JP5312834B2 - 血液凝固分析装置、血液凝固分析方法、及び、コンピュータプログラム - Google Patents

血液凝固分析装置、血液凝固分析方法、及び、コンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は血液凝固分析装置、血液凝固分析方法、及び、コンピュータプログラムに関する。
従来、血液試料を光学的に測定し、その測定結果に基づいて血液試料の凝固機能を分析する血液凝固分析装置が知られている(例えば、下記特許文献1及び特許文献2参照)。
特許文献1及び特許文献2に記載の血液凝固分析装置は、血液試料と凝固試薬(プロトロンビン時間(以下、「PT」ともいう)測定用試薬や、部分トロンボプラスチン時間(以下、「PTT」ともいう)測定用試薬や、活性化部分トロンボプラスチン時間(以下、「APTT」ともいう)測定用試薬)とから調製された測定試料に光を照射して測定試料からの散乱光の時間的変化を測定することにより、PT測定やPTT測定やAPTT測定を行っている。
また、特許文献1には、血液凝固分析装置によって、PT測定やAPTT測定等において検出された凝固反応開始時から凝固反応終了時までの散乱光の変化量に一定の係数を乗ずることにより、血液試料中のフィブリノーゲン濃度に相当する値(以下、ディライブトフィブリノーゲン濃度(dFbg値)ともいう)を算出することが開示されている。
なお、この特許文献1には、測定試料からの透過光の時間的変化を測定し、凝固反応開始時から凝固反応終了時までの透過光の変化量を用いた場合でもdFbg値を算出できることが示唆されている。
特開昭60−58555号公報 特開平10−123140号公報
フィブリノーゲン濃度は、本来、専用のフィブリノーゲン濃度測定用試薬を用いて測定されるが、この測定には多くの時間とコストを要する。そのため、特許文献1のようにPT測定やAPTT測定等において検出されたデータを利用してdFbg値を演算により求め、これをフィブリノーゲン濃度の代用とすることは非常に有用である。
しかしながら、被検者によっては血液試料中に乳びやビリルビン等の干渉物質が多く含まれる場合があり、干渉物質を多く含む血液試料を測定する場合には、凝固反応開始時から凝固反応終了時までの散乱光の変化量や透過光の変化量が干渉物質の影響を受け、dFbg値を精度良く求めることは困難であった。
このような事情に鑑み、本発明は、干渉物質が多く含まれる血液試料を測定する場合であっても、フィブリノーゲン濃度を精度良く求めることができる血液凝固分析装置、及び血液凝固分析方法を提供することを目的とする。
本発明の血液凝固分析装置は、血液試料中のフィブリノーゲン濃度を反映したディライブトフィブリノーゲン濃度、および、血液試料中のフィブリノーゲン濃度を測定可能な血液凝固分析装置であって、血液試料と、プロトロンビン時間測定用試薬、部分トロンボプラスチン時間測定用試薬、活性化部分トロンボプラスチン時間測定用試薬、又は、フィブリノーゲン濃度測定用の専用試薬とを混和して測定試料を調製する試料調製部、調製された前記測定試料に光を照射する光源と、前記測定試料を透過した光を受光する受光部とを備えた検出部、血液試料と、プロトロンビン時間測定用試薬、部分トロンボプラスチン時間測定用試薬、又は活性化部分トロンボプラスチン時間測定用試薬とから調製された測定試料から前記受光部が受光した光に基づいて、凝固反応開始段階の前記測定試料を透過した光の強さを反映した第1の値と凝固反応終了段階の前記測定試料を透過した光の強さを反映した第2の値との比率を反映した比率情報を取得し、当該比率情報に基づいて、前記血液試料中のフィブリノーゲン濃度を反映したディライブトフィブリノーゲン濃度を取得するディライブトフィブリノーゲン濃度取得手段、及び、血液試料と、フィブリノーゲン濃度測定用の専用試薬とから調製された測定試料から前記受光部が受光した光に基づいて、前記血液試料が凝固するまでの凝固時間を取得し、当該凝固時間に基づいて、前記血液試料中のフィブリノーゲン濃度を取得するフィブリノーゲン濃度取得手段を備えていることを特徴とする。なお、「凝固反応開始段階」には、凝固反応開始時点だけでなく、凝固反応開始前の任意の時点、受光部の受光開始時、凝固反応開始直後など、凝固反応開始時点に受光された光の光量と同程度の光量の光受光できる時間帯の全てを含み、「凝固反応終了段階」には、凝固反応終了時点だけでなく、凝固反応終了直前、凝固反応終了後の任意の時点など、凝固反応終了時点に受光される光の光量と同程度の光量の光受光できる時間帯の全てを含む。
この血液凝固分析装置は、PT測定用試薬やAPTT測定用試薬等の凝固試薬を用いて調製した測定試料を透過した光を検出部により検出し、その透過光の強さを反映した第1の値及び第2の値の比率から比率情報を取得し、この比率情報に基づき血液試料中のフィブリノーゲン濃度を反映したディライブトフィブリノーゲン濃度(すなわち、dFbg値)を取得する。散乱光は干渉物質の影響を受けやすいことから、測定試料からの透過光を検出する方が、干渉物質の影響を低減することができ、精度よくフィブリノーゲン濃度を取得することができる。また、透過光の強さを反映した第1の値及び第2の値についての比率情報はフィブリノーゲン濃度に相関しており、更に、その比率情報は干渉物質の影響を受け難い。したがって、第1の値及び第2の値の比率を反映した比率情報からフィブリノーゲン濃度を取得することによって、干渉物質が多く含まれる血液試料であってもフィブリノーゲン濃度を精度良く求めることができる。また、フィブリノーゲン濃度測定用の専用の試薬を用いてフィブリノーゲン濃度を測定することができるため、ディライブトフィブリノーゲン濃度が正確でない血液試料の場合でも、フィブリノーゲン濃度を精度よく求めることができる。
前記第1の値を、凝固反応開始時の前記測定試料を透過した光の強さを反映した値とし、前記第2の値を、凝固反応終了時の前記測定試料を透過した光の強さを反映した値としてもよい。この場合、より精度良くフィブリノーゲン濃度を取得することができる。
前記第1の値及び前記第2の値が、前記受光部によって受光された光の光量を示す値であってもよい。透過光の強さを反映する透過光量は、同じく透過光の強さを反映する吸光度に比べて、血液試料中の干渉物質の影響を受けにくい。そのため、前記第1の値及び前記第2の値として透過光量を用いることにより、より精度良くフィブリノーゲン濃度を取得することができる。また、前記ディライブトフィブリノーゲン濃度取得手段は、前記比率情報として次式で表される情報を取得するものであってもよい。
A=log10(L1/L2)
(但し、A:比率情報、L1:凝固反応開始段階の測定試料から受光部によって受光された光の光量を示す値、L2:凝固反応終了段階の測定試料から受光部によって受光された光の光量を示す値)
本発明の血液凝固分析装置は、前記比率情報と前記血液試料中のフィブリノーゲン濃度との相関を示す検量線を記憶する記憶部をさらに備え、前記ディライブトフィブリノーゲン濃度取得手段は、前記検量線と前記比率情報とに基づいて前記ディライブトフィブリノーゲン濃度を取得するように構成されていてもよい。
また、前記ディライブトフィブリノーゲン濃度取得手段は、前記比率情報に所定の係数を乗じることにより、前記ディライブトフィブリノーゲン濃度を取得するように構成されていてもよい。
いずれの手段においても、精度よくディライブトフィブリノーゲン濃度を取得することができる。
前記血液凝固分析装置は、血液試料と、PT測定用試薬、PTT測定用試薬、又はAPTT測定用試薬とから調製された測定試料から前記受光部によって受光された光に基づいて、PT、PTT又はAPTTを取得する凝固時間取得手段をさらに備えていてもよい。
この場合、PT測定、PTT測定又はAPTT測定により得られた透過光に基づき、フィブリノーゲン濃度を取得することができる。
前記ディライブトフィブリノーゲン濃度取得手段は、前記受光部によって受光された光に基づいて、前記血液試料の凝固反応終了時を検出するようにしてもよい。
この構成によれば、干渉物質の影響を受けがたい透過光の光量に基づいて凝固反応終了時を検出することによって、干渉物質を含む血液試料について、より正確なPTやAPTT等の凝固時間やフィブリノーゲン濃度を取得することができる。
更に、前記ディライブトフィブリノーゲン濃度取得手段は、前記受光部によって受光された光に基づいて、前記血液試料の凝固反応開始時を検出するようにしてもよい
この構成によれば、干渉物質の影響を受けがたい透過光の光量に基づいて凝固反応開始時を検出することによって、干渉物質を含む血液試料について、より正確なPTやAPTT等の凝固時間やフィブリノーゲン濃度を取得することができる。
本発明の血液凝固分析方法は、血液試料中のフィブリノーゲン濃度を反映したディライブトフィブリノーゲン濃度、および、血液試料中のフィブリノーゲン濃度を測定可能な血液凝固分析装置における血液凝固分析方法であって、ディライブトフィブリノーゲン濃度を取得する場合には、血液試料と、プロトロンビン時間測定用試薬、部分トロンボプラスチン時間測定用試薬、又は活性化部分トロンボプラスチン時間測定用試薬とを混和して測定試料を調製するステップと、調製された前記測定試料に光を照射して、前記測定試料を透過した光を検出するステップと、検出された光に基づいて、凝固反応開始段階の前記測定試料を透過した光の強さを反映した第1の値と凝固反応終了段階の前記測定試料を透過した光の強さを反映した第2の値との比率を反映した比率情報を取得するステップと、前記比率情報に基づいて前記血液試料中のフィブリノーゲン濃度を反映したディライブトフィブリノーゲン濃度を取得するステップと、を実行し、フィブリノーゲン濃度を取得する場合には、血液試料と、フィブリノーゲン濃度測定用の専用試薬とを混和して測定試料を調製するステップと、調製された前記測定試料に光を照射して、前記測定試料を透過した光を検出するステップと、検出された光に基づいて、前記血液試料が凝固するまでの凝固時間を取得するステップと、前記凝固時間に基づいて前記血液試料中のフィブリノーゲン濃度を取得するステップと、を実行することを特徴とする。
本発明によれば、干渉物質が多く含まれる血液試料を測定する場合であっても、フィブリノーゲン濃度を精度良く求めることができる。_
図1は本発明の実施の形態に係る血液凝固分析装置1の全体構成を示す斜視説明図であり、図2は、当該血液凝固分析装置1の測定部2及び搬送部3を示す平面説明図である。
〔血液凝固分析装置の全体構成〕
本実施の形態の血液凝固分析装置1は、検体(血液試料)の凝固・線溶機能に関連する特定の物質の量や活性の度合いを光学的に測定して分析するためのものである。この分析装置1では、凝固時間法、合成基質法及び免疫比濁法を用いて検体の光学的な測定(本測定)を行っている。本実施の形態で用いる凝固時間法は、血漿が凝固する過程を透過光の変化として検出する測定方法である。そして、その測定項目としては、PT(プロトロンビン時間)、PTT(部分トロンボプラスチン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)、Fbg(フィブリノーゲン濃度)、LA(ループスアンチコアグラント)等がある。また、合成基質法の測定項目としてはAT−III等があり、免疫比濁法の測定項目としてはDダイマー、FDP等がある。また、本実施の形態の血液凝固分析装置1は、PTやAPTTの測定結果を用いて、Fbgに相当する値(ディライブトフィブリノーゲン濃度;以下、dFbg値という)を演算によって求める機能をも有している。
前記分析装置1は、図1に示されるように、測定部2、及びこの測定部2の前面側に配置された搬送部3を有する測定装置と、前記測定部2に電気的に接続された、データ処理ユニットである制御装置4とで主に構成されている。なお、本実施の形態では、前記搬送部3が測定部2と一体となり分析装置1の一部を構成しているが、この搬送部3は、分析装置1と別体とすることもできる。例えば、複数の分析装置を含む大規模なシステムにおいて、搬送部を各分析装置に設けずに、大型の搬送ラインに複数の分析装置が接続された形態を採用することができる。
〔測定装置の構成〕
測定装置の測定部2は、搬送部3から供給された検体に対して光学的な測定を行うことにより、供給された検体に関する光学的な情報(光学情報)を取得することが可能なように構成されている。本実施の形態では、搬送部3のラック151に載置された試験管150から測定部2のキュベット152(図2参照)内に分注された検体に対して光学的な測定が行われる。また、測定部2は、図1及び図2に示されるように、キュベット供給部10と、回転搬送部20と、検体分注アーム30と、HIL検出部40と、ランプユニット50と、2つの試薬分注アーム60と、キュベット移送部70と、検出部80と、緊急検体セット部90と、キュベット廃棄部100と、流体部110と、制御部120(図3)とを備えている。制御部120は、測定部2および搬送部3における各機構の動作制御を行う機能を有している。
キュベット供給部10は、ユーザによって無造作に投入された複数のキュベット152を回転搬送部20に順次供給することが可能なように構成されている。このキュベット供給部10は、図2に示されるように、ブラケット11(図1参照)を介して装置本体に取り付けられたホッパ12と、ホッパ12の下方に設けられた2つの誘導板13と、2つの誘導板13の下端に配置された支持台14と、支持台14から所定の間隔を隔てて設けられた供給用キャッチャ部15とを含んでいる。2つの誘導板13は、キュベット152のつば部の直径よりも小さく、かつ、キュベット152の胴部の直径よりも大きくなるような間隔を隔てて互いに平行に配置されている。ホッパ12内に供給されたキュベット152は、つば部が2つの誘導板13の上面に係合した状態で、支持台14に向かって滑り落ちながら移動するように構成されている。また、支持台14は、誘導板13を滑り落ちて移動したキュベット152を、供給用キャッチャ部15が把持可能な位置まで回転移送する機能を有している。そして、供給用キャッチャ部15は、支持台14により回転移送されたキュベット152を回転搬送部20に供給するために設けられている。
回転搬送部20は、キュベット供給部10から供給されたキュベット152と、キュベット152内の検体に添加される試薬を収容した試薬容器(図示せず)とを回転方向に搬送するために設けられている。この回転搬送部20は、図2に示されるように、円形状の試薬テーブル21と、円形状の試薬テーブル21の外側に配置された円環形状の試薬テーブル22と、円環形状の試薬テーブル22の外側に配置された円環形状の二次分注テーブル23と、円環形状の二次分注テーブル23の外側に配置された円環形状の一次分注テーブル24とにより構成されている。これらの一次分注テーブル24、二次分注テーブル23、試薬テーブル21及び試薬テーブル22は、それぞれ、時計回り方向及び反時計回り方向の両方に回転可能で、かつ、各々のテーブルが互いに独立して回転可能なように構成されている。
試薬テーブル21及び22は、図2に示されるように、それぞれ、円周方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた複数の孔部21a及び22aを含んでいる。試薬テーブル21及び22の孔部21a及び22aは、検体から測定試料を調製する際に添加される種々の試薬を収容した複数の試薬容器(図示せず)を載置するために設けられている。また、一次分注テーブル24及び二次分注テーブル23は、それぞれ、円周方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた円筒形状の複数の保持部24a及び23aを含んでいる。保持部24a及び23aは、キュベット供給部10から供給されたキュベット152を保持するために設けられている。一次分注テーブル24の保持部24aに保持されたキュベット152には、一次分注処理の際に、搬送部3の試験管150に収容される検体が分注される。また、二次分注テーブル23の保持部23aに保持されたキュベット152には、二次分注処理の際に、一次分注テーブル24に保持されたキュベット152に収容される検体が分注される。また、保持部24aには、当該保持部24aの側方の互いに対向する位置に一対の小孔が形成されている。この一対の小孔は、後述するランプユニット50の分岐光ファイバ58から出射された光を通過させるために設けられている。
検体分注アーム30は、搬送部3により吸引位置2aに搬送された試験管150に収容される検体を吸引するとともに、吸引した検体を回転搬送部20に移送されたキュベット152内に分注する機能を有している。
HIL検出部40は、試薬を添加する前の検体中の干渉物質(乳び、ヘモグロビン及びビリルビン)の有無及びその濃度を測定するために、検体から光学的な情報を取得するように構成されている。具体的には、後述するランプユニット50から照射される5種類の光(340nm、405nm、575nm、660nm及び800nm)の内の4種類の光(405nm、575nm、660nm及び800nm)を用いて、干渉物質の有無及びその濃度を測定している。なお、405nmの波長を有する光は、乳び、ヘモグロビン及びビリルビンのいずれにも吸収される光である。すなわち、405nmの波長を有する光により測定された光学的な情報には、乳び、ヘモグロビン及びビリルビンの影響が寄与している。また、575nmの波長を有する光は、ビリルビンには実質的に吸収されず、かつ、乳び及びヘモグロビンに吸収される光である。すなわち、575nmの波長を有する光により測定された光学的な情報には、乳び及びヘモグロビンの影響が寄与している。そして、660nm及び800nmの波長を有する光は、ビリルビン及びヘモグロビンには実質的に吸収されず、かつ、乳びに吸収される光である。すなわち、660nm及び800nmの波長を有する光により測定された光学的な情報には、乳びの影響が寄与している。また、乳びは、低波長域の405nmから高波長域の800nmまでの波長の光を吸収しており、660nmの波長を有する光の方が、800nmの波長を有する光に比べて、乳びによる吸収が多い。すなわち、800nmの波長を有する光で測定した光学的な情報の方が、660nmの波長を有する光で測定した光学的な情報より、乳びの影響が小さい。
このHIL検出部40による検体の光学的な情報の取得は、検出部80による検体の光学的な測定(本測定)の前に行われる。HIL検出部40は、図2に示されるように、一次分注テーブル24の保持部24aに保持されたキュベット152内の検体から光学的な情報を取得する。
本実施の形態では、ランプユニット50は、図2に示されるように、HIL検出部40及び検出部80で行われる光学的な測定に用いられる光を供給するために設けられている。すなわち、1つのランプユニット50が、HIL検出部40及び検出部80に対して共通に用いられるように構成されている。
試薬分注アーム60は、図1及び図2に示されるように、回転搬送部20に載置された試薬容器(図示せず)内の試薬を回転搬送部20に保持されたキュベット152に分注することにより、キュベット152内の検体に試薬を混合するために設けられている。これにより、HIL検出部40による光学的な測定が終了した検体に試薬を添加して測定試料が調製される。また、キュベット移送部70は、キュベット152を回転搬送部20と検出部80との間を移送させるために設けられている。前記試薬分注アーム60の先端付近には、試薬の加温機能を備えた加温装置を構成する加温ピペットが取り付けられている。
検出部80は、検体に試薬を添加して調製された測定試料の加温を行うとともに、その測定試料から光学的な情報を測定するための機能を有している。この検出部80は、図2に示されるように、キュベット載置部81と、キュベット載置部81の下方に配置された検出器82とを備えている。
図5は、検出部80の断面図である。キュベット載置部81には、複数の挿入孔81aが形成され、この挿入孔81aにキュベット152が挿入されている。検出器82は、光源82aと、光電変換素子82bとを有しており、光源82aから発せられ、キュベット152を透過した光(透過光)が光電変換素子82bにより受光される。光源82aとしてはハロゲンランプやLEDが用いられ、光電変換素子82bとしてはフォトダイオードが用いられている。なお、キュベット載置部81には、加温機能を有する挿入孔(図示略)も設けられている。
緊急検体セット部90は、図1及び図2に示されるように、緊急を要する検体に対しての分析処理を行うために設けられている。この緊急検体セット部90は、搬送部3から供給された検体に対しての分析処理が行われている際に、緊急検体を割り込ませることが可能なように構成されている。キュベット廃棄部100は、回転搬送部20のキュベット152を廃棄するために設けられている。キュベット廃棄部100は、図2に示されるように、廃棄用キャッチャ部101と、廃棄用キャッチャ部101から所定の間隔を隔てて設けられた廃棄用孔102(図1参照)と、廃棄用孔102の下方に設置された廃棄ボックス103とにより構成されている。廃棄用キャッチャ部101は、回転搬送部20のキュベット152を、廃棄用孔102(図1参照)を介して廃棄ボックス103に移動させるために設けられている。流体部110は、分析装置1のシャットダウン処理の際に、各分注アームに設けられるノズルに洗浄液等の液体を供給するために設けられている。
図3は、測定部2の構成を示すブロック図である。キュベット供給部10、回転搬送部20、検体分注アーム30、HIL検出部40、ランプユニット50、2つの試薬分注アーム60、キュベット移送部70、検出部80、緊急検体セット部90、キュベット廃棄部100、及び流体部110は、制御部120に電気信号を通信可能に接続されている。また、制御部120は、CPU、ROM、RAM等から構成されており、CPUがROMに予め記憶された制御プログラムを実行することにより、上述した各機構の動作を制御し、これにより測定部2が測定動作やメンテナンス動作等を実行するようになっている。
測定装置の搬送部3は、図1に示すように、測定部2に検体を供給するために、検体を収容した複数(本実施の形態では、10本)の試験管150が載置されたラック151を測定部2の吸引位置2aに搬送する機能を有している。また、搬送部3は、未処理の検体を収容した試験管150が収納されたラック151をセットするためのラックセット領域3aと、処理済みの検体を収容した試験管150が収納されたラック151を収容するためのラック収容領域3bとを有している。
〔制御装置の構成〕
図1に示すように、制御装置4は、パーソナルコンピュータ401(PC)等からなり、制御部4aと、表示部4bと、キーボード4cとを含んでいる。制御部4aは、測定部2及び搬送部3の動作制御を行うとともに、測定部2で得られた検体の光学的な情報を分析するための機能を有している。この制御部4aは、CPU、ROM、RAM等からなる。また、表示部4bは、制御部4aで得られた分析結果を表示し、分析装置1のメンテナンス履歴等を表示するために設けられている。
図4は、分析装置1における制御装置4のブロック図である。制御部4aは、CPU401aと、ROM401bと、RAM401cと、ハードディスク401dと、読出装置401eと、入出力インタフェース401fと、通信インタフェース401gと、画像出力インタフェース401hとから主として構成されている。CPU401a、ROM401b、RAM401c、ハードディスク401d、読出装置401e、入出力インタフェース401f、通信インタフェース401g、及び画像出力インタフェース401hは、バス401iによって接続されている。
CPU401aは、ROM401bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM401cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。
ROM401bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU401aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
RAM401cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM401cは、ROM401b及びハードディスク401dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401aの作業領域として利用される。
ハードディスク401dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム404a等、CPU401aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。また、後述するように、PT、APTT等の測定結果を分析したり、この測定結果からdFbgを取得したりするためのアプリケーションプログラムもこのハードディスク401dにインストールされている。
読出装置401eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体404に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。
入出力インタフェース401fは、例えば、USB、IEEE1394、RS−232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース401fには、キーボード4cが接続されており、ユーザがそのキーボード4cを使用することにより、コンピュータ401にデータを入力することが可能である。
通信インタフェース401gは、例えば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ401は、その通信インタフェース401gにより、所定の通信プロトコルを使用して測定部2との間でデータの送受信が可能である。
画像出力インタフェース401hは、LCD又はCRT等で構成された表示部4bに接続されており、CPU401aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部4bに出力するようになっている。表示部4bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
なお、制御装置4は、後述するように、検出部80によって検出された光学情報(透過光量)に基づき、PT又はATPP等を取得する凝固時間取得手段として機能する。また、制御装置4は、凝固反応開始段階の透過光量と凝固反応終了段階の透過光量との比率を反映した比率情報を取得する比率情報取得手段、及び、この比率情報に基づき検体中のフィブリノーゲン濃度を取得するフィブリノーゲン濃度取得手段として機能する。
〔分析動作の手順〕
次に、血液凝固分析装置1による検体の分析動作について、3つの例を挙げて説明する。なお、測定する項目は血漿のPT(プロトロンビン時間)とする。
(第1例)
図6は、血液凝固分析装置1による分析動作手順の第1例を示すフローチャートである。まず、図1に示される分析装置1の測定装置及び制御装置4の電源をそれぞれオン状態にすることにより、分析装置1の初期設定が行われる(ステップS1,S101)。これにより、キュベット152を移動させるための機構と各分注アームとを初期位置に戻すための動作や、制御装置4の制御部4aに記憶されているソフトウェアの初期化等が行われる。
ついでステップS102において、制御部4aによって、測定開始の指示が受け付けられたか否かが判断される。制御部4aは、測定開始の指示が受け付けられたと判断した場合(Yes)にはステップS103へ処理を進め、測定開始の指示が受け付けられなかったと判断した場合(No)にはステップS116へ処理を進める。そして、ステップS103において、制御部4aは、測定開始信号を測定装置の制御部120へ送信する。
ついでステップS2において、測定装置の制御部120によって、測定開始信号の受信が行われたか否かが判断される。制御部120は、測定開始信号の受信が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS3へ処理を進め、測定開始信号の受信が行われなかったと判断した場合(No)にはステップS17へ処理を進める。
ついでステップS3において、測定装置の制御部120は、制御装置4の制御部4aに対してオーダの要求を行う。すなわち、測定装置において、搬送部3上のラック151を特定するための情報や試験管150を特定するための情報が記録されたバーコードが読み取られ、この読み取られた情報が制御部120によって制御装置4側に送信される。
ついでステップS104において、制御装置4の制御部4aによって、測定装置側からのオーダの要求が受け付けられたか否かが判断される。制御部4aはオーダの要求が受け付けられたと判断した場合(Yes)にはステップS105へ処理を進める。
制御部4aは、オーダの要求に係るオーダ情報をホストコンピュータに問い合わせ(ステップS105)、その後ホストコンピュータからの応答であるオーダ情報を受信したか否かを判断する(ステップS106)。そして、制御部4aは、オーダ情報を受信したと判断した場合には、当該オーダ情報を測定装置の制御部120に送信する(ステップS107)。
ついでステップS4において、測定装置の制御部120によって、オーダ情報の受信が行われたか否かが判断される。制御部120は、オーダ情報の受信が行われたと判断した場合には、ステップS5において、RAM等の記憶部に当該オーダ情報を記憶する。
ついでステップS6において、検体分注アーム30により試験管150から所定量の検体の吸引が行われる。そして、検体分注アーム30を回転搬送部20の一次分注テーブル24に保持されたキュベット152の上方に移動させる。その後、検体分注アーム30から一次分注テーブル24のキュベット152内に検体が吐出されることにより、キュベット152内に検体が一次分注される。
そして、一次分注テーブル24を回転させて、検体が分注されたキュベット152をHIL検出部40による測定が可能な位置に搬送し、ステップS7において、HIL検出部40によって検体に対する光学的な測定が行われる。
ついでステップS8において、検体分注アーム30により一次分注テーブル24の保持部24aに保持されたキュベット152から所定量の検体が吸引される。その後、検体分注アーム30から二次分注テーブル23の複数のキュベット152に所定量の検体が各々吐出されることにより二次分注処理が行われる。
ついでステップS9において、試薬分注アーム60を駆動させて、試薬テーブル21及び22に載置された試薬容器(図示せず)内のPT測定用の試薬を二次分注テーブル23のキュベット152内の検体に添加する。これにより、測定試料の調製が行われる。そして、キュベット移送部70を用いて、測定試料が収容された二次分注テーブル23のキュベット152を検出部80のキュベット載置部81の挿入孔81aに移動させる。
なお、検体分注アーム30や試料分注アーム60等は、検体とPT測定用試薬とを混和して測定試料を調製する試料調製部を構成する。
ついでステップS10において、検出部80の検出器82によりキュベット152内の測定試料に対して光学的なPT測定が行われる。このPT測定では、光源82aから光が照射され、キュベット152内の測定試料を通過した光が光電変換素子82bに受光され、その透過光量(透過光強度)に応じた電気信号に変換される。電気信号は、図示しないA/D変換器によってデジタル信号に変換される。測定結果は、所定時間毎の透過光量と、各透過光量が測定された時間とを対応づけたデータとして取得される。
ついでステップS11において、測定装置の制御部120は、PT測定結果を制御装置4側へ送信する。
ついでステップS108において、制御装置4の制御部4aによって、PT測定結果の受信が行われたか否かが判断され、制御部4aはPT測定結果の受信が行われたと判断した場合(Yes)には、ステップS109において、PT測定結果の分析を行う。
まず、制御部4aは、PT測定によって取得されたデータから、時間の経過に伴う透過光量の変化を表す凝固反応曲線を生成する。図12は、この凝固反応曲線を示すグラフである。この凝固反応曲線によれば、試薬添加直後の測定開始時は、透過光量の変化は殆ど見られないが、その後、凝固が進行するにつれて測定試料が白濁し、透過光量の急速な減少が見られる。そして、凝固反応がほぼ終了すると、透過光量の変化は小さくなり、その後略一定となっている。
制御部4aは、凝固反応開始時の透過光量(凝固反応開始レベル)を0%としかつ凝固反応終了時の透過光量(凝固反応終了レベル)を100%とした場合の、所定の検出パーセント(例えば50%)に達した時間tを凝固反応曲線から求め、この時間tをPTとして取得する。なお、凝固反応開始レベルは、試薬を添加してから所定時間(例えば60秒)の間における最大の透過光量とされる。凝固反応終了レベルは、凝固反応開始レベルと認識された時点以降で、所定時間当たりの透過光量の低下量が所定以下となった時点における透過光量とされる。
ついでステップS110において、dFbg値(ディライブトフィブリノーゲン濃度)を取得するための処理が行われる。図7は、dFbg値取得のための処理手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS201において、制御部4aは、凝固反応開始レベルにおける透過光量bHと、凝固反応開始時から凝固反応終了時までの透過光量の変化量dHとを用いて、次式(1)により凝固反応開始時の透過光量と凝固反応終了時の透過光量との比率Bを求める。
比率:B=bH/(bH−dH)・・・・(1)
ここで、(bH−dH)は、凝固反応終了時における透過光量に相当する。
ついでステップS202において、制御部4aは、次式(2)によって比率情報Aを求める。
比率情報:A=log10B・・・・(2)
ついでステップS203において、制御部4aは、ハードディスク401dに記憶されている検量線をRAM401cに読み出す。この検量線は、比率情報Aとフィブリノーゲン濃度との相関を示すものであり、予め標準試料を用いて作成される。そして、ステップS204において、比率情報Aを検量線に当てはめることによってフィブリノーゲン濃度が取得され、このフィブリノーゲン濃度がdFbg値とされる。
ついで、図6のステップS111において、制御装置4の制御部4aによって、dFbgの値が所定の範囲内にあるか否か、すなわち、N1<dFbg<N2の条件を満たすか否かが判断される。N1及びN2は、フィブリノーゲン濃度測定用の専用試薬を用いて血液試料中のフィブリノーゲン濃度を測定するFbg測定を行うか否かを判断するための境界値であり、分析装置1のユーザが検査の態様等に応じて設定することが可能である。
そして、制御部4aは、dFbgの値が所定範囲内にあると判断した場合(Yes)にはステップS115へ処理を進め、dFbgの値が所定範囲内にないと判断した場合(No)には、ステップS112へ処理を進める。
ステップS112において、制御部4aは、Fbg測定を開始するためのFbg測定開始信号を測定装置側に送信する。
ついでステップS12において、測定装置の制御部120によって、Fbg測定開始信号の受信が行われたか否かが判断される。制御部120は、Fbg測定開始信号の受信が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS13に処理を進め、Fbg測定開始信号の受信が行われなかったと判断した場合(No)にはステップS17に処理を進める。
ついでステップS13において、検体分注アーム30により一次分注テーブル24の保持部24aに保持されたキュベット152から所定量の検体が吸引される。その後、検体分注アーム30から二次分注テーブル23のキュベット152に所定量の検体が吐出されることによりFbg測定のための分注処理が行われる。
ついでステップS14において、試薬分注アーム60によって、試薬テーブル21及び22に載置された試薬容器(図示せず)内のFbg測定用の試薬が二次分注テーブル23のキュベット152内の検体に添加される。これにより、測定試料の調製が行われる。そして、キュベット移送部70によって、測定試料が収容された二次分注テーブル23のキュベット152が検出部80のキュベット載置部81の挿入孔81aに移動される。
ついでステップS15において、検出部80の検出器82によりキュベット152内の測定試料に対して光学的なFbg測定が行われる。このFbg測定では、光源82aから光が照射され、キュベット152内の測定試料を通過した光が光電変換素子82bに受光され、その透過光量に応じた電気信号に変換される。電気信号は、図示しないA/D変換器によってデジタル信号に変換される。測定結果は、所定時間毎の透過光量と、各透過光量が測定された時間とを対応づけたデータとして取得される。
ついでステップS16において、測定装置の制御部120は、Fbg測定結果を制御装置4側へ送信する。
ついでステップS113において、制御装置4の制御部4aによって、Fbg測定結果の受信が行われたか否かが判断され、制御部4aは、Fbg測定結果の受信が行われたと判断した場合(Yes)には、ステップS114においてFbg測定結果の分析を行う。
このFbg測定結果の分析は、PT測定結果の分析と略同様の態様で行われる。すなわち、制御部4aは、Fbg測定によって取得されたデータから、時間の経過に伴う透過光量の変化を表す凝固反応曲線を生成し、凝固反応開始時の透過光量を0%としかつ凝固反応終了時の透過光量を100%とした場合の、所定の検出パーセント(例えば50%)に達した時間(凝固時間)を凝固反応曲線より求める。
そして、予め標準試料を用いて作成され制御部4aのハードディスク401dに記憶されている検量線に凝固時間を当てはめることによってFbgを求める。
ついでステップS115において、制御部4aは、表示部4bに分析結果の表示、すなわちPT及びdFbg値の表示を行い、Fbg測定が行われた場合には、当該Fbgの表示を行う。図11(a)に表示内容の一例を示す。
この測定結果では、分析結果が表形式で表示されており、測定項目として[PT]及び[Fbg]の欄が設けられている。また、[PT]の欄には、[PTsec](プロトロンビン時間(秒))及び[dFbg]の欄が設けられている。また、[Fbg]の欄には、さらに[Fbgsec](凝固時間(秒))及び[Fbg]の欄が設けられている。
図11(a)において、検体番号10001は、dFbgの値が500(mg/dL)となっている。この値は、所定範囲(例えば、N1=150<dFbg<N2=600)に収まっているため、Fbg測定は行われておらず、Fbgの欄は空白となる。
一方、検体番号10002は、dFbgの値が650(mg/dL)となり、所定範囲を超えている(N2=600<dFbg)。また、検体番号10003は、dFbgの値が120(mg/dL)であり、所定の範囲よりも小さくなっている(dFbg<N1=150)。したがって、これらの場合は、Fbg測定用試薬を用いたFbg測定が行われ、Fbg測定によって取得された分析結果も併せて表示される。
なお、図11(a)において、Fbg測定が行われた場合(検体番号10002,10003)には、dFbg値の表示を省略することも可能である。
ついで図6のステップS116おいて、制御部4aによって、シャットダウンの指示が受け付けられているか否かが判断される。制御部4aは、シャットダウンの指示が受け付けられていると判断した場合(Yes)にはステップS117へ処理を進め、シャットダウンの指示が受け付けられていないと判断した場合(No)にはステップS102へ処理を戻す。
ついでステップS117において、シャットダウン信号が制御部4aから測定装置の制御部120へ送信される。
ついでステップS17において、測定装置の制御部120によって、シャットダウン信号の受信が行われたか否かが判断される。制御部120は、シャットダウン信号の受信が行われたと判断した場合(Yes)にはステップS18へ処理を進め、シャットダウン信号の受信が行われていないと判断した場合(Yes)にはステップS2へ処理を戻す。
そして、ステップS18において、制御部120によって、測定装置のシャットダウンが行われ、処理が終了する。
(第2例)
次に血液凝固分析装置1の分析動作手順の第2例について説明する。
図8は、血液凝固分析装置1による分析動作手順の第2例を示すフローチャートである。このフローチャートでは、測定装置におけるステップS43,S44において所定の条件判断処理(図9及び図10参照)が行われる点と、制御装置4におけるステップS140,S141において、dFbg値の取得後に必ずFbg測定の開始指示が行われる点で、図6に示される分析動作手順と異なっている。以下、図6と異なる点を中心に図8のフローチャートを説明する。
測定装置におけるステップS31〜ステップS41まで、及び、制御装置4におけるステップS131〜ステップS140までの処理は、図6を参照して説明したステップS1〜ステップS11まで、及び、ステップS101〜ステップS110までと同様にしてそれぞれ行われる。
制御装置4の制御部4aは、ステップS140において演算によりdFbg値を求めた後、ステップS141において測定装置側へFbg測定の開始指示信号を送信する。
測定装置の制御部120は、ステップS42において、Fbg測定の開始指示信号を受信しているか否かを判断し、受信していると判断した場合は、ステップS43へ処理を進め、受信していないと判断した場合にはステップS47へ処理を進める。
ステップS43では、測定装置においてFbg測定用の検体の分注が行われる。図9は、Fbg測定用の検体分注動作の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS301において、測定装置の制御部120によって、dFbgの値が所定の閾値N3よりも小さいか否かが判断される。この閾値N3や後述の閾値N4は、Fbg測定の測定条件を定めるための境界値であり、ユーザが設定可能な前述の閾値N1,N2とは異なり、血液凝固分析装置1において予め設定される値である。
制御部120は、dFbgの値が所定の閾値N3よりも小さいと判断した場合には、ステップS302へ処理を進め、dFbgの値が所定の閾値N3以上であると判断した場合は、ステップS303へ処理を進める。
ステップS302では、標準(10μl)よりも多い20μlの検体がキュベット152内に分注される。これは、dFbgの値が所定の閾値N3よりも小さい場合は実際の検体中のFbgも低いと考えられることから、Fbg測定で使用する測定試料の希釈度を予め低くしておくためである。
ステップS303では、さらに、制御部120によって、dFbgの値が所定の閾値N4よりも大きいか否かが判断される。そして、制御部120は、dFbgの値が閾値N4よりも大きいと判断した場合は、ステップS304へ処理を進め、閾値N4以下であると判断した場合にはステップS305へ処理を進める。
ステップS304では、標準よりも少ない5μlの検体がキュベット152に分注される。これは、dFbgの値が所定の閾値N4をよりも大きい場合は実際の検体中のFbgも高いと考えられることから、Fbg測定で使用する測定試料の希釈度を予め高くしておくためである。
ステップS305では、dFbgの値が所定の閾値N3と閾値N4の間となるため、標準量の10μLの検体がキュベット152に分注される。そして、ステップS302,S304,S305を経た後、図8のステップS44へ処理が進められる。
ついでステップS44において、Fbg測定用の試薬の分注が行われる。図10は、Fbg測定用の試薬分注動作の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS401において、測定装置の制御部120によって、dFbgの値が所定の閾値N3よりも小さいか否かが判断される。そして、制御部120は、dFbgの値が所定の閾値N3よりも小さいと判断した場合はステップS402へ処理を進め、dFbgの値が所定の閾値N3以上であると判断した場合は、ステップS403へ処理を進める。
ステップS402では、標準(90μl)よりも少ない80μlの緩衝液(希釈液)がキュベット152内に分注される。このキュベット152には既に20μlの検体が分注されているので(図9のステップS302)、5倍に希釈された100μlの検体が調製される。
ステップS403では、制御部120によって、dFbgの値が所定の閾値N4よりも大きいか否かが判断される。そして、制御部120は、dFbgの値が所定の閾値N4よりも大きいと判断した場合はステップS404へ処理を進め、閾値N4以下であると判断した場合はステップS405へ処理を進める。
ステップS404では、標準よりも多い95μlの緩衝液がキュベット152に分注される。そして、キュベット152には既に5μlの検体が分注されているので(図9のステップS304)、20倍に希釈された100μlの検体が調製される。
ステップS405において、dFbgの値は、所定の閾値N3以上で所定の閾値N4以下となるため、標準量の90μLの緩衝液がキュベット152に分注される。このキュベット152内には既に10μlの検体が分注されているので(図9のステップS305)、10倍に希釈された100μlの検体が調製される。
ステップS402、S404、又はS405を経た後、ステップS406において、Fbg測定用の試薬が50μl分注され、合計150μlの測定試料が調製され、その後、図8のステップS45に処理が進められる。なお、緩衝液としては、オーレンベロナール緩衝液(シスメックス株式会社製)が用いることができ、Fbg測定用の試薬としては、トロンビン試薬(シスメックス株式会社製)を用いることができる。
測定装置におけるステップS45以降の処理と、制御装置4におけるステップS142以降の処理は、図6を参照して説明した処理と同じである。
図11(b)は、第2例の分析動作手順による分析結果の表示例を示す図である。この表においては、全ての検体についてFbg測定が行われている。また、検体番号10003は、dFbgの値が、所定範囲(例えば、N3=50<dFbg<N4=700)を超えており、そのことを示す記号「>」が[dFbg]の欄に表示されている。また、dFbgの値が所定の範囲を超えている場合には、Fbg測定における測定試料の希釈度が標準よりも高くなるので、そのことを示す記号「!」が[Fbgsec]の欄に表示される。
同様に、検体番号10004では、dFbgの値が所定範囲に満たないため、そのことを示す記号「<」が[dFbg]の欄に表示され、また、Fbg測定における測定試料の希釈度が標準よりも低くなるので、そのことを示す「!」が[Fbgsec]の欄に表示される。
(第3例)
血液凝固分析装置1の分析動作手順についての第1例及び第2例を説明したが、これら2つの例を併せた形態とすることも可能である。すなわち、図6に示すフローチャートにおいて、ステップS13における検体分注動作と、ステップS14における試薬分注動作とを、図8のステップS43とステップS44とに置き換えることも可能である。この場合、図6のステップS111において、dFbgの値が所定範囲(N1<dFbg<N2)の条件を満たすか否かが判断され、満たさない場合には、更に、ステップS13において、図9に示すような条件判断で検体の分注量が決定され、ステップS14において、図10に示すような条件判断で緩衝液の分注量が決定される。したがって、この場合には、Fbg測定を行うか否かを判定するための閾値N1,N2と、Fbg測定における希釈度を決定するための閾値N3,N4とが存在することになる。
これらの閾値は、N3<N1<N2<N4となる関係、例えば、N1=150(mg/dL),N2=600(mg/dL),N3=50(mg/dL),N4=700(mg/dL)とすることができる。この場合、Fbg測定を行うか否かを定める第1の範囲(N1〜N2)が、希釈度を標準よりも高くするか低くするかを定める第2の範囲(N3〜N4)よりも狭くなる。もっとも、N1とN3とを同一の値とし、N2とN4とを同一の値とすることも可能である。
第3例の分析動作手順による分析結果の表示例を図11(c)に示す。検体番号10001では、dFbgの値がN1<dFbg<N2の範囲内となり、Fbg測定は行われていない。一方、検体番号10002は、dFbgの値がN2よりも大きく第1の範囲から外れるためにFbg測定は行われるが、第2の範囲には収まっている。従って、Fbg測定は標準の希釈度で行われる。また、検体番号10003,10004では、dFbgの値が第1の範囲及び第2の範囲のいずれからも外れており、Fbg測定が標準の希釈度よりも高い又は低い希釈度で行われる。したがって、表中の[dFbg]の欄には、「<」「>」の記号が表示され、[Fbgsec]の欄には、「!」の記号が付されている。
(本実施の形態の作用効果)
上述の各実施の形態では、PT測定によって取得された検出結果を用いてdFbgの値が求められるので、このdFbgの値をFbgの代用として用いることが可能となる。したがって、dFbgの値をFbgの代用として用いた場合には、専用のフィブリノーゲン濃度測定用の試薬を用いたFbg測定を行う必要がなく、当該測定に要する時間やコストを削減することができる。
特に、分析動作手順の第1例及び第3例の場合、Fbg測定は、dFbgの値により必要に応じて行われるので、Fbg測定に要する時間やコストの削減効果と、フィブリノーゲン濃度の分析結果の信頼性との双方を効率的に高めることができる。
また、分析動作手順の第2例及び第3例の場合、Fbg測定は、dFbgの値に応じて測定条件(測定試料の希釈度)が定められるので、dFbgの値を有効に利用したFbg測定を行うことができる。そのため、希釈度を変更しながらFbg測定を繰り返し行う必要が無くなり、Fbg測定に要する時間やコストを一層削減することができる。
上述の実施の形態では、dFbgの値が、PT測定において検出された凝固反応開始時の透過光量と凝固反応終了時の透過光量との比率を反映した比率情報Aに基づいて求められるので、検体に乳びやビリルビン等の干渉物質が多く含まれている場合であっても、精度の高いdFbgの値を求めることが可能となる。この点について以下に詳しく説明する。
従来技術(特許文献1)のように、測定試料からの散乱光の変化量からdFbgを求める場合、散乱光は干渉物質の影響を受けやすい(干渉物質自体が散乱体の場合がある)ことから正確なdFbgを求めることが困難となる。
また、測定試料を透過した透過光を検出してdFbgを取得する場合、実際にはフィブリノーゲン濃度と相関がある吸光度の変化量からdFbgを求める必要がある。しかしながら、この場合も、以下のように干渉物質の影響を大きく受ける。
図13は、PT測定における透過光量の実測値と時間との関係を示す凝固反応曲線である。この図13には、太線で示す透過光量についての凝固反応曲線と併せて、吸光度についての凝固反応曲線も細線で示してある。
一般に、吸光度Absは、光源からの入射光量L0と透過光量Lとの関係から、次式(3)により求めることができる。
Abs=log10(L0/L)・・・・(3)
そして、凝固反応開始時から凝固反応終了時までの吸光度の変化量は、フィブリノーゲン濃度と相関があり、当該変化量から検量線等を用いてdFbgを求めることが可能である。
一方、図14は、干渉物質が含まれた検体を用いてPT測定を行った場合の透過光量の実測値と時間との関係を示す凝固反応曲線である。この図14にも、吸光度についての凝固反応曲線を細線で示してある。検体に干渉物質が多く含まれていると、干渉物質のない正常な検体(図13参照)と比較して、透過光量及び吸光度とも値が大きく上下に振れている。また、検体に干渉物質が多く含まれていると、干渉物質のない正常な検体(図13参照)と比較して透過光量の値及び変化量が大きく低下し、逆に、吸光度の値が大きく増大している。また、吸光度の上下の振れは、透過光量の上下の振れに比べても非常に大きくなっている。そのため、凝固反応開始時から凝固反応終了時までの吸光度の変化量を求めるに当たり、凝固反応開始レベルや凝固反応終了レベルを特定し難く、誤差が非常に大きくなる可能性が高い。このため吸光度の変化量から求められたdFbg値の信頼性が低くなる。
これに対し、透過光量は、干渉物質が含まれていても吸光度に比べて上下の振れが小さいため、凝固反応開始レベルや凝固反応終了レベルを特定しやすく、誤差も小さくなる。したがって、凝固反応開始時の透過光量と凝固反応終了時の透過光量との比率を反映した比率情報Aから信頼性の高いdFbg値を取得することが可能となる。
上述の実施の形態において、PTが透過光量についての凝固反応曲線から求められており、この凝固反応曲線は、図14に示すように干渉物質が多い場合でも吸光度に比べて上下の振れが小さいため、凝固反応開始レベルや凝固反応終了レベルを比較的正確に求めることができる。したがって、PT測定の信頼性をも高めることが可能である。
本発明は上述の実施の形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。
上述の実施の形態において、凝固試薬とは、血液試料の凝固を促進させるために用いる試薬を意味し、例えば、PT測定用試薬として、トロンボチェック(登録商標)PT(シスメックス株式会社製)や、APTT測定用試薬として、トロンボチェックAPTT(シスメックス株式会社製)を使用することができる。
上述の実施の形態では、PT測定で得られた測定結果を用いてdFbg値を取得しているが、PTT測定やAPTT測定で得られた測定結果を用いてdFbg値を取得してもよい。
また、上述の実施の形態では、比率情報Aとフィブリノーゲン濃度との相関を示す検量線を用いてdFbg値を取得しているが、検量線の傾きを示す係数を比率情報Aに乗じることによってdFbg値を取得してもよい。
上述の実施の形態では、凝固反応開始時に検出された透過光量と、凝固反応終了時に検出された透過光量との比率に基づいてdFbg値を取得しているが、凝固反応開始時の吸光度と凝固反応終了時の吸光度との比率に基づいてdFbg値を取得してもよい。この場合、干渉物質の影響を少なくするため、上述のようにPT測定によって得られた透過光量についての凝固反応曲線から凝固反応開始時と凝固反応終了時の透過光量をそれぞれ求め、各透過光量の値から吸光度を求めることが好ましい。
また、上述の実施の形態では、凝固反応開始時点で検出された透過光量と、凝固反応終了時点で検出された透過光量との比率に基づいてdFbg値を取得しているが、凝固反応開始時点で検出される透過光量の代わりに、凝固反応開始前の任意の時点や、凝固反応開始直後など、凝固反応開始時点で検出される透過光量と同程度の透過光量を検出できる時点であればどの時点の透過光量を用いてもよい。また、凝固反応終了時点で検出される透過光量の代わりに、凝固反応終了直前や、凝固反応終了後の任意の時点など、凝固反応終了時点で検出される透過光量と同程度の透過光量を検出できる時点であればどの時点の透過光量を用いてもよい。
本発明の実施の形態に係る血液凝固分析装置の全体構成を示す斜視説明図である。 同血液凝固分析装置における測定装置(測定部及び搬送部)を示す平面説明図である。 同血液凝固分析装置における測定部の構成を示すブロック図である。 同血液凝固分析装置における制御装置のブロック図である。 同血液凝固分析装置における検出部の断面図である。 同血液凝固分析装置による分析動作手順の第1例を示すフローチャートである。 同血液凝固分析装置による分析動作のうちdFbg取得の手順を示すフローチャートである。 同血液凝固分析装置による分析動作手順の第2例を示すフローチャートである。 同血液凝固分析装置による分析動作のうちFbg測定用の検体分注処理の手順を示すフローチャートである。 同血液凝固分析装置による分析動作のうちFbg測定用の試薬分注処理の手順を示すフローチャートである。 同血液凝固分析装置における分析結果表示画面を示す図である。 同血液凝固分析装置による凝固反応曲線を示すグラフである。 同血液凝固分析装置によるPT測定における透過光量の実測値と時間との関係を示す凝固反応曲線である。 同血液凝固分析装置による干渉物質が含まれる検体を用いたPT測定における透過光量の実測値と時間との関係を示す凝固反応曲線である。
符号の説明
1 血液凝固分析装置
2 測定部
3 搬送部
4 制御装置
4a 制御部
80 検出部
120 制御部

Claims (10)

  1. 血液試料中のフィブリノーゲン濃度を反映したディライブトフィブリノーゲン濃度、および、血液試料中のフィブリノーゲン濃度を測定可能な血液凝固分析装置であって、
    血液試料と、プロトロンビン時間測定用試薬、部分トロンボプラスチン時間測定用試薬、活性化部分トロンボプラスチン時間測定用試薬、又は、フィブリノーゲン濃度測定用の専用試薬とを混和して測定試料を調製する試料調製部、
    調製された前記測定試料に光を照射する光源と、前記測定試料を透過した光
    を受光する受光部とを備えた検出部、
    血液試料と、プロトロンビン時間測定用試薬、部分トロンボプラスチン時間測定用試薬、又は活性化部分トロンボプラスチン時間測定用試薬とから調製された測定試料から前記受光部が受光した光に基づいて、凝固反応開始段階の前記測定試料を透過した光の強さを反映した第1の値と凝固反応終了段階の前記測定試料を透過した光の強さを反映した第2の値との比率を反映した比率情報を取得し、当該比率情報に基づいて、前記血液試料中のフィブリノーゲン濃度を反映したディライブトフィブリノーゲン濃度を取得するディライブトフィブリノーゲン濃度取得手段、及び、
    血液試料と、フィブリノーゲン濃度測定用の専用試薬とから調製された測定試料から前記受光部が受光した光に基づいて、前記血液試料が凝固するまでの凝固時間を取得し、当該凝固時間に基づいて、前記血液試料中のフィブリノーゲン濃度を取得するフィブリノーゲン濃度取得手段を備えていることを特徴とする血液凝固分析装置。
  2. 前記第1の値は、凝固反応開始時の前記測定試料を透過した光の強さを反映した値であり、前記第2の値は、凝固反応終了時の前記測定試料を透過した光の強さを反映した値である、請求項1に記載の血液凝固分析装置。
  3. 前記第1の値及び前記第2の値が、前記受光部によって受光された光の光量を示す値である、請求項1又は2に記載の血液凝固分析装置。
  4. 前記ディライブトフィブリノーゲン濃度取得手段は、前記比率情報として次式で表される情報を取得する、請求項3に記載の血液凝固分析装置。
    A=log10(L1/L2)
    (但し、A:比率情報、L1:凝固反応開始段階の測定試料から受光部によって受光された光の光量を示す値、L2:凝固反応終了段階の測定試料から受光部によって受光された光の光量を示す値)
  5. 前記比率情報と前記血液試料中のフィブリノーゲン濃度との相関を示す検量線を記憶する記憶部をさらに備え、
    前記ディライブトフィブリノーゲン濃度取得手段は、前記検量線と前記比率情報とに基づいて前記ディライブトフィブリノーゲン濃度を取得する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の血液凝固分析装置。
  6. 前記ディライブトフィブリノーゲン濃度取得手段は、前記比率情報に所定の係数を乗じることにより、前記ディライブトフィブリノーゲン濃度を取得する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の血液凝固分析装置。
  7. 血液試料と、プロトロンビン時間測定用試薬、部分トロンボプラスチン時間測定用試薬、又は活性化部分トロンボプラスチン時間測定用試薬とから調製された測定試料から前記受光部によって受光された光に基づいて、プロトロンビン時間、部分トロンボプラスチン時間、又は活性化部分トロンボプラスチン時間を取得する凝固時間取得手段をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1つに記載の血液凝固分析装置。
  8. 前記ディライブトフィブリノーゲン濃度取得手段は、前記受光部によって受光された光に基づいて、前記血液試料の凝固反応終了時を検出する、請求項に記載の血液凝固分析装置。
  9. 前記ディライブトフィブリノーゲン濃度取得手段は、前記受光部によって受光された光に基づいて、前記血液試料の凝固反応開始時を検出する、請求項2に記載の血液凝固分析装置。
  10. 血液試料中のフィブリノーゲン濃度を反映したディライブトフィブリノーゲン濃度、および、血液試料中のフィブリノーゲン濃度を測定可能な血液凝固分析装置における血液凝固分析方法であって、
    ディライブトフィブリノーゲン濃度を取得する場合には、
    血液試料と、プロトロンビン時間測定用試薬、部分トロンボプラスチン時間測定用試薬、又は活性化部分トロンボプラスチン時間測定用試薬とを混和して測定試料を調製するステップと、
    調製された前記測定試料に光を照射して、前記測定試料を透過した光を検出するステップと、
    検出された光に基づいて、凝固反応開始段階の前記測定試料を透過した光の強さを反映した第1の値と凝固反応終了段階の前記測定試料を透過した光の強さを反映した第2の値との比率を反映した比率情報を取得するステップと、
    前記比率情報に基づいて前記血液試料中のフィブリノーゲン濃度を反映したディライブトフィブリノーゲン濃度を取得するステップと、を実行し、
    フィブリノーゲン濃度を取得する場合には、
    血液試料と、フィブリノーゲン濃度測定用の専用試薬とを混和して測定試料を調製するステップと、
    調製された前記測定試料に光を照射して、前記測定試料を透過した光を検出するステップと、
    検出された光に基づいて、前記血液試料が凝固するまでの凝固時間を取得するステップと、
    前記凝固時間に基づいて前記血液試料中のフィブリノーゲン濃度を取得するステップと、を実行することを特徴とする血液凝固分析方法
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