JP2009039067A - 統合失調症の判定方法 - Google Patents

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昌成 糸川
Makoto Arai
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Abstract

【課題】統合失調症の発症の有無や発症の危険度を、明確かつ簡便に、高い信頼性をもって判定又は評価することができる方法及び手段を提供する。
【解決手段】本発明にかかる統合失調症の判定方法は、LDB2遺伝子の遺伝子多型、及び/又は当該遺伝子多型により構成されるハプロタイプと、個体の統合失調症の有無とを関連付けることを特徴とする方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、統合失調症であることを判定する方法に関する。詳しくは、LIM domain binding protein 2(LDB2)遺伝子における遺伝子多型を利用した、統合失調症の遺伝的要因の有無を判定する方法に関する。
従来より、統合失調症の診断は、患者との面接に基づいて、陳述内容や表情、ときには家族からの情報などを総合して、米国精神医学会(APA)の「診断・統計マニュアル・第4版」(DSM-IV)又は世界保健機構(WHO)の「国際疾病分類・第10版」(ICD-10)を判断基準として行われてきた。そのため、最終的な決定は、担当医の経験に基づく主観に頼らざるを得ず、診断の精度は十分であるとは言えなかった。そこで、近年、統合失調症の原因遺伝子の染色体マッピング及びその同定、並びに患者の血液及び尿などの生体試料を使用した研究が盛んに行われ、その結果、統合失調症の診断に利用可能な生物学的マーカーがいくつか報告されているが、未だに確立されたものはない。
本発明の課題は、統合失調症の発症の有無や発症の危険度を、明確かつ簡便に、しかも高い信頼性をもって判定又は評価することができる方法及び手段を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、特定の遺伝子の遺伝子多型、及び/又は当該遺伝子多型により構成されるハプロタイプを利用することにより、上記課題を解決し得る方法及び手段を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) LDB2遺伝子の遺伝子多型、及び/又は当該遺伝子多型により構成されるハプロタイプと、個体の統合失調症の有無とを関連付けることを特徴とする、統合失調症の判定方法。
上記(1)の方法は、例えば、統合失調症の発症危険度を評価するための方法であってもよい。
上記(1)の方法において、遺伝子多型は、例えば、一塩基多型、インサーション多型、デリーション多型及び塩基繰り返し多型からなる群より選択される少なくとも1つが挙げられ、具体的には、表1に示されるものが挙げられる。
上記(1)の方法において、ハプロタイプは、例えば、表3に示されるものが挙げられる。
(2) LDB2遺伝子配列又はその相補配列中に存在する遺伝子多型部位を含むように作製されたオリゴヌクレオチド。
(3) 配列番号1〜8のいずれかに示される塩基配列のうち第51番目の塩基を含む少なくとも10塩基の配列又はこれに相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド。
上記(3)のオリゴヌクレオチドは、例えば、10〜45塩基の長さを有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
(4) 配列番号1〜8のいずれかに示される塩基配列又はこれに相補的な塩基配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド。
(5) 上記(2)〜(4)のいずれかのオリゴヌクレオチドが支持体に固定されたマイクロアレイ。
(6) 上記(2)〜(4)のいずれかのオリゴヌクレオチド及び/又は上記(5)のマイクロアレイを含む、統合失調症判定キット。
上記(6)のキットは、例えば、統合失調症の発症危険度を評価するためのキットであってもよい。
本発明によれば、統合失調症の遺伝的要因の有無を判定するにあたり、明確かつ容易に、極めて信頼性の高い結果を得ることができる新規判定方法を提供することができる。また、上記判定方法に用い得るオリゴヌクレオチド、マイクロアレイ及び判定用キットを提供することもできる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
1.本発明の概要
本発明は、統合失調症の遺伝的要因の有無を判定するための方法であり、本方法は、LIM domain binding protein 2(LDB2)遺伝子における遺伝子多型に着目し、その検出結果と、統合失調症の症状の有無との関連づけを行うことにより、上記判定を行うというものである。また、当該方法は、例えば、統合失調症の発症危険度の高さを評価するための方法として使用することもできる。なお、本発明において、上記LDB2は、Disrupted In Schizophrenia-Matsuzawa (DISC-M)と同一の遺伝子を意味する。
本発明者は、多発家系やmalformationを含む身体合併症を多発する統合失調症を中心に染色体検査を行った。その結果、肺、腎臓、脾臓及び網膜のmalformationを合併した統合失調症の男性からde novo t(4; 13)(p15.3; q21.1)を同定した。FISH法を用いた解析によって4p15.3において転座のため断裂しているLDB2遺伝子を同定した。LDB2と90%のホモロジーがあり脳での発現部位も重複するLDB1遺伝子については、既に多くの結合タンパク質が同定され転写因子として神経発達や脳の形態形成に重要な役割を果たしていることが明らかとなっている。従って、LDB2も脳を含めた各種の器官形成に関与している可能性があると考えられた。RT-PCRの結果から高発現が確認された臓器又は器官は、脳以外では肺、腎臓、脾臓及び網膜であり、症例でmalformationが認められた器官に一致していた。202例の統合失調症と年齢及び性別の一致した187例の対照を用いて、LDB2遺伝子の症例及び対照研究を行った結果、転写開始点の上流から第5エクソンまでの連鎖不平衡ブロック(LDブロック)において、ハプロタイプで有意な関連が認められ、一般の統合失調症においてもLDB2が発症脆弱性と関連することが判明した。
すなわち本発明は、統合失調症の原因遺伝子や疾患感受性遺伝子として候補に挙げられ得る多くの遺伝子の中でも、LDB2遺伝子という特定の遺伝子に着目し、このLDB2遺伝子中に存在する遺伝子多型、及び当該遺伝子多型により構成されるハプロタイプが、統合失調症の有無の判定や発症危険度の評価をすることができる遺伝子マーカーとして非常に有用であるとの新規な知見に基づき完成されたものである。これにより、統合失調症の遺伝的要因の有無の判定が初めて可能となった。さらに本発明では、統合失調症と関連性を有し得る遺伝子多型のうち所望の多型にのみ着目すれば足りるため、本発明の方法は、客観的に信頼性の高い判定結果を非常に明確かつ容易に得ることができるという優れた効果を有するものである。
2.LDB2遺伝子領域内の遺伝子多型
本発明のLDB2遺伝子多型は、主に一塩基多型(single nucleotide polymorphism, SNP(又はSNPs))、インサーション/デレーション型多型、及び塩基配列の繰り返し数が異なっていることにより生じる多型を含み、限定はされない。
SNPとは、遺伝子配列中の特定の1塩基が他の塩基に置換することによる多型を意味する。インサーション/デレーション多型とは、1以上の塩基が欠失/挿入することによる多型を意味する。また、塩基配列の繰り返し数の異なることにより生じる多型(塩基繰り返し多型)には、繰り返す塩基数の違いによりマイクロサテライト多型(塩基数:2〜4塩基程度)とVNTR (variable number of tandem repeat)多型(繰り返し塩基:数〜数十塩基)があり、その繰り返し塩基数が個々人によって異なっている多型を意味する。
本発明の方法において好適に利用可能なLDB2遺伝子多型の情報を、下記の表1に例示列挙する(配列番号1〜8)。表1に示される多型情報は、一塩基多型(SNP)に関するものである。表1に示される遺伝子多型の中でも、配列番号1、3、4、6、7及び8の塩基配列中に示される多型がより好ましく、更に好ましくは配列番号1、3及び4の塩基配列中に示される多型である。
Figure 2009039067
表1中、「位置」は、LDB2遺伝子ヒトゲノム上の位置を意味する。「遺伝子多型名」は、ゲノム上の位置におけるSNP名であり、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を用いて確認されるアクセッション番号(Accession number)で示している。なお、併記したSNP1〜8の表記は、本発明者が独自に命名したものである。
表1の「塩基配列」には計51塩基からなる塩基配列(配列番号1〜8)が表示されており、その26番目に多型部位(SNP部位)を表示してある。例えば、「a/g」のように表示したものは「a」と「g」のSNPであることを意味し、「a/t」のように表示したものは「a」と「t」のSNPであることを意味する。なお、「26番目の塩基」は多型部位の塩基を意味し、当該塩基が必ずしも1個の塩基であるとは限らない。従って、仮に、デレーション型の多型であった場合は塩基は存在しないため塩基数としては算入しないこととし、また、複数の塩基が繰り返されていた場合であっても当該複数の塩基をまとめて「第26番目の塩基」として数えることとする。
さらに、表1に示したLDB2遺伝子多型(SNP)とその多型頻度について、下記の表2に示す。
Figure 2009039067
本発明においてLDB2遺伝子多型の情報を得る方法は、限定はされず、例えば、GenBankのdbSNP等の各種データベースで検索して得る方法や、以下に説明する公知の方法を採用できる。
まず、ヒトから採取した血液検体等から、フェノール法等を用いてゲノムDNAを精製する。その際、GFX Genomic Blood DNA Purification Kit等の市販のゲノムDNA抽出キットや装置を用いてもよい。次に、得られたゲノムDNAを鋳型として、PCR法によりゲノムDNAをいくつかに分けて増幅し、シークエンス用の鋳型DNAとする。本発明は、遺伝子の多型を対象とするため、PCR法に用いる酵素はなるべくfidelityの高いものを用いることが望ましい。LDB2の5'非翻訳領域(5’UTR 及び5’flanking region)は、開始コドンよりも上流2197bpまでの領域(好ましくは1654bpまでの領域)について、所望により2つの領域に分けてPCR増幅を行うことが好ましい。エクソン1、2、3、・・・、8、及びイントロン1、2、3、・・・、7は、それぞれの箇所毎にPCR法により全域を増幅する。エクソン8は終止コドンより下流の約1102bpを含んでもよい。3'非翻訳領域は終止コドンよりも下流に1284bp(好ましくは1102bpまでの領域)について、所望により2つの領域に分けてPCR増幅を行うことが好ましい。これらのPCR断片の全領域の塩基配列を、GenBankに公開されている配列情報に基づいて設計したプライマーを用いて約500bpずつシークエンス法により解読し、目的の遺伝子多型を得ることができる。
本発明においては、あらゆるLDB2遺伝子多型を含むオリゴヌクレオチドを提供することができるが、好ましくは、表1の配列番号1〜8(より好ましくは配列番号1、3、4、6、7及び8、さらに好ましくは配列番号1、3及び4)に示される塩基配列中の多型部位(第26番目の塩基)を含む少なくとも10塩基、好ましくは10〜100塩基、より好ましくは10〜60塩基の塩基配列、又はこれらと相補的な塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドである。具体的には、配列番号1〜8(より好ましくは配列番号1、3、4、6、7及び8、さらに好ましくは配列番号1、3及び4)に示される塩基配列、又はこれらと相補的な塩基配列から選択されるオリゴヌクレオチドが好ましい。
これら本発明のオリゴヌクレオチドの提供においては、公知のLDB2遺伝子の全長塩基配列も参照することができる(UCSC (http://genome.ucsc.edu/)のBLAT searchによるchr4:16112262-16509425 を参照)。配列番号1〜8に示される塩基配列中の多型部位(第26番目の塩基;SNP1〜8)の、LDB2遺伝子の全長塩基配列中の位置は、それぞれ順に、エクソン1中にある開始コドン(ATG)から5'側上流へ第1653番目の塩基(SNP1)、ATGから5'側上流へ第1035〜1032番目の塩基(SNP2)、エクソン4の5'側末端の塩基から5'側上流(5'側イントロン内)へ第133番目の塩基(SNP3)、エクソン4の3'側末端の塩基から3'側下流(3'側イントロン内)へ第110番目の塩基(SNP4)、エクソン6の5'側末端の塩基から5'側上流(5'側イントロン内)へ第21番目の塩基(SNP5)、エクソン7の3'側末端の塩基から3'側下流(3'側イントロン内)へ第27番目の塩基(SNP6)、エクソン8中にある終止コドン(TAA)から3'側下流へ第82番目の塩基(SNP7)、及びTAAから3'側下流へ第184番目の塩基(SNP8)の塩基である。
3.LDB2遺伝子領域内のハプロタイプ
ハプロタイプとは、一方の親に由来する1つの染色体において、比較的近隣に存在する遺伝子や多型(SNP等)の組合せのこと、つまり同一染色体上に存在する複数の遺伝子座におけるアレルの並び方のことである。例えば、数個の多型が特定の疾患の発生に関与している場合、その関連多型のハプロタイプ解析が疾患原因を解明する鍵となることがある。通常、非翻訳領域外に存在する未知の遺伝子多型を新たに明らかにするのは非常に困難であるため、ハプロタイプは、遺伝子多型と疾患との関連性を見出すために非常に有用である。なお、ハプロタイプ解析の対象となる多型(ハプロタイプの構成要素となる多型)は、通常、その多型頻度が10%以上のものを選択することが好ましい。
本発明でいうハプロタイプは、前記のLDB2遺伝子多型により構成されるものであればよく、限定はされないが、例えば、下記の表3に示されるNo.1〜6のハプロタイプから選ばれるものが好ましい。本発明でいうハプロタイプは、統合失調症の遺伝的要因の有無を判定する方法に利用することができ、詳しくは、ハプロタイプと個体の統合失調症の症状の有無とを関連づけることを特徴とする統合失調症の判定方法に利用することができる。
Figure 2009039067
表3に示されるハプロタイプ(No.1〜6)は、前記表1に示された8個の多型(SNP1〜SNP8)のうちの3個の多型(SNP1,SNP3,SNP4)から構成されるものである。表3中、ハプロタイプを構成するSNPについて大文字表記したもの(例えば「A」)はメジャーアレルを示し、小文字表記したもの(例えば「g」)はマイナーアレルを示す。
表3に示したNo.1〜6のハプロタイプの中でも、統合失調症の遺伝的要因の有無の判定に特に好ましく利用できるものは、No.4及び6のハプロタイプである。
一般に、推定されたハプロタイプブロック(連鎖不平衡ブロック(LDブロック))中の特定のSNPを調べると、間接的に同一ブロック内で連鎖しているSNPの情報を知ることができる。つまり、統合失調症の遺伝的要因の有無の判定を目的として、LDB2遺伝子多型を調べる際は、すべてのSNPを解析する必要はなく、特定のいくつかのSNPについてのみタイピングを行えばよい。
4.LDB2遺伝子多型と統合失調症との相関
LDB2遺伝子に多型が生じると、LDB2の機能及び構造や発現量が変化することがあり、LDB2遺伝子多型と、LDB2に関する様々な表現型とは相関関係にある場合がある。LDB2遺伝子異常の場合、表現型として、例えば形成異常(奇形)による瀰漫性肺病変、多発性のう胞腎、脾腫及び強度近視などを含む、統合失調症に関連する表現型が挙げられる。このような表現型は、LDB2遺伝子の転座(第1エクソンが転座断端に位置する)による症例に起因するものと考えられる。
LDB2遺伝子多型と表現型との相関は、以下のように調べることができる。LDB2遺伝子多型は、健常人における連鎖不平衡解析及びハプロタイプ解析の結果、推定された連鎖ブロック内の代表的な多型、例えばSNPを選択する。次に、被験(患者も含む)個体におけるこの多型(例えばSNP)についての多型頻度を解析し、健常人の多型頻度との比較を行う。比較においてはχ2乗検定(カイ二乗検定)などの統計手法を用いることが有効である。
その結果、被験者において健常人と多型頻度に有意差のあった多型は、統合失調症を発症しているか否か、又は統合失調症の発症のしやすさ(発症危険度)等を評価し、当該疾患の遺伝的要因の有無を判定するのに用いることができる。ただし、遺伝子多型の傾向は、人種や出身地等に影響されることが示唆されているため、関連する多型(例えばSNP)を見出すのに用いた母集団と同様な遺伝子多型を示す集団内において、上記の評価を行うことが望ましい。
5.サンプル調製および遺伝子多型の検出法
被験対象者からのゲノムサンプルは、血液、唾液、皮膚等のいずれから抽出することもでき、ゲノムサンプルを採取できるものであれば、これらに限定されない。ゲノムDNAの抽出及び精製法は周知である。例えば、ヒトから採取した血液、唾液、皮膚等の検体から、フェノール法等を用いてゲノムDNAを精製する。その際、GFX Genomic Blood DNA Purification Kit等の市販のゲノムDNA抽出キットや装置を用いてもよい。検出しようとする遺伝子多型(SNP等)がオープンリーディングフレーム中にある場合は、ゲノムDNAの代わりにmRNAやtotal RNAを抽出してもよい。以下に、上記被験サンプルからの遺伝子多型の検出法(概略)を例示する。
(1) PCR法を用いた検出
PCRにより被験サンプルを増幅するには、Fidelityの高いDNAポリメラーゼ、例えば、KOD Dashポリメラーゼ(TOYOBO社)等を用いることが好ましい。用いるプライマーは、被験サンプル中の対象SNPを増幅できるようにプライマーの任意の位置に遺伝子多型が含まれるように設計し合成する。
増幅反応終了後は、増幅産物の検出を行い、多型の有無を判定する。
(2) 塩基配列決定法による検出
本発明においては、ジデオキシ法に基づく塩基配列決定法により本発明の多型を検出することもできる。塩基配列決定に用いるシークエンサーには、市販のABIシリーズ(アマシャムバイオサイエンス)等を用いることができる。
(3) DNAマイクロアレイによる検出
DNAマイクロアレイは、支持体上にヌクレオチドプローブが固定されたものであり、DNAチップ、Gene チップ、マイクロチップ、ビーズアレイなどを含む。
まず、被験サンプルのポリヌクレオチドを単離し、PCRにより増幅し、蛍光レポーター基により標識する。続いて、標識化DNA/mRNA, total RNAをアレイと共にインキュベートする。次にこのアレイをスキャナーに差し込み、ハイブリダイゼーションパターンを検出する。ハイブリダイゼーションのデータは、プローブアレイに結合した(すなわち標的配列に取り込まれた)蛍光レポーター基からの発光として採集する。標的配列と完全に一致したプローブは、標的配列と一致していない部分を有するものよりも強いシグナルを生じる。アレイ上の各プローブの配列及び位置は分かっているため、塩基配列の相補配列情報によって、プローブアレイと反応させた標的ポリヌクレオチドの配列を決定することができる。
(4) TaqMan PCR法による検出
TaqMan PCR法は、蛍光標識したアレル特異的オリゴ(TaqManプローブ)とTaq DNAポリメラーゼによるPCR反応とを利用した方法である。詳しくは、まず、TaqManプローブが鋳型DNAとハイブリダイゼーションし、その後、PCRプライマーからの伸長反応が起こる。そうすると、Taq DNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼ活性により蛍光色素結合部分が切断されて、蛍光色素が遊離し、クエンチャーの影響を受けなくなり発色するので、この蛍光を検出することで特定の多型(SNP等)を同定し、ゲノムタイプを判定することができる。TaqMan PCR法で用いるアレル特異的オリゴ(TaqManプローブという)は、前記遺伝子多型情報に基づいて設計することができる。
(5) インベーダー法による検出
インベーダー法は、アレル特異的オリゴと鋳型とをハイブリダイゼーションすることにより遺伝子多型を検出する方法である。詳しくは、インベーダー・オリゴがターゲットDNAとプローブ間の二重鎖に少なくとも1塩基の浸入(インベージョン)を起こして部分的な三重鎖構造を形成すると、構造特異的な5'-ヌクレアーゼがプローブ5'末端部分を切断する。そして、目標とする多型(SNP等)箇所の核酸配列に対応してインベージョンを発生させるインベーダー・オリゴを利用することで特定の多型(SNP等)を同定し、ゲノムタイプを判定することができる。インベーダー法を行うためのキットは市販されており、この方法により容易に遺伝子多型を検出することが可能である。
6.キット
本発明において、LDB2遺伝子多型(例えばSNP)部位を含むオリゴヌクレオチドは、統合失調症判定用キットに含めることができる。当該キットは、例えば、統合失調症の発症危険度を評価するために使用することもできる。
本発明のキットは、本発明を実施するために必要な1種以上の成分を含むものである。例えば、本発明のキットは、酵素を保存若しくは供給するためのもの、及び/又は遺伝子多型検出を実施するために必要な反応成分を含むことができる。そのような成分としては、限定されるものではないが、前述した本発明のオリゴヌクレオチド、酵素緩衝液、dNTP、コントロール用試薬(例えば、組織サンプル、ポジティブ及びネガティブコントロール用標的オリゴヌクレオチドなど)、標識用及び/又は検出用試薬、固相支持体、説明書などが挙げられる。また本発明のキットは、必要な成分のうちの一部のみを含む部分的キットであってもよく、その場合には、ユーザーが他の成分を用意することができる。
本発明のキットは、本発明のオリゴヌクレオチドを支持体上に固定したマイクロアレイとして提供することもできる。マイクロアレイは、DNAチップ、Geneチップ、マイクロチップ、ビーズアレイなどを含む。当該マイクロアレイは、上記オリゴヌクレオチドと共に本発明のキットに含まれていてもよい。
本発明のキットは、前述したように、LDB2遺伝子多型を含むオリゴヌクレオチドを含むものである。従って、治療用の薬物を患者等に使用する前、又は使用後の段階で、採血してLDB2遺伝子を単離し、この遺伝子をキット中のオリゴヌクレオチドと反応させて遺伝子型を同定する。同定された遺伝子型と、統合失調症の発症の有無とを関連づけることにより、統合失調症の遺伝的要因の有無及び遺伝的発症危険度の高さを、明確かつ簡便に、高い信頼性をもって判定又は評価することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<統合失調症に対する有用な遺伝子マーカーの特定>
統合失調症の遺伝的要因の有無を判定するために有用な遺伝子マーカーを特定するため、ヒトLDB2遺伝子内に存在する遺伝子多型(特にSNP)に着目し、以下の手順で解析を行った。
(1) 被験対象
患者及び対照研究には、統合失調症と診断された202例(男性109例,平均年齢48.1±10.5歳;女性93例,平均年齢49.0±12.0歳)、年齢及び性別比の一致した対照187例(男性97例,平均年齢46.2±9.7歳;女性90例,平均年齢48.0±10.0歳)を対象とした。統合失調症の診断は、すべてDSM-IV(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorder, Fourth Edition)の診断基準に基づいて実施した。
(2) DNA抽出
被験者の末梢血から、フェノール・クロロフォルム法を用いた常法によりDNAサンプルを抽出した。
(3) 遺伝子型の決定(Genotyping)
NCBI及びUCSCデータベースを利用して構築した遺伝子構造に基づいて、5'上流領、各エクソンを増幅するようにプライマーを設計し、PCR-direct sequence法によって遺伝子型を決定した。
(4) 連鎖不平衡解析によるハプロタイプブロックの検討
連鎖不平衡の計算は、Arlequin 2.0ソフトウェアを用いて行った。D'>0.3, またはr2>0.1を示したSNP間に連鎖不平衡が成立するとみなし、連続した連鎖不平衡領域をハプロタイプブロックとした。
(5) ハプロタイプを用いた関連解析
Arlequin 2.0ソフトウェアにより算出されたハプロタイプを用いて、Fisher's exact testにより各ハプロタイプの患者及び対照間の頻度差を統計解析した。
(6) 考察
転写開始点の上流から第5エクソンまでの連鎖不平衡ブロック(LDブロック)において、ハプロタイプで有意な関連が認められた。
スプリットクローン(3つ)とLDB2遺伝子との位置関係を示す図である。 各種臓器及び器官におけるLDB2遺伝子の発現量を示す図(上)、及び統合失調症の症例の身体病変を示す図(下)である。 LDB2遺伝子の構造とLDブロックとを示す図(上)、及びハプロタイプ解析の結果を示す図(下)である。
配列番号1:合成DNA
配列番号2:合成DNA
配列番号2:nはgtttの3〜4回の繰り返しを表す(存在位置26)。
配列番号3:合成DNA
配列番号4:合成DNA
配列番号5:合成DNA
配列番号6:合成DNA
配列番号7:合成DNA
配列番号8:合成DNA

Claims (12)

  1. LDB2遺伝子の遺伝子多型、及び/又は当該遺伝子多型により構成されるハプロタイプと、個体の統合失調症の有無とを関連付けることを特徴とする、統合失調症の判定方法。
  2. 統合失調症の発症危険度を評価するための方法である、請求項1記載の方法。
  3. 遺伝子多型が、一塩基多型、インサーション多型、デリーション多型及び塩基繰り返し多型からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1又は2記載の方法。
  4. 遺伝子多型が表1に示されるものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. ハプロタイプが表3に示されるものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. LDB2遺伝子配列又はその相補配列中に存在する遺伝子多型部位を含むように作製されたオリゴヌクレオチド。
  7. 配列番号1〜8のいずれかに示される塩基配列のうち第51番目の塩基を含む少なくとも10塩基の配列又はこれに相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド。
  8. 10〜45塩基の長さを有する、請求項7記載のオリゴヌクレオチド
  9. 配列番号1〜8のいずれかに示される塩基配列又はこれに相補的な塩基配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドが支持体に固定されたマイクロアレイ。
  11. 請求項6〜9のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド及び/又は請求項10記載のマイクロアレイを含む、統合失調症判定キット。
  12. 統合失調症の発症危険度を評価するためのものである、請求項11記載のキット。
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