JP2009044207A - 広帯域アンテナ - Google Patents

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Akira Saito
昭 斉藤
Kazuhiko Honjo
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Abstract

【課題】 円偏波の送受信が可能な広帯域アンテナを提供する。
【解決手段】 平面上に直交して配置された線状又は板状の複数の導体からなる第1のV形導体1a,1b及び第2のV形導体2a,2bと、コの字形の線路3−1、3−2とを備える。線路3−1、3−2は、概ね使用帯域中心周波数の波長の1/4の長さをもつ。第1のV形導体1a,1b及び第2のV形導体2a,2bには、給電点4−1、4−2から差動信号が入力される。第1のV形導体1a,1bと第2のV形導体2a,2bは、Pを回転中心として回転対称に配置されるとともに、線路3−1と3−2は互いの磁界を打ち消すように平行かつ同じ方向に向けて配置されている。
【選択図】 図4

Description

この発明は、円偏波の送受信が可能な広帯域アンテナに関する。
近年種々の移動体通信が普及してきているが、通信路の状況により電波は、途中で反射したり回折したりして伝播した後受信されることから、偏波は送信時とは異なり途中で変化して受信されることになる。この場合、直線偏波を用いていると、ちょうど偏波が90度回転した場合は、偏波が直交するため、全く受信されない場合が起こりうる。このような不具合を避けるため、偏波の回転の影響を受けない円偏波を用いて送受信を行うことが知られている。
また近年、伝送速度を高速化するため、各種の無線システムでは帯域幅を広げようとしているが、このような広帯域の伝送に用いるアンテナは一般に狭帯域のアンテナよりさらに大きくする必要があり、その結果大幅にサイズを大きくする必要があった。
C. A. Grime, J.L. Horn, F.Tefiku, R. Shahidain, D. M. Grimes, "An Experimental Investigation Into the Control of Antenna Input Impedance Through Cancellation of Near Field Standing Rnergy," Aerospace Conference, 1998. Proceedings., IEEE vol. 3, pp. 273-282 vol. 3, March, 1998
本発明は、円偏波の送受信が可能な広帯域アンテナを提供することを目的とする。
この発明に係る広帯域アンテナは、それぞれ、平面上に直交して配置された線状又は板状の複数の導体からなる第1のV形導体及び第2のV形導体を備え、
前記第1のV形導体及び前記第2のV形導体は、それぞれ、V形の交点に給電点をもち、
前記第1のV形導体の前記給電点と前記第2のV形導体の前記給電点の間を回転中心として、前記第1のV形導体と前記第2のV形導体は回転対称に配置され、
さらに、前記第1のV形導体の前記導体の一方と前記給電点の間に設けられたコの字型の第1線路と、前記第2のV形導体の前記導体の一方であって前記第1のV形導体の前記導体の一方と平行に配置された前記導体と前記給電点の間に設けられたコの字型の第2線路とを備え、
前記第1線路と前記第2線路は、互いの磁界を打ち消すように平行かつ同じ方向に向けて配置されている、ものである。
前記第1線路と前記第2線路は、好適には、概ね使用帯域の中心周波数の波長の1/4の長さをもつ。
本件発明の理解を容易にするために、まず比較例について説明し、その後、当該比較例と対比しつつ本件発明の実施の形態1に係る広帯域アンテナについて説明する。
[比較例]
比較例に係るアンテナの平面図を図1(a)に、そのA−A矢視断面図を図1(b)に示す。
図1において、1a及び1bは1対のアンテナ導体(第1のV形導体)、2a及び2bはもうひとつの1対のアンテナ導体(第2のV形導体)、3−1及び3−2は概ね使用帯域中心周波数において波の位相を90°ずらすための線路、4−1は第1のV形導体の給電点、4−2は第2のV形導体の給電点、5は誘電体基板である。
以下の説明において、第1のV形導体1と記すことがあるが、これは一対のアンテナ導体1a及び1bを含むものである(線路3−1、3−2を含むこともある)。第2のV形導体2についても同様である。上記符号の−1は第1のV形導体1に関連する要素であることを示し、−2は第2のV形導体2に関連する要素であることを示す。以下の説明において、第1線路3−1、第2線路3−2と記すことにする。
なお、図1には、説明の便宜上、回転中心Pと、座標軸xyzを示しているが、これらは比較例に係るアンテナの構成要素ではない。比較例に係るアンテナは、xy平面上に形成されている。
図1からわかるように、第1のV形導体1は、平面上に直交して配置された線状又は板状の複数の導体1a及び1bを備える。同様に、第2のV形導体2は、平面上に直交して配置された線状又は板状の複数の導体2a及び2bを備える。
第1のV形導体1及び第2のV形導体2は、それぞれ、V形の交点に給電点4−1,4−2をもつ。V形の交点とはV字の根元(要)のことであり、図1(a)でV形導体を構成する複数の導体を延長したときに交差する点である。
第1のV形導体1の給電点4−1と第2のV形導体2の給電点4−2の間(中間点)が回転中心Pとされる。第1のV形導体1と第2のV形導体2は回転対称に配置されている。すなわち、第1のV形導体1を回転中心Pに180度回転したとき、第2のV形導体2にぴったりと重なる。
第1線路3−1は、第1のV形導体1の導体の一方1bと給電点4−1の間に設けられたコの字型の線路である。第2線路3−2は、第2のV形導体2の導体の一方であって、第1のV形導体1の導体の一方1bと平行に配置されたもの(導体2b)と給電点4−2の間に設けられたコの字型の線路である。第1線路3−1及び第2線路3−2は、それぞれ、概ね使用帯域中心周波数(例えば4.5GHz)の波長の1/4の長さの線路である。なお、図1(a)において、第1線路3−1及び第2線路3−2も、回転対称に配置されている。すなわち、コの字の部分がいずれも外側を向いている。
図1では、給電点4−1と4−2に差動信号が入力されて、第1のV形導体導体1と第2のV形導体導体2が同時に差動励振され電波を放射する。給電点4−1は導体1aに直接接続されている。給電点4−2と導体2aについても同様である。給電点4−1と導体1bの間、及び、給電点4−2と導体2bの間には、それぞれ使用帯域中心周波数の波長の1/4の長さの線路3−1,3−2が設けられているので、図1(a)の水平方向の導体1aと2aから放射される波と、垂直方向の導体1bと2bから放射される波は互いに90度の位相差をもつ。水平方向の導体1aと2aによる放射パターンは水平偏波となり、垂直方向の導体1bと2bによる放射パターンは垂直偏波となる。したがって、図1のアンテナから放射される電波は円偏波になることが期待できる。
アンテナ1,2は、図1(b)に示すように、2つの誘電体基板5でサンドイッチされ、その間に導体1a、1b、2a、2bや線路3−1、3−2が形成されている。
誘電体基板5の比誘電率は4.6、その厚さは0.5mmである。導体1a、1b、2a、2bの長さはそれぞれ10mm、線路3−1、3−2の長さそれぞれ10mmである。導体1a、1b、2a、2bは、概ね細長い台形状をしているが、その挟む角度(斜辺の傾斜角度)は15度である。ただ、必ずしもこの形状に限らず、一般の線状のアンテナで同様の効果を得ることができる。
また誘電体基板5はなくてもよく、また1枚の誘電体基板5が片側にあるだけでもよい。誘電体基板5を減らすあるいは無くすと実効比誘電率が変化するため、線路3−1、3−2の線路長やアンテナサイズ(導体1a、1b、2a、2bの大きさ)は、それに応じて修正する必要がある。
以上の説明は、後述の発明の実施の形態1についても適用できる。
図2は、図1のアンテナを80Ωの実負荷で終端した場合の反射損失を示す。2.7GHzから5.1GHzにわたり反射損失−10dBより小さくなっており、実用上十分小さい反射損失である。
図3は、図1のアンテナの垂直偏波/水平偏波の利得の方向依存性を示す。図3は、図1(a)で指定した座標軸での4GHzにおける利得を示す(xz平面)。アンテナの導体1bを上(y方向)に向け、xz面が水平になるようにした。外周は0dBiの利得を示す。41は垂直偏波の利得を、42は水平偏波の利得を示す。
図3に示す放射パターンでは、z軸方向では2つの利得が等しくなり、概ね円偏波となっている。一方、x軸方向では水平になっているアンテナ導体が放射しない方向であるため垂直になっているアンテナの利得のみとなり直線偏波となっている。通常真横から電波が到来することは少ないので、大部分の方向で両方の偏波を受信することができる。
発明の実施の形態1.
発明の実施の形態1に係る広帯域アンテナの平面図を図4に示す。図4において、図1と同一相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
発明の実施の形態1に係る広帯域アンテナでは、第1線路3−1と第2線路3−2は、互いの磁界を打ち消すように平行かつ同じ方向に向けて配置されている。図1(a)において、第1線路3−1及び第2線路3−2も回転対称に配置されていて、コの字の部分がいずれも外側を向いていたが、図4では、回転対称ではなく、コの字の部分が同じ方向を向いている(図4では右側を向いているが、左側でもよい)。
発明の実施の形態1に係る広帯域アンテナの動作について説明する。前述のように、第1線路3−1と第2線路3−2は、互いの磁界を打ち消すように平行かつ同じ方向に向けて配置されている。このことについて説明を加える。
差動信号を給電点4−1と4−2に入力すると、第1線路3−1の電流の方向は図4で下から上へ、第2線路3−2の電流の方向は同じく上から下へと流れる。ここで、第1線路3−1のアンテナ導体1aに近い水平部分(回転中心P寄りの水平部分、x方向の部分)と、第2線路3−2のアンテナ導体2aに近い水平部分に着目すると、互いに逆方向、すなわち磁界を打ち消しあう方向に電流が流れている(図4の矢印。給電点4−1と4−2に入力される信号は差動信号であり180度逆位相の信号である)。アンテナ導体1a、2aに遠い方(言い換えれば、アンテナ導体1b、2bに近い方)の水平部分も同様である。これは、第1線路3−1と第2線路3−2がコの字形をしていて、コの字の部分が同じ方向を向いているためである。ちなみに、図1(a)の配置では、図4とは逆に同じ方向に電流が流れ、磁界を強め合っている。
その結果、第1線路3−1の横方向に流れる電流で励起される磁界と、第2線路3−2の横方向に流れる電流で励起される磁界は打ち消しあう。従って、第1線路3−1と第2線路3−2の縦に(垂直方向、y方向に沿って)配置された部分の電流だけが放射に役立つことになる。第1線路3−1と第2線路3−2は、それぞれ、アンテナ導体1b、2bと一体となってアンテナの動作を行うが、アンテナ導体1b、2bは縦に流れる電流で放射を行うので、第1線路3−1、第2線路3−2とアンテナ導体1b、2bはともに縦に流れる電流で誘起される垂直偏波の放射を行い、水平偏波に寄与する横方向の電流による放射は抑制される。一方、アンテナ導体1a,2aは水平偏波の放射を行う。
発明の実施の形態1に係るアンテナのこの動作は、比較例のアンテナとは以下の点で異なる。すなわち、図1(a)のように点対称の配置では、線路の横方向の部分は上下の線路間で位置のすこしずれたダイポールアンテナのように動作し、横方向には同じ方向に電流が流れるため水平方向の偏波も放射する。その意味で、比較例のアンテナは水平偏波を発明の実施の形態1に係るアンテナよりも多く放射することになる。
発明の実施の形態1に係るアンテナでは、垂直偏波のみを放射するアンテナ1b、2bと水平偏波のみを放射するアンテナ1a,2aが並列に接続されていることになっている。このような構成を説明した文献として、非特許文献1がある。
非特許文献1は、アンテナの独立なモードが並存した場合、位相が90度ずれると入力インピーダンスの虚数部が打ち消しあうとしている。同文献はTMモードとTEモードに関して説明しており、偏波が直交している場合については言及していないが、偏波が直交している場合も相互作用しないという意味では同様であるため、同様なことが起きる可能性がある。その場合入力インピーダンスの虚数部が打ち消しあうと、実数部のみに近くなり、広帯域な特性が得られる可能性がある。そこで、発明の実施の形態1に係るアンテナの入力インピーダンスならびに反射損失を評価した。
図5〜図7は、発明の実施の形態1に係るアンテナを80Ωの実負荷で終端した場合の反射損失の比較を示す。これらの図において、比較例も併せて表示している。実線が発明の実施の形態1に係るアンテナを示し、点線が比較例を示す。図5は入力インピーダンスの虚部を示し、図6は入力インピーダンスの実部を示し、図7は反射損失S11を示す。
図5によれば、比較例のアンテナの入力インピーダンスの虚部は8GHz近傍で大きく上下しているが、発明の実施の形態1のアンテナでは、その領域で0の近傍でわずかに変動しているだけで、虚数部が打ち消し合っている様子が見られる。図6によれば、発明の実施の形態1のアンテナの入力インピーダンスの実数部も、上下動が大幅に抑制されていることがわかる。図5及び図6によれば、発明の実施の形態1のアンテナの入力インピーダンスは、比較例のアンテナに比べて、その変動幅が抑制されており、非常に広い帯域にわたって変化が少なくなっている。
これに伴い、発明の実施の形態1のアンテナの反射損失も改善されている。図7によれば、比較例のアンテナの反射損失が−10dB以下となる帯域幅が2GHz程度(2.6GHz〜5.1GHz)しかないのに対し、発明の実施の形態1のアンテナの反射損失は、8GHz程度(2.6GHz〜10.5GHz)であり、大幅に広帯域化されている。線路3−1と3−2の向きを変えただけで大幅な改善を実現できたのである。
次に、発明の実施の形態1のアンテナの放射パターンを図8に示す。図8の放射パターンは、比較例の場合と同じくアンテナのy方向を上に向け、xz面が水平方向になるようにした。図8(a)は4GHzの放射パターンを示し、外周は5dBiの利得を示す。図8(b)は8GHzの放射パターンを示し、外周は0dBiの利得を示す。図中、61は4GHzにおける垂直偏波の利得を、62は水平偏波の利得を示す。また、63は8GHzにおける垂直偏波の利得を、64は8GHzにおける水平偏波の利得を示す。
図8によれば、発明の実施の形態1のアンテナの放射パターンは比較例とほぼ同じであり、z軸方向近傍で円偏波を実現できている。
発明の実施の形態1によれば、円偏波の送受信が可能な広帯域アンテナを実現できる。コの字形の線路を設けるだけで広帯域化が可能であり、アンテナを小型化することができる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
比較例のアンテナの平面図及び断面図である。 比較例のアンテナの反射損失のグラフである。 比較例のアンテナの放射パターンである。 発明の実施の形態に係るアンテナの平面図及び断面図である。 発明の実施の形態に係るアンテナの入力インピーダンスの虚部のグラフである。 発明の実施の形態に係るアンテナの入力インピーダンスの実部のグラフである。 発明の実施の形態に係るアンテナの反射損失のグラフである。 発明の実施の形態に係るアンテナの放射パターンである。
符号の説明
1 第1のV形導体
1a、1b アンテナ導体
2 第2のV形導体
2a、2b アンテナ導体
3−1、3−2 線路
4−1、4−2 給電点
5 誘電体基板
P 回転中心

Claims (2)

  1. それぞれ、平面上に直交して配置された線状又は板状の複数の導体からなる第1のV形導体及び第2のV形導体を備え、
    前記第1のV形導体及び前記第2のV形導体は、それぞれ、V形の交点に給電点をもち、
    前記第1のV形導体の前記給電点と前記第2のV形導体の前記給電点の間を回転中心として、前記第1のV形導体と前記第2のV形導体は回転対称に配置され、
    さらに、前記第1のV形導体の前記導体の一方と前記給電点の間に設けられたコの字型の第1線路と、前記第2のV形導体の前記導体の一方であって前記第1のV形導体の前記導体の一方と平行に配置された前記導体と前記給電点の間に設けられたコの字型の第2線路とを備え、
    前記第1線路と前記第2線路は、互いの磁界を打ち消すように平行かつ同じ方向に向けて配置されている、ことを特徴とする広帯域アンテナ。
  2. 前記第1線路と前記第2線路は、概ね使用帯域の中心周波数の波長の1/4の長さをもつことを特徴とする請求項1記載の広帯域アンテナ。
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