JP2009043652A - 冷却器及びx線管装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】放熱特性を向上させることができる冷却器及びこの冷却器を備えたX線管装置を提供する。
【解決手段】冷却器2は、冷却液7を循環させてX線管を冷却する。冷却器2は、冷却液7を循環させるポンプ2jと、冷却液の熱を外部へ放出させる熱交換器2fと、X線管の稼動中に冷却液の循環流量を制御する流量制御機構2mと、を備えている。
【選択図】図2

Description

この発明は、冷却器及びこの冷却器を備えたX線管装置に関する。
一般に、X線管装置として、回転陽極型X線管装置が知られている。回転陽極型X線管装置は、回転陽極型X線管を備えている。この回転陽極型X線管は、静止状態の真空外囲器と、真空外囲器内に回転可能に設けられた陽極ターゲットと、真空外囲器内に静止して設けられた陰極とを有している。この他、回転陽極型X線管は、新しいタイプのものも製品化され始めている(例えば、特許文献1−6参照)。回転陽極型X線管は、CT装置やX線診断装置に搭載して使用されている。
上記した新しいタイプの回転陽極型X線管は、陽極ターゲット面自体を冷却液により強制的に冷却するものである。これにより、X線を放出させるために陽極ターゲット面に電子ビームを衝突させている期間に、陽極ターゲットから発生する熱を直接奪うことを可能としている。
特公平5−27205号公報 特開2006−54181号公報 特許第2539193号公報 仏国特許出願公開第2599555号明細書 特許第2929506号公報 米国特許第6396901号明細書
しかしながら、上記回転陽極型X線管の熱負荷が大きくなると、以下に述べる理由により、必要とされる回転陽極型X線管装置冷却性能が十分に得られない場合があった。
冷却液は、循環ポンプにより、流体抵抗が高い流路(たとえば、細いシャフト内部やターゲット内部に設けられた狭い流路、熱交換器流路等)を介して強制駆送される。このため、冷却液の流量を高めることには限界がある。
なぜならば、X線放出中の陽極ターゲット面の冷却のために必要とされる十分な冷却液の流量が得られる運転条件で循環ポンプを常時使用すると、ポンプの発熱のために冷却液の温度が上昇し過ぎたり、循環ポンプの寿命が低下するといった不具合が生じる可能性が高くなるためである。
これら不具合を解消するためには熱交換器や循環ポンプをより大型のものにすることで対応が可能であるが、使用電力が増加したり、コストが増加してしまう。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、放熱特性を向上させることができる冷却器及びこの冷却器を備えたX線管装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の態様に係る冷却器は、
冷却液を循環させてX線管を冷却する冷却器において、
前記冷却液を循環させるポンプと、
前記冷却液の熱を外部へ放出させる熱交換器と、
前記X線管の稼動中に前記冷却液の循環流量を制御する流量制御機構と、を備えている。
また、本発明の他の態様に係るX線管装置は、
ハウジングと、
電子を放出する陰極と、前記陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットが収納配置された真空外囲器と、を有し、前記ハウジングに収納されたX線管と、
少なくとも前記陽極ターゲットに近接する領域に形成され、前記冷却液が循環する循環路と、
前記冷却液を循環させるポンプと、
前記冷却液の熱を外部へ放出させる熱交換器と、
前記X線管の稼動中に前記冷却液の循環流量を制御する流量制御機構と、を備えている。
また、本発明の他の態様に係るX線管装置は、
電子を放出する陰極と、前記陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する陽極ターゲットと、前記陽極ターゲットと一体化された回転可能な真空外囲器と、を有したX線管と、
X線管を収納し、前記真空外囲器を回転可能に保持するハウジングと、
前記真空外囲器を回転させる回転駆動装置と、
少なくとも前記ハウジング内部及び前記真空外囲器外部間の領域に形成され、前記陽極ターゲットに近接する前記冷却液が循環する循環路と、
前記冷却液を循環させるポンプと、
前記冷却液の熱を外部へ放出させる熱交換器と、
前記X線管の稼動中に前記冷却液の循環流量を制御する流量制御機構と、を備えている。
この発明によれば、放熱特性を向上させることができる冷却器及びこの冷却器を備えたX線管装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながらこの発明の第1の実施の形態に係るX線管装置について詳細に説明する。
図1に示すように、X線管装置は、回転陽極型X線管装置1である。回転陽極型X線管装置1は、例えばX線画像診断装置や非破壊検査装置に組み込まれ、対象物すなわち非検査対象に対して照射すべきX線を放射するものである。回転陽極型X線管装置1は、ハウジング3と、ハウジング3に収容され、所定強度のX線を所定方向に向けて放射可能なX線管本体(回転陽極型X線管)5と、冷却液7を放熱及び循環させる冷却器2とを備えている。
X線管本体5は、例えば主な成分が水であり、電気伝導率が所定の大きさ未満に管理された非油脂系冷却液(水系冷却媒体)7を介してハウジング3の所定の位置に収容されている。なお、冷却液(水系冷却媒体)7としては、低電圧に対する絶縁性を確保し、かつ金属部品に対する腐食性を低減するために導電率が1mS/m以下に設定された冷却媒体(主として、水またはグリコールが所定量混合された水系媒体)が用いられる。また、冷却媒体として水と混合されるグリコール類としては、例えばエチレングリコールやプロピレングリコール等が利用可能である。
X線管本体5は、ハウジング3内部に満たされた冷却液(水系冷却媒体)7に、全周が概ね接触可能に、かつ回転可能に設けられ、内部が所定の真空度に保持されている真空外囲器11と、真空外囲器11の内側に、真空外囲器11と独立に設けられた陰極電子銃(熱電子放出源)13と、真空外囲器11の内側に、真空外囲器11と一体的に回転可能に設けられ、電子銃13から放出された電子が衝突されることにより所定の波長のX線を放射する回転陽極(陽極ターゲット,アノード)15と、を含む。
なお、真空外囲器11は、ハウジング3の一端部の所定の位置を貫通して設けられる接地極9と接触されて、接地されている。ここで、真空外囲器11は回転体として機能している。真空外囲器11及び陽極ターゲット15が高速度で回転していることは、冷却率の増加に寄与するものである。
真空外囲器11は、ハウジング3の所定の位置に設けられた円筒状の固定部(固定体)51の外周面の所定の位置に設けられた磁性流体真空シール部材53と、同固定部51の所定の位置であって、磁性流体真空シール部材53よりも冷却液7の流路に近接する側に設けられたベアリング(転がり軸受け、ボール/ロールベアリング)部材55とにより、保持されている。ここで、ベアリング部材55は軸受機構として機能している。なお、円筒状の固定部51は、電気絶縁性の支持部材57を介してハウジング3の外囲器保持部59に、同心状(同軸状)に、固定されている。固定部51は、環状の突出部52を含んでいる。固定部51は磁性体で形成されている。
陰極電子銃13は、円筒状で電気絶縁性の陰極保持体13aを有し、陰極保持体13aの外周面と、ハウジング3の外囲器保持部59の円筒部分59aの内側の所定の領域とが、シール材61を介して固定されることで、真空外囲器11の内側の所定の位置に、固定されている。
固定部51に接続構体51aが設けられている。固定部材63は陰極保持体13aに固定されている。接続構体51aおよび固定部材63は、溶接部65により溶接されている。固定部材63の形状は、ベローズ(蛇腹)状の円筒状である。
固定部材63により、陰極電子銃13に、真空外囲器11が回転される際の振動が不所望に伝達されることが低減される(接続構体51a及び固定部材63のばね性により真空外囲器11が回転される際の振動が吸収される)。また、接続構体51a及び固定部材63により陰極保持体13aと円筒状の固定部51との僅かな組み立て誤差を吸収させることができる。
なお、陰極電子銃13の陰極保持体13aには、ハウジング3の外囲器保持部59を貫通する所定の長さが与えられ、ハウジング3の接地極9が設けられる側と反対の側で、陰極電子銃13への電源の供給に利用される接続部(高電圧供給端子)67と電気的に接続される。
アノード(陽極ターゲット)15を保持した側の真空外囲器11の所定の位置であって、ベアリング部材55の概ね外側に位置する真空外囲器11の軸受け部11aの近傍には、ロータ69aが設けられている。ロータ69aは、真空外囲器11の端部11cの周囲に設けられている。ロータ69aの外周面には、真空外囲器11を回転させるための推進力(磁力)を受ける複数の永久磁石69bが設けられている。
永久磁石69bと実質的に同軸状(同心状)となるハウジング3の所定の位置には、永久磁石69bに対して、任意のタイミングで磁力(推進力)を提供するステータ(外部から回転を制御可能に電磁石として形成されているため、コイル体である)71が設けられている。ここで、ステータ71は回転駆動装置として機能している。
このようなX線管装置1においては、ステータ71に所定の電流が供給されることで、真空外囲器11が所定の速度で回転され、真空外囲器11の内側に設けられた陽極ターゲット(回転陽極)15が所定の速度で回転された状態で陰極電子銃13から放射された電子が衝突されることで、陽極ターゲット15から所定の波長のX線が出力される。出力されたX線は、真空外囲器11の円筒状部の所定の位置に規定された窓部11b及びハウジング3の円筒状部の所定の規定された窓部3aから外部へ放射される。
ハウジング3の内部及び真空外囲器11の外部間の所定の領域には、循環路7aが形成されている。循環路7aは陽極ターゲット15に近接している。循環路7aは、冷却器2に繋がった領域であり、冷却液7が循環する領域である。例えば真空外囲器11の軸受け部11aの近傍に設けられた冷却液入り口5bを介して、ハウジング3内部に冷却液7が注入され、循環路7aを通り、例えば接地極9の近傍に設けられた冷却液出口5cから冷却液7が排出されることで、軸受け部11a及び真空外囲器11内に組み込まれた陽極ターゲット15が冷却される。
また、真空外囲器11の内側、すなわち陰極電子銃13と陽極ターゲット15は、磁性流体真空シール部材53により、所定の真空下に位置されている。磁性流体真空シール部材53は、例えば、神山による「潤滑」第30巻第8号pp75〜78に報告があるが、磁性体である軸もしくは非磁性体の軸を磁性体からなる円筒で覆った軸構造体の外周に所定量の磁性流体(強磁性体の粒子を液体に分散させたコロイド溶液)を用意し、軸もしくは軸構造体に磁性片と永久磁石等を近接させて磁気回路を形成することにより、磁性流体を軸もしくは軸構造体の周囲にとどまらせることにより、圧力(気圧)差を維持するシール材であり、高速で回転される真空外囲器11内を所定の真空(減圧)下に維持するために有益である。
また、真空外囲器11の一端部であって、ハウジング3の固定部51(突出部52)に近接する真空外囲器11の端部11cは、固定部51の突出部52との間の僅かな隙間、すなわち濡れ性の低い隙間5dを提供することから、冷却液7が真空外囲器11の内側に入り込むことを抑止できる。これにより、磁性流体真空シール部材53に冷却液7が回り込み、磁性流体真空シール部材53の性能(能力)が不所望に低下することが防止できる。
なお、濡れ性の低い隙間5dは、冷却液7として接触角が比較的大きな液体を冷却媒体として用いる場合、隙間(5d)を一定の大きさよりも小さく規定することにより、その隙間(5d)に、液体が入り込めないことを利用している。但し、この実施例においては、冷却媒体として、水またはグリコールが混合された媒体を用いるため、接触角を大きくするために、端部11c(ロータ69aの端部を含む)および突出部52に、樹脂等をコーティングすることが好ましい。
また、ベアリング部材55のうちの磁性流体真空シール部材53から離れた側のベアリング部材を、内筒と外筒との間がシール材によりシールされているシール型とすることで、一層、磁性流体真空シール部材53に冷却液7が回り込むことを、抑止できる。
図1及び図2に示すように、冷却器2は、ホース2a、ホース2b、ホース2c、ホース2d、冷却液槽2e、熱交換器2f、ポンプ2j及び流量制御機構2mを備えている。熱交換器2fは、ラジエータ2g、ファン2h及びファン2iを有している。
ホース2aは、ハウジング3の冷却液入り口5bに繋がっている。ホース2bは、ハウジング3の冷却液出口5c及び冷却液槽2eに繋がっている。冷却液槽2eは冷却液7を収容している。この実施の形態において、冷却液槽2eの容積は9L(リットル)であり、冷却液槽2eは9Lの冷却液7を収容している。なお、冷却液槽2eの容積は、循環路7aの容積以上であれば良い。ホース2cは、冷却液槽2e及び熱交換器2fのラジエータ2gに繋がっている。
熱交換器2fは、ファン2h及びファン2iにより、ラジエータ2gに空気を吹き付けることにより、冷却液7の熱を外部へ放出させ、冷却液7を冷却するものである。ホース2dは、熱交換器2fのラジエータ2g及びポンプ2jに繋がっている。ポンプ2jはホース2aに繋がっている。冷却器2において、ホース2a、2b、2c、2d、熱交換器2f及びポンプ2jは循環路2nを形成している。
なお、この実施の形態において、冷却液槽2eの容積は、冷却器2から外れた循環路2nの容積以上である。
ポンプ2jは、循環路7a、循環路2n及び冷却液槽2e内において冷却液7を循環させるものである。このため、冷却器2は、ポンプ2jが冷却液7を吐き出すことにより、冷却液7を冷却液入り口5bから循環路7aに送り出す。循環路7aに送り出された冷却液7は循環路7aを通り、冷却器2は、冷却液7を冷却液出口5cから取り込む。
流量制御機構2mは、X線管本体5の稼動中にポンプ2jを制御し、冷却液7の循環流量を制御するものである。ポンプ2jを制御する際、流量制御機構2mは、例えばポンプ2jを稼動させる電力又は電圧を制御し、冷却液7の循環流量を制御している。
これにより、陽極ターゲット15及び磁性流体真空シール部材53において発生する熱が、冷却液7を介して、ハウジング3の外部へ放出される。このとき、冷却液7は、ハウジング3の形状を工夫した流路の特徴により、真空外囲器11を隔てて、磁性流体真空シール部材53と陽極ターゲット15の背面の近傍を流れることから、磁性流体真空シール部材53と陽極ターゲット15を効率よく冷却できる。なお、冷却液7は、その流路を工夫したことにより、ステータ71も併せて冷却可能であり、X線管装置1により生じる熱の多くを、冷却液7を介して放出できる。
次に、上記X線管装置1の稼動方法について説明する。特に、冷却器2の稼動方法について説明する。ここでは、X線を2回曝射する場合について説明する。後述するが、X線管装置1を稼動することにより、準備期間P1→第1期間としてのX線曝射期間P2→第2期間としてのX線曝射休止期間P3→待機期間P4→・・・、と移行する。
図4及び図7に示すように、まず、ステップS1において、X線管装置1の稼動が開始すると、ステップS2において、X線管装置1を立ち上げる。これにより、準備期間P1に入る。ステップS3において、流量制御機構2mは、冷却液7の流量Fを、最低値、すなわち流量Fminに設定する(図2)。この実施の形態において、流量Fminは12L/minに設定されている。
また、ファン2h及びファン2iの稼動が開始され、ファン2h及びファン2iによりラジエータ2gに空気が吹き付けられる。
続いて、ステップS4において、X線管装置1は、X線曝射開始要求があるかどうか判断し、X線曝射開始要求が無い場合、X線曝射開始要求があるかどうかの判断を繰り返す。X線曝射開始要求が有る場合、ステップS5において、流量制御機構2mは、冷却液7の流量Fを、最高値、すなわち流量Fmaxに切り替える(図3)。この実施の形態において、流量Fmaxは36L/min(600cm/sec)に設定されている。
流量制御機構2mは、陽極ターゲット15からX線が曝射され続けられる状態のX線曝射期間P2と、X線曝射期間P2に続き、陽極ターゲット15からX線の曝射を休止した状態のX線曝射休止期間P3と、に冷却液7の循環流量の値を第1流量値(36L/min)に切り替えるものである。
このため、ハウジング3内部の熱をハウジング3外部に一層放出することができる。すなわち、陽極ターゲット15に電子ビームが衝突することにより陽極ターゲット15において発生する熱及び反跳電子の衝撃を受ける窓部11bにおいて発生する熱等を、冷却液7を介してハウジング3外部に放出することができる。
次いで、ステップS6において、流量制御機構2mは、陽極ターゲット15に衝突する電子ビームのパワー情報を基に、X線曝射期間P2の長さ(X線曝射時間t1)及びX線曝射休止期間P3の長さ(X線曝射休止時間t2)を設定する。
ここで、X線曝射期間P2とは、陽極ターゲット15からX線が曝射され続けられる状態の期間であり、陽極ターゲット15に電子ビームが衝突し続ける期間である。X線曝射休止期間P3とは、陽極ターゲット15からX線の曝射を休止した状態の期間である。X線曝射休止期間P3を設けることにより、X線の曝射により発生した熱を放出し、再度のX線の曝射が可能となる。すなわち、X線曝射休止期間P3経過後に、再度のX線の曝射が可能となる。
この実施の形態において、X線曝射時間t1を30秒に設定し、陽極ターゲット15に衝突する電子ビームのパワーPoを72kWと仮定する。このため、陽極ターゲット15に、72kW×30secの電子ビームが入力されることになる。X線曝射休止時間t2を4分と設定する。
図5及び図7に示すように、その後、ステップS7において、X線曝射禁止とする制御を解除する。これにより、X線管装置1によるX線の曝射が可能な状態となる。ステップS8において、X線管装置1は、X線曝射開始されたかどうか判断し、X線曝射開始されて無い場合、X線曝射が開始されたかどうかの判断を繰り返す。X線曝射(1回目のX線曝射)が開始された場合、パワーPoが72kWの電子ビームが陽極ターゲット15に衝突され、X線は窓部11b及び窓部3aから外部へ放射され(図1)、ステップS9において、X線曝射開始を起点としてタイムtのカウントを開始する。すなわち、X線曝射時間t1のカウントを開始する。
続いて、ステップS10において、タイムtがX線曝射時間t1(30秒)経過したかどうか判断し、X線曝射時間t1経過して無い場合、タイムtがX線曝射時間t1経過したかどうかの判断を繰り返す。X線曝射時間t1経過した場合、ステップS11において、X線曝射禁止とする制御を行う。これにより、X線曝射が終了し、X線曝射期間P2からX線曝射休止期間P3に移行する。
次いで、ステップS12において、タイムtがX線曝射時間t1(30秒)及びX線曝射休止時間t2(4分)を合計した時間経過したかどうか判断し、合計した時間経過して無い場合、タイムtがt1+t2経過したかどうかの判断を繰り返す。合計した時間経過した場合、ステップS13において、タイムtのカウントを終了する。冷却器2によりハウジング3内部が冷却され、X線曝射休止期間P3の終了時点において、再度のX線の曝射が可能な状態となる。そして、X線曝射休止期間P3から待機期間P4に移行する。待機期間P4に移行した時点において、冷やされた冷却液7の温度T1は50℃となる。
ステップS14において、冷却液7の流量Fを、流量Fminに設定する(図2)。流量制御機構2mは、X線曝射休止期間P3終了時点で、冷却液7の循環流量の値を第1流量値(36L/min)より低い第2流量値(12L/min)に切り替えるものである。
ステップS15において、X線管装置1は、再度のX線曝射開始要求があるかどうか判断し、X線曝射開始要求が無い場合、ステップS16においてX線管装置1は休止となる。再度のX線曝射開始要求が有る場合、ステップS5に移行する(図4)。
次に、2回目(2回目以降)のX線曝射を行う場合について説明する。
まず、ステップS5において、冷却液7の流量Fを、流量Fmaxに切り替える(図3)。上述したように、この実施の形態において、流量Fmaxは36L/min(600cm/sec)に設定されている。
また、ファン2h及びファン2iによりラジエータ2gに空気が吹き付けられている。2回目のX線曝射を行う場合においても、ファン2h及びファン2iによりラジエータ2gに吹き付けられる空気の温度は、45℃以下となるようX線管装置1によって管理されている。ここでは、上記空気温度を45℃と仮定して説明する。
次いで、ステップS6において、流量制御機構2mは、陽極ターゲット15に衝突する電子ビームのパワー情報を基に、X線曝射期間P2の長さ(X線曝射時間t1)及びX線曝射休止期間P3の長さ(X線曝射休止時間t2)を設定する。
この実施の形態において、X線曝射時間t1を30秒に設定し、陽極ターゲット15に衝突する電子ビームのパワーPoを72kWと仮定している。このため、陽極ターゲット15に、72kW×30secの電子ビームが入力されることになる。X線曝射休止時間t2を4分と設定している。
ここで、冷却液7の温度上昇及び蓄熱量と、冷却液槽2eの容積が9Lである理由と、X線曝射休止時間t2を4分と設定している理由とについて説明する。
冷却液7の比熱cを1cal/gと仮定する。冷却液7の密度ρを1g/cmと仮定する。冷却液7の比熱c及び密度ρは、水並みである。X線曝射期間P2が終了した時点での冷却液7の温度をT2とする。
温度T2は、Po=4.2×c×ρ×(T2−T1)×Fの式を用いて求めることができる。但し、温度T2は、温度T1(50℃)の冷却液7に陽極ターゲット15の発熱が全て移動すると仮定して求める。上記した式を用いると、温度T2は79℃となる。温度T2は80℃以下であるため、許容範囲であり、ポンプ2jへの悪影響は殆ど無い。
X線曝射期間P2に循環する冷却液7の容積をVとすると、容積Vは、V=Fmax・t1で求められる。上記した式を用いると、容積Vは18Lとなる。冷却液槽2e以外の冷却液7の収容部の容積を9Lと仮定すると、冷却液槽2eの容積を9L以上とする必要がある。このため、この実施の形態において、冷却液槽2eの容積を9Lとしている。
上記したように、X線曝射期間P2が終了した時点での冷却液7の温度T2は79℃、ファン2h、2iによりラジエータ2gに吹き付けられる空気の温度は45℃、流量Fは流量Fmax(36L/min)である。この場合、冷却器2の冷却率は、例えば20kWである。上記した場合、流量Fを流量Fmaxに維持し続けることにより冷却液7の温度は約4分後に50℃まで低下する。t2を4分と設定した理由は上記したことによる。
図5及び図7に示すように、その後、ステップS7において、X線曝射禁止とする制御を解除する。ステップS8において、X線管装置1は、X線曝射開始されたかどうか判断する。X線曝射(2回目のX線曝射)が開始された場合、パワーPoが72kWの電子ビームが陽極ターゲット15に衝突され、X線は窓部11b及び窓部3aから外部へ放射され(図1)、ステップS9において、X線曝射開始を起点としてタイムtのカウントを開始する。すなわち、X線曝射時間t1のカウントを開始する。
続いて、ステップS10において、タイムtがX線曝射時間t1(30秒)経過したかどうか判断する。X線曝射時間t1経過した場合、ステップS11において、X線曝射禁止とする制御を行う。これにより、X線曝射が終了し、X線曝射期間P2からX線曝射休止期間P3に移行する。
次いで、ステップS12において、タイムtがX線曝射時間t1(30秒)及びX線曝射休止時間t2(4分)を合計した時間経過したかどうか判断する。合計した時間経過した場合、ステップS13において、タイムtのカウントを終了する。冷却器2によりハウジング3内部が冷却され、X線曝射休止期間P3の終了時点において、再度のX線の曝射が可能な状態となる。そして、X線曝射休止期間P3から待機期間P4に移行する。待機期間P4に移行した時点において、冷やされた冷却液7の温度T1は50℃となる。
ステップS14において、冷却液7の流量Fを、流量Fminに設定する(図2)。ステップS15において、X線管装置1は、再度のX線曝射開始要求があるかどうか判断し、X線曝射開始要求が無い場合、ステップS16においてX線管装置1は休止となり、X線管装置1の稼動が終了する(ステップS17)。再度のX線曝射開始要求が有る場合、ステップS5に移行する(図4)。
この実施の形態において、X線曝射の要求は2回であるため、2回目のX線曝射を行った後、X線管装置1は休止となり、X線管装置1の稼動が終了する(ステップS16、S17)。なお、3回目以降のX線曝射を行う場合、上記した工程(ステップS5〜ステップS15)を繰り返し行えば良い。
上記したように構成されたX線管装置によれば、X線管装置1は、X線管本体5と、ハウジング3と、冷却液7を循環させてX線管本体5を冷却する冷却器2と、循環路7aとを備えている。冷却器2は、冷却液7を循環させるポンプ2jと、冷却液7の熱を外部へ放出させる熱交換器2fと、X線管本体5の稼動中に冷却液7の循環流量を制御する流量制御機構2mとを有している。
より詳しくは、流量制御機構2mは、陽極ターゲット15からX線が曝射され続けられる状態のX線曝射期間P2と、X線曝射期間P2に続き、陽極ターゲット15からX線の曝射を休止した状態のX線曝射休止期間P3と、に冷却液7の循環流量の値を第1流量値(36L/min)に切り替え、X線曝射休止期間P3終了時点で、冷却液7の循環流量の値を第1流量値(36L/min)より低い第2流量値(12L/min)に切り替えるものである。上記したことは、流量制御機構2mがポンプ2jの稼動を制御することにより行われている。
X線曝射期間P2及びX線曝射休止期間P3の流量Fは流量Fmaxである。X線曝射休止期間P3だけでなく、X線曝射期間P2及びX線曝射休止期間P3に流量Fmaxに設定されている。
このため、X線曝射時に陽極ターゲット15の発生する熱を冷却液7を介してハウジング3外部に効率良く放出することができる。このため、放熱特性を向上させることができる冷却器2を得ることができる。また、熱交換器2f及びポンプ2jの大型化を図ることなく、かつ、消費電力及び製造コストの増加を抑制できる上記X線管装置1を実現することができる。また、ポンプ2jの発熱のために冷却液7の温度が上昇し過ぎたり、ポンプ2jの寿命が低下するといった不具合が生じることも抑制される。
冷却器2は、冷却液槽2eを有している。このため、冷却液槽2eに収容された冷却液7を用いることにより、X線曝射期間P2に循環する冷却液7の容積V(Fmax・t1)を得ることができる。このため、熱交換器2f及びポンプ2jにかかる負荷を低減させることができる。
流量制御機構2mは、陽極ターゲット15に衝突する電子ビームのパワー情報を基に、X線曝射期間P2及びX線曝射休止期間P3の長さと、第1流量値及び第2流量値の値を設定することができる。このため、陽極ターゲット15の発生する熱を冷却液7を介してハウジング3外部に効率良く放出することができ、X線曝射を複数回行う場合であっても、効率良くX線曝射を行うことができる。
また、上述したX線管装置を用いることにより、水系の冷却媒体を使用して、熱の放出特性を向上させることができ、長期に亘って安定な特性が確保できる。これにより、例えば、回転陽極型X線管装置が組み込まれるX線画像診断装置や非破壊検査装置の寿命が増大される。
さらに、上述した実施の形態によれば、冷却液の高電圧に対する絶縁性を考慮する必要がなく冷却効率の高い冷却媒体が利用可能で、冷却効率が向上される。さらに、この発明によれば、X線管装置自身の寿命も増大されるので、X線画像診断装置や非破壊検査装置のランニングコストも低減される。
上記したことから、放熱特性を向上させることができる冷却器2を得ることができ、長期間に亘って安定した動作が可能であり、コンパクトなX線管装置を得ることができる。
次に、この発明の第2の実施の形態に係るX線管装置について詳細に説明する。なお、この実施の形態において、以下に述べる構成以外である他の構成は上述した実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図8及び図9に示すように、X線管装置1の冷却器2の構成が上述した実施の形態と異なっている。この実施の形態において、冷却器2は、上述した実施の形態の構成の他、他のポンプ2kをさらに有している。
ポンプ2kは、冷却液7を循環させるものである。ポンプ2kは、ポンプ2jと合計吐出流量が異なる。ここで、合計吐出流量とは、流量Fと循環時間との積で求められる。ホース2aの一端側は二股に形成され、一方がポンプ2jに繋がって、他方がポンプ2kに繋がっている。ホース2dの一端側は二股に形成され、一方がポンプ2jに繋がって、他方がポンプ2kに繋がっている。ポンプ2j及びポンプ2kは、循環路2nに並列に接続されている。
流量制御機構2mは、稼動させるポンプ2j及びポンプ2kの組合せを制御するものである。これにより、流量制御機構2mは、冷却液7の循環流量を第1流量値又は第2流量値に切り替えることができる。この実施の形態において、流量制御機構2mは、ポンプ2j及びポンプ2kを稼動させた場合に第1流量値(Fmax=36L/min)に切り替え(図9)、ポンプ2jのみを稼動させた場合に第2流量値(Fmin=12L/min)に切り替えている(図8)。
上記したように構成されたX線管装置によれば、X線管装置1は、X線管本体5と、ハウジング3と、冷却液7を循環させてX線管本体5を冷却する冷却器2と、循環路7aとを備えている。冷却器2は、冷却液7を循環させるポンプ2j、2kと、冷却液7の熱を外部へ放出させる熱交換器2fと、X線管本体5の稼動中に冷却液7の循環流量を制御する流量制御機構2mとを有している。
より詳しくは、流量制御機構2mは、陽極ターゲット15からX線が曝射され続けられる状態のX線曝射期間P2と、X線曝射期間P2に続き、陽極ターゲット15からX線の曝射を休止した状態のX線曝射休止期間P3と、に冷却液7の循環流量の値を第1流量値(36L/min)に切り替え、X線曝射休止期間P3終了時点で、冷却液7の循環流量の値を第1流量値(36L/min)より低い第2流量値(12L/min)に切り替えるものである。上記したことは、流量制御機構2mが稼動させるポンプ2j及びポンプ2kの組合せを制御することにより行われている。
X線曝射期間P2及びX線曝射休止期間P3の流量Fは流量Fmaxである。X線曝射休止期間P3だけでなく、X線曝射期間P2及びX線曝射休止期間P3に流量Fmaxに設定されている。
このため、X線曝射時に陽極ターゲット15の発生する熱を冷却液7を介してハウジング3外部に効率良く放出することができる。このため、放熱特性を向上させることができる冷却器2を得ることができる。また、熱交換器2f及びポンプ2j、2kの大型化を図ることなく、かつ、消費電力及び製造コストの増加を抑制できる上記X線管装置1を実現することができる。また、ポンプ2j、2kの発熱のために冷却液7の温度が上昇し過ぎたり、ポンプ2j、2kの寿命が低下するといった不具合が生じることも抑制される。
冷却器2は、冷却液槽2eを有している。このため、冷却液槽2eに収容された冷却液7を用いることにより、X線曝射期間P2に循環する冷却液7の容積V(Fmax・t1)を得ることができる。このため、熱交換器2f及びポンプ2j、2kにかかる負荷を低減させることができる。
流量制御機構2mは、陽極ターゲット15に衝突する電子ビームのパワー情報を基に、X線曝射期間P2及びX線曝射休止期間P3の長さと、第1流量値及び第2流量値の値を設定することができる。このため、陽極ターゲット15の発生する熱を冷却液7を介してハウジング3外部に効率良く放出することができ、X線曝射を複数回行う場合であっても、効率良くX線曝射を行うことができる。
また、上述したX線管装置を用いることにより、水系の冷却媒体を使用して、熱の放出特性を向上させることができ、長期に亘って安定な特性が確保できる。これにより、例えば、回転陽極型X線管装置が組み込まれるX線画像診断装置や非破壊検査装置の寿命が増大される。
さらに、上述した実施の形態によれば、冷却液の高電圧に対する絶縁性を考慮する必要がなく冷却効率の高い冷却媒体が利用可能で、冷却効率が向上される。さらに、この発明によれば、X線管装置自身の寿命も増大されるので、X線画像診断装置や非破壊検査装置のランニングコストも低減される。
上記したことから、放熱特性を向上させることができる冷却器2を得ることができ、長期間に亘って安定した動作が可能であり、コンパクトなX線管装置を得ることができる。
次に、この発明の第3の実施の形態に係るX線管装置について詳細に説明する。なお、この実施の形態において、以下に述べる構成以外である他の構成は上述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図10及び図11に示すように、X線管装置1の冷却器2の構成が第1の実施の形態と異なっている。この実施の形態において、冷却器2は、上述した第1の実施の形態の構成の他、バイパス2pおよびバイパスバルブ2vをさらに有している。
バイパス2pは、導管で形成されている。バイパス2pは、熱交換器2fの冷却液取り入れ側および冷却液送り出し側にそれぞれ連結されている。この実施の形態において、バイパス2pは、ホース2cおよびホース2dにそれぞれ連結されている。
バイパスバルブ2vは、バイパス2pに取付けられている。バイパスバルブ2vは、バイパス2pの開閉を切換え可能である。流量制御機構2mは、バイパスバルブ2vの開閉を制御し、冷却液7の循環流量を制御するものである。ここでは、流量制御機構2mによる自動操作にてバイパス2pの開閉を切替えているが、手動操作にてバイパス2pの開閉を切替えるよう形成しても良い。
流量制御機構2mは、バイパスバルブ2vの開閉を制御し、冷却液7の循環流量を第1流量値又は第2流量値に切り替えることができる。流量制御機構2mは、バイパスバルブ2vを開いた場合に第1流量値(Fmax=36L/min)に切り替え(図11)、バイパスバルブ2vを閉じた場合に第2流量値(Fmin=12L/min)に切り替えている(図10)。
上記したように構成されたX線管装置によれば、X線管装置1は、X線管本体5と、ハウジング3と、冷却液7を循環させてX線管本体5を冷却する冷却器2と、循環路7aとを備えている。冷却器2は、冷却液7を循環させるポンプ2jと、冷却液7の熱を外部へ放出させる熱交換器2fと、バイパス2pと、バイパスバルブ2vと、X線管本体5の稼動中に冷却液7の循環流量を制御する流量制御機構2mとを有している。
より詳しくは、流量制御機構2mは、陽極ターゲット15からX線が曝射され続けられる状態のX線曝射期間P2と、X線曝射期間P2に続き、陽極ターゲット15からX線の曝射を休止した状態のX線曝射休止期間P3と、に冷却液7の循環流量の値を第1流量値(36L/min)に切り替え、X線曝射休止期間P3終了時点で、冷却液7の循環流量の値を第1流量値(36L/min)より低い第2流量値(12L/min)に切り替えるものである。上記したことは、流量制御機構2mがバイパスバルブ2vの開閉を制御することにより行われている。
X線曝射期間P2及びX線曝射休止期間P3の流量Fは流量Fmaxである。X線曝射休止期間P3だけでなく、X線曝射期間P2及びX線曝射休止期間P3に流量Fmaxに設定されている。
このため、X線曝射時に陽極ターゲット15の発生する熱を冷却液7を介してハウジング3外部に効率良く放出することができる。このため、放熱特性を向上させることができる冷却器2を得ることができる。また、冷却器2の大型化を図ることなく、かつ、消費電力及び製造コストの増加を抑制できる上記X線管装置1を実現することができる。
冷却器2は、冷却液槽2eを有している。このため、冷却液槽2eに収容された冷却液7を用いることにより、X線曝射期間P2に循環する冷却液7の容積V(Fmax・t1)を得ることができる。このため、熱交換器2f及びポンプ2jにかかる負荷を低減させることができる。
流量制御機構2mは、陽極ターゲット15に衝突する電子ビームのパワー情報を基に、X線曝射期間P2及びX線曝射休止期間P3の長さと、第1流量値及び第2流量値の値を設定することができる。このため、陽極ターゲット15の発生する熱を冷却液7を介してハウジング3外部に効率良く放出することができ、X線曝射を複数回行う場合であっても、効率良くX線曝射を行うことができる。
また、上述したX線管装置を用いることにより、水系の冷却媒体を使用して、熱の放出特性を向上させることができ、長期に亘って安定な特性が確保できる。これにより、例えば、回転陽極型X線管装置が組み込まれるX線画像診断装置や非破壊検査装置の寿命が増大される。
さらに、上述した実施の形態によれば、冷却液の高電圧に対する絶縁性を考慮する必要がなく冷却効率の高い冷却媒体が利用可能で、冷却効率が向上される。さらに、この発明によれば、X線管装置自身の寿命も増大されるので、X線画像診断装置や非破壊検査装置のランニングコストも低減される。
上記したことから、放熱特性を向上させることができる冷却器2を得ることができ、長期間に亘って安定した動作が可能であり、コンパクトなX線管装置を得ることができる。
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
電子ビームのパワーPoが72kW未満又はX線曝射時間t1が30秒未満の場合、流量制御機構2mは、X線曝射休止期間P3の長さと、第1流量値の値を任意の値に設定することが適している。例えば、X線曝射休止期間P3の長さ(X線曝射休止時間t2)を短くしたり、第1流量値を小さく(流量Fmax以下に設定)しても良い。
冷却液7の循環流量を制御する(変える)方法としては、上述した第1の実施の形態で述べたポンプ2jを稼動させる電力又は電圧を制御する方法と、第2の実施の形態で述べた稼動させるポンプ2j、2kの組合せを制御する方法とを組み合わせた方法であっても良い。流量制御機構2mは、これらの方法を組合せることにより、冷却液7の循環流量を制御することもできる。
流量制御機構2mは、X線の曝射に必要な陽極ターゲット15に衝突する電子ビームのパワーの増加に伴って冷却液7の循環流量の値を、段階的又は連続的に増加させても良い。上記したように、流量制御機構2mは、電子ビームの条件を考慮して冷却液7の循環流量の値を制御しても良い。
又は、冷却器2は、冷却液槽2eの他、少なくとも1つの他の冷却液槽を有していても良い。この場合、複数の冷却液槽の合計の容積が循環路7aの容積以上であれば良い。
冷却液槽は、単一部品であるため、比較的自由な形状に設計可能である。冷却器2は複数の冷却液槽を設けても良いため、X線管装置1の狭いスペースを活かして冷却液槽を設けても良い。上記したようにX線管装置1に冷却液槽を搭載することにより、スペース効率が高くなる。
冷却器2は、冷却液槽2eを循環路2n中に設けられているが、ホース2a、2b、2c、2dの容積、循環路7aの容積、熱交換器2fの容積、及びポンプ2j、2kの容積の合計が十分な値を有する場合、冷却液槽2eを設ける必要はない。すなわち、冷却液槽2eを設けなくとも、X線曝射期間P2に循環する冷却液7の容積Vを確保できる場合、冷却器2は、冷却液槽2eを設けずに形成されても良い。
また、ハウジング3、冷却液槽2eを除く冷却器2、及び冷却液槽2eを着脱自在な継手を介して繋ぐ構造としても良い。これにより、冷却液槽2e等の搭載作業及び交換作業が容易となる。
冷却器2は3つ以上のポンプを有していても良い。
流量制御機構2mは、冷却器2に設けられている必要はなく、X線管装置に設けられていれば良い。
冷却液7は、水系に限らず、絶縁油を使用したり、空気等のガス体を使用することも可能である。
冷却器はポンプと熱交換器を含む一体のアセンブリーとしての実施例を述べて来たが、例えばポンプをX線管を収納するハウジングと一体的に設けたり、またはポンプを独立して設けたりするなど、これら構成部品は必ずしも冷却器として一体的に集合させる必要のないことは言うまでもない。
ベアリング部材55は、ボールベアリングやロールベアリング等の転がり軸受け以外にすべり軸受けや磁気軸受け等を使用することも可能である。
ベアリング部材55は、電気絶縁部材である支持部材57を介してハウジング3に直接固定しているが、支持部材57とハウジングの間、又は支持部材57とベアリング部材の間に弾性部材や制振部材、又は吸収部材を配置して、回転部の回転に伴う振動をより低減させることも可能である。
この発明は、上述した実施の形態に係るX線管装置の他、特許文献1−6に示されるようなX線管装置や、陽極ターゲット15に近接させた冷却液7により、陽極ターゲット15を冷却する方式の回転陽極型X線管装置や、通常の静止した真空外囲器11内に回転型の陽極ターゲット15及び陰極電子銃13を配置したX線管装置にも適用することができる。この発明は、いかなるX線管装置にも適用することができる。
この発明の第1の実施の形態に係るX線管装置を示す断面図。 上記X線管装置の冷却器を示す図であり、特に、冷却液の循環流量の値を第2流量値に切り替えた状態を示す図。 上記X線管装置の冷却器を示す図であり、特に、冷却液の循環流量の値を第1流量値に切り替えた状態を示す図。 上記X線管装置の稼動の流れ図。 図4に続く、上記X線管装置の稼動の流れ図。 図5に続く、上記X線管装置の稼動の流れ図。 上記X線管装置の稼動経過時間に対する冷却液の流量の変化を、X線曝射のタイミングとともに示した図。 この発明の第2の実施の形態に係るX線管装置を示す断面図であり、特に、冷却液の循環流量の値を第2流量値に切り替えた状態を示す図。 この発明の第2の実施の形態に係るX線管装置を示す断面図であり、特に、冷却液の循環流量の値を第1流量値に切り替えた状態を示す図。 この発明の第3の実施の形態に係るX線管装置を示す断面図であり、特に、冷却液の循環流量の値を第2流量値に切り替えた状態を示す図。 この発明の第3の実施の形態に係るX線管装置を示す断面図であり、特に、冷却液の循環流量の値を第1流量値に切り替えた状態を示す図。
符号の説明
1…X線管装置、2…冷却器、2a,2b,2c,2d…ホース、2e…冷却液槽、2f…熱交換器、2g…ラジエータ、2h,2i…ファン、2j,2k…ポンプ、2m…流量制御機構、2n…循環路、2p…バイパス、2v…バイパスバルブ、3…ハウジング、5…X線管本体、7…冷却液、7a…循環路、11…真空外囲器、13…陰極電子銃、15…陽極ターゲット、55…ベアリング部材、57…支持部材、69a…ロータ、69b…永久磁石、71…ステータ、F…流量Fmin…流量Fmax…流量、P1…準備期間、P2…X線曝射期間、P3…X線曝射休止期間、P4…待機期間、Po…パワー、V…容積。

Claims (14)

  1. 冷却液を循環させてX線管を冷却する冷却器において、
    前記冷却液を循環させるポンプと、
    前記冷却液の熱を外部へ放出させる熱交換器と、
    前記X線管の稼動中に前記冷却液の循環流量を制御する流量制御機構と、を備えている冷却器。
  2. 前記流量制御機構は、前記ポンプを稼動させる電力又は電圧を制御し、前記冷却液の循環流量を制御する請求項1に記載の冷却器。
  3. 前記冷却液を循環させ、前記ポンプと合計吐出流量の異なる他のポンプをさらに備え、
    前記ポンプ及び他のポンプは、前記冷却液が循環する循環路に並列に接続され、
    前記流量制御機構は、稼動させる前記ポンプ及び他のポンプの組合せを制御する請求項1に記載の冷却器。
  4. 前記冷却液が循環する循環路に繋がった冷却液槽をさらに備え、
    前記冷却液槽の容積は、前記冷却器から外れた前記循環路の容積以上である請求項1に記載の冷却器。
  5. ハウジングと、
    電子を放出する陰極と、前記陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する陽極ターゲットと、前記陰極及び陽極ターゲットが収納配置された真空外囲器と、を有し、前記ハウジングに収納されたX線管と、
    少なくとも前記陽極ターゲットに近接する領域に形成され、前記冷却液が循環する循環路と、
    前記冷却液を循環させるポンプと、
    前記冷却液の熱を外部へ放出させる熱交換器と、
    前記X線管の稼動中に前記冷却液の循環流量を制御する流量制御機構と、を備えているX線管装置。
  6. 電子を放出する陰極と、前記陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する陽極ターゲットと、前記陽極ターゲットと一体化された回転可能な真空外囲器と、を有したX線管と、
    X線管を収納し、前記真空外囲器を回転可能に保持するハウジングと、
    前記真空外囲器を回転させる回転駆動装置と、
    少なくとも前記ハウジング内部及び前記真空外囲器外部間の領域に形成され、前記陽極ターゲットに近接する前記冷却液が循環する循環路と、
    前記冷却液を循環させるポンプと、
    前記冷却液の熱を外部へ放出させる熱交換器と、
    前記X線管の稼動中に前記冷却液の循環流量を制御する流量制御機構と、を備えているX線管装置。
  7. 前記流量制御機構は、前記ポンプを稼動させる電力又は電圧を制御し、前記冷却液の循環流量を制御する請求項5又は6に記載のX線管装置。
  8. 吐出流量の異なる他のポンプをさらに備え、
    前記ポンプ及び前記他のポンプは、前記循環路に並列に接続され、
    前記流量制御機構は、稼動させる前記ポンプ及び前記他のポンプの組合せを制御する請求項5又は6に記載のX線管装置。
  9. 前記熱交換器の冷却液取り入れ側および冷却液送り出し側にそれぞれ連結されたバイパスと、
    前記バイパスに取付けられているとともにこのバイパスの開閉を切換え可能なバイパスバルブと、をさらに備え、
    前記流量制御機構は、前記バイパスバルブの開閉を制御し、前記冷却液の循環流量を制御する請求項5又は6に記載のX線管装置。
  10. 前記循環路に繋がった冷却液槽をさらに備え、
    前記冷却液槽の容積は、前記循環路の容積以上である請求項5又は6に記載のX線管装置。
  11. 前記流量制御機構は、前記陽極ターゲットからX線が曝射され続けられる状態の第1期間と、前記第1期間に続き、前記前記陽極ターゲットからX線の曝射を休止した状態の第2期間と、に前記冷却液の循環流量の値を第1流量値に切り替え、前記第2期間終了時点から前記陽極ターゲットからX線の曝射が再開されるまでの間、前記冷却液の循環流量の値を前記第1流量値より低い第2流量値に切り替える請求項5又は6に記載のX線管装置。
  12. 前記流量制御機構は、前記陽極ターゲットに衝突する電子ビームのパワー情報を基に前記第2期間の長さを設定する請求項11に記載のX線管装置。
  13. 前記流量制御機構は、前記陽極ターゲットに衝突する電子ビームのパワー情報を基に前記第1流量値の値を設定する請求項11又は12に記載のX線管装置。
  14. 前記流量制御機構は、X線の曝射に必要な前記陽極ターゲットに衝突する前記電子ビームのパワーの増加に伴って前記冷却液の循環流量の値を、段階的又は連続的に増加させる請求項11乃至13の何れか1項に記載のX線管装置。
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