以下、本発明の実施の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態では、家屋やコテージなどの建築物に隣接して設置されるバルコニーとして適用される形態を例に挙げて、デッキ構造物について説明する。
(全体構成)
まず、本発明に係るデッキ構造物の全体構成を、図1乃至図4を参照して説明する。なお、本実施形態では、デッキ構造物が隣接する建築物を背面にデッキ構造物を見る方向を正面とする。すなわち、デッキ構造物の建築物側が後面となり、建築物と離れた側が前面となる。
図1乃至図4に示すように、本実施形態に係るデッキ構造物1は、例えば、コテージなどの建築物2(図3参照)の二階から出入り可能に設けられたバルコニー3として適用されるものである。このデッキ構造物1は、床材10と、その床材10の下に配置されたトラス構造体20(図1乃至図3参照)と、床材10およびトラス構造体20を支持する支柱50とを備えている。
図1乃至図3に示すように、トラス構造体20は、複数の上弦材21,21・・・を互いに連結してなる上面フレーム22と、複数の下弦材23,23・・・を互いに連結してなる下面フレーム24とをラチス材25で互いに連結して構成されている。そして、下弦材23の下方に、その長手方向に沿って長尺の補強部材30が設けられている。
図1および図4に示すように、本実施形態では、床材10にて構成される床面11は、長方形を呈しており、その長辺が建築物2の壁面と平行になるように配置されている。さらに、本実施形態では、図1乃至図4に示すように、デッキ構造物1の正面側の前面位置に、床面11から下階へ降りるための階段70が設けられている。床材10の周縁部には、手摺90が設けられている。手摺90は、デッキ構造物1が建築物2に接する部分と、階段70の接続部分とを除いた、床面11の周縁部に沿って設けられている。
本実施形態では、床材10、トラス構造体20、支柱50、階段70および手摺90を構成する主な各部材(後に詳述)がアルミニウム合金製の押出形材によりそれぞれ形成されている。
(トラス構造体)
次に、トラス構造体20について、主として図2、図3および図5乃至図13を参照して説明する。
トラス構造体20は、図2、図3および図5に示すように、複数の上弦材21,21・・・を互いに連結してなる上面フレーム22と、複数の下弦材23,23・・・を互いに連結してなる下面フレーム24とをラチス材25,25・・・で互いに連結して構成されている。
図5に示すように、上面フレーム22は、建築物2の壁面2aに沿ったX方向と、壁面2aに直交するY方向の二方向に沿ってそれぞれ配置された複数の上弦材21,21・・・を格子状に連結して構成されている。各上弦材21,21・・・は、端部同士が後記する節点部材であるハブ26を介して接続されており、一辺が上弦材21の長さとなる正方形組22aがX方向およびY方向に複数並列するように組み合わせられている。上面フレーム22は、外周縁が長方形を呈する平面形状となるように形成されており、その上部に上面フレーム22の平面形状と同じ形状の床面11が形成されることとなる。なお、上面フレーム22の平面形状は、長方形に限定されるものではなく、バルコニーの幅や奥行き寸法あるいは形状に応じて、正方形、台形、三角形、L字形状やコ字形状などの他の形状であってもよい。特に、L字形状やコ字形状は、デッキ構造物が、建築物の出隅部に沿って形成されることになるので、斬新な印象を与える。
下面フレーム24は、上面フレーム22よりも小さい平面形状になるように構成されている。具体的には、下弦材23,23・・・は、一定の間隔(上弦材21の長さ、すなわち正方形組22aの一辺の長さ)を隔てて互いに平行に隣り合う上弦材21,21の中間の下方にそれぞれ配置されており、これら下弦材23,23・・・も互いに格子状に連結されている。下弦材23,23・・・は、一辺が下弦材23の長さとなる正方形組24aがX方向およびY方向に複数並列するように組み合わせられている。ここで、上弦材21と下弦材23は同等の形状であるので、各正方形組22a,24aは、同じ形状となる。下面フレーム24の外周縁に位置する下弦材23は、上面フレーム22の外周縁に位置する上弦材21よりも上弦材21(下弦材23)の半分の長さ分内側に位置している。したがって、下面フレーム24の各下弦材23,23・・・の接続部分(ハブ26)は、上面フレーム22の正方形組22a,22a・・・の二本の対角線の交点の下方にそれぞれ位置している。
各上弦材21,21・・・と各下弦材23,23・・・の両端には、節点部材たるハブ26がそれぞれ取り付けられている。各上弦材21,21同士、および上弦材21とラチス材25は、ハブ26を介して連結されるとともに、各下弦材23,23同士、および下弦材23とラチス材25は、ハブ26を介して連結される。
ラチス材25は、上面フレーム22と下面フレーム24とを連結する部材であって、上弦材21に設けられたハブ26と、下弦材23に設けられたハブ26との間に斜めに架け渡して設けられている。上面フレーム22のハブ26と、下面フレーム24のハブ26とは、X方向およびY方向に上弦材21(下弦材23)の半分の長さ分、オフセットした位置関係となっている。したがって、平面視で、下面フレーム24のハブ26は、上面フレーム22の正方形組22aの中心部(二本の対角線の交点)に位置し、上面フレーム22のハブ26のうち、内側に位置するハブ26は、下面フレーム24の正方形組24aの中心部(二本の対角線の交点)に位置することとなる。これによって、ラチス材25は、平面視で、正方形組22a(24a)の対角線上に配置されることとなる。
図7の(a)および(b)に示すように、上弦材21は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部21a,21aを有している。上弦材21の接続端部21aは、中空押出形材の両端をプレス加工などにより押し潰すことにより形成され、ハブ26の接続溝26a(図8参照)に嵌合可能である。また、接続端部21aの先端には、図7の(b)に示すように、上弦材21の軸線に直交する方向に凹凸部が形成されている。なお、接続端部21aは、ハブ26の軸線方向に長い偏平状に形成されていることから(図8参照)、ハブ26の軸線方向の外力に対しては、強度的に強いジョイント構造が形成される。
なお、下弦材23は、上弦材21と同一の構成であるので、詳細な説明を省略する。
ラチス材25は、上弦材21および下弦材23と同様に、アルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、図7の(c)、(d)に示すように、その両端に偏平状の接続端部25aを有している。また、接続端部25aの先端には、凹凸部が形成されているが、その方向は、ラチス材25の軸線に対して角度α(以下、コイン角αとする)をなす方向である。なお、接続端部25aの断面形状は、上弦材21(下弦材23)の接続端部21a(23a)の断面形状と同一であり、したがって、後記するハブ26の接続溝26aに嵌合することができる。なお、この嵌合は、圧入をもって行うことも可能である。また、ラチス材25は、その軸線方向がハブ26の軸線方向に対してコイン角αだけ傾斜した状態でハブ26に接続される。
(節点部材)
図8に示すように、ハブ26は、円柱形状であり、ハブ26の外周面には複数の接続溝26a(縦溝)がハブ26の軸線方向に沿って形成され、ハブ26の端面には、その中心にボルト用貫通孔26b(貫通孔)が形成されている。また、ハブ26は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、接続溝26aおよびボルト用貫通孔26bは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。なお、ハブ26は、鋳造により製作してもよい。
ハブ26の接続溝26aは、上弦材21(または下弦材23)の接続端部21a(23a)の先端部分と同一の断面形状で、接続端部21a(23a)が嵌合可能である。また、接続溝26aの内壁面には、接続端部21a(23a)の凹凸部と係合する凹凸部が形成されている。なお、本実施形態では、8つの接続溝26aが放射状に形成され、隣り合う接続溝26aの中心角は45度である(図8および図11参照)が、ハブ26の形状や接続溝26aの個数や配置角度は、ハブ26に接続される部材の本数や角度に合わせて、適宜変更しても差し支えない。
また、接続溝26aのうち、上弦材21、下弦材23またはラチス材25が接続されないものには、接続溝26aと同一の寸法・形状を有する溝埋部材26cを挿入する。また、本実施形態では、ハブ26の接続溝26aの長さをラチス材25の接続端部25aの長さ(幅)に合わせてあるので、下弦材23(上弦材21)をハブ26の下端まで挿入すると、その上方には隙間が生じる。この場合には、下弦材23(上弦材21)の接続端部23a(21a)の上方に溝埋部材26dを挿入して、下弦材23(上弦材21)の接続位置がずれないようにする。
ハブ26に、上弦材21(下弦材23)およびラチス材25を接続する場合には、上弦材21(下弦材23)の接続端部21a(23a)およびラチス材25の接続端部25aに形成された凹凸部をハブ26の上面側(あるいは下面側)から接続溝26aに嵌合すればよい。このとき、溶接や特別な工具を必要としないので、施工性が良好である。なお、接続溝26aと接続端部21a(23a),25aとの間に生じる微細な隙間を埋めるべく、接続溝26aに接着剤などを流し込んでもよい。
図5、図10および図11に示すように、上面フレーム22の外周縁を構成するハブ26のうち、建築物2の壁面2aに沿って配置されたハブ26は、間欠的に壁面2aに連結されている。
壁面2aには、ハブ26に接続される連結プレート36を支持する連結シュー35がボルトB11を介して固定されている。図10および図11に示すように、連結シュー35は、壁面2aに当接するベース部35aと、連結プレート36をその厚さ方向両側から挟持する一対の挟持プレート35b,35bとで構成されている。連結プレート36は、その先端部に、ハブ26の接続溝26aと同等の断面を有する接続端部36aが形成されている。
連結プレート36は、トラス構造体20を組み立てるときに、ハブ26に固定しておく。そして、トラス構造体20を支柱50に固定するときに、連結プレート36は、ボルトB12およびナットNを介して、連結シュー35の挟持プレート35b,35bに固定する。このとき、ボルトB12は、一本であり、トラス構造体20は壁面2aにピン結合されている。
図8、図9および図13に示すように、下面フレーム24を構成するハブ26の上面には、下弦材23およびラチス材25の抜け出しを防止するためのワッシャ26eが取り付けられる。ワッシャ26eは、ハブ26と同等の外径を有している。
下面フレーム24を構成するハブ26のうち、支柱50の上部に配置されるハブ26の下面には、下弦材23およびラチス材25の抜け出しを防止するとともに、支柱50の蓋部を構成し支柱50に接続するための蓋プレート材27が取り付けられる。蓋プレート材27は、支柱50と同等の外形形状(本実施形態では正方形)を呈しており、ハブ26の外周よりも外側に突出するように構成されている。蓋プレート材27の中央には、蓋プレート材27をハブ26に固定するためのボルト用貫通孔27a(貫通孔)が形成されており、周縁部近傍には、蓋プレート材27を支柱50の上端部に固定するためのボルトB2(図9および図13参照)が挿通されるボルト用貫通孔27b(貫通孔)が複数形成されている。蓋プレート材27の中央のボルト用貫通孔27aは、ハブ26のボルト用貫通孔26bと同径で、このボルト用貫通孔26bと連通するように設けられている。
ワッシャ26eと蓋プレート材27は、ハブ26のボルト用貫通孔26bに挿通されるボルトB1とナットNにより、ハブ26に固定される。
図9および図10の(a)に示すように、下面フレーム24を構成するハブ26のうち、補強部材30の上部に配置されるハブ26の下面には、下弦材23およびラチス材25の抜け出しを防止するとともに、補強部材30との間のスペーサの役目を果たすためのワッシャ26fが取り付けられている。ワッシャ26fは、ハブ26と同等の外径を有し、蓋プレート材27と同等の厚さを有している。
ワッシャ26eとワッシャ26fは、補強部材30と一体的に、ハブ26のボルト用貫通孔26bに挿通されるボルトB1とナットNにより、ハブ26に固定される。
図10の(a)に示すように、下面フレーム24を構成するハブ26のうち、支柱50や補強部材30に接続されないハブ26の下面には、上面に設けられたワッシャ26eと同じ形状のワッシャ26eが取り付けられる。
これらのワッシャ26e,26eは、ハブ26のボルト用貫通孔26bに挿通されるボルトB1とナットNにより、ハブ26に固定される。この場合、ボルトB1を下側から挿通させ、ハブ26の上側でナットNをボルトB1の先端に螺合させると、ボルトB1の先端部とナットNが下側から見て隠れるので、美観が向上する。
なお、ワッシャ26eを取り付けた部分は、ボルトB1やナットNを覆って隠すために、キャップ(図示せず)を取り付けて、さらに、美観を向上させるようにしてもよい。
図9、図10の(a)および図13に示すように、上面フレーム22を構成するハブ26の下面には、上弦材21およびラチス材25の抜け出しを防止するためのワッシャ26eが取り付けられる。
また、上面フレーム22を構成するハブ26の上面には、床材10を支持するとともに、上弦材21およびラチス材25の抜け出しを防止するための根太12が取り付けられる。根太12は、床面11の短手方向(本実施形態では、建築物2の壁面2aに直交する方向)に延びて配置されており、床面11の長手方向に、ハブ26が設けられた間隔(上弦材21の長さ)をあけて互いに平行に配列されている(図4参照)。根太12は、建築物2の壁面2aに直交する方向に配列された上面フレーム22の複数のハブ26の上部に架け渡されて固定されている。
根太12は、断面矩形(長方形)状のアルミニウム合金製押出形材から構成されている。根太12の上部には、手摺90の手摺支柱部91が貫通する孔12aが形成されており、手摺支柱91の下端部は、根太12の内部に挿入されてハブ26の上部に接続されている。
ワッシャ26eと根太12は、ハブ26のボルト用貫通孔26bに挿通されるボルトB1とナットNにより、ハブ26に固定される。
(床材)
図10の(a)に示すように、床材10は、床面11の長手方向(本実施形態では、建築物2の壁面2aに平行な方向)に沿って配置されており、根太12に固定支持されている。床材10は、断面矩形状の基材10aと、基材10aの上部に固定される仕上げ材10bとで構成されている。
図10の(b)に示すように、基材10aは、その底部と根太12の上面部とをドリルねじDで固定することで、根太12に固定されている。基材10aの上面にはドリルねじDを挿通させるための孔10cが形成されている。基材10aは、アルミニウム合金製の押出形材からなり、幅方向一端に凸条10dが形成され、他端に凹溝10eが形成されている。隣り合う基材10a,10aの凸条10dと凹溝10eを互いに係合させることで、基材10a,10a同士の接合強度が高められている。基材10aの上部には、仕上げ材10bを係止するための一対の係止凸条10f,10gが形成されている。一方の係止凸条10fは、先端が幅方向内側に屈曲した鉤状に形成され、他方の係止凸条10gは、上方に延出する平板状に形成されている。仕上げ材10bを取り付けるときは、溝10hが形成された仕上げ材10bの幅方向一端面を、斜め上方から係止凸条10fに係止させた後に、仕上げ材10bを水平に倒して、各係止凸条10f,10g間に嵌合させるようにする。
仕上げ材10bは、樹脂製の木目調部材にて構成されており、耐候性を備えている。仕上げ材10bは、その幅方向両側に、溝10h,10hがそれぞれ形成されている。なお、仕上げ材10bの材質は、樹脂に限られるものではなく、アルミニウム合金製や木製の部材で構成してもよい。
なお、床材10の形状は、図10の形状に限られるものではなく、例えば、図12の(a)に示すような形態であってもよい。図12の(a)の床材10’は、基材10a’が排水樋10iを有している。排水樋10iは、基材10a’の幅方向一端部に形成されており、隣り合う仕上げ材10b,10b間の隙間の下方に位置するように構成されている。排水樋10iは、基材10a’の下側の板材が幅方向外側に延出して、その先端が上方に屈曲して形成されている。排水樋10iの先端の立上り部分には、凹溝10eが形成されており、基材10a’の他端には、凹溝10eに対応する形状の凸条10dが形成されており、隣接する基材10a’の排水樋10iが当接するようになっている。排水樋10iに流れた水は、床材10’の長手方向端部に設けた集水樋(図示せず)で排水口へ案内するようにしてもよいし、集水樋を設けず各排水樋10iから流出させるようにしてもよい。
基材10aの上部には、仕上げ材10bを係止するための一対の係止凸条10f,10fが形成されている。本実施形態では、一対の両方とも先端が幅方向内側に屈曲した鉤状の係止凸条10fが形成されており、雨水等の水が排水樋10iへ流れやすくなるように構成されている。なお、仕上げ材10bを基材10a’に取り付けるときは、床材10’の長手方向に側面から、仕上げ材10bの幅方向一端面に形成された溝10h,10hを各係止凸条10f,10fに形成させながら、長手方向に沿って挿入するようにする。
また、床材10の形状は、図12の(b)に示すような形態であってもよい。図12の(b)の床材10”は、基材10a”が排水樋10iを有しているとともに、その外側に、ドリルねじ用プレート部10jが形成されている。ドリルねじ用プレート部10jは、排水樋10iの外側下端部から、外方に延出して形成されており、排水樋10iの端部の仕切り壁10kを介して排水樋10iと区画されている。仕切り壁10kは、基材10a”の厚さと同等の高さを有しており、その上端が、後記するカバー部10mの下面に当接するように構成されている。また、ドリルねじ用プレート部10jの先端には、凹溝10eが形成されており、基材10a”の他端には、凹溝10eに対応する形状の凸条10dが形成され、隣接する基材10a”のドリルねじ用プレート部10jの先端の凹溝10eに当接するようになっている。基材10a”の他端の上部には、ドリルねじDと排水樋10iの一部を覆うカバー部10mが形成されており、このカバー部10mの先端に、係止凸条10fが形成されている。カバー部10mの先端の下部には、垂下部10nが形成されている。
このように、基材10a”の一端側のドリルねじ用プレート部10jの上部が開放され、基材10a”の他端側に、カバー部10mを形成していることによって、ドリルねじDで基材10a”を根太12に固定した後に、隣接する基材10a”を固定すれば、カバー部10mによってドリルねじDが覆われる。すなわち、ドリルねじDを締め付ける際には、ドリルねじ用プレート部10jは上方に開放されている(図12の(b)の右側参照)ので、前記の形態のように、基材10a”の上面にねじ用の孔を設ける必要がない。これによって、基材10a”の内部に水が浸入するのを防止できる。さらに、ドリルねじDの上部には、カバー部10mが配置されているので外部に連通する孔が位置することはなく、また、ドリルねじDは、基材10a”の厚さと同等の高さを有する仕切り壁10kによって排水樋10iと確実に区画された位置に設けられている。特に、仕切り壁10kは、カバー部10mの下面と当接しているとともに、カバー部10mの先端に垂下部10nが形成されているので、万一、排水樋10iがオーバーフローしたとしても、仕切り壁10kの上端部近傍には空気層が形成されることとなり、水が仕切り壁10kを乗り越えることはない。これによって、ドリルねじDに水がかかることはなく、ドリルねじDをスチール等によって構成した場合であっても錆を確実に防止することができる。
(手摺)
図1および図4に示すように、手摺90は、手摺支柱部91と、隣り合う手摺支柱部91,91間に架け渡して設けられる手摺支柱部92と、格子部93とで構成されている。
手摺支柱部91は、上面フレーム22の外周縁に位置するハブ26の上部に配置されており、根太12を挟んで、ボルトB1およびナットNにて固定されている。格子部93は、手摺支柱部92間にプレート材93aを適宜組み合わせて構成されている。本実施形態では、格子部93は、プレート材93aをX字状の格子に組み合わせて構成されているが、格子に限られることなく、どのようなデザインであってもよい。例えば、縦桟状、横桟状、縦横の格子状、パネル状、さらにはパネルにパンチ穴を設けたものであってもよい。
(支柱)
次に、支柱50について、主として図9および図13乃至図16を参照して説明する。
図5に示すように、支柱50は、下面フレーム24の四隅の下部に設けられており、トラス構造体20及び床材10(図1参照)を支持する。なお、本実施形態では、支柱50の本数は四本であるが、床面11の面積や形状等に応じて、適宜変更してもよいのは言うまでもない。
図9および図13乃至図16に示すように、支柱50は、少なくとも上下両端部に中空部51aを有する支柱本体部51と、中空部51aに挿入される挿入部52とを備えている。
図13および図14に示すように、支柱本体部51は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、断面正方形状の角パイプにて構成されている。支柱本体部51の各外表面には、その幅方向中間部に凹部51bが全長に亘って形成されており、各内表面には、凹部51bに応じた凸部51cが全長に亘って形成されている。この凹部51bと凸部51cにて形成される凹凸が補強リブの役目を果たし、支柱本体部51の強度が高められている。支柱本体部51の側面の上端部には、各面の凹部51b部分に、挿入部52を固定するためのボルトB3が挿通する貫通孔51d(図13参照)が縦方向に並んで複数(本実施形態では面ごとに二箇所)形成されている。なお、挿入部52を固定するためのボルトB3のうち、補強部材30が接続される部分に設けられたボルトB3は、補強部材30も一緒に固定する。
図13および図16に示すように、支柱本体部51の側面の下端部には、各面の凹部51b部分に、挿入部52を支柱50に固定するためのボルトB3が挿通する貫通孔51dが縦方向に並んで複数(本実施形態では面ごとに三箇所)形成されている。
図13乃至図16に示すように、挿入部52は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、支柱本体部51よりも小さい断面正方形状の角パイプにて構成されており、その内部に中空部52aを有している。挿入部52の外周形状は、支柱本体部51の内周形状と同等に形成されており、挿入部52が、支柱本体部51の中空部51aに嵌合されるように構成されている。
挿入部52の各外表面には、支柱本体部51の内表面の凸部51cに応じて凹部52bが形成されており、各内表面には、凹部52bに応じた位置に凸部52cが形成されている。挿入部52の各面の凹部52bには、ボルトB2が螺合するネジ穴52dが縦方向に並んで複数形成されている。ネジ穴52dは、支柱本体部51の貫通孔51dと互いに連通するように構成されている。ネジ穴52dの箇所数は、支柱本体部51の貫通孔51dの箇所数と同じであり、支柱本体部51の上端部に挿入される挿入部52のネジ穴52dは、面ごとに二箇所ずつで、支柱本体部51の下端部に挿入される挿入部52のネジ穴52dは、面ごとに三箇所ずつである。ネジ穴52dが設けられている凹部52bの深さは、凸部52cの突出長さよりも小さくなっており、ネジ穴52dが設けられている部分は、厚肉に形成されている。
図14の(b)に示すように、凸部52cの内側表面には、中空部52aの内方に延出するリブ52eが形成されている。リブ52eは、四つの凸部52cの各表面からそれぞれ延出して形成されており、中空部52aの中心で十字状に連結されてリブ連結体52fを形成している。図14の(b)および図15の(c)に示すように、支柱本体部51の上端部に挿入される挿入部52は、リブ連結体52fの上端部に、ハブ26の下端部から突出するボルトB1の先端部とナットNを収容するための切欠き部52gが形成されている。切欠き部52gは、各リブ52eを中空部52aの中心の連結部側から矩形状に切削加工することで形成されている。
図14の(b)に示すように、挿入部52の四隅は、内側に突出して厚肉に形成されている。支柱本体部51の上端部に挿入される挿入部52の上端部の四隅の厚肉部分には、ネジ穴52hが支柱50の長手方向に沿ってそれぞれ形成されている。これらネジ穴52hは、図13に示すように、蓋プレート材27に形成されたボルト用貫通孔27bと連通するように形成されており、ハブ26を支柱50に固定するためのボルトB2が螺合される。
図16に示すように、支柱本体部51の下端部に挿入される挿入部52の下端部の四隅の厚肉部分には、ネジ穴52hが支柱50の長手方向に沿ってそれぞれ形成されている。これらネジ穴52hは、ベースプレート53に形成されたボルト用貫通孔53aと連通するように形成されており、ベースプレート53を支柱50に固定するためのボルトB4が螺合される。
図13および図16に示すように、ベースプレート53は、支柱50を基礎Kに固定するためのものであって、平面視正方形状を呈している。ベースプレート53の支柱50との接続部分には、前記ボルト用貫通孔53aが複数形成されている。ボルト用貫通孔53aの底部には、ボルトB4の頭部を収容できるように、拡径部53b(図16の(b)および(c)参照)が形成されている。ベースプレート53の支柱50との接続部分の外側には、基礎Kから延びるアンカーボルト54が貫通するボルト用貫通孔53cが複数(本実施形態では四箇所)形成されている。ベースプレート53の中央部には、支柱50内に浸入した水分を逃がす水抜き孔53dが形成されている。
(補強部材)
次に、補強部材30について、主として図6および図9乃至図13を参照して説明する。
図5および図6に示すように、補強部材30は、トラス構造体20を補強する部材であって、下面フレーム24の外周縁に位置する下弦材23,23・・・に沿って、平面視長方形状に配置されている。補強部材30は、隣り合う支柱50,50の上端部間に架け渡して設けられており、所定ピッチで下弦材23,23同士を連結しているハブ26と接続されている。
図13および図15に示すように、補強部材30は、長尺の角パイプ状に形成されており、断面コ字状のみぞ形部材31と、このみぞ形部材31の開口部分を塞ぐ蓋プレート32とで構成されている。みぞ形部材31と、蓋プレート32は、ともにアルミニウム合金製の押出形材にて構成されている。みぞ形部材31は、互いに平行な一対のフランジ部31a,31aと、これらを繋ぐウェブ部31bとで構成されている。ウェブ部31bには、支柱50に連結するためのボルトB5が挿通する貫通孔31cが形成されている。この貫通孔31cは、上下方向に複数(本実施形態では二箇所)形成されており、補強部材30の回転を防止して固定するように構成されている。
図6、図9および図13に示すように、補強部材30に連結されたときに上側になるフランジ部31aには、その上部に位置するハブ26のボルト用貫通孔26bに挿通されるボルトB1が挿通される貫通孔31dが所定の間隔で形成されている。この貫通孔31dとハブ26のボルト用貫通孔26bに、ボルトB1を挿通させてナットNで締め付けることによって、ハブ26が補強部材30に固定される。
図13に示すように、一対のフランジ部31a,31aの互いに対向する面には、長手方向に延びる係合溝31e,31eがそれぞれ形成されている。
蓋プレート32の幅方向両側には、みぞ形部材31の係合溝31e,31eにそれぞれ係合する凸条32a,32aが形成されている。蓋プレート32をみぞ形部材31にその開口部側から押し付けることで、凸条32a,32aが係合溝31e,31eに係合して、蓋プレート32がみぞ形部材31に一体的に固定され、角パイプ状の補強部材30が形成される。
図13および図15に示すように、補強部材30は、接続ブラケット33(ブラケット)を介して支柱50に連結されるようになっている。接続ブラケット33は、断面L字状に形成されたアルミニウム合金製の押出形材にて構成されている。接続ブラケット33の断面L字の一方の平板部(支柱本体部51の表面と直交する面)には、補強部材30の貫通孔31c,31cと連通する貫通孔33a,33aが形成されている。この一方の平板部は、みぞ形部材31のウェブ部31bの内側面に当接するように配置され、ボルトB5およびナットNによって固定される。断面L字の他方の平板部(支柱本体部51の表面と当接する面)には、支柱本体部51の貫通孔51d,51dと連通する貫通孔33b,33bが形成されている。この平板部の支柱本体部51に当接する側の表面には、支柱本体部51の各外表面の凹部51bに係合する凸部33cが形成されている。この凸部33cは、凹部51bと同等の幅を有しており、凸部33cが支柱本体部51の凹部51bに係合することで、接続ブラケット33の支柱50の幅方向に対する位置決めを容易に行うことができる。
(階段)
次に、階段70について、主として図1乃至図3および図17、図18を参照して説明する。
図1乃至図3および図17に示すように、階段70は、地上などの他の階高レベルから床材10上に昇降するために設けられている。階段70は、踏板71と、この踏板71を支持する桁材72と、手摺73とを備えて構成されている。
桁材72は、階段70の勾配に応じて傾斜しており、階段70の幅方向両側に互いに平行になるようにそれぞれ設けられている。図17に示すように、桁材72は、断面縦長長方形状(図17の(b)参照)のアルミニウム合金製の押出形材からなり、その内部には、補強リブ72aが長手方向に沿って形成されている。
隣り合う桁材72,72間には、踏板71を支持するための踏板受材74が架け渡されて設けられている。踏板受材74は、桁材72の長手方向に沿って所定ピッチで設けられており、桁材72,72の上面にねじ等の締結部材によって固定されている。踏板受材74は、桁材72,72に固定された状態で水平になる上端面74aを有している。上端面74aには、踏板71を固定するためのボルトB6が挿通される貫通孔74bが形成されている。
図17の(a)に示すように、踏板71は、断面横長長方形状のアルミニウム合金製の押出形材からなり、その内部には、補強リブ71a,71aが長手方向に沿って形成されている。踏板71の内側底部には、ナットNを係止する溝71bを形成するための一対の凸条71c,71cが形成されており、溝71bの底部には、踏板71を踏板受材74に固定するためのボルトB6が挿通される貫通孔71dが形成されている。踏板71を踏板受材74に固定するに際しては、溝71bの所定位置にナットNを挿入して係止しておき、踏板受材74の下側から、ボルトB6を、踏板受材74の貫通孔74bおよび踏板71の貫通孔71dに挿通させてナットNに螺合させる。
なお、踏板71の長手方向(階段70の幅方向)両端には、蓋部材71eがねじによって固定されている。
図1および図3に示すように、手摺73は、踏板71の端部に固定された支柱部73aと、上下方向に隣り合う支柱部73a,73a間に架け渡して設けられる手摺部73bと、格子部73cとで構成されている。
桁材72は、下部が基礎Kに固定されたベースプレート75にボルトB7およびナット(図示せず)によって連結されている。本実施形態では、桁材72が固定される基礎Kは、土地の地盤形状に応じて階段が形成されており、階段70の設置レベルの調整を行うようになっている。このような構成によれば、階段70の桁材72や手摺73の寸法を統一することができ、生産性の向上を図れる。
図1、図3および図17に示すように、桁材72の上部は、補強部材30に連結されて支持されている。具体的には、補強部材30の外周面に、階段70を固定するためのサポートシュー76が設けられ、桁材72の上端部下側に、ブラケット77が設けられ、サポートシュー76とブラケット77とは、ジョイント材78を介して連結されるようになっている。
サポートシュー76は、補強部材30のみぞ形部材31のウェブ部31bの外側面に取り付けられている。サポートシュー76は、ウェブ部31bに当接するベース部76aと、ジョイント材78をその厚さ方向両側から挟持する一対の挟持プレート76b,76bとで構成されている。ベース部76aには、補強部材30に固定するためのボルトB8が挿通する貫通孔76cが形成されている。挟持プレート76b,76bは、ジョイント材78の厚さ分の間隔を空けて配置されており、高さ方向中間部に、ジョイント材78を固定するためのボルトB9が挿通する貫通孔76dが形成されている。ここで、ジョイント材78は、サポートシュー76に一本のボルトB9で固定されているので、このボルトB9を中心に回転可能である。これによって、階段70の振動や、桁材72や支柱50の熱収縮を吸収することができる。
ブラケット77は、桁材72とジョイント材78とを、その厚さ方向両側から挟持する一対のプレート材77a,77aにて構成されている。プレート材77aは、桁材72と当接する部分と、ジョイント材78と当接する部分とが段部77bを介して一体的に形成されている。桁材72と当接する部分と、ジョイント材78と当接する部分には、それぞれ桁材72とジョイント材78をそれぞれ挟持するためのボルトB10,B10用の貫通孔77cがそれぞれ複数形成されている。なお、このブラケット77で、桁材72を挟持するときは、桁材72の内部に、スペーサ79を挿入してボルトB10、ナットNを締め付けることで、桁材72の変形を防止できる。
ジョイント材78は、サポートシュー76から斜め上方に延びるように構成されており、桁材72の長手方向に対して略直交している。
なお、図17では、階段70を補強部材30の外周面に固定する形態を示しているが、階段70の固定構造は、これに限られるものではない。例えば、階段70が床面11の長手方向(建築物2の壁面に平行な方向)の端部に設けられる場合には、階段70の桁材72を根太12に固定するようにしてもよい。
この場合、図18に示すように、根太12の側部(床面11の内側)に断面L字状の一対のアングル材からなるサポートシュー80が固定されている。サポートシュー80は、根太12から下方に延出して設けられており、その下部で桁材72を固定する。すなわち、桁材72の上部は、根太12から吊り下げられて固定されているようになっている。サポートシュー80は、一つの桁材72に対して一対ずつ設けられており、その下部で桁材72を厚さ方向両側から挟持するように構成されている。サポートシュー80の下部には、ボルト用の貫通孔80aが上下方向に二箇所形成されている。サポートシュー80で、桁材72を挟持するときは、桁材72の内部に、スペーサ79を挿入してボルトB10、ナット(図示せず)を締め付けることで、桁材72の変形を防止できる。
(デッキ構造物の構築手順)
このような構成のデッキ構造物1を構築するに際しては、まず、支柱50とトラス構造体20を組み立てる。
まず、支柱50を組み立てるには、図13および図16に示すように、支柱50の支柱本体部51の下端部に、挿入部52を挿入した後に、ボルトB3を支柱本体部51の四面方向から貫通孔51dに挿入して、挿入部52のネジ穴52dに螺合させて固定する。ここで、ネジ穴52dが設けられている部分は、厚肉に形成されているので、ボルトB3の締付力に対抗することができ、支柱本体部51と挿入部52との固定強度を高めることができる。また、中空部52aの内方に延出するリブ52eを十字状に連結して形成されたリブ連結体52fによって、挿入部52の強度が向上し、支柱50全体の強度向上が達成されている。その後、ベースプレート53を支柱50の下部に当接させた後に、下側からボルトB4をベースプレート53のボルト用貫通孔53aに挿入して、挿入部52の下端部の四隅に形成されたネジ穴52hに螺合させて固定する。このとき、ネジ穴52hが設けられている部分は、その周囲が厚肉に形成されているので、ボルトB4の締付力に対抗することができ、ベースプレート53と挿入部52との固定強度を高めることができる。また、ボルト用貫通孔53aの底部には、拡径部53bが形成されているので、ボルトB4の頭部が収容されて、ベースプレート53の下方に突出することがない。
その後、図13および図15に示すように、支柱50の支柱本体部51の上端部に、挿入部52を挿入した後に、ボルトB3を支柱本体部51の四面方向から貫通孔51dに挿入して、挿入部52のネジ穴52dに螺合させて固定する。このとき、補強部材30が取り付けられる面には、接続ブラケット33を支柱本体部51に当接させた状態で、その外側からボルトB3を挿入して、接続ブラケット33、支柱本体部51および挿入部52を一体的に固定しておく。ここで、ネジ穴52dが設けられている部分は、厚肉に形成されているので、ボルトB3の締付力に対抗することができ、支柱本体部51と挿入部52との固定強度だけでなく、補強部材30と支柱50との固定強度も高めることができる。
以上説明した支柱50の構築は、工場で予め行ってもよいし、施工現場で建方前に行ってもよい。
トラス構造体20を構築するには、図8および図13に示すように、上弦材21、下弦材23およびラチス材25をハブ26にそれぞれ接続する。このとき、ハブ26では、接続溝26aに、上弦材21(下弦材23)の接続端部21a(23a)およびラチス材25の接続端部25aを嵌合するだけで、上弦材21、下弦材23およびラチス材25を所定の角度で連結することができる。また、溶接や特別な工具を必要としないので、施工性が非常に良好である。また、ハブ26では、上下面にワッシャ26e,26e等が取り付けられているので、これらワッシャ26e,26e等が蓋の役目を果たし、上弦材21、下弦材23およびラチス材25の抜け出しを防止することができる。
特に、下面フレーム24に用いられるハブ26であって、支柱50に接続される部分のハブ26では、その下面に蓋プレート材27が取り付けられ、上面にワッシャ26eが取り付けられているので、蓋プレート材27とワッシャ26eが蓋の役目を果たし、下弦材23およびラチス材25の抜け出しを防止することができる。
また、上面フレーム22に用いられるハブ26では、その上面に根太12が取り付けられ、下面にワッシャ26eが取り付けられているので、根太12とワッシャ26eが蓋の役目を果たし、上弦材21およびラチス材25の抜け出しを防止することができる。また、根太12は、隣り合うハブ26同士を連結することとなるので、床材10を支持するだけでなく、補強部材の役目を果たすこととなり、トラス構造体20の強度を向上させることができる。
なお、補強部材30の上部に配置されるハブ26は、上面にワッシャ26eを設け、下面にワッシャ26fを設け、ボルトB1およびナットNで仮止めしておく。
以上説明したトラス構造体20の構築は、工場で予め行ってもよいし、施工現場で建方前に行ってもよい。なお、工場でトラス構造体20を組み立てる場合は、所定の大きさごとに分割して組み立てておき、それらブロックを現場で連結させるようにしてもよい。このようにすれば、運搬や取回しが容易となる。
次に、図16に示すように、支柱50を基礎K上に建て込んで、基礎Kから延びるアンカーボルト54(図16参照)をボルト用貫通孔53cに挿通させて、ナットNで締め付ける。このとき、ボルトB4の頭部がベースプレート53の下方に突出していないでの、基礎Kに切欠き等を形成する必要はなく、施工性が良好である。
そして、図6および図13に示すように、四本の支柱50を固定した後、補強部材30を支柱50間に架け渡して固定する。具体的には、蓋プレート32を取り付けていない状態のみぞ形部材31を、支柱50,50間に架け渡して、ウェブ部31bの内側面を接続ブラケット33に当接させた後に、ボルトB5をみぞ形部材31の外側から貫通孔31cと接続ブラケット33の貫通孔33aに挿通させてナットNによって締め付けて固定する。その後、蓋プレート32を、みぞ形部材31にその開口部側から押し付けて、みぞ形部材31に一体的に固定する。これによって角パイプ状の補強部材30が形成される。ここで、補強部材30の両端部の開口部は、支柱本体部51の面と当接している接続ブラケット33の平板部によって塞がれる。
その後、図9および図10に示すように、トラス構造体20を支柱50上に建て込んで、ハブ26を支柱50の上に載置する。このとき、挿入部52のリブ連結体52fの上端部には、切欠き部52g(図15の(c)参照)が形成されているので、ハブ26の下端部から突出するボルトB1の先端部とナットNが、挿入部52と干渉することなく、切欠き部52gに収容される。
そして、ハブ26の下面に取り付けられた蓋プレート材27の上方から、ボルトB2を蓋プレート材27のボルト用貫通孔27bに挿通させて、支柱50の挿入部52のネジ穴52hに螺合することで、トラス構造体20が支柱50に固定される。
このように、ハブ26の下面に、ハブ26の外周面よりも外側に広がる蓋プレート材27を設けているので、その蓋プレート材27の上側からボルトB2を螺合させるだけで、ハブ26を支柱50に固定することができ、固定の施工が非常に簡単である。また、上弦材21、下弦材23およびラチス材25を、工場または現場の地上で一体的に組み立てておき、一体的に固定した状態でトラス構造体20を持ち上げて支柱50に固定できるので、トラス構造体20の組立作業を短時間で出来るとともに、現場での高所作業を大幅に短縮でき、固定作業の施工時間も大幅に短縮できるので、全体での施工時間も短縮できる。
一方、補強部材30上のハブ26は、仮止めしておいたナットNを一旦外して、ボルトB1を、補強部材30のみぞ形部材31のフランジ部31aの貫通孔31dまで挿通させ、ナットNで締め付けることによって、ハブ26が補強部材30に固定される。このように、下面フレーム24の外周縁に位置するハブ26は、補強部材30に固定されるので、下面フレーム24の強度が大幅に向上し、トラス構造体20全体としての強度も大幅に向上する。また、このハブ26の下部のワッシャ26fは、蓋フレーム材27と同じ厚さでスペーサの役目も果たすので、下面フレーム24の平面度が保持され、トラス構造体20の強度が低下することはない。
さらに、支柱50は補強部材30が架け渡されているので、支柱50と補強部材30とで、強度が高い門型の架構を構成することができる。したがって、組み立てられたトラス構造体20は、この架構の上部に設けられることになるので、デッキ構造物1全体としての強度が高くなるとともに、トラス構造体20を支柱50上に載置した際の安定度が非常に高く、固定作業が行いやすい。
次に、トラス構造体20の上部に床材10および手摺90を順次敷設していく。この時点で、トラス構造体20の上部には根太12が所定位置に固定されているので、根太12の位置決めや固定などの現場における作業手間を大幅に省略することができる。さらに、根太12は、ハブ26の上部に固定して設けられているので、取付間隔の精度が高く、また、固定強度も高い。
床材10および手摺90の施工が終了したならば、最後に、階段70を取り付ける。階段70は、工場あるいは施工現場にて、踏板71と桁材72と手摺73とを予め組み立てて一体化しておく。補強部材30のウェブ部31bにサポートシュー76を取り付けるとともに、桁材72にブラケット77とジョイント材78を取り付けておく。そして、階段70を建て込んで、桁材72の下端部を基礎Kに固定するとともに、ジョイント材78をサポートシュー76に固定する。このとき、ジョイント材78は、サポートシュー76に一本のボルトB9で固定されているので、施工現場における作業手間を大幅に省略することができる。さらに、階段70は、ボルトB9を介してサポートシュー76にピン結合されることになるので、階段70の振動や、桁材72や支柱50の熱収縮を吸収することができる。
以上示したように、本実施形態に係るデッキ構造物1によれば、長尺の補強部材30を下弦材23の下方にその長手方向に沿って設けることで、高強度および優れた外観を備えたトラス構造体20の強度をさらに大きくできる。特に、本発明では、補強部材30は長尺の部材であって、特許文献1に示した従来の補強部材のように板状ではないので、床面11の寸法が大きい場合でも、補強部材30の運搬や取回しが容易で、施工容易性が高くなり、大きい床面積の床や種々の形状の床に対応可能となる。
また、このようなデッキ構造物1は、ベースとなる部分がトラス構造体20で構成されているので、ねじり剛性や曲げ剛性が大きく、しかも全体の軽量化を図ることができる。さらに、本実施形態に係るデッキ構造物1は、トラス構造体20、支柱50、床材10の基材10aや根太12等の構造材の主要な部分が、アルミニウム合金製の押出形材によりそれぞれ形成されているので、軽量で高い強度が得られるとともに、日光による劣化や風雨による腐食がなく高い耐久性を得ることができる。
さらに、本実施形態に係るデッキ構造物1は、上面フレーム22が、上弦材21を格子状に連結してなり、下面フレーム24が、隣り合う上弦材21,21の中間の下方に位置する複数の下弦材23を互いに連結してなるので、下面フレーム24が上面フレーム22よりも平面視で小さくなる。したがって、基礎K上における支柱50を設置するスペースを小さくできる。
また、トラス構造体20は、上面から下面に向けて、すぼまる形状、すなわち、側面視で逆三角形状や逆台形状を呈する。したがって、外観に優れ、意匠的効果を発揮することができる。さらに、上面フレーム22および下面フレーム24は、それぞれ正方形組22a,24aを組み合わせて形成されており、ラチス材25は、平面視で正方形組22a,24aを45度回転した正方形を呈しているので、トラス構造体20は、幾何学的で斬新な印象を与えることができる。
さらに、補強部材30は、下面フレーム24の外周縁を補強することで、下面フレーム24を面として補強することができ、トラス構造体20のねじり剛性や曲げ剛性をさらに大きくすることができる。
また、上弦材21および下弦材23には、ハブ(節点部材)26が取り付けられ、ラチス材25は、ハブ26に連結されているので、トラス構造体20を容易に構築できる。また、上弦材21、下弦材23、ラチス材25の寸法や構成数を変更することにより、種々の床面積および形状の床面11に柔軟に対応することができる。
さらに、ハブ26が、その高さ方向に沿ってボルト用貫通孔26bが形成されており、支柱50が、その上端にボルト用貫通孔26bと連通するように設けられたボルト用貫通孔27aを有する蓋プレート材27(蓋部)を有しているので、各ボルト用貫通孔26b,27aにボルトB1を貫通させてナットNで締め付けるだけで、ハブ26と蓋プレート材27とを容易に連結することができる。
また、支柱50が、少なくとも上下両端部に中空部51aを有する支柱本体部51と、上下の中空部51aに挿入される挿入部52とを備え、挿入部52は、その上面にネジ穴52hを有し、蓋プレート材27は、挿入部52の上面のネジ穴52hと連通するように設けられたボルト用貫通孔27bを有し、ネジ穴52hおよびボルト用貫通孔27bを用いて挿入部52と蓋プレート材27とが連結されてので、予めハブ26の下面に取り付けられた蓋プレート材27の上部から挿入部52に向かってボルトB2を挿入して螺合させるだけで、支柱50とハブ26とを容易に連結することができ、施工の手間と時間を大幅に低減できる。
さらに、挿入部52の四隅は、内側に突出して厚肉に形成されており、その厚肉部分には、ネジ穴52hが支柱50の長手方向に沿ってそれぞれ形成されているので、サイズの大きいボルトB2を用いることが出来るとともに、ネジ穴52hの周囲が厚肉になるので、ハブ26と支柱50との固定強度を高めることができる。
以上のように、支柱本体部51の上下の中空部51aに挿入部52を挿入して集中的に補強しているので、支柱50と補強部材30およびハブ26との必要な固定強度を得られるとともに、支柱本体部51の中間部分は必要以上に断面積が大きくなることがない。したがって、支柱50の重量を必要最低限とすることができ、デッキ構造物1の軽量化を図ることができる。
挿入部52が、中空部52aを有しており、ネジ穴52dが設けられる部分は厚肉に形成されて補強されているので、補強部材30の重量が大きくても、挿入部52の厚肉部での強度が大きいので支持強度が高く、補強部材30を確実に支持することができる。したがって、高強度の補強部材30を設けることができるので、床面積が大きい場合でも、対応することが可能である。
また、補強部材30は、接続ブラケット33を介して支柱本体部51に連結されており、挿入部52は、その側面にネジ穴52dを有し、支柱本体部51は、その側面に貫通孔51dを有し、接続ブラケット33は、貫通孔33bを有し、これら貫通孔33bおよび貫通孔51dにボルトB3を挿通させてネジ穴52dに螺合させるだけで、支柱50に接続ブラケット33を容易に固定できる。また、接続ブラケット33は貫通孔33aを有し、補強部材30は、貫通孔31cを有し、これら貫通孔33aおよび貫通孔31cにボルトB5を挿通させてナットNで螺合するだけで、補強部材30と支柱50とを容易に連結することができ、施工の手間と時間を大幅に低減できる。
階段70は、踏板71と、この踏板71を支持する桁材72とを備え、桁材72は、補強部材30に連結されて支持されているので、トラス構造体20に局所的に力が加わらず、トラス構造体20は、高強度で構造的に安定した状態で床材10および手摺90を支持することができる。
また、補強部材30の外周面に、階段70を固定するためのサポートシュー76が設けられ、桁材72の上端部下側に、ブラケット77が設けられ、サポートシュー76とブラケット77とは、ジョイント材78を介して連結されているので、階段70の位置調整を容易に行えるとともに、ボルト・ナットなどの汎用的な締結部材で階段70を補強部材30に容易に連結することができ、施工の手間と時間を大幅に低減できる。
以上のように、本実施形態によれば、トラス構造体20が有する高強度および優れた外観という特性を活かしながら、大きい床面積の床や種々の形状の床に対応することができるとともに、デッキ構造物1を容易に施工することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。例えば、本実施形態では、階段70を有するデッキ構造物1を例に挙げて説明したが、階段を有さないものであってもよいのは勿論である。
また、本実施形態では、建築物2に隣接して設置されるバルコニーとして適用される形態を例に挙げて、デッキ構造物1を説明したが、これに限られるものではなく、種々のケースに適用可能である。例えば、建築物とは独立して駐車スペースの上部に屋根を設けるデッキ構造物として利用してもよい。