JP2009022517A - 穿刺具 - Google Patents

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Hideaki Nakamura
秀明 中村
Masao Karube
征夫 輕部
Masao Goto
正男 後藤
Tomoko Ishikawa
智子 石川
Toshihisa Osaki
寿久 大▲崎▼
Takahiko Kitamura
貴彦 北村
Shingo Kaimori
信吾 改森
Hiroto Nakajima
裕人 中嶋
Takeshi Fujimura
剛 藤村
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

【課題】 減圧器具による吸着が容易に解除されて、血液採取部からの離脱が簡単な穿刺具を得、採血量の増大を抑止し、穿刺負担を軽減する。
【解決手段】 穿刺用器具を有する穿刺具本体の前端面に弾性材料からなる吸盤を設けた穿刺具100であって、穿刺用器具100の挿通される貫通孔23を軸線方向に穿設した軸部19と、この軸部19の先端に連設され前面が凹面21aに形成されるとともに貫通孔23に通じて穿刺用器具Nを突出可能とする試料採取口25が凹面21aの中央に開口される吸着部21と、前面が閉塞されて負圧となった凹面内部を大気開放する吸着解除手段31とによって構成した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、突出させた穿刺用器具で穿刺して血液を採取する穿刺具に関する。
近年、採血により得られた血液を測定することによって各種疾患等の診断が可能となってきている。また、糖尿病患者の増加に伴い、日常の血糖値の変動を患者自身が採血によってモニターする自己血糖測定が推奨されている。これらの採血は、通常、穿刺用器具を備えた穿刺具を用いて行われる。穿刺具による穿刺は、痛みを伴うことから、苦痛、負担を小さくすることが好ましい。一方で穿刺が不十分であると、所定の血液量を採取できず測定に失敗する場合がある。そこで、血液の採取を良好にして測定成功率を高めるために、穿刺用器具で穿刺した後、ポンプ等の吸引手段を作動させて減圧し、穿刺孔から血液を吸い出す装置が提案された(例えば特許文献1,2参照)。
これらの装置では、まず、穿刺具を装置へ装填し、器具突出部に指先を押し当て、その開口を気密状態となるように封止する。次いで、開口から突出する穿刺用器具により指先を穿刺した後、この状態で吸引手段を作動させ、穿刺孔から血液を吸い出し採取する。これにより、穿刺による苦痛、負担を小さくしながら、十分な血液が得られるようにして、血液の測定成功率を高めることを可能としていた。
特開2000−014662号公報 特許第3668482号
しかしながら、従来の穿刺具を使用する穿刺装置は、吸引手段を備え、穿刺後にこの吸引手段を作動させて減圧し、血液を吸い出すことにより血液の採取を良好にし、測定成功率を高めるようになされていたが、装置内全体を減圧するポンプを内蔵するため、装置が高価且つ大型となった。また、穿刺後、或いは穿刺前後に渡ってこの減圧ポンプを作動させなければならないため、操作が煩雑となり、測定を簡便に行えない問題があった。さらに、減圧ポンプにより装置内全体を減圧して吸引するため、採血量が増大する問題も包含していた。これに対し、温度変化による容積減少や弾性変形にて内部圧力を減じ、この減圧によって血液採取部から血液を吸引する器具等の使用も考えられるが、減圧下での真空吸着状態が解除し難いため、血液採取部からの器具の容易な離脱が困難となり、採血量の増大が予想された。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、真空吸着が容易に解除され、血液採取部からの離脱が簡単な穿刺具を提供し、もって、採血量の増大を抑止し、穿刺負担の軽減を図ることを目的とする。また、係る穿刺具を一体に備えたバイオセンサカートリッジを提供し、もって、穿刺具によって採取された試料の反応部への供給を容易化することを目的とする。さらに、係るバイオセンサカートリッジを装填可能にして試料中の生体物質を測定するバイオセンサ測定装置を提供し、もって、短時間でしかも簡単に行える測定の実現を目的とする。
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 穿刺用器具を有する穿刺具本体の前端面に弾性材料からなる吸盤を設けた穿刺具であって、
前記穿刺用器具の挿通される貫通孔を軸線方向に穿設した軸部と、
該軸部の先端に連設され前面が凹面に形成されるとともに前記貫通孔に通じて前記穿刺用器具を突出可能とする試料採取口が前記凹面に開口される吸着部と、
前面が閉塞されて負圧となった前記凹面内部を大気開放する吸着解除手段と、
を具備した穿刺具。
この穿刺具によれば、血液採取部に押圧されると、吸盤吸着部の凹面が閉鎖されると同時に、吸着部、軸部が弾性変形し、凹面内部空間の空気が排出され、それと同時に、凹面中央部の試料採取口から穿刺用器具が突出され、血液採取部を穿刺する。穿刺後、吸着部、軸部の弾性復元力によって穿刺用器具が血液採取部から抜かれるが、凹面内部空間は吸盤作用によって開放されずに減圧される。この減圧によって穿刺孔から吸引された血液が穿刺用器具近傍の試料採取口へ導かれる。血液を試料採取口に採取した吸着部は、吸着解除手段によって凹面内部が大気開放され、真空吸着状態が解除される。
(2) 前記貫通孔に連通する排気路が形成され、
該排気路には閉塞された前記凹面内部の加圧に応じ開き減圧に応じ閉じる逆流防止弁が設けられた(1)に記載の穿刺具において、
前記吸着解除手段が、
前記逆流防止弁を開く押圧杆である穿刺具。
この穿刺具によれば、穿刺具本体の前端が血液採取部に押圧されると、吸盤吸着部の凹面が閉鎖されると同時に、吸着部、軸部が弾性変形し、凹面内部空間が加圧される。この加圧空気は、試料採取口、貫通孔、排気路を通り、逆流防止弁から外部へ排出される。これにより、吸盤の血液採取部への押圧がスムースに可能となる。穿刺後には吸着部、軸部の弾性復元力によって穿刺用器具が血液採取部から抜かれ、凹面内部空間が減圧状態へ移行されるが、それと同時に逆流防止弁が排気路を閉鎖し、吸着部が吸盤作用によって開放されずに減圧され、血液採取部に密着状態となる。この減圧によって穿刺孔から吸引された血液が穿刺用器具近傍の試料採取口へ導かれる。血液を試料採取口に採取した吸着部は、押圧杆によって逆流防止弁が開かれることによって、凹面内部が大気開放され、真空吸着状態が解除される。
(3) 前記吸着解除手段が、
前記吸着部に穿設された吸気路と、
該吸気路を開放可能に封止する粘着蓋と、
から成る(1)に記載の穿刺具。
この穿刺具によれば、穿刺具本体の前端が血液採取部に押圧されると、吸盤吸着部の凹面が閉鎖されると同時に、吸着部、軸部が弾性変形し、凹面内部空間が加圧される。この加圧空気は、試料採取口、貫通孔、排気路を通り、逆流防止弁から外部へ排出される。粘着蓋によって封止された吸気路からは加圧空気は排出されない。これにより、吸盤の血液採取部への押圧がスムースに可能となる。穿刺後には吸着部、軸部の弾性復元力によって穿刺用器具が血液採取部から抜かれ、凹面内部空間が減圧状態へ移行されるが、それと同時に逆流防止弁が排気路を閉鎖し、吸着部が吸盤作用によって開放されずに減圧され、血液採取部に密着状態となる。粘着蓋によって封止された吸気路からは外気の流入することがない。この減圧によって穿刺孔から吸引された血液が穿刺用器具近傍の試料採取口へ導かれる。血液を試料採取口に採取した吸着部は、粘着蓋が剥がされ、吸気路から外気が流入し、凹面内部が大気開放されることで、減圧下での真空吸着状態が解除される。
(4) 前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の穿刺具と、
センサ電極と電気的に接続するように形成され試料中の生体物質が供給される反応部を有するセンサチップと、
を備えることを特徴とするバイオセンサカートリッジ。
このバイオセンサカートリッジによれば、吸着部の吸盤作用によって凹面内部空間が減圧されることにより血液採取部から吸引した試料をセンサチップの反応部へ容易に供給可能となる。
(5) 前記請求項4に記載のバイオセンサカートリッジを装填可能にし、前記穿刺具の穿刺用器具を被検体に穿針して採取した試料中の生体物質を測定することを特徴とするバイオセンサ測定装置。
このバイオセンサ測定装置によれば、前述したバイオセンサカートリッジによって試料を採取して測定を行うので、穿刺から測定までを一連の動作として実施して、容易かつ確実に測定を行うことができる。
本発明に係る穿刺具によれば、穿刺具本体の前端面に吸盤を設け、この吸盤を、穿刺用器具の挿通される軸部と、前面が凹面に形成される吸着部と、閉塞されて負圧となった凹面内部を大気開放する吸着解除手段とで構成したので、穿刺後、吸着部、軸部の弾性復元力によって、凹面内部空間が吸盤作用によって開放されずに減圧され、この減圧によって吸引された血液が穿刺用器具近傍の試料採取口へ導かれる。血液を採取した吸着部は、吸着解除手段によって凹面内部が大気開放され、真空吸着状態が解除されることにより、血液採取部からの容易な離脱を可能にし、採血量の増大を抑止できる。
以下、本発明に係る穿刺具の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る穿刺具の軸線と平行な断面図である。
この実施の形態による穿刺具100は、穿刺具本体11と、吸盤13とに主要な基本構成が大別されてなる。穿針具本体11は穿針用器具Nを有する。つまり、この実施の形態では、略柱状に形成された穿刺具本体11には軸線方向に挿通孔15が穿設され、挿通孔15は穿刺用器具Nを挿通している。穿刺用器具Nは、不図示の基端が穿刺具本体11に固定されるとともに、挿通孔15に遊嵌され、穿刺具本体11の前端面から突出されている。この穿刺用器具Nとしては、例えば針、ランセット(lancet;槍状刀)針、カニューレ(cannula;套管)等が挙げられる。
穿刺用器具Nを挿通孔15から突出させた穿刺具本体11の前端面には吸盤13が同軸状に固着され、吸盤13は弾性材料からなる。この弾性材料としては、天然ゴム、合成ゴム、スポンジのいずれかを含有する。合成ゴムとしては、少なくともシリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴムのいずれかを含有することが好ましい。具体的には、シリコーン、ウレタン、アクリル、エチレン、スチレン等のポリマー単体若しくは共重合したポリマーからなるゴム若しくはスポンジ、ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン及びパーフルオロアルコキシエチレンとポリフルオロエチレンの共重合体であるPFA等のフッ素樹脂などを利用できる。
吸盤13は、軸部19と、吸着部21とからなる。穿刺具本体11と略同一径で形成された柱状の軸部19には軸線方向に貫通孔23が穿設され、貫通孔23は挿通孔15と同軸に接続される。
軸部19の先端には円形状の吸着部21が連設され、吸着部21は前面が凹面21aに形成される。吸着部21は、外周縁に向かって徐々に肉薄に形成され、凹面21aが所謂すり鉢状内面となる。凹面21aの中央には試料採取口25が開口され、試料採取口25は貫通孔23に通じて穿刺用器具Nを突出可能としている。
軸部19の貫通孔23には挿通孔15から突出された穿刺用器具Nが挿通され、穿刺用器具Nは試料採取口25より奥側に先端が配置されている。つまり、通常時、穿刺用器具Nは試料採取口25から突出されていない。軸部19及び吸着部21は、上記した弾性材料からなることで軸線方向に圧縮変形可能となる。したがって、穿刺具本体11が血液採取部M(図2参照)に押圧されると、血液採取部Mからの反力によって、吸着部21及び軸部19が軸線方向に圧縮変形され、穿刺用器具Nの先端が試料採取口25から所定長で突出されるようになっている。ここで言う所定長とは、血液採取部Mから必要最小量の血液を得るために必要な穿刺深さを言う。
吸着部21の凹面21aには複数の環状突起17が同心円状に突設され、環状突起17は吸着部21の押圧変形過程において、凹面21aを外周側から段階的に密閉状態として行く。つまり、血液採取部Mに対する密着性を押圧過程において確実に向上させることができる。また、減圧状態では、外部から中央へ流入する空気を多段的に遮断して密着性を向上させることができる。吸盤は、図1に示したように多数の環状突起17を形成する他、図3に示す吸盤13のように、凹面21aの外周縁と、試料採取口25の周囲とに2つの環状突起17a,17bを形成してもよい。なお、吸着部21の凹面21aは、環状突起17を突設しない平坦なすり鉢面状としてもよい。
穿刺具本体11には排気路27が穿設され、排気路27は穿刺具本体11の半径方向に延在して、一端を挿通孔15に開口し、他端を穿刺具本体11の外周面で外部に開口している。つまり、排気路27は、挿通孔15と外部とを連通させている。この排気路27には逆流防止弁29が設けられ、逆流防止弁29は本実施の形態では穿刺具本体11の外周に開口する排気路27の出口近傍に形成されている。逆流防止弁29は、例えばシリコンなどの薄厚弾性シート片からなり、外周の一部が穿刺具本体11に固着され、排気路27の開口を塞いでいる。すなわち、逆流防止弁29は、排気路27から空気を排出する一方、外部から排気路27への外気の進入は阻止する。これにより逆流防止弁29は、閉塞された凹面21a内部の加圧に応じ開き、減圧に応じ閉じるように作動する。
このように、逆流防止弁29を備えた穿刺具100では、穿刺具本体11の前端が血液採取部Mに押圧されると、吸盤吸着部21の凹面21aが閉鎖されると同時に、吸着部21、軸部19が弾性変形し、凹面21aの内部空間が加圧される。この加圧空気は、試料採取口25、貫通孔23、挿通孔15、排気路27を通り、逆流防止弁29から外部へ排出される。これにより、吸盤13の血液採取部Mへの押圧がスムースに可能となる。また、吸盤周縁から排気がなされることによる吸盤13の横滑りがなくなる。穿刺具100は、穿刺後に、吸着部21、軸部19の弾性復元力によって穿刺用器具Nが血液採取部Mから抜かれ、凹面内部空間が減圧状態へ移行されるが、それと同時に逆流防止弁29が排気路27を閉鎖し、吸着部21が吸盤作用によって血液採取部Mに密着状態となる。
穿刺具100には吸着解除手段が設けられ、吸着解除手段は前面が閉塞されて負圧となった凹面21aの内部を大気開放する。この吸着解除手段は、逆流防止弁29を開く押圧杆31とすることができる。押圧杆31は、気密シール構造で軸部19を直径方向で貫通し、一端を逆流防止弁29に当接し、他端を軸部19の外周から突出させたものとできる。また、押圧杆31は、軸部19を貫通せずに、軸部19の外周に沿って可動自在に設けられてもよい。
穿刺具100は、穿刺具本体11の後部に、導入血液の反応部、検知用電極等を設けることができる。このような複合構成とした場合、穿刺具100の全体は、穿刺用器具・センサチップ一体型穿刺具であるバイオセンサカートリッジとすることができる。
なお、上記実施の形態では、穿刺具本体11の挿通孔15は、穿刺用器具Nを挿通しているとしたが、穿刺用器具Nは、挿通孔15が省略されて、穿刺具本体11の前端面から突出した形態としてもよい。このような構成では、排気路27は吸盤13の軸部19に形成できる。
上記穿刺具100の作用を説明する。
図2は吸着解除された穿刺具の断面図である。
穿刺具100は、血液採取部Mに押圧されると、吸盤吸着部21の凹面21aが閉鎖されると同時に、吸着部21、軸部19が弾性変形し、凹面内部空間の空気が排出され、それと同時に、凹面中央部の試料採取口25から穿刺用器具Nが突出され、血液採取部Mを穿刺する。穿刺後、吸着部21、軸部19の弾性復元力によって穿刺用器具Nが血液採取部Mから抜かれるが、凹面内部空間は吸盤作用によって開放されずに減圧される。この減圧によって穿刺孔hから吸引された血液Bが穿刺用器具近傍の試料採取口25へ導かれる。血液Bを試料採取口25に採取した穿刺具100は、押圧杆31が軸部19の直径方向一端側から押圧力xで押される。これにより、逆流防止弁29が開かれ、外部のairが排気路27を介して流入することで、凹面内部が大気開放され、真空吸着状態が解除される。
この穿刺具100によれば、穿刺具本体11の前端面に吸盤13を設け、穿刺具100は、穿刺用器具Nの挿通される軸部19と、前面が凹面21aに形成される吸着部21と、閉塞されて負圧となった凹面内部を大気開放する押圧杆31とを備えたので、穿刺後、吸着部、軸部の弾性復元力によって、凹面内部空間が吸盤作用によって開放されずに減圧され、この減圧によって吸引された血液が穿刺用器具近傍の試料採取口へ導かれる。血液を採取した吸着部は、吸着解除手段によって凹面内部が大気開放され、真空吸着状態が解除されることにより、血液採取部からの容易な離脱を可能にし、採血量の増大を抑止できる。
次に、第2の実施の形態に係る穿刺具200を説明する。
図3は第2の実施の形態に係る穿刺具の断面図である。なお、以下の各実施の形態において、図1,図2に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
この穿刺具200は、吸着解除手段が、吸着部21に穿設された吸気路33と、この吸気路33を開放可能に封止する粘着蓋35とからなる。粘着蓋35は、ゲル粘着テープを貼着して、粘着性を付与することができる。ゲル粘着テープを用いることで、吸着解除時の剥離性を良好にしつつ、高い気密性を確保して、空気を漏れ難くできる。
図4は吸着解除された第2の実施の形態に係る穿刺具の断面図である。
この穿刺具200では、前端が血液採取部Mに押圧されると、吸盤吸着部21の凹面21aが閉鎖されると同時に、吸着部21、軸部19が弾性変形し、凹面内部空間が加圧される。加圧空気は、試料採取口25、貫通孔23、挿通孔15、排気路27を通り、逆流防止弁29から外部へ排出される。粘着蓋35によって封止された吸気路33からは加圧空気は排出されない。穿刺後には吸着部21、軸部19の弾性復元力によって穿刺用器具Nが血液採取部Mから抜かれ、凹面内部空間が減圧状態へ移行されるが、それと同時に逆流防止弁29が排気路27を閉鎖し、吸着部21が吸盤作用によって開放されずに減圧され、血液採取部Mに密着状態となる。粘着蓋35によって封止された吸気路33からは外気の流入することがない。この減圧によって穿刺孔hから吸引された血液Bが穿刺用器具近傍の試料採取口25へ導かれる。
血液Bを試料採取口25に採取した吸着部21は、スライド部37が力yで引っ張られることにより、粘着蓋35が剥がされ、吸気路33から外部のairが流入し、凹面内部が大気開放され、真空吸着状態が解除される。また、粘着蓋35が開かれることで、凹面内部にairが直接流入するため、試料採取口25に流入した血液Bが逆流しない。さらに、血液Bが逆流しないので、血液採取部Mへの血液Bの付着を少なくすることができる。
したがって、この穿刺具200によれば、血液採取部Mからの容易な離脱を可能にし、採血量の増大を抑止できるとともに、採取血液の保持性も高めることができる。
次に、第3の実施の形態に係る穿刺具300を説明する。
図5は第3の実施の形態に係る穿刺具の前端面を(a)、軸線と平行な断面を(b)に表した構成図である。
この穿刺具300は、試料採取口25の周縁に環状突起39を突設し、その外側に環状凹部41を凹設するとともに、吸着部21Aの外周に肉厚の密着縁部43の延設された吸盤13Aを有する。
この穿刺具300によれば、血液Bが逆流しないので、血液採取部Mへの血液Bの付着を少なくすることができ、血液採取部Mからの容易な離脱を可能にし、採血量の増大を抑止できる。これに加え、密着縁部43により密接面積を増大させ、空気の流入を生じ難くし、密着性を高めることができる。また、環状凹部41を備えるので、排気量を増大させ、吸着性を良好にできる。
次に、第4の実施の形態に係る穿刺具400を説明する。
図6は逆流防止弁が異なる第4の実施の形態に係る穿刺具を(a)、その変形例を(b)に表した構成図である。
この穿刺具400は、吸盤13Bと穿刺具本体11Bとが上記の穿刺具100と異なる。吸盤13Bは、吸着部21と軸部57とからなる。
軸部57は、上記同様の弾性材料からなり、軸線方向両端が小径、軸線中央部が大径となったソロバン玉形状に形成される。軸部57の内部には鞘管59が形成され、鞘管59は内部貫通孔63の両端が穿刺具本体11Bの挿通孔15と、試料採取口25とに接続される。すなわち、鞘管59は、上記の貫通孔23と同様に、穿刺用器具Nを配置する。軸部57の内部には鞘管59を包囲する環状空間61が形成され、環状空間61は逆流防止弁65を介して外部へ開放可能となる。
穿刺具本体11Bにはバイパス路23aが形成され、バイパス路23aは一端が挿通孔15に接続されるとともに他端が環状空間61に接続される。
軸部57は、軸線方向に圧縮変形される。また、鞘管59も軸線方向中央部が大径部となり、軸線方向に圧縮変形可能となる。これら軸部57及び鞘管59が圧縮されることにより、環状空間61は容積が減少・復元されるようになっている。
軸部57には一対の逆流防止弁65が設けられ、逆流防止弁65は軸部57の直径方向両端に配置される。逆流防止弁65にはスリットが形成され、スリットは軸部57が軸線方向に圧縮変形されることで、図7(b)に示すように開口部65aを形成する。この開口部65aは、軸部57が弾性復元力によって元の形状に復帰する過程で再び閉鎖されるように形成される。
なお、この穿刺具400は、図6(b)に示すように、軸部57と鞘管59との圧縮変形に伴って、逆流防止弁65と同様に開閉される副逆流防止弁65aを鞘管59に設けた穿刺具400Aとしてもよい。
図7は図6に示した穿刺具の吸着解除過程を(a)〜(c)で表した動作説明図である。
穿刺具400を用いた吸引穿刺採血法では、図7(a)に示すように、吸着部21を血液採取部Mに近づけ、穿刺具400が押圧されると、図7(b)に示すように、吸着部21が閉鎖されると同時に、血液採取部Mから反力Fを受ける。この反力Fによって、吸着部21、軸部57は、図中に示すdからDまで軸線方向に圧縮変形される。この圧縮変形により逆流防止弁65が開口され、凹面内部空間に残留したairと、環状空間61のairとが、逆流防止弁65の開口部65aから排出される。それと同時に、凹面中央部に開口された試料採取口25から穿刺用器具Nが突出され、血液採取部Mを穿刺する。
穿刺具400は、血液採取部Mを穿刺した直後に、図7(c)に示すように、吸着部21、軸部57の弾性復元力fによって、穿刺用器具Nが血液採取部Mから抜かれるが、凹面内部空間は、再び逆流防止弁65が閉鎖されていることで、吸盤作用によって開放されずに減圧される。この際、軸部57が復元することによる環状空間61の容積増大も減圧作用に寄与することとなる。これにより、凹面21aが血液採取部Mに密着した状態となり、この減圧によって穿刺孔hから吸引された血液Bが穿刺用器具近傍の試料採取口25へ効率よく導かれる。
血液Bを試料採取口25に採取し、穿刺用器具Nの抜かれた穿刺具400は、図7(d)に示すように、穿刺具本体11Bに直径方向への力xが加えられると、軸部57が軸線を挟み非対称に変形され、この変形により逆流防止弁65が再び開口される。逆流防止弁65が開口されると、凹面内部空間に外部よりairが流入し、凹面内部が大気開放され、真空吸着状態が解除される。
この穿刺具400によれば、血液採取部Mからの容易な離脱を可能にし、採血量の増大を抑止できるのに加え、一つの逆流防止弁65を、吸着過程における排気用と、吸着解除時における吸気用とに作用させることができ、吸排気構造を簡素にすることができる。
次に、本発明に係るバイオセンサカートリッジについて説明する。
図8は、先に述べた穿刺具100を備えたバイオセンサカートリッジの縦断面を示した図である。なお、先の穿刺具100と同一の部分、部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
このバイオセンサカートリッジ600は、穿刺用器具Nを有する穿刺具本体11と、この穿刺具本体11に一体的に形成されたセンサチップ610とを備える。
センサチップ610は、不図示の互いに対向する2枚の基板間にスペーサ層を挟装させた3層構造とされ、2枚の基板の一方の基板の対向する基板表面上にはセンサ電極612a、612bが設けられている。
センサ電極612a、612bは、穿刺具本体11の前端側(図8の上側)において互いに近接する方向へ折り曲げられ、所定間隔を保持して離間配置されている。
センサチップ610は、これらセンサ電極612a、612bが共に折り曲げられて折り重なる部分にかけて、これらのセンサ電極612a、612bと電気的に接続するように形成されて、吸盤13の試料採取口25を介して試料中の生体物質が供給される反応部614を備える。
反応部614におけるセンサ電極612a、612bの直上或いは近傍には、例えば酵素とメディエータを固定化し血液B中のグルコースと反応して電流を発生する試薬616が設けられている。従って、反応部614は、試料採取口25から導入された血液Bが、試薬616と生化学反応する部分となる。
なお、図8において、排気路27、逆流防止弁29及び押圧杆31(いずれも図1参照)は省略してある。
このバイオセンサカートリッジ600によれば、吸着部21の吸盤作用によって凹面内部空間が減圧されることにより血液採取部M(図2参照)から吸引した血液Bをセンサチップ610の反応部614へ容易に供給可能となる。
次に、本発明に係るバイオセンサ測定装置について説明する。
図9には、図8に示したバイオセンサカートリッジ600を用いたバイオセンサ測定装置700の構成が示されている。なお、先のバイオセンサカートリッジ600と同一の部分、部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
バイオセンサ測定装置700は、前述したバイオセンサカートリッジ600が装填可能に形成され、装填したバイオセンサカートリッジ600のセンサ電極612a、612bに接続して採取された血液Bの情報を得る測定器710、及び装填したバイオセンサカートリッジ600を保護する保護キャップ712を有している。
測定器710は電源714、制御装置716、端子挿入部718及び表示部720を備え、これらが相互に接続されている。端子挿入部718にはバイオセンサカートリッジ600の後端部11b(図8参照)を挿入してバイオセンサカートリッジ600を固定保持するとともに、穿刺具本体11の後端部11bにおいて露出しているセンサ電極612a、612bが電気的に接続されるようになっている。
このバイオセンサ測定装置700によれば、前述したバイオセンサカートリッジ600を装填することによって試料を採取して測定を行うので、穿刺から測定までを一連の動作として実施して、容易かつ確実に測定を行うことができる。
本発明の第1の実施の形態に係る穿刺具の軸線と平行な断面図である。 吸着解除された穿刺具の断面図である。 第2の実施の形態に係る穿刺具の断面図である。 吸着解除された第2の実施の形態に係る穿刺具の断面図である。 第3の実施の形態に係る穿刺具の前端面を(a)、軸線と平行な断面を(b)に表した構成図である。 逆流防止弁が異なる第4の実施の形態に係る穿刺具を(a)、その変形例を(b)に表した構成図である。 図6に示した穿刺具の吸着解除過程を(a)〜(c)で表した動作説明図である。 本発明に係るバイオセンサカートリッジの一実施の形態を示す断面図である。 本発明に係るバイオセンサ測定装置の一実施の形態を示す構成図である。
符号の説明
11 穿刺具本体
13 吸盤
15 挿通孔
19 軸部
21 吸着部
21a 凹面
23 貫通孔
25 試料採取口
27 排気路
29 逆流防止弁
31 押圧杆(吸着解除手段)
33 吸気路(吸着解除手段)
35 粘着蓋(吸着解除手段)
100,200,300,400 穿刺具
N 穿刺用器具

Claims (5)

  1. 穿刺用器具を有する穿刺具本体の前端面に弾性材料からなる吸盤を設けた穿刺具であって、
    前記穿刺用器具の挿通される貫通孔を軸線方向に穿設した軸部と、
    該軸部の先端に連設され前面が凹面に形成されるとともに前記貫通孔に通じて前記穿刺用器具を突出可能とする試料採取口が前記凹面に開口される吸着部と、
    前面が閉塞されて負圧となった前記凹面内部を大気開放する吸着解除手段と、
    を具備した穿刺具。
  2. 前記貫通孔に連通する排気路が形成され、
    該排気路には閉塞された前記凹面内部の加圧に応じ開き減圧に応じ閉じる逆流防止弁が設けられた請求項1に記載の穿刺具において、
    前記吸着解除手段が、
    前記逆流防止弁を開く押圧杆である穿刺具。
  3. 前記吸着解除手段が、
    前記吸着部に穿設された吸気路と、
    該吸気路を開放可能に封止する粘着蓋と、
    から成る請求項1に記載の穿刺具。
  4. 前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の穿刺具と、
    センサ電極と電気的に接続するように形成され試料中の生体物質が供給される反応部を有するセンサチップと、
    を備えることを特徴とするバイオセンサカートリッジ。
  5. 前記請求項4に記載のバイオセンサカートリッジを装填可能にし、前記穿刺具の穿刺用器具を被検体に穿針して採取した試料中の生体物質を測定することを特徴とするバイオセンサ測定装置。
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CN107260186A (zh) * 2017-07-07 2017-10-20 深圳鹏博威投资控股有限公司 负压式采血针头
CN110403642A (zh) * 2019-07-12 2019-11-05 徐艳松 一种肾穿刺辅助装置
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