JP2009026167A - 排出量按分装置、排出量按分方法、排出量按分プログラム、および排出量按分システム - Google Patents

排出量按分装置、排出量按分方法、排出量按分プログラム、および排出量按分システム Download PDF

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Abstract

【課題】 混載配送時における複数の荷主の荷物を運搬する車両から排出される排出物の排出量を、各荷物に公平に按分する排出量按分方法、排出量按分装置、排出量按分プログラム、および排出量按分システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の走行区間からなる走行ルートを走行する車両の運行データを収集する運行データ収集部11と、収集された運行データに基づき各走行区間ごとのCO2ガス排出量を算出する排出量算出部12と、算出された走行区間ごとのCO2ガス排出量を、上記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとのCO2ガス排出量を算出する排出量按分部13とを有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、複数の荷主の荷物を運搬する車両からの排出物の排出量から各荷主ごとの排出量を算出する排出量按分装置、排出量按分方法、排出量按分プログラム、および排出量按分システムに関する。
近年、二酸化炭素等の温室効果ガスによる地球温暖化が重要な問題となっている。この問題を解決するため、1997年に採択された京都議定書では、国ごとに温室効果ガスの排出量の削減目標が定められている。わが国においては、京都議定書の採択を受けて、企業ごとに温室効果ガスの排出量の削減目標が設定されつつある。各企業がこの温室効果ガス排出量削減目標を達成するには、先ず、自社の排出量を正確に把握する必要がある。
温室効果ガスの排出源は多種多様であるが、トラック等による荷物の運搬もその一つである。改正省エネ法(エネルギの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第93号))が平成18年4月1日から施行され、一定規模以上の輸送事業者(特定輸送事業者)および一定規模以上の荷主(特定荷主)に対して、荷物の運搬における温室効果ガス排出量の定期報告の義務が課せられている。
荷物の運搬における温室効果ガス排出量を算出する方法については、例えば、特許文献1に、各車両から送信されてくる燃料使用量、車両速度、車両位置情報、時刻情報などの情報を管理サーバで受信し、これらの情報を基にして単位走行距離当たりの燃料消費量や温室効果ガス排出量を算出する方法が開示されている。
しかし、上記の特許文献1に開示された方法は、1台の車両に複数の荷主の荷物を混載して配送する場合の温室効果ガス排出量を各荷物に、また各荷主にどのように按分するかについての考慮がなされていない。
この混載配送方式は、物流の効率化の面から広く採用されているが、この混載配送方式を実施するにあたっては、温室効果ガス排出量を、複数の荷主の納得が得られるように公平に按分する方法を確立する必要がある。
この問題を解決するものとして、特許文献2には、複数の荷主の荷物を車両に混載して輸送する場合に、車両からの排出物の排出量を荷主ごとに按分することができる排出量按分装置が開示されている。この特許文献2に開示された排出量按分装置では、走行区間ごとの排出量を算出しそれを所定のルールに従って按分し各荷主に割り当てる方法を提案している。排出量の具体的な按分ルールとして、各荷主に均等になるように按分するルール、各荷主の荷物の重量の比に従って按分するルール、各荷主の荷物の輸送距離の比に従って按分するルールが提示されている。
しかし、上記特許文献2に開示されたいずれの按分ルールも、複数の荷主からの納得が得られる公平なルールであるとはいえない。例えば、各荷主に均等になるように按分するルールでは、各荷主が配送を依頼する荷物の種類、数、輸送距離が同一の場合にはよいが、通常そのようなケースは稀であり、荷主間に不公平が生じる場合の方が多い。また、各荷主の荷物の重量の比に従って按分するルールでは、嵩張る荷物の荷主と嵩張らない荷物の荷主との間で不公平が生じる。また、各荷主の荷物の輸送距離の比に従って按分するルールでは、ルールが単純すぎて荷主間に不公平が生じやすい。
特開2004−157842号公報 特開2007−4331号公報
本発明は上記事情に鑑み、混載配送時における複数の荷主の荷物を運搬する車両から排出される排出物の排出量を、各荷物に公平に按分する排出量按分方法、排出量按分装置、排出量按分プログラム、および排出量按分システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の排出量按分装置は、複数の荷主の荷物を運搬する車両から排出される排出物の排出量を各荷物に按分する排出量按分装置であって、複数の走行区間からなる走行ルートを走行する車両の運行データを収集する運行データ収集部と、上記運行データ収集部により収集された運行データに基づき上記走行区間ごとの排出物の排出量を算出する排出量算出部と、上記排出量算出部により算出された走行区間ごとの排出物の排出量を、上記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとの排出物の排出量を算出する排出量按分部とを備えたことを特徴とする。
本発明の排出量按分装置によれば、混載配送時における、走行区間ごとに算出した排出物の排出量を、車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとの排出物の排出量を算出するので、排出物の排出量を各荷物に公平に按分することができる。
ここで、上記排出量按分部は、上記各荷物ごとの排出物の排出量を算出するにあたり、上記荷物の重量に対する容積の比を、上記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比で除した値が所定の基準値以上の場合には、当該荷物の重量に所定の補正係数を乗じて補正し、該補正された重量に基づき該各荷物ごとの排出物の排出量を算出するものであることが好ましい。
本発明の排出量按分装置を上記のように構成した場合は、車両に運搬効率の低い、すなわち嵩張る荷物が混載されていた場合に、その運搬効率の低い荷物の重量を所定の補正係数で補正した上で各荷物の排出物の排出量を算出するので、運搬効率の低い荷物と運搬効率の高い荷物との間の排出量按分をより公平なものとすることができる。
また、上記目的を達成する本発明の排出量按分方法は、複数の荷主の荷物を運搬する車両から排出される排出物の排出量を各荷物に按分する排出量按分方法であって、複数の走行区間からなる走行ルートを走行する車両の運行データを収集する運行データ収集ステップと、上記運行データ収集部により収集された運行データに基づき上記走行区間ごとの排出物の排出量を算出する排出量算出ステップと、上記排出量算出部により算出された走行区間ごとの排出物の排出量を、上記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとの排出物の排出量を算出する排出量按分ステップとを備えたことを特徴とする。
本発明の排出量按分方法によれば、混載配送時における、走行区間ごとに算出した排出物の排出量を、車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとの排出物の排出量を算出するので、排出物の排出量を各荷物に公平に按分することができる。
ここで、上記排出量按分ステップは、上記各荷物ごとの排出物の排出量を算出するにあたり、上記荷物の重量に対する容積の比を、上記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比で除した値が所定の基準値以上の場合には、当該荷物の重量に所定の補正係数を乗じて補正し、該補正された重量に基づき該各荷物ごとの排出物の排出量を算出するものであることが好ましい。
本発明の排出量按分方法を上記のように構成した場合は、車両に運搬効率の低い、すなわち嵩張る荷物が混載されていた場合に、その運搬効率の低い荷物の重量を所定の補正係数で補正した上で各荷物の排出物の排出量を算出するので、運搬効率の低い荷物の荷主と運搬効率の高い荷物の荷主との間の排出量按分をより公平なものとすることができる。
また、上記目的を達成する本発明の排出量按分プログラムは、コンピュータ内で実行され該コンピュータを、複数の荷主の荷物を運搬する車両から排出される排出物の排出量を各荷物に按分する排出量按分装置として動作させる排出量按分プログラムであって、上記コンピュータを、複数の走行区間よりなる走行ルートを走行する車両の運行データを収集する運行データ収集部と、上記運行データ収集部により収集された運行データに基づき上記走行区間ごとの排出物の排出量を算出する排出量算出部と、上記排出量算出部により算出された走行区間ごとの排出物の排出量を、上記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとの排出物の排出量を算出する排出量按分部とを備えた排出量按分装置として動作させることを特徴とする。
本発明の排出量按分プログラムによれば、混載配送時における、走行区間ごとに算出した排出物の排出量を、車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとの排出物の排出量を算出するので、排出物の排出量を各荷物に公平に按分することができる。
ここで、上記排出量按分部は、上記各荷物ごとの排出物の排出量を算出するにあたり、上記荷物の重量に対する容積の比を、上記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比で除した値が所定の基準値以上の場合には、当該荷物の重量に所定の補正係数を乗じて補正し、該補正された重量に基づき該各荷物ごとの排出物の排出量を算出するものであることが好ましい。
本発明の排出量按分プログラムを上記のように構成した場合は、車両に運搬効率の低い、すなわち嵩張る荷物が混載されていた場合に、その運搬効率の低い荷物の重量を所定の補正係数で補正した上で各荷物の排出物の排出量を算出するので、運搬効率の低い荷物と運搬効率の高い荷物との間の排出量按分をより公平なものとすることができる。
また、上記目的を達成する本発明の排出量按分システムは、複数の荷物を積載して複数の走行区間からなる走行ルートを走行する車両に搭載された、該車両の運行データを取得し該運行データを外部に供給する車載データ処理装置と、該車載データ処理装置から供給された運行データに基づいて各荷物ごとの排出物の排出量を算出する排出量按分装置が内部に形成されたホストコンピュータとを有する排出量按分システムにおいて、上記排出量按分装置は、上記車載データ処理装置から供給された運行データを収集する運行データ収集部と、収集された運行データに基づき上記走行区間ごとの排出物の排出量を算出する排出量算出部と、該排出量算出部により算出された走行区間ごとの排出物の排出量を、上記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとの排出物の排出量を算出する排出量按分部と、該排出量按分部で算出された結果を上記車載データ処理装置に供給する算出結果供給部とを備え、上記車載データ処理装置は、上記算出結果供給部から供給された算出結果に基づき、上記走行区間における各荷物ごとの排出物の排出量を帳票として発行する帳票発行部を備えたことを特徴とする。
本発明の排出量按分システムによれば、混載配送時における、走行区間ごとに算出した排出物の排出量を、車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとの排出物の排出量を算出するので、排出物の排出量を各荷物に公平に按分することができる。
ここで、上記排出量按分部は、上記各荷物ごとの排出物の排出量を算出するにあたり、上記荷物の重量に対する容積の比を、上記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比で除した値が所定の基準値以上の場合には、当該荷物の重量に所定の補正係数を乗じて補正し、該補正された重量に基づき該各荷物ごとの排出物の排出量を算出するものであることが好ましい。
本発明の排出量按分システムを上記のように構成した場合は、車両に運搬効率の低い、すなわち嵩張る荷物が混載されていた場合に、その運搬効率の低い荷物の重量を所定の補正係数で補正した上で各荷物の排出物の排出量を算出するので、運搬効率の低い荷物と運搬効率の高い荷物との間の排出量按分をより公平なものとすることができる。
本発明によれば、混載配送時における複数の荷主の荷物を運搬する車両から排出される排出物の排出量を、各荷物に公平に、ひいては各荷主に公平に按分することのできる排出量按分方法、排出量按分装置、排出量按分プログラム、および排出量按分システムを実現することができる。
また、本発明によれば、按分した排出量に関する情報を運搬業者と荷主との間で共有することができる。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、以下の説明では、車両から排出される排出物の一例として、代表的な温室効果ガスである二酸化炭素ガス(CO2ガス)について説明するが、本発明の排出量按分装置、排出量按分方法、および排出量按分プログラムは、このCO2ガス以外の他の排出物についてもCO2ガスと同様に処理することができる。また、複数種類の排出物の排出量を処理することもできる。
図1は、複数の荷主の荷物を混載して配送する場合の配送ルートの1例を示す図である。
図1に示すように、この例では、トラック0001は、荷物を積載しない状態で営業所を出発した後、走行区間1を走行して地点Pに至り、荷主Aの荷物a1、荷物a2を荷積みし、次に、走行区間2を走行して地点Qに至り、荷主Aの荷物a1を荷卸しした後、荷主Bの荷物b1を荷積みし、続いて、走行区間3を走行して地点Rに至り荷物b1の荷卸しを行い、荷主Cの荷物c1、荷物c2を荷積みし、走行区間4を走行して地点Sに至り荷主Aの荷物a2と、荷主Cの荷物c1、荷物c2の荷卸しを行い、続いて、トラック0001に荷物を積載しない状態で走行区間5を走行して営業所に戻る。
この例では、荷主Aの荷物のみを運搬している走行区間1におけるCO2ガスの排出量は、荷主Aのみに割り当てればよいが、走行区間3および走行区間4では、荷主A、荷主B、荷主Cの荷物が混載された状態で走行しているので、各走行区間におけるCO2ガスの排出量を合理的な按分方法で各荷主に振り分けなければならない。
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態について説明する。
図2は、第1の実施形態の排出量按分装置の概要図である。
図2に示すように、この排出量按分装置10は、運送会社の本社または営業所などに設置されたホストコンピュータ100上に形成されており、複数の荷主の荷物を運搬する車両1から排出されるCO2ガスの排出量を各荷物に按分する装置である。
この排出量按分装置10は、運行データ収集部11と、排出量算出部12と、排出量按分部13と、帳票出力部14と、通信部15とを備えている。
運行データ収集部11は、車両1から受け取った車両の運行データを収集するものである。
排出量算出部12は、運行データ収集部11により収集された運行データに基づき上記走行区間ごとのCO2ガス排出量を算出するものである。
排出量按分部13は、排出量算出部12により算出された走行区間ごとのCO2ガス排出量を、上記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとのCO2ガス排出量を算出し、算出された各荷物ごとのCO2ガス排出量から各荷主ごとのCO2ガス排出量を算出するものである。
帳票出力部14は、排出量按分部13で算出された各荷主ごとのCO2ガス排出量を必要に応じて集計処理などを行った上で、帳票として出力するものである。
このように、帳票出力部14は、本実施形態の排出量按分装置で算出したCO2ガス排出量を月次、年度などで集計し、月次報告書、年次報告書などの書類として荷主ごとに発行することができるので、従来からの納品伝票や配送伝票、受領書など既存の書式やそれらの伝票処理ルーチンを活用することにより効率的な情報活用が可能となる。
通信部15は、車両1に備えられた車載データ処理装置20から無線通信回線400を介して送られてくる運行データを受信するものである。
車両1には、車両1の走行距離、走行速度、エンジン回転数、車両位置、燃料消費量などの運行データを記録する走行記録装置2、車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)3、車両の走行速度を検出する車速センサ4、走行記録装置2に記録された運行データを無線通信回線を介してホストコンピュータ100に送信する通信部5を有する車載データ処理装置20と、運転手により操作される複数の操作ボタンを有する操作ボックス6が搭載されている。操作ボタンとしては、例えば、運送業務を開始した時に押下する始業ボタン、荷物の積み込み作業を開始又は終了した時に押下する荷積ボタン、荷卸し作業を開始又は終了した時に押下する荷卸ボタン、運送業務を終了した時に押下する終業ボタン等である。これらの操作ボタンを押下することにより、業務開始、業務終了、荷積開始/終了、荷卸開始/終了などの情報が走行記録装置2に入力される。
なお、これらの操作ボタンによる操作の代わりに、車両の状態を表す情報、例えば車両の走行/停止、エンジンの始動/停止、荷物の積載重量、荷台扉の開閉などの情報を、車両の距離計、タコメータ、荷台に設けた荷重センサ、またはデジタルタコグラフなどから取得して走行記録装置2に入力するようにしてもよい。
走行記録装置2に記録された運行データは、通信部5により無線通信回線を介してリアルタイムにホストコンピュータ100に送信される。
なお、運行データを無線通信回線を介して排出量按分装置10に送信する代わりに、例えば、走行区間ごとの運行データをメモリカードなどの媒体に記憶させておき、各地点又は営業所到着時に、その媒体に記憶された運行データを、各地点又は営業所に設置されたコンピュータなどを介してホストコンピュータ100に送信し、排出量按分装置10に入力するようにしてもよい。
本実施形態の排出量按分装置では、燃料噴射バルブの状態、噴射量が直接計測される電子制御式の燃料消費量計測装置を用いて燃料消費量を計測するようにしているが、この燃料消費量計測装置を用いる代わりに、タコメータによるエンジンの稼動状況、車両の停止/走行の状態、積載重量などの情報から燃料消費量を算出するようにしてもよい。また、車両の実際の走行距離および予め測定しておいた当該車両の標準燃費から算出するようにしてもよい。
また、ホストコンピュータ100には、車両の配送ルート、荷積地点、荷卸地点、積み卸し時刻、荷物名、荷物重量、荷物容積などの情報を管理する配送管理装置90が形成されている。この配送管理装置90には、按分処理に必要な重量補正基準値kや按分補正係数sなども格納されている。これらの重量補正基準値kや按分補正係数sについては後述する。
さらに、このホストコンピュータ100には、補助記録装置であるHDD(Hard Disk Drive)130が備えられており、このHDD130には、コンピュータ10内で実行され、コンピュータ10を、複数の荷主の荷物を運搬する車両から排出されるCO2ガス排出量を各荷物に按分する排出量按分装置として動作させる排出量按分プログラム200および排出量按分プログラム200で使用される各種のマスタファイルおよび各種のデータファイルを含む各種のマスタファイルが格納されている。
図3は、本発明の排出量按分装置が形成されるコンピュータの一例を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、このコンピュータ100は、コンピュータ全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)110、主記録装置であるRAM(Random Access Memory)120、補助記録装置であるHDD(Hard Disk Drive)130、ユーザの操作に応じて情報を入力するキーボード、マウスなどの入力装置140、情報を画面上に表示する表示装置150、通信回線を介して外部の情報処理装置との間でデータの授受を行うネットワーク接続装置160、およびメモリカードなどの記録媒体から情報を読み取る記録媒体読取装置170などがバス180で接続されて構成されている。
次に、第1の実施形態の排出量按分プログラムの構成について説明する。
図4は、第1の実施形態の排出量按分プログラム(a)および排出量按分用データベース(b)の概略構成図である。
排出量按分プログラム200は、通常は、コンピュータ100(図3参照)内のHDD130に格納されており、必要に応じてRAM120上に読み出され、CPU110で実行され、コンピュータ100を、複数の荷主の荷物を運搬する車両から排出されるCO2ガス排出量を各荷物に按分する排出量按分装置として動作させるものである。
図4(a)に示すように、この排出量按分プログラム200は、運行データ収集部201と、排出量算出部202と、排出量按分部203と、帳票出力部204とを備えている。運行データ収集部201は、複数の走行区間からなる走行ルートを走行する車両の運行データを収集するものであり、排出量算出部202は、運行データ収集部201により収集された運行データに基づき上記走行区間ごとのCO2ガス排出量を算出するものであり、排出量按分部203は、排出量算出部202により算出された走行区間ごとのCO2ガス排出量を、上記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとのCO2ガス排出量を算出し、算出された各荷物ごとのCO2ガス排出量から各荷主ごとのCO2ガス排出量を算出するものであり、帳票出力部204は、排出量按分部203で算出された排出量按分結果を帳票として出力するものである。
なお、上記の排出量按分プログラム200は、必ずしもHDD130に格納されている必要はなく、CD−ROM等の記録媒体に記録しておき、必要に応じてその記録媒体を用いてコンピュータ100にインストールして実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WAN等を介して接続される他のコンピュータ(またはサーバ)などに上記の排出量按分プログラムを格納しておき、コンピュータ100が、必要に応じてこれらのコンピュータからプログラムを受け取って実行するようにしてもよい。
図4(b)は、第1の実施形態の排出量按分用データベースの概略構成図である。図4(b)に示すように、この排出量按分用データベース210には、運行データファイル21、地点マスタ22、配送計画ファイル23、区間データファイル24、車両マスタ25、排出係数マスタ26、排出量按分ファイル27などが格納されている。
次に、第1の実施形態の排出量按分装置で用いられる各種のマスタファイルについて説明する。
図5は、第1の実施形態における地点マスタの一例を示す図である。
この地点マスタ22は、ホストコンピュータ100(図3参照)のHDD130内に形成されるものであり、図5に示すように、地点ID22a、地点名称22b、緯度22c、経度22d、範囲22eなどの項目を有する。地点ID22aは、地点マスタ22の各レコードを識別するためのIDである。
地点名称22bは、そのデータが表す地点の名称であり、緯度22cと経度22dは、そのデータが表す地点の緯度と経度である。範囲22eは、その地点が通常、工場、支店、倉庫などを表すものである場合に、GPSにより得られた緯度/経度の測定誤差を吸収するためのものであり、この範囲内に収まる地点名からその荷物の荷主として特定することができる。
図6は、第1の実施形態における車両マスタの一例を示す図である。
この車両マスタ25は、ホストコンピュータ100(図3参照)のHDD130内に形成されるものであり、図6に示すように、車両ID25a、車両名称25b、燃料種類25c、標準燃費25d、最大積載重量25e、最大積載容量25f、所属営業所25gなどの項目を有する。
図7は、第1の実施形態における排出係数マスタの一例を示す図である。
この排出係数マスタ26は、ホストコンピュータ100(図3参照)のHDD130内に形成されるものであり、図7に示すように、燃料種別26a、排出係数26bなどの項目を有している。
次に、第1の実施形態の排出量按分装置の動作について説明する。
先ず、排出量按分装置の動作説明に先立ち、車両に搭載された走行記録装置による運行データ記録の処理手順について説明する。
図8は、第1の実施形態の走行記録装置の処理手順を示すフローチャートである。
第1の実施形態の走行記録装置2(図3参照)は、図8に示すように、GPSから日時、緯度、経度の情報を取得し(ステップS01)、車速センサから積算走行距離を取得する(ステップS02)。次に、運転手により前述の操作ボタン(始業ボタン、荷積ボタン、荷卸ボタンや、終業ボタン等)が押下されたか否かの確認(ステップS03)が行われ、いずれの操作ボタンも押下されていなければステップS01に戻りステップS01以降の処理が繰り返される。ステップS03で、いずれかの操作ボタンが押下されていた場合には、押下された操作ボタンの種類に応じて、日時、緯度、経度、積算走行距離などからなる運行データ(図2参照)を走行記録装置2に記録する(ステップS04)。ここで、押下された操作ボタンが終業ボタンであったか否かの判定が行われ(ステップS05)、押下された操作ボタンが終業ボタン以外の操作ボタンであった場合には、ステップS01に戻りステップS01以降の処理が繰り返される。一方、押下された操作ボタンが終業ボタンであった場合には、全ての処理を終了する。
なお、この車両に燃料消費量計測装置が取り付けられている場合には、ステップS02における車速センサから積算走行距離を取得する代わりに、その燃料消費量計測装置で計測された燃料消費量を取得する。
このようにして取得された運行データは走行記録装置2(図2参照)に記録される。この運行データは、通信部5によってホストコンピュータ100に送られ、排出量按分装置10における排出量按分処理に用いられる。
次に、走行記録装置2に記録された運行データのデータ構造について説明する。
図9は、第1の実施形態の走行記録装置に記録された運行データの一例を示す図である。
図9に示すように、この運行データ9は、車両ID9a、作業区分9b、年月日9c、時刻9d、積算走行距離9e、緯度9f、経度9g、積算燃料消費量9hなどの項目を有する。
車両ID9aは、車両を識別するための項目であり、例えば“0001”などが記録される。この車両IDを用いて車両マスタ(後述する)のデータを照会することにより、車両ごとの最大積載重量や最大積載容量、エンジンの排気量や標準的な燃費などの情報を特定することができる。また、この車両IDを用いてホストコンピュータ100(図2参照)の配送管理装置90に、この車両の配送計画を照会することにより、配送ルートやその配送ルートで積み卸しする荷物に関する積み卸し予定場所やその時刻、荷物の量や種類などの情報を取得することができる。
作業区分9bには、運転手が押下した操作ボタン(始業ボタン、荷積ボタン、荷卸ボタンや、終業ボタン)の種類に応じた内容(「始業」、「荷積」、「荷卸」、および「終業」)が記録される。
年月日9cおよび時刻9dには上記操作が行われた年月日および時刻が記録される。
積算走行距離9eには車速センサから取得した積算走行距離が記録される。
緯度9fおよび経度9gにはGPSから取得した緯度および経度が記録される。
積算燃料消費量9hには、前述のように、この車両に燃料消費量計測装置が取り付けられている場合には、その燃料消費量計測装置でリアルタイムに計測された燃料消費量の積算値が記録される。燃料消費量計測装置が取り付けられていない場合にはこの欄は空白となる。
なお、作業区分9bについては、一定時刻ごとのエンジンの稼動状況、走行距離、停車場所、荷台の荷重の大きさなどの情報や予定された配送ルート情報などから、始業、終業、荷積、荷卸などの作業区分を認識することが可能であり、運転手による操作ボタンの押下を省略することができるが、その場合は作業区分9bは空白となる。
次に、第1の実施形態の排出量按分装置で用いられる各種のデータファイルについて説明する。
図10は、第1の実施形態における配送計画ファイルの一例を示す図である。
この配送計画ファイルは、当該運送会社における各稼働日ごとに、かつ各車両ごとに、どの荷主のどの荷物を何個、どの地点からどの地点まで配送するかを策定した配送計画に基づき、ホストコンピュータ100(図2参照)の配送管理装置90によって作成され、HDD130内(図3参照)の配送計画ファイル23として記録される。
図10に示すように、この配送計画ファイル23は、車両ID23a、年月日23b、荷積地点23c、荷卸地点23d、荷物名23e、荷物重量23f、荷物容積23gなどの項目を有している。
図11は、第1の実施形態における運行データファイルの一例を示す図である。
この運行データファイル21は、前述の配送計画に基づき、指定された車両が実際に配送を行うことにより作成され、ホストコンピュータ100(図3参照)のHDD130内に形成されるものである。
この運行データファイル21は、図11に示すように、作業区分21a、年月日21b、時刻21c、積算走行距離21d、緯度21e、経度21f、荷主名21g、荷物名21h、積算燃料消費量21iなどの項目を有する。
作業区分21a、年月日21b、時刻21c、積算走行距離21d、緯度21e、経度21fは、前述の運行データ(図9参照)における作業区分9b、年月日9c、時刻9d、積算走行距離9e、緯度9f、経度9gがこの運行データファイル21にコピーされたものである。
荷主名21gおよび荷物名21hは、当初は空欄のままであるが、配送計画ファイル23(図10参照)および地点マスタ22(図5参照)との照合により、作業区分ごとにその荷物の荷主名および荷物名が書き込まれる。
また、積算燃料消費量21iには、前述のようにこの車両に燃料消費量計測装置が取り付けられている場合には、その燃料消費量計測装置でリアルタイムに計測された燃料消費量の積算値が書き込まれるが、燃料消費量計測装置が取り付けられていない場合には、この積算燃料消費量21iは、当初は空欄のままであり、後述の排出量算出処理において算出された燃料消費量の積算値が書き込まれる。
なお、本実施形態において、運行データは、必ずしも車両の走行記録装置で記録されたものである必要はなく、例えば、予定された配送計画と同じ配送計画に基づき記録された運行データが配送管理装置90に存在している場合には、それを運行データとして用いてもよい。ただし、車両事故や道路の渋滞状況や気象状況などにより運行計画が変更になる場合もあるので、実際の状況が反映された走行記録装置のデータを運行データとして用いる方が、より正確な結果を得ることができるので好ましい。
図12は、第1の実施形態における区間データファイルの一例を示す図である。
この区間データファイル24は、ホストコンピュータ100(図3参照)のHDD130内に形成されるものであり、図12に示すように、車両ID24a、年月日24b、区間ID24c、出発地点24d、到着地点24e、走行距離24f、燃料消費量24g、荷物名24h、荷物重量24i、荷物容積24j、荷主24k、CO2ガス排出量24lなどの項目を有する。
車両IDは、その区間を走行した車両を識別するためのIDである。区間IDは、区間を識別するためのIDである。出発地点と到着地点は、それぞれ、区間の開始地点と終了地点を表し、走行距離は、その区間において車両が走行した距離を表す。荷物名がなければ積荷無となり、有の場合は、荷物名とその荷物重量、荷物容積、および荷主を示す。
図13は、第1の実施形態の排出量按分装置において用いられる作業ファイルの一例を示す図である。
この作業ファイル28は、排出量按分処理の過程で用いられるものであり、図13に示すように、荷物名28a、荷物重量28b、荷物容積28c、荷物重量に対する荷物容積の比(N)28d、荷物重量に対する荷物容積の比(N)を車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比(M)で除したN/M値28e、按分補正係数28f、および按分補正重量28gなどの各項目が設けられている。
この作業ファイル28については、図16を参照しての排出量按分処理のフローチャートの説明および実施例の説明の際に詳しく説明する。
図14は、第1の実施形態における排出量按分ファイルの一例を示す図である。
この排出量按分ファイル27は、排出量按分処理の結果得られるものであり、図14に示すように、区間ID27a、燃料消費量27b、CO2ガス排出量27c、荷物名27d、荷物重量27e、按分補正重量27f、および按分排出量27gなどの各項目が設けられている。
この排出量按分ファイル27については、後述の実施例の説明の際に詳しく説明する。
次に、第1の実施形態の排出量按分装置の動作について説明する。
この排出量按分装置は、コンピュータ100(図3参照)にインストールされた排出量按分プログラム200(図4参照)がRAM120上に読み出されて排出量按分装置10として形成される。
図15は、第1の実施形態の排出量按分装置の動作を示すフローチャートである。
図15に示すように、この排出量按分装置は、先ず、運行データファイル21(図9参照)、車両マスタ25(図6参照)、配送計画ファイル23(図10参照)を読み込み(ステップS11)、運行データファイル21に、走行記録装置2(図2参照)から受け取った運行データを書き込む。
ここで、走行記録装置2から受け取った運行データの中に積算燃料消費量9hのデータが存在しない場合には、運行データの中の積算走行距離9eと、車両マスタ25の燃費25dとから燃料消費量を算出して運行データファイル21の積算燃料消費量21iに書き込む。このように、走行記録装置2からの燃料消費量の実計測値を用いて燃料消費量を算出しても、また、実測した走行距離を車両の標準燃費で割ることにより燃料消費量を算出してもよい。ただし、車両の標準燃費と実測した走行距離から算出した場合は、燃料消費量の精度は低下する。また、燃料タンクの燃料残量を計測することでも走行区間ごとの燃料消費量を求めることができるが、この場合も精度は低下する。
次に、運行データファイル21を、地点マスタ22(図5参照)、車両マスタ25と照合(ステップS12)して運行データファイル21に、荷主名21gと荷物名21hを付加する。
次に、運行データファイル21および配送計画ファイル23から区間データを生成し(ステップS13)、区間データファイル24(図12参照)に書き込む。さらに、按分処理に必要となる車両の最大積載重量、最大積載容量、燃料種類を車両マスタ25から取得するとともに、排出係数マスタ26(図7参照)からその車両で使用した燃料の排出係数26bを取得する。また、按分処理に必要な所定の重量補正基準値kや按分補正係数sなどを配送管理装置90から取得する。
次に、区間データファイル24のレコードの中から未処理の区間ID、すなわち、CO2ガス排出量24lが空白のままであるレコードを一つ選択し(ステップS14)、その区間の燃料消費量24gと、排出係数マスタ26(図7参照)に記録されている当該車両に使用された燃料の排出係数26bとから次に示す式(1)により、その区間におけるCO2ガス排出量を算出する(ステップS15)。
CO2ガス排出量=燃料消費量×排出係数 … (1)
こうして算出したCO2ガス排出量は区間データファイル24の当該レコードのCO2ガス排出量24lに書き込まれる。
ここで、その区間の荷主(荷物)数が0(ステップS16)であるか否かを判定し、その区間の荷主(荷物)数が0であれば、算出したCO2ガス排出量の荷主への按分処理を行わずに、そのCO2ガス排出量をその運送業者に割り当て(ステップS17)、その区間の荷主数が0でなければ、算出したCO2ガス排出量に対して後述する排出量按分処理を行い(ステップS18)、その結果を排出量按分ファイル27(図14参照)に書き込む(関連する荷主に割り当て)。
こうして、区間データファイル24の全てのレコードについての処理が完了したら処理を終了する。区間データファイル24のレコードのうち未処理のものが残っている場合は、ステップS14に戻り未処理のレコードについての処理を続ける(ステップS19)。
以上の処理の結果、区間データファイル24には、区間1、区間2、区間3、区間4、および区間5のCO2ガス排出量24lとして、図12に示すように、それぞれ13.1、9.96、9.43、13.1、および11.8というデータが記録される。
次に、第1の実施形態における排出量按分処理の手順について説明する。
この排出量按分処理では、区間データファイル24(図12参照)に記録された各区間での排出量を、その区間で混載輸送された荷物ごとに按分し、さらにその荷物の荷主に割り当てる処理が行われる。なお、この排出量按分処理に先立ち、保有する車両の仕様、荷物の特徴、配送計画などに基づき、按分の際に用いられる重量補正基準値kおよび按分補正係数sを予め設定しておかなければならない。また、この重量補正基準値kおよび按分補正係数sは、運送業者と荷主との間で十分な納得のもとに取り決めてを行う必要がある。
図16は、第1の実施形態における排出量按分処理の手順を示すフローチャートである。
図16に示すように、先ず、区間データファイル24(図12参照)から当該車両の当日の運送情報を取得し(ステップS21)、各荷物の重量Wnおよびその荷物の容積Vnから、次に示す式(2)により、荷物重量に対する荷物容積の比Nnを算出する。
Nn=荷物容積Vn/荷物重量Wn … (2)
次に、車両マスタ25(図6参照)から当該車両の最大積載容量および最大積載重量を読み出し、次に示す式(3)により、車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比Mを算出する(ステップS22)。
M=最大積載容量/最大積載重量 … (3)
次に、上記NnをMで除したNn/Mを算出し(ステップS23)、そのNn/Mを、予め設定された重量補正基準値kと比較する(ステップS24)。
このNn/Mの値は、車両に対する荷物の適合性(運搬効率)を表している。すなわち、Nn/Mの値が小さいほどその車両が効率的に使用されており、Nn/Mの値が大きいほどその車両が低い効率で使用されていることを表している。そこで、ステップS24において、Nn/Mが重量補正基準値k以上であるか否かを判定し、Nn/Mが重量補正基準値k以上である場合にはその荷物の重量を補正することによってその荷物のCO2ガス排出量の分担の度合いを他の荷物のCO2ガス排出量の分担の度合いに近づけるようにしている。すなわち、予め設定した按分補正係数sをその荷物の重量Wnに乗じて、その荷物の按分補正重量sWnを算出し(ステップS25)、ステップS27に進む。
一方、ステップS24においてNn/Mが重量補正基準値k未満の場合には、その荷物の重量Wnをそのまま按分補正重量Wnとして記録してからステップS27に進む。
ステップS27では、その区間の全荷物の処理が終了したか否かを判定する。
ステップS27における判定の結果、全荷物の処理が終了していない場合にはステップS23以降の処理を繰り返す。
ステップS27における判定の結果、全荷物の処理が終了している場合にはステップS28に進む。
ステップS28では、各区分について、その区分におけるCO2ガス排出量を、その区間で混載運送された各荷物の按分補正重量の比率に応じて、次に示す式(4)により荷物ごとに按分する。
荷物nの按分排出量=区間CO2ガス排出量×(荷物nの按分補正重量sWn/全荷物の按分補正重量の総和) … (4)
次に、各荷主について、上記ステップS28で求めた各荷物ごとの按分排出量を、その荷物の荷主に割り振ることにより、その荷主の排出量の合計値を算出する(ステップS29)。
次に、ステップS30では、全荷主の処理が終了したか否かを判定する。
ステップS30における判定の結果、全荷主の処理が終了していない場合にはステップS29の処理を繰り返す。
ステップS30における判定の結果、全荷主の処理が終了している場合にはすべての処理を終了する。
次に、第1の実施形態における排出量按分処理の実施例について説明する。
[実施例]
図1に示した配送ルートにおける荷物が混載輸送された区間2、区間3、および区間4について、排出量按分処理を行った実施例について説明する。
車両としては、車両ID0001を使用しているので、車両の最大積載比Mは、上記式(2)により、
M=10m3/2t=5.0
が得られた。
なお、この実施例では、重量補正基準値kは2.0、按分補正係数sは1.3に設定した。
図13に示すように、作業ファイル28における荷物a1のNは上記式(1)により、
N=1.0/0.5=2.0
であり、従って、運搬効率N/Mは、
N/M=2.0/5.0=0.4
である。同様に、荷物a2、荷物b1、荷物c1、荷物c2の運搬効率N/Mは、図示の通りそれぞれ、0.1、1.0、10、4.0である。
これら各荷物の運搬効率N/Mのうちで、重量補正基準値kよりもN/Mが大きい荷物c1および荷物c2については、按分補正係数28eを1.3とし、それら以外の荷物a1、荷物a2、および荷物b1については、按分補正係数28eを1.0とし、各荷物の荷物重量28bに按分補正係数28eを乗じて、按分補正重量28fを算出した。
このように、第1の実施形態では、N/Mが大きい荷物、すなわち、嵩張る荷物は運搬効率が低いので、これらの嵩張る荷物の重量を3割増しにしてその荷物の按分排出量を、嵩張らない荷物よりも増やすことにより、排出量を公平に負担させるようにした。
次に、図14に示すように、各区間ごとの燃料消費量27bに、排出係数マスタ26から求めた、当該車両で使用した燃料の排出係数26b(2.62kgCO2/l)を乗じてその区分のCO2ガス排出量27cを求め、そのCO2ガス排出量27cをその区分で混載輸送された各荷物の按分補正重量27fに応じて按分し、各荷物ごとの按分排出量27gを求めた。
例えば、区間2における、荷物a1の按分補正重量27fは0.5t、荷物a2の按分補正重量27fは1.0tであるので、それぞれの按分補正重量27fに応じてCO2ガス排出量27cを按分し、それぞれ3.32および6.64の按分排出量27gが得られた。同様に、区間3および区間4における、各荷物ごとの按分排出量27gが得られた。
こうして求めた按分排出量27gを各荷物の荷主に振り分けて各荷主ごとの按分排出量、すなわち、
荷主Aの按分排出量は、3.32+6.64+6.29+9.42=25.7、
荷主Bの按分排出量は、3.14、
荷主Cの按分排出量は、1.23+2.45=3.68
であった。
上記按分補正重量を用いた按分処理により算出された荷主AのCO2ガス排出量は、上記按分補正重量を用いずに按分処理を行った場合よりも約0.66kg−CO2減少し、その分だけ、荷主CのCO2ガス排出量が増加した。
なお、本実施例では、重量補正基準値kや按分補正係数sとして、一定の値を用いたが、重量補正基準値kの値を複数のランクに分けて設定してもよく、また按分補正係数sとして複数の値を設定するようにしてもよい。また、区間ごとに異なる重量補正基準値kや按分補正係数sを設定するようにしてもよい。
図17は、第1の実施形態における帳票出力部から出力される帳票の一例を示す図である。
図17(a)〜図17(c)に示すように、これらの各帳票には、当日配送された荷物の荷主ごとの按分排出量が、荷主名、車両ID、日付、及び各荷物ごとの按分排出量とともに記載されている。
各荷主は、これらの帳票に基づいて関係省庁に対して必要な申請手続きを行うことができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図18は、第2の実施形態の排出量按分システムの概要図である。
図18に示すように、この排出量按分システム300は、複数の荷物を積載して複数の走行区間からなる走行ルートを走行する車両1に搭載された、該車両1の運行データを取得し該運行データを外部に供給する車載データ処理装置30と、該車載データ処理装置30から供給された運行データに基づいて各荷物ごとのCO2ガス排出量を算出する排出量按分装置310が内部に形成されたホストコンピュータ301とを有するシステムである。ホストコンピュータ301の機器構成は、第1の実施形態におけるホストコンピュータ100(図3参照)と同様の構成を有するものであるので説明は省略する。ホストコンピュータ301内のHDD130に格納されている排出量按分プログラム200(図4参照)および排出量按分プログラムで使用される運行データファイル21、地点マスタ22、配送計画ファイル23、区間データファイル24、車両マスタ25、排出係数マスタ26、排出量按分ファイル27などの排出量按分用DB210も、第1の実施形態におけると同様であるので説明は省略する。
また、このホストコンピュータ301には、上記排出量按分装置310のほかに、車両の配送ルート、荷積地点、荷卸地点、積み卸し時刻、荷物名、荷物重量、荷物容積などの情報を管理する配送管理装置90が形成されており、この配送管理装置90には、按分処理に必要な重量補正基準値kや按分補正係数sなども格納されている。この配送管理装置90も第1の実施形態におけると同様であるので説明は省略する。
排出量按分装置310は、運行データ収集部11と、排出量算出部12と、排出量按分部13と、帳票出力部14と、通信部315とを備えている。これらのうち、運行データ収集部11、排出量算出部12、排出量按分部13、および帳票出力部14は、第1の実施形態の排出量按分装置と同様のものであるので説明は省略する。
通信部315は、車載データ処理装置30から無線通信回線を介して送信されてきた運行データを受信するとともに排出量按分部13で算出された走行区間ごとの各荷物のCO2ガス排出量を無線通信回線400を介して車載データ処理装置30に送信するものである。
車載データ処理装置30は、複数の荷物を積載して複数の走行区間からなる走行ルートを走行する車両1に搭載され、GPSや車速センサなどを用いて走行距離、走行速度、エンジン回転数、車両位置、燃料消費量などの運行データを取得し、該運行データをホストコンピュータ301に送信し、ホストコンピュータ301から受信した走行区間ごとの各荷物のCO2ガス排出量を帳票として発行するものである。
車載データ処理装置30は、複数の荷物を積載して複数の走行区間からなる走行ルートを走行する車両1の走行区間ごとの運行データを取得する運行データ取得部31と、運行データ取得部31で取得した運行データを無線通信回線を介してホストコンピュータ301に送信するとともに、ホストコンピュータ301から無線通信回線を介して送られてきた走行区間ごとの各荷物のCO2ガス排出量を受信する通信部32と、ホストコンピュータ301から受信した走行区間ごとの各荷物のCO2ガス排出量を帳票34上に印刷して発行する帳票発行部33とを備えている。さらに、上記運行データ取得部31による運行データ取得の一部を担うものとして、第1の実施形態における操作ボックス6と同様の操作ボックスを備えた構成としてもよい。
また、本実施形態では、上記排出量按分部13は、上記各荷物の重量に基づき該各荷物のCO2ガス排出量を算出するにあたり、上記荷物の重量に対する容積の比を、上記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比で除した値が所定の基準値以上の場合には、当該荷物の重量に所定の補正係数を乗じて補正し、該補正された重量に基づき該各荷物のCO2ガス排出量を算出するように構成されている。この構成は、第1の実施形態におけるものと同一であるので説明は省略する。
車載データ処理装置30は、運行データ取得部31と帳票発行部33とを備えている。運行データ取得部31は、走行距離、走行速度、エンジン回転数、燃料消費量、車両位置などを検出する各種センサから運行データを取得し、無線通信回線などを介してリアルタイムにホストコンピュータ301上の排出量按分装置310に送信する。
帳票発行部33は、排出量按分装置310の排出量按分部13で算出され、算出結果供給部315から供給を受けた、各走行区間における各荷物ごとのCO2ガス排出量を受け取り、その走行区間までの走行終了後その地点で荷卸しする荷物についてのCO2ガス排出量を帳票34に印刷するものである。たとえば、帳票34は、その荷物とともに荷受人に渡され、帳票34のうち、複写された一葉の受領書が荷受人から荷主に渡される。
次に、第2の実施形態の排出量按分システムの動作について説明する。
第2の実施形態の排出量按分システムでは、図8を参照して説明した運行データの処理手順と同様の手順で運行データを取得し記録する。この運行データは、通信部32により通信回線を介してホストコンピュータ301に送信され、排出量按分装置310における排出量按分処理に用いられる。
この運行データのデータ構造、およびこの運行データを用いて行われる排出量按分処理の内容は、排出量按分処理結果の荷主への報告の仕方が異なるだけで、それ以外は、図9を参照して説明した第1の実施形態における排出量按分処理の内容と実質的に同様であるので、以下には両者の相違についてのみ説明する。
第1の実施形態では、排出量按分処理結果の荷主への報告は、車両1が当日の配送業務を完了して営業所に帰着した後に、ホストコンピュータ100に形成された排出量按分装置10の帳票出力部14により、各荷主に按分されたCO2ガス排出量が記載された報告書が各荷主に対して発行されることにより行われる。
これに対して、第2の実施形態では、排出量按分処理結果の荷主への報告は、車両1が所定の荷卸し地点に到着した時点で、車両1に搭載された車載データ処理装置30の帳票発行部33により、荷卸しした荷物に按分されたCO2ガス排出量が記載された帳票34が発行され、その帳票(あるいはその一葉)が、荷物とともに荷受人を経由して、あるいは配送完了通知として直接その荷物の荷主に渡されることにより行われる。
図19は、第2の実施形態における帳票発行部から発行される帳票の一例を示す図である。
図19(a)〜図19(e)に示すように、これらの帳票には、当日配送された荷物ごとの按分排出量が、荷主名、車両ID、及び日付とともに記載されている。
各荷主は、これらの帳票に基づいて関係省庁に対して必要な申請手続きを行うことができる。
複数の荷主の荷物を混載して配送する場合の配送ルートの1例を示す図である。 第1の実施形態の排出量按分装置の概要図である。 本発明の排出量按分装置が形成されるコンピュータの一例を示す機能ブロック図である。 第1の実施形態の排出量按分プログラム(a)および排出量按分用データベース(b)の概略構成図である。 第1の実施形態における地点マスタの一例を示す図である。 第1の実施形態における車両マスタの一例を示す図である。 第1の実施形態における排出係数マスタの一例を示す図である。 第1の実施形態の走行記録装置の処理手順を示すフローチャートである。 第1の実施形態の走行記録装置に記録された運行データの一例を示す図である。 第1の実施形態における配送計画ファイルの一例を示す図である。 第1の実施形態における運行データファイルの一例を示す図である。 第1の実施形態における区間データファイルの一例を示す図である。 第1の実施形態の排出量按分装置において用いられる作業ファイルの一例を示す図である。 第1の実施形態における排出量按分ファイルの一例を示す図である。 第1の実施形態の排出量按分装置の動作を示すフローチャートである。 第1の実施形態における排出量按分処理の手順を示すフローチャートである。 第1の実施形態における帳票出力部から出力される帳票の一例を示す図である。 第2の実施形態の排出量按分システムの概要図である。 第2の実施形態における帳票発行部から発行される帳票の一例を示す図である。
符号の説明
1 車両
2 走行記録装置
3 GPS
4 車速センサ
5 通信部
6 操作ボックス
9 運行データ
10 排出量按分装置
11 運行データ収集部
12 排出量算出部
13 排出量按分部
14 帳票出力部
15 通信部
20 車載データ処理装置
21 運行データファイル
22 地点マスタ
23 配送計画ファイル
24 区間データファイル
25 車両マスタ
26 排出係数マスタ
27 排出量按分ファイル
28 作業ファイル
30 車載データ処理装置
31 運行データ取得部
32 通信部
33 帳票発行部
34 帳票
40 荷主
90 配送管理装置
100 ホストコンピュータ
110 CPU
120 RAM
130 HDD
140 入力装置
150 表示装置
160 ネットワーク接続装置
170 記録媒体読取装置
180 バス
200 排出量按分プログラム
201 運行データ収集部
202 排出量算出部
203 排出量按分部
204 帳票出力部
300 排出量按分システム
301 ホストコンピュータ
310 排出量按分装置
315 通信部
400 無線通信回線

Claims (8)

  1. 複数の荷主の荷物を運搬する車両から排出される排出物の排出量を各荷物に按分する排出量按分装置であって、
    複数の走行区間からなる走行ルートを走行する車両の運行データを収集する運行データ収集部と、
    前記運行データ収集部により収集された運行データに基づき前記走行区間ごとの排出物の排出量を算出する排出量算出部と、
    前記排出量算出部により算出された走行区間ごとの排出物の排出量を、前記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとの排出物の排出量を算出する排出量按分部とを備えたことを特徴とする排出量按分装置。
  2. 前記排出量按分部は、前記各荷物ごとの排出物の排出量を算出するにあたり、前記荷物の重量に対する容積の比を、前記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比で除した値が所定の基準値以上の場合には、当該荷物の重量に所定の補正係数を乗じて補正し、該補正された重量に基づき該各荷物ごとの排出物の排出量を算出するものであることを特徴とする請求項1記載の排出量按分装置。
  3. 複数の荷主の荷物を運搬する車両から排出される排出物の排出量を各荷物に按分する排出量按分方法であって、
    複数の走行区間からなる走行ルートを走行する車両の運行データを収集する運行データ収集ステップと、
    前記運行データ収集部により収集された運行データに基づき前記走行区間ごとの排出物の排出量を算出する排出量算出ステップと、
    前記排出量算出部により算出された走行区間ごとの排出物の排出量を、前記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとの排出物の排出量を算出する排出量排出量按分ステップとを備えたことを特徴とする排出量按分方法。
  4. 前記排出量按分ステップは、前記各荷物ごとの排出物の排出量を算出するにあたり、前記荷物の重量に対する容積の比を、前記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比で除した値が所定の基準値以上の場合には、当該荷物の重量に所定の補正係数を乗じて補正し、該補正された重量に基づき該各荷物ごとの排出物の排出量を算出するものであることを特徴とする請求項3記載の排出量按分方法。
  5. コンピュータ内で実行され該コンピュータを、
    複数の荷主の荷物を運搬する車両から排出される排出物の排出量を各荷物に按分する排出量按分装置として動作させる排出量按分プログラムであって、
    前記コンピュータを、
    複数の走行区間からなる走行ルートを走行する車両の運行データを収集する運行データ収集部と、
    前記運行データ収集部により収集された運行データに基づき前記走行区間ごとの排出物の排出量を算出する排出量算出部と、
    前記排出量算出部により算出された走行区間ごとの排出物の排出量を、前記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとの排出物の排出量を算出する排出量按分部とを備えた排出量按分装置として動作させることを特徴とする排出量按分プログラム。
  6. 前記排出量按分部は、前記各荷物ごとの排出物の排出量を算出するにあたり、前記荷物の重量に対する容積の比を、前記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比で除した値が所定の基準値以上の場合には、当該荷物の重量に所定の補正係数を乗じて補正し、該補正された重量に基づき該各荷物ごとの排出物の排出量を算出するものであることを特徴とする請求項5記載の排出量按分プログラム。
  7. 複数の荷物を積載して複数の走行区間からなる走行ルートを走行する車両に搭載された、該車両の運行データを取得し該運行データを外部に供給する車載データ処理装置と、該車載データ処理装置から受け取った運行データに基づいて各荷物ごとの排出物の排出量を算出する排出量按分装置とを有する排出量按分システムにおいて、
    前記排出量按分装置は、前記排出量按分装置から受け取った運行データを収集する運行データ収集部と、収集された運行データに基づき前記走行区間ごとの排出物の排出量を算出する排出量算出部と、該排出量算出部により算出された走行区間ごとの排出物の排出量を、前記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比、および該走行区間を運搬した各荷物の重量に対する容積の比に基づき各荷物に按分することにより各荷物ごとの排出物の排出量を算出する排出量按分部と、該排出量按分部で算出された結果を前記車載データ処理装置に供給する算出結果供給部とを備え、
    前記車載データ処理装置は、前記算出結果供給部から供給された算出結果に基づき、前記走行区間における各荷物ごとの排出物の排出量を帳票として発行する帳票発行部を備えたことを特徴とする排出量按分システム。
  8. 前記排出量按分部は、前記各荷物ごとの排出物の排出量を算出するにあたり、前記荷物の重量に対する容積の比を、前記車両の最大積載重量に対する最大積載容量の比で除した値が所定の基準値以上の場合には、当該荷物の重量に所定の補正係数を乗じて補正し、該補正された重量に基づき該各荷物ごとの排出物の排出量を算出するものであることを特徴とする請求項7記載の排出量按分システム。
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