JP2009045526A - ニッケル−ルテニウム系脱硫剤および触媒の製造方法 - Google Patents

ニッケル−ルテニウム系脱硫剤および触媒の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反応に供する前の還元処理におけるひび割れの発生が抑制されたニッケル−ルテニウム系脱硫剤、および触媒を製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】 ニッケルを脱硫剤基準、酸化物(NiO)換算で50〜95質量%、及びルテニウムを含有する脱硫剤の製造方法であって、ルテニウム含有溶液を用いてニッケル含有担体にルテニウムを担持させる工程、ルテニウム担持担体を乾燥する工程、乾燥後のルテニウム担持担体に水を噴霧する工程、および水噴霧後のルテニウム担持担体を、アルカリ溶液に接触させる工程を有することを特徴とする、ニッケル−ルテニウム系脱硫剤の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭化水素の吸着脱硫に用いられるニッケル−ルテニウム系脱硫剤や、炭化水素の水素化処理、アンモニア合成、炭化水素の水蒸気改質反応等に使用されるニッケル−ルテニウム系触媒の製造方法に関するものである。
燃料電池は、水素と酸素を電気化学的に反応させることにより、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するものであって、エネルギーの利用効率が高いという特徴を有しており、民生用、産業用あるいは自動車用などとして、実用化研究が積極的になされている。この燃料電池の水素源としては、メタノール、メタンを主体とする液化天然ガス、この天然ガスを主成分とする都市ガス、天然ガスを原料とする合成液体燃料、さらにはLPG、ナフサ、灯油などの石油系燃料といった、様々な炭化水素の使用が研究されている。
ところで、このような炭化水素からの水素製造においては、炭化水素と水蒸気や酸素(空気)を反応させて水素を生成する改質反応が利用されており、この改質反応ではニッケルもしくはルテニウムを活性金属とする触媒が使用されている。これら活性金属であるニッケルやルテニウムは硫黄に対する耐性が低いため、原料炭化水素に硫黄分が含有されている場合、あらかじめ脱硫処理を施して改質反応に使用する必要がある。
そのため、定置型燃料電池発電システムにおいては、市販の炭化水素をオンサイトで吸着により脱硫する手法が種々提案されており、炭化水素、とりわけ灯油などの重質炭化水素を、200℃付近の反応条件で、ニッケル系脱硫剤やニッケル系脱硫剤に第二成分として銅や亜鉛等を含有させたNi‐Cu系脱硫剤や、Ni−Zn系脱硫剤を用いて脱硫する方法などが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかし、従来提案されているニッケル系脱硫剤の中には、比較的短時間で破過(生成油の硫黄濃度が基準値を超える)してしまって、寿命が十分でないものもあり、したがって、その破過に達する時間(破過時間)を延長し、十分に長寿命化することが、脱硫剤交換頻度の減少や装置の小型化・高効率化の観点から望まれている。
特開2004−230317号公報 特開2003−290660号公報
本発明者らは、上記従来の状況に鑑み、ニッケル系脱硫剤にルテニウムを担持させることで、破過時間を延長し、その性能の向上を図る脱硫剤の開発を検討してきた。そして、先に、ニッケルを酸化物(NiO)換算で50〜95質量%、ルテニウムを酸化物(RuO)換算で0.1〜12質量%、及び無機酸化物を含有することを特徴とするニッケル−ルテニウム系脱硫剤を発明、開発した。
ところで、ニッケル系脱硫剤は、十分な性能を得るためには、脱硫剤中のニッケル含有量を脱硫剤基準、酸化物換算で50質量%以上とする必要がある。また、一般に、ニッケル系脱硫剤やルテニウム担持触媒では、反応に供する前に還元処理を行う必要があり、上記開発したNi−Ru系脱硫剤においてもこの反応に供する前の還元処理は必要となる。
ここで、ニッケルを含有しない各種Ru系触媒や、ルテニウムを含有しないニッケル系脱硫剤では、反応に供する前の還元処理で特段の問題はない。しかし、Ni−Ru系脱硫剤は上述のようにニッケル量が50質量%以上と多く、そのニッケルが還元処理により酸化物から金属ニッケルに変化するためか、あるいは、ルテニウムを含有しない他のニッケル系脱硫剤にはない製造工程(ルテニウムの固定化処理)を必要とするためか、その原因は不明であるが、Ni−Ru系特有の問題として、反応に供する前の還元処理において脱硫剤にひび割れが生じ、微粉末が発生することがあるという問題がある。
かかるひび割れが生じると、反応器外のオフサイトで事前還元処理し、還元処理した脱硫剤を反応器に充填する場合には、充填時に微粉末が飛散したり、脱硫時に脱硫対象である炭化水素が反応器内を流れ難くなる等の原因となる。また、反応器内のオンサイトで事前還元処理する場合にも、かかるひび割れが生じると、同様に、脱硫時に脱硫対象である炭化水素が反応器内を流れ難くなる等の原因となる。
したがって、本発明の目的は、反応に供する前の還元処理におけるひび割れの発生が抑制された、優れた特性のニッケル−ルテニウム系脱硫剤を製造し得る方法を提供することにある。
また、上記事前の還元処理におけるひび割れ発生の問題は、Ni−Ru系脱硫剤に限らず、類似する組成のニッケルとルテニウムとを含有する触媒で、反応に供する前の還元処理を必要とするものにおいても生じる問題である。したがって、本発明は、かかる事前の還元処理におけるひび割れの発生が抑制された、優れた特性のニッケル−ルテニウム系触媒を製造し得る方法を提供することをも目的とする。
そこで、本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、ルテニウムをニッケル含有担体に担持させて乾燥した後に、水を噴霧した上で、ルテニウムの固定化処理を行うことで、反応に供する前の還元処理によるひび割れの抑制されたルテニウム−ニッケル系脱硫剤又は触媒を調製できることを見い出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記のニッケル−ルテニウム系脱硫剤および触媒の製造方法を提供する。
(1)ニッケルを脱硫剤基準、酸化物(NiO)換算で50〜95質量%、及びルテニウムを含有する脱硫剤の製造方法であって、ルテニウム含有溶液を用いてニッケル含有担体にルテニウムを担持させる工程、ルテニウム担持担体を乾燥する工程、乾燥後のルテニウム担持担体に水を噴霧する工程、および水噴霧後のルテニウム担持担体を、アルカリ溶液に接触させる工程を有することを特徴とする、ニッケル−ルテニウム系脱硫剤の製造方法。
(2)ニッケルを触媒基準、酸化物(NiO)換算で50〜95質量%、及びルテニウムを含有する触媒の製造方法であって、ルテニウム含有溶液を用いてニッケル含有担体にルテニウムを担持させる工程、ルテニウム担持担体を乾燥する工程、乾燥後のルテニウム担持担体に水を噴霧する工程、および水噴霧後のルテニウム担持担体を、アルカリ溶液に接触させる工程を有することを特徴とする、ニッケル−ルテニウム系触媒の製造方法。
本発明によれば、反応に供する前の還元処理におけるひび割れの発生が抑制された、優れた特性のNi−Ru系脱硫剤およびNi−Ru系触媒を製造することができる方法が提供される。
本発明の製造方法で製造される脱硫剤又は触媒は、脱硫剤又は触媒基準、酸化物(NiO)換算で50〜95質量%のニッケルと、必要量のルテニウムとを含有する脱硫剤又は触媒である。ニッケル含有量が50質量%以下のものでは、上記ひび割れの問題が生じることは少ない。また、脱硫剤では、ニッケル含有量が50質量%未満では十分な吸着脱硫活性を得ることができない。なお、このニッケル含有量は、脱硫剤又は触媒を還元処理する前の状態で測定されたもので、ニッケルが酸化物(NiO)状態にあるもので測定されたものである。
本発明の製造方法は、成型されたニッケル含有担体に、ルテニウムをルテニウム含有溶液を用いて担持させた後、乾燥し、その後に水を噴霧した上で、アルカリ溶液によるルテニウム固定化処理を行うものである。この本発明の製造方法において、特徴的でありかつ重要な処理は、ルテニウム担持担体の乾燥後に水を噴霧する水噴霧処理である。この水噴霧処理を行うことにより、脱硫剤又は触媒に反応に供する前の還元処理を施しても、脱硫剤又は触媒をひび割れし難くすることができる。
以下、この特徴的な水噴霧処理工程を含め、本発明の製造方法の各工程、及び使用材料について詳細に説明する。
〔担体〕
本発明の製造方法で得られる脱硫剤又は触媒は、ニッケルを、製造後の脱硫剤基準又は触媒基準、酸化物換算(NiO換算)で50〜95質量%含有するものであって、用いる担体としては、得られる脱硫剤又は触媒をこのニッケル含有量とできる、ニッケルを主成分とするニッケル含有担体であればよい。担体として、例えば、ニッケルを担体基準、酸化物換算で50〜95質量%、無機酸化物を担体基準で5〜30質量%含有するものを好ましく用いることができる。
上記担体が含有する無機酸化物としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ボリア、アルミナ−ボリア、マグネシア、各種ゼオライト等の種々のものを使用でき、得られる脱硫剤又は触媒に求められる強度、成型性、高表面積化、種々の活性向上等の性能に応じて適宜選択することができる。中でも、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナが好ましく用いられる。
使用するニッケル含有担体は、どのような方法で製造されたものであってもよく、特にその製造方法は問わないが、担体のニッケル含有量が非常に高いため、好ましい製造方法としては共沈法が挙げられる。以下に、ニッケル含有担体の製造方法の具体例の一つとして、無機酸化物としてシリカ−アルミナを含有するニッケル含有担体の共沈法による製造方法の具体例を記載する。
まず、ニッケル原料及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液と、ケイ素原料及び無機塩基を含む塩基性水溶液を別個に調製する。
ニッケル原料は特に限定されないが、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケルなどの水溶性ニッケル金属塩及びその水和物が好適に使用でき、単独でも二種以上組み合わせてもよい。
アルミニウム原料も特に限定されないが、ベーマイト、擬ベーマイト、γアルミナ、βアルミナなどが好適に使用でき、単独でも二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ニッケル原料及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液は、塩酸、硫酸、硝酸などの酸によってその酸性を調整することが好ましい。
ケイ素原料も特に限定されないが、シリカや水ガラス、メタケイ酸ソーダ、珪藻土、メソポーラスシリカなどが好ましい。
無機塩基としては、アルカリ金属の炭酸塩や水酸化物などが好ましく、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてよいが、特に炭酸ナトリウムが好適である。この無機塩基の使用量は、次の工程において、前記ニッケルとアルミニウムを含む酸性水溶液と、ケイ素を含む塩基性水溶液を混合した場合の混合液が実質上中性から塩基性になるように選ぶのが有利である。
次に、このようにして調製した各水溶液を、それぞれ25〜90℃に加温し、両者をできるだけ素早く混合する。そして25〜90℃において0.5〜3時間程度撹拌し、反応を完結させる。そしてこの沈殿物をろ過、水洗後、次いで、この固形物を成型後、50〜150℃程度の温度で乾燥処理する。この乾燥処理物を、好ましくは200〜450℃の範囲の温度において1〜5時間焼成する。このようにして、シリカ−アルミナを含有するニッケル含有担体を得ることができる。
〔担体へのルテニウムの担持〕
本発明の製造方法では、ルテニウムの上記ニッケル含有担体への担持方法は、特に限定するものではないが、含浸法が好ましい。含浸法に用いるルテニウム溶液は、ルテニウム原料をイオン交換水に溶解した水溶液が好ましく用いられる。用いるルテニウム原料は、無機塩が好ましく、特に硝酸ルテニウム、塩化ルテニウムが水への溶解度が高いため好ましい。水への溶解度が低い金属塩では、含浸担持できる量が制限されてしまうため好ましくない。ルテニウム担持量は、酸化物(RuO)換算で0.1〜12質量%、好ましくは0.1〜10質量%である。ルテニウム酸化物量が0.1質量%以上であれば所望の脱硫性能が発現されるため好ましく、12質量%以下であれば、脱硫効果が飽和せず、また経済的にも望ましい。
次に、ルテニウム担持担体を乾燥させる。このときの温度は120℃以下、好ましくは80℃以下で、0.5〜24時間乾燥させることが好ましい。120℃以下であれば、酸化ルテニウムの生成を抑制でき、後の還元工程を効率化することができる。また、乾燥方法は、特に限定されず、常圧での乾燥、減圧での乾燥、空気中での乾燥、不活性ガス雰囲気下での乾燥を任意に選ぶことができる。
〔任意成分の添加〕
本発明の製造方法では、必要に応じて、本発明の目的を達成できる限りにおいて、上記ニッケル、ルテニウム、無機酸化物以外のその他の成分を、ニッケル含有担体に含有させたり、担持させることができる。その他の成分としては、例えば、モリブデン、リン、銅、亜鉛等が挙げられる。その他の成分をニッケル含有担体に含有させることは、ニッケル含有担体の調製に当たって、ニッケル含有担体の調製原料中に、その他の成分の原料を適宜添加することにより行うことができる。また、その他の成分をニッケル含有担体に担持させることは、その他の成分の原料の溶液を用いて含浸法により好ましく行うことができる。
〔水噴霧処理〕
本発明の製造方法では、ニッケル含有担体にルテニウムを担持し乾燥した後に、水を噴霧する水噴霧処理を行うことが肝要である。この水噴霧処理を行うことにより、脱硫剤または触媒の、反応に供する前の還元処理によるひび割れを抑制することができる。
ここで噴霧される水は、霧吹きによって生成されたミスト状の水、もしくは水蒸気(スチーム状)が好ましい。凝縮した水では、ルテニウムを含浸した状態の担体の細孔へ水が局部的に吸着することで、発生する熱(吸着熱)が大きくなって担体の温度を高め、結果として担体成型体の粉砕や微粉末の発生を引き起こしてしまうなどの問題が発生する。また、水のpHは6〜8程度の中性付近であることが好ましい。
噴霧される水の温度は、水の形態がミスト状もしくは水蒸気(スチーム状)となるのを阻害するような温度でなければ、特に限定はない。また、水の噴霧量についても特に限定はないが、表面が満遍なく湿る程度であることが好ましい。
〔アルカリ溶液処理〕
本発明の製造方法では、水噴霧処理を行った後は、乾燥させることなくそのままアルカリ溶液と接触させる。これにより、ルテニウムが不溶性化合物である水酸化ルテニウムに変化するため、ルテニウムを不溶化し、担体上に固定化することができる。具体的には、水噴霧後のルテニウム担持担体を、例えば5〜10Nのアルカリ溶液を担持ルテニウム濃度に対して大過剰量となるように滴下した後、0.1〜1時間浸漬することにより行う。
この固定化処理に使用するアルカリ溶液としては、特に限定されず、アンモニア水、炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の水溶液を使用できるが、水溶液中に金属イオン(ナトリウム、カリウムなど)を含有していると、洗浄工程での管理が複雑となり、製造コスト上昇につながるため、アンモニア水を用いることが特に好ましい。
上記アルカリ溶液処理後の処理物は、通常乾燥されるが、120℃以下、好ましくは80℃以下で、0.5〜24時間乾燥させることが好ましい。120℃以下であれば、酸化ルテニウムの生成を抑制でき、反応に供する前の還元処理工程を効率化することができる。また、乾燥方法は特に限定されず、常圧での乾燥、減圧での乾燥、空気中での乾燥、不活性ガス雰囲気下での乾燥を任意に選ぶことができる。こうして本発明の脱硫剤又は触媒が得られる。
〔還元処理〕
本発明の製造方法で得られた脱硫剤又は触媒は、反応に供する前に還元処理を行うタイプのものである。すなわち、上記の如くして製造された脱硫剤又は触媒は、以下のような方法で、還元処理と安定化処理がなされた上で、実際の反応に供される。
還元処理方法は、水素、CO等による気相還元、ホルムアルデヒド、エタノール等を用いた液相還元等の公知の方法を用いることが可能であるが、気相による水素化還元が好ましく、この場合、水素雰囲気で200〜500℃、より好ましくは300〜450℃の温度で行うことが好ましい。200℃以上であれば、ルテニウムを好適に還元することができ、500℃以下であれば、ルテニウムの凝集が起きることを防止できる。
還元処理は、実際の反応器内で還元する方法(オンサイト)でも、事前に実際の反応器ではない水素化還元処理装置で還元する方法(オフサイト)でもかまわないが、後者の事前に還元処理した上で反応器に移して反応に供する方法の方が好ましい。それは、還元処理時に反応器にかかる温度負荷を低減でき、また、還元処理では脱硫剤や触媒が収縮することがあるが、実際の反応器に充填後に収縮することは好ましくないためである。
〔安定化処理〕
還元処理をオフサイトで行った場合は、還元処理後に、脱硫剤や触媒に、その表面を酸素や二酸化炭素などを用いて軽く酸化処理する安定化処理を施すことが好ましい。これは、還元された脱硫剤や触媒を還元雰囲気から取り出し反応器に充填する際に、金属ニッケルや金属ルテニウムなどの還元された金属成分が空気中の酸素と反応するので、この安定化処理によって脱硫剤や触媒の表面を軽く酸化処理することで、金属成分の空気中の酸素との反応を抑制できるためである。
上記安定化処理の温度条件としては、100℃以下が好ましい。100℃以下であれば、ルテニウムの再酸化が進行して事前の還元効果が薄れてしまったり、ニッケルが激しく再酸化反応し、発熱を伴い金属の凝集が発生してしまうことを防止できる。
〔脱硫方法〕
本発明で得られた脱硫剤として使用するに当たっては、上記反応に供する前の還元処理、又は該還元処理と、それに続く上記安定化処理を行った上で、炭化水素、例えば灯油、ジェット燃料、ナフサ、ガソリン、LPG、天然ガスの硫黄分を吸着除去する反応に供することができる。
この脱硫剤による脱硫反応は、例えば次のような反応条件で実施することができる。この脱硫剤を用いて炭化水素の脱硫を行うには、通常、吸着槽に脱硫剤を充填し、吸着槽で原料炭化水素を脱硫剤と接触させることにより脱硫が行われる。炭化水素と脱硫剤を接触させる方法としては、一般的には、固定床式脱硫剤床を吸着槽内に形成し、原料炭化水素を吸着槽の下部に導入し、固定床の下から上に通過させ、吸着槽の上部から生成油を流出させることが好ましい。
脱硫反応の条件としては、特に限定されないが、圧力は常圧(0.1MPa)以上が好ましく、0.1〜1.1MPaが更に好ましい。圧力を0.1MPa以下にするには減圧装置など特殊な機器が必要となり、経済的に好ましくない。逆に圧力を1.1MPa以上とするには脱硫器や供給ポンプの耐圧が必要となり経済的に好ましくない。また、温度は0〜400℃が好ましく、より好ましくは100〜300℃、更に好ましくは140〜300℃である。低温すぎると吸着脱硫速度が低下し、逆に高温すぎる場合には脱硫剤中のニッケル成分が凝集して脱硫サイト数が減少し、脱硫性能が低下する恐れがある。液空間速度(LHSV)は0.01〜100hr−1、より好ましくは0.1〜20hr−1が好ましい。
脱硫反応条件を上記範囲で適宜選択することにより、硫黄分をppbレベルに低減した炭化水素を長時間得ることができる。
また、本発明で得られた触媒を用いて各種反応を行うに当たっても、反応に供する前の還元処理やそれに続く上記安定化処理を行った上で、適用する反応に供することができる。適用する反応としては、炭化水素の水素化脱硫反応、アンモニア合成反応、炭化水素の水蒸気改質反応等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
<製造>
実施例1
担体として用いるNi−Moシリカ−アルミナ成型体を、以下のように製造した。ベーマイトAP−3(触媒化成工業製)1.24g、1N HNO水溶液40mlをイオン交換水1Lに加え80℃に加温後、Ni(NO)・6HOを149g加え調製液Aを得た。別途用意したイオン交換水1Lにコロイダルシリカ スノーテックスXS(日産化学製)33.9g、炭酸ナトリウム99.4g、(NHMo24.5HOを3.0g加え、80℃に加温し、調製液Bを得た。調製液AとBを80℃に保持しながら、B液をA液に瞬時に加えて、1時間攪拌した。その後、イオン交換水を5L用いて、洗浄、ろ過後に空気中120℃で12時間乾燥、400℃で1時間焼成し、Ni−Moシリカ−アルミナ成型体を得た。
次いで、RuCl・nHO(小島化学薬品製、Ru含有量41mass%)2.3gをイオン交換水11.4gに溶解させた水溶液を用いて、上記Ni−Moシリカ−アルミナ成型体30gに60分間含浸担持し、60℃で0.5時間乾燥した。その後、これに霧吹きでイオン交換水を噴霧し、満遍なく表面が湿り、イオン交換水が滴り落ちたのを確認してから、7Nアンモニア水溶液150gに1時間漬けて、ろ過後イオン交換水2Lでろ過洗浄し、80℃で3時間乾燥し、表1の組成の脱硫剤を得た。
得られた脱硫剤を100%水素流通下(GHSV=200)、400℃で2時間還元し、雰囲気ガスを窒素へ変更後に室温まで冷却し、0.5%酸素/窒素ガス流通下(GHSV=200)で安定化処理を行った。なお、安定化時の最高温度は70℃であった。
その後、1mmのメッシュの篩いを用いて脱硫剤の破片を篩い分けて、破片の質量を測定した結果、全脱硫剤質量の2質量%であった。
実施例2
担体として用いるNiシリカ−アルミナ成型体を、以下のように製造した。ベーマイトAP−3(触媒化成工業製)1.24g、1N HNO水溶液40mlをイオン交換水1Lに加え80℃に加温後、Ni(NO)・6HOを159g加え調製液Aを得た。別途用意したイオン交換水1Lにコロイダルシリカ スノーテックスXS(日産化学製)33.9g、炭酸ナトリウム99.4gを加え、80℃に加温し、調製液Bを得た。調製液AとBを80℃に保持しながら、B液をA液に瞬時に加えて、1時間攪拌した。その後、イオン交換水を5L用いて、洗浄、ろ過後に空気中120℃で12時間乾燥、400℃で1時間焼成し、Niシリカ−アルミナ成型体を得た。
次いで、RuCl・nHO(小島化学薬品製、Ru含有量41mass%)2.3gをイオン交換水11.4gに溶解させた水溶液を用い、上記Niシリカ−アルミナ成型体30gに1時間含浸担持し、60℃で0.5時間乾燥した。その後、これに霧吹きでイオン交換水を噴霧し、満遍なく表面が湿り、イオン交換水が滴り落ちたのを確認してから、7Nアンモニア水溶液150gに1時間漬けて、ろ過後イオン交換水2Lでろ過洗浄し、80℃で3時間乾燥させて、表1の組成の脱硫剤を得た。
得られた脱硫剤を100%水素流通下(GHSV=200)、400℃で2時間還元し、雰囲気ガスを窒素へ変更後に室温まで冷却し、0.5%酸素/窒素ガス流通下(GHSV=200)で安定化処理を行った。なお、安定化時の最高温度は70℃であった。破片の質量を測定した結果、全脱硫剤質量の5質量%であった。
実施例3
実施例1において、ルテニウム含浸担持・乾燥後の水噴霧処理を、イオン交換水の噴霧に代えて、約150℃のスチームを用いて行ったこと以外は、実施例1と同様にして脱硫剤を製造した。得られた脱硫剤の組成は表1の通りであった。また、還元処理、安定化処理後の脱硫剤の破片の質量は、全脱硫剤質量の6質量%であった。
比較例1
実施例1において、ルテニウム含浸担持・乾燥後の水噴霧処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして脱硫剤を製造した。得られた脱硫剤の組成は表1の通りであった。また、還元処理、安定化処理後の脱硫剤の破片の質量は、全脱硫剤質量の50質量%であった。
比較例2
実施例2において、ルテニウム含浸担持・乾燥後の水噴霧処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして脱硫剤を製造した。得られた脱硫剤の組成は表1の通りであった。また、還元処理、安定化処理後の脱硫剤の破片の質量は、全脱硫剤質量の65質量%であった。
Figure 2009045526
<脱硫試験>
実施例3の脱硫剤を用い、灯油の脱硫試験を行うことにより、脱硫性能を比較した。脱硫試験では初留温度148℃、10%留出温度172℃、30%留出温度185℃、50%留出温度202℃、70%留出温度225℃、90%留出温度251℃、終点281℃の蒸留性状を有し、硫黄分6ppmを含むJIS1号灯油を用いた。
内径16mmのSUS製反応管に脱硫剤11.6mlを充填した。常圧下、水素気流中で反応管を400℃に昇温し、3時間保持することによって、脱硫剤を活性化した。その後、上記JIS1号灯油を、圧力0.4Mpa、液空間速度10hr−1で反応管に流通させ、反応管の下流で生成油を1時間ごとに採取した。採取した生成油中の硫黄分50ppbが越えるまで反応実験を継続し、50ppbを破過した時間を50ppb破過時間とした。硫黄分の分析にはGC−SCD(島津製作所製)を用いた。この破過時間が200hであったことから、本発明によって製造された脱硫剤は、所望の脱硫性能を有することが確認された。

Claims (6)

  1. ニッケルを脱硫剤基準、酸化物(NiO)換算で50〜95質量%、及びルテニウムを含有する脱硫剤の製造方法であって、ルテニウム含有溶液を用いてニッケル含有担体にルテニウムを担持させる工程、ルテニウム担持担体を乾燥する工程、乾燥後のルテニウム担持担体に水を噴霧する工程、および水噴霧後のルテニウム担持担体を、アルカリ溶液に接触させる工程を有することを特徴とする、ニッケル−ルテニウム系脱硫剤の製造方法。
  2. 前記ルテニウム含有溶液が、塩化ルテニウム水溶液であり、前記アルカリ溶液がアンモニア水溶液であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル−ルテニウム系脱硫剤の製造方法。
  3. 前記ルテニウムの含有量が、脱硫剤基準、酸化物(RuO)換算で0.1〜12質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のニッケル−ルテニウム系脱硫剤の製造方法。
  4. ニッケルを触媒基準、酸化物(NiO)換算で50〜95質量%、及びルテニウムを含有する触媒の製造方法であって、ルテニウム含有溶液を用いてニッケル含有担体にルテニウムを担持させる工程、ルテニウム担持担体を乾燥する工程、乾燥後のルテニウム担持担体に水を噴霧する工程、および水噴霧後のルテニウム担持担体を、アルカリ溶液に接触させる工程を有することを特徴とする、ニッケル−ルテニウム系触媒の製造方法。
  5. 前記ルテニウム含有溶液が、塩化ルテニウム水溶液であり、前記アルカリ溶液がアンモニア水溶液であることを特徴とする請求項4に記載のニッケル−ルテニウム系触媒の製造方法。
  6. 前記ルテニウムの含有量が、触媒基準、酸化物(RuO)換算で0.1〜12質量%であることを特徴とする請求項4または5に記載のニッケル−ルテニウム系触媒の製造方法。
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