JP2009018449A - 噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡略化された方法で歩留まりの高い噴射ヘッドを製造することが可能な噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の噴射ヘッドの製造方法は、第1開口部13が形成された第1基板10と、第1開口部13と連通する第2開口部31が形成された第2基板30とを有する噴射ヘッドの製造方法であって、第1基板10上に貴金属からなる隔離層94を形成する工程と、隔離層94を挟んで第1基板10と第2基板30とを接着する工程と、第1基板10及び第2基板30の隔離層94を挟んで対向する位置に第1開口部13及び第2開口部31を形成する工程と、第1基板10の表面に原子堆積法を用いて保護膜15を形成する工程と、第1開口部13にエッチング材を供給し、第1開口部13と第2開口部31との間に配置された隔離層94を除去する工程と、を備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、噴射ヘッドの製造方法に関するものである。
流体噴射装置は、インクジェットプリンタをはじめとする種々の工業製品に応用されている。流体噴射装置の噴射ヘッドとしては、ノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室の流体を加圧する圧電体方式の噴射ヘッドが知られている。一般に、噴射ヘッドは複数の基板によって構成されており、該複数の基板をエッチング等で加工することにより、圧力発生室や流体の流路及びリザーバ等が形成されている。
図9は、従来の噴射ヘッドの製造工程の一部を示す断面図である。同図はリザーバの形成工程の断面図である。図9(a)に示すように、噴射ヘッドは流路形成基板10と保護基板30とを接着剤36で貼り合わせることにより形成される。流路形成基板10には隔離層94が形成されており、隔離層94によって保護基板30のリザーバ部31と流路形成基板10の連通部13とが互いに隔離されている。リザーバ部31と連通部13とを隔離層94で隔離するのは、流路形成基板10に隔離層94を形成しないで連通部13を形成すると、ウェットエッチングの際のエッチング液が保護基板30側に回りこみ、保護基板30をエッチングしてしまうからである。なお、隔離層94は、圧電素子の共通電極を構成する金、銀、銅等の導電部材によって形成されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、流路形成基板10の表面には、リザーバに供給された流体が流路形成基板10の壁面を侵食しないように、酸化ジルコニウム(ZrO)等の保護膜15を形成する必要がある。保護膜15は、リザーバ内の流体と反応を起こさない材料であれば良く、酸化ジルコニウム(ZrO)の他に酸化タンタル(TaO)等も使用可能である。保護膜15は、流路形成基板10に連通部13を形成した後、流路形成基板10の全面にCVDやスパッタ法により酸化タンタル等を蒸着することにより形成される。
一方、隔離層94は、流路形成基板10及び保護基板30を加工した後、ウェットエッチングにより除去される。ウェットエッチングは、保護基板30の表面に保護フィルム93を貼着した後、流路形成基板10側からエッチング液を供給することにより行われる。この場合、エッチング液が流路形成基板10の表面を侵食しないように、保護膜15の材料として隔離層94のエッチング液に溶解しない材料が選択される。
しかしながら、保護膜15を隔離層94のエッチング液に溶解しない材料で形成すると、隔離層94の表面に形成された保護膜15によって隔離層94をエッチングすることができない。すなわち、保護膜15は流路形成基板10の表面を覆うと共に隔離層94の表面をも覆うため、保護膜15が流路形成基板10だけでなく隔離層94の保護膜としても機能してしまい、隔離層94のエッチング液が十分に隔離層94に供給されなくなる。
そのため、従来は、図9(b)に示すように、保護膜15の表面に応力の高いダミー膜99を形成し、ダミー膜99と保護膜15の熱収縮力の違いを利用して隔離層94の表面の保護膜15を除去することが行われていた。例えば、ダミー膜99としてチタンタングステン(TiW)を形成した場合、流路形成基板10の上面及び側面に形成された保護膜15は、酸化シリコン等からなる流路形成基板10との間で高い密着力を有するため、ダミー膜99が積層されても、流路形成基板10から剥離されない。一方、金、銀、銅等からなる隔離層94は、保護膜15との間で弱い密着力しか有しないため、保護膜15の表面にダミー膜99を積層すると、隔離層94と保護膜15との間に剥がれが生じ、隔離層94から容易に除去できるようになる。
そのため、図9(c)に示すように、保護基板30の表面に保護フィルム93を貼着してダミー膜99をエッチングすると、隔離層94上に形成された保護膜15がダミー膜99と共に隔離層94から除去され、図9(d)の工程において隔離層94のエッチングが可能となる。
特開2007−98659号公報 特開2003−286579号公報
しかしながら、上述の方法では、剥離した保護膜15及びダミー膜99がチャンバ内で漂った状態でプロセスを行わなければならないため、歩留まりが低下するという問題があった。また、ダミー膜99は保護膜15を除去するためだけに形成されるため、プロセス上無断が多く、製造コストの上昇及び製造時間の長期化を招くという問題もある。一方、特許文献2に開示されるように、保護膜15を光を用いたパターニング方法によって隔離層94の露出していない部分に選択的に形成する方法も考えられるが、この方法では露光が必要である上、現像も必要となり、プロセスが複雑化してしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、簡略化された方法で歩留まりの高い噴射ヘッドを製造することが可能な噴射ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の噴射ヘッドの製造方法は、第1開口部が形成された第1基板と、前記第1開口部と連通する第2開口部が形成された第2基板とを有する噴射ヘッドの製造方法であって、前記第1基板上に貴金属からなる隔離層を形成する工程と、前記隔離層を挟んで前記第1基板と前記第2基板とを接着する工程と、前記第1基板及び前記第2基板の前記隔離層を挟んで対向する位置に前記第1開口部及び前記第2開口部を形成する工程と、前記第1基板の表面に原子堆積法を用いて保護膜を形成する工程と、前記第1開口部にエッチング材を供給し、前記第1開口部と前記第2開口部との間に配置された隔離層を除去する工程と、を備えたことを特徴とする。
原子層堆積法(Atomic Layer Deposition)は、原料ガスと基板表面の反応基との化学反応を利用して基板表面に1原子層ずつ薄膜を形成する方法である。原子層堆積法のプロセスでは、1種類又は2種類以上の原料ガスが基板の表面に交互に供給され、基板の表面に存在する反応基と結合する。全ての反応基が飽和すると、反応は停止し、それ以上の薄膜は形成されない。このようにして基板の表面に原子層1層分の薄膜が形成されると、不活性ガスが基板の表面に供給され、余分な原料ガスが除去される。このサイクルは薄膜が所望の厚みに達するまで繰り返され、1サイクル毎に単分子の薄膜が形成される。
原子層堆積法では、原料ガスと基板表面の反応基との化学反応を利用するため、表面に反応基が存在しない貴金属の表面には薄膜は形成されない。貴金属は化学的に安定な物質であるため、酸化反応等によって反応基が導入されないからである。したがって、隔離層を貴金属で形成すると、隔離層の表面には保護膜は形成されず、隔離層以外の第1基板の表面のみに選択的に保護膜が形成される。そうすると、従来問題となっていた隔離層の表面の保護膜がもともと存在しないことになり、それを除去する工程も不要になる。また、原子層堆積法では、原子層が1層ずつ緻密に形成されるため、第1基板への保護膜のカバレッジが良好になり、ピンホール等の発生も確実に防止できる。したがって、本発明の噴射ヘッドの製造方法によれば、従来に比べてダミー膜の形成工程が不要になり、簡略化された方法で歩留まりの高い噴射ヘッドを製造することができる。
本発明においては、前記保護膜を形成する前に、前記第1開口部の底面に露出した前記隔離層の表面を洗浄する工程を備えることが望ましい。前述のように、隔離層を貴金属で形成した場合、隔離層の表面には反応基は存在しないため、隔離層の表面にチャンバ内の分子が結合することはない。そのため、原理的には隔離層の表面に結合した不純物を除去する工程は不要である。しかしながら、チャンバ内には水分や酸素等の不純物が必然的に存在し、その不純物が隔離層上に付着して隔離層上に反応基を形成する場合がある。このような反応基は保護膜を形成する場合に結晶成長の核となり、その後の隔離層のエッチング工程に影響を与える。そこで、本発明では、保護膜を形成する前に予め隔離層の表面を洗浄し、隔離層上に付着した不純物を除去している。この方法によれば、隔離層上に付着した不純物によって隔離層上に保護膜が形成されることがない。そのため、その後の隔離層のエッチング工程をより確実に行うことができる。
本発明においては、前記隔離層の表面を洗浄する工程は、オゾン洗浄、UV洗浄又はプラズマ洗浄のいずれかにより行われることが望ましい。この方法によれば、隔離層の表面に付着した不純物を確実に除去することができる。また、第1基板の表面に水酸基等の反応基を導入できるため、保護膜の材料を供給したときに第1基板の表面全体に確実に保護膜の材料を結合させることができる。
本発明においては、前記保護膜を形成する工程では、前記第1基板の表面を酸化又は窒化する工程と、前記第1基板の表面に前記保護膜の材料を供給し、前記第1基板の表面に原子1層分の前記保護膜の形成材料を堆積させる工程と、を1サイクルとし、前記サイクルを複数回繰り返すことにより所定の厚みの前記保護膜を形成すると共に、前記サイクルが所定回数だけ行われた後、次のサイクルを行う前に、前記隔離層の表面に堆積した不純物又は保護膜をエッチングするエッチング処理が行われることが望ましい。前述のように、原子堆積法では、単分子の薄膜を1層ずつ形成していくため、所望の厚みの保護膜を形成するのに長時間を要する場合がある。しかしながら、長時間チャンバ内で成膜を行うと、水分等の不純物が隔離層に堆積し、その不純物を核として隔離層上に保護膜が形成される場合がある。そこで、本発明では、所定時間毎に隔離層表面の不純物等のエッチングを行い、隔離層上に付着した不純物とその不純物を核として形成された保護膜を除去している。この方法によれば、隔離層上に付着した不純物によって隔離層上に保護膜が形成されることがない。そのため、その後の隔離層のエッチング工程をより確実に行うことができる。
本発明においては、前記エッチング処理は、前記サイクルが1回ないし10回行われた後に行われることが望ましい。前述のように、隔離層上の不純物(及びそれを核として形成される保護膜)をこまめに除去することは、その後の隔離層のエッチング工程を円滑に行う上で有効である。したがって、隔離層への不純物の付着を確実に防止する観点からは1サイクル毎にエッチング処理を行うことが望ましい。しかし、1サイクル毎にエッチング処理を行うと工程時間の長期化を招く場合があるので、一般的には複数サイクル経過後にエッチング処理を行うことが望ましい。何サイクルでエッチング処理を行うかは、隔離層上への不純物の堆積のし易さ等(チャンバ内の不純物の種類、量等)を考慮して決定することができるが、通常のチャンバの成膜条件では、10サイクル程度経過後であっても広い面積で保護膜が隔離層上に形成されることはないと考えられるため、例えば10サイクル経過後にエッチング処理を行うようにすれば、工程時間の増加を最小限に抑えながら、隔離層上への保護膜の堆積を確実に防止することができる。
本発明においては、前記エッチング処理は反応性イオンエッチングにより行われることが望ましい。この方法によれば、隔離層の表面に付着した不純物を確実に除去することができる。
本発明においては、前記第1基板はシリコン基板であり、前記隔離層は金からなることが望ましい。この方法によれば、隔離層の材料として化学的に最も安定な金を用いるため、銀や銅等の他の貴金属を用いる場合に比べて、隔離層の表面への反応基の導入を確実に防止することができる。
本発明においては、前記保護膜は、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、イリジウム、プラチナ、ルテニウム、ニッケル、クロムのいずれか1種又は2種以上の材料により形成されることが望ましい。これらの材料は、インクジェットプリンタのインクの溶媒として通常使用される有機溶剤に対して高い耐久性を有する。また、貴金属のエッチング材に対して高い耐久性を有するため、隔離層をエッチングする際に確実に第1基板の表面を保護することができる。
本発明においては、前記隔離層は、前記第1基板上に圧電素子を形成する際に前記圧電素子の一方の電極の形成工程と同時に形成されることが望ましい。この方法によれば、隔離層を形成するための工程を別途設ける必要がないので、プロセスが容易になる。
本発明においては、前記第1開口部及び前記第2開口部は、噴射ヘッドから噴射する流体を外部から供給するための流路(リザーバ)を構成するものであることが望ましい。噴射ヘッドに形成する開口部としては、リザーバの他、第1基板及び第2基板とヘッドケース等の他部材との相対的な位置決めを行うための基準ピンを挿入するための基準孔がある。本発明はこれら両方の形成方法に適用可能なものである。しかし、基準孔の大きさはリザーバの大きさに比べて非常に小さく、その基準孔内に露出した隔離層は圧空の噴射等によって容易に除去することができる。一方、リザーバの形成工程においてはそのような代替方法がないので、本発明を適用する効果は大きい。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではない。下記の実施形態において、各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
図1は、本発明の噴射ヘッドの一実施形態であるインクジェット式記録ヘッド1及びヘッドケース2の分解斜視図である。図2は、インクジェット式記録ヘッド1の平面図である。図3は、図2のA−A′断面図及びB−B′断面図である。
図1に示すように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1は、ヘッドケース2に接着剤等を介して固定されている。インクジェット式記録ヘッド1とヘッドケース2とは、ヘッドケース2に設けられた基準孔3と、インクジェット式記録ヘッド1を構成する各部材に設けられた第1基準孔16、第2基準孔35、第3基準孔22及び第4基準孔45とに基準ピン4を挿入することで位置決めされて固定されている。
ここで、インクジェット式記録ヘッド1について図2及び図3を参照して説明する。図示するように、ベース基板となる流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その両面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12が2列並設され、その長手方向外側には、各圧力発生室12の列毎に共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成され、各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれインク供給路14を介して連通されている。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
流路形成基板10には、圧力発生室12の並設方向の両端部側の角部に厚さ方向に貫通した第1基準孔16が形成されている。本実施形態の場合、第1基準孔は流路形成基板10の圧力発生室12の並設方向の両端部にそれぞれ1つずつ、合計2つ設けられている。
第1基準孔16は、本実施形態の場合、流路形成基板10の他方面側から異方性エッチングすることにより形成されている。このため、第1基準孔16は、開口が菱形状で形成されている。なお、第1基準孔16の形状はこれに限定されず、例えば、開口が円又は楕円などであってもよい。
流路形成基板10の圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14の内壁表面には、耐インク性を有する材料、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)からなる保護膜15が、約50nmの厚さで設けられている。なお、ここで言う耐インク性とは、アルカリ性のインクに対する耐エッチング性のことである。なお、保護膜15の材料は、酸化ジルコニウムに限定されず、使用するインクのpH値によっては、例えば、五酸化タンタル(Ta)等の酸化タンタル(TaO)、イリジウム(Ir)、プラチナ(Pt)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)及びクロム(Cr)等を用いてもよい。
流路形成基板10の開口面側には、圧力発生室12を形成する際のマスクとして用いられた保護膜51を介して、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が常温下で接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば、2.5〜4.5[×10−6/℃]であるガラスセラミックス又はステンレス鋼(SUS)などからなる。ノズルプレート20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。
ノズルプレート20には、流路形成基板10の第1基準孔16に連通する第3基準孔22が設けられている。第3基準孔22は、例えばノズルプレート20が金属からなる場合、ノズル開口21と共にポンチ等により機械的に打ち抜くことで形成されている。
流路形成基板10の開口面とは反対側には、二酸化シリコンからなり厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成されている。弾性膜50上には、酸化ジルコニウム等からなり厚さが例えば約0.4μmの絶縁体膜55が形成されている。絶縁体膜55上には、白金及びイリジウム等からなり厚さが例えば約0.2μmの下電極膜60と、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなり厚さが例えば約1.0μmの圧電体層70と、イリジウム等からなり厚さが例えば約0.05μmの上電極膜80とが積層形成され、圧電素子300が構成されている。
ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。
なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみが振動板として作用するようにしてもよい。
各圧電素子300の上電極膜80には、チタンタングステン(TiW)からなる密着層91と、金(Au)からなる金属層92とで構成された引き出し配線であるリード電極90がそれぞれ接続されている。そして、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、下電極膜60、弾性膜50及びリード電極90上には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有して接合基板となる保護基板30が接合されている。リザーバ部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成されている。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
さらに、保護基板30の流路形成基板10の第1基準孔16に相対向する領域には、厚さ方向に貫通した第2基準孔35が設けられている。第2基準孔35は、流路形成基板10に設けられた第1基準孔16と同じ内径で形成されている。本実施形態では、保護基板30として、シリコン単結晶基板を用いているため、保護基板30を異方性エッチングすることにより、第2基準孔35を形成することができる。このような第2基準孔35は、第1基準孔と同様に開口が菱形状に形成されている。
保護基板30上の貫通孔33の両側、すなわち、圧力発生室12の各列に対応する領域のそれぞれには、圧電素子300を駆動するための駆動回路110が固定されている。駆動回路110としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路110とリード電極90とはボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線(図示なし)を介して電気的に接続されている。また、図1に示すように、駆動回路110には、外部からの印刷信号が入力される外部配線111が電気的に接続されている。
また、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成されている。固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっており、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
また、このリザーバ100の長手方向略中央部外側のコンプライアンス基板40上には、リザーバ100にインクを供給するためのインク導入口44が形成されている。
さらに、コンプライアンス基板40には、保護基板30の第2基準孔35に連通する第4基準孔45が設けられている。
そして、図1に示すように、流路形成基板10、保護基板30、コンプライアンス基板40及びノズルプレート20からなるインクジェット式記録ヘッド1は、コンプライアンス基板40側に接合されたヘッドケース2に保持されている。このとき、インクジェット式記録ヘッド1の第1基準孔22、第2基準孔35、第3基準孔22及び第4基準孔45と、ヘッドケース2の基準孔3とに基準ピン4を挿入することで両者は位置決めされて固定されている。
このようなインクジェット式記録ヘッド1では、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口44からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路110からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
次に、インクジェット式記録ヘッド1の製造方法について図4〜図8を参照して説明する。図4及び図5はインクジェット式記録ヘッド1の製造工程のうちリザーバ100の形成工程を中心に説明する断面工程図である。図6は、流路形成基板に保護膜を形成する工程の詳細説明図である。図7は、保護膜の形成工程における原料ガス等の供給サイクルを示すタイミングチャートである。図8は、原料ガス等の供給サイクルと保護膜の膜厚との関係を示すグラフである。なお、図4及び図5において左側は基準孔の近傍を示す断面図、右側はリザーバの近傍を示す断面図である。図4及び図5では流路形成基板10を上側、保護基板30を下側として図示しており、その工程の説明では図1〜図3に記載した符号を用いる。
まず、図4(a)に示すように、流路形成基板(第1基板)10の一面上に隔離層94、96を形成し、接着剤36を介して保護基板(第2基板)30と接着する。流路形成基板10の一面上には予め弾性膜50、圧電素子300及びリード電極90等が形成されており、保護基板30の前記一面と対向する面には予めリザーバ部(第2開口部)31、圧電素子保持部32、貫通孔33及び第2基準孔(第2開口部)35等が形成されている。そして、流路形成基板10と保護基板30とを接着した後、流路形成基板10の圧電素子が形成された面とは反対側の面をウェットエッチングし、流路形成基板10に圧力発生室12、連通部(第1開口部)13、インク供給路14及び第1基準孔(第1開口部)16を形成する。
ここで、隔離層94は流路形成基板10の連通部13と保護基板30のリザーバ部31とを隔離する層であり、隔離層96は流路形成基板10の第1基準孔16と保護基板30の第2基準孔35とを隔離する層である。符号95及び符号97は、流路形成基板10と隔離層94及び96との密着力を高めるための密着層である。隔離層94及び96並びに密着層95及び97は、圧電素子300のリード電極90をパターニングする際に同時に形成される。本実施形態の場合、リード電極90の金属層92が金、密着層91がチタンタングステンであるため、隔離層94及び96は金、密着層95及び97はチタンタングステンとなる。
次に、図4(b)に示すように、流路形成基板10をチャンバ内(成膜装置)に導入し、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition)を用いて隔離層94及び96を除く流路形成基板10の全面に保護膜15を形成する。原子層堆積法は、原料ガスと流路形成基板10の表面の反応基との化学反応を利用して流路形成基板10の表面に1原子層ずつ薄膜を形成する方法である。
保護膜15を形成する前には、予め連通部13及び第1基準孔16の底面に露出した隔離層94、96の表面を洗浄することが望ましい。洗浄工程は、例えば、オゾン洗浄、UV洗浄又はプラズマ洗浄のいずれかにより行われるものとすることができる。この方法によれば、隔離層94、96の表面に付着した不純物を確実に除去することができると共に、流路形成基板10の表面に水酸基等の反応基を導入できるため、保護膜15の材料を供給したときに流路形成基板10の表面全体に確実に保護膜15の材料を結合させることができる。
保護膜形成工程の途中では、図4(c)に示すように、隔離層94、96上に堆積した不純物又は該不純物を核として形成された保護膜15Aを除去するためのエッチング処理を行う。エッチング処理としては、フッ素含有ガス(例えば、CFガス)を用いた反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching; RIE)を用いることができる。
図6は、原子層堆積法による薄膜形成メカニズムの説明図である。保護膜形成工程では、まず図6(a)に示すように、第1原料ガス(前駆ガス)であるジルコニウムIVトリフロロエトキシドを流路形成基板10の表面に100ccmで5秒間供給する。シリコン単結晶基板である流路形成基板10の表面には水酸基等の反応基が存在するため、第1原料ガスは流路形成基板10の表面の反応基と化学反応で結合(化学吸着)し、流路形成基板10の表面に原子層1層分の薄膜を形成する。
次に、図6(b)に示すように、アルゴン(Ar)等の不活性ガスを流路形成基板10の表面に200ccmで5秒間供給する。これにより、不要な原料ガスが除去され、流路形成基板10の表面に1原子層分の原料ガス(ジルコニウムIVトリフロロエトキシド)の層が形成される。なお、流路形成基板10の表面には、基板表面の反応基と化学結合せずに物理的に堆積(物理吸着)した原料ガスの層が形成されるが、この層は不活性ガスを供給した際にチャンバ内に存在する他の原料ガスと共に除去される。
次に、図6(c)に示すように、第2原料ガス(酸化剤)であるオゾン(O)を流路形成基板10の表面に200ccmで5秒間供給する。これにより、流路形成基板10の表面に化学結合したジルコニウムIVトリフロロエトキシドが酸化され、1原子層分の酸化ジルコニウムの層が形成される。また同時に、酸化ジルコニウムの層に水酸基等の反応基が導入され、次のサイクルで流路形成基板10の表面に第1原料ガスを供給したときに、酸化ジルコニウムの層の表面に第1原料ガスが化学的に結合可能な状態となる。
なお、本実施形態では、第2原料ガスとして酸化剤を用いたが、酸化剤の代わりに窒素(N)やアンモニア(NH)等の窒化剤を用いることもできる。この場合、保護膜15は窒化物膜となる。保護膜15を酸化物膜とするか窒化物膜とするかは、インクジェット式記録ヘッドで使用する流体の種類によって決めることができる。
次に、図6(d)に示すように、アルゴン(Ar)等の不活性ガスを流路形成基板10の表面に200ccmで5秒間供給する。これにより、不要な第2原料ガスが除去され、流路形成基板10の表面に1原子層分の酸化ジルコニウムの層(1原子層分の保護膜15)が形成される。
そして、上記原料ガスの供給工程、不活性ガスの供給工程、酸化剤の供給工程及び不活性ガスの供給工程を1サイクルとし、該サイクルを複数回繰り返すことにより、流路形成基板10の表面に所望の膜厚の酸化ジルコニウムの層(保護膜15)を形成する。
図7は、原料ガス等の供給サイクルを示すタイムチャートである。図7において、横軸は保護膜形成工程を開始してからの時間であり、縦軸は原料ガスの供給等の有無を示している。
前述のように、保護膜形成工程においては、第1原料ガス(前駆ガス)の供給工程、不活性ガスの供給工程、第2原料ガス(酸化剤)の供給工程及び不活性ガスの供給工程を1サイクルとし、該サイクルを複数回繰り返すことにより、所望の膜厚の保護膜15を形成する。このとき、第1原料ガス及び第2原料ガスは隔離層94、96の表面にも供給されるが、金(Au)等の貴金属からなる隔離層94、96の表面には反応基が存在しないので、保護膜15はシリコンの露出した基板表面のみに形成され、隔離層94、96の表面には保護膜15は形成されない、しかし、チャンバ内には水分や酸素等の不純物が存在しており、それが隔離層94,96の表面に付着(物理吸着)すると、その不純物が核となって隔離層94、96の表面に保護膜が形成される場合がある。特に、原子層堆積法では成膜時間が長時間に及ぶ場合があり、その間に厚い保護膜の層が形成されると、その後の隔離層のエッチング工程に影響を及ぼす場合がある。
そこで、本実施形態では、所定のサイクルが経過した後に流路形成基板10の表面を定期的にプラズマ処理し、隔離層94、96の表面に堆積した保護膜を除去することとしている。流路形成基板10の表面をプラズマ処理すると、基板表面に化学結合(化学吸着)した保護膜15は除去されないが、単に基板表面に物理的に堆積(物理吸着)しただけの保護膜は容易に除去される。そのため、図8に示すように、隔離層以外の領域の保護膜は上記サイクルの回数に応じて膜厚を増加していくが、隔離層上の保護膜は所定サイクル経過後、プラズマ処理によって除去され、膜厚がゼロとなる。そして、このようなサイクルを繰り返すことにより、隔離層上の保護膜を除去しつつ隔離層以外の領域の保護膜を所望の厚みに形成することができる。
本実施形態の場合、プラズマ処理を行うタイミングは上記サイクルが10回終了した後としている。前述のように、隔離層上の不純物(及びそれを核として形成される保護膜)をこまめに除去することは、その後の隔離層のエッチング工程を円滑に行う上で有効である。したがって、隔離層への不純物の付着を確実に防止する観点からは1サイクル毎にプラズマ処理を行うことが望ましい。しかし、1サイクル毎にプラズマ処理を行うと工程時間の長期化を招く場合があるので、一般的には複数サイクル経過後にプラズマ処理を行うことが望ましい。
何サイクルでプラズマ処理を行うかは、隔離層上への不純物の堆積のし易さ等(チャンバ内の不純物の種類、量等)を考慮して決定することができる。通常のチャンバの成膜条件では、10サイクル程度経過後であっても広い面積で保護膜が隔離層上に形成されることはないと考えられるため、例えば10サイクル経過後にプラズマ処理を行うようにすれば、工程時間の増加を最小限に抑えながら、隔離層上への保護膜の堆積を確実に防止することができる。すなわち、10サイクル程度であれば、隔離層上に保護膜が形成されるとしても、その厚みは1nm程度であり、隔離層の表面にまばらに形成されるのみであるため、このような状態でプラズマ処理を行えば、隔離層上の保護膜を容易に除去することができる。
図5(a)は、上記サイクルを複数回繰り返すことにより、流路形成基板10の表面に所望の厚みの保護膜15を形成した状態の断面図である。流路形成基板10の表面には、隔離層94、96を除く基板全面に保護膜15が形成されている。隔離層94、96の表面には保護膜15は形成されておらず、形成されていたとしても、その厚みは1nm以下である。
流路形成基板10の表面に保護膜15が形成されたら、図5(b)に示すように、第1基準孔16に圧縮された気体98を噴射し、隔離層96を除去する。気体98としては、窒素ガス(N)等の不活性ガスを用いることができる。気体98は、流路形成基板10側から隔離層96の形成された領域に向けて選択的に噴射され、これにより、第1基準孔16と第2基準孔35とが連通される。
次に、図5(c)に示すように、保護基板30の表面に保護フィルム93を貼着し、流路形成基板10の連通部13にエッチング液(エッチング材)を供給することにより、隔離層94を除去する。これにより、保護基板30のリザーバ部31と流路形成基板10の連通部13とが連通され、流路形成基板10及び保護基板30を貫通するリザーバ100が形成される。なお、隔離層94のエッチングはドライエッチングによって行っても良い。また、隔離層94をエッチングする際には、隔壁層94以外の流路形成基板10の表面は保護膜15によってエッチング液から保護される。
その後は、流路形成基板10の保護基板30とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板30にコンプライアンス基板40を接合することで、図1に示すようなインクジェット式記録ヘッド1が形成される。このとき、流路形成基板10の第1基準孔16及び保護基板30の第2基準孔35と、ノズルプレート20の第3基準孔22やコンプライアンス基板40の第4の基準孔45とに基準ピン4を挿入することで、各部材の位置決めが行われる。また、このように形成されたインクジェット式記録ヘッドは、保護基板30側に接合されるヘッドケース2に設けられた基準孔3と、インクジェット式記録ヘッド1に設けられた基準孔とに基準ピンを挿入することでヘッドケース2と位置決めされる。
以上説明したように、本実施形態では、流路形成基板10と保護基板30との間に隔離層94、96を設けているため、流路形成基板10に圧力発生室12等をエッチングにより形成する際に、エッチング液が保護基板30側に流出するのを防止することができ、保護基板30や保護基板30上に設けられた図示しない配線等が破壊されるのを防止することができる。また、保護膜15を原子層堆積法を用いて形成するため、貴金属で形成した隔離層94、96以外の領域に選択的に保護膜15を形成することができる。そうすると、従来問題となっていた隔離層94、96の表面の保護膜15がもともと存在しないことになり、それを除去する工程も不要になる。また、原子層堆積法では、原子層が1層ずつ緻密に形成されるため、流路形成基板10への保護膜15のカバレッジが良好になり、ピンホール等の発生も確実に防止できる。したがって、従来に比べてダミー膜の形成工程が不要になり、簡略化された方法で歩留まりの高いインクジェット式記録ヘッドを提供することができる。
なお、本実施形態では、隔離層96の除去工程を圧縮された気体98を用いて行ったが、隔離層96の除去工程は隔離層94の除去工程と同時にエッチングによって行っても良い。
また、本実施形態では、ノズル開口からインクを噴射する圧力発生手段として圧電素子を説明したが、圧力発生手段としては圧電素子に限定されず、例えば、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口からインクを噴射するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口からインクを噴射させるいわゆる静電式アクチュエータなどを使用することができる。
また、本実施形態では、噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げたが、本発明は広く流体を噴射する噴射ヘッドの製造方法全般を対象としたものであり、インク以外の流体を噴射する噴射ヘッドの製造方法に広く適用することができる。その他の噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、さらに液体以外の流体、例えば粉体等を噴射する噴射ヘッドにも応用可能なものである。
インクジェット式記録ヘッド及びヘッドケースの分解斜視図である。 インクジェット式記録ヘッドの平面図である。 インクジェット式記録ヘッドの断面図である。 インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 原子層堆積法による反応メカニズムの説明図である。 原子堆積法による成膜プロセスの説明図である。 原料ガス等の導入サイクルと膜厚との関係の説明図である。 従来のインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
符号の説明
1…インクジェット式記録ヘッド(噴射ヘッド)、10…流路形成基板(第1基板)、13…第1基準孔(第1開口部)、15…保護膜、30…保護基板(第2基板)、35…第2基準孔(第2開口部)、90…リード電極、94,96…隔離層、100…リザーバ、300…圧電素子

Claims (10)

  1. 第1開口部が形成された第1基板と、前記第1開口部と連通する第2開口部が形成された第2基板とを有する噴射ヘッドの製造方法であって、
    前記第1基板上に貴金属からなる隔離層を形成する工程と、
    前記隔離層を挟んで前記第1基板と前記第2基板とを接着する工程と、
    前記第1基板及び前記第2基板の前記隔離層を挟んで対向する位置に前記第1開口部及び前記第2開口部を形成する工程と、
    前記第1基板の表面に原子堆積法を用いて保護膜を形成する工程と、
    前記第1開口部にエッチング材を供給し、前記第1開口部と前記第2開口部との間に配置された隔離層を除去する工程と、を備えたことを特徴とする噴射ヘッドの製造方法。
  2. 前記保護膜を形成する前に前記第1開口部の底面に露出した前記隔離層の表面を洗浄する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の噴射ヘッドの製造方法。
  3. 前記隔離層の表面を洗浄する工程は、オゾン洗浄、UV洗浄又はプラズマ洗浄のいずれかにより行われることを特徴とする請求項2に記載の噴射ヘッドの製造方法。
  4. 前記保護膜を形成する工程では、
    前記第1基板の表面を酸化又は窒化する工程と、前記第1基板の表面に前記保護膜の材料を供給し、前記第1基板の表面に原子1層分の前記保護膜の形成材料を堆積させる工程と、を1サイクルとし、前記サイクルを複数回繰り返すことにより所定の厚みの前記保護膜を形成すると共に、
    前記サイクルが所定回数だけ行われた後、次のサイクルを行う前に、前記隔離層の表面に堆積した不純物又は保護膜をエッチングするエッチング処理が行われることを特徴とする請求項1に記載の噴射ヘッドの製造方法。
  5. 前記エッチング処理は、前記サイクルが1回ないし10回行われた後に行われることを特徴とする請求項4に記載の噴射ヘッドの製造方法。
  6. 前記エッチング処理は反応性イオンエッチングにより行われることを特徴とする請求項5に記載の噴射ヘッドの製造方法。
  7. 前記第1基板はシリコン基板であり、
    前記隔離層は金からなることを特徴とする請求項1に記載の噴射ヘッドの製造方法。
  8. 前記保護膜は、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、イリジウム、プラチナ、ルテニウムニッケル、クロムのいずれか1種又は2種以上の材料により形成されることを特徴とする請求項7に記載の噴射ヘッドの製造方法。
  9. 前記隔離層は、前記第1基板上に圧電素子を形成する際に前記圧電素子の一方の電極の形成工程と同時に形成されることを特徴とする請求項1に記載の噴射ヘッドの製造方法。
  10. 前記第1開口部及び前記第2開口部は、噴射ヘッドから噴射する流体を外部から供給するための流路を構成するものであることを特徴とする請求項1に記載の噴射ヘッドの製造方法。
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