JP2009019783A - 冷媒分流室一体化構造の膨張弁及びこれを用いた冷凍装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、膨張弁に冷媒分流室を一体化することにより、冷媒回路の簡素化、冷媒流動音の低減、及び冷媒分流効果の向上を行うとともに、緩衝部材により、より一層冷媒流動音を低減した冷媒分流室一体化構造の膨張弁を提供することを目的とする。また、このような冷媒分流室一体化構造の膨張弁を用いた冷凍装置を提供することを目的とする。
【解決手段】弁体13と弁孔11とにより形成される絞り部10と、絞り部10通過後の冷媒を分流管に分流する冷媒分流室7と、冷媒流による衝撃を吸収あるいは吸収あるいは減衰させる作用を有する緩衝部材20,21とを備える。この緩衝部材20,21は、少なくとも弁孔11を形成する弁孔形成壁5における弁孔11周りを覆うように取り付ける。
【選択図】図1
【解決手段】弁体13と弁孔11とにより形成される絞り部10と、絞り部10通過後の冷媒を分流管に分流する冷媒分流室7と、冷媒流による衝撃を吸収あるいは吸収あるいは減衰させる作用を有する緩衝部材20,21とを備える。この緩衝部材20,21は、少なくとも弁孔11を形成する弁孔形成壁5における弁孔11周りを覆うように取り付ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、膨張弁に冷媒分流室を一体化した冷媒分流室一体化構造の膨張弁及びこれを用いた冷凍装置に関する。
空気調和装置、冷蔵庫、製造工程用冷却装置などの冷凍装置において、蒸発器が複数のパス(熱交換器における冷媒流通路)で構成される場合がある。この場合の冷媒回路は、例えば、図8に示すように構成されている。圧縮機101によって加圧された冷媒は、凝縮器(この場合室外側熱交換器)102で凝縮され、受液器103を経て膨張弁104に送られる。膨張弁104で減圧された冷媒は、冷媒配管105を介して冷媒分流器106に送られ、冷媒分流器106で分流されて蒸発器(この場合室内側熱交換器)107の複数のパスに送られる。蒸発器107に送られた低圧冷媒は、蒸発器107で蒸発気化し、アキュムレータ108を介して圧縮機101に還流される。このように蒸発器107が複数のパスに構成される場合には、膨張弁104の下流側の冷媒配管105に、膨張弁104で減圧された冷媒を蒸発器107の複数のパスに均等に分流するための冷媒分流器106が取り付けられている。なお、冷媒分流器106は、例えば特許文献1に記載されているように、所定容積の冷媒分配空間(以下冷媒分流室という)を備えた容器であって、この容器に、この冷媒分流室と蒸発器107の各パスとを接続するための分流管取付孔が形成されたものである。したがって、冷媒分流器106に流入する冷媒は、所定の流通方向においては膨張弁104で減圧された冷媒であるため、低圧の気液二相流冷媒となっている。そして、この気液二相流冷媒は、膨張弁104と冷媒分流器106とを接続する冷媒配管105を流れる間に大きな気泡が存在するプラグ流やスラグ流になりやすい。また、冷媒分流器106に流入する冷媒がプラグ流やスラグ流になった場合は、重力の影響等により、各分流管に気泡が均等に流入しないことがあり、均等な分流が行われ難いという問題があった。
そこで、最近の冷媒分流器においては、例えば、特許文献1に記載のように、分流管取付穴の上流側に開度一定の絞り部(特許文献1では経路縮小部材)を配置し、この絞り部下流側の冷媒を噴霧状態とすることにより、重力に影響されない均等な分流を実現しようとする提案がなされている。
一方、上記の冷媒分流器の問題とは別に、膨張弁においては次のように不連続な冷媒流動音が問題となっている。
膨張弁は、一般に、流入する冷媒が高圧液冷媒であることを基本としている。ところが、冷凍装置の運転条件の変動などにより、膨張弁の上流側、すなわち受液器の出口(受液器がない場合は凝縮器の出口)側の冷媒に気泡が含まれる場合がある。そして、この気泡を含む高圧液冷媒は、膨張弁に至る冷媒配管を流通する間に配管外部から加熱されて気泡が増加したり、冷媒流中の気泡が合体したりすることがある。その結果、大きな気泡が断続的に存在するプラグ流やスラグ流に成長して膨張弁に流入することがある。また、プラグ流やスラグ流が膨張弁に送られてくると、絞り部に対し液冷媒とガス冷媒とが交互に流れる不連続状態となり、膨張弁における冷媒流に速度変動及び圧力変動が生ずる。このため、絞り部では気液が交互に流れることにより「チュルチュル」という音を発したり、絞り部から冷媒配管系へ流出する霧状冷媒の噴出速度及び圧力が変動して膨張弁出口側で「シャーシャー」という音を発したりし、不連続な冷媒流動音が発生するという問題があった。さらには、冷媒配管内の速度変動及び圧力変動により、膨張弁本体が加振され、膨張弁、膨張弁に接続された配管、及びこの配管により接続される機器が振動して膨張弁周りに振動音を発生するという問題があった。このような不連続な冷媒流動音については、空気調和機において、ファン及び圧縮機の低騒音化が進むにつれ、改善対象としてのニーズが高まりつつある。なお、このような不連続な冷媒流動音及び振動音を総称して、以下の説明では膨張弁における不連続な冷媒流動音という。
膨張弁は、一般に、流入する冷媒が高圧液冷媒であることを基本としている。ところが、冷凍装置の運転条件の変動などにより、膨張弁の上流側、すなわち受液器の出口(受液器がない場合は凝縮器の出口)側の冷媒に気泡が含まれる場合がある。そして、この気泡を含む高圧液冷媒は、膨張弁に至る冷媒配管を流通する間に配管外部から加熱されて気泡が増加したり、冷媒流中の気泡が合体したりすることがある。その結果、大きな気泡が断続的に存在するプラグ流やスラグ流に成長して膨張弁に流入することがある。また、プラグ流やスラグ流が膨張弁に送られてくると、絞り部に対し液冷媒とガス冷媒とが交互に流れる不連続状態となり、膨張弁における冷媒流に速度変動及び圧力変動が生ずる。このため、絞り部では気液が交互に流れることにより「チュルチュル」という音を発したり、絞り部から冷媒配管系へ流出する霧状冷媒の噴出速度及び圧力が変動して膨張弁出口側で「シャーシャー」という音を発したりし、不連続な冷媒流動音が発生するという問題があった。さらには、冷媒配管内の速度変動及び圧力変動により、膨張弁本体が加振され、膨張弁、膨張弁に接続された配管、及びこの配管により接続される機器が振動して膨張弁周りに振動音を発生するという問題があった。このような不連続な冷媒流動音については、空気調和機において、ファン及び圧縮機の低騒音化が進むにつれ、改善対象としてのニーズが高まりつつある。なお、このような不連続な冷媒流動音及び振動音を総称して、以下の説明では膨張弁における不連続な冷媒流動音という。
また、膨張弁の上流側の冷媒流が冷凍装置の運転条件の変動などによりプラグ流やスラグ流に成長することは、冷媒回路を可逆に切り換えて冷暖房を行う装置の場合には、冷房運転、暖房運転何れにおいても可能性がある。また、プラグ流やスラグ流が膨張弁の入口に流れ込むことによる膨張弁における不連続な冷媒流動音は、冷暖房兼用の膨張弁については冷暖房何れもの運転において、暖房運転時のみに使用される暖房用膨張弁については暖房運転時において、冷房運転時のみに使用される冷房用膨張弁については冷房運転時において、それぞれ発生する可能性がある。
例えば、セパレート型の冷暖房機の場合は、室外ユニット内には暖房時の室外側熱交換器の入口側に暖房用膨張弁が設置され、室内ユニットには冷房時の室内側熱交換器用の入口側に冷房用膨張弁が設置されることが多くなっている。そして、この場合、室外ユニットに設置される暖房用膨張弁については暖房運転時に上記の問題点が生じ、さらに、室内ユニットに設置される冷房用膨張弁については冷房運転時に上記の問題点が生じることは言うまでもない。なお、室内ユニットに設置される冷房用膨張弁については、暖房運転時において、室内側熱交換器出口の過冷却度を調整するように使用される場合がある。この場合、冷房用膨張弁は、室内側熱交換器の直ぐ近くに設置されている。したがって、暖房運転開始の過渡期を経過した後には、この冷房用膨張弁にプラグ流やスラグ流が流れ込むことが殆どない。しかし、室内側熱交換器には暖房運転停止期間中に気液二相の状態で冷媒が貯留されているので、運転開始直後の過渡期において冷房用膨張弁の入口に前述の場合と同様に、プラグ流やスラグ流がこの冷房用膨張弁の入口に流れ込むことがあり、上記と同様に膨張弁における不連続な冷媒流動音を発生する可能性がある。
従来、膨張弁における不連続な冷媒流動音を低減する方法としては、膨張弁における冷媒流の速度変動及び圧力変動を緩和する手段が膨張弁内に設けられていた。例えば、特許文献2においては、閉鎖可能な絞り部の上流側に冷媒流を減圧する他の絞り部が設けられていた。また、特許文献3においては、閉鎖可能な絞り部の上流側に冷媒流に乱れを生起する乱れ生起部が設けられていた。また、特許文献4においては、閉鎖可能な絞り部の下流側に冷媒流を減圧する他の絞り部が設けられていた。
特開2002−188869号公報
特開2005−69644号公報
特開2005−351605号公報
特開2005−226846号公報
また、従来の冷媒分流器では、分流を均等に行う手段として、前述のように分流管取付孔の上流側に絞り部が設けられていた。しかし、絞り部は、冷媒分流器の上流側に設置される膨張弁における基本的な構成要素であり、このように同一構成要素を隣接する機器それぞれに重複して配置することは非合理的であった。一方、従来の膨張弁のように、膨張弁における不連続な冷媒流動音を低減するために、膨張弁単独の構成要素として冷媒流の速度変動及び圧力変動を緩和する手段を設けることは、膨張弁が大型化しコストの上昇を招く要因になっていた。
本発明は、従来技術におけるこのような問題点を解決するものであって、膨張弁に冷媒分流室を一体化することにより、冷媒回路の簡素化、冷媒流動音の低減、及び冷媒分流効果の向上を行うととともに、緩衝部材により、より一層冷媒流動音を低減した冷媒分流室一体化構造の膨張弁を提供することを目的とする。また、このような冷媒分流室一体化構造の膨張弁を用いた冷凍装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、弁体と弁孔とにより形成される絞り部と、絞り部通過後の冷媒を分流管に分流する冷媒分流室と、冷媒流による衝撃を吸収あるいは減衰させる作用を有する緩衝部材とを備え、この緩衝部材は、少なくとも弁孔を形成する弁孔形成壁における弁孔周りを覆うように取り付けられていることを特徴とする。
このように構成された冷媒分流室一体化構造の膨張弁によれば、膨張弁に冷媒分流室を一体化することにより、膨張弁から冷媒分流器に至る回路部分を簡素化して、その占有スペースを小さくするとともにコストを軽減することができる。
また、このように構成された冷媒分流室一体化構造の膨張弁によれば、絞り部から冷媒分流室への冷媒流れ(正方向冷媒流れ)において、絞り部通過後の噴霧状態の冷媒が冷媒配管を経ることなく直接冷媒分流室に導かれる。したがって、絞り部通過後に気液二相流がプラグ流やスラグ流に発展することがなくなり、分流特性が向上する。また、絞り部から流出する冷媒流の噴出エネルギは、冷媒分流室が拡大空間部として作用することにより噴霧エネルギが拡散されるので、絞り部上流側の冷媒流がプラグ流あるいはスラグ流となった場合に、膨張弁における冷媒流の速度変動及び圧力変動を緩和することができる。この結果、正方向冷媒流れにおいて、膨張弁における不連続な冷媒流動音を軽減することができる。なお、本明細書においては、絞り部から冷媒分流室への冷媒流れを「正方向冷媒流れ」と称し、冷媒分流室から絞り部への冷媒流れを「逆方向冷媒流れ」と称するものとする。
また、このように構成された冷媒分流室一体化構造の膨張弁によれば、逆方向冷媒流れにおいて、気液二相流冷媒が分流管から冷媒分流室に流入する場合、各分流管から流入する冷媒が合流することにより掻き乱される。これにより、気泡が細分化されるため冷媒流動音が低減される。
また、本発明に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁によれば、冷媒流の速度変動及び圧力変動による膨張弁の筐体に対する加振力、並びに、膨張弁の筐体への冷媒流の衝突などによる膨張弁の筐体に対する加振力は、緩衝部材により吸収あるいは減衰されて膨張弁の筐体に伝達される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
また、このような構成の冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、弁体を収納する弁室が冷媒分流室とは別室に形成されるとともに、弁孔形成壁を挟んで弁室と冷媒分流室とが形成され、前記緩衝部材が弁孔形成壁の弁室側及び冷媒分流室側の少なくとも一方の表面の弁孔周りを覆うように取り付けられているように構成してもよい。このように構成すれば、最も加振力の大きい絞り部近傍に緩衝部材が取り付けられるので、緩衝部材による振動抑制及び騒音低減を効果的に発揮させることができる。
また、このような冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、緩衝部材が弁室及び冷媒分流室の少なくとも一方の内壁面を略全体的に覆うように取り付けられていることが好ましい。このようにすれば、緩衝部材取付範囲が大きくなるので、膨張弁の筐体に対する加振力が大きく吸収あるいは減衰される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が大きく抑制され、騒音が大きく低減される。
また、本発明に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、上記のように弁室と冷媒分流室とを別室に形成する構造ではなく、弁室と冷媒分流室とを兼用にしたものとしてもよい。このようにすれば、膨張弁がコンパクトになりより一層冷媒回路を簡素化することができる。
また、このように構成された冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、緩衝部材が弁室を兼用する冷媒分流室の内壁面を略全体的に覆うように取り付けられていることが好ましい。このようにすれば、緩衝部材取付範囲が大きくなるので、膨張弁の筐体に対する加振力が大きく吸収あるいは減衰される。したがって、膨張弁、この膨張弁に接続されている配管、及び、この配管に接続されている機器の振動が大きく抑制され、騒音が大きく低減される。
前記弁体は弁棒の先端部に形成されるとともに、緩衝部材が、この弁棒の中間部の表面を覆うように取り付けられているようにしてもよい。このようにすれば、緩衝部材の取り付け範囲がより拡大されるので、振動抑制及び騒音低減効果が大きくなる。
また、このような冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、分流管が弁孔形成壁の近くで開口するように取り付けられるとともに、弁孔形成壁の冷媒分流室側に弁孔を取り巻く円筒部が形成されるようにしてもよい。このように構成すれば、正方向冷媒流れにおいて、絞り部から噴出される噴出エネルギの大きい冷媒流れが、円筒部に案内されて弁孔に対向する壁体、つまり、冷媒分流室の底壁に直進的に噴出される。したがって、絞り部からの冷媒流が分流管入口へ直接到達することが防止することができる。なお、仮に、絞り部からの噴流が直接分流管の入口に到達する場合には、分流管に流入する冷媒流は、乱れが大きくなり冷媒音が上昇する。また、冷媒が膨張弁に気液二相流となって流入してくる場合には、分流管へ流入する冷媒流が間欠的な変動を受けやすくなる。惹いては、冷媒音の上昇及び分流特性の悪化を招く可能性がある。次に、逆方向冷媒流れにおいて、分流管から冷媒分流室に流入する高圧液冷媒がプラグ流あるいはスラグ流である場合には冷媒流動音が発生しやすい。しかし、本発明では、冷媒流が分流管から冷媒分流室に合流することにより冷媒が掻き乱される。また、このときに分流管から流入する冷媒が円筒部に衝突するため、より一層掻き乱される。この結果、冷媒流中の気泡がより一層細分化され、膨張弁における不連続な冷媒流動音が効果的に低減される。
また、このような冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、前記円筒部は緩衝部材により形成されているようにしてもよい。このように構成すれば、正方向冷媒流れにおいて、絞り部から噴出される噴出エネルギの大きい冷媒流れが円筒部に案内されて弁孔に対向する壁体に向けて直進的に噴出される場合において、円筒部が緩衝部材で形成されているので、噴出エネルギの大きい冷媒流れによる衝撃力が緩衝部材を介して筐体に伝達される。このため、筺体に対する加振力が吸収あるいは減衰される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。次に、逆方向冷媒流れにおいて、分流管から流入する冷媒流が円筒部に衝突することによる円筒部に対する加振力は、円筒部が緩衝部材により形成されているため吸収あるいは減衰される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
また、このような冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、分流管が弁孔形成壁の近くで開口するように取り付けられるとともに、弁孔に対向する壁体に、弁孔から噴出された冷媒流を分流管の方に反転迂回させるガイド部が形成され、このガイド部が緩衝部材により形成されているように構成してもよい。このように構成すると、正方向冷媒流れにおいて、絞り部からの噴流が弁孔に対向する壁体に衝突して方向転換する際の乱れを抑制するため、より一層冷媒分流特性が向上する。また、この場合において、ガイド部が緩衝部材により形成されているため、冷媒流の衝突によるガイド部に対する加振力が緩衝部材により吸収あるいは減衰される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
また、弁室と冷媒分流室とが別室に形成された前述の冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、弁室及び冷媒分流室それぞれに、冷媒流路を横断するように多孔質透過材層が形成され、緩衝部材が、これら多孔質透過材層と弁孔形成壁との間の壁面を覆うように取り付けられているようにしてもよい。このようにすれば、正方向冷媒流れにおいて、フラグ流やスラグ流が弁室に流入する場合に、弁室の多孔質透過材層を通過することにより気泡が細分化されるので、冷媒の圧力変動や速度変動が緩和される。また、絞り部を通過した冷媒は、多孔質透過材層を通過することにより気泡がより細分化されるので、各分流管に対する気液二相流冷媒の流動状態が均一化され、冷媒分流室の分流特性が向上する。また、弁室の多孔質透過材層は絞り部に対するフィルタの機能を果たすことができる。次に、逆方向冷媒流れにおいては、弁室の多孔質透過材層と冷媒分流室の多孔質透過材層との機能が入れ替わり、総合的には正方向冷媒流れと同様に、冷媒の圧力変動や速度変動が緩和される。また、冷媒分流室の多孔質透過材層は絞り部に対するフィルタの機能を果たすことができる。したがって、正方向又は逆方向何れの冷媒流れにおいても、膨張弁における不連続な冷媒流動音が低減される。また、この場合において、最も衝撃の強い絞り部付近の壁面が多孔質透過材層と緩衝部材とで略覆われるので、膨張弁の筐体に対する加振力が少ない干渉部材により効率よく吸収あるいは減衰される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が効率よく抑制され、騒音が効率よく低減される。
また、本発明に係る冷凍装置は、上記冷媒分流室一体化構造の膨張弁を用いたものである。したがって、膨張弁における不連続な冷媒流動音を低減するとともに、分流特性の向上により能力を向上させることができ、さらに、簡素な冷凍装置を構成することができる。
本発明に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁によれば、膨張弁に冷媒分流室を一体化することにより、膨張弁から冷媒分流器に至る回路部分を簡素化して、その占有スペースを小さくするとともにコストを軽減することができる。また、正方向冷媒流れの場合に、分流特性が向上するとともに、不連続な冷媒流動音が軽減される。また、逆方向冷媒流れの場合に、膨張弁における不連続な冷媒流動音が低減される。また、冷媒流の速度変動及び圧力変動や、膨張弁の壁体への冷媒流の衝突などによる加振力は、緩衝部材により吸収あるいは減衰される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。また、本願発明に係る冷凍装置によれば、冷凍能力が向上するとともに、冷媒流動音が低減される。
以下、本発明の各実施の形態に係る膨張弁について、図面に基づき説明する。なお、各実施の形態に共通する要素には同一の符号を付し、説明を簡略化する。また、以下の説明において上下左右方向をいうときは、各図における上下左右方向をいうものとする。また、各図における2点鎖線は正方向冷媒流れを示し、実線矢印は逆方向冷媒流れを示す。例えば、先の従来例に係る冷媒サイクル(図8参照)に本実施の形態の冷媒分流室一体化構造の膨張弁が使用される場合は、正方向冷媒流れで使用される。また、このような冷媒回路において、圧縮機の出入口に四路切換弁を接続し、この冷媒回路が四路切換弁の切換により可逆サイクルに形成される場合は、前記膨張弁は冷房運転時が正方向冷媒流れであり、暖房運転時が逆方向冷媒流れとなる。ただし、逆方向冷媒流れにおいては、冷媒分流室は冷媒分流機能を発揮しない。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁について、図1に基づき説明する。図1は実施の形態1に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態1に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、通常の冷媒回路において、膨張弁から冷媒分流器に至る回路部分に代わり使用されるものである。
以下、本発明の実施の形態1に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁について、図1に基づき説明する。図1は実施の形態1に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態1に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、通常の冷媒回路において、膨張弁から冷媒分流器に至る回路部分に代わり使用されるものである。
この冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、中心軸を上下方向とする略円筒状の筐体からなる弁本体1を有し、その側壁2には入口ポート3が形成されている。この入口ポート3には液管4が接続されている。また、弁本体1は、内部が仕切壁として機能する弁孔形成壁5により上下に仕切られ、上部に弁室6が形成され、下部に冷媒分流室7が形成されている。前述の入口ポート3は弁室6の側壁2に形成されている。弁室6の上方部には駆動装置を収納した駆動部8が設けられ、弁室6と駆動部8との間が隔壁9により仕切られている。
弁孔形成壁5は、その中心部には、弁室6と冷媒分流室7との間に絞り部10を形成する弁孔11が形成されている。弁室6内には弁棒12が収納されている。弁棒12は、弁室6上方の弁駆動装置(図示省略)から下方に延びるものであって、弁室6と同心に配置されている。また、弁棒12の先端には、弁体(この場合ニードル弁)13が弁孔11に対し進退自在に移動するように構成されている。このようにして、弁体13と弁孔11とにより、冷凍負荷に対応して開度可変、かつ全閉可能とした絞り部10が形成されている。
冷媒分流室7は、所定の容積に形成され、外周壁を成す側壁2の下方部に、均等ピッチで、かつ、蒸発器のパス数に見合う複数個(この場合4本)の分流管取付孔15が形成されている。そして、この分流管取付孔15には冷媒分流室7と蒸発器の各パスの入口とを接続する分流管16が接続されている。
そして、上記のように構成された弁孔形成壁5における弁孔11周りの弁室6側及び冷媒分流室7側の壁面に衝撃吸収性を有する緩衝部材20,21が取り付けられている。弁室6側に取り付けられている緩衝部材20は、中央部に円錐状の孔20aが形成され、弁孔形成壁5から側壁2にかけてのコーナ部を覆うように形成されている。また、冷媒分流室7側の緩衝部材21は、コップを伏せたような形状をして、弁孔形成壁5から冷媒分流室7の側壁2の上部を覆う形に形成されている。また、緩衝部材21は、中央部に弁孔11に連続する状態の孔21aが形成されている。緩衝部材20,21は、ゴム、樹脂類などの弾性部材、網状部材、多孔質体(例えば発泡金属)等が用いられる。これら部材は1種類単独で用いたものでもよく、2種以上組み合わせてもよい。
実施の形態1の冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、上記のように構成されたものであって、正方向冷媒流れにおいて、次のように作用する。
この冷媒分流室一体化構造の膨張弁に対して、不図示の凝縮器で凝縮した液冷媒が入口ポート3から流入する。入口ポート3から入ってきた冷媒は、絞り部10で減圧されて噴霧される。そして、噴霧状態のままで冷媒分流室7に流入する。このため、噴霧状態の冷媒が分流管16に流れるようになっているので、冷媒分流室7においては重力の影響を受けることなく、各分流管16に均等に分流される。
この冷媒分流室一体化構造の膨張弁に対して、不図示の凝縮器で凝縮した液冷媒が入口ポート3から流入する。入口ポート3から入ってきた冷媒は、絞り部10で減圧されて噴霧される。そして、噴霧状態のままで冷媒分流室7に流入する。このため、噴霧状態の冷媒が分流管16に流れるようになっているので、冷媒分流室7においては重力の影響を受けることなく、各分流管16に均等に分流される。
また、この冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、入口ポート3から大きな気泡が存在するスラグ流あるいはプラグ流となった気液二相流冷媒が入ってきた場合、絞り部10に対する冷媒流は、液冷媒とガス冷媒(気泡)とが交互に流れる不連続状態となる。このため、膨張弁における冷媒流の速度変動及び圧力変動が生じやすくなっている。また、このような冷媒流の速度変動及び圧力変動により、膨張弁における不連続な冷媒流動音が発生しやすくなっている。しかし、本実施の形態によれば、絞り部10の下流側に冷媒流路を拡大する冷媒分流室7が形成されているため、冷媒分流室7内において噴出エネルギが拡散される。この結果、膨張弁における冷媒流の速度変動及び圧力変動が緩和され、膨張弁における不連続な冷媒流動音が低減される。なお、冷媒分流室7に対しては、絞り部10からの噴霧状態の冷媒が流入するため、この場合も重力の影響を受けることなく各分流管16に均等に分流される。
次に、この冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、例えば、可逆に冷媒を循環させて冷暖房する冷媒回路に使用され、冷媒回路が冷房回路から暖房回路に切り換えられて、逆方向冷媒流れで使用される場合において、次のように作用する。スラグ流あるいはプラグ流となった気液二相流の冷媒が分流管16から流入してきた場合、この冷媒は複数の分流管16から冷媒分流室7に流入される。流入された冷媒は合流されて掻き乱される。この結果、気液二相流冷媒中の気泡が細分化されるので、本実施の形態に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、逆方向冷媒流れにおいても、膨張弁における不連続な冷媒流動音を効果的に低減することができる。
また、本発明に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁によれば、冷媒流の速度変動及び圧力変動による膨張弁の筐体に対する加振力、並びに、膨張弁の筐体への冷媒流の衝突による膨張弁の筐体に対する加振力は、緩衝部材20,21により吸収あるいは減衰されて膨張弁の筐体に伝達される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
本実施の形態に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
(1)膨張弁に冷媒分流室7が一体化されているので、膨張弁から冷媒分流器に至る回路部分が簡素化され、占有スペースが省スペース化される。
(1)膨張弁に冷媒分流室7が一体化されているので、膨張弁から冷媒分流器に至る回路部分が簡素化され、占有スペースが省スペース化される。
(2)正方向冷媒流れに使用される場合において、冷媒分流室7には噴霧状態の冷媒が流れ込むので、重力の影響を受けることなく、各分流管16に均等に分流される。
(3)正方向冷媒流れにおいて、絞り部10の下流側に冷媒流路を拡大する冷媒分流室7が形成されているため、噴出エネルギが拡散される。これにより、冷媒流の速度変動及び圧力変動が緩和され、膨張弁における不連続な冷媒流動音が低減される。
(3)正方向冷媒流れにおいて、絞り部10の下流側に冷媒流路を拡大する冷媒分流室7が形成されているため、噴出エネルギが拡散される。これにより、冷媒流の速度変動及び圧力変動が緩和され、膨張弁における不連続な冷媒流動音が低減される。
(4)正方向冷媒流れにおいて、冷媒分流室7の上流側に設置される絞り部10は、冷凍負荷に対応して開度可変に絞られるので、従来の冷媒分流器に取り付けられているような開度一定の絞り部と異なり、流量及び乾き度などの運転状況に応じて適切な絞り度に変化し、これにより冷媒分流特性をより一層向上させることができる。
(5)逆方向冷媒流れにおいて、分流管16から冷媒分流室7に流入する冷媒は、複数の分流管16から冷媒が合流することにより掻き乱されるこれにより、気液二相流冷媒中の気泡が細分化されるので、膨張弁における不連続な冷媒流動音が効果的に低減される。
(6)冷媒流から膨張弁の筐体に対する加振力が緩衝部材20,21により吸収あるいは減衰されるので、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について図2に基づき説明する。図2は実施の形態2に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態2に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、実施の形態1に比して緩衝部材の取付範囲を拡大したものである。以下実施の形態1との相違点を中心に説明する。
次に、実施の形態2について図2に基づき説明する。図2は実施の形態2に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態2に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、実施の形態1に比して緩衝部材の取付範囲を拡大したものである。以下実施の形態1との相違点を中心に説明する。
本実施の形態においては、弁室6の内壁面全体に亘り緩衝部材25が取り付けられるとともに、弁棒12の中間部に緩衝部材26が取り付けられている。このようにこの実施の形態においては、冷媒の流通、絞り作用を阻害しない全ての面に緩衝部材25,26が取り付けられている。同様に、冷媒分流室7においても内壁面全体に緩衝部材27が取り付けられている。なお、これら緩衝部材25,27には、弁孔11、液管4、隔壁9における弁棒12の支持部、及び分流管16に対応する位置にはそれぞれ孔25a,25b,25c,27a,27bが設けられて、円滑に冷媒を流通させるように構成されている。
実施の形態2に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、このように構成されているので、実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
また、実施の形態2においては、冷媒流が接する殆どの面に緩衝部材25,26,27が取り付けられている。このため、冷媒流から膨張弁の筐体に加えられる衝撃は、殆どが緩衝部材25,26,27を介して伝達される。この結果、冷媒流の衝撃による筐体に対する加振力が吸収あるいは減衰され、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
また、実施の形態2においては、冷媒流が接する殆どの面に緩衝部材25,26,27が取り付けられている。このため、冷媒流から膨張弁の筐体に加えられる衝撃は、殆どが緩衝部材25,26,27を介して伝達される。この結果、冷媒流の衝撃による筐体に対する加振力が吸収あるいは減衰され、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について図3に基づいて説明する。図3は、実施の形態3に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態1及び2に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、弁室と冷媒分流室とが別室に形成されていたが、実施の形態3は、弁室と冷媒分流室とが兼用とされたものである。
次に、実施の形態3について図3に基づいて説明する。図3は、実施の形態3に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態1及び2に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、弁室と冷媒分流室とが別室に形成されていたが、実施の形態3は、弁室と冷媒分流室とが兼用とされたものである。
この冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、中心軸を上下方向とする略円筒状に形成された弁本体31を有し、その下壁は、弁孔形成壁32を成し、その中心部に入口ポート33が形成され、この入口ポート33に液管34が接続されている。また、弁本体31の内部は、弁室を兼用する冷媒分流室35として形成されている。また、この冷媒分流室35は、上方の駆動装置を収納した駆動部36との間が隔壁37により仕切られている。
弁孔形成壁32は、その中心部には、前述のように入口ポート33が形成されるとともに、冷媒分流室35との間に絞り部を形成する弁孔38が形成されている。冷媒分流室35内には、弁棒39が収納されている。弁棒39は、上方の弁駆動装置(図示省略)から下方に延びるものであって、弁本体31及び冷媒分流室35と同心に配置されている。また、弁棒39の先端には、弁体(この場合ニードル弁)40が形成されている。そして、弁体40は、弁駆動装置の駆動により弁棒39を介して弁孔38に対し進退自在に移動するように構成されている。このようにして、弁体40と弁孔38とにより冷凍負荷に対応して開度可変、かつ全閉可能とした絞り部41が形成されている。
冷媒分流室35は、所定の容積に形成され、外周の側壁42の上方部には、均等ピッチで、かつ、蒸発器のパス数に見合う複数個(この場合4本)の分流管取付孔43が形成されている。そして、この分流管取付孔43には、冷媒分流室35と蒸発器の各パスの入口とを接続する分流管44が接続される。
また、冷媒分流室35の内壁面には冷媒の流通、絞り作用を阻害しないほぼ全体に衝撃吸収性を有する緩衝部材45が取り付けられている。なお、この緩衝部材45には、弁孔38、分流管44、隔壁37における弁棒39の支持部に対応する位置にはそれぞれ孔45a,45b,45cが設けられている。緩衝部材45は、実施の形態1における緩衝部材20,21と同様のものであって、ゴム、樹脂類、バネなどの弾性部材、網状部材、多孔質体(例えば発泡金属)等が用いられる。また、これら部材は1種類単独で用いたものでもよく、2種以上組み合わせてもよい。
実施の形態3の冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、上記のように構成されたものであって、正方向冷媒流れにおいて、次のように作用する。
この冷媒分流室一体化構造の膨張弁に対して、不図示の凝縮器で凝縮した液冷媒が入口ポート33から流入する。入口ポート33から入ってきた冷媒は、絞り部41で減圧されて噴霧される。そして、噴霧状態のままで冷媒分流室35に流入する。このため、噴霧状態の冷媒が分流管44に流れるようになっているので、冷媒分流室35においては重力の影響を受けることなく、各分流管44に均等に分流される。
この冷媒分流室一体化構造の膨張弁に対して、不図示の凝縮器で凝縮した液冷媒が入口ポート33から流入する。入口ポート33から入ってきた冷媒は、絞り部41で減圧されて噴霧される。そして、噴霧状態のままで冷媒分流室35に流入する。このため、噴霧状態の冷媒が分流管44に流れるようになっているので、冷媒分流室35においては重力の影響を受けることなく、各分流管44に均等に分流される。
また、この冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、入口ポート33から大きな気泡が存在するスラグ流あるいはプラグ流となって気液二相流冷媒が入ってきた場合、絞り部41に対する冷媒流は、液冷媒とガス冷媒(気泡)とが交互に流れる不連続状態となる。このため、膨張弁における冷媒流に速度変動及び圧力変動が生じやすくなっている。また、このような冷媒流の速度変動及び圧力変動により、膨張弁における不連続な冷媒流動音が発生しやすくなっている。しかし、本実施の形態によれば、絞り部41の下流側に冷媒流路を拡大する冷媒分流室35が形成されているため、冷媒分流室35内において絞り部41通過後の冷媒流の噴出エネルギが拡散される。この結果、冷媒分流室35から分流管44へ流出する冷媒流の速度変動及び圧力変動が緩和され、膨張弁における不連続な冷媒流動音が低減される。なお、冷媒分流室35に対しては、絞り部41からの噴霧状態の冷媒が流入するため、この場合も重力の影響を受けることなく各分流管44に均等に分流される。
次に、この冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、例えば、可逆に冷媒を循環させて冷暖房する冷媒回路に使用され、冷媒回路が冷房回路から暖房回路に切り換えられて、逆方向冷媒流れで使用される場合において、次のように作用する。スラグ流あるいはプラグ流となった気液二相流の冷媒が分流管44から流入してきた場合、この冷媒は複数の分流管44から冷媒分流室35に流入される。流入された冷媒は合流されて掻き乱される。この結果、気液二相流冷媒中の気泡が細分化されるので、本実施の形態に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、逆方向冷媒流れにおいても、膨張弁における不連続な冷媒流動音を効果的に低減することができる。
また、本発明に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁によれば、冷媒流の速度変動及び圧力変動による膨張弁の筐体に対する加振力、並びに、膨張弁の筐体への冷媒流の衝突などによる膨張弁の筐体に対する加振力は、緩衝部材45により吸収あるいは減衰されて膨張弁の筐体に伝達される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
本実施の形態に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
(1)膨張弁に冷媒分流室35が一体化されているので、膨張弁から冷媒分流器に至る回路部分が簡素化され、占有スペースが省スペース化される。特に、この実施の形態のものでは、冷媒分流室35が弁室を兼用するので、膨張弁が小型化されより一層簡素化される。
(1)膨張弁に冷媒分流室35が一体化されているので、膨張弁から冷媒分流器に至る回路部分が簡素化され、占有スペースが省スペース化される。特に、この実施の形態のものでは、冷媒分流室35が弁室を兼用するので、膨張弁が小型化されより一層簡素化される。
(2)正方向冷媒流れに使用される場合において、冷媒分流室35には噴霧状態の冷媒が流れ込むので、重力の影響を受けることなく、各分流管44に均等に分流される。
(3)正方向冷媒流れにおいて、絞り部41の下流側に冷媒流路を拡大する冷媒分流室35が形成されているため、噴出エネルギが拡散される。これにより、冷媒流の速度変動及び圧力変動が緩和され、膨張弁における不連続な冷媒流動音が低減される。
(3)正方向冷媒流れにおいて、絞り部41の下流側に冷媒流路を拡大する冷媒分流室35が形成されているため、噴出エネルギが拡散される。これにより、冷媒流の速度変動及び圧力変動が緩和され、膨張弁における不連続な冷媒流動音が低減される。
(4)正方向冷媒流れにおいて、冷媒分流室35の上流側に設置される絞り部41は、冷凍負荷に対応して開度可変に絞られるので、従来の冷媒分流器に取り付けられているような開度一定の絞り部と異なり、流量及び乾き度などの運転状況に応じて適切な絞り度に変化し、これにより冷媒分流特性をより一層向上させることができる。
(5)逆方向冷媒流れにおいて、分流管44から冷媒分流室35に流入する冷媒は、複数の分流管44から冷媒が合流することにより掻き乱され、気液二相流冷媒中の気泡が細分化されるので、膨張弁における不連続な冷媒流動音が効果的に低減される。
(6)冷媒流から膨張弁の筐体に対する加振力は、緩衝部材45により吸収あるいは減衰されるので、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について図4に基づき説明する。図4は実施の形態4に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態4に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、実施の形態1に比し緩衝部材の吸収あるいは減衰効果をさらに向上させたものである。
次に、実施の形態4について図4に基づき説明する。図4は実施の形態4に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態4に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、実施の形態1に比し緩衝部材の吸収あるいは減衰効果をさらに向上させたものである。
本実施の形態においては、弁室6及び冷媒分流室7それぞれに、冷媒流路を横断するように多孔質透過材層51,52が形成されている。また、弁室6に取り付けられる緩衝部材53は、弁孔形成壁5の弁室6側と、弁室6の側壁2における弁孔形成壁5から多孔質透過材層51までの範囲に取り付けられている。また、冷媒分流室7に取り付けられる緩衝部材54は、弁孔形成壁5の冷媒分流室7側と、冷媒分流室7の側壁2における弁孔形成壁5から多孔質透過材層52までの範囲に取り付けられている。なお、緩衝部材53,54における弁孔11に対応する位置には、冷媒の流通を妨げないように、弁孔11と略同径の孔53a,54aが形成されている。緩衝部材53,54の材料は、実施の形態1における緩衝部材20,21と同様のものである。また、多孔質透過材層51,52は、発泡金属、発泡性樹脂などであって、前述の緩衝部材と同様に衝撃吸収性能を備えている。なお、その他の構成は、実施の形態1と同一である。
したがって、本実施の形態に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、絞り部10の前後が衝撃吸収性能を備えた材料により取り囲まれた状態となっている。この結果、冷媒流から発生される衝撃は、絞り部10前後で発せられるものが最大となるが、この衝撃力は衝撃吸収性能を備えた多孔質透過材層51,52及び緩衝部材53,54を介して筺体に伝達されるので、膨張弁の筐体に対する加振力が吸収あるいは減衰される。この結果、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が効果的に抑制され、騒音を効果的に低減することができる。
また、本実施の形態に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、正方向冷媒流れにおいて、入口ポート3から大きな気泡が存在するスラグ流あるいはプラグ流となった気液二相流冷媒が入ってきた場合、多孔質透過材層51で気泡が細分化されることにより、冷媒の圧力変動や速度変動が緩和され、膨張弁における不連続な冷媒流動音が低減される。また、絞り部10を通過した冷媒は、冷媒分流室7の多孔質透過材層52を通過することにより、気泡が細分化されるので、各分流管16に対する気液二相流冷媒の流動状態が均一化され、冷媒分流室7の分流特性が向上する。また、弁室6の多孔質透過材層51は絞り部10に対するフィルタの機能を果たすことができる。
また、本実施の形態に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、逆方向冷媒流れにおいて、弁室6の多孔質透過材層51と冷媒分流室7の多孔質透過材層52との機能が入れ替わり、総合的には正方向冷媒流れと同様に、冷媒の圧力変動や速度変動が緩和され、膨張弁における不連続な冷媒流動音が低減される。また、冷媒分流室7の多孔質透過材層52は絞り部10に対するフィルタの機能を果たすことができる。
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について図5に基づき説明する。図5は実施の形態5に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態5に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、実施の形態2において、冷媒分流室7の構造を変更したものである。以下実施の形態2との相違点を中心に説明する。
次に、実施の形態5について図5に基づき説明する。図5は実施の形態5に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態5に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、実施の形態2において、冷媒分流室7の構造を変更したものである。以下実施の形態2との相違点を中心に説明する。
本実施の形態においては、分流管16は、冷媒分流室7における側壁の上方位置、すなわち、弁孔形成壁5の近くで開口するように設けられている。また、弁孔形成壁5の冷媒分流室7側に、弁孔11を取り巻く円筒部55が形成されている。また、この円筒部55は、冷媒分流室7の内壁面を略全面覆う緩衝部材27の一部として形成されている。なお、弁棒12の中間部を覆う緩衝部材26が取り付けられていないが、この緩衝部材26を実施の形態2と同様に取り付けてもよい。
実施の形態5に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、このように構成されているので、実施の形態2と同様の作用効果を奏することができる。
また、この実施の形態5に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、正方向冷媒流れにおいて、次の作用効果を奏することもできる。すなわち、絞り部10から噴出される噴出エネルギの大きい冷媒流れは、円筒部55に案内されて弁孔11に対向する壁体18に直進的に噴出される。一方、分流管16が冷媒分流室7の側壁2の上方位置、すなわち、弁孔形成壁5の近くで開口するように形成されている。したがって、絞り部10からの冷媒流は弁孔11に対向する壁体18に衝突し反転迂回して分流管16に流入する。これにより、絞り部10からの冷媒が分流管16の入口へ直接到達することがより確実に防止され、分流管16に流入する冷媒流の乱れが軽減される。
また、この実施の形態5に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、正方向冷媒流れにおいて、次の作用効果を奏することもできる。すなわち、絞り部10から噴出される噴出エネルギの大きい冷媒流れは、円筒部55に案内されて弁孔11に対向する壁体18に直進的に噴出される。一方、分流管16が冷媒分流室7の側壁2の上方位置、すなわち、弁孔形成壁5の近くで開口するように形成されている。したがって、絞り部10からの冷媒流は弁孔11に対向する壁体18に衝突し反転迂回して分流管16に流入する。これにより、絞り部10からの冷媒が分流管16の入口へ直接到達することがより確実に防止され、分流管16に流入する冷媒流の乱れが軽減される。
この点についてさらに詳細に説明する。絞り部10から噴出された冷媒流は、入口ポート3から流入する冷媒流の速度変動や圧力変動の影響を受けて、間欠的に変動し易くなっている。したがって、仮に、絞り部10から噴出された冷媒流が、面積が微小な分流管16の入口部に直接衝突する場合には、分流管16に流入できずに分流管16の周辺で衝突して跳ね返ってくる成分が発生したり、分流管16に流入したものでも流入直後に剥離流れが発生したりするなど入り乱れて、互いに影響し合い、大きな不安定現象が生じるおそれがある。しかしながら、本発明では、前述のように絞り部10から噴出される冷媒流が弁孔11に対向する壁体18に衝突して反転迂回されて分流管16の入口に到達するようにしているので、このような不安定現象(噴流の分流管16の入口への衝突、跳ね返り、剥離流れなどの複合現象)を回避することができる。このため、入口ポート3から流入する冷媒流の速度変動や圧力変動は、分流管16に流れる冷媒流に直接影響しないようになっている。
また、絞り部10からの噴流が円筒部55内を通過することにより円筒部55に対し大きな衝撃力が加えられるが、円筒部55が緩衝部材27により形成されているので、筺体に伝達される加振力が吸収あるいは減衰される。これにより、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
また、実施の形態5に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、逆方向冷媒流れにおいて、次の作用効果を奏することができる。
分流管16から冷媒分流室7に流入する高圧液冷媒がプラグ流あるいはスラグ流である場合には、冷媒流動音が発生しやすい。しかし、本実施の形態に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁では、冷媒流が分流管16から冷媒分流室7に合流することにより冷媒が掻き乱されるとともに、分流管16から流入する冷媒が円筒部55に衝突し、より一層掻き乱される。この結果、冷媒流中の気泡がより一層細分化され、膨張弁における不連続な冷媒流動音が効果的に低減される。また、この場合、分流管16から流入する冷媒流が円筒部55に衝突することによる筐体に対する加振力は、円筒部55が緩衝部材27により形成されているため吸収あるいは減衰される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
分流管16から冷媒分流室7に流入する高圧液冷媒がプラグ流あるいはスラグ流である場合には、冷媒流動音が発生しやすい。しかし、本実施の形態に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁では、冷媒流が分流管16から冷媒分流室7に合流することにより冷媒が掻き乱されるとともに、分流管16から流入する冷媒が円筒部55に衝突し、より一層掻き乱される。この結果、冷媒流中の気泡がより一層細分化され、膨張弁における不連続な冷媒流動音が効果的に低減される。また、この場合、分流管16から流入する冷媒流が円筒部55に衝突することによる筐体に対する加振力は、円筒部55が緩衝部材27により形成されているため吸収あるいは減衰される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
(実施の形態6)
次に、実施の形態6について図6に基づき説明する。図6は実施の形態6に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態6に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、実施の形態5において、冷媒分流室7の構造をさらに変更したものである。以下実施の形態6との相違点を中心に説明する。
次に、実施の形態6について図6に基づき説明する。図6は実施の形態6に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態6に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、実施の形態5において、冷媒分流室7の構造をさらに変更したものである。以下実施の形態6との相違点を中心に説明する。
本実施の形態においては、冷媒分流室7において、弁孔11に対向する壁体18に、弁孔11から噴出された冷媒流を分流管16の方に反転迂回させるガイド部56が形成されている。このガイド部56は、緩衝部材25の一部として緩衝部材25に一体的に形成されている。そして、このガイド部56は、冷媒分流室7の底壁を成す壁体18を覆う緩衝部材27における中心部56aを略円錐状に突出させるとともに、冷媒分流室7の底壁から側壁2にかけて取り付けられる緩衝部材27の内表面56bを冷媒流れに沿う曲面に形成したものである。
実施の形態6に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、このように構成されているので、実施の形態5と同様の作用効果を奏することができる。
また、この実施の形態6に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、正方向冷媒流れにおいて、絞り部10からの噴流が弁孔11に対向する壁体18に衝突して方向転換する際の乱れが抑制されるため、より一層冷媒分流特性が向上する。また、この場合、冷媒流の衝突による筐体に対する加振力は、ガイド部56が緩衝部材27により形成されているため吸収あるいは減衰される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
また、この実施の形態6に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、正方向冷媒流れにおいて、絞り部10からの噴流が弁孔11に対向する壁体18に衝突して方向転換する際の乱れが抑制されるため、より一層冷媒分流特性が向上する。また、この場合、冷媒流の衝突による筐体に対する加振力は、ガイド部56が緩衝部材27により形成されているため吸収あるいは減衰される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
(実施の形態7)
次に、実施の形態7について図7に基づき説明する。図7は実施の形態7に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態7に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、実施の形態3において、冷媒分流室35の構造を変更したものである。以下実施の形態3との相違点を中心に説明する。
次に、実施の形態7について図7に基づき説明する。図7は実施の形態7に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁の要部縦断面図である。実施の形態7に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、実施の形態3において、冷媒分流室35の構造を変更したものである。以下実施の形態3との相違点を中心に説明する。
本実施の形態においては、冷媒分流室35において、分流管44を側壁42の下方位置、すなわち、弁孔形成壁32の近くで開口するように設けている。また、弁孔形成壁32の冷媒分流室35側に、弁孔38を取り巻く円筒部61が形成されている。また、この円筒部61は、冷媒分流室35の内壁面を略全面覆う緩衝部材45の一部として形成されている。また、弁孔38に対向する壁体、すなわち、隔壁37に、弁孔38から噴出された冷媒流を分流管44の方に反転迂回させるガイド部62が形成されている。このガイド部62は、緩衝部材45の一部として緩衝部材45に一体的に形成されている。そして、このガイド部62は、隔壁37の冷媒分流室35側の表面を覆う緩衝部材45の中心部62aを略円錐状に突出させるとともに、隔壁37から側壁42にかけて取り付けられる緩衝部材45の内表面62bを冷媒流れに沿う曲面に形成したものである。
実施の形態7に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、このように構成されているので、実施の形態3と同様の作用効果を奏することができる。
また、この実施の形態7に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、正方向冷媒流れにおいて次の作用効果を奏することができる。すなわち、絞り部41から噴出される噴出エネルギの大きい冷媒流れは、円筒部61に案内されて弁孔38に対向する壁体、すなわち隔壁37に直進的に噴出される。一方、分流管44が冷媒分流室35の側壁42の下方位置、すなわち、弁孔形成壁32の近くで開口するように形成されている。したがって、絞り部41からの冷媒流は弁孔38に対向する隔壁37に衝突し反転迂回して分流管44に流入する。これにより、分流管44の入口へ直接到達することがより確実に防止され、絞り部41からの噴流の影響を受けて発生する不安定現象(噴流の分流管44の入口への衝突、跳ね返り、剥離流れなどの複合現象)を回避することができ、分流管44に流入する冷媒流の乱れが軽減される。この結果、冷媒流動音が低減されるとともに、冷媒分流特性の悪化が防止される。また、この場合、絞り部41からの噴流が円筒部61内を通過することにより円筒部61に対し大きな衝撃力が加えられるが、円筒部61が緩衝部材45により形成されているので、筺体に伝達される加振力が吸収あるいは減衰される。これにより、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
また、この実施の形態7に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、正方向冷媒流れにおいて次の作用効果を奏することができる。すなわち、絞り部41から噴出される噴出エネルギの大きい冷媒流れは、円筒部61に案内されて弁孔38に対向する壁体、すなわち隔壁37に直進的に噴出される。一方、分流管44が冷媒分流室35の側壁42の下方位置、すなわち、弁孔形成壁32の近くで開口するように形成されている。したがって、絞り部41からの冷媒流は弁孔38に対向する隔壁37に衝突し反転迂回して分流管44に流入する。これにより、分流管44の入口へ直接到達することがより確実に防止され、絞り部41からの噴流の影響を受けて発生する不安定現象(噴流の分流管44の入口への衝突、跳ね返り、剥離流れなどの複合現象)を回避することができ、分流管44に流入する冷媒流の乱れが軽減される。この結果、冷媒流動音が低減されるとともに、冷媒分流特性の悪化が防止される。また、この場合、絞り部41からの噴流が円筒部61内を通過することにより円筒部61に対し大きな衝撃力が加えられるが、円筒部61が緩衝部材45により形成されているので、筺体に伝達される加振力が吸収あるいは減衰される。これにより、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
さらに、実施の形態7に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、隔壁37の冷媒分流室側の表面にはガイド部62が形成されているので、絞り部41からの噴流が隔壁37に衝突して方向転換する際の乱れが抑制される。このため、より一層冷媒分流特性が向上する。また、この場合、冷媒流の衝突による筐体に対する加振力は、ガイド部62が緩衝部材45により形成されているため吸収あるいは減衰される。したがって、前述の円筒部61による吸収あるいは減衰効果と相まって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動がさらに抑制され、騒音がさらに低減される。
また、実施の形態7に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁は、逆方向冷媒流れにおいて、次の作用効果を奏することができる。すなわち、分流管44から冷媒分流室35に流入する高圧液冷媒がプラグ流あるいはスラグ流である場合には、冷媒流動音が発生しやすい。しかし、本実施の形態に係る冷媒分流室一体化構造の膨張弁では、冷媒流が分流管44から冷媒分流室35に合流することにより冷媒が掻き乱されるとともに、分流管44から流入する冷媒が円筒部61に衝突し、より一層掻き乱される。この結果、冷媒流中の気泡がより一層細分化され、膨張弁における不連続な冷媒流動音が効果的に低減される。また、この場合、分流管44から流入する冷媒流が円筒部61に衝突することによる筐体に対する加振力は、円筒部61が緩衝部材45により形成されているため吸収あるいは減衰される。したがって、膨張弁や、この膨張弁に接続されている配管や、この配管に接続されている機器などの振動が抑制され、騒音が低減される。
(変形例)
(1)弁室を冷媒分流室35に兼用させた実施の形態3において、冷媒分流室35の内壁面に取り付ける緩衝材45を、弁室6と冷媒分流室7とを別室に形成する実施の形態1の場合のように、弁孔38周りに部分的に取り付けるようにしてもよい。このようにすれば、緩衝部材45の取付範囲を狭くする割には大きな効果が得られるので、緩衝部材45を効果的に使用することができる。
(1)弁室を冷媒分流室35に兼用させた実施の形態3において、冷媒分流室35の内壁面に取り付ける緩衝材45を、弁室6と冷媒分流室7とを別室に形成する実施の形態1の場合のように、弁孔38周りに部分的に取り付けるようにしてもよい。このようにすれば、緩衝部材45の取付範囲を狭くする割には大きな効果が得られるので、緩衝部材45を効果的に使用することができる。
(2)実施の形態2において弁棒12の中間部に緩衝部材26を取り付けているが、騒音低減の観点からは冷媒が触れる場所全てに緩衝部材を取り付けることが好ましい。したがって、前述のように実施の形態4,5,6において、弁棒12の中間部の外周表面に緩衝部材を取り付けるようにしてもよい。また、実施の形態3,7において弁棒39の中間部の外周表面に緩衝部材を取り付けるようにしてもよい。
(3)上記実施の形態において、冷媒分流室7、35は、略円筒状を成す弁本体1,31の縦方向の寸法(軸心方向の寸法)が横方向の寸法(軸心と直角の方向の寸法)より大きく、つまり縦長の寸法に形成されているが、縦方向の寸法を横方向の寸法より小さくした、つまり横長の寸法に形成したものとしてもよい。また、実施の形態1,2,4,5,6において、弁室6と冷媒分流室7とを異径の円筒形状としてもよく、また、円筒状でない異形としてもよい。
(4)分流管16、35は、各実施の形態において4本のものを示している。しかし、これに限られたものではなく2本以上のもの全てに適用することができる。
2,42…側壁、5,32…弁孔形成壁、6…弁室、7,35…冷媒分流室、10,41…絞り部、11,38…弁孔、12,39…弁棒、13,40…弁体、16,44…分流管、18…壁体、20,21,25,26,27,45,53,54…緩衝部材、51,52…多孔質透過材層、55,61…円筒部、56,62…ガイド部。
Claims (11)
- 弁体と弁孔とにより形成される絞り部と、絞り部通過後の冷媒を分流管に分流する冷媒分流室と、冷媒流による衝撃を吸収あるいは減衰させる作用を有する緩衝部材とを備え、この緩衝部材は、少なくとも弁孔を形成する弁孔形成壁における弁孔周りを覆うように取り付けられていることを特徴とする冷媒分流室一体化構造の膨張弁。
- 請求項1記載の冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、
弁体を収納する弁室が冷媒分流室とは別室に形成されるとともに、弁孔形成壁を挟んで弁室と冷媒分流室とが形成され、
前記緩衝部材が弁孔形成壁の弁室側及び冷媒分流室側の少なくとも何れか一方の表面の弁孔周りを覆うように取り付けられていることを特徴とする冷媒分流室一体化構造の膨張弁。 - 請求項2記載の冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、
緩衝部材が、弁室及び冷媒分流室の少なくとも何れか一方の内壁面を略全体的に覆うように取り付けられていることを特徴とする冷媒分流室一体化構造の膨張弁。 - 請求項1記載の冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、
弁体を収納する弁室と冷媒分流室とを兼用することを特徴とする冷媒分流室一体化構造の膨張弁。 - 請求項4記載の冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、
緩衝部材が、弁室兼用の冷媒分流室の内壁面全体を略全体的に覆うように取り付けられていることを特徴とする冷媒分流室一体化構造の膨張弁。 - 請求項4又は5記載の冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、
前記弁体は弁棒の先端部に形成されるとともに、緩衝部材が、この弁棒の中間部の表面を覆うように取り付けられていることを特徴とする冷媒分流室一体化構造の膨張弁。 - 請求項2〜6の何れか1項に記載の冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、
分流管が弁孔形成壁の近くで開口するように取り付けられるとともに、弁孔形成壁の冷媒分流室側に弁孔を取り巻く円筒部が形成されている
ことを特徴とする冷媒分流室一体化構造の膨張弁。 - 請求項7記載の冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、前記円筒部は緩衝部材により形成されている
ことを特徴とする冷媒分流室一体化構造の膨張弁。 - 請求項2〜8の何れか1項に記載の冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、
分流管が弁孔形成壁の近くで開口するように取り付けられるとともに、弁孔に対向する壁体に、弁孔から噴出された冷媒流を分流管の方に反転迂回させるガイド部が形成され、
このガイド部が緩衝部材により形成されている
ことを特徴とする冷媒分流室一体化構造の膨張弁。 - 請求項2記載の冷媒分流室一体化構造の膨張弁において、
弁室及び冷媒分流室それぞれに、冷媒流路を横断するように多孔質透過材層が形成され、緩衝部材が、これら多孔質透過材層と弁孔形成壁との間の側壁を覆うように取り付けられていることを特徴とする冷媒分流室一体化構造の膨張弁。 - 請求項1〜10の何れか1項に記載の冷媒分流室一体化構造の膨張弁を用いたことを特徴とする冷凍装置。
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-
2007
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