JP2009046664A - 顔料分散ペースト及び電着塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗装設備の省エネルギー化及び省設備化が可能となる顔料の再分散性に優れた顔料分散ペースト及び該顔料分散ペーストを用いた電着塗料を提供する。
【解決手段】本発明は、顔料分散用樹脂(A)、着色顔料(B)、体質顔料(C)及びセルロース複合体(D)を含む電着塗料用顔料分散ペーストであって、該樹脂(A)の固形分合計100質量部に対して、
(1)着色顔料(B)として、
(b1)基体となる二酸化チタン100質量部にAlを0.1〜10.0質量部で被覆しかつSiOで被覆されていない二酸化チタン、及び/又は
(b2)酸化鉄
を60〜800質量部、
(2)体質顔料(C)として一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.1μmである微粒子硫酸バリウムを2〜200質量部、並びに
(3)セルロース複合体(D)を1〜50質量部
を含有することを特徴とする電着塗料用顔料分散ペーストに関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗装設備の省エネルギー化及び省設備化が可能となる顔料の再分散性に優れた顔料分散ペースト及び該顔料分散ペーストを用いた電着塗料に関する。
電着塗料は、塗装作業性に優れ防錆性が良好なことから、自動車ボディなどの金属製品の下塗り塗料として広く使用されている。この電着塗料に用いられる顔料分散ペーストは、通常、製造後にタンクに貯蔵され又はドラム缶に入れて倉庫に保管されるが、定期的に攪拌しないと顔料が沈降して使用に支障をきたすことがある。特に、海外の塗装設備に輸送するときには、ドラム缶に入れられた顔料分散ペーストは長期間に亘って無攪拌状態にさらされることになるので、顔料分散ペーストの貯蔵安定性の向上は急務となっている。
一方、電着塗料は、顔料の沈降を防止するために、通常、休憩時間や夜間や休日でも、ポンプによって塗料の循環や攪拌を行っているが、そのための設備の設置や維持などに莫大なコストがかかり、そのため塗装設備の省エネルギー化や省設備化に対応できる電着塗料が求められている。
このような要望に応えるものとして、従来、白色顔料としてジルコニウムで被覆された酸化チタンと沈降性硫酸バリウムを用いた電着塗料に関する発明が開示されている(特許文献1参照)。
また、顔料として比重の軽いカーボンブラックを用い、さらに硬化触媒として液状の錫触媒を用いた静置保管時に顔料沈降がほとんどない電着塗料が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この電着塗料では、液状の錫触媒がエマルション中に配合されるため、エマルションの貯蔵安定性や電着塗料の塗料安定性に問題があり、また、顔料としてカーボンブラックを使用するため塗色としては黒色系に限られるなどの問題がある。
他に、基体樹脂、硬化剤及び基体樹脂と硬化剤の固形分合計100質量部あたり0.1〜20質量部のセルロース複合体を含有し、塗装設備の省エネルギー化及び省設備化が可能となる電着塗料が開示されている(特許文献3参照)。しかし特許文献3は、比重が重いチタン白を含有する白系塗膜が得られる電着塗料や酸化鉄を用いた茶系塗膜が得られる電着塗料に適用した場合は、塗装ラインにおいて長期間、特に連休等の長期間に亘って電着塗料の攪拌や循環を停止して、再び稼動した時には塗料の再分散性が不十分である為に、塗装物品の電着塗面上、特に水平面にブツやハジキが発生して改善が求められていた。
特開2000−281943号公報 特開2004−123942号公報 特開2006−111699号公報
本発明の目的は、貯蔵安定性に優れた電着塗料用の顔料分散ペーストを提供することである。さらに該顔料分散ペーストを用いてカチオン電着塗料を製造し、電着塗料の攪拌や循環を休憩時間や休日や夜間に停止しても再分散性や塗料安定性に優れ、かつ幅広い塗色において適用可能な電着塗料を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、顔料分散用樹脂(A)、着色顔料(B)、体質顔料(C)及びセルロース複合体(D)を含む電着塗料用顔料分散ペーストであって、該樹脂(A)の固形分合計100質量部に対して、
(1)着色顔料(B)として、
(b1)基体となる二酸化チタン100質量部にAlを0.1〜10.0質量部で被覆しかつSiOで被覆されていない二酸化チタン、及び/又は
(b2)酸化鉄
を60〜800質量部、
(2)体質顔料(C)として一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.1μmである微粒子硫酸バリウムを2〜200質量部、並びに
(3)セルロース複合体(D)を1〜50質量部
を含有することを特徴とする電着塗料用顔料分散ペースト、を用いたカチオン電着塗料によって上記の目的を達成することできることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の顔料分散ペーストは、貯蔵安定性に優れているため貯蔵時の攪拌にかかる手間や費用を省くことができ、また、例えタンクやドラムに無攪拌状態で貯蔵しても顔料の再分散性に優れているため、仕上り性に優れた塗装物品を与えることができる。
本発明のカチオン電着塗料は、塗装ラインにおいて、塗料の攪拌や循環を休日や夜間に長時間停止して再び稼動した時の塗料の再分散性に優れているので、攪拌に用いるポンプの一時停止や台数を減らすなどの省エネルギー稼動及び省設備化が可能である。
本発明のカチオン電着塗料が、上記のような性能に優れる理由としては、以下が考えられる。すなわち、従来、顔料分散ペースト中に、SiOを含有した二酸化チタンやアルミニウムシリケート(Al・SiO)を配合すると、SiOの一部がSiOHとなり、強固にSi−O−Si結合を作ってしまい、顔料沈降凝集物の再分散性が著しく悪くなる。このことから、顔料分散ペースト中からこれらの顔料成分を除くことが必要であるものの、SiOを含有した二酸化チタンやアルミニウムシリケート(Al・SiO)を除くと、顔料分散ペーストが沈降し易いという問題があった。
しかし、本発明の顔料分散ペーストは、(1)セルロース複合体(D)を加えることによって、顔料分散ペーストが擬似的なネットワークを形成する(レオロジーをコントロールする効果)ことによって沈降し難くなる。(2)一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.1μmである微粒子硫酸バリウムを配合することによって、沈降した顔料成分が凝集せず固いケーキ層を作らない。(3)さらに、顔料分散用樹脂がノボラックエポキシ構造を持つことにより、水酸基が顔料表面に配向して顔料分散ペーストの親水性が向上することから再分散性に優れる。これにより、沈降した顔料成分のケーキ層がほぐれ易く、顔料成分の水中への分散が促進される。
以下、本発明の顔料分散ペースト及び該顔料分散ペーストを用いた電着塗料について詳細に説明する。
本発明の顔料分散ペーストは、顔料分散用樹脂(A)、着色顔料(B)、体質顔料(C)及びセルロース複合体(D)を含む電着塗料用顔料分散ペーストであって、該樹脂(A)の固形分合計100質量部に対して、
(1)着色顔料(B)として、
(b1)基体となる二酸化チタン100質量部にAlを0.1〜10.0質量部で被覆しかつSiOで被覆されていない二酸化チタン、及び/又は
(b2)酸化鉄
を60〜800質量部、
(2)体質顔料(C)として一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.1μmである微粒子硫酸バリウムを2〜200質量部、並びに
(3)セルロース複合体(D)を1〜50質量部
を含有することを特徴とする電着塗料用顔料分散ペースト、である。
顔料分散用樹脂(A):
本発明の顔料分散ペーストに用いる顔料分散用樹脂(A)としては、電着塗料の調製に通常用いられるものが使用可能であり、例えば、3級アミン型などのアミノ基含有エポキシ樹脂、4級アンモニウム塩型エポキシ樹脂及び4級アンモニウム塩型アクリル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂を単独で、あるいは2種以上の樹脂を併用して用いることができる。これらの顔料分散用樹脂(A)の中でも、特に、下記に示されるノボラックエポキシ樹脂系の顔料分散用樹脂(A1)が、顔料分散ペーストの安定性や防食性の面から好ましい。
ノボラックエポキシ樹脂系の顔料分散用樹脂(A1):
ノボラックエポキシ樹脂系の顔料分散用樹脂(A1)(以下、「顔料分散用樹脂(A1)」と称することがある)は、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a1)、環状エステル化合物(a2)、アミン化合物(a3)及びフェノール化合物(a4)を、成分(a1)、成分(a2)、成分(a3)及び成分(a4)の合計固形分質量を基準にして、成分(a1)30〜70質量%、成分(a2)5〜45質量%、成分(a3)5〜15質量%及び成分(a4)1〜30質量%の割合で反応させてなる樹脂である。
ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a1)
ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a1)は、下記式(1)で示される化合物を好適に用いることができる。
Figure 2009046664
(上式中、RおよびRは同一もしくは相異なり、各々水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン原子を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリル基またはハロゲン原子を表わし、RおよびRは同一もしくは相異なり、各々水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはグリシジルオキシフェニル基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリル基またはハロゲン原子を表わし、そしてnは1〜38の整数である)
上記一般式(1)において、「アルキル基」は、直鎖状もしくは分枝鎖状であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル基などが挙げられる。
「アリール基」は、単環式または多環式のいずれであってもよく、例えば、フェニル、ナフチル基などが挙げられ、特にフェニル基が好適であり、また「アラルキル基」はアリール置換アルキル基であって、例えば、ベンジル、フェネチル基などを包含し、なかでもベンジル基が好ましい。
「ハロゲン原子」にはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子が包含される。
またはRによって表わされる「グリシジルオキシフェニル基」は、下記式(2)で示される基である。
Figure 2009046664
(上式中、Wは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表わす)
前記一般式(1)において、RおよびRとしては水素原子、メチル基、塩素原子および臭素原子が好適であり、特に水素原子、メチル基および臭素原子が好ましい。
また、RおよびRとしては、メチル基、tert−ブチル基、ノニル基、フェニル基、塩素原子および臭素原子が好ましく、なかでもメチル基、tert−ブチル基、フェニル基および臭素原子が好適である。さらに、RおよびRは好ましくは水素原子であり、そしてnは特に好ましくは1〜8である。
ノボラックエポキシ樹脂系の顔料分散用樹脂(A1)の数平均分子量は、一般に、約400〜約8,000、特に600〜2,000の範囲内にあることが好ましい。また、ノボラックエポキシ樹脂系の顔料分散用樹脂(A1)は、グリシジル基を1分子あたり3.5〜10個有していることが好ましく、かつノボラックエポキシ樹脂系の顔料分散用樹脂(A1)のエポキシ当量は、約180〜約2,000、特に200〜600の範囲内にあることが好ましい。
ここで、「数平均分子量」は、JIS K 0124−83に記載の方法に準じ、分離カラムとして「TSK GEL4000HXL」、「TSK G3000HXL」、「TSK G2500HXL」、「TSK G2000HXL」(東ソー株式会社製)の4本を用いて、溶離液としてGPC用テトラヒドロフランを用いて40℃及び流速1.0ml/分において、RI屈折計で得られたクロマトグラムと標準ポリスチレンの検量線から求めることができる。
ノボラックエポキシ樹脂系の顔料分散用樹脂(A1)は、例えば、下記式(3)
Figure 2009046664
(上式中、R、RおよびRは前記と同義である)
で示されるフェノール化合物(a11)と、下記式(4)
−CHO 式(4)
(上式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基またはグリシジルオキシフェニル基を表わす)
で示されるアルデヒド化合物(a12)および/または下記式(5)
−CO−R 式(5)
(上式中、RおよびRは、炭素数1〜4のアルキル基またはグリシジルオキシフェニル基を表わす)
で示されるケトン化合物(a13)を縮重合反応させることにより得られるノボラック型フェノール樹脂(a14)に、さらにエピハロヒドリン(a15)を反応させてグリシジルエーテル基を導入することにより製造することができる。
また、上記ノボラック型フェノール樹脂(a14)を得るための反応の間またはその後に、必要に応じて、下記式(6)
Figure 2009046664
(上式中、R、RおよびRは前記と同義である)で示されるフェノール化合物(a16)を末端封止剤として併用してもよい。
前記式(6)における基Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、エチレン基、プロピレン基、フェニル基、ベンジル基、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などが挙げられ、好ましくはメチル基、tert−ブチル基、ノニル基、フェニル基、塩素原子および臭素原子であり、特にメチル基、tert−ブチル基、フェニル基および臭素原子が好ましい。
前記式(3)で示されるフェノール化合物(a11)としては、例えば、フェノール、p−プロペニルフェノール、o−ベンジルフェノール、6−n−アミル−n−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、o−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−tert−ペンチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−クロルフェノール、p−クロルフェノール、4−クロル−3,5−キシレノール、o−アリルフェノール、ノニルフェノール、o−ブロムフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
また、式(4)で示されるアルデヒド化合物(a12)としては、例えば、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。また、アルデヒド化合物(a12)としてm−(またはp−)ヒドロキシベンズアルデヒドを用い、フェノール化合物(a11)成分との反応後に、このヒドロキシベンズアルデヒドをエピハロヒドリン(a15)でグリシジルエーテル化してもよい。
なお、上記ヒドロキシベンズアルデヒドのベンゼン核は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。
前記式(5)で示されるケトン化合物(a13)としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
さらに、エピハロヒドリン(a15)としては、例えば、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリンなどが挙げられる。上記(a11)成分に(a12)成分および/または(a13)成分を縮重合反応させることによりノボラック型フェノール樹脂(a14)が得られる。この縮重合反応はそれ自体既知のノボラック型フェノール樹脂の製造方法に準じて行うことができる。
ノボラック型フェノール樹脂(a14)の製造において、必要に応じて、上記(a11)成分と、(a12)成分および/または(a13)成分との縮重合反応の間またはその後に、式(6)で示されるフェノール化合物(a16)を末端封止剤として反応させることができる。
前記式(6)で示されるフェノール化合物(a16)としては、具体的には、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、2,4−ジクロルフェノール、2,4−ジブロムフェノール、ジクロルキシレノール、ジブロモキシレノール、2,4,5−トリクロルフェノール、6−フェニル−2−クロルフェノールなどが挙げられる。
(a16)成分と、上記(a11)成分、(a12)成分および/または(a13)成分との縮重合反応は上記と同様にして行うことができる。
ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a1)は、ノボラック型フェノール樹脂(a14)中のフェノール性水酸基にエピハロヒドリン(a15)を反応させてグリシジルエーテル化することによって得られる。具体的には、例えば、ノボラック型フェノール樹脂(a14)をエピハロヒドリン(a15)で溶解して溶液とし、この溶液にアルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に添加し、この反応系の水および未反応のエピハロヒドリン(a15)を蒸留除去することによって得られる。この蒸留した液から(a15)成分を分離し、再使用することができる。この反応は、例えば、ジオキサン、ジエトキシエタンなどのエーテル系溶剤の存在下で行うことが好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a1)は、上記のようにして製造することができるが、市販されているものを使用してもよく、市販品としては、例えば、フェノール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物として、DEN−438およびDEN−439(ダウケミカル日本(株)製、商品名);クレゾール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物として、EPICRON N−695(大日本インキ(株)製、商品名)、CNE195LB(長春ジャパン株式会社製)、EOCN−102S、EOCN−1020およびEOCN104S(日本化薬(株)製、商品名);ブロム変性フェノール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物として、BREN−S(日本化薬(株)製、商品名);長鎖アルキル変性フェノール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物として、ESMB−260(住友化学(株)製、商品名)などが挙げられる。
環状エステル化合物(a2)
環状エステル化合物(a2)は、下記式(7)
Figure 2009046664
(上式中、Rは水素原子またはCHを表し、nは3〜6の整数である)
で示されるものであってよく、具体的には、例えば、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナラクトン、η−カプリロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−エナラクトン、ξ−カプリロラクトンが挙げられ、特に好ましくはε−カプロラクトンである。環状エステル化合物(a2)のラクトンに基因するメチレン鎖部分は、ノボラックエポキシ樹脂系の顔料分散用樹脂(A1)に貯蔵安定性を付与する。
アミン化合物(a3)
アミン化合物(a3)は、第1級水酸基を1分子中に少なくとも1個有する第1級もしくは第2級アミン化合物であってよい。これは、顔料分散用樹脂(A)に第1級水酸基と塩基性基とを導入するのに役立つ。
アミン化合物(a3)のアミノ基と式(1)で示されるノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a1)のグリシジル基との反応によってカチオン性樹脂が生成し、このカチオン性樹脂中の第1級水酸基および塩基性基は、従来のビスフェノールA型エポキシ樹脂との反応によって生成するもののそれらの基と比べて、水分散性が著しく優れたものとなり、顔料分散ペーストや該顔料分散ペーストを使用するカチオン電着塗料の安定性向上に寄与する。さらに、形成される塗膜においては、防食性、特にばくろ耐食性の向上にも寄与する。
アミン化合物(a3)としては、具体的には、次に例示する化合物が挙げられる。
(1)モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミンなどの第1級アルカノールアミン
(2)N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−(またはiso)−プロパノールアミン、ジブタノールアミンなどの第2級アルカノールアミン
(3)上記第1級アルカノールアミンとα,β−不飽和カルボニル化合物との付加物(第2級アルカノールアミン)、例えば、モノエタノールアミンとN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドとの付加物、モノエタノールアミンとヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物、モノエタノールアミンとヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとの付加物、モノエタノールアミンとヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとの付加物など
(4)ヒドロキシエチルアミノエチルアミンのような第1、2級アルカノールアミン
(5)ヒドロキシアミン、ヒドロキシエチルヒドラジンおよびヒドロキシブチルヒドラジンから選ばれる1種以上とケトン化合物、例えば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジブチルケトン、ジプロピルケトンなどとの縮合物(第2級アルカノールアミン)
(6)下記式(8)で示される1分子中に1級水酸基、2級アミノ基およびアミド基が併存するアミン化合物。
Figure 2009046664
(上式中、nは1〜6の整数であり、Rは水酸基および/または重合性不飽和基を含有してもよい炭素数4〜36の炭化水素鎖を表わす)
前記式(8)で示されるアミン化合物は、例えば、N−ヒドロキシアルキルアルキレンジアミンと炭素数5〜37のモノカルボン酸とを脱水縮合反応させることによって得られる。かかるジアミンとしては、例えば、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、N−ヒドロキシエチルブチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルペンチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルヘキシレンジアミンなどの第1級水酸基を含有する第1、2ジアミンが好適であり、またモノカルボン酸としては、例えば、椰子油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、あまに油脂肪酸および桐油脂肪酸などの混合脂肪酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸などが挙げられる。
上記式(8)で示されるアミン化合物を得るための上記ジアミンとモノカルボン酸との反応は、通常、両成分をほぼ等モル比で混合し、トルエンやメチルイソブチルケトンなどの有機溶剤を用いて規定量の反応生成水を除去することによって行うことができ、減圧法などで残存有機溶剤を除去することによってアミン化合物が得られる。
このようにして得られるアミン化合物は、一般に、アミン価(2級アミン)が88〜350mgKOH/g、特に120〜230mgKOH/gの範囲内にあり、そして水酸基価(好ましくは1級水酸基)が44〜350mgKOH/g、特に60〜230mgKOH/gの範囲内にあることが好ましい。
アミン化合物(a3)としての上記(1)〜(6)の化合物のうちでは、(2)、(3)および(6)の第1級アルカノール第2級アミンが好ましい。特に、式(8)で示されるアミン化合物(特にヒドロキシエチルアミノエチル脂肪酸アミド)とジエタノールアミンとを併用することが、仕上り性および防食性などの向上のために好ましい。
フェノール化合物(a4)
フェノール化合物(a4)としては、フェノール性水酸基を1分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜5個有するものを使用することができる。具体的には、例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの多価フェノール化合物が挙げられる。
さらに、フェノール、ノニルフェノール、α−もしくはβ−ナフトール、p−tert−オクチルフェノール、o−もしくはp−フェニルフェノールなどのモノフェノール化合物も使用することができる。
より防食性に優れた塗膜を形成するためには、フェノール化合物(a4)として、特に、ビスフェノールA[2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン]またはビスフェノールF[ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン]などのビスフェノール類とエピクロルヒドリンとの反応生成物を用いることが好ましい。
これらの反応生成物のうちでは、特に、数平均分子量が少なくとも300、好適には約800〜約3,000の範囲内にあり、かつ、1分子あたり平均して2個以下、好ましくは0.8〜1.2個のフェノール性水酸基を含有する、下記式で示される化合物に代表されるものが適している。
Figure 2009046664
(上式中、nは平均して0〜7の数であり、R10は活性水素化合物の残基を表わす)
上記式において、R10の前駆体である活性水素含有化合物としては、例えば、第2級アミンのようなアミン類;ノニルフェノールのようなフェノール類;脂肪酸のような有機酸;チオール類;アルキルアルコール、カービトールのようなアルコール類;無機酸などの化合物が挙げられる。これらのうちで特に好ましいものは、第1級水酸基を有する第2級アミンであるジアルカノールアミンや、ノニルフェノール、フェニルフェノール、フェノールのようなモノフェノールである。特に、第1級水酸基含有アミンを用いると硬化性が向上し、またモノフェノールを用いると安定性がよくなる。
さらに、フェノール化合物として、例えば、分子量が340以上、好適には380〜2,000の範囲内のビスフェノールAジグリシジルエーテル型のポリエポキシド1モルと、分子量が200以上、好適には200〜2,000の範囲内のビスフェノールA型ポリフェノール1モルと、活性水素を有する化合物1モルとを、必要に応じて触媒や溶媒の存在下で、30〜300℃、好適には70〜180℃の温度で反応させる。
また、フェノール化合物(a4)として、ダイマージオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどのポリオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルグリコール類;ポリカプロラクトンのようなポリエステルポリオール類;ポリカルボン酸類;ポリイソシアネート類;モノイソシアネート類;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドなどの不飽和化合物の酸化物;アリルグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの水酸基を有する化合物のグリシジルエーテル;脂肪酸のような有機酸のグリシジルエステル;脂環式オキシラン含有化合物などをビスフェノールAと反応させたものを使用することもできる。さらに、かかる化合物に、δ−4−カプロラクトン、アクリルモノマーなどをグラフト重合させたものを使用することもできる。
顔料分散用樹脂(A1)は、例えば、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a1)、環状エステル化合物(a2)、アミン化合物(a3)およびフェノール化合物(a4)を同時に反応させる方法や、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a1)に、環状エステル化合物(a2)とアミン化合物(a3)を反応させた後、フェノール化合物(a4)を反応させる方法によって得られる。
ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a1)、環状エステル化合物(a2)、アミン化合物(a3)およびフェノール化合物(a4)の反応における反応温度は、有機溶剤の存在下で、通常50〜300℃、特に70〜200℃の範囲内が好ましい。
得られる顔料分散用樹脂(A1)は、数平均分子量が、一般に、1,000〜20,000、特に1,500〜10,000の範囲内、水酸基価が10〜1000mgKOH/g、特に50〜300mgKOH/g、アミン価が10〜300mgKOH/g、特に30〜100mgKOH/gの範囲であることが塗膜性能と塗料安定性のためにも好ましい。
なおノボラックエポキシ樹脂系の顔料分散樹脂(A1)の割合としては、使用する顔料分散用樹脂(A)の固形分に対して10〜100質量%、好ましくは20〜90質量%、さらに好ましくは40〜70質量%が、顔料分散ペーストの安定性の面から好ましい。なお顔料分散ペーストの顔料分散用樹脂として、上記に述べた顔料分散用樹脂(A1)を用いることによって、沈降した顔料成分のケーキ層がほぐれ易く、顔料成分の水中への分散が促進される。
顔料分散ペーストに用いる着色顔料(B)は、顔料分散用樹脂(A)の固形分に対して、基体となる二酸化チタン100質量部にAlを0.1〜10.0質量部で被覆しかつSiOで被覆されていない二酸化チタン(b1)及び/又は酸化鉄(b2)を60〜800質量部含有することを特徴とする。
例えば、二酸化チタン(b1)の市販品としては、JR−600A(A12.5%コーティング)、JR−603(A15%、ZrO 0.5%コーティング)、JR−600E(A1 3.8%コーティング)が挙げられる。酸化鉄(b2)の市販品としては、トダカラー130R、トダカラー140ED(以上、戸田工業社製)が挙げられる。
その他の着色顔料(B)としては、電着塗料に通常用いられるものが同様に使用可能であり、例えば、着色顔料としては、カーボンブラック、ペリレンブラックフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等が挙げられる。
本発明の顔料分散ペーストに用いる体質顔料(C)としては、一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.07μmである微粒子硫酸バリウム(c1)を含有することを特徴としている。微粒子硫酸バリウム(c1)の市販品として、バリファインBF−20、バリファインBF−40(以上、堺化学工業社製、商品名)等が挙げられる。
微粒子硫酸バリウム(c1)の配合割合は、顔料分散樹脂(A)100質量部に対して、微粒子硫酸バリウム(c1)を2〜200質量部、好ましくは5〜150質量部、さらに好ましくは10〜100質量部が、顔料の再分散性に優れた顔料分散ペーストを得る為にも好ましい。その他の体質顔料(C)としては、マイカ、タルクなどを使用することができる。さらに好ましくは、顔料分散ペースト中に、アルミニウムシリケート(Al・SiO)を含有しないことが、顔料の再分散性に優れた顔料分散ペーストを得る為にも好ましい。
本顔料分散ペーストは、顔料分散樹脂(A)100質量部に対して、セルロース複合体(D)を1〜50質量部、好ましくは3〜30質量部、さらに好ましくは5〜20質量部含有することを特徴とする。
セルロース複合体(D)は、微細セルロースと水溶性ガム類及び/又は親水性物質とからなる複合体であって、微細セルロースと水溶性ガム類と親水性物質からなる複合体;微細セルロースと水溶性ガム類からなる複合体;及び微細セルロースと親水性物質からなる複合体を包含し、例えば、セルロースを磨砕することにより得られる微細セルロースに、水溶性ガム類及び/又は親水性物質を加えて分散させ均質なスラリーとなし、次いでこれを乾燥することによって製造することができる。
微細セルロースは、例えば、木材パルプ、精製リンター等のセルロース系素材を、酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、スチームエクスプロージョン分解等により解重合処理して、平均重合度が30〜375のセルロースとなし、次いで磨砕する、例えば機械的なシェアをかけ湿式磨砕することにより得ることができる。
湿式磨砕は、媒体ミル類、例えば、湿式振動ミル、湿式遊星振動ミル、湿式ボールミル、湿式ロールミル、湿式ボールミル、湿式ビーズミル、湿式ペイントシェーカー等の他、高圧ホモジナイザー等の機械を用いて行うことができる。高圧ホモジナイザーとしては、約500Kg/cm以上の高圧で、スラリーを微細オリフィスに導き高流速で対面衝突させるタイプのものが効果的である。
これらのミルにおける最適磨砕濃度は、機種により異なるが、一般には、媒体ミルで5〜15%、高圧ホモジナイザーで5〜20%の範囲内の固形分濃度が適している。セルロースの磨砕を効率よく行うためには媒体ミルが適している。
上記の磨砕によって、平均粒子径が10μm以下、好ましくは8μm以下、さらに好ましくは5μm以下の微細セルロースを得ることができる。なお、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計LA−920(堀場製作所社製)を用いて測定したときの値である。得られる微細セルロースは水溶性ガム類及び/又は親水性物質と混合し複合体とする。これにより、乾燥時に微細化したセルロース粒子同士が再凝集するのを防ぐことができる。
水溶性ガム類としては、水膨潤性が高く、セルロースとの水中における相溶性が良好な水溶性のガム類が好ましく、例えば、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドガム、クインスシードガム、カラヤガム、アラビアガム、トラガントガム、ガッティーガム、アラビノガラクタン、寒天、カラギーナン、アルギン酸及びその塩、ファーセレラン、ペクチン、マルメロ、キサンタンガム、カードラン、プルラン、デキストラン、ジェランガム、ゼラチン、繊維素グリコール酸ナトリウム等のセルロース誘導体等を用いることができる。このうち、繊維素グリコール酸ナトリウムは、膨潤性と親水性を兼ね備えているため、親水性物質と併用することなくガム単独での使用も可能である。
一方、親水性物質としては、例えば、水、澱粉加水分解物、デキストリン類、ブドウ糖、果糖、キシロース、庶糖、乳糖、麦芽糖、異性化糖、カップリングシュガー、パラチノース、ネオシュガー、マンニトール、還元澱粉糖化飴、マルトース、ラクツロース、ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等の単糖類、オリゴ糖類を含む水溶性糖類、キシリトール、マルチトール、マンニット、ソルビット等の糖アルコール類、ソルボース等が挙げられる。親水性物質は、セルロースの水中への分散を促進し、水溶性ガム類と組み合わせることにより分散容易性又は分散安定性に顕著な効果を奏する。
セルロース複合体(D)における微細セルロースの割合は、セルロース複合体の固形分を基準にして、一般に0.1〜99質量%、好ましくは1〜95質量%、さらに好ましくは10〜85質量%の範囲内にあることが、塗料安定性の面から好適である。また、水溶性ガム類と親水性物質とを併用する場合の両者の比率は、水溶性ガム類/親水性物質の質量比で通常95/5〜5/95、好ましくは80/20〜20/80の範囲内とすることができる。
セルロース複合体(D)は、微細化セルロースを水溶性ガム類及び/又は親水性物質と混合し分散した後、乾燥することにより製造することができるが、その際、特に、水溶性ガム類は十分に溶解し均一混合することが重要である。溶解複合化を促進するために、加熱処理を行ってもよい。
乾燥は、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥等により行うこともできるが、フィルム状にて乾燥する方法が優れている。フィルム状にて乾燥する方法としては、例えば、微細化セルロースを水溶性ガム類及び/又は親水性物質とともに均一混合して得られるスラリーを、ガラス、ステンレス、アルミニウム、ニッケル・クロムメッキ鋼板等の基材上に塗布して乾燥する方法が挙げられる。基材は予め加熱されていてもよく、また、塗布後、赤外線、熱風、高周波等にて加熱してもよい。乾燥温度は200℃以下、そして塗布膜厚はスラリーの厚みとして10mm以下が好ましい。工業的には、スチールベルトドライヤー、ドラムドライヤー、ディスクドライヤー等の乾燥機を使用して乾燥粉体を得ることができる。かくして得られる乾燥粉体を電子顕微鏡で観察すると、表面に微粒子化したセルロースが網目状に配列しており、微粒子セルロース間には無数の空隙が見られる。
上記のようにして得られるセルロース複合体(D)の市販品としては、アビセルRC−N81、アビセルRC−N30、アビセルRC−591、アビセルCL−611、セオラスクリームFP−03(以上、旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)などが挙げられる。
セルロース複合体(D)は、一般に、顔料分散ペースト中に配合して電着塗料に導入することが好ましいが、電着塗料の調製の任意の段階で、電着塗料中に配合することも可能であり、或いはあらかじめ調製された基体樹脂及び硬化剤などを含有する電着塗料に、例えば、水とセルロース複合体を混合してなる分散体の形で直接配合することもできる。
このようなセルロース複合体(D)は、水中に沈降することなく安定に分散する性能を有しており、電着塗料に適用した場合、前記の顔料分散用樹脂(A)、着色顔料(B)及び体質顔料(C)の組合せにおいて優れた性能を発揮し、塗料の攪拌や循環を休日や夜間に長時間停止して再び稼動した時の塗料の再分散性や仕上り性に優れた塗装物品を得ることができる。
本発明の顔料分散ペーストに適宜配合される防錆顔料としては、例えば、リンモリブデン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマス、硝酸ビスマス、ケイ酸ビスマス、ハイドロタルサイト、亜鉛化合物などが挙げられる。
さらに、本発明の顔料分散ペーストに適宜配合される硬化触媒は、塗膜の架橋反応を促進するために有効であり、例えば、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド、錫オクトエート、ジブチル錫ジラウレート及びジブチル錫ジベンゾエートなどが挙げられる。
また、顔料分散ペーストの調製に用いられる顔料分散用樹脂(A)の配合割合は、基体樹脂と硬化剤の固形分合計100質量部あたり、合計で0.1〜20質量部、特に3〜15質量部、さらに特に5〜12質量部の範囲内であることが望ましい。
顔料分散ペーストの製造は、顔料分散用樹脂(A)、着色顔料(B)及び体質顔料(C)及びセルロース複合体(D)、そして場合により防錆顔料、これらに硬化触媒、中和剤、界面活性剤、水などを配合し、顔料分散して顔料分散ペーストを調製することによって行うことができる。顔料分散は、例えば、ボールミル、ペブルミル、サンドミル、シェイカー等の分散機を用いて行うことができる。中和剤は、酢酸、ギ酸、乳酸、プロピオン酸等が挙げられる。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン系界面活性剤が挙げられる。
かくして得られる顔料分散ペーストは、適宜に界面活性剤や中和剤等を配合し、分散機としてボールミル、ペブルミル、サンドミル、シェイカー等の従来から用いられている分散機を用いて分散させ、粒子径を15μm以下、好ましくは8μm以下とすることにより製造することができる。なかでも、ボールミルが作業性面から好ましく、ボールミルによる分散時間は1〜96時間、好ましくは10〜48時間が顔料の粒度や製造工数の面から好ましい。
なお、この明細書において、顔料成分の粒子径(ツブ)は、JIS K−5400−4.7.1(1990)分布図法による分散度に基いて分散を行い、ツブゲージを用いて粒の分布密度を観察し、密集した粒が現れ始めた箇所の目盛りを読み取ったものをいう。
[電着塗料について]
本発明により提供される顔料分散ペーストは、基体樹脂及び硬化剤などを含有するエマルションと混合して、電着塗料を製造することができる。
電着塗料は、アニオン型及びカチオン型いずれであってもよいが、耐食性などの点から、一般にはカチオン型が好ましい。また、基体樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリブタジエン樹脂系、アルキド樹脂系、ポリエステル樹脂系などのいずれの塗料用樹脂でも使用することができるが、なかでも、アミン付加エポキシ樹脂に代表されるポリアミン樹脂が好ましい。
アミン付加エポキシ樹脂はエポキシ樹脂にアミン化合物を付加させることにより得られるものであり、その際に用いられるエポキシ樹脂としては、塗膜の防食性等の観点から、特に、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリン、例えば、エピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂が好適である。
該エポキシ樹脂の形成のために用い得るポリフェノール化合物としては、従来から用いられているものと同様のものが使用でき、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン(ビスフェノールA)、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等を挙げられる。
また、ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂としては、中でも、ビスフェノールAから誘導される下記式で示されるものが好適である。
Figure 2009046664
エポキシ樹脂は、一般に180〜2,500、好ましくは200〜2,000、さらに好ましくは400〜1,500の範囲内のエポキシ当量を有することができ、また、一般に少なくとも200、特に400〜4,000、さらに特に800〜2,500の範囲内の数平均分子量を有するものが適している。
かかるエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)からjER828EL、同1002、同1004、同1007なる商品名で販売されているものが挙げられる。
アミン化合物は、エポキシ樹脂にアミノ基を導入して該エポキシ樹脂をカチオン化するためのカチオン性付与成分であり、エポキシ基と反応する活性水素を少なくとも1個含有するもの、例えば、1級アミノ基を有するアミン化合物が用いられる。
1級アミノ基を有するアミン化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、プロパノールアミン、ヒドロキシエチルアミノエチレンジアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのケチミン化物が挙げられる。
上記1級アミノ基を有するアミン化合物は他のアミン化合物と併用することができ、併用することができるアミン化合物としては、特に2級アミンが好ましく、例えば、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエタノールアミン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、モノメチルアミノエタノール、モノエチルアミノエタノールなどが挙げられる。
上記のエポキシ樹脂は、キシレンホルムアルデヒド樹脂やカプロラクトン性ポリオール化合物などと反応させることにより変性することができる。
キシレンホルムアルデヒド樹脂は、例えば、キシレン、ホルムアルデヒド、及び場合によりフェノール類を酸性触媒の存在下に縮合反応させることにより製造することができる。上記のホルムアルデヒドとしては、工業的に入手容易なホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒドを発生する化合物などを例示することができる。キシレンホルムアルデヒド樹脂は、一般に、20〜50,000センチポイズ(25℃)、好ましくは30〜15,000センチポイズ(25℃)の範囲内の粘度を有することができ、そして一般に100〜50,000、特に200〜10,000の範囲内の水酸基当量を有していることが好ましい。
一方、上記のカプロラクトン性ポリオール化合物は、複数の活性水素基を含有する化合物、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパンなどにカプロラクトンを付加して得ることができる。
キシレンホルムアルデヒド樹脂やポリカプロラクトン性ポリオール化合物によるエポキシ樹脂の変性は、一般に、アミン化合物と変性剤をエポキシ樹脂のエポキシ基に同時に反応させることによって行うことが好ましい。
上記の変性剤の使用割合は、厳密に制限されるものではなく、塗料組成物の用途等に応じて適宜変えることができるが、エポキシ樹脂の固形分質量を基準にして、一般に5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲内が適当である。
カチオン電着塗料に配合する硬化剤としては、ブロック化ポリイソシアネート化合物やアミノ樹脂等の従来から知られている硬化剤を用いることができ、特に、ブロック化ポリイソシアネート化合物が好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族、脂環族または脂肪族のポリイソシアネート化合物およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量にエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物を反応させて得られる末端イソシアネート含有化合物などが挙げられる。
ブロック剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタム系化合物;メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾールなどのフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノールなどの脂肪族アルコール類;フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノールなどの芳香族アルキルアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテルアルコール系化合物等が挙げられる。これらのうち、オキシム系およびラクタム系のブロック剤は、比較的低温で解離するブロック剤であり、低温硬化性の点から特に好適である。
基体樹脂及び硬化剤の使用量は、両者の合計質量を基準にして、基体樹脂は60〜90%、好ましくは70〜85%範囲内、そして硬化剤は40〜10%、好ましくは30〜15%範囲内とすることができる。
上記の基体樹脂と硬化剤は、通常、該樹脂をギ酸、酢酸、乳酸などの水溶性有機酸で中和して水溶化又は水分散化することによってエマルションとすることができる。
電着塗料は、エマルションに顔料分散ペーストを添加し、必要に応じて、有機溶剤、界面活性剤、表面調整剤、はじき防止剤などの添加物を配合することにより調製することができ、また、固形分濃度が5〜25質量%の範囲内となるように脱イオン水などで希釈し、pHを5.0〜7.0の範囲内に調整することによりカチオン電着塗料の浴を得ることができる。電着塗装は、通常、浴温15〜35℃及び印可電圧100〜400V、極間距離0.3〜2m、好ましくは0.5〜1.5m、極比(陽極/陰極)1/8〜2/1、好ましくは1/5〜1/2の条件で行うことができる。
電着塗膜の膜厚は、特に制限されるものではないが、一般には、硬化塗膜に基いて10〜40μmの範囲内が好ましい。また、塗膜の焼付け条件は、一般に、100〜200℃の範囲内で5〜90分間が適している。
本発明の電着塗料は、従来から公知の電着塗料に比べ、塗装ラインにおいて塗料の攪拌や循環を休日や夜間に長時間停止して再び稼動した時に、特に塗料の再分散性や塗料安定性に優れるため、省エネルギー稼動及び省設備化が可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。尚、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を示す。
製造例1 顔料分散樹脂No.1溶液の製造例
jER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名、エポキシ樹脂)1010部に、ビスフェノールA 390部、ポリカプロラクトンジオール(数平均分子量約1200)240部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が約1,090になるまで反応させた。
次に、ジメチルエタノールアミン134部及び酢酸90部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%のアンモニウム塩型樹脂系の顔料分散用樹脂No.1溶液を得た。顔料分散用樹脂No.1のアンモニウム塩価44mgKOH/g、数平均分子量3,000であった。
製造例2 顔料分散樹脂No.2溶液の製造例
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、ノニルフェノール450部、CNE195LB(注1)960部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、160℃で反応させる。その後、ε−カプロラクトン430部仕込み、170℃に昇温し反応させる。さらに、ジエタノールアミン105部およびN−メチルエタノールアミン124部を反応させ、エポキシ価が0になったことを確認してエチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散樹脂No.2溶液を得た。
該顔料分散樹脂No.2の水酸基価は、150mgKOH/g、アミン価は70mgKOH/g、数平均分子量2200であった。
(注1)CNE195LB:長春ジャパン株式会社製、商品名、クレゾール型ノボラックエポキシ
製造例3 顔料分散ペーストNo.1の製造
固形分60%の顔料分散用樹脂No.1を10.0部(固形分6.0部)、JR−600E(注2)20部、バリファインBF−20(注10)3.0部、アビセルRC−N81(注12)3.0部、KW−140E(注14)1.0部、水酸化ビスマス2.0部、ジオクチル錫オキサイド1部、脱イオン水23.4部を加え、ボールミルにて20時間分散した後に取出し、固形分55%の顔料分散ペーストNo.1を得た。
製造例4〜14 顔料分散ペーストNo.2〜No.12の製造
配合内容を表1のようにする以外は、顔料分散ペーストNo.1と同様にして顔料分散ペーストNo.2〜No.12を得た。
Figure 2009046664
(注2)JR−600E:テイカ株式会社製、TiOに対してA1を3.8%コーティングしたチタン白
(注3)JR−603:テイカ株式会社製、TiOに対してA15%とZrO0.5%をコーティングしたチタン白
(注4)JR−903:テイカ株式会社製、TiOに対してA13%とZrO1%コーティングしたチタン白
(注5)タイペークCR−97:石原産業社製、TiOに対してA14%とZrO1%コーティングしたチタン白
(注6)タイペークCR−93:石原産業社製、TiOに対してA13%とSiO5%コーティングしたチタン白
(注7)JR−800:テイカ株式会社製、TiOに対してA13%とSiO4%コーティングしたチタン白
(注8)トダカラーKN−O:戸田工業社製、商品名、酸化第ニ鉄
(注9)カーボンMA−7:三菱化学社製、商品名、カーボンブラック
(注10)バリファインBF−20:堺化学社製、商品名、平均粒子径0.03μmの微粒子硫酸バリウム
(注11)ハイドライトPXN:ジョージアカオリン社製、商品名、アルニミウムシリケート
(注12)アビセルRC−N81:旭化成ケミカルズ(株)製、商品名、セルロース複合体(結晶セルロース、カラヤガム、デキストリン)
(注13)アビセルRC−N30:旭化成ケミカルズ(株)製、商品名、セルロース複合体(結晶セルロース、キサンタンガム、デキストリン)
(注14)KW−140E:テイカ社製、商品名、トリポリリン酸二水素アルミニウム
実施例1〜7、比較例1〜5
製造例3〜14で得た顔料分散ペーストNo.1〜No.12を各100g採り、蓋のついたガラス容器に40℃で4週間貯蔵した。貯蔵後の状態を下記の基準(注15参照)で評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2009046664
(注15)顔料分散ペーストの安定性:貯蔵後の顔料分散ペーストの状態を観察した。
◎は、攪拌すると直ぐに貯蔵前の状態に戻り、問題なし。
〇は、顔料が沈降してケーキ層がみられるが、30分間程度攪拌すれば貯蔵前の状態に戻る。
△は、顔料が沈降してケーキ層がみられ、1〜2時間程度攪拌すれば沈降したケーキ層はなくなるが、顔料の凝集ブツが顔料分散ペースト中に残る。
×は、顔料が沈降してケーキ層がみられ、2時間以上攪拌しても沈降したケーキ層はなくならない。
製造例15 カチオン性樹脂No.1溶液の製造例
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコに、jER828EL(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名、エポキシ樹脂)1010部に、ビスフェノールA 390部とジメチルベンジルアミン0.2部とを加え、130℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。
次に、ジエタノールアミン160部及びジエチレントリアミンのケチミン化物65部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテル355部を加え、樹脂固形分80質量%のカチオン性樹脂No.1溶液を得た。カチオン性樹脂No.1は、アミン価67mgKOH/g、数平均分子量2,000であった。
製造例16 カチオン性樹脂No.2溶液の製造例
製造例15と同様のセパラブルフラスコに、50%ホルマリン480部、フェノール110部、98%工業用硫酸202部及びメタキシレン424部を仕込み、84〜88℃で4時間反応させた。
反応終了後、静置して樹脂を溶解しているキシレン溶液相と硫酸水相とを分離した後、キシレン溶液相を3回水洗し、20〜30mmHg/120〜130℃の条件で20分間処理し、未反応メタキシレンを留去して、粘度1050センチポイズ(25℃)のフェノール変性のキシレンホルムアルデヒド樹脂480部を得た。
別のフラスコに、jER828EL(ジャパンエポキシレジン社製、商品名、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、分子量350)1000部、ビスフェノールA 400部と、ジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量750になるまで反応させた。
次に、上記キシレンホルムアルデヒド樹脂を300部、ジエタノールアミンを137部及びジエチレントリアミンのケチミン化物を95部加え120℃で4時間反応させた後、メチルイソブチルケトンを403部加え、キシレンホルムアルデヒド樹脂変性のアミノ基含有エポキシ樹脂溶液である樹脂固形分80質量%のカチオン性樹脂No.2溶液を得た。カチオン性樹脂No.2は、アミン価57mgKOH/g、数平均分子量2,000であった。
製造例17 ブロック化ポリイソシアネート硬化剤溶液の製造例
反応容器中に、コスモネートM−200(注19)270部及びメチルイソブ
チルケトン130部を加え、70℃に昇温した。この中にエチレングリコールモノブチルエーテル240部を1時間かけて滴下して加え、その後100℃に昇温した。この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアネート基の吸収が判別できなかったことを確認してから温度を下げ、樹脂固形分が80%のブロック化ポリイソシアネート硬化剤溶液を得た。
製造例18 エマルションNo.1の製造
製造例15で得たカチオン性樹脂No.1を87.5部(固形分70部)、製造例17で得たブロック化ポリイソシアネート硬化剤を33.3部(固形分30部)、10%酢酸15部を配合し均一に撹拌した後、脱イオン水158.2部を強く撹拌しながら約15分かけて滴下し、固形分34%のエマルションNo.1を得た。
製造例19 エマルションNo.2の製造
製造例16で得たカチオン性樹脂No.2を87.5部(固形分70部)、製造例17で得たブロック化ポリイソシアネート硬化剤を33.3部(固形分30部)、10%酢酸15部を配合し均一に撹拌した後、脱イオン水158.2部を強く撹拌しながら約15分かけて滴下し、固形分34%のエマルションNo.2を得た。
実施例8
カチオン電着用のエマルションNo.1を294部(固形分100部)に、顔料分散ペーストNo.1を60.9部(固形分33.5部)及び脱イオン水312.6部を加え、均一に混合して固形分20%のカチオン電着塗料No.1を得た。
実施例9〜16、比較例6〜12
実施例1と同様の操作により、下記表3及び表4に示す配合内容にてカチオン電着塗料No.2〜No.16を得た。
Figure 2009046664
Figure 2009046664
試験板の作成
実施例8〜16及び比較例6〜12で得たカチオン電着塗料中に、パルボンド#3020(日本パーカライジング社製、リン酸亜鉛処理剤)で化成処理した0.8×150×70mmの冷延ダル鋼板を浸漬し、それをカソードとして浴温28℃及び印加電圧250Vの条件で電着塗装し、膜厚20μmの電着塗膜を形成せしめ、水洗後、170℃−20分の焼付けを行なって試験板を得た。塗料試験及び試験板の性能試験結果を下記の表5及び表6に示す。
Figure 2009046664
Figure 2009046664
(注16)再分散性:各電着塗料3L抜き取ってから48時間静止した後、2時間攪拌し、400メッシュ濾過網にて全量濾過して残渣量(mg/L)を測定した。
◎は、残渣量が5mg/L未満
○は、残渣量が5mg/L以上で、かつ10mg/L未満
△は、残渣量が10mg/L以上で、かつ25mg/L未満
×は、残渣量が25mg/L以上。
(注17)L字仕上り性:各電着塗料を、被塗物としてL字に折り曲げた試験板を用いて「2分間の電着塗装−無攪拌にて静置−1分間の電着塗装」を行って、水平面(L面)の評価を行った。
〇は、L字面に、ブツ、ハジキ及び光沢低下のいずれも認められない
△は、L字面に、ブツ、ハジキのいずれかがみられる
×は、L字面に、ブツ、ハジキ及び光沢低下のいずれかが著しくみられる
(注18)防食性:
各試験板の電着塗膜に、素地に達するようにナイフでクロスカット傷を入れ、これをJISZ−2371に準じて840時間耐塩水噴霧試験を行い、ナイフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の基準で評価した。
◎は、錆、フクレの最大幅がカット部より2mm未満(片側)、
〇は、錆、フクレの最大幅がカット部より2mm以上、3mm未満(片側)
△は、錆、フクレの最大幅がカット部より3mm以上、4mm未満(片側)、
×は、錆、フクレの最大幅がカット部より4mm以上(片側)。
(注19)耐衝撃性:デュポン式衝撃試験機を用いて、撃心の直径1/2インチ、落錘高さ30cm、測定雰囲気−20℃の条件で試験を行ない、衝撃を受けた凹部(表面)を目視で評価した。
○は、異常なし
△は、細かな亀裂が少しみられる
×は、大きなワレがみられる
本発明のカチオン電着塗料は、顔料分散ペーストの貯蔵時の攪拌を省略することができ、かつ塗装ラインにおいては、省エネルギー化及び省設備化が可能である。

Claims (5)

  1. 顔料分散用樹脂(A)、着色顔料(B)、体質顔料(C)及びセルロース複合体(D)を含む電着塗料用顔料分散ペーストであって、該樹脂(A)の固形分合計100質量部に対して、
    (1)着色顔料(B)として、
    (b1)基体となる二酸化チタン100質量部にAlを0.1〜10.0質量部で被覆しかつSiOで被覆されていない二酸化チタン、及び/又は
    (b2)酸化鉄
    を60〜800質量部、
    (2)体質顔料(C)として一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.1μmである微粒子硫酸バリウムを2〜200質量部、並びに
    (3)セルロース複合体(D)を1〜50質量部
    を含有することを特徴とする電着塗料用顔料分散ペースト。
  2. 顔料分散用樹脂(A)が、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a1)、環状エステル化合物(a2)、アミン化合物(a3)及びフェノール化合物(a4)を、成分(a1)、成分(a2)、成分(a3)及び成分(a4)の合計固形分質量を基準にして、成分(a1)30〜70質量%、成分(a2)5〜45質量%、成分(a3)5〜15質量%及び成分(a4)1〜30質量%の割合で反応させてなるノボラックエポキシ樹脂系の顔料分散用樹脂である請求項1に記載の電着塗料用顔料分散ペースト。
  3. 体質顔料(C)としてアルミニウムシリケート(Al・SiO)を含有しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の電着塗料用顔料分散ペースト。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電着塗料用顔料分散ペースト、並びにアミン付加エポキシ樹脂と架橋剤を含有するカチオン電着塗料であって、アミン付加エポキシ樹脂と架橋剤の固形分合計100質量部に対して、電着塗料用顔料分散ペーストを固形分換算で1〜60質量部含有するカチオン電着塗料。
  5. 請求項4に記載のカチオン電着塗料を用いて塗装された物品。
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