JP2009046407A - シリコーンを配合した糖衣製剤およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】糖を含む溶剤に、シリコーンを特定の割合で配合した糖衣液を用いて、糖衣液の噴霧工程及び乾燥工程を同時に行い、糖衣層を形成させる。
【選択図】図1
Description
上記の不利な面を克服する製造方法としては、フィルムコーティング錠の製造のように、コーティング液を噴霧しながら乾燥を行ってコーティング層を形成する方法(以下、連続コーティング法ともいう。)により糖衣層を形成する方法が検討されている。連続コーティング法では、噴霧した糖衣液を速やかに均一に、素錠等の芯材上に広げなければならないため、糖衣液を希釈して粘度を低くすることが求められる。そこで、例えば、糖とタルクを懸濁した糖衣液を用いて薄層糖衣層を形成する技術等が報告されている(特許文献2)。しかしながら、このような薄層糖衣層は、従来品に比べて強度が劣るという問題があった。また、薄層糖衣層の強度を改善する方法として、例えばフィルムコーティング錠と糖衣層の間に中間層を設ける技術等も報告されている(特許文献3)。しかしながらこのような方法は、糖衣層と異なる組成を有するコーティング液の調製、噴霧を含むため十分に簡便なものとは言い難かった。また、通常結合剤として用いられるアラビアゴムやゼラチンの代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースを使用して、糖衣液の粘度を低下させる技術も報告されている(特許文献4)。しかしながらこの方法によって得られた糖衣層は、緻密性が十分ではなく、糖衣製剤の特徴である酸素バリア性、耐吸湿性、防臭性に劣るという問題があった。
このように、糖衣製剤の製造方法や糖衣液については、作業性及び製剤特性の改善の両面から種々の検討が行われているものの、両者を共に改善する技術は未だ開発されていない。
一方、シリコーンは、打錠の際の賦形剤として使用されることが知られている(特許文献5)。また、シリコーンは消泡剤として使用されることが知られている(特許文献6)。
即ち、本発明を詳述すると以下の通りである。
<1>糖、シリコーン及び溶剤を含む糖衣液であって、シリコーンの濃度が、糖衣液中の全固形分に対して0.01〜12重量%である糖衣液。
<2>薬物を含む芯材、並びに該芯材を被覆する糖衣層を有する糖衣製剤であって、該糖衣層の少なくとも一つが、<1>記載の糖衣液を使用して形成されたものである糖衣製剤。
<3><1>に記載の糖衣液の噴霧工程、及び乾燥工程を同時に行うことを特徴とする、糖衣製剤の製造方法。
本発明で用いる糖は、通常糖衣製剤の糖衣層の形成に用いられる糖であれば特に制限なく用いることができ、例えば、グラニュー糖、精製白糖、白糖、ブドウ糖、トレハロースなどが挙げられる。この中でも、グラニュー糖、精製白糖、白糖を好ましく用いることができる。
本発明の糖衣液において、糖の配合量は特に制限されないが、通常、糖衣液中の全固形分の重量に対して10〜99.99重量%、好ましくは10〜95重量%、より好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは15〜80重量%とするのがよい。
本発明において用いるシリコーンは、医薬の成分として安全なものであれば、特に制限されない。例えば、ジメチルポリシロキサン、又はジメチルポリシロキサンのメチル基の一部を、他の置換基、例えばフェニル基、アルキル基、アラルキル基、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アシル基、イミノ基、フッ素若しくは水素などに置換した変性ジメチルポリシロキサンなどを用いることができる。
また、シリコーンの形態はオイル、ペースト、エマルジョン、樹脂等のいずれでもよい。
また、シリコーンの分子量は、好ましくは100〜100000000、さらに好ましくは200〜50000000、特に好ましくは500〜10000000である。
また、シリコーンの25℃における粘度は、好ましくは1〜100000mPa・s、さらに好ましくは5〜80000mPa・s、特に好ましくは10〜60000mPa・sである。
また、シリコーンは、市販品を用いてもよい。例えばシリコーンオイルやシリコーン樹脂として市販されているジメチルポリシロキサンの他、シリコーン及び二酸化ケイ素の混合物として市販されているもの、シリコーン、界面活性剤及び水を含むエマルジョンとして市販されているもの、シリコーン消泡剤として市販されているもの、その他変性ジメチルポリシロキサンとして市販されているもの等を使用することができる。
市販品としては、例えばジメチルポリシロキサン(信越化学工業)、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物(信越化学工業)、シリコン油(信越化学工業)、シリコーン樹脂エマルジョンKM−72(信越化学工業[シリコーン樹脂、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、繊維素グリコール酸ナトリウム、水を含有])、シリコーン消泡剤KM−72F(信越化学工業[シリコーン樹脂、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、水を含有])などが挙げられる。
本発明の糖衣液を用いて製造された糖衣層の厚さは、通常10〜650μm、好ましくは30〜550μm、さらに好ましくは50〜450μmとすることがよい。
本発明の糖衣液中の溶剤の配合量は、特に制限されないが、糖衣液の全重量に対して通常15〜90重量%、好ましくは15〜85重量%、さらに好ましくは20〜80重量%とするのがよい。溶剤の配合量が90重量%を超えると、糖衣層を形成するための作業時間が長くなると共に、緻密な糖衣層を形成することが困難となる場合があり、芯材に含有した薬物の安定性に影響を及ぼすことがある。また15重量%未満だと糖衣液の粘性が高くなる場合があり、錠剤コーティング装置のパンに錠剤が付着するなど作業性に問題があり、また、連続コーティング法により糖衣製剤を製造する場合に錠剤表面に均一に糖衣液が行き渡らず、均一な厚みの糖衣層が形成できないことがある。
コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、アラビアゴム末、精製セラック、プルラン、沈降炭酸カルシウム、タルク、リン酸水素カルシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、酸化チタン及びリン酸二水素ナトリウムなどがあり、その配合量は、糖衣液中の全固形分の重量に対して通常0〜80重量%、好ましくは0
〜60重量%、さらに好ましくは、5〜60重量%である。
着色剤としては、例えば、各種食用色素、タール色素及び三二酸化鉄などがあり、その配合量は、糖衣製剤に対して0.1重量%以下であることが好ましい。
光沢化剤としては、例えば、カルナウバロウやミツロウなどがあり、その配合量は糖衣製剤に対して0.1重量%以下であることが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、アルキルアリルポリエーテルアルコール、高級アルコール硫酸化物、N-ココイル−L−アルギニンエチルエステルDL−ピロリドンカルボン酸塩、N−ココイル−N−メチルアミノエチルスルホン酸ナトリウム、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル、コレステロール、ショ糖脂肪酸エステル、スクワラン、ステアリルアルコール、ステアリン酸ポリオキシル40、セタノール、セトマクロゴール1000、セバシン酸ジエチル、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノニルフェノキシポリオキシエチレンエタン硫酸エステルアンモニウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、マクロゴール400、ラウリルジメチルアミンオキシド液、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロマクロゴール、リン酸ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテル及びリン酸ポリオキシエチレンオレイルエーテル(8MOL)などがあり、その配合量は、糖衣液に対して好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%である。
本発明の糖衣製剤に含まれる薬物を含む芯材としては、素錠や芯顆粒が挙げられる。すなわち本発明の糖衣製剤は、例えば糖衣錠や糖衣顆粒の剤形とすることができる。
本発明の糖衣製剤に用いる芯材には、経口投与可能な各種任意添加物を所望に応じて配合する事が可能である。そのような経口投与可能な各種任意添加物として、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等が挙げられる。
賦形剤としては、乳糖、結晶セルロース、蔗糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム、トウモロコシデンプン等が挙げられる。
結合剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、プルラン等が挙げられる。
崩壊剤としては、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポピドン、クロスカルメロースナトリウム等が挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
。
例えば、素錠の場合は、配合する薬物及びその他任意添加物を造粒した後、造粒物を打錠する方法、あるいは配合する薬物及びその他任意添加物を造粒した後、これらを整粒機で整粒して粉体とし、更に必要に応じてその粉体にその他任意添加物を添加、混合した粉体とした後、これらの粉体を打錠する方法、または、直接に配合する薬物及びその他任意添加物を混合して打錠機にて打錠する方法などが挙げられる。
ここで造粒としては、乾式造粒法と湿式造粒法が挙げられ、乾式造粒法とは、水、エタノール、イソプロパノール及びこれらの混合液などの液体を用いることなく粉体を乾式造粒機等により圧縮成形し、板状の固形物を製した後これらを破壊し、粒状物を製する方法である。
また湿式造粒法とは、高速攪拌造粒機、練合造粒機、流動層造粒機、転動流動造粒機等を用いて結合液を粉体に添加し、粒子を形成した後に乾燥を実施する方法で、結合液の種類は特に限定されないが、水、エタノール、イソプロパノール及びこれらの混合液を用いることができる。
次に芯顆粒の場合は、配合する薬物及びその他任意添加物を乾式造粒法にて顆粒化する方法、湿式造粒法または湿式造粒法と押出し造粒法とを組み合わせて顆粒化する方法などが挙げられる。
ミンB1類、ビタミンB2類、ビタミンB6類、ビタミンB12類、ビタミンC類、ビタミン
D類、ビタミンE類、ビオチン、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸アミド、ビタミンP及びその誘導体など)、メチルメチオニンスルホニウムクロライド、アミノ酸類(アスパラギン酸及びL−システインなど)、アデノシン三リン酸・2ナトリウム塩、酵素(でんぷん消化酵素、たん白消化酵素、脂肪消化酵素及び繊維素消化酵素など)、イブプロフェン、グアイフェネシン、臭化ブチルスコポラミン及びバルプロ酸ナトリウムなどが挙げられ、ウイスカーを発生する薬物としてはイブプロフェン、無水カフェイン、エテンザミド及びイソプロピルアンチピリン、L−メントールなどが挙げられる。これらの薬物の配合量は、薬物の用途に応じて適宜調整することができるが、芯材に対して0.1〜99重量%であり、好ましくは1〜85重量%である。また、経口投与可能な各種任意成分を所望に応じて配合する事が可能である。本発明の糖衣製剤に用いる芯材は、薬物及びその他任意成分を用いて常法により製造することができる。
被覆層は、その機能により防水層(protective coating)、下掛層(subcoating)、中掛層(smoothing)、上掛層(coloring)及び艶出層(polishing)等の複数の層などに分けることができる。これら各層の被覆層全体に対する割合は、通常、防水層が0〜20%、下掛層が15〜100%、中掛層が0〜50%、上掛層が0〜50%及び艶出層が0〜10%である。防水層は糖衣工程中における芯材への水分移行を抑制するために施すものである。また、下掛層は糖衣錠の形を整えるために施すものであり、糖衣錠の外観、強度の優劣はこの下掛層の良し悪しに影響される。また、中掛層は糖衣錠の表面を平滑にするため、上掛層は着色して糖衣錠の識別性や商品価値を高めるため、艶出層は糖衣錠に艶を
与えるために施すものである。また、この他にも腸溶性フィルムなどの被覆層を含むことができる。
本発明の糖衣製剤における本発明の糖衣液を用いて形成した糖衣層の重量は、芯材の重量に対して5〜60重量%が好ましく、より好ましくは10〜50重量%である。被覆層の重量が60重量%を超えるとコーティング工程の時間が長くなり、仕込んだ芯材の質量に対して出来上がりの糖衣製剤の質量が大きくなるため別途コーティング装置が必要になるといった問題が生じる。また5重量%未満だと充分な被覆層の硬度が得られず、また、被覆層が薄いため、環境湿度から素錠または芯顆粒などの内容物を保護することが出来ないなどの問題を生じることがある。
糖衣錠を製造する場合には、連続的に回転するコーティング装置内に薬物を含む素錠又はこれに防水層等を施したプロテクト掛錠を投入し、装置内で回転する素錠又はプロテクト掛錠に対して糖衣液の噴霧と乾燥を同時に行うことにより、芯材を被覆する糖衣層を形成することができる。連続コーティング法に用いる装置としては、例えばハイコーター(フロイント産業)、アクアコーター(フロイント産業)、パウレックコーター(パウレック)、ドリアコーター(パウレック)等が挙げられる。
噴霧する糖衣液の液滴径は、0.1〜1000μmとすることが好ましく、噴霧量は、芯材の大きさや量に応じて芯材の表面全体に行き渡るよう調節すればよい。また、糖衣液の温度は10〜80℃とすることが好ましい。給気温度及び風量については、製品温度が10〜60℃になるように調節することが好ましい。
連続的に本体底面部が回転するコーティング装置内に薬物を含む芯顆粒又はこれに防水層等を施したプロテクト掛顆粒を投入し、装置内で流動及び回転する芯顆粒又はプロテクト掛顆粒に対して糖衣液の噴霧と乾燥を同時に行うことにより、芯材を被覆する糖衣層を形成することができる。
噴霧する糖衣液の液滴径は、0.1〜100μmとすることが好ましく、噴霧量は、芯材の大きさや量に応じて芯材の表面全体に行き渡るよう調節すればよい。また、糖衣液の温度は10〜80℃とすることが好ましい。給気温度及び風量については、製品温度が10〜50℃になるように調節することが好ましい。
このようにして得られる本発明の糖衣製剤は、従来の製剤と比べて糖衣層が薄く、低吸湿性であり、十分な硬度を有し、かつ崩壊性にも優れる。好ましい形態では、酸素バリア性や防臭性にも優れる。
<製造例>
乳糖3300g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L:日本曹達)165g、トウモロコシデンプン1320g、結晶セルロース(セオラスPH−101:旭化成)1100gを高速攪拌造粒機(VG−25:パウレック)に投入し、精製水600gを加えることで造粒物を調製した。これを流動層乾燥機(FLO−5B:フロイント産業)にて乾燥をし、その後整粒機(パワーミル、昭和化学機械)にて乾燥物を整粒した。
得られた整粒物5350gにステアリン酸マグネシウム50gを混合し、これをロータリー式打錠機(HP−AP18−SS:畑鐵工所)にて、1錠当たり270mgの素錠を製造した。
得られた素錠5130gに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5R:信越化学工業)100g及び精製水900gからなるコーティング液を用い、コーティング機(ドリアコーター DRC−650、パウレック)にて素錠に防水層を施し、1錠当たり275mgのプロテクト掛錠を製造した。
製造例で得たプロテクト掛錠4950gに、グラニュー糖1180g、タルク400g、沈降炭酸カルシウム400g、シリコーン消泡剤(シリコーン消泡剤KM−72F、信越化学工業[組成:シリコーン樹脂30重量%、ソルビタン脂肪酸エステル3重量%、グリセリン脂肪酸エステル1重量%、ショ糖脂肪酸エステル0.5重量%、水65.5重量%;粘度(25℃):1000〜3000mPa・s])58.0g及び精製水2000gからなる懸濁した糖衣液を用い、コーティング機(ドリアコーター DRC−650、パウレック)にて糖衣液を噴霧しながら乾燥を行い、1錠当たり375mgの糖衣錠を得た。なお、コーティング作業に費やした時間は2時間であった。
製造例で得たプロテクト掛錠4950gに、グラニュー糖1160g、タルク400g、沈降炭酸カルシウム400g、シリコーン消泡剤(シリコーン消泡剤KM−72F、信越化学工業)115.9g及び精製水2000gからなる懸濁した糖衣液を用い、コーティング機(ドリアコーター DRC−650、パウレック)にて糖衣液を噴霧しながら乾燥を行い、1錠当たり375mgの糖衣錠を得た。なお、コーティング作業に費やした時間は2時間であった。
製造例で得たプロテクト掛錠4950gに、グラニュー糖1120g、タルク400g、沈降炭酸カルシウム400g、シリコーン消泡剤(シリコーン消泡剤KM−72F、信越化学工業)231.9g及び精製水2000gからなる懸濁した糖衣液を用い、コーティング機(ドリアコーター DRC−650、パウレック)にて糖衣液を噴霧しながら乾燥を行い、1錠当たり375mgの糖衣錠を得た。なお、コーティング作業に費やした時間は2時間であった。
製造例で得たプロテクト掛錠4950gに、グラニュー糖1160g、タルク400g、沈降炭酸カルシウム400g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5R、信越化学工業)40g及び精製水2000gからなる懸濁した糖衣液を用い、コーティング機(ドリアコーター DRC−650、パウレック)にて糖衣液を噴霧しながら乾燥を行い、1錠当たり375mgの糖衣錠を得た。なお、コーティング作業に費やした時間は2時間であった。
製造例で得たプロテクト掛錠4950gに、グラニュー糖1924g、タルク542g、沈降炭酸カルシウム818g、アラビアゴム64g、ゼラチン30g、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(PEP−101、フロイント産業)22g及び精製水1200gからなる懸濁した糖衣液を用い、コーティング機(ドリアコーター DRC−650、パウレック)にて糖衣液の噴霧、蒸らし、乾燥を別々に行う従来の糖衣コーティング方法により、1錠当たり445mgの糖衣錠を得た。なお、コーティング作業に費やした時間は6.5時間であった。
このように、糖衣液を噴霧しながら乾燥を行うコーティング方法を用いれば、従来のコーティング方法に比して作業時間を3分の1以下に短縮することができる。
実施例1〜3、比較例1〜2で得た糖衣錠10錠を、25℃−84.3%の条件で1時間、2時間、3時間及び24時間静置した後の質量を測定し、開始時の質量と比較することで吸湿量を測定した。結果を図1に示す。
吸湿率(%)=(各時間保管後の10錠の錠剤質量−開始時の10錠の錠剤質量)/開始時の10錠の錠剤質量×100
図1より、実施例1〜3の糖衣製剤は、上記条件下に24時間静置した場合でも、吸湿率が0.1%以下と低かった。比較例1の糖衣製剤は、3時間静置した場合に、吸湿率が0.2%となり、24時間静置した場合には1.2%近くにまで増加した。また、比較例2の糖衣製剤は、24時間静置した場合に吸湿率が0.5%程度にまで増加した。
以上より、本発明の糖衣液を用いれば、糖衣液を噴霧しながら乾燥を行うコーティング方法により糖衣製剤を製造した場合でも、従来の糖衣製剤に比して耐吸湿性に優れる糖衣製剤を得ることが可能であることが分かった。
実施例1〜3、比較例1〜2で得た糖衣錠の硬度及び崩壊度を測定した。硬度は、20錠をとり、1錠毎、錠剤硬度計(PHARMATEST社製 PTB−311E)で錠剤硬度を測定し、平均値を算出した。崩壊度は、日本薬局方第15改正に記載されている崩壊試験法に従い、補助盤を用いて測定した(富山産業社製 崩壊試験器)。試験は6錠について行い、その平均値を算出した。結果を表1に示す。
Claims (3)
- 糖、シリコーン及び溶剤を含む糖衣液であって、シリコーンの濃度が、糖衣液中の全固形分に対して0.01〜12重量%である糖衣液。
- 薬物を含む芯材、並びに該芯材を被覆する糖衣層を有する糖衣製剤であって、該糖衣層の少なくとも一つが、請求項1記載の糖衣液を使用して形成されたものである糖衣製剤。
- 請求項1に記載の糖衣液の噴霧工程、及び乾燥工程を同時に行うことを特徴とする、糖衣製剤の製造方法。
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