JP2009019605A - 可変容量圧縮機の容量制御弁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可変容量圧縮機100の吐出室142と連通する弁孔302,弁孔302と連通し且つ可変容量圧縮機100のクランク室105と連通する弁室303,弁室303と区画され且つ可変容量圧縮機100の吸入室140と連通する第一感圧室306を有するバルブハウジング301と、弁孔302を開閉して吐出室142の圧力を受けると共に第一感圧室306側で吸入室140の圧力を受ける大径部304aを有する弁体304と、弁体304に吐出室142の圧力と対向する力を付与するソレノイドユニット315を備え、吐出室142と絞りを介して連通する第二感圧室309を設け、第二感圧室309の圧力を弁体304に作用させるロッド304bを設けた。
【選択図】図2
Description
容量制御弁は制御装置によって制御されるようになっていて、この制御装置は、吐出室の圧力(吐出圧力)と吸入室の圧力(吸入圧力)との間の圧力差(差圧)が目標値に近づくように、吐出容量をフィードバック制御するものとなっている(例えば、特許文献1参照)。
とくに、加速時のような回転数が急激に上昇する状況では、吐出圧力あるいは吸入圧力が急激に変化することから(空調システムの冷媒がCO2である場合には吐出圧力がとくに急変し易いことから)、吐出室とクランク室とを連通する給気通路上に位置している容量制御弁の弁体、即ち吐出室の圧力と吸入室の圧力との圧力差が作用している容量制御弁の弁体が過敏に反応して、いわゆるハンチング現象が生じてしまう可能性がある。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたもので、例えば、車両用空調システムにおける往復動型の可変容量圧縮機に用いた場合において、急激なエンジン回転数変動時に吐出圧力あるいは吸入圧力が急変したとしても、吐出圧力及び吸入圧力の差が作用している弁体を安定して開閉作動させることが可能であり、その結果、車両空調の快適性や可変容量圧縮機の信頼性を維持ないし向上させることができる可変容量圧縮機の容量制御弁を提供することを目的としている。
さらに、請求項3に係る発明において、前記吸入室の圧力を受ける前記弁体の第二受圧面の面積は、前記弁室と第一感圧室との間の区画部分で支持される弁体の断面積に基づいて規定される面積であって、前記弁体の第一受圧面で弁孔を閉塞した状態において規定されるシール面積と同等ないし小さく設定してある構成としている。
さらにまた、請求項5に係る発明において、第二感圧室の圧力を受ける第三受圧面の面積は、第二感圧室に連なる挿通孔に挿通可能に支持されたロッドの断面積である構成としている。
さらにまた、請求項7に係る発明は、前記付与手段から伝達部に与える前記弁体に向かう方向の力を調整する調整部材を備えている構成としている。
さらにまた、請求項8に係る発明は、前記調整部材と前記バルブハウジングとで第二感圧室を形成している構成としている。
さらにまた、請求項10に係る発明は、前記バルブハウジングとともに第二感圧室を形成する調整部材に前記絞りを設置した構成としている。
さらにまた、請求項11に係る発明は、第二感圧室を構成する前記バルブハウジングに前記絞りを設置した構成としている。
さらに、本発明の請求項3に係る可変容量圧縮機の容量制御弁によれば、弁体の第一受圧面で弁孔を閉塞した状態において規定されるシール面積に対して、吸入室の圧力を受ける弁体の第二受圧面の面積、即ち、弁室と第一感圧室との間の区画部分で支持される弁体の断面積に基づいて規定される面積を同等ないしは小さ目に設定することで、クランク室の圧力が弁体の開閉作動に影響するのを排除したり、弁体の開閉作動を安定させるべくクランク室の圧力を作用させたりすることが可能である。
さらにまた、本発明の請求項6に係る可変容量圧縮機の容量制御弁では、ソレノイドを消磁した状態において、弁体を開放方向に迅速に移動させることができる。
さらにまた、本発明の請求項10及び11に係る可変容量圧縮機の容量制御弁によれば、いずれも絞りを簡単に形成することができる。
図1〜図3は本発明に係る可変容量圧縮機の容量制御弁の一実施形態を示し、この実施形態では、本発明に係る可変容量圧縮機の容量制御弁を車両用空調システムの冷凍サイクルに採用した場合を示している。
図1に示すように、車両用空調システムの冷凍サイクル10は、作動流体としての冷媒が循環する循環路12を備えている。この循環路12には、可変容量圧縮機100、放熱器(凝縮器)14、膨張器(膨張弁)16及び蒸発器18が冷媒の流動方向に沿って順次配置してあり、可変容量圧縮機100が作動して冷媒の吸入工程,吸入した冷媒の圧縮工程及び圧縮した冷媒の吐出工程からなる一連のプロセスを行うと、循環路12を冷媒が循環するようになっている。
この実施形態において、可変容量圧縮機100は斜板式のクラッチレス圧縮機であり、複数のシリンダボア101aを有するシリンダブロック101を備えている。このシリンダブロック101の一端にはフロントハウジング102が連結されており、シリンダブロック101の他端には、バルブプレート103を介してリアハウジング(シリンダヘッド)104が連結されている。
駆動軸106のフロントハウジング102側の端部は、フロントハウジング102に外側に向けて形成したボス部102aを貫通して外部に突出しており、この駆動軸106の端部には、動力伝達装置としてのプーリ112が連結されている。プーリ112は、ボール軸受113を介してボス部102aに回転自在に支持されており、このプーリ112と外部駆動源としてのエンジン114との間にはベルト115が架け回されている。
上記シリンダボア101a内にはピストン130が配置されており、ピストン130には、クランク室105内に突出するテール部が一体に形成されている。テール部に形成された凹所130a内には一対のシュー132が配置されていて、これらのシュー132は斜板107の外周部に対して挟み込むように摺接している。従って、シュー132を介してピストン130と斜板107とは互いに連動するようになっており、駆動軸106の回転によってピストン130がシリンダボア101a内を往復動するようになっている。
この可変容量圧縮機100の容量制御弁(電磁制御弁)300は、リアハウジング104に収容されており、容量制御弁300は給気通路160に配置されている。給気通路160は、吐出室142とクランク室105との間を連通するように、リアハウジング104からバルブプレート103を経てシリンダブロック101にまで亘って形成されている。
また、吸入室140は、リアハウジング104に形成された感圧通路166を通じて、給気通路160とは独立して容量制御弁300に接続されている。
また、弁ハウジング301の外周面には出口ポート301bが形成され、出口ポート301bは、給気通路160の下流側部分を介してクランク室105と連通する。出口ポート301bも弁室303に開口しており、弁孔302、弁室303及び出口ポート301bを通じて、吐出室142とクランク室105とは連通可能となっている。
この場合、弁体304は、弁体本体である大径部(第一受圧面,第二受圧面)304a及びこの大径部304aに一体且つ同軸に形成されて弁孔302側に突出する小径のロッド304bを有しており、大径部304aは区画部材305に形成された挿通孔305aに摺動可能に支持されていると共に、小径のロッド304bは弁ハウジング301に弁孔302と連続して形成された挿通孔301cに摺動可能に支持されている。
この第二感圧室309には上記弁体304の小径のロッド304bが突出していて、この小径のロッド304bには、第二感圧室309内に配置されたばね310からばねガイド311を介して常時開弁方向の力が付与されている。この際、ばね310の端部をキャップ308に当接させており、ばね310からロッド304bに付与する力の調整は、段差301dに対するキャップ308の圧入量を変えることで成されるようにしてある。
このソレノイドハウジング321の軸心上には、弁ハウジング301側で開口する有底の円筒状を成すスリーブ323が配置されており、このスリーブ323の開口端から中央にかけての部分には固定コア324が収容されていると共に、スリーブ323のエンドキャップ322側の閉塞端と固定コア324との間に形成されたコア収容空間325には可動コア326が軸方向に移動可能に収容されている。
この容量制御弁300を有する可変容量圧縮機100を備えた車両用空調システムの冷凍サイクル10において、エンジン作動状態でエアコンを作動させない場合には、可変容量圧縮機100の容量制御弁300のソレノイドユニット315に対して電流が流れないので、弁体304がばね310の弾性力によって弁孔302から強制的に離間させられて開弁状態となっており、吐出容量は最小となっている。
そして、このような可変容量圧縮機100の作動中において、制御装置400は、容量制御弁300のソレノイドユニット315に対して制御電流Iを供給して電磁力F(I)を発生させ、可変容量圧縮機100の吐出容量を制御する。
したがって、この状況において弁体304に作用する力は、弁体304のロッド304bの断面積をSr、ばね310から小径部304bに常時付与される開弁方向の力をfsとすると、式(1)で示され、この式(1)を変形すると式(2)となる。
fs+Sr・Pd2+(Sv−Sr)・Pd1−Sv・Ps−F(I)=0 式(1)
Pd1−Ps=(1/Sv)・F(I)+(Sr/Sv)・(Pd1−Pd2) −(fs/Sv) (但し、Pd2≦Pd1,Sr≦Sv) 式(2)
式(2)は、吐出圧力Pd1と吸入圧力Psとの圧力差をソレノイドユニット315で発生する電磁力F(I)、即ち、電流Iで調整し得ることを示している。
上記制御部400では、外部情報検知手段からの種々の外部情報に基づいて、目標とする吐出圧力Pd1と吸入圧力Psとの圧力差(目標差圧ΔP)を設定するので、即ち、制御電流Iを設定するので、吐出圧力Pd1と吸入圧力Psとの圧力差が目標差圧ΔPになるように、吐出容量がフィードバック制御されることとなる。
ここで、上記式(2)の右辺には、(Pd1−Pd2)を変数とする第二項があるので、この式(2)において、Pd1=Pd2とすれば第二項が消滅して、式(3)となる。
(但し、Pd2=Pd1,Sr≦Sv) 式(3)
つまり、第二感圧室309は弁体304の小径のロッド304bと挿通孔301cとの微小な隙間を介して弁孔302と連通しているので、即ち、第二感圧室309は上記微小な隙間を介して吐出室142と連通しているので、吐出圧力Pd1の変化が緩やかであれば、上記微小な隙間における絞り効果はほとんどなく、Pd2=Pd1となる。このような状態では、吐出圧力Pd1と吸入圧力Psとの圧力差が単純に所定値となるように吐出容量がフィードバック制御されることとなる。
Pd2−Ps=(1/Sv)・F(I)−(fs/Sv) (但し、Sr=Sv)
式(4)
このように、Sr=Svとなると、弁体304は吐出圧力Pd1にまったく応答せずに、第二感圧室309の圧力Pd2と吸入圧力Psとの圧力差が目標圧力差となるように吐出容量がフィードバック制御されることとなる。
上記した実施形態において、弁体304の小径のロッド304bと挿通孔301cとの微小な隙間を介して第二感圧室309と吐出室142とを連通するようにしているが、これに限定されるものではなく、他の構成として、例えば、図5に示すように、弁ハウジング301とともに第二感圧室309を形成するキャップ308に絞り308aを設けたり、図6に示すように、弁ハウジング301に絞り301eを設けたりしてもよい。
さらに、可変容量圧縮機の容量制御弁における弁体に、吐出圧力及び吸入圧力の他にクランク室内の圧力を作用させる構造としてもよく、さらにまた、上記した容量制御弁とは異なる構成として、例えば、小型のベローズを感圧部材として採用して、このベローズの一端側に弁体を連結して吐出圧力を受圧すると共に、ベローズの内側に吸入圧力を作用させ、ベローズの端面にソレノイドロッドを連結する構成を採用することも可能である。
さらにまた、上記した実施形態では、吐出圧力と吸入圧力との圧力差が所定値となるように吐出容量をフィードバック制御する場合を例示したが、この制御に限定されるものではない。即ち、一端に吐出圧力が作用すると共に他端に吸入圧力が作用する感圧部材を有する容量制御弁を使用した吐出容量のフィードバック制御であればよく、例えば、感圧部材に作用する吸入圧力又は吐出圧力が所定値となるように吐出容量をフィードバック制御する場合であってもよい。
さらにまた、上記した実施形態では、可変容量圧縮機100が斜板式の往復動圧縮機である場合を示したが、揺動板式の可変容量圧縮機であってもよいほか、電動モータを内蔵した密閉型可変容量圧縮機であってもよい。
101 ハウジング
101a シリンダボア
105 クランク室
106 駆動軸
130 ピストン
140 吸入室
142 吐出室
300 容量制御弁
301 バルブハウジング
301c 挿通孔
301e 絞り
302 弁孔
303 弁室
304 弁体
304a 大径部(第一受圧面,第二受圧面)
304b 小径のロッド(伝達部;第三受圧面)
306 第一感圧室
308 キャップ(調整部材)
308a 絞り
309 第二感圧室
310 ばね(付与手段)
315 ソレノイドユニット
Claims (12)
- 吐出室,クランク室,吸入室及びシリンダボアが内部に区画形成されたハウジングと、前記シリンダボアに配設されたピストンと、前記ハウジングに回転可能に支持された駆動軸と、前記クランク室に収容されて前記駆動軸の回転を前記ピストンの往復運動に変換する変換機構を備えた可変容量圧縮機における容量制御弁であって、
前記可変容量圧縮機の吐出室と連通する弁孔と、この弁孔と連通し且つ前記可変容量圧縮機のクランク室と連通する弁室と、この弁室と区画され且つ前記可変容量圧縮機の吸入室と連通する第一感圧室を具備したバルブハウジングと、
前記弁室と第一感圧室との間の区画部分で支持されていると共に前記弁室内に位置する一端側に形成されて前記弁孔を開閉して前記吐出室の圧力を受ける第一受圧面を有し且つ前記第一感圧室側に位置する他端側に形成されて前記吸入室の圧力を受ける第二受圧面を有する弁体と、
前記弁体に電磁力を作用させて前記吐出室の圧力による力と対向する方向の力を付与するソレノイドを備えた容量制御弁において、
前記吐出室と絞りを介して連通する第二感圧室を設けると共に、この第二感圧室の圧力を第三受圧面で受けてこの圧力による力を前記弁体の一端側に作用させる伝達部を設けたことを特徴とする可変容量圧縮機の容量制御弁。 - 第二感圧室の圧力を受ける前記伝達部における第三受圧面の面積は、前記弁体の第一受圧面で弁孔を閉塞した状態において規定されるシール面積と同等ないし小さく設定してある請求項1に記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。
- 前記吸入室の圧力を受ける前記弁体の第二受圧面の面積は、前記弁室と第一感圧室との間の区画部分で支持される弁体の断面積に基づいて規定される面積であって、前記弁体の第一受圧面で弁孔を閉塞した状態において規定されるシール面積と同等ないし小さく設定してある請求項1又は2に記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。
- 第二感圧室に連なる挿通孔に挿通可能に支持され且つ弁体の一端側に一体又は別体で配置したロッドを前記伝達部とした請求項1乃至3の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。
- 第二感圧室の圧力を受ける第三受圧面の面積は、第二感圧室に連なる挿通孔に挿通可能に支持されたロッドの断面積である請求項4に記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。
- 前記伝達部に対して前記弁体に向かう方向の力を与える付与手段を備えている請求項1乃至5の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。
- 前記付与手段から伝達部に与える前記弁体に向かう方向の力を調整する調整部材を備えている請求項6に記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。
- 前記調整部材と前記バルブハウジングとで第二感圧室を形成している請求項7に記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。
- 第二感圧室に連なる挿通孔とこの挿通孔に支持されるロッドとの間の微小隙間を前記絞りとした請求項4乃至8の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。
- 前記バルブハウジングとともに第二感圧室を形成する調整部材に前記絞りを設置した請求項8に記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。
- 第二感圧室を構成する前記バルブハウジングに前記絞りを設置した請求項1乃至10の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。
- 前記弁体及び前記伝達部としてのロッドが同軸を成し、前記弁室と第一感圧室との間の区画部分における弁体支持孔及び第二感圧室に連なる挿通孔は、前記弁体及びロッドをそれぞれ僅かな隙間をもって支持すると共に、前記弁体及びロッドが前記隙間の範囲で傾いた状態において前記弁体及びロッドにそれぞれ一点を当接させて支持する請求項4乃至11の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御弁。
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JP2003314444A (ja) * | 2002-04-19 | 2003-11-06 | Saginomiya Seisakusho Inc | 制御弁 |
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