JP2009035530A - 免疫刺激能を有するクラスaオリゴヌクレオチド - Google Patents
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Abstract
【課題】CpGモチーフを含む免疫刺激性の核酸、および、それらの免疫刺激における使用方法の提供。
【解決手段】次式:5’−(Z1)KX1Y1R1X2Y2R2X3Y3R3(Z2)L(G)N(Z3)M−3’[式中、X1は、あらゆるヌクレオチド(ただしdGを除く)であり、X2およびX3は、あらゆるヌクレオチドであり、Y1、Y2およびY3は、dC、5−メチル−dC、5−ヒドロキシ−dC、または、5−フルオロ−dCであり、R1、R2およびR3は、dG、dI、6−チオ−dG、または、7−デアザ−dGであり、Z1、Z2およびZ3は、あらゆるヌクレオチドであり、ここで、K、LおよびMは、それぞれ独立して0〜10を示し、Nは、4〜10であR]で示される免疫刺激性オリゴヌクレオチド。
【選択図】なし
【解決手段】次式:5’−(Z1)KX1Y1R1X2Y2R2X3Y3R3(Z2)L(G)N(Z3)M−3’[式中、X1は、あらゆるヌクレオチド(ただしdGを除く)であり、X2およびX3は、あらゆるヌクレオチドであり、Y1、Y2およびY3は、dC、5−メチル−dC、5−ヒドロキシ−dC、または、5−フルオロ−dCであり、R1、R2およびR3は、dG、dI、6−チオ−dG、または、7−デアザ−dGであり、Z1、Z2およびZ3は、あらゆるヌクレオチドであり、ここで、K、LおよびMは、それぞれ独立して0〜10を示し、Nは、4〜10であR]で示される免疫刺激性オリゴヌクレオチド。
【選択図】なし
Description
本発明は、免疫応答の誘導に関し、具体的には免疫刺激性オリゴヌクレオチド、および、それらの免疫応答を誘導することにおける使用に関する。
序論
細菌のDNAは、B細胞およびナチュラルキラー細胞を活性化するための免疫刺激性の作用を有するが、脊椎動物のDNAはそれらがない(Tokunaga,T.等,1988.Jpn.J.Cancer Res.79:682〜686;Tokunaga,T.等,1984,JNCI 72:955〜962;Messina,J.P.等,1991,J.Immunol.147:1759〜1764;および、Krieg,1998,In:Applied Oligonucleotide Technology,C.A.SteinおよびA.M.Krieg,(編集),ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley and Sons,Inc.),ニューヨーク,ニューヨーク州,431〜448頁に総論されている)。現在、これらの細菌のDNAの免疫刺激性の作用は、細菌のDNAに共通の特定の塩基の構成(CpGモチーフ)中の非メチル化CpGジヌクレオチドが存在する結果であると理解されているが、脊椎動物のDNAにおいては、これらはメチル化されており、過小評価されている(Krieg等,1995 Nature 374:546〜549;Krieg,1999 Biochim.Biophys.Acta 93321:1〜10)。細菌のDNAの免疫刺激性の作用は、これらのCpGモチーフを含む合成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)を用いて模擬することができる。このようなCpGのODNは、ヒトおよびマウスの白血球に対して高い刺激作用を有し、B細胞増殖;サイトカイン、および、免疫グロブリン分泌;ナチュラルキラー(NK)細胞の溶解作用、および、IFN−γ分泌;および、Th1様T細胞応答の発達を促進することにおいて重要な、共刺激分子を発現してサイトカイン、特にTh1様サイトカインを分泌させるための樹状細胞(DC)およびその他の抗原提示細胞の活性化を誘導する。このような天然型のホスホジエステル主鎖のCpGのODNの免疫刺激性の作用は、CpGモチーフがメチル化されてGpCに変化したり、または、その他の方法で除去または改変されると劇的に減少するという点で、このような作用は高度にCpG特異的である(Krieg等,1995 Nature 374:546〜549;Hartmann等,1999 Proc.Natl.Acad.Sci USA 96:9305〜10)。CpGの刺激から生じる強力だがバランスの取れた細胞性および体液性免疫応答は、侵入する病原体や癌細胞に対する体自身の天然の防御系を反映している。従って、CpGを含むオリゴヌクレオチドは、この先天性免疫の防御機構に依存しており、それらに特有の天然の免疫療法に関する経路を利用する可能性がある。従ってこれらは、癌、感染症、アレルギー、喘息およびその他の障害を治療し、癌化学療法後の日和見感染に対する防御を促進するのに用いることができる。
細菌のDNAは、B細胞およびナチュラルキラー細胞を活性化するための免疫刺激性の作用を有するが、脊椎動物のDNAはそれらがない(Tokunaga,T.等,1988.Jpn.J.Cancer Res.79:682〜686;Tokunaga,T.等,1984,JNCI 72:955〜962;Messina,J.P.等,1991,J.Immunol.147:1759〜1764;および、Krieg,1998,In:Applied Oligonucleotide Technology,C.A.SteinおよびA.M.Krieg,(編集),ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley and Sons,Inc.),ニューヨーク,ニューヨーク州,431〜448頁に総論されている)。現在、これらの細菌のDNAの免疫刺激性の作用は、細菌のDNAに共通の特定の塩基の構成(CpGモチーフ)中の非メチル化CpGジヌクレオチドが存在する結果であると理解されているが、脊椎動物のDNAにおいては、これらはメチル化されており、過小評価されている(Krieg等,1995 Nature 374:546〜549;Krieg,1999 Biochim.Biophys.Acta 93321:1〜10)。細菌のDNAの免疫刺激性の作用は、これらのCpGモチーフを含む合成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)を用いて模擬することができる。このようなCpGのODNは、ヒトおよびマウスの白血球に対して高い刺激作用を有し、B細胞増殖;サイトカイン、および、免疫グロブリン分泌;ナチュラルキラー(NK)細胞の溶解作用、および、IFN−γ分泌;および、Th1様T細胞応答の発達を促進することにおいて重要な、共刺激分子を発現してサイトカイン、特にTh1様サイトカインを分泌させるための樹状細胞(DC)およびその他の抗原提示細胞の活性化を誘導する。このような天然型のホスホジエステル主鎖のCpGのODNの免疫刺激性の作用は、CpGモチーフがメチル化されてGpCに変化したり、または、その他の方法で除去または改変されると劇的に減少するという点で、このような作用は高度にCpG特異的である(Krieg等,1995 Nature 374:546〜549;Hartmann等,1999 Proc.Natl.Acad.Sci USA 96:9305〜10)。CpGの刺激から生じる強力だがバランスの取れた細胞性および体液性免疫応答は、侵入する病原体や癌細胞に対する体自身の天然の防御系を反映している。従って、CpGを含むオリゴヌクレオチドは、この先天性免疫の防御機構に依存しており、それらに特有の天然の免疫療法に関する経路を利用する可能性がある。従ってこれらは、癌、感染症、アレルギー、喘息およびその他の障害を治療し、癌化学療法後の日和見感染に対する防御を促進するのに用いることができる。
近年、CpGオリゴヌクレオチドのいくつかの様々なクラスが説明されている。1つのクラスは、B細胞の活性化に関して有力だが、IFN−γの誘導およびNK細胞の活性化においては比較的弱い;このクラスは、Bクラスと名付けられている。BクラスのCpGオリゴヌクレオチドは、典型的には、完全に安定化されており、所定の好ましい塩基の構成内に非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。例えば、米国特許第6,194,388号;6,207,646号;6,214,806号;6,218,371号;6,239,116号;および、6,339,068号を参照。CpGオリゴヌクレオチドのその他のクラスは、B細胞およびNK細胞を活性化し、IFN−γを誘導する;このクラスは、Cクラスと名付けられている。最初に特徴付けられたCクラスのCpGオリゴヌクレオチドは、典型的には、完全に安定化されており、Bクラスタイプの配列、および、GCリッチなパリンドローム、または、パリンドロームに近い形態などを含む。このクラスは、2002年8月19日付けで出願された米国特許出願第10/224,523号、および、関連のPCT特許出願PCT/US02/26468(国際公報番号WO03/015711として公開された)で説明されている。第三のクラスは、Aクラスである。AクラスのCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、いずれも2000年9月27日付けで出願された米国特許第6,949,520号、および、PCT出願PCT/US00/26527(国際公報番号WO01/22990として公開された)で説明されている(その内容を参照により本発明に含める)。これらのオリゴヌクレオチドは、高レベルのインターフェロン−αを誘導する能力を特徴とし、同時にB細胞の活性化に最小限の作用しか与えない。
要約
一形態において、本発明は、被検体において、癌、感染症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、または、自己免疫疾患を治療する医薬品を製造するための、本発明の改変されたAクラスのオリゴヌクレオチドの使用を提供する。
一形態において、本発明は、被検体において、癌、感染症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、または、自己免疫疾患を治療する医薬品を製造するための、本発明の改変されたAクラスのオリゴヌクレオチドの使用を提供する。
一形態において、本発明は、癌、感染症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、または、自己免疫疾患の治療に有用な組成物を提供する。この形態に係る組成物は、本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチド、および、癌、感染症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、または、自己免疫疾患治療薬または物質を含む。
また、本発明の一形態として、免疫応答を刺激するための本発明のオリゴヌクレオチドの使用も提供される。
本発明の一形態は、以下の式で示される免疫刺激性オリゴヌクレオチドであり:
(配列番号70)5’−(Z1)KX1Y1R1X2Y2R2X3Y3R3(Z2)L(G)N(Z3)M−3’
式中、X1は、あらゆるヌクレオチドであり(ただしデオキシグアノシン(dG)を除く)、X2およびX3は、あらゆるヌクレオチドであり、Y1、Y2およびY3は、デオキシシチジン(dC)、5−メチル−dC、5−ヒドロキシ−dC、または、5−フルオロ−dCであり、R1、R2およびR3は、dG、デオキシイノシン(dI)、6−チオ−dG、または、7−デアザ−dGであり、Z1、Z2およびZ3は、あらゆるヌクレオチドであり、ここで、K、LおよびMは、それぞれ独立して0〜10を示し、Nは、4〜10であり、ここで本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、長さが16個未満のヌクレオチドである。一実施態様において、X1は、T、dU、dI、または、dAである。その他の実施態様において、X2は、T、dU、dA、または、7−デアザ−dAである。さらにその他の実施態様において、X3は、T、dU、dA、または、7−デアザ−dAである。さらにその他の実施態様において、Z1は、dG、dT、dU、dI、または、7−デアザ−dGである。一実施態様において、Z2は、Tである。その他の実施態様において、Z3は、Tである。一実施態様において、本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、6個未満のホスホロチオエート結合を含む。その他の実施態様において、本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、4個のホスホロチオエート結合を含む。一実施態様において、X2およびX3は、相補的ヌクレオチドである。その他の実施態様において、WOWOX3Y3R3は、パリンドロームを形成するか、または、パリンドロームに近い形態を形成する。一実施態様において、Kは、0〜10個のヌクレオチドを示す。その他の実施態様において、Kは、0〜2個のヌクレオチドを示す。さらにその他の実施態様において、Lは、0〜10個のヌクレオチドを示す。さらにその他の実施態様において、Lは、0〜2個のヌクレオチドを示す。一実施態様において、Mは、0〜10個のヌクレオチドを示す。その他の実施態様において、Mは、0〜2個のヌクレオチドを示す。一実施態様において、Nは、2〜40個のヌクレオチドを示す。その他の実施態様において、Nは、5個のヌクレオチドを示す。さらにその他の実施態様において、Nは、4個のヌクレオチドを示す。
本発明の一形態は、以下の式で示される免疫刺激性オリゴヌクレオチドであり:
(配列番号70)5’−(Z1)KX1Y1R1X2Y2R2X3Y3R3(Z2)L(G)N(Z3)M−3’
式中、X1は、あらゆるヌクレオチドであり(ただしデオキシグアノシン(dG)を除く)、X2およびX3は、あらゆるヌクレオチドであり、Y1、Y2およびY3は、デオキシシチジン(dC)、5−メチル−dC、5−ヒドロキシ−dC、または、5−フルオロ−dCであり、R1、R2およびR3は、dG、デオキシイノシン(dI)、6−チオ−dG、または、7−デアザ−dGであり、Z1、Z2およびZ3は、あらゆるヌクレオチドであり、ここで、K、LおよびMは、それぞれ独立して0〜10を示し、Nは、4〜10であり、ここで本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、長さが16個未満のヌクレオチドである。一実施態様において、X1は、T、dU、dI、または、dAである。その他の実施態様において、X2は、T、dU、dA、または、7−デアザ−dAである。さらにその他の実施態様において、X3は、T、dU、dA、または、7−デアザ−dAである。さらにその他の実施態様において、Z1は、dG、dT、dU、dI、または、7−デアザ−dGである。一実施態様において、Z2は、Tである。その他の実施態様において、Z3は、Tである。一実施態様において、本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、6個未満のホスホロチオエート結合を含む。その他の実施態様において、本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、4個のホスホロチオエート結合を含む。一実施態様において、X2およびX3は、相補的ヌクレオチドである。その他の実施態様において、WOWOX3Y3R3は、パリンドロームを形成するか、または、パリンドロームに近い形態を形成する。一実施態様において、Kは、0〜10個のヌクレオチドを示す。その他の実施態様において、Kは、0〜2個のヌクレオチドを示す。さらにその他の実施態様において、Lは、0〜10個のヌクレオチドを示す。さらにその他の実施態様において、Lは、0〜2個のヌクレオチドを示す。一実施態様において、Mは、0〜10個のヌクレオチドを示す。その他の実施態様において、Mは、0〜2個のヌクレオチドを示す。一実施態様において、Nは、2〜40個のヌクレオチドを示す。その他の実施態様において、Nは、5個のヌクレオチドを示す。さらにその他の実施態様において、Nは、4個のヌクレオチドを示す。
一実施態様において、本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも6個、および、11個未満のヌクレオチドのパリンドロームを有するドメインを含み、加えてホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合を有する少なくとも3個のYRジヌクレオチドを含み、ここでYは、dC、5−メチル−dC、5−ヒドロキシ−dC、または、5−フルオロ−dCであり、Rは、ポリGドメインに直接的または間接的に連結したdG、dI、6−チオ−dG、または、7−デアザ−dGであり、ここで該ポリGドメインは、少なくとも3個、および、8個未満の連続したGを含み、ここで該パリンドロームを有するドメインが間接的にポリGドメインに連結している場合、この間接的な連結は、1〜10個のヌクレオチドのヌクレオチド配列、または、非ヌクレオチドリンカーで構成され、ここで該オリゴヌクレオチドは、18個未満のヌクレオチドの長さを有する。その他の実施態様において、本オリゴヌクレオチドは、少なくとも2個、および、6個未満の安定化されたインターヌクレオチド結合を含む。さらにその他の実施態様において、本オリゴヌクレオチドは、4個の安定化されたインターヌクレオチド結合を有する。一実施態様において、このような安定化されたインターヌクレオチド結合は、ホスホロチオエート結合である。その他の実施態様において、本オリゴヌクレオチドは、5’GGを含まない。一実施態様において、パリンドロームを有するドメインヌクレオチドは、ホスホジエステルインターヌクレオチド結合を有する。その他の実施態様において、パリンドロームを有するドメインは、9個未満のヌクレオチドを有する。さらにその他の実施態様において、本オリゴヌクレオチドは、パリンドロームを有するドメインの5’に、1個またはそれより多くのヌクレオチドを含む。
一実施態様において、本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも6個、および、11個未満のヌクレオチドのパリンドロームを有するドメインを含み、加えて、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合を有する少なくとも3個のY’R’ジヌクレオチドを含み、ここでY’は、5−メチル−dC、5−ヒドロキシ−dC、または、5−フルオロ−dCであり、Rは、ポリGドメインに直接的または間接的に連結したdI、dG、6−チオ−dG、または、7−デアザ−dGであり、ここで該ポリGドメインは、少なくとも3個、および、8個未満の連続したGを含み、ここで該パリンドロームを有するドメインが間接的にポリGドメインに連結している場合、この間接的な連結は、1〜10個のヌクレオチドのヌクレオチド配列、または、非ヌクレオチドリンカーで構成される。
本発明のその他の形態は、以下の式:
(配列番号71)5’−(Z1)KX1Y1R1X2Y2R2X3Y3R3(Z2)LQ−3’
で示される免疫刺激性オリゴヌクレオチドであり、式中、X1は、あらゆるヌクレオチド(ただしdGを除く)であり、X2およびX3は、あらゆるヌクレオチドであり、Y1、Y2およびY3は、dC、5−メチル−dC、5−ヒドロキシ−dC、または、5−フルオロ−dCであり、R1、R2およびR3は、dG、dI、6−チオ−dG、または、7−デアザ−dGであり、Z1およびZ2は、あらゆるヌクレオチドであり、Qは、親油性成分であり、ここでKおよびLは、それぞれ独立して0〜10を示し、ここで該免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、長さが16個未満のヌクレオチドである。
(配列番号71)5’−(Z1)KX1Y1R1X2Y2R2X3Y3R3(Z2)LQ−3’
で示される免疫刺激性オリゴヌクレオチドであり、式中、X1は、あらゆるヌクレオチド(ただしdGを除く)であり、X2およびX3は、あらゆるヌクレオチドであり、Y1、Y2およびY3は、dC、5−メチル−dC、5−ヒドロキシ−dC、または、5−フルオロ−dCであり、R1、R2およびR3は、dG、dI、6−チオ−dG、または、7−デアザ−dGであり、Z1およびZ2は、あらゆるヌクレオチドであり、Qは、親油性成分であり、ここでKおよびLは、それぞれ独立して0〜10を示し、ここで該免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、長さが16個未満のヌクレオチドである。
本発明のその他の形態において、本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、製薬用キャリアーと共に本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドのいずれかを含む組成物として有用である。一実施態様において、本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号29、配列番号30、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、または、配列番号43である。
本発明のその他の形態は、被検体において免疫応答を刺激する方法であり、本方法は、このような治療が必要な被検体に、本発明の組成物のいずれかを投与することによってなされる。一実施態様において、上記治療が必要な被検体は、癌、感染症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、または、自己免疫疾患を有するか、または、それらを有する危険性がある被検体である。その他の実施態様において、上記被検体は、これまで従来の治療的処置に応答しなかった被検体である。さらにその他の実施態様において、本組成物は、静脈内投与される。さらにその他の実施態様において、本組成物は、皮下投与される。一実施態様において、上記被検体は、感染症を有する、または、その危険性がある被検体である。その他の実施態様において、このような感染症は、ウイルス性疾患である。さらにその他の実施態様において、このようなウイルス性疾患は、B型肝炎、C型肝炎、サイトメガロウイルス、(CMV)、パピローマウイルス、HIV、または、単純疱疹ウイルス(HSV)である。さらにその他の実施態様において、このような感染症は、リーシュマニア、リステリア、または、炭疽である。その他の実施態様において、上記被検体は、抗癌治療を受けた被検体である。その他の実施態様において、このような抗癌治療は、放射線、化学療法、ワクチンによる化学療法、ワクチン(例えば、インビトロで調製された樹状細胞ワクチン、または、癌抗原ワクチン)、または、抗体に基づく治療である。その他の実施態様において、上記被検体は、抗ウイルス薬で治療される被検体である。
一形態において、本発明は、癌、感染症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、または、自己免疫疾患を有する被検体の治療方法を提供する。本発明のこの形態に係る方法は、癌、感染症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、または、自己免疫疾患を有する被検体に、被検体を治療するのに有効な量の本発明の組成物と、抗癌治療、感染症の治療、喘息の治療、アレルギーの治療、アレルギー性鼻炎の治療または自己免疫疾患の治療とを投与する工程を含む。
また、免疫応答を刺激するための本発明のオリゴヌクレオチドの医薬品を製造する方法も提供される。
限定のそれぞれは、本発明の様々な実施態様を含んでいてもよい。従って当然ながら、本発明のそれぞれの形態には、いずれか1つの構成要素、または、構成要素の組み合わせに関する本発明のそれぞれの限定を含めることができる。本発明は、その用途において、以下の説明に記載の、または、図面で説明されている要素の構築および配置に関する詳細に限定されない。本発明は、それ以外の実施態様でもよいし、様々な方法で実施してもよいし、または、行ってもよい。また本明細書において用いられる言い回しおよび用語は説明のためであり、制限するものとみなされるべきではない。本明細書において、「〜が挙げられる(including)」、「〜を含む(comprising)」、または「〜を有する(having)」、「〜を含む(containing)」、「〜に関与する(involving)」およびそれらの変形型の使用は、その後に列挙した事項およびそれらの等価物、加えて追加の事項を包含することを意味する。
限定のそれぞれは、本発明の様々な実施態様を含んでいてもよい。従って当然ながら、本発明のそれぞれの形態には、いずれか1つの構成要素、または、構成要素の組み合わせに関する本発明のそれぞれの限定を含めることができる。本発明は、その用途において、以下の説明に記載の、または、図面で説明されている要素の構築および配置に関する詳細に限定されない。本発明は、それ以外の実施態様でもよいし、様々な方法で実施してもよいし、または、行ってもよい。また本明細書において用いられる言い回しおよび用語は説明のためであり、制限するものとみなされるべきではない。本明細書において、「〜が挙げられる(including)」、「〜を含む(comprising)」、または「〜を有する(having)」、「〜を含む(containing)」、「〜に関与する(involving)」およびそれらの変形型の使用は、その後に列挙した事項およびそれらの等価物、加えて追加の事項を包含することを意味する。
詳細な説明
本発明は、一形態において免疫刺激性オリゴヌクレオチドの特定のサブクラスが、免疫刺激性の作用の媒介において極めて有効であるという発見に関与する。これらのオリゴヌクレオチドは、癌、感染症、アレルギー、喘息およびその他の障害を治療するために免疫系を刺激するための治療的および予防的な有用性を有する。
本発明は、一形態において免疫刺激性オリゴヌクレオチドの特定のサブクラスが、免疫刺激性の作用の媒介において極めて有効であるという発見に関与する。これらのオリゴヌクレオチドは、癌、感染症、アレルギー、喘息およびその他の障害を治療するために免疫系を刺激するための治療的および予防的な有用性を有する。
Aクラスの免疫刺激性CpGオリゴヌクレオチド(例えば配列番号2のオリゴヌクレオチド)は、それらの極めて効率的なIFN−α分泌の誘導、それと同時に低いB細胞への刺激を特徴とする。配列番号2は、ホスホロチオエート(G)nストレッチによって固定されたパリンドロームのホスホジエステルCpG配列で構成される:G*G*G−G−A−C−G−A−C−G−T−C−G−T−G−G*G*G*G*G*G(配列番号2)。(*は、ホスホロチオエートであり、−は、ホスホジエステルである)。3’および5’末端がホスホロチオエートで修飾され、中心部分がホスホジエステルであるAクラスのオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの両末端に少なくとも4個のG残基からなる伸長部分を有する。分子間に、高分子量の集合体を発生させる4分子が形成されるため、Gリッチなオリゴヌクレオチドの開発は困難であった。このクラスの化合物の生物物理学的な特性に関する問題としては、凝集しやすい傾向、低い溶解性、品質管理の困難さ、および、PKの研究で用いられる固相抽出(SPE)が挙げられる。
オリゴヌクレオチドにおける(G)nストレッチにおいて、nが4以上の場合、分子間の4分子形成が生じ、それにより均一ではない高分子量の集合体が生成することがわかっている。(G)nストレッチを有するオリゴヌクレオチドの取り込みは、凝集していないオリゴヌクレオチドよりも約20〜40倍高く、さらに、細胞内の局在性も異なっているようである。これらの観察が生物活性とどのように相関しているかは理解されていない。
配列番号2のようなAクラスのオリゴヌクレオチドに対して類似の効力を有するが、より好都合な生物物理学的な特性を有する新規の免疫刺激性オリゴヌクレオチドを発見しようとする試みにおいて、3’にのみ(G)nストレッチを有する一連のオリゴヌクレオチドが本発明に従って開発された。これらのAクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、強化された細胞による取り込みには関与するが、より高分子量の集合体生成に関与しない分子内の4分子を形成することができる。従って、このようなオリゴヌクレオチドは、生体に関連した環境下で改善された溶解性を示す。5’TCGモチーフを有するオリゴヌクレオチドは一般的にTLR9によって認識される;それゆえに新規のパリンドロームは、5’TCGにTLR9認識配列が含まれるように設計されている。それにより、分子間の4分子1つあたり複数のTLR9認識配列が存在させることが可能である。またこれらのオリゴヌクレオチドは、安定性が比較的低いインターヌクレオチド結合有していてもよく、このような場合、それらのTLR9活性を刺激する能力が高くなる可能性がある。
従って、本発明は、一形態において、本明細書で「修飾されたAクラスの」オリゴヌクレオチドと称されるAクラスのオリゴヌクレオチドのサブクラスは、短くしたパリンドローム配列を有し、ホスホロチオエート残基が少なく、5’G−リッチドメインを含まないという発見に関与する。表I(下記参照)に、典型的なAクラスの修飾オリゴヌクレオチドを示す。驚くべきことに、これらのAクラスの修飾オリゴヌクレオチド(例えば配列番号3)は、その配列が誘導される典型的なAクラスのオリゴヌクレオチド配列番号2のように高レベルの、または、それよりも高レベルのIFN−α誘導を示した。本発明の修飾されたAクラスの免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、以下の式Iで示される:
(配列番号70)5’−(Z1)KX1Y1R1X2Y2R2X3Y3R3(Z2)L(G)N(Z3)M−3’
式中、X1は、あらゆるヌクレオチドであり(ただしデオキシグアノシン(dG)を除く)、X2およびX3は、あらゆるヌクレオチドであり、Y1、Y2およびY3は、デオキシシチジン、または、修飾デオキシシチジン(dC)であり、R1、R2およびR3は、デオキシグアノシン、または、修飾デオキシグアノシンである。従って、YRジヌクレオチドは、CG(CpG)ジヌクレオチドであり得る。Z1、Z2およびZ3は、あらゆるヌクレオチドであり;K、LおよびMは、それぞれ独立して0〜10個のヌクレオチドを示し、これらはどのようなヌクレオチドであってもよく、Nは、4〜10個のヌクレオチドである。
(配列番号70)5’−(Z1)KX1Y1R1X2Y2R2X3Y3R3(Z2)L(G)N(Z3)M−3’
式中、X1は、あらゆるヌクレオチドであり(ただしデオキシグアノシン(dG)を除く)、X2およびX3は、あらゆるヌクレオチドであり、Y1、Y2およびY3は、デオキシシチジン、または、修飾デオキシシチジン(dC)であり、R1、R2およびR3は、デオキシグアノシン、または、修飾デオキシグアノシンである。従って、YRジヌクレオチドは、CG(CpG)ジヌクレオチドであり得る。Z1、Z2およびZ3は、あらゆるヌクレオチドであり;K、LおよびMは、それぞれ独立して0〜10個のヌクレオチドを示し、これらはどのようなヌクレオチドであってもよく、Nは、4〜10個のヌクレオチドである。
一実施態様において、X1は、T、デオキシウラシル(dU)、デオキシイノシン(I)、または、デオキシアデニン(dA)である。その他の実施態様において、X2は、T、dU、dA、または、7−デアザ−dAである。さらにその他の実施態様において、X3は、T、dU、dA、または、7−デアザ−dAである。その他の実施態様において、Z1は、dG、dT、dU、dI、または、7−デアザ−dGである。一実施態様において、Z2は、Tである。その他の実施態様において、Z3は、Tである。〆本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、典型的には、6個またはそれより少ないホスホロチオエート結合を含む(ただしこれらに限定されない)。一実施態様において、X2およびX3は、相補的ヌクレオチドである。
一実施態様において、本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも6個、および、11個未満のヌクレオチドのパリンドロームを有するドメインを含む。「パリンドロームを有するドメイン」は、逆繰返し配列を含むドメインを意味するものとし、ここで逆繰返し配列とは、すなわちABCDEE’D’C’B’A’のような配列である(式中AおよびA’、BおよびB’、CおよびC’、DおよびD’およびEおよびE’は、通常のワトソン−クリック塩基対を形成することができる塩基である)。このような配列は、本明細書において「パリンドローム」と述べられる。いくつかの実施態様において、パリンドロームを有するドメインは、パリンドロームというよりむしろパリンドロームに近い形態を含む。本明細書で用いられる「パリンドロームに近い形態」は、完全なパリンドロームの配列ではない配列を意味する。インビボにおいて、パリンドロームの配列、および、パリンドロームに近い形態の配列は、二本鎖構造を形成する可能性がある。一実施態様において、配列Y1R1X2Y2R2X3Y3R3は、パリンドロームを形成するか、または、パリンドロームに近い形態を形成する。いくつかの実施態様において、パリンドロームの配列、または、パリンドロームに近い配列は、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合を有する少なくとも3個のYRジヌクレオチドを含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、パリンドローム、または、パリンドロームに近い形態を有するドメインのインターヌクレオチド結合は、ホスホジエステル結合である。このようなパリンドローム、または、パリンドロームに近い形態の配列は、本オリゴヌクレオチドの5’末端の最も先端に生じる可能性がある。あるいは本オリゴヌクレオチドは、パリンドロームを有するドメインの5’に、1個またはそれより多くのヌクレオチドを含む。
パリンドロームを有するドメインは、ポリGドメインに、直接的または間接的のいずれかで連結され得る。本明細書で用いられる用語「直接的に連結される」とは、パリンドロームを有するドメインとポリGドメインとの間に介在配列がないオリゴヌクレオチドを意味する。用語「間接的に連結される」とは、パリンドロームを有するドメインとポリGドメインとの間がリンカーで分離されているオリゴヌクレオチドを意味する。いくつかの実施態様において、ポリGドメインは、少なくとも3個、および、8個未満の連続したGを含む。該パリンドロームを有するドメインが間接的にポリGドメインに連結している場合、この間接的な連結は、1〜10個のヌクレオチドのヌクレオチド配列、または、非ヌクレオチドリンカーで構成される。ヌクレオチドではないリンカーは、追加のスペーサー、例えばトリまたはテトラエチレングリコールリン酸成分を用いて製造することができる(Durand,M.等,Triple−helix formation by an oligonucleotide containing one(dA)12 and two(dT)12 sequences bridged by two hexaethylene glycol chains,Biochemistry(1992),31(38),9197〜204,米国特許第5658738号、および、米国特許第5668265号)。あるいは、ヌクレオチドではないリンカーは、エタンジオール、プロパンジオールから誘導されてもよいし、または、標準的なホスホアミダイトの化学を用いて脱塩基デオキシリボース(dスペーサー)単位から誘導されてもよい(Fontanel,Marie Laurence等,Sterical recognition by T4 polynucleotide kinase of non−nucleosidic moieties 5’−attached to oligonucleotides;Nucleic Acids Research(1994),22(11),2022〜7)。
Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、安定化されたインターヌクレオチド結合を含み、これは、これらは、部分的に分解に対する耐性を有すること(例えば、安定化されていること)を意味する。本オリゴヌクレオチドは、典型的には、少なくとも2個、および、6個未満の安定化されたインターヌクレオチド結合を含むが、これらに限定されない。安定化されたオリゴヌクレオチド分子は、インビボでの分解(例えば、エキソまたはエンドヌクレアーゼを介した分解)に対して比較的耐性を有するオリゴヌクレオチドを意味するものとする。核酸の安定化は、主鎖の修飾によって達成することができる。ホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドは、最大限の活性、および、細胞内エキソおよびエンドヌクレアーゼによる分解からのオリゴヌクレオチドの保護を提供する。その他の修飾オリゴヌクレオチドとしては、ホスホジエステルで修飾された核酸、ホスホジエステルとホスホロチオエート核酸との組み合わせ、メチルホスホナート、メチルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、p−エトキシ、および、それらの組み合わせが挙げられる。
ホスホロチオエートのような修飾された主鎖は、ホスホロアミデートまたはH−ホスホナートの化学のいずれかを用いた自動式の技術を利用して合成してもよい。アリールおよびアルキルホスホナートは、例えば、米国特許第4,469,863号で説明されているようにして製造することができる;および、アルキルホスホトリエステル(ここで電荷を有する酸素部分は、米国特許第号5,023,243、および、欧州特許第092,574号で説明されているようにアルキル化される)は、市販の試薬を用いた自動式の固相合成によって製造することができる。その他のDNA主鎖の修飾および置換の作成方法が説明されている(例えば、Uhlmann,E.およびPeyman,A.,Chem.Rev.90:544,1990;Goodchild,J.,Bioconjugate Chem.1:165,1990)。
その他の安定化されたオリゴヌクレオチドは、以下を含む:非イオン性DNA類似体、例えばアルキル−およびアリールホスファート(ここで電荷を有するホスホナートの酸素が、アルキルまたはアリール基で置換される)、ホスホジエステル、および、アルキルホスホトリエステル(ここで電荷を有する酸素部分が、アルキル化される)。また、いずれかの末端に、または、両方の末端にテトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールのようなジオールを含む核酸も、実質的にヌクレアーゼ分解に対する耐性を有することが示されている。
安定化されたインターヌクレオチド結合は、典型的には、G−リッチドメインのようなパリンドロームの外側の配列の一部で起こる。
表1に、式Iで示される免疫刺激性オリゴヌクレオチドのいくつかの典型例を示す:
表1に、式Iで示される免疫刺激性オリゴヌクレオチドのいくつかの典型例を示す:
当業者であれば、このAクラスの修飾オリゴヌクレオチドのファミリーに属するその他のオリゴヌクレオチドの配列を決定することができると予想される。
本発明のその他の形態において、Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、ポリGドメインの代わりに親油性成分を有する。本明細書で用いられる「親油性成分」は、Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドの3’末端に共有結合で結合した親油性基である。親油性基は、一般的に、コレステリル、改変されたコレステリル、コレステロール誘導体、還元されたコレステロール、置換されたコレステロール、コレスタン、C16アルキル鎖、胆汁酸、コール酸、タウロコール酸、デオキシコレート、オレイルリトコール酸、オレオイルコレイン酸(oleoyl cholenic acid)、グリコリピド、リン脂質、スフィンゴ脂質、イソプレノイド、例えばステロイド、ビタミン、例えばビタミンE、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂肪酸エステル、例えばトリグリセリド、ピレン、ポルフィリン、テキサフィリン、アダマンタン、アクリジン、ビオチン、クマリン、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、ジゴキシゲニン、ジメトキシトリチル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、シアニン色素(例えば、Cy3またはCy5)、ヘキスト(Hoechst)33258色素、ソラレン、または、イブプロフェンであり得る。具体的な実施態様において、親油性成分は、コレステリル、パルミチル、および、脂肪酸アシルから選択される。一実施態様において、親油性成分は、コレステリルである。本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドにこのような親油性成分を1個またはそれより多く含むことは、それらにヌクレアーゼによる分解に対するさらに追加の安定性を付与すると考えられる。単一の本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチド中に2個またはそれより多くの親油性成分が存在する場合、それぞれの親油性成分は、独立してその他のあらゆるものから選択することができる。
本発明のその他の形態において、Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、ポリGドメインの代わりに親油性成分を有する。本明細書で用いられる「親油性成分」は、Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドの3’末端に共有結合で結合した親油性基である。親油性基は、一般的に、コレステリル、改変されたコレステリル、コレステロール誘導体、還元されたコレステロール、置換されたコレステロール、コレスタン、C16アルキル鎖、胆汁酸、コール酸、タウロコール酸、デオキシコレート、オレイルリトコール酸、オレオイルコレイン酸(oleoyl cholenic acid)、グリコリピド、リン脂質、スフィンゴ脂質、イソプレノイド、例えばステロイド、ビタミン、例えばビタミンE、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂肪酸エステル、例えばトリグリセリド、ピレン、ポルフィリン、テキサフィリン、アダマンタン、アクリジン、ビオチン、クマリン、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、ジゴキシゲニン、ジメトキシトリチル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、シアニン色素(例えば、Cy3またはCy5)、ヘキスト(Hoechst)33258色素、ソラレン、または、イブプロフェンであり得る。具体的な実施態様において、親油性成分は、コレステリル、パルミチル、および、脂肪酸アシルから選択される。一実施態様において、親油性成分は、コレステリルである。本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドにこのような親油性成分を1個またはそれより多く含むことは、それらにヌクレアーゼによる分解に対するさらに追加の安定性を付与すると考えられる。単一の本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチド中に2個またはそれより多くの親油性成分が存在する場合、それぞれの親油性成分は、独立してその他のあらゆるものから選択することができる。
一実施態様において、親油性基は、Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオチドの2’位に結合している。その代わりに、または、それに加えて、親油性基は、Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオチドの複素環式の核酸塩基に連結していてもよい。親油性成分は、あらゆる適切な直接または間接的な結合を介して、Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドに共有結合で連結していてもよい。一実施態様において、上記結合は直接的な結合であり、エステルまたはアミド結合である。一実施態様において、上記結合は間接的な結合であり、ここで含まれるスペーサー成分は、例えば1個またはそれより多くの脱塩基ヌクレオチド残基、オリゴエチレングリコール、例えばトリエチレングリコール(スペーサー9)、または、ヘキサエチレングリコール(スペーサー18)、または、アルカン−ジオール、例えばブタンジオールである。
本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、一般的に、4個〜100個のヌクレオチドの範囲の長さを有する。いくつかの実施態様において、その長さは、4〜40、13〜100、13〜40、13〜30、15〜50、または、15〜30個のヌクレオチドの範囲、または、その間のあらゆる整数の範囲である。本オリゴヌクレオチドは、長さが100個のヌクレオチドよりも長くてもよい。例えばこれらは、長さが120、150または200個のヌクレオチドより短くてもよい。いくつかの実施態様において、本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、15個のヌクレオチド、または、それより短いヌクレオチドである。好ましい実施態様において、本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、長さが16個未満のヌクレオチドである。
用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、同じ意味で用いられ、複数のヌクレオチド(すなわち、リン酸基、および、交換可能な有機塩基(置換されたピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミン(T)、または、ウラシル(U))、または、置換プリン(例えば、アデニン(A)、または、グアニン(G))のいずれか)に連結した糖(例えば、リボース、または、デオキシリボース)を含む分子)を意味する。本明細書で用いられる用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、オリゴリボヌクレオチド、加えて、オリゴデオキシリボヌクレオチドを意味する。用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」はさらに、ポリヌクレオシド(すなわち、リン酸を除いたポリヌクレオチド)、および、その他のあらゆる有機塩基を含むポリマーも含むものとする。核酸分子は、既存の核酸源(例えば、ゲノムまたはcDNA)から得ることができるが、好ましくは合成である(例えば、核酸合成よって生産されたもの)。オリゴヌクレオチドという用語は、一般的に、比較的短い分子を意味し、すなわち長さが100個またはそれ未満のヌクレオチドを意味する。
用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、例えば塩基および/または糖類に置換または修飾を含む核酸またはオリゴヌクレオチドも包含する。例えば、これには、2’位のヒドロキシル基以外、および、5’位のリン酸基またはヒドロキシ基以外で、低分子量の有機性の基に共有結合で結合した主鎖の糖類を有する核酸も含まれる。従って、修飾核酸は、2’−O−アルキル化リボース基を含んでいてもよい。加えて修飾核酸は、リボースの代わりに、アラビノース、または、2’−フルオロアラビノースのような糖類を含んでいてもよい。従って、このような核酸は、主鎖の組成がヘテロジニアスであってもよく、すなわち一つに連結したポリマー単位のあらゆる可能性のある組み合わせを含んでいてもよく、例えばペプチド核酸である(これは、核酸塩基を含むアミノ酸主鎖を有する)。以下でその他の例をより詳細に説明する。
本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、天然のRNAおよびDNAと比べて、ホスホジエステルインターヌクレオシド架橋、β−D−リボース単位、および/または、天然のヌクレオシド塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル)などの様々な化学修飾および置換を包含していてもよい。化学修飾の例は、当業者既知であり、例えば、Uhlmann E等(1990)Chem Rev 90:543;“Protocols for Oligonucleotides and Analogs” Synthesis and Properties & Synthesis and Analytical Techniques,S.Agrawal,Ed,ヒューマナ・プレス(Humana Press),トトワ,米国,1993;Crooke ST等(1996)Annu Rev Pharmacol Toxicol 36:107〜129;および、Hunziker J等(1995)Mod Synth Methods 7:331〜417で説明されている。本発明に係るオリゴヌクレオチドは、1種またはそれより多くの修飾を有していてもよく、ここでそれぞれの修飾は、天然のDNAまたはRNAで構成される同じ配列のオリゴヌクレオチドと比べて、特定のホスホジエステルインターヌクレオシド架橋に、および/または、特定のβ−D−リボース単位、および/または、特定の天然のヌクレオシド塩基の位置に位置する。
例えば、本オリゴヌクレオチドは、1種またはそれより多くの修飾を含んでもよく、ここでそれぞれの修飾は、独立して、以下から選択される:
a)ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステルインターヌクレオシド架橋の、修飾インターヌクレオシド架橋での置換、
b)ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステル架橋のデホスホ架橋での置換、
c)糖リン酸主鎖からの糖リン酸単位のその他の単位での置換、
d)β−D−リボース単位の修飾糖単位での置換、および、
e)天然のヌクレオシド塩基の修飾ヌクレオシド塩基での置換。
a)ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステルインターヌクレオシド架橋の、修飾インターヌクレオシド架橋での置換、
b)ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステル架橋のデホスホ架橋での置換、
c)糖リン酸主鎖からの糖リン酸単位のその他の単位での置換、
d)β−D−リボース単位の修飾糖単位での置換、および、
e)天然のヌクレオシド塩基の修飾ヌクレオシド塩基での置換。
より詳細なオリゴヌクレオチドの化学修飾の例は、以下の通りである。
本オリゴヌクレオチドは、上記aまたはbで説明されている結合のような修飾インターヌクレオチド結合を含んでいてもよい。これらの修飾された結合は、部分的に分解に対する耐性を有する可能性がある(例えば、安定化されている)。安定化されたオリゴヌクレオチド分子は、このような修飾に起因するインビボでの分解(例えば、エキソまたはエンドヌクレアーゼによる分解)に対する耐性を比較的有するオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施態様において、ホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドは、可能性がある最大限の活性を提供し、オリゴヌクレオチドを細胞内エキソおよびエンドヌクレアーゼによる分解から保護する可能性がある。典型的には、Aクラスのオリゴヌクレオチドは、分子の5’および3’部分に位置するホスホロチオエート、またはその他の安定化された結合を有する。いくつかの実施態様において、3’ポリGドメインは、完全に安定化されている。
本オリゴヌクレオチドは、上記aまたはbで説明されている結合のような修飾インターヌクレオチド結合を含んでいてもよい。これらの修飾された結合は、部分的に分解に対する耐性を有する可能性がある(例えば、安定化されている)。安定化されたオリゴヌクレオチド分子は、このような修飾に起因するインビボでの分解(例えば、エキソまたはエンドヌクレアーゼによる分解)に対する耐性を比較的有するオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施態様において、ホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドは、可能性がある最大限の活性を提供し、オリゴヌクレオチドを細胞内エキソおよびエンドヌクレアーゼによる分解から保護する可能性がある。典型的には、Aクラスのオリゴヌクレオチドは、分子の5’および3’部分に位置するホスホロチオエート、またはその他の安定化された結合を有する。いくつかの実施態様において、3’ポリGドメインは、完全に安定化されている。
ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステルインターヌクレオシド架橋は、修飾インターヌクレオシド架橋で置き換えることができ、ここでこの修飾インターヌクレオシド架橋は、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、NR1R2−ホスホロアミデート、ボラノホスフェート、α−ヒドロキシベンジルホスホナート、リン酸塩−(C1〜C21)−O−アルキルエステル、リン酸−[(C6〜C12)アリール−(C1〜C21)−O−アルキル]エステル、(C1〜C8)アルキルホスホナート、および/または、(C6〜C12)アリールホスホナート架橋、(C7〜C12)−α−ヒドロキシメチル−アリール(例えば、WO95/01363で開示された)から選択され、ここで(C6〜C12)アリール、(C6〜C20)アリール、および、(C6〜C14)アリールは、任意に、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノで置換されていてもよく、ここでR1およびR2は、互いに独立して、水素、(C1〜C18)−アルキル、(C6〜C20)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C8)−アルキル、好ましくは水素、(C1〜C8)−アルキル、好ましくは(C1〜C4)−アルキル、および/または、メトキシエチルであるか、または、R1およびR2は、それらを有する窒素原子と共に、5〜6員環の複素環を形成し、この複素環はさらに、O、SおよびNからなる群より選択されるさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい。
ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステル架橋の、デホスホ架橋によるでの交換(デホスホ架橋は、例えば、Uhlmann EおよびPeyman A in “Methods in Molecular Biology”,第20巻,“Protocols for Oligonucleotides and Analogs”,S.Agrawal編集,ヒューマナ・プレス,トトワ1993,第16章,355ff頁で説明されている)において、デホスホ架橋は、例えば、デホスホ架橋ホルムアセタール、3’−チオホルムアセタール、メチルヒドロキシルアミン、オキシム、メチレンジメチル−ヒドラゾ、ジメチレンスルホン、および/または、シリル基から選択される。
糖リン酸単位(すなわち、β−D−リボース、および、ホスホジエステルインターヌクレオシド架橋が一緒になって糖リン酸単位を形成する)は、糖リン酸主鎖を形成しており(すなわち糖リン酸主鎖が糖リン酸単位で構成される)、この単位は、その他の単位で置き換えることができ、ここでその他の単位は、例えば「モルホリノ誘導体」オリゴマー(例えば、Stirchak EP等(1989)Nucleic Acids Res 17:6129〜41で説明されているようなもの)を構築するのに適した単位であり、すなわち、例えばモルホリノ誘導体単位で置換することができ;または、ポリアミド核酸(「PNA」;例えば、Nielsen PE等(1994)Bioconjug Chem 5:3〜7で説明されている通り)を構築するのに適した単位であり、すなわち、例えば、PNA主鎖単位で、例えば2−アミノエチルグリシンで置換することができる。本オリゴヌクレオチドは、その他の炭水化物主鎖の修飾および置換を有していてもよく、例えばリン酸基を含むペプチド核酸(PHONA)、ロックト核酸(LNA)、および、アルキルリンカーまたはアミノリンカーを含む主鎖部分を有するオリゴヌクレオチドである。アルキルリンカーは、分枝状でもよいし、または非分枝状でもよく、置換されていもよいし、または非置換でもよく、さらに、光学的に純粋であってもよいし、または、ラセミ混合物であってもよい。
β−リボース単位、または、β−D−2’−デオキシリボース単位は、修飾糖単位で置き換えることができ、ここでこの修飾糖単位は、例えば、β−D−リボース、α−D−2’−デオキシリボース、L−2’−デオキシリボース、2’−F−2’−デオキシリボース、2’−F−アラビノース、2’−O−(C1〜C6)アルキル−リボースから選択され、好ましくは2’−O−(C1〜C6)アルキル−リボースは、2’−O−メチルリボース、2’−O−(C2〜C6)アルケニル−リボース、2’−[O−(C1〜C6)アルキル−O−(C1〜C6)アルキル]−リボース、2’−NH2−2’−デオキシリボース、β−D−キシロ−フラノース、α−アラビノフラノース、2,4−ジデオキシ−β−D−エリスロ−ヘキソ−ピラノース、および、炭素環(例えば、Froehler J.(1992)Am Chem Soc 114:8320で説明されている)、および/または、鎖が開環した糖の類似体(例えば、Vandendriessche等(1993)Tetrahedron 49:7223で説明されている)、および/または、ビシクロ環を有する糖の類似体(例えば、Tarkov M等(1993)Helv Chim Acta 76:481で説明されている)である。
いくつかの実施態様において、具体的にはホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオシド結合で連結したヌクレオチドの一方または両方において、上記糖が2’−O−メチルリボースである。
また核酸としては、置換プリンおよびピリミジンも挙げられ、例えばC−5プロピンピリミジン、および、7−デアザ−7−置換プリンで修飾された塩基である。Wagner RW等(1996)Nat Biotechnol 14:840〜4。プリンおよびピリミジンとしては、これらに限定されないが、アデニン、シトシン、グアニン、および、チミン、および、その他の天然に存在する、および、天然に存在しない核酸塩基、置換および非置換の芳香族成分が挙げられる。
修飾塩基とは、T、C、G、AおよびUのような一般的にDNAおよびRNAに見出される天然に存在する塩基とは化学的に異なっているが、基本的な化学構造はこれらの天然に存在する塩基と共通しているあらゆる塩基である。修飾ヌクレオシド塩基は、例えば、ヒポキサンチン、ウラシル、ジヒドロウラシル、プソイドウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−アミノウラシル、5−(C1〜C6)−アルキルウラシル、5−(C2〜C6)−アルケニルウラシル、5−(C2〜C6)−アルキニルウラシル、5−(ヒドロキシメチル)ウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシシトシン、5−(C1〜C6)−アルキルシトシン、5−(C2〜C6)−アルケニルシトシン、5−(C2〜C6)−アルキニルシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、N2−ジメチルグアニン、2,4−ジアミノ−プリン、8−アザプリン、置換された7−デアザプリン、好ましくは7−デアザ−7置換プリン、および/または、7−デアザ−8置換プリン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、例えば、N4−エチルシトシン、5−ヒドロキシデオキシシチジン、5−ヒドロキシメチルデオキシシチジン、N4−アルキルデオキシシチジン、例えば、N4−エチルデオキシシチジン、6−チオデオキシグアノシン、および、ニトロピロールのデオキシリボヌクレオシド、C5−プロピニルピリミジン、および、ジアミノプリン、例えば2,6−ジアミノプリン、イノシン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン、または天然のヌクレオシド塩基のその他の改変型から選択されたものでもよい。この一覧は典型的なものを意味しており、これらに限定するとは解釈されない。
本明細書に記載されている式において、一連の修飾塩基を定義する。例えばYという文字は、ヌクレオチドを意味するために用いられ、この場合このヌクレオチドは、シトシンまたは修飾シトシンである。本明細書で用いられる修飾シトシンとは、天然に存在する、または、天然に存在しないシトシンのピリミジン塩基類似体であって、オリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなくこの塩基を置き換えることができるものである。修飾シトシンとしては、これらに限定されないが、5−置換シトシン(例えば、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−フルオロ−シトシン5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、および、非置換または置換された5−アルキニル−シトシン)、6−置換シトシン、N4−置換シトシン(例えば、N4−エチル−シトシン)、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、縮合環系を有するシトシン類似体(例えば、N,N’−プロピレンシトシン、または、フェノキサジン)、および、ウラシル、および、その誘導体(例えば、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル)が挙げられる。具体的な実施態様において、式IのY1、Y2およびY3に相当する修飾シトシン残基は、それぞれ独立して、シトシン、または、5−置換シトシン、例えば5−メチル−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、または、5−フルオロ−シトシンである。本発明のその他の実施態様において、シトシン塩基は、万能な塩基(例えば、3−ニトロピロール、P−塩基)、芳香環系(例えば、フルオロベンゼン、または、ジフルオロベンゼン)、または、水素原子(dスペーサー)で置換されている。
Rという文字は、グアニン、または、修飾グアニン塩基を意味するものとして用いられる。本明細書で用いられる修飾グアニンは、オリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなくこの塩基を置き換えることができるグアニンの天然に存在する、または、天然に存在しないプリン塩基の類似体である。修飾グアニンとしては、これらに限定されないが、7−デアザ−グアニン、7−デアザ−7−置換グアニン(例えば、7−デアザ−7−(C2〜C6)アルキニルグアニン)、7−デアザ−8−置換グアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン(例えば、N2−メチル−グアニン)、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、アデニン、置換アデニン(例えば、N6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン)8−置換グアニン(例えば、8−ヒドロキシグアニン、および、8−ブロモグアニン)、および、6−チオグアニンが挙げられる。本発明のその他の実施態様において、このようなグアニン塩基は、万能な塩基(例えば、4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドール、および、K−塩基)、芳香環系(例えば、ベンズイミダゾール、または、ジクロロ−ベンズイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド)、または、水素原子(dスペーサー)で置換されている。いくつかの実施態様において、式IのR1、R2およびR3に相当する修飾グアニンは、それぞれ独立して、グアニン、イノシン(I)、6−チオ−グアニン、または、7−デアザ−グアニンである。
本発明のオリゴヌクレオチドは、親油性ヌクレオチド類似体を含んでいてもよい。いくつかの形態において、Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、配列R4Py−PuR5を含み、ここでR4およびR5はそれぞれ親油性の置換されたヌクレオチド類似体であり、Pyは、ピリミジンヌクレオチドであり、Puは、プリンまたは脱塩基残基である。好ましい親油性ヌクレオチド類似体は、例えば5−クロロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ヨード−ウラシル、5−エチル−ウラシル、5−プロピル−ウラシル、2,4−ジフルオロ−トルエン、および、3−ニトロピロールである。
本発明における使用に関して、本発明のオリゴヌクレオチドは、当業界周知の多数の手法のいずれかを用いてデノボ合成することができる。例えば、β−シアノエチルホスホアミダイト法である(Beaucage,S.L.,およびCaruthers,M.H.,Tet.Let.22:1859,1981);nucleoside H−phosphonate method(Garegg等,Tet.Let.27:4051〜4054,1986;Froehler等,Nucl.Acid.Res.14:5399〜5407,1986;Garegg等,Tet.Let.27:4055〜4058,1986,Gaffney等,Tet.Let.29:2619〜2622,1988)。これらの化学的方法は、市販の様々な自動式の核酸シンセサイザーによって行うことができる。これらのオリゴヌクレオチドは、合成オリゴヌクレオチドと称される。単離されたオリゴヌクレオチドとは、一般的に、自然状態で通常付随する構成要素から分離されたオリゴヌクレオチドを意味する。一例として、単離されたオリゴヌクレオチドは、細胞、細胞核、ミトコンドリア、または、クロマチンから分離されたオリゴヌクレオチドであり得る。
本オリゴヌクレオチド内のインターヌクレオチド結合は、(ヌクレアーゼに対して)安定化されていない結合でもよいし、または、安定化された結合でもよく、好ましくはホスホジエステル(安定化されていない)、ホスホロチオエート(安定化された)、または、その他の電荷を有する主鎖である。Y−Rにおけるインターヌクレオチド結合がホスホロチオエートである場合、この結合のキラリティーはランダムであってもよいし、または、好ましくは、Rp立体配置のホスホロチオエート結合である。
ホスホロチオエートのような修飾された主鎖は、ホスホロアミデートまたはH−ホスホナートの化学のいずれかを用いた自動式の技術を用いて合成してもよい。アリールおよびアルキルホスホナートは、例えば、米国特許第4,469,863号で説明されているようにして製造することができる;および、アルキルホスホトリエステル(ここで電荷を有する酸素部分は、米国特許第号5,023,243、および、欧州特許第092,574号で説明されているようにアルキル化される)は、市販の試薬を用いた自動式の固相合成によって製造することができる。その他のDNA主鎖の修飾および置換の作成方法が説明されている(例えば、Uhlmann,E.およびPeyman,A.,Chem.Rev.90:544,1990;Goodchild,J.,Bioconjugate Chem.1:165,1990)。
従って、感染症、癌、アレルギー、喘息、自己免疫または炎症性疾患を有する、または、それらを発症させる危険性がある被検体の治療に関する本発明のいくつかの形態において、Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドは有用である。本明細書で用いられるように、治療する、治療される、または、〜を治療すること、という用語は、感染症、癌、アレルギー、喘息、自己免疫または炎症性疾患のような障害に関して用いられる場合、上記病気(例えば、病原体への感染)の発症に対する被検体の耐性を高める、または、言い換えれば、被検体が、上記病気を発症させる(例えば、病原体への感染を起こす)可能性を低くするような予防的治療を意味し、加えて、被検体が病気を発症させた後に闘病するための治療(例えば、感染を減らす、または、排除する)、または、上記病気が悪化するのを防ぐための治療も意味する。
一実施態様において、Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、これまで従来の治療的処置に応答しなかった被検体を治療するのに有用である。このような被検体は、治療に反応したことがなかった人でもよいし、または、これまでの有効な治療にすでに応答しなくなった人でもよい。その他の実施態様において、上記被検体は、これまでこれらのまたはその他の化合物での治療を受けたことない被検体である。
本明細書で用いられる「被検体」は、脊椎動物を意味する。様々な実施態様において、上記被検体は、ヒト、ヒト以外の霊長類、または、その他の哺乳動物である。具体的な実施態様において、上記被検体は、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、または、ウマである。
本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、単独で、または、抗原と共に投与することができる。抗原は、本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチドと分離していてもよいし、または、それと共有結合で連結していてもよい。一実施態様において、本発明の組成物そのものに抗原は含まれない。この実施態様において、抗原は、本発明の組成物と別々に、または、本発明の組成物と共にのいずれかで被検体に投与することができる。別々の投与には、時間が別々の投与、位置または投与経路が別々の投与、または、時間と位置または投与経路の両方が別々の投与が含まれる。本発明の組成物および抗原が別々の時間に投与される場合、抗原は、本発明の組成物の前に投与してもよいし、または、その後に投与してもよい。一実施態様において、抗原は、本発明の組成物を投与してから48時間〜4週間後に投与される。また本方法は、抗原および組成物の最初の投与後に、抗原単独、組成物単独、または、抗原と組成物とを併用した1種またはそれより多くのブースターを投与することも考慮する。
また本発明は、被検体に本発明の組成物(ここで本組成物は抗原を含まない)を投与することによって、被検体が将来的に未知の抗原と遭遇することに対して準備することも考慮する。この実施態様によれば、被検体の免疫系は、後になって例えば環境または職業上の曝露によって被検体が遭遇する抗原に対してより強力な応答が生じるように準備される。このような方法は、例えば微生物因子に晒される可能性が高い旅行者、医療従事者および兵士のために用いることができる。
本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、単独で投与してもよいし、または、その他の医薬品と共に投与してもよい。一形態において、本発明は、感染の治療に有用な組成物を提供する。この形態に係る組成物は、本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチド、および、抗感染薬を含む。
「感染症を有する被検体」は、感染性微生物が体表から、局所的に、または、全身に被検体に侵入することによって生じる障害を有する被検体である。感染性微生物としては、上述のようなウイルス、細菌、真菌または寄生体が挙げられる。そのようなものとして、ウイルスの侵入によって引き起こされる感染症は、「ウイルス性疾患」と定義される。本明細書で用いられる感染症を発症する「危険性がある被検体」とは、微生物に晒されるあらゆる危険性を有する被検体であり、例えば感染した被検体と接触する人、または、特定の微生物が発見されている場所に旅行する人である。例えば、危険性を有する被検体は、特定の微生物が発見されている地域への旅行を計画している被検体の場合もあるし、または、微生物が認識されている地域に住むあらゆる被検体の場合もある。感染症を発症する危険性がある被検体としては、微生物(例えばインフルエンザ)に晒される全般的な危険を有するが、本発明の治療中に進行中の病気を有さない被検体が挙げられ、加えて、被検体を特定の微生物に晒す医療的または環境的な要因のために感染症を発症する具体的な危険があるとみなされる被検体もが挙げられる。
感染のための医薬品としては、これらに限定されないが、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、および、抗寄生虫剤が挙げられる。「抗感染薬物質」、「抗生物質」、「抗菌剤」、「抗ウイルス剤」、「抗真菌剤」、「抗寄生虫剤」および「駆虫薬」のような成句は、当業者にとって十分に確立された意味を有し、標準的な医療の教本で定義されている。簡単に言えば、抗菌剤は細菌を死滅させるか、または、阻害するものであり、例えば、抗生物質、加えて、類似の機能を有するその他の合成または天然の化合物が挙げられる。抗ウイルス剤は、自然源から単離してもよいし、または、合成してもよく、これらは、ウイルスを死滅または阻害させるのに有用である。抗真菌剤は、体表の真菌感染、加えて、日和見性および一次的な全身性真菌感染を治療するのに用いられる。抗寄生虫剤は、寄生体を死滅させるか、または、阻害する。多くの抗生物質は、微生物のような細胞で二次代謝産物として生産される低分子量の分子である。一般的に、抗生物質は、微生物に特異的であるが、宿主細胞には存在しない1種またはそれより多くの機能または構造を妨害する。
抗感染治療が有する問題の1つは、抗感染薬物質で治療される宿主に生じる副作用である。例えば、多くの抗感染因子は、広範囲の微生物を死滅または阻害することができるが、特定の型の種に特異的ではない。これらのタイプの抗感染因子を用いた治療によって、感染性微生物と同様に宿主内に生息する正常な微生物フローラの死滅も招く。微生物フローラは感染性の病原体と競合して、それらに対するバリアとしてとして機能するため、微生物フローラの損失により病気の合併症が起こり、宿主がその他の病原体に感染しやすくなる可能性がある。微生物以外の細胞、または、宿主の組織に対するこれらの化学物質の特異的または非特異的な作用の結果として、その他の副作用が発生する可能性もある。
抗感染剤の広範な使用に伴うその他の問題は、微生物の抗生物質耐性株が発生することである。すでに、バンコマイシン耐性エンテロコッカス属、ペニシリン耐性肺炎球菌、多剤耐性黄色ブドウ球菌(S.aureus)、および、多剤耐性結核菌株が発生しており、主要な臨床上の問題になりつつある。抗感染剤の広範な使用は、多くの抗生物質耐性細菌株を生産する可能性が高いと予想される。結果として、これらの微生物と闘うための新規の感染を防ぐ方策が必要であると予想される。
多様な細菌を死滅または阻害するのに有効な抗菌性抗生物質は、広域抗生物質と称される。グラム陽性またはグラム陰性のクラスの細菌に対しては、それ以外のタイプの抗菌性抗生物質が圧倒的に有効である。これらのタイプの抗生物質は、狭域抗生物質と称される。一種の生物または病気に対して有効であるが、その他のタイプの細菌に対しては有効ではないその他の抗生物質は、限定域(limited−spectrum)抗生物質と称される。
抗菌剤は、それらの主要な作用機序に基づいて分類される場合がある。一般的に、抗菌剤は、細胞壁合成阻害剤、細胞膜阻害剤、タンパク質合成阻害剤、核酸合成または機能の阻害剤、および、競合的阻害剤である。細胞壁合成阻害剤は、細胞壁合成プロセスにおける工程、および、一般的には細菌のペプチドグリカンの合成における工程を阻害する。細胞壁合成阻害剤としては、β−ラクタム抗生物質、天然ペニシリン、半合成のペニシリン、アンピシリン、クラブラン酸、セファロスポリン、および、バシトラシンが挙げられる。
β−ラクタムは、ペプチドグリカン合成の最後の工程を阻害する4員環のβ−ラクタム環を含む抗生物質である。β−ラクタム抗生物質は、合成してもよいし、または、天然のものでもよい。ペニシリウム属によって生産されるβ−ラクタム系抗生物質は、ペニシリンGまたはペニシリンVのような天然ペニシリンである。これらは、ペニシリウム・クリソゲヌム(Penicillium chrysogenum)の発酵によって生産される。天然ペニシリンは、狭域の活性を有し、一般的に、連鎖球菌属、淋菌およびブドウ球菌属に対して有効である。グラム陽性菌に対しても有効なその他のタイプの天然ペニシリンとしては、ペニシリンF、X、K、および、Oが挙げられる。
半合成ペニシリンは、一般的に、糸状菌によって生産される6−アミノペニシラン酸分子の改変型である。6−アミノペニシラン酸を側鎖の付加で修飾することによって、天然ペニシリンよりも広域の活性を有するか、または、様々なその他の有利な特性を有するペニシリンを得ることができる。一部のタイプの半合成ペニシリンは、グラム陽性およびグラム陰性菌に対して広域の活性を有するが、ペニシリナーゼによって不活性化される。これらの半合成ペニシリンとしては、アンピシリン、カルベニシリン、オキサシリン、アズロシリン、メズロシリン、および、ピペラシリンが挙げられる。その他のタイプの半合成ペニシリンは、グラム陽性菌に対して狭域の活性を有するが、ペニシリナーゼによって不活性化されないような特性を発達させている。このようなものとしては、例えば、メチシリン、ジクロキサシリン、および、ナフシリンが挙げられる。広域な活性を有する半合成ペニシリンのうちいくつかは、クラブラン酸およびスルバクタムのようなβ−ラクタマーゼ阻害剤と組み合わせて用いることができる。β−ラクタマーゼ阻害剤は抗菌作用を有さないが、これらはペニシリナーゼを阻害する機能を有するため、半合成ペニシリンを分解から保護する。
その他のタイプのβ−ラクタム抗生物質は、セファロスポリンである。これは、細菌のβ−ラクタマーゼによる分解を受けやすいため、必ずしも単独で有効とは限らない。しかしながらセファロスポリンは、ペニシリナーゼに対して耐性である。これは、様々なグラム陽性およびグラム陰性菌に対して有効である。セファロスポリンとしては、これらに限定されないが、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セファマンドール、セファクロル、セファゾリン、セフロキシン、セフォキシチン、セフォタキシム、セフスロジン、セフェタメト、セフィキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジン、および、モクサラクタムが挙げられる。
バシトラシンは、ムロペプチドサブユニットまたはペプチドグリカンを膜の外側に送達する分子から、これらサブユニットの放出を阻害することによって細胞壁合成を阻害する抗生物質のその他のクラスである。バシトラシンはグラム陽性菌に対して有効であるが、その高い毒性のために、一般的に使用が外用投与に限定されている。
カルバペネムは、細胞壁合成を阻害することができる広域の活性を有するその他のβ−ラクタム系抗生物質である。カルバペネムの例としては、これらに限定されないが、イミペネムが挙げられる。またモノバクタム系も広域の活性を有するβ−ラクタム系抗生物質であり、例えばユーズトレオナム(euztreonam)が挙げられる。またストレプトマイセスによって生産される抗生物質であるバンコマイシンも、細胞膜合成を阻害することによりグラム陽性菌に対して有効である。
抗菌剤のその他のクラスは、細胞膜阻害剤である抗菌剤である。これらの化合物は、細菌の膜の構造を破壊するか、または、その機能を阻害する。細胞膜阻害剤である抗菌剤が有する一つの問題は、これらは、細菌および真核細胞の膜においてリン脂質が類似しているために、細菌に加えて真核細胞においても作用を生じる可能性があることである。従ってこれらの化合物は、これらの化合物を全身投与で使用することが許容されるのに十分な程度特異的であることはまれであり、局所投与のために高用量を使用することを妨げる。
臨床的に有用な細胞膜阻害剤の1つは、ポリミキシンである。ポリミキシンは、膜のリン脂質に結合することによって膜の機能を妨げる。ポリミキシンは、主としてグラム陰性菌に対して有効であり、一般的に、重度のシュードモナス感染、または、毒性が少ない抗生物質に対して耐性のシュードモナス感染に用いられる。この化合物の全身投与に伴う重篤な副作用としては、腎臓およびその他の臓器に対するダメージが挙げられる。
その他の細胞膜阻害剤としては、アンホテリシンB、および、ナイスタチンが挙げられ、これらは主として全身性真菌感染およびカンジダ酵母感染の治療で用いられる抗真菌剤である。イミダゾールは、細胞膜阻害剤である抗生物質のその他のクラスである。イミダゾールは抗菌剤、加えて抗真菌剤として用いられ、例えば酵母感染、皮膚糸状菌感染、および、全身性真菌感染の治療に用いられる。イミダゾールとしては、これらに限定されないが、クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、および、フルコナゾールが挙げられる。
多くの抗菌剤は、タンパク質合成阻害剤である。これらの化合物は、細菌が構造タンパク質および酵素を合成することを妨げるため、細菌細胞増殖もしくは機能の阻害、または、細胞死を引き起こす。一般的にこれらの化合物は、転写または翻訳プロセスを妨害する。転写をブロックする抗菌剤としては、これらに限定されないが、リファンピン、および、エタンブトールが挙げられる。リファンピンは、酵素RNAポリメラーゼを阻害するものであり、これは広域な活性を有し、グラム陽性およびグラム陰性菌、加えてヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に対して有効である。エタンブトールは、ヒト型結核菌に対して有効である。
翻訳をブロックする抗菌剤は、細菌のリボソームを阻害して、mRNAがタンパク質に翻訳されるのを妨げることができる。一般的に、このクラスの化合物としては、これらに限定されないが、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、マクロライド系(例えば、エリスロマイシン)、および、アミノグルコシド系(例えば、ストレプトマイシン)が挙げられる。
アミノグルコシド系は、細菌ストレプトマイセスによって生産される抗生物質のクラスであり、例えばストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシン、および、ゲンタマイシンが挙げられる。アミノグルコシド系は、グラム陽性およびグラム陰性菌によって引き起こされる多種多様の細菌感染に対して用いられてきた。ストレプトマイシンは、結核治療の主要な薬物として広範囲にわたり用いられてきた。ゲンタマイシンは、シュードモナス感染などの多くのグラム陽性およびグラム陰性菌株に対して、特にトブラマイシンと組み合わせて用いられる。カナマイシンは、ペニシリン耐性ブドウ球菌のような多くのグラム陽性菌に対して用いられる。それらの使用を臨床的に限定してきたアミノグルコシド系の副作用の1つは、有効性を得るのに必須な投与量だと、持続的に使用することによって、腎臓機能を損ない、聴覚消失症を発症する聴覚神経へのダメージを引き起こすことが認められていることである。
その他のタイプの翻訳を阻害するタイプの抗菌剤は、テトラサイクリンである。テトラサイクリンは、広域な活性を有する抗生物質のクラスの1つであり、これらは、様々なグラム陽性およびグラム陰性菌に対して有効である。テトラサイクリンの例としては、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、および、クロルテトラサイクリンが挙げられる。これらは、多くのタイプの細菌の治療に重要であるが、特にライム病の治療において重要である。これらは毒性が低く、直接の副作用が最小であることから、テトラサイクリンは医学界で濫用、誤用され続け、問題となっている。例えば、それらの過剰使用は、耐性の出現が蔓延する原因となっている。
マクロライド系のような抗菌剤は50Sリボゾームサブユニットに可逆的に結合して、ペプチジルトランスフェラーゼによってタンパク質の伸長を阻害するか、または、細菌のリボソームからの非荷電性tRNAの放出を妨害するか、または、その両方を行う。これらの化合物としては、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、オレアンドマイシン、および、アジスロマイシンが挙げられる。エリスロマイシンは、ほとんどのグラム陽性菌、ナイセリア属、レジオネラ属、および、ヘモフィルス属に対して活性を有するが、腸内細菌科に対しては活性を有さない。リンコマイシンおよびクリンダマイシンは、タンパク質合成中にペプチド結合の形成をブロックするものであり、グラム陽性菌に対して用いられる。
その他のタイプの翻訳阻害剤は、クロラムフェニコールである。クロラムフェニコールは、70Sリボソームに結合して細菌の酵素ペプチジルトランスフェラーゼを阻害し、それによってタンパク質合成中にポリペプチド鎖の成長を予防する。クロラムフェニコールに伴う1つの重篤な副作用は、再生不良性貧血である。再生不良性貧血は、細菌を治療するのに有効なクロラムフェニコール投与で少ない比率の患者(1/50,000)に発生する。クロラムフェニコールは、かつては頻繁に処方された抗生物質であったが、貧血による死亡が認められたために現在ではめったに用いられない。しかしながらクロラムフェニコールは、その有効性のために生命を脅かす状況(例えば、腸チフス)では未だに使用されている。
いくつかの抗菌剤は、核酸合成または機能を崩壊させるが、例えばDNAまたはRNAのメッセージが読めなくなるようにDNAまたはRNAに結合する。このようなものとしては、これらに限定されないが、キノロン類およびコトリモキサゾール類(いずれも合成化学物質)、および、リファマイシン(天然または半合成の化学物質)が挙げられる。キノロンは、細菌が自身の環状DNAを生産するのに必要な酵素であるDNAジャイレースを阻害することによって細菌のDNA複製をブロックする。これらは広域の活性を有し、例えば、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ナリジクス酸、および、テマフロキサシンが挙げられる。ナリジクス酸は、殺菌性の物質であり、これは、DNA複製に必須であるDNAジャイレース酵素(トポイソメラーゼ)に結合し、スーパーコイルを緩めて改質し、DNAジャイレース活性を阻害することができる。ナリジクス酸の主要な用途は、下部尿路感染症(UTI)の治療にあるなぜならナリジクス酸は、UTIに共通の原因である大腸菌(E.coli)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、肺炎桿菌(K.pneumoniae)、および、プロテウス属にような数種のタイプのグラム陰性菌に対して有効である。コトリモキサゾールは、スルファメトキサゾールとリメトプリムとの組み合わせであり、これは、DNAヌクレオチドを作製するのに必要な細菌の葉酸合成をブロックする。リファンピシンは、グラム陽性菌(例えば、ヒト型結核菌、および、髄膜炎を引き起こすナイセリア・メニンギチジス(Neisseria meningitidis))、および、一部のグラム陰性菌に対して活性なリファマイシン誘導体である。リファンピシンは、ポリメラーゼのベータサブユニットに結合し、ポリメラーゼを活性化するのに必要な最初のヌクレオチドの付加をブロックすることによって、mRNA合成をブロックすることができる。
抗菌剤のその他のクラスは、細菌の酵素の競合的阻害剤として機能する化合物である。競合的阻害剤は、ほぼ全てが構造的に細菌の増殖因子に類似しており、結合に関して競合するが、細胞における代謝機能は行わない。これらの化合物としては、スルホンアミド類、および、さらにより強力で広域の抗菌活性を有するスルファニルアミドの化学修飾された形態が挙げられる。スルホンアミド類(例えば、ガントリシンおよびリメトプリム)は、肺炎連鎖球菌、ベータ−溶血性連鎖球菌、および、大腸菌の治療に有用であり、これらは、大腸菌によって引き起こされる合併症のないUTIの治療、および、髄膜炎菌性髄膜炎の治療で用いられている。
抗ウイルス剤は、ウイルスによる細胞の感染、または、細胞内でのウイルス複製を防ぐ化合物である。抗ウイルス薬物は、抗菌性薬物よりもずっと少ないが、これはなぜなら、ウイルス複製のプロセスは、宿主細胞内でのDNA複製と密接に関連するため、非特異的な抗ウイルス剤は宿主にとって毒性であることが多いためである。ウイルス感染のプロセスには、抗ウイルス剤によってブロックまたは阻害することができる段階がいくつかある。これらの段階としては、ウイルスの宿主細胞への付着(免疫グロブリン、または、結合ペプチド)、ウイルスの脱殻(例えば、アマンタジン)、ウイルスmRNAの合成または翻訳(例えば、インターフェロン)、ウイルスRNAまたはDNAの複製(例えば、ヌクレオシド類似体)、新しいウイルスタンパク質の成熟(例えば、プロテアーゼ阻害剤)、および、ウイルスの出芽および放出が挙げられる。
その他の抗ウイルス剤の種類は、ヌクレオシド類似体である。ヌクレオシド類似体とは、ヌクレオシドに類似しているが、不完全な、または、一般的ではないデオキシリボースまたはリボース基を有する合成化合物である。ヌクレオシド類似体が細胞内に入ると、これらはリン酸化されて三リン酸の形態になるため、ウイルスDNAまたはRNAへの取り込みに関して正常なヌクレオチドと競合する。ヌクレオシド類似体の三リン酸の形態が成長中の核酸鎖に組み込まれると、それらはウイルスポリメラーゼと不可逆的な結合を引き起こすため、鎖がそこで終結する。ヌクレオシド類似体としては、これらに限定されないが、アシクロビル(単純疱疹ウイルス、および、水痘−帯状疱疹ウイルスの治療に用いられる)、ガンシクロビル(サイトメガロウイルスの治療に有用)、イドクスウリジン、リバビリン(呼吸器系合胞体ウイルスの治療に有用)、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、および、ジドブジン(アジドチミジン)が挙げられる。
抗ウイルス剤のその他のクラスとしては、インターフェロンのようなサイトカインが挙げられる。インターフェロンは、ウイルスに感染した細胞、加えて免疫細胞によって分泌されるサイトカインである。インターフェロンは、感染した細胞に隣接する細胞上の特異的な受容体に結合することによって作用し、細胞に、ウイルスによる感染からその細胞が保護されるような変化をもたらす。またαおよびβ−インターフェロンは、感染した細胞の表面でクラスIおよびクラスII MHC分子の発現も誘導し、それにより、宿主の免疫細胞に認識させるための抗原提示の増加が起こる。αおよびβ−インターフェロンは組換えの形態として入手することができ、慢性B型およびC型肝炎感染の治療に用いられてきた。インターフェロンは、抗ウイルス治療に有効な投与量で、発熱、倦怠感および体重減少のような重度の副作用が生じる。
免疫グロブリン療法は、ウイルス感染の予防に用いられる。ウイルス感染のための免疫グロブリン療法は、抗原特異性によるのではないという点で細菌感染の場合とは異なり、このような免疫グロブリン療法は、細胞外のビリオンに結合して、それらがウイルス感染を受けやすい細胞に付着し侵入することを予防することにより作用する。このような治療は、宿主中に抗体が存在する期間中はウイルス感染の予防において有効性を示す。一般的に、2タイプの免疫グロブリン療法があり、一方は、通常の免疫グロブリン療法であり、もう一方は、高力価免疫グロブリン療法である。通常の免疫グロブリン療法は、正常な血液ドナーの血清から調製されプールされた抗体製品を利用する。このプールした製品は、A型肝炎、パルボウイルス、エンテロウイルス(特に新生児における)のような多様なヒトウイルスに対して低力価の抗体を含む。高力価免疫グロブリン療法は、特定のウイルスに対して高力価の抗体を有する個体の血清から調製された抗体を利用する。従ってこのような抗体は、特定のウイルスに対して用いられる。高力価免疫グロブリンの例としては、帯状疱疹免疫グロブリン(免疫無防備状態の子供および新生児における水痘の予防に有用)、ヒト狂犬病免疫グロブリン(狂犬病の動物に噛まれた被検体の曝露後予防において有用)、B型肝炎免疫グロブリン(特にウイルスに晒された被検体におけるB型肝炎ウィルスの予防において有用)、および、RSV免疫グロブリン(呼吸器系合胞体ウイルス感染の治療において有用)が挙げられる。
当業界既知の抗ウイルス剤または医薬品としては、これらに限定されないが、エースマンナン;アシクロビル;アシクロビルナトリウム;アデフォビル;アロブジン;アルビルセプトスドトックス(Alvircept Sudotox);塩酸アマンタジン;アラノチン;アリルドン;メシル酸アテビルジン;アブリジン;シドフォビル;シパムフィリン;塩酸シタラビン;メシル酸デラビルジン;デシクロビル;ジダノシン;ジソキサリル;エドクスジン;エンビラデン;エンビロキシム;ファミシクロビル;塩酸ファモチン;フィアシタビン;フィアルリジン;フォサリレート(Fosarilate);ホスカルネットナトリウム;ホスフォネットナトリウム(Fosfonet Sodium);ガンシクロビル;ガンシクロビルナトリウム;イドクスウリジン;ケトキサール;ラミブジン;ロブカビル;塩酸メモチン;メチサゾン;ネビラピン;ペンシクロビル;ピロダビル;リバビリン;塩酸リマンタジン;メシル酸サキナビル;塩酸ソマンタジン;ソリブジン;スタトロン(Statolon);スタブジン;塩酸チロロン;トリフルリジン;塩酸バラシクロビル;ビダラビン;リン酸ビダラビン;ビダラビンリン酸ナトリウム;ビロキシム;ザルシタビン;ジドブジン;および、ジンビロキシムが挙げられる。
抗真菌剤は、感染性の真菌類の治療および予防に有用である。抗真菌剤は、それらの作用機序によって分類されることがある。いくつかの抗真菌剤は、グルコースシンターゼを阻害することによって細胞壁阻害剤として機能する。このようなものとしては、これらに限定されないが、バシウンギン(basiungin)/ECBが挙げられる。その他の抗真菌剤は、膜の完全性を不安定にすることによって作用する。このようなものとしては、これらに限定されないが、イミダゾール、例えばクロトリマゾール、セルタコンゾール(sertaconzole)、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、および、ボリコナゾール(voriconacole)が挙げられ、加えて、FK463、アンホテリシンB、BAY38−9502、MK991、プラジミシン、UK292、ブテナフィン、および、テルビナフィンも挙げられる。その他の抗真菌剤は、キチンを分解することによって(例えば、キチナーゼ)、または、免疫抑制(501クリーム)によって機能する。
駆虫薬は、寄生体を直接的にを殺す物質である。このような化合物は当業界既知であり、一般的に市販されている。ヒトへの投与に有用な駆虫薬の例としては、これらに限定されないが、アルベンダゾール、アンホテリシンB、ベンズニダゾール、ビチオノール、塩酸クロロキン、リン酸クロロキン、クリンダマイシン、デヒドロエメチン、ジエチルカルバマジン、フランカルボン酸ジロキサニド、エフロールニチン、フラゾリダオン(furazolidaone)、糖質コルチコイド、ハロファントリン、ヨードキノール、イベルメクチン、メベンダゾール、メフロキン、メグルミンアンチモニエート、メラルソプロール、メトリホネート、メトロニダゾール、ニクロサミド、ニフルチモックス、オキサムニキン、パロモマイシン、ペンタミジンイセチオネート、ピペラジン、プラジカンテル、リン酸プリマキン、プログアニル、パモ酸ピランテル、ピリメタミン(pyrimethanmine)−スルホンアミド類、ピリメタミン−スルファドキシン、塩酸キナクリン、硫酸キニン、グルコン酸キニジン、スピラマイシン、スチボグルコン酸ナトリウム(グルコン酸アンチモンナトリウム)、スラミン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、チアベンダゾール、チニダゾール、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、および、トリパルサミドが挙げられる。
またAクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、自己免疫疾患を治療および予防することにも有用である。自己免疫疾患は、被検体自身の抗体と宿主組織とが反応する病気のクラス、または、免疫エフェクターT細胞が内因性の自己ペプチドと自己反応し、組織の破壊を引き起こす病気のクラスである。従って、被検体自身の抗原(自己抗原と称される)に対して免疫応答が発生する。自己免疫疾患としては、これらに限定されないが、リウマチ様関節炎、クローン病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡(例えば、尋常性天疱瘡)、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体を有する強皮症、混合性結合組織病、多発性筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫に関連する不妊症、腎炎(例えば、半月形糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、インスリン耐性、および、自己免疫性糖尿病が挙げられる。
本明細書で用いられる「自己抗原」は、正常な宿主組織の抗原を意味する。正常な宿主組織は、癌細胞を含まない。従って、自己抗原に対して発生した免疫応答は、自己免疫疾患の状況では望ましくない免疫応答であり、正常な組織の破壊および損傷に寄与するが、それに対して癌抗原に対して発生した免疫応答は、望ましい免疫応答であり、腫瘍または癌の破壊に寄与する。従って、本発明の自己免疫障害を治療することを目的とする形態のいくつかにおいて、本オリゴヌクレオチドが、自己抗原と共に投与されること、具体的には自己免疫障害の標的である自己抗原と共に投与されることは推奨されない。
その他の例において、Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、低用量の自己抗原と共に送達してもよい。多数の動物実験によって、低用量の抗原の粘膜投与が、免疫低応答状態または「寛容」を引き起こす可能性があることが実証されてきた。その活性なメカニズムは、Th1から離れて主にTh2およびTh3(すなわちTGF−β優勢)応答に向かうサイトカインが介在する免疫偏向のようである。また低用量の抗原送達を用いる活性な抑制も、無関係の免疫応答(バイスタンダー(bystander)抑制)を抑制することができ、これは、自己免疫疾患(例えばリウマチ様関節炎およびSLE)の治療において非常に興味深い。バイスタンダー抑制は、炎症誘発性およびTh1サイトカインが抗原特異または抗原非特異いずれかで放出されるような局所環境における、Th1を逆調節するサプレッサーサイトカインの分泌に関与する。本明細書で用いられる「寛容」とは、この現象を意味するために用いられる。実際に、経口寛容は、動物における多数の自己免疫疾患の治療:例えば、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)、実験性自己免疫性筋無力症、コラーゲン誘導関節炎(CIA)、および、インスリン依存性糖尿病などの治療において有効であった。これらのモデルにおいて、自己免疫疾患の予防および抑制は、抗原特異的な体液性および細胞性応答におけるTh1からTh2/Th3応答へのシフトに関連する。
本発明の組成物および方法は、単独で用いてもよいし、または、癌治療に有用なその他の物質および方法と共に用いてもよい。一形態において、本発明は、癌を有する被検体の治療方法を提供する。本発明のこの形態に係る方法は、癌を有する被検体に、このような被検体を治療するのに有効な量の本発明の組成物を投与する工程を含む。
癌を有する被検体とは、検出可能な癌細胞を有する被検体である。癌は、悪性の癌の場合もあるし、または、良性の癌の場合もある。本明細書で用いられる「癌」は、体内の臓器およびシステムの正常な機能を妨害する制御不能な細胞増殖を意味する。癌は、その元の位置から移動して正常な臓器に転移し、最終的に影響を受けた臓器の機能が劣化することによって被検体を死亡させる。白血病のような造血系の癌は、被検体の正常な造血組織の区画に侵入して、それによって造血不能に陥り(貧血、血小板減少症、および、好中球減少症の形態で)、最終的には死をもたらす可能性がある。「癌を発症する危険性がある被検体」とは、癌の家族歴、発癌性物質などに晒されることといった要因のために癌を発症させる見込みが正常な被検体よりも高い被検体のことである。
転移は、原発腫瘍から体のその他の部分への癌細胞の内転移によって生じた原発腫瘍の位置とは異なる癌細胞の領域である。原発腫瘍の質量を診断する時に、転移の存在に関して被検体はをモニターすることが可能である。転移は、ほとんどの場合、核磁気共鳴映像法(MRI)でのスキャン、コンピュータ断層撮影法(CT)でのスキャン、血液および血小板の計数、肝臓機能の研究、胸部X線、および、骨のスキャンそれぞれ単独で、または、それらと特定の症状のモニターとを併用することによって検出される。
癌としては、これらに限定されないが、基底細胞癌腫、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳および中枢神経系(CNS)の癌;乳癌;子宮頚癌;絨毛上皮腫;結腸および直腸癌;結合組織癌;消化器系癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部癌;上皮内新生物;腎臓癌;喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞および非小細胞);リンパ腫、例えばホジキンおよび非ホジキンリンパ腫;黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌(例えば、唇、舌、口腔および咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系の癌;肉腫;皮膚癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮癌;泌尿器系の癌、加えてその他の癌腫、腺癌および肉腫が挙げられる。
また本発明の免疫刺激性組成物は、抗癌治療と共に投与してもよい。抗癌治療としては、癌治療薬、放射線、および、外科手術が挙げられる。本明細書で用いられる「癌治療薬」は、被検体に癌治療の目的で投与される物質を意味する。本明細書で用いられる「癌を治療すること」は、癌の発症を予防すること、癌の症状を低減すること、および/または、すでに発症した癌の成長を阻害することを含む。その他の形態において、癌治療薬は、癌を発症する危険性がある被検体に、癌を発症させる危険を減少させる目的で投与される。本明細書において様々なタイプの癌治療のための医薬品を説明する。本明細書の目的において、癌治療薬は、化学療法剤、免疫療法剤、癌ワクチン、ホルモン療法、および、生体応答調整物質に分類される。
化学療法剤は、メトトレキセート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、糖を含まないクロロエチルニトロソウレア、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラジリン(fragyline)、メグルミン(meglamine)GLA、バルルビシン、カルムスタイン(carmustaine)、および、ポリフェルポサン(poliferposan)、MMI270、BAY12−9566、RASファメシルトランスフェラーゼ阻害剤(RAS famesyl transferase inhibitor)、ファメシルトランスフェラーゼ阻害剤、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール(Lometexol)、グラモレック(Glamolec)、CI−994、TNP−470、ハイカムチン/トポテカン、PKC412、バルスポダール/PSC833、ノバントロン/ミトロキサントロン(Mitroxantrone)、メタレット(Metaret)/スラミン、バチマスタット(Batimastat)、E7070、BCH−4556、CS−682、9−AC、AG3340、AG3433、Incel/VX−710、VX−853、ZD0101、ISI641、ODN698、TA2516/マーミスタット(Marmistat)、BB2516/マーミスタット、CDP845、D2163、PD183805、DX8951f、レモナール(Lemonal)DP2202、FK317、ピシバニール/OK−432、AD32/バルルビシン、メタストロン/ストロンチウム誘導体、テモダール/テモゾロマイド、エバセット(Evacet)/リポソーマルドキソルビシン、ユータキサン(Yewtaxan)/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、キセロード(Xeload)/カペシタビン、フルツロン/ドキシフルリジン、シクロパックス(Cyclopax)/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU−077/シスプラチン、HMR1275/フラボピリドール(flavopiridol)、CP−358(774)/EGFR、CP−609(754)/RAS腫瘍遺伝子阻害剤、BMS−182751/経口白金、UFT(テガフール/ウラシル)、エルガミゾール(Ergamisol)/レバミソール、エニルウラシル/776C85/5FUエンハンサー、カンプト/レバミソール、カンプトサール(Camptosar)/イリノテカン、ツモデックス(Tumodex)/ラリトレキセド(Ralitrexed)、ロイスタチン/クラドリビン、パキセクス(Paxex)/パクリタキセル、ドキシル/リポソーマルドキソルビシン、カエリクス(Caelyx)/リポソーマルドキソルビシン、フルダラ/フルダラビン、ファルマルビシン(Pharmarubicin)/エピルビシン、デポサイト(DepoCyt)、ZD1839、LU79553/ビス−ナフタルイミド、LU103793/ドラスタイン(Dolastain)、カエチクス(Caetyx)/リポソーマルドキソルビシン、ジェムザール/ゲムシタビン、ZD0473/アノーメッド(Anormed)、YM116、ヨウ素種(Iodine seed)、CDK4およびCDK2阻害剤、PARP阻害剤、D4809/デキシフォサミド(Dexifosamide)、アイフェス(Ifes)/メスネックス(Mesnex)/イフォサミド(Ifosamide)、ブモン(Vumon)/テニポシド、パラプラチン/カルボプラチン、プランチノール(Plantinol)/シスプラチン、ベペシド(Vepeside)/エトポシド、ZD9331、タキソテール/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサン類似体、ニトロソウレア類、アルキル化剤、例えばメルフェラン(melphelan)、および、シクロホスファミド、アミノグルテチミド、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロロムブシル(Chlorombucil)、塩酸シタラビン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、リン酸エストラムスチンナトリウム、エトポシド(VP16−213)、フロクシウリジン、フルオロウラシル(5−FU)、フルタミド、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)、イフォスファミド、インターフェロンアルファ−2a、アルファ−2b、酢酸ロイプロリド(LHRH−放出因子類似体)、ロムスチン(CCNU)、塩酸メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ(Mesna)、ミトタン(o.p’−DDD)、塩酸ミトキサントロン、オクトレオチド、プリカマイシン、塩酸プロカルバジン、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(m−AMSA)、アザシチジン、エリスロポエチン、ヘキサメチルメラミン(HMM)、インターロイキン2、ミトグアゾン(Mitoguazone)(メチル−GAG;メチルグリオキサールビス−グアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’デオキシコホルマイシン)、セムスチン(メチル−CCNU)、テニポシド(VM−26)、および、硫酸ビンデシンからなる群より選択してもよい(ただしこれらに限定されない)。
免疫療法剤は、3622W94、4B5、ANA Ab、抗FLK−2、抗VEGF、ATRAGEN、アバスチン(ベバシズマブ;ジェネンテック(Genentech))、BABS、BEC2、ベクサー(BEXXAR)(トシツモマブ;グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline))、C225、キャンパス(CAMPATH)(アレムトツマブ(alemtuzumab);ジェンザイム社(Genzyme Corp.)、シーサイド(CEACIDE)、CMA676、EMD−72000、セツキシマブ(セツキシマブ;イムクローン・システムズ社(ImClone Systems,Inc.))、グリオマブ(Gliomab)−H、GNI−250、ハーセプチン(トラスツズマブ;ジェネンテック)、IDEC−Y2B8、ImmuRAIT−CEA、ior c5、ior egf.r3、ior t6、LDP−03、リンフォサイド(LymphoCide)、MDX−11、MDX−22、MDX−210、MDX−220、MDX−260、MDX−447、メリミューン(MELIMMUNE)−1、メリミューン−2、モノファーム(Monopharm)−C、ノボMAb(NovoMAb)−G2、オンコリム(Oncolym)、OV103、オバレックス(OvaRex)、パノレックス(Panorex)、プレターゲット(Pretarget)、クアドラメット、リブタキシン(Ributaxin)、リツキサン(リツキシマブ;ジェネンテック(Genentech))、SMART1D10Ab、SMART ABL364Ab、SMART M195、TNT、および、ZENAPAX(ダクリズマブ;ロシュ(Roche))からなる群より選択してもよい(ただしこれらに限定されない)。
癌ワクチンは、EGF、抗イディオタイプ癌ワクチン、Gp75抗原、GMK黒色腫ワクチン、MGVガングリオシド結合ワクチン、Her2/neu、オバレックス(OvaRex)、M−Vax、O−Vax、L−Vax、STn−KHLセラトープ(Theratope)、BLP25(MUC−1)、リポソーマルイディオタイプワクチン(liposomal idiotypic vaccine)、メラシン(Melacine)、ペプチド抗原ワクチン、毒素/抗原ワクチン、MVAベースのワクチン、PACIS、BCGワクチン、TA−HPV、TA−CIN、DISC−ウイルス、および、イムシスト(ImmuCyst)/テラシス(TheraCys)からなる群より選択してもよい(ただしこれらに限定されない)。
本発明の組成物および方法は、単独で用いてもよいし、または、アレルギーの治療に有用なその他の物質および方法と共に用いてもよい。一形態において、本発明は、アレルギー状態を示す被検体の治療方法を提供する。本発明のこの形態に係る方法は、アレルギー状態を示す被検体に、このような被検体を治療するのに有効な量の本発明の組成物を投与する工程を含む。
一形態において、本発明は、アレルギー状態を示す被検体の治療方法を提供する。本発明のこの形態に係る方法は、アレルギー状態を示す被検体を治療するために、アレルギー状態を示す被検体に、有効量の本発明の組成物、および、抗アレルギー治療剤を投与する工程を含む。
一形態において、本発明は、被検体において、アレルギー状態を治療する医薬品を製造するための、本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチドの使用を提供する。
一形態において、本発明は、アレルギー状態の治療に有用な組成物を提供する。この形態に係る組成物は、本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチド、および、アレルギー治療薬を含む。
一形態において、本発明は、アレルギー状態の治療に有用な組成物を提供する。この形態に係る組成物は、本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチド、および、アレルギー治療薬を含む。
「アレルギー状態を示す被検体」は、現在アレルゲンに反応して起こるアレルギー反応を示す、または、そのような状態を以前に経験したことがある被検体を意味することとする。「アレルギー状態」または「アレルギー」は、物質(アレルゲン)に対する後天性の過敏症を意味する。アレルギー状態としては、これらに限定されないが、湿疹、アレルギー性鼻炎、または、鼻感冒、枯草熱、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、じんましん(hives)、および、食物アレルギー、その他のアトピー性の状態、例えばアトピー性皮膚炎;アナフィラキシー;薬物アレルギー;および、血管性浮腫が挙げられる。
アレルギーは、典型的には、アレルゲンに対する免疫グロブリンの特定のクラス、IgEからの抗体生産を伴う一次的な状態である。また、一般的な空気アレルゲンに対してIgEが媒介する応答が発生することは、喘息の発症に対する素因を示すファクターの一つでもある。アレルゲンが、好塩基球(血液中を循環する)または肥満細胞(固形組織全体に分散している)の表面上でIgEFc受容体(Fc□R)に結合した特異的なIgEに遭遇すると、その細胞は活性化され、ヒスタミン、セロトニン、および、脂質媒介物質のような媒介物質の生産および放出が起こる。
アレルギー反応は、組織を感作するIgE型の免疫グロブリンが外来のアレルゲンと反応すると起こる。IgE抗体が肥満細胞および/または好塩基球に結合すると、これらの特殊化した細胞は、アレルゲンが抗体分子の末端と架橋を形成することによって刺激されてアレルギー反応の化学媒介物質(血管作動性アミン)を放出する。ヒトにおけるアレルギー反応の最もよく知られた媒介物質のなかでも、ヒスタミン、血小板活性化因子、アラキドン酸代謝産物、および、セロトニンが挙げられる。ヒスタミンおよびその他の血管作動性アミンは、通常、肥満細胞および塩基好性白血球中に保存される。肥満細胞は動物組織全体に分散しており、好塩基球は血管系内を循環している。これらの細胞は、IgE結合を含む特殊化した一連の現象が起こり、その放出を開始させない限り、細胞内でヒスタミンを製造し保存する。
アレルギー反応の症状は、IgEが抗原と反応する体の部位に応じて様々である。このような反応が気道上皮上で起こると、その症状は、一般的に、くしゃみ、咳、および、喘息の反応である。食物アレルギーの場合のように消化管内でこのような相互作用が起こると、腹痛、および、下痢が起こることが多い。例えば蜂に刺された後、または、アレルギー性の被検体にペニシリンを投与した後のような全身性のアレルギー反応は重篤になる可能性があり、生命を脅かすことが多い。
アレルギーは、Th2型の免疫応答に関連しており、これは、少なくとも部分的にTh2サイトカインIL−4およびIL−5、加えてIgEに切り換える抗体のアイソタイプを特徴とする。Th1およびTh2型の免疫応答は、相互に逆調節性であることによって、免疫応答をTh1型の免疫応答にそらして、アレルギーを含むTh2型の免疫応答を予防または改善することができる。従って、本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、免疫応答をTh1型の免疫応答にそらすことができるため、このような修飾オリゴヌクレオチドはそれ自身アレルギー状態を有する被検体を治療するのに有用である。その代わりに、または、それに加えて、本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチドとアレルゲンとを併用して、アレルギー状態を有する被検体を治療することができる。
また本発明の免疫刺激性組成物は、抗アレルギー治療剤と共に投与してもよい。従来のアレルギーの治療または予防方法には、アレルギー治療薬の使用または脱感作療法が含まれていた。アレルギーを治療または予防するための開発中の療法のいくつかとしては、抗IgE抗体の中和の使用がある。アレルギー反応の化学媒介物質の作用をブロックする抗ヒスタミン剤およびその他の薬物は、アレルギーの症状の辛さを調節するのには役立つが、アレルギー反応を予防せず、その後に起こるアレルギー性応答に対する作用もない。脱感作療法は、アレルゲンに対するIgG型の応答を誘導するために、一般的には皮下注射で少ない用量のアレルゲンを投与することによって行われる。IgG抗体の存在は、IgE抗体の誘導により生じた媒介物質の生産を阻害するのに役立つと考えられている。重篤な反応の誘導を回避するために、最初のうちは被検体は極めて低用量のアレルゲンで治療され、その後用量を徐々に増加させる。このタイプの治療は、被検体は、実際にアレルギー性応答を引き起こす化合物投与され、重篤なアレルギー反応が生じる可能性があるため危険である。
アレルギー治療薬としては、これらに限定されないが、抗ヒスタミン剤、コルチコステロイド、および、プロスタグランジン誘導物質が挙げられる。抗ヒスタミン剤は、肥満細胞または好塩基球によって放出されたヒスタミンを中和するように作用する化合物である。これらの化合物は当業界周知であり、一般的にアレルギー治療に頻繁に使用されている。抗ヒスタミン剤としては、これらに限定されないが、アクリバスチン、アステミゾール、アゼタジン(azatadine)、アゼラスチン、ベタタスチン(betatastine)、ブロムフェニルアミン、ブクリジン(buclizine)、セチリジン、セチリジン類似体、クロルフェニラミン、クレマスチン、CS560、シプロヘプタジン、デスロラタジン、デキスクロルフェニルアミン、エバスチン、エピナスチン、フェキソフェナジン、HSR609、ヒドロキシジン、レボカバスチン、ロラチジン(loratidine)、メトスコポラミン、ミゾラスチン、ノラステミゾール(norastemizole)、フェニンダミン、プロメタジン、ピリラミン、テルフェナジン、および、トラニラストが挙げられる。
コルチコステロイドとしては、これらに限定されないが、メチルプレドニゾロン、ブレドニゾロン、プレドニゾン、ベクロメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、および、トリアムシノロンが挙げられる。デキサメタゾンは抗炎症性作用を有するコルチコステロイドであるが、デキサメタゾンは極めて吸収されやすく、有効量で長期にわたる抑制性の副作用を示すため、アレルギーまたは喘息の治療に吸入される形態でデキサメタゾンが定期的に用いられることはない。しかしながら、デキサメタゾンは、本発明の組成物と組み合わせて投与すれば、デキサメタゾンを低用量で投与することができ、従って副作用を減少させることができるため、本発明に従ってアレルギーまたは喘息を治療するのに用いることができる。コルチコステロイド使用に伴う副作用のいくつかとしては、咳、発声困難、口腔カンジダ症(カンジダ症)、および、より高用量では、全身性の作用、例えば副腎抑制、グルコース不耐性、骨粗しょう症、無菌性骨壊死、白内障の形成、成長抑制、高血圧、筋衰弱、皮膚の薄化、および、易傷性が挙げられる。Barnes & Peterson(1993)Am Rev Respir Dis 148:S1−S26;および、Kamada AK等(1996)Am J Respir Crit Care Med 153:1739〜48。
本発明の組成物および方法は、単独で用いてもよいし、または、喘息の治療に有用なその他の物質および方法と共に用いてもよい。一形態において、本発明は、喘息を有する被検体の治療方法を提供する。本発明のこの形態に係る方法は、喘息を有する被検体に、このような被検体を治療するのに有効な量の本発明の組成物を投与する工程を含む。
一形態において、本発明は、喘息を有する被検体の治療方法を提供する。本発明のこの形態に係る方法は、喘息を有する被検体に、このような被検体を治療するのに有効な量の本発明の組成物、および、抗喘息治療剤を投与する工程を含む。
一形態において、本発明は、被検体において、喘息を治療する医薬品を製造するための、本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチドの使用を提供する。
一形態において、本発明は、喘息の治療に有用な組成物を提供する。この形態に係る組成物は、本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチド、および、喘息治療薬を含む。
一形態において、本発明は、喘息の治療に有用な組成物を提供する。この形態に係る組成物は、本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチド、および、喘息治療薬を含む。
本明細書で用いられる「喘息」は、炎症および気道狭窄、ならびに、気道における吸入された物質への反応性の増加を特徴とする呼吸器系の障害を意味する。喘息は、それ単独ではなく、アトピー性の状態、または、アレルギー状態に伴って生じることが多い。喘息の症状としては、気道閉塞による再発性の喘鳴、息切れ、胸部圧迫感および咳が挙げられる。喘息に伴う気道炎症は、気道上皮の剥脱、基底膜下でのコラーゲン沈着、浮腫、肥満細胞の活性化、好中球、好酸球およびリンパ球などの炎症性細胞の浸潤のような多数の生理学的な変化を観察することによって検出することができる。喘息患者は、気道炎症の結果として、気道過敏症、空気流が限定されること、呼吸器の症状、および、病気の慢性化にかかることが多い。空気流の限定としては、急性の気管支収縮、気道浮腫、粘液栓の形成、および、気道リモデリングが挙げられ、それにより気管支閉塞を引き起こすことが多いことを特徴とする。喘息の一部の例においては、基底膜下で線維症が発生して、肺機能に持続的な異常をもたらす可能性がある。
過去数年間にわたる調査では、喘息は、炎症性細胞、媒介物質、ならびに、気道に存在するその他の細胞および組織間の複雑な相互作用の結果生じる可能性が高いことが明らかになった。肥満細胞、好酸球、上皮細胞、マクロファージ、および、活性化T細胞はいずれも、喘息に関連する炎症性のプロセスにおいて重要な役割を果たす。Djukanovic R等(1990)Am Rev Respir Dis 142:434〜457。これらの細胞は、局所組織に直接的または間接的に作用することができる予め形成された、および、新たに合成された媒介物質の分泌によって気道の機能に影響を与えることができると考えられる。また、Tリンパ球(Th2)の部分集団は、選択的なサイトカインを放出することによって気道におけるアレルギー性炎症の調節に重要な役割を果たし、病気の慢性化を確立することも認識されている。Robinson DS等(1992)N Engl J Med 326:298〜304。
喘息は、発達中の様々な段階で発生する複合的な障害であり、急性、亜急性または慢性のように症状の程度に基づいて分類することができる。急性の炎症性応答は、初期に細胞が気道へ補充されることに関連する。亜急性の炎症性応答は、細胞の補充、それに加えて、より持続的な炎症パターンを引き起こす常在する細胞の活性化に関与する。慢性の炎症性応答は、持続的なレベルの細胞損傷、および、進行中の修復プロセスを特徴とし、気道内で永続的な異常を引き起こす可能性がある。
「喘息を有する被検体」は、炎症および気道狭窄、ならびに、気道における吸入用薬剤への反応性の増加を特徴とする呼吸器系の障害を有する被検体である。喘息の開始に関連する因子としては、これらに限定されないが、アレルゲン、冷温、運動、ウイルス感染、および、SO2が挙げられる。
上述したように、喘息は、Th2型の免疫応答に関連する可能性があり、このTh2型の免疫応答は、少なくとも部分的にTh2サイトカインIL−4、および、IL−5、加えてIgEに切り換える抗体のアイソタイプを特徴とする。Th1およびTh2型の免疫応答は、相互に逆調節性であることによって、免疫応答をTh1型の免疫応答にそらして、アレルギーを含むTh2型の免疫応答を予防または改善することができる。従って、本発明の修飾オリゴヌクレオチド類似体は、免疫応答をそらすTh1型の免疫応答にことができるため、それ自身、喘息を有する被検体を治療するのに有用である。その代わりに、または、それに加えて、本発明の修飾オリゴヌクレオチド類似体は、アレルゲンと組み合わせて、喘息を有する被検体を治療するのに用いることができる。
また本発明の免疫刺激性組成物は、喘息治療薬と共に投与してもよい。従来の喘息の治療または予防方法は、抗アレルギー治療薬(上述の)、および、吸入用薬剤などの多数のその他の物質の使用が必要であった。
喘息の治療のための薬物療法は、一般的に、2つのカテゴリー、すなわち迅速に緩和するタイプの薬物療法、および、長期にわたりコントロールするタイプの薬物療法に分けられる。長期にわたりコントロールするタイプの薬物療法は、持続性の喘息のコントロールを達成し、それを維持するために喘息の患者に毎日施される。長期にわたりコントロールするタイプの薬物療法としては、抗炎症薬、例えばコルチコステロイド、クロモリンナトリウム、および、ネドクロミル;持続型の気管支拡張剤、例えば持続型のβ2−アゴニスト、および、メチルキサンチン;および、ロイコトリエン調節剤が挙げられる。迅速に緩和するタイプの薬物療法としては、短時間作用型のβ2アゴニスト、抗コリン作動薬、および、全身性コルチコステロイドが挙げられる。これらの薬物それぞれに伴う多くの副作用があり、喘息を予防すること、または、喘息を完全に治療することができる薬物は、単独でも、または、組み合わせても存在しない。
喘息治療薬としては、これらに限定されないが、PDE−4阻害剤、気管支拡張剤/ベータ−2アゴニスト、K+チャネル開口薬、VLA−4アンタゴニスト、ニューロキンアンタゴニスト、トロンボキサンA2(TXA2)合成阻害剤、キサンチン、アラキドン酸アンタゴニスト、5リポキシゲナーゼ阻害剤、TXA2受容体アンタゴニスト、TXA2アンタゴニスト、5−リポキシ活性化タンパク質の阻害剤、および、プロテアーゼ阻害剤が挙げられる。
気管支拡張剤/β2アゴニストは、気管支拡張または平滑筋の弛緩を引き起こす化合物クラスである。気管支拡張剤/β2アゴニストとしては、これらに限定されないが、サルメテロール、サルブタモール、アルブテロール、テルブタリン、D2522/ホルモテロール、フェノテロール、ビトルテロール、ピルブテロール(pirbuerol)メチルキサンチン、および、オルシプリナリンが挙げられる。持続型β2アゴニスト、および、気管支拡張剤は、抗炎症性の治療に加えて、長期間の症状の予防に用いられる化合物である。持続型β2アゴニストとしては、これらに限定されないが、サルメテロール、および、アルブテロールが挙げられる。これらの化合物は、コルチコステロイドと併用されることが一般的であり、炎症の治療薬と併用することなく用いられることは通常ない。これらは、頻脈、骨格筋の震え、低カリウム血症、および、過量でのQTc間隔の延長のような副作用を伴うことがあった。
例えばテオフィリンなどのメチルキサンチンは、症状の長期間のコントロールおよび予防に用いられてきた。これらの化合物は、ホスホジエステラーゼ阻害によって生じる気管支拡張を引き起こし、さらにアデノシン拮抗作用によって生じる可能性もある。これらのタイプの化合物が有する具体的な問題は、用量依存性の急性毒性である。結果として、代謝クリアランスの個人差から生じる毒性、および、制限された治療域を考慮するために、血清濃度を定期的にモニターしなければならない。副作用としては、頻脈、頻拍性不整脈、吐き気、および、嘔吐、中枢神経系の刺激、頭痛、発作、吐血、高血糖症、および、低カリウム血症が挙げられる。短時間作用型のβ2アゴニストとしては、これらに限定されないが、アルブテロール、ビトルテロール、ピルブテロール、および、テルブタリンが挙げられる。短時間作用型のβ2アゴニスト投与に伴う有害作用のいくつかとしては、頻脈、骨格筋の震え、低カリウム血症、乳酸の増加、頭痛、および、高血糖症が挙げられる。
クロモリンナトリウムおよびネドクロミルは、主として、運動またはアレルゲンに起因するアレルギーの症状から生じる喘息の症状を予防するために長期にわたりコントロールするタイプの薬物療法として用いられる。これらの化合物は、塩素チャネルの機能を妨害することによってアレルゲンに対する初期および後期の反応をブロックすると考えられる。さらにこれらは、肥満細胞膜も安定化させ、媒介物質の活性化、および、それらのイノシネオフィル(inosineophil)および上皮細胞からの放出を阻害する。最大の効果を達成するには、一般的に4〜6週間の投与が必要である。
抗コリン作用薬は、一般的に、急性気管支痙攣の軽減に用いられる。これらの化合物は、ムスカリン様コリン作用性受容体の競合阻害によって機能すると考えられる。抗コリン作用薬としては、これらに限定されないが、臭化イプラトロピウムが挙げられる。これらの化合物は、コリン作用が介在する気管支痙攣のみに拮抗し、抗原に対するいかなる反応も改変することはない。副作用としては、口の渇き、および、呼吸分泌物、人によっては喘鳴の増加が挙げられ、さらに、目に噴霧された場合は視力障害もある。
また本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、気道リモデリングを治療するのにも有用な可能性がある。気道リモデリングは、気道における平滑筋細胞増殖および/または粘膜下の肥厚によって生じ、最終的には気道狭窄を引き起こし、空気流が制限される。本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、さらなるリモデリングを予防することが可能であり、場合によってはリモデリングプロセスによって生じる組織形成をさらに減少させることもあり得る。
一形態において、本発明は、免疫系の不全を有する被検体の治療方法を提供する。本発明のこの形態に係る方法は、被検体に、被検体を治療するのに有効な量の本発明の組成物を投与する工程を含む。本明細書で用いられる「免疫系の不全」は、被検体の免疫系が通常の能力で機能しない病気または障害、または、被検体の免疫応答を高めること、例えば被検体の腫瘍もしくは癌または感染を除去することが有効性を示す可能性がある病気または障害を意味する。免疫不全を有する被検体としては、後天性免疫不全を有する被検体、加えて、先天性免疫不全を有する被検体が挙げられる。後天性免疫不全を有する被検体としては、これらに限定されないが、慢性炎症性の状態を有する被検体、慢性腎機能不全または腎不全を有する被検体、感染を有する被検体、癌を有する被検体、免疫抑制薬を摂取している被検体、その他の免疫抑制治療を受けている被検体、および、栄養不良の被検体が挙げられる。一実施態様において、上記被検体は、抑制されたCD4+T細胞群を有する。一実施態様において、上記被検体は、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)に感染しているか、または、後天性免疫不全症候群(AIDS)を有する。従って、本発明のこの形態に係る方法は、より強力な免疫応答が必要な被検体において免疫応答を高める、または、免疫応答を発生させる能力を高める方法を提供する。
また本発明の組成物は、非核酸アジュバントと共に投与してもよい。非核酸アジュバントとは、本明細書において説明されるAクラスの修飾オリゴヌクレオチド以外の、体液性および/または細胞性免疫応答を刺激することができるあらゆる分子または化合物である。非核酸アジュバントとしては、例えば、持続作用をもたらすアジュバント、 免疫を刺激するアジュバント、および、持続作用をもたらし免疫系を刺激するアジュバントが挙げられる。
またAクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、粘膜アジュバントとしても有用である。これまでに、全身性および粘膜の免疫はいずれも、CpGオリゴヌクレオチドの粘膜送達により誘導されることが発見されている。従って、本オリゴヌクレオチドは、その他の粘膜アジュバントと組み合わせて投与してもよい。
また免疫応答は、Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドと共に、サイトカインの共投与または共直線性の発現(Bueler & Mulligan,1996;Chow等,1997;Geissler等,1997;Iwasaki等,1997;Kim等,1997)、または、共刺激分子、例えばB7(Iwasaki等,1997;Tsuji等,1997)によって誘導または増大させることができる。サイトカインという用語は、ナノ〜ピコモル濃度で体液性の調節因子として作用し、正常な状態または病的な状態のいずれにおいても個体の細胞および組織の機能的な活性を調節する可溶性タンパク質およびペプチドの多様な群の一般名として用いられる。このようなタンパク質はまた、細胞間の相互作用にも直接介在しており、細胞外の環境で起こるプロセスを調節する。サイトカインの例としては、これらに限定されないが、IP−10、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−15、IL−18、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、IFN−α、腫瘍壊死因子(TNF)、TGF−β、FLT−3リガンド、および、CD40リガンドが挙げられる。サイトカインに加えて、CpGオリゴヌクレオチドを、所定のサイトカインに対する抗体、例えば抗IL−10および抗TGF−β、加えてCox阻害剤、すなわちCOX−1およびCOX−2阻害剤と組み合わせて用いてもよい。
また本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、樹状細胞の生存、分化、活性化および成熟の改善にも有用である。本免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、樹状細胞の細胞生存、分化、活性化および成熟を促進する特有の能力を有する。
また本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチドは、ナチュラルキラー細胞の溶解作用、および、抗体依存性細胞障害(ADCC)も増加させる。ADCCは、Aクラスの修飾オリゴヌクレオチドを、癌細胞のような細胞標的に特異的な抗体と併用して行うことができる。このような抗体と共にAクラスの修飾オリゴヌクレオチドが被検体に投与されると、腫瘍細胞を殺すように被検体の免疫系が誘導される。ADCC法において有用な抗体としては、体内の細胞と相互作用する抗体が挙げられる。このような細胞標的に特異的な抗体の多くは当業界において説明されており、多くは市販されている。一実施態様において、このような抗体は、IgG抗体である。
特定の形態において、本発明は、エピトープ拡散を強化する方法を提供する。本明細書で用いられる「エピトープ拡散(epitope spreading)」は、最初に目標となった自己または外来タンパク質に対して向けられた優勢なエピトープに特異的な免疫応答からの、そのタンパク質(分子内の拡散)において、または、その他のタンパク質(分子間の拡散)において亜優占種の、および/または潜在的なエピトープへの、エピトープの特異性の多様化を意味する。エピトープ拡散によって、複数のエピトープ特異的な免疫応答が起こる。
このような免疫応答は、初期の拡大相(この相は、自己免疫疾患のような場合は有害にもなり得るし、または、ワクチン接種のような場合は有益になり得る)、および、免疫系をホメオスタシスに戻し、記憶を生成する後期のダウンレギュレート相からなる。エピトープ拡散は、どちらの相においても重要な要素である可能性がある。腫瘍の場合におけるエピトープ拡散を強化すれば、被検体の免疫系において、最初のうちは元の治療手順に応答して免疫系によって認識されない標的エピトープを追って決定することが可能になり、同時に、腫瘍群中の変異体が逸散する可能性を低くするため、病気の進行に影響を与えることができる。
本発明のオリゴヌクレオチドは、癌、ウイルスおよび細菌感染、ならびにアレルギーのような治療上有益な適応症におけるエピトープ拡散を促進するのに有用であり得る。一実施態様において、本方法は、被検体に、抗原およびアジュバントを含むワクチンを投与する工程、および、続いて、被検体に、少なくとも2種の用量の本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチドを、複数のエピトープ特異的な免疫応答を誘導するのに有効な量で投与することを含む。一実施態様において、本方法は、被検体に、腫瘍抗原およびアジュバントを含むワクチンを投与する工程、および、続いて、被検体に、少なくとも2種の用量の本発明のAクラスの修飾オリゴヌクレオチドを、複数のエピトープ特異的な免疫応答を誘導するのに有効な量で投与することを含む。一実施態様において、本方法は、被検体において免疫系における抗原曝露が生じる治療手順を適用すること、続いて、複数のエピトープ特異的な免疫応答を誘導するために、すなわちエピトープ拡散を促進するために、本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドを少なくとも2回投与することを含む。様々な実施態様において、このような治療手順は、外科手術、放射線、化学療法、その他の癌治療薬、ワクチン、または、癌ワクチンである。
このような治療手順は、それに続く免疫刺激剤による治療に加えて、免疫刺激剤を併用して実施してもよい。例えば治療手順がワクチンの場合、ワクチンは、アジュバントと共に投与してもよい。ワクチンとアジュバントとの組み合わせは、混合物であってもよいし、または、投与を分けてもよく、すなわち注射によって(すなわち、同じドレナージ領域に)投与してもよい。投与は、必ずしも同時に行わななくてもよい。異なる時間に注射で投与される場合、そのタイミングは、アジュバントの予備的な注射、それに続くワクチン製剤の注射に関連する可能性がある。
治療手順が実施された後、免疫刺激剤による単剤療法が開始される。最適化された頻度、持続時間および投与部位は標的およびその他の因子に依存すると予想されるが、例えば、6ヶ月〜2年の期間中に1月に1回〜2回の投与であり得る。あるいは、毎日、毎週、または、2週間に1回のペースで投与してもよいし、または、1日、1週または1月の間に複数回投与してもよい。場合によっては、投与期間は治療の長さに依存する場合があり、例えば、1週間、1ヶ月後に終了してもよいし、1年後、または、数年後に終了してもよい。その他の例において、単剤療法は、例えば点滴静注を用いて連続的に行ってもよい。免疫刺激剤は、標的に共通のドレナージ領域に投与してもよい。
治療での使用の際には、化合物の活性、投与方式、免疫化の目的(すなわち、予防目的か、または、治療目的か)、障害の性質および重症度、被検体の年齢および体重に応じて様々な用量が被検体の治療に必要な場合がある。所定用量の投与は、別個になった用量単位の形態での1回の投与、または、数回のより少量の用量単位のいずれで行ってもよい。抗原特異的な免疫応答を高めるためには、週単位または月単位で間隔を置いた特定のインターバルで複数回の用量を投与することが一般的である。
本明細書で示された教示と合わせて、特定の被検体を治療するために、様々な活性な化合物から選択すること、および、効力、相対的生物学的利用率、患者の体重、有害な副作用の重症度、および、好ましい投与様式のような要因を検討することによって、実質的な毒性を引き起こさず、さらに極めて有効な予防または治療的処置の処方計画を計画することができる。あらゆる特定の適用に対する有効量は、治療される病気または状態、投与される具体的な治療剤、被検体の大きさ、または、病気または状態の重症度のような要因に応じて様々であってよい。当業者であれば、特定の核酸および/またはその他の治療剤の有効量を、余計な実験を行うことなく経験的に決定することができる。
本明細書において説明される化合物の被検体への用量は、典型的には約0.1μg〜10,000mg、より典型的には約1μg/日〜8000mg、最も典型的には約10μg〜100μgの範囲である。被検体の体重に関して述べれば、典型的な投与量は、約0.1μg〜20mg/kg/日、より典型的には約1〜10mg/kg/日、最も典型的には約1〜5mg/kg/日の範囲である。
核酸および/またはその他の化合物を含む本医薬組成物は、薬物療法を施すためのあらゆる適切な経路によって投与することができる。様々な投与経路が利用可能である。当然ながら、選択された具体的な様式は、具体的な物質または選択された物質、治療される具体的な状態、および、治療効果に必要な用量に依存すると予想される。一般的に言えば、本発明の方法は、医学上許容できるどのような投与様式を用いて実施してもよく、すなわちこの投与様式とは、臨床的に許容できない有害作用を引き起こすことなく有効なレベルの免疫応答を生じるあらゆる様式を意味する。本明細書において、好ましい投与様式を考察する。治療に使用するために、核酸および/またはその他の治療剤の有効量は、望ましい表面(例えば粘膜、全身)に上記物質が送達されるあらゆる様式で被検体に投与することができる。
本発明の医薬組成物の投与は、当業者既知のどのような手段で達成してもよい。投与経路としては、これらに限定されないが、経口、非経口、静脈内、筋肉内、腹膜内、鼻腔内、舌下、気管内、吸入法、皮下、眼、膣および直腸投与が挙げられる。喘息またはアレルギーを治療または予防するためには、このような化合物は、好ましくは、吸入、摂取によって、または、全身性の経路によって投与してもよい。全身性の経路としては、経口および非経口の経路が挙げられる。いくつかの実施態様において、吸入による薬物療法は、主として喘息患者において炎症部位である肺へ直接送達されるために好ましい。吸入法による投与には、数種のタイプの装置が定期的に用いられる。これらのタイプの装置としては、定量吸入器(MDI)、吸気作動式MDI、乾燥粉末吸入器(DPI)、MDIおよびネブライザーと組み合わせたスペーサー/ホールディングチャンバーが挙げられる。
本発明の治療剤は、ベクターを用いて、特定の組織、細胞型もしくは免疫系へ、またはそのの両方に送達することができる。「ベクター」とは、最も広い意味で、本組成物の標的細胞への移動を容易にすることができるあらゆる媒体のことである。ベクターは、一般的に、免疫刺激性の核酸、抗体、抗原および/または障害に特異的な医薬品を、ベクター非存在下で生じ得る分解の程度に比べて低い分解の程度で標的細胞に輸送する。
一般的に、本発明において有用なベクターは、2つのクラス:生物学的なベクター、および、化学的/物理的なベクターに分類される。生物学的なベクター、および、化学的/物理的なベクターは、本発明の治療剤の送達および/または取り込みにおいて有用である。
ほとんどの生物学的なベクターは、核酸の送達に用いられ、これは、免疫刺激性の核酸そのもの、または、免疫刺激性の核酸を含む治療剤の送達において最も適切であると思われる。
本明細書において考察される生物学的なベクターに加えて、化学的/物理的なベクターを用いて、免疫刺激性の核酸、抗体、抗原、および、障害に特異的な医薬品などの治療剤を送達してもよい。本明細書で用いられるように、「化学的/物理的なベクター」とは、核酸および/またはその他の医薬品を運搬することができる、細菌学的な源またはウイルス源から誘導されたもの以外の天然または合成分子を意味する。
本発明の好ましい化学的/物理的なベクターは、コロイド分散系である。コロイド分散系としては、水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、および、リポソームなどの脂質ベースの系が挙げられる。本発明の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームは、インビボまたはインビトロでの送達ベクターとして有用な人工膜装置である。サイズが0.2〜4.0μmの範囲である一枚膜リポソーム(large unilamellar vesicle)(LUV)が、大きい高分子を封入することができることが示されている。その水性の内部に、RNA、DNAおよび無傷のビリオンを封入して、それらを生物学的に活性な形態で細胞に送達することができる。Fraley等(1981)Trends Biochem Sci 6:77。
リポソームをモノクローナル抗体、糖、グリコリピドまたはタンパク質のような特異的なリガンドにカップリングすることによって、リポソームを特定の組織に標的化することができる。リポソームを免疫細胞に標的化するのに有用な可能性があるリガンドとしては、これらに限定されないが、免疫細胞に特異的な受容体と相互作用する分子の完全体または断片、および、抗体のような、免疫細胞の細胞表面のマーカーと相互作用する分子が挙げられる。このようなリガンドは、当業者周知の結合分析によって容易に同定することができる。さらに他の実施態様において、このようなリポソームは、リポソームを上記で考察された免疫療法のための抗体の1種にカップリングすることによって癌に標的化することもできる。加えて、上記ベクターを核を標的とするペプチドにカップリングして、ベクターを宿主細胞の細胞核に向かわせることもできる。
トランスフェクションのための脂質調合物が、キアゲン(QIAGEN)から市販されており、例えば、EFFECTENETM(特殊なDNA濃縮エンハンサーを有する非リポソーム性の脂質)、および、SUPERFECTTM(新規の活性なデンドリマー技術)がある。
リポソームは、ギブコ・BRL(Gibco BRL)から例えばLIPOFECTINTM、および、LIPOFECTACETMとして市販されており、これらは、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)−プロピル]−N、N、N−トリメチルアンモニウム塩化物(DOTMA)、および、ジメチルジオクタデシルアンモニウム臭化物(DDAB)のようなカチオン脂質の形態から形成される。リポソームの製造方法は当業界周知であり、多くの出版物で説明されている。またリポソームは、Gregoriadis G(1985)Trends Biotechnol 3:235〜241でも総論されている。
所定のカチオン脂質、例えば、具体的にはN−[1−(2,3ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチル硫酸塩(DOTAP)は、本発明の修飾オリゴヌクレオチド類似体と組み合わせると特に有利であるとみられる。
一実施態様において、このような媒体は、哺乳動物であるレシピエントへの埋め込みまたは投与に適している生体適合性の微粒子またはインプラントである。この方法に従って有用な生浸食性の(bioerodible)インプラントの典型例は、PCT国際出願第PCT/US/03307号(公報番号WO95/24929、名称は「Polymeric Gene Delivery System」)で説明されているPCT/US/0307は、適切なプロモーターの制御下で外因性遺伝子を包含させるための、生体適合性の、好ましくは生分解性高分子マトリックスを説明している。このような高分子マトリックスを用いて、被検体内での治療剤の持続放出を達成することができる。
好ましくは、高分子マトリックスは、マイクロスフェア(ここで核酸および/またはその他の治療剤は、固体の高分子マトリックス内全体に分散される)、または、マイクロカプセル(ここで核酸および/またはその他の治療剤は、高分子シェルのコア内に保存される)のような微粒子の形態である。治療剤を包含させるためのその他の高分子マトリックスの形態としては、フィルム、コーティング、ゲル、インプラント、および、ステントが挙げられる。高分子マトリックス装置のサイズおよび組成は、マトリックスが導入される組織中で好都合な解離動態が生じるように選択される。高分子マトリックスのサイズはさらに、用いられる送達方法に従って選択され、このような送達方法は、典型的には、組織への注射、または、鼻および/または肺の領域へのエアロゾルによる懸濁液の投与である。好ましくは、エアロゾル経路が用いられる場合、高分子マトリックス、ならびに核酸および/またはその他の治療剤は、界面活性剤である媒体に包含される。高分子マトリックスの組成を、好都合な分解速度を有し、さらに、生体接着性の材料から形成されるように選択することによって、マトリックスが傷害を受けた鼻および/または肺の表面に投与される場合に移動の有効性が高くすることができる。またマトリックスの組成は、崩壊するのではなく、長期間にわたり拡散によって放出されるように選択してもよい。いくつかの好ましい実施態様において、本核酸は、インプラントによって被検体に投与され、一方その他の治療剤は短時間で投与される。経口送達または粘膜への送達のような送達に適した生体適合性のマイクロスフェアが、Chickering等(1996)Biotech Bioeng 52:96〜101、および、Mathiowitz E等(1997)Nature 386:410〜414、および、PCT特許出願WO97/03702で開示されている。
非生分解性および生分解性高分子マトリックスのどちらを用いても、本核酸および/またはその他の治療剤を被検体に送達することができる。好ましくは、生分解性のマトリックスである。このような高分子は、天然高分子でもよいし、または、合成高分子でもよい。このような高分子は、望ましい放出がなされる期間に基づいて選択され、一般的に数時間から数年の規模であり、または、それより長くてもよい。典型的には、数時間から3〜12ヶ月の範囲の期間にわたる放出が、本核酸物質にとって最も望ましい。このような高分子は、任意に、水中でその重量の約90%まで吸収することができるヒドロゲルの形態でもよいし、さらに、任意に、多価イオン、またはその他のポリマーで架橋されていてもよい。
特に興味深い生体接着性ポリマーとしては、H.S.Sawhney,C.P.PathakおよびJ.A.Hubell in Macromolecules,(1993)26:581〜587(その教示は、本明細書に包含される)で説明されている生浸食性のヒドロゲルが挙げられる。このようなものとしては、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリ(エチルメタクリラート)、ポリ(ブチルメタクリラート)、ポリ(イソブチルメタクリラート)、ポリ(ヘキシルメタクリラート)、ポリ(イソデシルメタクリラート)、ポリ(ラウリルメタクリラート)、ポリ(フェニルメタクリラート)、ポリ(メチルアクリラート)、ポリ(イソプロピルアクリラート)、ポリ(イソブチルアクリラート)、および、ポリ(オクタデシルアクリラート)が挙げられる。
治療剤が核酸である場合、凝集剤の使用も望ましい場合がある。また凝集剤は、単独で用いてもよいし、または、生物学的または化学的/物理的なベクターと組み合わせて用いてもよい。本明細書で用いられる「凝集剤」は、核酸の負電荷を中和することによって、核酸を微細な顆粒に圧縮できるようにする物質を意味し、例えばヒストンである。核酸を圧縮すると、標的細胞による核酸の取り込みが容易になる。凝集剤は、単独で用いてもよく、すなわち細胞により効率的に取り込まれるような形態で核酸を送達することができ、または、より好ましくは、1種またはそれより多くの上述のベクターと組み合わせて用いてもよい。
核酸の取り込みを容易にするのに用いることができるその他の典型的な組成物としては、リン酸カルシウム、およびその他の細胞内輸送の化学的媒介物質、マイクロインジェクション用の組成物、エレクトロポレーションおよび相同組換え用の組成物(例えば、標的細胞の染色体内の予め選択された位置に核酸を統合するための組成物)が挙げられる。
このような化合物は、単独で(例えば、塩類溶液または緩衝液中で)投与してもよいし、または、当業界既知のあらゆる運搬手段を用いて投与してもよい。例えば以下の運搬手段が説明されている:渦巻型の手段(cochleate)(Gould−Fogerite等,1994,1996);Emulsomes(Vancott等,1998,Lowell等,1997);ISCOM(Mowat等,1993,Carlsson等,1991,Hu et.,1998,Morein等,1999);リポソーム(Childers等,1999,Michalek等,1989,1992,de Haan 1995a,1995b);生細菌のベクター(例えば、サルモネラ、大腸菌(Escherichia coli)、カルメット−ゲラン杆菌(Bacillus Calmette−Guerin)、シゲラ、乳酸菌(Lactobacillus))(Hone等,1996,Pouwels等,1998,Chatfield等,1993,Stover等,1991,Nugent等,1998);非ウイルスベクター(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、単純ヘルペス)(Gallichan等,1993,1995,Moss等,1996,Nugent等,1998,Flexner等,1988,Morrow等,1999);マイクロスフェア(Gupta等,1998,Jones等,1996,Maloy等,1994,Moore等,1995,O’Hagan等,1994,Eldridge等,1989);核酸ワクチン(Fynan等,1993,Kuklin等,1997,Sasaki等,1998,Okada等,1997,Ishii等,1997);ポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース、キトサン)(Hamajima等,1998,Jabbal−Gill等,1998);ポリマーリング(polymer ring)(Wyatt等,1998);プロテオソーム(Vancott等,1998,Lowell等,1988,1996,1997);フッ化ナトリウム(Hashi等,1998);トランスジェニック植物(Tacket等,1998,Mason等,1998,Haq等,1995);ビロゾーム(virosome)(Gluck等,1992,Mengiardi等,1995,Cryz等,1998);および、ウイルス様粒子(Jiang等,1999,Leibl等,1998)。
本発明の調合物は、製薬上許容できる溶液の形態で投与され、このような溶液には、慣例的手順で、製薬上許容できるの濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性のキャリアー、アジュバント、および、任意にその他の治療用成分を含ませることができる。
製薬上許容できるキャリアーという用語は、ヒトまたはその他の脊椎動物に投与するのに適した1種またはそれより多くの適合性の固形または液状充填剤、希釈剤、または、カプセル封入剤を意味する。キャリアーという用語は、活性成分の適用が容易になるようにそれらが混合される、天然または合成の有機または無機物質成分を意味する。また本医薬組成物のコンポーネントは、望ましい薬剤の効率を実質的に損なう可能性がある相互作用が起こらないように本発明の化合物と混合してもよいし、これらのコンポーネントを互いに混合してもよい。
経口投与のためには、上記化合物(すなわち、核酸、抗原、抗体、および、その他の治療剤)は、活性な化合物と当業界周知の製薬上許容できるキャリアーとを混合することによって容易に製剤化することができる。このようなキャリアーによって、本発明の化合物を、治療しようとする被検体が経口摂取するための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化することが可能になる。経口で使用するための医薬製剤は、固形賦形剤として得ることができ、任意に、得られた混合物を粉砕して、必要に応じて適切な助剤を添加した後に顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠コアを形成してもよい。適切な賦形剤は、具体的には、糖類のような充填剤、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、または、ソルビトール;セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または、ポリビニルピロリドン(PVP)である。必要に応じて崩壊剤を添加してもよく、このような崩壊剤としては、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、または、アルギン酸もしくはそれらの塩、例えばアルギン酸ナトリウムが挙げられる。任意に、経口製剤はまた、製剤中の酸性状態を中和するための塩類溶液または緩衝液中で製剤化してもよいし、または、キャリアーをまったく用いないで投与してもよい。
糖衣錠コアには、適切なコーティングが提供される。この目的のために、濃縮した糖溶液を用いてもよく、このような濃縮した糖溶液は、任意に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポール(Carbopol)ゲル、ポリエチレングリコール、および/または、二酸化チタン、ラッカー液、および、適切な有機溶媒または溶媒混合物を含んでいてもよい。識別するために、または、異なる活性な化合物の用量の組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠のコーティングに染料または顔料を添加してもよい。
経口で用いることができる医薬製剤としては、ゼラチンで作製されたプッシュフィット式カプセル、加えて、ゼラチン、ならびに、グリセロールまたはソルビトールのような可塑剤で作製された軟質の封入カプセルが挙げられる。プッシュフィット式カプセルは、活性成分を、充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えばスターチ、および/または、潤滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、および、任意に安定剤と混合された形態で含んでいてもよい。ソフトカプセル中において、活性な化合物は、脂肪油、流動パラフィンまたは、液状のポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解または懸濁させてあってもよい。それに加えて安定剤を添加してもよい。また経口投与用に製剤化されたマイクロスフェアを用いてもよい。このようなマイクロスフェアは、当業界においてよく定義されている。経口投与のための製剤はいずれも、このような投与法に適した投与量で用いられる必要がある。
口腔投与のためには、本組成物は、従来の方式で製剤化された錠剤またはロゼンジの形態をとっていてもよい。
吸入法による投与の場合、本発明に従って使用するための上記化合物は、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはその他の適切なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾルスプレーを噴霧する形態で送達することが都合のよい形態であり得る。加圧エアロゾルの場合、定量を送達するためのバルブを設けることによって投与単位を決定してもよい。吸入器または吹き付け器に使用するための、例えばゼラチン製のカプセルおよびカートリッジは、上記化合物、および、適切な粉末ベース(例えばラクトースまたはスターチ)の粉末混合物を含ませて製剤化してもよい。
吸入法による投与の場合、本発明に従って使用するための上記化合物は、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはその他の適切なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾルスプレーを噴霧する形態で送達することが都合のよい形態であり得る。加圧エアロゾルの場合、定量を送達するためのバルブを設けることによって投与単位を決定してもよい。吸入器または吹き付け器に使用するための、例えばゼラチン製のカプセルおよびカートリッジは、上記化合物、および、適切な粉末ベース(例えばラクトースまたはスターチ)の粉末混合物を含ませて製剤化してもよい。
上記化合物は、それらを全身に送達することが望ましい場合、注射、例えば大量注射または持続点滴による非経口投与のために製剤化してもよい。注射用製剤は、1回投与量の場合は例えばアンプルの形態で提供してもよいし、または、保存剤を添加した複数回投与用の容器の形態で提供してもよい。本組成物は、油性または水性媒体中の懸濁液、溶液またはエマルジョンのような形態をとることもでき、さらに、懸濁剤、安定剤および/または分散剤のような成形剤を含んでいてもよい。
非経口投与のための医薬製剤としては、水溶性の形態の活性な化合物の水溶液が挙げられる。加えて、活性な化合物の懸濁液は、適切な油性懸濁注射液として製造してもよい。適切な親油性溶媒または媒体としては、脂肪油、例えばゴマ油、または、合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル、もしくは、トリグリセリド、または、リポソームが挙げられる。水性懸濁注射液は、懸濁液の粘度を高める物質を含んでいてもよく、このような物質としては、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、または、デキストランが挙げられる。任意に、懸濁液はまた、適切な安定剤、または、上記化合物の溶解性を高める物質を含んでいてもよく、それにより高度に濃縮された溶液の製造が可能になる。
あるいは、活性な化合物は、使用前に適切な媒体(例えば滅菌パイロジェンフリー水)と共に構成するために、粉末形態であってもよい。
また上記化合物は、直腸または膣用の組成物として製剤化してもよく、このような製剤としては、例えば、カカオバターまたはその他のグリセリドのような従来の坐剤基剤を含む坐剤または保留浣腸が挙げられる。
また上記化合物は、直腸または膣用の組成物として製剤化してもよく、このような製剤としては、例えば、カカオバターまたはその他のグリセリドのような従来の坐剤基剤を含む坐剤または保留浣腸が挙げられる。
これまで説明した製剤に加えて、上記化合物はまた、デポ製剤として製剤化してもよい。このような持続型製剤は、適切な高分子材料または疎水性材料(例えば、許容できる油中のエマルジョンとして)、または、イオン交換樹脂を用いて製剤化してもよいし、または、難溶性の誘導体(例えば難溶性の塩)として製剤化してもよい。
また本医薬組成物は、適切な固相またはゲル相キャリアー、または、賦形剤を含んでもよい。このようなキャリアーまたは賦形剤の例としては、これらに限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖類、スターチ、セルロース誘導体、ゼラチン、および、ポリエチレングリコールのようなポリマーが挙げられる。
適切な液状または固形医薬製剤の形態は、例えば、吸入のための水溶液または食塩水の形態、マイクロカプセル化の形態、渦巻(encochleated)の形態、顕微鏡レベルの金粒子上に被覆された形態、リポソーム中に内包された形態、噴霧された形態、エアロゾルの形態、皮膚に埋め込むためのペレットの形態、または、皮膚を引っ掻くために鋭利な物体上に乾燥させた形態である。また本医薬組成物は、顆粒、粉末、錠剤、コーティング錠剤、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、エマルジョン、懸濁液、クリーム、ドロップ、または、活性な化合物を長期にわたって放出させる製剤の形態が挙げられ、その製造において、賦形剤および添加剤、および/または、助剤、例えば崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、潤滑剤、矯味矯臭薬剤、甘味料、または、可溶化剤が、上述したように習慣的に用いられる。本医薬組成物は、様々な薬物送達システムへの使用に適している。薬物送達方法の簡単な総論としては、Langer R(1990)Science 249:1527〜1533を参照(参照することにより本明細書に含まれる)。
本核酸、ならびに任意にその他の治療剤および/または抗原は、そのままの(純粋な)形態で投与してもよいし、または、製薬上許容できる塩の形態で投与してもよい。医薬品で用いられる場合、このような塩は製薬上許容できるものと予想されるが、製薬上許容できる塩以外のものも、それらの製薬上許容できる塩を製造するために都合よく用いられる可能性がある。このような塩としては、これらに限定されないが、以下の酸から製造された塩が挙げられる:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、および、ベンゼンスルホン酸。また、このような塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類塩として製造することもでき、例えば、カルボン酸基のナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩として製造することもできる。
適切な緩衝剤としては、酢酸および塩(1〜2%w/v);クエン酸および塩(1〜3%w/v);ホウ酸および塩(0.5〜2.5%w/v);および、リン酸および塩(0.8〜2%w/v)が挙げられる。適切な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%w/v);クロロブタノール(0.3〜0.9%w/v);パラベン(0.01〜0.25%w/v)、および、チメロサール(0.004〜0.02%w/v)が挙げられる。
本組成物は、1回投与量で提供されることが都合がよい場合があり、これは、薬学分野において周知の方法のいずれかによって製造することができる。いずれの方法も、上記化合物を、1種またはそれより多くの付属的な成分を構成するキャリアーに接触させる工程を含む。一般的に、本組成物は、上記化合物を、液状キャリアー、微粉化した固形キャリアー、または、その両方に均一かつ密接に接触させ、続いて、必要に応じて生成物を成形することによって製造される。液体の用量単位は、バイアルまたはアンプルである。固体の用量単位は、錠剤、カプセルおよび坐剤である。
その他の送達システムとしては、徐放性、遅延放出、または、持続放出型の送達システムが挙げられる。このようなシステムによって、上記化合物の繰り返しの投与を避けることができるため、被検体および医師にとっての利便性を高めることができる。多くのタイプの放出送達システムが利用可能であり、当業者既知である。これらの例としては、ポリマーベースのシステム、例えばポリ(ラクチド−グリコリド)、コポリオキサラート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、および、ポリ無水物が挙げられる。例えば米国特許第5,075,109号で、薬物を含む前述のポリマーのマイクロカプセルが説明されている。また送達システムとしてはさらに、以下のような非ポリマーシステムも挙げられる:ステロールなどの脂質、例えばコレステロール、コレステロールエステル、および、脂肪酸、または、中性脂肪、例えばモノ、ジおよびトリグリセリド;ヒドロゲル放出システム;シラスティック(Silastic)システム;ペプチドベースのシステム;ワックスコーティング;従来の結合剤および賦形剤を用いた圧縮錠剤;部分的に融合したインプラント;など。具体的には、これらに限定されないが、例えば以下が挙げられる:(a)例えば米国特許第4,452,775号、4,675,189号および5,736,152号で説明されているような、本発明の物質がマトリックス内に含まれる形態の浸食性のシステム、および、(b)例えば米国特許第3,854,480号、5,133,974号および5,407,686号で説明されているような、ポリマーから活性成分が制御された速度で透過する拡散性のシステム。加えて、ポンプベースの硬質の送達システムを用いることができ、そのうちのいくつかは、埋め込みに適応されている。
以下の実施例を用いて本発明をさらに説明するが、さらに制限するものとして解釈すべきではない。本願中で引用された全ての参考文献の全内容(例えば参考文献、発行された特許、公開された特許出願、および、同時係属中の特許出願など)は、参照により明示的に開示に含まれる。
実施例1
配列番号2のAクラスのODNの誘導体化により、インビトロでIFN−αを誘導する能力が高められたODNが生じる
配列番号2のG−リッチな混合型の主鎖オリゴヌクレオチドは、IFN−α分泌の誘導において極めて有効であり、従って、癌および感染症のような強いIFN−α応答が有益となると予想されるヒトの病気を治療するのに使用可能であることが実証された。しかしながら、このオリゴヌクレオチドの開発は、このクラスの化合物の生物物理学的な特性に関連する所定の問題、例えば凝集しやすい傾向、低い溶解性、品質管理における難点、および、PKの研究で用いられる固相抽出(SPE)によって阻まれてきた。配列番号2は、その極めて効率的なIFN−α分泌の誘導、それと同時に低いB細胞への刺激を特徴とする。そのようなものとして、このようなオリゴヌクレオチドは、Aクラスのオリゴヌクレオチドとして分類される。配列番号2は、ホスホロチオエート(G)nストレッチによって固定されたパリンドロームのホスホジエステルCpG配列(ACG ACG TCG T)からなる:
配列番号2:5’−G*G*G−G−A−C−G−A−C−G−T−C−G−T−G−G*G*G*G*G*G
(*は、ホスホロチオエートであり、−は、ホスホジエステルである)。
配列番号2のAクラスのODNの誘導体化により、インビトロでIFN−αを誘導する能力が高められたODNが生じる
配列番号2のG−リッチな混合型の主鎖オリゴヌクレオチドは、IFN−α分泌の誘導において極めて有効であり、従って、癌および感染症のような強いIFN−α応答が有益となると予想されるヒトの病気を治療するのに使用可能であることが実証された。しかしながら、このオリゴヌクレオチドの開発は、このクラスの化合物の生物物理学的な特性に関連する所定の問題、例えば凝集しやすい傾向、低い溶解性、品質管理における難点、および、PKの研究で用いられる固相抽出(SPE)によって阻まれてきた。配列番号2は、その極めて効率的なIFN−α分泌の誘導、それと同時に低いB細胞への刺激を特徴とする。そのようなものとして、このようなオリゴヌクレオチドは、Aクラスのオリゴヌクレオチドとして分類される。配列番号2は、ホスホロチオエート(G)nストレッチによって固定されたパリンドロームのホスホジエステルCpG配列(ACG ACG TCG T)からなる:
配列番号2:5’−G*G*G−G−A−C−G−A−C−G−T−C−G−T−G−G*G*G*G*G*G
(*は、ホスホロチオエートであり、−は、ホスホジエステルである)。
配列番号2の効力を有するが、このG−リッチなODNと比較してより好都合な生物物理学的な特性を有する新規のオリゴヌクレオチドを発見しようとする試みにおいて、G含量が少なく、ホスホロチオエート結合の数も少ない一連のオリゴヌクレオチドを設計し、試験した。
5’−TCGモチーフを有するODNは、通常、TLR9によって認識される。それゆえに、配列番号2の10個のヌクレオチド、ACG ACG TCG T パリンドロームを、8個のヌクレオチドからなるパリンドローム、TCG ACG TCG T(表2の配列番号3を参照)に変換した。この短くしたODNを試験するために、ヒト末梢血液の単核細胞(PBMC)を健康なドナーから単離し、平板培養し、インビトロで様々な試験およびコントロール免疫促進剤で48時間刺激した。48時間後、上清を回収し、続いてELISA分析で解析した。驚くべきことに、配列番号3のODNに存在するこの短くしたパリンドローム配列は、配列番号2の10個のヌクレオチドからなるパリンドローム全部を含む配列と比較してかなり高いIFN−α誘導を示した。配列番号3(長さが15個のヌクレオチド)によるIFN−α分泌の誘導は、配列番号2(長さが21個のヌクレオチド)による誘導(図1d)と同等であるか(図1a〜1c)、または、それよりも優れていた。また配列番号2および3も、IFN−αの誘導に関して、Bクラス(配列番号4)、および、二重のパリンドロームのCまたはPクラス(配列番号1、68、69)よりもより優れていた。
図1eは、配列番号3のTLR9を刺激する能力を示す。ヒトTLR9、または、マウスのTLR9を発現する安定してトランスフェクションされたHEK293細胞は、前述したとおりである。簡単に言えば、HEK293細胞を、エレクトロポレーションによって、それぞれTLRおよび6xNF−KB−ルシフェラーゼレポータープラスミドを発現するベクターでトランスフェクションした。加湿したインキュベーター中で、安定な形質転換体(3×104細胞/ウェル)を、ODNと共に37℃で16時間インキュベートした。各データポイントは、3連で測定された。細胞を溶解させ、ルシフェラーゼ遺伝子活性に関して分析した(パーキン・エルマー(Perkin−Elmer,ザヴェンテム,ベルギー)製のブライトライト(BriteLite)キットを用いた)。ODNを添加していない培地のレポーター遺伝子活性を参照値として、刺激の指標を計算した。シグマ・プロット・プログラム(SSPS Inc.)を用いてS字形の回帰曲線(4つのパラメーター)を用いてEC50値を計算した。ここでも、配列番号3は、配列番号2より長いパリンドロームを有するODNよりも大規模にTLR9活性を刺激した。
配列番号2の多数の誘導体を作製し、それらのIFN−αおよびIL−10を誘導する能力に関して試験した。配列番号3に加えて、1種の切断され易いODN(配列番号32)、および、その全てがホスホロチオエートになった同等物(配列番号33)、配列番号2のパリンドローム全部を含むODN(配列番号34)、および、2種のパリンドローム配列が欠失したODN(配列番号35〜36)、および、3種のG5配列が介在したODN(配列番号38)、または、G4に減らした配列が介在したODN(配列番号37および39)(表2を参照)も試験した。図2aで示されるように、配列番号3に類似した配列を有する切断され易いオリゴヌクレオチド(配列番号32)は、最大のIFN−α刺激をもたらした。配列番号34は、配列番号2の完全なパリンドローム配列を有していたとしても、配列番号2よりも活性が低かった。単独のG4配列は活性化には不十分であり、同様に配列番号37も不活性化ではなかったが、配列番号39は活性であった。図2bで示されるように、配列番号32以外は、いずれのODNも有意なIL−10を誘導することができず、驚くべきことに配列番号39が極めて強いIL−10誘導を示した。
図2に示されるデータに基づいて多数のオリゴヌクレオチドを設計した(配列番号7〜31)。これらのなかでも、配列番号13が、IFN−α(図3a〜3c)およびIP−10(図3d〜3f)の両方を誘導する最も強い能力を示した。
実施例2
新規のAクラスのODNの親油性の誘導体作製
配列番号3の親油性の誘導体を誘導し、それらのIFN−αを誘導する能力に関して試験した。図4に、ODNの3’末端にヘキサデシルグリセリルエーテル、または、トリエチレングリコールを付加する工程の略図を示す。3’ポリGモチーフの代わりに親油性のタグを有する配列番号3の2種の誘導体、すなわちヘキサデシルグリセリルエーテル成分を有する配列番号40、および、トリエチレングリコール成分を有する配列番号41を合成した(表2を参照)。次にこれらのODNをインビトロでIFN−αを誘導する能力に関して試験した。図5で示されるように、ヘキサデシルグリセリルエーテルタグを有するODNは、トリエチレングリコールタグを有するODNよりも優れた活性を示したが、どちらも配列番号2ほど多くのIFN−αを誘導しなかった。タグで修飾されたODN(配列番号41)の活性が低い理由は、それらの細胞への取り込みが、G−リッチ(配列番号39)ODN、または、親油性に修飾されたODN(配列番号40および配列番号42)と比較して少ないことに起因する可能性がある。3’の修飾(タグ、hexまたはchol)による3’−エキソヌクレアーゼに対するODNの安定化単独では、優れた生物活性を得るには不十分であることを示すために、タグで修飾されたODNをコントロールとして選択した。
新規のAクラスのODNの親油性の誘導体作製
配列番号3の親油性の誘導体を誘導し、それらのIFN−αを誘導する能力に関して試験した。図4に、ODNの3’末端にヘキサデシルグリセリルエーテル、または、トリエチレングリコールを付加する工程の略図を示す。3’ポリGモチーフの代わりに親油性のタグを有する配列番号3の2種の誘導体、すなわちヘキサデシルグリセリルエーテル成分を有する配列番号40、および、トリエチレングリコール成分を有する配列番号41を合成した(表2を参照)。次にこれらのODNをインビトロでIFN−αを誘導する能力に関して試験した。図5で示されるように、ヘキサデシルグリセリルエーテルタグを有するODNは、トリエチレングリコールタグを有するODNよりも優れた活性を示したが、どちらも配列番号2ほど多くのIFN−αを誘導しなかった。タグで修飾されたODN(配列番号41)の活性が低い理由は、それらの細胞への取り込みが、G−リッチ(配列番号39)ODN、または、親油性に修飾されたODN(配列番号40および配列番号42)と比較して少ないことに起因する可能性がある。3’の修飾(タグ、hexまたはchol)による3’−エキソヌクレアーゼに対するODNの安定化単独では、優れた生物活性を得るには不十分であることを示すために、タグで修飾されたODNをコントロールとして選択した。
図6に、ODNにコレステロールタグを付加する工程の略図を示す。コレステロールタグを用いて配列番号3の3種の誘導体を合成した。配列番号42は、3’ポリGモチーフの代わりにコレステロールタグを有し、ODNの末端結合は、ホスホロチオエート結合である。配列番号43は、ホスホジエステル主鎖、および、3’コレステロールタグを有する。配列番号44は、ホスホジエステル主鎖を有し、さらに5’および3’の両方にコレステロールタグを有する。ヒト末梢血液の単核細胞(PBMC)を健康なドナーから単離し、平板培養し、インビトロで様々な試験およびコントロール免疫促進剤で48時間刺激した。48時間後、上清を回収し、続いて、ELISA分析で解析した(図7a)。配列番号43は、配列番号3または配列番号6のCクラスのCpGのODNの誘導に匹敵するレベルのIFN−αを誘導した。配列番号42はかなり少ないIFN−αしか誘導せず、配列番号44は、有意な量のIFN−αを誘導しなかった。この工程をIFN−α(図7b)、および、IL−10(図7c)にも繰り返した。配列番号42または43はいずれも、有意な量のIL−10を誘導しなかった。
実施例3
配列番号3のAクラスの修飾ODNによるインビボでのサイトカイン誘導は、投与経路に依存する
インビボで免疫応答を誘導する配列番号3の能力を試験するために、Balb/cマウスに、配列番号2〜4、加えて配列番号50のその他のAクラスのODN、および、配列番号51のネガティブコントロールODNを注射した。ODNは、皮下(SC)、静脈内(IV)または腹腔内(IP)に既定量のODN(500μg)を、または、肺内(IPul)に既定量のODN(250μg)を投与した。図8〜10はそれぞれ、それにより生じたIP−10、IL−12およびIL−6のサイトカイン/ケモカインの刺激を示す。動物を3時間目(塗りつぶしのバー)、または、8時間目(斜線のバー)採血した。SC、IPおよびIPul経路で投与した場合、配列番号3が、配列番号2および配列番号50と比較して最も有効であったが、IPおよびIPul経路によるIL−6誘導の場合は、3種全てのAクラスのODNが等しく有力であった。IV経路によるIP−10誘導を促進することにおいて、配列番号2は、試験された残りのAクラスのODN、加えて配列番号4のBクラスのODNより優れていた。
配列番号3のAクラスの修飾ODNによるインビボでのサイトカイン誘導は、投与経路に依存する
インビボで免疫応答を誘導する配列番号3の能力を試験するために、Balb/cマウスに、配列番号2〜4、加えて配列番号50のその他のAクラスのODN、および、配列番号51のネガティブコントロールODNを注射した。ODNは、皮下(SC)、静脈内(IV)または腹腔内(IP)に既定量のODN(500μg)を、または、肺内(IPul)に既定量のODN(250μg)を投与した。図8〜10はそれぞれ、それにより生じたIP−10、IL−12およびIL−6のサイトカイン/ケモカインの刺激を示す。動物を3時間目(塗りつぶしのバー)、または、8時間目(斜線のバー)採血した。SC、IPおよびIPul経路で投与した場合、配列番号3が、配列番号2および配列番号50と比較して最も有効であったが、IPおよびIPul経路によるIL−6誘導の場合は、3種全てのAクラスのODNが等しく有力であった。IV経路によるIP−10誘導を促進することにおいて、配列番号2は、試験された残りのAクラスのODN、加えて配列番号4のBクラスのODNより優れていた。
実施例4
配列番号3のODNの分子間の相互作用
オリゴヌクレオチド内の(G)nストレッチ(ここでnは4以上)により、不均一な高分子量の集合体が生成する分子間の4分子が形成されることがわかっている。(G)nストレッチを有するオリゴヌクレオチドの取り込みは、凝集していないオリゴヌクレオチドよりも約20〜40倍高く、細胞内の局在性も異なっているようである。これらの観察がどのように生物活性と相関しているかはわかっていない。
配列番号3のODNの分子間の相互作用
オリゴヌクレオチド内の(G)nストレッチ(ここでnは4以上)により、不均一な高分子量の集合体が生成する分子間の4分子が形成されることがわかっている。(G)nストレッチを有するオリゴヌクレオチドの取り込みは、凝集していないオリゴヌクレオチドよりも約20〜40倍高く、細胞内の局在性も異なっているようである。これらの観察がどのように生物活性と相関しているかはわかっていない。
キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、および、MALDI−TOFマススペクトロメトリーで解析したところ、配列番号3のODNは、部分的な二量体形成を示した。UV−熱による変性から2つの変遷が明らかになり、これは、溶液中に2種の異なる構造的な種が存在することを示唆している。第一の種は、82℃のTmで溶融し、第二の種は、41℃のTmで溶融する。第一の種の溶融(82℃)は、ODN溶液が加熱されたときだけ観察されたが、それまでに加熱したODN溶液を冷却するときには観察されなかった。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって解析したところ、配列番号2は、高分子構造に凝集したことを示し、それによりSECにおいて多数の異なるピークを生じた。驚くべきことに、配列番号3は、GGGGGモチーフを含むにもかかわらず、低分子量の範囲(単量体または二量体の可能性がある)にしかピークを示さなかったが、原則的にそれでもなお分子内の4分子形成が生じる可能性がある。総合すると、配列番号3のODNは、5’−Tヌクレオチドによって安定化されているが、例えば配列番号2に存在する5’−Aヌクレオチドによっては安定化されない(または、安定化が有意に低い)分子内の4分子を形成するようである。分子内構造は、ワトソン−クリックではない塩基対で安定化された2つの配列番号3の分子からなる。場合によっては、類似の分子内の4分子構造に折り畳まれ、高いIFN−α誘導を引き起こすと予想されるその代わりの配列を設計することも可能である。同様に、4分子形成を促進するGまたはTの代替ヌクレオシド(例えば、イノシン)での交換も、活性なODNを生じる可能性がある。
表3に、Aクラスの修飾ODNおよびその他のODNの一覧を提供する。
等価物
以上に記載された明細書は、当業者が本発明を実施するのに十分であるとみなされる。実施例は、本発明の一形態の単なる説明として意図されており、その他の機能的に同等な実施態様も本発明の範囲内であるため、本発明は、提供された実施例によってその範囲が限定されないこととする。本明細書において示され説明されたものに加えて、本発明の様々な改変が、当業者であれば前述の説明から十分明らかであると思われ、それらは添付の請求項の範囲内に含まれる。本発明の利点および目的が、必ず本発明の各実施態様に包含されるわけではない。
以上に記載された明細書は、当業者が本発明を実施するのに十分であるとみなされる。実施例は、本発明の一形態の単なる説明として意図されており、その他の機能的に同等な実施態様も本発明の範囲内であるため、本発明は、提供された実施例によってその範囲が限定されないこととする。本明細書において示され説明されたものに加えて、本発明の様々な改変が、当業者であれば前述の説明から十分明らかであると思われ、それらは添付の請求項の範囲内に含まれる。本発明の利点および目的が、必ず本発明の各実施態様に包含されるわけではない。
図面は説明のためだけに示されるのであり、本明細書において開示された本発明の実施に必須ではない。
Claims (15)
- 以下の式:
5’−(Z1)KX1Y1R1X2Y2R2X3Y3R3(Z2)L(G)N(Z3)M−3’(配列番号70)
で示される免疫刺激性オリゴヌクレオチドであって、
式中、X1は、あらゆるヌクレオチド(ただしdGを除く)であり、X2およびX3は、あらゆるヌクレオチドであり、Y1、Y2およびY3は、dC、5−メチル−dC、5−ヒドロキシ−dC、または、5−フルオロ−dCであり、R1、R2およびR3は、dG、dI、6−チオ−dG、または、7−デアザ−dGであり、Z1、Z2およびZ3は、あらゆるヌクレオチドであり、ここで、K、LおよびMは、それぞれ独立して0〜10を示し、Nは、4〜10であり、ここで、該免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、長さが16個未満のヌクレオチドである、上記オリゴヌクレオチド。 - X1が、T、dU、dIまたはdAを含み;X2が、T、dU、dA、または、7−デアザ−dAを含み;Z1が、d6、dt、dU、dI、または、7−デアザ−dGを含み;Z2が、Tを含み、Z3が、Tを含む、請求項1に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチド。
- 前記免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、6個未満のホスホロチオエート結合を含む、請求項1に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチド。
- 前記免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、4個のホスホロチオエート結合を含む、請求項1に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチド。
- 前記配列Y1R1X2Y2R2X3Y3R3が、パリンドロームを形成するか、または、パリンドロームに近い形態を形成する、請求項1に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチド。
- 長さが少なくとも6個、および、11個未満のヌクレオチドのパリンドロームを有するドメインをさらに含み、加えて、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合を有する少なくとも3個のYRジヌクレオチドを含み、ここでYは、dC、5−メチル−dC、5−ヒドロキシ−dC、または、5−フルオロ−dCであり、Rは、ポリGドメインに直接的または間接的に連結したdG、dI、6−チオ−dG、または、7−デアザ−dGであり、ここで該ポリGドメインは、少なくとも3個、および、8個未満の連続したGを含み、ここで該パリンドロームを有するドメインが間接的にポリGドメインに連結している場合、この間接的な連結は、1〜10個のヌクレオチドのヌクレオチド配列、または、非ヌクレオチドリンカーで構成され、ここで該オリゴヌクレオチドは、18個未満のヌクレオチドの長さを有する、請求項1に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチド。
- 前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも2個、および、6個未満の安定化されたインターヌクレオチド結合を含む、請求項6に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチド。
- 前記安定化されたインターヌクレオチド結合が、ホスホロチオエート結合である、請求項6に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチド。
- 前記パリンドロームを有するドメインの各ヌクレオチドが、ホスホジエステルインターヌクレオチド結合を有する、請求項6に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチド。
- 長さが少なくとも6個、および、11個未満のヌクレオチドのパリンドロームを有するドメインをさらに含み、加えて、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合を有する少なくとも3個のY’R’ジヌクレオチドを含み、ここでY’は、5−メチル−dC、5−ヒドロキシ−dC、または、5−フルオロ−dCであり、Rは、ポリGドメインに直接的または間接的に連結したdI、dG、6−チオ−dG、または、7−デアザ−dGであり、ここで該ポリGドメインは、少なくとも3個、および、8個未満の連続したGを含み、ここで該パリンドロームを有するドメインが間接的にポリGドメインに連結している場合、この間接的な連結は、1〜10個のヌクレオチドのヌクレオチド配列、または、非ヌクレオチドリンカーで構成される、請求項1に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチド。
- 以下の式:
5’−(Z1)KX1Y1R1X2Y2R2X3Y3R3(Z2)LQ−3’(配列番号71)
で示される免疫刺激性オリゴヌクレオチドであって、
式中、X1は、あらゆるヌクレオチド(ただしdGを除く)であり、X2およびX3は、あらゆるヌクレオチドであり、Y1およびY2は、dC、5−メチル−dC、5−ヒドロキシ−dC、または、5−フルオロ−dCであり、R1、R2およびR3は、dG、dI、6−チオ−dG、または、7−デアザ−dGであり、Z1およびZ2は、あらゆるヌクレオチドであり、Qは、親油性成分であり、ここでK、LおよびMは、それぞれ独立して0〜10を示し、Nは、4〜10であり、ここで、該免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、長さが16個未満のヌクレオチドである、上記オリゴヌクレオチド。 - 請求項1に記載の免疫刺激性オリゴヌクレオチドのいずれか一種、および、製薬用キャリアーを含む組成物。
- 前記免疫刺激性オリゴヌクレオチド配列が、配列番号3;配列番号4;配列番号7;配列番号8;配列番号9;配列番号10;配列番号11;配列番号12;配列番号13;配列番号14;配列番号15;配列番号16;配列番号17;配列番号18;配列番号29;配列番号30;配列番号34;配列番号35;配列番号36;配列番号37;配列番号38;配列番号39;配列番号40;配列番号41;配列番号42;配列番号43;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49を含む、請求項1に記載の組成物。
- 被検体において免疫応答を刺激する方法であって、このような治療が必要な被検体に、請求項1に記載の組成物を投与することを含む、上記方法。
- 前記治療が必要な被検体が、癌、感染症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、または、自己免疫疾患を有するか、または、それらを有する危険性がある、請求項1に記載の方法。
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