JP2009016314A - 電極、電極組立体及び電極組立体の製造方法 - Google Patents

電極、電極組立体及び電極組立体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】冷陰極放電管のカップ形状の電極とリードとを強固に溶着する。
【解決手段】環状の側壁(4)と、側壁(4)の内面(4a)の一端(4b)を閉鎖する底壁(5)とを電極(2)に設ける。底壁(5)の外面(5b)は、リード(3)の端面(3a)を嵌合し且つ固定する凹部(6)を有し、凹部(6)の環状の内周面(6b)から径方向内側に又は/且つ凹部(6)の径方向の底面(6a)から軸方向外側に複数の凸部(7)を突出させるので、電極(2)の底壁(5)とリード(3)とを溶着する際に、凸部(7)に対向するリード(3)の外周面(3b)と凸部(7)との接合部が集中的に加熱され溶融される。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷陰極放電管の電極及び電極にリードを強固に溶接する電極組立体並びに電極組立体の製造方法に関するものである。
希ガス及び水銀蒸気を充填したガラス管の内部の両端に一対の電極を対向して配置し且つガラス管の内壁に蛍光膜を被覆した冷陰極放電管は、従来から液晶ディスプレイのバックライト用光源等として広く使用されている。冷陰極放電管のガラス管内に配置される一対の電極の各々にリードの一端を接続し、ガラス管の両端から外部にリードの他端を導出して、一対の電極間に電圧を印加することにより、一方の電極から電子が放出され、放出された電子は、ガラス管内の水銀原子に衝突して紫外線を発生する。この紫外線は、ガラス管の内壁に形成された蛍光膜で可視光線に波長変換される。
下記特許文献1は、分離壁面(底壁)を隔てて第1の空間部と第2の空間部を設け、第2の空間部にリードを嵌入してリードの一端と電極の底壁とを固着した電極組立体を示す。この構造により、放電管を長時間点灯しても、十分な耐スパッタ性を有する電極がリードから脱落せず、長期間安定して放電管を点灯することができる。
特開2002−279931(図2)
ところで、リードを電極に嵌入してリードの一端と電極の底壁とを固着する特許文献1に示される電極組立体では、電極の底壁とリードの端面とのみが接合され、第2の空間部を形成する軸方向に突出する電極の側壁とリードの外周面との間に間隙が形成されて、リードの端部の外周面は、電極の側壁に接合されない。このため、放電管の点灯時に発生するスパッタにより、電極の底壁がエッチングされ、穴が開き易い難点がある。
ところで、図7に示すように、レーザ溶接に使用するレーザのエネルギ分布は、径方向に一定ではなく、レーザ光の中央に向かうほど強いエネルギが照射される。従来のレーザ溶接では、図7に示すように、電極(2)に厚い底壁(5)を形成すると、電極(2)の底壁(5)とリード(3)との界面に沿うリード(3)の外周面(3b)側は、電極(2)及びリード(3)を構成する金属の融点に至るまで十分に加熱されず、リード(3)と電極(2)との溶接が不十分となる。そのため、リード(3)の外周面(3b)側まで融点に加熱し、電極(2)とリード(3)とを良好に溶接するには、レーザを高出力で照射する必要がある。逆に、リード(3)の端面(3a)と電極(2)との界面に沿ってリード(3)のより広い領域で融点まで高出力でレーザを照射すると、図8に示すように、レーザの中心軸上の電極(2)とリード(3)の中心部は、融点を遥かに超える高温に過熱される弊害が生ずる。金属粉を焼結して形成するリードをレーザ照射して、リードを構成する金属の融点を超えて再結晶温度に加熱すると、加熱された金属の結晶組織は、網目状となり、粒界破断して機械的強度が低下する。このように、レーザ光の強度が大きいと、広域にわたって再結晶化によりリード(3)の機械的強度が低下する反面、レーザ光の強度が低いと溶接が不十分となり十分な溶接強度が得られない二律背反の問題が生ずる。
そこで、本発明は、十分な溶接強度と機械的強度で電極とリードとを溶着できる電極、電極組立体及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、実質的に厚い壁厚の底壁を有する電極、電極組立体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明による電極は、環状の側壁(4)と、側壁(4)の内面(4a)の一端(4b)を閉鎖する底壁(5)とを有する。底壁(5)の外面(5b)は、リード(3)の端面(3a)を嵌合し且つ固定する凹部(6)を有し、凹部(6)の環状の内周面(6b)から径方向内側に又は/且つ凹部(6)の径方向の底面(6a)から軸方向外側に複数の凸部(7)を突出させるので、電極(2)の底壁(5)とリード(3)とを溶着する際に、凸部(7)に対向するリード(3)の外周面(3b)と凸部(7)との接合部が集中的に加熱され溶融される。従って、この接合部は、底壁(5)又はリード(3)を構成する金属溶融の起点となり、その後、周方向、軸方向及び径方向内側に溶融が進行して、溶接のぬれ性が拡大されると共に、凸部(7)を包囲する金属又は凸部(7)の周辺に配置される底壁(5)又はリード(3)を構成する金属自体が溶融する。このため、底壁(5)とリード(3)との界面全体及び底壁(5)とリード(3)との間に形成される隙間(9)内に溶融金属が敷衍し又は移動して、凹部(6)の径方向の底面(6a)とリード(3)の端面(3a)とを確実に溶着できる。このように、リード(3)の端面(3a)の外周面(3b)と底壁(5)の凹部(6)の環状の内周面(6b)とが溶着されて溶着領域が拡大されるので、底壁(5)とリード(3)との溶接を十分に且つ確実に行うことができる。換言すれば、電極(2)を構成する金属材料が溶融して、電極(2)を構成する金属材料で第2の空間(11)でのリード(3)との隙間(9)を充填すると、底壁(5)の凹部(6)及び突起(12)を設けた底壁(5)の厚みが実質上厚くなるので、電極組立体(1)の耐スパッタ性を向上することができる。この場合に、底壁(5)を十分な厚さに形成し加熱エネルギを最適レベルに設定すると、底壁(5)とリード(3)の外周面(3b)との間に底壁(5)からリード(3)の外周面(3b)に沿って盛り上がるビード(5d)がリード(3)の外周面(3b)に対する溶融金属の表面張力により形成され、ビード(5d)により底壁(5)とリード(3)との溶着領域が拡大されるので、溶着強度を向上することができる。
本発明による電極組立体は、電極(2)と、電極(2)に固定されたリード(3)とを備える。電極(2)は、環状の側壁(4)と、側壁(4)の内面(4a)の一端(4b)を閉鎖し且つ外面に凹部(6)を形成した底壁(5)とを有する。電極(2)の側壁(4)に同軸上に配置したリード(3)を電極(2)の凹部(6)内に嵌合し且つ固定する。電極(2)の凹部(6)の径方向の底面(6a)にリード(3)の端面(3a)を溶着すると同時に、電極(2)の凹部(6)の環状の内周面(6b)にリード(3)の外周面(3b)を溶着するので、リード(3)の外周面(3b)と電極(2)の内周面(6b)との溶着により溶着領域を拡大することができる。
本発明による電極組立体の製造方法は、環状の側壁(4)及び側壁(4)の内壁(4a)の一端(4b)を閉鎖する底壁(5)を備え、底壁(5)の外面(5b)に凹部(6)を形成し且つ凹部(6)の径方向の底面(6a)又は/且つ凹部(6)の環状の内周面(6b)に複数の凸部(7)を形成した電極(2)を準備する工程と、複数の凸部(7)を含む凹部(6)内の空間(11)にリード(3)の端面(3a)を嵌入し且つ凹部(6)の底面(6a)に当接させる工程と、電極(2)の側壁(4)の他端(4c)側から内壁(4a)に向かって照射するレーザ光又は電極(2)を高電位側としリード(3)を低電位側として電極(2)とリード(3)とに高電圧を印加する抵抗溶接によりリード(3)の端面(3a)を前記電極(2)に溶着する工程とを含む。
電極の凹部内に形成した凸部を溶融の基点として溶融を進行させて、凹部の径方向の底面とリードの端部とを溶着すると同時に、凹部の環状の内周面(6b)とリードの外周面とを溶着して、電極とリードとの溶接領域を従来より拡大して、電極とリードとを強固且つ確実に溶接することができる。
以下、本発明による電極、その電極を用いる電極組立体及びその製造方法の実施の形態を図1〜図6について説明する。
図1及び図2に示すように、本発明による電極組立体(1)は、電極(2)と、電極(2)に固定されたリード(3)とを備える。電極(2)は、環状の側壁(4)と、側壁(4)の内面(4a)の一端(4b)を閉鎖し且つ外面に凹部(6)を形成した底壁(5)とを有する。電極(2)の側壁(4)に同軸上に配置されるリード(3)は、電極(2)の凹部(6)内に固定される。リード(3)の端面(3a)は、電極(2)の凹部(6)の径方向の底面(6a)に溶着されると共に、リード(3)の外周面(3b)は、電極(2)の凹部(6)の環状の内周面(6b)に溶着されるので、リード(3)の外周面(3b)と電極(2)の内周面(6b)との径方向界面と周方向界面との溶着により溶着領域を拡大することができる。また、溶接の際に、底壁(5)を十分な厚さに形成し加熱エネルギを最適レベルに設定すると、リード(3)の外周面(3b)に対する溶融金属の表面張力により、底壁(5)とリード(3)の外周面(3b)との間に底壁(5)からリード(3)の外周面(3b)に沿って環状の内周面(6b)から軸方向に環状に突出して盛り上がるビード(5d)が形成される。底壁(5)とリード(3)との周方向界面の溶着領域は、ビード(5d)により更に拡大され、溶着強度を向上することができる。
図3及び図4に示す本発明の第1の実施の形態による電極組立体(1)では、電極(2)は、環状の側壁(4)と、側壁(4)の内面(4a)の一端(4b)を閉鎖する底壁(5)とを有する。底壁(5)の外面(5b)は、リード(3)の端面(3a)を嵌合し且つ固定する凹部(6)を有し、凹部(6)の環状の内周面(6b)から径方向内側に複数の凸部(7)を突出させる。複数の凸部(7)は、周方向に一定の角度間隔で径方向内側に凹部(6)の内周面(6b)から突出する。凹部(6)の環状の内周面(6b)から径方向内側に複数の凸部(7)を突出させる代わりに又はこれらに加えて、図5に示すように、凹部(6)の径方向の底面(6a)に径方向及び周方向に一定の間隔で形成される複数の凸部(7)を軸方向外側に凹部(6)の底面(6a)から突出させてもよい。
また、図6に示すように、凹部(6)の中心部(5c)での底壁(5)の厚みを中心部(5c)の側方での底壁(5)の厚みより厚くして、底壁(5)の内面(5a)に突起(12)を形成してもよい。突起(12)の直径は、凹部(6)の直径より小さく、リード(3)の直径より小さい。また、図6とは異なり、第1の空間(10)の底壁(5)の内面(5a)に突起(12)を設けずに、第2の空間(11)の凹部(6)の底面(6a)において電極(2)の中心軸(A-A)と同軸上に頂点を有する突起(12)を形成しても、同様の効果を得ることがきる。勿論、底壁(5)の内面(5a)と外面(5b)の凹部(6)内に同時に突起(12)を設けても同様の効果を得ることができる。焼結により形成したリード(3)を従来の溶接法等により再結晶させると、結晶組織が網目状になり、粒界破断してリード(3)が破断する恐れがあるが、突起(12)を形成すると、電極(2)の底壁(5)及びリード(3)の中心部に集中する熱エネルギを緩和して、径方向に熱エネルギを均一化し、中心部の再結晶化を抑制することができる。
レーザ光による電極(2)の内面(4a)に発生する熱エネルギがリード(3)の端面(3a)から端部(3b)の内側に容易に伝達されるように、凹部(6)の直径より小さい直径電極(2)の突起(12)を形成するのが望ましい。例えば電極(2)の側壁(4)の直径を2.7mm、電極(2)の側壁(4)の厚みを0.2mm、電極(2)の凹部(6)の直径を0.9〜1.0mmとするとき、電極(2)の突起(7)の直径を0.4〜0.6mm、側壁(5)の凹部(6)及び突起(12)のない底壁(5)の厚みを2.0mm、底壁(5)の凹部(6)及び突起(12)を形成した底壁(5)の箇所の厚みを1.5mm(側壁側)〜1.8mm(中央部)とし、図6に示すように、正規分布に似た緩慢な曲線で突起(12)の厚みを変化させることが望ましい。図示の電極(2b)では、リード(3)の端面(3a)の中心部(3c)の厚みが側壁(3b)側の厚みよりも厚い突起(12)が形成される。底壁(5)が厚い電極(2)の底壁(5)の中心部ほどレーザ溶接の熱エネルギの伝達が阻害され、ガウシアンエネルギ分布に相似形の形状に突起(12)を形成できる。
レーザ溶接時に、電極(2b)に形成した突起(12)によりリード(3)の端面(3a)の温度上昇が抑制又は遅延され、リード(3)の一端(3b)の加熱速度及び温度上昇を径方向に均一化することができる。従って、レーザ光の出力を増加して、リード(3)の側壁(3b)側の端面(3a)の温度を融点以上に加熱しても、従来の電極組立体(1)に比べて、リード(3)の中心部(3c)が加熱されないので、リード(3)の端面(3a)から深部までの再結晶化、金属組織の網目状化、粒界破断によるリード(3)の機械的強度低下を抑制でき、カップ形状の電極(2b)にリード(3)をより強固に溶着し、電極組立体(1b)のリード(3)の機械的強度低下を防止することができる。
本発明による電極組立体を製造する際に、まず、電極(2)と、リード(3)とを準備する。電極(2)は、環状の側壁(4)及び側壁(4)の内壁(4a)の一端(4b)を閉鎖する底壁(5)を備え、底壁(5)の外面(5b)に凹部(6)が形成される。凹部(6)には、図3及び図4に示すように、凹部(6)の中心軸に向かって内側に突出する複数の凸部(7)を凹部(6)の環状の内周面(6b)に形成し、図4に示すように、S字状の円弧を凹部(6)の内周面(6b)の全周囲に渡り繰り返し形成された形状でもよい。この場合、径方向断面に沿い三角形断面又は四角形断面の凸部(7)を凹部(6)の内周面(6b)に繰り返し一定の角度間隔で設けてもよい。何れの場合でも、等間隔で且つ等しい高さで凸部(7)を径方向内側に突出させることが望ましい。図4に示す例では、90度の角度間隔で互いに離間して略同一形状の4つの凸部(7)を設けるが、120度の角度間隔で互いに離間する3つの凸部(7)又は5つ以上の凸部(7)を設けてもよい。別法として、図5に示すように、軸方向に外側に向かって突出する複数の凹部(7)を凹部(6)の径方向の底面(6a)に形成してもよい。同一高さで同一断面の凸部(7)を等間隔で凹部(6)の内周面(6b)に数多く設ける程好ましいが、凹部(6)の内周面(6b)の全周囲に渡り一様に設けることが好ましい。この場合、軸方向断面に沿い三角形断面又は四角形断面で、径方向断面に沿い円形断面又は三角形断面若しくは四角形断面等の多角形断面で凸部(7)を形成することができる。
電極(2)は、ニッケル等の低融点金属を金属組織の基地として使用し、基地中に多数の硬質粒子を分散し担持した焼結金属により形成することが望ましい。硬質粒子は、例えば、ニオブ、モリブデン、タングステン、タンタル及びこれらの金属の合金から成る群から選択される一種又は二種以上の耐スパッタ性の金属により構成される。本発明の実施の形態では、ニッケルにより基地を形成し、ニオブにより形成される電極(2)の硬質粒子を決着材としてのニッケルにより保持する。
略円柱形のリード(3)の直径は、電極(2)の凸部(7)の頂点を含む凹部(6)の空間にリード(3)の端面(3a)を嵌入又は圧入できる直径、例えば、0.9mm以下とする。リード(3)は、電極(2)と同一の又は異なる金属で形成され、例えば、カップ形状の電極(2)を構成する金属より融点が高く、線膨張係数が小さい金属、例えばモリブデン(Mo)又はタングステン(W)により形成することが望ましい。モリブデン(Mo)又はタングステン(W)は、電極組立体(1)を使用中に電極(2)の底壁(5)にスパッタで穴が開き、リード(3)の端面(3a)が露出しても、電極組立体(1)の高耐スパッタ性を保持する。モリブデン(Mo)又はタングステン(W)の粉末金属は、融点が高いため、粉末金属を加圧下で加熱して焼結してリード(3)が形成される。本実施の形態では、リード(3)は、タングステン(W)により形成される。
凹部(6)の径方向の底面(6a)若しくは凹部(6)の環状の内周面(6b)の何れか又は径方向の底面(6a)と内周面(6b)の両方に凸部(7)を形成してもよい。この場合に、周方向に一定の角度間隔で電極(2)の径方向内側に突出する複数の凸部(7)を凹部(6)の内周面(6b)に形成する工程及び電極(2)の径方向及び周方向に一定の間隔で凹部(6)の底面(6a)に複数の凸部(7)を形成する工程の何れか1つ又は両工程が行われる。また、同時に又は個別に凹部(6)の中心部(5c)での底壁(5)の厚みを、中心部(5c)の側方での底壁(5)の厚みより厚く形成して、突起(12)を設けることができる。
次に、複数の凸部(7)を含む凹部(6)により形成される第2の空間(11)にリード(3)の端面(3a)を嵌入し且つ凹部(6)の底面(6a)に当接させる。図4に示すように、電極(2)の凹部(6)は、リード(3)の直径と同一か又はこれより僅かに大きい円形の断面に形成され、電極(2)の凹部(6)の径方向の中心を通る縦方向の中心軸が、第1の空間(10)を形成する電極(2)の環状の側壁(4)の中心軸(A-A)に重なる。これにより、電極(2)の凹部(6)内にリード(3)の端面(3a)を挿入するとき、電極(2)の中心軸とリード(3)の端面(3a)の中心軸とを同一直線上に配置して、電極(2)の底壁(5)の中心部(5c)とリード(3)の端面(3a)の中心部(3c)とを同一直線上に整合することができる。
電極(2)の凹部(6)内にリード(3)の端面(3a)を挿入するには、製造誤差及び組立誤差等を考慮し、リード(3)の直径(D2)より大きい直径(D1)で凸部(7)を含まない凹部(6)を形成する必要がある。しかしながら、リード(3)の端面(3a)の直径(D2)より凹部(6)の直径(D1)を過大に形成すると、溶接の際に、電極(2)の凹部(6)とリード(3)の間の隙間を周辺の溶融金属が十分に充填されないこともある。電極(2)の凹部(6)とリード(3)との間の隙間(9)を周辺の溶融金属により完全に充填するには、凸部(7)の高さを0.01〜0.5mmとし、例えば、リード(3)の直径を0.9mmとするとき、凹部(6)の直径を1.0mm、凸部(7)の高さを0.02〜0.03mmとすることが望ましい。
その後、電極(2)の底壁(5)に対してリード(3)を押圧しながら、電極(2)の側壁(4)の他端(4c)側から内壁(4a)に向かって照射するレーザ光又は抵抗溶接によりリード(3)の端面(3a)を電極(2)に溶着する。凹部(6)の環状の内周面(6b)から径方向内側に又は/且つ凹部(6)の径方向の底面(6a)から軸方向外側に複数の凸部(7)を突出させるので、電極(2)の底壁(5)とリード(3)とを溶着する際に、凸部(7)に対向するリード(3)の外周面(3b)と凸部(7)との接合部が集中的に加熱され溶融される。この場合に、図3及び図4に示す実施の形態では、電極(2)の底壁(5)とリード(3)とを溶着する際に、凸部(7)は、径方向内側に突出する凸部(7)に対向するリード(3)の外周面(3b)との距離が近い。また、図5に示す実施の形態では、軸方向に突出して凹部(6)の底面(6a)に形成する凸部(7)は、リード(3)の端面(3a)と最も近い。従って、何れの実施の形態でも、凸部(7)は、底壁(5)又はリード(3)を構成する金属との溶着の起点となり、その後、周方向、軸方向及び径方向内側に溶融金属が進行して、溶接のぬれ性が拡大されると共に、凸部(7)を包囲し又は凸部(7)の周辺とリード(3)を構成する金属自体が溶着される。このため、底壁(5)とリード(3)との界面全体及び底壁(5)とリード(3)との間に形成される隙間(9)内に溶融金属が敷衍し又は移動して、図2に示すように、凹部(6)の径方向の底面(6a)とリード(3)の端面(3a)とを確実に溶着できる。リード(3)の端面(3a)の外周面(3b)と底壁(5)の凹部(6)の環状の内周面(6b)とが溶着されて溶着領域が拡大されるので、底壁(5)とリード(3)との溶接を十分に且つ確実に行うことができる。
レーザ光を照射して溶接するとき、図7及び図8に示す場合と同様に、第1の空間(10)から電極(2)の底壁(5)の内面(5a)に向かってレーザ光を照射する。この場合に、レーザ溶接に使用する光ファイバは、径方向のエネルギ分布が比較的均一なSIファイバを用いることが望ましい。しかしながら、SIファイバを用いても、出射光のエネルギ分布は、中心部が尖るガウシアン分布となる。そこで、図3〜図5に示す本発明の第1及び第2の実施の形態の電極(2)では、電極(2)とリード(3)とを溶接するとき、電極(2)の凸部(7)の頂点がリード(3)と最も距離が近くに突出するため、電極(2)の凸部(7)が溶接の濡れ性の起点となり、レーザ光による熱エネルギで溶融した電極(2)を構成する金属が凸部(7)を中心としてその周方向に進行する。このため、溶融した金属が凹部(6)とリード(3)の隙間(9)に流入して、電極(2)とリード(3)とが溶接される。その結果、図1及び図2に示すように、電極(2)とリード(3)とを溶接した後には、リード(3)の端面(3a)の周囲の隙間(9)は、溶融金属で充填され、凸部(7)は、消失する。
本発明では、溶融金属により凹部(6)とリード(3)との隙間(9)が充填されるまでレーザ光の出力レベルを低減し又は出力時間を短縮して、電極(2)とリード(3)とに付与されるレーザ光の総熱エネルギを減少することにより、リード(3)の深部での再結晶化によるリード(3)の機械的強度の低下を抑制して、耐スパッタ性の高い電極組立体(1)を製造することができる。この場合に、側面(6b)の底面(6a)側又は側面(6b)の総断面全体に凸部(7)を形成して、溶融金属により凹部(6)とリード(3)の隙間(9)を容易に充填することが望ましい。また、凹部(6)の径方向の底面(6a)とリード(3)の端面(3a)とを溶着すると同時に、凹部(6)の環状の内周面(6b)とリード(3)の外周面(3b)とを溶着して、電極(2)とリード(3)との溶接領域を従来より拡大して、電極(2)とリード(3)とを強固且つ確実に溶接することができる。
また、凹部(6)とリード(3)の隙間(9)を溶融金属により完全に充填できなくても、凹部(6)とリード(3)の溶接強度を十分に確保しながら、レーザ光の出力を低減し又は出力時間を短縮してもよい。その結果、リード(3)に付与されるレーザ光出力の熱エネルギ量を抑制すれば、リード(3)の端面(3a)から深部での再結晶化による網目状組織を防止し、粒界破断によるリード(3)の部分の機械的強度低下を抑制することができる。
また、レーザ溶接前の電極(2)の突起(7)は、レーザ溶接時に金属溶融基点となり、レーザ溶接後の電極(2)の突起(7)は、消失した状態、縮小した状態、高さが減少した状態、凹部(6)内の溶融金属と一体化されて区別できない状態又は溶接前の初期状態のまま若しくは僅かに変形した状態でもよい。
本発明の実施の形態を種々の態様で変更することができる。例えば、図1〜図5に示す電極(2)に突起(12)を設けて、図6と同様の効果を得てもよい。また、図1〜図6に示す実施の形態では、ニッケル等の金属製で円板状の接合材を凹部(6)内に装着して、接合材を介して電極(2)とリード(3)とを溶接してもよい。この場合、電極(2)を構成する金属材料と接合材の金属とが互いに拡散し又は混合する金属により電極(2)とリード(3)が溶接された電極組立体が得られる。
レーザ溶接法の代わり、電極(2)を高電位側とし、リード(3)を低電位側として電極(2)とリード(3)とに高電圧を印加する抵抗溶接法を使用して、電極(2)からリード(3)に向かって電流を流して電極(2)とリード(3)を溶接してもよい。
本発明は、冷陰極放電管の電極にリードを強固に溶接する電極組立体に適用できる。
本発明の第1の実施の形態を示す電極組立体の断面図 図1の側面図 第1の実施の形態の電極組立体を溶接する前の分解断面図 図3に示す電極の側面図 本発明の第2の実施の形態を示す電極組立体を溶接する前の分解断面図 本発明の第3の実施の形態を示す溶接前の分解断面図 厚い底壁を設けた電極にリードをレーザ溶接する従来の電極組立体の断面図 薄い底壁を設けた電極にリードをレーザ溶接する従来の電極組立体の断面図
符号の説明
(1)・・電極組立体、 (2)・・電極、 (3)・・リード、 (3a)・・端面、 (3b)・・外周面、 (4)・・側壁、 (4a)・・内面、 (4b)・・一端、 (4c)・・他端、 (5)・・底壁、 (5b)・・外面、 (5c)・・中心部、 (5d)・・ビード、 (6)・・凹部、 (6a)・・底面、 (6b)・・内周面、 (7)・・凸部、

Claims (11)

  1. 環状の側壁と、該側壁の内面の一端を閉鎖する底壁とを有し、
    該底壁の外面は、リードの端面を嵌合し且つ固定する凹部を有し、
    該凹部の環状の内周面から径方向内側に又は/且つ前記凹部の径方向の底面から軸方向外側に複数の凸部を突出させたことを特徴とする電極。
  2. 周方向に一定の角度間隔で径方向内側に前記凹部の内周面から複数の前記凸部を突出させた請求項1に記載の電極。
  3. 径方向及び周方向に一定の間隔で前記凹部の底面から軸方向に複数の前記凸部を突出させた請求項1に記載の電極。
  4. 電極と、該電極に固定されたリードとを備え、
    前記電極は、環状の側壁と、該側壁の内面の一端を閉鎖し且つ外面に凹部を形成した底壁とを有し、
    前記電極の側壁に同軸上に配置した前記リードを前記電極の凹部内に嵌合し且つ固定し、
    前記電極の凹部の径方向の底面に前記リードの端面を溶着すると同時に、前記電極の凹部の環状の内周面に前記リードの外周面を溶着したことを特徴とする電極組立体。
  5. 底壁からリードの外周面に沿って盛り上がるビードを前記底壁と前記リードの外周面との間に形成した請求項4に記載の電極組立体。
  6. 前記凹部の中心部での底壁の厚みは、該中心部の側方での底壁の厚みより厚い請求項4又は5に記載の電極組立体。
  7. 環状の側壁及び該側壁の内壁の一端を閉鎖する底壁を備え、該底壁の外面に凹部を形成し且つ該凹部の径方向の底面又は/且つ前記凹部の環状の内周面に複数の凸部を形成した電極を準備する工程と、
    複数の前記凸部を含む前記凹部内の空間にリードの端面を嵌入し且つ前記凹部の底面に当接させる工程と、
    前記電極の側壁の他端側から内壁に向かって照射するレーザ光又は前記電極を高電位側とし前記リードを低電位側として前記電極とリードとに高電圧を印加する抵抗溶接により前記リードの端面を前記電極に溶着する工程とを含むことを特徴とする電極組立体の製造方法。
  8. 周方向に一定の角度間隔で前記電極の径方向内側に突出する複数の前記凸部を前記凹部の内周面に形成する工程を含む請求項7に記載の電極組立体の製造方法。
  9. 前記電極の径方向及び周方向に一定の間隔で前記凹部の底面に複数の前記凸部を形成する工程を含む請求項7又は8に記載の電極組立体の製造方法。
  10. 前記凹部の中心部の側方での前記底壁の厚みより厚く前記中心部での底壁の厚みを形成する工程を含む請求項7〜9の何れか1項に記載の電極組立体の製造方法。
  11. 前記電極を構成する金属を熱溶融させて前記リードを前記電極に溶着する際に、前記凹部と前記リードの端面との環状の隙間内に溶融した前記電極の金属を移動させて、前記環状の隙間を溶融した金属により充填する工程とを含む請求項7〜10の何れか1項に記載の電極組立体の製造方法。
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