JP2009041765A - 緩衝器 - Google Patents

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Tomoo Kubota
友夫 窪田
Koki Kato
弘毅 加藤
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Abstract

【課題】振動減衰性を向上することが可能な緩衝器を提供することである。
【解決手段】シリンダ1と、シリンダ1内を一方室R1と他方室R2とに区画するピストン2と、一方室R1と他方室R2とを連通する通路4と、通路4を開閉する弁5と、一方室R1の圧力と他方室R2の圧力を時間的に遅れをもって感知し遅れた一方室R1の圧力と他方室R2の圧力とに差が生じると弁5に通路4を開放する方向の推力を与える弁駆動部6とを備えたので、一方室R1と他方室R2との差圧変化に対して時間的に遅れて通路4を開放して緩衝器における伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することが可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、緩衝器に関する。
従来、緩衝器としては、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されたピストンと、シリンダにピストンを介して移動自在に挿通されるロッドとを備えたものが知られている。
また、シリンダ内に充填される作動流体を気体とする緩衝器の場合にあっても、ピストン部の通路でロッド側室とピストン側室とを連通する他、シリンダの外方に外筒を設けてシリンダと外筒との間の隙間を介してロッド側室とピストン側室とを連通し、シリンダ内に気体とともに封入した少量の潤滑油を緩衝器の伸縮運動によってポンプの要領でピストン側室とロッド側室とに循環させるようにして、ピストンとシリンダの当接部位およびロッドとシリンダ下端に設けた封止部材との当接部位である摺動部の摺動性の確保するようにはしているが、この他の構造は油圧緩衝器の構造と略同様とされており、従来の緩衝器の減衰力発生用の弁も油圧緩衝器と同様の構造とされる(たとえば、特許文献1,2参照)。
特開2004−132429号公報 特開2004−132428号公報
上述のように、従来緩衝器では、摺動性を確保することで作動流体の種類によらず、緩衝器としての機能を発揮できるようになっているが、以下の問題があると指摘される可能性がある。
すなわち、緩衝器では、伸縮速度変化に対してシリンダ内圧力が略線形的に変化すると、発生減衰力も伸縮速度に線形となるので好ましいが、油圧を利用した緩衝器にあっても高周波振動に対しては作動油の圧縮性によって伸縮速度変化に対してシリンダ内圧力の変化に遅れを生じ、速度に対する発生減衰力がヒステリシスを持つ特性となる。特に、作動流体を圧縮性に富む気体とする緩衝器では、この傾向が顕著となり、図6に示すように、速度と発生減衰力との関係である速度減衰力特性におけるヒステリシス、つまり、上述のヒステリシスが大きくなる。
そして、このように従来の緩衝器は、高周波振動に対しては作動流体の如何を問わず、速度に対する発生減衰力に大きなヒステリシスを持つことから、減衰力を発揮する以外にもバネとして機能することになり、このバネ成分の影響によって減衰性が悪化してしまう虞がある。
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、振動減衰性を向上することが可能な緩衝器を提供することである。
上記した目的を解決するために、本発明における課題解決手段は、シリンダと、シリンダ内を一方室と他方室とに区画するピストンと、一方室と他方室とを連通する通路と、通路を開閉する弁と、一方室の圧力と他方室の圧力を時間的に遅れをもって感知し遅れた一方室の圧力と他方室の圧力とに差が生じると弁に通路を開放する方向の推力を与える弁駆動部とを備えたことを特徴とする。
本発明の緩衝器によれば、伸縮速度変化に対する一方室および他方室の圧力変化の位相遅れを緩和することができるので、緩衝器の振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能であり、特に、高周波数振動時における速度に対する発生減衰力のヒステリシスを低減することができる。つまり、本実施の形態の緩衝器によれば、従来の緩衝器のように速度に対する発生減衰力が大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。
以下、本発明のバルブ構造を図に基づいて説明する。図1は、一実施の形態における緩衝器の概念縦断面図である。図2は、一実施の形態の一変形例における緩衝器のピストン部の概念縦断面図である。図3は、具体的な弁および弁駆動部を備えた緩衝器のピストン部における縦断面図である。図4は、具体的な弁および弁駆動部を備えた一変形例における緩衝器のピストン部の縦断面図である。図5は、別の形態における具体的な弁および弁駆動部を備えた緩衝器のピストン部における縦断面図である。
一実施の形態における緩衝器Dは、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内を一方室R1と他方室R2とに区画するピストン2と、シリンダ1内に挿通されるとともにピストン2に連結されるロッド3と、一方室R1と他方室R2とを連通する通路4と、通路4を開閉する弁5と、一方室R1の圧力と他方室の圧力R2を時間的に遅れをもって感知し遅れた一方室R1の圧力と他方室R2の圧力とに差が生じると弁5に通路4を開放する方向の推力を与える弁駆動部6とを備えて構成されている。
以下、詳細に説明すると、シリンダ1は、筒状に形成され、その上下端は、それぞれヘッド部材7とボトム部材8によって閉塞されて気体が充填されるとともに、シリンダ1の外方に配置されてシリンダ1を覆う有底筒状の外筒9内に収容されている。なお、シリンダ1内には、緩衝器Dの摺動部位、つまり、シリンダ1とピストン2の接触部位およびヘッド部材7およびシール17とロッド3との接触部位を潤滑するために少量の潤滑油が気体と共に充填されている。つまり、この実施の形態の場合、緩衝器Dは作動流体を気体とした空圧緩衝器とされている。
そして、シリンダ1内は、摺動自在に挿入されるピストン2によってシリンダ1内は一方室R1と他方室R2とに区画されている。このピストン2の図1中上端にはロッド3が連結され、ロッド3は環状のヘッド部材7の内周側に挿通されてシリンダ1外へ突出されている。
また、ピストン2には、一方室R1と他方室R2とを連通する通路4が設けられ、この通路4の途中には緩衝器Dにおける減衰力発生要素として機能する弁5が設けられている。
当該弁5は、弁駆動部6によって駆動されることにより通路4を開放して一方室R1と他方室R2とを連通し、弁駆動部6によって駆動されない状態では通路4を閉塞する常閉型に設定されている。
弁駆動部6は、一方室R1の圧力と他方室R2の圧力を時間的に遅れをもって感知して、当該遅れた一方室R1の圧力と他方室R2の圧力の差が生じると弁5に通路4を開放する方向の推力を与えるようになっている。
そして、具体的にはたとえば、弁5は、中央の遮断ポジション5aと、当該遮断ポジション5aの両側に設けた連通ポジション5b,5cとを備えて、両端側からバネ5d,5eに附勢されて、何ら推力が与えられていないと通路4を遮断する遮断ポジション5aを採るようになっている。また、この弁5は、通路4を連通する状態では通路4を開放する程度、すなわち、開弁度合に応じて気体の流れに抵抗を与える減衰弁として機能するようになっている。
弁駆動部6は、一方室R1からの圧力を時間的に遅らせて弁5の左端に導くパイロット通路6aと、他方室R2からの圧力を時間的に遅らせて弁5の右端に導くパイロット通路6bとを備え、パイロット通路6a,6bは、それぞれ、一方室R1および他方室R2の圧力の伝達を遅らせるようオリフィス6c,6dを備えている。
したがって、弁駆動部6は、弁5の一端に一方室R1の圧力を遅らせて伝達して作用させるとともに、弁5の他端に他方室R2の圧力を遅らせて伝達して作用させ、これらの当該遅れた一方室R1の圧力と他方室R2の圧力とに差が生じると、一方室R1と他方室R2の差圧によって弁5に通路4を開放する推力を与えて、たとえば、緩衝器Dが伸長して一方室R1の圧力が他方室R2の圧力を上回ると弁5を図1中右方へ押して連通ポジション5bに切換えて通路4を開放し、逆に、緩衝器Dが収縮して他方室R2の圧力が一方室R1の圧力を上回ると弁5を図1中左方へ押して連通ポジション5cに切換えて通路4を開放する。
つまり、弁駆動部6は、一方室R1の圧力と他方室R2の圧力を時間的に遅れをもって感知して、当該遅れた一方室R1の圧力と他方室R2の圧力とに差圧が生じると、この差圧を弁5に作用させて通路4を開放する方向の推力を与えて、弁5を駆動して弁5に通路4を開放する動作をさせるようになっている。
なお、この実施の形態における弁駆動部6は、一方室R1と他方室R2の各圧力のセンシングおよび弁5の駆動について、外部から一切エネルギを与えることなく実現でき、弁5を駆動するために外部機器に接続する必要が無いので、省エネルギでかつ省スペースとなり緩衝器Dの実用性、汎用性が向上するが、一方室R1と他方室R2の圧力を圧力センサで検出して、弁5をソレノイドで駆動される比例電磁式開閉弁として、圧力センサで検出した一方室R1と他方室R2の圧力を得て、時間的に遅れた両者の圧力を感知し、その遅れた両者の圧力に差圧が生じた場合に比例電磁式開閉弁である弁5を駆動して通路4を開放動作させるようにすることもできる。
つづいて、外筒9は、図1に示すように、有底筒状に形成され、この外筒9とシリンダ1との間に造られる環状の隙間で潤滑油を一方室R1と他方室R2とを循環させる循環通路10が形成され、当該循環通路10内には潤滑油が充填されている。
転じて、ヘッド部材7は、上述のように環状とされてシリンダ1の図1中上端に嵌合しており、その内周側にはロッド3を軸支する軸受11を備えるとともに、上端側から開口する凹部12が設けられている。また、ヘッド部材7には外周と凹部12とを連通する流路13と、下端と凹部12とを連通する流路14とを備えており、流路13の外周側の開口端は上述循環通路10に対向させ、さらに、流路14の下端側の開口端は一方室R1に対向している。すなわち、循環通路10の一端は、上記流路13、凹部12および流路14を介して一方室R1に連通されている。
他方、シリンダ1の図1中下端を閉塞するボトム部材8は、円盤状に成型されてシリンダ1の図1中下端に嵌合しており、その上端と外周とを連通する流路15を備えて構成されている。この流路15の上端側の開口端は他方室R2に対向し、外周側の開口端は循環通路10に対向させてある。すなわち、循環通路10の他端は、上記流路15を介して他方室R2に連通されている。また、この流路15の途中には、他方室R2から循環通路10を介して一方室R1へ向かう流れのみを許容する逆止弁16が設けられている。
そして、このように構成されたヘッド部材7、ボトム部材8によって両端が閉塞されたシリンダ1を外筒9内に挿入して収容し、上記ヘッド部材7の図1中上面にロッド3の外周に摺接する環状のシール17を保持する環状の封止部材18を積層し、外筒9の図中上端である開口端を加締め、これら封止部材18、ヘッド部材7、シリンダ1およびボトム部材8を外筒9内に収容固定して一体化してある。
なお、上記した封止部材18における図1中、上下方向長さとなる軸方向長さは、上述のシール17の上下方向長さとなる軸方向長さより、短く設定されるととともに、シール17は、封止部材18の下端からシリンダ1の内方に向けて突出するように封止部材18によって保持されている。なお、上記したところでは、封止部材18はシール17を保持しているが、シール17を封止部材18に溶着して分離不能な状態としておくとしても差し支えない。
そして、封止部材18から突出しているシール17の図1中下端は、ヘッド部材7の凹部12内に配置されており、この凹部12と封止部材18とで貯油室19が隔成され、この貯油室19内には潤滑油が充填されている。したがって、循環通路10は、上述の流路13によって貯油室19に接続され、これによって循環通路10は上記貯油室19を介して一方室R1と他方室R2とを連通している。
さらに、シール17の内周側には、上述のように、シリンダ1から突出しヘッド部材7の軸受11内に摺動自在に挿入されるロッド3が挿入され、このシール17は所定の緊迫力でロッド3の外周に圧接されて、ロッド3の外周をシールしている。なお、封止部材18の外周側には、この封止部材18の外周と外筒9との間をシールする図示しないシールが設けられており、このシールと上記のシール17によってシリンダ1および外筒9が気密状態に維持されている。
そして、上述したところから明らかなように、ロッド3は、貯油室19を貫いており、この貯油室19は、ロッド3とシール17との摺動部20に臨むようになっている。
ここで、流路14の貯油室19側の開口端14aは、上記凹部12の側壁部12aから開口しており、この開口端14aは、少なくともシール17の図1中最下端より上方に位置するように設定されており、貯油室19内に充填される潤滑油の油面21が常にシール17の下端に接している状態に維持されている。
したがって、この緩衝器Dにあっては、シリンダ1内には作動気体が封入されるとともに、貯油室19内および循環通路10内には潤滑油が充填されるが、本実施の形態の場合、ロッド3とシール17との間の潤滑を確実なものとするため、貯油室19内の油の油面21が、開口端14aの位置によってシール17の最下端より下方に下がることがないように配慮されるとともに、それ以上の余分な潤滑油は一方室R1へ排出されるようになっており、さらに、循環通路10内の潤滑油の油面22にあっても上記流路13の開口端13aより上方に位置するように設定されている。
また、一方室R1および他方室R2内にも少量の潤滑油が充填されるが、一方室R1内に充填される潤滑油は、緩衝器Dが伸縮動作を初めて行うときに、シリンダ1とピストン2と間の摺動部23を潤滑するためであり、他方室R2内の潤滑油は、緩衝器Dの収縮時に循環通路10内に気体に先んじて潤滑油を供給して貯油室19内の油面21の下降を防止するために充填される。
そして、この緩衝器Dが収縮作動する場合、他方室R2内の圧力上昇によって、他方室R2内の作動気体は、逆止弁16を押し開き、流路15を介して循環通路10に流入する。このとき、他方室R2内の潤滑油は、作動気体より重たく、流路15の開口部に溜まった状態となることから、該潤滑油も作動気体とともに循環通路10に移動する。そうすると、循環通路10内および貯油室19は、他方室R2と同様に加圧されることになるので、循環通路10内の潤滑油は、貯油室19内に流入し、さらに、貯油室19内の潤滑油の油面21が上昇することになる。
すると、この油面21の上昇と貯油室19内の圧力上昇とによって、貯油室19内の潤滑油は、流路14を通過して一方室R1内に作動気体とともに流入する。ここで、流路14の開口部14aの開口位置はシール17の最下端より上方に位置しているので、上記のごとく貯油室19から潤滑油が一方室R1内に移動しても、貯油室19内の潤滑油の油面21は、必ずシール17の最下端より上方に位置することになり、貯油室19内の潤滑油は、ロッド3とシール17との摺動部20の潤滑を維持しつづけ、さらに、ロッド3と軸受11との間の摺動部をも同様に潤滑し続ける。なお、ボトム部材8の流路15の途中に逆止弁16が設けられており、この逆止弁16によって貯油室19側へ気体の逆流を防止できるため、流路14の途中には、凹部12から一方室R1へ向かう流れのみを許容する逆止弁を設けていない。
このように、緩衝器Dが伸縮を繰り返しても、貯油室19内の潤滑油は、ロッド3とシール17との摺動部20およびロッド3と軸受11との間の摺動部の潤滑を維持しつづけることになり、また、伸縮によって潤滑油が一方室R1と他方室R2とを循環してシリンダ1とピストン2と間の摺動部23をも潤滑し続けるので、正立型に形成された緩衝器Dの円滑な伸縮作動が保証されて緩衝器Dの信頼性が向上する。
また、本実施の形態における緩衝器Dでは、ロッド3の摺動部に臨む貯油室19を設けて油面21を上記摺動部20の最下端より上方に位置させることで、上記摺動部20およびロッド3と軸受11との間の摺動部の確実な潤滑が可能となるので、構造が複雑となることが無く、大幅なコスト上昇を伴わずに緩衝器を正立型とすることができる。
さらに、上記したようにロッド3の摺動部20およびロッド3と軸受11との間の摺動部が確実に潤滑されるから、この点でも、緩衝器Dの円滑な伸縮作動が保証されて緩衝器Dの信頼性が向上するとともに、シール17の耐磨耗性が向上することから緩衝器Dの密封性も向上することになる。
つづいて、上述のように構成された緩衝器Dの作動について説明する。まず、緩衝器Dが伸長作動する場合、一方室R1が圧縮され、他方室R2が膨張させられるので、一方室R1内の圧力が高まり、一方室R1内の作動気体は通路4を通過して他方室R2内に移動しようとする。
ここで、一方室R1は圧縮されて一方室R1内では圧力が上昇し、他方、他方室R2内の膨張されて他方室R2内では圧力が下降するが、弁駆動部6が、時間的に遅れた一方室R1の圧力と他方室R2の圧力に差が生じないと弁5を駆動しないため、弁5は、一方室R1と他方室R2との差圧変化に対して時間的に遅れて通路4を開放することになる。
すると、もともと作動流体を気体とする緩衝器Dにあっては、伸長速度に対して一方室R1と他方室R2との差圧の変化が位相遅れとなるが、上記したように一方室R1と他方室R2との差圧変化に対して弁5の通路4の開放動作に遅れが生じるので、その分、伸長速度変化に対する一方室R1と他方室R2の差圧変化のタイミングが速まることになる。具体的には、緩衝器Dの伸長に対して通路4の開放動作に遅れが生じて、一方室R1内の圧力上昇および他方室R2内の圧力下降の立ち上がりが従来の緩衝器に比較して鋭くなる、すなわち、圧力上昇および圧力下降の傾きが大きくなって一方室R1と他方室R2との差圧変化の反応が早まる。
その後、緩衝器Dが伸長作動を継続する場合、弁5が通路4を開放し続けて、一方室R1から他方室R2へ移動する気体の流れに抵抗を与え、緩衝器Dは伸長に対してこれを抑制する減衰力を発揮し続ける。
そして、緩衝器Dの振動方向が反転して、今度は収縮に転じる場合、ピストン2がシリンダ1に対して図1中下方側に移動して、他方室R2内の圧力が高まり、他方室R2内の作動気体は通路4を通過して一方室R1内に移動しようとする。ここで、弁5は、収縮に転じると、一方室R1内の圧力が減少することに加えてバネ5d,5eによって附勢されているので通路4を遮断する遮断ポジション5aに移行しようとするが、弁5には一方室R1と他方室R2の圧力変化が遅れて伝達させるので、伸縮方向が逆転して間もない場合、弁5には弁駆動部6によって一方室R1の圧力が他方室R2の圧力より高い状態で差圧が作用しており、弁5は遮断ポジション5aに移行せずに連通ポジション5bを採って通路4は連通状態とされることになる。
すると、一方室R1内の作動気体は、緩衝器Dの伸縮が反転するときに、少なからず、弁5によって閉塞されていない通路4を介して他方室R2へ移動することになり、一方室R1内の圧力の速やかな減少と他方室R2内の圧力の速やかな上昇を実現するように機能することになり、このような緩衝器Dの伸縮の反転時にあっても、伸縮速度変化に対して一方室R1と他方室R2の圧力変化が位相遅れとなってしまうことを抑制する。
その後、弁5が遮断ポジション5aに移行し、他方室R2内の圧力がさらに高まるとともに一方室R1内の圧力がさらに低下するが、弁駆動部6が、時間的に遅れた一方室R1の圧力と他方室R2の圧力に差が生じないと弁5を駆動しないため、弁5は、一方室R1と他方室R2との差圧変化に対して時間的に遅れて通路4を開放することになる。さらに、緩衝器Dが収縮作動を継続する場合、弁5が通路4を開放し続けて、他方室R2から一方室R1へ移動する気体の流れに抵抗を与え、緩衝器Dは収縮に対してこれを抑制する減衰力を発揮し続ける。
すなわち、緩衝器Dは収縮行程にあっても、一方室R1と他方室R2との差圧変化に対して弁5の通路4の開放動作に遅れが生じるので、その分、収縮速度変化に対する一方室R1と他方室R2の差圧変化のタイミングが速まることになる。具体的には、緩衝器Dの収縮に対して通路4の開放動作に遅れが生じて、一方室R1内の圧力下降および他方室R2内の圧力上昇の立ち上がりが従来の緩衝器に比較して鋭くなる、すなわち、圧力上昇および圧力下降の傾きが大きくなって一方室R1と他方室R2との差圧変化の反応が早まる。
したがって、この緩衝器Dにあっては、緩衝器Dにおける伸縮速度変化に対する一方室R1および他方室R2の圧力変化の位相遅れを緩和することができるので、緩衝器Dの振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能であり、特に、高周波数振動時における速度に対する発生減衰力のヒステリシスを低減することができる。つまり、本実施の形態の緩衝器Dによれば、従来の緩衝器のように速度減衰力特性に大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。
なお、緩衝器Dの収縮行程において、他方室R2内に封入された気体がピストン2に設けた通路4および弁5を通過して一方室R1に流入することから明らかなように、流路15、循環通路10、流路13および流路14の少なくとも一つ以上は、気体および油の流れに弁5より大きな抵抗を与えるが、この抵抗は他方室R2から流路15、循環通路10、流路13および流路14を介して一方室R1へ至る間に弁を設けて与えるようにしてもよいし、他方室R2から流路15、循環通路10、流路13および流路14を介して一方室R1へ至る間の管路抵抗で与えてもよく、具体的にはたとえば、逆止弁16をリーフバルブとしたり、循環通路10の流路面積を極小さくしたりするようにしてもよい。
また、上記したところでは、通路4を一方室R1から他方室R2へ向かう流れのみならず他方室R2から一方室R1へ向かう流れをも許容するように設定されているが、通路、弁および弁駆動部の各部を図2に示す変形例のように構成してもよい。
この変形例では、通路を、一方室R1から他方室R2へ向かう流れをのみを許容する一方側通路4aと、他方室R2から一方室R1へ向かう流れのみを許容する他方側通路4bとで構成し、弁を、一方側通路4aの途中に設けられるとともに遮断ポジション24aと連通ポジション24bとを有してバネ24cで附勢されて一方側通路4aを遮断する遮断ポジション24aを採る一方側弁24と、他方側通路4bの途中に設けられるとともに遮断ポジション25aと連通ポジション25bとを有してバネ25cで附勢されて他方側通路4bを遮断する遮断ポジション25aを採る他方側弁25とで構成し、弁駆動部を、一方側弁24に連通ポジション24bへ切換える方向に一方室R1内の圧力をオリフィス26aによって遅延して作用させるパイロット通路26と、一方側弁24に遮断ポジション24aへ切換える方向に他方室R2内の圧力をオリフィス27aによって遅延して作用させるパイロット通路27と、他方側弁25に連通ポジション25bへ切換える方向に他方室R2内の圧力をオリフィス28aによって遅延して作用させるパイロット通路28と、他方側弁25に遮断ポジション25aへ切換える方向に一方室R1内の圧力をオリフィス29aによって遅延して作用させるパイロット通路29とで構成している。
この変形例にあっても、一方室R1と他方室R2との差圧変化に対して弁である一方側弁24の一方側通路4aの開放動作および他方側弁25の他方側通路4bの開放動作に遅れを生じせしめることができるので、緩衝器における伸縮速度変化に対する一方室R1および他方室R2の圧力変化の位相遅れを緩和することができる。したがって、緩衝器の振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能であり、特に、高周波数振動時における速度に対する発生減衰力のヒステリシスを低減することができる。つまり、この変形例における緩衝器によっても、従来の緩衝器のように速度減衰力特性に大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。なお、この実施の形態にあっても、緩衝器の伸縮の切換わり直後には、一方側弁24あるいは他方側弁25が一方室R1と他方室R2とを連通させる状態とするので、この点でも、伸縮速度変化に対して一方室R1と他方室R2の圧力変化が位相遅れとなってしまうことが抑制される。
つづいて、図3に示す、より具体的な弁30および弁駆動部31を備えた緩衝器について説明する。具体的な弁30および弁駆動部31は、緩衝器のピストン部に具現化されており、緩衝器の他の構成は基本的には、上記した緩衝器Dと同じ構成であるので、同じ構成の部材については同一の符号を付すのみとして、その詳細な説明を省略する。
具体的な弁30および弁駆動部31は、図3に示すように、緩衝器のピストン32に具現化されている。
このピストン32は、一方室R1と他方室R2とを連通する通路33を備え、緩衝器の伸縮方向となる図中上下方向に直交する水平方向に伸びて通路33の途中に交差する中空部34と、オリフィス35aを備えて中空部34の一端を一方室R1に連通するパイロット通路35と、オリフィス36aを備えて中空部34の一端を他方室R2に連通するパイロット通路36とを備えている。
そして、この中空部34内には、両端側からバネ37,38で附勢されて中立位置に位置決めされた弁30が収容されている。この弁30は、中央および両端のそれぞれに設けたランド部30a,30b,30cと、ランド部30a,30b間およびランド部30a,30c間に設けた小径部30d,30eとを備えて構成されており、弁30の一端と中空部34の一端との間に介装されるバネ37と弁30の他端と中空部34の他端との間に介装されるバネ38とによって附勢されて中立位置でランド部30aの外周を通路33における中空部34への接続口33a,33bに対向させて通路33を遮断状態としている。
すなわち、弁30は、中立位置では遮断ポジションを採り、パイロット通路35から作用する圧力がパイロット通路36から作用する圧力を上回って右方向へ移動せしめられると左方の小径部30dが接続口33a,33bに対向するようになって通路33を開放する連通ポジションを採り、逆に、パイロット通路36から作用する圧力がパイロット通路35から作用する圧力を上回って左方向へ移動せしめられると右方の小径部30eが接続口33a,33bに対向するようになって通路33を開放する連通ポジションを採る。なお、この弁30も遮断ポジションから連通ポジションへ移行する際に、開弁度合を徐々に大きくする減衰弁として機能するようになっている。
そして、パイロット通路35は、一方室R1内の圧力を遅延、すなわち、時間遅れをもって弁30の左端に作用させ、パイロット通路36は、他方室R2内の圧力を遅延、すなわち、時間遅れをもって弁30の右端に作用させるので、弁30は概念的に示した上述の緩衝器Dにおける弁5と同様に動作し、この場合、弁駆動部31は、弁30の一端に一方室R1内の圧力を遅延して作用させるパイロット通路35と、弁30の他端に他方室R2内の圧力を遅延して作用させるパイロット通路36とで構成されている。
すなわち、当該実施の形態における弁駆動部31も、上記した実施の形態における弁駆動部6と同様に、一方室R1の圧力と他方室R2の圧力を時間的に遅れをもって感知して、当該遅れた一方室R1の圧力と他方室R2の圧力とに差圧が生じると、この差圧を弁30に作用させて通路33を開放する方向の推力を与えて、弁30を駆動して弁30に通路33を開放する動作をさせるようになっているので、一方室R1と他方室R2との差圧変化に対して弁30の通路33の開放動作に遅れを生じせしめることができ、緩衝器における伸縮速度変化に対する一方室R1および他方室R2の圧力変化の位相遅れを緩和することができる。
したがって、緩衝器の振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能であり、特に、高周波数振動時における速度に対する発生減衰力のヒステリシスを低減することができる。つまり、この具体的な弁30および弁駆動部31を備えた緩衝器によっても、従来の緩衝器のように速度減衰力特性に大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。なお、この実施の形態にあっても、緩衝器の伸縮の切換わり直後には、弁30が一方室R1と他方室R2とを連通させる状態とするので、この点でも、伸縮速度変化に対して一方室R1と他方室R2の圧力変化が位相遅れとなってしまうことが抑制される。
さらに、この弁30の移動方向は、緩衝器の振動方向に対して直交する方向に設定されており、緩衝器の振動によって弁30の移動方向への振動を励起しにくい構成となっているので、弁30が弁駆動部31の駆動によらずに緩衝器の振動によって通路33を開放したり遮断したりすることを防止することが可能となる。
なお、上記したところでは、通路33を一方室R1から他方室R2へ向かう流れのみならず他方室R2から一方室R1へ向かう流れをも許容するように設定されているが、通路、弁および弁駆動部の各部を図4に示す変形例のように構成してもよい。
この変形例では、一方室R1から他方室R2へ向かう流れをのみを許容する一方側通路40aと、他方室R2から一方室R1へ向かう流れのみを許容する他方側通路40bとで構成される通路40をピストン39に設けている。
また、ピストン39は、緩衝器の伸縮方向となる図4中上下方向に直交する水平方向に伸びて一方側通路40aの途中に交差する中空部41aと、緩衝器の伸縮方向となる図4中上下方向に直交する水平方向に伸びて他方側通路40bの途中に交差する中空部41bと、オリフィス42aを備えて中空部41aの一端を一方室R1に連通するパイロット通路42と、オリフィス43aを備えて中空部41aの一端を他方室R2に連通するパイロット通路43と、オリフィス44aを備えて中空部41bの一端を他方室R2に連通するパイロット通路44と、オリフィス45aを備えて中空部41bの一端を一方室R1に連通するパイロット通路45とを備えている。
そして、一方側通路40aに交差する中空部41a内には、一端側からバネ46で附勢されて遮断ポジションに位置決めされた一方側弁47が収容され、さらに、他方側通路40bに交差する中空部41b内には一端側からバネ48で附勢されて遮断ポジションに位置決めされた他方側弁49が収容されている。
一方側弁47は、両端に設けたランド部47a,47bと、ランド部47a,47b間に設けた小径部47cとを備えて構成されており、一方側弁47の一端と中空部41aの一端との間に介装されるバネ46によって附勢されてランド部47aの外周を一方側通路40aの開口に対向させて一方側通路40aを遮断状態としている。
すなわち、一方側弁47は、基本的には遮断ポジションを採り、パイロット通路42から作用する圧力がパイロット通路43から作用する圧力を上回ってバネ46の附勢力に打ち勝つと、右方向へ移動せしめられると小径部47cが一方側通路40aの開口に対向するようになって一方側通路40aを開放する連通ポジションを採り、逆に、パイロット通路42から作用する圧力がパイロット通路43から作用する圧力を上回らないと遮断ポジションを採り続ける。
そして、パイロット通路42は、一方室R1内の圧力を遅延、すなわち、時間遅れをもって一方側弁47の左端に作用させ、パイロット通路43は、他方室R2内の圧力を遅延、すなわち、時間遅れをもって一方側弁47の右端に作用させるので、一方側弁47は図2に示した概念的に示した上述の緩衝器Dの変形例における一方側弁24と同様の動作を呈する。
また、他方側弁49は、両端に設けたランド部49a,49bと、ランド部49a,49b間に設けた小径部49cとを備えて構成されており、他方側弁49の一端と中空部41bの一端との間に介装されるバネ48によって附勢されてランド部49aの外周を他方側通路40bの開口に対向させて他方側通路40bを遮断状態としている。
すなわち、他方側弁49は、基本的には遮断ポジションを採り、パイロット通路44から作用する圧力がパイロット通路45から作用する圧力を上回ってバネ48の附勢力に打ち勝つと、右方向へ移動せしめられると小径部49cが他方側通路40bの開口に対向するようになって他方側通路40bを開放する連通ポジションを採り、逆に、パイロット通路44から作用する圧力がパイロット通路45から作用する圧力を上回らないと遮断ポジションを採り続ける。
そして、パイロット通路44は、他方室R2内の圧力を遅延、すなわち、時間遅れをもって他方側弁49の左端に作用させ、パイロット通路45は、一方室R1内の圧力を遅延、すなわち、時間遅れをもって他方側弁49の右端に作用させるので、他方側弁49は図2に示した概念的に示した上述の緩衝器Dの変形例における他方側弁25と同様の動作を呈する。
すなわち、この場合、弁駆動部は、一方側弁47および他方側弁49に一方室R1内の圧力を遅延して作用させるパイロット通路42,45と、一方側弁47および他方側弁49に他方室R2内の圧力を遅延して作用させるパイロット通路43,44とで構成されている。
なお、この一方側弁47および他方側弁49はともに遮断ポジションから連通ポジションへ移行する際に、開弁度合を徐々に大きくする減衰弁として機能するようになっている。
そして、この変形例にあっても、一方室R1と他方室R2との差圧変化に対して弁である一方側弁47の一方側通路40aの開放動作および他方側弁49の他方側通路40bの開放動作に遅れを生じせしめることができるので、緩衝器における伸縮速度変化に対する一方室R1および他方室R2の圧力変化の位相遅れを緩和することができる。したがって、緩衝器の振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能であり、特に、高周波数振動時における速度に対する発生減衰力のヒステリシスを低減することができる。つまり、この変形例における緩衝器によっても、従来の緩衝器のように速度減衰力特性に大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。なお、この実施の形態にあっても、緩衝器の伸縮の切換わり直後には、一方側弁47あるいは他方側弁49が一方室R1と他方室R2とを連通させる状態とするので、この点でも、伸縮速度変化に対して一方室R1と他方室R2の圧力変化が位相遅れとなってしまうことが抑制される。
さらに、この一方側弁47および他方側弁49の移動方向は、緩衝器の振動方向に対して直交する方向に設定されており、緩衝器の振動によって一方側弁47および他方側弁49に移動方向への振動を励起しにくい構成となっているので、一方側弁47および他方側弁49が弁駆動部の駆動によらずに緩衝器の振動によって一方側通路40aおよび他方側通路40bを開放したり遮断したりすることを防止することが可能となる。
つづいて、図5に示す、別の形態における具体的な弁50および弁駆動部51を備えた緩衝器について説明する。別の形態における具体的な弁50および弁駆動部51もまた緩衝器のピストン部に具現化されており、緩衝器の他の構成は基本的には、上記した緩衝器Dと同じ構成であるので、同じ構成の部材については同一の符号を付すのみとして、その詳細な説明を省略する。
この別の形態の弁50および弁駆動部51は、図5に示すように、緩衝器のピストン52に具現化されている。
ピストン52は、一方室R1から他方室R2へ向かう流れを許容する一方側通路53aと他方室R2から一方室R1へ向かう流れを許容する他方側通路53bと、一方室R1と他方室R2から区画された部屋54とを備えている。
したがって、この実施の形態の場合、通路は、一方側通路53aと他方側通路53bとを備えている。
そして、一方側通路53aの出口端には当該一方側通路53aを開閉する一方側弁50aがバネ50bによって附勢された状態で着座し、他方側通路53bの出口端には当該他方側通路53bを開閉する他方側弁50cがバネ50dによって附勢された状態で着座している。したがって、一方側通路53aは、一方側弁50aによって基本的には遮断状態とされ、他方側通路53bにあっても、他方側弁50cによって基本的には遮断状態とされる。なお、この一方側弁50aおよび他方側弁50bはともに減衰弁として機能するようになっている。
さらに、上記部屋54は、当該部屋54内に摺動自在に挿入される摺動隔壁55によって、一方側圧力室56と他方側圧力室57とに区画され、一方側圧力室56は一方側の遅延通路58によって一方室R1に連通され、他方側圧力室57は他方側の遅延通路59によって他方室R2に連通されている。
そして、一方側の遅延通路58は、一方室R1と一方側圧力室56の相互の圧力伝達に遅れを生じせしめるべく途中にオリフィス58aを備え、他方側の遅延通路59にあっても、他方室R2と他方側圧力室57の相互の圧力伝達に遅れを生じせしめるべく途中にオリフィス59aを備えている。
また、摺動隔壁55は、上下からバネ60,61によって挟持されて中立位置に位置決められるとともに、上端および下端には押圧軸62,63が立ち上がり、押圧軸62は摺動隔壁55が中立位置にあるときにピストン52の上端まで通じて他方側弁50cに接し、他方の押圧軸63にあっても摺動隔壁55が中立位置にあるときにピストン52の下端まで通じて一方側弁50aに接する状態とされている。そして、一方側圧力室56と他方側圧力室57とに差圧が生じると摺動隔壁55に上方あるいは下方へ向かう推力が作用し、摺動隔壁55が図5中下降させる推力が生じる場合には押圧軸63を介して当該下降推力を一方側弁50aに伝達し、摺動隔壁55が図5中上昇させる推力が生じる場合には押圧軸62を介して当該上昇推力を他方側弁50bに伝達するようになっている。
すなわち、弁駆動部51は、部屋54と、部屋54を一方側圧力室56と他方側圧力室57とに区画する摺動隔壁55と、一方側の遅延通路58および他方側の遅延通路59によって構成され、摺動隔壁55が他方側圧力室56を圧縮するときの推力を一方側弁50aに伝達して一方側通路53aを開放させ、摺動隔壁55が一方側圧力室56を圧縮するときの推力を他方側弁50bに伝達して他方側通路53bを開放させるようになっている。なお、摺動隔壁55の上下動に際して、押圧軸62,63が部屋54内に完全に収容されて、押圧軸62,63が挿通される符示しない孔を介して部屋54が連通されることが無いように配慮されているのは当然である。
このように構成された弁50における一方側弁50aは、基本的にはバネ50bに附勢されて一方側通路53aを遮断する遮断ポジションを採り、一方側の遅延通路58から作用する圧力が他方側の遅延通路59から作用する圧力を上回って摺動隔壁55を図5中下降させる推力がバネ50bの附勢力に打ち勝つと、一方側弁50aを図5中下方へ移動せしめて一方側通路53aを開放する。なお、一方側弁50aは、一方側通路53aの口径を受圧面積として一方室R1の圧力を受けることになるが、一方側弁50aに一方側通路53aを開放動作させるに当たり、摺動隔壁55から伝達される下降推力が支配的となるように設定されている。
そして、一方側の遅延通路58は、一方室R1内の圧力を遅延、すなわち、時間遅れをもって一方側圧力室56に作用させ、他方側の遅延通路59は、他方室R2内の圧力を遅延、すなわち、時間遅れをもって他方側圧力室57に作用させるので、摺動隔壁55には時間的に遅れを持って一方室R1と他方室R2との差圧が作用することになり、一実施の形態の緩衝器Dと同様に、一方側弁50aの開放動作は一方室R1と他方室R2との差圧変化に対して時間的に遅れることになる。
また、弁50における他方側弁50cも、基本的にはバネ50dに附勢されて他方側通路53bを遮断する遮断ポジションを採り、他方側の遅延通路59から作用する圧力が一方側の遅延通路58から作用する圧力を上回って摺動隔壁55を図5中上昇させる推力がバネ50dの附勢力に打ち勝つと、他方側弁50cを図5中上昇へ移動せしめて他方側通路53bを開放する。なお、他方側弁50cは、他方側通路53bの口径を受圧面積として他方室R2の圧力を受けることになるが、他方側弁50cに他方側通路53bを開放動作させるに当たり、摺動隔壁55から伝達される上昇推力が支配的となるように設定されている。
そして、一方側の遅延通路58は、一方室R1内の圧力を遅延、すなわち、時間遅れをもって一方側圧力室56に作用させ、他方側の遅延通路59は、他方室R2内の圧力を遅延、すなわち、時間遅れをもって他方側圧力室57に作用させるので、摺動隔壁55には時間的に遅れを持って一方室R1と他方室R2との差圧が作用することになり、一実施の形態の緩衝器Dと同様に、他方側弁50cの開放動作は一方室R1と他方室R2との差圧変化に対して時間的に遅れることになる。
この別の形態における具体的な弁50および弁駆動部51にあっても、一方室R1と他方室R2との差圧変化に対して弁50である一方側弁50aの一方側通路53aの開放動作および他方側弁50cの他方側通路53bの開放動作に遅れを生じせしめることができるので、緩衝器における伸縮速度変化に対する一方室R1および他方室R2の圧力変化の位相遅れを緩和することができる。したがって、緩衝器の振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能である。つまり、この変形例における緩衝器によっても、従来の緩衝器のように速度減衰力特性に大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。
なお、この実施の形態にあっても、緩衝器の伸縮の切換わり直後には、一方側弁50aあるいは他方側弁50cが一方室R1と他方室R2とを連通させる状態とするので、この点でも、伸縮速度変化に対して一方室R1と他方室R2の圧力変化が位相遅れとなってしまうことが抑制される。
また、上述したところでは、緩衝器を空圧緩衝器として説明しているが、作動流体を油や他の液体としても、高周波振動に対しては速度に対する発生減衰力にステリシスを持つようになるので本発明を適用すれば当該ヒステリシスを低減できるので、本発明の作用効果が失われることは無い。
以上でバルブ構造の一実施の形態についての説明を終えるが、本発明の通路、弁および弁駆動部は必ずしも緩衝器のピストン部分に具現化されずともよく、たとえば、通路、弁および弁駆動部をシリンダ外に設けるようにしてもよい。
なお、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されない。
一実施の形態における緩衝器の概念縦断面図である。 一実施の形態の一変形例における緩衝器のピストン部の概念縦断面図である。 具体的な弁および弁駆動部を備えた緩衝器のピストン部における縦断面図である。 具体的な弁および弁駆動部を備えた一変形例における緩衝器のピストン部の縦断面図である。 別の形態における具体的な弁および弁駆動部を備えた緩衝器のピストン部における縦断面図である。 従来の緩衝器の速度減衰力特性を示した図である。
符号の説明
1 シリンダ
2,32,39,52 ピストン
3 ロッド
4,33,40 通路
4b,40b,53b 他方側通路
4a,40a,53a 一方側通路
5,30,50 弁
5a,24a,25a 遮断ポジション
5b,5c,24b,25b 連通ポジション
5d,5e,24c,37,38,46,48,50b,50d,60,61 バネ
6,31,51 弁駆動部
6a,6b,26,27,28,29,35,36,42,43,44,45 パイロット通路
6c,6d,26a,27a,28a,29a,35a,36a,42a,43a,44a,45a,58a,59a オリフィス
7 ヘッド部材
8 ボトム部材
9 外筒
10 循環通路
11 軸受
12 凹部
13,14,15 流路
13a,14a 開口端
16 逆止弁
17 シール
18 封止部材
19 貯油室
20 ロッドとシールとの摺動部
21,22 潤滑油の油面
23 シリンダとピストンと間の摺動部
24,47,50a 一方側弁
25,49,50c 他方側弁
34,41a,41b 中空部
30a,30b,30c,47a,47b,49a,49b ランド部
30d,30e,47c,49c 小径部
33a,33b 接続口
54 部屋
55 摺動隔壁
56 一方側圧力室
57 他方側圧力室
58 一方側の遅延通路
59 他方側の遅延通路
62,63 押圧軸
D 緩衝器
R1 一方室
R2 他方室

Claims (8)

  1. シリンダと、シリンダ内を一方室と他方室とに区画するピストンと、一方室と他方室とを連通する通路と、通路を開閉する弁と、一方室の圧力と他方室の圧力を時間的に遅れをもって感知し遅れた一方室の圧力と他方室の圧力とに差が生じると弁に通路を開放する方向の推力を与える弁駆動部とを備えたことを特徴とする緩衝器。
  2. 弁は、中立位置で通路を遮断する遮断ポジションと、遮断ポジションの両側に設けられる通路を開放する連通ポジションとを備えて、弁駆動部は、弁の一端に一方室内の圧力を遅延して作用させるパイロット通路と、弁の他端に他方室内の圧力を遅延して作用させるパイロット通路とを備えてなり、遅れた一方室の圧力と他方室の圧力とに差が生じると当該差圧で弁を開放ポジションに切換えることを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
  3. 通路は、一方室から他方室へ向かう流れを許容する一方側通路と他方室から一方室へ向かう流れを許容する他方側通路とを備え、弁は、一方側通路の途中に設けられるとともに遮断ポジションと連通ポジションとを有して附勢されて遮断ポジションを採る一方側弁と、他方側通路の途中に設けられるとともに遮断ポジションと連通ポジションとを有して附勢されて遮断ポジションを採る他方側弁とを備え、弁駆動部は、一方側弁に連通ポジションへ切換える方向に一方室内の圧力を遅延して作用させるパイロット通路と、一方側弁に遮断ポジションへ切換える方向に他方室内の圧力を遅延して作用させるパイロット通路と、他方側弁に連通ポジションへ切換える方向に他方室内の圧力を遅延して作用させるパイロット通路と、他方側弁に遮断ポジションへ切換える方向に一方室内の圧力を遅延して作用させるパイロット通路とを備えてなることを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
  4. 弁の移動方向は伸縮方向に対して直交する方向に設定されてなることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の緩衝器。
  5. パイロット通路は、途中にオリフィスを備えてなることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の緩衝器。
  6. 弁駆動部は、一方室と他方室から区画された部屋と、部屋内に摺動自在に挿入されて部屋内を一方側圧力室と他方側圧力室とに区画する摺動隔壁と、一方室と一方側圧力室とを連通し相互の圧力伝達に遅れを生じせしめる一方側の遅延通路と、他方室と他方側圧力室とを連通し相互の圧力伝達に遅れを生じせしめる他方側の遅延通路とを備えてなり、弁は摺動隔壁から伝達される推力を受けて通路を開放することを備えた請求項1に記載の緩衝器。
  7. 通路は、一方室から他方室へ向かう流れを許容する一方側通路と他方室から一方室へ向かう流れを許容する他方側通路とを備え、弁は、一方側通路の途中に摺動隔壁が他方側圧力室を圧縮するときの推力を受けて当該一方側通路を開放する一方側弁と、他方側通路の途中に摺動隔壁が一方側圧力室を圧縮するときの推力を受けて当該他方側通路を開放する他方側弁とを備えたことを特徴とする請求項6に記載の緩衝器。
  8. 遅延通路は、途中にオリフィスを備えてなることを特徴とする請求項6または7に記載の緩衝器。
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