JP2009021451A - 内燃機関用点火コイルおよびその製造方法 - Google Patents

内燃機関用点火コイルおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自己融着線を融着させてスプールレスの2次コイルを形成するとき、2次コイルの巻き崩れが生じる等、点火コイルの生産性が低下する。
【解決手段】自己融着線160が巻回された2次コイル16の内周面に、シート17を取り付け、自己融着線160の融着時に、2次コイル16とシート17とを一体に成形する。これにより、2次コイル16の形状精度を担保されるとともに、生産性を高めることが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関において点火プラグに印加する電圧を発生させる点火コイルおよびその製造方法に関する。
従来、1次コイルの外周側に配設した2次コイルを、1次コイルとの相互誘導によって昇圧することで、点火プラグに火花放電を発生させる点火コイルが知られている。こうした点火コイルの一種に、1次コイルおよび2次コイルを自己融着線の巻線体で構成することにより、スプールレスを実現した点火コイルが提案されている(例えば特許文献1参照)。このようなスプールレス化は、スプールを要さない分、生産コストを低減することができるとともに、生産性を高めることができるのである。
特開2001−76945号公報
さて、特許文献1の従来技術では、巻線治具としての棒材に巻回した自己融着線を融着させることにより、1次コイルおよび2次コイルとなる各巻線体を形成した後、それらスプールレスの巻線体を接着材により接合するようにしている。そのため、隣接する自己融着線の接着面積が小さい各巻線体を形成してから、それら巻線体を接着材によって接合するまでの間においては、巻線体の巻き崩れが生じ易くなっている。また、自己融着線の融着時には、自己融着線から棒材への熱引けにより、棒材に当接して巻線体の内周面を構成することになる自己融着線が十分に融着されず、巻線体の巻き崩れが助長されるおそれもあった。このように巻線体の巻き崩れが生じることで、巻線体の形状精度が担保されなくなるので、結果として生産性が低下するという問題があったのである。
さらに、一般に1次コイル用の巻線体と比べて自己融着線の線径が小さい2次コイル用の巻線体では、自己融着線の始端および終端の位置が不安定となり易く、それら始端および終端の取り扱いが困難である。そのため、特許文献1の従来技術では、スプールレスの巻線体からなる2次コイルの組付を自動化する上で障害となるおそれがあり、結果として生産性が低下するという問題もあった。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、生産コストを低減しつつ、高い生産性を実現する点火コイルおよびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、巻回された自己融着線が融着されてなるスプールレスの巻線体と、巻線体の内周面を巻線体の軸方向に固定するシートとを備えることを特徴とする点火コイルである。
この発明によると、巻回された自己融着線が融着されてなるスプールレスの巻線体の内周面は、シートによって軸方向に固定されることになるので、当該巻線体の巻き崩れを抑制することができる。したがって、巻線体のスプールレス化により生産コストを低減しつつ、巻線体の形状精度を担保して生産性を高めることが可能となるのである。
請求項2に記載の発明によると、シートは、巻線体と略同心の筒状に形成される。これによれば、巻線体と略同心筒状のシートによって巻線体の内周面を、軸方向のみならず、径方向にも固定することができるので、巻線体の巻き崩れの抑制作用が向上する。
請求項3に記載の発明によると、シートは、巻線体の軸方向に長い帯状に形成される。これによれば、巻線体の内周面を軸方向に固定する上で最低限必要な面積をシートに確保するようにして、シートサイズを可及的に小さくすることができる。したがって、シートの使用に起因する生産コストの増大を最小限に食い止めることが可能である。
請求項4に記載の発明によると、シートは樹脂フィルムよりなる。これによれば、樹脂フィルムが熱絶縁機能を発揮することで、巻線体の内周面を構成する自己融着線に熱引けの影響が生じにくくなる。したがって、巻線体の内周面を構成する自己融着線を十分に融着させて、スプールレスの巻線体の巻き崩れを抑制することが可能となる。
請求項5に記載の発明によると、シートには、巻線体の軸方向の両端から突出する突出部が設けられ、巻線体を構成する自己融着線の始端および終端は、当該シート両端の突出部に各々固定される。これによれば、自己融着線の始端および終端がシート両端の突出部に各々固定されて、それら始端および終端の位置が安定することになる。その結果、自己融着線の始端および終端の取り扱いが容易となるので、生産性の向上に貢献することが可能である。
請求項6に記載の発明によると、自己融着線の直径が100μm以下である。これによれば、直径が100μm以下という細い自己融着線の始端および終端であっても、シート両端の突出部に固定されることによって確実に位置が安定することになる。
請求項7に記載の発明によると、シート両端に設けられた突出部には、ダイオードまたは抵抗体を取り付けられる。これによれば、突出部にダイオードが取り付けられることによって、巻線体におけるON電圧の発生を抑制することができる。また、突出部に抵抗体が取り付けられることによって、電波雑音の発生を抑制することができる。つまり、突出部が設けられることにより、巻線体に付加価値をつけることが可能となるのである。
請求項8に記載の発明は、スプールレスの巻線体を備えた点火コイルを製造する方法であって、シートを巻線治具に取り付けるシート取付工程と、シートが取り付けられた巻線治具に自己融着線を巻回する巻回工程と、巻回された自己融着線を融着させて、シートにより内周面が軸方向に固定されてなる巻線体を形成する巻線体形成工程と、シートおよびシートにより固定された巻線体を巻線治具から脱離させる脱離工程とを含むことを特徴とする点火コイルの製造方法である。
この発明によると、シートが取り付けられた巻線治具に自己融着線を巻回する巻回工程後の融着工程において、当該自己融着線を融着させることにより、内周面がシートによって軸方向に固定されてなるスプールレスの巻線体が形成されることになる。故に、シートおよび巻線体を巻線治具から脱離させる脱離工程等の巻回工程後においては、スプールレスの巻線体の巻き崩れを抑制することができるのである。したがって、巻線体のスプールレス化により生産コストを低減しつつ、巻線体の形状精度を担保して生産性を高めることが可能となる。
請求項9に記載の発明によると、シート取付工程において、筒状のシートを巻線治具に略同心上に取り付ける。これによれば、巻線治具と略同心筒状のシートを介して巻線治具に巻回された自己融着線の融着により、内周面が軸方向のみならず、径方向にも固定された巻線体を形成することができるので、巻線体の巻き崩れの抑制作用が向上する。また、筒状のシートが自己融着線と巻線治具との間に介在することで、自己融着線が巻線治具に融着する事態が防止されるので、当該融着後の脱離工程においてシート及び巻線体を巻線治具から脱離させ易くなる。
請求項10に記載の発明によると、シート取付工程において、帯状のシートを巻線治具の軸方向に長手となるように巻線治具に取り付ける。これによれば、巻線治具の軸方向に長手となるシートを介して巻線治具に巻回された自己融着線の融着により、必要最低限のシート面積にて巻線体の内周面を軸方向に固定することができる。したがって、シートサイズを可及的に小さくして、シートの使用に起因する生産コストの増大を最小限に食い止めることが可能となる。
請求項11に記載の発明によると、シート取付工程において、樹脂フィルムよりなるシートを巻線治具に取り付ける。これによれば、シート取付工程後の融着工程において、樹脂フィルムにより熱絶縁機能を発揮して、自己融着線から巻線治具への熱引けを低減することができる。したがって、巻線体の内周面を構成する自己融着線を十分に融着させて、融着工程後における巻線体の巻き崩れを抑制することが可能となる。
請求項12に記載の発明によると、巻回工程において、巻線治具に巻回された自己融着線の始端および終端を、巻線治具の軸方向においてシート両端から突出する突出部に各々固定する。これによれば、自己融着線の始端および終端をシート両端に設けられた突出部に各々固定して、それら始端および終端の位置を安定させることができる。その結果として、自己融着線の始端および終端の取り扱いが容易となるので、生産性の向上に貢献することが可能となる。
請求項13に記載の発明によると、巻回工程において、直径が100μm以下の自己融着線を巻線治具に巻回する。これによれば、直径が100μm以下という細い自己融着線の始端および終端であっても、シート両端の突出部に固定することによって確実に位置を安定させることができるのである。
請求項14に記載の発明によると、巻回工程において、自己融着線を巻線治具に斜向巻きする。これによれば、隣接する自己融着線間の電位差に起因する絶縁破壊を発生しにくくしつつ、斜向巻きされた巻線体の巻き崩れをシートの作用によって抑制することができるのである。
請求項15に記載の発明によると、シート取付工程において、表面に凹凸が形成されたシートを巻線治具に取り付ける。これによると、シート取付工程後の巻回工程において、例えばエンボス加工等により表面に凹凸が形成されたシートに自己融着線が巻回されることで、当該凹凸が自己融着線の巻き崩れを抑制しつつ、巻回工程の高速化を実現することが可能となる。また、シートおよび巻線体を巻線治具から脱離させる場合には、凹凸によって、シートと巻線治具の外周面との接触面積が、凹凸なしのシートの場合よりも小さくなるため、脱離操作が容易となる。
請求項16に記載の発明は、脱離工程において、巻線治具を径方向内側に縮小することにより、シートおよび巻線体を巻線治具から脱離させる。これによれば、巻線治具により巻線体の内周面を径方向外側へ拡げることなく、シートおよび巻線体を巻線治具から脱離させて、当該脱離時における巻線体の巻き崩れを防止することができる。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態による点火コイルの基本的構成について説明する。なお、図1,2は、第1実施形態の点火コイル100を示す断面図である。
(基本的構成)
ハウジング10はPBT等の硬質樹脂からなり、エンジンヘッド1のプラグホール2の横断面積よりも大きな底面を有する矩形箱状を呈している。ハウジング10は、プラグホール2の外部に設けられている。また、ハウジング10の側壁には、ハウジング10から外部へ突出する固定部10aが一体に形成されている。固定部10aには、筒状の金属ブッシュ11が嵌合しており、この金属ブッシュ11に螺合するボルト12によって、固定部10aがエンジンヘッド1に固定されている。さらに、エンジンヘッド1に対向するハウジング10の底壁には、ハウジング10から外部へ突出する筒部10bが一体に形成されている。
ハウジング10の内部には、中心コア13、1次コイル14、1次スプール15、2次コイル16、シート17および外周コア18が収容されている。
中心コア13は磁性材からなり、全体として円筒状を呈している。中心コア13は、その軸方向がプラグホール2の軸方向に対して略垂直となるように、設けられている。
1次スプール15は樹脂材料からなり、円筒状を呈しており、中心コア13の外周側に同心上に設けられている。1次コイル14は、1次スプール15に銅線を巻回してなり、全体として円筒状を呈している。なお、1次コイル14については、例えば直径が0.3〜0.8mmの銅線を100〜230ターン巻回しすることによって、形成することが好ましい。
スプールレスの2次コイル16は、自己融着線を巻回して融着することにより形成され、1次コイル14よりも大きな円筒状を呈している。2次コイル16は、1次コイル14の外周側に同心上に設けられている。なお、2次コイル16については、例えば後に詳述するエナメル線の直径が100μm以下、好ましくは40〜50μmの自己融着線を10000〜20000ターン巻回することによって、形成することが好ましい。以上、本実施形態における2次コイル16が請求項記載の巻線体に相当する。
シート17は、1次コイル14の外周側に距離を隔てて設けられ、2次コイル16の内周面に固定されている。
外周コア18は、磁性材からなり、U字形状を呈している。外周コア18は、ハウジング10の上壁及びそれを挟む側壁の外面に当接するようにして、設けられている。
ハウジング10の内部には、樹脂材料20が充填されている。樹脂材料20は、2次コイル16とハウジング10との間に介在しており、両者を電気的に絶縁している。また、樹脂材料20は、1次コイル14とシート17との間にも介在しており、両者を電気的に絶縁している。なお、樹脂材料20はエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることが好ましいが、電気的絶縁作用を発揮し得る他の樹脂材料を用いてもよい。
シール部材24は、ゴム材料からなり、全体として略円筒状を呈している。シール部材24は、筒部10bの外周面およびエンジンヘッド1の底壁に固定され、プラグホール2の開口部をシールしている。筒部10bの内周側には、高圧端子22が設けられ、2次コイル16を構成する自己融着線の終端は、金属端子21を介して当該高圧端子22に電気的に接続されている。
上記構成において、エンジンコントロールユニット(図示せず)からの信号により、1次コイル14に流れる電流をイグナイタが遮断すると、1次および2次コイル14,16間の相互誘導作用により、例えば30〜35kVの高電圧が2次コイル16に発生する。こうして2次コイル16に発生した高電圧は、高圧端子22を介して、点火プラグ(図示せず)に導かれ、点火プラグの先端で火花放電を発生させることになる。
以上、第1実施形態による点火コイル100の基本的構成について説明した。以下、第1実施形態による点火コイル100の特徴的構成について説明する。
(第1の特徴的構成)
図1,2に示すように、本実施形態においてシート17は、スプールレスの2次コイル16と略同心の円筒状に形成されている。ここで、シート17は、従来、2次コイルを巻回するために使用されている筒状のスプールとは全く異なるものである。
即ち、スプールは、一般に1mm以上の径方向厚さを有し、樹脂を型成形することによって製造する必要があるため、生産コストが高く、生産性の低下を招いていた。これに対し、シート17は、そうした従来のスプールよりも十分に薄く(例えば従来のスプールの径方向厚さの1/10以下)、型成形の必要もないため、生産コストを抑え、生産性を向上させることができるのである。
(第2の特徴的構成)
図3に示すように円筒状のシート17の両端には、本実施形態では、軸方向に突出する矩形状の突出部17a,17bが設けられている。これら突出部17a,17bは、本実施形態では、シート17を軸方向に挟む対称位置に配置されている。
各突出部17a,17bには、2次コイル16を構成する自己融着線160の始端160aおよび終端160bが各々絡げられて固定されている。また、各突出部17a,17bには、ダイオードや抵抗体等の電子部品19が取り付けられている。ここで、突出部17a,17bにダイオードを電子部品19として取り付けることによれば、イグナイタ23のスイッチングにより1次コイル14に通電する際に、2次コイル16に発生するON電圧を抑制することができる。また、突出部17a,17bに抵抗体を電子部品19として取り付けることによれば、電波雑音の発生を抑制することができる。
以上、第1実施形態による点火コイル100の特徴的構成について説明した。以下、第1実施形態による点火コイル100を構成する2次コイル16の製造工程について説明する。なお、図4〜図7は、2次コイル16の製造工程を示す工程図である。
(シート取付工程)
図4に示すシート取付工程では、シート17を巻線治具30に取り付ける。ここで巻線治具30は、全体として円筒状を呈しており、駆動装置40の回転軸42によって同軸上に支持されている。これにより、巻線治具30は、回転軸42とともに回転可能となっている。また、特に巻線治具30は、軸方向に平行な面で周方向に4等分されており、これら4等分された分割部材30a,30b,30c,30dの各々が、径方向に往復移動自在に回転軸42によって支持されている。これにより、巻線治具30は、駆動装置40によって径方向外側に拡大変形可能および径方向内側に縮小変形可能となっている。
このような巻線治具30にシート17を取り付けるには、まず、分割部材30a,30b,30c,30d間に所定の隙間が形成される図4の状態まで、巻線治具30を駆動装置40によって拡大変形する。次に、シート17を巻線治具30の外周側に巻き付けて、当該巻付方向の両縁部同士を接合する。これにより、シート17が円筒状に丸められて、巻線治具30に略同心上に取り付けられることとなる。
なお、シート17の両縁部同士の接合については、例えば粘着、接着、溶着等、シート17の材質に応じた方法によって行うことができる。
(巻回工程)
図5に示す巻回工程では、シート17が取り付けられた巻線治具30に自己融着線160を巻回する。ここで自己融着線160は、エナメル線表面に接着層を設けてなるものであり、当該接着層を構成する接着剤として、例えば、熱可塑性ポリマであるポリアミド、ポリオレフィンを基礎としたホットメルト接着剤が用いられている。
このような自己融着線160を巻線治具30に巻回するには、まず、シート17の突出部17a,17bのうち回転軸42側となる突出部17aを径方向外側へ折り曲げた状態で、当該突出部17aに自己融着線160の始端160aを絡げて固定する。
続いて、自己融着線160を供給するノズル31を巻線治具30の軸方向に沿って移動させつつ、駆動装置40の回転軸42を巻線治具30とともに回転させることにより、自己融着線160が円筒状のシート17を介して巻線治具30に巻回する。このとき、巻回方法としては、本実施形態では、最初に巻線治具30の軸方向に対して傾斜した斜面を自己融着線160の積み重ねにより形成した後、ノズル31を巻線治具30の軸方向に徐々に移動させて、当該斜面に沿うように自己融着線160を巻回する、いわゆる斜向巻きを実施する。かかる斜向巻きによれば、完成後の2次コイル16において、隣接する自己融着線160間の電位差に起因する絶縁破壊を防止することができる。
そして最後に、シート17の突出部17a,17bのうち回転軸42とは反対側となる突出部17bを径方向外側へ折り曲げた状態で、当該突出部17bに自己融着線160の終端160bを絡げて固定する。
以上の巻回工程においては、エナメル線の直径が100μm以下の細い自己融着線160が使用されることになるが、自己融着線160の始端160aおよび終端160bは、シート17の突出部17a,17bに固定されて、安定した位置に止められる。これにより、始端160aおよび終端160bの取り扱いが容易となるので、後工程を円滑化して生産性の向上に貢献することができるのである。
(融着工程)
図6に示す融着工程では、巻線治具30に巻回された自己融着線160を融着させる。具体的には、自己融着線160に電流を流して自己融着線160自体を発熱させる、又は自己融着線160をヒータ等により外部から加熱することで、自己融着線160の最表層の接着層を溶融させる。その結果、隣接する自己融着線160同士が接着されて、当該自己融着線160の巻線体からなる2次コイル16が形成される。またこのとき、2次コイル16の内周面を構成することになる自己融着線160と、シート17とが接着されて、一体化されることになる。さらにこのとき、自己融着線160と巻線治具30との間には円筒状のシート17が介在しているので、接着層の溶融物、即ち溶融接着剤が自己融着線160と巻線治具30との間に浸入して、両者が接着することを防止することができる。
以上により本実施形態では、内周面が軸方向のみならず、径方向においても円筒状のシート17によって略同心上に固定された2次コイル16が完成する。このように完成した2次コイル16は、スプールレスにも拘らず、巻き崩れし難いものとなる。
なお、図示はしないが、本実施形態の融着工程では、2次コイル16の完成後、当該2次コイル16を固定するシート17の突出部17a,17bに、それぞれ所定の電子部品19を半田付け等によって取り付けることになる。
(脱離工程)
図7に示す脱離工程では、シート17およびそれに固定された2次コイル16を巻線治具30から脱離させる。具体的には、まず、分割部材30a,30b,30c,30d間の隙間が消失する図7の状態まで、巻線治具30を駆動装置40によって縮小変形する。このとき、シート17と巻線治具30との間には、自己融着線160の接着層に起因する接着剤は介在していないため、シート17に接する巻線治具を容易に縮径することができる。
続いて、2次コイル16およびシート17の一体物を巻線治具30に対して回転軸42と反対側にスライドさせ、巻線治具30から脱離させる。このとき、縮径した巻線治具30に対して2次コイル16は、径方向外側へ拡大することなく、脱離され得る。またこのとき並びにこれ以降において、シート17によって軸方向及び径方向に固定された2次コイル16には、巻き崩れが発生し難い。これらのことから、2次コイル16の形状精度を担保することができるのである。
以上、第1実施形態による2次コイル16の製造工程について説明した。以下、第1実施形態による2次コイル16の製造に関する特徴について説明する。
(第1の特徴)
本実施形態においてシート17としては、フレキシブル且つ熱伝導率の小さな樹脂フィルムを使用する。例えばシート17としては、25〜100μmの厚さを有するポリエステル系の樹脂フィルムを使用することが好ましい。
こうした樹脂フィルムよりなるシート17の使用によると、巻線体形成工程においては、高温となる自己融着線160から、相対的に低温となる巻線治具30への熱引けが当該樹脂フィルムの熱絶縁作用によって低減され、自己融着線160全体が所望の温度となる。これによれば、自己融着線160の接着層が略均一に溶融して、隣接する自己融着線160同士並びに自己融着線160とシート17とが確実に接着されることになるので、2次コイル16の巻き崩れを十分に抑制して、形状精度の非常に高い2次コイル16を提供することができる。
(第2の特徴)
本実施形態においてシート17としては、例えばエンボス加工によって表面に凹凸が形成されたものを使用する。
こうした凹凸表面のシート17の使用により、巻回工程において、自己融着線160がシート17の軸方向に巻き崩れすることを当該凹凸により抑制しつつ、巻回工程の高速化を実現することができる。
また、凹凸表面のシート17の使用によれば、シート17の内周面と巻線治具30の外周面との接触面積は、凹凸のない滑らかなシートの場合と比べて小さくなる。故に、融着工程において自己融着線160の接着層を溶融させるときには、発熱した自己融着線160から巻線治具30への熱引けが十分に低減され、さらに脱離工程においては、円筒状のシート17に対する巻線治具30の縮径操作が容易となる。これらによれば、2次コイル16の巻き崩れを十分に抑制して、形状精度の非常に高い2次コイル16を提供することができる。
以上説明した第1実施形態によれば、2次コイル16のスプールレス化により生産コストを低減しつつ、当該2次コイル16の形状精度を担保して、生産性を高めることができるのである。
(第2実施形態)
図8に示すように本発明の第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。
具体的に、第2実施形態では、円筒状のシート17の代わりに、帯状のシート117を使用する。なお、シート117は、第1実施形態と同様、樹脂フィルムからなり、表面に凹凸を有しているとともに、当該シート117を長手方向に挟んで対称となる両端に突出部17a,17bを有している。
このようなシート117を使用して2次コイル16を製造するには、まず、図8に示すシート取付工程において、帯状のシート117を巻線治具30の軸方向に長手となるように巻線治具30に取り付ける。このとき、シート117については、例えば、2つの分割部材30a,30dに跨るようにして、粘着剤等により巻線治具30に固定することになる。そして、第一実施形態と同様な巻回工程にて、突出部117a、117bに、始端160aおよび終端160bをそれぞれ絡げて固定された後、融着工程を経て、帯状のシート117によって内周面が軸方向に固定された2次コイル16が完成する。このように完成した2次コイル16についても、スプールレスにも拘らず、巻き崩れし難いものとなるので、第一実施形態と同様な脱離工程以降において、2次コイル16の形状精度を担保することができるのである。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明してきたが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
具体的に、上記第1および第2実施形態では、シート17として樹脂フィルムを使用したが、例えば、紙をシート17として使用してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、シート17の両端には、矩形の突出部17a、17bを、シート17,117に対して対称な位置に設けたが、始端160aおよび終端160bを絡げ、固定することができれば、突出部17a、17bの形状および位置関係に制限はない。
さらに、上記第1実施形態では、図9に示すように、シート取付工程において、帯状のシート127を巻線治具30に隙間なく螺旋状に巻き付けることにより、全体として円筒状のシート17を巻線治具30の外周面上に形成するようにしてもよい。なお、この場合、帯状のシート127の長手方向の両端によって、突出部127a,127bを形成することとなる。
またさらに、上記第1及び第2実施形態は、プラグホール2の外側に設けられたハウジング10内に2次コイル16を収容するタイプの点火コイル100であるが、プラグホール2内に2次コイル16が収容される、いわゆるスティック型の点火コイルに本発明を適用してもよい。
本発明に係る点火コイル100の断面図である。 図1におけるII−II断面図である。 電子部品19のシート17への取り付け位置を示す図である。 シート取付工程を示す図である。 巻回工程を示す図である。 融着工程を示す図である。 脱離工程を示す図である。 シート117の形状(変形例)を示す図である。 シート127の形状(変形例)を示す図である。
符号の説明
1…エンジンヘッド
2…プラグホール
10…ハウジング
10a…固定部
10b…筒部
11…金属ブッシュ
12…ボルト
13…中心コア
14…1次コイル
15…1次スプール
16…2次コイル(巻線体)
160…自己融着線
160a…始端
160b…終端
17、117、127…シート
17a、117a、127a、17b、117b、127b…突出部
18…外周コア
19…電子部品
20…樹脂材料
21…金属端子
22…高圧端子
23…イグナイタ
30…巻線治具
31…ノズル
100…点火コイル

Claims (16)

  1. 巻回された自己融着線が融着されてなるスプールレスの巻線体と、
    前記巻線体の内周面を前記巻線体の軸方向に固定するシートと
    を備えることを特徴とする点火コイル。
  2. 前記シートは、前記巻線体と略同心の筒状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の点火コイル。
  3. 前記シートは、前記巻線体の軸方向に長い帯状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の点火コイル。
  4. 前記シートは、樹脂フィルムよりなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の点火コイル。
  5. 前記シートには、前記巻線体の軸方向の両端から突出する突出部が設けられ、前記巻線体を構成する前記自己融着線の始端および終端は、前記シートの両端の突出部に各々固定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の点火コイル。
  6. 前記自己融着線の直径が100μm以下であることを特徴とする請求項5に記載の点火コイル。
  7. 前記突出部には、ダイオードまたは抵抗体が取り付けられることを特徴とする請求項5又は6に記載の点火コイル。
  8. スプールレスの巻線体を備えた点火コイルの製造方法であって、
    シートを巻線治具に取り付けるシート取付工程と、
    前記シートが取り付けられた前記巻線治具に自己融着線を巻回する巻回工程と、
    巻回された前記自己融着線を融着させて、前記シートにより内周面が軸方向に固定されてなる前記巻線体を形成する融着工程と、
    前記シートおよび前記シートにより固定された前記巻線体を前記巻線治具から脱離させる脱離工程と
    を含むことを特徴とする点火コイルの製造方法。
  9. 前記シート取付工程において、筒状の前記シートを前記巻線治具に略同心上に取り付けることを特徴とする請求項8に記載の点火コイルの製造方法。
  10. 前記シート取付工程において、前記帯状の前記シートを前記巻線治具の軸方向に長手となるように前記巻線治具に取り付けることを特徴とする請求項8に記載の点火コイルの製造方法。
  11. 前記シート取付工程において、樹脂フィルムよりなる前記シートを前記巻線治具に取り付けることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の点火コイルの製造方法。
  12. 前記巻回工程において、前記巻線治具に巻回された前記自己融着線の始端および終端を、前記巻線治具の軸方向において前記シートの両端から突出する突出部に各々固定することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の点火コイルの製造方法。
  13. 前記巻回工程において、直径が100μm以下の前記自己融着線を前記巻線治具に巻回することを特徴とする請求項12に記載の点火コイルの製造方法。
  14. 前記巻回工程において、前記自己融着線を前記巻線治具に斜向巻きすることを特徴とする請求項8乃至13のいずれか一項に記載の点火コイルの製造方法。
  15. 前記シート取付工程において、表面に凹凸が形成された前記シートを前記巻線治具に取り付けることを特徴とする請求項8乃至14のいずれか一項に記載の点火コイルの製造方法。
  16. 前記脱離工程において、前記巻線治具を径方向内側に縮小することにより、前記シートおよび前記巻線体を前記巻線治具から脱離させることを特徴とする請求項8乃至15のいずれか一項に記載の点火コイルの製造方法。
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