JP2004146306A - 冷陰極放電管用電極 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電極部4と封止部5は、金属粉と有機樹脂バインダーからなるバインダー混合物を射出成形した後に焼結することによって、一体成形される。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置の背面から透過光で照明するための照明装置の光源などに使用される冷陰極放電管に使用される電極に関するものであり、詳細にはその有効発光長を拡大、電極電圧降下の低減、電極の長寿命化をするなどの高効率化を図った冷陰極放電管用電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
希ガス及び水銀蒸気が充填されたガラス管の内部に一対の電極が対向して配置され、且つガラス管の内壁に蛍光膜が被覆された冷陰極放電管は、従来から液晶ディスプレイのバックライト用光源として広く使用されている。
冷陰極放電管1は図7に示しているように、その電極2間に電圧を印加すると、一方の電極から電子が放出され、ガラス管3内の水銀ガスに電子が衝突して、その際に紫外線が発生する。この紫外線は、ガラス管3の内壁に形成された蛍光膜8で可視光線に波長変換され、冷陰極放電管1が発光する。
【0003】
冷陰極放電管用電極2は、図8に示すように、印可された電圧によって電子を放出するカップ型の電極部4と、ガラス管3(図7参照)に当該冷陰極放電管用電極2を封止する封止部5とを有し、更に、リード線であるリード部6、及び前記封止部5に融着されるガラスビーズ7とによって構成されている。前記電極部4はプレス加工によりカップ型に成形されるので、プレス加工が容易なニッケル等が使用されている。また、前記封止部5はガラスとの融着特性が優れたタングステンが主に使用され、前記リード部6は、半田濡れ性が優れているニッケルなどが主に使用されている。
これらの各部材から冷陰極放電管用電極2を製造するには、まず前記封止部5と前記リード部6を溶接した後に、前記ガラスビーズ7を封止部5側(図8の右側)から挿入する。このとき、前記溶接によってできた溶接玉10によって、ガラスビーズ7を位置決めする(融着位置を決める)。その後、ガラスビーズ7を封止部5に融着した後に、前記封止部5のもう一端に前記電極部4を溶接して、冷陰極放電管用電極2を製造する。そして、ガラス管3(図7参照)内に水銀を含む希ガスからなる放電用ガスを充填した後、ガラス管3の両端に冷陰極放電管用電極2を配置し、ガラスビーズ7とガラス管3とを融着させて、冷陰極放電管1(図7参照)が形成される。
【0004】
また、特開2001−332172号公報には、封止部とこの封止部より直径が大きいリード部を融着した導入線の封止部にガラスビーズを挿入し、その後に導入線と電極部を溶接し、最後に前記ガラスビーズを導入線に融着させる冷陰極放電管用電極が開示されている。また、前記導入線に電極部を溶接した後に、ガラスビーズを導入線に挿入し、このガラスビーズを融着させる冷陰極放電管用電極も開示されている。
また、特開平2001−325915号公報にも同様に導入線にガラスビーズを挿入し、電極部を導入線に溶接した後に、ガラスビーズを融着させる放電管が開示されている。
【0005】
このように、従来の冷陰極放電管用電極は、ガラスビーズの融着を電極部と封止部の溶接の前に融着させる、又は電極部と封止部(導入線)の溶接の後にガラスビーズを融着させる等の違いはあるが、冷陰極放電管用電極を構成する電極部、封止部、リード部等の各部材から構成され、これら各部材をそれぞれ溶接(融着)して冷陰極放電管用電極を製造している。
【0006】
また、電極部4における電子放出特性を向上させるために、電極部4の表面にアルカリ土類金属やその化合物、若しくは希土類元素やその化合物などの電子放出特性のよい物質を塗布又はスパッタ等の方法によりコーティングすることによって発光効率を上げている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−332172号公報 (第1−5頁、第1−2図)
【特許文献2】
特開2001−325915号公報 (第1−6頁、第2図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電極部と封止部の溶接には、電極部の軸(中心軸)と封止部の軸(中心軸)を同心軸に組み立てることが要求されるが、図7の左側の冷陰極放電管用電極2のように、電極部4の軸と封止部5の軸との偏心(軸ずれ)した状態に溶接したり、電極部4の軸と封止部5の軸とが傾いた状態に溶接するなどの組み立て誤差が少なからず発生していた。
そのため、この組み立て誤差を考慮に入れて、ガラス管の内径に対して、電極部の直径に余裕を見て小さく設定しなければならず、電極部を拡大させてより高いホロー効果を得ることができなかった。また、この組み立て誤差は軸の偏心や傾きだけでなく、ガラスビーズの電極部側(図8(b)のガラスビーズ7の左側)から電極部の底面部(図8(b)の電極部の左側)までの長手方向の長さに関しても、組み立て誤差が発生していた。これにより、組み立て時に長手方向の寸法にばらつきが発生し、長めに組み立てられたものについては、発光領域を縮小することになり、発光領域を拡大する障害となっていた。
【0009】
また、より高い放電特性を持つ電極部を得るには、ホローカソード形状のカップ電極によるホロー効果に合わせ、電極部は電子放出特性の良い(仕事関数が低い)材質を使用する必要性があるが、ニッケル等に比べて電子放出特性の良いタングステンやモリブデン等はプレス加工が困難な難加工材であり、カップ型に成形することは困難であった。そのため、成形上の理由から電極部の材料として、タングステンやモリブデンなどに比べて電子放出特性の良くないニッケル等の材料を使用しなくてはならなかった。
さらに、ニッケルが電極部として使用された場合、長時間の使用や、輝度を上げるために電流密度を増大させると電極のスパッタ量が増加し、スパッタした金属と水銀が反応し水銀が劣化するため、放電管の寿命が短命化する。この水銀の劣化に関しても、耐スパッタ性の高いタングステンやモリブデンを使用することにより解決するが、前述のようにこれらの材料は難加工材であるため、カップ型の電極部として成形することは困難であった。
【0010】
また、電極部の電子放出特性を向上させるために、電極部にアルカリ土類金属や希土類元素などの化合物を塗布やスパッタする等して、当該電極部の表面をコーティングし、電子放出特性を向上させることも考えられる。しかしながら、前記アルカリ土類金属や希土類元素などの化合物は、使用中に蒸発、焼失してしまい、長時間の使用後には電極を構成するベース材料(ニッケル等)の特性に戻ってしまう。さらにコーティングしていた物質がガラス管内壁に付着して管壁を黒化して照度を低下させ発光効率を減少させていた。
【0011】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、効率の良い電子放出特性を有し、長時間の使用でもその経時変化が少なく、冷陰極放電管の管端の黒化現象を低減させ、組み立て精度の高い冷陰極放電管用電極を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の冷陰極放電管用電極は、先端側へ開放した孔を有し、冷陰極放電管のガラス管内に設けられる電極部と、前記ガラス管を貫通して設けられる封止部を少なくとも有する冷陰極放電管用電極であって、前記電極部と前記封止部は、金属粉と有機樹脂バインダーからなるバインダー混合物を射出成形した後に焼結することによって、一体成形するものである。
【0013】
したがって、電極部と封止部を溶接する必要性がなく、偏心や傾きなどの組み立て誤差を考慮する必要性もなくなるので、電極部の直径を余裕を見て小さく設定する必要性もなく、ホロー効果の高い大きな電極部を製造することができる。同様に、電極部と封止部の長手方向の長さに関しても組み立て誤差がなく、長手方向の寸法ばらつきが低減されることによる均一した性能の冷陰極放電管用電極を製造することができる。
さらに、電極部及び封止部は金属粉を射出成形した後に焼結されるので、プレス加工が困難な材料を使用することもでき、電子放出特性が優れた金属や耐スパッタ性の高い金属を使用することができる。
【0014】
また、前記金属粉はモリブデン、タングステン、ニオブ、チタン、モリブデン合金、タングステン合金、ニオブ合金及びチタン合金から一又は複数選択して、電子放出特性が高く、且つ耐スパッタ性の高い電極部を成形してもよい。
【0015】
前記バインダー混合物に、アルカリ土類金属又は希土類元素の化合物であるエミッタ添加物を混練して、電子放出特性をさらに向上させてもよい。
【0016】
前記電極部と前記封止部とは、同一の金属粉によって射出成形してもよい。
【0017】
前記電極部と前記封止部とは、異なった金属粉によって射出成形してもよい。
【0018】
また、前記電極部は、モリブデン、タングステン、ニッケル、タンタル、ニオブ、モリブデン合金、及びタングステン合金から一又は複数選択された金属粉からなり、前記封止部は、モリブデン、タングステン、コバールから選択された金属粉からなるようにしてもよい。
【0019】
前記孔を、前記電極部のみに設けてもよい。
【0020】
前記孔を、前記電極部と前記封止部にわたって設けて、電子放射が行われる部分の面積を大きくし、より高いホロー効果が得られるようにしてもよい。
【0021】
前記電極部の外径と前記封止部の外径が略同径に一体成形して、冷陰極放電管用電極の放熱特性を向上させてもよい。
【0022】
前記封止部を前記ガラス管に封止させるガラスビーズの位置決めをする段差部を前記電極部及び前記封止部と共に一体成形して、ガラスビーズの融着位置を容易に決めることができるようにし、ガラスビーズの融着による組み立て誤差が発生しないようにしてもよい。
【0023】
前記封止部の先端部(リード部と溶接される部分)をテーパ形状に成形し、封止部とリード部との溶接によってできる溶接玉の大きさが、封止部及びリード部の外径を大きく超えないように溶接することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る冷陰極放電管用電極(以下、放電管用電極と称す。)の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、冷陰極放電管(以下、放電管と称す。)の全体の断面図である。
この放電管1は、ガラス管3内に設けられている電極部4と前記ガラス管3内からガラス管3外へ貫通して設けられている封止部5からなる放電管用電極2と、前記封止部5に溶接されるリード部6と、前記封止部5に融着し、前記放電管用電極2をガラス管3に固定するガラスビーズ7と、対向して設けられている放電管用電極2間のガラス管3の内壁に形成された蛍光膜8とを備えている。また、ガラス管3内には、水銀や希ガスなどの放電用ガスが充填されている。前記電極部4は、先端側へ開放した孔を有するカップ形状に成形されている。そして、放電管1に対向して設けられている放電管用電極2に電圧が印加されると、この電極部4から電子が放出され、前記放電用ガスに含まれる水銀に電子が衝突して紫外線が発生し、この紫外線はガラス管3の内壁に形成された蛍光膜8で可視光線に波長変換されて、放電管1を発光させる。また、前記封止部5は、ガラスビーズ7と融着して、前記放電用ガスをガラス管3内に封止すると共に、放電管用電極2をガラス管3に固定させている。
【0026】
図2は、本願発明における一体成形された放電管用電極の断面図である。
図2(a)は、電極部4と封止部5が一体成形された放電管用電極2と、リード部6と、ガラスビーズ7の各部材の組み立て前の断面図である。
電極部4と封止部5とが一体成形された放電管用電極2は、金属粉と有機樹脂バインダーからなるバインダー混合物を射出成形した後に、脱脂、焼結することによって一体成形されている。
【0027】
図2(a)に示した各部材を図2(b)のように組み立てる手順としては、まず、一体成形された前記放電管用電極2の封止部側(図2の左側)の先端にリード部6を溶接し、その後に、円筒状のガラスビーズ7を段差部9まで挿入して位置決めする。そして、当該ガラスビーズ7を、封止部5に融着させて、図2(b)で示した放電管用電極として組み立てる。
なお、放電管用電極2とリード部6を溶接した後に、ガラスビーズ7を段差部9にまで挿入するときには、溶接によってできる溶接玉10の大きさを考慮して、ガラスビーズ7の内径を溶接玉10が通過できる大きさの内径とする。
また、他の組み立て手順としては、放電管用電極2とリード部6とを溶接する工程の前に、ガラスビーズ7を封止部5に挿入し、その後に放電管用電極2とリード部6とを溶接するようにしてもよい。このとき、ガラスビーズ7の内径としては、溶接玉10の大きさを考慮する必要性はなく、封止部5に挿入できる大きさであればよい。なお、溶接する前にガラスビーズを融着するのであればリード部6の溶接の際に、ガラスビーズ7にクラックが入る可能性があるが、単にガラスビーズ7を挿入してからリード部6を溶接し、その後ガラスビーズ7を融着するのであれば、クラックが入る心配はない。
【0028】
この一体成形された放電管用電極2は、従来、電極部4の材料として使用されているニッケルに比べて耐スパッタ性が高く、且つ電子放出特性が優れているタングステン、モリブデン、ニオブ、チタン、タングステン合金、モリブデン合金、ニオブ合金、及びチタン合金の中から一又は複数を選択した金属粉をベース材料とし、このベース材料と有機樹脂バインダーからなるバインダー混合物を金型に射出成形し、脱脂し、焼結し、一体成形したものである。成形方法としては、いわゆる金属粉末射出成形と呼ばれる成形を行う。前記ベース材料となる金属粉末の粒径としては0.5〜5μm程度の大きさの金属粉を使用するが、この大きさに限るものではない。また、ベース材料としては上述した金属、又は金属合金に限るものではなく、耐スパッタ性が高く、電子放出特性が優れている金属又は金属合金であれば、他の金属や金属合金であってもよい。
【0029】
このように、耐スパッタ性の高い材料を使用して電極部4を成形するので、スパッタした金属と水銀などの放電用ガスと反応することが少なくなる。したがって、ガラス管の管壁を黒化させて照度を低下させることがなく、放電管1の寿命を今まで以上に長くすることができる。
【0030】
また、前記ベース材料に比べ、より低温、低電界で多量の電子を放出可能な電子放射性物質を、前記バインダー混合物を混練した後に、このバインダー混合物を射出成形してもよい。この電子放射性物質としては、仕事関数が小さく、且つ蒸気圧の低い金属化合物が望ましい。また、出来るだけ高融点の物質が望ましく、融点が2000℃以上あることが望ましい。
【0031】
前記電子放射性物質としては、アルカリ土類金属酸化物、希土類元素酸化物、希土類元素ホウ化物化合物等のエミッタ添加物が挙げられるが、前述した条件を満たしている物質であればよく、これらに限ったものではない。これらの電子放射性物質の粒径としては0.5〜5μm程度の範囲の粒径が望ましい。
【0032】
したがって、より低温、低電圧で多量の電子を放出可能とするエミッタ添加物の効果により電子放出性が高くなり、電極部のホロー形状による効果に相乗して、より放電特性の高い電極を製造することができるようになる。また、前記エミッタ添加物が電極部4の表面だけでなく、その内部にも均一に分散されるので、このエミッタ添加物の蒸発又は焼失することが減少され、ガラス管の内壁の黒化を起こりにくくすることができる。そして、エミッタ添加物が均一に分散された電極部を得ることができるので電極形状の全体にわたって放電特性の安定した、経時変化のほとんどない安定した発光をする放電管を得ることができる。
【0033】
また、金属粉として、モリブデン、タングステン、ニオブ、チタン、モリブデン合金、タングステン合金、ニオブ合金、チタン合金などから一又は複数を選択し、この選択した金属粉と有機樹脂バインダーからなるバインダー混合物を電極部4及び封止部5の双方に射出し、その後に脱脂、及び焼結することによって、電極部4及び封止部5が同一の金属粉からなる放電管用電極2を成形してもよい。例えば、タングステンの金属粉と有機樹脂バインダーを混練されたバインダー混合物を金型に射出して、電極部4及び封止部5の双方に当該バインダー混合物を充填させる。その後脱脂、及び焼結させて、一体成形された放電管用電極2を製造する。
【0034】
このように、電極部4と封止部5とを同一の金属粉によって射出成形する場合は、前記電極部4における耐スパッタ性及び電子放出特性の高い金属粉を選択するだけでなく、封止部5とガラスビーズ7との融着性が高く、放熱特性が優れている金属粉を選択して、電極部4と封止部5の双方に必要な特性を満足する金属粉を選択することが望ましい。
【0035】
また、電極部4で選択された金属粉と封止部5で選択された金属粉とを、それぞれ異なった金属又は金属合金から選択してもよい。この場合、電極部4で選択された金属粉と有機樹脂バインダーからなるバインダー混合物を金型の電極部4の部分に射出成形した後に、封止部5で選択された金属粉と有機樹脂バインダーからなるバインダー混合物を金型の封止部5の部分に射出成形し、脱脂し、焼結して、電極部4と封止部5とが異なった金属粉からなる放電管用電極2を一体成形する。
【0036】
電極部4には、モリブデン、タングステン、ニッケル、タンタル、ニオブ、モリブデン及びニッケル(Mo−Ni)等のモリブデン合金、及びタングステン及びニッケル(W−Ni)等のタングステン合金から一又は複数選択した金属粉を使用する。また、封止部5には、モリブデン、タングステン、コバール(Fe−Ni−Co)から一又は複数選択された金属粉を使用する。
なお、電極部4と封止部5のそれぞれに選択される金属粉は、上述した金属及び金属合金に限るものではない。
【0037】
また、電極部4と封止部5とを異なった金属粉で射出成形する場合には、この放電管用電極2に応力が作用すると、電極部4と封止部5の接合部分に破損が生じることがある。そこで、図3で示しているように、電極部4と封止部5との接合部分の面積を大きくするために、電極部4に凹部を設けて射出成形し、その後に封止部5を当該凹部にはまり込むように射出成形するのが望ましい。
【0038】
なお、前記エミッタ添加物を混練した前記バインダー混合物を金型の電極部4の部分に射出成形した後に、前記エミッタ添加物を混練していない前記バインダー混合物を金型の封止部5の部分に射出成形して、電極部のみにエミッタ添加物を含んでいる放電管用電極2を一体成形して、エミッタ添加物による、より低温、低電界で多量の電子が放出可能な放電管用電極2を得るようにしてもよい。この電極部4のみにエミッタ添加物を含む電極部4は、その表面だけでなく内部にもエミッタ添加物が均一に分散されるので、エミッタ添加物の蒸発又は焼失が少ない放電管用電極2を得ることができる。
なお、前記バインダーからなるバインダー混合物に混練される金属粉は、電極部4と封止部5を同一の金属粉を選択してもよいし、異なった金属粉を選択してもよい。
当然のことながら、電極部4と封止部5の接続部分は、図3で示しているように、電極部4に凹部を設けて射出成形し、その後に封止部5を当該凹部にはまり込むように射出成形するのが望ましい。
【0039】
このように、電極部4と封止部5とを異なった金属粉を用いて射出成形を行うことで、電極部4には、耐スパッタ性が高く且つ電子放出特性の高い金属を選択することができ、封止部5には、ガラスビーズ7との融着性が高く、放熱特性に優れた金属を選択することができるようになる。
【0040】
上述したように、電極部4と封止部5を一体成形するので、図7の左側の放電管用電極2に示しているような、偏心(軸ずれ)や、傾きなどの組み立て誤差が発生することがなくなる。そして、この組み立て誤差が発生しないので、ガラス管の内壁と電極部との間隔を小さく設定して、電極部の直径を大きく設定することができる。したがって、電極部の表面積を増大させて、よりホロー効果の高い電極を製造することができる。
【0041】
また、図2に示している段差部9を電極部4の底面部(封止部5との境界部)に設けて、ガラスビーズ7の位置決めをしてもよい。この段差部9は、予めガラスビーズ7の位置決めを目的として、放電管用電極2を射出成形する際に電極部4及び封止部5と共に一体成形される。従来は、図8(b)に示しているように、封止部5とリード部6との溶接時にできる溶接玉10でガラスビーズ7の位置決めを行っているが、当該溶接玉10の大きさを制御することは困難であり、ガラスビーズ7の融着位置にも組み立て誤差も生じていたが、段差部9を電極部4及び封止部5と共に一体成形することにより、この長手方向に対する組み立て誤差もなくなり、ガラスビーズ7から電極部4の底面部まで長さを短縮することができるので、放電管1の有効発光長を拡大することができる。また、ガラスビーズ7と電極部4の底面部の短縮できた長さと同じ長さを電極部4の長手方向に拡げて、電極電圧降下を低減させて、ホロー効果を増大させることもできる。
【0042】
なお、図1及び図2では、電極部4にのみ孔を設けていたが、図4の(a)に示しているように、前記孔を電極部4から封止部5にわたって設けて、孔の表面積を増大させてホロー効果をさらに高めてもよい。また、図4(b)に示しているように、前記孔を電極部4にのみ設けると共に、電極部4の外径と封止部5の外径とを略同型の大きさにして一体成形してもよいし、図4(c)に示しているように前記孔を電極部4から封止部5にわたって設けると共に、電極部4の外径と封止部5の外径とを略同型の大きさにして一体成形してもよい。
図4(b)及び(c)に示したように、封止部の外径を大きくすることで、放電管1の放熱特性を向上させて、放電管用電極2近傍の管壁温度を低くすることもできる。
【0043】
また、本願発明における放電管用電極は、金属粉の射出成形により一体成形されるので、プレス加工では困難な形状の電極部を成形することができる。例えば、図5(a)に示しているように、電極部の内壁4aを波形に成形して、前記孔の表面積を増大させることもできる。同様に、図5(b)に示しているように、電極部の内壁4aを凹凸形状にしたり、図5(c)に示しているように、電極部4の前記孔内に仕切り4bを設けて当該電極部4の表面積を増大させて、ホロー効果を高めてもよい。
尚、電極部4の形状としては図2や図5(a)〜(c)に示した形状に限るものではなく、カップ型若しくは円筒型の電極部4の円筒部分(電極部の先端から底面部まで)の形状を円筒型(円型)の他に、波形や、鋸刃状に成形してより大きな表面積を確保するようにしてもよい。
【0044】
なお、図6(a)に示しているように封止部5の先端部5aをテーパ形状になるように、放電管用電極2を一体形成してもよい。図6(b)は、封止部の先端部5aをテーパ形状に一体成形した放電管用電極2とリード部6を溶接した後、ガラスビーズ7をリード部6に挿入している状態の断面図を示している。この図6(b)にあるように、封止部の先端部5aをテーパ形状にすることによって溶接によってできる溶接玉10は、封止部5やリード部6に肉盛りされることなく、溶接部分の外径が大きくなることを避けることができる。つまり、溶接玉10は、ガラスビーズ7を段差部9にまで挿入するときの障害とならないため、ガラスビーズ7の内径(穴の大きさ)は、リード部6と封止部5に挿入できる大きさでよい。したがって、リード部6の外径と封止部5の外径に対して僅かに大きな内径を有するガラスビーズ7を使用すればよく、ガラスビーズ7とリード部6(封止部5)との間隔(クリアランス)を最小限に抑えることができる。
ガラスビーズ7を段差部9の位置まで挿入後、図6(c)に示しているように封止部5とガラスビーズ7を融着させる。このように、ガラスビーズ7とリード部6(封止部5)との間隔(クリアランス)を最小限に抑えることで、ガラスビーズ7の融着時に発生する偏心を低減することができ、リード部6の溶接及びガラスビーズ7の融着後においても、組み立て精度の高い放電管用電極2を製造することができる。
また、封止部の先端部5aをテーパ形状に成形することなく、封止部5とリード部6が端面のみで接合するときに比べて、封止部5はリード部6との接触面積が拡大され、接合の強度が向上する。
なお、図6では、封止部の先端部5aのみをテーパ形状に成形しているが、リード部6の溶接部分も同様にテーパ形状に加工してもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上の如く、本発明の冷陰極放電管用電極は、電極部と封止部を一体成形するので、部品点数及び組み立て工数を少なくして、高精度で寸法精度の高い部品加工が可能となり、高精度且つ低コストの冷陰極放電管用電極を得ることができる。
また、高精度で寸法精度の高い冷陰極放電管用電極を製造することができるので、組み立て誤差を考慮して電極部の内径を小さく設定する必要性がなく、今まで以上に(ガラス管の内径に対して)大きな外径を有する電極部を製造することができる。また、長手方向に対しする組み立て誤差も考慮する必要性がないので、有効発光長を拡大する、又は電極電圧降下を低減することもできる。
【0046】
また、モリブデン、タングステン、ニオブ、チタン、モリブデン合金、タングステン合金、ニオブ合金、チタン合金から一又は複数の選択された金属粉を用いて、一体成形された冷陰極放電管用電極を製造するので、耐スパッタ性に優れた冷陰極放電管用電極を得ることができる。したがって、放電部の損耗量が減少すると共に、ガラス管の管壁を黒化させることがなくなり、冷陰極放電管用電極の電極寿命を延命することができる。また、電子放出特性の高い金属を電極部に用いるので、ホロー効果のあるカップ電極とあわせ、放電特性に優れた冷陰極放電管用電極を得ることができる。
【0047】
また、アルカリ土類金属又は希土類元素の化合物などのエミッタ添加物を、バインダー混合物に混練して一体成形するので、エミッタ添加物が均一に分散され、経時変化のほとんどない安定した発光をする冷陰極放電管用電極を得ることができる。また、前記エミッタ添加物の蒸発又は焼失が減少され、この蒸発又は焼失によるガラス管の内壁の黒化が起こりにくい、冷陰極放電管用電極を得ることができる。
【0048】
また、電極部と封止部を同じ金属粉で射出成形して、工程数を少なくすることにより、より低コストの冷陰極放電管用電極を製造してもよい。
【0049】
また、電極部と封止部に、それぞれ異なった金属粉を使用して射出成形するので、耐スパッタ性及び電子放出特性に優れた電極部と、ガラス管との封着性及び放熱特性が優れた冷陰極放電管用電極を得ることができる。
【0050】
また、電極部に設けられた孔を電極部と封止部にわたって設けるので、電極部の表面積を大きくして、より高いホロー効果を得ることができる。
【0051】
また、電極部の外径と封止部の外径が略同径の冷陰極放電管用電極を得ることができるので、冷陰極放電管の放熱特性を向上させて、冷陰極放電管用電極近傍の管壁温度を低くすることができる。
【0052】
また、ガラスビーズの位置決めをする段差部を電極部及び封止部と共に一体成形するので、ガラスビーズを容易に且つ正確に冷陰極放電管用電極に融着することができる。したがって、組み立て精度の高い冷陰極放電管用電極を製造することができ、有効発光長が長い冷陰極放電管を得ることができる。
【0053】
また、封止部の先端部をテーパ形状に一体成形するので、溶接部分の外径をリード部の外径や封止部の外径と略同じ大きさとすることができ、ガラスビーズとリード部及び封止部とのクリアランスが少ないガラスビーズを使用することができる。したがって、ガラスビーズを融着した際に発生するガラスビーズの偏心を押さえることができ、組み立て精度の高い冷陰極放電管用電極を得ることができる。
また、封止部5とリード部6が端面のみで接合するときに比べて、封止部5はリード部6との接触面積が拡大され、接合の強度が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電極部と封止部を一体成形した冷陰極放電管用電極を用いた冷陰極放電管の断面図である。
【図2】電極部と封止部を一体成形した冷陰極放電管用電極の断面図である。
【図3】電極部と封止部に異なった金属粉を用いたときの、射出成形の説明図である。
【図4】一体成形した冷陰極放電管の断面図である。
【図5】電極部の内壁の面積を拡大した冷陰極放電管用電極の断面図である。
【図6】封止部の先端部をテーパ形状に一体形成した冷陰極放電管用電極の断面図である。
【図7】従来の冷陰極放電管の断面図である。
【図8】従来の冷陰極放電管用電極の断面図である。
【符号の説明】
1 冷陰極放電管
2 冷陰極放電管用電極
3 ガラス管
4 電極部
4a 電極部の内壁
4b 仕切り
5 封止部
6 リード部
7 ガラスビーズ
8 蛍光膜
9 段差部
10 溶接玉
Claims (11)
- 先端側へ開放した孔を有し、冷陰極放電管のガラス管内に設けられる電極部と、前記ガラス管を貫通して設けられる封止部を少なくとも有する冷陰極放電管用電極であって、前記電極部と前記封止部は、金属粉と有機樹脂バインダーからなるバインダー混合物を射出成形した後に焼結することによって、一体成形してなる冷陰極放電管用電極。
- 前記金属粉はモリブデン、タングステン、ニオブ、チタン、モリブデン合金、タングステン合金、ニオブ合金及びチタン合金から一又は複数選択してなる請求項1記載の冷陰極放電管用電極。
- 前記バインダー混合物に、アルカリ土類金属又は希土類元素の化合物であるエミッタ添加物を混練してなる請求項1記載の冷陰極放電管用電極。
- 前記電極部と前記封止部とは、同一の金属粉によって射出成形してなる請求項1記載の冷陰極放電管用電極。
- 前記電極部と前記封止部とは、異なった金属粉によって射出成形してなる請求項1記載の冷陰極放電管用電極。
- 前記電極部は、モリブデン、タングステン、ニッケル、タンタル、ニオブ、モリブデン合金、及びタングステン合金から一又は複数選択された金属粉からなり、前記封止部は、モリブデン、タングステン、コバールから選択された金属粉からなる請求項5記載の冷陰極放電管用電極。
- 前記孔は、前記電極部のみに設けてなる請求項1記載の冷陰極放電管用電極。
- 前記孔は、前記電極部と前記封止部にわたって設けてなる請求項1記載の冷陰極放電管用電極。
- 前記電極部の外径と前記封止部の外径が略同径に一体成形してなる請求項1記載の冷陰極放電管用電極。
- 前記封止部を前記ガラス管に封止させるガラスビーズの位置決めをする段差部を前記電極部及び前記封止部と共に一体成形してなる請求項1記載の冷陰極放電管用電極。
- 前記封止部の先端部をテーパ形状に成形してなる請求項1記載の冷陰極放電管用電極。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2002-10-28 JP JP2002312738A patent/JP2004146306A/ja active Pending
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