JP2009025620A - トナー用樹脂、その製造方法およびそれを用いたトナー。 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、定着性と耐高温オフセット性、粉砕性に優れたトナー用樹脂を提供する。
【解決手段】スチレン系モノマー単位、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー単位、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートモノマー単位を含み、樹脂中の有機過酸化物由来の残渣が3000ppm以下、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布の極大値が25000以下、であるトナー用樹脂。
【選択図】 なし
【解決手段】スチレン系モノマー単位、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー単位、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートモノマー単位を含み、樹脂中の有機過酸化物由来の残渣が3000ppm以下、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布の極大値が25000以下、であるトナー用樹脂。
【選択図】 なし
Description
本発明は、トナーのバインダー樹脂として好適に使用することができるトナー用樹脂およびその製造方法に関するものである。
電子写真法、静電印刷法による画像形成プロセスは、下記の三工程からなる。
(1)光伝導性絶縁層を一様に帯電させ、その絶縁層を露光して、露光された部分上の電荷を消散させることによって電気的な潜像を形成し、諸潜像に電荷を持った微粉末のトナーを付着させることにより可視化させる現像工程、
(2)得られた可視像を転写紙等の転写材に転写させる転写工程、
(3)加熱あるいは加圧により永久定着させる定着工程。
(2)得られた可視像を転写紙等の転写材に転写させる転写工程、
(3)加熱あるいは加圧により永久定着させる定着工程。
このような電子写真法あるいは静電印刷法に使用されるトナーとしては、上記各工程において様々な性能が要求される。例えば、コピー機およびプリンター内では、保存中にトナーがブロッキングしない耐ブロッキング性が要求され、現像工程においてはトナーの帯電安定性、熱ローラー定着方式による定着工程においては、熱ローラーに溶融トナーが付着しない非オフセット性や、トナーの紙への定着性が要求される。
近年、コピー機およびプリンターの省エネルギー化、高速化、高画質化が進み、トナーに関しては、特に非オフセット性と低温定着性のバランスに優れ、粒度の細かいトナーが強く求められている。
従来、トナーとしては、粉砕法とケミカル法にて得られており、ケミカル法で得られるトナーは、粒度が細かく高画質の画像が得られるものの、高度な分子設計が困難な状況であり、非オフセット性と低温定着性のバランスに乏しい。さらに、製造する工程および設備が煩雑となる為、ケミカル法で得られるトナーは、コストが高く実用的ではない。
従来、トナーとしては、粉砕法とケミカル法にて得られており、ケミカル法で得られるトナーは、粒度が細かく高画質の画像が得られるものの、高度な分子設計が困難な状況であり、非オフセット性と低温定着性のバランスに乏しい。さらに、製造する工程および設備が煩雑となる為、ケミカル法で得られるトナーは、コストが高く実用的ではない。
一方、粉砕法トナーで得られるトナーは、高度な分子量設計が可能で、非オフセット性と低温定着性の両立が可能であるが、画質を向上させるために、粒度の細かいトナーを得る為には、非常の多くのエネルギーと時間を消費する。この問題を解決する為に、発泡剤を内添した樹脂を用いる手法(例えば、特許文献1参照)や、脆い樹脂を添加することにより、トナー粉砕性を改良する試み(例えば、特許文献2〜3参照)がなされているが、トナーの耐久性が低下するという欠点があった。又、トナー用バインダー樹脂の分子量分布を調整する事により、粉砕性を改良する試みがなされているが、定着性と耐高温オフセット性のバランスが低下するという欠点があった。
特開平4−257868号公報
特開平2000−19775号公報
特開平11−65161号公報
本発明はこのような従来技術における問題点を解決するものであり、粉砕性に優れたトナー用樹脂が得られる。
本発明の第1の要旨は、スチレン系モノマー単位、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー単位、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートモノマー単位を含み、樹脂中の有機過酸化物由来の残渣が3000ppm以下、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布の極大値が25000以下、であるトナー用樹脂にある。
本発明の第2の要旨は、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートモノマーを含むモノマー混合物100質量部に対し、0.5〜10質量部のアゾ系開始剤と、0.1〜2質量部の10時間半減期温度が85℃以上の有機過酸化物開始剤とを用いるトナー用樹脂の重合方法にある。
本発明のトナー用樹脂により、粉砕性に優れたトナーが得られる。
以下、本発明の好適な実施の形態について具体的に説明する。
本発明のトナー用樹脂は、スチレン系モノマー単位、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー単位、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートモノマー単位を含むことが必要である。
スチレン系モノマー単位を含むことにより耐ブロッキング性や定着性、帯電性が良好となる。
さらに(メタ)アクリル酸エステル系モノマー単位を含むことにより、定着性が良好となり、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートモノマー単位を含むことにより、粉砕性や耐オフセット性が良好となる。
また本発明では、トナーとした場合の脆性を付与するために、樹脂中の有機過酸化物由来の残渣が3000ppm以下であることが必要である。有機過酸化物由来の残渣とは、分解した有機過酸化物が、重合開始反応に関与せず樹脂中に残留する成分であり、例えば、水素引き抜き、β開列、再結合、不均斉化により副生するアルコール成分やエステル成分のことである。
さらに本発明では、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布の極大値が25000以下であることが必要である。分子量分布の極大値が25,000を超える場合にはトナーの粉砕性が不十分となる。
また、分子量分布の極大値は粉砕性の点から20,000以下が好ましく、15,000以下が特に好ましい。さらに、トナー耐久性を向上させるため3,000以上がより好ましく、5,000以上が特に好ましい。
なお、本発明のトナー用樹脂中のTHF不溶分の量は、トナー用樹脂に対し、0.1〜60質量%であることが好ましい。THF不溶分の量が0.1質量%以上の場合に、該トナー用樹脂を用いたトナーの耐オフセット性が向上する傾向にあり、60質量%以下の場合に定着性が向上する傾向にある。トナーの耐オフセット性と定着性の両立を考慮すると、THF不溶分の下限値は、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が特に好ましい。THF不溶分の上限値は、50質量%以下がより好ましく、35質量%以下が特に好ましい。
なおTHF不溶分は、トナー用樹脂約0.5gを精秤し、THF50mlを加えた後、還流下で3時間加熱した。予めセライト(No.545)を充填したガラスフィルターを用いて吸引ろ過して、不溶分を次式に従い測定する。
THF不溶分(質量%)=(C−B)/A×100
ここで、Aは試料質量、Bは溶解液吸引ろ過前の乾燥ガラスフィルター(セライト充填)質量、Cは溶解液吸引ろ過後の乾燥ガラスフィルター(セライト充填)質量を表す。
ここで、Aは試料質量、Bは溶解液吸引ろ過前の乾燥ガラスフィルター(セライト充填)質量、Cは溶解液吸引ろ過後の乾燥ガラスフィルター(セライト充填)質量を表す。
さらに、本発明のトナー用樹脂のガラス転移温度(Tg)は、45〜75℃の範囲内であることが好ましい。Tgが、45℃以上の場合、該トナー用樹脂を用いたトナーの耐ブロッキング性が向上する傾向にあり、75℃以下の場合、定着性が向上する傾向にある。Tgの下限値は、48℃以上が好ましく、52℃以上が更に好ましい。Tgの上限値は、70℃以下が好ましく、65℃以下が更に好ましい。なお、本発明におけるTgは、トナー用樹脂を100℃まで昇温した後、DSC(セイコー電子製、DSC22システム)を用い、昇温速度10/minの条件下で測定した値である。
また、本発明のトナー用樹脂の軟化温度は、90〜175℃の範囲内であることが好ましい。軟化温度が90℃以上の場合、該トナー用樹脂を用いたトナーの耐オフセット性が向上する傾向にあり、175℃以下の場合、定着性が向上する傾向にある。軟化温度の下限値は、耐オフセット性向上のために100℃以上がより好ましく、110℃以上が更に好ましい。軟化温度の上限値は、定着性向上のために160℃以下がより好ましく、145℃以下が更に好ましい。
なお、軟化温度は(株)島津製作所製フローテスターCFT−500を用いて、ノズル:D=1.0mm,L=10mm、荷重30kgf、昇温速度3℃/分で測定し、バレルにトナー用樹脂1gを投入し、試料量の1/2が押出された時の温度を軟化温度とする。
さらに本発明のトナー用樹脂の酸価は、30mgKOH/g以下が好ましい。酸価が、30mgKOH/g以下の場合、該トナー用樹脂を用いたトナーの耐湿性が向上する傾向となる。なお、耐湿性向上のために20mgKOH/gがより好ましく、15mgKOH/g以下が更に好ましい。
なお酸化は、トナー用樹脂約0.5gを精秤し、トルエン70mlを加えて溶解した。更にトルエン/エタノール=1/1の混合溶媒50mlを加え、0.1N-KOH溶液にて呈色滴定法により測定する。
酸価(mgKOH/g)=(A−B)×0.1×56.11×f/C
ここでAは、中和に要したKOHの滴定量(ml)、Bは、ブランクの中和に要した滴定量(ml)、fは0.1N−KOHのファクター、Cは、樹脂質量(g)を表わす。
ここでAは、中和に要したKOHの滴定量(ml)、Bは、ブランクの中和に要した滴定量(ml)、fは0.1N−KOHのファクター、Cは、樹脂質量(g)を表わす。
次に本発明のトナー用樹脂の製造方法の一例を示す。
本発明のトナー用樹脂は、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートモノマーを含むモノマー混合物100質量部に対し、0.5〜10質量部のアゾ系開始剤と、0.1〜2質量部の10時間半減期温度が85℃以上の有機過酸化物開始剤とを用いて重合することにより得られる。
本発明のトナー用樹脂は、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートモノマーを含むモノマー混合物100質量部に対し、0.5〜10質量部のアゾ系開始剤と、0.1〜2質量部の10時間半減期温度が85℃以上の有機過酸化物開始剤とを用いて重合することにより得られる。
スチレン系モノマーとしては、特に制限されないが、例えば、スチレン,oーメチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、αーメチルスチレン、p−エチルスチレン、2、4ージメチルスチレン、pーnーブチルスチレン、p−tertーブチルスチレン、pーnーヘキシルスチレン、pーnーオクチルスチレン、pーn−ノニルスチレン、p−n−テンシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニルスチレン、3、4ージシクロシルスチレン等が挙げられ、中でも、スチレンが好ましい。これらのスチレン系モノマーは、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチルヘキサオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、適宜選択して使用することができる。中でもn−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが、定着性と非オフセット性のバランスから好ましい。なお、「(メタ)アクリル」とは、「メタクリル」または「アクリル」を表す。
スチレン系モノマーの使用量は、モノマー混合物100質量部に対し、50〜92質量部の範囲内であることが好ましい。この使用量が、50質量部未満であると耐ブロッキング性と定着性が低下する傾向にあり、92質量部を超えると定着性が悪化する傾向にある。なお、スチレン系モノマーの使用量の下限値は、耐ブロッキング性と定着性点で60質量部以上がより好ましく、65質量部以上が特に好ましい。また上限値は、定着性の点で88質量部以下が好ましく、84質量部以下が特に好ましい。
また、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの使用量は、モノマー混合物100質量部に対し5〜49質量部の範囲内であることが好ましい。5質量部未満の場合は定着性が悪化する傾向にあり、49質量部を超えると耐ブロッキング性が悪化する傾向にある。(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの使用量の下限値は、定着性の点で10質量部以上がより好ましく、15質量部以上が特に好ましい。上限値は、耐ブロッキング性の点で39質量部以下がより好ましく、34質量部以下が特に好ましい。
次にトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートモノマーの使用量は、モノマー混合物100質量部に対し、0.05〜3質量部の範囲内にあることが好ましい。0.05質量部未満の場合は耐オフセット性が悪化する傾向にあり、3質量部を超える場合は低温定着性が悪化する傾向となる。トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートモノマーの使用量の下限値は、耐オフセットの点で0.1質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上が特に好ましい。また上限値は定着性の点で2部以下がより好ましく、1質量部以下が特に好ましい。
なお、モノマー混合物中には、前記モノマー以外のビニル系モノマーを含んでいてもよい。
なお、モノマー混合物中には、前記モノマー以外のビニル系モノマーを含んでいてもよい。
また、本発明の重合方法では、モノマー混合物100質量部に対し、アゾ系開始剤を0.5〜10質量部用いることが必要である。アゾ系開始剤の使用量が0.5質量部未満では定着性が不十分となり、10質量部を超えると臭気が問題となる。
アゾ系重合開始剤としては、特に制限されないが、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’‐アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(2−(カルボアモイルアゾ)イソブチルニトリル)等が挙げられる。これらのアゾ系重合開始剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
このうち、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)がトナー粉砕性の観点から好ましく、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)が、樹脂中に残存する副生成物を抑制する上でより好ましい。
さらに本発明では、10時間半減期温度が85℃以上の有機過酸化物系開始剤を併用することが必要である。10時間半減期温度が85℃以上である重合開始剤を併用することにより、残存するモノマーを効果的に低減する事ができる。
残存するモノマーを効果的に低減すると共に、トナーとした場合の脆性を付与するためするために、有機過酸化物系開始剤の量はモノマー混合物100質量部に対し、0.1質量部以上2質量部以下が必要である。
10時間半減期温度が85℃以上である重合開始剤としては、例えば、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシラウラート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
その中でも、開始剤効率の観点から、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジt−ブチルパーオキサイドが好ましい。
また本発明の重合方法は特に限定されるものではなく、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法等が挙げられるが、耐高温オフセット性に優れ、樹脂中に残存する溶剤とモノマー量を低減することから、懸濁重合法が好ましい。
懸濁重合法で製造する際の具体的な方法としては、例えば、水性媒体中にモノマー混合物、分散剤、重合開始剤などを添加して懸濁化し、その懸濁液を加熱して重合させ、重合後の懸濁液を濾過、洗浄、脱水、乾燥することにより、トナー用樹脂を製造することができる。
懸濁重合時の分散剤としては、例えば、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、澱粉末シリカ等の水難溶性無機化合物、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、セルロース誘導体等のノニオン系高分子化合物、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステルとメタクリル酸及びその塩との共重合体等のアニオン系高分子化合物などが使用できる。その中でも、アニオン系高分子化合物は、極少量で分散安定性を保持でき、樹脂中に残存する量が極めて少ないため、懸濁重合の分散剤として非常に優れている。
また、重合温度は、特に制限されないが、アゾ系重合開始剤が効率的に反応し、分子量分布の極大値が25000以下の粉砕性に優れたトナー用樹脂を効率的に得る事ができる点で、100℃以上で行うことが好ましい。
次に、本発明のトナー用樹脂を含有するトナーについて説明する。
本発明のトナー用樹脂の含有量は、トナー100質量部中、35〜95質量部であることが好ましい。
また、本発明のトナーには、必要に応じて着色剤、ワックス、流動改質剤、荷電制御剤、磁性体等を配合することができる。
着色剤としては、一般に使用されているカーボンブラック、有彩色の顔料および染料が使用できる。着色剤の含有量は、特に制限されないが、トナーの色調や画像濃度、熱特性の点から、トナー100質量部中、2〜10質量部の範囲内にあることが好ましい。
また、ワックスとしては、特に制限されないが、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックスやフィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックスやミツロウ、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド、合成エステルワックス等及びこれらの各種変性ワックスが挙げられる。これらのワックスの内、カルナウバワックスおよびその変性ワックスや合成エステルワックスが好適に用いられる。それは、トナー用樹脂に対して、適度に微分散するためであり、耐オフセット性と耐久性、定着性に優れたトナーが得られる為である。またこれらワックス類を1種又は2種以上を併用して用いることもできる。
また、ワックスとしては、特に制限されないが、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックスやフィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックスやミツロウ、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド、合成エステルワックス等及びこれらの各種変性ワックスが挙げられる。これらのワックスの内、カルナウバワックスおよびその変性ワックスや合成エステルワックスが好適に用いられる。それは、トナー用樹脂に対して、適度に微分散するためであり、耐オフセット性と耐久性、定着性に優れたトナーが得られる為である。またこれらワックス類を1種又は2種以上を併用して用いることもできる。
ワックスの含有量は、特に制限されないが、トナーの耐オフセット性や耐久性、定着性等の点から、トナー100質量部中、0.5〜20質量部の範囲内にあることが好ましい。
流動性向上剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウムチタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ藻土、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
流動性向上剤の含有量は、特に制限されないが、トナー100質量部に対して0.1〜5質量部の範囲が好ましい。
また、荷電制御剤としては、従来電子写真用に用いられている荷電制御剤を使用することが出来る。これら荷電制御剤の含有量は特に制限されないが、トナー100質量部中、0.1〜5質量部の範囲が好ましい。
また本発明のトナーは、磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤、磁性2成分現像剤の何れの現像剤としても使用できる。
また本発明のトナーは、磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤、磁性2成分現像剤の何れの現像剤としても使用できる。
以下、実施例をあげて本発明を説明する。なお、評価は以下の方法に従った。
(1)樹脂中の有機過酸化物由来残渣の定量
トナー用樹脂1g、内部標準液(4−メチル−2−ペンタノール)とアセトンを加えた試薬瓶を8時間振とうし、有機過酸化物由来残渣の抽出を行った。静置後、上澄み液をガスクロにて有機過酸化物由来残渣の定量を行った。なお、定量下限値は、50ppmとした。
トナー用樹脂1g、内部標準液(4−メチル−2−ペンタノール)とアセトンを加えた試薬瓶を8時間振とうし、有機過酸化物由来残渣の抽出を行った。静置後、上澄み液をガスクロにて有機過酸化物由来残渣の定量を行った。なお、定量下限値は、50ppmとした。
(2)分子量分布の極大値
トナー用スチレン−アクリル樹脂0.4質量%のTHF溶液をPTFE膜(東ソ−社製マイショリディスクH−25−5)で濾過し、得られたろ液の分子量分布の極大値をGPC(東ソ−社製、HCL−8020)を用いて測定した。カラムは、TSKgel/GMHXLカラム(東ソ−社製)3本から構成されたものを使用した。また、検量線は、F2000/F700/F288/F128/F80/F40/F20/F2/A1000(東ソ−社製標準ポリスチレン)およびスチレンモノマ−によるものを用い、分子量をポリスチレン換算により求めた。なお、測定温度は38℃、検出器はRIとした。
トナー用スチレン−アクリル樹脂0.4質量%のTHF溶液をPTFE膜(東ソ−社製マイショリディスクH−25−5)で濾過し、得られたろ液の分子量分布の極大値をGPC(東ソ−社製、HCL−8020)を用いて測定した。カラムは、TSKgel/GMHXLカラム(東ソ−社製)3本から構成されたものを使用した。また、検量線は、F2000/F700/F288/F128/F80/F40/F20/F2/A1000(東ソ−社製標準ポリスチレン)およびスチレンモノマ−によるものを用い、分子量をポリスチレン換算により求めた。なお、測定温度は38℃、検出器はRIとした。
(3)トナー粉砕性
トナー粗粉砕物を日本ニューマティック工業(株)製ラボジェットを用いて、平均粒径7μmに粉砕する際、30分間でトナー粗粉砕物150gを供給したときの供給量に対する粉砕量の質量%を粉砕効率とした。粉砕性は、下記基準にて判定した。
トナー粗粉砕物を日本ニューマティック工業(株)製ラボジェットを用いて、平均粒径7μmに粉砕する際、30分間でトナー粗粉砕物150gを供給したときの供給量に対する粉砕量の質量%を粉砕効率とした。粉砕性は、下記基準にて判定した。
「◎」:粉砕効率85質量%以上(非常に良好なレベル)
「○」:粉砕効率80質量%以上(使用可能なレベル)
「×」:粉砕効率80質量%未満(使用困難なレベル)
(分散剤A)
メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム165g、メタクリル酸カリウム25g、メタクリル酸メチル30g、脱イオン水2250gを内容積3000mlのコンデンサーを備えたセパラブルフラスコ中で窒素雰囲気下に攪拌しながら50℃に昇温した後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.25gを添加して60℃に昇温した。一方、重合開始剤の添加と同時に、メタクリル酸メチルを0.4g/分の速度で75分間連続的に滴下した。60℃で6時間攪拌を続けたところ、1000mPa・sの粘度を有する透明な重合体溶液が得られた。これを脱イオン水で固形分10%に調整し、分散剤Aとした。
「○」:粉砕効率80質量%以上(使用可能なレベル)
「×」:粉砕効率80質量%未満(使用困難なレベル)
(分散剤A)
メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム165g、メタクリル酸カリウム25g、メタクリル酸メチル30g、脱イオン水2250gを内容積3000mlのコンデンサーを備えたセパラブルフラスコ中で窒素雰囲気下に攪拌しながら50℃に昇温した後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.25gを添加して60℃に昇温した。一方、重合開始剤の添加と同時に、メタクリル酸メチルを0.4g/分の速度で75分間連続的に滴下した。60℃で6時間攪拌を続けたところ、1000mPa・sの粘度を有する透明な重合体溶液が得られた。これを脱イオン水で固形分10%に調整し、分散剤Aとした。
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、脱イオン水160質量部、分散剤A0.6質量部、硫酸ナトリウム0.5質量部を仕込み、次いで単量体成分としてスチレン76.5質量部、n−ブチルアクリレート21.5質量部、メタクリル酸1.5質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.5質量部、及び重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)2質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.5質量部を添加した。
内容物を攪拌しながら40℃から130℃まで65分間で昇温し、内容物の温度を130℃に到達させた。130℃到達後さらに2時間30分攪拌した後、冷却し、重合体粒子の懸濁液を得た。
内容物を攪拌しながら40℃から130℃まで65分間で昇温し、内容物の温度を130℃に到達させた。130℃到達後さらに2時間30分攪拌した後、冷却し、重合体粒子の懸濁液を得た。
得られた懸濁液を目開き45μmのナイロン製ろ過布でろ過し、洗浄、乾燥し、トナー用樹脂1を得た。また、釜の付着物は、極少量の樹脂カレットのみで、簡易的な洗浄で取り除ける極めて良好なレベルであった。
次に得られたトナー用樹脂を用いてトナーを製造した。トナー用樹脂91質量部、キナクリドン顔料(E−02 クラリアント社製)5質量部、カルナバワックス(カルナバ1号 東洋ペトロライト社製)3質量部、負帯電性の荷電制御剤(E−81 オリエント化学社製)1質量部を予備混合し、池貝社製2軸押し出し機(PCM−29)にて溶融混練した。混練成分の供給量は70g/分とし、シリンダ温度は120℃、滞在時間は90秒とした。混練して得られたトナー組成物を日本ニューマティック工業(株)製チョッパーミルにて、1mmのメッシュスクリーンを使用し、1mm以下のトナー粗粉砕物を得た。
トナー用樹脂、トナーの評価結果を表1に示す。
なお、表1に記載した略号は、以下のものを表す。
St:スチレン
n−BA:n−ブチルアクリレート
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
MAA:メタクリル酸
DVB:ジビニルベンゼン
AMBN:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
PB−O:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、日本油脂社製、商品名「パーブチル−O」(10時間半減期温度:72℃)
TRX117:t−ブチルパーキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、化薬アクゾ社製、商品名「トリゴノックス117」(10時間半減期温度:99℃)
LPZ70:t−ブチルパーオキシアセテート、アトフィナ富吉社製、商品名「ルパゾール70」(10時間半減期温度:102℃)
E−02:キナクリドン顔料、クラリアント社製、商品名「E−02」
E−81:負帯電性の荷電制御剤、オリエント化学社製、商品名「E−81」
n−BA:n−ブチルアクリレート
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
MAA:メタクリル酸
DVB:ジビニルベンゼン
AMBN:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
PB−O:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、日本油脂社製、商品名「パーブチル−O」(10時間半減期温度:72℃)
TRX117:t−ブチルパーキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、化薬アクゾ社製、商品名「トリゴノックス117」(10時間半減期温度:99℃)
LPZ70:t−ブチルパーオキシアセテート、アトフィナ富吉社製、商品名「ルパゾール70」(10時間半減期温度:102℃)
E−02:キナクリドン顔料、クラリアント社製、商品名「E−02」
E−81:負帯電性の荷電制御剤、オリエント化学社製、商品名「E−81」
Claims (4)
- スチレン系モノマー単位、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー単位、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートモノマー単位を含み、樹脂中の有機過酸化物由来の残渣が3000ppm以下、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布の極大値が25000以下、であるトナー用樹脂。
- スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートモノマーを含むモノマー混合物100質量部に対し、0.5〜10質量部のアゾ系開始剤と、0.1〜2質量部の10時間半減期温度が85℃以上の有機過酸化物開始剤とを用いる請求項1記載のトナー用樹脂の重合方法。
- アゾ系開始剤が、2,2‘−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)である請求項2記載のトナー用樹脂の製造方法。
- 請求項1または2に記載のトナー用樹脂を含有するトナー。
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JP2007189457A JP2009025620A (ja) | 2007-07-20 | 2007-07-20 | トナー用樹脂、その製造方法およびそれを用いたトナー。 |
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JP2016186027A (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-27 | 藤倉化成株式会社 | トナー用結着樹脂およびトナーの製造方法 |
-
2007
- 2007-07-20 JP JP2007189457A patent/JP2009025620A/ja active Pending
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