JP2009033908A - 回転電機及びその製造方法 - Google Patents

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Akinori Kamiya
昭範 神谷
Tokuaki Hino
徳昭 日野
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文男 田島
Yoshitoshi Ishikawa
芳壽 石川
Teruyoshi Abe
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Abstract

【課題】
鉄損を低減できる車両用回転電機、例えば車両駆動用回転電機を提供する。
【解決手段】
多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心205と、固定子鉄心205に巻装された固定子巻線204とを有する固定子200と、固定子200に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心207を有する回転子201とを備えており、回転子鉄心207を構成する各鋼板は板厚が0.08〜0.30mmの値であり、エッチング加工により成形されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、回転電機及びその製造方法に関する。
近年、発電機能あるいは回転トルク発生機能を有する回転電機は、エネルギー消費量を少なくしたいとの社会的ニーズに応えるため、さらなる効率向上が求められている。回転電機の効率を低下させる要因として、例えば、回転電機の固定子を構成する固定子鉄心あるいは回転子を構成する回転子鉄心の鉄損があり、これらの鉄損を更に少なくすることで、回転電機の効率を向上させることができる。
鉄損には渦電流損とヒステリシス損とがある。渦電流損は上記回転電機の磁気回路を構成する鉄心内に、磁束の変化に基づく電流が生じることに起因する損失である。固定子鉄心や回転子鉄心に薄い鋼板を使用しこれら鋼板を積層構造とすることにより、渦電流を少なくし、渦電流損を少なくすることができる。モータの鉄損に関する技術は特許文献1に記載されている。
また上記ヒステリシス損は、交番磁界により磁心の磁区が向きを変えるときに生じる損失であり、ヒステリシス曲線の内側の面積に依存する。鉄損におけるヒステリシス損について更に特許文献2に記載されている。
尚、薄板状強磁性体を加工する方法としてプレス打ち抜き加工やエッチング加工を使用できるとの記載は以下の特許文献3や4に記載されている。
特開2002−006009号公報 特開平11−318063号公報 特開2004−281737号公報 特開2000−197320号公報
上記渦電流損を少なくするために上記積層構造の各鋼板の厚みを薄くすると、上述の如く渦電流損が減少する。しかし一般に上記各鋼板はパンチング加工等による切断加工により成形される。各鋼板の厚みを薄くするとパンチング加工等による切断加工が為難くなる。例えばパンチング加工による切断部分近傍は引きちぎられた形状となり、この部分の磁気特性が劣化する。このような現象により、鋼板の厚みを薄くすると上記ヒステリシス損が増加する問題がある。このため渦電流損が減少してもヒステリシス損が増加し、結局鉄損があまり減少しない問題がある。回転電機の効率向上には渦電流損とヒステリシス損との両方の損失を考慮して鉄損を削減することが望ましい。
なお、上記特許文献1や2では、薄電流損とヒステリシス損の両方損失である鉄損を加工方法の観点からの検討が無い。
以下の実施例では薄板状強磁性体の加工方法としてエッチング加工を使用するが、特許文献3や4では単なる加工手段の一つとして記載しているのみで、鉄損の関係での検討は為されていない。
自動車用の回転電機では固定子あるいは回転子の、あるいは固定子や回転子の両方の鉄損を低減し、回転電機の効率を更に高めることが要求されている。また自動車用の回転電機は高速回転で使用される場合があり、さらに高温状態である温度条件の厳しい環境で使用される。高速回転では渦電流損が増大し、薄板状強磁性体の厚さを薄くして渦電流損を少なくし、更にヒステリシス損の増大を抑えることが望ましい。さらに鉄損は薄板状強磁性体の発熱の増加に繋がるので、効率を上げることが回転電機の温度上昇を抑えることにもなる。
本発明は、鉄損を低減できる車両用回転電機、例えば車両駆動用回転電機を提供することにある。
本発明の一つの特徴は次の構成の回転電機である。多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心を有する回転子とを備えており、前記回転子鉄心を構成する各鋼板は板厚が0.08〜0.30mmの値であり、エッチング加工により成形されていることを特徴とする回転電機。
本発明の他の特徴は次の構成の回転電機である。多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心を有する回転子とを備えており、前記回転子鉄心あるいは固定子鉄心を構成する各鋼板がCが0.001〜0.060重量%、Mnが0.1〜0.6重量%、Pが0.0.03重量%以下、Sが0.03重量%以下、Crが0.1重量%以下、Alが0.8重量%以下、Siが0.5〜7.0重量%、Cuが0.01〜0.20重量%含有し、残部が不可避な不純物とFeとからなる電磁鋼板であり、エッチング加工により成形されていることを特徴とする回転電機。
本発明のさらに他の特徴は次の構成の回転電機である。多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心と極を作る永久磁石とを有する回転子とを備えており、上記極は偶数個存在し、局と隣の極との間には補助磁極が形成され、上記補助磁極の固定子側中央にはエッチング加工により成形された孔またはスリットが形成されていることを特徴とする車両駆動用回転電機。
本発明のさらに他の特徴は次の構成の回転電機である。多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心と極を作る永久磁石とを有する回転子とを備えており、上記極は偶数個存在し、局と隣の極との間には補助磁極が形成され、上記回転子を構成する鋼板の上記補助磁極の固定子側中央部に他の部分の鋼板厚さより薄く成形した凹部を設けたことを特徴とする車両駆動用回転電機。
本発明のさらに他の特徴は次の構成の回転電機である。多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心と極を作る永久磁石とを有する回転子とを備えており、上記極は偶数個存在し、局と隣の極との間には補助磁極が形成され、上記回転子を構成する鋼板の、上記永久磁石の固定子側に位置する鋼板部分と補助磁極との間の部分にエッチング加工により孔またはスリットを設けたことを特徴とする車両駆動用回転電機。
本発明のさらに他の特徴は次の構成の回転電機である。多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心と極を作る永久磁石とを有する回転子とを備えており、上記極は偶数個存在し、局と隣の極との間には補助磁極が形成され、上記回転子を構成する鋼板の、上記永久磁石の固定子側に位置する鋼板部分と補助磁極との間に他の部分の鋼板厚さより薄く成形した凹部を設けたことを特徴とする車両駆動用回転電機。
他の特徴は実施の形態の説明の中で述べる。
本発明によれば、車両用、例えば車両駆動用回転電機の鉄損を低減することができる。
[第1実施例]
本発明における車両駆動用回転電機の一実施形態として、永久磁石式回転電機が搭載されたハイブリッド型の電気自動車について説明する。尚、本発明による回転電機は、純粋な電気自動車にもハイブリッド型の電気自動車にも適用できるが、以下代表してハイブリッド型の電気自動車の実施例を説明する。このハイブリット型の電気自動車に用いられる回転電機は、固定子巻線に電流を通電して回転子を回転させることでモータとして機能させる駆動モードと、回転子を回転させることで発電機として機能させる発電モードとが切り換えられるようになっている。一般的には、このような装置をモータジェネレーターと呼んでいる。図1は、ハイブリット型電気自動車を示す構成図である。
ハイブリッド型電気自動車1には、エンジン101と第1の回転電機102と第2の回転電機103と、第1の回転電機102と第2の回転電機103に高電圧、例えば数百ボルトの直流電力を供給するあるいは第1の回転電機102と第2の回転電機103から高電圧の直流電力を受けるバッテリ104が搭載されている。さらに14ボルト系電力である低電圧電力を供給するバッテリがこの車両に搭載されており、以下に説明する制御回路に低電圧の直流電力を供給するが、この低電圧電力を供給するバッテリの図示を省略する。
エンジン101および第1の回転電機102と第2の回転電機103に基づく回転トルクは、変速機105とデファレンシャルギア106に伝達され、前輪107に伝達される。変速機105を制御する変速機制御装置108とエンジン101を制御するエンジン制御装置109と電力変換装置110を制御する回転電機制御回路とリチュームイオン電池などのバッテリ104を制御するバッテリ制御装置111と統合制御装置112とが、それぞれ通信回線113によって接続されている。
統合制御装置112は、統合制御装置112より下位の制御装置である変速機制御装置108やエンジン制御装置109や電力変換装置110やバッテリ制御装置111から、それぞれの状態を表す情報を通信回線113を介して受け取る。これらの情報に基づき、統合制御装置112によって各制御装置の制御指令が演算され、統合制御装置112から各制御装置への制御指令が通信回線113を介してそれぞれの制御装置へ送信される。例えば、バッテリ制御装置111はリチュームイオン電池であるバッテリ104の放電状況やリチュームイオン電池を構成する各単位セル電池の状態をバッテリ104の状態として統合制御装置112に通信回線113を介して報告する。
統合制御装置112は上記報告からバッテリ104の充電が必要と判断すると、電力変換装置110に発電運転の指示を出す。統合制御装置112はまたエンジン101と第1や第2の回転電気102,103の出力トルクを管理し、エンジン101と第1や第2の回転電機102,103の出力トルクの総合トルクあるいはトルク分配比を演算処理し、処理結果に基づく制御指令を変速機制御装置108やエンジン制御装置109や電力変換装置110へ送信する。トルク指令に基づき電力変換装置110は第1の回転電機102と第2の回転電機103を制御し、どちらか一方の回転電機であるいは両方の回転電機で指令のトルク出力を、あるいは発電電力を発生するようにこれらの回転電機を制御する。
電力変換装置110は統合制御装置112からの指令に基づき第1の回転電機102と第2の回転電機103を運転するためにインバータを構成するパワー半導体のスイッチング動作を制御する。これらパワー半導体のスイッチング動作により、第1の回転電機102と第2の回転電機103が電動機としてあるいは発電機として運転される。
電動機として運転する場合は高電圧のバッテリ104からの直流電力が前記電力変換装置110のインバータの直流端子に供給される。インバータを構成するパワー半導体のスイッチング動作を制御することにより上記供給された直流電力が3相交流電力に変換され、回転電機102あるいは103に供給される。一方第1の回転電機102あるいは第2の回転電機103が発電機として運転される場合、回転電機102あるいは103の回転子が外部から加えられる回転トルクで回転し、この回転トルクに基づき前記回転電機の固定子巻線に3相交流電力を発生する。発生した3相交流電力は前記電力変換装置110で直流電力に変換され、直流電力が前記高電圧のバッテリ104に供給され、前記バッテリ104が直流電力により充電される。
図1に示すとおり、電力変換装置110は、直流電源の電圧変動を押える複数の平滑用のコンデンサモジュールと、複数のパワー半導体を内蔵するパワーモジュールと、このパワーモジュールのスイッチング動作を制御するスイッチング駆動回路および前記スイッチング動作の時間幅を決める信号すなわちパルスワイドモデュレーションの制御を行うPWM信号を発生する回路を備えた回転電機制御回路から構成されている。
高電圧のバッテリ104はリチュームイオン電池あるいはニッケル水素電池などの2次電池であり、250ボルトから600ボルト、あるいはそれ以上の高電圧の直流電力が前記2次電池に充電され、あるいは前記2次電池から出力される。
図2は図1に示す電力変換装置110の回路図である。電力変換装置110には第1の回転電機102のための第1のインバータ装置と第2の回転電機103のための第2のインバータ装置とが設けられている。第1のインバータ装置は、第1のパワーモジュール114と第1のパワーモジュール114における各パワー半導体21のスイッチング動作を制御する第1の駆動回路115と回転電機102の電流を検知する電流センサ116と以下に説明する第2のインバータ装置と共通に使用される制御回路117とコネクタ基板118に実装された送受信回路119やコンデンサジュール120を備えている。なお、駆動回路115は駆動回路基板121に設けられており、制御回路117は制御回路基板122に設けられている。
第2のインバータ装置は、第2のパワーモジュール123と第2のパワーモジュール123における各パワー半導体21のスイッチング動作を制御する第2の駆動回路124と回転電機103の電流を検知する電流センサ125と第1のインバータと共通に使用される制御回路117と送受信回路119とコンデンサジュール120とを備えている。第2の駆動回路124は第2の駆動回路基板126に実装されており、また制御回路117は回転電機制御回路基板122に実装されており、送受信回路119はコネクタ基板118に実装されている。
第1のパワーモジュール114と第2のパワーモジュール123は、それぞれ対応する第1の駆動回路115および第2の駆動回路124とから出力された駆動信号によって動作し、高電圧バッテリ104から供給された直流電力を三相交流電力に変換し、その電力を対応する回転電機102や103の電機子巻線に供給する。また回転電機102や103の電機子巻線である固定子巻線に誘起された交流電力を直流に変換して高電圧バッテリに供給する。
第1のパワーモジュール114および第2のパワーモジュール123は、図2に記載のごとく3相ブリッジ回路を備えており、3相に対応した直列回路がそれぞれバッテリ104の正極側と負極側との間に電気的に並列に接続されている。各直列回路は上アームを構成するパワー半導体と下アームを構成するパワー半導体とを備え、上アームのパワー半導体21と下アームを構成するパワー半導体21とは直列に接続されている。第1のパワーモジュール114と第2のパワーモジュール123とは図2に示す如く、回路構成がほぼ同じであり、第1のパワーモジュール114で代表して説明する。本回路では、スイッチング用パワー半導体素子としてIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)21を用いている。IGBT21は、コレクタ電極,エミッタ電極及びゲート電極の3つの電極を備えている。IGBT21のコレクタ電極とエミッタ電極との間にはダイオード38が電気的に接続されている。ダイオード38は、カソード電極及びアノード電極の2つの電極を備えており、IGBT21のエミッタ電極からコレクタ電極に向かう方向が順方向となるように、カソード電極がIGBT21のコレクタ電極に、アノード電極がIGBT21のエミッタ電極にそれぞれ電気的に接続されている。
スイッチング用パワー半導体素子としてはMOSFET(金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ)を用いてもよい。MOSFETは、ドレイン電極,ソース電極及びゲート電極の3つの電極を備えている。尚、MOSFETは、ソース電極とドレイン電極との間に、ドレイン電極からソース電極に向かう方向が順方向となる寄生ダイオードを備えているので、図2のダイオード38を設ける必要がない。
各相のアームはIGBT21のソース電極とIGBT21のドレイン電極が電気的に直列に接続されて構成されている。尚、本実施例では、各相の各上下アームのIGBTを1つしか図示していないが、制御する電流容量が大きいので、実際には複数のIGBTが電気的に並列に接続されて構成されている。以下説明を簡単にするため、1個のパワー半導体として説明する。
図2に示す実施例では、各相の各上下アームはそれぞれ3個のIGBTによって構成している。各相の各上アームのIGBT21のドレイン電極はバッテリ114の正極側に、各相の各下アームのIGBT21のソース電極はバッテリ104の負極側それぞれ電気的に接続されている。各相の各アームの中点(上アーム側IGBTのソース電極と下アーム側のIGBTのドレイン電極との接続部分)は、対応する回転電機102や103の対応する相の電機子巻線に電気的に接続されている。
第1駆動回路115と第2の駆動回路124は、対応するインバータ装置114や123を制御するための駆動部を構成しており、制御回路117から出力された制御信号に基づいて、IGBT21を駆動させるための駆動信号を発生する。それぞれの駆動回路115や124で発生した駆動信号は、対応する第1のパワーモジュール114や第2のパワーモジュール123における各パワー半導体のゲートにそれぞれ出力される。各相の各上下アームのゲートに供給する駆動信号を発生する2組の回路を1つの集積回路としている。駆動回路115や124はそれぞれ、6個の上記集積回路を有しており、これら6個の集積回路を収めて1ブロックとして駆動回路115や124を構成している。
制御回路117は各インバータ装置114や123の制御部を構成しており、複数のスイッチング用パワー半導体素子を動作(オン・オフ)させるための制御信号(制御値)を演算するマイクロコンピュータによって構成されている。制御回路117には、上位制御装置からのトルク指令信号(トルク指令値),電流センサ116や125及び回転電機102や103に搭載された回転センサが検知した信号(センサ出力)が入力されている。制御回路117はそれらの入力信号に基づいて制御値を演算し、駆動回路115や124にスイッチングタイミングを制御するための制御信号を出力する。
コネクタ基板118に実装された送受信回路119は、電力変換装置110と外部の制御装置との間を電気的に接続するためのもので、図1の通信回線113を介して他の装置と情報の送受信を行う。
コンデンサジュール120は、IGBT21のスイッチング動作によって生じる直流電圧の変動を抑制するための平滑回路を構成するためのものであり、第1のパワーモジュール114や第2のパワーモジュール123における直流側の端子に電気的に並列に接続されている。
図3は、図1と図2に記載の回転電機102あるいは103の断面図である。回転電機102と103とはほぼ同じ構造であり、回転電機102の構造をこれらの代表例して図3及び図4を用いて説明する。図4は、図3に固定子200および回転子201のA−A断面であり、わかり易くなるようハウジング202,シャフト203,固定子巻線204を省略して記載している。
ハウジング202の内部に固定子200が保持されており、固定子200は固定子鉄心205と固定子巻線204とを備えている。固定子鉄心205の内側面に対して空隙206を介して回転子201が配置されている。回転子201は回転子鉄心207と永久磁石215とを備えており、回転子鉄心207はシャフト203に固定されている。ハウジング202はシャフト203の回転軸方向の両側にエンドブラケット209をそれぞれ有しており、前記回転子鉄心207を有するシャフト203はエンドブラケット209のそれぞれに軸受210により回転自在に保持されている。
シャフト203には回転子の極の位置を検出する回転子位置センサ211と回転子の回転速度を検出する回転速度センサ212とが設けられている。これらのセンサ211と212からの出力は図2に示す制御回路117に取り込まれ、これらセンサの出力に基づいてパワーモジュール114が制御される。
図4は図3に示す固定子200および回転子201のA−A断面図を示す。図4により図3に示す固定子200および回転子201の具体的な構造を説明する。固定子200は固定子鉄心205を有しており、固定子鉄心205は周方向に均等に多数のスロット213とティース214とを有しており、スロット213には分布巻された固定子巻線204が設けられている。図4で、固定子の回転子側には全周に渡ってティース214とスロット213が設けられている。尚、これら全てに符号を付すことはせず、代表して一部のティースとスロットにのみに符号を付した。
また、回転子鉄心207には永久磁石215を挿入する永久磁石挿入孔216が設けられており、上記永久磁石挿入孔216に永久磁石215が挿入されている。永久磁石215の磁化方向は、磁石の固定子200側面がN極またはS極となる方向で、回転子201の極毎に磁化方向が反転している。回転子の極数は偶数であり、回転子の周方向に等間隔で配置されている。本実施例では回転子の各極は一個の永久磁石215を有しているが、複数個の永久磁石を有していても良い。この場合も極毎に磁化方向が反転しており、各局を構成する複数の永久磁石は同じ磁化方向である。磁極を構成する複数の永久磁石は、例えば固定子側の磁石端がそれぞれ周方向に広がりシャフト203側の磁石端が互いに接近している関係に配置されている。
上述のとおり本実施例では、永久磁石215の1つが回転子201の1つの極として作用する。これらの永久磁石215を備えた回転子201の極は回転子201の周方向に等間隔に配置されており、この実施形態では8極である。しかし8極に固定されるものではなく、10極以上30極まで、場合によってはそれ以上であっても良く、回転電機に要求される出力などの条件により極数が定まる。また極数を多くすると磁石数が増大し、作業性が低下する。回転子201の各極として作用する永久磁石215の固定子200側に存在する回転子鉄心207の部分は磁極片217として作用し、永久磁石215が発生する磁力線はこの磁極片217を通して固定子鉄心205に出入りする。
上述したとおり、回転子201の極として作用する永久磁石215は極毎に逆方向に磁化されており、ある極の永久磁石215がその固定子200側がN極でそのシャフト203側がS極となるように磁化されているとすると、その両隣の極として作用する永久磁石215はその固定子200側がS極でそのシャフト203側がN極となるように磁化されている。回転子201の極と極との間にはそれぞれ補助磁極218として作用する部分が存在し、各補助磁極218には固定子巻線によって発生する磁束が通る。これら補助磁極218を通るq軸磁束と磁石を通るd軸磁束の磁気回路の磁気抵抗の差でリラクタンストルクを発生する。各補助磁極218と各磁極片217との間にはそれぞれブリッジ部219と220とが存在し、このブリッジ部219と220では磁気的な空隙221と222とにより磁気回路の断面積が狭められている。このため各ブリッジ部219と220では磁気飽和現象が起こり、磁極片217と補助磁極218との間を通るすなわちブリッジ部219と220を通る磁束量が所定量以下に押えられる。これらにより永久磁石215の固定子側からブリッジ部219と220を通って永久磁石軸側に向かう磁束量が少なく押さえられ、結果として回転電機の効率が向上する。また回転子の表面を出入りする磁束密度が永久磁石215と補助磁極218との境界で急変するのを防ぐことができ、トルク脈動を少なくできる効果がある。補助磁極218を挟んで両側の永久磁石215の極性が反転しているが、補助磁極218を介して隣接する永久磁石間で短絡する磁束がほとんど生じない。この理由は永久磁石から固定子を介して隣の極の永久磁石を通る磁気回路であるd軸磁束の磁気抵抗が、補助磁極218を介して隣の極の永久磁石を通る磁気回路の磁気抵抗より小さいからである。逆に補助磁極218を介して隣の極の永久磁石を通る磁気回路の磁気抵抗が大きい要因は、補助磁極218の周方向幅が広いことや上記ブリッジ部219と220が狭いことである。
図3および図4の回転電機で、回転子の上記回転速度センサ211と上記回転子位置センサ212との出力に基づき、図2に記載のインバータ装置のスイッチング動作が制御され、バッテリ104から供給された直流電力を3相交流電力に変換する動作が制御される。この3相交流電力は図3や図4に示す固定子巻線204に供給あるいは固定子巻線204から受け取る。上記回転速度センサ211の検出値に基づいて3相交流電流の周波数が制御され、上記回転子位置センサ212の検出値に基づいて上記3相交流電流の回転子に対する位相が制御される。
上記位相と周波数に基づく回転磁界が上記3相交流電流により固定子200に発生する。固定子200の回転磁界が回転子201の永久磁石215に作用して回転子201に永久磁石215に基づくd軸の磁石トルクが生じる。また上記回転磁界が回転子201に作用し、上記永久磁石215を通る磁気回路と補助磁極218を通る磁気回路との磁気抵抗の差に基づき回転子201にリラクタンストルクを発生する。回転子201の回転トルクは上記永久磁石215に基づく磁石トルクと上記補助磁極218に基づくリラクタンストルクの両トルクに基づいて定まる値となる。
上記リラクタンストルクは、固定子巻線204が発生する回転磁界が永久磁石215を通る磁気抵抗と上記補助磁極218を通る磁気抵抗との差によって発生するので、図2に示すインバータ装置は、固定子巻線204による電機子起磁力の合成ベクトルを補助磁極218の中心位置より回転方向の進み側になるように制御し、回転子201の補助磁極218に対する回転磁束の進み側位相によりリラクタンストルクを発生する。
このリラクタンストルクは回転電機の始動状態や低速運転状態において、永久磁石215による磁石トルクに加算される方向の回転トルクを回転子201に発生するので、磁石トルクとリラクタンストルクの加算トルクが回転電機の出力トルクとなる。従って、リラクタンストルクに相当するトルクを大きくすることで、磁石トルクが発生するトルクを小さくすることができる。磁石トルクを少なくすることは永久磁石215の起磁力を下げることができる。永久磁石215の起磁力を下げることにより、回転電機の高速運転時の永久磁石215による誘起電圧を抑えることができ、高速回転時の回転電機への電力供給が容易となる。さらに永久磁石の磁石量を少なくできる効果がある。希土類永久磁石は価格が高いので使用磁石量を少なくできることは経済的な観点でも望ましい。
また、ハイブリッド型電気自動車1は、図5に示すような運転パターンで制御される。ハイブリッド型電気自動車1では、高回転領域において永久磁石215による誘起電圧を低減させるため、永久磁石215に向かい合う方向d軸にステータ電流を流し永久磁石215の磁束を弱める弱め界磁制御を行っている。
上記固定子巻線204が発生する回転磁界を回転子の磁極に対して進み側に制御すると回転電機は上述のようにトルクを出力し電動機として作用する。一方固定子巻線204が発生する回転磁界を回転子の磁極に対して遅れ側に制御すると上記回転電機は発電機として動作し、上記固定子巻線204からインバータ装置を介して電力がバッテリ104側に供給される。回転電機102や103を電動機として動作させるか発電機として動作させるかは、回転子201の磁極に対して進み位相の回転磁界を発生するようにインバータ装置を制御するか、逆に回転子201の磁極に対して遅れ位相で回転磁界が発生するようにインバータ装置を制御するかによって決まる。
次に図6〜図10に示すような回転子鉄心207及び固定子鉄心205を構成する鋼板及び鋼板の製造方法について説明する。
本実施例に用いられる鋼板は、厚さが0.08〜0.30mm、好ましくは、0.1〜0.2mm程度のものを用いている。一般的な回転子鉄心や固定子鉄心に用いられる鋼板は、0.30〜1.0mmであるので、従来の鋼板に比べて薄い板を用いている。また、鋼板の形状をエッチング加工によって成形している。ここでエッチング加工を行う箇所は、少なくとも固定子鉄心205における回転子201側端、もしくは、回転子鉄心207における固定子200側端が重要であるが、好ましくは、全体の形状をエッチング加工した方がよい。尚、エッチング加工の代表的な方法としてフォトエッチングによる加工がある。
従来、薄板状強磁性体を固定子鉄心の形状に成形するには一般的にパンチング加工やプレス打ち抜き加工(以下パンチング加工と記す)、を用いていた。このような加工では、鋼板の切断部の縁部が塑性変形してしまい、バリやダレ,つぶれ等の歪みが生じてしまう。このためヒステリシス損が非常に大きく、結果として鉄損が増大する。特に鉄損の内の渦電流損を少なくする目的で薄板状強磁性体の厚みを薄くすると、上記塑性変形の部分が広くなり、ヒステリシス損が増大する。その結果従来の加工方法、即ちパンチング加工では薄板状強磁性体を薄くしても鉄損全体はあまり減少せず場合によっては増加する。
本実施例では、鋼板の形状をエッチング加工にて成形しているので、鋼板の切断部の塑性変形がほとんど無く、磁気特性の劣化を抑えることができる。以下の実施例では、薄板状強磁性体の組成は、Cが0.001〜0.060重量%、Mnが0.1〜0.6重量%、Pが0.03重量%以下、Sが0.03重量%以下、Crが0.1重量%以下、Alが0.8重量%以下、Siが0.5〜7.0重量%、Cuが0.01〜0.20重量%を含有し、残部が不可避な不純物とFeとからなる。なお、不可避な不純物は、酸素や窒素のガス成分等である。そして、好ましくは、鋼板の組成は、Cが0.002〜0.020重量%、Mnが0.1〜0.3重量%、Pが0.02重量%以下、Sが0.02重量%以下、Crが0.05重量%以下、Alが0.5重量%以下、Siが0.8〜6.5重量%、Cuが0.01〜0.1重量%を含有し、残部が不純物とFeとからなる、結晶粒子を有する。上記材料は電磁鋼板であり、特に珪素を含んでいるのでいわゆる珪素鋼板と言われている。こうした珪素鋼板の組成を決定する際に、特に、鉄損を低減するという観点では、SiとAlとの含有量が重要である。こうした観点でAl/Siを規定した場合、この比が0.01〜0.60であることが好ましい。さらに好ましくはこの比が0.01〜0.20である。
なお、珪素鋼板における珪素の濃度は、0.8〜2.0重量%を用いるものと、4.5〜6.5重量%を用いるものとを、そのモータジェネレーターの種類によって、使い分けることができる。珪素の含有量を下げることによって、珪素鋼板の磁束密度は向上する。本実施例の場合は、1.8〜2.2Tとすることができる。珪素の含有量が少ない場合、圧延加工性が向上し、板厚を薄くすることができ、板厚を薄くすることにより、鉄損も減少する。一方、珪素の含有量が多い場合、圧延加工性の低下は珪素を圧延加工の後に含有させる等の工夫を施すことにより解決され、鉄損も減少する。
また、珪素鋼板に含有される珪素の分布は、珪素鋼板の厚み方向に対して、ほぼ均一に分散させてもよく、また、珪素の濃度を部分的に高くするように、珪素鋼板の厚み方向に対して、内部の濃度より表面部の濃度を高くすることも可能である。さらには、積層された鋼板と鋼板との間には、厚さが0.01〜0.2μmである絶縁被膜を有し、その絶縁被膜の厚さも、0.1〜0.2μm、好ましくは0.12〜0.18μmであるものと、0.01〜0.05μm、好ましくは0.02〜0.04μmであるものとを、そのモータジェネレーターの種類によって、使い分けることができる。
絶縁被膜の厚さが、0.1〜0.2μmである場合には、その絶縁被膜は、有機や無機の膜を用いることが好ましい。絶縁被膜の材料としては、有機材料,無機材料、これら材料が混合されたハイブリット材料を用いることができる。また、絶縁被膜の厚さが、0.01〜0.05μmである場合には、その絶縁被膜は、酸化被膜であることが好ましい。特に、鉄系の酸化被膜が好ましい。即ち珪素鋼板の板厚を薄くすることによって、絶縁被膜の厚さも薄くすることができるようになる。
従来の電磁鋼板の絶縁皮膜は、パンチング加工後でも絶縁性が維持できると同時に、パンチング加工性そのものを向上させるために潤滑性,鋼板の密着性,パンチング加工後の焼鈍における耐熱性,積層された電磁鋼鈑を溶接して鉄心を形成する際の溶接性等、絶縁性以外の特性も加味して、絶縁皮膜の厚みや成分が調整され、0.3μm程度の厚さが必要となっていた。しかしながら、本実施例で説明する薄肉化した珪素鋼板では、絶縁皮膜の厚さを薄くすることが好ましいことがわかった。
従来と同様な厚さの絶縁被膜を用いた場合、珪素鋼板が薄肉化したため、相対的に、絶縁皮膜の体積率が珪素鋼板の体積率に対して増加し、磁束密度が低下する恐れがあるからである。このように、本実施例で説明する薄肉化した珪素鋼板では、絶縁皮膜の厚さを薄くすることができる。
一般的に、電磁鋼板を薄くする場合、絶縁被膜は厚くする必要がある。しかしながら、本実施例では、こうした考え方とは異なり、電磁鋼板を薄くしても絶縁被膜を厚くする必要がなく、むしろ電磁鋼板と共に薄くすることが可能となる。したがって、積層鉄心密度も向上することになる。
回転速度と鉄損との関係には、回転速度が上昇すれば上昇するほど、磁束の交番周波数が高くなるため鉄損が増加する関係がある。ハイブリット型電気自動車1に用いられるモータジェネレーターは、回転速度が速く、鉄損が増加する傾向にある。この点を考慮して、珪素鋼板における珪素の含有量を検討する必要がある。
なお、珪素鋼板に含有される珪素は、溶解法により、電磁鋼板に均一的に添加してもよく、表面改質またはイオン注入,CVD(ケミカルベーパデポジット)などの方法により、電磁鋼板に局部的、特に表面部に添加してもよい。
電磁鋼板におけるエッチング加工は、鋼板にレジストを塗布し、成形したい形状を露光し、現像して、この形状に基づきレジストを除去し、エッチング液によりレジストの除去された箇所を溶解して成形したい形状に成形し、エッチング液による加工後、残ったレジストを除去することで行われる。
本実施例では、パンチング加工を使用せず、このようなエッチング加工を使用することにより、工業規模で大幅なコスト増を伴わずに、鉄心に用いる珪素鋼板の薄肉化を可能とし、低鉄損化を実現することができる。
また、本実施例では、鉄心の低鉄損化を実現するために、鉄損の小さい珪素鋼板を使用すると共に圧延加工をも考慮した珪素含有量の調整,珪素鋼板の圧延加工をも考慮した板厚の薄肉化,鉄心の形状に形成するエッチング加工の適用,積層された鉄心を構成する一枚一枚の珪素鋼板の低鉄損化,珪素鋼板と珪素鋼板との間に形成される絶縁皮膜を考慮した鉄心としての低鉄損化を考慮する。
金型を用いた打ち抜き加工法であるパンチング加工では、切断部近傍に加工硬化層や、バリやダレ(以下「バリ等」と呼称する)と称される塑性変形層が形成され、残留歪や残留応力が発生する。パンチング加工時に発生する残留応力は、分子磁石の配列の規則性を破壊し、すなわち磁区を破壊し、鉄損を著しく増大させ、残留応力を除去するための焼鈍工程が必要となる。焼鈍工程は、鉄心の製造コストの更なる増加をもたらすことになる。
本実施例では、こうしたパンチング加工を施さずに鉄心を形成するため、塑性変形層が形成されることもほとんどなく、残留歪や残留応力が発生することもない。従って結晶粒子の配列状態を乱すこともほとんど無く、分子磁石の配列、すなわち磁区の配列の損傷を防止でき、磁気特性であるヒステリシス特性の劣化を防止できる。
また、鉄心は、加工された珪素鋼板を積層して形成される。この珪素鋼板の残留歪や残留応力の発生を抑制することによって、鉄心としての磁気特性をさらに向上させることができる。
したがって、本実施例に係るモータジェネレーターは、低鉄損化,高出力化,小型軽量化を実現することができる。また、このモータジェネレーターに使用する電磁鋼板は、エッジ部分にバリ等がほとんどない良好なものである。
バリ等は、塑性変形層の一つで、切断部に沿って、鋼板の平面方向から空間方向に鋭利に突出するため、電磁鋼板の表面に形成される絶縁皮膜を破り、積層される鋼板の間の絶縁を破壊する場合がある。
また、こうした鋼板を積層する場合には、バリ等によって、積層される鋼板の間に不要な空隙が作られるため、積層鉄心密度の増加が阻害され、その結果、磁束密度が低下する。
電磁鋼鈑を積層後、鉄心を板厚方向に圧縮することで、バリ等を潰し、積層鉄心密度を向上させる方法が採られる場合もあるが、この場合、加圧圧縮によって残留応力が増加し、鉄損が増加する。さらに、バリ等による絶縁破壊の問題も残る。
本実施例で説明する鉄心は、バリ等がほとんど発生しないため、加圧圧縮することもなく、積層鉄心密度を向上させることができ、また、絶縁破壊を起こすこともない。したがって、鉄損も低減することができる。
鉄心に用いる電磁鋼板としての珪素鋼板において、珪素の含有量として6.5 重量%が、理論上、最も鉄損が低い。しかしながら、珪素の含有量が増えると圧延加工性やパンチング加工性が著しく悪くなる。このため、多少鉄損が高いものであっても、圧延加工性やパンチング加工性を考慮して、珪素鋼板における珪素の含有量として約3.0 重量%が主流である。
本実施例で説明する珪素鋼板は、板厚を0.3mm 以下と薄肉化することができるため、珪素の含有量を2.0重量%以下としても、鉄損が低いものとなる。
従来、板厚0.3mm 以下の薄肉化した珪素鋼板の製造には、圧延,焼鈍等の特別の工程が必要であったが、本実施例で説明する珪素鋼板は、こうした特別の工程を必要としないため、薄肉化した珪素鋼板の製造コストも低減可能である。なお、鉄心の製造に関しては、パンチング加工を必要としないため、更なる製造コストの低減が可能である。
なお、鉄心の主力材料である珪素鋼板とは別に、極薄電磁材料として特殊な用途で限定的に使用される極めて高価なアモルファス材料が知られているが、アモルファス材料は、溶融金属を急速に凝固させ箔体として製造される特殊なプロセスを有するため、0.05mm厚程度またはこれ以下の超薄肉で300mm幅程度の極少量の製造が可能である。しかしこれ以上の板厚や板幅の材料の製造は工業規模では不可能とされている。このようにアモルファス材料は、硬く脆い材質で薄すぎるため、パンチング加工ができず、化学成分の制限から磁束密度が低いなどの理由のため鉄心の材料としては主力となり得ない。本実施例で説明する電磁鋼鈑は、このようなアモルファス材料とは異なり、結晶粒子を有するものである。本実施例で説明する電磁鋼鈑は、パンチング加工により結晶粒子が破損し、磁気特性が劣化するのを防止するためにエッチング加工を行うものである。また、本実施例における電磁鋼板は、低鉄損化に有利な薄肉化,歪の低減,高出力化,小型軽量化に有利な寸法精度の向上と、高磁束密度化に有利な鉄心積層密度の向上と、を同時に実現させるものでもある。つまり、本実施例によれば、低鉄損失と共に、高出力化,小型軽量化を実現できる鉄心を、提供することができる。
電磁鋼板の板厚と鉄損との関係を図6に示す。板厚と鉄損との間には、図6に示す如く、板厚が厚くなれば厚くなるほど、鉄損が高くなるという関係があることがわかる。このうち一般的に用いられる珪素鋼板の板厚は、圧延加工やパンチング加工性を考慮して、0.50mmと0.35mmとの2種類である。鉄心の製造に広く用いられるこの2種類の板厚の珪素鋼板では、鉄損を低減するため、圧延と焼鈍とを施す必要がある。また、更なる薄肉化を実現するためには、対象となる鉄心の形状や大きさで繰り返す回数は異なるが、こうした圧延と焼鈍とを繰り返す必要がある。このように、一般的に用いられる珪素鋼板では、薄肉化を実現するために、圧延,焼鈍等の特別の工程を追加して製造する必要があり、製造コストが高くなる。
本実施例で説明する鉄心は、製造コストも低減でき、鉄心の加工上の問題も解決することができるため、工業規模での大量生産が可能となる。本実施例では、0.08〜0.30mmの板厚の珪素鋼板を使用するものである。なお、好ましくは、0.1〜0.2mmの板厚の珪素鋼板を使用し、エッチング加工を用いて鉄心の形状を作製する。
図6には、参考のためアモルファス材料の板厚の領域も示している。アモルファス材料は、溶融金属を急速に凝固させ箔体として製造される特殊なプロセスを有するため、0.05mm厚程度またはそれ以下の超薄肉の製造に適し、これ以上の板厚は急速な冷却が困難となるため、製造が難しい。また、板幅も300mm幅程度の狭いものしか製造ができず、特殊な製造プロセスと相まって製造コストが著しく高くなる。また、磁気特性については、鉄損は低いが、磁束密度が低いという欠点がある。これは急冷に凝固させるため化学成分に制限があるためである。
本実施例では、このようなアモルファス材料を使用することなく、結晶粒子を有する珪素鋼板を使用するものである。上述のごとく、結晶粒子を有する珪素鋼板は結晶粒子が破損するなど結晶粒子の状態が変わると磁気特性が劣化し、鉄損の中の特にヒステリシス損が増大する。渦電流損を低減するために磁性材の板圧を薄くすると0.25mm以下特に0.2mm以下とするとパンチング加工などのプレス打ち抜き加工では切断面近傍の結晶粒子が著しく破損し、切断面近傍の磁気特性が著しく劣化する。この現象は結晶粒子が存在し、この結晶状態を適切に維持することにより磁気特性を適切に維持している珪素鋼板に特に著しくあらわれる。従ってエッチング加工は珪素鋼板の鉄損低減にとって非常に重要となり、効果が大きい。
次に、珪素鋼板の代表的な製造プロセスを示す。
電磁鋼板に成り得る材料を製鋼する。例えば、Cが0.005重量%、Mnが0.2重量%、Pが0.02重量%、Sが0.02重量%、Crが0.03重量%、Alが0.03重量%、Siが2.0重量%、Cuが0.01重量%を含有し、残部がFeと若干の不純物とからなる組成を有する鋼板材料を用いる。
こうした鋼板材料を、連続鋳造,熱間圧延,連続焼鈍,酸洗,冷間圧延,連続焼鈍を施すことにより、板幅50〜200cm、ここでは特に板幅50cm,板厚0.2mm の珪素鋼板を製造する。また、作製された珪素鋼板の表面に、鉄損を低減するため、さらに、4.5〜6.5重量%の珪素を形成してもよい。この後、厚さ0.1μmの有機樹脂の絶縁被膜コーティグを施し、珪素鋼板を製造する。場合によっては、特別な絶縁被膜コーティグの工程を用いずに、厚さ0.01〜0.05μmの酸化被膜を作製してもよい。なお、ここで説明した絶縁被膜コーティグの工程は、鉄心を製造する際、エッチング加工の工程の後に施されることが好ましい。上記珪素鋼板は、平板又はコイル状,ロール状に形成される。
次に、鉄心の代表的な製造プロセスを示す。製造された珪素鋼板に前処理を施し、レジストを塗布する。このレジストに対して、マスクを用いてティースの形状およびスロットの形状を露光し現像する。この形状に基づきレジストを除去する。さらに、エッチング液により加工する。エッチング液による加工後、残ったレジストを除去し、所望のティースの形状およびスロットの形状を有する珪素鋼板を製造する。こうした製造には、例えばフォトエッチング加工が有効であり、金属マスクを用いた微細孔を精密に加工する方法を使用することも有効である。
図10はエッチング加工工程の説明図で、エッチング加工設備301は、複数の鋼板302を成形可能な成形部303を備えており、1サイクルで複数枚(図10では4対)のエッチング加工が可能である。このような設備を用いて鋼板をエッチングする場合は、まず、複数枚のエッチング加工が可能な幅を有する鋼鈑302に前処理を施して、鉄心の形状にレジストを塗布する。次に前処理を行った鋼板302を設備にセットして、1サイクルのエッチング加工を行うことで回転子鉄心207および固定子鉄心205の対が4つ成形され、更に図示した送り方向に鋼鈑302を送り、次のサイクルのエッチング加工を行う。このようなサイクルを繰り返すことで多くの鉄心を容易に成形することができる。尚、前処理にてレジストが塗布されている部分の形状を変化させれば、それぞれ異なった形状に加工することが可能である。
このように鉄心の形状に成形された珪素鋼板は、所望のティースの形状およびスロットの形状を有しており、これらの珪素鋼板を複数枚積層し、溶接等を用いて積層された珪素鋼板を固定することにより、鉄心が製造される。なお、溶接に際しては、ファイバーレーザー等の入熱の少ない溶接を施すことが好ましい。本実施例では、平板又はコイル状,ロール状に形成される珪素鋼板から、回転子鉄心207および固定子鉄心205を同時に採取しており、材料を有効に利用することができる。エッチング加工を用いて、ティースの形状およびスロットの形状を製造することによって、極めて高い加工精度、例えば、誤差として±10μm以下、好ましくは±5μm以下で、所望の形状のティースおよびスロットを製造することが可能である。また、真円度で誤差を表現すると、30μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、真円度とは、円形部分の幾何学的円からの狂いの大きさをいい、円形部分を二つの同心の幾何学的円で挟んだときの両円の間の領域が最小となる場合の半径の差をいう。
図7に、珪素鋼板における珪素含有量と鉄損との関係を示す。図7に示すように、珪素含有量が6.5重量%の珪素鋼板が最も鉄損が少ない。しかしながら、6.5重量%と多量の珪素が、珪素鋼板に含有されている場合、圧延加工が難しく、所望の厚さの珪素鋼板の製造が困難になる。圧延加工性は、電磁鋼鈑に含有される珪素が多くなれば多くなるほど、悪化するという傾向にあるためである。こうした背景から、鉄損と圧延加工性とのバランスを考慮して、3.0 重量%の珪素が含有されている珪素鋼板が用いられている。本実施例では、珪素鋼板の板厚を薄肉化することにより、珪素鋼板の鉄損を低減し、珪素鋼板における珪素の含有量の鉄損に対する影響度を小さくしている。したがって、本実施例で説明する珪素鋼板は、圧延加工性が良好になると共に、板厚を薄肉化することにより、鉄損に影響度の大きい珪素鋼板における珪素の含有量の自由度が大きくなる。こうしたことから、珪素鋼板における珪素の含有量を、0.5〜7.0重量%の範囲とすることが可能であり、0.8〜2.0重量%と4.5〜6.5重量%との極端に異なる含有量を用いることもでき、鉄心の仕様または車両用交流発電機の用途によって、使い分けすることができるようになる。
図8に、エッチング加工による代表的な加工断面形状を示す。珪素鋼板をエッチング加工することにより、酸液で溶解された加工断面近傍には、(a)に示すようにバリ等の塑性変形層は存在しない。加工断面を珪素鋼板の平面方向に対して、ほぼ垂直に形成することができる。フォトエッチング加工では、(b)〜(e)に示すように溶解部の形状の制御も可能である。つまり、所定のテーパーを形成することもでき、板厚方向に対して垂直方向に凹凸を形成することも可能である。このように、エッチング加工された珪素鋼板は、その加工による残留応力がほぼゼロであり、塑性変形層は、ほとんど存在せず、珪素鋼板の板厚方向に対する塑性変形量はほぼゼロである。また、エッチング加工による加工断面近傍の塑性変形量もほぼゼロである。さらに、加工断面において、珪素鋼板の加工断面の形状を制御することができ、加工による残留応力がほぼゼロであり、加工断面近傍の塑性変形量もほぼゼロである切断断面形状を形成することができる。
上述の如くエッチング加工を用いることによって、珪素鋼板の微細な結晶組織,機械的特性,表面部を最適化した状態で鉄心に適用することもできる。珪素鋼板の結晶組織の異方性や、これに基づく磁気特性の異方性を勘案して、鉄心の磁気特性の最適化を実現することができる。
図9に、パンチング加工による代表的な加工断面形状を示す。珪素鋼板をパンチング加工することにより、塑性加工時のせん断応力によって、加工断面近傍は著しく変形し、10〜100μm程度のバリ,ダレ,つぶれが形成される。また、珪素鋼板の平面方向の寸法精度についても、パンチング加工では金型の寸法精度で制限され、通常は珪素鋼板の板厚に対して5%前後の空隙でせん断されるため、珪素鋼板の平面方向の寸法精度は低下する。さらに、量産時には金型の損耗で経時的に精度が低下する等の問題もある。また、薄肉化された珪素鋼板ほどパンチング加工が困難となる。
一方エッチング加工を適用する本実施例では、こうした加工精度の問題も解決され、経時的な精度の低下も解消される。また、ティースの形状およびスロットの形状を所定のパターンを使用して露光するとき、電磁鋼板の圧延方向に関するマーク又は基準孔を設けることが好ましい。本実施例では、圧延方向に対して周方向に45°ずつずらしてキー溝304を成形している。鉄心は、生産性効率化のために1枚の鋼鈑302から大量のコア枚数を製作する。この鋼鈑302は一方向に圧延されているため、ある方向には磁束を通しやすく、ある方向には磁束を通しにくい特性を有している。鉄心を構成する鋼板を積層する場合、圧延方向に対して電磁鋼板が平均化されることが、回転電機の特性を向上させる上で望ましい。
現状のプレス機によって鋼板を打ち抜く場合には、打ち抜いた鋼板を裏と表に交互に積層して磁束のアンバランスを低減させている。しかし、このような方法では、裏と表の2方向しかないため磁束のアンバランスが十分に打ち消すことができず、トルクリプルやコギングトルクの原因となる場合がある。これに対して、本実施例では、上記したとおり、圧延方向に対して45°ずつ周方向に位置を変えて設けたキー溝304が軸方向同じ位置となるように揃えて電磁鋼板を積層する、いわゆる回し積みをしている。これにより、一回転あたりの鉄心内部の磁気抵抗を均一化することができるので、磁束のバランスを取ることが可能となる。この結果例えば、トルクリプルやコギングトルクが減少し、騒音を低減させることができる。
次にパンチング加工の問題点及び本実施例の作用効果について説明する。鉄心を構成する鋼板をパンチング加工によって成形すると、加工対象の鋼板が薄くなればなるほど切断部の乱れ、例えばつぶれ,バリ,ダレが大きな問題となり、ヒステリシス損が増大する傾向を示す。さらに、パンチング加工で加工可能な形状は、円または直線といった単純な形状の加工である。その理由は、パンチング加工では金型が必要であり、この金型を複雑な曲線に形成することは極めて困難である。また、金型を研磨する場合にも、複雑な曲線形状を有する金型の場合には、うまく研磨ができないという問題がある。このためパンチング加工などの機械加工では、渦電流損を低減する目的で電磁鋼板を薄くすることはできるが、ヒステリシス損が増大することとなり、鉄損を低く抑えることが困難となる。
これに対して、エッチング加工はこのような問題を解決できる。このエッチング加工によりヒステリシス損を低く抑え、渦電流損を低減できる。エッチング加工は、鋼板内の規則的な結晶配置の破壊を防止できることによるヒステリシス損の低減効果を有する他に、加工精度の大幅向上による特性の改善が期待できる。また、固定子鉄心305と回転子鉄心207との間のギャップの形状を高精度で加工することにより、効率向上のみならず、脈動の低減などの性能向上や騒音特性改善が可能となる。
更に、本実施例のモータジェネレーターにおいては、積層して回転子鉄心207を構成する鋼板の磁石挿入孔216をエッチング加工により形成することにより、永久磁石挿入孔216の形状を高精度で成形できるので回転子201の磁極間のアンバランスを低減でき、磁気通路の形状も高精度となるのでモータジェネレーターの特性をも向上させることが可能となる。
[第2実施例]
次に、本発明における車両駆動用回転電機としてのモータジェネレーターの第2実施例について図11に基づいて説明する。図11は、モータジェネレーターにおける回転子と固定子の側面断面図である。尚、第1実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。本実施例のモータジェネレーターは、固定子鉄心205におけるティース214の軸方向両側面に複数の孔としてのスリット223を形成している。尚、スリット223を形成する鋼板の枚数は仕様に応じて決めることができ、少なくとも固定子鉄心205の軸方向両側面にはスリット223を形成した鋼板を配置するとよい。このスリット223は、ティース214の長さ方向、つまり、径方向に放射状となるように延びており、夫々のスリット223は略平行となるように略等間隔で形成されている。このようなスリット223をティース214に設けることで回転子201の軸方向両端面から生じる軸方向への漏れ磁束によって発生する渦電流を低減させることができる。このため、モータジェネレーターの効率を向上させることが可能となる。
このようなスリット223は、磁路面積を確保しつつ、渦電流が流れないようにする必要があるため、スリット223の幅は細いほどよい。しかしながら、細いスリット223をプレスによる打ち抜き加工で行うと、ダレ,バリ,つぶれ等が生じ、実質的には製造が困難であった。本実施例では、このスリット223をエッチング加工で成形することが可能であるため、非常に幅の狭いスリット223を容易に成形することができる。尚、本実施例では、スリット223を用いて渦電流を低減するようにしたが、複数の微細穴を開けてもよく、また、鋼板を完全に貫通しないような凹凸を設けてもよい。このような実施形態もエッチング加工を用いれば容易に成形することが可能である。更に、このようなスリット223は回転子鉄心207側に設けてもよい。
[第3実施例]
次に、本発明における車両駆動用回転電機としてのモータジェネレーターの第3実施例について図12に基づいて説明する。図12は、モータジェネレーターにおける回転子と固定子の断面図であり、上記図3乃至図5を用いて説明した回転電機と構成及び作用効果は同じであり、更に以下に説明の構成および作用効果が追加されている。煩雑さを避けるため、固定子巻線を省略して表示している。他の実施例と共通する構成については同一称呼や同一の符号で表している。
回転子鉄心207の内周には、シャフト203が固定されるようになっているが、本実施例では、焼き嵌めを用いて固定している。焼き嵌めは、回転子鉄心207を過熱して熱膨張させた状態でシャフト203を回転子鉄心207の内周に挿入し、その後、熱収縮させることで回転子鉄心207とシャフト203とを固定している。このとき、回転子鉄心207内に永久磁石215が装着されていると、熱収縮によって応力が生じる。この応力は、永久磁石215と回転子鉄心207外周との距離が最も短くなるブリッジ部219,220に集中する。このような応力に対する対応としては、ブリッジ部219,220の幅を大きくすることが考えられるが、ブリッジ部219,220の幅を大きくすると漏れ磁束が多くなり回転電機の効率が悪化してしまう。
上記応力の影響を低減するため、本実施例では回転子鉄心207の内周側縁部に沿って環状となるように複数の微細穴224を開けている。この微細穴224を開けることによって、熱収縮が生じた際など生じる応力を微細穴224の部分を変形などにより吸収し、ブリッジ部219や220に応力が集中するのを緩和することができる。上記ブリッジ部への応力の集中を低減することで、モータジェネレーターを高トルクとすることが可能となる。また回転電機の効率向上にも寄与する。強いては回転電機の小型化にも繋がる。尚、回転子鉄心207の内周側には、ほとんど磁束が通過しないため、微細穴224を設けても磁気特性が悪化することがなく、むしろ複数の微細穴224を設けることによって軽量化も実現できる効果がある。通常、このような微細穴224をプレスによる打ち抜き加工で行うと、ダレ,バリ,つぶれ等が生じて成形が困難であったが、本実施例では、エッチング加工を用いて微細穴224を形成している。このため、ダレ,バリ,つぶれ等がない微細穴224を形成することができる。
[第4実施例]
次に、本発明における車両駆動用回転電機としてのモータジェネレーターの第4実施例について図13に基づいて説明する。図13は、モータジェネレーターにおける固定子鉄心の正面図である。尚、上述の図3乃至図5を用いて説明した回転電機と構成及び作用効果は同じであり、更に以下に説明の構成および作用効果が追加されている。他の実施例と共通する構成については煩雑さを避けるため基本的な構成の説明を省略すると共に、略同一の構成は同一称呼や同一の符号で表す。
一般的な固定子鉄心は、ティース間の内周側が開口しており、この開口部から固定子巻線を巻回している。しかしながら、仕様によっては磁極を多くしなければならないものがあり、そのためには、開口部の幅が制限される。このように開口部の幅が制限された場合、固定子巻線を巻回するための巻線ノズルの回転スピードを遅くせざるを得ず、生産性が阻害されてしまう。
本実施例では、固定子鉄心205を、各ティース214内周における周方向両側が互いに連結されたティース構成体225を有している。このティース構成体225の外周側に固定されるコアバック226を例えば円環状のコアバック226で構成し、固定子巻線を装着後、上記ティース構成体225とコアバック226とを互いに一体に組み付ける。このような構造とすることで生産性を向上できる。本実施例では、ティース構成体225における各ティース214の連結部分に凹凸や穴などの磁気絶縁部あるいは磁気抵抗部227が設けられることで、磁束の漏洩を防止でき、ほぼ磁気絶縁できる作用をしている。このティース構成体225の形状及び磁気絶縁部227はエッチング加工によって成形することが可能である。尚、コアバック226については更に分割して形成しても良く、また精度があまり要求されないのでエッチング加工の他にプレスによる打ち抜き加工を使用しても良い。
上述のとおり本実施例では、固定子鉄心205をティース構成体225とコアバック226とに分けているのでティース構成体225の外周側から固定子巻線204を巻回できる。ここで各ティース214は放射状に設けられているので、外周側のティース214間の間隔が大きくなり、固定子巻線204の機械による自動巻回作業が容易となり、生産性が向上する。このように本実施例によれば固定子巻線204の自動巻回の巻回スピードが向上し、生産性が向上する。
[第5実施例]
次に、本発明における車両駆動用回転電機としてのモータジェネレーターの第5実施例について図14を用いて説明する。上述の図3乃至図5を用いて説明した回転電機と構成及び作用効果は同じであり、更に以下に説明の構成および作用効果が追加されている。他の実施例と共通する構成については煩雑さを避けるため基本的な構成の説明を省略すると共に、略同一の構成は同一称呼や同一の符号で表す。図14はモータジェネレーターにおける回転子及び固定子の断面図であり、図14(a)は回転子鉄心の永久磁石間に微細穴を設けた実施形態を示す断面図、図14(b)は固定子鉄心のティース先端に微細穴を設けた断面図である。
モータジェネレーターを含む回転電機で、回転子鉄心207の磁極間の外周側に、この実施例では補助磁極の外周側に、図14(a)に示す如く、多数の連続した孔またはスリットを設けることによりトルクリプルやコギングトルクを低減できる。また図14(b)に示す如く、固定子鉄心205のティース214先端の周方向略中央部に多数連続した孔またはスリットを設けることにより、トルクリプルやコギングトルクを低減している。ハイブリッド型電気自動車1では高速で回転子201が回転するため、回転子鉄心207の外周側、もしくは、固定子鉄心205の内周側に多数の孔またはスリットを設けた場合、回転子201が高速回転すると風切り音が生じ易くなりこの対策が必要となる可能性がある。本実施例ではエッチング加工を用いているので孔またはスリットの開口を小さくでき、複数の孔あるいはスリット224を設けても騒音の発生が抑えられる効果がある。磁気的な効果には障害となる可能性が少なく、トルクリプルやコギングトルクを低減する効果が得られる。本実施例での微細な孔224は、エッチング加工を採用することで初めて可能となりプレスの内抜きでは困難である。
上述の図14(a)に示す構造について詳述する。回転子鉄心207の永久磁石215間である補助磁極218に複数の微細孔224を設けている。この微細孔224は回転子鉄心207の外周側に、固定子側からのq軸磁束の通る方向に沿って整列して形成されている。図示の如く孔224は、外周側に向かって幅広となるような略台形の範囲に設けられている。微細孔の連続の変わりにスリットを設けても同様の効果がある。このように回転子鉄心207に複数の連続した微細孔224を設けることにより、磁束が通過しづらくなり、上述のようにトルク脈動を低減する効果が得られる。また、回転子鉄心207の外周側には大きな凹凸が形成されることがないので風切り音が大きくなるようなことはない。本実施例では連続した孔あるいはスリットを形成しているが、貫通した孔やスリットの代わりに周囲より板圧を薄くした形状としても良い。エッチング加工のメリットはエッチング深さを制御できることであり、貫通しない単に薄くした状態でも近い効果が得られる。貫通していないので振動発生や風きり音発生の課題を解決できる。
次に上述の図14(b)に示す構成を詳述する。固定子鉄心205のティース214先端側に固定子から回転子に向かう磁束の通る方向に沿って整列した複数の微細穴224を設けている。これらの微細孔は図示の通り、ティース214の内周側である固定子側に設けられており、ティース214の周方向の略中央部に設けている。図示の如く、複数の微細穴224は内周側に向かって幅広となるような略五角形の範囲に設けられ、夫々の微細穴224は上述のごとく固定子から回転子に向かう磁束に沿った方向に整列して配置されている。このように、固定子鉄心205のティース214に複数の微細穴224を設けることにより、磁束が通過しづらくなり、回転脈動を低減する効果が得られる。また、ティース214の内周側には大きな凹凸が形成されることがないので風切り音が大きくなるようなことはない。
上記実施形態では、複数の微細孔やスリット224を用いて磁束の通過を阻害するようにしたが、微細孔やスリット224の代わりにこの部分の厚みを薄くした形状としてもよく、この場合貫通した形状ではなく板圧を薄くした複数の凹凸の構となる。また、微細孔やスリット224あるいは上記凹凸の溝を設ける範囲の形状は、本実施例では略五角形としたが、回転子側に向かって幅広となっていれば効果があり、例えば略台形や略半円形状や略三角形状等であっても良い。
[第6実施例]
次に、本発明における車両駆動用回転電機としてのモータジェネレーターの第6実施例について図15に基づいて説明する。上述の図3乃至図5を用いて説明した回転電機と構成及び作用効果は同じであり、更に以下に説明の構成および作用効果が追加されている。他の実施例と共通する構成については煩雑さを避けるため基本的な構成の説明を省略すると共に、略同一の構成は同一称呼や同一の符号で表す。図15は、モータジェネレーターにおける回転子及び固定子の断面図であり、図15(a)は、回転子鉄心の法線と略平行に永久磁石を配置した実施形態を示し、図15(b)は、外周側に向かって幅広となる略V字状に永久磁石を配置した複数の磁石で磁極を構成する構造である。
上記実施例と同様に回転子鉄心207に複数の永久磁石215を内蔵した回転子では、回転子鉄心207内での永久磁石が発生する磁束の漏れをできるだけ小さくするために回転子鉄心207の外周と永久磁石215との間のブリッジ部219,220の幅をできるだけ小さくする構造としている。このような構造の回転子201では、高速で回転子201が回転した場合、永久磁石215に作用する遠心力によってブリッジ部219,220に応力が集中するので、遠心力に耐える機械的な強度を得るためにブリッジ部219や220の幅を所定以上小さくすることは困難である。ブリッジ部219や220の半径方向の幅を広くすると永久磁石が発生する磁束の漏れが多くなり回転電機の効率が低下する問題がある。本実施例ではブリッジ部219や220の幅を遠心力に十分対応できる程度大きくし、このブリッジ部219や220にエッチング加工により複数の微細孔224を開けている。これらの微細穴224はプレス打ち抜き加工では困難であり、エッチング加工を採用することで可能となる。
図15(a)は、回転子201の各磁極を1つの板状の永久磁石215で構成した実施形態であって、これらの永久磁石215は、回転子鉄心207の法線と略平行に配置している。この実施形態では、永久磁石215における回転子鉄心207の周方向両端側にブリッジ部219,220が形成され、このブリッジ部219,220は、回転子201が高速で回転しても十分に強度を保つことができる幅に設定されている。更に、このブリッジ部219,220には、永久磁石215の両端側から回転子鉄心207の周方向に離れる方向に傾斜した範囲内に複数の微細穴224を設けている。このように、ブリッジ部219,220に複数の微細穴を設けることにより、磁束が通過しづらくなり、固定子鉄心205側に向かう磁束を大きくできるといった効果が得られる。つまり、本実施形態では、ブリッジ部219,220の強度を確保しつつ、回転子鉄心207内での磁束の漏れを低減することができるのでモータジェネレーターのトルクを向上させることが可能となる。
次に図15(b)に、1つの磁極を複数の永久磁石215で構成し、これらの永久磁石215を略V字に配置した実施形態を示す。この実施形態では、回転子鉄心207の外周側に幅が広くなる二列の略V字に永久磁石215が配置されるよう、1つの磁極を4つの永久磁石215で構成しており、回転子鉄心207の外周と、各永久磁石215における回転子鉄心207の外周側端部との間に1つの磁極につき4つのブリッジ部219a,219b,220a,220bが形成されている。これらのブリッジ部219a,219b,220a,220bも図15(a)の実施形態と同様に回転子201が高速で回転しても十分に強度を保つことができる幅に設定されており、更には複数の微細穴224が設けられている。このようにブリッジ部219a,219b,220a,220bに複数の微細穴224を設けたことで図15(a)の実施形態と同様に、ブリッジ部219a,219b,220a,220bの強度を確保しつつ、回転子鉄心207内での磁束の漏れを低減することができるといった作用効果が得られる。また、二列の略V字に配置された各永久磁石219a,219b,220a,220bにおける内周側にて対向した2箇所の部分にも複数の微細穴224が開口している。この部分にも回転子鉄心207内での磁束の漏れが生じてしまうため、なるべく磁束が通過できないようにすることで、磁気効率を向上させることができるのでモータジェネレーターのトルクを向上させることが可能となる。
上記実施形態では、複数の整列した微細な孔224を用いて磁束の通過を阻害するようにしたが、整列した孔224の代わりに複数のスリットを設けてもよい。さらに孔やスリットの代わりに鋼板の厚さを薄くしても良い。薄くした部分が凹むので複数の凹凸が生ずることと成る。また、これらを組み合わせても良い。
[第7実施例]
次に本発明における車両駆動用回転電機としてのモータジェネレーターの第7実施例について図16を用いて説明する。上述の図3乃至図5を用いて説明した回転電機と構成及び作用効果は同じであり、更に以下に説明の構成および作用効果が追加されている。他の実施例と共通する構成については煩雑さを避けるため基本的な構成の説明を省略すると共に、略同一の構成は同一称呼や同一の符号で表す。図16はモータジェネレーターにおける回転子及び固定子の断面図である。モータジェネレーターを駆動用として使用する場合、回転子201に設けた永久磁石215の磁束により固定子に誘起される電圧に基づいてトルクが発生する。この誘起電圧波形が正弦波に近い波形である場合、即ち高次時間高調波が少ない波形であればモータジェネレーターのトルクリプルを低減させる。本実施例では、永久磁石215の磁束が通過する回転子鉄心207の磁極片部にエッチング加工により成形した複数のスリット213を設けている。このスリットにより回転子の磁極片と固定子との間を通る磁束の向きや磁束量をコントロールできる。磁極片を通る磁束の方向および磁束の変化の状態を上記スリットで制御することにより、誘起電圧波形の高調波を少なくし正弦波に近い波形を誘起するようにしている。ここで磁極片とは、回転子201の極を作るための永久磁石215の固定子側の回転子鉄心部分である。本実施例での幅狭いスリット213の形成にはエッチング加工が最適であり、プレスの打ち抜き加工ではスリット幅が必要以上に広くなる。
本実施例は、図16に示すように、回転子鉄心207の法線と略平行に板状の永久磁石215を配置したものであって、回転子鉄心207の外周と永久磁石215との間に固定子方向を向くようにスリットが設けられている。また上記スリットのより正確な方向は、永久磁石215側が固定子側より幅が広く、略ハの字状に複数のスリット213が設けられている。これらのスリット213は永久磁石215と回転子鉄心207の外周との間の幅に応じて長さが変化しており、永久磁石215における回転子鉄心207の周方向両側部分の方が短くなっている。このスリット213は、幅が大きいと回転子鉄心207の面積が減少してしまい磁気抵抗が増加してしまうため、出来るだけ幅の小さなスリット213とすることが望ましい。本実施例では、このスリット213を、エッチング加工を用いて成形しているのでスリット213の幅を鋼板の板厚よりも細くすることができるので、スリット213の本数も出来るだけ多くすることが可能である。例えば、0.5mm程度のピッチで、数十本のスリット213を設けることにより、磁束の分布がなめらかになるように磁束を誘導することができる。本実施例ではスリットの向きが図に示す如く固定子を向く方向となり、電磁気的な特性を改善でき、高速回転による遠心力に対しては悪影響が出難い良さがある。
[第8実施例]
次に、本発明における車両駆動用回転電機としてのモータジェネレーターの第8実施例について図17に基づいて説明する。上述の図3乃至図5を用いて説明した回転電機と構成及び作用効果は同じであり、更に以下に説明の構成および作用効果が追加されている。他の実施例と共通する構成については煩雑さを避けるため基本的な構成の説明を省略すると共に、略同一の構成は同一称呼や同一の符号で表す。図17は、モータジェネレーターにおける回転子の断面図であり、図17(a)は回転子全体の正面図である。また図17(b)は図17(a)における、回転子鉄心207の極を作る永久磁石周辺の拡大図である。また、図17(c)は、図17(b)の斜視図である。
前記第6実施例ではブリッジ部219や220に通過する磁束量を抑制するための複数の微細孔を設けた。本実施例は、微細孔やスリットの代わりに、ブリッジ部219や220を通る磁束量を低減するために、ブリッジ部219や220の鋼板の板厚を薄くしている。鋼板を積層した状態では板圧を薄くした部分の磁気的な有効断面積が減少することとなる。この構成により第6実施例と同様の電磁気的な効果を得ることができ、さらに、本実施例では鋼板を貫通させていないため、ブリッジ部219や220の機械的強度の減少を少なくできる。上記有効断面積の低減により回転子鉄心内でのブリッジ部を通る磁束の漏れを低減することができ、モータジェネレーターのトルクを向上させることが可能となり、効率向上に繋がる。上述のとおり、板厚を高精度加工し、必要に応じ厚さ加工も可能なエッチング加工を使用している。
本実施例では、図17(b)に示すように回転子鉄心の外周側に向かって先細りとなるように板厚が薄くなる方向に凹部228を形成している。この凹部228は、図17(c)に示すように鋼板の一側面だけに設けられているが両面に設けても良い。このような凹部228は、図17(a)のように全ての永久磁石215の両端側に設けてもよく、一部の極だけに設けてもよい。しかしながら一部の極だけに凹部228を設ける場合には、積層する鋼板を周方向で異なる位置にする、いわゆる回し積みを行うことで、各鋼板の凹部228の位置が周方向に異なった位置として、全てのブリッジ部219,220における磁路の有効断面を均一化することが望ましい。
[第9実施例]
次に、本発明における車両駆動用回転電機としてのモータジェネレーターの第9実施例について図18に基づいて説明する。上述の図3乃至図5を用いて説明した回転電機と構成及び作用効果は同じであり、更に以下に説明の構成および作用効果が追加されている。他の実施例と共通する構成については煩雑さを避けるため基本的な構成の説明を省略すると共に、略同一の構成は同一称呼や同一の符号で表す。図18はモータジェネレーターにおける固定子を構成する1つの分割コアの斜視図である。この図18においては、図中ティースの上半分を取り除いて表示している。上記実施例の固定子は、各ティースとコアバックが一体に成形され、固定子巻線を分布巻きで巻回したもので説明したが、本実施例の固定子鉄心205は、1つのティース214毎の分割コア229に分割され、固定子巻線204は集中巻きで巻回している。図18には、1つの分割コア229に集中巻きで固定子巻線204を巻回したものを示す。尚、わかり易くなるようにティース214の上半分は断面としている。このような集中巻きを採用することでコイルエンドの軸方向高さを出来るだけ低くすることが可能となる。
一般的な固定子200のティース214は、軸方向に同一形状となっているため、ティース214の周方向断面は略四角形状であり、固定子巻線204が巻回される部分の軸方向両側には、略90°の角部が形成されてしまう。ここで固定子巻線204はティース214の外周面に沿って環状に巻回されるが、固定子巻線204をティース214の形状に沿って略四角形状に巻回するのは難しく、実際には、ティース214と固定子巻線204との間に隙間が空いてしまい、固定子鉄心205に対する固定子巻線204の占積率を向上させるのには限界があった。
本実施例では、エッチング加工を用いて夫々の鋼板の形状を成形しているので、夫々の鋼板の形状だけでなく、板厚方向の形状も自由に成形することができる。本実施例は、図16におけるティース214の軸方向一端面を拡大した図に示されているように、ティース214の軸方向両端側において所定枚数の鋼板の形状を変えると共に、縁部が板厚方向に傾斜するようにしている。具体的には、ティース214の周方向幅が軸方向両端側に向かって徐々に狭くなるようにしており、夫々板厚方向の面は、鋼板の側面がほぼ連続した曲面となるようにしている。つまり、ティース214の周方向断面がティース214の幅方向に潰れた楕円形状となっており、固定子巻線204をティース214の外周面に沿って周回するように集中巻きで巻回する際、固定子巻線204の周回部分の内周とティース214の外周とをできるだけ密着させることが可能となる。
また、夫々の分割コア229外周側のコアバックにおける周方向両端面は、所定枚数の鋼板毎に凹凸となるように鋼板の形状を変化させている。この凹凸には、隣り合う分割コア229のコアバック一端面が嵌合できるようになっており、周方向一端側が凸となっている場合、周方向他端側は凹となっている。本実施例では、エッチング加工を用いて鋼板を成形しているから複数の成形型を用いなくても、このように形状の異なる鋼板を容易に成形することができる。
本実施例は、以上のように構成したことで、固定子鉄心205に対する固定子巻線204の占積率を向上させることができ、それに伴って固定子巻線204の巻数を出来るだけ多くすることができる。また、固定子巻線204を巻回する際に巻線を傷付けることを少なくすることができ、そのため生産性が向上して安価なモータジェネレーターとすることができる。
[第10実施例]
次に、本発明における車両駆動用回転電機としてのモータジェネレーターの第10実施例について図19に基づいて説明する。上述の図3乃至図5を用いて説明した回転電機と構成及び作用効果は同じであり、更に以下に説明の構成および作用効果が追加されている。他の実施例と共通する構成については煩雑さを避けるため基本的な構成の説明を省略すると共に、略同一の構成は同一称呼や同一の符号で表す。図19は、モータジェネレーターにおける分割された1つの分割コアの斜視図である。尚、この分割コアは固定子巻線を省略して表示している。図19(a)は、ティース先端を略V字形状にスキューさせた実施形態を示し、図19(b)は、ティース先端を一方向に傾斜させた別の実施形態を示す。第7実施例では、固定子鉄心に複数のスリットを設けることで固定子鉄心が回転子鉄心から受ける磁束を正弦波に近づけるようにしたが、本実施例ではティースの先端をスキューさせることで固定子鉄心が回転子鉄心から受ける磁束を正弦波に近づけるようにしている。
図19(a)にティース214の先端をスキューさせた1つの実施形態を示す。ティース214の先端、つまり、内周端は、固定子巻線204の巻回部分に対して、周方向及び軸方向に幅広に形成されており、本実施形態のティース214先端は、周方向一側面が凸状に略V字となるような2つの周方向に傾斜した傾斜面を有しており、周方向他側面が凹状に略V字となるような2つの周方向に傾斜した傾斜面を有している。この分割コア229は、鋼板を積層することで構成されるため、夫々の鋼板の形状及び板厚方向の形状を変化させる必要がある。しかし、本実施例では、夫々の鋼板をエッチング加工によって成形しているので、第6実施例と同様、形状の異なる鋼板を容易に成形することができる。このため、鋼板を積層する面に連続して傾斜した傾斜面を設けることが可能となる。
図19(b)には別の実施形態を示す。この実施形態では、ティース214先端の周方向両側面が略V字となるのではなく、一方向に傾斜するようにしている。このため、ティース214先端の形状は、略平行四辺形となっている。この実施形態においてもエッチング加工を用いることで形状の異なる鋼板を容易に成形することができ、鋼板を積層する面に連続して傾斜した傾斜面を設けることができる。
以上に説明したように、ティース214先端の周方向側面が傾斜するようにしてスキューを施したので、回転子201と固定子200との間の磁束を徐々に変化させて、固定子鉄心205が回転子鉄心207から受ける磁束を正弦波に近づけることができる。このため、コギングトルクやトルクリプルが小さな永久磁石式モータジェネレーターとすることができ、騒音の小さいハイブリッド型電気自動車を提供することが可能となる。
ハイブリット型電気自動車を示す構成図である。 電力変換装置の回路図である。 回転電機の側面断面図である。 回転電機の正面断面図である。 弱め界磁制御を説明するための特性図である。 電磁鋼板における板厚と鉄損の関係について説明した図である。 珪素鋼板における珪素含有量と鉄損との関係を示す図である。 エッチング加工による代表的な加工断面形状を示す図である。 パンチング加工による代表的な加工断面形状を示す図である。 エッチング加工工程の説明図である。 第2実施例のモータジェネレーターにおける回転子と固定子の側面断面図である。 第3実施例のモータジェネレーターにおける回転子と固定子の正面断面図である 第4実施例のモータジェネレーターにおける固定子鉄心の正面断面図である。 第5実施例のモータジェネレーターにおける回転子及び固定子の正面断面図である。 第6実施例のモータジェネレーターにおける回転子及び固定子の正面断面図である。 第7実施例のモータジェネレーターにおける回転子及び固定子の正面断面図である。 第8実施例のモータジェネレーターにおける回転子の正面断面図である。 第9実施例のモータジェネレーターにおける固定子を構成する1つの分割コアの斜視図である。 第9実施例のモータジェネレーターにおける分割された1つの分割コアの斜視図である。
符号の説明
200 固定子
201 回転子
204 固定子巻線
205 固定子鉄心
207 回転子鉄心

Claims (10)

  1. 多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心を有する回転子とを備えており、前記回転子鉄心を構成する各鋼板は板厚が0.08〜0.30mmの値であり、エッチング加工により成形されていることを特徴とする車両駆動用回転電機。
  2. 多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心を有する回転子とを備えており、前記回転子鉄心あるいは固定子鉄心を構成する各鋼板がCが0.001〜0.060重量%、Mnが0.1〜0.6重量%、Pが0.03重量%以下、Sが0.03重量%以下、Crが0.1重量%以下、Alが0.8重量%以下、Siが0.5〜7.0重量%、Cuが0.01〜0.20重量%含有し、残部が不可避な不純物とFeとからなる電磁鋼板であり、エッチング加工により成形されていることを特徴とする車両駆動用回転電機。
  3. 多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心と極を作る永久磁石とを有する回転子とを備えており、
    上記極は偶数個存在し、局と隣の極との間には補助磁極が形成され、上記補助磁極の固定子側中央にはエッチング加工により成形された孔またはスリットが形成されていることを特徴とする車両駆動用回転電機。
  4. 多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心と極を作る永久磁石とを有する回転子とを備えており、
    上記極は偶数個存在し、局と隣の極との間には補助磁極が形成され、上記回転子を構成する鋼板の上記補助磁極の固定子側中央部に他の部分の鋼板厚さより薄く成形した凹部を設けたことを特徴とする車両駆動用回転電機。
  5. 多数の積層された鋼板からなり全周に渡りスロットおよびティースを形成した固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心を有する回転子とを備えており、
    上記固定子鉄心のティースの回転子側中央部にエッチング加工により成形された孔またはスリットが形成されていることを特徴とする車両駆動用回転電機。
  6. 多数の積層された鋼板からなり全周に渡りスロットおよびティースを形成した固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心を有する回転子とを備えており、他の部分の鋼板厚さより薄く成形した凹部を設けたことを特徴とする車両駆動用回転電機。
  7. 多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心と極を作る永久磁石とを有する回転子とを備えており、
    上記極は偶数個存在し、局と隣の極との間には補助磁極が形成され、
    上記回転子を構成する鋼板の、上記永久磁石の固定子側に位置する鋼板部分と補助磁極との間の部分にエッチング加工により孔またはスリットを設けたことを特徴とする車両駆動用回転電機。
  8. 多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心と極を作る永久磁石とを有する回転子とを備えており、
    上記極は偶数個存在し、局と隣の極との間には補助磁極が形成され、
    上記回転子を構成する鋼板の、上記永久磁石の固定子側に位置する鋼板部分と補助磁極との間に他の部分の鋼板厚さより薄く成形した凹部を設けたことを特徴とする車両駆動用回転電機。
  9. 多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心と極を作る永久磁石とを有する回転子とを備えており、
    上記極は偶数個存在し、局と隣の極との間には補助磁極が形成され、
    上記回転子を構成する鋼板の、上記永久磁石の固定子側に位置する鋼板部分にスリットを成形したことを特徴とする車両駆動用回転電機。
  10. 多数の積層された鋼板からなる固定子鉄心と、該固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子に対向して回転自在に設けられ多数の積層された鋼板からなる回転子鉄心と極を作る永久磁石とを有する回転子とを備えており、
    上記極は偶数個存在し、局と隣の極との間には補助磁極が形成され、
    上記回転子を構成する鋼板の、上記永久磁石の固定子側に位置する鋼板部分に他の部分の鋼板厚さより薄く成形した凹部を設けたことを特徴とする車両駆動用回転電機。
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