設ける必要がないことから、従来と同様の装置構成においても正確なハロゲンランプ劣化検出を実現することが可能になる。
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2について説明する。図12は、本実施の形態2にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図12に示すように、実施の形態2にかかる分析装置201は、図1に示す光源劣化検出部34に代えて光源劣化検出部234を有する制御機構203を有する。
上述した実施の形態1においては、測光部19による測定範囲内にハロゲンランプ191の使用開始時に対応する色温度3000Kであるときの最大通過光量を示す波長およびハロゲンランプ191の劣化時に対応する色温度2200Kであるときの最大通過光量を示す波長の双方が含まれる場合について説明した。本実施の形態2においては、ハロゲンランプ191の使用開始時に対応する色温度3000Kであるときの最大通過光量を示す波長およびハロゲンランプ191の劣化時に対応する色温度2200Kであるときの最大通過光量を示す波長の双方が、測光部19によって測定される最長波長よりも長い場合について説明する。
具体的に、実施の形態2における測光部19の測定範囲について説明する。図13は、色温度が3000Kである場合および色温度が2200Kである場合における光強度の波長分布依存性を示す図である。図13は、図3と同様に、色温度3000Kである場合において最も強度が強い波長の光強度を100とした相対強度で各光強度を示している。
この図13に示すように、色温度が3000Kである場合には約0.95μm付近にピーク波長があり、色温度が2200Kである場合には約1.35μm付近にピーク波長がある。そして、測光部19の測定範囲は、図13のλ201〜λ211に示すように、おおよそ0.5〜0.85μmであり、色温度3000Kのピーク波長および色温度2200Kのピーク波長よりも、短波長側の領域である。
ここで、ピーク波長の短波長側では、図13の曲線C3000における曲線の傾きa1は、曲線C2200における傾きa2よりも傾きが大きい。これは、各色温度の波長分布依存性を示す曲線は、色温度の低下にともなってピーク波長が長波長側にシフトするとともに、曲線によって占められる面積が小さくなっていくためである。したがって、測光部19における測定範囲λ201〜λ211においては、色温度3000Kにおける相対強度の増加率は、色温度2200Kにおける相対強度の増加率よりも高い。この色温度3000Kは、ハロゲンランプ191の使用開始時における色温度に該当し、色温度2200Kは、たとえばハロゲンランプ191の劣化時における色温度に該当する。したがって、図13に示す波長λ201〜λ211の波長範囲においては、ハロゲンランプ191の使用開始時における相対強度の増加率は、ハロゲンランプの劣化時における相対強度の増加率よりも高くなることとなる。
実際に分析装置201において、ハロゲンランプ191の使用開始時および劣化時においてブランク試料に対して波長λ201〜λ211の範囲で通過光量を測定した測定結果を図14に示す。
図14においては、実際に図13に示す範囲As11に含まれる波長λ201〜λ206および範囲As21に含まれる各波長λ207〜λ211について、曲線L02に色温度3000Kである使用開始時のハロゲンランプ191を用いた場合のブランク試料の通過光量相対強度である相対ブランク値の波長依存性を示し、曲線Lt2に色温度2200Kである劣化時のハロゲンランプ191を用いた場合のブランク試料の通過光量相対強度の波長依存性を示す。
この図14においては、各通過光量相対強度の増加傾向をそれぞれ把握するため、各状態ごとに、ブランク試料の通過光量のうち測定範囲λ201〜λ211のほぼ中心の波長λ206を100とした通過光量相対値を演算し、この演算した通過光量相対値を縦軸の相対ブランク値としている。すなわち、曲線L02に示すように、ハロゲンランプ191の使用開始時におけるブランク試料の各通過光量相対値は、ハロゲンランプ191の使用開始時に測定されたブランク試料の波長λ206の通過光量に対する各通過光量の相対値である。そして、曲線Lt2に示すように、ハロゲンランプ191の劣化時におけるブランク試料の各通過光量相対値は、ハロゲンランプ191の劣化時に測定されたブランク試料の波長λ206の通過光量に対する各通過光量の相対値である。なお、測光部19によって測定されたブランク試料の通過光量相対値は、測光部19によって測定されたブランク試料の波長λ206における通過光量に対する各通過光量の相対値である。このように、実施の形態2では、各状態ごとに、各状態における波長λ206の通過光量を基準とした相対値を用いる。
図13に示すように、色温度3000Kにおける光強度の相対強度の増加率は、色温度2200Kにおける相対強度の増加率よりも高い。したがって、図14に示すように、ハロゲンランプの劣化時に対応する曲線Lt2は、ハロゲンランプ191の使用開始時に対応する曲線L02よりも対応する色温度が低いため、曲線L02と比較して傾きが小さい傾向となる。このため、ハロゲンランプ191の劣化時に対応する曲線Lt2は、範囲As11に示す短波長側では矢印Y14aに示すように曲線L02を上回り、波長λ207〜λ211が含まれる範囲As21に示す長波長側では矢印Y13に示すように曲線L02を下回る。言い換えると、ハロゲンランプ191が劣化した場合には、短波長側では、曲線L02を上回るように相対ブランク値が変化し、長波長側では、曲線L02を下回るように相対ブランク値が変化する。すなわち、ハロゲンランプ191が劣化する方向は、短波長側では初期ラインである曲線L02を上回る方向となり、長波長側では初期ラインである曲線L02を下回る方向となる。
ここで、この曲線Lt2は、ハロゲンランプ191劣化時に対応するものであることから、曲線Lt2はハロゲンランプ191劣化を切り分け可能である閾値ラインとして機能する。そして、曲線L02は、ハロゲンランプ191使用開始時に対応するものであることから、初期値ラインとして機能する。
したがって、図15に示すように、短波長側における曲線L02と曲線Lt2とに囲まれる領域Ds2および長波長側における曲線L02と曲線Lt2とに囲まれる領域Dl2の双方を満たすように、測光部19によって測定された各波長の相対ブランク値が分布していた場合には、ハロゲンランプ191は劣化しておらず正常であるものと考えられる。言い換えると、測光部19によって測定されたブランク試料の通過光量相対値の波長依存性を示す測定ラインが領域Ds2および領域Dl2の双方にある場合には、ハロゲンランプ191は劣化しておらず正常であるものと考えられる。
そして、ブランク試料の測定ラインが、短波長側および長波長側の双方で、ハロゲンランプが劣化する方向に閾値ラインである曲線Lt2を超える場合には、ハロゲンランプ191が劣化していると判断できる。測定ラインがたとえば図16の曲線Ld2のように、短波長側である範囲As11において曲線Lt2を上回っていた場合、かつ、長波長側である範囲As21において曲線Lt2を下回っていた場合には、ハロゲンランプ191が劣化していると判断できる。
つぎに、ブランク試料に対する測定ラインが、領域Ds2および領域Dl2の双方に含まれる場合、および、曲線Ld2のように短波長側で曲線Lt2を上回りかつ長波長側で曲線Lt2を下回る場合以外であるときの、ハロゲンランプ191の劣化検出について説明する。
まず、反応管21に汚れがあった場合について説明する。反応管に汚れがあった場合には、ほぼ全波長における光が吸収されるため、ほぼ全波長における通過光量自体が低下する。そして、汚れによる光の吸収は、波長によって割合が異なる。たとえば、短波長側である範囲As11の波長の光が長波長側である範囲As21の波長の光よりも汚れによって吸収される場合には、図14の曲線Ls2に示すように、ブランク試料に対する測定ラインは、短波長側である範囲As11において低下することとなる。すなわち、反応管21に汚れがあった場合の測定ラインは、関係曲線Ls2のように、範囲As11に示す短波長側では矢印Y14bに示すように曲線L02を下回る傾向を示す。なお、反応管21に汚れがあった場合の測定ラインは、長波長側である範囲As21において低下することとなるため、矢印Y13に示すように曲線L02を下回る傾向を示す。
したがって、図14に示すように、範囲As11に示す短波長側においては、ハロゲンランプ191が劣化した場合と、反応管21の汚れがあった場合とで、初期ラインである曲線L02に対して相対ブランク値が変化する方向が異なる。すなわちハロゲンランプ191の劣化方向は、短波長側では、矢印Y14aに示すように相対ブランク値が初期ラインである曲線L02に対して上昇するように変化する方向である。これに対して、反応管21に汚れがある場合には、短波長側では、矢印Y14bに示すように相対ブランク値が初期ラインである曲線L02に対して低下するように変化し、ハロゲンランプ191の劣化方向とは逆の方向に相対ブランク値が変化することとなる。
このため、ブランク試料の測定ラインが短波長側において曲線Lt2を上回る場合には、通過光量相対値が、閾値ラインである曲線Lt2を超えて、ハロゲンランプの劣化方向に変化していることとなる。
たとえば、実際にハロゲンランプ191が短波長側で劣化した場合における測定ラインを、図17の曲線Ld22に示す。この曲線Ld22においては、長波長側が領域Dl2にある場合であっても、短波長側が図15に示す領域Ds2uにある。すなわち、曲線Ld22は、短波長側において、閾値ラインを上回る領域にあり、ハロゲンランプ191の劣化方向に相対ブランク値が変化している。このことから、曲線Ld22のように測定ラインが短波長側において閾値ラインを上回る領域にある場合には、ハロゲンランプ191が劣化している場合であるといえる。
また、図17に、ハロゲンランプ191が長波長側で劣化した場合における測定ラインである曲線Ld21を示す。図17に示すように、曲線Ld21においては、短波長において初期ラインL02を上回る。言い換えると、この曲線Ld21においては、短波長において、ハロゲンランプ191の劣化方向に相対ブランク値が変化している。上述したように、ハロゲンランプ191が劣化する場合には、短波長である範囲As11においては、初期ラインを上回る方向に相対ブランク値が変化する。さらに、曲線Ld21においては、長波長側において相対ブランク値が低下して閾値ラインである曲線Lt2を下回り、劣化していることが分かる。このため、曲線Ld21のように、長波長側において測定ラインが閾値ラインを下回り、さらに短波長において測定ラインが初期ラインを上回る場合には、ハロゲンランプ191が劣化した場合であるといえる。
そして、図18に反応管21が汚れている場合の測定ラインである曲線Ls2とともに、同じく反応管21が汚れている場合の測定ラインである曲線Ls21を示す。曲線Ls2および曲線Ls21はともに、短波長側において初期ラインである曲線L02を下回る。言い換えると、曲線Ls2、および曲線Ls21においては、短波長側において、ハロゲンランプ191の劣化方向とは逆の方向に相対ブランク値が変化している。このことから、曲線Ls2、および曲線Ls21のように測定ラインが短波長側において初期ラインを下回る領域にある場合には、反応管21に汚れがある場合であるといえる。
上述した内容より、図16の曲線Ld2および図17の曲線Ld22のように、測定ラインが短波長側において閾値ラインを上回る場合、すなわち図15の領域Ds2uにある場合には、長波長側が領域Dl2に含まれるか否かに関わらず、ハロゲンランプ191が劣化しているものと判断してよい。
また、図14および図18の曲線Ls2、曲線Ls21のように、測定ラインが短波長側において初期ラインを下回る場合、すなわち図15の領域Ds2dにある場合には、長波長側が領域Dl2に含まれるか否かに関わらず、反応管21に汚れがあるものと判断してよい。
そして、図18に示す曲線Ls21のように、測定ラインが、短波長側において領域Ds2にあるものの長波長側において領域Dl2外の領域Dl2dにある場合には、短波長側においてハロゲンランプ劣化方向に相対ブランク値が変化しているため、ハロゲンランプ191が劣化しているものと判断してよい。この場合には、短波長側よりも長波長側においてハロゲンランプ191の劣化が進行したものと考えられる。なお、長波長側においては、ハロゲンランプ191が劣化した場合および反応管21に汚れがある場合のいずれにおいても相対ブランク値が初期ラインである曲線L02を下回るように変化するため、長波長側の閾値ラインLt2を上回る領域である領域Ds2uについては判断する必要がない。
このように、本実施の形態2においては、ハロゲンランプ使用開始時である色温度3000Kにおける波長分布依存を示す関係曲線の傾きがハロゲンランプ劣化時である色温度2200Kにおける波長分布依存を示す関係曲線の傾きよりも大きいことを利用して、ハロゲンランプ191の劣化を検出する。そして、光源劣化検出部234は、実際に測光部19によって測定されたブランク測定の各波長の通過光量を、波長λ206の通過光量を基準とした相対ブランク値に演算して、この演算した相対ブランク値の波長依存性を示す測定ラインを求める。次いで、光源劣化検出部234は、長波長側である範囲As21、短波長側である範囲As11において、求めた測定ラインを初期ライン、閾値ラインと比較して、ハロゲンランプ191の劣化を検出する。なお、記憶部35は、曲線L02に例示する初期ラインおよび曲線Lt2に例示する閾値ラインとともに、予め設定された長波長側の波長範囲および短波長側の波長範囲を記憶する。
つぎに、この分析装置201のハロゲンランプの劣化検出処理について、図19および図20を参照して説明する。まず、実施の形態1と同様に、ハロゲンランプ191には個体差があるため、ハロゲンランプ191を交換するたびに、初期ラインを取得する必要があることから、図19を参照して、初期ラインを取得するための処理について説明する。
図19に示すように、ハロゲンランプ191が交換された場合には、交換されたハロゲンランプ191の劣化検出および初期ライン取得のために、図9に示すステップS1と同様に、この交換されたハロゲンランプ191を用いたブランク測定処理(ステップS201)を行なう。次いで、光源劣化検出部234は、ブランク測定処理(ステップS201)における各波長の測定結果を取得し、この測定結果をもとに相対ブランク値を初期相対ブランク値として演算する(ステップS202)。光源劣化検出部234は、この初期相対ブランク値として、得られた測定結果における中心波長の通過光量に対する各通過光量の相対値を演算する。そして、光源劣化検出部234は、初期相対ブランク値の波長依存性を示す初期ラインを求める。
つぎに、光源劣化検出部234は、記憶部35から閾値ラインを取得し(ステップS203)、演算した初期相対ブランク値をもとに求めた初期ラインと、取得した初期ラインおよび閾値ラインとを比較して、初期ラインが閾値ラインを超えたか否かを判断する(ステップS204)。具体的には、光源劣化検出部234は、初期ラインが、短波長側で閾値ラインを上回るか否かを判断する。あるいは、光源劣化検出部234は、初期ラインが長波長側で閾値ラインを下回るか否かを判断する。初期ラインが、短波長側で閾値ラインを上回る場合には、交換した新たなハロゲンランプ191に初期異常が発生しているものと考えられるからである。
このため、光源劣化検出部234が初期ラインが閾値ラインを超えたと判断した場合には(ステップS204:Yes)、交換したハロゲンランプ191は初期異常が発生しているものと考えられるため、制御部31は、出力部37に再度新たなハロゲンランプ191に交換する指示を出力させる(ステップS205)。
これに対し、光源劣化検出部234が初期ラインが閾値ラインを超えていないと判断した場合には(ステップS204:No)、この交換したハロゲンランプ191は初期異常がない正常なものであると考えられるため、制御部31は、このハロゲンランプ191を使用可能であると判断し、ステップS202において演算した初期ラインを、光源劣化検出処理において参照する初期ラインとして記憶部35に記憶させる(ステップS206)。
そして、図19に示す各処理手順を行なって取得した初期ラインを用いて、現に分析装置201において使用されているハロゲンランプ191の劣化を検出する処理について、図20を参照して説明する。
図20に示すように、図10のステップS11と同様に、制御部31は、ハロゲンランプ191の劣化検出処理の処理タイミングであるかを判断する(ステップS211)。制御部31は、ハロゲンランプ191の劣化検出処理の処理タイミングであると判断するまでステップS211の判断処理を繰り返し、制御部31がハロゲンランプ191の劣化検出処理の処理タイミングであると判断した場合(ステップS211:Yes)、測光部19は、ブランク測定処理を行なう(ステップS212)。光源劣化検出部234は、測光部19によるブランク試料に対する各波長の測定結果を取得し、この測定結果をもとに相対ブランク値を演算する(ステップS213)。光源劣化検出部234は、この相対ブランク値として、得られた測定結果における中心波長の通過光量に対する各通過光量の相対値を演算する。そして、光源劣化検出部234は、相対ブランク値の波長依存性を示す測定ラインを求める。
次いで、光源劣化検出部234は、記憶部35に記憶される情報のうち、曲線L02に例示する初期ラインを取得し(ステップS214)、曲線Lt2に例示する閾値ラインを取得する(ステップS215)。そして、光源劣化検出部234は、演算した相対ブランク値をもとに求めた測定ラインと、取得した初期ラインおよび閾値ラインとを比較してハロゲンランプ191が劣化しているか否かを判断してハロゲンランプ191の劣化を検出するランプ劣化検出処理を行なう(ステップS216)。
つぎに、制御部31は、ランプ劣化検出処理において光源劣化検出部234によってハロゲンランプ191の劣化が検出されたか否かを判断する(ステップS217)。制御部31がハロゲンランプ191の劣化が検出されたと判断した場合には(ステップS217:Yes)、出力部37は、図10に示すステップS18と同様の処理手順を行なって警報出力処理(ステップS218)を行なう。一方、制御部31がランプ劣化検出処理において光源劣化検出部234によってハロゲンランプ191の劣化が検出されていないと判断した場合(ステップS217:No)、出力部37は、図10に示すステップS19と同様の処理手順を行なってハロゲンランプ191は正常であることを出力する(ステップS219)。
つぎに、図21を参照し、図20におけるランプ劣化検出処理について説明する。図21に示すように、ランプ劣化検出処理においては、光源劣化検出部234は、図20に示す相対ブランク演算処理(ステップS213)において求めた測定ラインと、閾値ラインとを比較して、短波長側において測定ラインが閾値ラインを上回るか否かを判断する(ステップS222)。なお、短波長側の波長範囲は、前述した範囲As11のように、実際に分析装置201において測定される波長範囲の中心波長を境界として設定される。
光源劣化検出部234が短波長側において測定ラインが閾値ラインを上回ると判断した場合(ステップS222:Yes)について説明する。たとえば、図16の曲線Ld2および図17の曲線Ld22に対応する場合である。この場合には、長波長側の測定ラインの状態によらず、ハロゲンランプ191の劣化に起因してPDA197が受光する通過光量が低下しているものと判断できるため、ハロゲンランプ191の劣化を検出する(ステップS224)。
これに対し、光源劣化検出部234は、短波長側において測定ラインが閾値ラインを上回っていないと判断した場合(ステップS222:No)、次に反応管21の汚れについて検討するため、短波長側において測定ラインが初期ラインを下回るか否かを判断する(ステップS226)。ここで、光源劣化検出部234は、短波長側において測定ラインが初期ラインを下回ると判断した場合(ステップS226:Yes)、たとえば、図18の曲線Ls2および曲線Ls21に対応する場合には、長波長側における測定ラインの状態によらず、反応管21の汚れに起因してPDA197が受光する通過光量が低下しているものと判断できるため、反応管21の汚れを検出する(ステップS228)。なお、長波長側の波長範囲は、前述した範囲As21のように、実際に分析装置201において測定される波長範囲の中心波長を境界として設定される。また、測定ラインが短波長側で初期ラインを下回る場合には、反応管に汚れがある場合のほか、反応管21が不適正であるため測定ラインが変化している場合も考えられるため、光源劣化検出部234は、反応管21の不適正に起因してPDA197が受光する通過光量が低下しているものと判断してもよい。
これに対し、光源劣化検出部234は、短波長側において測定ラインが初期ラインを下回っていないと判断した場合(ステップS226:No)、長波長側において測定ラインが閾値ラインを下回るか否かを判断する(ステップS230)。このステップS230において、光源劣化検出部234は、測定ラインの短波長側が領域Ds2にある場合について、測定ラインの長波長側が領域Dl2にあるか否かを判断する。
光源劣化検出部234は、長波長側において測定ラインが閾値ラインを下回ると判断した場合(ステップS230:Yes)、たとえば、図17の曲線Ld21のように長波長側の測定ラインが領域Dl2にない場合に対応することから、ハロゲンランプ191の劣化に起因してPDA197が受光する長波長側の通過光量が低下しているものと判断できるため、ハロゲンランプ191の劣化を検出する(ステップS232)。
これに対し、光源劣化検出部234は、長波長側において測定ラインが閾値ラインを下回っていないと判断した場合(ステップS230:No)、図15に示す領域Ds2および領域Dl2の双方に含まれる場合となるため、ハロゲンランプ191は劣化しておらず正常であると判断する(ステップS234)。そして、光源劣化検出部234は、検出結果を制御部31に出力して(ステップS236)、ランプ劣化検出処理を終了する。
このように、本実施の形態2にかかる分析装置201によれば、ハロゲンランプ191の使用開始時に対応する色温度3000Kであるときの最大通過光量を示す波長およびハロゲンランプ191の劣化時に対応する色温度2200Kであるときの最大通過光量を示す波長の双方が、測光部19によって測定される最長波長よりも長い場合も同様に、ブランク試料の通過光量における長波長側の相対値変化およびブランク試料の通過光量における短波長側の相対値変化を用い、さらに各色温度における光強度の波長分布依存性にもとづいて光源劣化の有無を判断するため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
なお、分析装置1,201においては、ハロゲンランプ191の劣化を検出した場合には、ハロゲンランプ劣化を報知する警報を出力するのみではなく、分析動作自体を停止させてもよい。この場合、劣化したハロゲンランプ191による測定処理の実行を防止できるため、劣化したハロゲンランプ191によって誤って測定された場合に発生する試料や試薬の無駄を低減することができる。
また、分析装置1,201は、測光部19に、劣化したハロゲンランプ191を新しいハロゲンランプ191に自動交換できる交換機能を持たせて、劣化したハロゲンランプ191を自動的に交換できるようにしてもよい。この結果、ハロゲンランプ191の交換のために、分析装置1,201における分析処理を停止する必要がないため、ハロゲンランプ191の交換による分析装置のダウンタイム自体が発生せず、分析処理が停滞することがない。なお、自動的にハロゲンランプ191が交換された場合には、出力部37は、ランプ交換を報知する情報を出力して、使用者にハロゲンランプ191の交換があったことを知らせ、新たな交換用のハロゲンランプ191の装置内の設置を促してもよい。
また、本実施の形態1,2においては、閾値ラインをハロゲンランプ191の劣化時に対応するもののみを使用した場合について説明したが、もちろんこれに限らず、ハロゲンランプ191の劣化時におけるブランク試料の通過光量相対値の波長依存性を示す第1の閾値ラインと、所定時間後に劣化すると予測されるハロゲンランプ191を用いて測定されたブランク試料の通過光量相対値の波長依存性を示す第2の閾値ラインとを設定してもよい。この場合、記憶部35は、この第1の閾値ラインおよび第2の閾値ラインの双方を記憶し、光源劣化検出部34,234は、求めた測定ラインと初期ラインおよび第1の閾値ラインとを比較してハロゲンランプ191が劣化しているか否かを判断する。そして、光源劣化検出部34,234は、求めた測定ラインと初期ラインおよび第2の閾値ラインとを比較して所定時間後のハロゲンランプ191の劣化を予測する。
具体的に、実施の形態1に適用した場合について説明する。たとえば、図22に示す曲線Lt12は、たとえば24時間後にハロゲンランプ191劣化が予測される閾値ラインである。測定ラインが領域Ds1および領域Dl1の双方にある場合であっても図22に示す領域Ds12または領域Dl12にある場合には、ハロゲンランプ191は24時間後には劣化するものと判断できる。この曲線Lt12は、ハロゲンランプ191の劣化速度、分析装置1の稼動率などをもとに設定される。
この場合、光源劣化検出部34は、測定ラインを曲線Lt1および初期ラインと比較するランプ劣化検出処理とともに、測定ラインを曲線Lt12および初期ラインと比較するランプ劣化予測処理を行なう。具体的には、分析装置1は、図23に示すように、図10に示すステップS11〜ステップS14と同様に、処理タイミング判断処理(ステップS301)、ブランク測定処理(ステップS302)、相対ブランク値演算処理(ステップS304)および初期ライン取得処理(ステップS306)を行なう。そして、光源劣化検出部34は、まず、現にハロゲンランプ191が劣化しているか否かを判断するため、ランプ劣化検出用の第1の閾値ラインである曲線Lt1を記憶部35から取得する(ステップS308)。そして、図10に示すステップS16と同様の処理手順を行なうことによって、ランプ劣化検出処理を行なう(ステップS310)。
ここで、制御部31は、図10に示すステップS17と同様に、ランプ劣化検出処理においてハロゲンランプ191の劣化が検出されたか否かを判断する(ステップS312)。制御部31がハロゲンランプ191の劣化が検出されたと判断した場合には(ステップS312:Yes)、図10に示すステップS18と同様に、出力部37は、ハロゲンランプ191が現に劣化している旨を報知する警報を出力するランプ劣化警報出力処理を行なう(ステップS320)。
一方、制御部31がハロゲンランプ191の劣化が検出されていないと判断した場合には(ステップS312:No)、ハロゲンランプ191の現時点における劣化がないため、つぎにハロゲンランプ191における所定時間経過後の劣化の予測を行なうため、光源劣化検出部34は、ランプ劣化予測用の第2の閾値ラインである曲線Lt12を記憶部35から取得する(ステップS315)。そして、光源劣化検出部34は、求めた測定ラインと、初期ラインおよび第2の閾値ラインとを比較してハロゲンランプ191が所定時間経過後に劣化するかを予測するランプ劣化予測処理を行なう(ステップS316)。
そして、制御部31は、光源劣化予測検出処理においてハロゲンランプ191の劣化が予測されたか否かを判断する(ステップS317)。制御部31がハロゲンランプ191の劣化が予測されたと判断した場合には(ステップS317:Yes)、出力部37は、ハロゲンランプ191が所定時間経過後に劣化が予測される旨を報知する警報を出力するランプ劣化予測警報出力処理を行なう(ステップS319)。一方、制御部31がランプ劣化予測処理において光源劣化検出部34によってハロゲンランプ191の劣化が予測されていないと判断した場合(ステップS317:No)、出力部37は、制御部31の制御のもと、ハロゲンランプ191は正常であることを出力する(ステップS318)。
つぎに、図24を参照して、図23に示すランプ劣化予測処理について説明する。図24に示すように、光源劣化検出部34は、図23に示す相対ブランク値演算処理(ステップS304)において求めた測定ラインと、取得した第2の閾値ラインとを比較して、長波長側において測定ラインが第2の閾値ラインを上回るか否かを判断する(ステップS322)。
光源劣化検出部34が長波長側において測定ラインが第2の閾値ラインを上回ると判断した場合(ステップS322:Yes)、測定ラインは、図22に示す領域Dl12にあることから、所定時間経過後にハロゲンランプ191が劣化するものと予測できるため、ハロゲンランプ191の劣化を予測する判断を行なう(ステップS324)。
これに対し、光源劣化検出部34は、長波長側において測定ラインが第2の閾値ラインを上回っていないと判断した場合(ステップS322:No)、次に予測の確実化を図るため、反応管21の汚れも念のため検討する。このため、光源劣化検出部34は、長波長側において測定ラインが初期ラインを下回るか否かを判断し(ステップS326)、長波長側において測定ラインが初期ラインを下回ると判断した場合(ステップS326:YeS)、反応管21の汚れを検出する(ステップS328)。なお、ステップS328においては、図11に示すステップS28と同様に、光源劣化検出部34は、反応管21の不適正に起因してPDA197が受光する通過光量が低下しているものと判断してもよい。
これに対し、光源劣化検出部34が長波長側において測定ラインが初期ラインを下回っていないと判断した場合(ステップS326:No)、つぎに、短波長側における領域Ds12に測定ラインがあるか否かを判断するため、短波長側において測定ラインが第2の閾値ラインを下回るか否かを判断する(ステップS330)。光源劣化検出部34は、短波長側において測定ラインが第2の閾値ラインを下回ると判断した場合(ステップS330:Yes)、測定ラインが領域Ds12にあることから、所定時間経過後にハロゲンランプ191が劣化するものと予測できるため、ハロゲンランプ191の劣化を予測する判断を行なう(ステップS332)。
これに対し、光源劣化検出部34は、短波長側において測定ラインが第2の閾値ラインを下回っていないと判断した場合(ステップS330:No)、測定ラインは、領域Ds12にないため、所定時間経過後であってもハロゲンランプ191は劣化せず正常であると予測する(ステップS334)。そして、光源劣化検出部34は、検出結果を制御部31に出力して(ステップS336)、ランプ劣化予測処理を終了する。
つぎに、実施の形態2に適用した場合について説明する。たとえば、図25に示す曲線Lt22は、たとえば24時間後にハロゲンランプ191劣化が予測される閾値ラインである。測定ラインが領域Ds2および領域D12の双方にある場合であっても図25に示す領域Ds22または領域Dl22にある場合には、ハロゲンランプ191は24時間後には劣化するものと判断できる。この曲線Lt22は、ハロゲンランプ191の劣化速度、分析装置201の稼動率などをもとに設定される。
この場合、分析装置201は、図26に示すように、図20に示すステップS211〜ステップS214と同様に、処理タイミング判断処理(ステップS401)、ブランク測定処理(ステップS402)、相対ブランク値演算処理(ステップS404)および初期ライン取得処理(ステップS406)を行ない、現にハロゲンランプ191が劣化しているか否かを判断するため、ランプ劣化検出用の第1の閾値ラインである曲線Lt2を記憶部35から取得する(ステップS408)。そして、分析装置201は、図20のステップS216およびステップS217と同様に、ランプ劣化検出処理(ステップS410)、ランプ劣化検出有無判断処理(ステップS412)を行ない、ランプ劣化が検出された場合には、ランプ劣化を報知する警報を出力する(ステップS420)。一方、光源劣化検出部234は、ランプ劣化が検出されなかった場合には、曲線Lt22に例示する第2の閾値ラインを取得して(ステップS415)、求めた測定ラインと、初期ライン、第1の閾値ラインおよび第2の閾値ラインとを比較してハロゲンランプ191が所定時間経過後に劣化するかを予測するランプ劣化予測処理を行なう(ステップS416)。
次いで、制御部31は、光源劣化予測検出処理においてハロゲンランプ191の劣化が予測されたか否かを判断する(ステップS417)。制御部31がハロゲンランプ191の劣化が予測されたと判断した場合(ステップS417:Yes)、出力部37は、ハロゲンランプ191が所定時間経過後に劣化が予測される旨を報知する警報を出力するランプ劣化予測警報出力処理を行なう(ステップS419)。一方、制御部31がランプ劣化予測処理において光源劣化検出部234によってハロゲンランプ191の劣化が予測されていないと判断した場合(ステップS417:No)、出力部37は、制御部31の制御のもと、ハロゲンランプ191は正常であることを出力する(ステップS418)。
つぎに、図27を参照して、実施の形態2におけるランプ劣化予測処理を説明する。図27に示すように、光源劣化検出部234は、求めた測定ラインと取得した第2の閾値ラインとを比較して、短波長側において測定ラインが第2の閾値ラインを上回るか否かを判断する(ステップS422)。
光源劣化検出部234が短波長側において測定ラインが第2の閾値ラインを上回ると判断した場合(ステップS422:Yes)、測定ラインは、図25に示す領域Ds22にあることから、所定時間経過後にハロゲンランプ191が劣化するものと予測できるため、ハロゲンランプ191の劣化を予測する判断を行なう(ステップS424)。
これに対し、光源劣化検出部234は、短波長側において測定ラインが第2の閾値ラインを上回っていないと判断した場合(ステップS422:No)、次に予測の確実化を図るため、反応管21の汚れも念のため検討する。このため、光源劣化検出部234は、短波長側において測定ラインが初期ラインを下回るか否かを判断し(ステップS426)、短波長側において測定ラインが初期ラインを下回ると判断した場合(ステップS426:Yes)、反応管21の汚れを検出する(ステップS428)。なお、ステップS428においては、図21に示すステップS228と同様に、光源劣化検出部234は、反応管21の不適正に起因してPDA197が受光する通過光量が低下しているものと判断してもよい。
これに対し、光源劣化検出部234が短波長側において測定ラインが初期ラインを下回っていないと判断した場合(ステップS426:No)、つぎに、長波長側における領域Dl22に測定ラインがあるか否かを判断するため、長波長側において測定ラインが第2の閾値ラインを下回るか否かを判断する(ステップS430)。光源劣化検出部234は、長波長側において測定ラインが第2の閾値ラインを下回ると判断した場合(ステップS430:Yes)、測定ラインが領域Dl22にあることから、所定時間経過後にハロゲンランプ191が劣化するものと予測できるため、ハロゲンランプ191の劣化を予測する判断を行なう(ステップS432)。
これに対し、光源劣化検出部234は、長波長側において測定ラインが第2の閾値ラインを下回っていないと判断した場合(ステップS430:No)、測定ラインは、領域Dl22にないため、所定時間経過後であってもハロゲンランプ191は劣化せず正常であると予測する(ステップS434)。そして、光源劣化検出部234は、検出結果を制御部31に出力して(ステップS436)、ランプ劣化予測処理を終了する。
このように、ハロゲンランプ191が所定時間経過後に劣化すると予測した場合には、この所定時間を経過する前にハロゲンランプ191を交換することによって、分析途中で光源であるハロゲンランプが寿命を迎えてしまう場合を極力防ぐことができる。たとえば、図28に示すように、分析動作中の時間t1において、ハロゲンランプ191の劣化を予測する警報が出力された場合、使用者は、この分析が終了した時間T21においてハロゲンランプ191を新たなものに交換することによって、分析途中にハロゲンランプ191切れを防ぐことができ、試料や試薬の無駄および光源の交換による分析装置のダウンタイム発生を防止することができる。また、図29に示すように、たとえ分析途中でハロゲンランプ191が切れてしまう場合であっても、分析装置1,201は、残り分析における最適タイミングでハロゲンランプ191を交換できるように交換タイミングを算出して、試料や試薬の無駄を極力抑えるようにしてもよい。たとえば、分析装置1,201は、残り分析において、同一試料の分析が終了するタイミングをハロゲンランプ191の交換タイミングとして出力することによって、同一試料の分析途中でのハロゲンランプ191の交換を防止し、同一試料に対する分析精度の同一性を保持してもよい。
また、実施の形態1,2においては、光源がハロゲンランプ191である場合について説明したが、もちろんハロゲンランプ191と同様の色温度に対する特性を有する光源に対しても同様に適用することが可能である。また、実施の形態1,2においては、説明の簡易化のため、光源の使用開始時における色温度が3000Kであり、光源の劣化時の色温度を2200Kである場合を例に説明したが、この使用開始時における色温度および劣化時における色温度は、ハロゲンランプ191の種別または光源の種別によって当然に異なるものである。このため、分析装置1,201において実際に使用される各光源の使用開始時の色温度および劣化時の色温度にそれぞれ対応させて、閾値ライン、長波長側の波長範囲および短波長側の波長範囲などを設定し、光源劣化検出処理、光源劣化予測処理を行なえばよい。
また、上記実施の形態で説明した分析装置1,201は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。このコンピュータシステムは、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで分析装置の処理動作を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステムの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステムによって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。また、このコンピュータシステムは、ネットワーク回線を介して接続した管理サーバや他のコンピュータシステムからプログラムを取得し、取得したプログラムを実行することで分析装置の処理動作を実現する。