JP2009036960A - 感光性平版印刷版材料および平版印刷版の作製方法 - Google Patents

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Tomoyuki Matsumura
智之 松村
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Abstract

【課題】発光波長が350nmから450nmの範囲にあるレーザー光での露光に適し安価な露光装置が適用でき、環境面での負荷が少なく、多量に処理を行っても安定した印刷性能を有し、耐刷性に優れる平版印刷版を与える平版印刷版材料およびそれを用いた平版印刷版の作製方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、光塩基発生剤および特定構造で表される構成単位を有するポリマーを含有する画像形成層を有することを特徴とする感光性平版印刷版材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、コンピュータートゥプレートシステム(以下CTPという)に用いられる感光性平版印刷版材料および、それを用いた平版印刷版の作製方法に関する。
近年、製版データのデジタル化にともない、デジタルデータを直接レーザー信号に変調し、平版印刷版材料を露光するいわゆるCTPシステムが普及している。
近年におけるレーザーの発展は目ざましく、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザー・半導体レーザーは高出力かつ小型のものが容易に入手できる様になっている。
コンピュータ等のデジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザーは非常に有用である。
赤外線レーザー平版印刷版材料として、(A)クレゾールノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂および(B)赤外線吸収剤を含有する記録層を有するポジ型平版印刷版材料が提案されている(特許文献1参照)。
また、ポジ型の平版印刷版材料においては、作業性向上の要望より、高感度化が求められており、感度を改良した、例えば画像形成層に酸を発生し得る化合物と酸により分解し得る化合物を含有する画像形成層を有する平版印刷版材料が知られてる(特許文献2参照)。
しかしながら、これらの平版印刷版材料は、現像液として高いpHを有する珪酸アルカリを含有するアルカリ溶液を使用する必要があり、この現像液を廃棄するには、中和処理を必要とし、この中和処理には大量の水を必要とするなどの環境に対する負荷が大きなものであった。
そこで、CTPシステムに使用される印刷版材料として、特別な薬剤(例えばアルカリ、酸、溶媒など)を含む処理液による現像処理を必要とせず、従来の印刷機に適用可能である印刷版材料が求められていた。そして、例えば、印刷機上で印刷の初期段階で現像処理(所謂、機上現像)が行われ、画像露光後特に現像工程を必要としないプロセスレスタイプ印刷版材料と呼ばれる印刷版材料が知られている。
上記のプロセスレスタイプの印刷版材料としては、例えば特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号に開示されるようなフィルム基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層し、表層をレーザー露光でアブレーションさせて印刷版を形成するように構成された印刷版材料あるいは、特許2938397号や特許2938398号に開示されているような、親水性層上に熱可塑性微粒子、水溶性の結合剤、光熱変換素材を含有する画像形成層を設けた印刷版材料が知られている。
また、耐刷力、露光後の版の視認性を改良し、機上現像型であって、塩基発生剤、塩基増殖剤、塩基発色剤、赤外線吸収剤を含有する画像形成層を有する印刷版材料が知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、これらの印刷版材料では、露光に高価な露光装置を必要とする、耐刷力が不充分な場合があるなどの問題があった。
他方、比較的高い耐刷力を要求される印刷の分野においては、重合可能な化合物を含む画像記録層を有するネガ型の感光層をアルミニウム支持体上に有する印刷版材料を用いることが知られている。
CTP用感光性平版印刷版として、例えば、特開平9−80750号、特開平10−101719号に記載の重合開始剤であるチタノセンと特定の色素を含有する光重合系感光層を有するもの等が知られている。
しかし、これらの感光性平版印刷版は、光源として比較的長波長の可視光源を使用するため印刷版作製のための製版作業を、暗い赤灯のセーフライト下で行う必要があり、作業性が悪く、より明るい黄色灯下で取り扱いが可能であること(明室化)の要求があった。
そして、高出力かつ小型の例えば青紫色レーザー等の短波長に発光波長を有するレーザーが比較的容易に安価に入手できるようになり、これらのレーザー波長に適した感光性平版印刷版を開発することにより明室化がはかられてきている。
例えば、特開2003−21901号公報、特開2000−147763号公報、特開2002−202598号公報、国際公開第05−111727号パンフレットに記載のように、350nmから450nm域でのレーザー露光に対応する光重合型の感光性平版印刷版材料が提案されている。
しかしながら、これら重合型の平版印刷版材料においては、感光層の上に酸素透過遮断を目的とする保護層を設けることが必要であり、製造コストが高いという問題があった。
また、画像露光後、例えばアルカリ水溶液などの湿式での現像処理を必要とし、このアルカリ水溶液を廃棄する場合に環境面での負荷が大きい場合がある、多量の印刷版材料を現像処理した場合、印刷時汚れを生じ、印刷版の性能の安定性が不充分な場合があるなどの問題があった。
国際公開第97/39894号パンフレット 特開平11−133610号公報 特開2005−349745号公報
本発明の目的は、発光波長が350nmから450nmの範囲にあるレーザー光での露光に適し安価な露光装置が適用でき、環境面での負荷が少なく、多量に処理を行っても安定した印刷性能を有し、耐刷性に優れる印刷版を与え、かつ製造コストの低い感光性平版印刷版材料およびそれを用いた平版印刷版の作製方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
1.支持体上に、光塩基発生剤および下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーを含有する画像形成層を有することを特徴とする感光性平版印刷版材料。
Figure 2009036960
[式中、R1は水素原子またはメチル基を表す。R2は炭素数1から10の二価の炭化水素基を表す。R3は水素原子またはメチル基を表す。R4はアリール基、アラルキル基、へテロ環基またはへテロ環基で置換されたアルキル基を表す。Xは酸素原子または−NH−を表す。]
2.前記光塩基発生剤が、下記一般式(2−1)または一般式(2−2)で表される化合物であることを特徴とする1に記載の感光性平版印刷版材料。
Figure 2009036960
[式中、R5はアリール基を表す。式中R6、R7はそれぞれ独立に、アルキル基、アラルキル基を表す。式中R8、R9はそれぞれ独立にアルキル基を表す。R8とR9は連結して環を形成することが出来る。]
Figure 2009036960
[式中、R10は水素原子またはアルキル基を表す。R11はアルキル基を表す。R10とR11は連結して環を形成することが出来る。R12はアリール基、アラルキル基、へテロ環基またはへテロ環基で置換されたアルキル基を表す。]
3.前記画像形成層が、350nm〜450nmの波長範囲に吸収極大を有する増感剤を含有することを特徴とする1または2に記載の感光性平版印刷版材料。
4.1〜3のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料を、(1)レーザー光源により画像露光する工程、(2)加熱処理する工程、(3)酸性水溶液により露光部を除去する工程、をこの順に行い平版印刷版を作製することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
5.前記酸性水溶液が、水溶性高分子化合物と界面活性剤とを含有し、pHが4.0以下の水溶液であることを特徴とする4に記載の平版印刷版の作製方法。
本発明の上記構成により、発光波長が350nmから450nmの範囲にあるレーザー光での露光に適し安価な露光装置が適用でき、アルカリ溶液を用いることなく、より環境負荷の少ない酸性現像液で現像が可能であって、多量に処理を行っても印刷時汚れを生ずることがなく安定した印刷性能を有し、耐刷性に優れ、かつ保護層を必要とせず製造コストの低い印刷版を与える感光性平版印刷版材料およびそれを用いた平版印刷版の作製方法が提供できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、感光性平版印刷版材料であって、支持体上に、光塩基発生剤および上記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーを含有する画像形成層を有することを特徴とする。
本発明においては特に、画像形成層が、上記ポリマーおよび光塩基発生剤を含有することにより、現像液としてアルカリ溶液を用いることなく環境面での負荷が少なく、多量に処理を行っても印刷時汚れを生ずることなく、安定した印刷性能を有し、耐刷性に優れた印刷版を与え、かつ製造コストの低い平版印刷版材料が提供できる。
(一般式(1)で表される構成単位を有するポリマー(以下、本発明のポリマーとも称する))
本発明に係る画像形成層は、上記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーを含有する。本発明のポリマーは、一般式(1)で表される構成単位を有することにより塩基増殖剤(塩基増殖ポリマー)として機能する。
塩基増殖ポリマーは、下述する光塩基発生剤が画像露光により発生した塩基により塩基を発生し得るポリマーであり、かつ塩基増殖ポリマー自体が発生した塩基によりさらに塩基を発生し得るポリマーである。
一般式(1)で表される構成単位を有することで、上記発生した塩基により、アミンを発生し塩基増殖ポリマーとして機能する。
一般式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表す。R2は炭素数1から10の二価の炭化水素基を表す。R3は水素原子またはメチル基を表す。R4はアリール基、アラルキル基、へテロ環基、及びへテロ環で置換されたアルキル基を表す。Xは酸素原子または−NH−を表す。
2が表す炭素数1から10の二価の炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン基が挙げられる。
アルキレン基としては、炭素数1から10の直鎖及び分枝で二価のいずれの構造の飽和炭化水素基も用いることができる。
アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられ、置換位置はいずれの位置も取りうる。
これらの中でもR2としては、メチレン、エチレン、プロピレンが好ましく用いられる。
4が表すアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基が挙げられ、フェニル基が好ましく用いられる。
4が表すアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フルオレニル基、フルオレニルメチル基が挙げられ、フルオレニルメチル基が好ましく用いられる。
4が表すヘテロ環基としては、ピリジル基、ピペリジル基、ピロリル基、チオフェニル基が挙げられる。
4が表すヘテロ環で置換されたアルキル基としては、2−ピペリジルエチル基が挙げられる。
一般式(1)で表される構成単位を与える、モノマーの具体例を下記に挙げる。
Figure 2009036960
Figure 2009036960
一般式(1)の構成単位を与えるモノマーの例として挙げた、上記1−1の化合物は、2−イソシアナートエチルメタクリレートと、9−フルオレニルメタノールの反応により合成することが出来る。
Figure 2009036960
一般式(1)の構成単位を与える他のモノマーについても同様の方法で合成することができる。
一般式(1)で表される構成単位を与えるモノマーとしては、1−1、1−16、1−19、1−22が、耐刷性、処理安定性の面から好ましい。
本発明のポリマーは、一般式(1)の構成単位のみを有する単独の重合体であってもよいが、他の共重合成分との共重合体であることが好ましい。
他の共重合成分としては、以下のような構成単位が挙げられる。
例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、ラクトン類、等の公知のモノマーより導入される構成単位が挙げられる。
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−またはi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、が挙げられる。
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−またはi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート等が挙げられる。
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等が挙げられる。
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
ラクトン類の具体例としては、パントイルラクトン(メタ)アクリレート、α−(メタ)アクリロイル−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイル−γ−ブチロラクトンが挙げられる。
マレイン酸イミド類の具体例としては、マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
アクリルニトリル類の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
これらのモノマーのうち特に好適に使用されるのは、炭素数20以下のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル類、マレイン酸イミド類である。
これらとの共重合体を合成するには、一般的なアクリル樹脂を合成するのに用いられる、重合開始剤を用いて、溶液重合または懸濁重合することにより、合成することができる。溶液重合で合成した際には、溶液のまま使用することも、溶媒を溜去し固化させて使用することも、貧溶媒に投じて固体析出させたポリマーを乾燥して用いることも可能である。懸濁重合で合成した際には、懸濁液のまま使用することも可能であり、またポリマー粒径が充分大きい場合には濾取、乾燥して使用することも可能である。
本発明のポリマーの質量平均分子量は、耐刷性、現像性の面から、5,000〜200,000が好ましく、特に10,000〜100,000が好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーは、下述する光塩基発生剤の機能を有していてもよい。このような場合には、画像形成層は当該ポリマーの他に光塩基発生剤を含有する必要はない。しかし、本発明に係る画像形成層は、当該ポリマーではない光塩基発生剤を含有することが好ましい態様である。
画像形成層中における、本発明のポリマーの含有量は、画像形成層に対して30質量%〜95質量%が好ましく、特に40質量%〜90質量%が好ましい。
(光塩基発生剤)
光塩基発生剤は、画像露光により、画像形成層中で塩基を発生し得る化合物である。
光塩基発生剤としては、例えば、特開平2−166450号公報の第6頁上段左2行目〜同頁上段右15行目に記載されているような化合物が挙げられる。即ち、加熱により脱炭酸する有機酸と塩基との塩、分子内求核置換反応、ロッセン転移、ベックマン転移などの反応によってアミン類を放出する化合物など、加熱により何らかの反応を起こして塩基を放出するものが挙げられる。
具体的には、塩基の酸塩が挙げられ、該塩基としては、例えば、グアニジン、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ピペリジン、モルホリン、p−トルイジン、2−ピコリンなどが挙げられる。酸としては、例えば、酢酸、トリクロロ酢酸、フェニルスルホニル酢酸、4−メチルスルフォニルフェニルスルホニル酢酸、4−アセチルアミノメチルプロピオン酸、蓚酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、炭酸、重炭酸などが挙げられる。
本発明においては、特に、光塩基発生剤として、上記一般式(2−1)または一般式(2−2)で表される化合物を用いることが好ましい態様である。
(一般式(2−1)、(2−2)の化合物)
一般式(2−1)において、R5はアリール基を表す。R6、R7はそれぞれ独立に、アルキル基、アラルキル基を表す。R8、R9はそれぞれ独立にアルキル基を表す。R8とR9は連結して環を形成することが出来る。
5が表すアリール基としては、上記R4が表すアリール基と同様のものを用いることができる。
6、R7が表す、アルキル基、としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、特にメチル基が好ましく用いられる。
6、R7が表す、アラルキル基、としては前記R4が表すアラルキル基と同様のものを用いることができる。
一般式(2−2)において、R10は水素原子、またはアルキル基を表す。R11はアルキル基を表す。R10とR11は連結して環を形成することが出来る。R12はアリール基、アラルキル基、へテロ環基を有する基を表す。
10が表すアルキル基、としては、上記のR6、R7が表すアルキル基と同様のものを用いることができる。R11が表すアルキル基、としては、上記のR6、R7が表すアルキル基に加え、シクロアルキル基が挙げられ、例えばシクロヘキシル基が好ましく用いられる。
12が表すアリール基、アラルキル基としては、前記R4が表すアリール基、アラルキル基と同様のものを用いることができる。
一般式(2−1)または(2−2)で表される化合物の具体例を下記に挙げる。
Figure 2009036960
Figure 2009036960
一般式(2−1)で表される化合物は、市販品として入手することができる。たとえば上記2−1−1の化合物はチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社より「イルガキュア369」の製品名で入手することが出来る。また、式2−1−2の化合物は同社より「イルガキュア907」の製品名で入手することが出来る。
一般式(2−2)で表される化合物の、たとえば上記2−2−1の化合物は、シクロヘキシルイソシアネートと、9−フルオレニルメタノールとの反応により合成することが出来る。
Figure 2009036960
また、上記2−2−2の化合物は、ピペリジンと、9−フルオレニルメチルクロロホーメートの反応により合成することが出来る。
Figure 2009036960
光塩基発生剤は、固体状あるいは液体状のまま画像形成層用の組成物中に分散して粒子状物として層中に導入しても良く、またマイクロカプセルの中に内包された状態で導入しても良い。また、溶媒に溶解させて画像形成層用の組成物(塗布液)中に添加して、画像形成層を形成することも可能である。
また、光塩基発生剤の添加量は、画像形成層に対して0.5〜30質量%とするのが好ましく、1〜20質量%とするのが更に好ましい。
光塩基発生剤と本発明のポリマーとの画像形成層中の含有量の割合(光塩基発生剤:本発明のポリマー(質量比))は、1:2〜1:100が好ましく、特に1:5〜1:50が好ましい。
上記したように、本発明においては、本発明のポリマーが光塩基発生剤の機能を有していてもよいが、画像形成層が本発明のポリマーでない光塩基発生剤を含有する態様が好ましい態様である。
(増感剤)
本発明に係る画像形成層は、増感剤を含有することが好ましく、増感剤としては、350〜450nmの波長範囲に吸収極大を有する増感剤が好ましく、特に350〜450nmの波長範囲に吸収極大を有する増感色素が好ましく用いられる。
これらの色素としては、例えばシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、アクリジン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、トリフェニルアミン、クマリン誘導体、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合部、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、ケトアルコールボレート錯体等が挙げられる。
これらの増感色素のうち下記一般式(3)で表されるクマリン系の色素が好ましく用いられる。
Figure 2009036960
一般式(3)中、R1〜R6は、各々水素原子または置換基を表す。置換基基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アミノ基(例えば、無置換アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、等が挙げられる。これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
この中で、特に好ましいのは、R5にアミノ基(無置換アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基)を有するクマリンである。この場合、アミノ基に置換したアルキル基が、R4、R6の置換基と環を形成しているものも好ましく用いることができる。
さらに、R1、R2のいずれか、あるいは両方が、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、トリクロロメチル基等)であると更に好ましい。
一般式(1)で表される色素として最も好ましいものは、R5がアミノ基(無置換アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基)であり、R1がアルコキシカルボニル基またはピリジル基でアルミニウム色素である。
一般式(3)で表される化合物の好ましい具体例として、下記の化合物が挙げられる。
Figure 2009036960
Figure 2009036960
Figure 2009036960
Figure 2009036960
上記具体例の他に、特開平8−129258号公報のB−1からB−22のクマリン誘導体、特開2003−21901号公報のD−1からD−32のクマリン誘導体、特開2002−363206号公報の1から21のクマリン誘導体、特開2002−363207号公報の1から40のクマリン誘導体、特開2002−363208号公報の1から34のクマリン誘導体、特開2002−363209号公報の1から56のクマリン誘導体等も好ましく使用可能である。
(各種添加剤)
本発明に係る画像形成層には、上記した成分の他に、着色剤、可塑剤、結合材、界面活性剤、親水性ポリマー、酸化防止剤、無機微粒子、低分子親水性化合物等を含有してもよい。
<着色剤>
着色剤としては、市販のものを含め従来公知のものが好適に使用できる。例えば、改訂新版「顔料便覧」,日本顔料技術協会編(誠文堂新光社)、カラーインデックス便覧等に述べられているものが挙げられる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、赤色顔料、褐色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料等が挙げられる。具体的には、無機顔料(二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄、ならびに鉛、亜鉛、バリウム及びカルシウムのクロム酸塩等)及び有機顔料(アゾ系、チオインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン系、トリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔料、フタロシアニン顔料及びその誘導体、キナクリドン顔料等)が挙げられる。
又、顔料の添加量としては、画像形成層の固形分に対し0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。
画像形成層は支持体への接着性を向上させるために可塑剤を含有することができる。
<可塑剤>
可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジドデシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチルグリコール、ジメチルイソフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリンなどを挙げることができる。可塑剤の添加量は、がぞ形成層の全固形分に対し好ましくは約0〜3質量%であり、より好ましくは0.1〜2質量%である。
また、画像形成層を塗設する場合必要な界面活性剤などの塗布性改良剤を、本発明の性能を損わない範囲で、含有することができる。その中でも好ましいのはフッ素系界面活性剤である。
<結合材>
本発明においては、画像形成層は、上記のように本発明のポリマー単独でもよいが、各種の成分を担持するための結合材を含有してもよい。
結合材としては、前述の塩基増殖ポリマーにおいて、一般式(1)の構成単位を与えるモノマーと共重合させうる他の共重合成分からなる単一重合体、または共重合体を用いることができる。
<界面活性剤>
本発明において、感光層には、現像性の促進および塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
カチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号および同60−168144号の公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜7質量%であるのがより好ましい。
<親水性ポリマー>
画像形成層には、現像性の向上、マイクロカプセルの分散安定性向上などのため、親水性ポリマーを含有させることができる。
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシピロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
親水性ポリマーは、質量平均分子量が5,000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。親水性ポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。
親水性ポリマーの感光層への含有量は、感光層全固形分の20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
酸化防止剤の添加量は、画像形成層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
<無機微粒子>
画像形成層は、画像部の硬化皮膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、感光層中に安定に分散して、感光層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、感光層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
<低分子親水性化合物>
画像形成層は、現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有することができる。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩や、テトラエチルアミン塩酸塩等の有機4級アンモニウム塩等が挙げられる。
(塗布)
本発明に係る画像形成層は、画像形成層用の塗布液を調製し、これを支持体上に塗布、乾燥して得られる。
塗布する際に使用する溶剤としては、例えば、アルコール類:sec−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール等;エーテル類:プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等;ケトン類、アルデヒド類:ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等;エステル類:乳酸エチル、乳酸ブチル、シュウ酸ジエチル、安息香酸メチル等;が好ましく挙げられる。
塗布液の塗布方法としては、例えばエアドクタコータ法、ブレードコータ法、ワイヤバー法、ナイフコータ法、ディップコータ法、リバースロールコータ法、グラビヤコータ法、キャストコーティング法、カーテンコータ法及び押し出しコータ法等を挙げることができる。
(支持体)
本発明に係る支持体は画像形成層を担持可能な板状体またはフィルム体であり、画像形成層が設けられる側に親水性表面を有するのが好ましい。
本発明の支持体として、例えばアルミニウム、ステンレス、クロム、ニッケル等の金属板、また、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムに前述の金属薄膜をラミネートまたは蒸着したもの等が挙げられる。
また、ポリエステルフィルム、塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム等の表面に親水化処理を施したもの等が使用できるが、アルミニウム支持体が好ましく使用される。
アルミニウム支持体の場合、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。
支持体のアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。又アルミニウム支持体は、保水性付与のため、表面を粗面化したものが用いられる。
粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。粗面化の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法はそれぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、又、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えばホウ酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平5−304358号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
(保護層)
本発明に係る画像形成層の上側には、保護層を設けてもよい。
保護層を構成する素材として好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、アラビアゴム、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド、ポリビニルピロリドン共重合体等が挙げられる。これらの化合物を単独又は2種以上併用し保護層塗布組成物とし用いることができる。特に好ましい化合物としてはポリビニルアルコールが挙げられる。
(平版印刷版の作製方法)
本発明の感光性平版印刷版材料は、画像露光の後、特にアルカリ性を有する現像液で現像することなく、酸性の水溶液で現像して平版印刷版を得ることができる。
本発明の平版印刷版の作製方法としては特に、感光性平版印刷版材料を、レーザー光源により画像露光する工程、加熱処理する工程、酸性水溶液により露光部を除去する工程をこの順に行い平版印刷版を作製する態様が好ましい態様である。
(画像露光)
レーザー光源による画像露光に用いられる光源としては、その発振波長が、350nm以上、450nm以下である光源が好ましく用いられる。
即ち、前記構成4または5に記載の作製方法において、レーザー光源の発振波長が、340nm以上、420nm以下である態様が特に好ましい態様である。
350〜450nmに発光波長を有する入手可能なレーザー光源としては例えば、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組合わせ(380nm〜450nm)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組合わせ(300nm〜350nm)、AlGaInN(350nm〜450nm)、その他にパルスレーザーとしてN2レーザー(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)等が挙げられるが、半導体レーザーが好ましく用いられる。
レーザーの走査方法としては、円筒外面走査、円筒内面走査、平面走査などがある。円筒外面走査では、記録材料を外面に巻き付けたドラムを回転させながらレーザー露光を行い、ドラムの回転を主走査としレーザー光の移動を副走査とする。
円筒内面走査では、ドラムの内面に記録材料を固定し、レーザービームを内側から照射し、光学系の一部又は全部を回転させることにより円周方向に主走査を行い、光学系の一部又は全部をドラムの軸に平行に直線移動させることにより軸方向に副走査を行う。
平面走査では、ポリゴンミラーやガルバノミラーとfθレンズ等を組み合わせてレーザー光の主走査を行い、記録媒体の移動により副走査を行う。円筒外面走査及び円筒内面走査の方が光学系の精度を高め易く、高密度記録には適している。
(加熱処理する工程)
加熱処理する工程は、70℃以上に、画像露光された平版印刷版材料を加熱する工程である。これにより、本発明の塩基増殖ポリマーによる塩基増殖を促進することが出来る、結果的に、感度、現像性を良好に保つことが容易になる。
加熱温度としては、70〜160℃が好ましく、加熱時間としては、5〜90秒が好ましい。
加熱する方法としては、赤外線ヒーターによる放射熱、または赤外線ヒーターにより加熱した温風送風等が挙げれらる。
(酸性水溶液)
本発明に係る酸性水溶液は、pHが7以下であり、水を70質量%以上含有する溶液である。酸性水溶液としては、特に水溶性高分子化合物と界面活性剤とを含有する溶液が好ましく、特にpH4.0以下で水溶性高分子化合物と界面活性剤とを含有する溶液が好ましい。酸性水溶液は、上記成分などが溶解した均一溶液であってもよいし、上記成分などを分散状態で含有する分散液であってもよい。
水溶性高分子化合物としては従来より所謂ガム液に使用し得るとされるものであれば好適に使用できる。例えば、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)及びその変性体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
水溶性高分子化合物の含有量としては、1質量%〜30質量%が好ましく、特に3質量%〜20質量%が好ましい。
界面活性剤としてはアニオン界面活性剤及び/又はノニオン界面活性剤が挙げられる。例えば、アニオン型界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、ポリオキシエチレンアリールエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンナフチルエーテルスルホン酸塩、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミドニナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硝酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硝酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
又、ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド等が挙げられる。その中でもポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類等が好ましく用いられる。
又、弗素系、シリコーン系のアニオン、ノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。これら界面活性剤は2種以上併用することもできる。例えば互いに異なる2種以上を併用することもできる。例えば互いに異なる2種以上のアニオン界面活性剤の併用やアニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の併用が好ましい。界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、好ましくは酸性水溶液の0.01〜20質量%である。
酸性水溶液液には、上記成分の他必要により、多価アルコール、アルコール及び脂肪族炭化水素を含有してもよい。多価アルコール、アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられ、アルコールとしては、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等のアルキルアルコール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、フェニルアミノエチルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−ドデカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ヘプタデカノール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等が挙げられる。
本発明に係る酸性水溶液は、pHが7以下の水溶液であるが、pH6以下が好ましく、特にpH4以下が好ましい。さらにpHが3〜4が特に好ましい態様である。
pHを上記範囲とするには、酸性水溶液中に鉱酸、有機酸又は無機塩等を添加して調節する。その添加量は0.01〜2質量%が好ましい。例えば鉱酸としては硝酸、硫酸、リン酸及びメタリン酸等が挙げられる。
又有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、フィチン酸及び有機ホスホン酸等が挙げられる。更に無機塩としては、硝酸マグネシウム、第1リン酸ナトリウム、第2リン酸ナトリウム、硫酸ニッケル、ヘキサメタン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。鉱酸、有機酸又は無機塩等の少なくとも1種もしくは2種以上を併用してもよい。
本発明に係る酸性水溶液には、防腐剤、消泡剤等を添加することができる。
例えば防腐剤としてはフェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体等が挙げられる。
好ましい添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、使用時の版面保護剤に対して0.01〜4質量%の範囲が好ましく、又種々のカビ、殺菌に対して効力のある様に2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
又、消泡剤としてはシリコン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型及び可溶化等が何れも使用できる。好ましくは使用時の酸性水溶液に対して0.01〜1.0質量%の範囲が最適である。
酸性水溶液には、更にキレート化合物を添加してもよい。好ましいキレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのナトリウム塩;エチレンジアミンジコハク酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩:ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩等の様な有機ホスホン酸類或いはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることが出来る。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代わりに有機アミンの塩も有効である。添加量としては酸性水溶液に対して0.001〜1.0質量%が適当である。
上記成分の他、必要により感脂化剤も添加することができる。例えばテレピン油、キシレン、トルエン、ローヘプタン、ソルベントナフサ、ケロシン、ミネラルスピリット、沸点が約120℃〜約250℃の石油留分等の炭化水素類、例えばジブチルフタレート、ジヘブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸ジエステル剤、例えばジオクチルアジペート、ブチルグリコールアジペート、ジオクチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチルセバケート等の脂肪族二塩基酸エステル類、例えばエポキシ化大豆油等のエポキシ化トリグリセリド類、例えばトリクレジルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリスクロルエチルフォスフェート等のリン酸エステル類、例えば安息香酸ベンジル等の安息香酸エステル類等の凝固点が15℃以下で、1気圧下での沸点が300℃以上の可塑剤が含まれる。
更にカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ヘラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、イソ吉草酸等の飽和脂肪酸とアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、ニルカ酸、ブテシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸、イワシ酸、タリリン酸、リカン酸等の不飽和脂肪酸も挙げられる。
より好ましくは50℃において液体である脂肪酸であり、更に好ましくは炭素数が5〜25であり、最も好ましくは炭素数が8〜21である。これらの感脂化剤は1種もしくは2種以上併用することもできる。使用量として好ましい範囲は酸性水溶液の0.01〜10質量%、より好ましい範囲は0.05〜5質量%である。
酸性水溶液にて、露光部を除去した後は、乾燥することが好ましい。
乾燥時間は1〜5秒が好ましい。乾燥方式としては、温風ヒーター、遠赤外線ヒーターなど公知の乾燥方式を用いることができ、乾燥温度は55℃以上であることが好ましい。
また、平版印刷機に用いられる湿し水が酸性水溶液である場合には、いわゆる、機上現像を行うこともできる。
この場合には、画像露光された平版印刷版材料は、印刷機に装着されて印刷機上で機上現像が行われ、印刷機上で平版印刷が行われる。
印刷機上での画像形成層の非画像部(未露光部)の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2)印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
印刷機としては、一般に公知の平版オフセット印刷機が使用される。
(湿し水)
湿し水としては、一般に平版印刷版の印刷に用いられている湿し水を適用することができる。水のみでもよいし、添加剤を含んでもよい。
湿し水としては、従来使用されてきたイソプロパノール、を含有しない湿し水が好ましい。この場合含有しないとは、含有量が0.5%未満のものをいう。
又湿し水としては、界面活性剤を含む水溶液、が好ましく用いられる。
湿し水の水としては、水道水、井戸水等一般に得られる水が適用できる。
湿し水は、微量成分として、酸類、例えば、りん酸またはその塩、クエン酸またはその塩、硝酸またはその塩、酢酸またはその塩、さらに具体的には、リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリム等、クエン酸、クエン酸アンモニム、クエン酸ナトリウム、酢酸、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム等、また、水溶性高分子化合物として、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、等を含んでもより。
これらの微量成分の含量は、0.1質量%未満、好ましくは0.05質量%以下である。
またさらにグリコール系化合物、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル等も含むことができる、これらグリコール系化合物の含量も少量が好ましく、0.1質量%未満、好ましくは0.05質量%以下である。
また、界面活性剤を含むんでもよい。
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはこれら界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはこれらの混合した界面活性剤が好ましく用いられる。
アニオン型界面活性剤の具体例としては、例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン錯塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレンと無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などが挙げられる。
非イオン型界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル化物類、ソルビタン脂肪酸部分エステル化物類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル化物類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル化物類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル化物類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル化物類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル化物類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル化物類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N、N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。その他弗素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤も使用することができる。
カチオン型界面活性剤の具体例としては、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などが挙げられる。
これら界面活性剤の使用は単独で用いても、2種以上を併用しても良い。湿し水中の界面活性剤の量は0.01質量%以下がこのましく、さらに好ましくは0.05質量%以下である。
(印刷)
本発明の平版印刷版の作製方法により、作製された平版印刷版は、印刷に供せられるが、印刷機としては湿し水を用いる一般的な平版オフセット印刷機を用いることができる。印刷に用いる印刷用紙、印刷インキ、湿し水等特に限定されない。
近年印刷業界においても環境保全の面から、印刷インキにおいては石油系の揮発性有機化合物(VOC)を使用しないインキが開発されその普及が進みつつあるが、本発明の効果はこのような環境対応の印刷インキを使用した場合にも好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
[支持体の作製]
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて以下のように連続的に処理を行った。
(a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を0.3g/m2溶解した。その後スプレーによる水洗を行った。
(b)温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーで水洗した。
(c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、塩酸1.1質量%、アルミニウムイオン0.5質量%、酢酸0.5質量%含む。温度21℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msecの正弦波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。電流密度は実効値で、50A/dm2で、通電量は900C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(d)温度60℃の燐酸濃度20質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、10秒間デスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(e)既存の二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一および第二電解部長各6m、第一給電部長3m、第二給電部長3m、第一及び第二給電電極長各2.4m)を使って電解部の硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度38℃で陽極酸化処理を行った。その後スプレーによる水洗を行った。
この時、陽極酸化装置においては、電源からの電流は、第一給電部に設けられた第一給電電極に流れ、電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第一電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させ、第一給電部に設けられた電解電極を通り、電源に戻る。
一方、電源からの電流は、第二給電部に設けられた第二給電電極に流れ、同様に電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第二電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させるが、電源から第一給電部に給電される電気量と電源から第二給電部に給電される電気量は同じであり、第二給電部における酸化皮膜面での給電電流密度は、約25A/dm2であった。第二給電部では、1.35g/m2の酸化皮膜面から給電することになった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。更に、スプレー水洗後、0.4質量%のポリビニルホスホン酸溶液中に30秒浸漬し、親水化処理した。温度は85℃であった。その後スプレー水洗し、赤外線ヒーターで乾燥した。この時、表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.65μmであった。
(平版印刷版材料の作製)
上記支持体上に、下記組成の画像形成層塗工液1を乾燥時1.5g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、95℃で1.5分間乾燥し平版印刷版材料試料1〜15を作製した。また、得られた平版印刷版材料試料1〜15の各々半分を、30℃、相対湿度50%の雰囲気で10日間保存して、平版印刷版材料試料1〜15に各々対応する平版印刷版材料試料1−1〜15−1を得た。
(画像形成層塗工液1)
表1記載の塩基増殖ポリマー 86.0部
表1記載の光塩基発生剤 8.0部
表1記載の増感剤 6.0部
フタロシアニン顔料分散液MHI#454(御国色素(株)製) 3.0部
ダワノールPM(ダウ・ケミカル社製)(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 900部
上記の方法で作製した平版印刷版材料試料1〜15を、黄色安全光の環境下で、405nmの光源を備えたプレートセッターNews(ECRM社製)を使用し、解像度1200dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、線数100LPIで、露光値(ExposureValue)250で露光を行った。
露光後、引き続き赤色安全光の環境下で、730cm×600cmの大きさの各感光性平版印刷版材料試料を105℃で30秒間加熱処理したのち、下記組成の酸性水溶液1を2L含むバットに、30秒浸漬しながら表面をスポンジでこすり、未露光部を完全に除去した。この操作を各感光性平版印刷版材料試料30枚づつについて行い、平版印刷版を得た。即ち、酸性水溶液1の2Lで上記大きさの平版印刷版材料30枚を処理した。各試料の30枚目の平版印刷版を用い下記の印刷を行った。
(酸性水溶液1)
白色デキストリン 5.0部
ヒドロキシプロピルエーテル化デンプン 10.0部
アラビアガム 1.0部
燐酸第1アンモン 0.1部
ジラウリルコハク酸ナトリウム 0.15部
ポリオキシエチレンナフチルエーテル 0.5部
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンのブロック共重合体(エチレンオキシド比50mol%、分子量5000) 0.3部
エチレングリコール 1.0部
1,2ベンゾイソチアゾリンー3−オン 0.005部
水 82部
を混合し、これにリン酸(85質量%)をpH=3.0となるように加えた。
作製した平版印刷版を、印刷機(三菱重工業(株)製DAIYA1F−1)で、コート紙、印刷インキ(東洋インク(株)製トーヨーキングハイエコーM紅)及び湿し水(東京インク(株)製H液SG−51濃度1.5%)を用いて印刷を行った。
<評価>
非画像部の汚れの生じ難さ、耐刷力を評価して、印刷性能の安定性を評価した。
(汚れ)
印刷物上の非画像部の汚れの有無を目視により評価した。
(耐刷力)
印刷開始時の印刷紙面上での測定において面積率5%の小点が、面積率2%にまで減少する印刷枚数を測定し、この印刷枚数を耐刷力の指標とした。
上記評価結果を表1に示す。
Figure 2009036960
塩基増殖ポリマー(1):モノマー(前記例示化合物1−1)とメタクリル酸メチルの質量比75:25、重量平均分子量50000の共重合体。
塩基増殖ポリマー(2):モノマー(前記例示化合物1−1)、メタクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの質量比75:10:15、重量平均分子量50000の共重合体。
塩基増殖ポリマー(3):モノマー(前記例示化合物1−1)、アクリル酸メチルの質量比75:25、重量平均分子量30000の共重合体。
塩基増殖ポリマー(4):モノマー(前記例示化合物1−16),メタクリル酸メチル,2−ヒドロキシエチルメタクリレートの質量比75:10:15、重量平均分子量50000の共重合体。
塩基増殖ポリマー(5):モノマー(前記例示化合物1−19),メタクリル酸メチル,2−ヒドロキシエチルメタクリレートの質量比75:10:15、重量平均分子量50000の共重合体。
塩基増殖ポリマー(6):モノマー(前記例示化合物1−22),メタクリル酸メチル,2−ヒドロキシエチルメタクリレートの質量比75:10:15、重量平均分子量50000の共重合体。
比較ポリマー:メタクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの質量比50:50、重量平均分子量50000の共重合体。
Figure 2009036960
増感剤(1):N−n−ブチルアクリドン
増感剤(2):3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン
増感剤(3):1,4−ビス(3,4,5−トリメトキシスチリル)ベンゼン
Figure 2009036960
さらに、平版印刷版材料試料1−1〜15〜1についても上記と同様の処理、印刷を行い、上記と同様の評価を行った。その結果、汚れ、耐刷力共に、各々平版印刷版材料試料1〜15と同様な結果が得られた。
表1から、本発明の感光性平版印刷版材料は、酸性現像液で現像可能であり、多量に処理を行っても、印刷時汚れを生ずることなく安定した印刷性能を有し、耐刷性に優れる平版印刷版を与えることが分かる。また、平版印刷版材料試料1−1〜15〜1についての上記結果から、本発明の感光性平版印刷版材料は特に保護層を必要とせず、製造コストが安価であることが分かる。

Claims (5)

  1. 支持体上に、光塩基発生剤および下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーを含有する画像形成層を有することを特徴とする感光性平版印刷版材料。
    Figure 2009036960
    [式中、R1は水素原子またはメチル基を表す。R2は炭素数1から10の二価の炭化水素基を表す。R3は水素原子またはメチル基を表す。R4はアリール基、アラルキル基、へテロ環基またはへテロ環基で置換されたアルキル基を表す。Xは酸素原子または−NH−を表す。]
  2. 前記光塩基発生剤が、下記一般式(2−1)または一般式(2−2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の感光性平版印刷版材料。
    Figure 2009036960
    [式中、R5はアリール基を表す。式中R6、R7はそれぞれ独立に、アルキル基、アラルキル基を表す。式中R8、R9はそれぞれ独立にアルキル基を表す。R8とR9は連結して環を形成することが出来る。]
    Figure 2009036960
    [式中、R10は水素原子またはアルキル基を表す。R11はアルキル基を表す。R10とR11は連結して環を形成することが出来る。R12はアリール基、アラルキル基、へテロ環基またはへテロ環基で置換されたアルキル基を表す。]
  3. 前記画像形成層が、350nm〜450nmの波長範囲に吸収極大を有する増感剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の感光性平版印刷版材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料を、(1)レーザー光源により画像露光する工程、(2)加熱処理する工程、(3)酸性水溶液により露光部を除去する工程、をこの順に行い平版印刷版を作製することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
  5. 前記酸性水溶液が、水溶性高分子化合物と界面活性剤とを含有し、pHが4.0以下の水溶液であることを特徴とする請求項4に記載の平版印刷版の作製方法。
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