JP2009035812A - メモリーディスクのスクラップ材の利用方法 - Google Patents

メモリーディスクのスクラップ材の利用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】メモリーディスクのスクラップ材の有効な利用方法を提供する。
【解決手段】表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクのスクラップ材を回収する工程、前記メモリーディスクのスクラップ材を溶解炉内のアルミニウム合金溶湯中に投入する工程、およびフラックスを添加して脱滓を行う溶湯処理工程を含む、Al−Si系アルミニウム合金の製造に際して、初晶Si微細化材として前記メモリーディスクのスクラップ材を利用する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハードディスク等の記録媒体として用いられるメモリーディスクのスクラップ材の利用方法及びメモリーディスクを利用したAl−Si系アルミニウム合金の初晶Si微細化材に関する。
メモリーディスクは、ハードディスク等に搭載される磁気記録媒体である。大きさは搭載される機器によってさまざまであるが、多くの場合、表面積の大きい薄いドーナツ盤形状をしている。その表面には磁性材料が塗布され、その磁性材を磁化することにより、データの記録を行っている。メモリーディスク基板は磁性を帯びていると記録する際に悪い影響を及ぼす虞があるため、磁性材料の塗布の下地処理として非磁性のNi−Pメッキが施されている。
メモリーディスクに要求される寸法精度、特に表面の平滑度はきわめて厳しく、そのためNi−Pメッキ後の検査で、不合格となるものがある。またハードディスクを搭載した製品がスクラップとなり、そこからもスクラップ(廃棄物)としてメモリーディスクがでることとなる。それらは、従来、単なる溶解用のインゴットとして処理されるケースもあるが、一方では、Ni−P成分の混入を好まないAl合金も多く存在するため、この場合はスクラップとして廃棄されるケースも多く存在していた。
近年記憶装置の急激な増大とともにメモリーディスクに要求される寸法精度は、飛躍的に厳しくなり、検査で不合格となるものも増加してきた。また様々な製品がコンピュータを内蔵するようになり、ハードディスクの需要も飛躍的に増加し、メモリーディスクの需要も増加し、故にハードディスクのスクラップからでてくるメモリーディスクも増えている。それらは、従来スクラップとして廃棄されたり、単なる溶解用のインゴットとして処理されたりしていた。
しかし、スクラップとして廃棄される場合は、記憶された情報が完全に消去されることが必要であり、また、環境上の観点からもスクラップとしての廃棄は好ましくなかった。他方、単なる溶解用のインゴットとして処理される場合は、メッキとして使われた成分などが不純物として問題となる場合もあり、精製などが必要となることもあった。
さらに、回収されたメモリーディスクのスクラップ材には、メモリーディスクに対し、更なる下地層、磁性膜、保護膜、潤滑膜などの各種コーティングを施したもの(完成品のメモリーディスクを含む)が含まれるため、これを溶解炉内のアルミニウム合金溶湯中に直接投入すると、各種コーティング層が皮膜、介在物(酸化物、炭化物など)として溶湯中に存在することとなり、投入後の鎮静時間によっては、最終製品であるインゴット或いは鋳造製品の品質の劣化を招くおそれがあった。
そこで本発明では、メモリーディスクのスクラップ材の更に有効な利用方法を提供することを課題とした。
本発明は、表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクのスクラップ材の利用方法において、Al−Si系アルミニウム合金の製造に際して、初晶Si微細化材として利用する方法を提供する。
また、本発明は、表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクからなることを特徴とするAl−Si系アルミニウム合金の初晶Si微細化材を提供する。
Al−Si系アルミニウム合金は、鋳造性に優れていることから複雑な形状を有する鋳造体を得る目的に広く採用されている。特に質量%でSiが11.7%以上を含有した過共晶Al−Si系合金は、熱膨張性が小さく、耐熱性においても優れていて、しかも溶湯が凝固する際に初晶Siが晶出し、この初晶Siは硬度が高くて耐磨耗性に優れていることからピストンなどの摺動部材に広く利用されている。ところでこの初晶Siの粒径が粗大であると破壊の基点となり、機械的性質や切削性が低下する。このため、鋳造の際に溶湯を急冷凝固させたり、溶湯中に初晶Siの晶出核となるPを添加するなどして、初晶Siの微細化が行われてきた。Pの添加方法としては、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのフラックスによる方法(特開昭52−153817号公報)、Cu−8%Pなどのリン含有合金を添加する方法(特開昭60−204843号公報)、アルミニウム合金の表面にP含有合金メッキを施したものを添加する方法(特開平3−207828号公報)などが知られている。
本発明者らは、メモリーディスクのスクラップ材の有効な利用方法について種々の検討を重ねた結果、表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクがAl−Si系アルミニウム合金中の初晶Siの微細化材として有効であることを見出した。すなわち、本発明の初晶Si微細化材は、Al−Si系アルミニウム合金において、初晶Siを微細化することにより、機械的性質や切削性の低下となる粗大な初晶Siの晶出を防ぐ効果を奏する。また、本発明の利用方法は、Ni−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクのスクラップ材の再利用(リサイクル)方法としても有効である。
本発明者らは、メモリーディスクのスクラップ材の有効な利用方法について種々の検討を重ねた結果、初めて、従来は不純物とみなされていたメモリーディスクのメッキ成分を逆に有効利用する本発明に至った。表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクにおいては、メッキ成分のPが固溶した状態で存在しているため、これらがアルミニウム合金溶湯中に溶ける場合、PとAlとの反応はすみやかに行なわれ、初晶Siの結晶核となるAl−P化合物は多量に生成される。Ni−Pメッキされた合金を初晶Si微細化材として用いる方法は、フラックスによる方法やリン(P)含有合金を添加する方法と異なり、Pの金属間化合物を分解する必要が無いため、処理温度もより低くすることができ、ガス吸収の少なさ、及び、Pの歩留において有利である。
本発明の初晶Si微細化材は、合金くずをP含有合金メッキしたものを初晶Si微細化材として用いる場合に比べ、その組成が安定しているため、Pやその他の成分の含有量のコントロールがしやすいという利点を有する。また、メモリーディスクが通常の薄いドーナツ盤形状をしている場合、重量あたりの表面積が広いため、すみやかにアルミニウム合金溶湯に溶解し、保持時間も短くて済むと同時に、その添加量自体も少なくて済むという利点を有する。更に、その薄さ(積み重ねて保存が可能)、ドーナツ盤形状(中央の穴部分を使用可能)及び形状の汎用性(シュリンク梱包など様々な既存の方法・機器・設備を使用可能)から、運搬や溶湯への投入の際の取り扱いも容易である。更に、アルミニウム合金に新たにP含有合金メッキを行うことにより初晶Si微細化材を製造する場合に比べ、スクラップとなるはずのものをそのまま有効利用できるため、製造コストの面で大きな利点を有する。
また、本発明の利用方法は、メモリーディスクのスクラップ材の処理方法として、優れた利点を有する。すなわち、使用済みのメモリーディスクが本発明の利用方法で利用された後は、そのメモリーディスク上に記録されていた情報も完全に失われ、個人情報などの機密情報の保護の面で有利である。その上、単なる鋳造用のインゴットとして用いる場合と異なり、メッキ成分を不純物として考慮する必要が無いため、メモリーディスクのスクラップ材の処理コストという面においても、利点を有する。
〔メモリーディスク〕
メモリーディスクとは、ハードディスク等に搭載される磁気記録媒体である。大きさは搭載される機器によってさまざまであるが、多くの場合、表面積の大きい薄いドーナツ盤形状をしている。本発明に用いられるメモリーディスクは、例えば、アルミニウム合金製のブランク材に、Ni−Pメッキが施されることでメモリーディスク基板(サブストレート)が製造され、更にこのメモリーディスク基板の表面上に細かい凹凸をつけるテクスチャ工程、洗浄工程、地層や各種膜を蒸着させるスパッタ工程、表面の突起を除去し研磨するバーニッシュ工程、潤滑膜を形成させるルーバ工程等を経て製造される。その後テスト工程(グライドハイトテスト工程、サーティファイテスト工程など)で検査され、最終的な製品として完成することとなる。
本明細書における「メモリーディスク」とは、コーティング層を有する完成品のメモリーディスクに加え、上述の各工程の何れかを施されていないメモリーディスク基板や、コーティング層(下地層、磁性膜、保護膜、潤滑膜など)を有さない又は部分的に有するメモリーディスク基板等も全て含む。また、本明細書における「表面にNi−Pメッキが施されている」とは、「ブランク材又はメモリーディスク基板の表面方向にNi−Pメッキが施されている」という意味であり、Ni−Pメッキの上に更なる他のコーティング等がなされているものも含む。
各製造工程(特にテスト工程)で出たメモリーディスク基板の不良品又は不要品、あるいは完成後のメモリーディスクの不良品又は不要品、あるいは、使用済みで(磁気情報が記録された後に)廃棄されたメモリーディスクを、総じて「メモリーディスクのスクラップ(材)」と称する。この「メモリーディスクのスクラップ」は、破砕されたものも、ドーナツ盤形状のままのものも含む。Ni−Pメッキされた後のスクラップ材に関しては、本発明の「表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスク(のスクラップ材)」として用いることができる。
本発明に用いられるメモリーディスクの表面に施されるNi−Pメッキの組成は特に限定されないが、Pの含有量が多く、またメッキ層が厚い方が、アルミニウム合金に添加する際の添加量が少なくて済むため、好ましい。
また、メモリーディスクに対し、更なる下地層、磁性膜、保護膜、潤滑膜などの各種コーティングを施したもの(完成品のメモリーディスクを含む)は、そのまま本発明に用いることもできるが、目的のAl−Si系アルミニウム合金に対し不純物を混入させたくない場合などは、サンドブラスターなどの処理により、これらの層を取り除くこともできる。また、Ni−Pメッキ部分を失わない限り、切断などの種々の物理的加工を行った後に、これを用いることもできる。
〔実施の形態〕
以下、本発明の実施の形態について説明するが、これらは本発明を限定するものではなく、例示することを意図して開示されているものである。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載により定められるものであり、当業者は、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲において種々の設計的変更が可能である。
本発明の第一の実施の形態は、表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクのスクラップ材の利用方法において、Al−Si系アルミニウム合金の製造に際して、初晶Si微細化材として利用する方法である。
本発明の利用方法は、例えば、以下のような手順で行うことができる。
1)Al−Si系アルミニウム合金のインゴットを作る工程に於いて、アルミニウム合金の溶湯を調整する。または、予めこれにP成分を含有させておく事を目的に、表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクを投入する。
2)Al−Si系アルミニウム合金のインゴット、または予めインゴット中にP成分を溶解させてあるAl−Si系アルミニウム合金の溶湯を調整する。
3)Al−Si系アルミニウム合金の溶湯中に、またはP成分が予め含まれた溶湯に於いても、これが鋳造に適する管理濃度値に満たない場合では補足用に初晶Si微細化材として、表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクを投入する。
4)メッキ中のPが合金溶湯に溶解するまで保持する。
5)保持後のAl−Si系アルミニウム合金の溶湯を、金型などに流し込み、鋳造を行う。
メモリーディスクを初晶Si微細化材として投入する際の合金溶湯の温度は、例えば、680〜850℃などが用いられるが、これはAl−Si系アルミニウム合金の組成などに応じて適宜調節される。また、その後の保持温度及び保持時間も、Al−Si系アルミニウム合金の組成や、添加するPの量により適宜調節されるが、例えば、680〜850℃で10〜180分間程度、保持される。初晶Si微細化材として添加するメモリーディスクの量については、当該技術分野で微細化のために通常用いられているP量(例えば、0.001〜0.03%)を達成するように、Ni−Pメッキの組成、厚み、表面積及びPの歩留を考慮して、適宜調整の上、用いられる。
本発明の第二の実施の形態は、表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクからなることを特徴とするAl−Si系アルミニウム合金の初晶Si微細化材である。
本発明の初晶Si微細化材は、表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクからなることを特徴する。この初晶Si微細化材は、製造目的のAl−Si系アルミニウム合金の溶湯中に投入される。その後、Ni−Pメッキ中のPが合金溶湯に溶解するまでその合金溶湯は保持され、金型へ鋳造することで、目的のAl−Si系アルミニウム合金は製造される。本発明の初晶Si微細化材を投入する際の合金溶湯の温度は、例えば、680〜850℃などが用いられるが、これはAl−Si系アルミニウム合金溶湯の組成などに応じて適宜調節される。また、保持時間及び保持温度も、Al−Si系アルミニウム合金溶湯の組成や、添加するPの量などにより適宜調節されるが、例えば、680〜850℃で10〜180分間程度で保持される。初晶Si微細化材として添加するディスクの量については、当該技術分野で微細化のために通常用いられているP量(例えば、0.001〜0.03%)を達成するように、Ni−Pメッキの組成、厚み、表面積及びPの歩留を考慮して、適宜調整の上、用いられる。
また、本発明の初晶Si微細化材は、Ni−Pメッキ部分を失わない限り、メモリーディスクに対し、破断・破砕・切断又は曲げ折りなどの物理的加工を行った後に、これを用いることもできる。適切な形状・大きさに加工することで、細かな量の調節や、運搬の利便性向上や、溶解速度向上といった効果が得られる。また、各種コーティングの施されたメモリーディスク基板、完成品のメモリーディスク、あるいは使用済みのメモリーディスクにおいては、そのコーティング層を除去するために、サンドブラスター処理を行ってもよい。
本発明の第三の実施の形態は、Al−Si系アルミニウム合金の初晶Si微細化材の製造方法において、表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクのスクラップ材を回収する工程を含む製造方法である。
本発明の製造方法においては、表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクのスクラップ材を回収する工程により回収されたスクラップ材を、そのままAl−Si系アルミニウム合金の初晶Si微細化材として用いることができる。本発明の製造方法においては、製造工程や型番等からNi−Pメッキの有無やアルミニウム合金製であるかどうかを判断しても良いが、メモリーディスクに施されたNi−Pメッキの有無を検査する工程、メモリーディスクがアルミニウム合金製であるかどうかを検査する工程を更に含んでも良い。これらの検査は、例えば、発光分析法あるいは蛍光X線分析法等を用いることで行うことができる。また、使用済みのメモリーディスクをハードディスク等のメモリーディスク内蔵機器から取り出す場合、メモリーディスク内蔵装置からメモリーディスクを取り出す工程を更に含んでもよい。また、コーティング層を取り除きたい場合、メモリーディスク基板からコーティング層を除去する工程を更に含んでも良い。これらの除去工程は、例えば、サンドブラスター処理などによって行われる。また、メモリーディスクに破断、破砕又は切断又は曲げ折りなどの物理的加工を施したものを用いたい場合は、メモリーディスクを破断、破砕、又は切断又は曲げ折りする工程を更に含んでもよい。
本発明の第四の実施の形態は、表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクのスクラップ材をAl−Si系アルミニウム合金における初晶Si微細化材として利用する方法において、メモリーディスクのスクラップ材を溶解炉内のアルミニウム合金溶湯中に投入する工程と、フラックスを添加して脱滓を行う溶湯処理工程とを含む利用方法である。
回収されたメモリーディスクのスクラップ材には、メモリーディスクに対し、更なる下地層、磁性膜、保護膜、潤滑膜などの各種コーティングを施したもの(完成品のメモリーディスクを含む)が含まれるため、これを溶解炉内のアルミニウム合金溶湯中に直接投入すると、各種コーティング層が皮膜、介在物(酸化物、炭化物など)として溶湯中に存在することとなり、投入後の鎮静時間によっては、最終製品であるインゴット或いは鋳造製品の品質の劣化を招くおそれがある。
そこで、回収されたメモリーディスクのスクラップ材を溶解炉内のアルミニウム合金溶湯中に投入した後、溶湯中に存在する皮膜、介在物(酸化物、炭化物など)を滓として除去するため、フラックスを添加して脱滓を行う溶湯処理を施すことが望ましい。
使用するフラックスは、脱滓用フラックスとして採用されている成分のものであればよい。具体的には、例えば、脱滓効果を有するKCl、NaCl、MgCl等の塩化物系フラックスを主成分として、さらにアルミニウム溶湯との反応性を高めるKAlF、AlF、NaF、KSiF等のフッ化物系フラックスを副成分として配合したものが一般的に用いられる。また、発熱剤として、KSO、NaSO等の硫化物、NaCO、CaCO等の炭酸塩を少量配合したものも用いられる。
フラックスを溶解炉内のアルミニウム合金溶湯中に添加する方法は、投入、散布などが一般的であるが、溶解炉が坩堝炉のように小型保持炉を兼ねるような場合、所定量のフラックスをアルミニウム箔に包み、フォスフォライザーによって溶湯中に押し込む方法も有効である。また、メタル保持量が数ton以上の中・大型溶解炉の場合、フラックスフィーダーから不活性ガス(N、Ar)とともにランスを通して溶湯中に供給、散布する方法が好ましい。最近ではフラックスフィーダーから不活性ガスとともに回転ローターを通して溶湯中に供給、散布する方法も採用されている。なお、前記不活性ガスは、フラックスとともに溶湯中に供給され、アルミニウム合金溶湯中の水素ガス量を低減させる、いわゆる脱ガス処理の媒体としての役目も果たしていることから、その露点が管理されている(例えば、露点−60℃以下)ことが望ましい。
フラックスをアルミニウム合金溶湯中に添加する際の溶湯温度、いわゆる添加温度は、
740〜880℃が好ましい。添加温度が740℃未満の場合、フラックスの成分にもよるが、フラックスと溶湯とが十分に反応しないため、脱滓効果が十分に発揮されない。添加温度が880℃を超える場合、炉内耐火材の劣化を促進して溶解炉の寿命を短縮するおそれがある。さらに好ましい添加温度は、760〜840℃である。
フラックスの添加量は、溶解炉内のアルミニウム合金溶湯の質量に対して、0.05〜0.30質量%が好ましい。0.05質量%未満の場合、その効果が十分でなく、0.30質量%を超える場合、脱滓効果は十分であるが、有害なガスの発生量が多くなり、さらに炉内耐火材の劣化を促進して溶解炉の寿命を短縮するおそれがある。環境面を配慮すると、フラックスの添加量は、0.05〜0.10質量%がより好ましい。
フラックス添加後、フラックスと溶湯を十分に反応させるため、攪拌用治具によって溶湯を攪拌させることが望ましい。一般的には、攪拌後、静かに溶湯を保持する、いわゆる鎮静が行われる。鎮静時間は、溶解炉の型式、容量、溶解炉内のアルミニウム合金溶湯の保持量、ラインの構成にもよるが、通常は30〜120分程度である。
この鎮静によって、溶湯中に分散されたフラックスの主成分である塩化物粒子が皮膜、介在物(酸化物、炭化物など)を捕捉し、湯面に浮上させ、皮膜、介在物やフラックスを滓として浮上分離させる。浮上した滓は通常ある程度のメタル分を含んでいるが、フラックスの副成分であるフッ化物は、滓とメタルの分離を促進して、サラサラしたいわゆるドライな滓を生成させる効果を有する。最後に治具を用いて溶湯の表面に浮上している滓を炉外に掻き出して、スクラップ缶に収集する。
以上のように、フラックスを添加して脱滓を行う溶湯処理を施すことにより、表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクのスクラップ材の利用方法において、最終製品であるインゴット或いは鋳造製品の品質の向上を図ることが可能となる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施例は以下の手順で行った。
1)80%Al、15%Si、3%Cuからなる760℃の合金溶湯20kgを、黒鉛坩堝を用いた外部加熱により調製した。
2)この合金溶湯に対し、各メモリーディスク・スクラップ(ドーナツ盤形状品(コーティング層有り)、破砕品(コーティング層有り)、ドーナツ盤形状品(コーティング層無し))を240g(0.007%Pを目標に)添加し、発光分析により合金中に溶解したP量を調べることで、その溶解特性を検討した。(図1中に実線で示したグラフ)
3)次に、各メモリーディスク添加前/後の合金溶湯を、鋳型としてφ18×L15金型を使用し、金型温度150℃で自然凝固させ、長さ方向中央部で切断・研磨後、初晶Si平均粒径を画像解析法で解析した。(図1中に破線で示したグラフ)画像解析においては、顕微鏡などを用いて初晶Siの面積を求め、それと同じ面積を有する円の直径を計算し、初晶Si平均粒径として解析した。
以上の実施例の結果は、図1のグラフに示した。図1の実線はPの溶解量を示し、破線は初晶Si平均粒径を示す。
溶解度特性調査の結果、メモリーディスク・スクラップを用いた場合、破砕品だけでなく、ドーナツ盤形状品においても速やかにPがアルミニウム合金溶湯中に溶解することが確認された。また、Ni−Pメッキ層に加え、更にコーティング層を有するディスクにおいても、コーティング層の無いものとほぼ同様に、速やかにPが溶解することが確認された。更に、何れの場合においても、Pの歩留は良好であった。
また、初晶Si平均粒径については、メモリーディスクを添加しない場合の初晶Si平均粒径約20μmに対し、メモリーディスクを加えたものでは、平均結晶粒形の微細化が確認された。ドーナツ盤形状品又は破砕品の何れにおいても、コーティング層の有無に関わらず、この効果は確認された。
以上の実施例の結果からも、メモリーディスク・スクラップ(破砕品/ドーナツ形状品、コーティング層有り/無し)が、Al−Si系アルミニウム合金の製造の際の、初晶Si微細化材として有効であることが確認された。
メモリーディスク(MD)スクラップ材の溶解特性及び微細化特性を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクのスクラップ材の利用方法において、Al−Si系アルミニウム合金の製造に際して、初晶Si微細化材として利用する方法。
  2. 表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクからなることを特徴とするAl−Si系アルミニウム合金の初晶Si微細化材。
  3. Al−Si系アルミニウム合金の初晶Si微細化材の製造方法において、表面にNi−Pメッキが施されているアルミニウム合金製メモリーディスクのスクラップ材を回収する工程を含む製造方法。
  4. 請求項1に記載の方法において、メモリーディスクのスクラップ材を溶解炉内のアルミニウム合金溶湯中に投入する工程と、フラックスを添加して脱滓を行う溶湯処理工程とを含む方法。
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