JP2009041056A - 強度−延性バランスに優れた銅合金板 - Google Patents

強度−延性バランスに優れた銅合金板 Download PDF

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Abstract

【課題】前記高効率化、高速化した自動車用端子・コネクタなどの接続部品を製造するプレス成形工程に対応し、強度−延性バランスに優れ、同時に、耐応力緩和特性と導電率にも優れさせるCu−Ni−Sn−P系の銅合金板を提供することを目的とする。
【解決手段】特定組成のCu−Ni−Sn−P系の銅合金板であって、この銅合金板のX線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間に特定の強度ピークaが存在させるようにして、導電率が32%IACS以上で、圧延方向に対し平行方向の応力緩和率が15%以下である端子・コネクタ特性を有した上で、更に、0.2%耐力が500MPa以上であるとともに、伸びが10%以上であるような新規な機械的特性を有するようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、強度−延性バランスに優れた銅合金板およびその製造方法に関し、特に、自動車用端子・コネクタなどの接続部品用として適する強度−延性バランスに優れた銅合金板およびその製造方法に関する。
近年の自動車用端子・コネクタなどの接続部品には、エンジンルームのような高温環境下で信頼性を確保できる性能が求められる。この高温環境下での信頼性において最も重要な特性のひとつは、接点嵌合力の維持特性、いわゆる耐応力緩和特性である。
図4に、自動車用端子・コネクタなどの接続部品として、代表的な箱形コネクタ(メス端子3)の構造を示す。図4(a)は正面図、図4(b)は断面図を示す。この図4において、メス端子3は、上側ホルダー部4に押圧片5が片持ち支持されている。そしてホルダー内にオス端子(タブ)6が挿入されると、押圧片5が弾性変形し、その反力によりオス端子(タブ)6が固定される。なお、図4において、7はワイヤ接続部、8は固定用舌片である。
この図4のように、銅合金板からなるばね形状部品に定常の変位を与え、オス端子(タブ)6 をメス端子のばね形状をした接点(押圧片)5で嵌合しているような場合には、エンジンルームのような高温環境下に保持されていると、時間の経過とともに、その接点嵌合力を失っていく。したがって、耐応力緩和特性とは、これら接続部品が高温環境下に保持されても、銅合金板からなるばね形状部品の接点嵌合力が大きく低下しない、高温に対する抵抗特性である。
社団法人自動車技術会の規格JASO−C400では、この耐応力緩和特性に関して、150℃×1000hr保持後の応力緩和率が15%以下と定めている。図3(a)、(b)に、この規格による耐応力緩和特性の試験装置を示す。この試験装置を用い、短冊状に切り出した試験片1の一端を剛体試験台2に固定し、他端を片持ち梁式に持ち上げて反らせ(反りの大きさd)、これを所定の温度及び時間で保持した後、室温下で除荷し、除荷後の反りの大きさ(永久歪み)をδとして求める。ここで、応力緩和率(RS)は、RS=(δ/d)×100で表される。
ただ、銅合金板の応力緩和率には異方性があり、試験片の長手方向が銅合金板の圧延方向に対しどの方向を向いているかによって異なった値となる。この点で、自動車用端子・コネクタなどの接続部品では、バネとして使用される方向である、板の圧延方向に対して平行方向か直角方向かのいずれかの方向ついて15%以下の応力緩和率が必要である。
このような耐応力緩和特性に優れる銅合金としては、従来から、Cu−Ni−Si系合金、Cu−Ti系合金、Cu−Be系合金などが広く知られているが、最近では、添加元素量が比較的少ないCu−Ni−Sn−P系合金が使用されている。このCu−Ni−Sn−P系合金は、大気中への開口部が広く開いた大規模溶解炉であるシャフト炉での造塊が可能で、その高生産性ゆえに大幅な低コスト化が可能となる。
このCu−Ni−Sn−P系合金自体の耐応力緩和特性の向上策も、従来から種々提案されている。例えば、下記特許文献1、2には、Cu−Ni−Sn−P系合金マトリックス中にNi−P金属間化合物を均一微細に分散させ、導電率を向上させると同時に耐応力緩和特性等を向上させることが開示されている。また、下記特許文献2、3には、Cu−Ni−Sn−P系合金のP含有量を下げて、Ni−P化合物の析出を抑えた固溶型銅合金とすることが開示されている。更に、下記特許文献4、5には、Cu−Ni−Sn−P系合金板製造の際の仕上げ焼鈍の実体温度と保持時間とを規定して、導電率を向上させると同時に耐応力緩和特性等を向上させることが開示されている。
特許第2844120号公報 特許第3871064号公報 特開平11−293367号公報 特開2002−294368号公報 特開2006−213999号公報
しかし、これら耐応力緩和特性を向上させた従来のCu−Ni−Sn−P系合金の機械的な特性は、例えば0.2%耐力が500MPa程度であると、伸びは10%未満でしかなく、強度の割に伸びが低かった。また、端子・コネクタ特性としても、応力緩和率は、圧延方向に対し平行方向で15%以下が達成されているものの、導電率は35%IACS未満と低いものであった。
ただ、これまでは、自動車用端子・コネクタなどの接続部品に、素材となるCu−Ni−Sn−P系合金板を曲げ加工などのプレス成形する際に、板にあまり大きなひずみ速度がかからない、比較的低速変形領域での加工条件が主流であった。この結果、前記したように、従来のCu−Ni−Sn−P系合金の伸びが低くても、加工条件などの緩和や工夫により、割れなどの種々の成形不良の発生は抑制でき、端子・コネクタへの加工の際の不都合はあまり無かった。
これに対して、銅合金板をプレス成形して、前記図4で示した自動車用端子・コネクタなどの接続部品を製造する工程も、近年、益々高効率化、高速化している。このような高効率化、高速化したプレス成形では、180°密着曲げや、ノッチング後の90°曲げなどの曲げ加工において、否応なく、板に大きなひずみ速度がかかる。そして、このような、ひずみ速度が大きい高速変形領域での加工条件では、割れなどの種々の成形不良が発生しやすく、素材銅合金板に対しては、高い成形性、即ち、より高い伸びの値が必要とされる。
しかし、伸びが低い従来のCu−Ni−Sn−P系合金では、このような高効率化、高速化したプレス成形に対応できず、割れなどの種々の成形不良を生じる可能性が高い。そして、このような成形不良の発生は、単に成形品の歩留りを低下させるだけでなく、成形不良が発生する度に、高効率化、高速化したプレス成形工程(ライン)を停止させるような、製造ライン上の重大な問題ともなりかねない。
従来のCu−Ni−Sn−P系合金は、前記した通り、強度の割に伸びが低いために、また、この伸びの特性自体の向上を図ったものが見当たらないために、伸びの値自体を開示した例はあまりない。この点、前記特許文献2と4の実施例(表)には、例外的に伸びの値が開示されている。これによると、前記特許文献2では、伸びが10.1%と最も優れた例で、機械的な特性は0.2%耐力が521MPa、応力緩和率は圧延方向に対し平行方向で12.7%、導電率は31.2%IACSである。また、前記特許文献4では、伸びが9.1%と最も優れた例で、機械的な特性は0.2%耐力が530MPa、応力緩和率は圧延方向に対し平行方向で9.8%、導電率は33.2%IACSである。
したがって、これら特許文献2と4とからも、前記した通り、従来のCu−Ni−Sn−P系合金では、0.2%耐力が500MPa程度であると、伸びは10%未満であり、強度の割に伸びが高くなく、また、応力緩和率が15%以下であっても、導電率が高くないことが裏付けられる。
これに対して、前記した通り、高効率化、高速化した自動車用端子・コネクタなどの接続部品を製造するプレス成形工程に対応した、より高い伸びの値を有するCu−Ni−Sn−P系合金板が求められている。しかも、この銅合金板としては、単に伸びだけでなく、自動車用端子・コネクタなどの接続部品としての他の要求特性をも満たす必要がある。
即ち、新規な銅合金板として、導電率が32%IACS以上で、圧延方向に対し平行方向の応力緩和率が15%以下である端子・コネクタ特性を有した上で、更に、0.2%耐力が500MPa以上であるとともに、伸びが10%以上である機械的特性を有するような、Cu−Ni−Sn−P系合金板が求められている。
これらの点に鑑み、本発明は、前記高効率化、高速化した自動車用端子・コネクタなどの接続部品を製造するプレス成形工程に対応し、端子・コネクタとしての要求特性をも満たす、強度−延性バランスに優れたCu−Ni−Sn−P系合金板を提供することを目的とする。
この目的を達成するための、本発明強度−延性バランスに優れた銅合金板の要旨は、質量%で、Ni:0.1〜3.0%、Sn:0.01〜3.0%、P:0.01〜0.3%を各々含有し、残部銅および不可避的不純物からなる銅合金板であって、導電率が32%IACS以上で、圧延方向に対し平行方向の応力緩和率が15%以下である端子・コネクタ特性を有した上で、更に、0.2%耐力が500MPa以上であるとともに、伸びが10%以上である機械的特性を有することである。
また、この目的を達成するための、本発明強度−延性バランスに優れた銅合金板の別の要旨は、質量%で、Ni:0.1〜3.0%、Sn:0.01〜3.0%、P:0.01〜0.3%を各々含有し、残部銅および不可避的不純物からなる銅合金板であって、この銅合金板のX線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間に強度ピークが存在し、導電率が32%IACS以上で、圧延方向に対し平行方向の応力緩和率が15%以下である端子・コネクタ特性を有した上で、更に、0.2%耐力が500MPa以上であるとともに、伸びが10%以上である機械的特性を有することである。
より好ましい前記銅合金板の特性としては、導電率が35%IACS以上で、圧延方向に対し平行方向の応力緩和率が15%以下である端子・コネクタ特性を有した上で、更に、0.2%耐力が520MPa以上であるとともに、伸びが12%以上である機械的特性を有することである。
ここで、前記銅合金板が、更に、質量%で、Fe:0.5%以下、Zn:1%以下、Mn:0.1%以下、Si:0.1%以下、Mg:0.3%以下に抑制することが好ましい。また、前記銅合金が、更に、Ca、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Au、Ptの含有量を、これらの元素の合計で1.0質量%以下とすることが好ましい。更に、前記銅合金が、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量を、これらの元素の合計で0.1質量%以下とすることが好ましい。
また、上記したあるいは後述するいずれかの本発明強度−延性バランスに優れた銅合金板を製造する方法の要旨は、上記したあるいは後述するいずれかの組成の銅合金を鋳造し、この銅合金鋳塊の熱間圧延、冷間圧延、仕上げ焼鈍を順次行って、銅合金板を得るに際し、前記仕上げ焼鈍を銅合金板の最高到達温度が500〜800℃の範囲で行い、この温度への銅合金板の平均昇温速度を50℃/s以上とするとともに、銅合金板を室温まで冷却する際に、400℃から室温までの銅合金板の平均冷却速度を40〜100℃/hの範囲で行い、得られた銅合金板を、X線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間に強度ピークが存在し、かつ、導電率が32%IACS以上で、圧延方向に対し平行方向の応力緩和率が15%以下である端子特性を有した上で、更に、0.2%耐力が500MPa以上であるとともに、伸びが10%以上である機械的特性を有するものとすることである。
本発明者らは、上記した仕上げ焼鈍条件の特徴的な制御によって、通常は仕上げ焼鈍によって低下する強度を下げること無しに、また、通常予想される導電率向上効果以上に導電率を向上させ、しかも耐応力緩和特性は維持した上で、得られた銅合金板の伸びを向上させ、本発明強度−延性バランスに優れた銅合金板を得た。通常、常識的には、仕上げ焼鈍による回復・再結晶現象によって、仕上げ焼鈍後の強度は低下する。にもかかわらず、上記した仕上げ焼鈍条件の特徴的な制御では、驚くべきことに、強度は下がらずに保持され、却って伸びが向上する。また、導電率も向上する。
即ち、従来のCu−Ni−Sn−P系合金板は、0.2%耐力が500MPa以上でも、伸びは10%未満であり、応力緩和率が15%以下であっても、導電率が35%IACS未満である。これに対して、本発明では、0.2%耐力が500MPa以上であっても、伸びが10%以上であり、導電率が32%IACS以上で、応力緩和率が15%以下であるような新規なCu−Ni−Sn−P系合金板を得た。この得られたCu−Ni−Sn−P系合金板の、より優れた特性としては、導電率が35%IACS以上、圧延方向に対し平行方向の応力緩和率が15%以下、0.2%耐力が520MPa以上、伸びが12%以上である。
しかし、この強度−延性バランスに優れた本発明銅合金板に対して、組織的な分析を行い、結晶粒形状や分析可能な限りの微細な、Ni−P化合物などの晶析出物、酸化物などの詳細な解析を行っても、現在に至るまで、従来の銅合金板と本発明との明確な組織的区別をつけることができなかった。この際に使用した組織的な分析機器は、この種、直接的な組織分析に汎用される、SEM(走査型電子顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)などである。勿論、調査した銅合金板組成は、全く同じCu−Ni−Sn−P系合金とし、製造条件としても、上記した仕上げ焼鈍条件を互いに変えているのみで、他の条件は同じとしている。
このため、本発明者らは、更に組織的な分析として、上記直接的な組織分析手法であるSEMやTEMに比べれば特殊なX線回折を行った。この結果、後述する通り、本発明強度−延性バランスに優れた銅合金板には、X線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間に強度ピークが存在し、従来のCu−Ni−Sn−P系合金板には、このような強度ピークが存在しないことが判明した。
言い換えると、Cu−Ni−Sn−P系合金板に、このような強度ピークが存在すると、0.2%耐力が500MPa以上であっても、伸びが10%以上であり、導電率が32%IACS以上で、応力緩和率が15%以下である知見を得た。一方、このような強度ピークが存在しないと、従来のCu−Ni−Sn−P系合金板のように、0.2%耐力が500MPa以上でも、伸びは10%未満であり、応力緩和率が15%以下であっても、導電率が32%IACS未満である知見も得た。即ち、事実として、上記特定の強度ピークが存在するか、否かによって、0.2%耐力、伸び、導電率、耐応力緩和特性を兼備した新規なCu−Ni−Sn−P系合金板であるか否かが判別される。
上記特定の強度ピークの存在、即ち、X線回折角(2θ)が100〜102°の間の上記特定の強度ピークは、何らかの化合物が銅合金板組織中に確実に存在することを意味する。そして、本発明者らは、後述する通り、この化合物を特定のSn系化合物と推考している。ただ、これも後述する通り、この合金系において可能性ある金属間化合物とX線回折パターンにおける強度ピーク位置との関係を種々解析しても、上記特定の強度ピークが、どのような金属間化合物であるのか必ずしも明確ではなく、現状では、あくまで推測の域をでない。したがって、上記特定の強度ピークが、Cu−Ni−Sn−P系合金板の上記特性の違いや向上に、どのように寄与しているのか、あるいは寄与しているのかどうか、必ずしも明確ではない。
このように、上記特定の強度ピークは、本発明強度−延性バランスに優れた銅合金板の新規性の重要な目安にはなるものの、上記した特性の違いを発揮するために、必須な要件か否かは必ずしも明確ではない。
このため、本発明では、請求項1を、特性の違いのみが新規なCu−Ni−Sn−P系合金板として設定し、請求項2を、この特性の違いとともに、このX線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間の強度ピークの有無を従来との「もの」としての違いの目安とした、新規なCu−Ni−Sn−P系合金板として設定した。
ただ、本発明によれば、前記高効率化、高速化した自動車用端子・コネクタなどの接続部品を製造するプレス成形工程に対応し、端子・コネクタとしての要求特性をも満たす、強度−延性バランスに優れたCu−Ni−Sn−P系合金板を提供することが事実としてできる。
(X線回折)
本発明では、本発明強度−延性バランスに優れた銅合金板の新規性の重要な目安として、X線回折パターンにおける特定の強度ピークを規定する。即ち、銅合金板のX線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間に強度ピークが存在するものと規定する。
なお、この特定の強度ピークは、後述する通り、Ni−Sn系化合物によるものと推考されるが、マトリックスとして元々主要なCuの強度ピーク高さに比べれば、合金成分乃至合金元素であるので、著しくピーク高さが低い。また、この特定の強度ピーク高さの程度が、Cu−Ni−Sn−P系合金板の上記伸びなどの特性の違いに寄与しているのかどうかは、前記した通り、必ずしも明確ではない。ただ、これも前記した通り、この特定の強度ピークが存在するか否かによって、銅合金板の特性は、従来の伸びや導電率が低い特性と明確に区別できる。
したがって、本発明では、X線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間(101°近傍)に、ノイズによる強度ピークの振れ(ぶれ)を越えて、実質的に強度ピークが存在するものと客観的に認められれば、この特定の強度ピークが存在するものと規定する。
(図1、2)
図1に、後述する実施例における表2の、発明例1と比較例20、22、23との種々の銅合金板のX線回折パターンを示し、図2に、図1の発明例1のX線回折パターンのみを取り出して示す。
図1、2においては、いずれも縦軸がX線回折強度(CPS)、横軸がX線回折角(2θ)である。なお、縦軸のX線回折強度は、図1では0〜1000CPSの範囲、図2では0〜3500CPSの範囲と異なる。また、横軸のX線回折角も、図1では30〜112°の範囲、図2では80〜120°の範囲と、各々異なる。
図1において、一番上のX線回折パターンが発明例1で、その下に、上から順に比較例20、22、23のX線回折パターンを配置している。これらは同じ図1に内に納めるために、基準線は比較例23を除いて、各々敢えて嵩上げして配置して示している。
図1において、発明例1と各比較例との種々の銅合金板のX線回折パターンは、同じ組成系の銅合金であるために、同じX線回折角(2θ)の部分に、Cuの矢印で示す、主要なCuの強度ピークが出ている。これらは、X線回折角で50〜51°、59〜60°、89〜90°、110〜111°の各間に、強度ピーク位置が存在する。
図1において、発明例1と各比較例とのX線回折パターンの唯一の違いが、X線回折角(2θ)が100〜102°の間に、aの矢印で示す特定の強度ピークが存在するか否かの点である。この図1および発明例1のみ取り出した図2において、発明例1のみには、ノイズによる強度ピークの振れ(ぶれ)を越えた、強度ピークが実質的に存在すると客観的に認められる。
(強度ピークが意味する化合物)
通常、このように、X線回折角(2θ)が100〜102°の間に強度ピークa(特定の強度ピーク)が出る化合物(析出物)自体は、Cu−Ni−Sn−P系合金においては不明である。ただ、X線回折角が最も近い例が(511)面に配向したNi3 Sn化合物(析出物)であり、このX線回折角は102°で、この102°位置に強度ピークが出る。ただ、このX線回折角(2θ)は、本発明で規定する100〜102°の間ではなく、強度ピークの位置が高角度側に若干ズレている。
因みに、Cu−Ni−Sn−P系合金において生成される、その他の主要な化合物(析出物)の強度ピーク位置(X線回折角)も、図2に各々示し、強度ピーク位置が100〜102°の間に出る化合物(析出物)自体が不明であることを裏付ける。図2において、(331)面に配向したNi3 Sn化合物、(420)面に配向したCu3 Sn化合物は強度ピーク位置が81°と82°の間である。(420)面に配向したNi3 Sn化合物は強度ピーク位置が84°近傍である。(422)面に配向したCu3 Sn化合物は強度ピーク位置が91°と92°の間である。(422)面に配向したNi3 Sn化合物は強度ピーク位置が94°近傍である。(511)面に配向したCu3Sn化合物は強度ピーク位置が99°近傍である。(440)面に配向したCu3 Sn化合物は強度ピーク位置が111°と112°の間である。(440)面に配向したNi3 Sn化合物は強度ピーク位置が115°と116°の間である。(531)面に配向したCu3Sn化合物は強度ピーク位置が120°近傍である。
したがって、これら事実に対する合理的な推論は、本発明で規定する、上記特定の強度ピークaが出る化合物(析出物)は、Ni3 Sn化合物(析出物)におけるNiの一部と、Cuとが置換したために、強度ピークの位置が低角度側にズレて、100〜102°の間になったという点である。即ち、本発明で規定するX線回折角(2θ)が100〜102°の間に出る(特定の強度ピークaの)化合物(析出物)は、Niの一部とCuとが置換した、NiとCuとを含むSn系化合物(以下、特定のSn系化合物とも言う)であると推考される。ただ、このNiとCuとを含むSn系化合物と推考される「化合物」が、Cu−Ni−Sn−P系合金板の上記伸びなどの特性の違いに寄与しているのかどうかは、前記した通り、必ずしも明確ではない。
しかし、銅合金板のX線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間に強度ピークが存在するCu−Ni−Sn−P系合金板では、事実として、前記高効率化、高速化した自動車用端子・コネクタなどの接続部品を製造するプレス成形工程に対応し、端子・コネクタとしての耐応力緩和特性と導電率にも優れ、強度−延性バランスに優れている。したがって、以下の成分組成や製造方法の説明では、X線回折パターンにおけるこの特定強度ピークaが、上記特定のSn系化合物によるものとの推考の上に立って記載する。
(銅合金成分組成)
次に、本発明銅合金の成分組成につき、以下に説明する。本発明では、銅合金の成分組成を、前提として、前記した通り、シャフト炉造塊が可能で、その高生産性ゆえに大幅な低コスト化が可能なCu−Ni−Sn−P系合金とする。
そして、前記高効率化、高速化した自動車用端子・コネクタなどの接続部品を製造するプレス成形工程に対応し、自動車用端子・コネクタなどの接続部品としての要求特性をも満たす、強度−延性バランスに優れ、同時に、耐応力緩和特性と導電率にも優れさせるために、基本的に、Ni:0.1〜3.0%、Sn:0.01〜3.0%、P:0.01〜0.3%を各々含有し、残部銅および不可避的不純物からなる銅合金とする。なお、各元素の含有量の%表示は、全て質量%の意味である。以下に銅合金の合金元素につき、その添加理由や抑制理由について説明する。
(Ni)
Niは、Pとの微細な析出物を形成して、強度や耐応力緩和特性を向上させるのに必要な元素である。また、Niは、本発明で規定するX線回折パターンにおける上記特定強度ピークに関する、上記特定のSn系化合物を形成する。0.1%未満の含有では、最適な本発明製造方法によっても、0.1μm 以下の微細なNi化合物量やNiの固溶量の絶対量や特定のSn系化合物量が不足する。このため、これらNiの効果を有効に発揮させるには、0.1%以上の含有が必要である。
但し、3.0%を超えて過剰に含有させると、Niの酸化物、晶出物、析出物などの化合物が粗大化、あるいは粗大なNi化合物が増大する。この結果、微細なNi化合物量やNiの固溶量が低下する。また、これらの粗大化したNi化合物は、破壊の起点となるため、強度や耐応力緩和特性だけでなく、伸びも低下する。したがって、Niの含有量は0.1〜3.0%の範囲、好ましくは、0.3〜2.0%の範囲とする。
(Sn)
Snは、銅合金中に固溶して強度を向上させる。また、Snは、本発明で規定するX線回折パターンにおける上記特定強度ピークに関する、上記特定のSn系化合物を形成する。さらに、マトリックスに固溶しているSnは焼鈍中の再結晶による軟化を抑制する。Sn含有量が0.01%未満では、Snが少な過ぎて、強度−延性バランスを向上できない。一方、Sn含有量が3.0%を超えると導電率が著しく低下するだけでなく、前記固溶しているSnが結晶粒界に偏析して、伸びが低下する。したがって、Snの含有量は0.01〜3.0%の範囲、好ましくは0.1〜2.0%の範囲とする。
(P)
Pは、Niと微細な析出物を形成して、強度や耐応力緩和特性を向上させるのに必要な元素である。また、Pは脱酸剤としても作用する。0.01%未満の含有ではP系の微細な析出物粒子が不足するため、0.01%以上の含有が必要である。但し、0.3%を超えて過剰に含有させると、Ni−P金属間化合物析出粒子が粗大化し、強度や耐応力緩和特性だけでなく、熱間加工性も低下する。したがって、Pの含有量は0.01〜0.3%の範囲とする。好ましくは、0.02〜0.2%の範囲とする。
(Fe、Zn、Mn、Si、Mg)
Fe、Zn、Mn、Si、Mgは、スクラップなどの溶解原料から混入しやすい不純物である。これらの元素は、各々の含有効果があるものの、総じて導電率を低下させる。また、含有量が多くなると、シャフト炉で造塊しにくくなる。したがって、高い導電率を得る場合には、各々、Fe:0.5%以下、Zn:1%以下、Mn:0.1%以下、Si:0.1%以下、Mg:0.3%以下と規制する。言い換えると、本発明では、これら上限値以下の含有は許容する。
Feは、Snと同様に、銅合金の再結晶温度を高める。しかし、0.5%を超えると導電率が低下する。好ましくは、0.3%以下とする。
Znは、錫めっきの剥離を防止する。しかし、1%を超えると導電率が低下して高導電率を得られない。また、シャフト炉で造塊する場合は0.05%以下が望ましい。そして、自動車用端子として使用する温度領域(約150〜180℃)であれば、0.05%以下の含有でも錫めっきの剥離を防止できる効果がある。
Mn、Siには脱酸剤としての効果がある。しかし、0.1%を超えると、導電率が低下して高導電率を得られない。また、シャフト炉で造塊する場合には、更に、Mn:0.001%以下、Si:0.002%以下と各々することが望ましい。
Mgは耐応力緩和特性を向上させる作用がある。しかし、0.3%を超えると、導電率が低下して高導電率を得られない。また、シャフト炉で造塊する場合には、0.001%以下が望ましい。
(Ca、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Au、Pt)
本発明銅合金は、更に、不純物として、Ca、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Au、Ptを、これらの元素の合計で1.0%以下含有することを許容する。これらの元素は、結晶粒の粗大化を防止する作用があるが、これらの元素の合計で1.0%を越えた場合、導電率が低下して高導電率を得られない。また、シャフト炉で造塊しにくくなる。
この他、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルも不純物であり、これらの元素の合計で0.1%以下に制限することが好ましい。
(銅合金板製造方法)
次に、本発明銅合金板の製造方法について以下に説明する。本発明銅合金板の製造工程自体は、仕上げ焼鈍工程の条件を除き、常法により製造できる。即ち、成分組成を調整した銅合金溶湯の鋳造、鋳塊面削、均熱、熱間圧延、そして冷間圧延と焼鈍の繰り返しにより最終(製品)板を得る。但し、本発明銅合金板を製造するための好ましい製造条件があり、以下に説明する。
先ず、前記した本発明銅合金組成の鋳造の際には、大規模溶解炉であるシャフト炉での高生産性な造塊が可能である。但し、銅合金溶解炉での合金元素の添加完了から鋳造開始までの所要時間を1200秒以内とし、更に、鋳塊の加熱炉より鋳塊を抽出してから熱延終了までの所要時間を1200秒以下と、できるだけ短時間とすることが好ましい。
このような、銅合金溶解炉での合金元素の添加完了から鋳造開始までの短時間化と、更に、鋳塊の加熱炉より鋳塊を抽出してから熱間圧延終了までの短時間化によって、粗大なNi化合物を抑制するとともに、微細なNi化合物量やNiの固溶量を確保することができる。この結果、前提として、銅合金板の、導電率、耐応力緩和特性、強度を確保できる。
なお、後段の主に冷延条件、焼鈍条件により、微細なNi化合物量やNiの固溶量を制御しようとしても、熱間圧延終了までの上記前段の工程において、微細なNi化合物量やNiの固溶量の絶対量が少なくなっている。更に、上記前段の工程において生成した粗大なNi化合物が多い場合には、冷延、焼鈍工程で析出した微細生成物は、この粗大生成物にトラップされてしまい、マトリックス中に独立して存在する微細生成物はますます少なくなる。このため、Niの添加量が多い割には、十分な強度と優れた耐応力緩和特性を得ることができなくなる可能性がある。
熱間圧延については、常法に従えばよく、熱間圧延の入り側温度は600〜1000℃程度、終了温度は600〜850℃程度とされる。熱間圧延後は水冷又は放冷する。
その後、冷間圧延と焼鈍とを繰り返し行なって、製品板厚の銅合金板などとする。焼鈍と冷間圧延は、最終(製品)板厚に応じて繰り返されても良い。冷間粗圧延は最終仕上げ圧延において30〜80%程度の加工率が得られるように、加工率を選択する。冷間粗圧延の途中に適宜中間の再結晶焼鈍を挟むことができる。
(仕上げ焼鈍)
本発明銅合金板では、前記した通り、仕上げ焼鈍条件の特徴的な制御によって、前記した、X線回折パターンにおける強度ピーク位置が100〜102°の間に出る、前記した特定Sn系化合物を生成させる。そして、通常は仕上げ焼鈍によって低下する強度を下げること無しに、また、通常予想される導電率向上効果以上に導電率を向上させ、しかも耐応力緩和特性は維持した上で、得られた銅合金板の伸びを向上させ、強度−延性バランスに優れた銅合金板を得る。通常、常識的には、仕上げ焼鈍による回復・再結晶現象によって、仕上げ焼鈍後の強度は低下するが、本発明の仕上げ焼鈍条件の特徴的な制御では、強度は下がらずに保持され、却って伸びが向上する。また、導電率も向上する。
仕上げ焼鈍温度は、板の実体温度として、最高到達温度が500〜800℃の範囲で行い、この温度範囲での保持時間は好ましくは10〜60秒とする。そして、この最高到達温度への板の平均昇温速度を50℃/s以上とするとともに、板を室温まで冷却する際に、400℃から室温までの板の平均冷却速度を40〜100℃/hの範囲とする。
この平均昇温速度が50℃/s未満と遅すぎると、板の昇温中に、Ni−PなどのNi化合物(析出物)が粗大化して、特に、伸び、強度、耐応力緩和特性を兼備させることができない。この平均昇温速度は速い程よいが、その上限値は、仕上げ焼鈍に使用する焼鈍炉の設備的な能力によって定まる。
また、400℃から室温までの平均冷却速度が40/h未満と遅すぎても、Ni−PなどのNi化合物(析出物)が粗大化して、特に、伸び、伸び、強度、耐応力緩和特性を兼備させることができない。更に、この平均冷却速度が遅すぎると、重大には、粗大化したNi−PなどのNi化合物成長のために、優先的に固溶Niが消費される。このため、前記した特定Sn系化合物が生成せずに、当該銅合金板のX線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間に強度ピークも存在しなくなる。また、結晶粒も粗大化するために、強度と伸びが低下する。
一方、この400℃から室温までの平均冷却速度が100℃/hを越えて速すぎても、析出物の微細化は可能ではあるが、重大には、平均冷却速度が遅すぎる場合と同様に、前記した特定Sn系化合物が生成せずに、当該銅合金板の前記X線回折パターンにおける特定の強度ピークも存在しなくなる。この結果、400℃から室温までの平均冷却速度が遅すぎても速すぎても、特に伸び、強度が低くなり、導電率、強度−延性バランスに優れた銅合金板を得ることができず、耐応力緩和特性を含めて、これら特性を兼備させることができない。
なお、最高到達温度からの冷却に際し、400℃に至るまでの高温側の板の平均冷却速度は、自由に選択できる。ただ、焼鈍工程の効率低下防止と、結晶粒径の粗大化防止とを合わせて考慮すると、平均冷却速度を100℃/h以上とすることが好ましい。
最終仕上げ冷間圧延後の歪み取り焼鈍、あるいは安定化焼鈍は、実体温度250〜450℃×20〜40秒で行うのが望ましい。これにより最終仕上げ圧延で導入された歪みが除去され、かつ材料の軟化がなく強度の低下を抑制できる。
以下に本発明の実施例を説明する。組成と仕上げ焼鈍条件(連続焼鈍)を変えた種々のCu−Ni−Sn−P系合金の銅合金薄板を製造し、導電率、強度、伸び、耐応力緩和特性などの諸特性を評価した。
具体的には、表1に示す各化学成分組成の銅合金をそれぞれコアレス炉にて溶製した後、半連続鋳造法(鋳造の冷却凝固速度2℃/sec)で造塊して、厚さ70mm×幅200mm×長さ500mmの鋳塊を得た。これら各鋳塊を、共通して、以下の条件にて圧延して銅合金薄板を製造した。各鋳塊の表面を面削して加熱後、加熱炉で960℃で加熱した後、直ちに熱延終了温度750℃で熱間圧延を行って厚さ16mmの板とし、650℃以上の温度から水中に急冷した。
この際、溶解炉での合金元素添加完了から鋳造開始までの所要時間は、各例とも共通して1200秒以下とし、加熱炉抽出から熱延終了までの所要時間は、各例とも共通して1200秒以下とした。
この板を、酸化スケールを除去した後、冷延→連続仕上げ焼鈍→冷延→歪み取り焼鈍を行なって、銅合金薄板を製造した。即ち、一次冷間圧延(粗冷間圧延、中延べ冷間圧延)後の板を面削した。この板の仕上げ焼鈍を、焼鈍炉にて、表2に示す平均昇温速度、最高到達温度、400℃から室温までの平均冷却速度で各々行った。なお、最高到達温度から400℃までの平均冷却速度は100℃/sの急冷とした。また、各例とも、最高到達温度では、共通して20秒間保持した。
この仕上げ焼鈍後に、圧下率を60%とした仕上げ冷間圧延を行い、その後、実体温度400℃×20秒の低温の歪み取り焼鈍を行って、厚さ0.25mmの銅合金薄板を得た。
(X線回折パターン)
このようにして得た各銅合金薄板から試験片を採取し、理学電機製X線回折分析装置(型式:RINT1500)により、試験片表面のX線回折パターンを測定した。そして、このX線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間(101°近傍)の強度ピークの有無を測定した。走査速度は2°/分、サンプリング幅は0.02°とした。
なお、X線回折角100〜102°の間に、ノイズによる強度ピークの振れ(ぶれ)を越えて、実質的に強度ピークが存在するものと認められれば、強度ピークが存在すると判定した。また、これとは逆に、このX線回折角の間に、ノイズによる強度ピークの振れ(ぶれ)しかないと認められれば、強度ピークが存在しないと判定した。これらの結果を表2に示す。
また、各例とも、得た各銅合金板から試料を切り出し、導電率測定、引張試験、応力緩和率測定を行った。これらの結果も表2に示す。
(引張試験)
前記銅合金薄板から試験片を採取し、試験片長手方向が板材の圧延方向に対し直角方向となるように、機械加工にてJIS5号引張試験片を作製した。そして、5882型インストロン社製万能試験機により、室温、試験速度10.0mm/min、GL=50mmの条件で、伸びを含めた、機械的な特性を測定した。なお、耐力は永久伸び0.2%に相当する引張り強さである。
(導電率測定)
前記銅合金薄板から試料を採取し、導電率を測定した。銅合金板試料の導電率は、ミーリングにより、幅10mm×長さ300mm の短冊状の試験片を加工し、JIS−H0505に規定されている非鉄金属材料導電率測定法に準拠し、ダブルブリッジ式抵抗測定装置により電気抵抗を測定して、平均断面積法により導電率を算出した。
(応力緩和特性)
前記銅合金薄板の、圧延方向に対して平行方向の応力緩和率を測定し、この方向の耐応力緩和特性を評価した。具体的には、前記銅合金薄板から試験片を採取し、図3に示す片持ち梁方式を用いて測定した。幅10mmの短冊状試験片1(長さ方向が板材の圧延方向に対し平行方向になるもの)を切り出し、その一端を剛体試験台2に固定し、試験片1のスパン長Lの部分にd(=10mm)の大きさのたわみ量を与える。このとき、材料耐力の80%に相当する表面応力が材料に負荷されるようにLを決める。これを180℃のオーブン中に30時間保持した後に取り出し、たわみ量dを取り去ったときの永久歪みδを測定し、RS=(δ/d)×100で応力緩和率(RS)を計算する。なお、180℃×30時間の保持は、ラーソン・ミラーパラメーターで計算すると、ほぼ150℃×1000時間の保持に相当する。
表2から明らかな通り、表1の本発明組成内の銅合金(合金番号1〜10)である発明例1〜13は、仕上げ焼鈍の平均昇温速度と、特に400℃から室温までの平均冷却速度とが、好ましい条件内で製造されている。また、加熱炉抽出温度、熱延終了温度も適切で、溶解炉での合金元素添加完了から鋳造開始までの所要時間や加熱炉抽出から熱延終了までの所要時間も短時間で適切である。
このため、表2の発明例には、前記X線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間の強度ピーク(前記図1、2の特定強度ピークa)が存在する。なお、前記した図1、2には、発明例1のみのX線回折パターンを示しているが、他の発明例にも、この発明例1と同様、X線回折角(2θ)が100〜102°の間に、aの矢印で示す特定強度ピークが存在する。
また、この他、発明例は、組成範囲が適切で、また上記した好ましい条件内で製造されているために、粗大なNiの酸化物、晶出物、析出物などのNi化合物が抑制され、微細なNi化合物などの量や、Niの固溶量を確保できているものと推考される。
この結果、前記発明例は、導電率が32%IACS以上で、圧延方向に対し平行方向の応力緩和率が15%以下である端子・コネクタ特性を有している。そして、その上で、更に、0.2%耐力が500MPa以上であるとともに、伸びが10%以上である機械的特性を有する。即ち、前記発明例は、特に伸び、強度、導電率が高く、導電率、強度−延性バランスに優れた銅合金板となっている。また、耐応力緩和特性も基準を満足するものであり、これら特性を兼備させることができている。
したがって、前記発明例は、前記大きなひずみ速度がかかる高速変形領域での曲げ加工条件となる、高効率化、高速化した自動車用端子・コネクタなどの接続部品製造のプレス成形工程でも、曲げ加工が可能な高い成形性を有している。
ただ、表2の発明例の中でも、仕上げ焼鈍の平均昇温速度が50℃/sの下限値と比較的遅い発明例2、400℃から室温までの平均冷却速度が40℃/hの下限値と比較的遅い発明例3は、これらの条件が好適な発明例1、5に比して、強度、伸び、耐応力緩和特性が、いずれも比較的低くなっている。また、400℃から室温までの平均冷却速度が100℃/hの上限値と比較的速い発明例4は、これらの条件が好適な発明例1、5に比して、特に伸びが比較的低くなっている。
また、表2の発明例の中でも、その他の元素量が前記した好ましい上限を越える発明例12、13(表1の合金番号9、10)は、導電率が比較的高い他の発明例に比して、導電率が低くなっている。発明例12は、元素Aグループ:Ca、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Au、Ptの元素の合計が、表1の合金番号9の通り、前記した好ましい上限1.0質量%を越えて高い。発明例13は、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの合計が、表1の合金番号10の通り、前記した好ましい上限0.1質量%を越えて高い。
表2の発明例6(表1の合金番号3)はNi含有量が下限値0.1%である。発明例7(表1の合金番号4)はNi含有量が上限値3.0%である。発明例8(表1の合金番号5)はSn含有量が下限値0.01%である。発明例9(表1の合金番号6)はSn含有量が上限値3.0%である。発明例10(表1の合金番号7)はP含有量が下限値0.01%である。発明例11(表1の合金番号8)はP含有量が上限値0.3%である。
したがって、主要合金元素量が下限値である表2の発明例6、発明例8、発明例10は、主要合金元素量が適切により多い発明例1、5に比して、特に、耐応力緩和特性、強度が比較的低い。また、主要合金元素量が上限値である発明例7、発明例9、発明例11は、主要合金元素量が適切により少ない発明例1、5に比して、導電率や耐応力緩和特性、伸びが比較的低い。
表2の比較例14〜19は、仕上げ焼鈍などの製造条件が好ましい範囲内であるため、発明例と同様に、前記X線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間の強度ピーク(前記図1、2の特定強度ピークa)が存在する。にもかかわらず、これら比較例は、表1の合金番号11〜16の本発明組成外の銅合金を用いているために、導電率、耐応力緩和特性、強度、伸びのいずれかが、発明例に比して著しく劣る。
比較例14はNiの含有量が下限を低めに外れている(表1の合金番号11)。このため、強度や耐応力緩和特性、伸びが低い。比較例15はNiの含有量が上限を高めに外れている(表1の合金番号12)。このため、強度、耐応力緩和特性、伸びが低い。
比較例16はSnの含有量が下限を低めに外れている(表1の合金番号13)。このため、比較例16は、強度、伸び、耐応力緩和特性が低すぎる。比較例17の銅合金はSnの含有量が上限を高めに外れている(表1の合金番号14)。このため、導電率、伸びが低い。
比較例18はPの含有量が下限を低めに外れている(表1の合金番号15)。このため、強度、伸び、耐応力緩和特性が低い。比較例19はPの含有量が上限を高めに外れている(表1の合金番号16)。このため、熱間圧延中に割れを生じて、特性評価ができなかった。
表2の比較例20〜24は、表1の本発明組成内の銅合金(合金番号1、2)であり、他の製造条件は発明例と同じく好ましい範囲内である。にもかかわらず、仕上げ焼鈍の条件のみが好ましい範囲から外れる。比較例20は仕上げ焼鈍の平均昇温速度が下限未満で遅過ぎる。比較例21、22は400℃から室温までの平均冷却速度が上限を超えて速すぎる。比較例23、24は400℃から室温までの平均冷却速度が下限未満で遅すぎる。
この結果、比較例20〜24は、発明例と異なり、前記した図1のように、X線回折角(2θ)が100〜102°の間には特定強度ピークaは存在しない。したがって、これら比較例は、耐応力緩和特性では、むしろ発明例と同等であるものの、共通して、特に導電率、強度、伸びが、いずれも発明例に比して著しく劣る。
以上の結果から、ひずみ速度が大きい高速変形領域での加工条件となる、高効率化、高速化したプレス成形工程に対応し、端子・コネクタとしての要求特性をも満たし、強度−延性バランスに優れたCu−Ni−Sn−P系合金板を得るための、本発明銅合金板の成分組成、前記X線回折パターン、更には、前記X線回折パターンを得るための好ましい製造条件の意義が裏付けられる。
即ち、本発明では、0.2%耐力が500MPa以上であっても、伸びが10%以上であり、導電率が32%IACS以上で、応力緩和率が15%以下であるような新規なCu−Ni−Sn−P系合金板が得られた。また、より優れた特性として、導電率が35%IACS以上、応力緩和率が15%以下、0.2%耐力が520MPa以上、伸びが12%以上であるようなCu−Ni−Sn−P系合金板が得られた。
Figure 2009041056
Figure 2009041056
以上説明したように、本発明によれば、前記高効率化、高速化した自動車用端子・コネクタなどの接続部品を製造するプレス成形工程に対応し、端子・コネクタとしての要求特性をも満たす、強度−延性バランスに優れたCu−Ni−Sn−P系合金板を提供することができる。この結果、特に自動車用端子・コネクタなどの接続部品用として、高効率化、高速化したプレス成形工程により製造される用途に好適である。
銅合金板のX線回折パターンを示す説明図である。 銅合金板のX線回折パターンを示す説明図である。 銅合金板の耐応力緩和試験を説明する断面図である。 箱形コネクタの構造を示す断面図である。
符号の説明
a:X線回折パターンにおける100〜102°の間の特定強度ピーク、
1:試験片、2:試験台、3:箱形コネクタ(メス端子)、4:上側ホルダー部、5:押圧片、6:オス端子、7:ワイヤ接続部、8:固定用舌片

Claims (7)

  1. 質量%で、Ni:0.1〜3.0%、Sn:0.01〜3.0%、P:0.01〜0.3%を各々含有し、残部銅および不可避的不純物からなる銅合金板であって、導電率が32%IACS以上で、圧延方向に対し平行方向の応力緩和率が15%以下である端子・コネクタ特性を有した上で、更に、0.2%耐力が500MPa以上であるとともに、伸びが10%以上である機械的特性を有することを特徴とする強度−延性バランスに優れた銅合金板。
  2. 質量%で、Ni:0.1〜3.0%、Sn:0.01〜3.0%、P:0.01〜0.3%を各々含有し、残部銅および不可避的不純物からなる銅合金板であって、この銅合金板のX線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間に強度ピークが存在し、導電率が32%IACS以上で、圧延方向に対し平行方向の応力緩和率が15%以下である端子・コネクタ特性を有した上で、更に、0.2%耐力が500MPa以上であるとともに、伸びが10%以上である機械的特性を有することを特徴とする強度−延性バランスに優れた銅合金板。
  3. 前記銅合金板が、導電率が35%IACS以上で、圧延方向に対し平行方向の応力緩和率が15%以下である端子・コネクタ特性を有した上で、更に、0.2%耐力が520MPa以上であるとともに、伸びが12%以上である機械的特性を有する請求項1または2に記載の強度−延性バランスに優れた銅合金板。
  4. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Fe:0.5%以下、Zn:1%以下、Mn:0.1%以下、Si:0.1%以下、Mg:0.3%以下とした請求項1乃至3のいずれか1項に記載の強度−延性バランスに優れた銅合金板。
  5. 前記銅合金板が、更に、Ca、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Au、Ptの含有量を、これらの元素の合計で1.0質量%以下とした請求項1乃至4のいずれか1項に記載の強度−延性バランスに優れた銅合金板。
  6. 前記銅合金板が、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量を、これらの元素の合計で0.1質量%以下とした請求項1乃至5のいずれか1項に記載の強度−延性バランスに優れた銅合金板。
  7. 請求項1乃至6のいずれかの銅合金板を製造する方法であって、請求項1乃至6のいずれかの組成の銅合金を鋳造し、この銅合金鋳塊の熱間圧延、冷間圧延、仕上げ焼鈍を順次行って、銅合金板を得るに際し、前記仕上げ焼鈍を銅合金板の最高到達温度が500〜800℃の範囲で行い、この温度への銅合金板の平均昇温速度を50℃/s以上とするとともに、銅合金板を室温まで冷却する際に、400℃から室温までの銅合金板の平均冷却速度を40〜100℃/hの範囲で行い、得られた銅合金板を、X線回折パターンにおけるX線回折角(2θ)が100〜102°の間に強度ピークが存在し、かつ、導電率が32%IACS以上で、圧延方向に対し平行方向の応力緩和率が15%以下である端子特性を有した上で、更に、0.2%耐力が500MPa以上であるとともに、伸びが10%以上である機械的特性を有するものとする強度−延性バランスに優れた銅合金板の製造方法。
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