以下に図面を参照して、本発明にかかる運行実績分析プログラム、運行実績分析方法および運行実績分析システムの実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる運行実績分析方法の一実施例を示す説明図である。図1において、情報処理装置101は、複数の車両の運行実績データに基づいて、運行実績の分析を行うコンピュータである。複数の車両は、例えば、運送業者の車両である。運行実績データは、運行中の車両の走行状況を示す情報である。
例えば、運行実績データは、車両に搭載された車載機から収集されるデータであってもよく、車載機から収集されるデータを加工したものであってもよい。車載機から収集されるデータは、例えば、一定時間ごとの車速、エンジン回転数、位置情報(緯度・経度)、エンジンON/OFFなどを示す情報である。
ここで、荷待ちに関する時間を集計して、荷主との交渉に利用したいという要望がある。荷待ちとは、運送業者のドライバーが、荷物の積み卸しの間に待機することである。荷主は、荷物の持ち主または送り主である。荷待ちは、荷主からの要望により発生したり、荷物の積み卸し場所に複数の運送業者が集中して混在している場合などに発生する。
荷待ちは、荷物の積み卸しが行われる場所とは異なる場所で行われることが多い。例えば、物の積み卸し場所に複数の運送業者が集中して混在している場合は、配送先や荷受先となる営業所などの敷地内に車両を入れることが難しいため、その場所から少し離れた場所で荷待ちを行うことが多い。
荷待ち時間の増加は、長時間労働の要因となるため、ドライバーの労働環境の改善に役立てるべく、乗務記録への荷待ち時間の記録が義務付けられている。例えば、荷主別の正確な荷待ち時間が得られれば、荷主に対して荷待ち時間に応じた追加料金の支払いを要求するなどの交渉を行うことができる。
荷待ち時間の記録は、ドライバー自身の手入力や、ドライバーからの申告により行われている。しかし、人手のため荷待ち時間を記録し忘れたり、ドライバーの中には実際は休憩していたにもかかわらず、荷待ちしていたと虚偽の申告をする者もいる。このため、荷主との交渉に利用できる有効な情報を得られていないのが現状である。
そこで、本実施の形態では、運行実績の詳細分析のための情報を収集する運行実績分析方法について説明する。以下、情報処理装置101の処理例について説明する。
(1)情報処理装置101は、複数の車両の運行実績データに基づいて、個々の車両の停車位置を検出する。停車位置は、車両が停車していた位置である。例えば、運行実績データを、車載機から収集される、1分ごとの車速、エンジン回転数、位置情報(緯度・経度)、エンジンON/OFFを示す情報であるとする。
この場合、情報処理装置101は、例えば、1分ごとの車速、エンジン回転数を参照して、車速が0[km/h]でエンジン回転が発生しているときは、車両がアイドリング状態であると判断する。また、情報処理装置101は、エンジンOFFを示すデータが発生した場合は、エンジンONを示すデータが発生するまで、車両がエンジンOFF状態であると判断する。そして、情報処理装置101は、例えば、車両がアイドリング状態またはエンジンOFF状態のときの位置情報を特定することにより、個々の車両の停車位置を検出する。
図1の例では、個々の車両の停車位置として、地図110上の停車位置p1~p10が検出された場合を想定する。
(2)情報処理装置101は、検出した停車位置のうち、事前に登録された特定の地点に対応していない停車位置であり、当該停車位置を含む所定の範囲内に所定数以上の停車位置が検出された停車位置に対応するエリアを特定する。ここで、事前に登録された特定の地点は、例えば、荷物の配送先または荷受先を示す地点である。
具体的には、例えば、情報処理装置101は、検出した停車位置のうち、事前に登録された特定の地点に対応していない停車位置を抽出する。そして、情報処理装置101は、抽出した停車位置ごとに、当該停車位置を含む範囲を設定する。範囲は、例えば、各停車位置を中心とする5メートル四方の範囲である。
つぎに、情報処理装置101は、抽出した停車位置のうち、設定した停車位置の範囲同士の重なりが所定数以上となる複数の停車位置を特定する。所定数は、任意に設定可能である。例えば、所定数は、範囲同士の重なりが所定数以上となったら、その付近が停車傾向の高いエリアであると判断できる値に設定される。
そして、情報処理装置101は、特定した複数の停車位置に対応するエリアを特定する。より具体的には、例えば、情報処理装置101は、特定した複数の停車位置を一つの停車位置として名寄せして、当該一つの停車位置を中心とする所定の範囲を、複数の停車位置に対応するエリアとして特定することにしてもよい。
なお、情報処理装置101は、抽出した停車位置のうち、設定した範囲内に含まれる停車位置の数が所定数以上となる停車位置を特定することにしてもよい。そして、情報処理装置101は、特定した停車位置を含む範囲を、当該停車位置に対応するエリアとして特定することにしてもよい。
図1の例では、停車位置p1~p10のうち、停車位置p1~p3は、特定の地点120に対応する停車位置であるとする。特定の地点120は、荷物の配送先または荷受先となる「○○営業所」の所在地を示す。また、所定数を「5」とする。
この場合、情報処理装置101は、停車位置p1~p10のうち、特定の地点120に対応していない停車位置p4~p10を抽出する。つぎに、情報処理装置101は、抽出した各停車位置p4~p10を含む範囲を設定する。図1の例では、各停車位置p5~p9を含む範囲121~125(点線枠)が表示されている。
そして、情報処理装置101は、抽出した停車位置p4~p10のうち、設定した停車位置の範囲同士の重なりが「5」以上となる複数の停車位置を特定する。ここで、停車位置p5~p9は、範囲同士の重なりが「5」以上となる複数の停車位置である。このため、情報処理装置101は、停車位置p5~p9を特定する。
そして、情報処理装置101は、特定した停車位置p5~p9に対応するエリアを特定する。例えば、情報処理装置101は、特定した停車位置p5~p9を含むエリア130を特定する。エリア130は、停車位置p5~p9を一つの停車位置として名寄せして、当該一つの停車位置を中心とする所定の範囲のエリアである。
(3)情報処理装置101は、特定したエリアを停車傾向の高いエリアとして出力する。具体的には、例えば、情報処理装置101は、特定したエリアを識別する情報を含む停車エリア情報を出力する。停車エリア情報は、停車傾向の高いエリアを示す情報である。エリアの範囲を特定する情報は、例えば、エリア130の頂点を特定する緯度・経度の情報である。
このように、情報処理装置101によれば、運行実績の詳細分析のための情報として、停車傾向の高いエリアを特定する情報を収集することができる。これにより、例えば、ユーザに対して、停車傾向が高いと判断されたエリアには何があるのかといった分析のきっかけを与えることができる。
また、事前登録された地点に対応する停車位置を除外してエリアを特定するため、例えば、荷卸しや荷受け作業を行う地点以外で停車傾向の高いエリアを特定することができる。ユーザは、特定された停車傾向の高いエリアについて、ドライバーにヒアリングをかけることで、どのような理由で停車しているのかを調査することができる。
例えば、あるエリアが、ある荷主のための荷待ちにより頻繁に停車している場所であることが明らかになった場合には、その場所での停車の回数や合計時間を集計して、荷主に提示することで、現状の改善を要求したり、上乗せ料金を要求するなどの交渉を行うことができる。
図1の例では、ドライバーにヒアリングをかけた結果、エリア130が、「○○営業所」の荷待ちにより頻繁に停車している場所であることが明らかになったとする。この場合、エリア130での停車の回数や合計時間を集計して、「○○営業所」に提示することで、現状の改善を要求したり、上乗せ料金を要求するなどの交渉を行うことができる。
(運行実績分析システム200のシステム構成例)
つぎに、実施の形態にかかる運行実績分析システム200の構成例について説明する。運行実績分析システム200は、例えば、運送業者の車両の運行管理を支援する運行管理サービスに適用される。
図2は、運行実績分析システム200のシステム構成例を示す説明図である。図2において、運行実績分析システム200は、情報処理装置101と、クライアント装置201と、複数の端末装置202と、を含む構成である。運行実績分析システム200において、情報処理装置101、クライアント装置201および複数の端末装置202は、有線または無線のネットワーク210を介して接続される。ネットワーク210は、例えば、インターネット、移動体通信網、LAN、WAN(Wide Area Network)などである。
情報処理装置101は、停車データDB(Database)220および地点マスタ230を有し、運行実績の分析を行う。情報処理装置101は、例えば、サーバである。停車データDB220および地点マスタ230の記憶内容については、図4および図5を用いて後述する。
クライアント装置201は、運行実績分析システム200のユーザが使用するコンピュータである。ユーザは、例えば、運送業者の運行管理業務を行う者である。クライアント装置201は、例えば、PC(Personal Computer)、タブレットPC、スマートフォンなどである。
端末装置202は、車両203に搭載されるコンピュータである。車両203は、例えば、運送業者のトラックやバイクである。端末装置202は、各種センサを有し、各種センサの出力値を含むログデータを他のコンピュータ(例えば、情報処理装置101)に送信する。各種センサは、例えば、車速センサ、回転センサ、エンジンON/OFFセンサなどを含み、車両203の車速、エンジン回転数を計測したり、車両203のエンジンON/OFFを検知したりする。
また、各種センサは、例えば、GPS(Global Positioning System)センサを含み、車両203の位置情報を計測する。車両203の位置情報は、例えば、緯度、経度などの地球上の1点を特定する情報である。なお、衛星として、準天頂衛星システムの衛星を用いることにしてもよい。端末装置202は、例えば、デジタルタコグラフやカーナビゲーションシステムによって実現されることにしてもよい。
(情報処理装置101のハードウェア構成例)
つぎに、図3を用いて、情報処理装置101のハードウェア構成例について説明する。
図3は、情報処理装置101のハードウェア構成例を示すブロック図である。図3において、情報処理装置101は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、ディスクドライブ303と、ディスク304と、通信I/F(Interface)305と、可搬型記録媒体I/F306と、可搬型記録媒体307と、を有する。また、各構成部は、バス300によってそれぞれ接続される。
ここで、CPU301は、情報処理装置101の全体の制御を司る。CPU301は、複数のコアを有していてもよい。メモリ302は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMがOS(Operating System)のプログラムを記憶し、ROMがアプリケーションプログラムを記憶し、RAMがCPU301のワークエリアとして使用される。メモリ302に記憶されるプログラムは、CPU301にロードされることで、コーディングされている処理をCPU301に実行させる。
ディスクドライブ303は、CPU301の制御に従ってディスク304に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク304は、ディスクドライブ303の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク304としては、例えば、磁気ディスク、光ディスクなどが挙げられる。
通信I/F305は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して外部のコンピュータ(例えば、図2に示したクライアント装置201、端末装置202)に接続される。そして、通信I/F305は、ネットワーク210と装置内部とのインターフェースを司り、外部のコンピュータからのデータの入出力を制御する。通信I/F305には、例えば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
可搬型記録媒体I/F306は、CPU301の制御に従って可搬型記録媒体307に対するデータのリード/ライトを制御する。可搬型記録媒体307は、可搬型記録媒体I/F306の制御で書き込まれたデータを記憶する。可搬型記録媒体307としては、例えば、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリなどが挙げられる。
なお、情報処理装置101は、上述した構成部のほかに、例えば、SSD(Solid State Drive)、入力装置、ディスプレイ等を有することにしてもよい。また、情報処理装置101は、上述した構成部のうち、例えば、ディスクドライブ303、ディスク304、可搬型記録媒体I/F306、可搬型記録媒体307を有していなくてもよい。また、図2に示したクライアント装置201、端末装置202についても、情報処理装置101と同様のハードウェア構成により実現することができる。ただし、クライアント装置201は、上述した構成部のほかに、例えば、入力装置、ディスプレイを有する。また、端末装置202は、上述した構成部のほかに、例えば、各種センサを有する。
(停車データDB220および地点マスタ230の記憶内容)
つぎに、図4および図5を用いて、情報処理装置101が有する停車データDB220および地点マスタ230の記憶内容について説明する。停車データDB220および地点マスタ230は、例えば、図3に示したメモリ302、ディスク304などの記憶装置により実現される。
図4は、停車データDB220の記憶内容の一例を示す説明図である。図4において、停車データDB220は、乗務員コード、開始日時、終了日時、基準緯度、基準経度、地点コード、地点名寄コード、地点名、範囲緯度(+)、範囲緯度(-)、範囲経度(+)および範囲経度(-)のフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、停車データ(例えば、停車データ400-1~400-6)がレコードとして記憶される。
ここで、乗務員コードは、車両203(図2参照)のドライバーを一意に識別する識別子である。開始日時および終了日時は、乗務員コードにより識別されるドライバーが運転する車両203が停車していた期間の開始日時および終了日時である。基準緯度は、停車位置の緯度を示す。基準経度は、停車位置の経度を示す。
地点コードは、事前に登録された特定の地点(例えば、地点マスタ230に登録された地点)を一意に識別する識別子である。特定の地点は、例えば、荷主の所在地を示す地点である。地点名寄コードは、地点の名寄せを行う際に付与されるコードである。地点コードおよび地点名寄コードは、初期状態では「NULL」である。地点名は、地点の名称である。
範囲緯度(+)、範囲緯度(-)、範囲経度(+)および範囲経度(-)は、停車位置に対応するエリアの範囲を特定する情報であり、例えば、停車位置(基準緯度、基準経度)を中心とするエリアの頂点を特定する緯度・経度の情報である。初期状態では、範囲緯度(+)、範囲緯度(-)、範囲経度(+)および範囲経度(-)は、例えば、停車位置に対応するエリアが、各停車位置を中心とする5メートル四方の範囲となるように設定されている。
なお、各停車データには、例えば、車両203の走行状態(アイドリング状態、エンジンOFF状態など)、ドライバーの作業状態(荷待など)、時間帯、曜日などを示す情報が含まれていてもよい。
図5は、地点マスタ230の記憶内容の一例を示す説明図である。図5において、地点マスタ230は、会社コード、営業所コード、地点コード、地点名、基準緯度、基準経度、範囲緯度(+)、範囲緯度(-)、範囲経度(+)、範囲経度(-)および住所のフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、地点情報(例えば、地点情報500-1,500-2)がレコードとして記憶される。
ここで、会社コードは、会社を一意に識別する識別子である。会社は、例えば、運送業者の顧客(荷主)である。営業所コードは、会社の営業所を一意に識別する識別子である。地点コードは、地点を一意に識別する識別子である。地点は、例えば、営業所(荷卸しや荷受け作業を行う場所)の所在地に対応する。地点名は、地点の名称である。
基準緯度、基準経度、範囲緯度(+)、範囲緯度(-)、範囲経度(+)および範囲経度(-)は、地点に対応するエリアの範囲を特定する情報であり、例えば、地点(基準緯度、基準経度)を中心とするエリアの頂点を特定する緯度・経度の情報である。住所は、地点に対応する住所である。
(情報処理装置101の機能的構成例)
図6は、情報処理装置101の機能的構成例を示すブロック図である。図6において、情報処理装置101は、取得部601と、作成部602と、検出部603と、特定部604と、出力部605と、を含む。具体的には、例えば、取得部601~出力部605は、図3に示したメモリ302、ディスク304、可搬型記録媒体307などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、通信I/F305により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、メモリ302、ディスク304などの記憶装置に記憶される。
取得部601は、端末装置202から送信される車両203のログデータを取得する。ここで、ログデータは、車両203の運行実績データの一例であり、端末装置202が有する各種センサの出力値を含む。例えば、ログデータは、車両203の1分ごとの車速、エンジン回転数、位置情報(緯度・経度)、エンジンON/OFFを示す情報を含む。
また、ログデータは、例えば、乗務員コードやステータス情報などを含む。乗務員コードは、車両203のドライバーを一意に識別する識別子である。ステータス情報は、車両203の状態(アイドリング状態、エンジンOFF状態など)や、ドライバーの作業状態(荷待など)を示す。
具体的には、例えば、取得部601は、端末装置202からログデータを受信することにより、受信したログデータを取得する。また、取得部601は、不図示の入力装置を用いたユーザの操作入力により、端末装置202から送信されたログデータを取得することにしてもよい。
作成部602は、取得された車両203のログデータに基づいて、車両203の停車データを作成する。ここで、停車データは、車両203の運行実績データの一例であり、車両203が停車していた位置(停車位置)を示す情報である。停車データには、車両203が停車していた期間を示す情報が含まれる。また、停車データには、例えば、車両203の走行状態、ドライバーの作業状態を示す情報が含まれていてもよい。
具体的には、例えば、作成部602は、1分ごとの車速、エンジン回転数を参照して、車速が0[km/h]でエンジン回転が発生しているときは、車両203の走行状態を「アイドリング状態」と判断する。また、作成部602は、エンジンOFFを示すデータが発生した場合は、エンジンONを示すデータが発生するまで、車両203の走行状態を「エンジンOFF状態」と判断する。
つぎに、作成部602は、走行状態が「アイドリング状態」または「エンジンOFF状態」のときの位置情報(緯度・経度)を特定することにより、車両203が停車していた位置を示す停車データを作成する。この際、作成部602は、例えば、渋滞情報を参照して、走行状態が「アイドリング状態」のときの位置情報が、交通渋滞が発生している場所に対応する場合は、車両203が停車していた位置として判断しないことにしてもよい。
これにより、交通渋滞により車両203が停車していた位置についての停車データが作成されるのを防ぐことができる。渋滞情報としては、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication System)により提供される情報を用いることができる。VICSは、登録商標である。
作成された停車データは、例えば、図4に示した停車データDB220に記憶される。なお、ここでは情報処理装置101が停車データを作成することにしたが、これに限らない。例えば、情報処理装置101は、他のコンピュータから受信することにより、または、不図示の入力装置を用いたユーザの操作入力により、車両203の停車データを取得することにしてもよい。
検出部603は、複数の車両203の運行実績データに基づいて、個々の車両203の停車位置を検出する。具体的には、例えば、検出部603は、停車データDB220内の停車データを参照して、個々の車両203の停車位置(基準緯度、基準経度)を検出する。
この際、検出部603は、例えば、車両203が停車していた期間が一定時間(例えば、1分)以上の位置を、車両203の停車位置として検出することにしてもよい。これにより、信号などにより一時的に車両203が停止したときの位置が検出されるのを防ぐことができる。
特定部604は、検出された停車位置のうち、事前に登録された特定の地点に対応していない停車位置であり、当該停車位置を含む所定の範囲内に所定数N以上の停車位置が検出された停車位置に対応するエリアを特定する。
ここで、事前に登録された特定の地点は、例えば、図5に示した地点マスタ230に登録されている地点である。所定の範囲は、任意に設定可能であり、例えば、停車位置を含む矩形(正方形を含む)や円形の範囲である。所定数Nは、任意に設定可能であり、例えば、10~20程度の値に設定される。
具体的には、例えば、特定部604は、停車データDB220を参照して、検出された停車位置のうち、地点マスタ230に登録されている地点に対応していない停車位置を抽出する。つぎに、特定部604は、抽出した各停車位置に対応するエリアを設定する。各停車位置に対応するエリアは、例えば、各停車位置を中心とする5メートル四方の範囲である。
つぎに、特定部604は、抽出した停車位置のうち、各停車位置に対応するエリアが他の停車位置に対応するエリアと重複する場合に、当該エリア同士をマージして新たなエリアを作成する。そして、特定部604は、作成した新たなエリアのうち、所定数N以上の停車位置を含むエリアを特定する。
特定されたエリアは、当該エリア内で所定回数(N回)以上の停車が検出された場所であり、停車傾向の高いエリアであるといえる。以下の説明では、停車傾向の高いエリアを「停車エリア」と表記する場合がある。なお、停車エリアの特定例については、図10A~図10Dを用いて後述する。
特定された特定結果は、例えば、図7に示すような停車エリアテーブル700に記憶される。停車エリアテーブル700は、例えば、メモリ302、ディスク304などの記憶装置により実現される。
図7は、停車エリアテーブル700の記憶内容の一例を示す説明図である。図7において、停車エリアテーブル700は、停車エリアコード、エリア名、範囲緯度(+)、範囲緯度(-)、範囲経度(+)および範囲経度(-)のフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、停車エリア情報(例えば、停車エリア情報700-1)がレコードとして記憶される。
ここで、停車エリアコードは、停車エリアを一意に識別する識別子である。エリア名は、停車エリアの名称である。エリア名としては、例えば、停車エリアの住所が設定される。範囲緯度(+)、範囲緯度(-)、範囲経度(+)および範囲経度(-)は、停車エリアの範囲を特定する情報であり、例えば、停車エリアの頂点を特定する緯度・経度の情報である。
図6の説明に戻り、出力部605は、特定されたエリアを、停車傾向の高いエリア(停車エリア)として出力する。具体的には、例えば、出力部605は、特定されたエリアを識別する情報と、特定されたエリアの範囲を特定する情報とを含む停車エリア情報を出力する。ここで、停車エリア情報は、停車傾向の高いエリアを示す情報である。エリアを識別する情報は、例えば、エリアの住所である。エリアの範囲を特定する情報は、例えば、エリアの頂点を特定する緯度・経度の情報である。
出力部605の出力形式としては、例えば、メモリ302、ディスク304などの記憶装置への記憶、通信I/F305による他のコンピュータへの送信、不図示のディスプレイへの表示、不図示のプリンタへの印刷出力などがある。
より詳細に説明すると、例えば、出力部605は、図7に示した停車エリアテーブル700内の停車エリア情報700-1を、図2に示したクライアント装置201に送信することにしてもよい。これにより、クライアント装置201において、停車エリア情報700-1を参照して、例えば、地図上に停車エリアA1をマッピングするなどして、停車傾向の高いエリアを確認することができる。
また、検出部603は、複数の車両203の運行実績データに基づいて、特定された停車エリアにおける個々の車両203の停車位置を検出することにしてもよい。具体的には、例えば、検出部603は、特定された停車エリアごとに、当該停車エリアにおける個々の車両203の停車位置を検出する。
ここで用いる運行実績データには、例えば、停車エリアの特定に用いた運行実績データ、当該運行実績データ以降の運行実績データ、および、当該運行実績データ以前の運行実績データのいずれが含まれていてもよい。
また、特定部604は、検出された停車位置それぞれにおける停車時間を積算した合計停車時間を算出することにしてもよい。具体的には、例えば、特定部604は、特定された停車エリアごとに、検出された停車位置それぞれにおける停車時間を積算した合計停車時間を算出する。停車位置それぞれにおける停車時間は、例えば、作成部602によって作成される停車データ(例えば、停車データ400-1の開始日時、終了日時)から特定される。
また、特定部604は、検出された停車位置の数を算出することにしてもよい。具体的には、例えば、特定部604は、特定された停車エリアごとに、検出された停車位置の数を算出する。ここで、停車エリアにおける個々の車両203の停車位置の数は、停車エリアにおいて停車が検出された回数に相当する。
以下の説明では、停車エリアにおける個々の車両203の停車位置の数を「停車回数」と表記する場合がある。なお、特定部604は、停車データを参照して、停車エリア内で停車した車両203の台数や、停車エリアでの停車時間の平均時間などを算出することにしてもよい。
また、出力部605は、特定された停車エリアと対応付けて、算出された停車回数と、算出された合計停車時間との少なくともいずれかを出力することにしてもよい。具体的には、例えば、出力部605は、地図上にマッピングされた停車エリアと対応付けて、当該停車エリアの停車回数および/または合計停車時間を表示する停車エリアマップを、クライアント装置201に表示することにしてもよい。なお、停車エリアマップの具体例については、図13を用いて後述する。
また、出力部605は、特定された停車エリアを、算出された停車回数、または、算出された合計停車時間が多い順にソートして出力することにしてもよい。具体的には、例えば、出力部605は、特定された複数の停車エリアを、算出された停車回数または合計停車時間が多い順にソートして示すランキングリストを、クライアント装置201に表示することにしてもよい。ランキングリストの具体例については、図12を用いて後述する。
なお、情報処理装置101の機能部は、例えば、運行実績分析システム200に含まれる複数のコンピュータ(例えば、情報処理装置101とクライアント装置201)により実現されることにしてもよい。
(停車傾向の高いエリアの特定例)
つぎに、停車傾向の高いエリア(停車エリア)の特定例について説明する。まず、図8を用いて、各停車位置に対応するエリア同士が重なっているか否かを判断するマッチング例について説明する。
図8は、エリア同士のマッチング例を示す説明図である。図8において、エリア801~806は、車両203の各停車位置に対応するエリアである。例えば、エリア801は、地点A(車両203の停車位置)に対応するエリアである。地点Aは、車両203の停車位置を示す。
地点Aの位置情報は、停車データの基準緯度、基準経度から特定される。地点Bの位置情報は、停車データの範囲緯度(+)、基準経度から特定される。地点Cの位置情報は、停車データの範囲緯度(-)、基準経度から特定される。地点Dの位置情報は、停車データの基準緯度、範囲経度(+)から特定される。地点Eの位置情報は、停車データの基準緯度、範囲経度(-)から特定される。
パターン1の例では、エリア801とエリア802とが重なっていない。この場合、特定部604は、エリア801とエリア802とが重複しないと判断する。
パターン2の左側の例では、エリア801とエリア803とが一部重なっている。この場合、特定部604は、エリア801とエリア803とが重複すると判断する。また、パターン2の右側の例では、エリア801とエリア804とが一部重なっている。この場合、特定部604は、エリア801とエリア804とが重複すると判断する。
パターン3の左側の例では、エリア805がエリア801に含まれており、エリア805の全部がエリア801と重なっている。この場合、特定部604は、エリア801とエリア805とが重複すると判断する。また、パターン3の右側の例では、エリア801がエリア806に含まれており、エリア801の全部がエリア806と重なっている。この場合、特定部604は、エリア801とエリア806とが重複すると判断する。
以下、処理対象の停車データとして、図4に示した停車データ400-1~400-6を例に挙げて、停車エリアの特定例について説明する。以下の説明では、停車データ400-1~400-6を参照して検出される停車位置を「停車位置P1~P6」と表記する場合がある。
図9A~図9Eは、停車データの更新例を示す説明図である。また、図10A~図10Dは、停車エリアの特定例を示す説明図である。まず、特定部604は、停車データ400-1~400-6を参照して、検出された停車位置P1~P6のうち、地点マスタ230に登録されている地点に対応していない停車位置を抽出する。
ここでは、停車位置P6が、地点マスタ230に登録されている地点コード「100」の地点に対応している場合を想定する。なお、地点コード「100」の地点に対応する停車位置とは、例えば、地点コード「100」の地点から、所定の範囲内(例えば、半径100m以内)に存在する停車位置である。
この場合、特定部604は、地点マスタ230内の地点コード「100」に対応する地点情報500-1を参照して、停車データ400-6の地点コードに「100」を設定するとともに、地点名に「○○センター」を設定する(図9A下段参照)。そして、特定部604は、停車位置P1~P6のうち、地点マスタ230に登録されている地点に対応していない停車位置P1~P5を抽出する。この結果、停車位置P6を示す停車データ400-6は、処理対象から除外される。
つぎに、特定部604は、停車データ400-1を選択する。そして、特定部604は、選択した停車データ400-1を参照して、停車位置P1に対応するエリア1001を設定する(図10A上段参照)。また、特定部604は、図11に示すようなコード管理テーブル1100を参照して、エリア1001に対応する停車データ400-1に地点名寄コードを設定する。
ここで、コード管理テーブル1100の記憶内容について説明する。コード管理テーブル1100は、メモリ302、ディスク304などの記憶装置により実現される。
図11は、コード管理テーブル1100の記憶内容の一例を示す説明図である。図11において、コード管理テーブル1100は、地点名寄コードと対応付けて、使用フラグを記憶する。地点名寄コードは、地点の名寄せを行う際に付与されるコードである。使用フラグは、地点名寄コードが使用されているか否かを示す。ここでは、使用フラグ「0」は、地点名寄コードが使用されていないことを示す。使用フラグ「1」は、地点名寄コードが使用されていることを示す。
例えば、特定部604は、コード管理テーブル1100を参照して、使用フラグが「0」の地点名寄コードのうち最も番号が若い地点名寄コードを選択する。ここでは、特定部604は、使用フラグが「0」の地点名寄コード「1」を選択して、停車データ400-1に設定する(図9B上段参照)。この結果、地点名寄コード「1」の使用フラグが「1」に変更される。
つぎに、特定部604は、停車データ400-2を選択する。そして、特定部604は、選択した停車データ400-2を参照して、停車位置P2に対応するエリア1002を設定する(図10A下段参照)。ここで、エリア1001とエリア1002は重なっていない。この場合、特定部604は、エリア1001とエリア1002とが重複しないと判断する。そして、特定部604は、コード管理テーブル1100を参照して、エリア1002に対応する停車データ400-2に地点名寄コード「2」を設定する(図9B下段参照)。
つぎに、特定部604は、停車データ400-3を選択する。そして、特定部604は、選択した停車データ400-3を参照して、停車位置P3に対応するエリア1003を設定する(図10B上段参照)。ここで、エリア1001とエリア1003は一部重なっている。この場合、特定部604は、エリア1001とエリア1003とが重複すると判断する。そして、特定部604は、エリア1003に対応する停車データ400-3に、エリア1001に対応する停車データ400-1と同じ地点名寄コード「1」を設定する(図9C上段参照)。
つぎに、特定部604は、エリア1001,1003同士をマージして新たなエリア1010を作成する(図10B下段参照)。ここでは、エリア1010は、例えば、エリア1001,1003を包含する最小面積の矩形のエリアである。そして、特定部604は、エリア1001,1003に対応する停車データ400-1,400-3の範囲緯度経度を、エリア1010に対応する値に更新する(図9C下段参照)。
なお、範囲緯度経度は、範囲緯度(+)、範囲緯度(-)、範囲経度(+)および範囲経度(-)に相当する。
つぎに、特定部604は、停車データ400-4を選択する。そして、特定部604は、選択した停車データ400-4を参照して、停車位置P4に対応するエリア1004を設定する(図10C上段参照)。ここで、エリア1010とエリア1004は一部重なっている。この場合、特定部604は、エリア1010とエリア1004とが重複すると判断する。そして、特定部604は、エリア1004に対応する停車データ400-4に、エリア1010に対応する停車データ400-1,400-3と同じ地点名寄コード「1」を設定する(図9D上段参照)。
つぎに、特定部604は、エリア1010,1004同士をマージして新たなエリア1020を作成する(図10C下段参照)。ここでは、エリア1020は、例えば、エリア1010,1004を包含する最小面積の矩形のエリアである。そして、特定部604は、エリア1010,1004に対応する停車データ400-1,400-3,400-4の範囲緯度経度を、エリア1020に対応する値に更新する(図9D下段参照)。
つぎに、特定部604は、停車データ400-5を選択する。そして、特定部604は、選択した停車データ400-5を参照して、停車位置P5に対応するエリア1005を設定する(図10D上段参照)。ここで、エリア1020とエリア1005は一部重なっている。また、エリア1005とエリア1002は一部重なっている。この場合、特定部604は、エリア1020とエリア1005とエリア1002とが重複すると判断する。
そして、特定部604は、エリア1005に対応する停車データ400-5およびエリア1002に対応する停車データ400-2に、エリア1020に対応する停車データ400-1,400-3,400-4と同じ地点名寄コード「1」を設定する(図9E上段参照)。すなわち、エリア1020,1005,1002に対応する停車データ400-1~400-5の地点名寄コードを統一する。
なお、特定部604は、エリア1005に対応する停車データ400-5およびエリア1020に対応する停車データ400-1,400-3,400-4に、エリア1002に対応する停車データ400-2と同じ地点名寄コード「2」を設定することにしてもよい。
つぎに、特定部604は、エリア1020,1005,1002同士をマージして新たなエリア1030を作成する(図10D下段参照)。ここでは、エリア1030は、例えば、エリア1020,1005,1002を包含する最小面積の矩形のエリアである。そして、特定部604は、エリア1020,1005,1002に対応する停車データ400-1~400-5の範囲緯度経度を、エリア1030に対応する値に更新する(図9E下段参照)。
つぎに、特定部604は、同一の地点名寄コードが設定されたレコード数が所定数N以上となる地点名寄コードがあるか否かを判断する。すなわち、特定部604は、エリア1030内に含まれる停車位置の数が所定数N以上であるか否かを判断する。ここで、所定数Nを「N=5」とする。
また、停車データ400-1~400-5の地点名寄コードは全て「1」である。すなわち、エリア1030内に含まれる停車位置の数は「5」である。このため、特定部604は、同一の地点名寄コードが設定されたレコード数が所定数N以上となる地点名寄コードがあると判断する。そして、特定部604は、地点名寄コード「1」に対応する範囲緯度経度から特定されるエリア1030を、停車エリアとして特定する。
地点名寄コード「1」に対応する範囲緯度経度は、停車エリア(エリア1030)の範囲緯度経度として、例えば、停車エリアテーブル700に記憶される。
(ランキングリストの具体例)
つぎに、図12を用いて、複数の停車エリアを停車回数または合計停車時間が多い順にソートして示すランキングリストの具体例について説明する。
図12は、ランキングリストの具体例を示す説明図である。図12において、待機・荷待ちランキング画面1200は、クライアント装置201に表示される操作画面の一例であり、ランキングリスト1210を含む。ランキングリスト1210は、複数の停車エリアを停車回数が多い順にソートして示す。
ランキングリスト1210は、停車エリアごとに、場所、回数、車両台数、合計時間および平均時間を示す。場所は、停車エリアの場所(所在地)を示す。回数は、停車エリアの停車回数を示す。車両台数は、停車エリア内で停車した車両203の台数を示す。合計時間は、停車エリアの合計停車時間を示す。平均時間は、停車エリアでの停車時間の平均時間を示す。
なお、待機・荷待ちランキング画面1200において、不図示の入力装置を用いたユーザの操作入力により、合計時間を選択すると、複数の停車エリアを合計停車時間が多い順にソートし直すことができる。また、待機・荷待ちランキング画面1200において、例えば、曜日や時間帯ごとに各項目の情報を集計して表示可能であってもよい。
待機・荷待ちランキング画面1200によれば、クライアント装置201のユーザは、どの停車エリアで停車回数や合計停車時間が多くなっているのかを簡単に把握することができる。また、ユーザは、停車回数や合計停車時間が多くなっている停車エリアについて、ドライバーにヒアリングをかけることで、どのような理由で停車しているのかを調査することができる。
例えば、ある停車エリアが荷待ちにより停車が発生している場所であることが明らかになった場合には、その場所での停車回数や合計停車時間を荷主に提示して、現状の改善を要求したり、上乗せ料金を要求するなどの交渉を行うことができる。
また、ある停車エリアがドライバーの休憩により停車が発生している場所であることが明らかになった場合には、その場所でのドライバーごとの停車回数や合計停車時間を集計して、各ドライバーの勤務状況の管理に役立てることができる。
また、待機・荷待ちランキング画面1200において、ユーザの操作入力により、いずれかの停車エリアを選択すると、図13に示すような、選択された停車エリアを含む停車エリアマップを表示することができる。
図13は、停車エリアマップの具体例を示す説明図である。図13において、停車エリアマップ画面1300は、クライアント装置201に表示される操作画面の一例であり、停車エリアマップ1310を含む。停車エリアマップ1310は、地図1311上にマッピングされた停車エリアA1,A2,A3と対応付けて、各停車エリアA1,A2,A3の停車回数(または、合計停車時間)を表すバー1301,1302,1303を表示する。各バー1301,1302,1303の高さは、各停車エリアA1,A2,A3の停車回数(または、合計停車時間)の多さを表している。
停車エリアマップ画面1300によれば、クライアント装置201のユーザは、どの停車エリアで停車回数(または、合計停車時間)が多くなっているのかを直感的に把握することができる。また、例えば、停車エリアA1での停車が荷待ちにより発生している場合には、地図1311上で停車エリアA1と荷主の所在地(配送先または荷受先)との地理的な位置関係を直感的に把握することができる。
(情報処理装置101の運行実績分析処理手順)
つぎに、図14を用いて、情報処理装置101の運行実績分析処理手順について説明する。
図14は、情報処理装置101の運行実績分析処理手順の一例を示すフローチャートである。図14のフローチャートにおいて、まず、情報処理装置101は、停車データDB220から、処理対象の停車データを取得する(ステップS1401)。例えば、月単位で運行実績分析処理を実行する場合は、処理月に開始日時が含まれる停車データを処理対象とする。
つぎに、情報処理装置101は、取得した処理対象の停車データに基づいて、地点マスタマッチング処理を実行する(ステップS1402)。地点マスタマッチング処理の具体的な処理手順については、図15を用いて説明する。以下の説明では、処理対象の停車データを「対象レコード」と表記する場合がある。
そして、情報処理装置101は、取得した対象レコードのうち、地点コードが未設定の対象レコードを抽出する(ステップS1403)。つぎに、情報処理装置101は、抽出した対象レコードに基づいて、地点名寄せ処理を実行する(ステップS1404)。地点名寄せ処理の具体的な処理手順については、図16を用いて後述する。
そして、情報処理装置101は、同一の地点名寄コードが設定されたレコード数が所定数N以上となる地点名寄コードがあるか否かを判断する(ステップS1405)。ここで、レコード数が所定数N以上となる地点名寄コードがない場合(ステップS1405:No)、情報処理装置101は、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
一方、レコード数が所定数N以上となる地点名寄コードがある場合(ステップS1405:Yes)、情報処理装置101は、当該地点名寄コードに対応する対象レコードの範囲緯度経度から停車エリアを特定する(ステップS1406)。範囲緯度経度は、範囲緯度(+)、範囲緯度(-)、範囲経度(+)および範囲経度(-)である。
そして、情報処理装置101は、特定した停車エリアを特定する停車エリア情報を出力して(ステップS1407)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。これにより、停車傾向の高いエリアを特定可能な情報を出力することができる。
つぎに、図15を用いて、図14に示したステップS1402の地点マスタマッチング処理の具体的な処理手順について説明する。
図15は、地点マスタマッチング処理の具体的処理手順の一例を示すフローチャートである。図15のフローチャートにおいて、まず、情報処理装置101は、図14に示したステップS1401において取得した対象レコード(処理対象の停車データ)のうち選択されていない未選択の対象レコードを選択する(ステップS1501)。
つぎに、情報処理装置101は、選択した対象レコードを参照して、車両203の停車位置を検出する(ステップS1502)。そして、情報処理装置101は、地点マスタ230を参照して、検出した停車位置が、事前登録された地点に対応するか否かを判断する(ステップS1503)。
ここで、事前登録された地点に対応しない場合(ステップS1503:No)、情報処理装置101は、ステップS1505に移行する。一方、事前登録された地点に対応する場合(ステップS1503:Yes)、情報処理装置101は、地点マスタ230を参照して、選択した対象レコードに、停車位置に対応する地点の地点コードおよび地点名を設定する(ステップS1504)。
そして、情報処理装置101は、取得した対象レコードのうち選択されていない未選択の対象レコードがあるか否かを判断する(ステップS1505)。ここで、未選択の対象レコードがある場合(ステップS1505:Yes)、情報処理装置101は、ステップS1501に戻る。
一方、未選択の対象レコードがない場合(ステップS1505:No)、情報処理装置101は、地点マスタマッチング処理を呼び出したステップに戻る。これにより、車両203の停車位置のうち、地点マスタ230に登録されている地点に対応する停車位置を特定可能にして、荷物の積み卸し等のために停車していた位置を除外することが可能となる。
つぎに、図16を用いて、図14に示したステップS1404の地点名寄せ処理の具体的な処理手順について説明する。
図16は、地点名寄せ処理の具体的処理手順の一例を示すフローチャートである。図16のフローチャートにおいて、まず、情報処理装置101は、図14に示したステップS1403において抽出した対象レコードのうち選択されていない未選択の対象レコードを選択する(ステップS1601)。
つぎに、情報処理装置101は、選択した対象レコードが処理対象1件目であるか否かを判断する(ステップS1602)。ここで、処理対象1件目の場合(ステップS1602:Yes)、情報処理装置101は、コード管理テーブル1100を参照して、使用フラグ「0」の最も番号が若い地点名寄コードを取得する(ステップS1603)。
そして、情報処理装置101は、選択した対象レコードに、取得した地点名寄コードを設定して(ステップS1604)、ステップS1609に移行する。
また、ステップS1602において、処理対象1件目ではない場合(ステップS1602:No)、情報処理装置101は、選択した対象レコードとは異なる他の対象レコードのうち、地点名寄コードがNULLではない対象レコードを特定する(ステップS1605)。
つぎに、情報処理装置101は、選択した対象レコードの範囲緯度経度から特定されるエリアと、特定した対象レコードの範囲緯度経度から特定されるエリアとを比較する(ステップS1606)。そして、情報処理装置101は、比較した結果に基づいて、選択した対象レコードとエリアが重複する対象レコードがあるか否かを判断する(ステップS1607)。
ここで、エリアが重複する対象レコードがない場合(ステップS1607:No)、情報処理装置101は、ステップS1603に移行する。一方、エリアが重複する対象レコードがある場合(ステップS1607:Yes)、情報処理装置101は、範囲緯度経度更新処理を実行する(ステップS1608)。範囲緯度経度更新処理の具体的な処理手順については、図17を用いて後述する。
そして、情報処理装置101は、抽出した対象レコードのうち選択されていない未選択の対象レコードがあるか否かを判断する(ステップS1609)。ここで、未選択の対象レコードがある場合(ステップS1609:Yes)、情報処理装置101は、ステップS1601に戻る。
一方、未選択の対象レコードがない場合(ステップS1609:No)、情報処理装置101は、地点名寄せ処理を呼び出したステップに戻る。
つぎに、図17を用いて、図16に示したステップS1608の範囲緯度経度更新処理の具体的な処理手順について説明する。
図17は、範囲緯度経度更新処理の具体的処理手順の一例を示すフローチャートである。図17のフローチャートにおいて、まず、情報処理装置101は、該当の地点名寄コードが複数あるか否かを判断する(ステップS1701)。該当の地点名寄コードとは、ステップS1607においてエリアが重複すると判断された対象レコードに設定されている地点名寄コードである。
ここで、該当の地点名寄コードが1つの場合(ステップS1701:No)、情報処理装置101は、選択した対象レコードに、該当の地点名寄コードを設定して(ステップS1702)、ステップS1706に移行する。一方、該当の地点名寄コードが複数ある場合(ステップS1701:Yes)、情報処理装置101は、該当の地点名寄コードごとに対象レコードの件数を算出する(ステップS1703)。
つぎに、情報処理装置101は、算出した件数が最大の地点名寄コードを特定する(ステップS1704)。そして、情報処理装置101は、選択した対象レコードと、当該対象レコードとエリアが重複する対象レコードとに、特定した件数が最大の地点名寄コードを設定する(ステップS1705)。
つぎに、情報処理装置101は、同一の地点名寄コードを設定した複数の対象レコードの範囲緯度経度の最大値を算出する(ステップS1706)。範囲緯度経度の最大値とは、複数の対象レコードそれぞれの範囲緯度経度から特定されるエリアを包含する最小面積の矩形のエリアを特定する範囲緯度経度である。
そして、情報処理装置101は、同一の地点名寄コードを設定した複数の対象レコードそれぞれに、算出した範囲緯度経度の最大値を設定して(ステップS1707)、範囲緯度経度更新処理を呼び出したステップに戻る。これにより、各停車位置に対応するエリアのうち重複するエリア同士をマージして新たなエリアを作成することができる。
以上説明したように、実施の形態にかかる情報処理装置101によれば、複数の車両203の運行実績データに基づいて、個々の車両203の停車位置を検出することができる。複数の車両203は、例えば、運送業者の車両である。また、情報処理装置101によれば、検出した停車位置のうち、事前に登録された特定の地点に対応していない停車位置であり、当該停車位置を含む所定の範囲内に所定数N以上の停車位置が検出された停車位置に対応するエリアを特定することができる。特定の地点は、例えば、荷物の配送先または荷受先を示す地点である。そして、情報処理装置101によれば、特定したエリアを停車傾向の高いエリアとして出力することができる。
これにより、運行実績の詳細分析のための情報として、停車傾向の高いエリア(停車エリア)を特定する情報を収集することができる。また、荷物の配送先や荷受先の地点に対応する停車位置を除外して停車エリアを特定するため、荷卸しや荷受け作業以外で停車傾向の高いエリアを特定することができる。
このため、ユーザ(例えば、運送業者の運行管理業務を行う者)は、荷卸しや荷受け作業以外で停車傾向の高いエリアを特定することができる。また、ユーザは、特定した停車傾向の高いエリアについて、車両203のドライバーにヒアリングをかけることで、どのような理由で停車しているのかを調査することができる。
例えば、ある停車エリアが、ある荷主のための荷待ちにより頻繁に停車している場所(荷待ちエリア)であることが明らかになったとする。この場合、その場所での停車回数や合計停車時間を集計して、荷主に提示することで、現状の改善を要求したり、上乗せ料金を要求するなどの交渉を行うことができる。また、ある停車エリアが、ドライバーの休憩により頻繁に停車している場所(休憩エリア)であることが明らかになった場合には、その場所でのドライバーごとの停車回数や合計停車時間を集計して、各ドライバーの勤務状況の管理に役立てることができる。
また、情報処理装置101によれば、検出した停車位置のうち、事前に登録された特定の地点に対応していない停車位置を抽出し、抽出した停車位置のうち、各停車位置に対応するエリアが他の停車位置に対応するエリアと重複する場合に、当該エリア同士をマージして新たなエリアを作成し、作成した新たなエリアのうち、所定数N以上の停車位置を含むエリアを特定することができる。
これにより、荷物の配送先や荷受先の地点に対応していない各停車位置について、緯度・経度の誤差を考慮して一定の範囲を与え、一部または全部が重なる範囲同士をマージしながら、停車傾向の高いエリアを探索することができる。
また、情報処理装置101によれば、複数の車両203の運行実績データに基づいて、特定した停車エリアにおける個々の車両203の停車位置を検出し、検出した停車位置それぞれにおける停車時間を積算した合計停車時間を算出することができる。そして、情報処理装置101によれば、特定した停車エリアと対応付けて、検出した停車位置の数(停車回数)と、算出した合計停車時間とを出力することができる。
これにより、各停車エリアにおける停車回数や合計停車時間を特定することが可能となる。このため、例えば、停車エリアが荷待ちエリアであれば、荷主別の荷待ち回数や荷待ち時間を得ることができる。また、停車エリアが休憩エリアであれば、ドライバー別の休憩回数や休憩時間を得ることができる。
また、情報処理装置101によれば、複数の車両203の運行実績データに基づいて、特定した停車エリアごとに、当該停車エリアにおける個々の車両203の停車位置を検出し、特定した停車エリアごとに、検出した停車位置それぞれにおける停車時間を積算した合計停車時間を算出することができる。そして、情報処理装置101によれば、特定した停車エリアを、検出した停車位置の数(停車回数)、または、算出した合計停車時間が多い順にソートして出力することができる。
これにより、複数の停車エリアが特定された場合に、どの停車エリアで停車回数や合計停車時間が多くなっているのかを把握することが可能となる。
なお、本実施の形態で説明した運行実績分析方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本運行実績分析プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本運行実績分析プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
また、本実施の形態で説明した情報処理装置101は、スタンダードセルやストラクチャードASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定用途向けICやFPGAなどのPLD(Programmable Logic Device)によっても実現することができる。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)複数の車両の運行実績データに基づいて、個々の車両の停車位置を検出し、
検出した前記停車位置のうち、事前に登録された特定の地点に対応していない停車位置であり、当該停車位置を含む所定の範囲内に所定数以上の停車位置が検出された停車位置に対応するエリアを特定し、
特定した前記エリアを停車傾向の高いエリアとして出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする運行実績分析プログラム。
(付記2)前記特定する処理は、
検出した前記停車位置のうち、前記特定の地点に対応していない停車位置を抽出し、
抽出した前記停車位置のうち、各停車位置に対応するエリアが他の停車位置に対応するエリアと重複する場合に、当該エリア同士をマージして新たなエリアを作成し、
作成した前記新たなエリアのうち、所定数以上の停車位置を含むエリアを特定する、
ことを特徴とする付記1に記載の運行実績分析プログラム。
(付記3)複数の車両の運行実績データに基づいて、特定した前記エリアにおける個々の車両の停車位置を検出し、
検出した前記停車位置それぞれにおける停車時間を積算した合計停車時間を算出し、
特定した前記エリアと対応付けて、検出した前記停車位置の数と、算出した前記合計停車時間とを出力する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記1または2に記載の運行実績分析プログラム。
(付記4)前記複数の車両は、運送業者の車両である、ことを特徴とする付記1~3のいずれか一つに記載の運行実績分析プログラム。
(付記5)前記特定の地点は、荷物の配送先または荷受先を示す地点である、ことを特徴とする付記1~4のいずれか一つに記載の運行実績分析プログラム。
(付記6)複数の車両の運行実績データに基づいて、特定した前記エリアごとに、当該エリアにおける個々の車両の停車位置を検出し、
特定した前記エリアごとに、検出した前記停車位置それぞれにおける停車時間を積算した合計停車時間を算出し、
特定した前記エリアを、検出した前記停車位置の数、または、算出した前記合計停車時間が多い順にソートして出力する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記1~5のいずれか一つに記載の運行実績分析プログラム。
(付記7)前記出力する処理は、
特定した前記エリアを識別する情報と、特定した前記エリアの範囲を特定する情報とを含む停車エリア情報を出力する、ことを特徴とする付記1~6のいずれか一つに記載の運行実績分析プログラム。
(付記8)複数の車両の運行実績データに基づいて、個々の車両の停車位置を検出し、
検出した前記停車位置のうち、事前に登録された特定の地点に対応していない停車位置であり、当該停車位置を含む所定の範囲内に所定数以上の停車位置が検出された停車位置に対応するエリアを特定し、
特定した前記エリアを停車傾向の高いエリアとして出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする運行実績分析方法。
(付記9)複数の車両の運行実績データに基づいて、個々の車両の停車位置を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記停車位置のうち、事前に登録された特定の地点に対応していない停車位置であり、当該停車位置を含む所定の範囲内に所定数以上の停車位置が検出された停車位置に対応するエリアを特定する特定部と、
前記特定部によって特定された前記エリアを停車傾向の高いエリアとして出力する出力部と、
を含むことを特徴とする運行実績分析システム。