JP2009047000A - 筒内噴射式火花点火内燃機関 - Google Patents

筒内噴射式火花点火内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】均質混合気の均質程度を十分に高めることができると共に、噴射燃料によりタンブル流を十分に強めて、燃焼速度の速い良好な均質燃焼を実現可能な筒内噴射式火花点火内燃機関を提供する。
【解決手段】気筒上部略中心に配置された第一燃料噴射弁1と、気筒上部周囲の吸気ポート側に配置された第二燃料噴射弁3とを具備し、第一燃料噴射弁はシリンダボアの排気ポート側下部又はピストン頂面の排気ポート側周囲部へ向けて燃料を噴射し、第二燃料噴射弁はシリンダボアの排気ポート側上部へ向けて燃料を噴射する。
【選択図】図1

Description

本発明は、筒内噴射式火花点火内燃機関に関する。
気筒内へ直接的に燃料を噴射して気筒内に均質混合気を形成し、この均質混合気を圧縮行程末期の点火時期において着火燃焼させる均質燃焼が公知である。このような均質燃焼を良好なものとするためには、気筒内に形成される均質混合気の均質程度を高めることが必要である。
そのためには、機関運転状態毎の必要燃料量を分割して、それぞれを小さな塊として噴射することにより、気筒内を飛行中に気化させ易くすることが望ましい(例えば、特許文献1参照)。また、燃料噴射弁を気筒上部略中心に配置し、吸気下死点近傍において、シリンダボアの排気ポート側下部又はピストン頂面の排気ポート側周囲部へ向けて燃料を噴射するようにすれば、各噴射燃料は、気筒内の排気ポート側を下降して吸気ポート側を上昇するように気筒内を縦方向に旋回するタンブル流中へ噴射され、タンブル流によって気筒内全体に分散されるために、均質混合気の均質程度を高めるのに有利である。
また、こうして吸気下死点近傍においてタンブル流中へ燃料を噴射することにより、噴射燃料の貫徹力によってタンブル流を強めることができる。それにより、そのままでは圧縮行程前半で消滅するタンブル流を圧縮行程後半まで持続させることができ、タンブル流をピストンにより押し潰すことにより、圧縮行程末期の点火時期において気筒内に乱れを存在させ、この乱れによって均質混合気の燃焼速度を高めて良好な均質燃焼を実現することができる。
特開2002−161790 特表2004−537004
しかしながら、特許文献1の内燃機関では、分割燃料噴射によって、均質混合気の均質程度を高めることはできても、タンブル流を十分に強めることができない。
従って、本発明の目的は、均質混合気の均質程度を十分に高めることができると共に、噴射燃料によりタンブル流を十分に強めて、燃焼速度の速い良好な均質燃焼を実現可能な筒内噴射式火花点火内燃機関を提供することである。
本発明による請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、気筒上部略中心に配置された第一燃料噴射弁と、気筒上部周囲の吸気ポート側に配置された第二燃料噴射弁とを具備し、前記第一燃料噴射弁はシリンダボアの排気ポート側下部又はピストン頂面の排気ポート側周囲部へ向けて燃料を噴射し、前記第二燃料噴射弁はシリンダボアの排気ポート側上部へ向けて燃料を噴射することを特徴とする。
本発明による請求項2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記第一燃料噴射弁は吸気下死点近傍において燃料を噴射し、前記第二燃料噴射弁は圧縮行程中期において燃料を噴射することを特徴とする。
本発明による請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、気筒上部略中心に配置された第一燃料噴射弁と、気筒上部周囲の吸気ポート側に配置された第二燃料噴射弁とによって燃料が噴射され、すなわち、必要燃料量が第一燃料噴射弁と第二燃料噴射弁とに二分割されて気筒内へ噴射されるために、各噴射燃料の塊は小さく気筒内を飛行中に気化し易くなり、均質混合気の均質程度を高めることができる。また、第一燃料噴射弁はシリンダボアの排気ポート側下部又はピストン頂面の排気ポート側周囲部へ向けて燃料を噴射し、第二燃料噴射弁はシリンダボアの排気ポート側上部へ向けて燃料を噴射するために、各噴射燃料は、気筒内の排気ポート側を下降して吸気ポート側を上昇するように気筒内を縦方向に旋回するタンブル流中へ噴射され、タンブル流によって気筒内全体に分散されるために、均質混合気の均質程度を高めるのに有利である。
また、こうして各噴射燃料をタンブル流中へ噴射することにより、噴射燃料の貫徹力によってタンブル流を十分に強めることができる。それにより、そのままでは圧縮行程前半で消滅するタンブル流を圧縮行程後半まで持続させることができ、タンブル流をピストンにより押し潰すことにより、圧縮行程末期の点火時期において気筒内に乱れを存在させ、この乱れによって均質混合気の燃焼速度を高めて良好な均質燃焼を実現することができる。
本発明による請求項2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、第一燃料噴射弁は吸気下死点近傍において燃料を噴射し、第二燃料噴射弁は圧縮行程中期において燃料を噴射するようになっている。第一燃料噴射弁は、シリンダボアの排気ポート側下部又はピストン頂面の排気ポート側周囲部へ向けて燃料を噴射するものであるために、吸気下死点近傍において燃料を噴射してタンブル流を強めることとなるが、第二燃料噴射弁は、燃料を圧縮行程中期に噴射して、タンブル流をより遅い時期に強めることができ、タンブル流を圧縮行程後半まで持続させるのに有利である。また、圧縮行程中期では吸気弁は閉弁されているために、第二燃料噴射弁から噴射された燃料が吸気弁に衝突するようなことはない。
図1及び2は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の実施形態を示す概略縦断面図であり、図1は吸気行程末期を示しており、図2は圧縮行程中期を示している。これらの図において、1は気筒上部略中心に配置されて気筒内へ直接的に燃料を噴射するための第一燃料噴射弁であり、2は燃料噴射弁1の吸気ポート側近傍に配置された点火プラグである。3は気筒上部周囲の吸気ポート側に配置されて気筒内へ直接的に燃料を噴射するための第二燃料噴射弁である。また、4はピストン、5は一対の吸気ポート、6は一対の排気ポートを、それぞれ示している。
本筒内噴射式火花点火内燃機関は、気筒内に理論空燃比又は理論空燃比よりリーンな均質混合気を形成し、この均質混合気を点火プラグ2により着火燃焼させる均質燃焼を実施するものである。理論空燃比よりリーンな均質燃焼が実施される場合のリーン空燃比は、NOX生成量が比較的少なくなるように設定される(例えば、約20)。また、高い機関出力が必要とされる時には、リッチ空燃比での均質燃焼を実施するようにしても良い。
特に、理論空燃比又はリーン空燃比での均質燃焼においては、噴射燃料はそれほど多くないために、噴射燃料を十分に気筒内へ分散させて均質混合気の均質程度を高めることが良好な均質燃焼を実現するのに不可欠である。本実施形態においては、機関運転状態毎の必要燃料量を第一燃料噴射弁1と第二燃料噴射弁3とで例えば二等分して噴射し、噴射燃料のそれぞれを小さな塊とすることにより、気筒内を飛行中に気化させ易くしている。第一燃料噴射弁1と第二燃料噴射弁2との噴射量割合は、1対1でなくても、例えば、2対1又は3対1等、任意に設定可能である。
また、第一燃料噴射弁1及び第二燃料噴射弁3から噴射された燃料が、気筒内の排気ポート側を下降して吸気ポート側を上昇するように気筒内を縦方向に旋回するタンブル流T中へ噴射されれば、タンブル流Tによって気筒内全体に分散されるために、均質混合気の均質程度を高めるのに有利である。
また、こうしてタンブル流T中へ燃料を噴射することにより、噴射燃料の貫徹力によってタンブル流Tを強めることができる。それにより、そのままでは圧縮行程前半で消滅するタンブル流Tを圧縮行程後半まで持続させることができ、タンブル流Tをピストン4により押し潰すことにより、圧縮行程末期の点火時期において気筒内に乱れを存在させ、この乱れによって均質混合気の燃焼速度を高めて良好な均質燃焼を実現することができる。
本実施形態においては、図1に示すように、第一燃料噴射弁1は、略半円弧状スリット噴孔を有して中空半円錐形状にシリンダボアの排気ポート側下部又はピストン頂面の排気ポート側周囲部へ向けて燃料F1を吸気下死点近傍において噴射するものである。また、第一燃料噴射弁1は、複数の丸噴孔を有して、吸気下死点近傍において、各噴孔からシリンダボアの排気ポート側下部又はピストン頂面の排気ポート側周囲部へ向けて複数の燃料を噴射するようにしても良い。これらの複数の丸噴孔は略半円弧状に整列させても良い。
このような燃料F1が第一燃料噴射弁1の噴射時期である吸気下死点近傍において噴射されれば、ピストン頂面又はシリンダボアに衝突付着し難く、また、タンブル流Tを良好に強めることができる。吸気下死点近傍の燃料噴射は、燃料噴射開始時期又は燃料噴射終了時期を、吸気下死点、その直前、又はその直後とすれば良い。また、吸気下死点近傍の燃料噴射は、吸気下死点を燃料噴射期間の略中心としても良い。
さらに、本実施形態において、図2に示すように、第二燃料噴射弁3は、直線状スリット噴孔を有して比較的厚さの薄い略扇形状にシリンダボアの排気ポート側上部へ向けて燃料F2を圧縮行程中期において噴射するものである。また、第二燃料噴射弁3は、複数の丸噴孔を有して、圧縮行程中期において、各噴孔からシリンダボアの排気ポート側上部へ向けて複数の燃料を噴射するようにしても良い。これらの複数の丸噴孔は略直線状に整列させても良い。扇形状の燃料の幅方向は、気筒中心軸線と略垂直となるように噴射されることが好ましい。
このような燃料F2が第二燃料噴射弁3の噴射時期である圧縮行程中期において噴射されれば、噴射燃料F2は、閉弁中の吸気弁に衝突することなく、タンブル流Tを良好に強めることができる。こうして、第一燃料噴射弁1による燃料噴射F1により強められたタンブル流Tを、ピストン4により潰される直前に圧縮行程中期において第二燃料噴射弁3による燃料噴射F2によりさらに強めることにより、点火時期での気筒内の乱れをさらに強いものとして、燃焼速度をさらに速めてさらに良好な均質燃焼を実現することができる。
第二燃料噴射弁3により噴射される燃料F2は、噴射から点火時期までの時間が、第一燃料噴射弁1により噴射される燃料F1に比較して短いために、第一燃料噴射弁1により噴射される燃料F1に比較して噴射量を少なくして、点火時期までに噴射燃料F2を確実に気化させることが好ましい。
第一燃料噴射弁1及び第二燃料噴射弁3により噴射される燃料F1及びF2の貫徹力は、タンブル流Tを確実に強めるために、例えば、噴射開始から1ms後の燃料先端が60mm以上に達するように強くすることが好ましい。第一燃料噴射弁1の燃料噴射時期と第二燃料噴射弁3の燃料噴射時期とは、互いの噴射燃料F1及びF2が衝突しないように、重ならないようにすることが好ましい。
また、第一燃料噴射弁1は、部分円弧状、直線状、又は折れ線状のスリット噴孔を有して部分円弧断面、直線断面、又は折れ線断面の燃料を噴射するものでも、また、直線状又は折れ線状に配列された複数の丸噴孔を有して複数の柱状に燃料を噴射するものでも良い。このような場合において、噴射燃料は、シリンダボアの排気ポート側下部(略半円弧断面の帯状部分)及びピストン頂面の排気ポート側周囲部(略半円弧の帯状部分)の少なくとも一方に向かうようにされれば良い。もちろん、第一燃料噴射弁1は、吸気下死点近傍において、シリンダボアの排気ポート側下部(略半円弧断面の帯状部分)及びピストン頂面の排気ポート側周囲部(略半円弧の帯状部分)の少なくとも一方に向かうように中空又は中実円錐形状の燃料を噴射するものでも良い。
また、第二燃料噴射弁3は、部分円弧状又は折れ線状のスリット噴孔を有して部分円弧断面又は折れ線断面の燃料を噴射するものでも、また、直線状又は折れ線状に配列された複数の丸噴孔を有して複数の柱状に燃料を噴射するものでも良い。このような場合において、噴射燃料は、シリンダボアの排気ポート側上部(略半円弧断面の帯状部分)に向かうようにされれば良い。もちろん、第二燃料噴射弁3は、圧縮行程中期において、シリンダボアの排気ポート側上部(略半円弧断面の帯状部分)に向かうように中空又は中実円錐形状の燃料を噴射するものでも良い。
本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の実施形態を示す吸気下死点近傍の概略縦断面図である。 本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の実施形態を示す圧縮行程中期の概略縦断面図である。
符号の説明
1 第一燃料噴射弁
2 点火プラグ
3 第二燃料噴射弁
4 ピストン
5 吸気ポート
6 排気ポート
F1、F2 噴射燃料
T タンブル流

Claims (2)

  1. 気筒上部略中心に配置された第一燃料噴射弁と、気筒上部周囲の吸気ポート側に配置された第二燃料噴射弁とを具備し、前記第一燃料噴射弁はシリンダボアの排気ポート側下部又はピストン頂面の排気ポート側周囲部へ向けて燃料を噴射し、前記第二燃料噴射弁はシリンダボアの排気ポート側上部へ向けて燃料を噴射することを特徴とする筒内噴射式火花点火内燃機関。
  2. 前記第一燃料噴射弁は吸気下死点近傍において燃料を噴射し、前記第二燃料噴射弁は圧縮行程中期において燃料を噴射することを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
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