JP2009037007A - 光導波路用樹脂組成物 - Google Patents

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雅巳 奥尾
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Abstract

【課題】優れた硬化性を有し、かつ、樹脂硬化物の層の伝搬損失が低く、ハンダリフロー耐熱性が良好な上に、簡便な方法で互い優れた密着性を有するクラッド層およびコア層よりなる光導波路を形成できる光導波路用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 下記の、(A)および(B)の2成分
(A)フマレート系の構成単位、エポキシ基を有する構成単位を有するフマレート系共重合体
(B)多価カルボン酸化合物とビニルエーテルとを反応させて得られる潜在化多価カルボン酸
を含有し、(A)を10〜80重量%、(B)を10〜70重量%含有することを特徴とする光導波路用樹脂組成物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プリント配線板等の電気配線と一体化して使用される光導波路を形成するのに用いられる樹脂組成物、当該樹脂組成物を硬化させて形成したクラッド層およびコア層を有する光導波路に関する。
近年、光情報処理や光通信技術の分野において用いられる光導波路は、集積化、微細化、高機能化、低価格化を行うための手段として応用研究開発が盛んに行われている。光通信分野の特定分野においては、石英系光配線用光導波路素子が実用化されている。
また、石英系光配線用光導波路素子の製造工程や製造コストを削減することを目的として、高分子光導波路の研究開発も盛んに行われている。
高分子光導波路の研究開発がスタートした当初は、FTTH(Fiber To The Home)に代表される光ファイバーを用いた光通信ネットワークにおけるプロバイダー側の中継地点(基地局)と一般ユーザー宅を結ぶ「ラストワンマイル」と呼ばれる最後の1区間の回線を引くためのコストダウンを目指した検討を中心に開発が行われた(非特許文献1)。FTTH用の光導波路としては長距離通信においても光の伝搬損出を最小限に抑えるために、より有利なシングルモードが採用されている。また、送られる光信号についてもガラス製の光ファイバーにおいて最も吸収の少ない1,310nm、1,490nm(データ通信用)および1,550nm(映像配信用)等の近赤外線領域の波長が採用されている。このために、FTTH用の光導波路に用いる高分子材料からこれらの領域に吸収にあるC−H結合を低減する必要があった。
この理由から、光導波路用の高分子材料のC−H結合をC−F結合やC−D結合に変更する検討が行われて、近赤外線領域の光の吸収をガラスと同程度まで低減することが可能とされた。しかしながら、高分子材料をF(フッ素)化またはD(二重水素)化することで、高分子材料自体のコストが増大してしまい、光導波路の製造コスト削減には貢献できるものの、トータルコストで考えた場合にガラス製と比較して特徴出しが困難となってきた。
一方、光・電気回路混載基板用では、光導波路の位置合わせコスト削減等の理由により、マルチモードが採用されつつある。また、光源としては安価なVCSEL(面発光型レーザー)が採用されつつある。VCSELから生じる光の波長は850nm等の可視〜紫外線領域であるため、高分子材料がC−H結合を有していてもこれらの領域に吸収を持たないので、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等に代表される従来の比較的安価な樹脂が光導波路用材料としての使用可能であるとされている。
例えば、マルチモードの光導波路をエポキシ樹脂等を用いて形成する方法として、エポキシ環を有する単量体やオリゴマーを含む樹脂組成物から形成した膜へ所望の凹形状部を有する金型で圧力を掛けながら光照射して光導波路を形成する方法(特許文献1)、エポキシ化されたビスフェノールA−ホルムアルデヒドノボラック樹脂からなる光導波路(特許文献2)、不斉スピロ環を有するエポキシ化化合物を重合してなるラセミ重合体よりなる光導波路(特許文献3)、エポキシ環を少なくとも1つ以上含む反応性オリゴマーの2種以上の混合物と光重合開始剤よりなる樹脂組成物(特許文献4)、オキセタン基含有反応性オリゴマーと重合開始剤との混合物(特許文献5)、脂環式エポキシ樹脂、アクリルエポキシ樹脂およびカチオン重合開始剤よりなる樹脂組成物(特許文献6)等がある。
しかしながら、光導波路の現実的な検討が進むにつれ、プロセス上新たな特性が必要とされるようになってきた。光・電気回路混載基板用途でも用いることが可能になるよう、リフロー炉を用いたハンダ付工程に対応して、250℃近辺の高温までの急激な温度変化の履歴を受けても光学的特性の損傷を受けない材料特性、すなわちハンダリフロー耐熱性が要求されるようになってきたのである。
この要求に対して、上記の開示技術ではいずれも、本来耐熱性に優れるエポキシ樹脂を用いながらも、十分なハンダリフロー耐熱性が得られないのが実情である。
それだけではなく、光導波路を形成するプロセスが容易であることも要求される。特許文献1に開示された技術では、光マイクロインプリント装置を用いる方法が提案されているが、使用する装置や治具が特殊かつ高価であり現実的ではない。また、特許文献2〜6に開示された技術では、コア層を形成する工程として、フォトマスクを介した露光およびトルエン等の有機溶剤による現像プロセスを含むフォトリソ法が提案されており、フォトマスクを介した露光およびトルエン等の有機溶剤による現像といった煩雑な工程を伴なうので、高いプロセスコストや作業環境の悪化から、現実的なプロセスとしては到底採用し難い。
特開平10−90544号公報 特開平8−15537号公報 特開平10−170738号公報 特開平11−337752号公報 特開2001−343539号公報 特開2006−22317号公報 河内正夫、「NTT R&D」誌、1994年、第43巻、第11号、p.101
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、優れた硬化性を有し、かつ、樹脂硬化物の層の伝搬損失が低く、ハンダリフロー耐熱性が良好な上、簡便な方法で互い優れた密着性を有するクラッド層およびコア層よりなる光導波路を形成できる光導波路用樹脂組成物を提供するところにある。
また、本発明の第二の目的は、伝搬損失が低く、ハンダリフロー耐熱性や互い優れた密着性を有するクラッド層およびコア層を有する光導波路を提供することにある。
本発明者らは前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するフマレート系共重合体と、特定の構造を有する潜在化多価カルボン酸を特定比率で含有する樹脂組成物が前記の課題を解決しうることの知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次の〔1〕〜〔2〕である。
〔1〕下記の成分(A)、(B)を、それぞれ(A)10〜80重量%、(B)10〜70重量%含有することを特徴とする光導波路用樹脂組成物
(A)下記式(1)で表されるフマレート系の構成単位(a1)、下記式(2)〜(5)のいずれかで表されるエポキシ基を有する構成単位(a2)を有するフマレート系共重合体
Figure 2009037007
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数3〜8の分岐アルキル基または置換分岐アルキル基、もしくは、炭素数4〜8のシクロアルキル基または置換分岐シクロアルキル基を表す。)
Figure 2009037007
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Rは−O−基または−CHO−基、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、mは1〜7の整数を示す。)
Figure 2009037007
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Rは−CHO−基または−CH−基、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、pは1〜7の整数を示す。)
Figure 2009037007
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基、qは1〜5の整数を示す。)
Figure 2009037007
(式中、R10は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、nは1〜8の整数を示す。)
(B)2〜8価で炭素数8〜40の多価カルボン酸化合物のカルボキシル基を炭素数2〜10のアルキル基を有する脂肪族アルキルビニルエーテルで保護化して得られる潜在化多価カルボン酸
〔2〕前記の〔1〕に記載の光導波路用樹脂組成物を硬化させて形成したクラッドおよびコア層を有する光導波路。
本発明によれば、優れた硬化性を有し、かつ、樹脂硬化物の層の伝搬損失が低く、ハンダリフロー耐熱性が良好な上に、簡便な方法で互いに優れた密着性を有するクラッド層およびコア層を有する光導波路を形成することが可能な光導波路用樹脂組成物が提供される。
以下において本発明を詳しく説明する。
・ 光導波路用樹脂組成物
本発明の光導波路用樹脂組成物は、下記の(A)および(B)成分を含有する。
(A)フマレート系共重合体
(B)潜在化多価カルボン酸
以下、上記2成分について順に説明する。
<フマレート系共重合体(A)>
本発明の光導波路用樹脂組成物に用いるフマレート系共重合体(A)は、下記式(1)で表されるフマレート系の構成単位(a1)、エポキシ基を有する構成単位(a2)を有することを特徴とする。
Figure 2009037007
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数3〜8の分岐アルキル基または置換分岐アルキル基、もしくは、炭素数4〜8のシクロアルキル基または置換分岐シクロアルキル基を表す。)
前記のエポキシ基を有する構成単位(a2)は、具体的には式(2)〜(5)のいずれかの式で表される。
Figure 2009037007
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Rは−O−基または−CHO−基、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、mは1〜7の整数を示す。)
Figure 2009037007
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Rは−CHO−基または−CH−基、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、mは1〜7の整数を示す。)
Figure 2009037007
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基、kは1〜5の整数を示す。)
Figure 2009037007
(式中、R10は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、nは1〜8の整数を示す。)
<フマレート系の構成単位(a1)>
式(1)で表されるフマレート系の構成単位(a1)は、主として低い伝搬損失、ハンダリフロー耐熱性に寄与する成分である。嵩高い置換基を有する剛直で直鎖状のポリジアルキルフマレート構造を有するために、種々の溶剤に対する耐性に寄与する。その結果として、非常に成分混和性に優れる潜在化多価カルボン酸(B)を配合しながらも、第一(下部)クラッドに代表される下層へコア層に代表される上層の塗布液を重ね塗りする時に上層の塗布液が下層を一部侵食して起こるアンカーリング効果を適度に抑制することができる。そのために、クラッド層とコア層との界面がアンカーリング効果によって混じりあう結果として起こるインターミキシングによる界面での伝搬損失の増加を抑えることができる。
フマレート系の構成単位(a1)をフマレート系共重合体(A)に導入するために使用される単量体としては、下記式(6)で表されるフマレートを使用することができる。
Figure 2009037007
(式中、RとRは、それぞれ式(1)におけるものと同じである。)
式(1)および式(6)において、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数3〜8の分岐アルキル基または置換分岐アルキル基、もしくは、炭素数4〜8のシクロアルキル基または置換分岐シクロアルキル基である。炭素数が小さすぎてフマレートの剛直性が十分でないと、クラッド層とコア層との界面のインターミキシングが起き、界面での伝搬損失が著しく増加してしまう。炭素数が大きすぎると、フマレートの剛直性が高すぎて、潜在化多価カルボン酸(B)との混和性が急激に低下して良好な硬化特性を得ることができないばかりか、フマレート系共重合体(A)を得る上でもフマレートの重合に不利となる。
式(1)および式(6)中のR、Rが炭素数3〜8の分岐アルキル基または置換分岐アルキル基の具体例としては、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−アミル基、3−ペンチル基、2,3−ジメチル−3−ペンチル基、tert−アミル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基等が挙げられる。
このような分岐アルキル基または置換分岐アルキル基を有するフマレートの具体例としては、ジイソプピルフマレート、ジ−sec−ブチルフマレート、ジ−tert−ブチルフマレート、ジイソブチルフマレート、ジ−sec−アミルフマレート、ジ−tert−アミルフマレート、ジ−4−メチル−2−ペンチルフマレート、ジ−sec−アミルフマレート、ジ−3−ペンチルフマレート、ビス(2,4−ジメチル−3ペンチル)フマレート、イソプロピル−sec−ブチルフマレート、tert−ブチル−4−メチル−2−ペンチルフマレート、イソプロピル−tert−ブチルフマレート、sec−ブチル−tert−ブチルフマレート、sec−ブチル−tert−アミルフマレート、ジ−4−メチル−ペンチルフマレート、tert−ブチル−イソアミルフマレート等が挙げられる。
式(1)および式(6)中のR、Rが炭素数4〜8のシクロアルキル基または置換シクロアルキル基の具体例としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、4−tert−ブチル−シクロヘキシル基、イソボルニル基、ボルニル基、ノルボニル基等が挙げられる。
このようなシクロアルキル基および/または置換シクロアルキル基を有するフマレートの具体例としては、ジシクロブチルフマレート、ジシクロペンチルフマレート、ジシクロヘキシルフマレート、ジシクロヘプチルフマレート、ジシクロオクチルフマレート、ビス(4−クロロ−シクロヘキシル)フマレート、ビス(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)フマレート、ジイソボルニルフマレート、ジボルニルフマレート、ジノルボルニルフマレート等が挙げられる。
前記フマレートの中でも、ジイソプロピルフマレート、ジ−sec−ブチルフマレート、ジ−tert−ブチルフマレート、ジシクロヘキシルフマレート、ジ−tert−アミルフマレートが重合反応性の点から好ましい。
<エポキシ基を有する構成単位(a2)>
式(2)〜(5)の何れかの式で表されるエポキシ基を有する構成単位(a2)は、優れた硬化性、ハンダリフロー耐熱性に寄与する成分である。エポキシ基を有する構成単位(a2)をフマレート系共重合体(A)に導入するために使用される単量体としては、下記式(7)〜(10)で表されるエポキシ基を有する単量体を使用することができる。
Figure 2009037007
(式中、R〜R、およびmは、それぞれ式(2)におけるものと同じである。)
前記の式(2)および式(7)において、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基であり、Rは−O−基または−CHO−基である。Rの炭素数が5を超えたり、Rに基づくスペーサーの導入が無い場合、硬化後に硬化物のTgをはじめ光導波路として必要な機械物性を得ることができない。また、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、好ましくは水素原子である。Rの炭素数が5を超えると、熱硬化反応が遅延し形成された光導波路の機械物性や光学的特性に悪影響を及ぼす。mは1〜7、好ましくは1〜2の整数であり、アルキレン鎖長の繰り返し数mが2を上回ると、フマレート系の構成単位(a1)との相溶性が悪くなり、形成された光導波路の機械物性や光学的特性に悪影響を及ぼす。
Figure 2009037007
(式中、R〜R、およびpは、それぞれ式(3)におけるものと同じである。)
前記の式(3)および式(8)において、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基であり、Rは−CHO−基または−CH−基である。Rの炭素数が5を超えたり、Rに基づくスペーサーの導入が無い場合、硬化後に硬化物のTgをはじめ光導波路として必要な機械物性を得ることができない。また、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、好ましくは水素原子である。Rの炭素数が5を超えると、熱硬化反応が遅延し形成された光導波路の機械物性や光学的特性に悪影響を及ぼす。pは1〜7、好ましくは1〜2の整数であり、アルキレン鎖長の繰り返し数pが2を上回ると、フマレート系の構成単位(a1)との相溶性が悪くなり、形成された光導波路の機械物性や光学的特性に悪影響を及ぼす。
Figure 2009037007
(式中、Rおよびqは、それぞれ式(4)におけるものと同じである。)
前記の式(4)および式(9)において、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基である。Rの炭素数が5を超えると、硬化後に硬化物のTgをはじめ光導波路として必要な機械物性を得ることができない。また、qは1〜5、好ましくは1〜2の整数であり、アルキレン鎖長の繰り返し数qが2を上回ると、フマレート系の構成単位(a1)との相溶性が悪くなり、形成された光導波路の機械物性や光学的特性に悪影響を及ぼす。
Figure 2009037007
(式中、R14は水素原子またはメチル基である。)
前記の式(5)および式(10)において、R10は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基である。Rの炭素数が5を超えると、硬化後に硬化物のTgをはじめ光導波路として必要な機械物性を得ることができない。また、nは1〜8、好ましくは1〜2の整数であり、アルキレン鎖長の繰り返し数qが8を上回ると、フマレート系の構成単位(a1)との相溶性が悪くなり、形成された光導波路の機械物性や光学的特性に悪影響を及ぼす。
フマレートとの共重合性が良好との観点から、式(7)または式(8)で表されるエポキシ基を有する単量体を使用することが好ましい。
<その他の構成単位>
エポキシ基を有する単量体とフマレート系単量体との共重合性をさらに向上させるために、式(11)で表される芳香族炭素環を有する構成単位(a3)をフマレート系共重合体(A)に導入してもよい。
Figure 2009037007
式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数6〜12、好ましくは、炭素数6〜8の芳香族炭化水素基を示す。Rがメチル基より大きな基であったり、Rの炭素数が12を上回ったりすると重合反応性が低下するため、目的の共重合性向上を果たすことができない。
芳香族炭素環を有する構成単位(a3)を導入するために使用される単量体としては、具体的には例えば、具体的には、スチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、およびα−エチルスチレン等が挙げられる。
本発明のフマレート系共重合体(A)は、フマレートとエポキシ基を有する単量体を重合することにより、または、これらの単量体とさらに他の単量体とを共重合させることにより得ることができる。その分子形態としては、直鎖状であっても、分岐構造を持っていても良く、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等いずれの形態であっても良い。
本発明のフマレート系共重合体(A)は、常法の重合法により重合することができる。すなわち、重合方法は特に限定されず、ラジカル重合、イオン重合等の重合法を採ることができ、より具体的には重合開始剤の存在下、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の重合法を採ることができる。
本発明の光導波路用樹脂組成物に用いられるフマレート系共重合体(A)に含有するエポキシ基を有する構成単位(a2)の含有量は、フマレート系共重合体(A)中に5〜70重量%であることが好ましく、10〜70重量%であることがより好ましい。フマレート系共重合体(A)中に含まれるエポキシ基を有する構成単位(a2)が5重量%よりも少ない場合は、本願の目的とする効果が得られず、70重量%よりも多く含有した場合は、フマレート系共重合体(A)中に含まれるフマレート性の構成単位(a1)の割合が不足するため、伝搬損失を十分低くすることができない。
<潜在化多価カルボン酸(B)>
本発明に用いる潜在化多価カルボン酸(B)は、価数が2〜8価、好ましくは2〜6価であり、炭素数が8〜40、好ましくは9〜38の多価カルボン酸化合物のカルボキシル基を炭素数が2〜10、好ましくは3〜6のアルキル基を有する脂肪族アルキルビニルエーテルで保護化して得られる。
本発明に用いる潜在化多価カルボン酸(B)の価数が8価を上回ると、硬化物の架橋度が高くなり過ぎるので、光導波路の作成時にコアやクラッドにクラックが入ったり、密着性が低下する。炭素数が40を上回ると、硬化物のガラス転移温度が低下傾向となり、ハンダリフロー耐熱性が低下する。
本発明の光導波路用樹脂組成物に用いられる潜在化多価カルボン酸(B)は、より具体的には下記式(12)で表される構造を有する。
Figure 2009037007
(R15は、価数が2〜8価、好ましくは2〜6価であり、炭素数が8〜40、好ましくは9〜38の多価カルボン酸化合物からカルボキシル基を減じた残基を示し、R16は、炭素数が2〜10、好ましくは3〜8のアルキル基を示す。また、kはR15の価数に等しく、k=2〜8、好ましくは2〜6である。)
潜在化多価カルボン酸(B)は、下記の反応によって、多価カルボン酸化合物(b1)を脂肪族アルキルビニルエーテル(b2)により保護化して得られる。
Figure 2009037007
(R15とR16は、それぞれ前記式(12)におけるものと同じである。)
上記の反応で得られた潜在化多価カルボン酸(B)は、本発明の光導波路用樹脂組成物中に配合して用いた際、硬化温度まで加熱されることで、前記式(13)の逆反応である脱保護の反応により、脂肪族アルキルビニルエーテル(b2)を脱離して、多価カルボン酸化合物(b1)を再生する。再生した多価カルボン酸化合物(b1)とフマレート系共重合体(A)との間には酸−エポキシドのエステル化反応が進行し、光導波路用樹脂組成物の硬化物が得られる。
本発明に用いる潜在化多価カルボン酸(B)は、主として低い伝搬損失、ハンダリフロー耐熱性に寄与する成分である。潜在化多価カルボン酸(B)は溶剤または樹脂組成物に対する溶解性が高い。そのために、耐溶剤性、耐アンカーリング効果を有するフマレート系共重合体(A)を含む本発明の樹脂組成物から形成された硬化層をも侵食して、適度なアンカーリングを行う効果を有する。そのために本発明の光導波路用樹脂組成物を用いて光導波路を製造することにより、光が全反射できるコア層・クラッド層の界面平坦性を保ちながら、両層間でより微細なレベルなアンカーリング効果を同時に得ることができ、両層間の密着性を効果的に得ることができる。
本発明の光導波路用樹脂組成物に用いられる多価カルボン酸化合物(b1)としては、好ましくは、下記式(14)で表される環式多価カルボン酸(b11)、または下記式(15)で表される環状酸無水物の多価アルコールによる環構造を有するハーフエステル化物(b12)が挙げられる。
Figure 2009037007
(kは前記式(12)におけるものと同じであり、6員環は脂環式または芳香環であり、全部または部分的に飽和化していることを示す。)
Figure 2009037007
(kは前記式(7)におけるものと同じであり、R17は、kに等しい価数の脂肪族多価アルコールからアルコール性水酸基を減じた残基を表し、6員環は脂環式または芳香環であり、全部または部分的に飽和化していることを示す。)
前記の環式多価カルボン酸(b11)としては、具体的にはフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;1,3,4−ベンゼントリカルボン酸(以下、トリメリット酸と略することがある)等の芳香族トリカルボン酸;1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸(以下、CHTAと略することがある)等の脂環式トリカルボン酸;1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(以下、ピロメリット酸と略することがある)等の芳香族テトラカルボン酸等が挙げられる。
また、前記の環状酸無水物の多価アルコールによる環構造を有するハーフエステル化物(b12)の原料としての多価アルコールとしては具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール等の2価のアルコール;グリセリン、ペンタントリオール、へキサントリオール、シクロヘキサントリオール、ベンゼントリオール、トリメチロールプロパン等の3価のアルコール;ペンタエリスリトール等の4〜8価のアルコールが好ましい例として挙げられ、さらには反応性の点からトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールがより好ましくが挙げられる。
前記の原料は1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
本発明の光導波路用樹脂組成物に用いられる多価カルボン酸化合物(b1)としては、硬化物の機械的物性の点から、ピロメリット酸、トリメリット酸またはCHTA等の炭素6員環構造を有する、3価または4価のカルボン酸化合物が好ましく挙げられる。前記の多価カルボン酸化合物(b1)は、1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
前記の脂肪族アルキルビニルエーテル(b2)は、炭素数2〜10、好ましくは3〜8の脂肪族アルキルビニルエーテルであり、的には例えばイソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類が挙げられる。炭素数が小さ過ぎると潜在化多価カルボン酸(B)の安定性が十分でなく、大きすぎると反応が遅く潜在化多価カルボン酸(B)の調製が困難になる。
本発明の光導波路用樹脂組成物に用いられる潜在化多価カルボン酸(B)は、前記多価カルボン酸(b1)と、前記脂肪族アルキルビニルエーテル(b2)とを室温ないし150℃の範囲の温度で反応させることにより得ることができる。ブロック化反応は平衡反応であるため、多価カルボン酸(b1)に対し脂肪族アルキルビニルエーテル(b2)を若干多く使用すると反応が促進され、収率を向上させることができる。具体的には、多価カルボン酸(b1)のカルボキシル基に対する脂肪族アルキルビニルエーテル(b2)のビニル基のモル当量比〔(ビニル基)/(カルボキシル基)のモル当量比〕は、1/1〜2/1であることが望ましい。このモル当量比が2/1を超える場合、反応温度を上げることができず、反応速度が著しく低い場合がある。
ブロック化反応を行う際、反応を促進させる目的で酸触媒を使用することもできる。そのような酸触媒としては例えば、下記式(12)で表される酸性リン酸エステル化合物が挙げられる。
Figure 2009037007
(式中のR18は炭素数3〜10のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基、rは1または2である。)
より具体的には、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール等の第一級アルコール類、およびイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール等の第二級アルコール類のリン酸モノエステル類あるいはリン酸ジエステル類が挙げられる。
前記の酸触媒は、1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
酸触媒の使用量は、特に制限ないが、多価カルボン酸(b1)と脂肪族アルキルビニルエーテル(b2)の合計量100重量部に対して、通常0.0005〜5重量部が好ましく、特に0.001〜1重量部が好ましい。
また、ブロック化反応を行う際、反応系を均一にし、反応を容易にする目的で有機溶剤を使用してもよい。この際に使用する有機溶剤としては、例えば芳香族炭化水素、エーテル類、エステルおよびエーテルエステル類、ケトン類、リン酸エステル類、ニトリル類、非プロトン性極性溶媒、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類等が挙げられる。当該有機溶剤としては、アルコールまたはイオン性溶剤に関しては脱ブロック反応を進行させる場合があることが知られており、光導波路用樹脂組成物の保存安定性を著しく低下させ、本発明の効果を得ることが難しくなる場合があるからである。
一般に、光導波路樹脂組成物から形成されるコア層とクラッド層との間において、密着性を向上させるためには、光導波路樹脂組成物への特定の界面活性剤等の添加またはコア層とクラッド層の間にプライマー層を形成する方法が取られる。しかしながら、光導波路樹脂組成物へ特定の界面活性剤等を添加することにより、伝搬損失の増加や、ハンダリフロー耐熱性の低下をきたす。また、コア層とクラッド層の間にプライマー層を形成することは光導波路製造における作業をより煩雑にし、且つ、製造コスト増加に繋がる。また、一般的に層間の密着性を向上させるためには、下層へ上層の樹脂組成物が塗布される時に、上層の樹脂組成物が下層の表面を侵すことによる両層間のアンカーリング効果が発現する。一方で、光導波路においてはコア層とクラッド層との界面において光を全反射させるために、界面の平坦性を一定レベル以下に制御する必要がある。そのために両層の密着性向上のためにアンカーリング効果の積極的な適応は行われていない。両層間のアンカーリング効果が大き過ぎる場合には、両層間の密着性は向上するが、両層界面の平坦性の低下に起因して、伝搬損失の増加をきたしてしまう。
本発明においてフマレート系共重合体(A)および潜在化多価カルボン酸(B)を組み合わせて用いることによってのみ、この問題の解決が得られる。フマレート系共重合体(A)はその中に剛直で直鎖状のポリジアルキルフマレート構造を有するために種々の溶剤に対する耐性が高い。一方、潜在化多価カルボン酸(B)は溶剤または樹脂組成物に対する溶解性が高い。即ち、両組成物構成単位を含む本発明の樹脂組成物は前述した上・下層間の関係において、硬化後の下層は上層に組成物が塗布された場合に容易に浸食されないアンカーリング耐性を有していると同時に、上層は硬化後の下層を浸食・アンカーリングしやすい溶解性を有していることになる。そのために本発明の光導波路用樹脂組成物を用いて光導波路を製造することにより、光が全反射できるコア層・クラッド層の界面平坦性を保ちながら、両層間でより微細なレベルなアンカーリング効果を同時に得ることができ、両層間の密着性を効果的に得ることができる。
本発明の光導波路用樹脂組成物において、フマレート系共重合体(A)の配合割合は10〜80重量%、より好ましくは20〜80重量%であり、10重量%未満配合した場合には充分低い伝搬損失の光導波路が得られないために本発明の効果を発揮することができない。
本発明の光導波路用樹脂組成物において、潜在化多価カルボン酸(B)の配合割合は10〜70重量%、より好ましくは15〜65重量%であり、10重量%未満配合した場合には架橋密度の低い光導波路のコア層やクラッド層しか得られないために、充分なハンダリフロー耐熱性が得られなず、本発明の効果を発揮することができない。
上記と同様の理由により、フマレート系共重合体(A)と潜在化多価カルボン酸(B)の配合割合の比は、以下の範囲であることが好ましい。潜在化多価カルボン酸(B)の脂肪族アルキルビニルエーテルの脱離(脱潜在化、脱ブロック)後に生成するカルボキシル基のモル濃度と、フマレート系共重合体(A)のエポキシ基に対するカルボキシル基のモル濃度の比率(カルボキシル基/エポキシ基)が0.2〜1.6になるような配合量にすることが好ましく、より好ましいモル濃度比は0.4〜1.2である。
また、フマレート系共重合体(A)以外のエポキシ基含有化合物を含有する場合には、上記と同様の理由により、前記フマレート系共重合体(A)とエポキシ基含有化合物の合計配合量と潜在化多価カルボン酸(B)の配合量の比は、以下の範囲であることが好ましい。
フマレート系共重合体(A)とエポキシ基含有化合物のエポキシ基の合計モル濃度に対しての、潜在化多価カルボン酸(B)の脂肪族アルキルビニルエーテルの脱離(脱潜在化、脱ブロック)後に生成するカルボキシル基のモル濃度の比率(カルボキシル基/エポキシ基)が0.2〜1.6になるような配合量にすることが好ましく、より好ましいモル濃度比は0.4〜1.2である。
エポキシ基に対するカルボキシル基のモル濃度の比率が0.2未満であると、硬化後にエポキシ基が多量に残留するため、架橋密度が低くなり、本発明の効果が得られなくなる可能性がある。また、エポキシ基に対するカルボキシル基のモル濃度の比率が1.6を上まわると、カルボキシル基が過剰となり、多くの樹脂物性が低下する。なお、本発明の光導波路用樹脂組成物における必須成分である上記(A)、(B)に含まれない追加成分として、カルボキシル基、エポキシ基を含むカルボキシル基と反応し得る官能基を含む化合物を添加する際には、エポキシ基を含むカルボキシル基と反応し得る官能基の合計モル濃度に対する組成物中のカルボキシル基の合計モル濃度の比率が、上記範囲となるように配合することが好ましい。
なおここで、カルボキシル基のモル濃度は、簡便には化合物構造式(分子量)と配合濃度とから算出され、より正確には、JIS K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価および不けん化物の試験方法」に準じて測定された酸当量より算出される。
本発明においては、(A)、(B)の2成分を特定の比率で用いることによって、上述のコア層・クラッド層密着性と伝搬損失の二律背反である光導波路の要求特性を満足することができると考えられる。すなわち、両組成物構成単位を含む本発明の樹脂組成物は前述した上・下層間の関係において、硬化後の下層は上層に組成物が塗布された場合に容易に浸食されないアンカリング耐性を有していると同時に、上層は硬化後の下層を浸食・アンカリングしやすい溶解性を有していることになる。そのために、本発明の光導波路によれば、光が全反射できるコア層・クラッド層の界面平坦性を保ちながら、両層間でより微細なレベルなアンカーリング効果を同時に得ることができ、両層間の密着性を効果的に得ることができる。
本発明の光導波路用樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分の合計量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。合計量が少なすぎると前記の本願特有の優れた効果を発揮できない場合がある。
<必須成分以外の添加剤>
次に、本発明の光導波路用樹脂組成物に添加することが可能な添加剤やフィラーに関して説明する。本発明の効果を損なわないためには、これらの添加剤やフィラーの添加は本発明の光導波路用樹脂組成物に対して30重量%以下の配合に抑えることが好ましい。
<エポキシ基含有化合物>
本発明の光導波路用樹脂組成物には、(A)成分とは異なる、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ基含有化合物を添加して使用してもよい。
このようなエポキシ基含有化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの多官能エポキシ樹脂は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
<密着性向上助剤>
また、本発明の光導波路用樹脂組成物には、必要に応じて、官能性シランカップリング剤を配合することも出来る。
官能性シランカップリング剤の具体例としては、例えば、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらの官能性シランカップリング剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
<表面調整剤>
本発明の光導波路用樹脂組成物には、本発明の樹脂組成物を硬化させてなる光導波路のコア層およびクラッド層の表面平滑を向上する目的で、表面調整剤を添加することもできる。表面調整剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。また、表面調整剤は本発明の(A)および(B)の必須成分をはじめとする各成分の相溶性を向上させる目的で添加される場合もある。
前記の表面調整剤を用いる場合は、本発明の光導波路用樹脂組成物100重量部に対して、通常0.001〜3重量%添加するのが好ましい。
<その他の成分>
さらに、本発明の光導波路用樹脂組成物には、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、消泡剤、紫外線吸収剤等の添加剤を配合することも出来る。
<溶剤>
本発明の光導波路用樹脂組成物には、本発明の樹脂組成物を硬化させてなる光導波路のコア層およびクラッド層の塗布性を向上する目的で、溶剤を添加し希釈して使用することができる。前記の溶剤としては、例えば、酢酸3−メトキシブチル、プロピオン酸3−エトキシエチル、メチル−β−メトキシイソブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルエステルの混合物(商品名DBE、デュポン社製)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
溶剤を使用する場合、通常は、本発明の光導波路用樹脂組成物100重量部に対して、5〜2000重量部を添加して使用される。
<樹脂組成物の製造方法>
以下に本発明の光導波路用樹脂組成物の配合、撹拌、分散手法に関して説明する。
本発明の光導波路用樹脂組成物において、上記(A)および(B)の必須成分をはじめとする各成分を一括配合しても良いし、各成分を溶剤に溶解した後に逐次配合しても良い。また、配合する際の投入順序や作業条件ハ特に制約を受けない。例えば、全成分を同時に溶剤に溶解して樹脂組成物を調製してもよいし、必要に応じては各成分を適宜2つ以上の溶剤としておいて、使用時(塗布時)にこれらの溶液を混合して樹脂組成物として調製しても良い。
本発明の光導波路用樹脂組成物において、上記(A)および(B)の必須成分をはじめとする各成分混合後の撹拌に関しては、羽根形撹拌機、デソルバー、ニーダー、ボールミル混和機、ロールミル分散機等を用いて撹拌を行ってもよいし、各成分をガロン瓶等の容器に配合してから容器ごとミックスローターで回転させて撹拌してもよい。混合および撹拌の温度は、配合成分にもよるが、通常、結露や溶剤の揮散を避けるために、10〜60℃が好ましい。
本発明の光導波路用樹脂組成物に粘度調整剤やフィラーを添加する場合には、モーターミル、シェイカー等の高シェア分散機を用いた分散を行っても良い。この際には、本発明における上記(A)および(B)の必須成分をはじめとする各成分をバインダーとしたマスターバッチを予め作成しておき、使用時に配合する等の方法も取ることができる。ただし、本発明の潜在化多価カルボン酸(B)は熱により脱ブロック反応ガ進行するため、潜在化多価カルボン酸(B)を含む組成物を分散する際には、80℃以上に加熱しないよう配慮が必要となる。
本発明によれば、フマレート系共重合体(A)と潜在化多価カルボン酸(B)により、優れた硬化性を有し、かつ、樹脂硬化物の層の伝搬損失が低く、ハンダリフロー耐熱性が良好な上で、互いに優れた密着性を有するクラッド層およびコア層を有する光導波路を簡便な方法で形成することができる。
<光導波路の製造方法>
本発明の光導波路は、上記本発明の光導波路用樹脂組成物を硬化させて形成したクラッドおよびコア層を有する。本発明によれば、伝搬損失が低く、ハンダリフロー耐熱性が良好な上で互いに優れた密着性を有するクラッド層およびコア層を有する光導波路を、簡便な方法で形成することができる。
図1に示されるような本発明の光導波路の実施形態を示す図である。本発明の光導波路の製造方法のうち、2例を具体的に説明する。
一例としては、酸化シリコンの皮膜を形成したシリコン基板1上に本発明の光導波路用樹脂組成物を硬化させて形成した第一クラッド層2(厚みは好ましくは5〜200μm)を設ける(図2−(a))。第一クラッド層2をレーザー光を用いて加工して、コア層形状のトレンチ(溝、深さおよび幅は好ましくは0.5〜100μm)を形成する(図2−(b))。トレンチ内にインクジェット装置等を用いて本発明の光導波路用樹脂組成物よりなるコア材を充填、硬化してコア層3を形成する(図2−(c))。コア層3上に本発明の光導波路用樹脂組成物からなるクラッド層4(厚みは好ましくは5〜50μm)を設けることにより本発明の光導波路が得られる(図2−(d))。
もう一例としては、酸化シリコンの皮膜を形成したシリコン基板1上に本発明の光導波路用樹脂組成物を塗布した後、溶剤を除去してさせて硬化前第一クラッド層2’(厚みは好ましくは5〜200μm)を設ける(図3−(a))。コア形状のトレンチ(溝、深さおよび幅は好ましくは0.5〜100μm)形状のモールドを押し当てながら加熱硬化するホットエンボス法を用いて、コア形状のトレンチ形状がついた第一クラッド層2を形成する(図2−(b)、(c))。トレンチ内にインクジェット装置等を用いて、本発明の光導波路用樹脂組成物よりなるコア材を充填、硬化してコア層3を形成する(図2−(d))。コア層3上に本発明の光導波路用樹脂組成物からなるクラッド層4(厚みは好ましくは5〜50μm)を設けることにより本発明の光導波路が得られる(図2−(e))
本発明の光導波路の第一クラッド層2を形成する基板には、シリコン基板、ガラス基板等、本発明の光導波路用樹脂組成物を熱硬化する際に、分解や寸法変化の起こらないものが使用可能である。これらの基板の中でも、表面平滑性に優れたシリコン基板や液晶ディスプレー用ガラス基板が好ましく用いられる。
第一クラッド層2の加工を行うレーザー光としては、エキシマーレーザー、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等を適宜用いることができる。これらのレーザーの中でも、加工精度の面から、エキシマーレーザーが好ましく用いられる。なお、エキシマーレーザーを使用する場合は、その照射領域が本発明の光導波路のコア層用のトレンチ形状よりも広くなる場合がある。その場合には、光導波路のコア層用のトレンチ形状をしたフォトマスクを介して、レーザー照射を行う必要がある。
本発明の光導波路用樹脂組成物よりなるコア材をトレンチ内に選択的に充填する装置としては、インクジェット装置の他ディスペンサー装置、スクリーン印刷装置等を適宜選択して用いることができる。
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
以下に本実施例および比較例で用いた測定方法、評価方法を示す。
<重量平均分子量>
重量平均分子量(Mw)は、東ソー(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC−8220GPCを用い、カラムとして昭和電工(株)製SHODEX K−801を用い、THFを溶離液とし、RI検出器により測定してポリスチレン換算により求めた。
<固形分>
固形分は、溶液1gを精秤し、熱風オーブンで170℃、1時間乾燥後に乾燥前後の重量変化から算出した残存率より算出した。
<粘度>
粘度は、循環式恒温水浴を装備したB型粘度計(東機産業(株)製)を用いて温度20℃で測定した。
<エポキシ当量>
エポキシ当量は、JIS K 7236:2001「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」によって規定される方法によって測定した。
<全酸当量>
全酸当量は、JIS K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価および不けん化物の試験方法」の加水分解酸価測定によって測定した。
<コア層およびクラッド層の屈折率>
スピンコート法により無アルカリガラス(日本電気硝子製OA−10)上に膜厚約2μmの硬化膜を形成した。この硬化膜の屈折率(波長:850nm)を大塚電子製光干渉式膜厚計により測定した。
<伝播損出>
導波路長6cmと2cmに調整した導波路の光損出を測定した。この2点の損出値と導波路長の関係から伝搬損失を評価した。測定条件を下に示す。
(測定条件)
光源:857nm lED アドバンテストQ81212
パワーメータ:波長400〜1000nm用 アドバンテストQ8221
入射ファイバ:マルチモードファイバGI型(コア径50μm)
受光ファイバ:マルチモードファイバGI型(コア径200μmPCF)
調芯装置 :PEAK SEARCHER KP1007−S キタシステム製
光強度が最大になるように手動調芯
<ハンダリフロー耐熱性>
千住金属工業(株)製リフロー炉を用いて、各光導波路サンプルを下の温度プロファイルのリフロー条件でリフロー炉を通過させた。
リフロー通過前後の送伝損失を測定した。
1)25℃→150℃(70秒)
2)150℃×80秒
3)150℃→250℃(40秒)
4)250℃→100℃(70秒)
<コア・クラッド密着性>
無アルカリガラス(日本電気硝子製OA−10)上にポストベーク後膜厚が約2μmとなるように、光導波路クラッド層用樹脂組成物をスピンコーターで塗布した。次に、80℃×20分間のプリベークと150℃×60分間のポストベークを行ってクラッド膜を形成した。クラッド層と同じ方法で、対応する光導波路コア層用樹脂組成物からコア膜をクラッド膜上に形成してコア・クラッド密着性用のサンプルとした。このサンプルの一部について温度85℃、湿度80%RHの条件で5,000時間の信頼性試験を行った。
信頼性試験前後のコア・クラッド密着性をJIS K 5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠して行った。
判定基準は次の通りである。
○:剥離が無い。
△:は剥離は無いがクロスカット時に縁欠けが生じた。
×:は剥離した。
実用に供するためには、○以上が要求される。
<重合例1 重合体(A−1)の重合>
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた容量500mLの4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PMA)を200g仕込んだ。次いで、窒素を導入しながら攪拌を続けてフラスコ内の空気を窒素雰囲気に置換してから、80℃に昇温した。
昇温後、80℃の温度でフマル酸ジシクロヘキシルを122重量部、アリルグリシジルエーテル103重量部、日本油脂(株)製の過酸化物系重合開始剤t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート「パーヘキシルO」(純度93%、以下PHO)7g、およびPMA25gを予め均一混合したもの(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。
滴下終了後、80℃の温度を8時間維持した後、反応を終了した。重量平均分子量(Mw)16,000、固形分50%、粘度1Pa・s(20℃)および溶液のエポキシ当量502g/molの重合体溶液(重合体のエポキシ当量251g/mol)を得た。
<重合例2〜8 重合体(A−2〜7およびA’−1〜3の重合)>
重合例1と同様に操作を行い、重合体(A−2〜5およびA’−1〜3)を得た。各原料の仕込み比、重量平均分子量、固形分、粘度およびエポキシ当量、重合体中のフマル酸エステルの重量%、エポキシ単量体の重量%を表1に示す。
Figure 2009037007
表中に用いた略号の意味は次の通りである。
DcHF:フマル酸ジシクロヘキシル、DiPF:フマル酸ジイソプロピル、DsBF:フマル酸ジ第二ブチル、DGF:フマル酸ジグリシジル、DEF:フマル酸ジエチル、AGE:アリルグリシジルエーテル、VBGE:ビニルベンジルグリシジルエーテル、GMA:メタクリル酸グリシジル、ECMMA:メタクリル酸3,4−エポシキシクロヘキシルメチル、GA:アクリル酸グリシジル、St:スチレン、日本油脂(株)製の過酸化物系重合開始剤t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート「パーヘキシルO」(純度93%、以下PHO)、PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<合成例1 潜在化多価カルボン酸(B−1)の合成>
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、PMA33g、三菱瓦斯化学(株)製トリメリット酸(以下、TMA)27g、n−プロピルビニルエーテル(以下、nPr−VE)40gを仕込み、攪拌しながら加熱し70℃に昇温した。次いで、温度を保ちながら攪拌し続け、混合物の酸価が2.0mgKOH/g以下になったところで反応を終了し、溶液の酸価0.64mgKOH/gのブロック化されたカルボキシル基を2個以上有する潜在化多価カルボン酸(B)の溶液を得た。
<合成例2〜6 潜在化多価カルボン酸(B−2〜5)の合成>
合成例1と同様に潜在化多価カルボン酸(B−2〜5)を得た。各原料の仕込み比、反応温度、有効分、酸価および全酸当量を表2に示す。
Figure 2009037007
表中に用いた略号の意味は次の通りである。
TMA:トリメリット酸、PMA:ピロメリット酸、H−TMA:1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、H−PMA:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、PHPA−TP:トリメチロールプロパンとペンタヒドロフタル酸無水物のハーフエステル化物、HHPA−PE:ペンタエリスリトールとヘキサヒドロフタル酸無水物のハーフエステル化物、NPVE:n−プロピルビニルエーテル、IPVE:i−プロピルビニルエーテル、NBVE:n−ブチルビニルエーテル、PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(実施例1)
重合体(A−1)32.9g、潜在化多価カルボン酸(B−3)20.5gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート46.6gを均一に配合し、光導波路クラッド層用樹脂組成物を調整した。
これをポアサイズ0.1μmのメンブランフィルターでろ過してから、無アルカリガラス(日本電気硝子製OA−10、サイズ:10cm角、厚さ:0.7mm)上へ5ml滴下し、スピンコート(100rpm×60秒)した。次に、150℃×10分間、80℃×20分間のプリベークを行って溶剤を除去した。続いて、150℃×60分間のポストベークを行って下部クラッド層を調製した。
次にL/S=50μm/150μm、ライン長さ12mmのポジパターンマスクを介して有効光面積8mm×20mmのKrFエキシマレーザーを照射してレーザーアブレーションにより、ポジパターンマスク通りの形状で深さが50μmのコア層用溝を形成した。
続いて、重合体(A−1)59.8gおよび潜在化多価カルボン酸(B−1)40.2gを均一に配合した後、エバポレーターを用いてPMAを真空留去して光導波路コア層用樹脂組成物を調製した。この組成物を作成したコア層用溝に対して、内径が20μmのノズルとデスクトップ型画像認識付塗布専用ロボット(武蔵エンジニアリング株式会社製FDA320s)を取り付けたマイクロディスペンサー(武蔵エンジニアリング株式会社製SuperΣCM−V5)を用いてコア層用溝にすり切り一杯に流し込んだ。次に、150℃×60分間のポストベークを行ってコア層を形成した。表面粗度計を用いてコア溝の充填率(=コア層形成後段差/50×100)を測定したところ、95%であった。
コア層を形成した上にスピンコーターを用いて、前記光導波路クラッド層用樹脂組成物を100rpm×60秒の条件で塗布し、150℃×10分間、80℃×20分間のプリベークおよび150℃×60分間のポストベークを行って上部クラッド層を形成して、光導波路を得た。
使用した光導波路用樹脂組成物(クラッド層用およびコア層用)の配合組成、ならびに得られた光導波路についての、コア溝充填率、クラッド層の屈折率、コア層の屈折率、伝搬損失、ハンダリフロー耐熱性、およびコア・クラッド密着性の性能評価結果を表3に示す。
(実施例2)
重合体(A−2)44.7g、潜在化多価カルボン酸(B−2)7.6gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート47.8gを均一に配合し、光導波路クラッド層用樹脂組成物を調整した。これをポアサイズ0.1μmのメンブランフィルターでろ過してから、無アルカリガラス(日本電気硝子製OA−10、サイズ:10cm角、厚さ:0.7mm)上へ5ml滴下し、スピンコート(100rpm×60秒)した。次に、150℃×10分間、80℃×20分間のプリベークを行って溶剤を除去して、樹脂組成物膜を得た。この樹脂組成物膜上に、深さ50μm、幅50μm、長さ12mmの溝を150μm間隔で形成したシリコン製モールドを乗せて、東洋精機製ハンドプレスにて温度150℃、プレス圧力kgf/cmの条件で60分間プレスして、コア層用溝付き下部クラッド層を形成した。
作成したコア層用溝に対して、重合体(A−2)85.6gおよび潜在化多価カルボン酸(B−2)7.5gを均一に配合した後、エバポレーターを用いてPMAを真空留去して光導波路コア層用樹脂組成物を調整した。これを、有限会社マイクロジェット製Nano−Printer−2000を用いてコア層用溝にすり切り一杯に流し込んだ。次に、150℃×60分間のポストベークを行ってコア層を形成した。表面粗度計を用いてコア溝の充填率(=コア層形成後段差/50×100)を測定したところ、96%であった。
コア層を形成した上にスピンコーターを用いて、前記光導波路クラッド層用樹脂組成物を100rpm×60秒の条件で塗布し、150℃×10分間、80℃×20分間のプリベークおよび150℃×60分間のポストベークを行って上部クラッド層を形成して、光導波路を得た。
使用した光導波路用樹脂組成物(クラッド層用およびコア層用)の配合組成を表3に示す。
(実施例3〜7)
光導波路クラッド層用樹脂組成物および光導波路コア層用樹脂組成物を表3に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様の方法を用いて光導波路を形成した。
得られた光導波路について、コア溝充填率、クラッド層の屈折率、コア層の屈折率、伝搬損失、ハンダリフロー耐熱性、コア・クラッド密着性の性能評価結果を表3に示す。
Figure 2009037007
表中に用いた略号の意味は次の通りである。
EHPE3150:ダイセル化学工業(株)製脂環式エポキシ樹脂、GX8643P:第一工業製薬(株)製エポキシ化シクロヘキシルアクリレートとシクロヘキシルアクリレートの共重合体(モル比 1:1、分子量:6,000)、CEL2021P:ダイセル化学工業(株)製液状脂環式エポキシ樹脂「セロキサイド2021P」、PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(比較例1、2、および5〜7)
光導波路クラッド層用樹脂組成物および光導波路コア層用樹脂組成物を表4のものに変更した以外は、実施例1と同様の方法を用いて光導波路を形成した。
(比較例3)
表4に示す原材料配合でワニスを作製した。樹脂と溶剤を秤取し、これを80℃に加温して撹拌混合した後、室温まで冷却してSP−170を加えて撹拌混合した。そして、この混合物を孔径1μmのメンブランフィルタで濾過し、減圧脱泡してワニスを調製した。
1.0mm厚のFR4両面銅張積層板の銅箔をエッチング除去した5cm×15cmの板に、前述のワニスで作製した樹脂厚40μmのフィルムを真空ラミネートし、ベースフィルム越しに全面を超高圧水銀ランプで2000mJ/cmのエネルギーで硬化させ、その後、160℃、1時間の後硬化を実施し、ベースフィルムを剥いで下クラッド層を形成した。
この上に前述のフィルム作製手順の通りに表4に示すワニスで作製した樹脂厚40μmのフィルムを真空ラミネートし、ベースフィルム越しに、40μm幅、14cm長のスリットを有するネガのフィルムマスクを密着させ、超高圧水銀ランプの光源で2000mJ/cmのエネルギーで硬化させ、120℃、5分の熱処理の後、ベースフィルムを剥いでトルエンにて現像し、断面40μm角の14cm長のコア層を形成した。
その上から、比較例3のクラッド層に示す原材料配合のワニスで作製した樹脂厚80μmのフィルムを100℃で真空ラミネートした後、160℃、1時間熱処理し、ベースフィルムを剥いで上クラッド層を形成した。FR4の板の両端を切り落とし、光学研磨を行って、長さ12cmの光導波路を得た。
(比較例4)
4μmの厚さのSiO層を有する通常のシリコン基体上に、表4に示す配合組成の樹脂組成物をスピンコートして、5μmの厚さにコートした。次に、常圧の空気中にて90℃で15分間のプリベークを行って溶媒を除去した。次に、650mJ/cmの露光量で波長365nmのUV光を照射して全面露光を行った後、窒素パージ下で150℃で10分間のポストベークを行って下部クラッド層を作成した。
下部クラッド層の作成に使用したのと同じ樹脂組成物を、スピンコートして6μm厚さのフィルムを生成させ、ネガのフォトマスクを通して像状露光して、露光幅6μm、露光領域の中心の幅12μmの分離された露光領域を生成させた。露光条件は、波長365nmのUV光を650mJ/cmの露光量だけ照射した。次に、窒素パージ下にて150℃で10分間のポストベークを行ってコア層および中間クラッド層を作成した。さらに、得られた硬化物の上に、前述の樹脂組成物をスピンコートして、6μmの厚さの最上層を生成させ、650mJ/cmの露光量で波長365nmのUV光を照射して全面露光を行った。引き続いて窒素パージ下で150℃で10分間のポストベークを行って上部クラッド層を作成し、光導波路を得た。
比較例1〜7で得られた光導波路について、コア溝充填率、クラッド層の屈折率、コア層の屈折率、伝搬損失、ハンダリフロー耐熱性、コア・クラッド密着性の性能評価結果を表4に示す。
Figure 2009037007
表中に用いた略号の意味は次の通りである。
EHPE3150:ダイセル化学工業(株)製脂環式エポキシ樹脂、GX8643P:第一工業製薬(株)製エポキシ化シクロヘキシルアクリレートとシクロヘキシルアクリレートの共重合体(モル比 1:1、分子量:6,000)、CEL2021P:ダイセル化学工業(株)製液状脂環式エポキシ樹脂「セロキサイド2021P」、SU8:Hi−Tech Polymers製ビスフェノールA−ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂「Epirez SU8」、SP150およびSP170:(株)ADEKA製UVカチオン硬化開始剤、UVE1014:GE社製トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
表3より、実施例1〜7の光導波路用樹脂組成物は、優れた硬化性を有し、伝搬損失が低く、ハンダリフロー耐熱性が良好で、かつクラッド層とコア層との信頼密着性にも優れた光導波路の形成が可能であることが判る。
一方表4の結果から、比較例1においてフマレート系共重合体(A)の配合割合が本発明の光導波路用樹脂組成物におけるよりも少なすぎる場合、比較例2においてフマレート系共重合体(A)の配合割合が本発明の光導波路用樹脂組成物におけるよりも多すぎる場合、ハンダリフロー耐熱性が得られない。脂環式エポキシ樹脂を用いた比較例3、ビスフェノールA−ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂を用いた比較例4、ポリフマル酸ジグリシジルを用いた比較例5、フマル酸ジシクロヘキシルとアクリル酸グリシジルとの共重合体を用いた比較例6では、ハンダリフロー耐熱性、コア・クラッド密着性が得られない。フマル酸ジエチルとアリルグリシジルエーテルとの共重合体を用いた比較例7では、低い伝搬損失、ハンダリフロー耐熱性、コア・クラッド密着性が得られない。
図1は、本発明の光導波路構造の一つの実施態様を示す断面図である。 図2は、本発明の光導波路構造の製造方法の一つの実施態様を示す図である。 図3は、本発明の光導波路構造の製造方法の一つの実施態様を示す図である。
符号の説明
1…シリコン基板、2…第一クラッド層、3…コア層、4…第二クラッド層、5…コア形状のトレンチ形状のモールド。

Claims (2)

  1. 下記の成分(A)、(B)を、それぞれ(A)10〜80重量%、(B)10〜70重量%含有することを特徴とする光導波路用樹脂組成物
    (A)下記式(1)で表されるフマレート系の構成単位(a1)、下記式(2)〜(5)のいずれかで表されるエポキシ基を有する構成単位(a2)を有するフマレート系共重合体
    Figure 2009037007
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数3〜8の分岐アルキル基または置換分岐アルキル基、もしくは、炭素数4〜8のシクロアルキル基または置換分岐シクロアルキル基を表す。)
    Figure 2009037007
    (式中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Rは−O−基または−CHO−基、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、mは1〜7の整数を示す。)
    Figure 2009037007
    (式中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Rは−CHO−基または−CH−基、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、mは1〜7の整数を示す。)
    Figure 2009037007
    (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基、kは1〜5の整数を示す。)
    Figure 2009037007
    (式中、R10は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、nは1〜8の整数を示す。)
    (B)2〜8価で炭素数8〜40の多価カルボン酸化合物のカルボキシル基を炭素数2〜10のアルキル基を有する脂肪族アルキルビニルエーテルで保護化して得られる潜在化多価カルボン酸
  2. 請求項1に記載の光導波路用樹脂組成物を硬化させて形成したクラッドおよびコア層を有する光導波路。
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