JP2009021324A - 洗浄方法及び洗浄装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】洗浄効率が高く、被洗浄物に与えるダメージが小さい洗浄方法及び洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄装置1には、熱交換部材8と、熱交換部材8内に挿通された一次冷却ライン11と、熱交換部材8内に挿通された二次冷却ライン12と、二次冷却ライン12から噴射された二次冷媒が接触する位置に被洗浄物である半導体基板Sを保持する保持部材9と、が設けられている。そして、一次冷却ライン11に一次冷媒である液体窒素を流通させ、二次冷却ライン12に二次冷媒であるヘリウムガスを流通させる。これにより、液体窒素により熱交換部材8を介してヘリウムガスを冷却し、十分に冷却され且つ液体飛沫を含まないヘリウムガスを真空雰囲気中で半導体基板Sに向けて噴射して、半導体基板Sを冷却する。
【選択図】図1
【解決手段】洗浄装置1には、熱交換部材8と、熱交換部材8内に挿通された一次冷却ライン11と、熱交換部材8内に挿通された二次冷却ライン12と、二次冷却ライン12から噴射された二次冷媒が接触する位置に被洗浄物である半導体基板Sを保持する保持部材9と、が設けられている。そして、一次冷却ライン11に一次冷媒である液体窒素を流通させ、二次冷却ライン12に二次冷媒であるヘリウムガスを流通させる。これにより、液体窒素により熱交換部材8を介してヘリウムガスを冷却し、十分に冷却され且つ液体飛沫を含まないヘリウムガスを真空雰囲気中で半導体基板Sに向けて噴射して、半導体基板Sを冷却する。
【選択図】図1
Description
本発明は、洗浄方法及び洗浄装置に関し、特に、被洗浄物を冷却することにより洗浄効果を高める洗浄方法及び洗浄装置に関する。
一般に、半導体素子におけるパターン及び不純物導入層は、フォトレジストによるマスクを使用して形成されている。例えば、ゲート電極を形成する場合には、基板上にポリシリコン膜を形成し、その上にフォトレジストを塗布して露光・現像することで、フォトレジストに任意のパターンを形成する。そして、このパターニングされたフォトレジストをマスクとして、プラズマを利用したドライエッチングを施すことにより、ポリシリコン膜をパターニングし、ゲート電極を形成している。この場合、マスクとなるフォトレジストは、プラズマに曝されることにより、表層が変質して硬化層が形成される。
一方、不純物導入層を形成する場合には、フォトレジストをマスクとして使用してイオン注入を行うことにより、任意の領域に選択的に不純物を導入する。この場合には、フォトレジストにイオンビームが照射されることにより、フォトレジストの表層が変質して硬化する。特に、不純物を高濃度・高エネルギーで導入する場合には、フォトレジストの変質が著しい。
上述のドライエッチング及びイオン注入の後、マスクとして使用したフォトレジストは、例えば硫酸過水溶液等を使用した酸処理によって除去する。しかし、フォトレジストの表層に硬化層が形成された場合には、フォトレジストを酸処理のみで除去することは困難であり、大量の剥離残りが発生する。このような場合には、例えば酸素プラズマによるアッシングやドライエッチングを行って表層の硬化層を除去した後に、酸処理を行う。これにより、剥離残りの発生をある程度抑制することが可能となる。しかし、この方法による除去効率は決して高いものではなく、除去効率を高める為に、アッシング又はドライエッチングの処理時間を長時間化すると、素子に与えるプラズマダメージが増大する。特に、微細素子におけるゲート絶縁膜のチャージアップが増大することにより、ゲート絶縁膜の耐圧が劣化したり、素子特性が変動するなど、問題点が多い。
このような背景の下、洗浄効率の向上及び基板へのダメージの低減を目的とした洗浄処理方法の提案がなされている。例えば、特許文献1〜3には、基板を凍結させ、洗浄液、例えば超純水の凍結作用及び凍結層の融解作用を利用して、固体表面に付着する微粒子等を基板から効果的に離脱させ、除去する技術が提案されている。しかしながら、本発明者等が検討した結果、これらの従来技術を用いて半導体素子を洗浄すると、半導体素子の微細構造に与えるダメージが大きいことが判明した。
本発明の目的は、洗浄効率が高く、被洗浄物に与えるダメージが小さい洗浄方法及び洗浄装置を提供することである。
本発明の一態様によれば、液体状態又は液体状態と気体状態との混合状態にある一次冷媒により、凝縮点が前記一次冷媒の凝縮点以下であり気体状態にある二次冷媒を冷却し、冷却された前記二次冷媒を被洗浄物に向けて噴射することにより、前記被洗浄物を冷却する工程を備えたことを特徴とする洗浄方法が提供される。
本発明の他の一態様によれば、熱交換部材と、前記熱交換部材内に挿通され、液体状態又は液体状態と気体状態との混合状態にある一次冷媒を流通させる第1の冷却管と、前記熱交換部材内に挿通され、凝縮点が前記一次冷媒の凝縮点以下であり気体状態にある二次冷媒を流通させる第2の冷却管と、前記第2の冷却管から噴射された前記二次冷媒が接触する位置に被洗浄物を保持する保持部材と、を備えたことを特徴とする洗浄装置が提供される。
本発明によれば、洗浄効率が高く、被洗浄物に与えるダメージが小さい洗浄方法及び洗浄装置を実現することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る洗浄装置を例示する模式図であり、
図2は、図1に示す保持ステージを例示する平面図である。
図2は、被洗浄物である半導体基板が載置された状態を示している。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る洗浄装置を例示する模式図であり、
図2は、図1に示す保持ステージを例示する平面図である。
図2は、被洗浄物である半導体基板が載置された状態を示している。
図1に示すように、本実施形態に係る洗浄装置1においては、真空チャンバー2が設けられている。真空チャンバー2には、排気ライン(配管)3の一端が連通されており、排気ライン3の他端には、真空チャンバー2内を減圧するドライポンプ4が連通されている。また、真空チャンバー2には、真空チャンバー2内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給ライン5が連通されている。排気ライン3及び不活性ガス供給ライン5には、それぞれ、弁6a及び6bが設けられている。
真空チャンバー2内には、保持ステージ7が設けられている。保持ステージ7は例えばアルミナからなり、熱交換部材8と保持部材9とが一体的に形成されている。保持部材9は熱交換部材8の上面に取り付けられており、被洗浄物としての半導体基板Sを保持するものである。
また、真空チャンバー2内には、外部から一次冷却ライン11が導入されている。一次冷却ライン11は、その内部を一次冷媒、例えば液体窒素(liq.N)が流通する冷却管であり、その中間部は熱交換部材8内に挿通されており、その両端部、すなわち、一次冷却ライン11内に液体窒素が供給される端部及び一次冷却ライン11内から液体窒素が排出される端部は、真空チャンバー2の外部に引き出されている。一次冷却ライン11は、内部を流れる液体窒素が真空チャンバー2内に漏洩しないように、気密的に形成されている。
更に、真空チャンバー2内には、二次冷却ライン12も導入されている。二次冷却ライン12は、その内部を二次冷媒、例えばヘリウムガス(He)が流通する冷却管であり、二次冷却ライン12内にヘリウムガスが供給される端部は、真空チャンバー2の外部に引き出されており、二次冷却ライン12内からヘリウムガスが噴出する端部は、熱交換部材8内を挿通し、熱交換部材8の上面において開口している。そして、一次冷却ライン11と二次冷却ライン12とは、熱交換部材8を介して熱交換を行う。なお、図1においては、図示の便宜上、熱交換部材8内における一次冷却ライン11及び二次冷却ライン12の引き回しは簡略化して示しているが、熱交換効率を向上させるために、これらのラインはより複雑な経路を形成していてもよい。
図2に示すように、上方から見て、保持部材9の形状は分割された円環状であり、内側面が上方に開くように、すり鉢状に傾斜している。保持部材9には、円周方向に沿って複数の切込9aが形成されている。ウェーハ形状の半導体基板Sを保持部材9上に載置すると、半導体基板Sの下面と外周面との境界をなす端縁のみが保持部材9の内側面に接触し、半導体基板Sの下面が保持部材9又は熱交換部材8に面状に接触することがない。また、半導体基板Sと熱交換部材8との間には、保持部材9によって囲まれた隙間Cが形成される。そして、二次冷却ライン12の開口部は、この隙間C内に開口するように位置しており、例えば、保持部材9の中央部に配置されている。なお、二次冷却ライン12の開口部はメッシュ状に形成されていてもよい。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る洗浄装置の動作、すなわち、本実施形態に係る洗浄方法について説明する。
図3は、横軸に時間をとり、縦軸に半導体基板の温度及び真空チャンバー内の圧力をとって、本実施形態に係る洗浄方法における温度及び圧力のプロファイルを例示するグラフ図である。
本実施形態における被洗浄物は、汚れが付着した半導体基板Sである。汚れとは、例えば、ナトリウム(Na)若しくは硫黄(S)などを含む化合物、フォトレジストなどの有機材料膜、パーティクル、又は吸着した水分などである。
図3は、横軸に時間をとり、縦軸に半導体基板の温度及び真空チャンバー内の圧力をとって、本実施形態に係る洗浄方法における温度及び圧力のプロファイルを例示するグラフ図である。
本実施形態における被洗浄物は、汚れが付着した半導体基板Sである。汚れとは、例えば、ナトリウム(Na)若しくは硫黄(S)などを含む化合物、フォトレジストなどの有機材料膜、パーティクル、又は吸着した水分などである。
図1及び図3に示すように、先ず、真空チャンバー2を解放し、保持部材9上に半導体基板Sを水平に載置する。このとき、例えば、半導体基板Sの表面、すなわち、素子形成面を上方に向ける。これにより、半導体基板Sの下面外縁が保持部材9の内側面に接触し、半導体基板Sが保持されると共に、半導体基板Sと熱交換部材8との間に隙間Cが形成される。
次に、真空チャンバー2を気密状態とし、弁6aを開き、弁6bを閉じた状態で、ドライポンプ4を作動させる。これにより、真空チャンバー2内を排気して、真空雰囲気とする。一例では、真空チャンバー2内を約1×10−2Pa(約1×10−4Torr)とする。また、一次冷却ライン11に液体窒素を供給し、二次冷却ライン12にヘリウムガスを供給する。これにより、一次冷却ライン11内を流通する窒素と、二次冷却ライン12内を流通するヘリウムとの間で、熱交換部材8を介して熱交換が行われ、ヘリウムが冷却される。
このとき、一次冷却ライン11に供給する液体窒素の温度は、窒素の液相温度範囲である−210〜−196℃である。この液体窒素は、一次冷却ライン11内を流通する過程で加熱され、一部が沸騰して液体状態と気体状態との混合状態となるが、その温度は窒素の沸点である−196℃よりも上昇することはない。一方、二次冷却ライン12内を流通するヘリウムは、液体窒素により冷却されるため、その温度は液体窒素の温度近くまで低下するが、ヘリウムの凝縮点は−269℃であるため、ヘリウムが凝縮して液体状態となることはない。
そして、二次冷却ライン12内で冷却されたヘリウムガスは、二次冷却ライン12の開口部から隙間C内に噴出され、半導体基板Sの裏面に接触する。そして、半導体基板Sとの間で熱交換を行い、半導体基板Sを冷却すると共にヘリウムガス自体は加熱され、切込9aから隙間Cの外部に排出され、ドライポンプ4によって真空チャンバー2内から排出される。これにより、半導体基板Sが冷却される。真空チャンバー2内の雰囲気が到達する真空度及びその真空度に到達するまでの時間、並びに半導体基板Sが到達する温度及びその温度に到達するまでの時間は、ドライポンプ4の能力及び真空チャンバー2の容積等の洗浄装置1の構成並びに冷媒の流通量によって異なるが、例えば、真空チャンバー2内の真空度は3分間で1×10−2Pa以下の真空度まで到達し、半導体基板Sは3分間で−150℃以下の温度まで到達する。そして、この状態で、任意の時間保持する。
次に、弁6aを閉じ、ドライポンプ4を停止させた後、弁6bを開き、不活性ガス供給ライン5を介して、室温の不活性ガス、例えば、窒素ガス(N2)を真空チャンバー2内に導入する。また、一次冷媒である窒素及び二次冷媒であるヘリウムの供給を停止する。これにより、真空チャンバー2内の圧力を大気圧まで復圧させると共に、不活性ガスを半導体基板Sに接触させて、半導体基板Sの温度を室温(例えば、25℃)に戻す。この復圧及び昇温は、例えば、3分間かけて行う。その後、真空チャンバー2を開き、半導体基板Sを回収する。上述の冷却工程により、汚れと半導体基板Sとの間の結合力が弱まる。
次に、半導体装置Sから汚れを除去する工程を実施する。この工程は、従来から公知の方法で行えばよい。例えば、半導体基板Sを流体に曝すことにより、汚れを流してもよく、半導体基板Sをスピン回転させることにより、汚れを半導体基板Sの表面から遠心力により除去してもよい。又は、これらの方法を組み合わせて実施してもよい。これにより、半導体基板Sが洗浄される。
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、被洗浄物である半導体基板Sを一旦冷却し、半導体基板Sと汚れとの間の結合力を弱めた上で、汚れを半導体基板Sの表面から除去しているため、半導体基板Sを効果的に洗浄することができる。
本実施形態においては、被洗浄物である半導体基板Sを一旦冷却し、半導体基板Sと汚れとの間の結合力を弱めた上で、汚れを半導体基板Sの表面から除去しているため、半導体基板Sを効果的に洗浄することができる。
また、本実施形態においては、半導体基板Sを冷却するにあたり、一次冷媒である液体窒素により二次冷媒であるヘリウムガスを冷却し、このヘリウムガスにより半導体基板Sを冷却している。これにより、半導体基板Sに接触するヘリウムガスは、完全に気体状態となっているため、液体状態の冷媒が半導体基板Sの表面で気化することがなく、半導体基板Sにダメージを与えることがない。
これに対して、仮に、液体窒素を直接半導体基板Sに接触させると、半導体基板Sの微細構造内で液体窒素が気化する。液体窒素が気化すると、その体積は約650倍に膨張するため、この膨張の圧力で微細構造が吹き飛んでしまうことがある。また、液体窒素を気化させた直後に半導体基板Sに噴射しようとしても、窒素ガス中に僅かに液体窒素の飛沫が混入していると、同様に半導体基板Sに機械的なストレスを与えてしまう。一方、液体窒素の飛沫を完全になくした状態で窒素ガスを噴射するためには、窒素ガスを十分に昇温させなくてはならず、冷却効率が低下する。
そこで、本実施形態においては、液体窒素により一旦ヘリウムガスを冷却し、このヘリウムガスによって半導体基板Sを冷却する。ヘリウムの凝縮点は窒素の凝縮点よりも低いため、ヘリウムを液化させることなく、十分に低い温度まで冷却することができる。これにより、洗浄効率が高く、被洗浄物に与えるダメージが小さい洗浄を行うことができる。
更に、本実施形態においては、二次冷媒としてヘリウムガスを使用しているが、ヘリウムガスの分子量は、全分子中で最も小さいため、他の分子と比較して、圧力差を一定としたときの流速が最も大きい。これにより、半導体基板Sとの間で効率的に熱交換を行うことができる。また、ヘリウムは不活性ガスであるため、半導体基板Sにおいて化学反応を生じさせることがない。更に、本実施形態においては、一次冷媒として液体窒素を使用しているが、液体窒素は液体ヘリウムと比較すると低コストで入手でき、取り扱いも容易である。
更にまた、本実施形態においては、熱交換部材8をアルミナによって形成している。アルミナは熱伝導性が極めて高いため、熱交換部材8は熱交換効率が高い。
更にまた、本実施形態においては、洗浄装置1にドライポンプ4等を設け、ヘリウムガスを半導体基板Sに噴射する工程を真空雰囲気中で行っている。これにより、雰囲気ガスの存在が、噴射されたヘリウムガスの半導体基板Sへの到達を妨げることがない。また、室温の雰囲気ガスが半導体基板Sに接触することにより、冷却中の半導体基板Sを加熱してしまうことがない。更に、半導体基板Sに接触し、半導体基板Sとの間で熱交換したヘリウムガスは、保持部材9の切込9aを介して速やかに隙間Cの外部に排出され、その後、ドライポンプ4等によって速やかに真空チャンバー2内から排出される。このため、本実施形態に係る洗浄装置1は、半導体基板Sの冷却効率が高い。
更にまた、本実施形態においては、半導体基板Sを、その表面を上側に向けて保持部材9上に載置している。このため、半導体基板Sのハンドリングが容易である。また、これにより、ヘリウムガスが半導体基板Sの裏面に接触することになるが、一般に、半導体基板の裏面は表面よりも平坦性が高いため、冷却の均一性が高くなる。但し、適当なハンドリング手段を設ければ、半導体基板Sの裏面を上方に向けて載置してもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図4は、本実施形態に係る洗浄装置を例示する模式図である。
図4に示すように、本実施形態に係る洗浄装置1aにおいては、前述の第1の実施形態に係る洗浄装置1(図1参照)の構成に加えて、熱交換部材8内に、半導体基板Sを加熱するためのヒーター13が設けられている。本実施形態に係る洗浄装置の上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
図4は、本実施形態に係る洗浄装置を例示する模式図である。
図4に示すように、本実施形態に係る洗浄装置1aにおいては、前述の第1の実施形態に係る洗浄装置1(図1参照)の構成に加えて、熱交換部材8内に、半導体基板Sを加熱するためのヒーター13が設けられている。本実施形態に係る洗浄装置の上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本実施形態に係る洗浄装置の動作、すなわち、本実施形態に係る洗浄方法について説明する。
図5は、横軸に時間をとり、縦軸に半導体基板の温度及び真空チャンバー内の圧力をとって、本実施形態に係る洗浄方法における温度及び圧力のプロファイルを例示するグラフ図である。
図5は、横軸に時間をとり、縦軸に半導体基板の温度及び真空チャンバー内の圧力をとって、本実施形態に係る洗浄方法における温度及び圧力のプロファイルを例示するグラフ図である。
図4及び図5に示すように、本実施形態においては、前述の第1の実施形態と同様な方法により、真空チャンバー2内を排気すると共に、一次冷媒及び二次冷媒を流通させ、半導体基板Sを冷却する。そして、真空チャンバー2内の真空度及び半導体基板Sの温度を一定の状態に到達させた後、この状態に一定時間保持する。例えば、真空度が1×10−2Pa以下であり、半導体基板Sの温度が−150℃以下である状態に、3分間保持する。
次に、ドライポンプ4を作動させたまま、冷媒の供給を停止すると共にヒーター13を作動させることにより、熱交換部材8及び保持部材9を介して、半導体基板Sを加熱する。これにより、真空を破ることなく、半導体基板Sを加熱する。このとき、半導体基板Sを、室温を超えて更に加熱し、100℃以上の温度、例えば、200℃まで加熱する。そして、この温度に一定の時間だけ保持する。
次に、弁6aを閉じ、ドライポンプ4を停止させた後、弁6bを開き、不活性ガス供給ライン5を介して、室温の不活性ガスを真空チャンバー2内に導入する。また、ヒーター13を停止させる。これにより、真空チャンバー2内の圧力を大気圧まで復圧させると共に、不活性ガスを半導体基板Sに接触させて、半導体基板Sを室温まで冷却する。この復圧及び冷却は、例えば、3分間かけて行う。その後、真空チャンバー2を開き、半導体基板Sを回収する。その後、前述の第1の実施形態と同様な方法により、半導体装置Sから汚れを除去する。
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、前述の第1の実施形態と比較して、冷却の後、加熱を行うことにより、汚れと半導体基板Sとの間の結合力をより一層弱めることができる。この結果、洗浄効果をより向上させることができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
本実施形態によれば、前述の第1の実施形態と比較して、冷却の後、加熱を行うことにより、汚れと半導体基板Sとの間の結合力をより一層弱めることができる。この結果、洗浄効果をより向上させることができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
前述の第1及び第2の実施形態は、例えば、半導体装置の製造プロセスにおける洗浄工程に適用することができる。特に、有機材料膜の剥離工程、たとえば、フォトレジストの剥離工程に好適に適用することができる。
次に、前述の各実施形態の効果を示す試験例について説明する。
先ず、第1の試験例について説明する。
図6は、本試験例の試験方法を示すフローチャート図である。
先ず、第1の試験例について説明する。
図6は、本試験例の試験方法を示すフローチャート図である。
本試験例においては、半導体基板から使用済みのフォトレジストを除去する工程をシミュレートした。先ず、図6のステップS1に示すように、被洗浄物として、フォトレジストを局所的に被着させた半導体基板を作製した。次に、ステップS2に示すように、半導体基板とフォトレジストとの間の結合力を弱めることを目的として、半導体基板に対して、後述する実施例1、実施例2又は比較例に係る方法で、間接冷却(実施例1)、間接冷却及び加熱(実施例2)又は直接冷却(比較例)(以下、総称して「冷却等」ともいう)を行った。次に、ステップS3に示すように、各実施例に係る半導体基板の表面を光学顕微鏡及びSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)により観察し、半導体基板の状態を調査した。次に、ステップS4に示すように、フォトレジストを除去することを目的として、半導体基板を水洗した。次に、ステップS5に示すように、水洗した後の半導体基板の表面を光学顕微鏡及びSEMにより観察し、洗浄の効果を評価した。以下、上述の各ステップの具体的方法について説明する。
半導体基板の作製方法(共通)
図7は、本試験例において使用した半導体基板を模式的に例示する断面図である。
本試験例においては、被洗浄物として、図7に示す半導体基板21を使用した。この半導体基板21は、以下のようにして作製した。すなわち、シリコン基板22の表面に、CMOS回路を模してPMOS領域23及びNMOS領域24を設定し、各領域の周囲にはSTI(Shallow Trench Isolation:浅溝埋込分離)25を形成した。また、各領域にはそれぞれゲート絶縁膜26を形成し、このゲート絶縁膜26上には、ゲート電極27を形成した。更に、PMOS領域23において、ゲート絶縁膜26及びゲート電極27を覆うように、フォトレジスト28を形成した。そして、このフォトレジスト28をマスクとして、NMOS形域24に砒素(As)をイオン注入した。このとき、加速電圧は10keVとし、ドーズ量は5×1015cm−2とした。この結果、フォトレジスト28の表層が変質して硬化層(図示せず)が形成された。このようにして、複数枚の半導体基板21を作製した。
図7は、本試験例において使用した半導体基板を模式的に例示する断面図である。
本試験例においては、被洗浄物として、図7に示す半導体基板21を使用した。この半導体基板21は、以下のようにして作製した。すなわち、シリコン基板22の表面に、CMOS回路を模してPMOS領域23及びNMOS領域24を設定し、各領域の周囲にはSTI(Shallow Trench Isolation:浅溝埋込分離)25を形成した。また、各領域にはそれぞれゲート絶縁膜26を形成し、このゲート絶縁膜26上には、ゲート電極27を形成した。更に、PMOS領域23において、ゲート絶縁膜26及びゲート電極27を覆うように、フォトレジスト28を形成した。そして、このフォトレジスト28をマスクとして、NMOS形域24に砒素(As)をイオン注入した。このとき、加速電圧は10keVとし、ドーズ量は5×1015cm−2とした。この結果、フォトレジスト28の表層が変質して硬化層(図示せず)が形成された。このようにして、複数枚の半導体基板21を作製した。
冷却等の方法(実施例1:間接冷却)
上述の如く作製された複数枚の半導体基板21のうちの一部を、前述の第1の実施形態に係る方法により、図1に示す洗浄装置1を使用して冷却した。このとき、一次冷却ライン11に供給する液体窒素の流量は、保持ステージ7の温度を−200℃に安定して保持できるような流量に調整した。また、保持ステージ7の温度が−200℃に安定してから、二次冷却ライン12へのヘリウムガスの供給を開始した。ヘリウムガスの流量は、半導体基板21の温度が−150℃になるように調整した。一方、真空チャンバー2内の真空度は、約1×10−2Pa(約1×10−4Torr)とした。そして、半導体基板21の温度が−150℃に到達したことを確認した後、この温度に3分間保持した。その後、冷媒の供給を止め、弁6aを閉じ、弁6bを開いて、不活性ガス供給ライン5を介して置換ガス、本実施例では窒素ガスを供給し、真空チャンバー2内の圧力を大気圧に戻した。そして、半導体基板21の温度が0℃以上となったことを確認した後、真空チャンバー2から取り出した。
上述の如く作製された複数枚の半導体基板21のうちの一部を、前述の第1の実施形態に係る方法により、図1に示す洗浄装置1を使用して冷却した。このとき、一次冷却ライン11に供給する液体窒素の流量は、保持ステージ7の温度を−200℃に安定して保持できるような流量に調整した。また、保持ステージ7の温度が−200℃に安定してから、二次冷却ライン12へのヘリウムガスの供給を開始した。ヘリウムガスの流量は、半導体基板21の温度が−150℃になるように調整した。一方、真空チャンバー2内の真空度は、約1×10−2Pa(約1×10−4Torr)とした。そして、半導体基板21の温度が−150℃に到達したことを確認した後、この温度に3分間保持した。その後、冷媒の供給を止め、弁6aを閉じ、弁6bを開いて、不活性ガス供給ライン5を介して置換ガス、本実施例では窒素ガスを供給し、真空チャンバー2内の圧力を大気圧に戻した。そして、半導体基板21の温度が0℃以上となったことを確認した後、真空チャンバー2から取り出した。
冷却等の方法(実施例2:間接冷却+加熱)
上述の複数枚の半導体基板21のうちの他の一部を、前述の第2の実施形態に係る方法により、図4に示す洗浄装置1aを使用して、冷却及び加熱した。前述の実施例1と同様な方法により、半導体基板21を−150℃の温度に3分間保持した後、冷媒の供給を止め、続いて、ヒーター13を作動させ、半導体基板21を加熱した。このとき、半導体基板21の到達温度は100℃とした。そして、この温度に2分間保持した。その後、ヒーター13を停止させ、真空チャンバー2内を窒素ガスでパージして、真空チャンバー2内の圧力を大気圧に戻すと共に、半導体基板21を冷却した。そして、半導体基板21の温度が25℃以下となったことを確認した後、真空チャンバー2から取り出した。
上述の複数枚の半導体基板21のうちの他の一部を、前述の第2の実施形態に係る方法により、図4に示す洗浄装置1aを使用して、冷却及び加熱した。前述の実施例1と同様な方法により、半導体基板21を−150℃の温度に3分間保持した後、冷媒の供給を止め、続いて、ヒーター13を作動させ、半導体基板21を加熱した。このとき、半導体基板21の到達温度は100℃とした。そして、この温度に2分間保持した。その後、ヒーター13を停止させ、真空チャンバー2内を窒素ガスでパージして、真空チャンバー2内の圧力を大気圧に戻すと共に、半導体基板21を冷却した。そして、半導体基板21の温度が25℃以下となったことを確認した後、真空チャンバー2から取り出した。
冷却等の方法(比較例:直接冷却)
上述の半導体基板21のうちの更に他の一部を、直接冷却法により冷却した。すなわち、液体窒素を気化させて得られた低温の窒素ガスを、大気雰囲気中で半導体基板21に直接吹き付けることにより、半導体基板21を冷却した。そして、半導体基板21の表面の温度が0℃以下となった状態で10分間保持した。
上述の半導体基板21のうちの更に他の一部を、直接冷却法により冷却した。すなわち、液体窒素を気化させて得られた低温の窒素ガスを、大気雰囲気中で半導体基板21に直接吹き付けることにより、半導体基板21を冷却した。そして、半導体基板21の表面の温度が0℃以下となった状態で10分間保持した。
水洗の方法(共通)
上述の方法により冷却等を行い、実施例1及び2については観察を行った後、比較例については観察を行わずに、半導体基板を純水により10分間流水洗浄した。その後、窒素雰囲気中でスピン乾燥を行った。
上述の方法により冷却等を行い、実施例1及び2については観察を行った後、比較例については観察を行わずに、半導体基板を純水により10分間流水洗浄した。その後、窒素雰囲気中でスピン乾燥を行った。
観察の方法(共通)
実施例1及び実施例2については、冷却等の後及び水洗の後、比較例については水洗の後、半導体基板21の表面を光学顕微鏡及びSEMの双方で観察した。観察は、フォトレジスト28を形成したPMOS領域23と、フォトレジスト28を形成していないNMOS領域24のそれぞれについて行った。光学顕微鏡観察では、フォトレジストの状態など、比較的マクロ的な状態について調査し、SEM観察では、ゲート電極27の損傷状態など、比較的ミクロ的な状態について調査した。また、一部の半導体基板については、断面試料を作製し、断面SEM観察を行った。後述する図8〜図12において、これらの写真の一部を示した。
実施例1及び実施例2については、冷却等の後及び水洗の後、比較例については水洗の後、半導体基板21の表面を光学顕微鏡及びSEMの双方で観察した。観察は、フォトレジスト28を形成したPMOS領域23と、フォトレジスト28を形成していないNMOS領域24のそれぞれについて行った。光学顕微鏡観察では、フォトレジストの状態など、比較的マクロ的な状態について調査し、SEM観察では、ゲート電極27の損傷状態など、比較的ミクロ的な状態について調査した。また、一部の半導体基板については、断面試料を作製し、断面SEM観察を行った。後述する図8〜図12において、これらの写真の一部を示した。
次に、図6に示すステップS3及びS5における観察結果について説明する。
図8は、実施例1において冷却した後の半導体基板のPMOS領域を示す光学顕微鏡写真であり、
図9は、実施例1において冷却した後の半導体基板のNMOS領域を示すSEM写真であり、
図10は、実施例2において冷却・加熱した後の半導体基板のPMOS領域を示す光学顕微鏡写真であり、
図11(a)及び(b)は、比較例において水洗した後の半導体基板を示すSEM写真であり、(a)はPMOS領域を示し、(b)はNMOS領域を示し、
図12は、図11(b)に示すNMOS領域を示す断面SEM写真である。
図8は、実施例1において冷却した後の半導体基板のPMOS領域を示す光学顕微鏡写真であり、
図9は、実施例1において冷却した後の半導体基板のNMOS領域を示すSEM写真であり、
図10は、実施例2において冷却・加熱した後の半導体基板のPMOS領域を示す光学顕微鏡写真であり、
図11(a)及び(b)は、比較例において水洗した後の半導体基板を示すSEM写真であり、(a)はPMOS領域を示し、(b)はNMOS領域を示し、
図12は、図11(b)に示すNMOS領域を示す断面SEM写真である。
観察結果を表1にまとめた。表1においては、PMOS領域については、フォトレジストの状態及びその残渣の有無を示し、NMOS領域については、ゲート電極等の損傷の有無を示している。また、括弧内の図番は、その欄に対応する半導体基板の写真が掲載されている図を示す。更に、「−」は、観察を行っていないことを示す。
実施例1の冷却後の半導体基板については、図8に示すように、PMOS領域23において、フォトレジストの全面にクラック(割れ)が発生しており、フォトレジストが三角形のパネル状に割れていた。そして、一部のパネル状の部分は半導体基板から剥離していた。また、図9に示すように、NMOS領域24においては、冷却前の状態から変化しておらず、ゲート電極等の損傷は認められなかった。そして、水洗後の半導体基板については、PMOS領域においては、フォトレジストが完全に剥離しており、残渣は認められなかった。また、PMOS領域及びNMOS領域の双方において、ゲート電極等の損傷は認められなかった。
実施例2の冷却・加熱後の半導体基板については、図10に示すように、PMOS領域23において、フォトレジスト28の全面に皺が発生していた。また、NMOS領域において、ゲート電極等の損傷は認められなかった。そして、水洗後の半導体基板については、PMOS領域においては、フォトレジストが完全に剥離しており、残渣は認められなかった。また、PMOS領域及びNMOS領域の双方において、ゲート電極等の損傷は認められなかった。
比較例の水洗後の半導体基板については、図11(a)に示すように、PMOS領域23において、残渣が認められた。この残渣は、NMOS領域24においては観察されていないこと、及び、この残渣からは炭素、酸素及び水素が検出されていることから、フォトレジストの剥離残りであると考えられる。また、図11(b)及び図12に示すように、NMOS領域24においては、主としてシリコン基板22とSTI25との境界部分の上方において、ゲート電極27の欠損によるパターン倒れが観察された。なお、図12は、ゲート電極が欠損した部分を、ゲート電極の長手方向に平行な断面により観察したものである。
以下、上述のような現象が発生した原因について考察する。
実施例1においては、冷却後のフォトレジストにクラックが発生した。これは、有機材料からなるフォトレジスト中には水分が含まれているが、冷却によってこの水分が凍結してフォトレジストが膨張し、その後、室温に戻すことによってフォトレジストが収縮したため、クラックが発生したことが推定される。
実施例1においては、冷却後のフォトレジストにクラックが発生した。これは、有機材料からなるフォトレジスト中には水分が含まれているが、冷却によってこの水分が凍結してフォトレジストが膨張し、その後、室温に戻すことによってフォトレジストが収縮したため、クラックが発生したことが推定される。
また、実施例1においては、水洗後の半導体基板にはフォトレジストの残渣が認められなかった。これは、フォトレジストにクラックが発生することにより、半導体基板との間の密着性が低下し、その後の水洗工程において剥離しやすくなったためと考えられる。
更に、実施例1においては、ゲート電極等の微細構造に損傷が発生しなかった。これは、半導体基板を冷却するヘリウムガスは液体窒素によって冷却されているが、凝縮点が−269℃であるヘリウムガスは、液相温度範囲が−210〜−196℃である液体窒素によっては液化することがなく、半導体基板に接触するヘリウムガスには液体飛沫が含まれないため、液体が気化する際の体積膨張に伴う衝撃エネルギーが半導体基板に印加されることがなかったためであると考えられる。
更にまた、実施例1では、半導体基板を−150℃まで冷却することが可能であった。これは、半導体基板に向けたヘリウムガスの噴射を真空雰囲気中で行っているため、雰囲気ガスによってヘリウムガスと半導体基板との接触が阻害されることがなく、また、室温の雰囲気ガスによって冷却中の半導体基板が加熱されることがなく、更に、ヘリウムガスは流速が速いため、半導体基板の熱エネルギーを速やかに持ち去ることができ、更にまた、半導体基板と熱交換したヘリウムガスが速やかに排出されたためであると考えられる。
実施例2においては、冷却・加熱後のフォトレジスト28に皺が形成された。実施例1において半導体基板を冷却したときにはフォトレジストにクラックが発生したのに対し、冷却後加熱したときには、クラックが発生せずに皺が形成された理由は必ずしも明らかではない。しかし、加熱時にシリコン基板が熱膨張すると、これに引っ張られてフォトレジストも膨張し、その状態でフォトレジストから水分が蒸発して失われたために、フォトレジストが膨張した状態のまま固まり、その後、温度が室温に戻りシリコン基板が収縮したときに、膨張したまま固まったフォトレジストが追従できずに皺になったことが考えられる。そして、フォトレジストに皺が発生したことにより、シリコン基板22との間の密着性が著しく低下したため、水洗後にフォトレジストの残渣が認められなかったものと推定される。
これに対して、比較例においては、半導体基板21の温度は、0℃を僅かに下回る程度までしか低下しなかった。大量の窒素ガスを長時間噴射し続けても、半導体基板の温度は−50〜−70℃程度までしか低下しなかった。これは、比較例においては、大気中で窒素ガスを吹付けているため、窒素ガスが半導体基板に効率よく接触せず、また、大気から半導体基板に熱が伝わるためであると考えられる。また、窒素の熱容量が小さいためであるとも考えられる。
また、比較例においては、PMOS領域において、フォトレジストの残渣が認められた。これは、上述の如く冷却が不十分であるため、フォトレジストにクラック又は皺が形成されることがなく、フォトレジストと半導体基板との密着力を十分に低減できず、洗浄効果が不十分であったためと考えられる。
更に、NMOS領域においては、ゲート電極の欠損が認められた。これは、窒素ガス中に混入していた液体窒素の飛沫が半導体基板の表面に接触し、この表面で気化したことにより、窒素の体積が約650倍に膨張し、その衝撃で、幅が約0.1ミクロンしかない微細なゲート電極が吹き飛んだものと推測される。図12に示すように、ゲート電極27の欠損は、シリコン基板22とSTI25との境界領域で発生している。この境界領域は、温度変化に伴って熱応力が変化する領域であるため、機械的強度が弱いと考えられる。ここに液体窒素が気化する際の衝撃エネルギーが加えられたことにより、ゲート電極の欠損が生じたものと推察される。このような欠損は、ゲート電極だけでなく、コンタクトホールなどの他の微細構造においても発生し得る。なお、窒素ガスの温度を高めて液体飛沫を完全に除去すれば、欠損の発生は防止できるものの、冷却効果がより一層低減し、洗浄効果が更に低下してしまう。
次に、第2の試験例について説明する。
前述の第1の試験例の実施例1と同様な方法により、半導体基板の間接冷却を行った。但し、本試験例においては、冷却温度を複数の水準に設定して実験した。すなわち、前述の実施例1においては、半導体基板21の冷却温度を−150℃としたが、本第2の試験例においては、冷却温度を−50℃及び−100℃とした。そして、冷却後のフォトレジストを光学顕微鏡により観察し、クラックの有無を調査した。結果を表2に示す。なお、表2には、冷却温度が−150℃である場合の結果として、前述の第1の試験例の実施例1の結果も掲載した。
前述の第1の試験例の実施例1と同様な方法により、半導体基板の間接冷却を行った。但し、本試験例においては、冷却温度を複数の水準に設定して実験した。すなわち、前述の実施例1においては、半導体基板21の冷却温度を−150℃としたが、本第2の試験例においては、冷却温度を−50℃及び−100℃とした。そして、冷却後のフォトレジストを光学顕微鏡により観察し、クラックの有無を調査した。結果を表2に示す。なお、表2には、冷却温度が−150℃である場合の結果として、前述の第1の試験例の実施例1の結果も掲載した。
表2に示すように、冷却温度が−50℃のときは、フォトレジストにクラックが発生しなかったが、冷却温度が−100℃及び−150℃のときは、フォトレジストにクラックが発生した。これは、フォトレジスト中に含まれる水分は純粋な水分ではないため、凝固点がかなり低下しており、−100℃以下の温度まで冷却しなければ、凝固して膨張しないためであると推測される。従って、前述の第1の実施形態をフォトレジストの剥離工程に適用する場合は、冷却温度を−100℃以下とすることが好ましい。但し、クラックを発生させるために必要な冷却温度は、フォトレジストの組成及び膜厚などによって多少変動するものと考えられる。このため、より確実を期すためには、冷却温度は−150℃以下とすることが好ましい。
このように、前述の第1の実施形態においては、単純に被洗浄物を冷却・凍結させるだけでなく、その凍結温度も重要である。汚れの種類に応じた温度に冷却することにより、除去すべき物質の膨張・収縮を高め、除去すべき物質と被洗浄物との間の密着性を低下させ、洗浄効果を向上させることができる。
また、前述の第2の実施形態において、被洗浄物を加熱する際の加熱温度は特に限定されないが、第2の実施形態をフォトレジストの剥離工程に適用する場合には、100℃以上とすることが好ましい。その理由は、100℃以上の温度に加熱することにより、フォトレジスト中の水分の蒸発を促進し、フォトレジストを硬化させて確実に皺を形成することができるからである。一方、加熱温度の上限は、フォトレジストが半導体基板に焼き付かない温度など、被洗浄物に損傷を与えないような温度である。
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、二次冷媒を使用した間接冷却を行うことにより、従来の直接冷却による洗浄で見られた半導体素子のパターン欠損を回避することができる。これにより、洗浄効果を高めつつ、微細構造の損傷の問題を回避することが可能となる。また、単純に基板を凍結させるだけでなく、その材料に応じた温度に制御することにより、洗浄効果をより一層向上させることができる。更に、間接冷却による除去・剥離すべき材料の膨張効果と、室温以上の温度への加熱による収縮効果とを組み合わせることで、洗浄効果が更に向上する。更にまた、冷却を真空雰囲気中で行うことにより、基板をより効果的に冷却し、洗浄効果をより向上させることができる。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更、又は、工程の追加、削除、条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
例えば、前述の各実施形態においては、保持ステージ7をアルミナにより形成する例を示したが、本発明はこれに限定されず、熱伝導性が良好な材料により形成すればよい。また、前述の各実施形態においては、一次冷媒として窒素を使用し、二次冷媒としてヘリウムを使用する例を示したが、本発明はこれに限定されず、一次冷媒は液体状態で使用できる冷媒であればよく、二次冷媒は凝縮点が一次冷媒の凝縮点以下の冷媒であればよい。更に、前述の各実施形態においては、真空チャンバー内をパージする不活性ガスとして窒素ガスを使用する例を示したが、本発明はこれに限定されず、洗浄装置及び被洗浄物に温度以外の影響を与えないガスであればよい。更にまた、前述の各実施形態においては、被洗浄物として半導体基板を例示したが、本発明はこれに限定されず、あらゆる部材の洗浄に適用することが可能である。
1、1a 洗浄装置、2 真空チャンバー、3 排気ライン、4 ドライポンプ、5 不活性ガス供給ライン、6a、6b 弁、7 保持ステージ、8 熱交換部材、9 保持部材、9a 切込、11 一次冷却ライン、12 二次冷却ライン、13 ヒーター、21 半導体基板、22 シリコン基板、23 PMOS領域、24 NMOS領域、25 STI、26 ゲート絶縁膜、27 ゲート電極、28 フォトレジスト、C 隙間、S 半導体基板
Claims (5)
- 液体状態又は液体状態と気体状態との混合状態にある一次冷媒により、凝縮点が前記一次冷媒の凝縮点以下であり気体状態にある二次冷媒を冷却し、冷却された前記二次冷媒を被洗浄物に向けて噴射することにより、前記被洗浄物を冷却する工程を備えたことを特徴とする洗浄方法。
- 前記二次冷媒の噴射を真空雰囲気中で行うことを特徴とする請求項1記載の洗浄方法。
- 前記被洗浄物は、汚れとして有機材料膜が被着した基板であり、前記冷却する工程において、前記被洗浄物を−100℃以下の温度まで冷却することを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄方法。
- 前記冷却後の被洗浄物を加熱する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の洗浄方法。
- 熱交換部材と、
前記熱交換部材内に挿通され、液体状態又は液体状態と気体状態との混合状態にある一次冷媒を流通させる第1の冷却管と、
前記熱交換部材内に挿通され、凝縮点が前記一次冷媒の凝縮点以下であり気体状態にある二次冷媒を流通させる第2の冷却管と、
前記第2の冷却管から噴射された前記二次冷媒が接触する位置に被洗浄物を保持する保持部材と、
を備えたことを特徴とする洗浄装置。
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-
2007
- 2007-07-11 JP JP2007181870A patent/JP2009021324A/ja active Pending
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