ところで、テレビ放送の受信により番組毎に得られるコンテンツのデータを、近距離通信によりサーバ装置から端末側に転送する場合、それぞれのコンテンツの転送に数秒程度が必要である。また、サーバ装置上に蓄積された大量のコンテンツを全て転送する場合、転送の所要時間は非常に長くなってしまう場合がある。従って、転送の所要時間を短縮するために転送するコンテンツの数を制限したい場合があり、例えばユーザがボタン操作を行うことにより、特定のコンテンツを転送対象として手動で選択する必要が生じる。
しかしながら、ユーザが特定のコンテンツを選択するための入力操作には、一般的に1回あたり数秒間〜十数秒間程度の時間が必要になる。従って、ユーザの入力操作にかかる時間の割合が大きく、この時間も含めると、実際には転送するコンテンツの数が少ない場合や、近距離通信の伝送速度が速い場合であっても、ユーザによるコンテンツの転送作業開始から転送作業完了するまでの実質的な所要時間が長くなるのは避けられず、転送作業を効率よく行うことができない。また、特定のコンテンツを選択するためのユーザの入力操作は、ユーザにとっても煩わしい場合が多い。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、サーバ装置等から携帯端末等にコンテンツのデータを転送しようとする場合に、全体の転送所要時間を短縮可能にすると共に、ユーザへの負担も軽減可能な近距離通信装置及び近距離通信システム並びに近距離通信方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の近距離通信システムは、所定の領域内で通信を行う第1の近距離通信装置と第2の近距離通信装置とを有する近距離通信システムであって、前記第1の近距離通信装置が、前記第1の近距離通信装置の通信領域内であることを通知する領域通知信号を送信する領域通知信号送信部と、前記領域通知信号に基づくファイルの送信を要求するファイル送信要求を受信する受信部と、前記ファイル送信要求である第1のファイル送信要求に基づいて、第1のファイルを送信し、前記第1のファイルの送信後に前記ファイル送信要求である第2のファイル送信要求を受信したときは、第2のファイルを送信するファイル送信部と、を備え、前記第2の近距離通信装置が、前記第1の近距離通信装置の通信領域内であることを通知する領域通知信号を受信する領域通知信号受信部と、ファイルを受信するファイル受信部と、前記領域通知信号に基づいて、前記ファイル送信要求である第1のファイルの送信を要求する第1のファイル送信要求を送信し、前記第1のファイルの受信後に前記領域通知信号を継続的に所定期間受信した場合に、前記ファイル送信要求である第2のファイルの送信を要求する第2のファイル送信要求を送信する送信部と、を備える、構成としている。
この構成により、サーバ装置等から携帯端末等にコンテンツのデータを転送しようとする場合に、全体の転送所要時間を短縮可能にすると共に、ユーザへの負担も軽減可能である。例えば、ユーザが、携帯端末をサーバ装置の通信領域内に存在させ続けるか、第1のファイルの受信後に携帯端末をサーバ装置の通信領域外に出すかによって、煩わしい操作なしで、簡単に、必要な数のファイル(コンテンツのデータなど)だけをサーバ装置から携帯端末に取り込むことができる。
また、本発明の第1の近距離通信装置は、所定の領域内で通信を行う近距離通信装置であって、前記近距離通信装置の通信領域内であることを通知する領域通知信号を送信する領域通知信号送信部と、前記領域通知信号に基づくファイルの送信を要求するファイル送信要求を受信する受信部と、前記ファイル送信要求である第1のファイル送信要求に基づいて、第1のファイルを送信し、前記第1のファイルの送信後に前記ファイル送信要求である第2のファイル送信要求を受信したときは、第2のファイルを送信するファイル送信部と、を有する。
この構成により、サーバ装置等から携帯端末等にコンテンツのデータを転送しようとする場合に、全体の転送所要時間を短縮可能にすると共に、ユーザへの負担も軽減可能である。例えば、ユーザが、携帯端末をサーバ装置の通信領域内に存在させ続けるか、第1のファイルの受信後に携帯端末をサーバ装置の通信領域外に出すかによって、煩わしい操作なしで、簡単に、必要な数のファイル(コンテンツのデータなど)だけをサーバ装置から携帯端末に取り込むことができる。
また、本発明の第2の近距離通信装置は、前記ファイル送信部が、前記第2のファイルの送信後に第3のファイル送信要求を受信したときは、送信対象の残りのファイルを送信する構成としている。
この構成により、第2のファイルの送信以後は、送信対象の残りのファイルを全て送信可能となる。
また、本発明の第3の近距離通信装置は、前記領域通知信号送信部が、前記領域通知信号を継続的に所定期間送信する構成としている。
この構成により、例えば、継続的に所定時間にわたって領域通知信号を受信した後に、再び継続的に所定時間にわたって領域通知信号を受信することができるため、3ファイル以上のファイル転送が可能となる。
また、本発明の第4の近距離通信装置は、前記受信部が、前記ファイル送信要求とともに、前記ファイル送信要求を送信した他の近距離通信装置が保持するファイルの識別情報を含むファイル情報を受信し、前記ファイル送信部が、前記ファイル情報に基づいてファイルを送信する構成としている。
この構成により、例えば、携帯端末がすでにファイルを保持している場合に、このファイルの情報をサーバ装置が取得してファイル送信時に参照することにより、ユーザの意向を反映したファイルの送信を行うことが可能である。
また、本発明の第5の近距離通信装置は、前記ファイル情報に含まれるファイル識別情報と前記ファイル記録部に記録されたファイルの識別情報を示す記録ファイル識別情報とを比較する識別情報比較部を有し、前記ファイル記録部は、前記複数のファイルとともに、前記記録ファイル識別情報を記録し、前記ファイル送信部は、前記識別情報比較部による比較の結果、前記ファイル識別情報と前記記録ファイル識別情報とが一致したファイルを除外して、ファイルを送信する構成としている。
この構成により、例えば、サーバ装置上に携帯端末から送信されるファイルと同一のファイルが存在する場合には、そのファイル以外の携帯端末が要求するファイルを送信することで、効率の良いファイル転送処理を行うことが可能である。
また、本発明の第6の近距離通信装置は、前記ファイル送信部が、前記ファイルの送信優先度に関する優先度情報に基づいてファイル送信順序を決定し、前記ファイル送信順序でファイルを送信する構成としている。
この構成により、例えば、録画の日時の新しいファイルを優先度の高いファイルとなるように設定することで、最新のファイルから順にファイル送信の実施が可能となる。
また、本発明の第7の近距離通信装置は、前記受信部が、前記ファイル送信要求とともに、前記優先度情報を受信する構成としている。
この構成により、例えば、携帯端末を保有するユーザがコンテンツを視聴した際の視聴履歴の情報を携帯端末から取得することで、ユーザの趣向を反映した順序でファイルの送信処理を行うことが可能となる。
また、本発明の第8の近距離通信装置は、所定の領域内で通信を行う近距離通信装置であって、他の近距離通信装置の通信領域内であることを通知する領域通知信号を受信する領域通知信号受信部と、ファイルを受信するファイル受信部と、前記領域通知信号に基づいて、ファイル送信要求である第1のファイルの送信を要求するための第1のファイル送信要求を送信し、前記第1のファイルの受信後に前記領域通知信号を継続的に所定期間受信した場合に、ファイル送信要求である第2のファイルの送信を要求するための第2のファイル送信要求を送信する送信部と、を有する。
この構成により、サーバ装置等から携帯端末等にコンテンツのデータを転送しようとする場合に、全体の転送所要時間を短縮可能にすると共に、ユーザへの負担も軽減可能である。例えば、ユーザが、携帯端末をサーバ装置の通信領域内に存在させ続けるか、第1のファイルの受信後に携帯端末をサーバ装置の通信領域外に出すかによって、煩わしい操作なしで、簡単に、必要な数のファイル(コンテンツのデータなど)だけをサーバ装置から携帯端末に取り込むことができる。
また、本発明の第9の近距離通信装置は、更に、前記第1のファイルを受信した場合に、前記第1のファイルの受信を報知する報知部を有し、前記送信部が、前記報知部が前記第1のファイルの受信を報知した後に前記領域通知信号を継続的に所定期間受信した場合に、ファイル送信要求である第2のファイルの送信を要求するための第2のファイル送信要求を送信する構成としている。
この構成により、例えば、ユーザは、報知部の報知(例えば、音または表示)によって、受信したファイルの数を確認して、ファイルの受信を続けるか否かを判断することが可能となる。
また、本発明の第10の近距離通信装置は、更に、前記送信部が、前記第2のファイルの受信後に前記領域通知信号を継続的に所定期間受信した場合に、ファイル送信要求である送信対象の残りのファイルの送信を要求するための第3のファイル送信要求を送信する構成としている。
この構成により、サーバ装置等から携帯端末等にコンテンツのデータを転送しようとする場合に、全体の転送所要時間を短縮可能にすると共に、ユーザへの負担も軽減可能である。例えば、ユーザが、携帯端末をサーバ装置の通信領域内に存在させ続けることによって、煩わしい操作なしで、簡単に、残りのファイル(コンテンツのデータなど)の送信要求を送信することができる。
また、本発明の第11の近距離通信装置は、更に、前記第2のファイルを受信した場合に、前記第2のファイルの受信を報知する報知部を有し、前記送信部が、前記報知部が前記第2のファイルの受信を報知した後に前記領域通知信号を継続的に所定期間受信した場合に、ファイル送信要求である第3のファイルの送信を要求するための第2のファイル送信要求を送信する構成としている。
この構成により、例えば、ユーザは、報知部の報知(例えば、音または表示)によって、受信したファイルの数を確認して、残りのファイル(コンテンツのデータなど)の受信を続けるか否かを判断することが可能となる。
また、本発明の第12の近距離通信装置は、前記送信部が、前記第1の領域通知信号を継続的に所定期間受信した場合、前記第1の領域通知信号に基づいて前記第1のファイル送信要求を送信する構成としている。
この構成により、例えば、継続的に所定時間にわたって領域通知信号を受信した場合にファイル要求信号を送信した後に、再び継続的に所定時間にわたって領域通知信号を受信した場合にファイル要求信号を送信することができるため、3ファイル以上のファイル受信が可能となる。
また、本発明の第13の近距離通信装置は、ファイルおよび前記ファイルの識別情報を含むファイル情報を記録するためのファイル記録部と、前記ファイルおよび前記ファイル情報の内容を削除するためのファイル削除部と、前記送信部によって前記ファイル送信要求を送信する際に、前記ファイルおよび前記ファイル情報の内容を削除しない第1のモード、前記ファイルおよび前記ファイル情報の内容を削除する第2のモードのいずれかのファイル転送モードを設定するモード設定部とを有する構成としている。
この構成により、例えば、ファイル転送する際の動作モードをユーザが設定することが可能となり、サーバ装置がユーザの希望するファイル転送方法でファイルの送信を行うことができる。
また、本発明の第14の近距離通信装置は、前記モード設定部が、前記ファイル転送モードとして前記第1のモードを設定し、前記送信部が、前記第1のファイル送信要求とともに、前記ファイル情報を送信する構成としている。
この構成により、ファイル送信要求の時点で記録されたファイルと同一のファイルはサーバ装置から転送されないようにすることができ、ネットワーク負荷を軽減した効率の良いファイルの受信を行うことができる。
また、本発明の第15の近距離通信装置は、前記モード設定部が、前記ファイル転送モードとして前記第2のモードを設定し、前記ファイル削除部が、前記ファイルおよび前記ファイル情報の内容を削除し、前記送信部が、前記第1のファイル送信要求とともに、内容を削除された前記ファイル情報を送信する構成としている。
この構成により、ファイル送信要求の時点で記録されたファイルと同一のファイルであってもサーバ装置から転送されるようにすることができ、その時点で最新のファイルを取得することが可能である。
また、本発明の第16の近距離通信装置は、前記領域通知信号受信部によって前記領域通知信号が受信された後に、さらに所定期間において継続的に領域通知信号の受信を示す継続判定受信が実施されたか否かを判定する継続判定部を有し、送信部が、前記継続判定受信が実施されたと判定された場合、前記領域通知信号に基づくファイル送信要求を送信する構成としている。
この構成により、例えば、サーバ装置と携帯端末とが所定期間にわたって所定距離以内に存在すれば、ファイル転送処理を中断することなく連続的に複数のファイルを送信することが可能である。
また、本発明の第17の近距離通信装置は、前記領域通知信号受信部によって前記領域通知信号が受信された後に、さらに所定期間において継続的に領域通知信号の受信を示す継続判定受信が実施されたか否かを判定する継続判定部を有し、送信部が、前記継続判定受信が実施されなかったと判定された場合、前記領域通知信号に基づくファイル送信要求の送信を中止する構成としている。
この構成により、例えば、サーバ装置と携帯端末とが所定期間にわたって所定距離以内に存在しない場合には、ファイル転送処理を中断することが可能である。したがって、例えば、携帯端末が領域内に存在することをサーバ装置が認識できる程度に携帯端末を一時的にサーバ装置へ近づけ、その後携帯端末をサーバ装置から遠ざけることで、所定のファイルの受信をスキップさせることが可能である。
また、本発明の第18の近距離通信装置は、前記継続判定部が、前記継続判定受信が実施されなかったと判定された場合、前記ファイル送信要求の送信の中止から所定期間内に、前記領域通知信号受信部によって領域通知信号を再び受信されたか否かを示す再開判定受信が実施されたか否かを判定し、前記再開判定受信が実施されたと判定された場合、再び前記継続判定受信が実施されたか否かを判定する構成としている。
この構成により、例えば、ファイル転送処理が中断された後であっても、再びサーバ装置と携帯端末とが所定期間にわたって所定距離以内に存在するようにすれば、ファイル転送処理を再開することが可能である。したがって、例えば、携帯端末をサーバ装置から遠ざけてファイル転送処理を中断させた後、再び携帯端末をサーバ装置に近づけることで、所定のファイルの受信のみをスキップさせ、そのファイル転送処理は実施することができる。
また、本発明の第1の近距離通信方法は、所定の領域内で通信を行うための近距離通信方法であって、前記近距離通信装置の通信領域内であることを通知する領域通知信号を送信するステップと、前記領域通知信号に基づくファイル送信要求である第1のファイル送信要求を受信するステップと、前記第1のファイル送信要求に基づいて、第1のファイルを送信するステップと、前記第1のファイルの送信後に前記ファイル送信要求である第2のファイル送信要求を受信するステップと、前記第2のファイル送信要求に基づいて、第2のファイルを送信するステップと、を有する方法としている。
この方法により、サーバ装置等から携帯端末等にコンテンツのデータを転送しようとする場合に、全体の転送所要時間を短縮可能にすると共に、ユーザへの負担も軽減可能である。例えば、ユーザが、携帯端末をサーバ装置の通信領域内に存在させ続けるか、第1のファイルの受信後に携帯端末をサーバ装置の通信領域外に出すかによって、煩わしい操作なしで、簡単に、必要な数のファイル(コンテンツのデータなど)だけをサーバ装置から携帯端末に取り込むことができる。
また、本発明の第2の近距離通信方法は、所定の領域内で通信を行うための近距離通信方法であって、他の近距離通信装置の通信領域内であることを通知する領域通知信号を受信するステップと、前記領域通知信号に基づいて、ファイル送信要求である第1のファイルの送信を要求するための第1のファイル送信要求を送信するステップと、前記第1のファイル送信要求に基づく第1のファイルを受信するステップと、前記第1のファイルの受信後に前記領域通知信号を継続的に所定期間受信した場合に、ファイル送信要求である第2のファイルの送信を要求するための第2のファイル送信要求を送信するステップと、前記第2のファイル送信要求に基づく第2のファイルを受信するステップと、を有する方法としている。
この方法により、サーバ装置等から携帯端末等にコンテンツのデータを転送しようとする場合に、全体の転送所要時間を短縮可能にすると共に、ユーザへの負担も軽減可能である。例えば、ユーザが、携帯端末をサーバ装置の通信領域内に存在させ続けるか、第1のファイルの受信後に携帯端末をサーバ装置の通信領域外に出すかによって、煩わしい操作なしで、簡単に、必要な数のファイル(コンテンツのデータなど)だけをサーバ装置から携帯端末に取り込むことができる。
本発明によれば、通信可能な領域が小さい近距離通信特有の通信特性を利用し、転送するコンテンツのファイル数の調整をユーザによる簡単な操作で実現できるので、全体の転送所要時間を短縮可能であり、転送対象コンテンツの選択に関するユーザの操作も容易になる。
本発明の実施形態における近距離通信装置及び近距離通信システム並びに近距離通信方法について、図面を参照して以下に説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態における通信システム100の構成の一例を示すブロック図である。通信システム100は、サーバ装置10および携帯端末20を有する。通信システム100では、サーバ装置10から携帯端末20に向けて近距離通信によりコンテンツのデータを転送することを想定している。サーバ装置10としては、例えばDVDレコーダやハードディスクレコーダのように、テレビ番組や他の動画像など、比較的情報量の大きいコンテンツのデジタルデータを大量に蓄積可能な装置が考えられる。携帯端末20としては、例えば携帯電話端末や携帯型情報端末のように、デジタルコンテンツの再生機能を有し、持ち運びが容易な端末が考えられる。
尚、通信システム100は「近距離通信システム」の一例である。また、サーバ装置10および端末20は「近距離通信装置」の一例である。
通信システム100では、サーバ装置10と携帯端末20との間で通信が可能な状態は、両者の距離が例えば50cm以下程度の所定領域の範囲内に限られる。この範囲を外れると、サーバ装置10と携帯端末20との間で相互に無線信号が届かなくなり通信が不可能な状態になる。したがって、例えばサーバ装置10の位置が固定されている場合には、ユーザが携帯端末20を手で持ち、携帯端末20をサーバ装置10に所定以上近づけることにより近距離通信が可能な状態になり、このユーザが携帯端末20をサーバ装置10から遠ざけると近距離通信ができない状態になる。
サーバ装置10は、近距離通信部11と、アンテナ12と、制御部13とを有して構成される。また、近距離通信部11は、通信制御部14と、無線通信部15と、メモリ16とを有して構成される。
制御部13は、サーバ装置10の全体の動作を制御する。
通信制御部14は、メモリ16の管理を行うメモリ管理機能、携帯端末20が近距離通信の可能な領域内まで接近したかどうかを調べるために必要となる領域通知信号を生成する接近検出機能などを有する。この領域通知信号は、無線通信部15を介してアンテナ12から送信される。
無線通信部15は、近距離通信によって送受信される信号に関する変復調等の処理を行う。また、無線通信部15は、アンテナ12を介してデータの送受信を行う。尚、無線通信部15は、「領域通知信号送信部」、「受信部」、「ファイル送信部」としての機能を有する。
メモリ16は、例えばテレビ番組や他の動画像などの各種コンテンツのデータをコンテンツ毎に独立したデータファイル群16aとして保持すると共に、保持しているコンテンツの一覧を表すファイルのリスト16bを保持している。尚、メモリ16は、「ファイル記録部」としての機能を有する。
メモリ16が保持するデータファイル群16aの各コンテンツについては、例えば放送を受信しながら新たな番組を録画したり、適当な記録媒体から動画像等をコピーすることにより、逐次増やすことができ、不要になったコンテンツを削除することもできる。ファイルのリスト16bには、データファイル群16aのコンテンツ一覧に関する最新の情報が保持され、必要に応じて内容は更新される。
データファイル群16aの各コンテンツは、例えば、コンテンツの録画日時や生成日時の新しい順番に従って優先度の最も高い1番目のデータファイルである「ファイル1」、その次に優先度の高い2番目のファイルである「ファイル2」、その次に優先度の高い3番目のファイルである「ファイル3」、・・・に順次割り当てられる。ファイルのリスト16bには、優先度に応じて、「ファイル1」、「ファイル2」、「ファイル3」、・・・のファイル名を表す一覧情報が記録されている。
携帯端末20は、近距離通信部21と、アンテナ22と、制御部23とを有して構成される。また、近距離通信部21は、通信制御部24と、無線通信部25と、メモリ26と、報知部27とを有して構成される。
制御部23は、携帯端末20の全体の動作を制御する。
通信制御部24は、メモリ26の管理を行うメモリ管理機能、サーバ装置10が近距離通信の可能な領域内まで接近したかどうかを調べるために、サーバ装置10から送信される領域通知信号の存在を検出する接近検出機能などを有する。
無線通信部25は、近距離通信によって送受信される信号に関する変復調等の処理を行う。また、無線通信部25は、アンテナ22を介してデータの送受信を行う。尚、無線通信部25は、「領域通知信号受信部」、「送信部」、「ファイル受信部」としての機能を有する。
メモリ26は、携帯端末20上で再生可能な各種コンテンツ等のデータを保持するために設けられた記憶装置である。メモリ26は、コンテンツ毎に独立した複数ファイルのデータを保持するデータファイル群26aと、データファイル群26aが保持しているコンテンツの一覧を表すファイルのリスト26bとを有する。尚、メモリ26は、「ファイル記録部」としての機能を有する。
メモリ26が保持する各コンテンツについては、近距離通信の機能を用いてサーバ装置10からダウンロードすることもできるし、他の適当なインタフェースを利用して外部の機器から入力することもできるし、携帯端末20が放送を受信するためのチューナを有する場合には放送から取得することもできる。
報知部27は、無線通信部25がファイルを受信した場合に、ファイルの受信を報知する。また、報知部27は、最初のファイルを受信した場合と、2番目のファイルを受信した場合とで異なる報知をするようにしてもよい。
次に、通信システム100における動作シーケンスについて説明する。図2は通信システム100における動作シーケンスの一例を示す図である。
サーバ装置10は、通信制御部14が生成した領域通知信号SG1を送信する(ステップS101)。尚、領域通知信号SG1は短い周期で送信してもよく、また、連続的に送信してもよい。また、所定期間に継続的に送信してもよい。
携帯端末20がサーバ装置10の周囲所定の範囲内に存在する場合、携帯端末20は、接近検出機能243が領域通信信号SG1を検出し、領域通信信号SG1に対する応答として領域検出応答信号SG2を送信する(ステップS102)。
サーバ装置10は、領域検出応答信号SG2を受信すると、領域検出応答信号SG2に対する正常応答として、領域検出応答Ack信号SG3を送信する(ステップS103)。
携帯端末20は、領域検出応答Ack信号SG3を受信すると、第1のファイル要求信号SG4を送信する(ステップS104)。第1のファイル要求信号SG4は、最も優先度の高い1番目のコンテンツのファイルの転送をサーバ装置10に対して要求するための信号である。
サーバ装置10は、第1のファイル要求信号SG4を受信すると、第1のファイル要求信号SG4に対する正常応答として、ファイル要求Ack信号SG5を送信する(ステップS105)。
サーバ装置10は、ファイル要求Ack信号SG5の送信から少し遅れて、最も優先度の高い1番目のコンテンツのファイルに関するデータDT1を送信する(ステップS106)。ここで1番目のコンテンツとして選択されるファイルは、メモリ16上のファイルのリスト16b上に並んでいる複数のファイル名のうち、先頭に記述されている1つのデータファイルに相当する。
携帯端末20は、データDT1を受信し、データDT1の受信動作が正常に完了したことを表すファイルデータ受信Ack信号SG6を送信する(ステップS107)。また、このとき、携帯端末20は、報知部27が、第1のファイルを受信したこと(またはデータDT1の受信動作が正常に完了したこと)を報知するようにすることもできる。
サーバ装置10は、ファイルデータ受信Ack信号SG6を受信した直後から所定期間(第1の期間)にわたって、領域通知信号SG7を短い周期で繰り返し送信する(ステップS108)。尚、領域通知信号SG7は、連続的に送信されてもよい。また、所定期間に継続的に送信してもよい。
携帯端末20は、通信制御部24が第1の期間にわたって継続的に領域通知信号SG7を検出した場合、第1の期間の経過直後に、第2のファイル要求信号SG8を送信する(ステップS109)。第2のファイル要求信号SG8は、優先順位が2番目のコンテンツのファイルを要求するための信号である。図2では、第1の期間内にサーバ装置10と携帯端末20との距離が大きく変化しない(例えば、ユーザが携帯端末20を動かさない)場合を想定している。例えば、ユーザが携帯端末20を動かさない場合には、通信制御部24が第1の期間にわたって継続的に領域通知信号SG7を検出し、第1の期間の経過直後に、第2のファイル要求信号SG8を送信することとなる。
サーバ装置10は、第2のファイル要求信号SG8を受信すると、第2のファイル要求信号SG8に対する応答として、優先度が2番目に高い2番目のコンテンツのファイルに関するデータDT2を送信する(ステップS110)。ここで2番目のコンテンツとして選択されるファイルは、メモリ16上のファイルのリスト16b上に並んでいる複数のファイル名のうち、2番目に記述されている1つのデータファイルに相当する。
携帯端末20は、データDT2を受信し、データDT2の受信動作が正常に完了したことを表すファイルデータ受信Ack信号SG9を送信する(ステップS111)。また、このとき、携帯端末20は、報知部27が、第2のファイルを受信したこと(またはデータDT2の受信動作が正常に完了したこと)を報知するようにすることもできる。
サーバ装置10は、ファイルデータ受信Ack信号SG9を受信した直後から所定期間(第2の期間)にわたって、領域通知信号SG10を短い周期で繰り返し送信する(ステップS112)。尚、領域通知信号SG10は、連続的に送信されても良い。また、所定期間に継続的に送信してもよい。
携帯端末20は、通信制御部24が第2の期間にわたって継続的に領域通知信号SG7を検出した場合、第2の期間の経過直後に、第3のファイル要求信号SG11を送信する(ステップS113)。第3のファイル要求信号SG11は、優先順位が3番目のコンテンツのファイルを要求するための信号である。図2では、第2の期間内にサーバ装置10と携帯端末20との距離が大きく変化しない(例えば、ユーザが携帯端末20を動かさない)場合を想定している。例えば、ユーザが携帯端末20を動かさない場合には、通信制御部24が第2の期間にわたって継続的に領域通知信号SG7を検出し、第2の期間の経過直後に、第3のファイル要求信号SG11を送信することとなる。
サーバ装置10は、第3のファイル要求信号SG11を受信すると、第3のファイル要求信号SG11に対する応答として、優先度が3番目に高い3番目のコンテンツのファイルに関するデータDT3を送信する(ステップS114)。ここで、3番目のコンテンツとして選択されるファイルは、メモリ16上のファイルのリスト16b上に並んでいる複数のファイル名のうち、3番目に記述されている1つのデータファイルに相当する。
携帯端末20は、データDT3を受信し、データDT3の受信動作が正常に完了したことを表すファイルデータ受信Ack信号SG12を送信する(ステップS115)。
なお、ステップS115以降で、上記と同様の動作を繰り返すことにより、4以上のコンテンツのデータファイルを転送することも可能である。但し、例えばユーザの操作によって携帯端末20がサーバ装置10から遠ざけられた場合など、サーバ装置10と携帯端末20との距離が所定以上となった場合には、その時点で近距離通信ができなくなる。この場合、例えばユーザが携帯端末20をサーバ装置10に近づけたり遠ざけたりするだけの極めて単純な操作に応答して、近距離通信で転送されるコンテンツの数などを変更することが可能になる。
また、以上のステップS113などの説明では、第3のファイル要求信号SG11は、優先順位が3番目のコンテンツのファイルを要求するための信号であるとしたが、第3のファイル要求信号SG11は、送信対象の残りのファイルを要求するための信号とすることもできる。この場合、以上のステップS114などの説明では、サーバ装置10は、第3のファイル要求信号SG11を受信すると、第3のファイル要求信号SG11に対する応答として、優先度が3番目に高い3番目のコンテンツのファイルに関するデータDT3を送信することとしたが、第3のファイル要求信号SG11に対する応答として、送信対象の残りのファイルに関するデータを送信するようにすることもできる。
次に、サーバ装置10がファイル転送処理を行う場合の動作について説明する。図3はサーバ装置10がファイル転送処理を行う場合の動作の一例を示す図である。
ステップS11では、通信制御部14が、領域通知信号(図2のSG1に相当)を生成し、無線通信部15が、アンテナ12を介して領域通知信号を送信する(ステップS11)。これにより、近距離通信が可能な所定領域内に携帯端末20が存在するかどうかを調べることができる。尚、領域通知信号の送信は、所定期間(例えば1秒間程度)にわたって繰り返され、もしくは連続的に行われるようにしてもよい。
ステップS12では、無線通信部15が、領域通知信号に対する応答として携帯端末20からの第1のファイル要求信号(図2のSG4に相当)を受信したかどうかを確認する。第1のファイル要求信号を受信できなければ、ステップS11に戻って領域通知信号の送信を繰り返し、第1のファイル要求信号を受信した場合には次のステップS13に進む。
ステップS13では、通信制御部14が、ファイルのリスト16bの内容に基づいて、優先度の最も高い第1のファイルをデータファイル群16aの中から選択し、無線通信部15が、この第1のファイルのデータ(図2のDT1に相当)をアンテナ12を介して送信する。
ステップS14では、第1のファイルのデータの送信が完了すると、無線通信部15が、領域通知信号(図2のSG7に相当)をアンテナ12を介して繰り返し送信する。領域通知信号の送信は、所定期間(例えば1秒間程度)にわたって繰り返され、もしくは連続的に行われる。
ステップS15では、無線通信部15が、上記所定期間の間に、領域通知信号に対する応答として携帯端末20からの第2のファイル要求信号(図2のSG8に相当)を受信したかどうかを確認する。ステップS15で所定期間内に第2のファイル要求信号を受信した場合には次のステップS16に進むが、所定期間内に第2のファイル要求信号を受信しない場合には図3の処理を終了する。
従って、例えば、携帯端末20の位置をサーバ装置10に接近した状態で維持している場合には、所定期間内にサーバ装置10が第2のファイル要求信号を受信できるが、所定期間内にユーザが携帯端末20をサーバ装置10から遠ざけると、第1のファイルに続くファイルの転送は開始されず、転送されるファイル数は1個だけになる。
ステップS16では、通信制御部14が、サーバ装置10はファイルのリスト16bの内容に基づいて、優先度が2番目に高い第2のファイルをデータファイル群16aの中から選択し、無線通信部15が、この第2のファイルのデータ(図2のDT2に相当)をアンテナ12を介して送信する。
ステップS17では、第2のファイルのデータの送信が完了すると、無線通信部15が、領域通知信号(図2のSG10に相当)をアンテナ12を介して繰り返し送信する。領域通知信号の送信は、所定期間(例えば1秒間程度)にわたって繰り返され、もしくは連続的に行われる。
ステップS18では、無線通信部15が、上記所定期間の間に、領域通知信号に対する応答として携帯端末20からの第3のファイル要求信号(図2のSG11に相当)を受信したかどうかを確認する。ステップS18で所定期間内に第3のファイル要求信号を受信した場合には次のステップS19に進むが、所定期間内に第3のファイル要求信号を受信しない場合には図3の処理を終了する。
従って、例えば、携帯端末20の位置をサーバ装置10に接近した状態で維持している場合には、所定期間内にサーバ装置10が第3のファイル要求信号を受信できるが、所定期間内にユーザが携帯端末20をサーバ装置10から遠ざけると、第2のファイルに続くファイルの転送は開始されず、転送されるファイル数は2個になる。
ステップS19では、通信制御部14が、サーバ装置10はファイルのリスト16bの内容に基づいて、優先度が3番目に高い第3のファイルをデータファイル群16aの中から選択し、無線通信部15が、この第3のファイルのデータ(図2のDT3に相当)をアンテナ12を介して送信する。
図3では、最大で3つのファイルを転送する場合を想定しているが、ステップS17〜S19の処理を繰り返すことにより、4以上のファイル転送にも対応できる。
次に、携帯端末20が転送されたファイルを受信するファイル受信処理を行う場合の動作について説明する。図4は携帯端末20がファイル受信処理を行う場合の動作の一例を示す図である。
ステップS21では、無線通信部25が受信した信号の中から、通信制御部24が、サーバ装置10から送信される領域通知信号(図2のSG1に相当)の検出を試みる。これにより、通信相手となるサーバ装置10との間で近距離通信が可能な領域に入っているかどうかを確認することができる。領域通知信号の検出に成功すると、携帯端末20の処理はステップS22に進む。
ステップS22では、第1のファイルの転送を開始するために、サーバ装置10に向けて、無線通信部25が、第1のファイル要求信号(図2のSG4に相当)を送信する。この要求に対して、サーバ装置10が第1のファイルのデータ(図2のDT1に相当)を送信するので、無線通信部25が、第1のファイルのデータを受信する。
尚、第1のファイルの受信が完了した際に、それをユーザに通知するようにしてもよい。この場合、例えば、制御部23が、携帯端末20の表示画面上に、該当するコンテンツのファイル名とともに「1番目のファイル転送完了」のようなメッセージの表示を行うよう指示するか、または合成音声や音響を用いて第1のファイル転送が終了したことをユーザに通知するように指示する。
ステップS23では、第1のファイルの受信が完了した後、無線通信部25が、サーバ装置10から送信される領域通知信号(図2のSG7)の受信を試みる。そして、所定期間(図2に示す第1の期間:例えば1秒間程度)内に継続的に領域通知信号を検出できた場合には次のステップS24に進み、所定期間を経過するまでの間に領域通知信号を検出できない場合には図4に示す処理を終了する。
ステップS24では、第2のファイルの転送を開始するために、サーバ装置10に向けて、無線通信部25が、第2のファイル要求信号(図2のSG8に相当)を送信する。この要求に対して、サーバ装置10が第2のファイルのデータ(図2のDT2に相当)を送信するので、無線通信部25が、第2のファイルのデータを受信する。
尚、第2のファイルの受信が完了した際に、それをユーザに通知するようにしてもよい。この場合、例えば、制御部23が、携帯端末20の表示画面上に、該当するコンテンツのファイル名とともに「2番目のファイル転送完了」のようなメッセージの表示を行うよう指示するか、または合成音声や音響を用いて第2のファイル転送が終了したことをユーザに通知するように指示する。
ステップS25では、第2のファイルの受信が完了した後、無線通信部25が、サーバ装置10から送信される領域通知信号(図2のSG10)の受信を試みる。そして、所定期間(図2に示す第2の期間:例えば1秒間程度)内に継続的に領域通知信号を検出できた場合には次のステップS26に進み、所定期間を経過するまでの間に領域通知信号を検出できない場合には図4に示す処理を終了する。
ステップS26では、第3のファイルの転送を開始するために、サーバ装置10に向けて、無線通信部25が、第3のファイル要求信号(図2のSG11に相当)を送信する。この要求に対して、サーバ装置10が第3のファイルのデータ(図2のDT3に相当)を送信するので、無線通信部25が、第3のファイルのデータを受信する。
尚、第3のファイルの受信が完了した際に、それをユーザに通知するようにしてもよい。この場合、例えば、制御部23が、携帯端末20の表示画面上に、該当するコンテンツのファイル名とともに「3番目のファイル転送完了」のようなメッセージの表示を行うよう指示するか、または合成音声や音響を用いて第3のファイル転送が終了したことをユーザに通知するように指示する。
従って、サーバ装置10と携帯端末20とが通信可能な状態(例えば、携帯端末20をサーバ装置10に接近させた状態)を維持していれば、サーバ装置10から携帯端末20に対して、第1のファイル、第2のファイル、第3のファイルのそれぞれのコンテンツが順番に転送されることになる。
一方、第1のファイルの転送が完了した後に、サーバ装置10と携帯端末20とが通信不可能な状態(例えば、ユーザが携帯端末20をサーバ装置10から遠ざけた状態)となると、その時点でファイル転送は終了し、1つのファイルだけが転送される。同様に、第2のファイルの転送が完了した後に、サーバ装置10と携帯端末20とが通信不可能な状態(例えば、ユーザが携帯端末20をサーバ装置10から遠ざけた状態)となると、その時点でファイル転送は終了し、2つのファイルだけが転送される。
つまり、例えば、携帯端末20をサーバ装置10に対して近づけたり遠ざけたりする極めて単純な操作をユーザが行うだけで、転送するファイルの数を変更することができ、ボタン操作等を行う必要はない。
尚、ステップS22、S24、S26において、ファイルの受信が完了した時点でそれぞれの受信完了をユーザに通知するように構成してもよいが、更に、ファイルの転送を行わなかった場合にそれをユーザに通知しても良い。例えば、ステップS23で領域通知信号が検出できなくなった場合に、「2番目以降のファイルは転送しません」とメッセージを表示したり、転送完了時とは種類が異なる音響を出力したりしてもよい。また、ファイルの転送時には携帯端末20がサーバ装置10の近傍に存在するので、このようなユーザへの通知を、携帯端末20の代わりにサーバ装置10による表示や音響出力によって行っても良い。
このような通信システム100によれば、サーバ装置10から携帯端末20にコンテンツのデータを転送しようとする場合に、全体の転送所要時間を短縮可能にすると共に、ユーザへの負担も軽減可能である。
尚、具体的なファイル転送時間としては、例えば、それぞれのコンテンツのファイルサイズが500Mバイトの場合、1Gbpsの転送速度で近距離通信を行う場合には、約4秒間で1つのファイルを転送できることになる。従って、ユーザが何も操作しなくても、4秒間に渡って1番目のファイル転送を実行した後、1秒程度の間をおいて2番目のファイル転送が開始され、それから4秒間程度で2番目のファイル転送が終了し、その後1秒程度の間をおいて3番目のファイル転送が開始され、それから4秒間程度で3番目のファイル転送が終了することになる。従って、操作が簡単でしかも効率よくファイルを転送できる。
尚、ここでは、サーバ装置10において、近距離通信部11内にメモリ16を備えることを説明したが、制御部13がデータファイルを保存する機能を有することで、メモリ16を備えないようにしてもよい。同様に、携帯端末20において、近距離通信部21内にメモリ26を備えることを説明したが、制御部23がデータファイルを保存する機能を有することで、メモリ26を備えないようにしてもよい。
尚、サーバ装置10が、メモリ16に保持されるデータファイル群16aに、例えば録画ファイルの種類(ドラマ、映画等)を付し、携帯端末20が、視聴履歴を記録し、視聴履歴において最も視聴頻度の高いファイルの種類等、所定の属性情報を備えたファイルを要求してもよい。
(第2の実施形態)
図5は本発明の第2の実施形態における通信システム100の構成の一例を示す図である。通信システム200において、通信システム100と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
通信システム200は、サーバ装置10Bおよび携帯端末20Bを有する。通信システム200では、サーバ装置10Bから携帯端末20Bに向けて近距離通信によりコンテンツのデータを転送することを想定している。サーバ装置10Bとしては、例えばDVDレコーダやハードディスクレコーダのように、テレビ番組や他の動画像など、比較的情報量の大きいコンテンツのデジタルデータを大量に蓄積可能な装置が考えられる。携帯端末20Bとしては、例えば携帯電話端末や携帯型情報端末のように、デジタルコンテンツの再生機能を有し、持ち運びが容易な端末が考えられる。
通信システム200では、サーバ装置10Bと携帯端末20Bとの間で通信が可能な状態は、両者の距離が例えば50cm以下程度の所定領域の範囲内に限られる。この範囲を外れると、サーバ装置10Bと携帯端末20Bとの間で相互に無線信号が届かなくなり通信が不可能な状態になる。したがって、例えばサーバ装置10Bの位置が固定されている場合には、ユーザが携帯端末20Bを手で持ち、携帯端末20Bをサーバ装置10Bに所定以上近づけることにより近距離通信が可能な状態になり、このユーザが携帯端末20Bをサーバ装置10Bから遠ざけると近距離通信ができない状態になる。
尚、通信システム200は「近距離通信システム」の一例である。また、サーバ装置10B、携帯端末20Bは「近距離通信装置」の一例である。
通信システム200は、ファイル転送処理におけるファイル転送モードとして、第1のモードおよび第2のモードの2つのモードを有する。第1のモードでは、携帯端末20Bが、第1のファイル要求信号(SG4)を送信する際に、第1のファイル要求時にメモリ26内に記録されているデータファイル群26aの情報をリスト26bが保持した状態で、リスト26bをサーバ装置10Bへ送信する。第2のモードでは、携帯端末20Bが、第1のファイル要求信号(SG4)を送信する際に、第1のファイル要求時にメモリ26内に記録されているデータファイル群26aの情報をリスト26bから削除し、リスト26bをサーバ装置10Bへ送信する。
サーバ装置10Bは、近距離通信部11Bと、アンテナ12と、制御部13とを有して構成される。また、近距離通信部11Bは、通信制御部14Bと、無線通信部15と、メモリ16とを有して構成される。
通信制御部14Bは、通信制御部14Bの機能に加え、リスト26bに基づいて、メモリ16に記録されたデータファイル群16aから携帯端末20Bへ送信するデータファイルを抽出し、無線通信部15Bへ送る。リスト26bは、無線通信部15によって、第1のファイル要求信号に含まれた状態で、もしくは第1のファイル要求信号とともに受信される。尚、通信制御部14Bは、「識別情報比較部」としての機能を有する。
携帯端末20Bは、近距離通信部21Bと、アンテナ22と、制御部23とを有して構成される。また、近距離通信部21Bは、通信制御部24Bと、無線通信部25と、メモリ26とを有して構成される。
通信制御部24Bは、通信制御部24の機能に加え、サーバ装置10がファイル転送処理を開始する前に、ファイル転送処理におけるファイル転送モードとして第1のモードまたは第2のモードのいずれかを設定する。設定方法としては、例えば、図示しない入力部がユーザの指示によりモードを選択する方法などが考えられる。
また、通信制御部24Bは、ファイル転送モードとして第1のモードが設定されている場合、メモリ26内のデータファイル群26aおよびリスト26bに記録された情報をそのまま保持した状態で、リスト26bを無線通信部25へ送る。また、ファイル転送モードとして第2のモードが設定されている場合、メモリ26内のデータファイル群26aおよびリスト26bに記録された情報を削除し、リスト26bを送る。この場合、リスト26bは空リストとなる。リスト26bは、無線通信部25によって、第1のファイル要求信号に含まれて、もしくは第1のファイル要求信号とともに送信される。
尚、通信制御部24Bは、「ファイル削除部」、「モード設定部」としての機能を有する。
次に、サーバ装置10Bがファイル転送処理を行う場合の動作について説明する。図6は、サーバ装置10Bがファイル転送処理を行う場合の動作の一例を示す図である。尚、図3で説明した処理と同一の処理については、同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
ステップS31では、ステップS11〜S12の処理後、通信制御部14Bが、ステップ12で受信した第1のファイル要求信号の内容を調べ、リスト情報(リスト26bの内容に相当)を抽出する。
ステップS32では、通信制御部14Bが、メモリ16が保持しているファイルのリスト16bの内容に基づいて、第1のファイルを決定する。この場合、携帯端末20Bからのリスト情報の内容を参照し、既に携帯端末20B上に存在するファイルを第1のファイルから除外するように第1のファイルを決定する。例えば、リスト16bの先頭に記述されているファイル名と一致する名称がステップS31で抽出したリスト情報に含まれている場合には、リスト16bの2番目あるいは3番目以降に記述されているファイル名のコンテンツを第1のファイルとして選択する。
従って、ファイル転送モードとして第1のモード1が選択されている場合には、サーバ装置10Bのメモリ16に存在するコンテンツの中で、携帯端末20Bのメモリ26にまだ存在しないコンテンツだけがファイルのリスト16bの中から選択され、ステップ32において第1のファイル、ステップS33において第2のファイル、ステップS34において第3のファイル、・・・として順次転送される。
また、ファイル転送モードとして第2のモード2が選択されている場合には、携帯端末20B側のコンテンツが全て削除された後、ファイルのリスト16bの内容に従い、新たなコンテンツとしてステップS32において第1のファイル、ステップS33において第2のファイル、ステップS34において第3のファイル、・・・が順次転送される。この場合、携帯端末20Bが要求する全てのファイルを転送することになる。
尚、ステップS32の処理後、ステップS14の処理が行われる。また、ステップS15の処理後、ステップS33、S17の処理が行われる。また、ステップS18の処理後、ステップS34の処理が行われ、処理が終了する。
尚、ここでは、第1から第3のファイルまで転送されることを説明しているが、ファイルの数はこれに限られない。
尚、リスト情報として、ファイル名だけでなく、コンテンツの種類(例えばドラマ、映画等の区分)を表す属性情報を付加しても良い。また、携帯端末20Bの視聴履歴に基づいて、視聴頻度の高い属性を有するコンテンツが区別できる情報をリスト情報に含めても良い。その場合、サーバ装置10Bのリスト16bによって同様の属性情報を管理しておけば、無線通信部14Bが、属性情報の一致/不一致や類似性を調べることが可能である。これにより、携帯端末20Bの視聴頻度の高い種類のコンテンツをサーバ装置10Bが認識し、該当するコンテンツの優先度を上げて、他のコンテンツよりも先にサーバ装置10Bから携帯端末20Bに転送することも可能になる。
次に、携帯端末20Bがファイル受信処理を行う場合の動作について説明する。図7は、携帯端末20Bがファイル受信処理を行う場合の動作の一例を示す図である。
ステップS41では、通信制御部24Bが、サーバ装置10がファイル転送処理を開始する前に、ファイル転送モードを設定する。ステップS41の処理後、ステップS21の処理を行い、ステップS42に進む。
ステップS42では、領域通知信号を検出した後、通信制御部24Bが、ファイル転送モードを判定する。ファイル転送モードが第1のモードである場合にはステップS43をスキップしてステップS44に進み、ファイル転送モードが第2のモードである場合にはステップS43に進む。
ステップS43では、ファイル転送モードが第2のモードである場合、メモリ26内に存在しているデータファイル群26aおよびリスト26bに記録された情報を全て削除する。
ステップS44では、無線通信部25が、リスト26bの情報を示すリスト情報を付加した第1のファイル要求信号SG4を送信し、サーバ装置10Bからの第1のファイルを受信する。
ステップS44の処理後、ステップS23〜S26の処理が行われ、処理が終了する。
従って、ファイル転送モードとして第1のモードが選択されている場合、リスト情報として携帯端末20Bが保持するデータファイルの情報をサーバ装置10Bへ送信されることになる。これにより、例えば、携帯端末20Bにファイル要求の対象であるデータファイルが存在する場合には、データファイルの転送がされないため、ファイル転送に要する時間も短縮され、効率の良いファイル転送処理を行うことができる。
また、ファイル転送モードとして第2のモードが選択されている場合、リスト情報として空のリスト情報がサーバ装置10Bへ送信されることになる。これにより、例えば、携帯端末20Bにファイル要求の対象であるデータファイルが存在する場合であっても、サーバ装置10Bからデータファイルが再度転送されるため、最新のデータファイルを取得することが可能となる。
このような通信システム200によれば、携帯端末20Bがサーバ装置10Bから最新のファイルを取得すること、もしくは、携帯端末20Bが保持しているファイル以外の転送対象ファイルのみを効率的に取得することが、例えばユーザのファイル転送モード設定により可能となる。
(第3の実施形態)
図8は本発明の第3の実施形態における通信システム300の構成の一例を示す図である。通信システム300において、通信システム100と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
通信システム300は、サーバ装置10および携帯端末20Cを有する。通信システム300では、サーバ装置10から携帯端末20Cに向けて近距離通信によりコンテンツのデータを転送することを想定している。携帯端末20Cとしては、例えば携帯電話端末や携帯型情報端末のように、デジタルコンテンツの再生機能を有し、持ち運びが容易な端末が考えられる。
通信システム300では、サーバ装置10と携帯端末20Cとの間で通信が可能な状態は、両者の距離が例えば50cm以下程度の所定領域の範囲内に限られる。この範囲を外れると、サーバ装置10と携帯端末20Cとの間で相互に無線信号が届かなくなり通信が不可能な状態になる。したがって、例えばサーバ装置10の位置が固定されている場合には、ユーザが携帯端末20Cを手で持ち、携帯端末20Cをサーバ装置10に所定以上近づけることにより近距離通信が可能な状態になり、このユーザが携帯端末20Cをサーバ装置10から遠ざけると近距離通信ができない状態になる。
尚、通信システム300は、「近距離通信システム」の一例である。また、携帯端末20Cは、「近距離通信装置」の一例である。
携帯端末20Cは、近距離通信部21Cと、アンテナ22と、制御部23とを有して構成される。また、近距離通信部21Cは、通信制御部24Cと、無線通信部25と、メモリ26とを有して構成される。
通信制御部24Cは、通信制御部24の機能に加え、領域通知信号の検出動作を繰り返し、領域通知信号を所定期間内に継続的に受信できるか否かを判定する。これにより、ファイルの受信処理が中断されているか否かを確認することができる。
また、通信制御部24Cは、ファイルの受信処理が中断された後に、再び領域通知信号を所定期間内に継続的に受信できるか否かを判定する。これにより、ファイルの受信処理を再開することができる。
尚、通信制御部24Cは、「継続判定部」としての機能を有する。
次に、携帯端末20Cがファイル受信処理を行う場合の動作について説明する。図9は、携帯端末20Cがファイル受信処理を行う場合の動作の一例を示す図である。
ステップS51では、通信制御部24Cが領域通知信号を検出した後、つまり、携帯端末20Cがサーバ装置10の近距離通信可能な領域内に入った後で、再び領域外に出たかどうかを調べるために、通信制御部24Cが、領域通知信号の検出動作を繰り返し、領域通知信号の受信が中断していないかどうかを確認する。ここでは、受信が中断していないかどうかは、領域通知信号を継続的に受信できるか否かで判断する。所定時間(例えば1秒間)以上にわたって領域通知信号を継続的に受信できた場合には、ステップS51からステップS22に進み、所定時間以内に領域通知信号の受信が不可能な状態になった場合にはステップS52に進む。
ステップS52では、ステップS51で領域通知信号の受信の中断を検出した場合、通信制御部24Cが、再び領域通知信号の検出を試みる。そして、中断してから所定時間(例えば1秒間)以内に、再び領域通知信号の受信に成功した場合には、ステップS22はスキップし、ステップS53に進む。領域通知信号を再び検出できない場合には、処理を終了する。
ステップS53では、第1のファイルの受信が完了した後、あるいはステップS52における中断検出後に領域通知信号が再び検出された場合には、携帯端末20Cはサーバ装置10から送信される領域通知信号(図2のSG7)の検出に基づいて、領域通知信号の受信が中断していないかどうかを判断する。そして、所定期間(図2に示す第1の期間:例えば1秒間程度)を経過するまで領域通知信号の中断を検出しなければステップS24に進み、領域通知信号の中断を検出した場合にはステップS54に進む。
ステップS54では、ステップS53で領域通知信号の受信の中断を検出した場合、通信制御部24Cが、再び領域通知信号の検出を試みる。そして、中断してから所定時間(例えば1秒間)以内に、再び領域通知信号の受信に成功した場合には、ステップS24はスキップし、ステップS55に進む。領域通知信号を再び検出できない場合には、処理を終了する。
ステップS55では、第2のファイルの受信が完了した後、あるいはステップS54における中断検出後に領域通知信号が再び検出された場合には、携帯端末20Cはサーバ装置10から送信される領域通知信号(図2のSG10)の検出に基づいて、領域通知信号の受信が中断していないかどうかを判断する。そして、所定期間(図2に示す第2の期間:例えば1秒間程度)を経過するまで領域通知信号の中断を検出しなければステップS26の処理を行って終了し、領域通知信号の中断を検出した場合には処理を終了する。
このような通信システム300によれば、サーバ装置10で転送候補になった第1のファイル、第2のファイル、第3のファイルのそれぞれを実際に携帯端末20Cで受信するかどうかを個別に制御することができる。
例えば、携帯端末20Cをサーバ装置10に接近させた状態をユーザがずっと維持していれば、携帯端末20Cは、第1のファイル、第2のファイル、第3のファイルのそれぞれのコンテンツを順番に受信することができる。
一方、例えば、第1のファイルの転送が開始する前に、ユーザが携帯端末20Cをサーバ装置10から遠ざけると、第1のファイルの受信は中止され、次のファイルを受信するための動作に移行する。この場合、所定時間以内に携帯端末20Cをサーバ装置10に再び近づけると、第2のファイルの転送が開始される。同様に、第2のファイルの転送が開始する前に、ユーザが携帯端末20Cをサーバ装置10から遠ざけると、第2のファイルの受信は中止され、次のファイルを受信するための動作に移行する。この場合、所定時間以内に携帯端末20Cをサーバ装置10に再び近づけると、第3のファイルの転送が開始される。したがって、例えば、携帯端末20Cをサーバ装置10に対して近づけたり遠ざけたりする極めて単純な操作をユーザが行うだけで、受信するファイルの数を変更したり、不要な特定のファイルの受信だけを省略することができ、ボタン操作等を行う必要はない。
尚、ここでは、サーバ装置をサーバ装置10として説明したが、サーバ装置10Bを用いてもよい。この場合、通信システム200と同様に、携帯端末20Cがリスト情報をサーバ装置10Bへ通知し、このリスト情報に基づいてファイル転送処理を行うことで、通信システム200と同様の効果も得られる。
尚、ここでは、サーバ装置10の動作について説明を省略したが、携帯端末20が中断を検出した場合には、ファイル送信要求がサーバ装置10へ送信されないため、サーバ装置10はファイルデータ送信を中止することになる。例えば、第1のファイル要求時に中断が検出された場合、第1のファイルデータ送信が中止される。また、例えば、第2のファイル要求時に中断が検出された場合、第2のファイルデータ送信が中止される。また、例えば、第3のファイル要求時に中断が検出された場合、第3のファイルデータ送信が中止される。
尚、ここでは、特定のファイルの転送をスキップする操作を検出するために、領域通知信号の中断を監視しているが、他の操作で中断を検出しても良い。例えば、図示はしないが携帯端末20Cの姿勢を検出する傾きセンサを携帯端末20Cに搭載し、この傾きセンサが携帯端末20Cの姿勢が所定以上の傾き(角度)になったことを検出した場合、あるいは傾きの変化が所定以上になったことを検出した場合に、通信制御部24Cが領域通知信号による中断検出と同様の検出が行われたものとみなすように制御しても良い。また、図示しないユーザの指示によって入力部が中断のための入力を行い、この入力により領域通知信号による中断検出と同様の検出が行われたものとみなすように制御しても良い。
尚、ここでは、サーバ装置10が領域通知信号を送信する場合を想定しているが、通信システム300に含まれる他の装置が領域通知信号を送信するように構成を変更しても良い。例えば、通信システム300は無線LANシステムとして構成されている場合、同一の無線LANシステムに接続されている他の端末から領域通知信号を送信しても良い。