以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、レーザ光走査部1、画像プロセス部2、転写部3、第1の補正パターン検出センサ4a、第2の補正パターン検出センサ4b、制御部5、記憶部6、画像処理部7、操作・表示部8、コントローラ9、スキャナ部10、および、ネットワークI/F11を備えて構成されている。
レーザ光走査部1は、画像信号により変調されたレーザ光を、主走査方向に偏向して感光体ドラムに照射する。レーザ光走査部1は、LDユニット21、偏向部22、F−θレンズ23、反射ミラー24、第1の同期検出ミラー25、第2の同期検出ミラー26、レーザ光位置検出センサ27、および、後端部主走査同期検出センサ28を備えて構成されている。
LDユニット21は、レーザダイオード(LD)からレーザ光を射出するユニットである。LDユニット21は、レーザダイオード31とLDドライバ32とを備えて構成されている。レーザダイオード31は、レーザ光を発生するダイオードである。LDドライバ32は、レーザダイオード31を駆動する回路であり、点灯制御、光量調節などを行う。
偏向部22は、LDユニット21から射出されたレーザ光を偏向走査する。偏向部22は、ポリゴンミラー33、ポリゴンモータ34、および、ポリゴンモータドライバ35を備えて構成されている。ポリゴンミラー33は、レーザ光を偏向走査する回転多面鏡である。ポリゴンモータ34は、ポリゴンミラーを回転するモータである。ポリゴンモータドライバ35は、ポリゴンモータ34を駆動する回路である。
F−θレンズ23は、レーザ光を収束させる結像レンズである。反射ミラー24は、レーザ光を感光体ドラム57に導く鏡である。なお、感光体ドラム57は、後述する画像プロセス部2の構成要素の一つである。
第1の同期検出ミラー25は、レーザ光をレーザ光位置検出センサ27に導く鏡である。第2の同期検出ミラー26は、レーザ光を後端部主走査同期検出センサ28に導く鏡である。
レーザ光位置検出センサ27は、主走査方向の先端に到達したレーザ光を検出するとともに、レーザ光の副走査方向の位置を検出する。レーザ光位置検出センサ27は、第1の受光素子36と第2の受光素子37とを備えて構成されている。第1の受光素子36と第2の受光素子37は、例えば、フォトダイオード(PD)であり、受光したレーザ光に反応して電気信号を発生する。ここで、第1の受光素子36は、主走査方向の先端に到達したレーザ光を検出することに使用される。さらに、第1の受光素子36と第2の受光素子37とで非平行PD38を構成し、この非平行PD38は、レーザ光の副走査方向の位置を検出する。非平行PD38の構成および仕組みについては、後ほど説明する。
後端部主走査同期検出センサ28は、主走査方向の後端に到達したレーザ光を検出し、第3の受光素子39を備えて構成されている。第3の受光素子39は、例えば、フォトダイオード(PD)であり、受光したレーザ光に反応して電気信号を発生する。後ほど説明するが、レーザ光位置検出センサ27の第1の受光素子36が主走査方向の先端に到達したレーザ光を検出したタイミングと、後端部主走査同期検出センサ28の第3の受光素子39が主走査方向の後端に到達したレーザ光を検出したタイミングとを利用し、レーザ光の主走査方向の走査倍率を補正する。
画像プロセス部2は、構成要素の一つである感光体ドラム57上にトナー像を形成し、転写部3は、このトナー像を後述する転写紙52上に転写する。なお、転写紙52は、紙媒体だけでなくOHPフィルム等の転写材であってもよい。画像プロセス部2および転写部3の構成、および、画像プロセス部2がトナー像を形成し、転写部3がトナー像を転写紙52上に転写する仕組みについては、後ほど説明する。
第1の補正パターン検出センサ4aと第2の補正パターン検出センサ4bは、転写部3の後述する転写ベルト53上に形成する画像の色ずれ補正用の補正パターンを検出する。補正パターンについては、後ほど説明する。
制御部5は、画像処理部7から書込み信号を受け取り、レーザ光走査部1、画像プロセス部2、および、転写部3の動作を制御し、レーザ光の副走査方向の位置の変位量Dを計測し、色ずれ補正を決定するとともに、第1の補正パターン検出センサ4aと第2の補正パターン検出センサ4bから受け取った補正用パターンから補正量を算出し、実際に色ずれ補正を行う。制御部5は、書込み制御部41、画像形成制御部42、位置変位量計測部43、色ずれ補正決定部44、および、色ずれ補正部45を備えて構成されている。
書込み制御部41は、レーザ光走査部1によるレーザ光の書込み(照射)を制御する。書込み制御部41の機能は、レーザ光による書込みを制御する専用ICである書込み制御ASICにより実現される。書込み制御部41によるレーザ光の書込み制御の方法は、後ほど説明する。
画像形成制御部42は、画像プロセス部2の感光体ドラム57上へのトナー画像の形成と、転写部3による、形成されたトナー画像の転写紙52上への転写とを制御する。画像形成制御部42によるトナー像の形成制御の方法と転写紙52への転写制御の方法は、後ほど説明する。
位置変位量計測部43は、非平行PD38が検出したレーザ光の副走査方向の位置の変位量Dを計測する。位置変位量計測部43による変位量Dの計測の方法は、後ほど説明する。色ずれ補正決定部44は、色ずれ補正を行うことを決定する。色ずれ補正決定部44による色ずれ補正決定の方法は、後ほど説明する。色ずれ補正部45は、色ずれ補正決定部44の決定に従い、色ずれ補正を行う。色ずれ補正部45による色ずれ補正の方法は、後ほど説明する。ここで、画像形成制御部42、位置変位量計測部43、色ずれ補正決定部44、および、色ずれ補正部45の機能は、CPUにより実現される。
記憶部6は、色ずれ補正閾値Sと基準位置Pとを記憶する。記憶部6は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体であり、色ずれ補正閾値記憶部46と、基準位置記憶部47とを備えて構成されている。色ずれ補正閾値記憶部46は、色ずれ補正を行うかどうかを決定するための色ずれ補正閾値Sを記憶する。基準位置記憶部47は、色ずれ補正の終了直後に非平行PD38が検出したレーザ光の副走査方向の位置である基準位置Pを記憶する。
画像処理部7は、画像データから書込み信号を生成する処理を行う。操作・表示部8は、オペレータが画像形成に係る条件の入力操作を行うとともに、オペレータのために画像形成装置の状態を表示する。コントローラ9は、画像データの取り込みなどを制御する。スキャナ部10は、紙原稿から画像を取り込む。ネットワークI/F11は、外部からプリント要求などを受け取る。
(レーザ光の走査)
レーザ光走査部1の動作について簡単に説明する。図2は、レーザ光走査部1の動作を説明するための図である。レーザ光走査部1は、図2に示すように、LDユニット21からのレーザ光L1をコリメートレンズによって平行光線として放出し、放出したレーザ光L1をポリゴンミラー33によって偏向走査させ、偏向走査させたレーザ光L2を、F−θレンズ23から構成される結像レンズおよび反射ミラー24によって、ドラム状の感光体ドラム57の帯電した表面に結像させる。ここで、感光体ドラム57は、帯電した表面にレーザ光で潜像を形成するドラム状の感光体であり、前述したように画像プロセス部2の構成要素の一つである。この際に、レーザ光L1は、画像信号に基づいて変調されて点灯、消灯を繰り返し、ポリゴンミラー33の回転に従って、主走査方向に反復して走査されるとともに、感光体ドラム57が回転して副走査を行なうことによって感光体ドラム57上に静電潜像が形成される。これらの一連の動作は書込み制御部41により制御される。
また、感光体ドラム57に照射されるレーザ光の主走査方向の先端位置には、第1の同期検出ミラー25が配設されている。第1の同期検出ミラー25で反射されたレーザ光L3は、レーザ光が主走査方向の先端部に到達したことと、レーザ光の主走査方向の一走査の周期とを検出するため、レーザ光位置検出センサ27の第1の受光素子36で検出される。さらに、レーザ光L3は、レーザ光の副走査方向の位置を検出するため、レーザ光位置検出センサ27の第1の受光素子36と第2の受光素子37(非平行PD38を構成する)とで検出される。
また、感光体ドラム57に照射されるレーザ光の主走査方向の後端位置には、第2の同期検出ミラー26が配設されている。第2の同期検出ミラー26で反射されたレーザ光L4は、レーザ光が主走査方向の後端部に到達したことを検出するため、後端部主走査同期検出センサ28の第3の受光素子39で検出される。
なお、レーザ光位置検出センサ27の第1の受光素子36がレーザ光を検出してから、後端部主走査同期検出センサ28の第3の受光素子39がレーザ光を検出するまでの時間を計測し、計測結果に応じて画像信号を構成する画素を書き込むためのクロックの周波数及び位相を変化させ、レーザ光の主走査方向の走査倍率を補正することにより、環境温度の変化や、装置内温度の変化等によって発生する画像の倍率誤差、色ずれを補正することが可能である。本補正方法は、本実施の形態で説明する色ずれ補正方法とは異なる種類の補正方法である。
(非平行PDの構成と仕組み)
非平行PDの構成と仕組みについて説明する。図3は、非平行PDの構成の概略を示した図である。前述したように、非平行PD38は、第1の受光素子36と第2の受光素子37とで構成されている。そして、第1の受光素子36は、第1の同期検出ミラー25で反射されたレーザ光L3がその受光面に対して垂直に入射するとともに、その受光面が主走査方向と平行になるように配置されている。さらに、第2の受光素子37は、第1の受光素子36に対して角度θ傾斜しており、すなわち非平行に配置されている。そして、レーザ光L3は、最初に第1の受光素子36に入射し、その後第2の受光素子37に入射することとなるが、レーザ光L3が第1の受光素子36に入射するタイミングと、レーザ光L3が第2の受光素子37に入射するタイミングとの間隔から、レーザ光L2の副走査方向の位置を検出することができる。
(副走査方向の変位量の計測)
位置変位量計測部43による変位量Dの計測方法を説明する。図4は、非平行PD38を使用して変位量Dを計測する方法を説明する図である。図の上側は、主走査方向の反対側からみた非平行PD38を表し、レーザ光は、最初に第1の受光素子36に入射し、その後第2の受光素子37に入射している。図の下側は、レーザ光が第1の受光素子36と第2の受光素子37にそれぞれ入射するタイミングで発生する同期検出信号を表す。さらに、本図では、レーザ光の副走査方向の位置が下方向に変化した場合を表しており、レーザ光LAは色ずれ補正を行った直後のレーザ光の位置(基準位置)、レーザ光LBは色ずれ補正から一定の時間が経過したレーザ光の位置(計測位置)を表す。
レーザ光LAの同期検出信号Aにおいて、レーザ光LAが第1の受光素子36に入射することによって発生する電気信号(同期信号1)と、レーザ光LAが第2の受光素子37に入射することによって発生する電気信号(同期信号2)の間隔を、所定周波数のクロックにてカウントした値をカウントAとする。これに対して、レーザ光LBの同期検出信号Bにおいて、レーザ光LBが第1の受光素子36に入射することによって発生する電気信号(同期信号1)と、レーザ光LBが第2の受光素子37に入射することによって発生する電気信号(同期信号2)の間隔を、所定周波数のクロックにてカウントした値をカウントBとする。
レーザ光LBの位置(計測位置)は、レーザ光LAの位置(基準位置)に対して下方向に変位しており、カウントBの値はカウントAの値より大きくなる。仮に、本図とは反対に、レーザ光LBがレーザ光LAの位置に対して上方向に変位していれば、カウントBの値は小さくなる。そして、カウントAとカウントBの差から、レーザ光LAに対するレーザ光LBの変位量Dを算出することができる。計算例を以下に示す。
計測時の設定を以下のように仮定する。
・主走査解像度:600[dpi]
・画素クロック周波数:Cw[MHz]
(この計算例では、1画素クロックで1ドットを表現すると仮定する)
・副走査位置計測用クロック:Cf[MHz]
・基準位置LAのカウント値(カウントA):Cfb
・計測位置LBのカウント値(カウントB):Cfm
・1ドット幅:25.4/600[mm]
つまり、画素クロック周波数Cwの1クロックの期間に25.4/600[mm]走査することになる。よって、副走査位置計測用クロックCfの1クロックでの走査幅は、
・走査幅=(25.4/600)×{(1/Cf)/(1/Cw)}
=(25.4/600)×(Cw/Cf)[mm]
となる。したがって、基準位置LAと計測位置LBとの変位量D’は、
・変位量D’={(25.4/600)×(Cw/Cf)}×(Cfm−Cfb)[mm]・・・(1)
となる。第2の受光素子37が、第1の受光素子36に対して角度θで配置されているとき、上記変位量D’を非平行PD38上での副走査方向の変位量Dに変換すると、
・変位量D=[{(25.4/600)×(Cw/Cf)}×(Cfm−Cfb)]/tanθ[mm]・・・(2)
となる。
このようにして、位置変位量計測部43は、レーザ光の副走査方向の変位量Dを計測する。ここで、(1)式、(2)式のどちらを使用しても構わないが、非平行PD38の設置場所によって、非平行PD38上でのレーザ光の副走査方向の変位量Dと、感光体ドラム57の感光体像面上でのレーザ光の副走査方向の変位量D1との相関関係が異なることに注意が必要である。この相関関係については、後ほど詳しく説明するが、いずれにせよ設計段階で把握しておく必要がある。
(色ずれ補正の決定)
色ずれ補正決定部44による色ずれ補正の決定方法について説明する。図5は、従来の色ずれ補正の実行タイミングと、本実施の形態の色ずれの補正の実行タイミングとをイメージした図である。従来の色ずれ補正では、前回の色ずれ補正からの経過時間や温度変化、印刷枚数などの情報から色ずれ量を予測することによって、所定のタイミングで次回の色ずれ補正を行っている。この場合、転写紙に転写された画像に色ずれが目立つ前に色ずれ補正を行う必要があり、ある程度の余裕をみて早めのタイミングで色ずれ補正を行わなければならない。そのため、実際には色ずれ補正が必要な色ずれ量が発生していなくても(場合によっては色ずれ補正が必要な色ずれ量を超えてしまった後で)、色ずれ補正を行うことになる。
これに対し、本実施の形態では、色ずれ補正と色ずれ補正との間に、リアルタイムでレーザ光の副走査方向の変位量を把握することにより、レーザ光の副走査方向の変位量と相関している副走査方向の色ずれ量を把握することが可能となる。そして、副走査方向の色ずれ量が、人の目に気になる色ずれ量(色ずれ閾値)を超えた場合、すなわち、レーザ光の副走査方向の変位量が閾値を越えた場合に、色ずれ補正を行うことで、色ずれ補正と色ずれ補正の間隔を最大限(適切)に取ることができる。従って、色ずれ補正を行っている間のダウンタイムを減少することが可能になる。さらに、色ずれ量を常に一定量以下に抑えることができるので、印刷品質を維持することが可能となる。
非平行PD38上でのレーザ光の副走査方向の変位量Dと、感光体ドラム57の感光体像面上でのレーザ光の副走査方向の変位量D1との相関関係について説明する。図6は、非平行PD38上でのレーザ光の副走査方向の変位量Dと、感光体ドラム57の感光体像面上でのレーザ光の副走査方向の変位量D1との関係を模式的に表す図である。図では、反射ミラー24と第1の同期検出ミラー25が省略されており、さらに、偏向部22から出射されたレーザ光が、非平行PD38を通過して直接感光体ドラム57へ入射しているが、非平行PD38上でのレーザ光の変位量Dと感光体像面上でのレーザ光の変位量D1との関係は、本実施の形態の画像形成装置100と同じである。
図をみると、色ずれ補正を行った直後のレーザ光LA(基準位置)に対して、色ずれ補正から一定の時間が経過したレーザ光LB(計測位置)は、上方向に変位している。そして、レーザ光の軌跡がLA(基準位置)からLB(計測位置)へ移動するに従い、非平行PD38上でのレーザ光の副走査方向の変位量Dが大きくなり、感光体像面上でのレーザ光の副走査方向の変位量D1も所定の割合で大きくなることがわかる。ここで、感光体像面上でのレーザ光の副走査方向の変位量D1は、副走査方向の色ずれ量に相当する。
従って、色ずれ補正決定部44による色ずれ補正の決定は以下の様に行われる。あらかじめ、副走査方向の色ずれ閾値に対応する感光体像面上でのレーザ光の副走査方向の変位量閾値を決定し、さらに、この変位量閾値に対応する非平行PD38上でのレーザ光の副走査方向の変位量を算出し、この変位量を色ずれ補正閾値Sとする。そして、色ずれ補正決定部44が、非平行PD38上でのレーザ光の副走査方向の変位量が色ずれ補正閾値Sが越えたか否かによって、色ずれ補正を行うか否かを決定することができる。色ずれ補正閾値Sは、各構成要素間の光路長、及び各構成要素の寸法が確定すれば算出可能な固定値である。
(画像形成方法)
画像プロセス部2および転写部3の構成、および、画像プロセス部2がトナー像を形成し、転写部3がトナー像を転写紙52上に転写する仕組みについて説明する。図7は、レーザ光走査部1、画像プロセス部2、および、転写部3の正面図である。
本実施の形態にかかる画像形成装置100は、画像プロセス部2を構成する各々異なる色(イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:C、ブラック:K)の画像を形成する4個の作像ユニット51Y、51M、51C、51Kが、転写媒体としての転写紙52を搬送する転写ベルト53に沿って一列に配置されたダンデム型の方式となっている。転写ベルト53は、駆動回転する駆動ローラ54と従動回転する従動ローラ55との間に架設されており、駆動ローラ54の回転によって図中の矢印方向に回転駆動される。転写ベルト53の下部には、転写紙52が収納された給紙トレイ56が備えられている。この給紙トレイ56に収納された転写紙52のうち最上位置にある転写紙52は、画像形成時に転写ベルト53に向けて給紙され、静電吸着によって転写ベルト53上に吸着される。吸着された転写紙52は、イエロー用の作像ユニット51Yに搬送され、ここでイエローの画像形成が行われる。
各作像ユニット51Y、51M、51C、51Kは、それぞれ感光体ドラム57Y、57M、57C、57Kと、この感光体ドラム57Y、57M、57C、57Kの周囲に配置された帯電器58Y、58M、58C、58K、現像器59Y、59M、59C、59K及び感光体クリーナ60Y、60M、60C、60Kから構成されている。
画像プロセス部2の上方にはレーザ光走査部1が配置されており、各感光体ドラム57Y、57M、57C、57Kに各色の静電潜像を形成するレーザ光LY、LM、LC、LKを照射する。
作像ユニットの感光体ドラム57Yの表面は、帯電器58Yで一様に帯電された後、レーザ光走査部1が照射するイエローの画像に対応したレーザ光LYで露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器59Yで現像され、感光体ドラム上にトナー像が形成される。このトナー像は、感光体ドラム57Yと転写ベルト53上の転写紙52とが接する位置(転写位置)で、転写器61Yによって転写紙52に転写され、これによって、転写紙52上に単色(イエロー)の画像が形成される。転写が終了した感光体ドラム57Yでは、ドラム表面に残った不要なトナーが感光体クリーナ60Yによってクリーニングされ、次の画像形成に備えることとなる。
このように、イエロー用の作像ユニット51Yで単色(イエロー)を転写された転写紙52は、転写ベルト53によってマゼンダ用の作像ユニット51Mに搬送される。ここでも同様に、感光体ドラム57M上に形成されたトナー像(マゼンタ)が転写紙52上に重ねて転写される。転写紙52は、さらに、シアン用の作像ユニット51Cとブラック用の作像ユニット51Kとに順に搬送され、同様に、形成されたトナー像が転写紙52に転写され、これによって転写紙52上にカラー画像を形成してゆく。
そして、ブラック用の作像ユニット51Kを通過してカラー画像が形成された転写紙52は、転写ベルト53から剥離され、定着器62にて定着された後、排紙される。これらの一連の動作は、画像形成制御部42により制御される。なお、転写ベルト53、駆動ローラ54、従動ローラ55、および、転写器61は、転写部3を構成する。
(色ずれ補正方法)
色ずれ補正部45による色ずれ補正の方法について説明する。図8は、転写ベルト53上に補正パターンが形成された状態を示す転写ベルト53の斜視図である。まず、画像プロセス部2と転写部3が、転写ベルト53上に各色の色ずれ補正用の補正パターン63a、63bを形成し、かかる補正パターン63a、63bを第1の補正パターン検出センサ4aと第2の補正パターン検出センサ4bとで検出する。
本実施の形態では、図に示すように、第1の補正パターン検出センサ4aと第2の補正パターン検出センサ4bとを転写ベルト53における主走査方向の両端に配置し、転写ベルト53には、第1の補正パターン検出センサ4aと第2の補正パターン検出センサ4bの配置位置に対応させて補正パターン63a、63bを形成している。補正パターン63a、63bは、転写ベルト53が転動移動し、第1の補正パターン検出センサ4aと第2の補正パターン検出センサ4bを順に通過することによって検出される。
色ずれ補正部45は、補正パターン63a、63bを検出すると、その検出結果から、各種のずれ量や補正量を演算し、各ずれ成分の補正を行う。図9は、転写ベルト53上に形成された補正パターンを示す図である。補正パターン63a、63bは、転写ベルト53上に各色予め設定されたタイミングで、横線および斜め線画像を形成したものである。
転写ベルト53が副走査方向に動くことにより、各色の横線K1、C1、M1、Y1、および、斜め線K2、C2、M2、Y2が、第1の補正パターン検出センサ4aで検出され、各色の横線K3、C3、M3、Y3、および、斜め線K4、C4、M4、Y4が第2の補正パターン検出センサ4bで検出される。そして、検出された各々の線データは色ずれ補正部45に送られ、ブラックに対する各色のずれ量(時間)が算出される。斜め線K2、C2、M2、Y2、K4、C4、M4、Y4は、主走査方向の画像位置、画像倍率がずれることで検出タイミングが変わり、横線K1、C1、M1、Y1、K3、C3、M3、Y3は、副走査方向の画像位置がずれることで検出タイミングが変わる。
色ずれ補正部45において具体的に行われる色ずれ補正は、以下の通りである。主走査方向については、パターンK1からパターンK2の時間を基準とし、パターンC1からパターンC2の時間と比較し、そのずれ分TKC12を求め、さらにパターンK3からパターンK4の時間を基準とし、パターンC3からパターンC4の時間と比較し、そのずれ分TKC34を求める。そして“TKC34−TKC12”が、シアン画像のブラック画像に対する倍率誤差となるので、その量に相当する分だけ画素クロックの周波数を変更する。
そして補正後の画素クロックPCLKを用いて再度補正パターン63a、63bを形成し、再度TKC12とTKC34を求める。そして“(TBKC34+TBKC12)/2”が、シアン画像のブラック画像に対する主走査ずれとなり、そのずれ量分だけ書出し開始タイミングを書込みクロックの1周期単位で変更する。マゼンタ、イエローについても同様である。
副走査方向については、理想の時間をTcとし、パターンK1からパターンC1の時間をTKC1、パターンK3からパターンC3の時間をTKC3とすると、“((TBKC3+TBKC1)/2)−Tc”が、シアン画像のブラック画像に対する副走査方向のずれ量(変位量)となる。そして、この量を補正量として、補正量分だけ書出し開始タイミングを1ライン単位で変更する。マゼンタ、イエローについても同様である。
このようにして、色ずれ補正部45は、主走査方向のずれと副走査方向のずれとを補正し、さらに、他の方法を使用して各色ごとに画像の傾きおよび曲がりなどを検出し補正することにより、色ずれ補正を行う。
(色ずれ補正制御方法)
画像形成装置100が色ずれ補正を行う場合の制御方法を以下に説明する。図10は、画像形成装置100が色ずれ補正を行う場合のフローチャートである。
省エネモードなどの待機状態にあり長時間印刷がなかった後に、印刷開始の指示を受け付けると、色ずれ補正部45は、色ずれ補正を行う(ステップS1001)。
色ずれ補正部45が色ずれ補正を行った後、制御部5は、レーザ光の副走査方向の位置を非平行PD38で検出し、この位置を基準位置Pとして、基準位置記憶部47に記憶する(ステップS1002)。
その後の印刷動作中で、位置変位量計測部43は、任意または所定のタイミングで、非平行PD38が検出したレーザ光の副走査方向の位置を取り込み、基準位置Pからの変位量Dを計測する(ステップS1003)。この計測を印刷動作中に行えば、ダウンタイムは発生しない。一方、この計測を印刷と印刷の間で行えば、フレア等による印刷画質の悪化の懸念を排除することができる。
制御部5は、レーザ光の副走査方向の変位量Dを任意または所定のタイミングで計測しながら、再度色ずれ補正を必要があるか否かを判断する(ステップS1004)。制御部5が色ずれ補正をする必要があると判断した場合(ステップS1004:Yes)、ステップS1005へ進む。全ての印刷処理が終了した等の理由により、制御部5が色ずれ補正をする必要がないと判断した場合(ステップS1004:No)、処理を終了する。
ステップS1005で、色ずれ補正決定部44は、位置変位量計測部43が計測した変位量Dが、色ずれ補正閾値記憶部46に記憶されている色ずれ補正閾値Sを越えたか否かを判断する。変位量Dが色ずれ補正閾値Sを越えたと判断した場合(ステップS1005:Yes)、色ずれ補正決定部44は、色ずれ補正を行うことを決定する。そして、ステップS1001へ戻り、色ずれ補正部45は色ずれ補正を行い、以下のステップを繰り返す。なお、2回目以降の色ずれ補正は、印刷と印刷の間で行う。
色ずれ補正決定部44が変位量Dが色ずれ補正閾値Sを越えていないと判断した場合(ステップS1005:No)、ステップS1003へ戻り、以下のステップを繰り返す。
なお、本実施の形態では、非平行PD38は、レーザ光位置検出センサ27の第1の受光素子36と第2の受光素子37とで構成されているが、後端部主走査同期検出センサ28に、もう1つ受光素子を設けて非平行PD38として構成してもよい。あるいは、非平行PD38を、レーザ光位置検出センサ27とは別個に設けてレーザ光の副走査方向の位置を検出してもよい。この場合には、非平行PD38は、レーザ光を直接受光しても、別途用意したミラーを経由して受光してもよい。
このように、第1の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、色ずれ量と相関関係のあるレーザ光の副走査方向の位置の変位量を位置変位量計測部がリアルタイムで計測し、変位量が閾値を超えた場合には色ずれ補正決定部が色ずれ補正を行うことを決定するので、色ずれ補正と色ずれ補正の間隔を最大限(適切)に取ることができ、色ずれ補正を行っている間のダウンタイムを減少することができるとともに、色ずれ量を常に一定量以下に抑えることができるので印刷品質を維持することが可能となる。
さらに、第1の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、非平行に配置された2つの受光素子がレーザ光を受光する時間間隔の変化から、レーザ光の副走査方向の位置の変位量を検出することが可能となる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、レーザ光の副走査方向の変位量が閾値を超えて色ずれ補正を行うまで、副走査方向のずれに対する補正は何も行われないが、第2の実施の形態では、レーザ光の副走査方向の変位量が閾値を超えて色ずれ補正を行う前に、副走査方向のずれに対して別の補正を行う。第2の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態にかかる画像処理装置の構成について、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第1の実施の形態と同様であるので、同一の符号が付された箇所については、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
図11は、本発明の第2の実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示すブロック図である。画像形成装置200は、レーザ光走査部1、画像プロセス部2、転写部3、第1の補正パターン検出センサ4a、第2の補正パターン検出センサ4b、制御部71、記憶部72、画像処理部7、操作・表示部8、コントローラ9、スキャナ部10、および、ネットワークI/F11を備えて構成されている。
レーザ光走査部1は、LDユニット21、偏向部22、F−θレンズ23、反射ミラー24、第1の同期検出ミラー25、第2の同期検出ミラー26、レーザ光位置検出センサ27、および、後端部主走査同期検出センサ28を備えて構成されている。LDユニット21は、レーザダイオード31とLDドライバ32とを備えて構成されている。偏向部22は、ポリゴンミラー33、ポリゴンモータ34、および、ポリゴンモータドライバ35を備えて構成されている。レーザ光位置検出センサ27は、第1の受光素子36と第2の受光素子37とを備えて構成されており、さらに、第1の受光素子36と第2の受光素子37とで非平行PD38を構成している。後端部主走査同期検出センサ28は、第3の受光素子39を備えて構成されている。
制御部71は、画像処理部7から書込み信号を受け取り、レーザ光走査部1、画像プロセス部2、および、転写部3の動作を制御し、レーザ光の副走査方向の位置の変位量Dを計測し、レジスト調整を決定するとともにレジスト調整を行い、色ずれ補正を決定するとともに、第1の補正パターン検出センサ4aと第2の補正パターン検出センサ4bから受け取った補正用パターンから補正量を算出し、実際に色ずれ補正を行う。制御部71は、書込み制御部41、画像形成制御部42、位置変位量計測部43、色ずれ補正決定部44、色ずれ補正部45、レジスト調整決定部73、および、レジスト調整部74を備えて構成されている。
レジスト調整決定部73は、レジスト調整を行うことを決定し、レジスト調整部74は、レジスト調整決定部73の決定に従い、レジスト調整を行う。ここで、レジスト調整とは、レーザ光走査部1がレーザ光を感光体ドラム57へ照射するタイミング(書出しタイミング)をずらすことにより副走査方向のずれを補正することをいう。ここで、レジスト調整決定部73およびレジスト調整部74の機能は、CPUにより実現される。
記憶部72は、色ずれ補正閾値S、基準位置P、レジスト調整閾値RS、および、レジスト調整後位置RPを記憶する。記憶部72は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体であり、色ずれ補正閾値記憶部46、基準位置記憶部47、レジスト調整閾値記憶部75、および、レジスト調整後位置記憶部76を備えて構成されている。
レジスト調整閾値記憶部75は、レジスト調整を行うかどうかを決定するためのレジスト調整閾値RSを記憶する。通常、レジスト調整閾値RSはレジスト調整が可能な最小値であり、本実施の形態では、レーザ光が主走査方向を1回走査する時に感光体ドラム57が副走査方向に回転する量(この量を1ラインと呼ぶ)に対応する非平行PD38でのレーザ光の副走査方向の変位量をレジスト調整閾値RSとしている。レジスト調整後位置記憶部76は、基準位置Pにレジスト調整を行った分の変位量を加えたレジスト調整後位置RPを記憶する。
(レジスト調整)
第1の実施の形態にかかる画像処理装置100では、非平行PD38でのレーザ光の副走査方向の変位量Dが色ずれ補正閾値Sを超えれば色ずれ補正を行うが、色ずれ補正閾値Sを越えない限り、非平行PD38上でのレーザ光の副走査方向の位置が基準位置Pからずれていても他の処理は行われない。これに対して、本実施の形態にかかる画像処理装置200では、非平行PD38でのレーザ光の副走査方向の変位量Dが色ずれ補正閾値Sより小さくても、レジスト調整閾値RSを越えた場合、レジスト調整を行う。具体的には、レジスト調整部74が、レーザ光走査部1によるレーザ光の感光体ドラム57への照射タイミングを最低1ライン分ずらすことにより、レーザ光が実際には副走査方向にずれていても、見かけ上はずれていないようにレーザ光の書出しの位置を補正する。
レーザ光の感光体ドラム57への照射タイミングをずらす量は、1ラインでなく数ライン単位でもよいが、画像処理装置の機構上1ラインの整数倍でしかずらすことはできないので、レジスト調整も1ラインの整数倍でしか行うことができない。また、レジスト調整は、あくまでレーザ光走査部1によるレーザ光の感光体ドラム57への照射タイミングをずらし、副走査方向のずれを補正しているだけで、色ずれ補正を行っているわけではないので、レジスト調整で対応可能なずれ量には限界がある。ここで、色ずれ補正閾値Sがこの限界量より小さい値に設定されていれば、レジスト調整では対応できないほど画像がずれる前に色ずれ補正を行うことができ、印刷の品質を維持することが可能となる。
レジスト調整決定部73によるレジスト調整の決定は以下の様に行われる。あらかじめ、感光体ドラム57の感光体像面上でのレーザ光の副走査方向の1ライン分の変位量を算出し、この変位量に対応する非平行PD38上でのレーザ光の副走査方向の変位量を算出し、この変位量をレジスト調整閾値RSとする。そして、レジスト調整決定部73が、非平行PD38上でのレーザ光の副走査方向の変位量Dがレジスト調整閾値RSが越えたか否かによって、レジスト調整を行うか否かを決定する。なお、レジスト調整閾値RSは、各構成要素間の光路長、及び各構成要素の寸法が確定すれば算出可能な固定値である。
(レジスト調整制御方法および色ずれ補正制御方法)
本実施の形態において、画像形成装置200がレジスト調整および色ずれ補正を行う場合の制御方法を以下に説明する。図12は、画像形成装置200がレジスト調整および色ずれ補正を行う場合のフローチャートである。
省エネモードなどの待機状態にあり長時間印刷がなかった後に、印刷開始の指示を受け付けると、色ずれ補正部45は、色ずれ補正を行う(ステップS1201)。
色ずれ補正部45が色ずれ補正を行った後、制御部71は、レーザ光の副走査方向の位置を非平行PD38で検出し、この位置を基準位置Pとして、基準位置記憶部47に記憶する(ステップS1202)。
その後の印刷動作中で、位置変位量計測部43は、任意または所定のタイミングで、非平行PD38が検出したレーザ光の副走査方向の位置を取り込み、基準位置Pからの変位量Dを計測する(ステップS1203)。この計測を印刷動作中に行えば、ダウンタイムは発生しない。一方、この計測を印刷と印刷の間で行えば、フレア等による印刷画質の悪化の懸念を排除することができる。
制御部71は、レーザ光の副走査方向の変位量Dを任意または所定のタイミングで計測しながら、再度色ずれ補正を必要があるか否かを判断する(ステップS1204)。制御部71が色ずれ補正をする必要があると判断した場合(ステップS1204:Yes)、ステップS1205へ進む。全ての印刷処理が終了した等の理由により、制御部71が色ずれ補正をする必要がないと判断した場合(ステップS1204:No)、処理を終了する。
ステップS1205で、色ずれ補正決定部44は、位置変位量計測部43が計測した変位量Dが、色ずれ補正閾値記憶部46に記憶されている色ずれ補正閾値Sを越えたか否かを判断する。変位量Dが色ずれ補正閾値Sを越えたと判断した場合(ステップS1205:Yes)、色ずれ補正決定部44は、色ずれ補正を行うことを決定する。そして、ステップS1201へ戻り、色ずれ補正部45は色ずれ補正を行い、以下のステップを繰り返す。なお、2回目以降の色ずれ補正は、印刷と印刷の間で行う。変位量Dが色ずれ補正閾値Sを越えていないと判断した場合(ステップS1205:No)、ステップS1206へ進む。
ステップS1206で、制御部71は、色ずれ補正後にレジスト調整が実施済みか否かを確認する。制御部71がレジスト調整が実施済みでないと確認した場合(ステップS1206:No)、レジスト調整決定部73は、位置変位量計測部43が計測した変位量Dが、レジスト調整閾値記憶部75に記憶されているレジスト調整閾値RSを越えたか否かを判断する(ステップS1207)。
変位量Dがレジスト調整閾値RSを越えたと判断した場合(ステップS1207:Yes)、レジスト調整決定部73は、レジスト調整を行うことを決定する。
前述した様に、レジスト調整は1ラインの整数倍、すなわち、レジスト調整閾値RSの整数倍でしか行うことができない。従って、レジスト調整部74は、レジスト調整閾値RSの整数倍で、かつ、変位量Dを超えない分だけレジスト調整を行う(ステップS1208)。例えば、変位量Dがレジスト調整閾値RSの3倍より大きく、4倍より小さい場合、レジスト調整閾値RSの3倍分、すなわち3ライン分だけ、レーザ光の照射タイミングをずらすようにレジスト調整を行う。なお、レジスト調整を印刷動作中に行うと転写紙の途中から副走査方向に印刷ずれが発生してしまうので、レジスト調整は印刷と印刷の間で行う必要がある。
レジスト調整後、基準位置Pに、レジスト調整を行った分の変位量(レジスト調整閾値RSの整数倍)を加えた値をレジスト調整後位置RPとして、レジスト調整後位置記憶部76に記憶する(ステップS1209)。その後、ステップS1203へ戻り、以下のステップを繰り返す。
ステップS1207で、変位量Dがレジスト調整閾値RSを越えていないと判断した場合(ステップS1207:No)、ステップS1203へ戻り、以下のステップを繰り返す。
ステップS1206で、制御部71がレジスト調整が実施済みであると確認した場合(ステップS1206:Yes)、レジスト調整決定部73は、位置変位量計測部43が計測した変位量Dからレジスト調整後位置記憶部76に記憶されているレジスト調整後位置RPを引いた値が、レジスト調整閾値記憶部75に記憶されているレジスト調整閾値RSを越えたか否かを判断する(ステップS1210)。
変位量Dからレジスト調整後位置RPを引いた値がレジスト調整閾値RSを越えたと判断した場合(ステップS1210:Yes)、レジスト調整決定部73は、レジスト調整を行うことを決定する。
レジスト調整部74は、レジスト調整閾値RSの整数倍で、かつ、変位量Dからレジスト調整後位置RPを引いた値を超えない分だけレジスト調整を行う(ステップS1211)。例えば、変位量Dからレジスト調整後位置RPを引いた値がレジスト調整閾値RSの3倍より大きく、4倍より小さい場合、レジスト調整閾値RSの3倍分、すなわち3ライン分だけ、レーザ光の照射タイミングをずらすようにレジスト調整を行う。なお、レジスト調整を印刷動作中に行うと転写紙の途中から副走査方向に印刷ずれが発生してしまうので、レジスト調整は印刷と印刷の間で行う必要がある。なお、レジスト調整を印刷動作中に行うと転写紙の途中から副走査方向に印刷ずれが発生してしまうので、レジスト調整は印刷と印刷の間で行う必要がある。
レジスト調整後、レジスト調整後位置記憶部76に記憶されているレジスト調整後位置RPに、レジスト調整を行った分の変位量(レジスト調整閾値RSの整数倍)を加えた値を、新たなレジスト調整後位置RPとしてレジスト調整後位置記憶部76に記憶する(ステップS1212)。その後、ステップS1203へ戻り、以下のステップを繰り返す。
ステップS1210で、レジスト調整決定部73が、変位量Dからレジスト調整後位置RPを引いた値がレジスト調整閾値RSを越えていないと判断した場合(ステップS1210:No)、ステップS1203へ戻り、以下のステップを繰り返す。
このように、第2の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、色ずれ補正を行うほどにはレーザ光の副走査方向の位置が変位していない場合でも、レーザ光の感光体ドラムへの照射タイミングをライン単位でずらすことにより、見かけ上は副走査方向のずれが発生していないようにすることができるので、色ずれ補正を行うまでの実際の色ずれを低減することが可能となる。
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態では、色ずれ補正の可否を決定するための閾値はあらかじめ算出しておいた固定値を使用するが、第3の実施の形態では、画像形成装置の稼働状況(使用状況)に応じて適宜変更した閾値を使用して色ずれ補正の可否を決定する。第3の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態にかかる画像処理装置の構成について、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第1の実施の形態と同様であるので、同一の符号が付された箇所については、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
図13は、本発明の第3の実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示すブロック図である。画像形成装置300は、レーザ光走査部1、画像プロセス部2、転写部3、第1の補正パターン検出センサ4a、第2の補正パターン検出センサ4b、制御部81、記憶部82、画像処理部7、操作・表示部8、コントローラ9、スキャナ部10、および、ネットワークI/F11を備えて構成されている。
レーザ光走査部1は、LDユニット21、偏向部22、F−θレンズ23、反射ミラー24、第1の同期検出ミラー25、第2の同期検出ミラー26、レーザ光位置検出センサ27、および、後端部主走査同期検出センサ28を備えて構成されている。LDユニット21は、レーザダイオード31とLDドライバ32とを備えて構成されている。偏向部22は、ポリゴンミラー33、ポリゴンモータ34、および、ポリゴンモータドライバ35を備えて構成されている。レーザ光位置検出センサ27は、第1の受光素子36と第2の受光素子37とを備えて構成されており、さらに、第1の受光素子36と第2の受光素子37とで非平行PD38を構成している。後端部主走査同期検出センサ28は、第3の受光素子39を備えて構成されている。
制御部81は、画像処理部7から書込み信号を受け取り、レーザ光走査部1、画像プロセス部2、および、転写部3の動作を制御し、レーザ光の副走査方向の位置の変位量Dを計測し、色ずれ補正を決定するとともに、第1の補正パターン検出センサ4aと第2の補正パターン検出センサ4bから受け取った補正用パターンから補正量を算出し、実際に色ずれ補正を行い、色ずれ補正閾値を算出する。制御部81は、書込み制御部41、画像形成制御部42、位置変位量計測部43、色ずれ補正決定部44、色ずれ補正部45、および、色ずれ補正閾値算出部83を備えて構成されている。
色ずれ補正閾値算出部83は、色ずれ補正閾値S(後述する閾値S1)を算出する。具体的には、色ずれ補正閾値算出部83は、後述する補正量M、第1の基準位置P1、および、第2の基準位置P2から計算により閾値S1を算出する。ここで、色ずれ補正閾値算出部83の機能は、CPUにより実現される。
記憶部82は、色ずれ補正閾値S、第1の基準位置P1、第2の基準位置P2、補正量M、および、初期値S0を記憶する。記憶部82は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体であり、色ずれ補正閾値記憶部46、第1の基準位置記憶部84、第2の基準位置記憶部85、補正量記憶部86、および、初期値記憶部(図示せず)を備えて構成されている。
第1の基準位置記憶部84は、色ずれ補正の終了直後に非平行PD38が検出したレーザ光の副走査方向の位置である第1の基準位置P1を記憶する。第1の基準位置P1は、変位量Dを計測する際の基準として使用されるとともに、閾値S1の算出に使用される。
第2の基準位置記憶部85は、2回目以降の色ずれ補正の終了直後に非平行PD38が検出したレーザ光の副走査方向の位置である第2の基準位置P2を記憶する。第2の基準位置P2は、閾値S1の算出に使用される。
補正量記憶部86は、閾値S1の算出に使用される補正量Mを記憶する。補正量Mは、色ずれ補正と色ずれ補正の間に実際にずれた、転写紙52(転写ベルト53)上でのトナー像の副走査方向のずれ量(変位量)であり、具体的には、第1の実施の形態で説明したように、色ずれ補正部45が補正パターン63a、63bから算出する。
(色ずれ補正制御方法)
本実施の形態において、画像形成装置300が色ずれ補正を行う場合の制御方法を以下に説明する。図14は、画像形成装置300が色ずれ補正を行う場合のフローチャートである。
省エネモードなどの待機状態にあり長時間印刷がなかった後に、印刷開始の指示を受け付けると、色ずれ補正部45は、色ずれ補正を行う(ステップS1401)。
制御部81は、色ずれ補正閾値Sとして初期値S0を色ずれ補正閾値記憶部46に記憶する(ステップS1402)。初期値S0は、長時間印刷がなかった後に色ずれ補正を行った直後の色ずれ補正閾値であるので、計算により求めることが可能であり、デフォルト値として設計段階であらかじめ決定しておく。具体的には、あらかじめ、副走査方向の色ずれ閾値に対応する感光体像面上でのでのレーザ光の副走査方向の変位量閾値を決定し、さらに、この変位量閾値に対応する非平行PD38上でのレーザ光の副走査方向の変位量を算出し、この変位量を初期値S0とする。なお、初期値S0は、各構成要素間の光路長、及び各構成要素の寸法が確定すれば算出可能な固定値である。初期値S0は、記憶部82内の初期値記憶部(図示せず)に記憶されている。
色ずれ補正部45が色ずれ補正を行った後、制御部81は、レーザ光の副走査方向の位置を非平行PD38で検出し、この位置を第1の基準位置P1として、第1の基準位置記憶部84に記憶する(ステップS1403)。
その後の印刷動作中で、位置変位量計測部43は、任意または所定のタイミングで、非平行PD38が検出したレーザ光の副走査方向の位置を取り込み、第1の基準位置P1からの変位量Dを計測する(ステップS1404)。この計測を印刷動作中に行えば、ダウンタイムは発生しない。一方、この計測を印刷と印刷の間で行えば、フレア等による印刷画質の悪化の懸念を排除することができる。
制御部81は、レーザ光の副走査方向の変位量Dを任意または所定のタイミングで計測しながら、再度色ずれ補正を必要があるか否かを判断する(ステップS1405)。制御部81が色ずれ補正をする必要があると判断した場合(ステップS1405:Yes)、ステップS1406へ進む。全ての印刷処理が終了した等の理由により、制御部81が色ずれ補正をする必要がないと判断した場合(ステップS1405:No)、処理を終了する。
ステップS1406で、色ずれ補正決定部44は、位置変位量計測部43が計測した変位量Dが、色ずれ補正閾値記憶部46に記憶されている色ずれ補正閾値Sを越えたか否かを判断する。変位量Dが色ずれ補正閾値Sを越えていないと判断した場合(ステップS1406:No)、ステップS1404へ戻り、以下のステップを繰り返す。
色ずれ補正決定部44が変位量Dが色ずれ補正閾値Sを越えたと判断した場合(ステップS1406:Yes)、色ずれ補正決定部44は、色ずれ補正を行うことを決定する。そして、色ずれ補正部45は、色ずれ補正を行う(ステップS1407)。なお、2回目以降の色ずれ補正は、印刷と印刷の間で行う。
色ずれ補正部45が色ずれ補正を行った後、制御部81は、色ずれ補正での副走査方向の補正量Mを補正量記憶部86に記憶する(ステップS1408)。
さらに、制御部81は、レーザ光の副走査方向の位置を非平行PD38で検出し、この位置を第2の基準位置P2として、第2の基準位置記憶部85に記憶する(ステップS1409)。
色ずれ補正閾値算出部83は、ステップS1408で得られた補正量M、ステップS1403で検出された第1の基準位置P1、および、ステップS1409で検出された第2の基準位置P2から閾値S1を算出し、この閾値S1を色ずれ補正閾値Sとして色ずれ補正閾値記憶部46に記憶する(ステップS1410)。
第1の実施の形態にかかる画像形成装置100では、色ずれ補正閾値Sには固定値(初期値S0と等しい)を使用していたが、本実施の形態にかかる画像形成装置300では、印刷開始時には色ずれ補正閾値Sに固定値(初期値S0)を使用するものの、連続印刷の途中から可変値(閾値S1)に変更する。これは、画像形成装置300の稼働にともない、レーザ光走査部1や画像プロセス部2に加えて周辺に配置されたその他の構成部品が発熱するためなどにより、非平行PD38上でのレーザ光の副走査方向の変位量と、感光体像面上でのレーザ光の副走査方向の変位量の関係が変化することに対応するためである。
ここで、補正量Mは、前述したように、直近2回の色ずれ補正の間に、転写紙52(転写ベルト53)上でトナー像が副走査方向に変位した量を表す。さらに、第2の基準位置P2から第1の基準位置P1を引いた値は、直近2回の色ずれ補正の間に、非平行PD38上でレーザ光が副走査方向に変位した量を表す。そして、補正量Mと、(第2の基準位置P2−第1の基準位置P1)の相関から、閾値S1を算出し、新たな色ずれ補正閾値Sとする。これにより、連続印刷時において、画像形成装置300の稼働状況により逐次変化するレーザ光の副走査方向の変位量に対して、色ずれ補正閾値を適切な値に変更させることができる。
閾値S1の算出後に、制御部81は、第2の基準位置記憶部85に記憶されている第2の基準位置P2を、第1の基準位置P1として第1の基準位置記憶部84に記憶する(ステップS1411)。そして、ステップS1404へ戻り、以下のステップを繰り返す。
このように、第3の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、色ずれ補正を行う判断基準となる閾値を、画像形成装置の稼働状況(使用状況)に合わせて適切な値に適宜変更することができるので、色ずれ補正と色ずれ補正の間隔を常に適切に取ることが可能となる。
(第4の実施の形態)
第3の実施の形態では、レーザ光の副走査方向の変位量が閾値を超えて色ずれ補正を行うまで、副走査方向のずれに対する補正は何も行われないが、第4の実施の形態では、第2の実施の形態と同じくレーザ光の副走査方向の変位量が閾値を超えて色ずれ補正を行う前に、副走査方向のずれに対する他の補正を行う。第4の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態にかかる画像処理装置の構成について、第3の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第3の実施の形態と同様であるので、同一の符号が付された箇所については、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
図15は、本発明の第4の実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示すブロック図である。画像形成装置400は、レーザ光走査部1、画像プロセス部2、転写部3、第1の補正パターン検出センサ4a、第2の補正パターン検出センサ4b、制御部91、記憶部92、画像処理部7、操作・表示部8、コントローラ9、スキャナ部10、および、ネットワークI/F11を備えて構成されている。
レーザ光走査部1は、LDユニット21、偏向部22、F−θレンズ23、反射ミラー24、第1の同期検出ミラー25、第2の同期検出ミラー26、レーザ光位置検出センサ27、および、後端部主走査同期検出センサ28を備えて構成されている。LDユニット21は、レーザダイオード31とLDドライバ32とを備えて構成されている。偏向部22は、ポリゴンミラー33、ポリゴンモータ34、および、ポリゴンモータドライバ35を備えて構成されている。レーザ光位置検出センサ27は、第1の受光素子36と第2の受光素子37とを備えて構成されており、さらに、第1の受光素子36と第2の受光素子37とで非平行PD38を構成している。後端部主走査同期検出センサ28は、第3の受光素子39を備えて構成されている。
制御部91は、画像処理部7から書込み信号を受け取り、レーザ光走査部1、画像プロセス部2、および、転写部3の動作を制御し、レーザ光の副走査方向の位置の変位量Dを計測し、レジスト調整を決定するとともにレジスト調整を行い、色ずれ補正を決定するとともに、第1の補正パターン検出センサ4aと第2の補正パターン検出センサ4bから受け取った補正用パターンから補正量を算出し、実際に色ずれ補正を行う。制御部91は、書込み制御部41、画像形成制御部42、位置変位量計測部43、色ずれ補正決定部44、色ずれ補正部45、色ずれ補正閾値算出部83、レジスト調整決定部93、および、レジスト調整部94を備えて構成されている。
レジスト調整決定部93は、レジスト調整を行うことを決定し、レジスト調整部94は、レジスト調整決定部93の決定に従い、レジスト調整を行う。ここで、レジスト調整決定部93およびレジスト調整部94は、第2の実施の形態にかかるレジスト調整決定部73およびレジスト調整部74と機能および構成が同一であるので、ここでの説明を省略するが、両部の機能は、CPUにより実現される。
記憶部92は、色ずれ補正閾値S、第1の基準位置P1、第2の基準位置P2、補正量M、および、初期値S0を記憶する。記憶部92は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体であり、色ずれ補正閾値記憶部46、第1の基準位置記憶部84、第2の基準位置記憶部85、補正量記憶部86、レジスト調整閾値記憶部95、レジスト調整後位置記憶部96、および、初期値記憶部(図示せず)を備えて構成されている。ここで、レジスト調整閾値記憶部95およびレジスト調整後位置記憶部96は、第2の実施の形態にかかるレジスト調整閾値記憶部75およびレジスト調整後位置記憶部76と機能および構成が同一であるので、ここでの説明を省略する。
(レジスト調整制御方法および色ずれ補正制御方法)
本実施の形態において、画像形成装置400がレジスト調整および色ずれ補正を行う場合の制御方法を以下に説明する。図16は、画像形成装置400がレジスト調整および色ずれ補正を行う場合のフローチャートである。
省エネモードなどの待機状態にあり長時間印刷がなかった後に、印刷開始の指示を受け付けると、色ずれ補正部45は、色ずれ補正を行う(ステップS1601)。
制御部91は、色ずれ補正閾値Sとして初期値S0を色ずれ補正閾値記憶部46に記憶する(ステップS1602)。初期値S0は、長時間印刷がなかった後に色ずれ補正を行った直後の色ずれ補正閾値であるので、計算により求めることが可能であり、デフォルト値として設計段階であらかじめ決定しておく。具体的には、あらかじめ、副走査方向の色ずれ閾値に対応する感光体像面上でのレーザ光の副走査方向の変位量閾値を決定し、さらに、この変位量閾値に対応する非平行PD38上でのレーザ光の副走査方向の変位量を算出し、この変位量を初期値S0とする。なお、初期値S0は、各構成要素間の光路長、及び各構成要素の寸法が確定すれば算出可能な固定値である。初期値S0は、記憶部92内の初期値記憶部(図示せず)に記憶されている。
色ずれ補正部45が色ずれ補正を行った後、制御部91は、レーザ光の副走査方向の位置を非平行PD38で検出し、この位置を第1の基準位置P1として、第1の基準位置記憶部84に記憶する(ステップS1603)。
その後の印刷動作中で、位置変位量計測部43は、任意または所定のタイミングで、非平行PD38が検出したレーザ光の副走査方向の位置を取り込み、第1の基準位置P1からの変位量Dを計測する(ステップS1604)。この計測を印刷動作中に行えば、ダウンタイムは発生しない。一方、この計測を印刷と印刷の間で行えば、フレア等による印刷画質の悪化の懸念を排除することができる。
制御部91は、レーザ光の副走査方向の変位量Dを任意または所定のタイミングで計測しながら、再度色ずれ補正を必要があるか否かを判断する(ステップS1605)。制御部91が色ずれ補正をする必要があると判断した場合(ステップS1605:Yes)、ステップS1606へ進む。全ての印刷処理が終了した等の理由により、制御部91が色ずれ補正をする必要がないと判断した場合(ステップS1605:No)、処理を終了する。
ステップS1606で、色ずれ補正決定部44は、位置変位量計測部43が計測した変位量Dが、色ずれ補正閾値記憶部46に記憶されている色ずれ補正閾値Sを越えたか否かを判断する。変位量Dが色ずれ補正閾値Sを越えたと判断した場合(ステップS1606:Yes)、色ずれ補正決定部44は、色ずれ補正を行うことを決定する。そして、色ずれ補正部45は、色ずれ補正を行う(ステップS1607)。なお、2回目以降の色ずれ補正は、印刷と印刷の間で行う。
色ずれ補正部45が色ずれ補正を行った後、制御部91は、色ずれ補正での副走査方向の補正量Mを補正量記憶部86に記憶する(ステップS1608)。
さらに、制御部91は、レーザ光の副走査方向の位置を非平行PD38で検出し、この位置を第2の基準位置P2として、第2の基準位置記憶部85に記憶する(ステップS1609)。
色ずれ補正閾値算出部83は、ステップS1608で得られた補正量M、ステップS1603で検出された第1の基準位置P1、および、ステップS1609で検出された第2の基準位置P2から閾値S1を算出し、この閾値S1を色ずれ補正閾値Sとして色ずれ補正閾値記憶部46に記憶する(ステップS1610)。
本実施の形態にかかる画像形成装置400では、印刷開始時には色ずれ補正閾値Sに固定値(初期値S0)を使用するものの、連続印刷の途中から可変値(閾値S1)に変更する。これは、画像形成装置400の稼働にともない、レーザ光走査部1や画像プロセス部2に加えて周辺に配置されたその他の構成部品が発熱するためなどにより、非平行PD38上でのレーザ光の副走査方向の変位量と、感光体像面上でのレーザ光の副走査方向の変位量の関係が変化することに対応するためである。
ここで、補正量Mは、前述したように、直近2回の色ずれ補正の間に、転写紙52(転写ベルト53)上でトナー像が副走査方向に変位した量を表す。さらに、第2の基準位置P2から第1の基準位置P1を引いた値は、直近2回の色ずれ補正の間に、非平行PD38上でレーザ光が副走査方向に変位した量を表す。そして、補正量Mと、(第2の基準位置P2−第1の基準位置P1)の相関から、閾値S1を算出し、新たな色ずれ補正閾値Sとする。これにより、連続印刷時において、画像形成装置400の稼働状況により逐次変化するレーザ光の副走査方向の変位量に対して、色ずれ補正閾値を適切な値に変更させることができる。
閾値S1の算出後に、制御部91は、第2の基準位置記憶部85に記憶されている第2の基準位置P2を、第1の基準位置P1として第1の基準位置記憶部84に記憶する(ステップS1611)。そして、ステップS1604へ戻り、以下のステップを繰り返す。
ステップS1606で、色ずれ補正決定部44が、変位量Dが色ずれ補正閾値Sを越えていないと判断した場合(ステップS1606:No)、ステップS1612へ進む。
ステップS1612で、制御部91は、色ずれ補正後にレジスト調整が実施済みか否かを確認する。制御部91がレジスト調整が実施済みでないと確認した場合(ステップS1612:No)、レジスト調整決定部93は、位置変位量計測部43が計測した変位量Dが、レジスト調整閾値記憶部95に記憶されているレジスト調整閾値RSを越えたか否かを判断する(ステップS1613)。
変位量Dがレジスト調整閾値RSを越えたと判断した場合(ステップS1613:Yes)、レジスト調整決定部93は、レジスト調整を行うことを決定する。
第2の実施の形態で説明した様に、レジスト調整は1ラインの整数倍、すなわち、レジスト調整閾値RSの整数倍でしか行うことができない。従って、レジスト調整部94は、レジスト調整閾値RSの整数倍で、かつ、変位量Dを超えない分だけレジスト調整を行う(ステップS1614)。例えば、変位量Dがレジスト調整閾値RSの3倍より大きく、4倍より小さい場合、レジスト調整閾値RSの3倍分、すなわち3ライン分だけ、レーザ光の照射タイミングをずらすようにレジスト調整を行う。なお、レジスト調整を印刷動作中に行うと転写紙の途中から副走査方向に印刷ずれが発生してしまうので、レジスト調整は印刷と印刷の間で行う必要がある。
レジスト調整後、第1の基準位置P1に、レジスト調整を行った分の変位量(レジスト調整閾値RSの整数倍)を加えた値をレジスト調整後位置RPとして、レジスト調整後位置記憶部96に記憶する(ステップS1615)。その後、ステップS1604へ戻り、以下のステップを繰り返す。
ステップS1613で、変位量Dがレジスト調整閾値RSを越えていないと判断した場合(ステップS1613:No)、ステップS1604へ戻り、以下のステップを繰り返す。
ステップS1612で、制御部91がレジスト調整が実施済みであると確認した場合(ステップS1612:Yes)、レジスト調整決定部93は、位置変位量計測部43が計測した変位量Dからレジスト調整後位置記憶部96に記憶されているレジスト調整後位置RPを引いた値が、レジスト調整閾値記憶部95に記憶されているレジスト調整閾値RSを越えたか否かを判断する(ステップS1616)。
変位量Dからレジスト調整後位置RPを引いた値がレジスト調整閾値RSを越えたと判断した場合(ステップS1616:Yes)、レジスト調整決定部93は、レジスト調整を行うことを決定する。
レジスト調整部94は、レジスト調整閾値RSの整数倍で、かつ、変位量Dからレジスト調整後位置RPを引いた値を超えない分だけレジスト調整を行う(ステップS1617)。例えば、変位量Dからレジスト調整後位置RPを引いた値がレジスト調整閾値RSの3倍より大きく、4倍より小さい場合、レジスト調整閾値RSの3倍分、すなわち3ライン分だけ、レーザ光の照射タイミングをずらすようにレジスト調整を行う。なお、レジスト調整を印刷動作中に行うと転写紙の途中から副走査方向に印刷ずれが発生してしまうので、レジスト調整は印刷と印刷の間で行う必要がある。なお、レジスト調整を印刷動作中に行うと転写紙の途中から副走査方向に印刷ずれが発生してしまうので、レジスト調整は印刷と印刷の間で行う必要がある。
レジスト調整後、レジスト調整後位置記憶部96に記憶されているレジスト調整後位置RPに、レジスト調整を行った分の変位量(レジスト調整閾値RSの整数倍)を加えた値を、新たなレジスト調整後位置RPとしてレジスト調整後位置記憶部96に記憶する(ステップS1618)。その後、ステップS1604へ戻り、以下のステップを繰り返す。
ステップS1616で、レジスト調整決定部93が、変位量Dからレジスト調整後位置RPを引いた値がレジスト調整閾値RSを越えていないと判断した場合(ステップS1616:No)、ステップS1604へ戻り、以下のステップを繰り返す。
このように、第4の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、色ずれ補正を行う判断基準となる閾値を、画像形成装置の稼働状況(使用状況)に合わせて適切な値に適宜変更することができるので、色ずれ補正と色ずれ補正の間隔を常に適切に取ることが可能となる。
さらに、第4の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、色ずれ補正を行うほどにはレーザ光の副走査方向の位置が変位していない場合でも、レーザ光の感光体ドラムへの照射タイミングをライン単位でずらすことにより、見かけ上は副走査方向のずれが発生していないようにすることができるので、色ずれ補正を行うまでの実際の色ずれを低減することが可能となる。
第1〜第4の実施の形態にかかる画像形成装置100、200、300および400で実行される画像形成方法プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよく、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
また、第1〜第4の実施の形態にかかる画像形成装置100、200、300および400で実行される画像形成方法プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、第1〜第4の実施の形態にかかる画像形成装置100、200、300および400で実行される画像形成方法プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、第1〜第4の実施の形態にかかる画像形成装置100、200、300および400で実行される画像形成方法プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
また、第1〜第4の実施の形態にかかる画像形成装置100、200、300および400で実行される画像形成方法プログラムは、上述した各部(画像形成制御部42、位置変位量計測部43、色ずれ補正決定部44、色ずれ補正部45、レジスト調整決定部73および93、レジスト調整部74および94、および、色ずれ補正閾値算出部83)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体から画像形成方法プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、画像形成制御部42、位置変位量計測部43、色ずれ補正決定部44、色ずれ補正部45、レジスト調整決定部73および93、レジスト調整部74および94、および、色ずれ補正閾値算出部83が主記憶装置上に生成されるようになっている。