近年、住宅の建材に含まれるフォルムアルデヒド等の化学物質による人体への悪影響を防止・緩和するために、一定の要件を満たす住宅には、所定の換気設備の設置が義務付けられている。他方、住宅で消費されるエネルギーの無駄を省き、省エネルギー化に貢献するべきことは、住宅に住む消費者のみならず国からの要請でもある。しかしながら、上記換気設備の設置は、住宅内で暖められ又は冷やされた空気を外部に放出することを意味するものであり、省エネルギー化の要請とは相矛盾することとなる。そこで、従来では、こうした換気設備の設置により住宅内の空気を外部に放出するとともに、住宅内に供給する外気との間で熱交換することにより、熱エネルギーを有効に回収することを目的とした住宅用換気システムが提案されている。こうした換気システムは、計画換気とも称され、一定量の外気を強制的に住宅内に供給する経路と、住宅内の空気を一定量強制的に屋外に排出する経路とを有している。
ところで、こうした計画換気を行う場合には、必要換気量を確保しつつ住宅用換気装置を構成する換気ファン(換気扇)の消費電力を低減するため、換気システム全体の圧力損失を可能な限り低減する必要がある。
そこで、従来では、住宅用換気装置を住宅の天井裏などに設置し、この住宅用換気装置から各室内に供給するダクト長を均等とすることにより、給気口からの風量を計算し、各室内に最適な換気量を確保する方法(以下、第1の方法と言う。)や、住宅用換気装置に内蔵された換気扇の能力・出力を増強したり、各室内の吹出し口に配置された弁やフラップ若しくはダンパを適宜操作・調節したりすることにより換気量を変更しようとする方法(以下、第2の方法と言う。)が採用されている。
上記第2の方法を具体的に詳細に説明すると、例えば、以下に説明する前提を元に以下の方法が採用されている。図16に示すように、住宅内には、4つの部屋A・・・Dが設けられており、これらの部屋A・・・Dは、全ての部屋A・・・Dの換気を行う単一の住宅用換気装置Xが配置され、該住宅用換気装置Xと各部屋A・・・DとはそれぞれダクトA1・・・D1により接続されている。これらのダクトA1・・・D1の圧力損失(ダクト長,曲がりなどから算出された値)は、例えば、部屋Aでは20Pa,部屋Bでは40Pa,部屋Cでは60Pa,部屋Dでは80Paとする。上記住宅用換気装置Xには、図示しない換気扇が内蔵され、この換気扇による換気量を200m3/hとしたとき、各部屋A・・・Dに供給される換気量を図示しない風力測定器にて計測した場合、部屋Aでは80m3/h,部屋Bでは60m3/h,部屋Cでは40m3/h,部屋Dでは20m3/hとなった(測定値)と仮定する。他方、各部屋A・・・Dに必要とされる換気量は、部屋Aでは60m3/h,部屋Bでは40m3/h,部屋Cでは38m3/h,部屋Dでは28m3/hとする(必要換気量)。この場合、上記測定値と必要換気量とを比較すると、部屋A・・Cでは、必要換気量を満たしているが、部屋Dに関しては満たしていない。そこで、従来では、次の2つの方法の何れかで必要換気量を確保している。最初の方法(以下、第2−1の方法と言う。)は、上記換気扇による換気量を200m3/hから300m3/hに変更する方法である。この第2−1の方法によれば、各部屋Aでは120m3/h,部屋Bでは90m3/h,部屋Cでは60m3/h,部屋Dでは30m3/hにそれぞれの換気量が変更されるとともに、必要となる換気量は全ての部屋A・・・Dで満たされ、また、後述するような細かな調節作業は不要となる。
一方、別の方法(以下、第2−2の方法と言う。)は、上記各部屋A・・・Dと住宅用換気装置Xとを結ぶ上記ダクトA1・・・D1の先端の吹出し口に配置された図示しないダンパ等を適宜操作・調節する方法である。すなわち、この第2−2の方法は、必要換気量を上回る測定値が風力測定器により計測された部屋(例えば部屋A,B,C)の換気量を、必要換気量を下回らない範囲で、上記ダンパ等を適宜操作・調節することにより、必要換気量を下回る部屋Dの換気量を増加させる方法である。この第2−2の方法によれば、上記換気扇の能力・出力を変更する必要がないばかりではなく、各部屋A・・・Dの必要換気量を大きく上回る換気量となることがなく、省エネルギー化にも大きく貢献することができる。
しかしながら、上述した各方法では、以下に説明する課題があり採用することができない。すなわち、上記住宅用換気装置から各室内に供給するダクト長を均等とする方法(第1の方法)では、該住宅用換気装置の配置位置が限定され個々に異なる住宅全体の換気システムの設計の自由度が大きく制約される。また、上記第2−1の方法では、換気扇の能力・出力の調節を緻密に変更することは事実上不能であるとともに、該方法は必要換気量を満たす部屋A,B,Cの換気量が必要以上に増大することから、換気扇の消費電力が増大することとも相俟って、熱損失が極めて大きく膨大なランニングコストが必要となる。したがって、この第2−1の方法では、省エナルギー化を大きく阻害する。また、上記第2−2の方法では、省エネルギー化に貢献する方法ではあるが、その反面、上述したダンパ等を適宜操作・調節することによって最終的に各部屋A・・・Dの必要換気量と測定値による換気量とを同じ数値とする作業は極めて面倒であり、長時間化は避けられない。すなわち、この第2−2の方法では、例えば、部屋Aに配置されたダンパ等を操作すると、他の部屋B,C,Dの各換気量も変化し、それに応じて例えば部屋Bの換気量を変更すると、再度部屋Aの換気量も変化することから、各部屋への移動と測定を何度も繰り返さなければならず、作業者に対して図り知れない労力を強いることとなる。しかも、上記例では、僅かに4つの部屋A・・・Dを例に挙げたが、通常の住宅には、上記例よりも多い部屋数を有するのが通常であることを想定すると、その労力やコストは甚大となる。
そこで、本発明は、上述した従来の風量調節方法が有する各種の課題を解決するために提案したものであって、各部屋の必要換気量と実際の換気量とを極めて迅速に調節することができ、省エネルギー化にも十分貢献することができる新規な風量調節装置及びこの風量調節装置を用いた風量調節方法を提供することを目的とするものである。
上述した目的を達成するため、第1の発明(請求項1記載の発明)は、風量調節装置に係るものであって、住宅内部の空気を外部に放出するとともに外気を住宅内部に供給する住宅用換気装置に接続され、外気流入管を介して該住宅用換気装置内に導入した外気を各室内に分割して供給する分岐排出管群のそれぞれに配置される風量調節装置であって、上記分岐排出管群にそれぞれ接続されるダクトと、これらのダクト内に配置され該ダクト内を流通する空気の風量を調節する風量調節手段と、を備え、前記風量調節手段は、円板状に成形されてなる第1のダンパと、この第1のダンパに形成され該第1のダンパが回動される際の軸芯となるとともに先端側は上記ダクトの外部に露出してなる第1の回動軸と、この第1の回動軸に形成された第1の位置決め片と、上記ダクトの外周面に上記第1の回動軸を中心に円弧状に並設されてなるとともに上記第1の位置決め片が係合する第1の係合部と、半円状に成形された第2のダンパと、この第2のダンパに形成され上記第1の回動軸と同一の軸芯を有するとともに先端側は上記ダクトの外側に露出してなる第2の回動軸と、この第2の回動軸に形成された第2の位置決め片と、上記ダクトの外周面に形成され上記第2の位置決め片が係合する第2の係合部と、を備えてなることを特徴とするものである。
なお、上記第1の発明に係る風量調節装置が配置される分岐排出管群は、例えば、住宅用換気装置に取り付けられた分岐チャンバに一端が固定されているものであっても良いし、或いは、一端が上記住宅用換気装置に固定された単一又は複数の分岐ダクトの他端に更に分岐ダクトを固定し、最終的に例えば4〜10の数とされてなるものであっても良い。また、これら分岐排出管群の数は、特に限定されるものではないが、住宅に設けられた部屋,廊下又はホール等の数、すなわち換気すべき空間の数により適宜決定される。また、この第1の発明においては、上記住宅用換気装置の設置場所は、特に限定されるものではなく、第3の発明(請求項3記載の発明)のように、特定の部屋に配置されていても良いし、天井上(小屋裏)や床下に配置されていても良い。さらに、上記第1の発明を構成するダクトは、内側に空気が流通する流路となる部位が形成されていれば良く、その形状は必ずしも円形(円筒)状以外であっても良いし、単一ではなく、例えば第2の発明(請求項2記載の発明)のように、複数のダクトが結合されてなるものであっても良い。
また、この第1の発明では、上記風量調節手段は、円板状に成形されてなる第1のダンパと、この第1のダンパに形成され該第1のダンパが回動される際の軸芯となるとともに先端側は上記ダクトの外部に露出してなる第1の回動軸と、この第1の回動軸に形成された第1の位置決め片と、上記ダクトの外周面に上記第1の回動軸を中心に円弧状に並設されてなるとともに上記第1の位置決め片が係合する第1の係合部と、半円状に成形された第2のダンパと、この第2のダンパに形成され上記第1の回動軸と同一の軸芯を有するとともに先端側は上記ダクトの外側に露出してなる第2の回動軸と、この第2の回動軸に形成された第2の位置決め片と、上記ダクトの外周面に形成され上記第2の位置決め片が係合する第2の係合部と、を備えてなる必要がある。
こうした風量調節手段によれば、先ず、上記第1の回動軸又は第1の位置決め片を回動操作することにより、ダクト内に配置された第1のダンパが回動し、この第1のダンパの回動の程度によって風量が調節される。なお、第1のダンパの回動位置を位置決めする第1の位置決め片と、この第1の位置決め片が係合する第1の係合部が上記第1の回動軸を中心に円弧状に並設されてなることから、回動した第1のダンパは、この第1の位置決め片と任意の位置の第1の係合片との係合により所定の位置に位置決めされ、空気の流通により回動位置が変化しない。なお、風量調節作業の迅速化を図るために、上記第1の回動軸を中心に円弧状に並設された係合部の近傍に、例えば、「1,2,3・・・」等の数字,「a,b,c・・・」又は「イ,ロ,ハ・・・」等の符号を表示した表示用シールを貼付するか、又は刻印しても良い。
さらに、この第1の発明では、上記第1のダンパを回動操作することにより風量が調節されるばかりではなく、この第1のダンパを開放した状態において、上記第2のダンパが回動操作されることにより、さらに風量が調節される。また、上記第2のダンパは、第2の位置決め片と第2の係合部との係合により位置決めがされる。なお、上記第1の回動軸と第2の回動軸とは、互いに軸芯が同一であることを要するが、例えば、第1の回動軸を棒状に成形する一方、第2の回動軸を筒状に形成し、該第2の回動軸に上記第1の回動軸を挿通したものや、逆に、上記第1の回動軸を筒状に成形する一方、上記第2の回動軸を棒状に成形し、この第2の回動軸内に上記第1の回動軸を挿通することにより、互いに軸芯を同一としたものであっても良い。
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記ダクトは、前記一方の分岐管部又は開口が形成され前記第1の回動軸又は第2の回動軸が挿通される一方のスリットが形成された第1のダクトと、この第1のダクトの外径よりも大径とされた内径を有するとともに前記他方の分岐管部又は開口が形成され上記第1の回動軸又は第2の回動軸が挿通される他方のスリットが形成された第2のダクトとが接続されてなり、前記第1の係合部及び第2の係合部は、上記第1のダクト又は第2のダクトに形成されてなるとともに、前記第1のダンパ及び第2のダンパは、該第1のダンパを構成する第1の回動軸又は第2のダンパを構成する第2の回動軸が上記一方のスリットと他方のスリットとの両方に挿通されてなるとともに上記第1のダクトと第2のダクトとにより挟持されてなることを特徴とするものである。
なお、上記一方及び他方のスリットは、上記第1の回動軸又は第2の回動軸が挿通される部位であり、上述したように、第1のダンパの(第1の)回動軸を棒状に成形する一方、第2の回動軸を筒状に形成し、該第2の回動軸に上記第1の回動軸を挿通したものである場合には、上記第2の回動軸の外径に対応している必要があり、逆に、上記第1の回動軸を筒状に成形する一方、上記第2の回動軸を棒状に成形し、この第2の回動軸内に上記第1の回動軸を挿通したものである場合には、該第1の回動軸の外径に対応したものであることを要する。
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、前記第1又は2の発明において、前記ダクトには、前記風量調節手段を挟んだ一方側には該ダクト内に連通してなる一方の分岐管部又は開口が形成され、上記風量調節手段を挟んだ他方側には該ダクト内に連通してなる他方の分岐管部又は開口が形成され、上記一方の分岐管部又は開口と、上記他方の分岐管部又は開口とは、一方の接続チューブと他方の接続チューブとを介して微差圧計に接続されてなることを特徴とするものである。
なお、この第3の発明を構成する上記一方及び他方の分岐管部又は開口の形成位置は、微差圧計による計測値の信頼性を高めるため、上記風量調節手段との距離が均等であり、内径が同一であることが好ましい。また、上記風量調節手段を挟んだ両側に形成された各(一方及び他方の)分岐管部又は開口は、上記一方又は他方の接続チューブを接続する接続手段であり、その形状や高さ又は開口面積は特に限定されるものではない。
また、上記微差圧計は、上記一方の接続チューブを介して前記風量調節手段を間に挟んだ一方側のダクト内の圧力と、他方の接続チューブを介して上記風力調節手段を間に挟んだ他方側のダクト内の圧力との双方の圧力値を計測することができる機能を有していれば足りる。なお、この微差圧計には、上記各測定値から、風量を換算する機能を備えているものであることが好ましい。ここで、上記微差圧計により計測された二つの(2点の)計測値の差(Pa)を用いて、風量(Q)を算出する方法について説明すると、先ず、上記二つの計測値の差(圧力差:Pa)を求める。その上で、次式により、風量(Q)を換算する。
すなわち、この発明に係る風量調節装置を用いて風量を調節する場合には、上記数式1を用いたKファクタ法を用いる。上記数式1を用いた風量の換算は、例えば計算機やパーソナルコンピュータ等を用いて行っても良いし、上述したように、微差圧計に風量換算機能を備えているものを使用する方法であっても良い。こうした風量換算機能を備えた微差圧計を用い、換算された風量(Q)を目視しながら風量調節手段を適宜操作する方法を採用した場合には、より迅速に風量調節が可能となる。
したがって、この第1の発明に係る風量調節装置では、上記一方及び他方の接続チューブを介して上記微差圧計を接続し、この微差圧計による測定結果に基づいて、適宜上記風量調節手段により風量を調節することにより、ダクト内を流通する風量が最適なものとなるように調節される。
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、前記請求項3記載の風量調節装置による風量調節方法であって、上記風量調節装置に形成された一方の分岐管部又は開口と微差圧計とを一方の接続チューブを介して接続し、該風量調節装置に形成された他方の分岐管部又は開口と上記微差圧計とを他方の接続チューブを介して接続し、上記分岐排出管郡の何れかに配置された特定の風量調節装置を流通する風量を、該微差圧計による計測結果に基づき、該風量調節装置を構成する風量調節手段を操作することにより調節することを特徴とするものである。
この第4の発明に係る風量調節方法では、前述したKファクタ法を用いるものであり、微差圧計による計測結果により、風量調節手段により風量を調節する工程においては、該微差圧計により測定された圧力差に基づき前記数式1に基づく風量の換算作業を伴うが、該微差圧計が上記圧力差を表示する機能を有している場合には、該圧力差から風量を換算すれば良く、さらに該微差圧計が風量換算機能を有している場合には、該微差圧計に表示された風量に基づいて風量調節手段を手動で調節し、又は自動で調節される。
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第4の発明において、前記請求項4記載の風量調節方法においては、前記請求項1ないし3記載の何れかの風量調節装置を構成する一方の分岐管部又は開口に一端が接続された一方の上流側接続チューブの他端が接続される一方の上流側接続部と、前記請求項1ないし5記載の何れかの風量調節装置を構成する他方の分岐管部又は開口に一端が接続された他方の上流側接続チューブの他端が接続される他方の上流側接続部とが、それぞれ前記分岐排出管群の数に応じて複数形成されてなるとともに、上記一方の上流側接続部に連通してなるとともに一端は前記微差圧計に接続されてなる一方の接続チューブの他端が接続される一方の下流側接続部と、上記他方の上流側接続部に連通してなるとともに一端は前記微差圧計に接続されてなる他方の接続チューブの他端が接続される他方の下流側接続部とが形成されてなる接続アダプタを用い、上記分岐排出管群の数に応じた上記各一方の上流側接続チューブの一端をそれぞれ上記一方の分岐管部又は開口に接続するとともに、各一方の上流側接続チューブの他端を上記一方の上流側接続部に接続し、上記分岐排出管群の数に応じた上記各他方の上流側接続チューブの一端をそれぞれ上記他方の分岐管部又は開口に接続するとともに、各他方の上流側接続チューブの他端を上記他方の上流側接続部に接続し、一端が上記微差圧計に接続された一方の接続チューブの他端を、上記複数形成された一方の下流側接続部の内の何れかに接続するとともに、一端が該微差圧計に接続された他方の接続チューブを、上記一方の接続チューブを介して連通した特定の風量調節装置を構成する他方の分岐管部又は開口との対応関係を有する特定の他方の下流側接続部に接続し、上記分岐排出管郡の何れかに配置された特定の風量調節装置を流通する風量を、該微差圧計による計測結果に基づき、該風量調節装置を構成するダンパを操作することにより調節することを特徴とするものである。
この第5の発明に係る風量調節方法で使用する接続アダプタは、一方の上流側接続部と、他方の上流側接続部と、上記一方の上流側接続部に連通してなる一方の下流側接続部と、上記他方の上流側接続部に連通してなる他方の下流側接続部とが形成されている。互いに連通した上記一方の上流側接続部と一方の下流側接続部と、互いに連通した他方の上流側接続部と他方の下流側接続部との数は、分岐排出管群の数に対応したものとされている。そして、上記一方の上流側接続部のそれぞれは、一方の上流側接続チューブの他端が接続される部位であり、上記他方の上流側接続部のそれぞれは、他方の上流側接続チューブが接続される部位である。また、上記一方の上流側接続チューブの一端は、それぞれ上記一方の分岐管部又は開口に接続される部位であり、他方の上流側接続チューブの一端は、それぞれ上記他方の分岐管部又は開口に接続される部位である。また、上記一方の下流側接続部のそれぞれは、一方の下流側接続チューブの他端が選択的に接続される部位であり、上記他方の下流側接続部のそれぞれは、他方の下流側接続チューブが選択的に接続される部位である。但し、この他方の下流側接続チューブが接続される他方の下流側接続部は、上記一方の下流側接続チューブの他端が接続された特定の一方の下流側接続部に対応したものである必要がある。そして、上記一方の下流側接続チューブ及び他方の下流側接続チューブは、それぞれ微差圧計と接続アダプタとを接続する部材である。
なお、上記接続アダプタは、上述したように、一方の上流側接続部と、他方の上流側接続部と、上記一方の上流側接続部に連通してなる一方の下流側接続部と、上記他方の上流側接続部に連通してなる他方の下流側接続部とが、少なくとも分岐排出管群に対応した数で形成されていれば、樹脂により一体成形されているものであって良いし、一端は上記一方の上流側接続部となり他端は上記他方の下流側接続部となる金属管が、分岐排出管郡の数に対応して設けられているものであっても良い。
また、第6の発明(請求項6記載の発明)は、上記第5の発明において、前記接続アダプタを構成する一方の上流側接続部と他方の上流側接続部とは、それぞれ交互に且つ直線状に形成されてなることを特徴とするものである。
この第6の発明では、前記一方の上流側接続部と他方の上流側接続部とは、それぞれ交互に且つ直線状に形成されてなることから、上記一方の上流側接続部に連通する一方の下流側接続部と、上記他方の上流側接続部に連通する他方の下流側接続部も、それぞれ交互に且つ直線状に形成されている。したがって、こうした接続アダプタを用いて特定の分岐排出管に配置された風量調節装置により風量を調節する場合には、一方の上流側接続チューブと他方の上流側接続チューブとをそれぞれ並べて接続することができ、また、この接続アダプタと微差圧計とを接続する一方の下流側接続チューブ及び他方の下流側接続チューブもそれぞれ並べて接続することができる。
上記第1の発明(請求項1記載の発明)に係る風量調節装置は、先ず、住宅用換気装置内に導入した外気を各室内に分割して供給する分岐排出管群のそれぞれに配置されるものであり、各部屋に配置されるものではないことから、該風量調節装置による風量調節作業は、一箇所において操作することができる。したがって、本発明によれば、極めて簡単且つ迅速に各部屋の風量を調節することができる。
また、この第1の発明によれば、第1の回動軸又は第1の位置決め部を回動操作することにより、風量調節手段である第1のダンパを回動操作することが可能となるとともに、回動操作された第1のダンパは、第1の位置決め片と第1の係合部との係合によりその位置が保持されることから、住宅用換気装置からの風圧により風量が変更されることがない。なお、上記係合部の数が多い場合には、さらに緻密な風量調節が可能となる。さらに、この風量調節装置では、上記第1のダンパを回動操作することにより風量を調節することができるばかりではなく、この第1のダンパを全部又は一部開放した状態において、上記第2のダンパを回動操作することにより、さらに緻密に風量を調節することができる。特に、上記第1のダンパが全開の状態と、この全開の状態から40度回転した状態までの範囲では、該第1のダンパを多少回動操作しても風量の調節には影響されない(風量調節が極めて困難である)ことから、上記第2のダンパを構成要素とすることにより、上記範囲内においては極めて緻密に風量を調節することができる。また、上記第2のダンパは、第2の位置決め片と第2の係合部との係合により位置決めがされることから、住宅用換気装置からの風圧により風量が変更されることがない。
第2の発明(請求項2記載の発明)に係る風量調節装置では、ダクトは第1及び第2のダクトが接続されてなるものであるとともに、第1及び第2のダンパは、これら第1のダクトと第2のダクトに形成されたスリット(第1及び第2のスリット)に挿通され、該第1のダクトと第2のダクトにより挟持されてなることから、ダクトの製造も簡単となり容易に組み立てることが可能となるとともに、メンテナンス作業も簡単なものとなる。
第3の発明(請求項3記載の発明)に係る風量調節装置では、一方及び他方の接続チューブの一端を接続する一方及び他方の分岐管部又は開口が形成されており、該一方及び他方の接続チューブを介して、Kファクタ法による風量を換算するために必要とされる圧力差を計測する微差圧計と接続されていることから、より正確に風力を測定することができ、この結果、各部屋に供給されるべき空気の量(風量)を最適なものに調節することが可能となる。
第4の発明(請求項4記載の発明)に係る風量調節方法によれば、請求項1記載の発明と同じように、極めて簡単且つ迅速に各部屋の風量を調節することができるとともに、各部屋に供給されるべき空気の量(風量)を最適なものに調節することが可能となる。
第5の発明(請求項5記載の発明)に係る風量調節方法によれば、接続アダプタを介して各風量調節装置と微差圧計とを互いに接続した上で、各風量調節装置を流通する風量を調節するものであることから、個々の風量調節装置毎に一方及び他方の上流側接続チューブを接続し直す必要性がないことから、より一層簡便に風量調節の作業を行うことができる。
第6の発明(請求項6記載の発明)に係る風量調節方法によれば、一方の上流側接続チューブと他方の上流側接続チューブとをそれぞれ交互に並べて接続することができ、また、この接続アダプタと微差圧計とを接続する一方の下流側接続チューブ及び他方の下流側接続チューブもそれぞれ並べて接続することができることから、計測ミスや該計測ミスに基づいて誤って風量調節がされる危険性も防止することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る風量調節装置を、図面を参照しながら詳細且つ具体的に説明する。なお、この実施の形態に係る風量調節装置は、住宅用換気システムを構成する住宅用換気装置に接続された各分岐排出管群のそれぞれに配置されるものである。そこで、以下、この住宅用換気システムや住宅用換気装置について説明しながら、本発明に係る風量調節装置について説明する。
この住宅用換気システムは、図1に示すように、二階建ての住宅1の二階に住宅用換気装置2が配置されている。この住宅用換気装置2は、二階に設けられたクローゼット3に図示しない吊り下げ具により二階の天井4から吊り下げられてなるものであり、このクローゼット3は、部屋と部屋とを区画する第1の壁面5と、外壁6(図3参照)と、上記第1の壁面5と対向する第2の壁面7と、上記第1の壁面5と直行するとともに開閉自在となされた開閉扉8とから構成された空間であり、該住宅用換気装置2の正面は、この開閉扉8と対向している。そして、この住宅用換気装置2は、図2の(A)〜(D)に示すように、略直方体状に成形され正面に開口(符号は省略する。)を有してなる筐体10と、この筐体10に取り外し可能に装着され上記開口の上部側を閉塞する第1の前面カバー11と、この第1の前面カバー11の下側に取外し可能に装着され上記開口を閉塞する第2の前面カバー12とを備えている。そして、上記第1の前面カバー11の正面には、この住宅用換気装置2のオンオフ操作や換気量等を電気的に制御・調節するリモートコントローラ13が配置されている。また、上記第2の前面カバー12の下側中途部には、横長の開口(符号は省略する。)が形成され、この開口はメンテナンスカバー14が開閉自在に配置されている。また、上記筐体10内であって上記第2の前面カバー12の背面側には、上下に第1及び第2の熱交換用エレメント(熱交換素子)15,16が配置されている。これら第1及び第2の熱交換用エレメント15,16は、後述するように、住宅1の外側から流入した外気と、住宅1内から外に排出する空気との間で熱交換する素子である。そして、上記第2の熱交換用エレメント16の下側には、エアフィルタ17が配置されている。このエアフィルタ17は、住宅1の外側から流入した外気を上記第2の熱交換用エレメント16の下側に到る手前において除塵するものであり、上記住宅用換気装置2の正面に設けられたメンテナンスカバー14を開放することにより着脱可能とされている。
また、上記住宅用換気装置2の筐体10を構成する天板19には、図示しない第1ないし第4の開口が形成され、図2の(D)に示すように、これら第1ないし第4の開口には、第1ないし第4の管体20・・・23が固定されている。そして、上記第1の管体20は、住宅1外の空気(外気)がこの住宅用換気装置2内に流入する外気流入口(OA)であり、この第1の管体20の手前に固定されている第2の管体21は、住宅1内の空気をこの住宅用換気装置2内に流入させる室内空気流入口(RA)である。また、この第2の管体21の右側に配置されている第3の管体22は、上記第1の管体20から住宅用換気装置2内に流入した空気を室内に供給する室内空気供給口(SA)である。また、この第3の管体22の後方に配置されている第4の管体23は、上記第2の管体21から住宅用換気装置2内に流入した空気を室外に流出させる室内空気流出口(EA)である。そして、上記第3の管体22の下側であって上記筐体10内には、図2の(C)に示すように、給気用送風機25が配置され、上記第4の管体23の下方には、排気用送風機26が固定されている。また、上記筐体10内には、上記第1の管体(外気流入口:OA)20から上記エアフィルタ17の下側に亘って図示しない第1の外気流路が形成され、またエアフィルタ17から第2の熱交換用エレメント16の下面までにおいても図示しない第2の外気流路が形成されている。また、上記第2の熱交換用エレメント16内には垂直方向に図示しない第1の熱交換流路が形成され、第1の熱交換エレメント15内にも垂直方向に図示しない第2の熱交換流路が形成されている。上記第1の熱交換流路と第2の熱交換流路とは互いに接続され、この第2の熱交換流路は、上記第3の管体(室内空気供給口:SA)に接続されている。一方、上記第2の管体(室内空気流入口:RA)21から上記第1の熱交換用エレメント15の一側面までには、図示しない第1の室内空気流路が形成され、この第1の室内空気流路は該第1の熱交換用エレメント15内に水平方向に形成された図示しない第3の熱交換流路に接続されている。また、上記第1の熱交換エレメント15の他側面と第2の熱交換用エレメント16の他側面とは、図示しない第2の室内空気流路により接続され、この第2の熱交換エレメント内には水平方向に第4の熱交換流路が形成されている。そして、この第4の熱交換流路は、上記第4の管体(室内空気流出口:EA)23に接続されている。
そして、上記第1の管体(外気流入口:OA)20には、図3に示すように、外気流入管27の一端が接続され、この外気流入管27の他端は、上記外壁6に形成された管取付穴(符号は省略する。)に挿通され屋外に臨まされている。また、上記第2の管体(室内空気流入口:RA)21には、この住宅1内に設けられた図示しないホールの天井に接続された室内空気吸込管28の一端が接続されている。この室内空気吸込管28の他端は、上記ホールの天井に固定され、後述するように上記排気用送風機26が駆動すると、ホール内の空気はこの室内空気吸込管28の他端から吸い込まれ、上記住宅用換気装置2内に流入する。また、上記第3の管体(室内空気供給口:SA)には、後述する分岐チャンバ32が接続され、この分岐チャンバ32には、間に後述する風量調節装置45を介して、各室内に空気を分割して供給するが接続されている。また、第4の管体(室内空気流出口:EA)23には、室内空気排気管33の一端が接続されている。この室内空気排気管33の他端は、外壁6に形成された管取付穴(符号は省略する。)に挿通され屋外に臨まされている。なお、上記外気流入管27の他端と上記室内空気排気管33の他端とは、上下に固定されてなるとともに外壁6の外側面に固定された屋外フード34により覆われている。
すなわち、この住宅用換気装置2は、図4に模式的に示すように、上記給気用送風機25と排気用送風機26とが駆動すると、外気が上記外気流入管27の他端側から上記第1の管体(外気流入口:OA)20を介して該住宅用換気装置2内に流入し、図2に示すエアフィルタ17の下側から第2及び第1の熱交換エレメント16,15内に形成された図示しない第1及び第2の熱交換流路を通過し、第3の管体(室内空気供給口:SA)22を介して後述する分岐チャンバ内に到り、この分岐チャンバ32から上記後述する風量調節装置45を通過して分岐排出管29,30,31・・・の他端側から各室内に給気される。一方、上記室内空気吸込管28からは図示しないホール内の空気が流入し、上記第2の管体(室内空気流入口:RA)21を介して住宅用換気装置2内に流入し、上記第1の熱交換エレメント15に形成された第3の熱交換流路及び第2の熱交換エレメント16に形成された第4の熱交換流路を通過し、上記第4の管体(室内空気流出口:EA)23を介して上記室内空気排気管33の他端側から屋外に排出される。
次に、上記分岐チャンバ32について説明する。この分岐チャンバ32は、図5に示すように、上記第3の管体(室内空気供給口:SA)22の外径とほぼ同じ内径となされた筒部32aと、この筒部32aの上端から容積が拡張され上端は方形状の天板32b(図6参照)により閉塞された拡張部32cとを備えている。そして、上記天板32bには、図示しない第1ないし第9の開口が形成され、該第1ないし第9の開口には第1ないし第9の円筒部材35・・・43の基端が固定されている。そして、上記第1ないし第9の円筒部材35・・・43の先端には、それぞれ本発明を構成する風量調節装置45が取り付けられ、これらの風量調節装置45の上端には、図4に示す分岐排出管29,30,31・・・の一端が接続されている。なお、上記分岐排出管29,30,31・・・は、本発明を構成する分岐排出管群である。そこで、以下、本発明の実施の形態に係る上記風量調節装置45について詳細に説明する。
この風量調節装置45は、図7,図8又は図11に示すように、第1のダクト46と、この第1のダクト46に接続される第2のダクト47と、これら第1及び第2のダクト46,47内を流通する空気の風量を変更調節する第1のダンパ48及び第2のダンパ49とから構成されている。上記第1のダクト46は、樹脂により略一体成形されてなるものであり、一端は図6に示す上記第1ないし第9の円筒部材35・・・43に接続される部位である。また、この第1のダクト46の他端には、該第1のダクト46の中心を間に介して第1のスリット46aと第2のスリット46bとが形成されている。なお、これら第1及び第2のスリット46a,46bは、本発明を構成する一方のスリットであり、それぞれの長さ及び幅は互いに同一とされている。また、上記第1のスリット46aの形成位置よりやや一端側には、この第1のダクト46内と連通してなる一方の分岐管部46cが起立されている。また、この一方の分岐管部46cの形成位置より該第1のダクト46のやや他端側には、第2のダクト47の一端が当接する第1の拡径部46dがリング状に形成されている。また、上記一方の分岐管部46cの形成位置の近傍からこの第1のダクト46の一端側には、第2ないし第4の拡径部46e・・・46gがリング状に形成されている。また、この第1のダクト46の外周面であって、上記第1の拡径部46dの形成位置よりも該第1のダクト46の他端側には、係止爪46hが形成されている。
また、上記第2のダクト47は、上記第1のダクト46と同じ素材により一体形成されてなるものであって、一端側は、上記第1のダクト46の他端側が内部に挿通される部位であり、該一端には、該第2のダクト47の中心を間に介して第3のスリット47aと第4のスリット47bとが形成されている。これら第3及び第4のスリット47a,47bはそれぞれ本発明を構成する一方のスリットであり、それぞれの幅は、上記第1及び第2のスリット46a,46bと同一とされ、該第3及び第4のスリット47a,47bの長さは、上記第1及び第2のスリット46a,46bよりも長尺とされている。また、この第2のダクト47には、上記第3のスリット47aと第4のスリット47bとの間に、互いに同一の長さ及び幅となされた第5及び第6のスリット47c,47dが形成され、これら第5のスリット47cと第6のスリット47dとの間は弾性片47eとされている。そして、この弾性片47eには(上記第5のスリット47cと第6のスリット47dとの間には)、上記第1のダクト46に形成された係止爪46hが係止される係止穴47fが形成されている。また、この第2のダクト47の他端側中途部の外周面には、第5の拡径部47gが形成されており、この第5の拡径部47gと上記第3のスリット47aとの間には、他方の分岐管部47hと、上部側係合部47iが複数形成され、さらに、この第2のダクト47の内周面であって上記第5の拡径部47gの形成位置に対応した位置には、縮径部47jが形成されている。上記他方の分岐管部47hは、上記一方のダクト46に形成された一方の分岐管部46cと同一形状に成形されてなるとともに、図8に示すように、上記第1及び第2のダクト46,47とにより後述する第1及び第2のダンパ48,49を組み付けた際における(後述する)該第1及び第2のダンパ48,49の(第1及び第2の)回動軸との距離が、互いに同一とされている。すなわち、上記第1及び第2のダンパ48,49の(第1及び第2の)回動軸から上記一方の分岐管部46cまでの距離と、該回動軸から上記他方の分岐管部47hまでの距離とは、互いに同じ距離とされている。また、上記上部側係合部47iは、それぞれ第2のダクト47の外周面から起立してなるとともに、上記第4のスリット47bの端部を中心にそれぞれ放射方向に長さを有する複数の上部側係合部(符号は省略する。)からなるとともに、各上部側係合部は該第4のスリット47bの端部を中心とした円弧を描くように数度ずつずれた状態で並列されている。なお、これら上部側係合部47iは、本発明を構成する第1の係合部である。また、これら上部側係合部47iは、後述する第1のダンパ48を構成する第1の位置決め片48cが選択的に係合する部位であり、上記複数の上部側係合部の中で該第1のダンパ48が最も開放された位置(第1及び第2のダクト46,47内で最も空気が流通する状態)に対応する上部側ストッパー片47kは、第2のダクト47の外周面からの高さが他の上部側係合部よりも高いものとされ、上記第1の位置決め片48cがこの上部側ストッパー片47kの形成位置よりも更に回動できないようにされている。また、この他方のダクト47の外周面であって該他方のダクト47の一端近傍には、後述する第2のダンパ49を構成する第2の位置決め片49dが係合する複数の下部側係合部47l,47m,47nが形成され、この下部側係合部47nの図12中右側には、上記下部側係合部47l,47m,47nよりも第2のダクト47の外周面からの高さが高い下部側ストッパー片47o(図12参照)が形成されている。
また、上記第1のダンパ48は、樹脂により一体成形されてなるものであって、図9に示すように、円板状に成形された第1のダンパ本体部48aと、この第1のダンパ本体部48aの上端から起立してなる第1の上部回動軸部48bと、この第1の上部回動軸部48bの上端から該第1の上部回動軸部48bの長さ方向と直行する方向に延設されてなる第1の位置決め片48cと、上記第1のダンパ本体部48aの下端であって上記第1の上部回動軸部48bの延長線上に位置する第1の下部回動軸部48dとから構成されている。なお、上記第1の上部回動軸部48bは、本発明を構成する第1の回動軸である。一方、上記第2のダンパ49は、上記第1のダンパ48と同一の樹脂により一体成形されてなるものであって、図10に示すように、リング状に成形された枠部49aと、この枠部49aの約半分を閉塞し略半円状に成形された第2のダンパ本体部49bと、上記枠部49aの上端から起立してなる第2の上部回動軸部49cと、この第2の上部回動軸部49cの側部から該第2の上部回動軸部49cの長さ方向と直行する方向に延設された第2の位置決め片49dと、上記枠部49aの下端であって上記第2の上部回動軸部49cの延長線上に位置する第2の下部回動軸部49eとから構成されている。そして、上記枠部49aは、上記第1のダンパ本体部48aの厚さとほぼ同じ長さを有する筒状に成形されている。また、上記第2の上部回動軸部49cは、本発明を構成する第2の回動軸であり、本実施の形態においては、内部に上記第1の上部回動軸部48bが回動自在に挿通されるよう筒状に成形されているとともに、該第1の上部回動軸部48bを側方から圧入された際に通過する圧入用開口49fが形成されている。また、上記第2の下部回動軸部49eは、円筒状に成形され、上記第1の下部回動軸部48dを上方から挿入できるように構成されている。
このように構成された上記第1のダンパ48及び第2のダンパ49は、図7に示すように、一体的になるよう組み付けられている。すなわち、上記第1のダンパ48は、上記第2のダンパ49とは別個に(図12に示すように時計回り方向に)回動可能とされてなるとともに、後述するように、この第1のダンパ48が回動され上記第1及び第2のダクト46,47内に形成された空気の流路が解放された際、上記第2のダンパ49は第1のダンパ48とは別個に回動可能となる。そして、上記第1のダンパ48と第2のダンパ49とは、上述したように、第1の上部回動軸部48bが第2の上部回動軸部49c内に挿通され、第1の下部回動軸部48dが第2の下部回動軸部49e内に挿入された状態で一体化されてなることから、第1及び第2の上部回動軸部48b,49cは同一の軸心となっており、上記第1及び第2の下部回動軸48d,49eも同一の軸心となっている。
そして、上述したように構成された第1及び第2のダンパ48,49は、上記第1のダクト46及び第2のダクト47に対して、図8及び図11に示すように、組み付けられている。すなわち、図7に示す第2の上部回動軸部49cが、上記第1のスリット46a内と上記第3のスリット47a内に挿通されてなるとともに、該第1及び第3のスリット46a,47aの閉塞側端部にて挟まれ、同時に上記第2の下部回動軸部49eが、上記第2のスリット46b内と上記第4のスリット47b内に挿通されてなるとともに該第2及び第4のスリット46b,47bの閉塞側端部にて挟まれた状態で組み付けられている。そして、上記第1の上部回動軸48b及び第2の上部回動軸49cは、何れも上記一方及び他方のダクト46,47の外部に露出されている。また、上記弾性片47eに形成された係止穴47f内に上記係止爪46hが係止され、第2のダクト47から第1のダクト46が脱落しないようにされている。
そして、このように組み付けられた風量調節装置45においては、上記第1の位置決め片48cの回動操作により、上記第1のダンパ本体部48aの向きを約90度の範囲に亘って回動操作することができ、また、第2のダンパ本体49aも約90度に亘って回動調節することができる。すなわち、図12の(A)に示すように、上記第1の位置決め片48cが最も同図中左側の上部側係合部47iとその右側の上部側係合部47iとの間に係合されており、第2の位置決め片49dが同図中最も左側の下部側係合部47lとその右側に形成されたに下部側係合部47mとの間に係合されている状態においては、第1のダンパ本体部48aは、第2のダンパ49を構成する枠部49a内に位置してなるとともに、上記流路は完全に閉塞された状態となる。また、この図12の(A)に示す状態から、上記第1の位置決め片48cのみを時計回り方向に45度回動操作すると、第1のダンパ本体部48aが回動し、図11及び図12の(B)にそれぞれ示す状態となり、空気の流通が可能な状態となる。そして、この図12の(B)に示す状態(第1の位置決め片48cにより上記流路が解放された状態)において、例えば、上記第2の位置決め片49dを略90度反時計回り方向に回動操作し、図12中最も右側に形成された下部側係合部47oとその左側に形成された下部側係合部47nとの間に位置させると、図12の(C)に示すように、第2のダンパ本体部49bは、上記流路内の空気の流れる方向と同じ方向に位置し、さらに風量が増加する。
なお、この実施の形態においては、上述した通り、風量調節装置45を構成する第2のダンパ49は、図12中反時計回り方向に回動操作する方式を採用しているが、図13に示すように、この第2のダンパ49も上記第1のダンパ48のように、時計回り方向に回動操作する方式を採用するとともに、上記第2の位置決め片49dの位置を90度反時計回り方向に位置変更し、さらに下部側係合部の数を増加させたもの(下部側係合部47l・・・47rと、部側ストッパー片47s)であっても良い。こうした変形例に係る風量調節装置45によれば、図13の(A)に示すように、第1のダンパ本体部48aと第2のダンパ本体部49dとにより完全に空気の流路が閉塞された状態から、図13の(B)に示すように、第1の位置決め片48cを例えば90度時計回り方向に回動させることにより上記流路が解放される。この状態において、上記第2の位置決め片49dを時計回り方向に回動操作すると、さらに流路内で流通する空気量が増加し、また、図13の(A)に示す状態から、上記第1及び第2の位置決め片48c,49dをそれぞれ時計回り方向90度回動操作すると、図13の(C)に示すように、流路内を流通する空気量が最大となる。
そして、このように構成された上気風量調節装置45は、図14に示すように、上記第1のダクト46の一端(下端)が上記第1ないし第9の円筒部材35・・・43の上端に接続され、各風量調節装置45を構成する第2のダクト47の他端(上端)は、図3に示す分岐排出管群29,30,31・・・・・・に接続されており、さらに、各風量調節装置45は、後述する各接続チューブと接続アダプタ50を介して微差圧計51に接続されている。上記接続アダプタ50は、樹脂により長尺な直方体状に一体成形されてなるものであり、図14及び図15に示すように、上面には、一方の上流側接続管部50aと一方の下流側接続管部50bとが、該接続アダプタ50の長さ方向に交互且つ直線状並んで形成されている。すなわち、上記一方の上流側接続管部50aと一方の下流側接続管部50bとは、それぞれ9個設けられている。なお、一方の上流側接続管部50aと一方の下流側接続管部50bとはそれぞれ同一の形状とされている。そして、上記一方の上流側接続管部50aは、一端が上記風量調節装置45を構成する一方の分岐管部46cに一端が接続された一方の上流側接続チューブ54の他端が接続されてなる部位である。また、上記一方の下流側接続管部50bは、一端が上記風量調節装置45を構成する他方の分岐管部47hに一端が接続された一方の下流側接続チューブ55の他端が接続されてなる部位である。すなわち、上記第1ないし第9の円筒部材35・・・43と、分岐排出管群29,30,31・・・・・・との間に接続された全部で9個の風量調節装置45と上記接続アダプタ50とは、それぞれ上記一方の上流側接続チューブ54と一方の下流側接続チューブ55を介して接続されている。また、この接続アダプタ50の正面には、他方の上流側接続穴部50cと他方の下流側接続穴部50dとが、該接続アダプタ50の長さ方向に交互に形成されている。上記他方の上流側接続穴部50cと他方の下流側接続穴部50dとは、それぞれ9個設けられてなるとともに、他方の上流側接続穴部50cと他方の下流側接続穴部50dとは同一の形状とされている。そして、上記各他方の上流側接続穴部50cと上記各一方の上流側接続管部50aとは該接続アダプタ50の内部において互いに連通している。また、上記各他方の下流側接続穴部50dと上記各一方の下流側接続管部50bとは該接続アダプタ50の内部において互いに連通している。
また、上記微差圧計51は、上記各風量調節装置45を構成する上記第1及び第2のダンパ48,49の下側の圧力と該第1及び第2のダンパ48,49の上側の圧力との双方の計測値を測定することができる機能を有してなるものであり、この実施の形態に係る微差圧計51では、上記各測定値から、風量調節装置45内の風量を換算する機能を備えてなるものである。すなわち、この微差圧計51の正面には、上記二つの測定値と風量とが表示される表示部51a及び図示しない操作部が設けられ、上部の左側には、左接続部51bが形成され右側には右接続部51cが設けられている。上記左接続部51bは、一方の接続チューブ52の一端が接続されている部位であり、上記右接続部51cは、他方の接続チューブ53の一端が接続されている部位である。そして、この実施の形態では、上記一方の接続チューブ52の他端と他方の接続チューブ53の他端とには、コネクタ57が接続され、このコネクタ57を介して上記接続アダプタ50に接続されている。このコネクタ57は、一方のパイプ部54aと、この一方のパイプ部54aと平行に固定された他方のパイプ部54bと、これら一方及び他方のパイプ部54a,54bを固定してなる固定部材54cとから構成されている。そして、上記一方の接続チューブ52の他端は、上記一方のパイプ部54aの一端に接続され、上記他方の接続チューブ53の他端は上記他方のパイプ部54cの一端に接続されている。そして、上記一方のパイプ部54aの他端は、上記接続アダプタ50の正面に複数形成された他方の上流側接続穴部50cの何れかに圧入される部位であり、上記他方のパイプ部54bの他端は、上記一方のパイプ部54aが圧入された他方の上流側接続穴部50cの隣に形成された他方の下流側接続穴部50dに圧入される部位である。
したがって、上記微差圧計51により、例えば上記第1の円筒部材36の上端に接続された風量調節装置45内の風量を測定する場合には、作業者は上記コネクタ57を手指で把持しながら、該コネクタ57を構成する一方のパイプ部54aの他端を上記接続アダプタ50の正面に形成された他方の上流側接続穴部50c内に圧入するとともに、他方のパイプ部54bの他端を他方の下流側接続穴部50d内に圧入する。こうした接続操作により、上記風量調節装置45内の風量が測定される。このとき、この風量調節装置45内の風量が所定値に満たない場合又は所定値を上回る場合には、上記微差圧計51の表示部51aに表示された測定値(風量値)を目視しながら、クローゼット3内に露出している上記第1の位置決め片48c及び/又は第2の位置決め片49dをそれぞれ時計回り方向又は反時計回り方向に回動操作し、上記第1のダンパ本体部48a又は第2のダンパ本体49bを回動させ、内部の流路を流通する空気を適宜調節することにより、上記測定値が所定値(必要換気量)となるように調節する。そして、こうした特定の風量調節装置45の調節作業が終了すると、次いで、他の風量調節装置45の調節作業を行う。この場合には、それまで接続されていた上記コネクタ57を、該他の風量調節装置45に対応した他方の上流側接続穴50c及び他方の下流側接続穴50dに接続し、上記要領にて該他の風量調節装置45の風量調節作業を行う。そして、こうした各風量調節装置45の風量調節作業により、各部屋の必要換気量と実際の換気量とが同じものとなる。
すなわち、上述した実施の形態に係る風量調節装置45は、住宅用換気装置2内に導入した外気を各室内に分割して供給する分岐排出管29,30,31・・・のそれぞれに配置されるものであり、各部屋に配置されるものではないことから、該風量調節装置45による風量調節作業は、一箇所において操作することができる。したがって、こうした風量調節装置45によれば、極めて簡単且つ迅速に各部屋の風量を調節することができる。また、この風量調節装置45では、一方の上流側接続チューブ54の一端を接続する一方の分岐管部46cが形成されているとともに、一方の下流側接続チューブ55の一端を接続する他方の分岐管部47hが形成されており、上述した接続アダプタ50と、一方及び他方の接続チューブ52,53を介して、Kファクタ法による風量を換算するために必要とされる圧力差を計測する微差圧計51と接続できる構造を備えていることから、より正確に風力を測定することができ、この結果、各部屋に供給されるべき空気の量(風量)を最適なものに調節することが可能となる。また、この実施の形態に係る風量調節装置45によれば、本発明を構成する第1の位置決め片48cを回動操作することにより、風量調節手段である第1のダンパ48を回動操作することが可能となるとともに、回動操作された第1のダンパ48は、第1の位置決め片48cと第1の係合部である上部側係合部47iとの係合によりその位置が保持されることから、住宅用換気装置2からの風圧により風量が変更されることがない。さらに、この風量調節装置45では、上記第1のダンパ48を回動操作することにより風量を調節することができるばかりではなく、この第1のダンパ48を全部又は一部開放した状態において、上記第2のダンパ49を回動操作することにより、さらに緻密に風量を調節することができる。特に、上記第1のダンパ48が全開の状態と、この全開の状態から40度回転した状態までの範囲では、該第1のダンパ48を多少回動操作しても風量の調節には影響されない(風量調節が極めて困難である)ことから、上記第2のダンパ49を構成要素とすることにより、上記範囲内においては極めて緻密に風量を調節することができる。また、この第2の位置決め片49dを回動操作することにより、風量調節手段である第2のダンパ49を回動操作することが可能となるとともに、回動操作された第2のダンパ49は、第2の位置決め片49dと第2の係合部である下部側係合部47l,47m,47nとの係合によりその位置が保持されることから、住宅用換気装置2からの風圧により風量が変更されることがない。
さらに、この風量調節装置45では、ダクトは第1及び第2のダクト46,47が接続されてなるものであるとともに、第1及び第2のダンパ48,49は、これら第1のダクト46と第2のダクト47に形成された各スリット(第1ないし第4のスリット46a,46b,47a,47b)に挿通され、該第1のダクト46と第2のダクト47により挟持されてなることから、ダクトの製造も簡単となり容易に組み立てることが可能となるとともに、メンテナンス作業も簡単なものとなる。また、上記風量調節装置45では、住宅用換気装置2は、住宅に形成されたクローゼット3に配置されてなるとともに、前記第1及び第2のダクト46,47は、このクローゼット3内において露出され、天井上(小屋裏)や床下に配置されてなるものではないことから、一層簡単且つ迅速に風量を調節することができる。また、上述した風量調節方法では、接続アダプタ50を介して各風量調節装置45と微差圧計51とを互いに接続した上で、各風量調節装置45を流通する風量を調節するものであることから、個々の風量調節装置45毎に微差圧計51を接続チューブを接続し直す必要性がないことから、より一層簡便に風量調節の作業を行うことができる。しかも、上記実施の形態において説明した接続アダプタ50を使用した風量調節方法によれば、一方の上流側接続チューブ54と他方の上流側接続チューブ55とをそれぞれ交互に並べて接続することができ、また、この接続アダプタ50と微差圧計51とを接続する一方の接続チューブ52及び他方の接続チューブ53もそれぞれ並べて接続することができることから、計測ミスや該計測ミスに基づいて誤って風量調節がされる危険性も防止することができる。
なお、上記実施の形態では、風量を調節する場合において、上記風量調節装置45に、各接続チューブ(符号は省略する。)や接続アダプタ50を介して、微差圧計51を接続し、この微差圧計51により計測しながら風量を調節する方法を説明したが、本発明は、必ずしも上記微差圧計51を使用することなく、以下に説明する方法により、風量調節しても良い。すなわち、上記給気用送風機25と排気用送風機26の各出力や、住宅用換気装置2と各部屋を結ぶ各分岐排出管29,30,31,・・・のダクト径、ダクト面積、ダクト長、ダクトの曲りの数、各ダクトの摩擦係数等その他住宅用換気装置2から部屋までに空気が至る経路を構成する全て部材に関するデータを用いながら、実験を繰り返し、各実験により、各部屋に必要な換気量を確保するために必要な上記第1のダンパ本体部48a及び/又は第2のダンパ本体49bの設定角度を予め決定しておき、この設定角度となるように各住宅において調節する方法を採用しても良い。