JP2009019226A - 錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液及びこれを用いて形成された錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜 - Google Patents

錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液及びこれを用いて形成された錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜 Download PDF

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Abstract

【課題】固形物の析出が少なく、長時間に亘り保存安定性がよく、製品にクラックやウィスカーが生じ難く、接合強度に優れた錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液及びこれを用いて形成された錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜を提供する。
【解決手段】スルホン酸類を溶かした水を主体とする媒体に、錫イオンを主体とし、銀イオン及び銅イオンを含み、更に微量のニッケルイオンを含む錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液であって、錫イオンの濃度が0.15〜1.5mol/L、銀イオンの濃度が0.001〜0.05mol/L、銅イオンの濃度が0.001〜0.01mol/L、ニッケルイオンの濃度が0.0000001〜0.000004mol/Lである。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉛フリーはんだめっきに使用される錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液及びそれを用いためっき被膜に関する。
従来、はんだ付けを必要とする部品、例えばチップ部品、水晶発振子、バンプ、コネクターピン、リードフレーム、各種フープ材、パッケージのリードピン、プリント基板の回路等の電子機器を構成する部品に対しては、錫めっきや錫鉛合金めっきを施すことが行われてきた。純粋な錫めっきでは、はんだ付け性が劣化したり、被膜にヒゲ状結晶ウィスカーが発生するなどの問題があった。また、近年、環境保護の観点から鉛の使用が控えられるようになり、鉛フリーのめっきが望まれるようになった。
鉛を含まないめっきとして例えば、錫−銀合金、錫−ビスマス合金、錫−銅合金などが検討されているが、錫−銀合金はめっき浴が分解し易く、錫−ビスマス合金はめっき被膜にクラックが発生し易いという欠点がある。
これに対して、錫−銅合金は、クラックが生じ難く、接合強度に優れるが、融点が高いという問題点がある。錫−銅合金めっきとしては、特定の有機化合物成分を含有するめっき浴、更に、錫−銀−銅合金めっき浴が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、めっき被膜と接合される基板側のはんだ材料についても鉛フリー化が望まれており、例えば、共融点に近い組成を有する錫−銀−銅合金がはんだ材料として用いられるようになってきた(例えば、特許文献2、3参照)。基板側のはんだ材料の組成と類似のめっき被膜を用いれば、接合時のエネルギーコストが低減できると共に、接合性が優れることが期待されており、前出の特許文献1の他にも、錫−銀−銅含有めっき液及びこれを用いためっき被膜の製造について幾つかの成果が開示されている(例えば、非特許文献1、2参照)。ところが、めっき液の不安定性から、この錫−銀−銅合金に類似の組成を有するめっき被膜は未だ得られておらず、錫−銀−銅合金を用いたはんだ材料との接合性との良好なめっき被膜が望まれていた。
特開2001−164396号公報(第3、4、7、8、25〜27頁) 特開平5−50286号公報 米国特許第5527628号公報 「メタンスルホン酸浴からのSn−0.7Cu−0.3Ag三元合金の電析及び浴安定性に及ぼすT3HPPの影響」、第103回講演大会要旨集、表面技術協会、2001年3月5日、p.54 「鉛フリーはんだ用Sn−Ag−Cu合金めっき」、第103回講演大会要旨集、表面技術協会、2001年3月5日、p.58
ところが、特許文献1、非特許文献1、2に具体的に開示されているめっき浴の組成では、各金属濃度が低いか、又はバランスが悪く、工業的なめっきに用いるには生産性の点で問題があった。また、錫−銀−銅合金めっき浴は錫−銅合金めっき浴より更にはんだ濡れ性、液安定性、強度の点で優れているが、3種の金属イオン及び金属イオンの錯体を含有するために、調液が困難であり、特に工業化スケールでは取り扱うめっき薬液量が大量になり、長時間に渡って使用するために、めっき加工途中で固形物が生じたり、液質が変わることがあり、ひいてはめっきの品質が安定しない等の問題があった。
更に、従来知られている鉛フリーめっき被膜は、錫−鉛めっき被膜よりも20度程度融点が高く、接合時のエネルギーコストの低減と、他の部品への加熱量の低減を図るために融点の低い鉛フリーめっき被膜が望まれていた。
また、共晶点に近い組成を有する錫−銀−銅合金がはんだ材料として用いられるようになってきたが、この錫−銀−銅合金に類似の組成を有する錫−銀−銅含有めっき被膜は、上述のようなめっき液の製造の困難さから未だ得られておらず、錫−銀−銅合金を用いたはんだ材料との接合性の良好なめっき被膜が望まれていた。
そして、更に錫−銀−銅の合金にニッケルやその他の金属を加えてめっき液を作り、更にこれらのめっき液から4元系又は5元系の合金めっき被膜を形成することについては、以上の文献には記載されていなかった。
本発明はかかる事情に鑑みてされたもので、固形物の析出が少なく、長時間に亘り保存安定性がよく、製品にクラックやウィスカーが生じ難く、接合強度に優れた錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液及びこれを用いて形成された錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜を提供することを目的とする。
前記目的に沿う第1の発明に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液は、スルホン酸類を溶かした水を主体とする媒体に、錫イオンを主体とし、銀イオン及び銅イオンを含み、更に微量のニッケルイオンを含む。
第1の発明に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液において、前記錫イオンの濃度が0.15〜1.5mol/L、前記銀イオンの濃度が0.001〜0.05mol/L、前記銅イオンの濃度が0.001〜0.01mol/L、前記ニッケルイオンの濃度が0.0000001〜0.000004mol/Lであるのが好ましい。
また、この第1の発明に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液において、前記銅イオンの濃度に対する前記銀イオンの濃度のモル比が、4.5〜7.0の範囲にあるのが好ましい。
この第1の発明に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液において、更にインジウムイオン又はゲルマニウムイオンを10〜10000ppm含むこともできる。
第1の発明に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液において、更に、前記インジウムイオン又はゲルマニウムイオンは、それぞれ対応する水溶性のインジウム化合物又はゲルマニウム化合物から供給されるのがより好ましい。
第1の発明に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液において、更に、メルカプタン化合物を2〜20g/Lと、芳香族アミノ化合物を0.02〜0.04mol/Lと、0.1〜50g/Lのノニオン系界面活性剤とを含むのが好ましい。
第2の発明に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜は、以上に述べた第1の発明に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液を用い、0.02〜50A/dmの電流密度で陰極に形成している。この錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜において、ニッケルを50〜10000ppm(最適には、100〜500ppm)含むのがより好ましい。
請求項1〜6記載の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液及び請求項7、8記載の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜においては、めっき液中に、二価の錫イオン、一価の銀イオン、二価の銅イオン、及び二価のニッケルイオンを含む溶液が形成できる。従って、この錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液を用いてめっきを行った場合には、各金属イオンの当量比に応じた成分のめっき被膜の形成が可能となる。
特に、めっき被膜にメルカプタン化合物を2〜20g/Lと、芳香族アミノ化合物を0.02〜0.04mol/Lと、少量のノニオン系界面活性剤とを含むことによってめっき液の成分が安定し、更にはめっき被膜の表面性状が向上する(例えば、滑らか、ムラがない)。
更に、めっき被膜にニッケルを含むことによって、めっき被膜金属が柔らかくなり、ウイスカー等の発生が減少する。そして、めっき金属にインジウムやゲルマニウムを含ませると、更にこの特性が向上する。
続いて、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
本発明の一実施の形態に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液(以下単にめっき液ともいう)は、水を主体とする媒体に、スルホン酸類及び金属成分として錫、銀、銅及びニッケルを必須成分として含有している。
金属成分はめっき液中で金属イオンとして存在しており、主として水とスルホン酸類からなるめっき母液と金属化合物を混合することによりめっき液が得られ、金属イオンの安定性のために、好ましくは有機錯化剤を含有している。
錫化合物の具体例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパノールスルホン酸、p−フェノールスルホン酸などの有機スルホン酸の錫塩、硫酸錫、酸化錫、硝酸錫、塩化錫、臭化錫、ヨウ化錫、リン酸錫、ピロリン酸錫、酢酸錫、ギ酸錫、クエン酸錫、グルコン酸錫、酒石酸錫、乳酸錫、コハク酸錫、スルファミン酸錫、ホウフッ化錫、ケイフッ化錫などの第一錫化合物が挙げられる。これらの錫化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
銅化合物としては、上記スルホン酸の銅塩、硫酸銅、酸化銅、硝酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、リン酸銅、ピロリン酸銅、酢酸銅、ギ酸銅、クエン酸銅、グルコン酸銅、酒石酸銅、乳酸銅、コハク酸銅、スルファミン酸銅、ホウフッ化銅、ケイフッ化銅などが挙げられる。これらの銅化合物は水溶性を有し、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
銀化合物としては、酸に溶解させたスルホン酸の銀、硫酸銀、酸化銀、塩化銀、硝酸銀、臭化銀、ヨウ化銀、リン酸銀、ピロリン酸銀、酢酸銀、ギ酸銀、クエン酸銀、グルコン酸銀、酒石酸銀、乳酸銀、コハク酸銀、スルファミン酸銀、ホウフッ化銀、ケイフッ化銀などが挙げられる。これらの銀化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。なお、銀は錯イオンとなっているものを使用するのがより好ましい。これらのうち、酸化銀は、溶解性と、工業的利用の容易さから好ましく用いられる。
ニッケル化合物として、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩及び水酸化物塩以外の化合物、例えば、スルホン酸のニッケル塩、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、塩基性炭酸ニッケル等が挙げられる。これらのニッケル化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。これらの化合物のうち、水酸化ニッケルや塩基性炭酸ニッケル(NiCO・2Ni(OH)・4HO)は溶解性と、工業的利用の容易さから好ましく用いられる。なお、ニッケル塩はそのままでは水に溶けにくいので、錯イオンとするのがよい。
スルホン酸類は、上記の金属成分を溶解可能とするものである限り、いずれも用いることができ、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等が挙げられる。これらの内、金属塩の溶解性、排水処理の容易性などの点で脂肪族スルホン酸が好ましく、メタンスルホン酸が特に好ましい。
これらスルホン酸類はめっき液中、0.5〜5mol/Lとすることが好ましく、より好ましくは1〜3mol/Lである。
めっき液中、金属成分は強酸イオンの一例である例えば、スルホン酸イオンをカウンターアニオンとして金属イオン及び金属イオンの錯体の形で水を主体とする媒体に溶解しているが、錫イオンはSn2+及び/又はSn4+、銅イオンはCu及び/又は、Cu2+、また銀イオンはAg、ニッケルイオンはNi2+として存在している。めっき液中の各金属の配合量は、Sn2+として0.15〜1.5mol/L、好ましくは0.25〜1mol/L、銀として0.001〜0.05mol/L、好ましくは0.02〜0.04mol/L、銅として0.001〜0.01mol/L、好ましくは0.003〜0.008mol/Lであり、Niイオンの濃度が0.0000001〜0.000004mol/Lである。ここで、錫イオンとしてはめっきに関与するのはSn2+であるので、Sn2+の量を規制する。
また、銅イオン濃度に対する銀イオン濃度(モル比)は、4.5〜7.0の範囲となるものが好ましく、この範囲であれば、融点の低い錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜を作製することが容易となる。
なお、めっき装置によっては、陽極の周りの液と陰極側のめっき液を隔膜等で仕切ることがある。その場合は、少なくともめっきを行う陰極側において上記の範囲で調整されることが好ましい。
また、錫、銀、銅、ニッケルの配合量によって、製造される錫−銀−銅−ニッケルの四元系のめっき液の組成を規制すると、めっき液を使用して作られるめっき被膜の組成も規制されるため、製造されるめっき被膜の融点ができるだけ低くなるように、錫、銀、銅、ニッケルの配合を決める。さらに、めっき被膜の融点を低くする効果を損なわない範囲で微量の金属元素を含有していても良い。微量金属としては、ゲルマニウム、インジウム
等が挙げられ、含有量としてはそれぞれ銅の含有量より少ないことが好ましい。例えば、インジウムイオン(又はゲルマニウムイオン)が10〜10000ppm(100〜2000ppmが更に好ましい)の範囲である。この場合のインジウム塩としては、硝酸インジウム、硫酸インジウム等がある。ゲルマニウム塩としては、有機ゲルマニウム塩、アルカリ金属塩等があり、これらはある程度の水溶性を有する。
また、めっき液の性能の低下を妨げない範囲で、スルホン酸類と併用してめっき母液に可溶なスルホン酸塩や、有機酸及びその塩、無機酸及びその塩を配合することができる。無機酸としては例えば、硫酸、リン酸、縮合リン酸、硝酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸等が挙げられ、有機酸としては例えば、スルファミン酸、カルボン酸、ホスホン酸が挙げられる。上記した各酸の塩としては、可溶性塩であれば良く、例えば、Na塩、K塩等のアルカリ金属塩、Ca塩等のアルカリ土類金属塩、ジエチルアミン塩等のアルキルアミン塩、アンモニウム塩等を使用できる。
めっき液は、添加剤として特定の有機錯化剤を含有することが特に.好ましい。好ましい有機錯化剤は、メルカプタン化合物、チオ尿素化合物及び芳香族アミノ化合物、グリシン(特に、ニッケルイオンに対して)である。
メルカプタン化合物(チオール化合物とも呼ばれる)は分子内にSH基を有するものであればいずれも用いることができる。なお、ジスルフィド結合を有する化合物を用い、めっき浴中で還元されてチオール化合物を生成させてもよい。また、チオ尿素化合物はチオ尿素骨格を有する化合物であればいずれも用いることができる。また、芳香族アミノ化合物は芳香族環に直接アミノ基を有する化合物であればいずれも用いることができる。これら有機錯化剤はめっき母液に対する溶解度がある程度高いほうが、安定なめっき液を作成する観点から好ましく、溶解度としては好ましくは3g/L以上、更に好ましくは5g/L以上、特に好ましくは10g/L以上である。また、錯化剤分子があまり大きいと錯化能力が低下する傾向にあるので、分子量としては好ましくは2000以下、更に好ましくは1000以下、特に好ましくは80〜500である。勿論、これら錯化剤の上限は溶解量以下である。温度が下がって飽和すると沈殿するので溶解量の90〜95%が上限となる。
メルカプタン化合物としては具体的には例えば、ブタンチオール、ペンタンチオール等の脂肪族チオール化合物、チオフェノール、トルエンチオール、o−アミノチオフェノール等の芳香族チオール化合物、メルカプト酢酸、メルカプトコハク酸、メルカプト乳酸等のメルカプト基含有カルボン酸、システイン等のメルカプト基含有アミノ酸、アセチルシステイン等のメルカプト基含有アミノ酸誘導体が挙げられる。これらの内、水に対する溶解性、錯化剤としての性能、臭いが少ない等の観点から、メルカプト基含有カルボン酸又はメルカプト基含有アミノ酸及びその誘導体が好ましく、特にアセチルシステインが好ましい。
チオ尿素化合物としては具体的には例えば、チオ尿素、ジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、2,2’−ジイソプロピルチオ尿素、2,2’−ジピリシルジスルフィド、アセチルチオ尿素、アリルチオ尿素、1,3−ジフェニルチオ尿素、チオセミカルバジド等が挙げられる。
芳香族アミノ化合物としては具体的には例えば、アニリン、メチルアニリン、メトキシアニリン等のアニリン化合物や、2,2’−ジチオジアニリン等の分子内に2個のアニリン環を有する化合物が挙げられる。特に2,2’−ジチオジアニリンが好ましい。
有機錯化剤のめっき液中の配合量は、好ましくは1〜100g/L、更に好ましくは1〜30g/L、更に好ましくは2〜20g/Lである。これら有機錯化剤は併用して用いてもよく、好ましくはメルカプタン化合物と芳香族アミノ化合物を併用するものであり、特にはアセチルシステインと2,2’−ジチオジアニリンを併用するものである。
めっき液には、上記成分以外に界面活性剤を配合することができる。
界面活性剤は、めっき被膜の外観、緻密性、平滑性、密着性、均一電着性などの改善のために用いられる。界面活性剤としてはノニオン系界面活性剤が好ましく、具体的には例えば、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)、ソルビタンエステル、スチレン化フェノール、ポリアルキレングリコール、C1〜C30脂肪族アミン、C1〜C22脂肪族アミド等に、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)から選ばれた少なくとも一種のアルキレンオキシドを2〜300モル付加縮合したアルキレンオキシド系化合物が挙げられる。
なかでも、アルキレンオキシド系化合物が好ましく、具体的には例えば、ポリオキシエチレンα−ナフトールエーテル、ポリオキシエチレンβ−ナフトールエーテル、エチレンオキシドプロピレンオキシドブロックコポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコールエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
界面活性剤を用いる場合の配合量としては、好ましくは0.1〜50g/Lであり、更に好ましくは2〜10g/Lである。
めっき液には、めっき被膜表面の光沢剤としてアルデヒド化合物を配合することができる。
アルデヒド化合物としては、具体的には例えば1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、サリチルアルデヒド、2−チオフェンアルデヒド、3−チオフェンアルデヒド、o−アニスアルデヒド、m−アニスアルデヒド、p−アニスアルデヒド、サリチルアルデヒドアリルエーテル、2−オキシ−3−メトキシベンズアルデヒド等が挙げられる。
アルデヒド化合物を用いる場合の配合量としては、好ましくは0.001〜10g/L、更に好ましくは0.05〜0.5g/Lである。
めっき液には上記成分以外に、目的に応じて、公知の酸化防止剤、pH調整剤、緩衝剤などの各種添加剤を配合できる。
次に、本発明の一実施の形態に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液の製造方法について説明する。めっき液の製造に際して、上記の各成分を水及びスルホン酸類の混合物に溶解する必要があるが、溶解の順序を特定することによりめっき液が安定することが判明した。めっき液は金属濃度が高いため、特に工業スケールで大量のめっき液を調整する場合には、調整むらが出やすく、従来の2元系めっき液の製造においては、各金属成分と添加剤を水に溶解する順序として特に制約は無かったが、錫−銀−銅−ニッケルの4元系においては、水に溶解する順序が重要となる。
特に、スルホン酸類を主要成分として含む敷水に所定量の銅化合物、ニッケル化合物及び銀化合物を溶かした後に、所定量の錫化合物を溶かして製造することが好ましい。さらには、前記銀化合物を溶かした後に、ニッケル化合物及び前記銅化合物を溶かして製造することが好ましい。銀化合物、特に酸化銀は銅化合物より難溶性であるため、まず、スルホン酸類を主成分として含む敷水に銀化合物を溶解した後、銅化合物を溶かす事によって、両者を敷水によく溶かすことができる。
また、所定量のニッケル化合物と銅化合物と銀化合物を別々にスルホン酸を主要成分とする敷水に溶かしてこれらを混合して混合液とした後、更に該混合液に所定量の錫化合物を溶かして製造することもできる。この方法は、銅化合物、銀化合物及びニッケル化合物(場合よっては、インジウム化合物やゲルマニウム化合物)を別々にスルホン酸を主成分とする敷水に溶かしているので、両者を敷水によく溶かすことができる。
また、錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液においては、金属成分たる錫、銀、銅、ニッケルはめっき液中にイオンとなって溶解している必要があるが、各成分の水に対する溶解度はあまり高くないので、金属成分をスルホン酸の存在下に混合する必要がある。
従って、最初に最終製品であるめっき液に含まれるスルホン酸類の50質量%以上とめっき液中の水の30質量%以上により敷水を作成し、該敷水に金属成分を混合するのが好ましい。
敷水を作成する際に、スルホン酸類の量がめっき液に含まれるスルホン酸類の50質量%未満であると金属化合物が溶解されない場合がある。また、水の量がめっき液中の水の30質量%未満であれば、金属化合物の濃度が一時的に高くなりすぎて、均一なめっき液が得られない。
敷水に用いられる水はめっき液中の水の30〜90質量%が好ましく、30〜80質量%が更に好ましい。また、スルホン酸類はめっき液に含まれるスルホン酸類の50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜97質量%が更に好ましい。
また、敷水に銅化合物、銀化合物、及びニッケル化合物を溶かした後、錫化合物を溶かす前に、錯化剤を添加することが好ましい。ここで、錯化剤とは、金属イオンを錯イオンにするものであって、錯イオンにすることによって、銅、銀イオン、ニッケルイオンをスルホン酸水溶液中でイオンの状態で安定化し、更に粒径を大きくすることができる。錯化剤は具体的には前述したメルカプタン化合物、チオ尿素化合物、芳香族アミノ化合物(グリシンを含む)が挙げられる。特に、前述のように、溶解性陽極を使用する場合は、銀イオンを錯イオンとするのが好ましい。
本発明の一実施の形態に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液を使用してのめっき被膜の形成(電解めっき方法)においては、上述の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液が用いられること以外は、常法を採用することができ、例えば、高速めっき法、ラック法、バレル法等のいずれの電解めっき方法も制限なく採用することができる。
めっき液の組成が安定するまでは、敷水法によって製造しためっき液を使用する。そして、めっき液の成分が安定した後減少した錫イオン、銅イオン、銀イオン、ニッケルイオンについては、適宜それぞれのめっき液を追加して、所定成分のめっき液となるようにする。
なお、溶解性陽極から錫イオンを供給する場合には、溶解性陽極は錫を90%以上含有する可溶性の陽極であって、ニッケル、インジウム、ゲルマニウムその他の金属を、めっき液の性質を損なわない範囲(例えば、10〜10000ppm)で1種又は2種以上含んでいても良い。この溶解性陽極を用いることにより、溶解性陽極を構成する金属から、それに相応する金属イオン、とりわけSn2+イオンをめっき液に補給することができる。
陰極には被めっき物(めっき対象物)が用いられる。被めっき物としては導電性のものであれば特に制限はないが、特に、銅、ニッケル、鉄、及びこれらの1又は2以上を含む合金のいずれか1からなる金属基材からなるのが好ましく、電子部品の接続用のリード又は端子が好適である。
電子部品としては例えば、半導体チップ、プレス部品、水晶発振子、バンプ、コネクター、コネクターピン、リードフレーム、各種フープ材、パッケージのリードピン、ピングリッドアレイ、ボールグリッドアレイ、プリント基板の回路、スイッチ、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子等を挙げることが出来る。
電解めっきの陰極側電流密度は、これらのめっき法によって0.1〜50A/dmとすることができる。
この電解めっき方法は特に0.02〜50A/dmの範囲で適宜選定されるが、高速めっき法の場合は通常3〜50A/dm、特に5〜40A/dm、ラック法の場合は通常0.5〜5A/dm、特に1〜4A/dmであり、バレル法の場合は通常0.02〜1A/dm、特に0.05〜0.5A/dmである。めっき温度は10〜50℃、特に15〜40℃とすることができ、無撹拌でもよいし、カソードロッキング、スターラーによる撹拌、ポンプによる液流動などの方法を用いることも出来る。なお、めっき液が高温になる場合は、例えば、水を利用した冷却装置を用いるのが好ましい。上記めっき液は、高速めっき法、特に5〜40A/dmの電流密度でめっきを行った場合でも外観の優れためっき被膜を形成できる点で工業的に有用である。
また、めっきの外観は光沢、半光沢、無光沢があり、光沢めっきを得る場合は通常めっき液に光沢剤を添加して用いる。また、光沢めっきを得る場合は電流波形としてパルス電流波形を用いることが好ましい。パルス電流波形を用いる場合の周波数は特に制限はないが、通常20〜100Hzであり、好ましくは40〜70Hzである。
また、半光沢めっきを得る場合は通常直流波形が好ましく用いられる。直流波形を用いる場合の電圧は好ましくは1.9V以下であり、更に好ましくは0.2〜1.2Vである。
電解めっきを行うに際し、めっき液中の錫イオン濃度、銀イオン濃度、銅イオン濃度及びニッケルイオン濃度は、適切な範囲に容易に管理することができる。この場合、目的とする良好なめっき被膜組成比率及び被膜物性を安定して得ることができるようにするために、めっき浴中の錫、銅、銀、ニッケルイオンの各イオン濃度を、容量分析、光分析、電気分析、熱分析、X線分析、比色分析、重量分析等の分析法から選ばれる1種又は2種以上の分析方法を併用してめっき浴を分析し、目的の数値の濃度となるようにめっき浴中に補給することが好ましい。
これらめっき浴中の主要金属イオンである錫イオン、銅イオン、銀イオン、ニッケルイオンは、目的とするめっき被膜合金組成比率や被膜物性を与えるよう予め適切な濃度に配合されているが、めっき処理量が多くなるにつれて、消費されていき、従って、めっき浴中の金属イオン濃度が変動する。これに伴い、消費された金属イオンを陽極からの溶解及び/又はめっき浴の外部から金属塩の濃厚溶液等の補給により、予め設定された濃度に維持することができる。なお、これらのめっき液中にインジウムイオンやゲルマニウムイオンを共存させることができる。
容量分析では、酸化還元滴定法、キレート滴定法、沈殿滴定法等がある。光分析では、比色分析、原子吸光分析法、高周波プラズマ誘導結合プラズマ発光分光分析法等がある。電気分析では、ポーラログラフィー、電量分析法、電位差測定法等がある。熱分析では、示差熱分析法、示差走査熱量分析法等がある。X線分析では、X線回折測定法、蛍光X線分析法等がある。
主要金属イオンである錫イオン、銀イオン、銅イオン、ニッケルイオンをめっき液に補給する前に、めっき浴中の当該金属イオン濃度を上述の分析法の内から選ばれる1種又は2種以上の分析方法を併用してめっき浴を分析し、測定して、その過不足分を算出し、当該金属イオンを陽極から溶出させて及び/又は外部から金属塩の濃厚溶液、粉末、ペースト、固体の内から選ばれる1種又は2種以上で補給することができる。
また、上記金属イオンの補給には、上記の陽極と、金属塩の濃厚溶液、粉末、ペースト、固体の内から選ばれる1種又は2種以上の外部補給とを併用してもよく、めっき浴中に不純物を持ち込まないようにするには併用することが好ましい。この場合、金属塩の濃厚溶液、粉末、ペースト、固体は各金属イオンを供給する金属を単体で又は混合して補給してもよい。なお、金属塩の粉末、ペースト、固体での補給は、十分な撹拌が必要であり、濃厚溶液での補給が特に好ましい。
前記実施の形態に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液は、特定の錫、銀、銅、ニッケルの配合比を有し、また鉛を実質的に含まないめっき液である。このめっき液を用いて電解めっきすることによって形成される錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜は、従来の錫−鉛合金被膜に匹敵するはんだ接合強度を有するものとなる。従って、本発明のめっき液は電子部品をめっき対象物とした場合に、はんだ付け性に優れためっき被膜を形成できる。
こうして得られた本発明の一実施の形態に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜(以下、単にめっき被膜という)は、銀の含有量が2.6〜3.4質量%であり、好ましくは2.7〜3.3質量%であり、更に好ましくは2.8〜3.2質量%である。また、銅の含有量は0.4〜0.7質量%であり、好ましくは0.4〜0.6質量%であり、更に好ましくは0.45〜0.55質量%である。また、ニッケルの含有量は、50〜2000ppm(100〜800ppm、更に好ましくは100〜500ppm)であり、銀と銅とニッケルの含有量が上記範囲であれば、融点の低いめっき被膜となる。
なお、めっき被膜は、銀、銅、ニッケル以外の金属成分は実質的に錫であるが、本発明の特徴であるめっき被膜の融点を低くする効果を損なわない範囲で微量の金属元素を含有しても良い。微量金属としては、前述のようにインジウム、ゲルマニウムを10〜10000ppm含ませることができる。なお、これ以外の金属の含有量としては、銅の含有量よりも少ないことが好ましく、0.001質量%以下であることが更に好ましい。
めっき被膜の厚さについては特に制限はないが、2〜60μmが好ましく、4〜18μmが更に好ましく、5〜15μmが特に好ましい。上記好ましい範囲であれば、接合強度の強いはんだ付けを行うことができる。このような薄い被膜は、錫−銀−銅−ニッケル含有合金を圧延等の方法によっては得られないもので、実質的に本発明の電解めっき方法によって初めて得られた新規な被膜である。
次に、本発明の一実施の形態に係るめっき被膜を使用したはんだ付け方法について説明する。
めっき被膜は、例えば電子部品の接続用のリード又は端子等の上述の被めっき物にめっきされるが、めっき被膜された電子部品の端子等(積層体)は、電子部品、電子機器等の基板とはんだ付けされる。基板側には、はんだ用合金を含んだはんだ材料が設けられている。はんだ用合金としては、例えば錫−銀−銅合金が用いられ、通常、フラックス(脂)とよばれる粘性の高い液状のはんだ付け活性剤中に金属粒子として分散されたはんだペーストとして基板に装着される。
錫−銀−銅−ニッケル含有めっき合金からなるめっき被膜は、中でも錫−銀−銅を用いたはんだペーストとの接合性が良好であり、組成が類似しているため接合強度(はんだ付け強度)が高く、且つ融点が低いために、はんだ付けに必要な熱量が低減できる。特に、銀の含有量が2〜4質量%であり、銅の含有量が0.3〜0.8質量%であり、残部が実質的に錫である合金を用いたはんだペースト(はんだ材料)が設けられた基板と、めっき被膜が設けられた部材とを接合する場合に好適である。はんだ付けする際の温度としては、最高温度が220〜260℃であり、好ましくは230〜255℃である。はんだ付けの最高温度が上記より高い場合は、電子部品、電子機器等の金属以外の部分が損なわれる傾向にある。また、上記範囲より低い場合は、はんだ付けが不十分となる傾向にある。なお、相手側の部材の表面に錫−銀−銅−ニッケル含有合金からなる被膜が形成されていてもよい。
特に、銀の含有量が2〜4質量%であり、銅の含有量が0.3〜1.0質量%であり、残部が実質的に錫である合金を用いたはんだペーストが設けられた電子回路基板と、銀の含有量が2.6〜3.4質量%であり、銅の含有量が0.4〜0.7質量%であり、ニッケルの含有量が50〜10000ppmで、残部が実質的に錫であるめっき被膜により被覆された電子部品を加熱接合して、電子回路を作製した場合、長時間の加熱によってウィスカー等が発生せず、はんだ付けのむらがなくしかも強度が強いため、電子回路としても強度が強く安定性が高いものを得ることができる。なお、はんだ中にインジウム(又はゲルマニウム)を10〜10000ppm混入すると更にめっきの硬度が下がり、熱応力の緩和が図れる。
ここで、はんだ付けの方式としてはフリー方式やリフロー方式が好適である。フリー方式とは、プリント配線基板にあらかじめめっき被膜が形成された部品を固定し、溶融しているはんだに該部品を接触させはんだ付けする方式であり、リフロー方式とは、プリント配線基板にはんだペーストを印刷した後に、めっき被膜が形成された部品を固定し、加熱溶融してはんだ付けする方式である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
本発明に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液、電解めっき方法、めっき被膜、はんだ付け方法の効果を見るために、本発明の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液を使用し、めっきしためっき被膜についてめっき被膜中の金属含有率、仕上がり外観、融点について実験し、測定した。さらにこのめっき被膜を使用し、はんだ付けして、このめっき被膜の接合強度及びはんだ濡れ性について実験し、測定した。
本発明の一実施例に係る錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液を次のように調整した。
撹拌容器にめっき液調整に必要な水の1/3に、54質量%のメタンスルホン酸水溶液の全容を入れ敷水とした。
次に、撹拌しながら所要量の酸化銀の全容を入れ完全に黒沈がなく透明に成ったことを確認後速やかに、水酸化第二銅の全容、塩基性炭酸ニッケルの全容を入れ完全に溶解してから、錯化剤の一例であるアセチルシステインを入れ溶解確認後、2,2’−ジピリシルジスルフィド(2,2’−ジチオジアニリンであってもよい)を入れた。
薄水色のゲル状の液体になったら速やかにメタンスルホン酸第一錫を入れた。液は黄色透明になった。次にめっき液に必要な水の2/3を加え、最後に界面活性剤の一例であるβ−ナフトールポリエトキシレート(EO10モル)3g/Lを入れ、めっき液の調整は終了した。めっき液中のメタンスルホン酸の濃度が2.64mol/L、錫イオン濃度が0.337mol/L、銅イオン濃度が0.004mol/L、銀イオン濃度が0.0237mol/L、ニッケルめっきイオンが0.000003mol/Lであるめっき液aを調整した。なお、イリジウムイオン又はゲルマニウムイオンを生じる化合物は必要に応じて10〜10000ppmの範囲でめっき液に追加することにした。これらめっき液aのその他成分を含む最終めっき液の濃度を表1に、比較例として従来のめっき液b、めっき液cの組成をそれぞれ表2、表3に示す。
Figure 2009019226
Figure 2009019226
Figure 2009019226
〔実施例1a〕
表1に示すめっき液a(イリジウム及びゲルマニウムは含まない)を使用し、電解めっき方法でめっきしてめっき被膜を作った。めっき液aを500mLビーカーに入れ、アノードとして純Snの直方体インゴットを2個用意し、整流器+側より2本配線を出しそれぞれインゴットにクリップでしっかり固定した。一方、整流器−側より1本配線を出し被めっき物(0.3dmの42アロイテストピース(Ni42質量%、Fe58質量%)に同様に固定した。
電流密度を5.8A/dm、電流波形を直流波形とし、18℃で216秒間の電解めっきを行った。その結果、膜厚が8μmの良好な半光沢のめっき被膜が42アロイテストピース上に得られた。めっき被膜した42アロイテストピースを水道水にて充分水洗し、次に純水にて仕上げ水洗をした。その後乾燥させた。
得られためっき被膜について、被膜中の金属含有率、外観、接合強度、はんだ濡れ性、融点について以下に示す(1)〜(7)の方法により測定及び試験した。結果を表4の実施例1aに示す。表4に示すように、実施例1aで得られためっき被膜の組成は銀3.06質量%、銅0.61質量%、ニッケル500ppm、残部は錫であった。はんだ濡れ性も良好で融点も錫、銀、銅の共晶点に近い217℃であり、低い温度ではんだ付けを行うことが可能となった。また、接合強度試験の結果も約23Nと良好であった。
(1)被膜中の金属含有率をIPC発光分光分析法(高周波プラズマ誘導結合プラズマ発光分光分析法)により測定する。
めっき後の被膜を溶解し、IPC発光分光分析法で定量した。
(2)仕上がり外観
各めっき浴から得られた電着被膜について、被膜表面の状態を目視観察した。色ムラが見られず均一な白色外観であった場合に合格とした。
(3)被膜の接合強度の測定
めっき被膜の接合強度を見るために、表1に示すめっき液aを使用し、実施例1aの電解めっき方法によりめっき被膜したテストピースを以下に示すリフロー方式によるはんだ付け方法を用いて、基板とはんだ付けした。
このはんだ付け方法は、ガラスエポキシ製の銅被覆テスト基板(12mm×12mm、厚さ3mm)にステンレスマスク(マスクの厚さ0.8mm)をセットし、基板のランド上にはんだペースト(ペースト中の合金の組成:銀3.0質量%、銅0.5質量%、残部錫)をスキージングし、厚さ約0.8mmのはんだペースト膜を形成した。マスクをはずし、はんだペースト上に実施例1aにてめっき被膜したテストピースをマウントした。これを加熱炉に入れ、180℃にて90秒加熱し、40秒かけて240℃まで昇温し、240℃で10秒保持した。その後、冷却した。なお、昇温及び降温に際して、220℃以上の範囲が30秒となるようにした。冷却後、はんだ付けされた基板とテストピースを取り出した。基板とテストピースの接合強度をJISC0054、EIAJET−7403に記載の方法により測定した。
(4)はんだ濡れ性をJISC0053、EIAJET−7401に記載の方法により測定した。
(5)融点は、DSC(示差走査熱分析法)により測定した。
(6)接合部の元素分析は、EPMA(電子プローブX線マイクロアナライザー)によるマッピングで確認した。
(7)めっき被膜の膜厚
蛍光X線を利用した膜厚計によって測定した。検量線として3.5質量%銀、残部錫の合金を用いた。
Figure 2009019226
〔実施例1b〕
実施例1aにおける0.3dmの42アロイテストピースを0.3dmの銅製のテストピースに代えた以外は実施例1aと同様にめっきを行った。
結果を表4の実施例1bに示す。被膜中のCu含有量、Ag、Ni含有量は未測定であるが、実施例1aと略同じ組成であると考えられる。
ガラスエポキシ製の銅被覆テスト基板との接合強度が非常に良くなった以外はいずれの試験結果も実施例1aと略等しく、合格であった。
〔実施例2〕
実施例1aにおける直流波形の電流密度を5.0A/dmとした以外は実施例1aと同様にめっきを行ったところ、電流密度を変えてめっきした場合も電子顕微鏡で見た表面形状は実施例1aと略同じで、粒子の大きさが均一でばらつきがなく滑らかな表面形状のめっきとなっていた。
〔実施例3〕
実施例1aにおける直流波形の電流密度を10.0A/dmとした以外は実施例1aと同様にめっきを行ったところ、電子顕微鏡で見た表面形状は実施例1aと略同じで、粒子の大きさが均一でばらつきがなく滑らかな表面形状のめっきとなっていた。
〔実施例4〕
実施例1aにおける直流波形の電流密度を15.0A/dmとした以外は実施例1aと同様にめっきを行ったところ、電子顕微鏡で見た表面形状は実施例1aと略同じで、粒子の大きさが均一でばらつきがなく滑らかな表面形状のめっきとなっていた。
実施例1a、1b、2〜4の結果から、本発明のめっき液を使用した電解めっき方法は、広い範囲の電流密度に対応でき、例え、電流密度の多少のばらつきがあっても、ばらつきのないめっきができることがわかる。
〔実施例5〕
次に光沢めっきを得る場合について実験した。光沢めっきを得るために、めっき液に光沢剤を添加し、電流波形としてパルス電流波形(周期0.1秒:0.05秒オン、0.05秒オフ)を用いてめっきを行った。
実施例1aで使用しためっき液aに、光沢剤1(ディップソール社製光沢剤S−2)5mL/L、及び光沢剤2(ディップソール社製光沢剤S−3)20mL/Lを添加してめっき液dを調整した。このめっき液dを用い、電流密度を11.6A/dm、電流波形をパルス電流波形とした以外は実施例1aと同様にめっきを行ったところ、めっき時間216秒にて、外観の良好な光沢のめっき被膜(8μm)が得られた。
得られためっき被膜について、実施例1aと同じ方法で、組成、融点を測定し、外観、はんだ濡れ性について試験した。更に、上述の方法で、テスト基板とのはんだ付けを行い、接合強度を測定した。結果を表4の実施例5に示す。
めっき被膜の組成は、銀3.0質量%、銅0.50質量%、ニッケル500ppm、残部は錫で、融点は216〜218℃であった。はんだ濡れ性、接合強度共によかった。
〔実施例6a〕
さらに、実施例1aで使用しためっき液を、電流密度を5.8A/dm、電流波形を直流波形とし、25℃一定のもとで、めっき時間216秒にて42アロイのテストピースにめっきすると約8μmのめっき被膜が得られた。このめっき被膜の組成は、銅0.50質量%、銀3.0質量%、ニッケル500ppm、残部が錫であった。得られためっき被膜について、外観、融点、はんだ濡れ性について実施例1aと同じ方法で測定あるいは試験した。また、実施例1aと同じ方法ではんだ付けを行い、接合強度を測定した。接合強度は21.5Nだった。更に、ウィスカー試験(猫の髭状の錫が伸びてきてめっきをする際ショートするのを避けるため、髭の伸びを見る)として、25℃、湿度40%の条件で、80日間、320日間放置した後、40倍の光学顕微鏡で表面を観察した。結果を表4の実施例6aに示す。80日間、320日間の放置によってもウィスカーは出なかった。外観、及びはんだ濡れ性は合格で、融点も217℃で低かった。
〔実施例6b〕
実施例6aにおけるテストピース(42アロイ)を銅製のテストピースに代えた以外は実施例6aと同様にめっきを行った。結果を表4の実施例6bに示す。
接合強度が27.8で、はんだ濡れ性が若干悪くなった以外は実施例6aと略同じで外観、めっき被膜融点も217℃で低く、良好であった。また、実施例6aと同じ条件でウィスカー試験を行ったが、80日間、320日間放置してもウィスカーは出なかった。被膜組成も実施例6aと略同じと考えられる。
Figure 2009019226
〔比較例1〕
錫イオンとして0.2mol/L、第2銅イオンとして0.0025mol/L、銀イオンとして0.01mol/Lを含有する従来のめっき液b(表2に示す)を用いて、実施例1aと同様の方法でめっきを行った。
得られためっき被膜について実施例1aと同じ方法で、組成を測定し、外観について試験した。結果を表5の比較例1に示す。めっき被膜表面は、黒色がかった外観不良で不合格であった。
〔比較例2〕
錫イオンとして0.1968mol/L、第2銅イオンとして0.0026mol/L、銀イオンとして0.00066mol/Lを含有する従来のめっき液c(表3に示す)を用いて、実施例1aと同様の方法でめっきを行った。
得られためっき被膜について実施例1aと同じ方法で、組成を測定し、外観について試験した。結果を表5の比較例2に示す。
めっき被膜表面は、黒色がかった外観不良で不合格であった。
〔比較例3〕
比較例1における電流密度を3A/dmに換えた以外は比較例1と同様にめっきを行ったところ、8μmの被膜を作成するためのめっき時間が234秒と長くなった。
得られためっき被膜について実施例1aと同じ方法で、組成、融点を測定し、外観、はんだ濡れ性について試験した。更に、はんだ付けを行い、接合強度を測定した。結果を表5の比較例3に示す。
めっき被膜の組成は、銀1.96質量%、銅0.50質量%、残部は錫であった。被膜の外観は合格だったが、接合強度が実施例1aに較べて弱く、また、融点も227℃で高かった。
〔比較例4〕
比較例2における電流密度を3A/dmに換えた以外は比較例2と同様にめっきを行ったところ、8μmの被膜を作成するためのめっき時間が289秒と長くなった。
得られためっき被膜について実施例1aと同じ方法で、組成、融点を測定し、外観、はんだ濡れ性について試験した。更に、はんだ付けを行い、接合強度を測定した。結果を表5の比較例4に示す。
めっき被膜の組成は、銀0.32質量%、銅0.8質量%、残部は錫であり、融点は230℃と高かった。また、外観は良好であったが、接合強度が22.1Nで実施例1aに較べて弱かった。
〔比較例5a〕
他の鉛フリーめっき液として、錫及び銀を含有するめっき液を用いて、実施例6aと同様な方法で、42アロイテストピースに錫−銀合金(錫96.6質量%、銀3.4質量%)のめっき被膜を形成し、得られためっき被膜について、外観、はんだ濡れ性について実施例1aと同じ方法で測定あるいは試験した。
更に、実施例1aと同じ方法ではんだ付けを行い、接合強度を測定し、さらに実施例6aと同じ条件(25℃、湿度40%)でウィスカー試験を行った。80日間、320日間放置しても、ウィスカーは見られなかった。結果を表5の比較例5aに示す。外観、及びはんだ濡れ性は合格だったが、接合強度は20.5Nで弱く、融点が221℃で高かった。
〔比較例6a〕
他の鉛フリーめっき液として、錫及び銅を含有するめっき液を用いて実施例6aと同様な方法で、42アロイテストピースに錫−銅合金(錫98.5質量%、銅1.5質量%)のめっき被膜を形成し、得られためっき被膜について、外観、はんだ濡れ性について実施例1aと同じ方法で測定あるいは試験した。更に、実施例1aと同じ方法ではんだ付けを行い、接合強度を測定し、さらに実施例6aと同じ条件でウィスカー試験を行った。結果を表5に示す。80日間、320日間の放置でもウィスカーは見られなかった。また、外観は良好だが、接合強度が19.3と弱く、融点も227℃と高かった。
〔比較例7a〕
他の鉛フリーめっき液として、錫及びビスマスを含有するめっき液を用いて実施例6aと同様な方法で、42アロイテストピースに錫−ビスマス合金(錫97.0質量%、ビスマス3.0質量%)のめっき被膜を形成し、得られためっき被膜について、外観、はんだ濡れ性について実施例1aと同じ方法で測定あるいは試験した。更に、実施例1aと同じ方法ではんだ付けを行い、接合強度を測定し、さらに実施例6aと同じ条件でウィスカー試験を行った。結果を表5に示す。80日間、320日間の放置でもウィスカーは見られなかった。また、外観は良好だが、接合強度が19.9と弱く、融点も226℃と高かった。
〔実施例7〕
実施例7として、上記実施例6bではんだ付けされた、ガラスエポキシ製の銅被覆テスト基板上のはんだペーストと、めっき被膜された銅製のテストピースとの境界部(はんだペーストとめっき被膜との溶融はんだ部、以下溶融はんだ部ともいう)のAg分布状態について、EPMA(電子プローブX線マイクロアナライザー)によるマッピング(地図化)で確認した。
このはんだペーストには、共晶点に近い組成を有する錫−銀−銅合金(錫96.5質量%、銀3.0質量%、銅0.5質量%)が使用されており、実施例の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜との溶融はんだ部では、銀が均一に散在し、はんだ中に多く存在するSnとの間でAgSnのネットワーク(網状構造)ができていると思われる。
〔比較例5b〕
他の鉛フリーめっき液として、錫及び銀を含有する比較例5aと同じめっき液を用いて、実施例6bと同様な方法で、銅製のテストピースに錫−銀合金(錫96.6質量%、銀3.4質量%)のめっき被膜を形成した。得られためっき被膜について、外観、はんだ濡れ性について実施例1bと同じ方法で測定あるいは試験した。さらに実施例6aと同じ条件でウィスカー試験を行った。結果を表5の比較例5bに示す。80日間、320日間の放置でもウィスカーは見られなかった。外観、はんだ濡れ性、接合強度も問題無かったが、融点が221℃で少し高かった。
更に、実施例1bと同じ方法ではんだ付けを行い、接合強度を測定し、そのめっき被膜を実施例7と同様な方法で、はんだ付けしためっき被膜とはんだペーストとの溶融はんだ部のAg分布状態について、EPMAによるマッピングで確認した。
〔比較例6b〕
他の鉛フリーめっき液として、錫及び銅を含有する比較例6aと同じめっき液を用いて実施例6bと同様な方法で、錫−銅合金(錫98.5質量%、銅1.5質量%)のめっき被膜を形成し、比較例5bと同様、試験した。さらに実施例6aと同じ条件でウィスカー試験を行った。結果を表5の比較例6bに示す。80日間の放置でウィスカーは見られなかったが320日間の放置で針状の結晶が観察された。外観、はんだ濡れ性、接合強度は問題無かったが、融点が227℃で少し高かった。
そのめっき被膜について、実施例7と同様な方法で、はんだ付けしためっき被膜とはんだペーストとの溶融はんだ部のAg分布状態について、EPMAによるマッピングで確認した。
〔比較例7b〕
他の鉛フリーめっき液として、錫及びビスマスを含有する比較例7aと同じめっき液を用いて実施例6bと同様な方法で、錫−ビスマス合金(錫97.2質量%、ビスマス2.8質量%)のめっき被膜を形成し、比較例5bと同様、試験した。結果を表5の比較例7bに示す。はんだ濡れ性、外観は良好であったが、融点が226℃と高く、また、ウィスカー試験の結果は320日の放置で表面に針状の結晶が観察された。
そのめっき被膜について実施例7と同様な方法で、はんだ付けした溶融はんだ部のAg分布状態について、EPMAによるマッピングで確認した。EPMAによるマッピングによると、Sn−Agめっき被膜、Sn−Cuめっき被膜、又はSn−Biめっき被膜とはんだとの溶融はんだ部については、いずれも溶融はんだ部で銀が斑状になっており、Sn−Ag−Cuめっき被膜の場合に見られるようなAgSnのネットワークの存在は推察できなかった。一般にAgSnのネットワークは基板とめっき被膜の接合性を強くすると言われることから、本発明の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜についても基板と強い接合性を示すと考えられる。
次にはんだ濡れ性について比較した。
表4に示すように、Ni42質量%、Fe58質量%(42アロイ)のテストピースへの本発明の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜のはんだ濡れ性は、めっき直後の被膜についても、更に、スチーム飽和蒸気で4時間経過という過酷な条件の経過後も略良好であった。
比較例5a、5bに示す従来のSn−Agめっき被膜、比較例6a、6bに示す従来のSn−Cuめっき被膜、比較例7a、7bに示す従来のSn−Biめっき被膜は42アロイにめっきした場合にはいずれも接合強度が弱く、また、42アロイ、あるいは銅板のいずれにめっきした場合も本実施例に比較して融点が高かった。
また、本発明のいずれのめっき被膜も前記ウィスカー試験でウィスカーが見られることは無かったが、従来のSn−Bi、Sn−Cuめっき液を用いて銅、更に真鍮のテストピースにめっきした従来のSn−Bi、Sn−Cuめっき被膜は、25℃、湿度40%の同じ条件で320日放置すると、針状結晶が生成していた。
さらに、本発明の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜をリードフレームと実施例1aに記載の方法によりはんだ付けした基板の実装性について比較した結果においても、本発明の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜は基板に完全溶融してはんだ付けされていたが、従来の製品であるSn−Ag、Sn−Bi、Sn−Cuめっき被膜は、基板である42アロイと未溶融ではんだ付けされていた。
上記結果から、本発明のめっき液を使用しためっき被膜は外観、接合強度、はんだ濡れ性のいずれも他の鉛フリー種に比較して優れていることが判った。特に、近年、鉛フリーのはんだ材料(はんだペースト)の基礎はんだとして使用されている共融点に近い組成を有する錫−銀−銅合金を使用したはんだに、本発明の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜が非常に適していることがわかる。
上記結果に示すように、本実施例のめっき液aを使用して42アロイあるいは銅板にめっきしためっき被膜は、42アロイあるいは銅板のいずれにめっきした場合にも、外観も良好、接合強度も良好、はんだ濡れ性も略良好であった。
また、本実施例のめっき液aに光沢剤を添加し、電流波形としてパルス電流波形を用いてめっきした場合も光沢があり外観良好ではんだ濡れ性も良好、接合強度も良好なめっき被膜が得られた。
また、本発明のめっき液は、4dm以上の高い電流密度でも、安定しためっきが可能であり、高速めっきにも適用できることが判った。
更に、両者共、融点が錫、銀、銅の共晶点に近い217℃、218℃であり、低い温度ではんだ付けを行うことが可能となった。
次に、めっき液a〜cについてめっき液の経時安定性を見るために、建浴直後及び1ケ月後の外観及び吸光度について比較した。吸光度の測定方法は純水をリファレンス側とし、波長660nmの光を石英セルに照射して測定点をセットした後に、800〜400nmまでの光を連続照射して測定することにより行った。660nmの波長での結果を表6に示す。
Figure 2009019226
表6に示すように、めっき液aは建浴直後及び1ケ月後についても外観は透明で変わらず、1ケ月後の吸光度も0.029と高くなっていない事から不純物の析出は少ないと考えられた。一方、従来のめっき液bについては建浴直後の外観も不良、液も濁りが多かった。同じく従来のめっき液cについては1ケ月後の外観が不良で両者とも、安定性が悪かった。
上記結果より、本実施例のめっき液は保存性が良いことがわかる。
なお、前記実施例においては、錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液について説明したが、インジウム又はゲルマニウムをイオンの状態で、10〜10000ppm混入した場合には、更に、これによって形成されるはんだ被膜が柔らかくなって、ウィスカー等の発生が更に減少する。なお、ゲルマニウムは2価、4価のイオンのいずれでもあってもよいし、酸には溶解しにくいので、錯イオンの形で混入してもよい。また、インジウムは一価と三価のイオンがあるが、一価のイオンでよく、水溶性のよい酸化物を使用するのがよい。
更に、この実施例においては、陽極として錫の単金族を使用したが、めっき液になりにくい金属との合金を使用してもよい。
なお、実施例においては、本発明の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液の一部の数値を用いて説明したが、本発明で示す範囲において、共通の特性を有する。

Claims (8)

  1. スルホン酸類を溶かした水を主体とする媒体に、錫イオンを主体とし、銀イオン及び銅イオンを含み、更に微量のニッケルイオンを含む錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液。
  2. 請求項1記載の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液において、前記錫イオンの濃度が0.15〜1.5mol/L、前記銀イオンの濃度が0.001〜0.05mol/L、前記銅イオンの濃度が0.001〜0.01mol/L、前記ニッケルイオンの濃度が0.0000001〜0.000004mol/Lであることを特徴とする錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液。
  3. 請求項2記載の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液において、前記銅イオンの濃度に対する前記銀イオンの濃度のモル比が、4.5〜7.0の範囲にあることを特徴とする錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液において、更にインジウムイオン又はゲルマニウムイオンを10〜10000ppm含むことを特徴とする錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液。
  5. 請求項4記載の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液において、更に、前記インジウムイオン又はゲルマニウムイオンは、それぞれ対応する水溶性のインジウム化合物又はゲルマニウム化合物から供給されることを特徴とする錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液において、更に、メルカプタン化合物を2〜20g/Lと、芳香族アミノ化合物を0.02〜0.04mol/Lと、0.1〜50g/Lのノニオン系界面活性剤とを含む錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき液を用い、0.02〜50A/dmの電流密度で陰極に形成した錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜。
  8. 請求項7記載の錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜において、ニッケルを50〜10000ppm含むことを特徴とする錫−銀−銅−ニッケル含有めっき被膜。
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CN114758817A (zh) * 2022-03-14 2022-07-15 鼎辉光电通信(江苏)有限公司 一种耐高温低噪音半钢电缆

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