JP2009034811A - 突切り、溝切りおよびねじ切りのための超硬合金インサート - Google Patents
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Abstract
【課題】湿潤条件下で鋼、ステンレス鋼およびHRSAの突切り、溝切りおよびねじ切りに有用な切削工具インサート、塑性変形に対する向上した耐性および耐摩耗性を有する切削工具インサート、および塑性変形に対する向上した耐性が、刃先の靭性の低下を犠牲にして得られたのではない切削工具を提供する。
【解決手段】基材および被膜を含んでなる、鋼およびステンレス鋼の突切り、溝切りおよびねじ切りのための切削インサートであって、前記基材は、WC、7.5〜10.5重量%のCo、0.7〜1.1重量%のCrおよび100〜300ppmのTiを含む。Tiは、Ti/Ta重量比0.8以上にTaで部分的に置換可。被膜は、異なるAi/Ti比を持つ2つの(Ti,Al)N層:厚さ0.3〜2.5μmでy=0.4〜0.67の内部AlyTi1-yN層と厚さ0.5〜5.0μmでw=0.15〜0.35の外部AlwTi1-wN層を含む。
【選択図】なし
【解決手段】基材および被膜を含んでなる、鋼およびステンレス鋼の突切り、溝切りおよびねじ切りのための切削インサートであって、前記基材は、WC、7.5〜10.5重量%のCo、0.7〜1.1重量%のCrおよび100〜300ppmのTiを含む。Tiは、Ti/Ta重量比0.8以上にTaで部分的に置換可。被膜は、異なるAi/Ti比を持つ2つの(Ti,Al)N層:厚さ0.3〜2.5μmでy=0.4〜0.67の内部AlyTi1-yN層と厚さ0.5〜5.0μmでw=0.15〜0.35の外部AlwTi1-wN層を含む。
【選択図】なし
Description
本発明は、湿潤条件下での鋼、ステンレス鋼および耐熱超合金(HRSA)の突切り、溝切りおよびねじ切りに特に有用な被覆切削工具インサートに関する。多層PVD被膜は耐逃げ面摩耗性を大きく向上させ、高クロム微粒基材は塑性変形に対する良好な耐性を与える。
鋼、ステンレス鋼およびHRSAなどの広範囲の被加工材に突切り、溝切りおよびねじ切りをするための被覆切削工具インサートは以下の性質を持たなければならない:
1.切削プロセスはインサートの刃先に、特にねじ切りの場合ノーズ領域に高温を生じるので、塑性変形に対する高い耐性。
1.切削プロセスはインサートの刃先に、特にねじ切りの場合ノーズ領域に高温を生じるので、塑性変形に対する高い耐性。
2.急激に成長する逃げ面摩耗を防ぐためアブレシブ摩耗に対する良好な耐性。
3.凝着摩耗に対する良好な耐性および基材と被膜の間の非常に良好な粘着。特にステンレス鋼から出るチップはインサートの表面に非常に融着しやすい。
4.破壊およびチッピングを防ぐため良好な刃先の靭性。
5.特に中心にいたる切断加工の場合、バルクの破壊を防ぐため良好なバルク靭性。
米国特許第6,261,673号は、鋼またはステンレス鋼管および棒鋼などの鋼部品の溝切りまたは突切りに有用な被覆超硬合金を開示している。前記インサートは、高W合金Coバインダー相を有するWC−Co−系超硬合金基材ならびに柱状粒子を持つTiCxNyOzの内部層、その次に微粒κ−Al2O3の層およびTiNの最上層を含む比較的薄い被膜により特徴づけられている。
米国特許第6,342,291号は、鋼またはステンレス鋼管および棒鋼などの鋼部品の溝切りまたは突切りに有用な被覆切削工具インサートを開示している。前記インサートは、高W合金Coバインダー相を有するWC−Co−系超硬合金基材ならびにTi/Al比が繰り返して変動する(TixAl1-x)Nの組成を持つ副層の多層構造を含む硬質で耐摩耗性の被膜により特徴づけられている。
EP−A−1798310は、基材および被膜を含んでなる、耐熱超合金およびステンレス鋼の突切りおよび溝切りのための切削インサートを開示している。前記基材は、5〜7重量%のCo、0.15〜0.60重量%のTaC、0.10〜0.50重量%のNbCおよび残部WCを含んでなる。前記被膜は、厚さが1〜3.8μmでx=0.6〜0.7の均一なAlxTi1-xN層からなる。
本発明の目的は、湿潤条件下で鋼、ステンレス鋼およびHRSAの突切り、溝切りおよびねじ切りに有用な切削工具インサートを提供することである。
本発明のさらなる目的は、塑性変形に対する向上した耐性および耐摩耗性を有する切削工具インサートを提供することである。
本発明のさらなる目的は、塑性変形に対する向上した耐性が、刃先の靭性の低下を犠牲にして得られたのではない切削工具を提供することである。
高クロム微粒基材と組み合わせた多層(Ti,Al)N PVD被膜が、湿潤条件下で鋼、ステンレス鋼およびHRSAの突切り、溝切りおよびねじ切りをする場合、塑性変形に対する良好な耐性、良好な耐摩耗性および十分な刃先の靭性を与えることが見いだされた。
したがって、本発明は、超硬合金基材および被膜からなる被覆切削工具インサートに関する。超硬合金基材は、WC、7.5〜10.5重量%のCo、好ましくは8.0〜10.0重量%のCo、最も好ましくは8.5〜9.5重量%のCoおよび0.7〜1.1重量%のCr、好ましくは0.8〜1.0重量%のCrを含んでなり、好ましくはそれらからなる。前記超硬合金は、100〜300ppmのTi、好ましくは150〜275ppmのTi、最も好ましくは200〜260ppmのTiをさらに含む。他の実施形態において、前記Tiの一部はTaに置換されるが、Ti/Taの重量比は0.8以上好ましくは1.7以下で、最も好ましくは1.2〜1.5である。
バインダー相は、Wおよびバインダー相の磁気的性質に影響を与えるCrと合金化されており、以下に定義のとおりCW_Cr比の値と関連づけることができ、
CW_Cr=(磁性Co%+1.13×Cr重量%)/Co重量%
上式において、磁性Co%は磁性Coの重量パーセンテージであり、Cr重量%は超硬合金中のCrの重量パーセンテージであり、Co重量%は超硬合金中のCoの重量パーセンテージである。
CW_Cr=(磁性Co%+1.13×Cr重量%)/Co重量%
上式において、磁性Co%は磁性Coの重量パーセンテージであり、Cr重量%は超硬合金中のCrの重量パーセンテージであり、Co重量%は超硬合金中のCoの重量パーセンテージである。
超硬合金が0.77〜0.97の、好ましくは0.80〜0.94、最も好ましくは0.82〜0.92のCW_Cr比および21〜27kA/m、好ましくは22〜26kA/mの保磁力を有する場合に向上した切削性能が得られることが見いだされた。
焼結体は、追加の相またはイータ相などの他の相、M=(Ti+Ta+Co+Cr+W)でありX=CまたはNであるMXまたはM7X3、M3X2の沈殿を少量含んでよく、不利益な効果なく最大0.5体積%の体積分率まで存在してよい。
被膜は異なるAl/Ti比の2つの(Ti,Al)N層を含んでなる。内部層は、外部層よりAl/Ti比が高い。内部層は、y=0.4〜0.67、好ましくは0.45〜0.60のAlyTi1-yN層からなる。内部層の被膜厚さは0.3〜2.5μm、好ましくは0.5〜2.0μmである。好ましい実施形態において、内部層は、z=0.55〜0.70、好ましくはz=0.6〜0.67、v=0.35〜0.53、好ましくはv=0.40〜0.50のAlzTi1-zNおよびAlvTi1-vNの交互の層からなる非周期的積層被膜である。各個別の層の被膜厚さは0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmである。外部層は、w=0.15〜0.35、好ましくはw=0.20〜0.30のAlwTi1-wN層からなっている。外部層の被膜厚さは、0.5〜5.0μmであり、好ましくは1.0〜4.0μmである。好ましい実施形態において、外部層は、m=0〜0.2、好ましくはm=0〜0.1、n=0.35〜0.53、好ましくはn=0.40〜0.50、k=0.55〜0.70、好ましくはk=0.6〜0.67である、AlmTi1-mN、AlnTi1-nNおよびAlkTi1-kNの交互の層を持つ非周期的な積層被膜からなる。各個別の層の被膜厚さは、0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmである。被膜の全厚さは0.8〜7.5μm、好ましくは1.5〜6.0μmである。個別の層の厚さは、刃先の0.2mm下の逃げ面上で測定する。
好ましい実施形態において、被膜は0.05〜0.2μm、好ましくは0.1〜0.2μmの厚さのTiN層からなる最内部の接着層を有する。
1実施形態において、被膜は着色目的のTiN最上層を有する。TiN層の厚さは0.1〜1μm、好ましくは0.1〜0.3μmである。
他の実施形態において、被膜は、p=0.05〜0.67であるAlpTi1-pNの最上層を着色目的で有する。AlpTi1-pN層の厚さは0.2〜1μm、好ましくは0.2〜0.4μmである。
本発明は、超硬合金基材および被膜からなる被覆切削工具インサートを製造する方法にも関する。超硬合金基材は、混練、加圧成形および焼結の従来の粉末冶金技術を利用して製造される。超硬合金基材は、WC、7.5〜10.5重量%のCo、好ましくは8.0〜10.0重量%のCo、最も好ましくは8.5〜9.5重量%のCoおよび0.7〜1.1重量%のCr、好ましくは0.8〜1.0重量%のCrを含んでなり、好ましくはそれらからなる。1実施形態において、前記超硬合金は、100〜300ppmのTi、好ましくは150〜275ppmのTi、最も好ましくは200〜260ppmのTiをさらに含む。他の実施形態において、前記Tiの一部はTaに置換されるが、Ti/Taの重量比は0.8以上好ましくは1.7以下で、最も好ましくは1.2〜1.5であり、TaC、(Ta,W)C、TiC、(Ti,W)Cおよび/または(Ti,Ta,W)Cまたはこれらの組み合わせとして加えられる。真空中で1410℃で1時間焼結後、保磁力は21〜27kA/m、好ましくは22〜26kA/mである。
CW_Cr比は、0.77〜0.97、好ましくは0.80〜0.94、最も好ましくは0.82〜0.92であり、粉末混合物に適量のカーボンブラックまたはタングステンの粉末を加えてモニターされる。
従来の焼結後処理の後、陰極アーク蒸着またはマグネトロンスパッタリングにより、Ai/Ti比が異なる2つの(Ti,Al)層からなる被膜が堆積される。内部層は、外部層よりも高いAl/Ti比を有する。内部層は、y=0.4〜0.67、好ましくは0.45〜0.60のAlyTi1-yN層からなる。内部層の被膜厚さは0.3〜2.5μm、好ましくは0.5〜2.0μmである。好ましい実施形態において、内部層は、z=0.55〜0.70、好ましくはz=0.6〜0.67、v=0.35〜0.53、好ましくはv=0.40〜0.50のAlzTi1-zNおよびAlvTi1-vNの交互の層からなる非周期的積層被膜である。各個別の層の被膜厚さは0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmである。外部層は、w=0.15〜0.35、好ましくはw=0.20〜0.30のAlwTi1-wN層からなる。外部層の被膜厚さは、0.5〜5.0μmであり、好ましくは1.0〜4.0μmである。好ましい実施形態において、外部層は、m=0〜0.2、好ましくはm=0〜0.1、n=0.35〜0.53、好ましくはn=0.40〜0.50、k=0.55〜0.70、好ましくはk=0.6〜0.67である、AlmTi1-mN、AlnTi1-nNおよびAlkTi1-kNの交互の層を持つ非周期的な積層被膜からなる。各個別の層の被膜厚さは、0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmである。被膜の全厚さは0.8〜7.5μm、好ましくは1.5〜6.0μmである。
本発明は、切削速度30〜400m/分および送り0.05〜0.6mm/revでの鋼およびステンレス鋼の、切削速度15〜100m/分および送り0.02〜0.3mm/revでのHRSAの湿潤条件下での突切り、溝切りおよびねじ切りのための上述のインサートの使用にも関する。
実施例1(本発明)
A1.9重量%のCo、0.9重量%のCr、230ppmのTiおよび残部WCの組成を持ち、平均粒径約0.8μmに対応する保磁力23.6kA/mおよびCW_Cr比0.95に対応する磁性Co含量6.7を持つ超硬合金からできている切削インサートに、陰極アーク蒸着により多層(Ti,Al)N被膜を堆積させた。前記被膜は、TiおよびTiAl金属源のアーク蒸着を利用して堆積させた。TiN粘着層は、ArおよびN2の混合雰囲気中でTi金属源を利用して堆積させた。TiN粘着層の被膜厚さは0.15μmであった。第2層は、Al0.67Ti0.33およびAl0.50Ti0.50合金からなるターゲットを利用してN2雰囲気中で堆積させた。堆積チャンバー内部でのインサートの3回回転により非周期的積層構造が得られた。第2層の厚さは1.6μmであった。平均組成はSEM−EDSにより測定してAl0.54Ti0.46Nであった。第2層の積層構造の個々の層の平均厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定して8nmであった。第3外部層を、Ti、Al0.67Ti0.33およびAl0.50Ti0.50合金からなるターゲットを利用してN2雰囲気中で堆積させた。堆積チャンバー内部でのインサートの3回回転により非周期的積層構造が得られた。この第3層の厚さは2.6μmであった。第3層の平均組成はSEM−EDSにより測定してAl0.24Ti0.76であった。第3層の積層構造の個々の層の平均厚さはTEMにより測定して11nmであった。付着させた被膜の全厚さは4.4μmであった。
A1.9重量%のCo、0.9重量%のCr、230ppmのTiおよび残部WCの組成を持ち、平均粒径約0.8μmに対応する保磁力23.6kA/mおよびCW_Cr比0.95に対応する磁性Co含量6.7を持つ超硬合金からできている切削インサートに、陰極アーク蒸着により多層(Ti,Al)N被膜を堆積させた。前記被膜は、TiおよびTiAl金属源のアーク蒸着を利用して堆積させた。TiN粘着層は、ArおよびN2の混合雰囲気中でTi金属源を利用して堆積させた。TiN粘着層の被膜厚さは0.15μmであった。第2層は、Al0.67Ti0.33およびAl0.50Ti0.50合金からなるターゲットを利用してN2雰囲気中で堆積させた。堆積チャンバー内部でのインサートの3回回転により非周期的積層構造が得られた。第2層の厚さは1.6μmであった。平均組成はSEM−EDSにより測定してAl0.54Ti0.46Nであった。第2層の積層構造の個々の層の平均厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定して8nmであった。第3外部層を、Ti、Al0.67Ti0.33およびAl0.50Ti0.50合金からなるターゲットを利用してN2雰囲気中で堆積させた。堆積チャンバー内部でのインサートの3回回転により非周期的積層構造が得られた。この第3層の厚さは2.6μmであった。第3層の平均組成はSEM−EDSにより測定してAl0.24Ti0.76であった。第3層の積層構造の個々の層の平均厚さはTEMにより測定して11nmであった。付着させた被膜の全厚さは4.4μmであった。
A2.9重量%のCo、0.9重量%のCr、130ppmのTi、100ppmのTaおよび残部WCの組成を持つ超硬合金にA1と同じ被膜を堆積させた。
実施例2(従来技術)
B.10重量%のCo、0.39重量%のCrおよび残部WCからなり、粒径0.9μmに相当する保磁力20kA/mおよびCW_Cr比0.89ならびに硬度1600 HV3を有する超硬合金基材から構成される超硬合金溝切りインサートに、均一なAl0.5Ti0.5N層とTiNとAl0.5Ti0.5Nとが交互に積層した順次積層構造の4.4μmのPVD(Ti,Al)N多層を被覆した。この交互積層は12回繰り返していた。均一なAl0.5Ti0.5N層の厚さは0.1〜0.2μmであり、積層構造の厚さは0.1〜0.2μmであった。積層構造中の個々のTiN層またはAl0.5Ti0.5N層の厚さは、0.1〜20nmであった。多層の平均組成は、SEM−EDSで測定してAl0.2Ti0.8Nであった。
実施例3
インサートA1およびBを、焼き入れおよび焼き戻しされた鋼部品の溝切りおよび旋削で試験した。第1の操作は外径46mmからの深さ2mmの溝切りであり、次いで棒鋼に沿って20mm旋削、次いで溝切りと逆向きの旋削を繰り返し、直径10.2mmまで加工した。
操作: 溝切りおよび旋削
被加工材: AISI 4340(SS 2541−03)
インサートスタイル: N123G2−0300−0003−TF
切削速度: 220m/分
溝切りの送り: 0.15mm/r
旋削の送り: 0.13mm/r
部品当たりの時間: 28秒
冷却剤あり
仕上げた部品の数で表す結果および分で表す工具寿命
グレードA1(本発明)86.7部品、切削40.5分
グレードB(従来技術)46.7部品、切削21.8分
実施例4
インサートA1およびBを、焼き入れおよび焼き戻しされた鋼の溝切りで試験した。溝の外径Doは178mmであり、内径Diは172mmであり、溝の幅は3mmであった。
操作: 溝切り
被加工材: AISI 4340(SS 2541−03)
インサートスタイル: N123G2−0300−0003−TF
切削速度: 210m/分
溝切りの送り: 0.12mm/r
切込み深さ: 3mm
サイクル当たりの時間:3分(1サイクルは30の溝切り)
冷却剤あり
結果:所定の逃げ面摩耗0.2mmでの工具寿命。
グレードA1は21.3サイクル運転し、切削の全時間は63.9分であった。
インサートBの工具寿命は11.3サイクルであり、33.9分で終了した。
実施例5
インサートA1およびBを、オーステナイトステンレス鋼部品の溝切りおよび旋削で試験した。第1の操作は外径45mmからの深さ2mmの溝切りであり、次いで棒鋼に沿って20mm旋削、次いで溝切りと逆向きの旋削を繰り返し、直径10.2mmまで加工した。
操作: 溝切りおよび旋削
被加工材: SANMAC 316L
インサートスタイル: N123H2−0400−0008−TM
切削速度: 180m/分
溝切りの送り: 0.15mm/r
旋削の送り: 0.15mm/r
部品当たりの時間: 27秒
冷却剤あり
仕上げた部品の数で表す結果および分で表す工具寿命
グレードA1(本発明)70部品、切削31.5分
グレードB(従来技術)51部品、切削23.3分
実施例6
インサートA1およびBを、Doが159mm、Diが140mm、幅が9.5mmである鋼の溝切りで試験した。
操作: 溝切り
被加工材: SN2039
インサートスタイル: N123L2−0800−RM
切削速度: 150〜130m/分
送り: 0.3mm/r
部品当たりの時間: 90秒
冷却剤あり
仕上げた部品の数で表す結果および分で表す工具寿命
グレードA1(本発明)71部品、切削106.5分
グレードB(従来技術)34部品、切削51分
実施例7
インサートA1およびBを、鋼C40、硬度190〜250HBの内径ねじ切り、M24×1.5、長さ24mmで試験した。
操作: 内径ねじ切り
被加工材: C40
インサートスタイル: R166.OL−16MM01−150
切削速度: 115m/分
パス数: ねじ山当たり7
冷却剤あり
ねじ山の数で表す結果
グレードA1(本発明): 580ねじ山
グレードB(従来技術): 430ねじ山
実施例8
インサートA2およびBを、Do177.9mmからDi165.8mmへの鋼のねじ切りで試験した。ねじ山の幅は12.45mmであった。
操作: ねじ切り
被加工材: 16MnCr5
インサートスタイル: N123H2−0400−0004−TF
切削速度: 255m/分
送り: 0.15mm/r
部品当たりの時間: 17秒
冷却剤あり
部品数で表す結果および所定の表面仕上げでの分で示す工具寿命
グレードA2(本発明):107部品、切削30.3分
グレードB(従来技術):75部品、切削21.3分
実施例9
インサートA2およびBを、Do20mmから中心への棒鋼の突切りで試験した。
操作: 突切り
被加工材: 42CrMo4、硬度320HB
インサートスタイル: N123G2−0300−0002−CM
切削速度: 100m/分から0m/分
送り: 0.15mm/r、直径3mmからf=0.05mm/r
部品当たりの時間: 4秒
冷却剤あり
部品の数で表す結果および分で示す工具寿命:
グレードA2(本発明): 6200部品、切削413分
グレードB(従来技術): 3600部品、切削240分
実施例10
インサートA2およびBを、Do36mmからDi17mmへの鋼管の突切りで試験した。
操作: 管の突切り
被加工材: 42CD4、硬度300HB
インサートスタイル: N123G2−0300−0003−CR
切削速度: 150m/分
送り: 0.1mm/r
部品当たりの時間: 3.2秒
冷却剤あり
部品の数で表す結果および分で示す工具寿命:
グレードA2(本発明): 1159部品、切削61.8分
グレードB(従来技術): 754部品、切削40.2分
実施例11
インサートA2およびBを、Do120mmからDi115mmへの鋼管の突切りで試験した。
操作: 管の突切り
被加工材: SAE1010、硬度110HB
インサートスタイル: N123G2−0300−0003−CR
切削速度: 226m/分から216m/分
送り: 0.15mm/r
部品当たりの時間: 1.67秒
冷却剤あり
部品の数で表す結果および分で示す工具寿命:
グレードA2(本発明): 700部品、切削19分
グレードB(従来技術): 580部品、切削16分
実施例12
インサートA2およびBを、20mmインコネルピンの突切りで試験した。
操作: ピンの突切り
被加工材: インコネル718
インサートスタイル: N123G2−0300−0002−CM
切削速度: 20m/分
送り: 0.07から0.03mm/r
冷却剤あり
部品の数で表す結果:
グレードA2(本発明): 100ピン
グレードB(従来技術): 85ピン
実施例2(従来技術)
B.10重量%のCo、0.39重量%のCrおよび残部WCからなり、粒径0.9μmに相当する保磁力20kA/mおよびCW_Cr比0.89ならびに硬度1600 HV3を有する超硬合金基材から構成される超硬合金溝切りインサートに、均一なAl0.5Ti0.5N層とTiNとAl0.5Ti0.5Nとが交互に積層した順次積層構造の4.4μmのPVD(Ti,Al)N多層を被覆した。この交互積層は12回繰り返していた。均一なAl0.5Ti0.5N層の厚さは0.1〜0.2μmであり、積層構造の厚さは0.1〜0.2μmであった。積層構造中の個々のTiN層またはAl0.5Ti0.5N層の厚さは、0.1〜20nmであった。多層の平均組成は、SEM−EDSで測定してAl0.2Ti0.8Nであった。
実施例3
インサートA1およびBを、焼き入れおよび焼き戻しされた鋼部品の溝切りおよび旋削で試験した。第1の操作は外径46mmからの深さ2mmの溝切りであり、次いで棒鋼に沿って20mm旋削、次いで溝切りと逆向きの旋削を繰り返し、直径10.2mmまで加工した。
操作: 溝切りおよび旋削
被加工材: AISI 4340(SS 2541−03)
インサートスタイル: N123G2−0300−0003−TF
切削速度: 220m/分
溝切りの送り: 0.15mm/r
旋削の送り: 0.13mm/r
部品当たりの時間: 28秒
冷却剤あり
仕上げた部品の数で表す結果および分で表す工具寿命
グレードA1(本発明)86.7部品、切削40.5分
グレードB(従来技術)46.7部品、切削21.8分
実施例4
インサートA1およびBを、焼き入れおよび焼き戻しされた鋼の溝切りで試験した。溝の外径Doは178mmであり、内径Diは172mmであり、溝の幅は3mmであった。
操作: 溝切り
被加工材: AISI 4340(SS 2541−03)
インサートスタイル: N123G2−0300−0003−TF
切削速度: 210m/分
溝切りの送り: 0.12mm/r
切込み深さ: 3mm
サイクル当たりの時間:3分(1サイクルは30の溝切り)
冷却剤あり
結果:所定の逃げ面摩耗0.2mmでの工具寿命。
グレードA1は21.3サイクル運転し、切削の全時間は63.9分であった。
インサートBの工具寿命は11.3サイクルであり、33.9分で終了した。
実施例5
インサートA1およびBを、オーステナイトステンレス鋼部品の溝切りおよび旋削で試験した。第1の操作は外径45mmからの深さ2mmの溝切りであり、次いで棒鋼に沿って20mm旋削、次いで溝切りと逆向きの旋削を繰り返し、直径10.2mmまで加工した。
操作: 溝切りおよび旋削
被加工材: SANMAC 316L
インサートスタイル: N123H2−0400−0008−TM
切削速度: 180m/分
溝切りの送り: 0.15mm/r
旋削の送り: 0.15mm/r
部品当たりの時間: 27秒
冷却剤あり
仕上げた部品の数で表す結果および分で表す工具寿命
グレードA1(本発明)70部品、切削31.5分
グレードB(従来技術)51部品、切削23.3分
実施例6
インサートA1およびBを、Doが159mm、Diが140mm、幅が9.5mmである鋼の溝切りで試験した。
操作: 溝切り
被加工材: SN2039
インサートスタイル: N123L2−0800−RM
切削速度: 150〜130m/分
送り: 0.3mm/r
部品当たりの時間: 90秒
冷却剤あり
仕上げた部品の数で表す結果および分で表す工具寿命
グレードA1(本発明)71部品、切削106.5分
グレードB(従来技術)34部品、切削51分
実施例7
インサートA1およびBを、鋼C40、硬度190〜250HBの内径ねじ切り、M24×1.5、長さ24mmで試験した。
操作: 内径ねじ切り
被加工材: C40
インサートスタイル: R166.OL−16MM01−150
切削速度: 115m/分
パス数: ねじ山当たり7
冷却剤あり
ねじ山の数で表す結果
グレードA1(本発明): 580ねじ山
グレードB(従来技術): 430ねじ山
実施例8
インサートA2およびBを、Do177.9mmからDi165.8mmへの鋼のねじ切りで試験した。ねじ山の幅は12.45mmであった。
操作: ねじ切り
被加工材: 16MnCr5
インサートスタイル: N123H2−0400−0004−TF
切削速度: 255m/分
送り: 0.15mm/r
部品当たりの時間: 17秒
冷却剤あり
部品数で表す結果および所定の表面仕上げでの分で示す工具寿命
グレードA2(本発明):107部品、切削30.3分
グレードB(従来技術):75部品、切削21.3分
実施例9
インサートA2およびBを、Do20mmから中心への棒鋼の突切りで試験した。
操作: 突切り
被加工材: 42CrMo4、硬度320HB
インサートスタイル: N123G2−0300−0002−CM
切削速度: 100m/分から0m/分
送り: 0.15mm/r、直径3mmからf=0.05mm/r
部品当たりの時間: 4秒
冷却剤あり
部品の数で表す結果および分で示す工具寿命:
グレードA2(本発明): 6200部品、切削413分
グレードB(従来技術): 3600部品、切削240分
実施例10
インサートA2およびBを、Do36mmからDi17mmへの鋼管の突切りで試験した。
操作: 管の突切り
被加工材: 42CD4、硬度300HB
インサートスタイル: N123G2−0300−0003−CR
切削速度: 150m/分
送り: 0.1mm/r
部品当たりの時間: 3.2秒
冷却剤あり
部品の数で表す結果および分で示す工具寿命:
グレードA2(本発明): 1159部品、切削61.8分
グレードB(従来技術): 754部品、切削40.2分
実施例11
インサートA2およびBを、Do120mmからDi115mmへの鋼管の突切りで試験した。
操作: 管の突切り
被加工材: SAE1010、硬度110HB
インサートスタイル: N123G2−0300−0003−CR
切削速度: 226m/分から216m/分
送り: 0.15mm/r
部品当たりの時間: 1.67秒
冷却剤あり
部品の数で表す結果および分で示す工具寿命:
グレードA2(本発明): 700部品、切削19分
グレードB(従来技術): 580部品、切削16分
実施例12
インサートA2およびBを、20mmインコネルピンの突切りで試験した。
操作: ピンの突切り
被加工材: インコネル718
インサートスタイル: N123G2−0300−0002−CM
切削速度: 20m/分
送り: 0.07から0.03mm/r
冷却剤あり
部品の数で表す結果:
グレードA2(本発明): 100ピン
グレードB(従来技術): 85ピン
Claims (26)
- 基材および被膜を含んでなる、鋼およびステンレス鋼の突切り、溝切りおよびねじ切りのための切削工具インサートであって、
前記基材が、WC、7.5〜10.5重量%のCo、0.7〜1.1重量%のCrおよび100〜300ppmのTiを含んでなり、CW_Cr比が0.77〜0.97であり、保磁力が21〜27kA/mであって、前記CW_Cr比は下記のとおり定義され、
CW_Cr=(磁性Co%+1.13×Cr重量%)/Co重量%
上記式において、磁性Co%は磁性Coの重量パーセンテージであり、Cr重量%は超硬合金中のCrの重量パーセンテージであり、Co重量%は超硬合金中のCoの重量パーセンテージであり、
前記被膜が、異なるAl/Ti比を持つ2つの(Ti,Al)N層を含み、該2つの(Ti,Al)N層は、厚さが0.3〜2.5μmで、y=0.4〜0.67の内部AlyTi1-yN層と、厚さが0.5〜5.0μmで、w=0.15〜0.35の外部AlwTi1-wN層である
ことを特徴とする切削工具インサート。 - 前記基材が8.5〜9.5重量%のCoを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の切削工具インサート。
- 前記基材が0.8〜1.0重量%のCrを含んでなることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の切削工具インサート。
- 前記基材が200〜260ppmのTiを含んでなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の切削工具インサート。
- 前記基材のCW_Cr比が0.82〜0.92であり、保磁力が22〜26kA/mであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具インサート。
- y=0.45〜0.60、w=0.20〜0.30であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の切削工具インサート。
- 前記内部AlyTi1-yN層の厚さが0.5〜2.0μmであり、前記外部AlwTi1-wN層の厚さが1.0〜4.0μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の切削工具インサート。
- 前記基材中のTiが、Ti/Ta重量比が0.8以上であるが1.7以下に、部分的にTaにより置換されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の切削工具インサート。
- 前記内部層が、各個別の層の厚さが0.1〜20nmである、z=0.55〜0.70、v=0.35〜0.53のAlzTi1-zNおよびAlvTi1-vNの交互の層からなる非周期的積層被膜であり、
かつ/または
前記外部層が、各個別の層の厚さが0.1〜20nmである、m=0〜0.2、n=0.35〜0.53、k=0.55〜0.70のAlmTi1-mN、AlnTi1-nNおよびAlkTi1-kNの交互の層を持つ非周期的な積層被膜からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の切削工具インサート。 - z=0.6〜0.67およびv=0.40〜0.50であることを特徴とする請求項9に記載の切削工具インサート。
- m=0〜0.1、n=0.40〜0.50およびk=0.6〜0.67であることを特徴とする請求項9〜10のいずれかに記載の切削工具インサート。
- 前記内部層および外部層の両方が非周期的積層被膜からなり、各個別層の厚さが1〜10nmであることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の切削工具インサート。
- 厚さ0.05〜0.2μmのTiNからなる最内部の接着層を特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の切削工具インサート。
- 超硬合金基材および被膜からなる被覆切削工具インサートを製造する方法であって、
WC、7.5〜10.5重量%のCo、0.7〜1.1重量%のCrおよび100〜300ppmのTiを含んでなり、CW_Cr比が0.77〜0.97および保磁力が21〜27kA/mの基材を、従来の粉末冶金技術、混練、加圧成形および焼結により準備する工程であって、前記CW_Cr比が以下のとおり定義されるが、
CW_Cr=(磁性Co%+1.13×Cr重量%)/Co重量%
前式において、磁性Co%は磁性Coの重量パーセンテージであり、Cr重量%はCrの重量パーセンテージであり、Co重量%は超硬合金中のCoの重量パーセンテージである工程、および
異なるAi/Ti比を持つ2つの(Ti,Al)N層:厚さが0.3〜2.5μmのy=0.4〜0.67の内部AlyTi1-yN層および厚さが0.5〜5.0μmのw=0.15〜0.35の外部AlwTi1-wN層を含んでなる被膜を陰極アーク蒸着またはマグネトロンスパッタリングにより堆積させる工程を特徴とする被覆切削工具インサートの製造方法。 - 前記基材が8.5〜9.5重量%のCoを含んでなることを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 前記基材が0.8〜1.0重量%のCrを含んでなることを特徴とする請求項14〜15のいずれかに記載の方法。
- 前記基材が200〜260ppmのTiを含んでなることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の方法。
- 前記基材のCW_Cr比が0.82〜0.92であり、保磁力が22〜26kA/mであることを特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載の方法。
- 前記内部AlyTi1-yN層に対してy=0.45〜0.60、前記外部AlwTi1-wN層に対してw=0.20〜0.30であることを特徴とする請求項14〜18のいずれかに記載の方法。
- 前記内部AlyTi1-yN層の厚さが0.5〜2.0μmであり、前記外部AlwTi1-wN層の厚さが1.0〜4.0μmであることを特徴とする請求項14〜19のいずれかに記載の方法。
- 前記基材中のTiが、Ti/Ta重量比が0.8以上であるが1.7以下に、部分的にTaにより置換されていることを特徴とする請求項14〜20のいずれかに記載の方法。
- 前記内部層が、各個別の層の厚さが0.1〜20nmである、z=0.55〜0.70、v=0.35〜0.53のAlzTi1-zNおよびAlvTi1-vNの交互の層からなる非周期的積層被膜であり、かつ/または、前記外部層が、各個別の層の厚さが0.1〜20nmである、m=0〜0.2、n=0.35〜0.53、k=0.55〜0.70のAlmTi1-mN、AlnTi1-nNおよびAlkTi1-kNの交互の層を持つ非周期的な積層被膜からなることを特徴とする請求項14〜21のいずれかに記載の方法。
- z=0.6〜0.67およびv=0.40〜0.50であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
- m=0〜0.1、n=0.40〜0.50およびk=0.6〜0.67であることを特徴とする請求項21〜22のいずれかに記載の方法。
- 切削速度30〜400m/分および送り0.05〜0.6mm/revでの、湿潤条件下での鋼およびステンレス鋼の突切り、溝切りおよびねじ切りのための、請求項1〜13のいずれかによるインサートの使用。
- 切削速度15〜100m/分および送り0.02〜0.3mm/revでの、湿潤条件下でのHRSAの突切り、溝切りおよびねじ切りのための、請求項1〜13のいずれかによるインサートの使用。
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