JP2009028645A - パラジウム不均一系触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩素化物を経由せずに酸化パラジウム触媒を酸性酸化アルミニウム担持体の高次構造中に強固に固定したパラジウム不均一系触媒、及びその製造方法を提供すること、さらにそれを用いてカップリング反応、特に鈴木・宮浦カップリング反応において有機系のみの溶媒において高効率で進行させる製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のパラジウム不均一系触媒は、酢酸パラジウム溶液を得る第1の工程、酸性酸化アルミニウム微粉末に酢酸パラジウム溶液を含浸させる第2の工程、有機溶媒を除去する第3の工程、焼成して酸性酸化アルミニウム担持体に酸化パラジウムを固定化する第4の工程を経て得られ、さらに有機溶媒中で有機ハロゲン化合物と有機金属化合物若しくは不飽和炭化水素とを縮合させるカップリング生成物の製造方法において、前記触媒を使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は酸性酸化アルミニウム担持体に酸化パラジウムを特定の方法により固定化させたパラジウム不均一系触媒、その製造方法、及びそれを用いるカップリング生成物の製造方法に関する。
触媒の固定化技術は触媒組成そのものの研究開発と同様に重要であり、近年触媒の種類を問わず全般に亘って改良研究がなされている。触媒を何らかの方法で固定化することの大きな利点は、原料や生成物との分離が容易になること、また触媒の回収及びその再使用が可能になるため経済的にも優れることが挙げられる。また資源の有効利用、環境保全の観点からその重要性は急速に高まりつつある。
不均一系触媒の担持体には、有機物質及び無機物質の両者がある。有機物質を担持体とした場合には、有機物質である有機高分子体の高次組織中に物理的相互作用を用いて包接ないし埋設させ、さらには担持体と共有結合などを生成させる方法が一般的である。しかし、担持体となる有機高分子体の自己組織性が低いため、反応時に基質との接触効率が悪くなり、反応性が低いという問題点がある。加えて、有機高分子体は、無機物質に較べて分解温度が低い上に、様々な有機溶媒に溶解し易いために使用条件が限定されるという欠点がある。これらの問題点を解決するために有機高分子体を架橋させるなどの改善方法もあるが、操作が煩雑となり易い上に、その効果の程度が不十分な場合が多い。
一方、無機物質の担持体としてゼオライト,酸化アルミニウム,炭素などを選択することが一般的である。これら無機物質の担持体は、前記有機物質の担持体に較べて力学強度が高く、また分解温度に関しても十分高いため耐環境性に優れているという長所がある。しかし、その無機物質の担持体への触媒の固定化方法としては物理的相互作用のみを用いる方法が一般的であり、有機物質の担持体を使用した時に可能であった強固な結合形態、例えば共有結合に較べて結合強度が弱いため、担持体からの触媒の脱離という問題点を有している。
その点を改善するべく、酸化アルミニウムやゼオライトの自己組織性を生かしてその触媒組成を高次構造の中に固定化する方法が一般的である(特許文献1参照)。
例えば、触媒となる元素を一度溶液として調製し、これを無機物質に湿潤させることで触媒となる分子を内部まで浸透させた後に、不要な有機化合物を除去させる方法が一般的である。
その際、溶媒可能な形態とするために触媒となる元素を一度有機化合物または無機塩類とするか、触媒分子の周囲を包接できる特定の有機化合物とから包接化合物とした後、上記方法で担持体内部まで浸透させ、その後に加熱(焼成と呼ばれる)などにより高次構造を完結させることが定法である。
この方法は、担持体となる無機物質の高次構造を強固に再構成させると同時に、溶媒やその他の物質そして予め担持体に吸着していた必要以外の物質などを脱離できる点で大変効率的である。
しかし、これらを完全に除去させることは極めて難しく、完全に除去するためにはこれらの沸点温度以上の高い温度での焼成処理が必要である。担持体への湿潤や浸透の目的で一度溶媒に可溶となるように有機化合物、無機塩類や包接化合物とした場合であっても本来の触媒の機能を発揮させるためには不要成分を完全に除去する必要がある。しかし、これらは触媒と何らかの物理化学的相互作用を有しているためそれを断ち切る必要があり、更に温度などに代表される高いエネルギーを付与する必要がある。
また溶媒に溶解させる際に塩化物を中間体に経る方法は、各種有機溶媒や無機溶媒に対して溶解度が上がりやすく、また焼成の際に発生する化合物が塩素であるため塩素分子の分子半径も小さくその運動速度も速いため脱離効率も良いので焼成処理温度は比較的低く済む特徴がある。
しかし塩素分子そのものの反応性の高さから容易に他の化合物と反応したりする可能性も高く、これを完全に除去することは前述同様に極めて難しい。従ってこの方法で調製された触媒により電子材料用途や生体材料用途向けの製造を考えた場合には触媒中に残留していた塩素が生成物に溶出する可能性があるだけでなく、これらは生成物の中での再度の副反応及びpHの変化の原因になるものであり、電子材料では絶縁破壊や生体材料では生体細胞などへの影響、或いは調製工程中の暴走反応などそれぞれの特性を大きく阻害または変化させる原因となるという問題点がある。
また、パラジウムを担持させた不均一系触媒を利用できる好ましい方法の1つとして、有機金属化合物あるいは不飽和炭化水素化合物を有機ハロゲン化合物と縮合させる各種カップリング反応が各種知られている。
特に、パラジウム触媒存在下に有機ホウ素化合物と有機ハロゲン化合物とをカップリングさせる1979年に報告された鈴木・宮浦カップリング反応(非特許文献1)は、数あるパラジウム触媒を用いたカップリングのなかでも一層発展が学術的にも工業的にも期待される反応である。
なお、前記カップリング反応とは、2つの化学物質を選択的に結合させる反応の総称であり、それぞれの物質が比較的大きな構造を持っているときに多用される。天然物の全合成などでは特に有効な手段である。
この鈴木・宮浦カップリング反応は、その条件が比較的温和であり官能基選択性も高く有機ホウ素化合物を反応に用いることが特徴である。そして様々な有機ホウ素化合物を反応に用いることができるが、その中でも特に有機ボロン酸は合成しやすく、水や空気に安定で結晶性が高いため工業的な価値も高い。また反応の進行に伴い副成するホウ素を含む化合物は水溶性であり無毒であるため、その精製なども容易であり各種の反応が工業スケールへの展開もなされている。
しかしながら、そこで開示された触媒系では反応溶媒として水系溶媒の使用が必要となっている。水は優れた溶媒であり環境への負荷も極めて小さいが、沸点が高い上に、極性も高いため、反応後の溶液からな分離するには大きなエネルギーが必要である。
また比較的分子量が小さいため、他の有機系溶媒に較べて副反応の原因となり易い。従って水が存在しない反応系中での鈴木・宮浦カップリング反応が求められている。
再公表特許WO 02/020154号明細書(第11〜12頁) Chemical Reviews,95巻,2457頁(1995年)
そこで、本発明は、塩素化物を経由せずに酸化パラジウム触媒を酸性酸化アルミニウム担持体の高次構造中に強固に固定した不均一系触媒を提供すること、さらにそれを用いてカップリング反応、特に鈴木・宮浦カップリング反応において有機系のみの非水系溶媒において高効率で進行させる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討を進めた結果、パラジウム原料として酢酸パラジウムを使用すれば、焼成温度が低くても酸性酸化アルミニウムの高次構造中に固定したパラジウム不均一系触媒が製造可能であること、そして有機系溶媒(非水系溶媒)中においてカップリング反応が高効率で進行することを見出し、本発明を完成させるに到った。
即ち、本発明の第1の発明であるパラジウム不均一系触媒は、下記第1から第4の工程を経て得られることを特徴とする。
1)酢酸パラジウムを0.002モル/リットル以上溶解する有機溶媒(非水系溶媒)中に酢酸パラジウムを溶解させて酢酸パラジウム溶液を得る第1の工程。
2)熱分解法若しくは接触燃焼法で得られる酸性酸化アルミニウム微粉末に、前記第1の工程にて得られた酢酸パラジウム溶液を含浸させて含浸分散液を得る第2の工程。
3)前記第2の工程にて得られた含浸分散液から有機溶媒を除去して乾燥触媒を得る第3の工程。
4)前記第3の工程にて得られた乾燥触媒を焼成して酸性酸化アルミニウム担持体に酸化パラジウムを固定化する第4の工程。
本発明の第2の発明であるパラジウム不均一系触媒は、前記第4工程における焼成温度が250〜350℃の温度範囲であることを特徴とする。
本発明の第3の発明であるパラジウム不均一系触媒の製造方法は、前記第1から第4の工程を経ることを特徴とする。
本発明の第4の発明であるカップリング生成物の製造方法は、有機溶媒中で有機ハロゲン化合物と有機金属化合物若しくは不飽和炭化水素とを縮合させるカップリング生成物の製造方法において、第1又は2の発明のパラジウム不均一系触媒を触媒として存在させることを特徴とする。
本発明の第1の発明は、酸化パラジウム触媒を酸性酸化アルミニウム担持体の高次構造中に強固に固定したパラジウム不均一系触媒であり、各種カップリング反応に有効に適用することができ、原料や生成物との分離、触媒の回収及びその再使用、さらには資源の有効利用、環境保全にも極めて重要な貢献を果たすものである。
本発明の第2の発明は、比較的低温で焼成したことにより、酸化パラジウム触媒を酸性酸化アルミニウム担持体の高次構造中に強固に固定したパラジウム不均一系触媒を容易に得られる。
本発明の第3の発明は、塩素化物を経由しないため、触媒とした際に電子材料や生体材料などで特に問題視される触媒由来の塩素の流出が触媒から起こらず、更に塩化物などの活性な化合物を経由しないためその調製工程中に暴走反応などが起こり難い。
本発明の第4の発明は、カップリング反応、特に鈴木・宮浦カップリング反応において有機系のみの溶媒において高効率で進行させることが可能である。
本発明において用いられるパラジウム不均一系触媒は、酸化パラジウムと酸性酸化アルミニウムとから基本的に構成されている。酸化パラジウムの導入は、原料である酢酸パラジウムから酸化パラジウムに焼成中に転換される。原料の酢酸パラジウムの製造法は特に限定されないが、例えば酢酸と、金属パラジウム、酸化パラジウムや水酸化パラジウムなどとを反応させた後、再結晶により得られた結晶を乾燥・粉砕したものが好ましく挙げられる。
担持体となる酸性酸化アルミニウムは、各種アルミニウム塩の直接熱分解法若しくは無水塩化アルミニウム蒸気の接触燃焼法のいずれかの方法で製造された微粉末である。触媒製造の際に酢酸パラジウムを有機溶媒に溶解させたものを湿潤または含浸させる際に比表面積が大きい程効率が良いため、比較的粒度の制御が容易な接触燃焼法で合成されたものが好ましい。
特に純度が99.99%以上で中心粒径0.3μmで1μm以下の粒子が90%以上である超微粒子酸化アルミニウムと呼ばれる、非常に純度が高く、粒径が均一なものを使用した場合には湿潤などが均一かつ効率よく進行する点で好ましい。
酢酸パラジウムを溶解させる有機溶媒(非水系溶媒)の種類は、酢酸パラジウムの溶解度が0.002モル/リットル以上である限り特に限定するものではないが、水の溶解度が低く、沸点が適当である点からベンゼン、トルエン、キシレンが望ましく、特にトルエンは好適に使用される。
クロロベンゼンや塩化メチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素も溶解度の観点からは充分に実用的であるが、塩素を除くという観点からは好ましくない。
次に、本発明のパラジウム不均一系触媒の製造方法を説明する。
第1の工程としての酢酸パラジウム溶液の製造方法は、酢酸パラジウムを0.002モル/リットル以上溶解する有機溶媒(非水系溶媒)中に酢酸パラジウムを溶解させて酢酸パラジウム溶液を得ることである。
例えば酢酸パラジウム0.004モル/リットルの濃度としてトルエン溶液を調製する際には、室温で3時間以上の撹拌で均一な溶液になるが、好ましくは一昼夜の撹拌が望ましい。
第2の工程として、熱分解法若しくは接触燃焼法で得られる酸性酸化アルミニウム微粉末に、前記第1の工程にて得られた酢酸パラジウム溶液を含浸させて含浸分散液を得る。
含浸に必要な時間は室温において1昼夜以上であり、3昼夜を越えても特にその効果の向上は認められない。より好ましくは2昼夜から3昼夜である。
なお、前記第1の工程である酢酸パラジウムの溶解工程は、酸性酸化アルミニウム存在下に混合を行うことにより、含浸と溶解の工程を同時進行させても問題はないし、工業的な効率の見地からはむしろ望ましい場合が多い。したがって、前記第1の工程とこの第2の工程は同時進行させるようにしてもよい。
第3の工程として、前記第2の工程にて得られた含浸分散液から有機溶媒を除去して乾燥触媒を得る。
具体的には、含浸分散液となっている混合物を減圧乾燥などにより、有機溶媒を留去して酢酸パラジウムを析出させる。その際に特に減圧をする必要はないが、減圧することにより更に短時間で低温度での乾燥が可能になり、工業的な効率は優れる。減圧源としては水流アスピレーター減圧、ポンプ減圧などがあるが特に限定するものではない。
必要に応じて、酸性酸化アルミニウム微粉末の表面に残留している過剰の酢酸パラジウムを除去するために有機溶媒で再度洗浄及び乾燥を繰り返して得た不均一系触媒は、反応途中で生成物側の層に触媒の流出が殆どなくなるため、更に好ましい結果を得ることができる。
第4の工程として、前記第3の工程にて得られた乾燥触媒を焼成して酸性酸化アルミニウム担持体に酸化パラジウムを固定化させる。
焼成は空気流通下に通常250〜600℃、好ましくは250〜350℃の温度範囲で行う。焼成時間は2時間から5時間の範囲が好ましく、特に3時間から4時間が好適である。2時間以下の焼成では酸化パラジウムへの転換が充分ではなく、5時間以上の焼成を行ってもその効果に変化は認められない場合が多い。
焼成雰囲気には水分がなるべく少ないことが望ましく、予め乾燥した空気を使うことにより活性な触媒を製造することができる。また空気中の酸素含有量を増加させるまたは純酸素雰囲気で焼成することで焼成の効率は向上するが、産業安全上の観点からはこれらの方法は好ましくない。
触媒である酸化パラジウムと担持体の酸性酸化アルミニウムの好ましい比率は酸性酸化アルミニウム約1gに対してパラジウム換算として0.00005モルから0.0005モルの範囲であり、更に好ましくは0.000075モルの範囲から0.000125モルの範囲である。0.00005モル以下では殆ど触媒の能力は確認されず、0.0005モル以上では触媒の能力のそれ向上は認められず、コストが無駄となる。
本発明のパラジウム不均一系触媒は、カップリング反応に用いる際には通常の天秤や台秤などでの秤量も可能であり、また乾燥窒素または乾燥空気雰囲気下での長期保管が可能である。
その際には温度などは問題にならないが、触媒表面に微量な水分が凝結ないし吸着すると、微量であっても触媒の活性点が閉塞したり失活するため、その雰囲気の露点温度以上での取り扱いや保管が望ましい。
また、本発明のパラジウム不均一系触媒は、酸化パラジウムが担持体である酸性酸化アルミニウムと特有の相互作用、即ち、酸性酸化アルミニウムの高次構造中に特別な状態で固定化されていることは、XPS(X線光電子分光分析)やXRD(X線回折)の観察結果から明らかである。そして、この特定の構造に帰因して各種の反応、例えば鈴木・宮浦カップリング反応において特徴的な触媒活性を示す性質があると考えられる。
即ち、鈴木・宮浦カップリング反応の際には極性溶媒では水を添加させた場合に反応効率が向上するが、本発明により得られたパラジウム不均一系触媒では水が存在しない溶媒においても高効率での反応の進行が可能である。
また、鈴木・宮浦カップリング反応の際に触媒として使用する本発明のパラジウム不均一系触媒は、パラジウム換算で0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%である。ハロゲン化アリル又はハロゲン化ビニルのハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素を用いることができるが、中でも臭素又はヨウ素が好ましい。
前記有機溶媒としてはトルエンやエタノールなどを初めとする炭化水素が好ましく、ジメトキシエタン 、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類も好ましく、必要に応じてこれらを混合溶媒として用いることもできる。
また添加する塩基は特にフッ化カリウムに代表されるフッ素酸塩が好ましいがアルカリ金属の炭酸塩又はリン酸塩なども好適であり、いずれも収率で80%以上の良い結果をもたらす。
反応温度は60℃ 〜150℃、好ましくは60〜120℃ である。また反応時間は基質にも拠るが1時間〜24時間、通常は数時間で反応が終了する。
反応後の後処理は、使用後のパラジウム不均一系触媒を濾過により除去・回収し、一方の濾液から抽出、濃縮、及び精製操作により目的物を得ることができる。一方、回収した触媒は洗浄・乾燥することにより再使用が可能である。
触媒と基質との接触方式は、反応釜やビーカーに直接投入するバッチシステムあっても良いし、カラムに詰めて保持した中を流通させる連続的な反応システムであっても良い。またマイクロ空間にこの触媒を保持しながら反応させる方法、更に電磁波などを有効に利用する方法であっても良い。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。
[実施例1]
(酢酸パラジウムからのパラジウム不均一系触媒の合成)
第1の工程及び第2の工程として、100mlナスフラスコ中に酸性酸化アルミニウム1.05g,酢酸パラジウム22.4mgを秤取った。容器内を窒素置換し、トルエン25mlを加えて室温にてマグネチックスターラーで穏やかに撹拌を行った。
第3の工程として、2日間撹拌後アスピレータロータリ−エバポレーターにより溶媒を留去して、再度トルエンを25ml加えて再度留去を行った。
第4の工程として、前記第3の工程にて得られた固体(乾燥触媒)を取り出し、ロータリポンプで減圧乾燥した後に空気流通下300℃3時間の焼成を行った。
得られた固体(パラジウム不均一系触媒)をXPS(X線光電子分光分析)とXRD(X線回折)により、表面の電子状態の観察と結晶構造を観察した。この実施例1で得られたXPSの結果を図1に、XRDの結果を図3の実線に示す。
[比較例1]
乳鉢に酸性酸化アルミニウム1.05g,酢酸パラジウム22.4mgを秤取り、充分に粉砕して混合した後にロータリポンプで減圧乾燥した後に空気流通下300℃3時間の焼成を行った。この比較例1で得られたXPSの結果を図2に、XRDの結果を図3の点線に示す。
XPSの結果よりパラジウムの電子状態が異なることを示しており、XRDの結果からもそれぞれの結晶構造が異なることを示している。
[実施例2−1]
(ブロモベンゼンとフェニルホウ酸のカップリング反応)
20ml三口フラスコに等圧滴下ロート,リービッヒラジエータ,ガス導入管を取り付け、窒素気流下に前記実施例1で調整されたパラジウム不均一系触媒26.6mg(Pd含有量1%)を仕込み、塩基となるフッ化カリウム232mg及びフェニルホウ酸0.125mlを仕込んだ。
等圧滴下ロートにエタノール3mlに希釈した4−メトキシ−ブロモベンゼン0.125mlを含むエタノール溶液3mlを仕込み5分程度で全量を滴下し、2mlのエタノールで等圧滴下ロートを洗浄した。滴下終了後60℃の水浴中でフラスコを3時間加熱し反応を進めた。
反応終了後溶液を5mlの塩酸水溶液(濃度1mol/L)にて希釈する。これに10mlのヘキサンを添加して有機層を作り生成物を抽出する。
有機層を取り出しシリカゲルカラム(溶媒ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、生成物である4−メトキシ−ビフェニルを取り出した。その結果は表1に示すように収率96%であった。
[実施例2−2,3]
前記実施例2−1と同一条件で塩基であるフッ化カリウムのみを変えて4−メトキシ−ビフェニルを合成した結果を表1に示す。
[比較例2−1]
前記比較例1で調整された触媒を用いて前記実施例2−1と同一条件で反応と精製を行って4−メトキシ−ビフェニルを合成した。その結果は表1に示すように収率24%であった。
[比較例2−2,3]
前記実施例2−1と同一条件で触媒を未処理酢酸パラジウムと炭化パラジウムとして4メトキシ−ビフェニルを合成した結果を表1に示す。
[実施例3−1]
(メチルブロモベンゼンとフェニルホウ酸のカップリング方法)
20ml三口フラスコに等圧滴下ロート,リービッヒラジエータ,ガス導入管を取り付け、窒素気流下に前記実施例1で調整されたパラジウム不均一系触媒26.6mg(Pd含有量1%)を仕込み、塩基となる炭酸ナトリウム423mg及びフェニルホウ酸0.125mlを仕込んだ。
等圧滴下ロートに3mlに希釈した4メチル−ブロモベンゼン0.125mlを含むエタノール溶液3mlを仕込み5分程度で全量を滴下し、2mlのエタノールで等圧滴下ロートを洗浄した。滴下終了後60℃の水浴中でフラスコを3時間加熱し反応を進めた。
反応終了後溶液を5mlの塩酸水溶液(濃度1mol/L)にて希釈する。これに10mlのヘキサンを添加して有機層を作り生成物を抽出する。
有機層を取り出しシリカゲルカラム(溶媒ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、生成物である4メチル−ビフェニルを取り出した。その結果は表2に示すように収率79%であった。
[比較例3−1]
前記実施例3−1と同一条件で触媒に未処理の酢酸パラジウムを用いて4メチル−ビフェニルを合成した結果は表2に示すように収率14%であった。
[比較例3−2]
前記実施例3−1と同一条件で触媒に未処理の酢酸パラジウムを用い、溶媒に水を混ぜた混合溶媒(エタノール/水=50/50)で4メチル−ビフェニルを合成した結果は表2に示すように収率81%であった。
Figure 2009028645
Figure 2009028645
実施例1にて得られたパラジウム不均一系触媒のXPS(X線光電子分光分析)の結果を示すチャートである。 比較例1にて得られたパラジウム不均一系触媒のXPS(X線光電子分光分析)の結果を示すチャートである。 実施例1にて得られたパラジウム不均一系触媒のXRD(X線回折)の結果を実線にて、比較例1にて得られたパラジウム不均一系触媒のXRD(X線回折)の結果を点線にて示すチャートである。

Claims (4)

  1. 下記第1から第4の工程を経て得られることを特徴とするパラジウム不均一系触媒。
    1)酢酸パラジウムを0.002モル/リットル以上溶解する有機溶媒中に酢酸パラジウムを溶解させて酢酸パラジウム溶液を得る第1の工程。
    2)熱分解法若しくは接触燃焼法で得られる酸性酸化アルミニウム微粉末に、前記第1の工程にて得られた酢酸パラジウム溶液を含浸させて含浸分散液を得る第2の工程。
    3)前記第2の工程にて得られた含浸分散液から有機溶媒を除去して乾燥触媒を得る第3の工程。
    4)前記第3の工程にて得られた乾燥触媒を焼成して酸性酸化アルミニウム担持体に酸化パラジウムを固定化する第4の工程。
  2. 第4工程における焼成温度が250〜350℃の温度範囲であることを特徴とする請求項1に記載のパラジウム不均一系触媒。
  3. 下記第1から第4の工程を経ることを特徴とするパラジウム不均一系触媒の製造方法。
    1)酢酸パラジウムを0.002モル/リットル以上溶解する有機溶媒中に酢酸パラジウムを溶解させて酢酸パラジウム溶液を得る第1の工程。
    2)熱分解法若しくは接触燃焼法で得られる酸性酸化アルミニウム微粉末に、前記第1の工程にて得られた酢酸パラジウム溶液を含浸させて含浸分散液を得る第2の工程。
    3)前記第2の工程にて得られた含浸分散液から有機溶媒を除去して乾燥触媒を得る第3の工程。
    4)前記第3の工程にて得られた乾燥触媒を焼成して酸性酸化アルミニウム担持体に酸化パラジウムを固定化する第4の工程。
  4. 有機溶媒中で有機ハロゲン化合物と有機金属化合物若しくは不飽和炭化水素とを縮合させるカップリング生成物の製造方法において、請求項1又は2に記載のパラジウム不均一系触媒を触媒として存在させることを特徴とするカップリング生成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103804105A (zh) * 2014-02-17 2014-05-21 绍兴文理学院 一种联苯类化合物的合成方法
CN111992204A (zh) * 2020-09-17 2020-11-27 福建省晋蓝环保科技有限公司 一种臭氧氧化催化剂、制备方法及臭氧催化氧化装置

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