JP2009028799A - 表面被覆切削工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットからなる工具基体の表面に、(a)2〜10μmの平均層厚を有するAlとCrの複合窒化物層からなり、下部層の構成成分であるAlおよびCrの含有割合が、該層の層厚方向に沿って定まった周期で連続的にあるいは不連続的に変化する濃度分布構造を有する下部層と、(b)0.3〜1μmの平均層厚を有するAlとCrの合金層からなる表面層、を蒸着形成した表面被覆切削工具。
【選択図】 なし
Description
組成式:(Al1−ZCrZ)N(ただし、原子比で、Zは0.2〜0.4を示す)、
を満足するAlとCrの複合窒化物[以下、(Al,Cr)Nで示す]層からなる硬質被覆層を2〜10μmの平均層厚で物理蒸着してなる被覆工具が知られており、かつ前記被覆工具の硬質被覆層である(Al,Cr)N層が、構成成分であるAlによって高温硬さと耐熱性、同Crによって高温強度、さらにCrとAlの共存含有によって高温耐酸化性を具備することから、これを各種の一般鋼や普通鋳鉄などの連続切削や断続切削加工に用いた場合にすぐれた切削性能を発揮することも知られている。
まず、前記Cr含有割合が異なる複数のAl−Cr合金のカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間に、交互にあるいは同時にアーク放電を発生させて、前記工具基体の表面に、AlおよびCrの含有割合が、層厚方向に沿って定まった周期で変化する濃度分布構造を有する下部層である(Al,Cr)N層(即ち、交互積層(Al,Cr)N層あるいは組成変調(Al,Cr)N層)を2〜10μmの平均層厚で蒸着形成した後、
前記Al−Cr合金のカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を継続させたまま、装置内雰囲気を窒素雰囲気からAr雰囲気へと徐々に切り替え、最終的にAr雰囲気中で、カソード電極(蒸発源)である前記Al−Cr合金とアノード電極との間にアーク放電を発生させて、表面層としてのAl−Cr合金層を0.3〜1μmの平均層厚で蒸着形成することにより、
所定平均層厚の交互積層(Al,Cr)N層あるいは組成変調(Al,Cr)N層)からなる下部層と、所定平均層厚のAl−Cr合金層からなる表面層を蒸着で形成できること。
「(1) 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
(a)蒸着形成された2〜10μmの平均層厚を有するAlとCrの複合窒化物層であって、該層の構成成分であるAlおよびCrの含有割合が、該層の層厚方向に沿って定まった周期で変化する濃度分布構造を有するAlとCrの複合窒化物層からなる下部層、
(b)上記AlとCrの複合窒化物層からなる下部層の表面に設けられ、0.3〜1μmの平均層厚を有する蒸着形成されたAlとCrの合金層からなる表面層、
上記(a)、(b)で構成された硬質被覆層を備えた表面被覆切削工具。
(2) 前記(1)記載の表面被覆切削工具において、
AlとCrの複合窒化物層からなる下部層は、Cr含有割合が少ないAlとCrの複合窒化物薄層と、Cr含有割合が多いAlとCrの複合窒化物薄層との、交互積層構造として構成されていることを特徴とする前記(1)記載の表面被覆切削工具。
(3) 前記(2)記載の表面被覆切削工具において、
Cr含有割合が少ないAlとCrの複合窒化物薄層を、
組成式:(Al1−XCrX)N
で表した場合、Xの値は、原子比で、0.15≦X≦0.25を満足し、
また、Cr含有割合が多いAlとCrの複合窒化物薄層を、
組成式:(Al1−YCrY)N
で表した場合、Yの値は、原子比で、0.35≦Y≦0.45を満足する、
ことを特徴とする前記(2)記載の表面被覆切削工具。
(4) 前記(1)記載の表面被覆切削工具において、
AlとCrの複合窒化物層からなる下部層は、層厚方向に沿って、Al最高含有点とAl最低含有点とが所定間隔をおいて交互に繰り返し存在し、かつ前記Al最高含有点から前記Al最低含有点、前記Al最低含有点から前記Al最高含有点へAlおよびCrの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有することを特徴とする前記(1)記載の表面被覆切削工具。
(5) 前記(4)記載の表面被覆切削工具において、
Al最高含有点のAlとCrの複合窒化物層を、
組成式:(Al1−αCrα)N
で表した場合、αの値は、原子比で、0.15≦α≦0.25を満足し、
また、上記Al最低含有点のAlとCrの複合窒化物層を、
組成式:(Al1−βCrβ)N
で表した場合、βの値は、原子比で、0.35≦β≦0.45を満足する、
ことを特徴とする前記(4)記載の表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
AlとCrの複合窒化物層((Al,Cr)N層)の構成成分であるAl成分には硬質被覆層における高温硬さと耐熱性を向上させ、また、同Cr成分には高温強度を向上させ、さらに、CrとAlの共存含有によって高温耐酸化性を向上させる作用があるが、この発明では、下部層として、ほぼ均一組成の((Al,Cr)N層)を設けるのではなく、敢て、層の構成成分であるAlおよびCrの含有割合が、層厚方向に沿って定まった周期で変化する濃度分布構造を形成させることにより、下部層の備える特性(特に、高温硬さ、耐熱性、高温強度)のより一層の向上を図った。ただ、下部層の平均層厚が2μm未満では、自身のもつすぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮するには不十分であり、一方その平均層厚が10μmを越えると、高速高送り切削加工で切刃部にチッピングが発生し易くなることから、その平均層厚は2〜10μmと定めた。
下部層におけるAlおよびCrの含有割合が、層厚方向に沿って定まった周期で変化する濃度分布構造は、例えば、カソード電極として、Cr含有割合が異なる複数のAl−Cr合金ターゲットを配置したアークイオンプレーティング装置を用い、各カソードで交互にアーク放電を行わせ、Cr含有割合が少ないAlとCrの複合窒化物薄層(薄層A)と、Cr含有割合が多いAlとCrの複合窒化物薄層(薄層B)との、交互積層構造からなる下部層を蒸着により形成することにより得られるが、この層構造においては、
Cr含有割合が少ないAlとCrの複合窒化物薄層(薄層A)を、
組成式:(Al1−XCrX)N
で表した場合、Xの値は、原子比で、0.15≦X≦0.25を満足し、
また、Cr含有割合が多いAlとCrの複合窒化物薄層(薄層B)を、
組成式:(Al1−YCrY)N
で表した場合、Yの値は、原子比で、0.35≦Y≦0.45を満足する、
ことが必要である。
つまり、Cr含有割合が少ないAlとCrの複合窒化物薄層(薄層A)において、Alとの合量に占めるCrの含有割合を示すXの値(原子比)が、0.15未満であると、溶着性の高い被削材の高速高送り切削加工において最小限必要とされる高温強度を確保することができず該薄層Aでチッピングを発生しやすくなり、一方、Xの値(原子比)が0.25を超えると、相対的なAl含有割合の減少により、高温硬さの低下、耐熱性の低下が生じ、偏摩耗の発生、熱塑性変形の発生等により耐摩耗性の向上が期待できなくなるので、Cr含有割合が少ないAlとCrの複合窒化物薄層(薄層A)におけるAlとの合量に占めるCrの含有割合(X)の値(原子比)を、0.15≦X≦0.25と定めた。
また、Cr含有割合が多いAlとCrの複合窒化物薄層(薄層B)において、Alとの合量に占めるCrの含有割合を示すYの値(原子比)が、0.35未満であると、高温強度の向上が十分でないためチッピングの発生を抑えることができず、一方、Yの値(原子比)が0.45を超えると、相対的なAl含有割合の減少により、最小限必要とする高温硬さ、耐熱性を確保することができなくなり、耐摩耗性の低下がみられるようになるので、Cr含有割合が多いAlとCrの複合窒化物薄層(薄層B)におけるAlとの合量に占めるCrの含有割合(Y)の値(原子比)を、0.35≦Y≦0.45と定めた。
言い換えるならば、高温硬さ、耐熱性にすぐれるが高温強度が十分でない薄層Aと、すぐれた高温強度を有し、しかも、高温硬さおよび耐熱性について悪影響を与えることない薄層Bとを交互積層として構成することにより、高温強度が不足する薄層Aの特性を、すぐれた高温強度を有する薄層Bの特性で補完し、もって、下部層全体としてすぐれた高温硬さ、耐熱性および高温強度を具備せしめることにより、溶着性の高い被削材の高速高送り切削加工における耐チッピング性と耐摩耗性の向上を図ることができる。
また、下部層におけるAlおよびCrの含有割合が、層厚方向に沿って定まった周期で変化する濃度分布構造は、例えば、カソード電極として、Cr含有割合が異なる複数のAl−Cr合金ターゲットを配置したアークイオンプレーティング装置を用い、各カソードで同時にアーク放電を行わせ、層厚方向に沿って、Al最高含有点(Cr最低含有点)とAl最低含有点(Cr最高含有点)とが所定間隔をおいて交互に繰り返し存在し、かつ前記Al最高含有点(Cr最低含有点)から前記Al最低含有点(Cr最高含有点)、前記Al最低含有点(Cr最高含有点)から前記Al最高含有点(Cr最低含有点)へAlおよびCrの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有する下部層を蒸着形成することにより得られるが、この層構造においては、
Al最高含有点(Cr最低含有点)のAlとCrの複合窒化物層を、
組成式:(Al1−αCrα)N
で表した場合、αの値は、原子比で、0.15≦α≦0.25を満足し、
また、上記Al最低含有点(Cr最高含有点)のAlとCrの複合窒化物層を、
組成式:(Al1−βCrβ)N
で表した場合、βの値は、原子比で、0.35≦β≦0.45を満足する、
ことが必要である。
つまり、交互積層(Al,Cr)N層の場合とほぼ同様に、Al最高含有点(Cr最低含有点)のAlとCrの複合窒化物領域において、Alとの合量に占めるCrの含有割合を示すαの値(原子比)が、0.15未満であると、溶着性の高い被削材の高速高送り切削加工において最小限必要とされる高温強度を確保することができずこの領域でチッピングを発生しやすくなり、一方、αの値(原子比)が0.25を超えると、相対的なAl含有割合の減少により、高温硬さの低下、耐熱性の低下が生じ、偏摩耗の発生、熱塑性変形の発生等により耐摩耗性の向上が期待できなくなるので、Al最高含有点(Cr最低含有点)のAlとCrの複合窒化物領域におけるAlとの合量に占めるCrの含有割合(α)の値(原子比)を、0.15≦α≦0.25と定めた。
また、Al最低含有点(Cr最高含有点)のAlとCrの複合窒化物領域において、Alとの合量に占めるCrの含有割合を示すβの値(原子比)が、0.35未満であると、高温強度の向上が十分でないためチッピングの発生を抑えることができず、一方、βの値(原子比)が0.45を超えると、相対的なAl含有割合の減少により、最小限必要とする高温硬さ、耐熱性を確保することができなくなり、耐摩耗性の低下がみられるようになるので、Al最低含有点(Cr最高含有点)のAlとCrの複合窒化物領域におけるAlとの合量に占めるCrの含有割合(β)の値(原子比)を、0.35≦β≦0.45と定めた。
即ち、交互積層(Al,Cr)N層の場合とほぼ同様に、高温硬さ、耐熱性にすぐれるが高温強度が十分でないAl最高含有点(Cr最低含有点)領域と、すぐれた高温強度を有し、しかも、高温硬さおよび耐熱性について悪影響を与えることないAl最低含有点(Cr最高含有点)領域とを、AlおよびCrの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布となるように構成することにより、高温強度が不足するAl最高含有点(Cr最低含有点)領域の特性を、すぐれた高温強度を有するAl最低含有点(Cr最高含有点)領域の存在で補完し、下部層全体としての高温硬さ、耐熱性、高温強度を向上させることができ、しかも、下部層を構成する成分および組成に不連続箇所がないために、層自体の強度をより一層向上せしめることができるので、軟鋼やステンレス鋼等の溶着性の高い被削材の高速高送り切削加工においても、すぐれた耐チッピング性と耐摩耗性を充分に発揮せしめることができる。
表面層を構成するAl−Cr合金層は、すぐれた熱伝導性・熱放散性とともに所定の高温強度を有する必要があり、Al−Cr合金層中のCr含有量が15原子%未満となると熱伝導性・熱放散性が極端に低下し、また、Cr含有量が45原子%を超えると高温強度が低下してしまうので、Al−Cr合金層中のCr含有量は15〜45原子%とする必要がある。
そして、この発明では、Al−Cr合金層を蒸着形成するにあたって、下部層である前記(Al,Cr)N層を蒸着形成するのに使用したCr含有割合が異なる複数のAl−Cr合金ターゲットの内の少なくとも一つのAl−Cr合金からなるカソード電極(蒸発源)にアーク放電を発生させ、装置内雰囲気を窒素ガスからArガスへと切り替えることによってAl−Cr合金層を蒸着形成する。したがって、一つのAl−Cr合金からなるカソード電極を用いてAl−Cr合金層(表面層)を蒸着形成した場合には、カソード電極におけるCr含有割合とほぼ同じような割合のCr含有量のAl−Cr合金層が形成され、また、Cr含有割合が異なる複数のAl−Cr合金からなるカソード電極を用いてAl−Cr合金層(表面層)を蒸着形成した場合には、複数カソード電極のCr含有割合がほぼ平均化されたCr含有割合のAl−Cr合金層(表面層)が蒸着形成されることになる。
ただ、Al−Cr合金層の平均層厚が0.3μm未満であると、すぐれた熱伝導性・熱放散性という特性を十分発揮することができず、また、その平均層厚が1μmを超えると、被削材との間で溶着を生じやすくなり、切削特性を劣化させることになるので、Al−Cr合金層の平均層厚は0.3〜1μmと定めた。
(b)まず、装置内を排気して0.1Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつTi合金からなるボンバード洗浄用カソード電極とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって工具基体表面をボンバード洗浄し、
(c)次に、装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して4Paの反応雰囲気とすると共に、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−100Vの直流バイアス電圧を印加し、かつ、上記二つのカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間に交互に120Aの電流を流してアーク放電を交互に発生させ、前記工具基体の表面に、表3、表4に示される目標組成、目標平均層厚の交互積層(Al,Cr)N層を蒸着形成した後、
(d)前記二つのカソード電極(蒸発源)の内の一つのカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を継続させつつ、同時に、装置内雰囲気を窒素ガス雰囲気からアルゴンガス雰囲気へと徐々に切り替え、最終的には0.5Paのアルゴンガス雰囲気中で、上記一つのカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させて、表3、表4に示される目標組成、目標平均層厚のAl−Cr合金層を表面層として蒸着形成することにより、
本発明被覆工具としての本発明表面被覆スローアウエイチップ(以下、本発明被覆チップと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
(e)装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して4Paの反応雰囲気とすると共に、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−100Vの直流バイアス電圧を印加し、かつ、上記二つのカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間に同時に120Aの電流を流してアーク放電を同時に発生させ、前記工具基体の表面に、表5、表6に示される目標組成、目標平均層厚の組成変調(Al,Cr)N層を蒸着形成した後、
(f)前記二つのカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を継続させつつ、同時に、装置内雰囲気を窒素ガス雰囲気からアルゴンガス雰囲気へと徐々に切り替え、最終的には0.5Paのアルゴンガス雰囲気中で、上記二つのカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させて、表5、表6に示される目標組成、目標平均層厚のAl−Cr合金層を表面層として蒸着形成することにより、
本発明被覆工具としての本発明表面被覆スローアウエイチップ(以下、本発明被覆チップと云う)21〜36をそれぞれ製造した。
比較被覆工具としての比較表面被覆スローアウエイチップ(以下、比較被覆チップと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
被削材:JIS・S55Cの長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 340 m/min.、
切り込み: 1.2 mm、
送り: 0.40 mm/rev.、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件A)での炭素鋼の乾式高速高送り断続切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、200m/min.、0.25mm/rev.)、
被削材:JIS・SCM440の丸棒、
切削速度: 360 m/min.、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.35 mm/rev.、
切削時間: 10 分、
の条件(切削条件B)での合金鋼の乾式高速高送り連続切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、250m/min.、0.25mm/rev.)、
被削材:JIS・FC250の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 350 m/min.、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.35 mm/rev.、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件C)での鋳鉄の乾式高速高送り断続切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、220m/min.、0.25 mm/rev.)、
を行い、いずれの切削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表9に示した。
本発明被覆工具としての本発明表面被覆超硬製エンドミル(以下、本発明被覆エンドミルと云う)1〜8をそれぞれ製造した。
本発明被覆工具としての本発明表面被覆超硬製エンドミル(以下、本発明被覆エンドミルと云う)11〜18をそれぞれ製造した。
比較被覆工具としての比較表面被覆超硬製エンドミル(以下、比較被覆エンドミルと云う)1〜8をそれぞれ製造した。
本発明被覆エンドミル1〜3、11〜13および比較被覆エンドミル1〜3については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・S55Cの板材、
切削速度: 120 m/min.、
溝深さ(切り込み): 5 mm、
テーブル送り: 550 mm/分、
の条件での炭素鋼の乾式高速高送り溝切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、80m/min.、400mm/分)、
本発明被覆エンドミル4〜6、14〜16および比較被覆エンドミル4〜6については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SCM440の板材、
切削速度: 140 m/min.、
溝深さ(切り込み): 8 mm、
テーブル送り: 600 mm/分、
の条件での合金鋼の乾式高速高送り溝切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、90m/min.、450mm/分)、
本発明被覆エンドミル7、8、17、18および比較被覆エンドミル7、8については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・FC250の板材、
切削速度: 140 m/min.、
溝深さ(切り込み): 16 mm、
テーブル送り: 450 mm/分、
の条件での鋳鉄の乾式高速高送り溝切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、80m/min.、300mm/分)、
をそれぞれ行い、いずれの高速高送り溝切削加工試験でも切刃部の外周刃の逃げ面摩耗幅が使用寿命の目安とされる0.1mmに至るまでの切削溝長を測定した。この測定結果を表11〜13にそれぞれ示した。
本発明被覆工具としての本発明表面被覆超硬製ドリル(以下、本発明被覆ドリルと云う)1〜8をそれぞれ製造した。
本発明被覆工具としての本発明表面被覆超硬製ドリル(以下、本発明被覆ドリルと云う)11〜18をそれぞれ製造した。
比較被覆工具としての比較表面被覆超硬製ドリル(以下、比較被覆ドリルと云う)1〜8をそれぞれ製造した。
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・S55Cの板材、
切削速度: 150 m/min.、
送り: 0.25 mm/rev、
穴深さ: 8 mm、
の条件での炭素鋼の湿式高速高送り穴あけ切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、100m/min.、0.15mm/rev)、
本発明被覆ドリル4〜6、14〜16および比較被覆ドリル4〜6については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SCM440の板材、
切削速度: 120 m/min.、
送り: 0.40 mm/rev、
穴深さ: 15 mm、
の条件での合金鋼の湿式高速高送り穴あけ切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、80m/min.、0.25mm/rev)、
本発明被覆ドリル7、8、17、18および比較被覆ドリル7、8については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・FC250の板材、
切削速度: 120 m/min.、
送り: 0.35 mm/rev、
穴深さ: 28 mm、
の条件での鋳鉄の湿式高速高送り穴あけ切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、60m/min.、0.25mm/rev)、
をそれぞれ行い、いずれの湿式高速高送り穴あけ切削加工試験(水溶性切削油使用)でも先端切刃面の逃げ面摩耗幅が0.3mmに至るまでの穴あけ加工数を測定した。この測定結果を表14〜16にそれぞれ示した。
Claims (5)
- 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
(a)蒸着形成された2〜10μmの平均層厚を有するAlとCrの複合窒化物層であって、該層の構成成分であるAlおよびCrの含有割合が、該層の層厚方向に沿って定まった周期で変化する濃度分布構造を有するAlとCrの複合窒化物層からなる下部層、
(b)上記AlとCrの複合窒化物層からなる下部層の表面に設けられ、0.3〜1μmの平均層厚を有する蒸着形成されたAlとCrの合金層からなる表面層、
上記(a)、(b)で構成された硬質被覆層を備えた表面被覆切削工具。 - 請求項1記載の表面被覆切削工具において、
AlとCrの複合窒化物層からなる下部層は、Cr含有割合が少ないAlとCrの複合窒化物薄層と、Cr含有割合が多いAlとCrの複合窒化物薄層との、交互積層構造として構成されていることを特徴とする請求項1記載の表面被覆切削工具。 - 請求項2記載の表面被覆切削工具において、
Cr含有割合が少ないAlとCrの複合窒化物薄層を、
組成式:(Al1−XCrX)N
で表した場合、Xの値は、原子比で、0.15≦X≦0.25を満足し、
また、Cr含有割合が多いAlとCrの複合窒化物薄層を、
組成式:(Al1−YCrY)N
で表した場合、Yの値は、原子比で、0.35≦Y≦0.45を満足する、
ことを特徴とする請求項2記載の表面被覆切削工具。 - 請求項1記載の表面被覆切削工具において、
AlとCrの複合窒化物層からなる下部層は、層厚方向に沿って、Al最高含有点とAl最低含有点とが所定間隔をおいて交互に繰り返し存在し、かつ前記Al最高含有点から前記Al最低含有点、前記Al最低含有点から前記Al最高含有点へAlおよびCrの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有することを特徴とする請求項1記載の表面被覆切削工具。 - 請求項4記載の表面被覆切削工具において、
Al最高含有点のAlとCrの複合窒化物層を、
組成式:(Al1−αCrα)N
で表した場合、αの値は、原子比で、0.15≦α≦0.25を満足し、
また、上記Al最低含有点のAlとCrの複合窒化物層を、
組成式:(Al1−βCrβ)N
で表した場合、βの値は、原子比で、0.35≦β≦0.45を満足する、
ことを特徴とする請求項4記載の表面被覆切削工具。
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