JP2009035536A - 結晶性複合粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)水分散性粉末、(B)水膨潤性粘土鉱物及び(C)水溶性の結晶性物質を水性溶媒中に分散及び/又は溶解させた後、該液体を噴霧乾燥することによって (D)結晶性複合粉末を製造する。
【選択図】なし
Description
さらに詳細には、本発明は、滑らかでさらりとした肌ざわりが求められる化粧料に好適で美容効果の高い結晶性複合粉末に関する。
こ等の成分を水性媒体に溶解して使用する場合もあるが、配合する他成分との相互作用を受け易く、酸化等の影響を受ける場合もあり、水分が実質的に存在しない化粧料に適用するほうが好都合なことが多い。
そこで、結晶性の強い物質、例えばアスコルビン酸誘導体、アルブチン等の美白剤、アスパラギン酸、グルタミン酸ナトリウムアルギニン等のアミノ酸類、糖類等を粉末状、粉末固形状、油性、油性固形状の化粧料である、白粉、プレス状ファンデーション、スチックファンデーション、リップスチック、リップクリーム、バーム状スキンケア製品等の水を含まない、又は含んでいても極少量である製品に配合しようとすると、結晶性物質に特有のザラツキ感を感じてしまうため、配合量は極微少量にとどまってしまい、所定の効果を期待することは難しかった。所望の美容効果を発現できるだけの有効量の成分を配合するとともに、かつ皮膚感触を向上することが化粧料に求められる課題であった。
すなわち、特許文献1には、水膨潤性粘土鉱物としてコロイド性含水ケイ酸アルミニウム等の水膨潤性粘土物質、水溶性物質としてムコ多糖、天然や合成の水溶性高分子、水溶性タンパク質、各種アミノ酸等を使用することが示されているが、この方法では、例えばアミノ酸であるグリシン等の水溶性の結晶性物質を噴霧乾燥法によって複合させると、結晶性粉末が点在してしまい、ハンマーミル等の粉砕機を用いない限り利用するのは難しく、また用いたとしても結晶性物質のザラツキ感を完全に消去するのは困難であることから、使用感触は未だ完全なものではない。ビーズミル等の特殊なスラリー分散機を用いれば使用感触の一層の向上は図られるが、スラリーであるが故に粉末状や粉末固形状の製品に高配合するのは難しく、また、分散機の洗浄に多大なる時間を要するためコストヘの影響は大きいものとなってしまう。
上述するように引用文献1の技術では、水溶性の結晶性物質を粉末状、粉末固形状の製品や油性の製品に配合する量は限られてしまい、例えば、肌への有効性を示す可能性のある医薬部外品の配合水準(2%以上)を満たすような量を配合できる技術は皆無であった。
また、請求項2にかかる発明の結晶性複合粉末は、(B)水膨潤性粘土鉱物を(A)水分散性粉末が取り囲むように付着して存在しており、(C)水溶性結晶性物質が(B)水膨潤性粘土鉱物粒子に内包されていることを特徴とする。
また、請求項3にかかる発明の結晶性複合粉末は、(A)水分散性粉末が平均粒子径が0.5μm以上であり、且つマイカ、カオリン、タルク、シリカ又はこれらの表面処理物の群から選ばれる一種又は二種以上を用いることを特徴とする。
また、請求項4及び5にかかる発明の結晶性複合粉末は、(B)水膨潤性粘土鉱物と、(C)水溶性の結晶性物質と、(A)水分散性粉末とを水性溶媒中に分散及び/又は溶解させた後、該液体を噴霧乾燥して得られることを特徴とする。
本発明の結晶性複合粉末を化粧料へ高配合して得られたファンデーション等の化粧製品は、なめらかでざらつきの無い良好な使用感触で、美容効果に優れる各種の結晶性物質の配合量を高めることができて肌改善効果、美白効果、潤い効果に優れている。
本発明に用いる(A)水分散性粉末としては、マイカ、カオリン、タルク、シリカ等が挙げられ、天然又は合成品のいずれであってもよく、また、表面処理によって分散性が改善されたものでもよい。水分散性粉末の粒子径は、0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上のものが好ましい。0.5μm以下の粒子径のものを用いると結晶性複合粉末のすべりが悪くなるため、化粧料に好適な使用感触が得られなくなってしまう。
本発明には、これらの水分散性粉末及び/又はこれらの表面処理物のうちから一種又は二種以上を任意に用いることができる。
市販品では、クニピア(商品名、クニミネ工業株式会社製)、スメクトン(同)、VEEGUM(商品名、R.T.Vanderbilt.Co.Inc.、米国)、BENTON EW(商品名、Elementis Specialties、米国 ), LAPONITE(商品名、Rockwood Additivives Ltd.、英国)等が挙げられる。
これら市販品の層状ケイ酸塩鉱物の平均粒径はサブミクロン単位である。
本発明には、これらの水膨潤性粘土鉱物の中から一種又は二種以上を任意に用いることができる。
本発明には、これらの水溶性の結晶性物質の中から一種又は二種以上を任意に用いることができる。
すなわち、水性溶媒に上述の水膨潤性粘土鉱物を分散させてゲルを作り、この中に、予め水性溶媒中に溶解した水溶性の結晶性物質と水分散性粉末を添加し、撹拌によって均一なゲルとした後、これを噴霧乾燥することによって、所定の結晶性物質を分子内に内包、さらに詳しくは層状構造の層間に内包又は包接することによって保持した水膨潤性粘土鉱物の周りを、水分散性粉末が取り囲むように付着した構造の結晶性複合粉末を得ることができる。
さらに好ましくは、水性溶媒に水膨潤性粘土鉱物を分散させた液体を撹拌しながら、水溶性結晶性物質を粉末のまま又は溶解して添加し、次いで水分散性粉末を添加してゲル状の配合物を得、これを噴霧乾燥(スプレードライ)することによって本発明の結晶性複合粉末を製造することができる。
従って、スベスベした皮膚感触は保ちつつ、有効量の結晶性の美容成分を肌に移行できるという本発明の課題が達成できる。
本発明の複合粉末は、上述した工程に加え、必要に応じてハンマーミル等の粉砕手段で後加工することも可能である。
また、上記ゲルにおける水溶性の結晶性物質と水分散性粉末の濃度は、本発明の選択された範囲で、液の粘性や分散状態等を勘案して最適な濃度が選択される。
噴霧時の入り口空気温度は複合される結晶性物質が安定である温度が好ましく、また、効率よく製造できる温度を考慮すると、おおよそ150℃〜200℃程度である。噴霧時の出口温度は噴霧流量等で変わってくるが、結晶性物質の安定性を考慮すると、80℃〜100℃程度であることが好ましい。
本発明はこれによって限定されるものではない。
なお、化粧料の処方は重量%で示してある。
[製法]
分散媒としてイオン交換水900gにクニピアG-4(商品名、クニミネ工業製)を40g添加し、撹拌分散させた中に、別釜にてイオン交換水100gにアスコルビン酸グルコシド20gを溶解したものを加え、さらにマイカ30gを加え、ホモミキサーにて撹拌分散させて水性ゲルを作る。
得られた水性ゲルをディスク回転数30000rpm、入り口温度200℃、出口温度100℃でディスク式噴霧乾燥機によって噴霧乾燥する。
比較例1(マイカ不使用)、比較例2(クニピアC-4不使用)は、実施例1と同様の方法及び条件で製造した。
アスコルビン酸グルコシドは医薬部外品であり、製造されたアスコルビン酸グルコシド複合粉末中に該アスコルビン酸グルコシドが占める重量%は2.2%であるから、配合水準の2%を満たしている。
内腕部に塗布し、官能にて評価
◎ 全くざらつきを感じない
○ わずかにざらつきを感じる
△ 少しざらつきを感じる
× ざらつきを感じ痛い
実施例1と比較例1の複合粉末を用いてスティックコンシーラを試作した。なお、アスコルビン酸グルコシドは2%配合されるように処方した。
実施例1のスティックコンシーラ1は比較例1のスティックコンシーラ2よりざらつき感がなく、また、20人の実使用テストでも、全くざらつき感がない使用感触であるという良好な評価を得た。
さらに、美白効果においても良好な結果を示した。なお、表2に示す数字は重量%を意味している。
試作処方と評価結果を次表に示す。
[製法]
分散媒としてイオン交換水800gにクニピアG-4(クニミネ工業製)を40g添加し撹拌分散させた中に、別釜にてイオン交換水200gに尿素30gを溶解したものを加え、さらに平均粒子径15μmのカオリン20gを加え、ホモミキサーにて撹拌分散させて水性ゲルを作る。
なお、尿素は3%配合されるように処方した。
得られた水性ゲルをディスク回転数30000rpm、入り口温度200℃、出口温度100℃でディスク式噴霧乾燥機によって噴霧乾燥する。尿素は医薬部外品であり、製造された尿素複合粉末中に該尿素が占める重量%は3.3%であるから、配合水準の2%を満たしている。
実施例2の尿素複合粉末は、ざらつき感が全く感じられない粉末であった。
実施例2の尿素複合粉末を用いてハンド&ボディ用バームを試作した。
バームの製法は、通常の方法であり、オイル、ワックスを加熱溶解し、その中に粉末を加え、ホモミキサーにて均一に分散した後、容器に流し込み冷却してバームを得た。
試作処方と評価結果を次表に示す。
なお、表4に示す数字は重量%を意味している。
[製法]
分散媒としてイオン交換水800gにヘキサメタリン酸ナトリウム0.3gを溶解し、そこにスメクトンSA(クニミネ工業製)を30g添加し撹拌分散させた中に、別釜にて水200gにアルギニン塩酸塩20gを溶解したものを加え、さらに平均粒子径20μmのタルク50gを加え、ホモミキサーにて撹拌分散させて水性ゲルを作る。
得られた水性ゲルをディスク回転数30000rpm、入り口温度180℃、出口温度90℃でディスク式噴霧乾燥機によって噴霧乾燥する。
実施例3のアルギニン塩酸塩複合粉末はざらつき感が全く感じられない粉末であった。
試作処方と評価結果を次表に示す。
パウダリーファンデーションの製法は通常の方法であり、粉末をそれぞれヘンシェルミキサーに仕込んで撹拌し、残りの成分を添加した後、ハンマーミルで粉砕、その後、中皿に成型したパウダーファンデーションを得た。
試作処方と評価結果を次表に示す。
なお、表6に示す数字は重量%を意味している。
[製法]
分散媒としてイオン交換水900gにグリセリン20gを溶解し、そこにラボナイトXLG(Rockwood Additives Limited 製)を40g添加し撹拌分散させた中に、別釜にて水100gにショ糖20gを溶解したものを加え、さらに平均粒子径1μmのシリカ20gを加え、ホモミキサーにて撹拌分散させて水性ゲルを作る。
得られた水性ゲルをディスク回転数30000rpm、入り口温度200℃、出口温度100℃でディスク式噴霧乾燥機によって噴霧乾燥する。
実施例4のショ糖複合粉末は、ざらつき感が全く感じられない粉末であった。
口紅の製法は通常の方法であり、オイル、ワックスを加熱溶解した中に顔料、粉末を加えホモミキサーにて均一に分散し、このものを口紅容器に充填した後、冷却固化して口紅を得た。
試作処方と評価結果を次表に示す。
それに対して、上記実施例1〜4の(D)結晶性複合粉末は、専門パネルの評価及び実使用テスト結果からみて、粉砕機で粉砕して粉末化しなくとも、ざらつき感が全く感じられず滑らかでさらりとした肌ざわりが得られていることから、上述したようにマイカ、カオリン等の(A)水分散性粉末を用いてその表層に、上記溶解分散液を結晶状態で付着させれば、粉砕機で粉砕して粉末化しなくとも、ざらつき感が全く感じられない(D)結晶性複合粉末が得られるのではないかとの本発明者の知見は、実証されたものと言える。
Claims (5)
- (A)水分散性粉末と、(B)水膨潤性粘土鉱物と、(C)水溶性の結晶性物質とから構成されることを特徴とする(D)結晶性複合粉末。
- (D)結晶性複合粉末は、(B)水膨潤性粘土鉱物を(A)水分散性粉末が取り囲む構造であり、且つ(C)結晶性物質が(B)水膨潤性粘土鉱物粒子の内部に保持されていることを特徴とする(D)結晶性複合粉末。
- (A)水分散性粉末は、その平均粒子径が0.5μm以上であり、且つマイカ、カオリン、タルク、シリカ又はこれらの表面処理物の群から選ばれる一種又は二種以上を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の(D)結晶性複合粉末。
- (A)水分散性粉末と(B)水膨潤性粘土鉱物と(C)水溶性の結晶性物質とを水性溶媒中に分散及び/又は溶解させた後、液体を噴霧乾燥して得られるものであることを特徴とする(D)結晶性複合粉末。
- (A)水分散性粉末、(B)水膨潤性粘土鉱物及び(C)水溶性の結晶性物質を水性溶媒中に分散及び/又は溶解させた後、液体を噴霧乾燥することによって (D)結晶性複合粉末を製造する方法。
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