JP2009019717A - ガス供給用ホース - Google Patents

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雄一 井尻
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広志 有澤
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Abstract

【課題】燃料電池自動車等のガス供給システムに適用できるホースを提案する。
【解決手段】ホースの最も内側に位置してガスの供給経路を区画形成する内層1と、この内層1の表面に補強層2を介して配置される外層3とを備えた積層型のガス供給用ホースにおいて、前記内層1を、熱可塑性樹脂からなり供給ガスに直接接触する壁面をもった内面層1aと、この内面層1aの外側に位置してガスの透過を抑制するバリア層1bと、このバリア層1bの外側に位置する外面層1cにて構成し、前記外層3を、絶縁性を有するゴムにて構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池自動車等のガス供給システム(例えば水素ガス等)に適用して好適なガス供給用ホースに関するものである。
従来、燃料電池自動車のガス供給システムでは、ガス(水素ガス等)の供給経路を金属製のパイプによって構成するのが普通であった。しかしながら、金属製のパイプは、柔軟性がなく取り扱いが面倒であり振動が激しい部位に用いられると折れ易いこと、また、燃料電池本体は高電圧でありパイプを通して電流が流れた場合に部品間に悪影響を与えるだけでなく感電するおそれがあるのでパイプの接続部には絶縁のためのゴム部品を設置して絶縁状態を確保していたが部品点数の増加が避けられない状況にあった。
このため近年では、ガスの供給経路を、ゴム材料にて構成されたホースが適用されているところ、かかるゴム材料では以下に述べるようなのような難点があった。
すなわち、
a.燃料電池自動車は水素等のガスが発生するだけでなく、水が生成されるためゴム材料の配合成分がガスの供給経路内へと抽出され、生成された水の中の陽イオンの濃度が高くなり燃料電池の反応膜(イオン交換膜)の効率低下が避けられない(ガスの純度が低下する)、
b.ガスに対する透過性が高い、
c.材料が劣化し易い、
この点に関する先行技術としては、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂からなる内面層と、金属ワイヤからなる補強層を順次に積層した積層構造のガス供給用ホースが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、かかるホースは、ガスの透過性については改善されているものの、耐水性に若干の問題があるうえ高温、高圧環境下ではホースを曲げた場合にキンク(キンクとは曲り癖がつく状態をいう)が生じやすく、しかも高温水の影響でホースから陽イオンが抽出されてガス供給システムの劣化を引き起こしてしまう不具合があり未だ改善の余地が残されていた。
特開2003-65466号公報
本発明の課題は、ガス供給用のゴム製ホースにおいて従来生じていた上述のような問題を解消し得る新規なガス供給用ホースを提案するところにある。
本発明は、ホースの最も内側に位置してガスの供給経路を区画形成する内層と、この内層の表面に補強層を介して配置される外層とを備えた積層型のガス供給用ホースであって、
前記内層は、熱可塑性樹脂からなり供給ガスに直接接触する壁面をもった内面層と、この内面層の外側に位置してガスの透過を抑制するバリア層と、このバリア層の外側に位置する外面層からなり、
前記外層は、絶縁性を有するゴムからなることを特徴とするガス供給用ホースである(請求項1)。
上記の構成になるガス供給ホースにおいて、前記ガス供給用ホースは、ガスの供給経路内に純水を封入し100°C、168時間静置した後における該純水の電気伝導度が10mS/m以下になるものがとくに有利に適合する(請求項2)。
前記内面層を形成する熱可塑性樹脂は、耐水性を有するオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂もしくはポリメチルペンテン樹脂の何れかの樹脂を用いることができる(請求項3)。
前記内面層は、20〜300μmの厚さとするのが望ましく(請求項4)、前記バリア層は、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂を用いることが可能であり(請求項5)、前記補強層としては、繊維もしくは金属線(ワイヤ)を網組みすることによって形成された層か、あるいは繊維もしくは金属線をスパイラルに巻き付けることによって形成された層を適用することができる(請求項6)。
前記外層を形成するゴムは、絶縁性フィラを20〜150phrかつ、カーボンブラックを20〜80phrの範囲で配合したゴム組成物を適用するのが望ましい(請求項7)。
内層、補強層、外層を順次に積層し、該外層を絶縁性のゴムにて構成することで、ホース自体の柔軟性を確保しつつガス供給経路内への陽オン等の抽出を抑制して純度の高いガスの供給が可能となる。
また、外層が絶縁性のゴムからなるので、絶縁部材を別途に用意する必要はなく部品点数の削減が可能であり、さらには製造手段としては共押出し等の簡易な手段が適用でき効率的な製造が可能となる。
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明にしたがうガス供給用ホースの実施の形態を示した図である。
図において1はホースの最も内側に位置してガスの供給経路mを区画形成する内層である。この内層1は熱可塑性樹脂からなっており、供給ガス、生成水に直接接触する壁面をもった内面層1aと、この内面層1aの外側に位置してガスの透過を抑制するバリア層1bと、このバリア層1bの外側に位置する外面層1cにて構成されている。
また、2は内層1の表面に配置される補強層である。この補強層2は繊維もしくは金属線を網組みすることによって形成されるか、または該繊維、金属線をスパイラルに巻き付けることによって形成される。
さらに、3は補強層2の表面に配置される外層である。この外層3は絶縁性を有するゴムにて構成される。
上記の構成になるガス供給用ホースは、ガスの供給経路内に純水を封入し100°C、168時間静置した後における該純水の電気伝導度が10mS/m以下であって、陽イオンの抽出が抑制されるため純度の高いガスの供給が可能となる。
内面層1aを形成する熱可塑性樹脂としては、耐水性のみならず加工時における耐熱性、耐ガス透過性の良好な、オレフィン系樹脂(三井化学製、TPX樹脂等)、ポリエチレンテレフタレート系樹脂もしくはポリメチルペンテン樹脂を用いることができ、バリア層1bとの間には、必要に応じて接着層、例えば変性TPX樹脂等の層hを形成しておくことができる。
内面層1aはバリア層1b(ガス不透過層)及び外面層1c(ゴム層)と比べて耐水性が高いことが重要であり、これにより水が生成されてもガス不透過層として用いられるEVOH樹脂層の低透過性の低下を回避することが可能となる。
内面層1aとバリア層1bとは共押出し成型(外面層1cも含む)により直接接着するのが望ましいが、このような接着が困難な場合にはコロナ放電処理、プラズマ処理により表面改質を行ったのち接着するかあるいは他の樹脂を用いて接着層を形成してもよい。
内面層1aの厚さは、何れの樹脂においても、20〜300μmとするのがよい。というのは、厚さが20μm未満では陽イオンの抽出を十分に抑制することができないかいからであり、一方、300μmを超えるとホースの剛性が高くなり取り扱いが容易でなくなるからである。
ガス不透過層としてのバリア層1bは、内面層1a、外面層1cと比べてガスバリア性が大きいものであって、これにより内部からの水素の漏れを防止するとともに外部からの空気の侵入を防ぐ。具体的にはガスの透過性が低いエチレンビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH樹脂で表示されることもあり、例えばクラレ(株)製、エバール(商品名)等がある)を用いることができる。その厚さは、ガスの透過を確実に抑制するために0.05〜0.5mm程度とする。
バリア層として適用し得るものとしてはその他、MXD6ナイロン又はEVOH、MXD6ナイロンの混合物等を主成分とする樹脂があり、この場合も厚さは0.05〜0.6mm程度とする。
外面層1cは耐久性及び柔軟性を確保するためゴム材料にて形成する。ゴム材料は内面層1aやバリア層1bに比べて絶縁性が大きく、燃料電池本体からの高電圧の電気(電流)の伝導を防ぐことが可能であり、別途に絶縁ゴム部品を設ける必要がない利点がある。ゴムの種類はとくに限定されないが、その厚さは柔軟性を確保するため0.5〜1.5mm程度とする。
補強層2は内層1と外層3の間に介在させて、内層1を保護してホースの耐キンク性を高めるために設けられもので、繊維もしくは金属線を網組みすることによって形成された層とするか、あるいはスパイラルに巻き付けることによって形成された層をとすることができ、繊維としては具体的に、ナイロン系繊維あるいはアラミド繊維等剛性の高い繊維やステンレスワイヤなどが適用される。
補強層2は一層でもよいし、二層以上でもよく、ガス供給用ホースの使用時におけるガス圧に応じて適宜設定される。
とくに、補強層2が複数層の金属線(ワイヤ)からなるものにあっては、各層の間に接着剤を適用するか、繊維層を介在させるのがよい。というのは各層の間に接着剤適用するか繊維層を介在させることで金属線がバラけたり、使用中の内圧変化で金属線が動いて摩減するものを抑制することができるからである。
また、補強層の間に熱可塑性樹脂のシート(ウレタン系樹脂やナイロン系樹脂等)を配置し該シートを加熱(高周波誘導加熱等)、溶融させて各層を強固に接着させてもよく、加熱条件(温度や加熱方式等)は内層1や外層3の材質等に応じて適宜設定される。
外層3を形成するゴムはAEM系のゴムを用いることが可能(限定されない)で、ホースとしての柔軟性を保ちつつ耐外傷性、耐候性さらには絶縁性を確保する機能を有するものであって、ホースの取り扱いを容易とし大きく折り曲げてもキンクの如き異常が生じないようその厚さは0.7〜1.5mm程度とする。
外層3のゴムに配合される絶縁フィラとしては、SiOや焼成カオリン等を用いることが可能であり(例えば、焼成カオリン PolyfilWC(商品名):J.Mフーバー社製、二酸化ケイ素(二プシAQ(商品名):東ソーシリカ工業社製)、精錬や押出し時の作業性を考慮し上限を150phrとして配合することにより絶縁性を確保することが可能(カーボンブラックの量が少なければ絶縁性を確保できる場合もあり、0とすることも可能)となり、従来必要とされていた絶縁部品の配置が不要となる。また、ゴムの補強剤として使用されるカーボンブラックについては、物性の安定化と作業性(押出しゴム表面の平滑性の確保)の改善を図る観点から、20〜80phrの範囲で配合する。
実施例
図1に示した構造で表1に示した仕様になる内径9.0mm、外径17.1mmのガス供給用ホース(適合例1〜3、比較例1〜4)をそれぞれ作製(ポリメチルペン樹脂(TPX):三井化学社製、EVOH樹脂:クラレ社製エバール(商品名))、得られたホースのガス透過性、封入水電気伝導度、絶縁抵抗について調査した。その結果を表1に併せて示す。なお、表1のカーボンブラックは、東海カーボン社製シーストF(商品名)を用い、絶縁フィラは、適合例1、3については焼成カオリン(J.M.フーバー社製Polyfil WC(商品名))、適合例2〜4については二酸化ケイ素(東ソーシリカ工業社製ニプシルAQ(商品名)を用いた。
Figure 2009019717
表1より明らかなように、本発明にしたがうガス供給用ホースは、何れもガス透過性、封入水電気伝導度、絶縁抵抗が小さく、実用に十分耐え得るものであることが確認された。これに対して、比較例1のホースは絶縁抵抗が大きいためホースの連結に際しては別途絶縁部材が必要であり、比較例2についてはガス透過性、絶縁抵抗については良好な値が得られたが、封入水電気伝導度が高く陽イオンの抽出が避けられないことが判明し、さらに比較例4、5についてはガス透過性、封入水電気伝導度が十分な値にないことが明らかとなった。
また、適合例1〜3については大きく折り曲げても異常が生じることがなく、柔軟性、取り扱い性も良好であることも確かめられた。
ガスの透過、陽イオンの抽出が極めて小さく、絶縁部材を別途に必要としないガス供給用ホースが提供できる。
本発明に従うガス供給用ホースの実施の形態を模式的に示した図である。
符号の説明
1 内層
1a 内面層
1b バリア層
1c 外面層
2 補強層
3 外層

Claims (7)

  1. ホースの最も内側に位置してガスの供給経路を区画形成する内層と、この内層の表面に補強層を介して配置される外層とを備えた積層型のガス供給用ホースであって、
    前記内層は、熱可塑性樹脂からなり供給ガスに直接接触する壁面をもった内面層と、この内面層の外側に位置してガスの透過を抑制するバリア層と、このバリア層の外側に位置する外面層からなり、
    前記外層は、絶縁性を有するゴムからなることを特徴とするガス供給用ホース。
  2. 前記ガス供給用ホースは、ガスの供給経路内に純水を封入し100°C、168時間静置した後における該純水の電気伝導度が10mS/m以下になるものである、請求項1記載のガス供給用ホース。
  3. 前記内面層を形成する熱可塑性樹脂が、耐水性を有するオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂もしくはポリメチルペンテン樹脂からなる、請求項1又は2に記載のガス供給用ホース。
  4. 前記内面層は、20〜300μmの厚さを有する、請求項1〜3の何れかに記載のガス供給用ホース。
  5. 前記バリア層は、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂からなる、請求項1〜4の何れかに記載のガス供給用ホース。
  6. 前記補強層は、繊維もしくは金属線を網組みすることによって形成されるか、またはスパイラルに巻き付けることによって形成された層である、請求項1〜5の何れかに記載のガス供給用ホース。
  7. 前記外層を形成するゴムは、絶縁性フィラを20〜150phrかつ、カーボンブラックを20〜80phrの範囲で配合したゴム組成物からなる、請求項1〜6の何れかに記載のガス供給用ホース。
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