JP2009030657A - シリンダブロックおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄系多孔質焼結体をAl合金中に鋳込んだシリンダライナのホーニング方法を提供する。
【解決手段】本発明に関するホーニング方法は、鉄系多孔質焼結体の外周側から含浸させたAl合金とにより形成されたシリンダライナのホーニング方法であって、第1粗さのダイヤモンド砥粒を固化させた第1砥石を回転させつつシリンダライナの軸方向へ上下動させる第1研削工程と、この第1粗さよりも細かい立方晶窒化ホウ素(CBN)砥粒を固化させた第2砥石を回転させつつシリンダライナの軸方向へ上下動させる第2研削工程とからなることを特徴とする。これにより、鉄系多孔質焼結体がAl合金中に鋳込まれてなるシリンダの場合でも、面性状の良好なクロスハッチ条痕を有するシリンダライナが得られる。
【選択図】図5A

Description

本発明は、エンジンやコンプレッサ等に用いられるシリンダブロックおよびその製造方法に関するものである。
従来、ピストンが嵌入されるシリンダの内壁摺動面であるシリンダライナは、単一材質のものが多かった。例えば、エンジンのシリンダライナは、アルミニウム合金(Al合金)製のシリンダブロック本体に圧入された黒鉛鋳鉄製のスリーブから形成されていた。また、コンプレッサ等であれば、潤滑性を有する作動流体を使用していることもあり、Al合金製のシリンダブロック本体にそのままシリンダライナも形成されていた。
もっとも、軽量化を図りつつも強度向上、耐久性向上または摺動特性向上を目的として、部分的に複合材料としたり、部分的に異種材料部材を鋳込んだりすることもある。例えば、下記の特許文献1には、シリンダライナを構成する部分に鉄系多孔質焼結体をAl合金で鋳込んだシリンダブロックが開示されている。これにより、軽量化と共に強度や耐久性の向上が図られている。
特許3800510号公報
ところで、シリンダライナの表面には、数μm程度の深さを有するクロスハッチ条痕が一定方向に規則正しく形成されている。このクロスハッチ条痕により、摺動するピストンとの間の潤滑油切れが防止されたり、潤滑油の消費が抑制されたりする。
このようなクロスハッチ条痕の形成はホーニング加工によるのが一般的である。ここで、前述したような鋳鉄製のスリーブからなるエンジンのシリンダライナであれば、ホーニング加工面が鋳鉄のみであるから、良好な面性状のクロスハッチ条痕を形成するための加工条件の設定は比較的容易である。
しかし、上記特許文献1にあるようなシリンダブロックを用いた場合、そのシリンダライナは、概して、鉄粉末が焼結した鉄部分と含浸したAl合金部分の2相構造からなる。そしてAl合金の研削は基本的に難しいため、そのような2相構造のシリンダライナにおいて、良好な面性状のクロスハッチ条痕を形成することは困難であった。例えば、従来の加工条件でホーニングを行うと、クロスハッチ条痕の縁部にバリやカエリが発生し得る。このようなバリやカエリは、せっかく形成した条痕の油溜りを塞いだり、そのバリ等が原因で摺動するピストンリングやピストン等をシリンダライナに焼付かせたりし得る。いずれにしても、シリンダライナの面性状が悪いと、好ましくない結果を生じうる。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものである。つまり、鉄系多孔質焼結体にAl合金を含浸させてなるシリンダライナであっても、良好な面性状のクロスハッチ条痕を形成できるシリンダブロックの製造方法を提供することを目的とする。併せて、それにより製造されたシリンダブロックを提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、良好な面性状のクロスハッチ条痕が得られるホーニング加工条件を新たに発見し、本発明を完成するに至った。
〈シリンダブロックの製造方法〉
(1)すなわち、本発明のシリンダブロックの製造方法は、シリンダブロックに設けられたシリンダ内に嵌入されたピストンが摺接し得る該シリンダの内筒面であるシリンダライナにクロスハッチ条痕を形成するホーニング工程を有するシリンダブロックの製造方法であって、
前記シリンダライナは、鉄を主成分とする鉄粉末を加圧成形した粉末成形体を加熱して焼結させた筒状の鉄系多孔質焼結体と該鉄系多孔質焼結体の外周側から含浸させたAl合金とにより形成され、前記ホーニング工程は、第1粗さのダイヤモンド砥粒を固化させた第1砥石を回転させつつ前記シリンダライナの軸方向へ上下動させる第1研削工程と、該第1粗さよりも細かい立方晶窒化ホウ素(CBN)砥粒を固化させた第2砥石を回転させつつ該シリンダライナの軸方向へ上下動させる第2研削工程とからなり、クロスハッチ条痕を有するシリンダライナが得られることを特徴とする。
(2)本発明の製造方法によれば、シリンダライナが鉄系多孔質焼結体とその隙間に含浸したAl合金とからなる場合であっても、面性状の良好なクロスハッチ条痕を有するシリンダライナが得られる。具体的には、ホーニング加工を行ったシリンダライナを観察すると、クロスハッチ状の各条痕の周囲にバリやカエリが無く、従来の黒鉛鋳鉄からなるスリーブをホーニング加工した場合等と同等程度の良好な面性状が得られた。
このような優れた本発明の効果は、単に、第1研削工程と第2研削工程の二段加工としただけでは得られず、また、第1研削工程よりも第2研削工程で砥粒の細かい砥石を用いただけでは得られない。
砥粒の材質には、炭化珪素(SiC)や酸化アルミニウム(Al23)などのセラミックス材料が一般的ではあるが、本発明ではそれらを使用してはいない。すなわち、ダイヤモンドおよびCBNの選択し、それらを用いて、ダイヤモンド砥石→CBN砥石の順でホーニング加工を行っている。CBNを仕上げで使用しているのは、ダイヤモンドに比べて砥粒が丸いため、荒く削りすぎるのを防止するためである。
このように本発明の効果は、砥粒の材質や粗さの相違によって非常に多種にわたる砥石の中から、材質および粗さの異なる第1砥石と第2砥石を選択し、ホーニング加工を二段階で行うものであって、それら各構成要素が相乗して初めて得られたものであるといえる。
(3)さらにいえば、特に、本発明のホーニング工程を行う場合、前記第1研削工程で用いるダイヤモンド砥粒の粗さ(第1粗さ)は#270〜400(JIS規格、以下同様)であり、前記第2研削工程で用いるCBN砥粒の粗さ(第2粗さ)は#800〜1200であると好ましい。
なお、本発明では、砥粒の粗さを、JIS4310Bに規定された「ダイヤモンド/CBN工具−ダイヤモンド又はCBN砥粒の粒度」(JIS超砥粒粒度)に沿って、「#」の番数で示した。したがって、#270は砥粒の平均粒径が60μm以下を示し、#400は砥粒の平均粒径が37μm以下を示す。また、#800は砥粒の平均粒径が20μm以下を示し、#1200は砥粒の平均粒径が12μm以下を示す。
第1砥粒の粒度が上記範囲の中央値である#325付近であり、第2砥粒の粒度が上記範囲の中央値である#1000付近であると、一層好適である。
〈シリンダブロック〉
本発明は、シリンダブロックの製造方法としてのみならず、シリンダブロック自体としても把握できる。
すなわち、本発明は、Al合金製のブロック本体と、該ブロック本体に設けられたシリンダ内に嵌入されたピストンが摺接し得る該シリンダの内筒面であり、鉄を主成分とする鉄粉末を加圧成形した粉末成形体を加熱して焼結させた筒状の鉄系多孔質焼結体と該鉄系多孔質焼結体の外周側から含浸させたAl合金とにより形成されたシリンダライナとからなるシリンダブロックであって、前記シリンダライナに前述した本発明のホーニング工程によりクロスハッチ条痕が形成されていることを特徴とするシリンダブロックとしても把握できる。
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施形態を含め、本明細書で説明する内容は、本発明に係るシリンダブロックの製造方法のみならず、そのシリンダブロック自体にも、適宜適用できるものであることを断っておく。また、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なることを断っておく。
〈シリンダブロック〉
(1)シリンダブロックの形状や気筒数は問わない。例えば、エンジンのシリンダブロックであれば、単気筒でも、直列4気筒、直列6気筒、V型6気筒、V型8気筒さらにはV型12気筒等でも良い。また、例えば、自動車エアコン用のコンプレッサ等のシリンダブロックであれば、環状または対向して配設された4気筒、6気筒等でも良い。
(2)シリンダブロックの材質はAl合金(Al合金)である。Al合金の種類は、JIS H 5202にあるAC系でも、JIS H 5302にあるADC系でも、さらにそれらを改良した鋳造用またはダイキャスト用の専用Al合金でも良い。代表的なAl合金は、AC2B、AC4DまたはADC12などである。
(3)本発明のシリンダブロックの用途は、前述のようにエンジン用でもコンプレッサ用でもその他にあっても良い。エンジンはレシプロエンジンであれば、ガソリンエンジンやエタノールエンジン等の火花点火機関に限らず、ディーゼルエンジン等の自然着火機関でも良い。勿論、エンジンは自動車用に限らず、二輪車用、船舶用、飛行機用、汎用原動機等なんでも良い。
〈シリンダライナ〉
(1)シリンダライナは、鉄系多孔質焼結体と、Al合金からなる。Al合金は、その鉄系多孔質焼結体の外周壁側から鉄系多孔質焼結体の空孔(隙間)へ含浸してその内周壁側まで出現したものであるからシリンダライナの表面のAl合金とシリンダブロック本体のAl合金とは同一である。もっとも、シリンダブロックに要求される強度、耐熱性、耐食性等は部位によって異なり、各部位に応じて材質を変更する場合も考えられる。そのようなシリンダブロックの場合は、シリンダライナの表面に表れるAl合金と、シリンダブロック本体の材質とが必ずしも一致しなくても良い。
(2)鉄系多孔質焼結体は、鉄を主成分とする鉄粉末を加圧成形した粉末成形体を加熱して焼結させたものである。鉄粉末は、Feが主成分であれば、純鉄粉末でも合金粉末でもそれらの混合粉末でもよい。また、鉄粉末は、金属粉末以外に、炭素(C)、ホウ素(B)等の金属以外の各種合金元素粉末を含んでいても良い。鉄粉末の粒状等は問わないが、クロスハッチ条痕の形成やAl合金の含浸性等を考慮して、鉄粉末の粒径は40〜180μmであると好ましい。
この鉄粉末を加圧形成した粉末成形体は、ステアリン酸やその塩等の粉末冶金用潤滑剤等からなるバインダと前述の鉄粉末とその他添加剤等の混合粉末を適切な成形圧力で加圧成形したものである。
シリンダライナ表面へのAl合金の含浸性やクロスハッチ条痕の面性状等を考慮すると、鉄系多孔質焼結体の気孔率または鉄粉末占有体積率(Vf)が重要となる。そこで、鉄系多孔質焼結体の全体を100体積%としたときに、焼結した鉄粉末の占める鉄粉末占有体積率(Vf)が45〜80体積%(以下単に「%」という)であると好適である。このVfが45〜80%であると、Al合金の含浸性、クロスハッチ条痕の面性状等が好ましい。逆にいえば、鉄系多孔質焼結体のVfが45〜80%となるように、焼結時に焼失するバインダ量や成形圧力を調整して、粉末成形体のVfを適宜設定するのが良い。Vfの下限は50%、55%、60%、65%さらには70%であるとより好ましく、Vfの上限は75%であるとより好ましい。なお、本明細書でいう体積%とは、鉄粉末の真密度に対する鉄系多孔質焼結体または粉末成形体の嵩密度の割合である。
ちなみに、シリンダライナの上部は、点火直後の高圧の爆発圧力が直接またはトップリングを介して間接に作用するため、シリンダライナの下部よりも強度が必要となる。この上部の必要強度に合わせて鉄系多孔質焼結体全体を構成しても良いが、高強度の要求される上部とそれよりも下部とで材質や形状を変更して鉄系多孔質焼結体を形成しても良い。例えば、上部は炭素(C)、クロム(Cr)、バナジウム(V)またはマンガン(Mn)等を含む合金粉末(単種粉末または混合粉末)を主に使用して製造し、下部は純鉄等の安価な粉末を使用して製造して、いわゆる材質的に2相構造の鉄系多孔質焼結体としても良い。また、材質を変更しなくても、上部を厚く、下部を薄くする等の形状的に2相構造の鉄系多孔質焼結体としても良い。
〈ホーニング工程〉
(1)本発明のホーニング工程は第1研削工程と第2研削工程とからなる。第1研削工程と第2研削工程とでは砥粒の材質と粗さが異なる。このため、同一のホーニングマシンを使用する場合を考えると、ホーニングヘッドまたは砥石の交換が必要となる。しかし、量産段階では、各工程毎に専用のホーニングマシンを用意すれば効率的なホーニング加工ができる。
ところで、本発明で使用するホーニングマシンは、前述の砥粒の材質と粗さ以外は特に限定されない。例えば、ホーニングヘッドの軸方向に延在させつつ取付ける砥石の個数は3つでも4つでも6つでも良い。
砥石の形状もシリンダライナの長さやホーニングマシンまたはホーニングヘッドの形態に応じて定めれば足りる。
砥石は砥粒を結合剤で結合、保持してなる。この結合剤には、メタルボンド、レジンボンド、メタル系複合ボンドなどがある。本発明で用いたダイヤモンド砥粒やCBN砥粒にはメタルボンドが好適である。そして結合剤が砥粒を保持する強さである結合度は、使用する結合剤の種類と同体積中の結合剤の割合によって決定される。この結合度は砥石の摩耗性に大きく影響する因子に過ぎないため、本発明では結合度までは拘らない。
また、砥石の三要素として、砥粒、結合剤の他に、砥粒と結合剤の間にある空隙である気孔があり、また、この気孔の割合によって、砥石の五因子の一つである組織が決定される。この空隙は切削の逃げなどに影響する。本発明では、クロスハッチ条痕の溝深さの厳密な精度についてまでは問題としていない。従って、砥石の気孔や組織についても本発明では拘らない。
(2)シリンダブロックに設けられたシリンダへ挿入されるホーニングヘッドは、回転と軸方向の上下動(送りと戻り)とを繰返し行う。ホーニングヘッドの回転方向は、軸方向の送りと戻り側で、一定でも逆転しても良い。逆転させることでバリ等の発生を抑制できる場合も多い。もっとも、この点に関して本発明では拘らない。
クロスハッチ条痕の模様は、ホーニングヘッドに取付けられた砥石とシリンダライナとの接触部分における、水平速度と垂直速度との合成速度によって基本的に定まる。すなわち、その接触部分における回転速度と軸方向の移動速度の合成速度によって、シリンダライナに形成されるクロスハッチ条痕の角度が基本的に決定される。水平から軸方向に±30°または±45°傾斜したクロスハッチ条痕が一般的であるが、本発明のクロスハッチ条痕はそれらの角度に限定されるものではない。
さらに、クロスハッチ条痕は、一般的にシリンダライナの全面を通じて単調な凹凸形状であるが、いわゆるプラトーホーニングのような形態の条痕であっても良い。プラトーホーニングは、シリンダライナの断表面が、浅い条痕を有するほぼ平坦部とその平坦部間に形成される比較的深い谷部とが連続した形状(連続した台形状)となるホーニング方法である。このプラトーホーニングをした場合、ピストンやピストンリング等はその平坦部で多く摺接するため摺動抵抗が少なくなり、しかも谷部は十分な油溜りであるため潤滑油切れもなく、性能向上と耐久性の両立が図れる。本発明では、第1研削工程で粗い砥粒からなる砥石でホーニングを行い、その後、第2で細かい砥粒からなる砥石でホーニングを行っているため、このようなプラトーホーニングを行うことも容易である。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
〈シリンダブロック〉
本発明に係る一実施例である自動車エンジン用の4気筒のシリンダブロック1を図1に示す。また、このシリンダブロック1の4つのシリンダ10から任意に選択した一つのシリンダ10の断面図を図2に示した。
図2から解るように、各シリンダ10には鉄系多孔質焼結体12が、Al合金製のシリンダブロック本体11に鋳込まれてなる。そして、この鉄系多孔質焼結体12とその円筒内壁面に含浸したAl合金とによってシリンダライナ121が形成される。なお、図2にはシリンダ10の周囲を囲繞するウォータジャケット13も併せて示した。
〈鉄系多孔質焼結体の製造〉
ところで、上記鉄系多孔質焼結体12は次のように製造される。
原料として、鉄粉末である還元鉄粉(純鉄:川崎製鉄製KIP240M、平均粒径75μm)と、グラファイト(C)と、バインダであるステアリン酸(融点:60℃)からなる粉末冶金用潤滑剤(大日化学ダイワックスW−02)とを用意した。これらをFe:96.5質量%、C:0.5質量%、ステアリン酸:3質量%の割合で混合した(混合工程)。この混合は、ミリング装置を用いて0.5時間行った。
次に、これを円筒形状のキャビティを有する成形型(金型)に自然充填した(充填工程)。このとき、成形型は予めオーブンで、バインダの融点以上である80℃に加熱しておいた。従って、混合粉末中のバインダは、充填後直ちに軟化を開始した(加熱工程)。
次に、成形型に充填した混合粉末を、油圧プレスで上下方向から加圧した(加圧工程)。このときの加圧力は50MPaとした。
こうして得られた粉末成形体を成形型から取出した(取出工程)。得られた粉末成形体は、外径86mm×高さ130mm×板厚3mmである。この粉末成形体は、素手で十分に取扱える強度を有しており、多少の振動等で崩壊することはなかった。この粉末成形体の鉄粉末占有体積率を調べたところ、約55体積%であった。
次に、前記粉末成形体を真空炉の中に入れて、真空または窒素ガスの雰囲気で1050℃×0.5時間加熱して焼結させた(焼結工程)。こうして、前記した粉末成形体と同形状で気孔率が約55体積%の多孔質焼結体が得られた。
〈シリンダブロックの鋳造〉
上記の多孔質焼結体12を、Al合金(JIS ADC12)に鋳込んでエンジンのシリンダブロック1を製作した。このブロック本体11は、ダイカストにより製造した。ダイカストの条件は、溶融温度680℃、金型温度250℃、加圧力100MPaとした。
ちなみに、このエンジンブロック1のシリンダ10の内壁面を観察したところ、ブロック本体11のAl合金が鉄系多孔質焼結体12中へ十分に含浸していることが確認された。
〈シリンダブロックのホーニング〉
ホーニングマシン2(日進製作所製:CMH−300−N−S)を用いてシリンダブロック1のシリンダ10をホーニングする様子を図3に示す。次に説明する第1研削工程および第2研削工程では、このホーニングマシン2を共通して用い、治具形式もユニバーサル式で共通とした。
また、ホーニングヘッド21も取付ける砥石が第1研削工程と第2研削工程とで異なるだけであり、基本的には共通であるので、以下では同一の符号を使用する。
(1)第1研削工程
ホーニングヘッド21の外周面には、軸方向に延びる#325(第1粗さ)のダイヤモンド砥粒(第1砥粒)からなるダイヤモンド砥石(第1砥石)Dを60度間隔で6つ取付けた。このダイヤモンド砥石Dは市販品でSD325-I20-MBA2である。
このホーニングヘッド21をシリンダ10に挿入して回転数130rpmxで往復動させた。このときの取り代は20μmとした。なお、研削加工中は、油性の切削油を常時供給しつつ行った。
(2)第2研削工程
第1研削工程後のシリンダに対して、軸方向に延びる#1000(第2粗さ)のCBN砥粒(第2砥粒)からなるCBN砥石(第2砥石)Cを60度間隔で6つ外周面に取付けたホーニングヘッド21を用いて、研削加工を行った。
このCBN砥石Cは市販品でCB1000-I20-MBA2である。
これ以降の工程や加工条件は第1研削工程の場合と同様である。このときの取り代は8μmとした。
〈評価〉
(1)前述したシリンダブロック1と同様のものを複数用意して、上述した条件でホーニング工程を行った場合(実施例)と、そのいずれかの条件を変更してホーニング工程を行った場合との結果を表1にまとめた。なお、表1中の「x」は測定を行っていないことを示す。
また、表1中の試験片No.1(実施例)と試験片No.2(比較例)に示すシリンダライナの一部を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真を図4Aおよび図4Bに対比して示す。
また、さらにその試験片No.1と試験片No.2とを拡大した光学顕微鏡写真を図5Aおよび図5Bに対比して示す。
(2)試験片No.2は第1研削工程の砥粒粗さを#120、試験片No.3は第1研削工程の砥粒粗さを#170としたが、両者とも面粗度が10μm以上と悪いため、本評価では、真円度、真直度、プラトー率、クロスハッチ角度は評価していない。試験片No.4は第2研削工程の加工代を4μm(試験片No.1は2μm)としたが、面粗度やプラトー率が小さすぎて、顕微鏡でバリやカエリが観察されなくても、油保持の効果が小さいといえる。
(3)以上のことから、本発明で示した範囲の加工条件でホーニング工程を行った場合の試験片No.1のシリンダライナは、クロスハッチ条痕が所望範囲内にあり、その表面には目立ったカエリやバリ等がなく、極めて良好な面性状であることが明らかとなった。
Figure 2009030657
本発明に係るシリンダブロックの一例を示す図である。 本発明に係るシリンダおよびシリンダライナの様子を示す図である。 本発明に係るシリンダライナのホーニング加工の様子を示す図である。 試験片No.1のシリンダライナの表面を観察したSEM写真である。 試験片No.2のシリンダライナの表面を観察したSEM写真である。 試験片No.1のシリンダライナの表面を観察した光学顕微鏡写真(倍率:400倍)である。 試験片No.2のシリンダライナの表面を観察した光学顕微鏡写真(倍率:400倍)である。
符号の説明
1 シリンダブロック
2 ホーニングマシン
10 シリンダ
11 ブロック本体
12 鉄系多孔質焼結体
21 ホーニングヘッド
121 シリンダライナ

Claims (4)

  1. シリンダブロックに設けられたシリンダ内に嵌入されたピストンが摺接し得る該シリンダの内筒面であるシリンダライナにクロスハッチ条痕を形成するホーニング工程を有するシリンダブロックの製造方法であって、
    前記シリンダライナは、鉄を主成分とする鉄粉末を加圧成形した粉末成形体を加熱して焼結させた筒状の鉄系多孔質焼結体と該鉄系多孔質焼結体の外周側から含浸させたアルミニウム合金とにより形成され、
    前記ホーニング工程は、第1粗さのダイヤモンド砥粒を固化させた第1砥石を回転させつつ前記シリンダライナの軸方向へ上下動させる第1研削工程と、
    該第1粗さよりも細かい立方晶窒化ホウ素(CBN)砥粒を固化させた第2砥石を回転させつつ該シリンダライナの軸方向へ上下動させる第2研削工程とからなり、
    クロスハッチ条痕を有するシリンダライナが得られることを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
  2. 前記第1粗さは#270〜400(JIS規格、以下同様)であり、
    前記第2粗さは#800〜1200である請求項1に記載のシリンダブロックの製造方法。
  3. 該鉄系多孔質焼結体は、全体を100体積%としたときに焼結した前記鉄粉末の占める鉄粉末占有体積率(Vf)が45〜80体積%である請求項1または2に記載の粉末成形体の製造方法。
  4. アルミニウム合金製のブロック本体と、
    該ブロック本体に設けられたシリンダ内に嵌入されたピストンが摺接し得る該シリンダの内筒面であり、鉄を主成分とする鉄粉末を加圧成形した粉末成形体を加熱して焼結させた筒状の鉄系多孔質焼結体と該鉄系多孔質焼結体の外周側から含浸させたアルミニウム合金とにより形成されたシリンダライナとからなるシリンダブロックであって、
    前記シリンダライナは、請求項1〜3のいずれかに記載したホーニング工程によりクロスハッチ条痕が形成されていることを特徴とするシリンダブロック。
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