JP2009029712A - アルコールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】周期表第8族〜第10族の遷移金属を一種以上含む金属錯体、及びプロトン性溶媒の存在下で、オレフィン性化合物を水素及び一酸化炭素と反応させてアルコールを製造するにあたり、金属錯体として、下記一般式(I)で表される有機リン配位子を有するものを用いる。
(式(I)中、Aは2個のリン原子間を少なくとも3つの原子を介して連結する二価の有機基を表し、R1〜R4は、水素原子、炭素数30以下のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアリーロキシ基を表す。)
【選択図】なし
Description
また、本反応は、以下の反応式に示すように、オレフィン性化合物から反応中間体である直鎖型及び分岐型のアルデヒドを経由して、それらが更に反応系内で水素化反応を受けることでそれぞれ対応する直鎖型及び分岐型のアルコールに変換されていると考えられるが、反応を完全に押切っていない途中段階における有効な直鎖成分の選択性を、L(alc)=直鎖型アルコールの収率、L(ald)=直鎖型アルデヒドの収率、B(alc)=分岐型アルコールの収率、B(ald)=分岐型アルデヒドの収率として、(L(alc)+L(ald))/(B(alc)+B(ald))を計算することで見積もると、(L(alc)+L(ald))/(B(alc)+B(ald))=0.6〜2.6(直鎖選択率=38〜72%)という低い値であることが分かる。
即ち、本発明の目的は、触媒の存在下、オレフィン性化合物を水素及び一酸化炭素と反応させて一段階の反応工程でアルコールを製造する方法において、従来よりも高い直鎖選択性を有するアルコールを製造する方法を提供することに存する。
(L(alc)+L(ald))/(B(alc)+B(ald))>3.0
(ここで、L(alc)は、直鎖型アルコールの収率を、L(ald)は、直鎖型アルデヒドの収率を、B(alc)は、分岐型アルコールの収率を、B(ald)は、分岐型アルデヒドの収率を表す。)
本発明においては、この「周期表第8〜10族から選ばれる遷移金属の化合物及び有機リン配位子としての二座の有機リン系化合物とで構成される金属錯体」が本発明で使用される触媒である。
まず、本発明のアルコールの製造方法で使用される触媒を構成する遷移金属化合物について説明する。
遷移金属化合物としては、周期表の第8〜10族(IUPAC無機化学命名法改訂版(1998)による)に属する遷移金属からなる群より選ばれる、一以上の遷移金属を含む化合物が使用される。
具体的には、鉄化合物、ルテニウム化合物、オスミウム化合物、コバルト化合物、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ニッケル化合物、パラジウム化合物及び白金化合物等が挙げられるが、中でもルテニウム化合物、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ニッケル化合物、パラジウム化合物及び白金化合物が好ましく、特にロジウム化合物が好ましい。
ルテニウム化合物としては、RuCl3、Ru(OAc)3、Ru(acac)3、RuCl2(PPh3)3等が挙げられる。
オスミウム化合物としては、OsCl3、Os(OAc)3等が挙げられる。
コバルト化合物としては、Co(OAc)2、Co(acac)2、CoBr2、Co(NO3)2等が挙げられる。
ロジウム化合物としては、RhCl3、RhI3、Rh(NO3)3、Rh(OAc)3、RhCl(CO)(PPh3)2、RhH(CO)(PPh3)3、RhCl(PPh3)3、Rh(acac)3、Rh(acac)(CO)2、Rh(acac)(cod)、[Rh(OAc)2]2、[Rh(OAc)2]2、[Rh(OAc)(cod)]2、[RhCl(CO)]2、[RhCl(cod)]2、Rh4(CO)12等が挙げられる。
イリジウム化合物としては、IrCl3、Ir(OAc)3、[IrCl(cod)]2が挙げられる。
ニッケル化合物としては、NiCl2、NiBr2、Ni(NO3)2、NiSO4、Ni(cod)2、NiCl2(PPh3)3等が挙げられる。
パラジウム化合物としては、PdCl2、PdCl2(cod)、PdCl2(PPh3)2、Pd(PPh3)4、Pd2(dba)3、K2PdCl4、PdCl2(CH3CN)2、Pd(NO3)2、Pd(OAc)2、PdSO4、Pd(acac)2等が挙げられる。
白金化合物としては、Pt(acac)2、PtCl2(cod)、PtCl2(CH3CN)2、PtCl2(PhCN)2、Pt(PPh3)4、K2PtCl4、Na2PtCl6、H2PtCl6が挙げられる。
なお、以上の例示において、codは1,5−シクロオクタジエンを、dbaはジベンジリデンアセトンを、acacはアセチルアセトナトを、Acはアセチル基を、Ph基はフェニル基をそれぞれ表す。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
次いで、本発明に用いられる有機リン配位子について述べる。
本発明で用いる有機リン配位子は、下記一般式(I)で表される二座の有機リン系化合物である。
R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数3〜30のアリール基、又は炭素数3〜30のアリーロキシ基を表し、R1〜R4は更に置換基を有していてもよい。ただし、R1とR2、R3とR4は互いに結合して環状構造を形成していても良い。
なお、ここで、「炭素数」は当該基が置換基を有する場合は、その置換基の炭素数をも含めた合計の炭素数をさす。
以下においても同様である。
R1〜R4のアルコキシ基としては、炭素数1〜30、好ましくは1〜15の直鎖又は分岐のアルコキシ基が挙げられる。
R1〜R4のアリール基としては、炭素数3〜30、好ましくは5〜22の置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。なお、本アリール基には、窒素原子、酸素原子、硫黄原子といった炭素原子以外の原子を芳香環形成原子に含んだ複素環式芳香族化合物からなる基(ヘテロアリール基)も包含される。具体的なヘテロアリール基としては、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジル基、ピリジル基などが挙げられる。
R1〜R4のアリーロキシ基としては、炭素数3〜30、好ましくは5〜22の置換基を有していてもよいアリーロキシ基が挙げられる。なお、本アリーロキシ基においても、酸素原子の先のアリール基としてヘテロアリール基を含む。
Ra〜Reのアルコキシ基としては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4の直鎖又は分岐のアルコキシ基が挙げられる。
Ra〜Reのアリール基としては炭素数3〜14、好ましくは5〜10の置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。なお、本アリール基にはヘテロアリール基も包含される。
Ra〜Reのアリーロキシ基としては、炭素数3〜14、好ましくは5〜10の置換基を有していてもよいアリーロキシ基が挙げられる。なお、本アリーロキシ基においても、酸素原子の先のアリール基としてヘテロアリール基を含む。
これらの基は、更に置換基を有していても良く、R11〜R18の任意の2つの置換基が結合して環状構造を形成しても良い。
R11〜R18のアルコキシ基としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜6の直鎖又は分岐のアルコキシ基が挙げられる。
R11〜R18のアリール基としては炭素数3〜10、好ましくは5〜8の置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。なお、本アリール基にはヘテロアリール基も包含される。
R11〜R18のアリーロキシ基としては、炭素数3〜10、好ましくは5〜8の置換基を有していてもよいアリーロキシ基が挙げられる。なお、本アリーロキシ基においても、酸素原子の先のアリール基としてヘテロアリール基を含む。
R11〜R18のアシル基としては、炭素数2〜10、好ましくは2〜6の置換基を有していてもよいアシル基が挙げられる。
R11〜R18のアシロキシ基としては、炭素数2〜10、好ましくは2〜6の置換基を有していてもよいアシロキシ基が挙げられる。
R11〜R18のエステル基としては、炭素数2〜10、好ましくは2〜7の置換基を有していてもよいアシロキシ基が挙げられる。
R11〜R18のアミノ基、置換アミノ基としては、炭素数0〜10、好ましくは0〜8のアミノ基又は置換アミノ基が挙げられる。
また、二座ホスフィン配位子は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
周期表第8〜10族遷移金属化合物及び二座の有機リン系化合物を用いる本発明に係る触媒の調製は、反応ゾーンとは別途設けた触媒調製ゾーンで予め調製してから当該触媒を反応ゾーンに加えても良いし、それぞれを個別に反応ゾーンに添加して反応ゾーン内で触媒調製を行っても良い。また、反応後、生成物系と触媒系とを分離し、その触媒を再び反応ゾーンにリサイクルして用いても良い。この場合、触媒の劣化や消失の度合いに応じて、適宜遷移金属化合物、二座の有機リン系化合物のいずれか、又は両方を適宜追加して補うことが望ましい。
反応ゾーンで速やかに触媒反応を開始させるようにするためにも、触媒は溶解した状態で反応ゾーンに導かれることが好ましい。また、場合によっては、触媒を調製して反応ゾーンに導入する前に、加熱処理や触媒活性種への変換に必要なガス処理、例えば水素や一酸化炭素等のガスとの加圧接触を予め行ってから触媒を反応ゾーンに導入しても良い。
本発明の反応においては、前述したように、オレフィン性化合物から反応中間体である直鎖型及び分岐型のアルデヒドを経由して、それらが更に反応系中で水素化反応を受けることでそれぞれ対応する直鎖型及び分岐型のアルコールに変換されていると考えられるが、反応を完全に押切っていない途中段階においては、直鎖型のアルデヒドの方が分岐型のアルデヒドより速やかに水素化反応を受けやすいため、見かけ上、アルコールの直鎖選択性は高くなり、逆にアルデヒドの直鎖選択性は低くなる。即ち、そうした反応の途中段階で目的とするアルコールの直鎖選択性を比較する場合には、その時その時のアルコールの直鎖選択性を見ただけでは判断を誤る危険性があるため、以下の式(IV)で計算される値(分岐成分に対する直鎖成分の比)を用いて、反応生成物全体の直鎖選択性を評価する必要がある。
(上式において、L(alc)は直鎖型アルコールの収率、L(ald)は直鎖型アルデヒドの収率、B(alc)は分岐型アルコールの収率、B(ald)は分岐型アルデヒドの収率を表す。)
(L(alc)+L(ald))/(B(alc)+B(ald))>3.0
を満たすこともでき、公知技術のロジウム−トリアルキルホスフィン触媒系やロジウムとBite−angleの狭い二座ホスフィンからなる触媒系で達成させる(L(alc)+L(ald))/(B(alc)+B(ald))=0.6〜2.6と比較して、生成物系の直鎖選択性は大幅に改善される。
本発明の反応における目的物はアルコールであるため、アルコールの収率に関しては60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上である。
アルコールの収率を60%以上にするためには、基本的に反応を十分に押し切る条件(即ち、ほぼ全てのオレフィン性化合物原料を生成物に転化させるを採用すれば達成される。例えば、触媒濃度を高めることや反応ゾーンにおける滞留時間を長く取る等の手法が挙げられる。その他、比較的高い反応温度(例えば120〜150℃程度)や水素分圧を高める(例えば1〜5MPa程度)など、アルコール生成に適した反応条件を採用すればアルコールの収率を高めることができる。
本発明のアルコールの製造方法に適用される原料オレフィン性化合物としては、炭素数3以上の化合物であって分子内にオレフィン性二重結合を少なくとも1つ有する化合物であれば特にその構造に制限されるものではなく、飽和炭化水素基のみによって置換されたオレフィン性化合物、不飽和炭化水素基を含む炭化水素基によって置換されたオレフィン性化合物、又は、ヘテロ原子を含む官能基により置換されたオレフィン性化合物等、いずれのオレフィン性化合物にも適用できる。
なお、オレフィン性化合物の炭素数の上限については特に制限はないが、溶解性の問題、粘度の問題、原料確保の容易さなどを考慮して通常30以下である。
本発明の製造方法を実施するに当たっては、反応はプロトン性溶媒中で実施する。プロトン性溶媒とは、解離して容易にプロトン(H+)を放出することが可能な溶媒である。
具体的には、原料オレフィン性化合物としてプロピレンを用いた場合には、プロトン性溶媒としてn−ブタノールやイソブタノールを用いることが好ましい。
本発明のアルコールの製造方法における好適な反応条件は次の通りである。
<反応圧力>
水素分圧、一酸化炭素分圧、原料、生成物、溶媒等の蒸気圧の総和で形成される反応圧力は、通常0.01MPa以上、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上であり、通常30MPa以下、好ましくは20MPa以下、より好ましくは10MPa以下である。
反応圧力が低すぎると遷移金属化合物が失活してメタル化してしまう懸念がある他、触媒活性自体十分に発現せず、アルコール収率が低下することが予想される。また、逆に高すぎると得られるアルコールの直鎖選択性が低下する傾向が見られるため好ましくない。
水素と一酸化炭素のモル比は、1:10〜10:1であり、より好ましくは1:2〜8:1であり、更に好ましくは1:1〜5:1である。
反応温度は、通常25℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上であり、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。 反応温度が低すぎると反応活性自体が十分に得られないことが予想され、高すぎると得られるアルコールの直鎖選択性の低下や配位子の熱分解による消失などが予想される。
本発明の反応方式としては特に制限はなく、撹拌型反応槽、又は気泡塔型反応槽中で、連続式、半連続式、又はバッチ式操作のいずれでも容易に実施し得る。
未反応原料オレフィン性化合物や生成物類と触媒との分離は、通常、単蒸留、減圧蒸留、薄膜蒸留、水蒸気蒸留等の蒸留操作のほか、気液分離、蒸発(エバポレーション)、ガスストリッピング、ガス吸収及び抽出等の公知の方法で行うことができる。
蒸留条件は特に制限されるものではなく、生成物の揮発性、熱安定性、及び触媒成分の揮発性、熱安定性等を考慮して望ましい結果が得られるように任意に設定されるが、通常、50〜300℃の温度、760〜0.01mmHgの圧力条件の範囲から選ばれる。
分離した触媒を含む残液からは、公知の方法により周期表第8〜10族遷移金属を回収することができる。或いは残液の全量若しくは一部を反応工程にリサイクルして触媒を再利用することもできる。
触媒調製用のガラス容器に、アルゴン雰囲気下でRh(acac)(CO)2(2.7mg、0.0105mmol、反応媒体中の濃度は1130重量ppmとなる。)、及び二座ホスフィンとして下記構造式の例示化合物(L−45)(15.8mg、0.0523mmol、Rhの5モル倍)を仕込み、エタノール(1.0ml)と反応基質である1−デセン(0.2ml、1.06mmol)を加えて溶解させ、当該溶液を別途用意した内容量50mlのステンレス鋼オートクレーブにアルゴン雰囲気下で仕込んだ。オートクレーブを密閉後、当該オートクレーブを170℃まで昇温し、水素及び一酸化炭素の混合ガス(混合比:水素/一酸化炭素=1/1)を系内圧力が4.0MPaになるように圧入して反応を開始した。
その結果、直鎖型のウンデカノール収率は78%、分岐型のウンデカノール収率は19%(全ウンデカノール収率=97%、ウンデカノールの直鎖体/分岐体=4.1)であり、直鎖型のウンデカナール収率は0%、分岐型のウンデカナール収率は0%(全ウンデカナール収率=0%)であった。即ち、(L(alc)+L(ald))/(B(alc)+B(ald))=4.1(直鎖選択率=80%)であった。
実施例1における二座ホスフィン(L−45)の代わりに以下に示す二座ホスフィン化合物(L−A)を用いたこと以外、同様に反応を行った。
実施例1における二座ホスフィン(L−45)の代わりに、以下に示す単座ホスフィン(L−B)を用いたこと以外、同様に反応を行った。
非特許文献2の実験条件に合わせて以下の実験を行った。
触媒調製用のガラス容器に、アルゴン雰囲気下でRh(acac)(CO)2(10.2mg、0.0395mmol、反応媒体中の濃度は1030重量ppmとなる。)、及び二座ホスフィンとして実施例1で用いた(L−45)(78.0mg、0.258mmol、Rhの6.5モル倍、P/Rh=13)を仕込み、エタノール(4.0ml)と反応基質である1−ヘキセン(1.0ml、8.314mmol)を加えて溶解させ、当該溶液を別途用意した内容量50mlのステンレス鋼オートクレーブにアルゴン雰囲気下で仕込んだ。オートクレーブを密閉後、当該オートクレーブを120℃まで昇温し、水素及び一酸化炭素の混合ガス(混合比:水素/一酸化炭素=1/1)を系内圧力が40atmになるように圧入して反応を開始した。
16時間の後、オートクレーブを室温まで冷却し、反応液を取り出してガスクロマトグラフィーで分析し、生成物濃度を測定した。
その結果、直鎖型のヘプタノール収率は44%、分岐型のヘプタノール収率は7%(全ヘプタノール収率=51%、ヘプタノールの直鎖体/分岐体=6.3)であり、直鎖型のヘプタナール収率は7%、分岐型のヘプタナール収率は8%(全ヘプタナール収率=15%、ヘプタナールの直鎖体/分岐体=0.9)であった。即ち、(L(alc)+L(ald))/(B(alc)+B(ald))=3.4(直鎖選択率=78%)であった。
実施例2における二座ホスフィン(L−45)の代わりに、比較例2で用いた単座ホスフィン(L−B)を用いたこと以外、同様に反応を行った。ただし、ロジウムに対するリン原子の比率(P/Rh)は、非特許文献2および実施例2と同じく、P/Rh=13に合せた。
その結果、直鎖型のヘプタノール収率は58%、分岐型のヘプタノール収率は25%(全ヘプタノール収率=83%、ヘプタノールの直鎖体/分岐体=2.3)であり、直鎖型のヘプタナール収率は0%、分岐型のヘプタナール収率は6%(全ヘプタナール収率=6%、ヘプタナールの直鎖体/分岐体=0)であった。即ち、(L(alc)+L(ald))/(B(alc)+B(ald))=1.9(直鎖選択率=65%)であった。
実施例2で用いたロジウム化合物Rh(acac)(CO)2の代わりに非特許文献2の実験で使用されているロジウム錯体(RhH(PEt3)3)を用い、かつ、二座ホスフィン(L−45)の代わりに、比較例2で用いた単座ホスフィン(L−B)を用いたこと以外、同様に反応を行った。ただし、ロジウムに対するリン原子の比率(P/Rh)は、非特許文献2および実施例2と同じく、P/Rh=13に合せた。
その結果、直鎖型のヘプタノール収率は66%、分岐型のヘプタノール収率は27%(全ヘプタノール収率=93%、ヘプタノールの直鎖体/分岐体=2.4)であり、直鎖型のヘプタナール収率は0%、分岐型のヘプタナール収率は7%(全ヘプタナール収率=7%、ヘプタナールの直鎖体/分岐体=0)であった。即ち、(L(alc)+L(ald))/(B(alc)+B(ald))=1.9(直鎖選択率=66%)であった。
Claims (7)
- 周期表第8族〜第10族から選ばれる遷移金属を一種以上含む金属錯体、及びプロトン性溶媒の存在下で、オレフィン性化合物を水素及び一酸化炭素と反応させてアルコールを製造する方法であって、該金属錯体が下記一般式(I)で表される有機リン配位子を有することを特徴とするアルコールの製造方法。
- 前記一般式(I)中のAが下記一般式(III)で表されることを特徴とする請求項1又は2記載のアルコールの製造方法。
- 前記周期表第8族〜第10族から選ばれる遷移金属がロジウムである請求項1ないし3のいずれかに記載のアルコールの製造方法。
- 前記プロトン性溶媒がアルコールである請求項1ないし4のいずれかに記載のアルコールの製造方法。
- 前記アルコールの収率が60%以上である請求項1ないし5のいずれかに記載のアルコールの製造方法。
- 前記オレフィン性化合物が炭素数3以上の直鎖状のオレフィン性化合物であり、反応で生成する直鎖型及び分岐型アルコールの収率と、反応で副生する直鎖型及び分岐型アルデヒドの収率において、下記条件を満たすことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のアルコールの製造方法。
(L(alc)+L(ald))/(B(alc)+B(ald))>3.0
(ここで、L(alc)は、直鎖型アルコールの収率を、L(ald)は、直鎖型アルデヒドの収率を、B(alc)は、分岐型アルコールの収率を、B(ald)は、分岐型アルデヒドの収率を表す。)
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